説明

ナイセリアタンパク質のハイブリッドおよびタンデム発現

【課題】 ナイセリアタンパク質の発現のための代替アプローチおよび改良されたアプローチをさらに提供すること。
【解決手段】 ハイブリッドタンパク質であって、以下の化学式:
NH−A−[−X−L−]−B−COOH
を有し、ここで、Lは任意のリンカーアミノ酸配列、Aは任意のN末端アミノ酸配列、Bは任意のC末端アミノ酸配列、およびnは1よりも大きな整数であり、ならびにXは:
(a)本明細書中に記載されるorfアミノ酸配列;
(b)(a)由来のアミノ酸配列と配列同一性を有するアミノ酸配列;または、
(c)(a)由来のアミノ酸配列のフラグメントを含むアミノ酸配列、
のいずれかである、ハイブリッドタンパク質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用される全ての文献は、その全体が参考として援用される。
【0002】
本発明は、タンパク質発現の分野における発明である。特に、ナイセリア属(例えば、N.gonorrhoeaeまたは好ましくは、N.meningitidis)由来のタンパク質の発現に関連する。
【背景技術】
【0003】
参考文献1および2は、参考文献3〜6に開示されたナイセリアタンパク質の発現のための代替アプローチおよび改良されたアプローチを開示している。そのような方法の一つは、2以上のナイセリアタンパク質が単一のポリペプチド鎖として発現される「ハイブリッド」タンパク質の産生である。このアプローチは、2つの利点を提供する。第1に、単独では不安定であり得るか、またはほとんど発現されないかもしれないタンパク質は、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーの付加によって補助され得る。第2に、商業製造は、別個に有用な2種のタンパク質を産生するために、1つの発現および精製のみを用いることを必要とするので、単純化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ナイセリアタンパク質の発現のための代替アプローチおよび改良されたアプローチをさらに提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
本発明により、以下が提供される:
(項目1)
ハイブリッドタンパク質であって、該ハイブリッドタンパク質は、以下の化学式:
NH−A−[−X−L−]−B−COOH
を有し、ここで、Lは任意のリンカーアミノ酸配列、Aは任意のN末端アミノ酸配列、Bは任意のC末端アミノ酸配列、およびnは1よりも大きな整数であり、ならびにXは以下:
(a)orf1アミノ酸配列、orf4アミノ酸配列、orf25アミノ酸配列、orf40アミノ酸配列、orf46.1アミノ酸配列、orf83アミノ酸配列、NMB1343アミノ酸配列、230アミノ酸配列、233アミノ酸配列、287アミノ酸配列、292アミノ酸配列、594アミノ酸配列、687アミノ酸配列、736アミノ酸配列、741アミノ酸配列、907アミノ酸配列、919アミノ酸配列、936アミノ酸配列、953アミノ酸配列、961アミノ酸配列または983アミノ酸配列;
(b)(a)由来のアミノ酸配列と配列同一性を有するアミノ酸配列;または、
(c)(a)由来のアミノ酸配列のフラグメントを含むアミノ酸配列、
のいずれかである、ハイブリッドタンパク質。
(項目2)
ハイブリッドタンパク質であって、該ハイブリッドタンパク質は、以下の化学式:
NH−A−[−X−L−]−B−COOH
を有し、ここで、Xはアミノ酸配列、Lは任意のリンカーアミノ酸配列、Aは任意のN末端アミノ酸配列、Bは任意のC末端アミノ酸配列、およびnは1よりも大きな整数であり、ここで、第1のX部分(−X−)は以下のアミノ酸配列:
(d)参考文献3に開示される446個の配列番号の偶数のもの(すなわち、2、4、6、...、890、892);
(e)参考文献4に開示される45個の配列番号の偶数のもの(すなわち、2、4、6、...、88、90);
(f)参考文献5に開示される1674個の配列番号2〜3020の偶数のもの、配列番号3040〜3114の偶数のもの、および配列番号3115〜3241のすべて;
(g)参考文献7からの2160アミノ酸配列NMB0001〜NMB2160;もしくは、
(h)参考文献1または参考文献2に開示されるアミノ酸配列
のいずれかならびに第2のX部分(−X−)を有し、ここで、−X−は−X−と配列同一性を有するおよび/または−X−は−X−のフラグメントを含む、ハイブリッドタンパク質。
(項目3)
項目1または項目2に記載のハイブリッドタンパク質であって、ここでn=2である、ハイブリッドタンパク質。
(項目4)
