説明

ドレン排出用配管部材、及び、熱源機

【課題】本発明は、製造コストを増加させることなく、中和器の下流側の詰まりに起因した熱源機の機能不全を阻止するドレン排出用配管部材を提供することを目的とした。
【解決手段】ドレン排出用配管部材1は、筒体の内外を連通する側面開口37と、当該側面開口37を筒体の内壁側から覆う内壁補助壁36を有する。側面開口37と内壁補助壁36との間には、排出補助空間40があり、排出補助空間40は、筒体の上流側が閉塞され、且つ下流側が側面開口37に連通している。そして、ドレンが内壁補助壁36近傍に滞留する場合に、当該ドレンを側面開口37から排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン排出用配管部材に関するものであって、特には熱源機における潜熱回収型熱交換器で発生するドレンを排出するための配管用継手に関する。また、そのドレン排出用配管部材を備えた熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
湯水などを加熱する熱源機を備えた給湯器や温水循環式の暖房機器が一般家庭に普及している。また、燃料ガスが使用される熱源機には、湯水等の熱交換効率を向上させるために、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器に加えて、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器が具備された構成のものが知られている。
【0003】
即ち、この種の熱源機に使用される家庭用燃料としてのガスは、液化天然ガスや液化石油ガスが主力となっており、主成分がメタン又はプロパンであるために水素成分が多い。そのため、燃焼によって水蒸気が発生する。上記した二次熱交換器は、この水蒸気の潜熱を回収するものであるが、燃焼ガスに含まれた水蒸気は、熱交換によって温度が低下すると液化してドレンを発生させる。
また、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応し、窒素酸化物が生成されるため、二次熱交換器の表面側に発生したドレンが燃焼ガスに晒されることで、ドレンに窒素酸化物が溶け込み酸性(主に硝酸)を呈する。
【0004】
そして、通常、この種の熱源機を備えた給湯器では、二次熱交換器で発生した酸性のドレンを、ドレン排出系統を通じて外部に排出する。具体的には、二次熱交換器で発生したドレンは、ドレン排出系統の中途にある中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された中和器に導入され、その中和器内で中和されて外部に排出される。
【0005】
ところで、ドレン排出系統の中途、特に中和器の下流側において、配管内が詰まったり、施工不良等により排出されるべきドレンが適切に外部に排出されない不具合が起こり得る。特に、配管内が詰まる場合に注目すると、寒冷地や冬季においては、外気温が摂氏マイナス20度程度まで下がる場合があり、その場合、配管の内壁に残ったドレンが凍結して、配管内が凍ったドレンにより閉塞されてしまう場合がある。これにより、配管内の凍結部分より上流側でドレンが溜まり、ついには中和器内のドレンの水位が過度に上昇(規定水位を超える)してしまう。
【0006】
通常、ドレンが配管内で溜まって、中和器内で溢れると、給湯器等の制御部は、安全のため熱源機の作動を停止させる。即ち、ドレンの凍結により中和器内の水位が上昇した場合であっても、制御部においては「中和器の詰まり」と認識するため、安全のため熱源機を停止させる。即ち、配管内が一時的に凍結するような場合であっても、制御部では「中和器の詰まり」と誤認して、いずれの機能(給湯運転等)も使用不能に制御するため、使用者に不便を感じさせる場合があった。
【0007】
そこで、配管内が凍結により詰まった場合、例えば、特許文献1に記載されている給水用配管の凍結防止に用いられる凍結防止用ヒータにより、ドレン排出系統における配管内凍結による不具合を解消することが勘案される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−157540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ドレン排出系統における凍結は、特定の条件を満たした一時的な作用であるため、わざわざヒータ等の加熱手段を設ける手段を採用すると、製造コストが増加するため設けたくない。
