説明

ドーム型カメラ

【課題】チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することのできるドーム型カメラを提供する。
【解決手段】ドーム型カメラ1は、チルト方向に回動可能なカメラレンズ4と、カメラレンズ4を覆うドームカバー3を備える。カメラレンズ4のチルト回動軸P2は、ドームカバー3の中心P1より天頂方向に位置しており、カメラレンズ4のチルト角が所定のしきい角度より大きくなるのに応じて、カメラレンズ4の光軸上に偏光フィルタ6または部分遮光フィルタを挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズを覆うドームカバーを備えたドーム型カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドーム型カメラは、監視カメラなどに利用されている。監視カメラでは、カメラレンズがドームカバーで覆われて、ドームカバーによりカメラレンズが保護されている。また、一般的な監視カメラは、パンチルト機能(カメラレンズをパン方向およびチルト方向に回動する機能)やズーム機能を備えている。
【0003】
従来のドーム型カメラは、半球状のドームカバーを備えており、カメラレンズの回動中心が光軸上にあり、かつドームカバーの中心と一致するように配置されている。このような配置により、良好が画像が得られることが知られていた。
【0004】
ところが、上記のようなカメラレンズの配置では、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合に、ケラレが生じてしまい、良好な画像を得られない。そこで、従来、カメラレンズを、ドームカバーの中心から天頂方向へオフセットする技術が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
カメラレンズをドームカバーの天頂方向へオフセットすることにより、ケラレを生じることなく、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−300659号公報
【特許文献2】特開2005−221637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のドーム型カメラにおいては、カメラレンズをドームカバーの中心からオフセットするので、ドームカバーのレンズ効果に起因する収差が生じ、この収差により画質が劣化してしまうという問題があった。つまり、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合に、広い視野の確保と画質劣化の低減はトレードオフの関係にあり、この二つを両立することは極めて困難であった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することのできるドーム型カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のドーム型カメラは、チルト方向に回動可能なカメラレンズと、前記カメラレンズを覆うドームカバーと、前記カメラレンズのチルト回動軸が前記ドームカバーの中心位置より天頂方向に位置しており、前記カメラレンズのチルト角が所定のしきい角度より大きくなるのに応じて、前記カメラレンズの光軸上に偏光フィルタまたは部分遮光フィルタを挿入するフィルタ挿入手段と、を備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、カメラレンズのチルト角が大きくなると、カメラレンズの光軸上に偏光フィルタまたは部分遮光フィルタ(入射光の一部分が遮光される遮光フィルタ)が挿入される。この偏光フィルタや部分遮光フィルタにより、カメラレンズのオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。これにより、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することが可能になる。
【0011】
また、本発明のドーム型カメラでは、前記部分遮光フィルタは、前記カメラレンズの視野の半分を遮光する遮光エリアを有し、前記遮光エリアは、前記ドームカバーの天頂方向と反対側の半分の範囲に設定された構成を有している。
【0012】
この構成により、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合に、部分遮光フィルタの遮光エリアによって、ドームカバーの天頂方向と反対側(チルト角が大きい側、水平方向に近い側)の半分の範囲が遮光される。この遮光される範囲は、ドームカバーの成形精度がそれほど高くなく、画質劣化の原因になる部分に相当すると考えられる。この部分を遮光することにより、画質劣化を抑えることができる。