項目2に記載のハイブリッドタンパク質であって、−X−はorf46.1アミノ酸配列、230アミノ酸配列、287アミノ酸配列、741アミノ酸配列、919アミノ酸配列、936アミノ酸配列、953アミノ酸配列、961アミノ酸配列または983アミノ酸配列である、ハイブリッドタンパク質。
(項目5)
項目2に記載のハイブリッドタンパク質であって、X、...、Xは全て互いと配列同一性を有する、ハイブリッドタンパク質。
(項目6)
項目1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、ここでn=2であり、かつ前記X部分は以下:
ΔG287および230;ΔG287および936;ΔG287および741;961cおよび287;961cおよび230;961cおよび936;961cLおよび287;961cLおよび230;961cLおよび936;ORF46.1および936;ORF46.1および230;230および961;230および741;936および961;936および741;ΔG741および741;またはΔG287および287
である、ハイブリッドタンパク質。
(項目7)
項目1〜6のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、Lは、20以下のアミノ酸を有する、ハイブリッドタンパク質。
(項目8)
項目1〜7のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、Lは、ポリグリシンリンカーである、ハイブリッドタンパク質。
(項目9)
項目1〜8のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、Aは、40以下のアミノ酸を有する、ハイブリッドタンパク質。
(項目10)
項目1〜9のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、Bは、40以下のアミノ酸を有する、ハイブリッドタンパク質。
(項目11)
項目1〜10のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、−X−部分は、N.meningitidis血清群Bにおいて見出されたアミノ酸配列を有する、ハイブリッドタンパク質。
(項目12)
項目1〜11のいずれか1項に記載のハイブリッドタンパク質であって、少なくとも1つの−X−部分は、1以上のドメインが欠失した961アミノ酸配列である、ハイブリッドタンパク質。
(項目13)
配列番号1番〜38番からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
(項目14)
項目1〜13のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする、核酸。
(項目15)
項目1〜14のいずれか1項に記載のタンパク質または核酸を含む、組成物。
(項目16)
組成物であって、2以上の以下のタンパク質:
(1)287
(2)741
(3)ORF46.1
(4)961
(5)NH−A−[−X−L−]−B−COOHであり、ここでn=2、X=287、X=953である
(6)NH−A−[−X−L−]−B−COOHであり、ここでn=2、X=287、X=919である
(7)NH−A−[−X−L−]−B−COOHであり、ここでn=2、X=287、X=961である
(8)NH−A−[−X−L−]−B−COOHであり、ここでn=2、X=287、X=741である
(9)NH−A−[−X−L−]−B−COOHであり、ここでn=2、X=936、X=741である
を含む、組成物。
(項目17)
項目16に記載の組成物であって、タンパク質(4)(5)および(9)を含む、組成物。
(項目18)
項目17に記載の組成物であって、ここで、タンパク質(4)は配列番号31を含み、タンパク質(5)は配列番号28または配列番号29を含み、タンパク質(9)は配列番号30を含む、組成物。
(項目19)
項目15〜18のいずれか1項に記載の組成物であって、さらに、以下:
−N.meningitidis由来のタンパク質抗原;
−N.meningitidis由来の外膜小胞(OMV)調製物;
−N.meningitidis由来の糖類抗原;
−Streptococcus pneumoniae由来の糖類抗原;
−A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、および/もしくはC型肝炎ウイルス由来の抗原;
−Bordetella pertussis由来の抗原;
−ジフテリア抗原;
−破傷風抗原;
−Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原;
