説明

ドレン排出装置及び空気調和装置

【課題】異音の発生を抑制しつつドレンの排出を可能にする。
【解決手段】吸水材からなる吸水部15と、吸水部15が、ドレンパン12に溜まった水に浸かる吸水位置Aと、ドレンパン12よりも上方の排水位置Bとの少なくとも二位置を取り得るように、当該吸水部15に駆動力を伝える駆動手段17と、排水位置Bにある吸水部15から水を絞り出すための絞り部材19と、絞り部材19によって吸水部15から絞り出された水を外部へ導くための排水部材21と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン排出装置及び空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように空気調和装置に設けられたドレンパンに溜まったドレンをポンプで吸い出すようにしたドレン排出装置が知られている。この特許文献に開示されたドレン排出装置は、下面に開口する吸込み口及び側面に開口する排出口を有するポンプケーシングと、このポンプケーシング内に収容され、モータによって駆動されるインペラとを備えている。そして、インペラが駆動されることにより、ドレンパンに溜まったドレンを吸込み口から吸引し、排出口から排出させるようになっている。また、この特許文献1には、ドレン水位が低い場合にインペラ回転数が高くなることに起因する排水音の増大を防止すべく、インペラの回転軸に軸流ファンを設けることが記載されている。
【特許文献1】特開2002−5082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のように、ドレンパンに溜まったドレンを負圧によりポンプケーシングの吸込み口から吸引する構成では、ドレンの水位がある程度高くないと、吸引時に空気を巻き込むことによって異音が発生してしまうという問題がある。前記特許文献1の軸流ファンは、インペラ回転数が高くなるのに伴い、モータ駆動軸とポンプケーシングとの間の隙間を通して流入する空気量が増大することに起因して生ずる排水音を低減するために設けられているが、このものはドレン水位が吸込み口よりも高い場合を前提としているため、ドレン水位が吸込み口程度にまで低下した場合には、やはり空気巻き込みに伴う異音が発生してしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドレンを吸引する際の異音の発生を抑制しつつドレンの排出を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明は、ドレンパンに溜まった水を排出させるためのドレン排出装置であって、吸水材からなる吸水部と、前記吸水部が、ドレンパンに溜まった水に浸かる吸水位置と、ドレンパンよりも上方の排水位置との少なくとも二位置を取り得るように、当該吸水部を駆動する駆動手段と、前記排水位置にある前記吸水部から水を絞り出すための絞り部材と、前記絞り部材によって前記吸水部から絞り出された水を外部へ導くための排水部材と、を備えているドレン排出装置である。
【0006】
本発明では、吸水位置にある吸水部によってドレンパンのドレンが吸水されて、この吸水部に吸水されたドレンは、駆動手段による吸水部の駆動に伴って排水位置に移動する。排水位置では、絞り部材によって吸水部からドレンが絞り出され、このドレンは排水部材によって外部へ排出される。すなわち、吸水部が吸水材によって構成されているため、ドレンパンから吸水されるのに際して異音が生ずることがなく、また吸水部からドレン水が絞り出されるときにも異音が生じない。したがって、本発明のドレン排出装置では、異音の発生を抑制しつつドレンの排出が可能である。しかも、吸水部を駆動することによって吸水されたドレンを持ち上げる構成なので、ドレンの汲み上げ高さが制限されることはない。さらに、本発明では、ドレンパンよりも高い位置である排水位置から滴下したドレンを排水部材で受けるように構成できるため、排水部材の始端を高い位置に設けることができ、これにより排水部材を勾配を付けて配設することが可能となる。したがって、排水部材によってドレンを流せる長さを長くすることも可能である。
【0007】
前記ドレン排出装置において、前記吸水部は環状に構成されているのが好ましい。この態様では、吸水部が回転するように駆動することにより、ドレンの吸水及び排水を連続的に行うことができる。
【0008】
また前記ドレン排出装置において、前記吸水部は、当該吸水部よりも硬度又は密度の高い材質の高剛性部に固定されていてもよい。この態様では、吸水部の駆動に伴う吸水部の変形を抑制することができる。
【0009】
この態様において、前記駆動手段は、前記高剛性部を介して前記吸水部に駆動力を伝えてもよい。この態様では、吸水部に間接的に駆動力を付与するので、駆動手段から吸水部に直接駆動力が伝わらない。このため、吸水部の磨耗を防止することができ、この結果、吸水材からなる吸水部の寿命を延ばすことができる。
【0010】
さらにこの態様において、前記高剛性部は、円板状に構成され、前記吸水部は、前記高剛性部の周囲に円環状に形成されていてもよい。この態様では、吸水部の安定した駆動を得ることができる。