【0013】
また、本発明のドーム型カメラでは、前記カメラレンズは、ズーム機能を備えており、前記フィルタ挿入手段は、前記カメラレンズのズーム倍率が所定のしきい倍率より大きいTELE端側の倍率範囲内となるときに、前記カメラレンズの光軸上に前記偏光フィルタまたは前記部分遮光フィルタを挿入する構成を有している。
【0014】
この構成により、カメラレンズのズーム倍率がTELE端側に設定されたときに、カメラレンズの光軸上に偏光フィルタや部分遮光フィルタが挿入され、この偏光フィルタや部分遮光フィルタにより、カメラレンズのオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。なお、カメラレンズのズーム倍率がWIDE端側に設定されたときには、画質の劣化が少ないので、その場合には、カメラレンズのチルト角にかかわらず、偏光フィルタや部分遮光フィルタを挿入しなくてもよい。
【0015】
また、本発明のドーム型カメラでは、前記偏光フィルタまたは前記部分遮光フィルタは、前記カメラレンズの前側に挿入される構成を有している。
【0016】
この構成により、偏光フィルタや部分遮光フィルタが、カメラレンズの前側に挿入され、カメラレンズに入射する前の光が、偏光レンズにより偏光または部分遮光フィルタにより部分的に遮光される。つまり、偏光レンズにより偏光された光または部分遮光フィルタにより部分的に遮光された光が、カメラレンズに入射することになる。これにより、カメラレンズのオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。
【0017】
また、本発明のドーム型カメラでは、前記偏光フィルタは、赤外線カットフィルタと光学ガラスの切替え手段を用いて、撮像素子の前側に挿入される構成を有している。
【0018】
この構成により、赤外線カットフィルタと光学ガラスの切替え手段を利用して、偏光フィルタを挿入することができる。既設の機構(赤外線カットフィルタと光学ガラスの切替え手段)を利用することにより、専用の機構を別途設ける場合に比べて、部品点数を減らすことができ、製造コストを下げることができるとともに、小型化が可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することができるという効果を有するドーム型カメラを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態におけるドーム型カメラ(チルト角:大)の説明図
【図2】第1の実施の形態におけるドーム型カメラ(チルト角:小)の説明図
【図3】第1の実施の形態におけるレンズユニット(偏光フィルタ:挿入位置)の斜視図
【図4】第1の実施の形態におけるレンズユニット(偏光フィルタ:退避位置)の斜視図
【図5】第1の実施の形態の変形例におけるレンズユニット(遮光フィルタ:挿入位置)の斜視図
【図6】第1の実施の形態におけるチルト角とオフセット量およびフィルタ挿入の有無の関係図
【図7】第1の実施の形態におけるズーム倍率とフィルタ挿入の有無の関係図
【図8】第1の実施の形態の変形例におけるズーム倍率とフィルタ挿入の有無の関係図
【図9】第1の実施の形態におけるフィルタ挿入領域の説明図
【図10】第2の実施の形態におけるカメラユニットの斜視図
【図11】第2の実施の形態におけるカメラユニット(偏光フィルタ挿入位置)の正面図
【図12】第2の実施の形態におけるカメラユニット(赤外線カットフィルタ挿入位置)の正面図
【図13】第2の実施の形態におけるカメラユニット(光学ガラス挿入位置)の正面図
【図14】第2の実施の形態の変形例におけるフィルタ切替え機構の斜視図
【図15】第2の実施の形態の変形例におけるフィルタ切替え機構(偏光フィルタ挿入時)の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のドーム型カメラについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視カメラ等に用いられるドーム型カメラの場合を例示する。
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態のドーム型カメラの構成を、図面を参照して説明する。図1および図2は、本実施の形態のドーム型カメラの説明図である。図3および図4は、本実施の形態のドーム型カメラのレンズユニットの斜視図である。
【0023】
図1および図2に示すように、ドーム型カメラ1は、天井や壁などに取り付けられるベース2と、ベース2に取り付けられるドームカバー3を備えている。ドームカバー3の内側には、カメラレンズ4を有するレンズユニット5が備えられている。レンズユニット5は、ベース2とドームカバー3で構成される筐体の内部に収納されており、カメラレンズ4は、ドームカバー3により覆われている。このカメラレンズ4は、ズーム機能を備えている。