−Haemophilus influenzae由来の糖類抗原;
−N.gonorrhoeae由来の抗原;
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原;
−Chlamydia trachomatis由来の抗原;
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原;
−ポリオ抗原;
−狂犬病抗原;
−はしか抗原、耳下腺炎抗原、および/もしくは風疹抗原;
−インフルエンザ抗原;
−Moraxella catarrhalis由来の抗原;
−Streptococcus agalactiae由来の抗原;
−Streptococcus pyogenes由来の抗原;ならびに/または、
−Staphylococcus aureus由来の抗原、
を含む、組成物。
(項目20)
項目15〜19のいずれか1項に記載の組成物であって、さらに、薬学的に受容可能なキャリアを含む、組成物。
(項目21)
項目20に記載の組成物であって、医薬として使用するための、組成物。
(項目22)
患者を処置する方法であって、治療的有効量の項目20に記載の組成物を患者に投与する工程を包含する、方法。
【0006】
(ハイブリッドタンパク質)
本発明は、2以上(例えば、3、4、5、6またはそれより多く)のナイセリアタンパク質の同時発現のための方法を提供し、この方法では、前記の2以上のタンパク質が単一のポリペプチド鎖として翻訳されたように結合している。一般に、本発明のハイブリッドタンパク質は、以下の式:NH−A−[−X−L−]−B−COOH
によって表され得、ここで、Xはアミノ酸配列であり、Lは任意のリンカーアミノ酸配列であり、Aは任意のN末端アミノ酸配列であり、Bは任意のC末端アミノ酸配列であり、そしてnは1よりも大きな整数である。
【0007】
nの値は、2とxとの間であり、このxの値は、典型的には、3、4、5、6、7、8、9または10である。好ましくは、nは2、3または4である;さらに好ましくは、2または3である;最も好ましくは、n=2である。
【0008】
(−X−部分)
本発明によるハイブリッドタンパク質には、主要な2群がある。これらの2群は相互に排他的ではない。
【0009】
第1の群において、各−X−部分は、
(a)orf1アミノ酸配列、orf4アミノ酸配列、orf25アミノ酸配列、orf40アミノ酸配列、orf46.1アミノ酸配列、orf83アミノ酸配列、NMB1343アミノ酸配列、230アミノ酸配列、233アミノ酸配列、287アミノ酸配列、292アミノ酸配列、594アミノ酸配列、687アミノ酸配列、736アミノ酸配列、741アミノ酸配列、907アミノ酸配列、919アミノ酸配列、936アミノ酸配列、953アミノ酸配列、961アミノ酸配列または983アミノ酸配列;
(b)(a)由来のアミノ酸配列に対する配列同一性を有するアミノ酸配列;または、
(c)(a)由来のアミノ酸配列のフラグメントを含有するアミノ酸配列、
である。
【0010】
(a)の好ましいサブセットは:orf46.1、230、287、741、919、936、953、961および983である。(a)のさらに好ましいサブセットは:orf46.1、287、741および961である。図3は、好ましいハイブリッドタンパク質を示す。
【0011】
第2の群において、ハイブリッドタンパク質は、第1の−X−部分(−X−)および第2の−X−部分(−X−)を含有する。この−X−部分は、以下のアミノ酸配列の1つを有する:
(d)参考文献3に開示の446の偶数配列番号(すなわち、2、4、6、...、890、892);
(e)参考文献4に開示の45の偶数配列番号(すなわち、2、4、6、...、88、90);
(f)参考文献5に開示の1674の偶数配列番号2〜3020、偶数配列番号3040〜3114、および全配列番号3115〜3241;
(g)参考文献7由来の2160のアミノ酸配列NMB0001〜NMB2160;または、
(h)参考文献1もしくは参考文献2に開示のアミノ酸配列。
【0012】
−X−部分は、以下のように−X−に関連する:(i)−X−は−X−に対する配列同一性を有し、および/または(j)−X−は−X−のフラグメントを含有する。
【0013】
この第2のタイプのハイブリッドタンパク質の例は、2種以上の−X−部分が同一であるようなタンパク質、またはこれらが同じタンパク質の改変体(例えば、同じタンパク質の2種の多型形態は、−X−X−として発現され得、そして3種の多型形態は−X−X−X−として発現され得るなど)であるようなタンパク質を含む。
【0014】
−X−および−X−部分は、N末端からC末端までのいずれかの順番で存在し得る。
【0015】