【0011】
前記ドレン排出装置において、前記駆動手段は、前記吸水部に直接駆動力を伝えてもよい。この態様では、安価な構成にすることができる。
【0012】
前記ドレン排出装置において、前記吸水部は、歯車状に凹凸が形成され、前記駆動手段は、前記吸水部の凹凸に係合する駆動側係合部を有するものであってもよい。この態様では、駆動手段の駆動力によって吸水部を確実に駆動することができる。
【0013】
前記ドレン排出装置において、前記吸水部は、抗菌剤を含有しているのが好ましい。この態様では、カビ、スライム等の発生を抑制することができる。
【0014】
前記ドレン排出装置において、前記駆動手段は、モータと、このモータに設けられた駆動ローラとを有し、前記絞り部材は、前記駆動ローラとの間に前記吸水部を挟み込むように配置されたローラ又はガイドによって構成されていてもよい。この態様では、駆動ローラと絞り部材とを協働させて吸水部に含まれる水分を絞ることができるので、絞り部材として必要な部材を減らすことができる。
【0015】
この態様において、前記吸水部の振れ止めが設けられているのが好ましい。この態様では、吸水部が駆動される際の吸水部の揺れを防止することができる。
【0016】
前記モータは、一定速度で前記吸水部を駆動してもよい。この態様では、安価な構成にすることができる。また、定常的なモータ音が発生するが、この定常的な音は耳障りな音になり難いため、ユーザに異音と認識される音の発生を抑制することができる。なお、この種のモータとしてステッピングモータ、シンクロナスモータ等を使用できる。
【0017】
また前記モータは、速度可変に構成されていてもよい。この態様では、排水量を調整することが可能となり、例えばドレンパンの貯水量等に基づく排水量制御等が可能となる。
【0018】
また前記モータは、前記吸水位置よりも前記排水位置の近くに配置されていてもよい。この態様では、モータを高い位置に配置できるので、デッドスペースの利用等が可能になる。
【0019】
また前記モータは、前記排水位置よりも前記吸水位置の近くに配置されていてもよい。この態様では、吸水位置近くに配置される電装品箱の近くにモータを配設することができるので、配線を短くできるとともに配線作業を容易化できる。
【0020】
前記ドレン排出装置において、前記吸水部を押圧する方向に前記絞り部材を付勢する付勢手段が設けられていてもよい。この態様では、吸水部の磨耗等によって吸水部の厚み等が変化した場合にも、駆動手段から吸水部への駆動力の付与を確実に行うことができるようになる。
【0021】
前記ドレン排出装置において、前記排水部材には、前記吸水部から滴下した水の衝突音の発生を抑制する吸音手段が設けられていてもよい。この態様では、排水部材での異音の発生を抑制することができる。
【0022】
前記ドレン排出装置において、前記絞り部材に開口部が形成されるとともに、前記排水部材と前記絞り部材とが1つの中空状部材を形成しており、前記排水位置にある前記吸水部から絞り出された水が前記開口部を通して前記中空状部材内に滴下するように構成されていてもよい。この態様では、吸水部から絞り出された水が中空状部材内に滴下する構成なので、排水部材への水の衝突音が外に漏れ難くなる。このため、異音の音漏れを抑制することができる。
【0023】
本発明は、熱交換器と、前記熱交換器で生じたドレンを受けるドレンパンと、前記ドレンパンに溜まった水を排出可能に設けられた前記ドレン排出装置と、を備えている空気調和装置である。本発明では、ドレンパンに溜まったドレンを吸い出す際の異音の発生及び吸水部から水を絞り出す際の異音の発生を抑制することができる。しかも、排水部材によってドレンを流せる長さを長くすることもできる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、異音の発生を抑制しつつドレンの排出を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係るドレン排出装置の一実施形態を示しており、本実施形態に係るドレン排出装置10は、例えば、空気調和装置の室内機内や室外機内等に設置可能に構成されるものである。なお、以下の説明では、ドレン排出装置10が例えば室内機に設置されているものとする。
【0027】
このドレン排出装置10が適用できる室内機は、壁掛けタイプ、天井埋め込みタイプ等、種々のタイプの室内機である。室内機には、ケーシング(図示省略)、このケーシング内に配設された熱交換器(図示省略)、ケーシング内における熱交換器の下方に配設されたドレンパン12等が主要な構成部品として設けられている。熱交換器は、室内空気と冷媒とを熱交換させる。ドレンパン12は、熱交換器で凝縮したドレンを受ける。
【0028】
ドレン排出装置10は、吸水部15と、駆動手段17と、絞り部材19と、排水部材21とを備えている。吸水部15は、例えばスポンジゴム等の吸水材からなり、容易に変形可能なものである。吸水部15には抗菌剤が練り込まれている。本実施形態では、吸水部15は円環状に形成されている。
【0029】