【0024】
ドーム型カメラ1には、パンモータとチルトモータが備えられており、レンズユニット5(カメラレンズ4)は、パンモータとチルトモータの駆動力により、パン方向とチルト方向に回動可能である。これらのモータ(パンモータ、チルトモータ)は、マイコンなどの制御部によって動作が制御されている。
【0025】
図3および図4に示すように、レンズユニット5には、偏光フィルタ6が備えられている。偏光フィルタ6の偏光方向は、垂直方向(縦方向)または水平方向(横方向)である。偏光フィルタ6の上部からは、円弧状のガイド部7を有する支持片8が延びている。円弧状のガイド部7の左右の側面には、それぞれ2つのガイドピン9が突設されている。レンズユニット5の上部には、左右一対のガイド板10が設けられる。支持片8のガイド部7は、左右一対のガイド板10に挟まれており、ガイドピン9は、ガイド板10に設けられた円弧状の長穴11にスライド可能に挿入されている。
【0026】
そして、ガイドピン9がガイド板10の長穴11の中でスライドすることにより、偏光フィルタ6が、挿入位置(図3に示すように、カメラレンズ4の前側に偏光フィルタ6が挿入された位置)と退避位置(図4に示すように、カメラレンズ4の前側から偏光フィルタ6が退避した位置)との間で往復移動する。ドーム型カメラ1には、フィルタ用モータが設けられており、偏光フィルタ6は、フィルタ用モータの駆動力により、挿入位置と退避位置との間で移動可能である。このフィルタ用モータも、マイコンなどの制御部によって動作が制御されている。
【0027】
図5には、本実施の形態のレンズユニット5の変形例が示される。この変形例では、偏光フィルタ6の代わりに、部分遮光フィルタ12が用いられる。部分遮光フィルタ12は、入射光の一部分が遮光される遮光フィルタである。この場合、図5に示すように、部分遮光フィルタ12は、カメラレンズ4の視野の半分を遮光する遮光エリア13を有している。この遮光エリア13は、ドームカバー3の天頂方向と反対側(図5における下側)の半分の範囲に設定されている。
【0028】
つぎに、以上のように構成された第1の実施のドーム型カメラ1について、図面を参照してその動作を説明する。
【0029】
図6は、本実施の形態のドーム型カメラ1におけるチルト角とオフセット量の関係、および、チルト角とフィルタ挿入の有無の関係を示す図である。
【0030】
ここで、カメラレンズ4のチルト角は、ドームカバー3の天頂方向を基準とする。つまり、チルト角は、カメラレンズ4がドームカバー3の天頂方向を向いたときに0度となり、カメラレンズ4が水平方向を向いたときに90度となる。したがって、カメラレンズ4がドームカバー3の天頂方向へ向けられるほど、チルト角は小さくなり、カメラレンズ4が天頂方向から水平方向へ向けられるほど、チルト角は大きくなる。
【0031】
この場合、オフセット量xは、チルト角θに依存する。ドームカバー3の中心P1とチルト回動軸P2とのずれ量をxとすると、オフセット量xは、下記の式で与えられる(図2および図6参照)。
x=x × sinθ
【0032】
なお、ここでは、オフセット量xが、図6のようにチルト角θに依存する場合について例示したが、本発明の範囲はこれに限定されず、例えば、オフセット量は、チルト角が75度を超えたら、チルト回動軸P2を天頂方向に移動させることにより変化するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、カメラレンズ4のチルト角が、0°〜θsの範囲にあるときには、偏光フィルタ6が挿入されない(偏光フィルタ6が退避位置のままである)。カメラレンズ4のチルト角がθsを超えると、偏光フィルタ6が挿入される(偏光フィルタ6が挿入位置に移動する)。ここでは、チルト角θsが、本発明のしきい角度に相当する。なお、このしきい角θsは、ドーム型カメラの用途や設置環境などに応じて任意の値に設定することができる。
【0034】
図7は、本実施の形態のドーム型カメラ1におけるズーム倍率とフィルタ挿入の有無の関係を示す図である。図7に示すように、ズーム倍率が、1倍〜10倍の範囲(WIDE端側の範囲)にあるときには、偏光フィルタ6が挿入されない(偏光フィルタ6が退避位置のままである)。ズーム倍率が、10倍を超えた範囲(TELE端側の範囲)に入ると、偏光フィルタ6が挿入される(偏光フィルタ6が挿入位置に移動する)。ここでは、ズーム倍率10倍が、本発明のしきい倍率に相当する。
【0035】
なお、偏光フィルタ6の挿入は、チルト角が大チルト角範囲(75度を超えた範囲)であり、かつ、ズーム倍率がTELE端側の範囲(10倍を超えた範囲)であるときに行われる。すなわち、チルト角が大チルト角範囲(例えば、チルト角が90度)である場合でも、ズーム倍率がWIDE端側の範囲であれば、偏光フィルタ6の挿入は行われない。