−X−部分は、好ましくは、orf1アミノ酸配列、orf4アミノ酸配列、orf25アミノ酸配列、orf40アミノ酸配列、orf46.1アミノ酸配列、orf83アミノ酸配列、NMB1343アミノ酸配列、230アミノ酸配列、233アミノ酸配列、287アミノ酸配列、292アミノ酸配列、594アミノ酸配列、687アミノ酸配列、736アミノ酸配列、741アミノ酸配列、907アミノ酸配列、919アミノ酸配列、936アミノ酸配列、953アミノ酸配列、961アミノ酸配列または983アミノ酸配列である。−X−部分は、さらに好ましくは、orf46.1アミノ酸配列、230アミノ酸配列、287アミノ酸配列、741アミノ酸配列、919アミノ酸配列、936アミノ酸配列、953アミノ酸配列、961アミノ酸配列または983アミノ酸配列である。−X−部分は、最も好ましくは、orf46.1、287アミノ酸配列、741アミノ酸配列または961アミノ酸配列である。
【0016】
n個の−X−部分の各々が、互いの−X−部分に対する配列同一性を共有するタンパク質において、そのタンパク質は「タンデムタンパク質」といわれる。n=2であるタンデムタンパク質が好ましい。
【0017】
(b)および(i)に言及された「配列同一性」の程度は、好ましくは、50%より大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%以上、100%まで)。これは、変異体、ホモログ、オルソログ(ortholog)、対立遺伝子、改変体などを含む[例えば、参考文献8を参照のこと]。同一性は、好ましくは、ギャップオープンペナルティー=12およびギャップ伸長ペナルティー=1のパラメータを用いたアフィンギャップ検索を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で履行されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。典型的には、2つのタンパク質間において、50%以上の同一性は機能的等価性の指標と見なされる。
【0018】
(c)および(j)に示された「フラグメント」は、(a)、(d)、(e)、(f)、(g)または(h)のアミノ酸配列由来の最低m個連続したアミノ酸からなるべきであり、特定の配列によって、mは7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200またはそれより多く)である。
【0019】
好ましくは、このフラグメントは、(a)、(d)、(e)、(f)、(g)または(h)のアミノ酸配列由来のエピトープを含有する。好ましいフラグメントは、参考文献9および10に開示されたフラグメントである。
【0020】
好ましい(c)および(j)のフラグメントは、C末端短縮物および/またはN末端短縮物(例えば、Δ1−287、Δ2−287など)である。
【0021】
好ましい(b)、(c)、(i)および(j)の配列は、ポリグリシン配列が削除されている。これは、発現を補助することが見出されている[参考文献2]。ポリグリシン配列は、(Gly)と表され得、ここで、g≧3(例えば、4、5、6、7、8、9またはそれより多く)である。もし−X−部分が、その野生型形態においてポリグリシン配列を含有するならば、本発明のハイブリッドタンパク質において、この配列を削除するのが好ましい。これは、(Gly)を(欠失(例えば、CGGGGS→CGGGS、CGGS、CGSまたはCS)によって、置換(例えば、CGGGGS→CGXGGS、CGXXGS、CGXGXSなど)によって、および/または挿入(例えば、CGGGGS→CGGXGGS、CGXGGGS、など)によって)破壊または除去することによって行われ得る。(Gly)の欠失が好ましく、ポリグリシン配列まで、およびこの配列を含むタンパク質N末端部分の欠失(例えば、配列番号1における残基1〜32の欠失)を、本明細書中で「ΔG」と呼ぶ。ポリグリシンの削除は、タンパク質287、タンパク質741、タンパク質983およびTbp2にとって特に有用である(ΔG287、ΔG741、ΔG983およびΔGTbp2−参考文献1および2)。
【0022】
好ましい(c)および(j)フラグメントは、完全なタンパク質ドメインが削除されている。これは、タンパク質961、タンパク質287、およびORF46にとって特に有用である。一旦タンパク質がドメインへ概念的に分割されると、(c)および(j)フラグメントは、これらのドメインの1つ以上を削除し得る(例えば、287B、287C、287BC、ORF461−433、ORF46434−608、961c−参考文献2;本明細書中の図4および図5)。
【0023】