駆動手段17は、モータ25と、このモータ25の駆動軸25aに設けられた円筒状の駆動ローラ27とを備えている。モータ25は、ケーシング内に設置されたフレーム29に固定されており、駆動軸25aが略水平になるように配設されている。
【0030】
絞り部材19は、円筒状のローラによって構成されており、この絞り部材19は前記フレーム29に固定された軸部材31に回転自在に支持されている。軸部材31は、モータ25の駆動軸25aに平行に配設されており、絞り部材19は駆動ローラ27の真下に配置されている。
【0031】
吸水部15は、上端部が駆動ローラ27及び絞り部材19間に挟み込まれており、軸が略水平になるような縦向きの姿勢で配設されている。吸水部15の外周面に駆動ローラ27が接触する一方、吸水部15の内周面に絞り部材19が接触している。そして、駆動ローラ27と絞り部材19との間隔は吸水部15の厚みよりも小さくなっており、吸水部15は、駆動ローラ27と絞り部材19とによって挟まれた部位が押し潰されている。
【0032】
一方、吸水部15の下端部はドレンパン12に溜まったドレンに浸かるように配設されている。言い換えると、吸水部15は、その下端部において吸水位置Aとなる。そして、吸水部15の上端部は、吸水されたドレンが絞り出される排水位置Bとなっている。なお、排水位置Bは、吸水部15の上端部に位置する構成に限られるものではなく、ドレンパン12よりも上方に位置していればよい。
【0033】
吸水部15は、駆動ローラ27の回転に応じて回転する。すなわち、吸水部15は、絞り部材19に掛けられた状態にあり、この状態で駆動ローラ27との間に挟み込まれているため、駆動ローラ27が回転するのに伴い、吸水部15も略水平に延びる軸回りに回転する。これにより、吸水部15は、その各部位が吸水位置Aと排水位置Bとを交互に繰り返すように駆動される。本実施形態では、駆動手段17の駆動力を受けて動く可動体が、吸水部15単体で構成されている。
【0034】
排水部材21は、細長く延びる樋状の部材であり、排水部材21は、排水位置Bの真下に位置する一端部(始端)から斜め下方に向かって延びるように勾配を有する状態でケーシング内に配設されている。排水部材21の他端部は、例えばケーシングに固定された管部材(図示省略)に接続されており、排水部材21を流れる水がこの管部材を通してケーシング外に排出されるようになっている。なお、排水部材21は、排水位置Bの真下に位置する一端部のみで上部が開放される一方、その他の部位では管状に形成される構成であってもよい。また、排水部材21は、固定的に配設されていてもよく、あるいは傾斜を変えられるように配設されていてもよい。
【0035】
排水位置B側となる排水部材21の一端部は、ドレンパン12よりも十分に高い位置に設定されている。このため、ドレンパン12の下側にドレン排出用のホースを接続する構成に比べると、本実施形態におけるドレン排出装置10では、天井裏のスペース内等に管部材を配索する際に管部材が非常に長くなる場合であっても、管部材に所定の勾配を確保し易くすることができる。
【0036】
排水部材21には、吸音手段の一例としての吸音部材35が設けられている。この吸音部材35は、排水位置Bの真下に位置するように配設されている。これにより、排水位置Bで吸水部15から絞り出された水が滴下して排水部材21に衝突する際に、その衝突音を低減することができる。
【0037】
モータ25は、例えば一定の速度で吸水部15を駆動する。すなわち、モータ25に給電されると、モータ25は駆動軸25aを一定の速度で回転させ、これにより吸水部15が一定の速度で回転するようになっている。このモータ25として、例えばステッピングモータ、シンクロナスモータ等を使用できる。
【0038】
モータ25は、吸水位置Aよりも排水位置Bの近くに配置されている。すなわち、モータ25はドレンパン12よりも上方に配置されている。そして、モータ25を例えば熱交換器よりも上方に配置することも可能である。このように配置すれば、ケーシング内のデッドスペースの有効利用となり得る。
【0039】
ここで、ドレン排出装置10の動作について説明する。ドレン排出装置10では、モータ25に給電されると、駆動軸25aが駆動し、これにより吸水部15が回転する。すなわち、駆動手段17は、吸水部15に直接駆動力を伝えている。なお、モータ25は、例えば室内機が運転されている間、給電されている。
【0040】
吸水部15は、下端部がドレンパン12に溜まったドレンに浸かっている場合には、この下端部においてドレンを吸水している。すなわち、吸水部15が吸水材によって構成されているため、ドレンの水位によらずドレンを吸収できるようになっている。しかもこの吸収時に異音は発生しない。そして、この吸水位置Aでドレンを吸収した部位は、駆動軸25a即ち駆動ローラ27の回転に応じて上方へ移動し、上端部に達したところで、駆動ローラ27及び絞り部材19によって押し潰される。これにより、吸水部15に含まれる水分が絞り出されて排水部材21に滴下する。排水位置Bの下方には吸音部材35が存在しているので、排水部材21に水滴が落下したときの衝突音が低減されている。滴下したドレンは排水部材21を流れた後、管部材を流れて屋外に排出される。一方、排水位置Bで水分が絞り出された部位は、今度は下方に移動し、再びドレンパン12内のドレンに浸かる位置(吸水位置A)に戻り、ドレンを吸収する。これが繰り返されて、ドレンパン12内のドレンが屋外に排出される。