また、実際に熱源機を設置する施工現場によっても、ドレン排出系統の凍結が発生するか否かが変わるため、仮にヒータ等の加熱手段を設ける構成としても加熱手段自体が無駄になる場合がある。即ち、全ての施工現場において、製造コストの増加に対する費用対効果が得られるているかの確証が得られない懸念がある。しかし、ドレン排出系統における凍結の対策を講じなければ、凍結した場合に中和器内のドレンが規定水位を超えて熱源機側に問題を来してしまう場合がある。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、製造コストを増加させることなく、中和器の下流側の詰まりに起因した熱源機の機能不全を阻止するドレン排出用配管部材及び熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排出系統の一部を形成するドレン排出用配管部材であって、ドレン排出用配管部材は、筒体であって、筒体の内外を連通する側面開口と、当該側面開口全体を筒体の内壁側から覆う内壁補助壁を有し、側面開口と内壁補助壁との間には、排出補助空間が形成されていることを特徴とするドレン排出用配管部材である。
【0012】
本発明のドレン排出用配管部材は、当該配管の筒体内部と外部を連通する側面開口と、その側面開口全体を当該筒体の内壁側から覆う内壁補助壁を有している。そして、内壁補助壁は、ドレンの流れ方向上流側の端部が固定されて、側面開口と内壁補助壁との間には、排出補助空間が形成されている。
即ち、本発明では、先に説明したように、寒冷地や冬季という特別な環境により、一時的に側面開口の位置よりもドレンの流れ方向下流側で凍結による詰まりが発生して、ドレンがドレン排出系統から外部に排出されない状況に陥った場合であっても、緊急的に排出補助空間及び側面開口を介して、ドレンを外部に排出することができる。これにより、例えば、ドレン排出系統における中和器の下流側で詰まりが生じた場合であっても、中和器内がドレンで溢れることがない。従って、給湯器等の制御部が「中和器の詰まり」を誤検知することが防止されるため、安全制御が働いて熱源機が作動されない等の不便を使用者に与えることがない。これに伴い、中和器内のドレンが規定水位を超えて、熱源機側に不具合をもたらす懸念がなくなる。
また、本発明では、ドレン排出系統にヒータ等の加熱手段を用いないため、製造コストが大幅に増加することがない。
【0013】
請求項2に記載の発明は、排出補助空間は、筒体の上流側が閉塞され、且つ下流側が側面開口に連通するものであって、ドレンが内壁補助壁近傍に滞留する場合に、当該ドレンを側面開口から排出可能であることを特徴とする請求項1に記載のドレン排出用配管部材である。
【0014】
かかる構成によれば、排出補助空間は、筒体の上流側が閉塞され、且つ下流側が側面開口に連通し、ドレンが内壁補助壁近傍に滞留する場合に、側面開口からドレンを排出可能である。即ち、ドレン排出系統において、ドレンの流れがある正常な場合には、側面開口からドレンが漏洩することがない。
【0015】
請求項3に記載の発明は、側面開口は、筒体の内壁と外壁とを繋ぐ面により形成されており、当該面のうち、少なくとも筒体の軸線に沿った辺を有した面が、外壁から内壁に向かって互いに拡がる形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン排出用配管部材である。
【0016】
かかる構成によれば、側面開口を形成する面のうち、少なくとも筒体の軸線に平行な辺を有した面が、当該配管部材の外壁から内壁に向かって互いに離反する形状である。換言すると、側面開口を形成する面は、開口縁に向かうにつれて、内壁と外壁との間の肉厚が薄くなる形状である。これにより、側面開口までの空間が拡がるため、ドレンが配管部材内で滞留した場合であっても、そのドレンは排出補助空間に流れ易くなる。即ち、本発明によれば、配管部材内部で滞留したドレンは、側面開口から排出され易い。
【0017】
請求項4に記載の発明は、ドレン排出用配管部材は、寸法の異なる2つの円筒部材が軸線方向に接合されて形成された配管用継手であって、2つの円筒部材の内径の中心軸は、一致しない配置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドレン排出用配管部材である。