287タンパク質は、3ドメインへ概念的に分割され、それらはA、BおよびCと呼ばれる(参考文献2の図5を参照のこと)。ドメインBはIgAプロテアーゼと整列し、ドメインCはトランスフェリン結合タンパク質と整列し、ドメインAはデータベースの配列との強い整列は見られなかった。287の多型形態の整列は、参考文献8に開示されている。
【0024】
ORF46は、2ドメインへ概念的に分割される−第1のドメイン(アミノ酸1〜433;ORF46.1)は、種間および血清群間でよく保存されており、第2のドメイン(アミノ酸434〜608)は、あまり保存されていない。第2のドメインは、好ましくはORF46.1を残して欠失される。ORF46の多型形態の整列は、参考文献8に開示されている。
【0025】
961タンパク質は、いくつかのドメインへ概念的に分割される(図4)。
【0026】
もし−X−部分が、その野生型形態においてリーダーペプチド配列を含有するならば、本発明のハイブリッドタンパク質において、この配列は包含または削除され得る。リーダーペプチドが削除される場合、これは(c)および(j)の中のアミノ酸配列の好ましい例である。1つの実施形態において、リーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端に位置する−X−部分のリーダーペプチド以外は欠失される。すなわち、Xのリーダーペプチドは保持されるが、X...Xのリーダーペプチドは削除される。これは、全てのリーダーペプチドを欠失し、Xのリーダーペプチドを部分−A−として使用することと等価である。
【0027】
n=2のとき、−X−部分の好ましいペアは:ΔG287および230;ΔG287および936;ΔG287および741;961cおよび287;961cおよび230;961cおよび936;961cLおよび287;961cLおよび230;961cLおよび936;ORF46.1および936;ORF46.1および230;230および961;230および741;936および961;936および741である。n=2のとき、タンデムタンパク質にとって好ましい−X−部分のペアは:ΔG741および741;ΔG287および287である。さらに詳細には、n=2のとき以下のXおよびXの組み合わせが好ましい:
【0028】
【数1】

【0029】
287が全長形態で用いられる場合、ハイブリッドタンパク質のC末端に位置するのが好ましい;もしN末端で用いられるべき場合、287のΔG形態を用いるのが好ましい。同様に、741が全長形態で用いられる場合、ハイブリッドタンパク質のC末端に位置するのが好ましい;もしN末端で用いられる場合、741のΔG形態を用いるのが好ましい。
【0030】
(−L−部分)
[−X−L−]の各n例について、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在してもよく、存在しなくてもよい。例えば、n=2のとき、ハイブリッドはNH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOH、などであり得る。
【0031】
リンカーアミノ酸配列−L−は、典型的に短い(例えば、20またはもっと少数のアミノ酸、すなわち19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわちGlyであって、ここでn=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多く)およびヒスチジンタグ(すなわちHisであって、ここでn=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多く)を含有する。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、GSGGGG(配列番号27)であり、Gly−SerジペプチドがBamHI制限酵素部位から形成されており、従って、クローニングおよび操作を補助しており、そして、Glyテトラペプチドは典型的なポリグリシンリンカーである。
【0032】
もし、Xn+1がΔGタンパク質であり、且つLがグリシンリンカーである場合、これは、Xn+1がΔGタンパク質ではなく、且つLが不在であることと等価であり得る。
【0033】
(−A−部分)
−A−は、任意のN末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば、40またはもっと少数のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質の輸送を導くためのリーダー配列、または、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわちHisであって、ここでn=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多く)が挙げられる。その他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。Xがそれ自体のN末端メチオニンを欠くならば、−A−はメチオニン残基であり得る。