【0041】
以上説明したように、本実施形態では、吸水位置Aにある吸水部15によってドレンパン12のドレンが吸水され、この吸水部15に吸水されたドレンは、駆動手段17によって排水位置Bに移動する。そして、排水位置Bでは、絞り部材19によってドレンが絞り出され、このドレンは排水部材21によって外部へ排出される。このため、吸水部15がドレンパン12のドレンを吸収するのに際して異音が生ずることがなく、また吸水部15からドレン水が絞り出されるときにも異音が生じない。したがって、本ドレン排出装置10では、異音の発生を抑制しつつドレンの排出が可能である。しかも、吸水部15を駆動することによって吸水されたドレンを持ち上げる構成なので、ドレンの汲み上げ高さが制限されることはなく、また排水量が制限されるものでもない。さらに、排水部材21の始端がドレンパン12よりも高い位置に配置されるため、排水部材21を勾配を付けて配設することが可能となる。したがって、排水部材21によってドレンを流せる長さを長くすることができる。また、このドレン排出装置は、場所を選ばずに設置することが可能である。
【0042】
また、本実施形態では、吸水部15が環状に形成されているため、吸水部15を回転させることにより、ドレンの吸水及び排水を連続的に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態では、可動体が吸水部15のみで構成され、吸水部15に直接モータ25の駆動力を伝える構成なので、安価な構成となっている。
【0044】
また、本実施形態では、吸水部15に抗菌剤が含有されているので、カビ、スライム等の発生を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、駆動ローラ27と絞り部材19とを協働させて吸水部15に含まれる水分を絞ることができるので、絞り部材19を一対のローラで構成し、これらのローラで吸水部15を挟み込んで押圧する構成に比べ、絞り部材19として必要な部材を減らすことができる。
【0046】
また、本実施形態では、一定速度で吸水部15を駆動させる構成としたので、安価な構成にすることができる。また、この態様では定常的なモータ音が発生するが、定常的な音は耳障りな音になり難いため、ユーザに異音と認識される音の発生を抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。(1)例えば、図2に示すように、吸水部15を内周側の部位15aと外周側の部位15bに分割し、その間に吸水部15よりも剛性の高い高剛性部40を挟み込むようにしてもよい。この場合には、吸水部15の内周部15aと、吸水部15の外周部15bと、これらに挟み込まれた高剛性部40とにより、モータ25から駆動力を受ける可動体42が構成される。
【0048】
高剛性部40は環状に構成されており、環状の可動体42の全体に亘る。したがって、可動体42全体の形状を維持し易くすることができる。高剛性部40は、例えば吸水部15を構成する吸水材よりも硬度の高い材質、あるいは密度の高い材質からなる。この変形態様では、前記実施形態同様に、吸水部15が駆動ローラ27から直接駆動力を受けるが、高剛性部40の存在により駆動時における吸水部15の全体的な変形を抑制することができ、可動体42をより安定的に駆動することができる。
【0049】
(2)図3に示すように、吸水部15の内周面に高剛性部40が設けられる構成としてもよい。すなわち、この変形態様では、環状の吸水部15と、吸水部15の内周側に固着された環状の高剛性部40とにより、モータ25から駆動力を受ける可動体42が構成されている。そして、吸水部15は高剛性部40を介して絞り部材19に押し付けられる。高剛性部40は、例えば吸水部15を構成する吸水材よりも硬度の高い材質、あるいは密度の高い材質からなる。この変形態様では、吸水部15が絞り部材19によって磨耗するのを防止することができる。
【0050】
(3)図4に示すように、吸水部15の外周面に高剛性部40が設けられる構成としてもよい。この変形態様では、環状の吸水部15と、吸水部15の外周側に固着された環状の高剛性部40とにより、モータ25から駆動力を受ける可動体42が構成されている。この変形態様では、駆動ローラ27と吸水部15とが直接接していないので、吸水部15の磨耗を防止することができ、この結果、吸水材からなる吸水部15の寿命を延長することができる。また、図5に示すように、吸水部15の外周面及び内周面の双方に高剛性部40が設けられている構成としてもよい。
【0051】
(4)図6に示すように、高剛性部40は円板状に構成されていてもよい。この高剛性部40は、その中心にモータ25の駆動軸25aが結合されており、駆動軸25aと一体的に回転する。そして、高剛性部40の外周部に円環状の吸水部15が設けられている。この変形態様では、吸水部15の安定した駆動を得ることができる。