【0036】
図8には、ズーム倍率に対するフィルタ挿入の制御の変形例が示される。図8に示すように、フィルタ挿入の制御は、所定のヒステリシス幅をもって行われてもよい。例えば、ズーム倍率が小さな値(WIDE端に近い値)から大きな値(TELE端に近い値)へ変化するときには、第1のしきい倍率z1で偏光フィルタ6が挿入され、ズーム倍率が大きな値(TELE端に近い値)から小さな値(TELE端に近い値)へ変化するときには、第2のしきい倍率z2(z1<z2)で偏光フィルタ6が退避されてもよい。
【0037】
本実施の形態では、フィルタ挿入の有無が、チルト角とズーム倍率とに依存する。図9は、偏光フィルタ6が挿入される領域(フィルタ挿入領域)を模式的に示した図である。図9に示すように、本実施の形態において、フィルタ挿入領域は、ズーム倍率とチルト角により決定されている。
【0038】
このような本発明の第1の実施の形態のドーム型カメラ1によれば、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することができる。
【0039】
すなわち、本実施の形態では、カメラレンズ4のチルト回動軸P2がドームカバー3の中心P1よりも天頂方向にあるので、カメラレンズ4のチルト角が大きくなっても、水平方向の視野を広く確保することができる。そして、この場合、カメラレンズ4のチルト角が大きくなると、カメラレンズ4の光軸上に偏光フィルタ6が挿入される。この偏光フィルタ6により、カメラレンズ4のオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。これにより、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することが可能になる。
【0040】
また、本実施の形態では、カメラレンズ4のズーム倍率がTELE端側に設定されたときに、カメラレンズ4の光軸上に偏光フィルタ6が挿入され、この偏光フィルタ6により、カメラレンズ4のオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。なお、カメラレンズ4のズーム倍率がWIDE端側に設定されたときには、画質の劣化が少ないので、その場合には、カメラレンズ4のチルト角にかかわらず、偏光フィルタ6や部分遮光フィルタ12を挿入しなくてもよい。なお、倍率が高い望遠レンズを装着している場合には、WIDE端側でも、偏光フィルタ6や部分遮光フィルタ12を挿入することで、画質劣化を抑えることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、偏光フィルタ6が、カメラレンズ4の前側に挿入され、カメラレンズ4に入射する前の光が、偏光レンズにより偏光される。つまり、偏光レンズにより偏光された光が、カメラレンズ4に入射することになる。これにより、カメラレンズ4のオフセットによって画質が劣化するのを抑えることができる。
【0042】
本実施の形態の変形例(図5の変形例)では、偏光フィルタ6の代わりに部分遮光フィルタ12が利用されるが、この変形例によっても、本実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0043】
また、この変形例では、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合に、部分遮光フィルタ12の遮光エリア13によって、ドームカバー3の天頂方向と反対側(チルト角が大きい側、水平方向に近い側)の半分の範囲が遮光される。この遮光される範囲は、ドームカバー3の成形精度がそれほど高くなく、画質劣化の原因になる部分に相当すると考えられる。この部分を遮光することにより、画質劣化を抑えることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態のドーム型カメラについて説明する。ここでは、第2の実施の形態のドーム型カメラが、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0045】
図10は、本実施の形態のドーム型カメラのカメラユニットの斜視図であり、図11〜図13は、カメラユニットの正面図である。カメラユニットは、レンズユニットの内部に備えられるユニットであり、赤外線カットフィルタと光学ガラスの切替え機構を備えている。赤外線カットフィルタは、昼間の撮影時に用いられ、光学ガラスは、夜間の撮影時に用いられる。
【0046】
図10〜図13に示すように、カメラユニット20には、赤外線カットフィルタ21と光学ガラス22と偏光フィルタ6が取り付けられるフィルタフレーム23が備えられている。このフィルタフレーム23は、モータの駆動力により回動可能である。このフィルタフレーム23には、3つの回動位置(偏光フィルタ挿入位置、赤外線カットフィルタ挿入位置、光学ガラス挿入位置)が設定されている。