【0034】
(−B−部分)
−B−は、任意のC末端アミノ酸配列である。これは、典型的には短い(例えば、40またはもっと少数のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)。例としては、タンパク質の輸送を導くための配列、クローニングもしくは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわちHisであって、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多くを含む)、またはタンパク質の安定性を高める配列が挙げられる。その他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。
【0035】
(タンパク質の多型形態)
本発明は、N.meningitidisの任意の株由来のアミノ酸配列を使用し得る。従って、特定のタンパク質(例えば、「287」または「ORF46.1」)に対する言及は、任意の株由来のそのタンパク質を含む。株間の配列バリエーションは、(b)、(c)、(i)および(j)に含まれる。
【0036】
N.meningitidis血清群B由来の参照配列は、以下を含む:
【0037】
【数2】

【0038】
参考文献8は、タンパク質ORF4、タンパク質ORF40、タンパク質ORF46、タンパク質225、タンパク質235、タンパク質287、タンパク質519、タンパク質726、タンパク質919およびタンパク質953の多型形態を開示している。961の多型形態は、参考文献11および12に開示されている。これらの多型形態のいずれもが、本発明に従って使用され得る。
【0039】
本明細書中の配列表は、タンパク質741の多型形態(配列番号1〜22)およびタンパク質NMB1343の多型形態(配列番号23〜24)を包含し、それらは同定されている。
【0040】
(血清群および株)
本発明の好ましいタンパク質は、N.meningitidis血清群Bにおいて見出されたアミノ酸配列を有する−X−部分を含有する。本発明の1つのタンパク質の中で、個々の−X−部分は1以上の株由来であり得る。例えば、n=2の場合、Xは、Xと同じ株由来または異なる株由来であり得る。n=3の場合、その株は、(i)X=X=X、(ii)X=X≠X、(iii)X≠X=X、(iv)X≠X≠X、(v)X=X≠X、などであり得る。
【0041】
血清群Bの中で、好ましい−X−部分は、株2996、株MC58、株95N477、または株394/98由来である。株95N477は、その電気泳動タイプにより、本明細書中で時々「ET37」と呼ばれる。株394/98は、ニュージーランド株であるので、本明細書中で時々「nz」と呼ばれる。
【0042】
287の形態が使用される場合、これは、好ましくは、株2996由来または株394/98由来である。
【0043】
741の形態が使用される場合、これは、好ましくは、血清群Bの株MC58、2996、394/98、または95N477由来、もしくは血清群Cの株90/18311由来である。
【0044】
961の形態が使用される場合、これは、好ましくは、株2996由来である。
【0045】
株は、下付き文字として表示され、例えば、741MC58は、株MC58由来のタンパク質741である。他に言及しない限り、本明細書中に記載されたタンパク質(例えば、下付き文字の無いタンパク質)は、N.meningitidis株2996由来であり、この株は「基準」株と解釈され得る。しかしながら、本発明は、一般に株によって制限されないと認識される。前述のように、タンパク質(例えば、「287」、「919」など)に対する一般的言及は、任意の株由来のそのタンパク質を包含すると解釈され得る。これは、典型的に、2996に対する90%以上(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより上)の配列同一性を有する。
【0046】
(タンパク質961のドメインに基づいた表現)
参考文献1および2は、どのようにタンパク質が概念的にドメインに分割され得、そしてどのようにこれらのドメインに基づいて操作され得るかを開示している。本発明は、タンパク質961(「NadA」としても知られる[11、12])へとこのアプローチの適用を拡大する。
【0047】