【0018】
かかる構成によれば、寸法の異なる円筒部材が軸線方向に接続されて、さらにそれぞれの円筒部材の中心軸を一致させない配置とされているため、円筒部材内に内壁補助壁を設けて、内壁補助壁と側面開口との間に排出補助空間を形成しても、配管部材全体のサイズが大きくならない。即ち、例えば、2つの円筒部材の中心軸をずらして、内壁が最も離れた部位に、内壁補助壁を設ける構成とすれば、排出補助空間を確保するために側面開口を設けられた円筒部材のサイズを大きくする必要がなくなる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、上流側の円筒部材は、下流側の円筒部材より内径が小さいものであって、上流側の円筒部材における接合部では、内壁補助壁が当該円筒部材の内壁と内壁補助壁の内側面が同一面を有するように固定され、他方の円筒部材には、内壁補助壁に対応する位置に側面開口が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のドレン排出用配管部材である。
【0020】
かかる構成によれば、2つの円筒部材のうちの一方が他方より内径が小さく、その一方の円筒部材の接続側端部に、その円筒部材の内壁と内壁補助壁の内側面が同一面を有するように固定されているため、他方の円筒部材より一方の円筒部材をドレンの流れ方向上流側に配置すれば、ドレンが正常に流れているときは、側面開口からドレンが漏洩することを防止できる。
【0021】
本発明のドレン排出用配管部材は、ドレン排出系統は、酸性のドレンを中和する中和器が備えられ、中和器よりドレンの流れ方向下流側の流路を形成するものであることが望ましい。(請求項6)
【0022】
請求項7に記載の発明は、燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を備えた熱源機であって、熱源機は、筐体と、請求項1乃至6のいずれかに記載のドレン排出用配管部材を有し、少なくともドレン排出用配管部材の側面開口が、筐体の外側に位置していることを特徴とする熱源機である。
【0023】
かかる構成によれば、先に説明したように、寒冷地や冬季という特別な環境により、一時的に側面開口の位置よりもドレンの流れ方向下流側で凍結による詰まりが発生して、ドレンがドレン排出系統から外部に排出されない状況に陥った場合であっても、緊急的に側面開口を介して、ドレンを外部に排出することができる。また、側面開口は、熱源機の筐体より外側に位置しているため、筐体内部にドレンが溜まることがない。
従って、結果的に、給湯器等の制御部が「中和器の詰まり」を誤検知することが防止されるため、安全制御が働いて熱源機が作動されない等の不便を使用者に与えることがない。
【発明の効果】
【0024】
本発明のドレン排出用配管部材及び熱源機では、ドレン排出系統の配管内が凍結などにより詰まった場合であっても、側面開口を通じてドレンを外部に排出することができる。また、側面開口より内側には内壁補助壁が設けられているため、ドレンが正常に流れている場合には、側面開口からドレンが漏洩することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】潜熱回収型の二次熱交換器が配された熱源機の作動原理図である。
【図2】本発明の実施形態に係るドレン排出用配管部材を備えた図1の熱源機の実体を示す斜視図である。
【図3】図2のドレン排出用配管部材の取り付け状態を示す拡大側面図である。
【図4】ドレン排出用配管部材を示す斜視図である。
【図5】図3のドレン排出用配管部材を示すA−A断面図である。
【図6】図4のドレン排出用配管部材を示すA方向矢視図である。
【図7】図4のドレン排出用配管部材を示すB方向矢視図である。
【図8】図3のドレン排出用配管部材を示すB−B断面図である。
【図9】側面開口の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係るドレン排出用配管部材1について説明する。
【0027】
まず、本実施形態のドレン排出用配管部材1が配される熱源機2について説明する。なお、図1における作動原理図の構成は、従来より公知のものであるため、簡単に説明する。