【0052】
(5)図7に示すように、吸水部15の外周部に凹凸が形成され、吸水部15が歯車状に形成される構成であってもよい。この場合、駆動ローラ27は外歯歯車状に形成され、吸水部15の凹凸と駆動ローラ27とが噛み合うことでモータ25の駆動力が吸水部15に伝えられる。言い換えると、駆動手段17には、吸水部15の凹凸に係合する駆動側係合部が設けられている。この変形態様では、駆動手段17の駆動力によって吸水部15を確実に駆動することができる。
【0053】
(6)図8に示すように、吸水部15の振れ止め44が設けられていてもよい。この振れ止め44はローラからなり、例えば、フレーム29に固定された軸部材31に回動可能に支持されている。振れ止め44は、例えば駆動ローラ27とともに吸水部15の外周面を押圧し、駆動ローラ27と振れ止め44との間の外周面に対向する内周面を絞り部材19が押圧している。このように駆動ローラ27、振れ止め44及び絞り部材19の3つの部材によって吸水部15が支持されることにより、吸水部15が揺動しないようになっている。この態様では、吸水部15が駆動されるのに伴って吸水部15が揺れるのを防止することができる。なお、振れ止め44は、吸水部15の内周面を押圧するように配設されていてもよく、また回動可能に構成されていなくてもよい。
【0054】
(7)図9に示すように、吸水部15の下端部にローラ46が設けられる構成であってもよい。この下側ローラ46は、吸水部15の下端部における内周面に接触している。下側ローラ46は吸水部15の振れ止め44としても機能する。下側ローラ46と絞り部材19とにより、吸水部15は上下に引き伸ばされた状態に維持されていてもよい。この場合には、水平方向の投影面積が大きくならないようにしつつ、垂直方向の長さ(高さ)を大きくすることができる。したがって、吸水部15の横方向の大きさが大きくならないようにしつつ、排水部材21の勾配及び図外の管部材の勾配をきつくすることが可能となる。
【0055】
(8)図10に示すように、絞り部材19を付勢する付勢手段としてのバネ部材48が設けられていてもよい。このバネ部材48は、ケーシング内に配設されている図略のフレームと絞り部材19との間に介装され、吸水部15を押圧する方向に絞り部材19を付勢している。絞り部材19は、前記実施形態で示したローラからなる絞り部材19と異なり、回転しないように構成されたガイドとして形成されている。この態様では、吸水部15の磨耗等によって吸水部15の厚み等が変化した場合に、絞り部材19がそれに追随するため、駆動手段17から吸水部15への駆動力の付与を確実に行うことができる。
【0056】
(9)図11に示すように、絞り部材19と排水部材21が1つの中空状部材50を形成する構成であってもよい。具体的に、絞り部材19は吸水部15の内周面に接触するように配設されるとともに開口部52が形成されている。排水部材21は、全体として筒状に形成されるが、一端部において上面が開放されている。そして、この開放された部位が絞り部材19によって塞がれ、両部材によって中空状部材50に形成されている。この態様では、吸水部15から絞り出された水が開口部52を通して中空状部材50内に滴下する。したがって、排水部材21への水の衝突音が外に漏れ難くなり、異音の音漏れを抑制することができる。
【0057】
(10)前記実施形態では、モータ25が一定速度で駆動する構成としたが、これに代え、モータ25は速度可変に構成されていてもよい。この態様では、排水量を調整することが可能となり、例えばドレンパン12の貯水量等に基づく排水量制御等が可能となる。
【0058】
(11)前記実施形態では、モータ25が排水位置Bの近くに配置されている構成としたが、これに代え、モータ25は、排水位置Bよりも吸水位置Aの近く配置されていてもよい。この変形態様では、吸水位置A近くに配置される電装品箱の近くにモータ25を配設することができるので、配線を短くできるとともに配線作業を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態にかかる空気調和装置に設けられたドレン排出装置を概略的に示す図である。
【図2】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図3】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図4】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図5】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図6】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図7】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図8】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図9】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図10】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【図11】その他の実施形態にかかるドレン排出装置を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0060】