【0047】
フィルタフレーム23の回動位置が偏光フィルタ挿入位置のときには、偏光フィルタ6が撮像素子の前側に挿入される(図11参照)。また、フィルタフレーム23の回動位置が赤外線カットフィルタ挿入位置のときには、赤外線カットフィルタ21が撮像素子の前側に挿入される(図12参照)。また、フィルタフレーム23の回動位置が光学ガラス挿入位置のときには、光学ガラス22が撮像素子の前側に挿入される(図13参照)。
【0048】
図14および図15には、第2の実施の形態のカメラユニット20の変形例が示される。この変形例では、偏光フィルタ6と、赤外線カットフィルタ21および光学ガラス22とが、それぞれ別々のフィルタフレーム23に取り付けられており、それぞれが独立に回動可能である。この場合、図14に示すように赤外線カットフィルタ21のみ(または、光学ガラス22のみ)を挿入することができるとともに、図15に示すように赤外線カットフィルタ21(または、光学ガラス22)と偏光フィルタ6を両方とも挿入することができる。
【0049】
このような本発明の第2の実施の形態のドーム型カメラ1によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0050】
その上、本実施の形態では、赤外線カットフィルタ21と光学ガラス22の切替え機構を利用して、偏光フィルタ6を挿入することができる。既設の機構(赤外線カットフィルタ21と光学ガラス22の切替え機構)を利用することにより、専用の機構を別途設ける場合に比べて、部品点数を減らすことができ、製造コストを下げることができるとともに、小型化が可能になる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかるドーム型カメラは、チルト角が大きい方向(水平方向に近い方向)を撮影する場合において、広い視野の確保と画質劣化の低減とを両立することができるという効果を有し、監視カメラ等として有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 ドーム型カメラ
2 ベース
3 ドームカバー
4 カメラレンズ
5 レンズユニット
6 偏光フィルタ
7 ガイド部
8 支持片
9 ガイドピン
10 ガイド板
11 長穴
12 部分遮光フィルタ
13 遮光エリア
20 カメラユニット
21 赤外線カットフィルタ
22 光学ガラス
23 フィルタフレーム
P1 ドームカバーの中心
P2 チルト回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チルト方向に回動可能なカメラレンズと、
前記カメラレンズを覆うドームカバーと、
前記カメラレンズのチルト回動軸が前記ドームカバーの中心位置より天頂方向に位置しており、前記カメラレンズのチルト角が所定のしきい角度より大きくなるのに応じて、前記カメラレンズの光軸上に偏光フィルタまたは部分遮光フィルタを挿入するフィルタ挿入手段と、
を備えたことを特徴とするドーム型カメラ。
【請求項2】
前記部分遮光フィルタは、前記カメラレンズの視野の半分を遮光する遮光エリアを有し、前記遮光エリアは、前記ドームカバーの天頂方向と反対側の半分の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のドーム型カメラ。
【請求項3】
前記カメラレンズは、ズーム機能を備えており、
前記フィルタ挿入手段は、
前記カメラレンズのズーム倍率が所定のしきい倍率より大きいTELE端側の倍率範囲内となるときに、前記カメラレンズの光軸上に前記偏光フィルタまたは前記部分遮光フィルタを挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドーム型カメラ。
【請求項4】
前記偏光フィルタまたは前記部分遮光フィルタは、前記カメラレンズの前側に挿入されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のドーム型カメラ。
【請求項5】
前記偏光フィルタは、赤外線カットフィルタと光学ガラスの切替え手段を用いて、撮像素子の前側に挿入されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のドーム型カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−103452(P2012−103452A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251437(P2010−251437)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】