熱源機2は、図1に示すように、燃料ガスを燃料として燃焼する燃焼装置7と、その燃焼装置7に内蔵された追い焚き用熱交換器10及び給湯用熱交換器11と、給湯用回路20と、追い焚き用回路21とを有している。
【0028】
燃焼装置7は、複数のバーナ12を内蔵している。そして、各系統毎に電磁弁14が設けられており、各系統毎に燃料ガスの供給を断続することができる。また、缶体8の内側下部(空気の流れ方向上流側)には、主に燃料ガスと混合される空気を送風する送風機16が取り付けられている。
また、缶体8の外側であって、電磁弁14の燃料ガスの流れ方向上流側には、ガス比例弁15が設けられており、各バーナ12に供給する燃料ガスの量を制御することができる。
【0029】
給湯用回路20では、給湯用熱交換器11を通過する高温湯流路26を流れる高温の湯にバイパス流路27を流れる冷水を混合して、所望の温度の湯水に調整し、給湯口28から適温の湯水を供給する。また、給湯用回路20は、追い焚き用回路21と接続されている。
【0030】
追い焚き用回路21は、浴槽5を含む循環回路18を形成するものであり、浴槽5側から熱源機2の追い焚き用熱交換器10に湯水を戻す風呂戻り流路30と、追い焚き用熱交換器10側から浴槽5側に湯水を送り出す風呂往き流路31を備えている。
【0031】
また、前記した追い焚き用熱交換器10及び給湯用熱交換器11は、主に燃焼ガスの顕熱を回収する顕熱回収型の一次熱交換器10a、11aと、一次給湯熱交換器11aよりも湯水の流れ方向上流側に位置し主に燃焼ガスの潜熱を回収する潜熱回収型の二次熱交換器10b、11bを有している。より具体的には、缶体8内部の左側の追い焚き用熱交換器10は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器10a、二次熱交換器10bが配されており、缶体8内部の右側の給湯用熱交換器11は、燃焼ガスの流れ方向上流側から一次熱交換器11a、二次熱交換器11bが配されている。
なお、顕熱回収型の熱交換器は、フィン付の銅管で形成されており、潜熱回収型の熱交換器はステンレス製の裸管で形成されている。即ち、潜熱回収型の二次熱交換器10b,11bは、顕熱回収型の一次熱交換器10a,11aよりも耐腐食性に優れた材料により構成されている。
【0032】
また、二次熱交換器10b、11bでは、熱交換により、燃焼ガスに含まれる水蒸気が凝縮されて液化したドレンが発生するため、そのドレンを外部に導くドレン排出系統24が接続されている。
ドレン排出系統24は、ドレン専用の流路で、中途に中和剤(炭酸カルシウム等)が充填された公知の中和器29が設けられている。即ち、二次熱交換器10b、11bから流出したドレンは、缶体8と接続された配管を介して中和器29に導入されて、中和されたドレンがさらに別の配管を介して外部に排出される。
【0033】
ここで、先にも説明したように、従来技術のドレン排出系統は、寒冷地や冬季などの特定の条件により、ドレンが凍結して、その凍結したドレンによりドレンが排出されず、中和器内が溢れてしまう不具合が生じていた。これにより、制御部が、中和器の詰まりと誤認して、熱源機の作動が停止されることで、使用者に不便を与えていた。
そこで、本実施形態では、この不具合を解消するために、ドレン排出系統24の一部にドレン排出用配管部材1を採用した。
【0034】
本実施形態のドレン排出用配管部材1は、図2に示すように、ドレン排出系統24の下流側の一部を形成する配管用継手(以下、ドレン用継手1とも言う)で、図3に示すように、燃焼装置7の筐体9の内外に跨るように筐体9に配されて、ビス等の固定手段を用いて装着されている。具体的には、ドレン排出系統24の中途に配された中和器29よりドレンの流れ方向下流側(図2の下部側)に配され、中和器29とドレン用継手1との間を繋ぐゴム製のチューブ19に接続されている。なお、ドレン用継手1とチューブ19の接続部は、図2,3に示すように、ドレン用継手1の上端側にチューブ19の下端側が接続されており、チューブ19の内側面がドレン用継手1の外側面と当接するように接続されている。
【0035】
本実施形態のドレン用継手1は、樹脂製であり、図3,4に示すように、2つの寸法の異なる上部円筒部材32と下部円筒部材33が、一体的に接続されて形成されている。