12 ドレンパン
15 吸水部
17 駆動手段
19 絞り部材
21 排水部材
25 モータ
27 駆動ローラ
35 吸音部材(吸音手段の一例)
40 高剛性部
44 振れ止め
46 下側ローラ
48 バネ部材(付勢手段の一例)
50 中空状部材
52 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンパンに溜まった水を排出させるためのドレン排出装置であって、
吸水材からなる吸水部と、
前記吸水部が、ドレンパンに溜まった水に浸かる吸水位置と、ドレンパンよりも上方の排水位置との少なくとも二位置を取り得るように、当該吸水部を駆動する駆動手段と、
前記排水位置にある前記吸水部から水を絞り出すための絞り部材と、
前記絞り部材によって前記吸水部から絞り出された水を外部へ導くための排水部材と、を備えているドレン排出装置。
【請求項2】
前記吸水部は環状に構成されている請求項1に記載のドレン排出装置。
【請求項3】
前記吸水部は、当該吸水部よりも硬度又は密度の高い材質の高剛性部に固定されている請求項1又は2に記載のドレン排出装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記高剛性部を介して前記吸水部に駆動力を伝える請求項3に記載のドレン排出装置。
【請求項5】
前記高剛性部は、円板状に構成され、
前記吸水部は、前記高剛性部の周囲に円環状に形成されている請求項4に記載のドレン排出装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記吸水部に直接駆動力を伝える請求項1から3の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項7】
前記吸水部は、歯車状に凹凸が形成され、
前記駆動手段は、前記吸水部の凹凸に係合する駆動側係合部を有する請求項6に記載のドレン排出装置。
【請求項8】
前記吸水部は、抗菌剤を含有している請求項1から7の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項9】
前記駆動手段は、モータと、このモータに設けられた駆動ローラとを有し、
前記絞り部材は、前記駆動ローラとの間に前記吸水部を挟み込むように配置されたローラ又はガイドによって構成されている請求項1から8の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項10】
前記吸水部の振れ止めが設けられている請求項9に記載のドレン排出装置。
【請求項11】
前記モータは、一定速度で前記吸水部を駆動する請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項12】
前記モータは、速度可変に構成されている請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項13】
前記モータは、前記吸水位置よりも前記排水位置の近くに配置されている請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項14】
前記モータは、前記排水位置よりも前記吸水位置の近くに配置されている請求項9又は10に記載のドレン排出装置。
【請求項15】
前記吸水部を押圧する方向に前記絞り部材を付勢する付勢手段が設けられている請求項1から14の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項16】
前記排水部材には、前記吸水部から滴下した水の衝突音の発生を抑制する吸音手段が設けられている請求項1から15の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項17】
前記絞り部材に開口部が形成されるとともに、前記排水部材と前記絞り部材とが1つの中空状部材を形成しており、
前記排水位置にある前記吸水部から絞り出された水が前記開口部を通して前記中空状部材内に滴下するように構成されている請求項1から16の何れか1項に記載のドレン排出装置。
【請求項18】
熱交換器と、
前記熱交換器で生じたドレンを受けるドレンパンと、
前記ドレンパンに溜まった水を排出可能に設けられた請求項1から17の何れか1項に記載のドレン排出装置と、を備えている空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−240618(P2008−240618A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81517(P2007−81517)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】