上部円筒部材32は、下部円筒部材33より内径及び外径が小さく設計され、さらに上部円筒部材32の軸線方向長さは、下部円筒部材33の軸線方向長さより短く設計されている。そして、チューブ19は、上部円筒部材32に接続される。即ち、チューブ19の内径は、上部円筒部材32の外径とほぼ同じ大きさである。
【0036】
また、上部円筒部材32の外側には、基端部(下部円筒部材33との接続側)に外径方向に膨らんだリング状の大段部34と、軸線方向中途に外径方向に膨らんだリング状に小段部34とが形成されている。大段部34は、チューブ19が上部円筒部材32に接続された際に、チューブ19の接続側の端部が突き当たる部位で、小段部35は、チューブ19の内壁を外側に向けて押圧して上部円筒部材32との密着性を高める部位である。
【0037】
上部円筒部材32の内側には、基端側の端部に内壁補助壁36が設けられている。即ち、内壁補助壁36は、図5に示すように、上部円筒部材32の端部から軸線方向下側に向かって張り出した配置である。また、内壁補助壁36は、図6に示すように、上部円筒部材32の内壁とほぼ同じ円弧形状であり、内側(中心軸に近い側)の面を上部円筒部材32の内壁と同一面を有するように、内壁補助壁36の上部(上流側)の端部が上部円筒部材32の筒体に一体的に固定されている。即ち、図7に示すように、上部円筒部材32の先端側(基端側と軸線方向反対側)からドレンが流れても、内壁補助壁36がドレンの流れの障害となることがない。
また、本実施形態では、図5,6に示すように、内壁補助壁36の大きさが、後述する側面開口37の開口サイズより一回り大きいサイズに設計されている。具体的には、内壁補助壁35の縦・横(円弧長)の長さは、側面開口37の縦・横(円弧長)に長さに対して、それぞれ1.2倍程度の長さとされている。なお、内壁補助壁36は、図6に示すように、上部円筒部材32の中心角θが45〜180度の円弧で、好ましくは90度程度の円弧である。
【0038】
下部円筒部材33は、上部円筒部材32の中心軸と一致させることなくして、軸線方向端部同士を接続しており、図6に示すように、上部円筒部材32の内壁と下部円筒部材33の内壁との間隔を広くして、前記内壁補助壁36を配置可能な補助壁配置部39が形成されている。これにより、下部円筒部材33のサイズを変更することなく、内壁補助壁36の外側面と下部円筒部材33の内壁との間隔を維持することができる。
【0039】
また、下部円筒部材33は、図5に示すように、基端側に下部円筒部材33の内外を連通した側面開口37が形成されている。そして、側面開口37は、内壁補助壁36に対応する位置に設けられており、側面開口37と内壁補助壁36との間に、ドレン排出系統24の流路と側面開口37とを連通する排出補助空間40が形成されている。排出補助空間40は、図4の拡大部に示すように、上部(上流側)のみが閉塞されており、左右及び下部(図4)が開放された空間である。即ち、排出補助空間40は、左右及び下部からドレンが流れ込んで側面開口37に流れ込む構成である。これにより、ドレンが側面開口37近傍に滞留した場合であっても、排出補助空間40及び側面開口37を介して、滞留したドレンを外部に排出することができる。
【0040】
側面開口37は、側面視した形状がほぼ長方形であり、下部円筒部材33の軸線方向に平行な辺(縦)の長さよりも、下部円筒部材33の周方向に延びる辺(横)の長さのほうが長くされている。
また、側面開口37は、見方を変えると、下部円筒部材33の肉厚分を貫通した開口でもあり、下部円筒部材33の外壁と内壁とを繋ぐ面によって形成されているとも言える。即ち、本実施形態では、図8に示すように、側面開口37を形成する軸線方向に沿って平行な辺(縦)を有する2つの軸線方向面(外壁と内壁とを繋ぐ面)38を外壁から内壁に向けて互いに離れる形状に加工している。換言すると、側面開口37は、軸線方向面38により、開口縁に向かうにつれて肉厚が薄くされている。即ち、内壁補助壁36により、側面開口37から下部円筒部材32の内部を伺うことはできないが、側面開口37の軸線方向面38により排出補助空間40が拡大され、側面開口37近傍に滞留したドレンは排出補助空間40側に流れ易くなる。
なお、下部円筒部材33の外側には、先端側に雌ネジ部41が形成されており、雌ネジ部41により、外部と連通した図示しない排水管と接続される。
【0041】
即ち、ドレン用継手1をドレン排出系統24の一部として採用すれば、ドレン用継手1の下流側のいずれの箇所で詰まったとしても、ドレン用継手1の側面開口37を介して、外部に排出することができる。これにより、ドレン配管内の詰まりに起因する図示しない制御部における中和器29詰まりの誤認を阻止できるため、熱源機3が使用不能となり、使用者に不便を与えることがない。
【0042】
上記実施形態では、ドレン排出用配管部材1として配管用継手の構成を示したが、本発明はこれに限定されず、単なる管状の配管部材であっても構わない。この場合であっても、内壁補助壁36を流路側に配するために、上部筒体部材32と下部筒体部材33との関係のように内径を変化させることが望ましい。
【0043】
上記実施形態では、側面開口37を形成する面のうち軸線方向に平行な辺を有する面を、内壁から外壁に向けて肉厚を薄くする形状としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、上記実施形態の形状に変えて又は加えて、軸線方向に直交する辺を有する下部側面を、内壁から外壁に向けて肉厚を薄くする形状としても構わない。
【符号の説明】
【0044】
1 ドレン用継手(ドレン排出用配管部材)
2 熱源機
9 筺体
10b 二次熱交換器
11b 二次熱交換器
24 ドレン排出系統
29 中和器
32 上部円筒部材
33 下部円筒部材
36 内壁補助壁
37 側面開口
39 補助壁配置部
40 排出補助空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水又は熱媒体を加熱する熱源機に備えられ、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器で発生するドレンが熱源機内から排出されるドレン排出系統の一部を形成するドレン排出用配管部材であって、
ドレン排出用配管部材は、筒体であって、筒体の内外を連通する側面開口と、当該側面開口全体を筒体の内壁側から覆う内壁補助壁を有し、
側面開口と内壁補助壁との間には、排出補助空間が形成されていることを特徴とするドレン排出用配管部材。
【請求項2】
排出補助空間は、筒体の上流側が閉塞され、且つ下流側が側面開口に連通するものであって、
ドレンが内壁補助壁近傍に滞留する場合に、当該ドレンを側面開口から排出可能であることを特徴とする請求項1に記載のドレン排出用配管部材。
【請求項3】
側面開口は、筒体の内壁と外壁とを繋ぐ面により形成されており、当該面のうち、少なくとも筒体の軸線に沿った辺を有した面が、外壁から内壁に向かって互いに拡がる形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン排出用配管部材。
【請求項4】
ドレン排出用配管部材は、寸法の異なる2つの円筒部材が軸線方向に接合されて形成された配管用継手であって、
2つの円筒部材の内径の中心軸は、一致しない配置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のドレン排出用配管部材。
【請求項5】
上流側の円筒部材は、下流側の円筒部材より内径が小さいものであって、
上流側の円筒部材における接合部では、内壁補助壁が当該円筒部材の内壁と内壁補助壁の内側面が同一面を有するように固定され、
他方の円筒部材には、内壁補助壁に対応する位置に側面開口が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のドレン排出用配管部材。
【請求項6】
ドレン排出系統は、酸性のドレンを中和する中和器が備えられ、
中和器よりドレンの流れ方向下流側の流路を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のドレン排出用配管部材。
【請求項7】
燃焼ガスの主に潜熱を回収する二次熱交換器と、当該二次熱交換器で発生したドレンを外部に排出するドレン排出系統を備えた熱源機であって、
熱源機は、筐体と、請求項1乃至6のいずれかに記載のドレン排出用配管部材を有し、
少なくともドレン排出用配管部材の側面開口が、筐体の外側に位置していることを特徴とする熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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