N.meningitidis血清群B株2996において、NadAは、405アミノ酸を有する。このタンパク質は、概念的に以下の9ドメインに分割されている(図4):
【0048】
【数3】

【0049】
この情報は、他の961形態における同じドメインを位置付けるために使用され得る。
【0050】
これらのドメインは、株2996における961から種々の様式で欠失している(図5)。好ましい961のフラグメントは、これらの9ドメインのうち1つ以上(例えば以下:
−961−2〜961−5(「961a」)
−961−6〜961−9(「961b」)
−961−1〜961−8(「961cL」)
−961−2〜961−8(「961c」)
−961−2〜961−6および961−7ドメイン由来のアミノ酸287−325(「961d」)
−961−2〜961−8および961−9ドメイン由来のアミノ酸351−383(「961Δ1」)
−961−1〜961−8および961−9ドメイン由来のアミノ酸351−383(「961Δ1L」)
−961−1〜961−7および961−8ドメイン由来のアミノ酸331−343(「961cL−Δaro」)
−961−1〜961−6および961−7ドメイン由来のアミノ酸287−315(「961cL−Δcc」)
−961−1〜961−5(「961aL」)
−961−1〜961−4(「961aL−Δ1」)
−961−1〜961−3(「961aL−Δ2」)
−961−1〜961−2(「961aL−Δ3」)
)を省略する。
【0051】
これらの13のフラグメント(および、片側または両側の末端で1、2、3、4または5アミノ酸を欠失しているサブフラグメント)は、好ましい(c)フラグメントおよび(j)フラグメントであるが、それらはまた、本発明のハイブリッドタンパク質の形態ではなく、本来の状態で発現され得る。従って、本発明は、これらのフラグメントの1つを含有するタンパク質を提供するが、ただし、そのタンパク質は全長の961ではなく、参考文献1または参考文献2に明確に開示されたタンパク質ではない。このタンパク質は、融合タンパク質(例えば、GST−融合物またはHis−tag融合物)であり得る。
【0052】
(配列)
本発明はまた、配列番号1〜24のアミノ酸配列を有するタンパク質も提供する。本発明はまた、これらと配列同一性を有するタンパク質および核酸も提供する。前述のように、「配列同一性」の程度は、好ましくは50%より大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)。
【0053】
本発明はまた、そのようなタンパク質をコードしている核酸も提供する。
【0054】
さらに本発明は、好ましくは「高いストリンジェンシー」条件下(例えば、0.1%×SSC、0.5%SDS中、65℃)で、この核酸とハイブリダイズし得る核酸を提供する。
【0055】
本発明はまた、本発明によるタンパク質をコードしている核酸も提供する。
【0056】
本発明が、前述の配列と相補的な配列を含有する核酸を提供することも、理解されるべきである(例えば、アンチセンスまたはプローブの目的のために)。
【0057】
本発明による核酸は、もちろん、多様な方法(例えば、化学合成によって、ゲノムまたはcDNAライブラリー由来、生物体自身由来、など)で調製され得、また、種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブ、など)をとり得る。
【0058】
さらに、用語「核酸」は、DNAおよびRNAならびにそれらの修飾された骨格を含むアナログ、ならびにペプチド核酸(PNA)なども含む。
【0059】
(混合物)
本発明はまた、以下のタンパク質のうちの2つ以上(すなわち、2、3、4、5、6、または7)を含有する組成物も提供する:
(1)287
(2)741
(3)ORF46.1
(4)961
(5)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2、X=287、X=953)
(6)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2、X=287、X=919)
(7)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2、X=287、X=961)
前記混合物は、(1)〜(7)の2つ以上との組み合わせ、もしくは(1)〜(7)の1つだけとの組み合わせのいずれかで、以下のタンパク質の1つまたは両方を含有し得る:
(8)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2、X=287、X=741)
(9)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2、X=936、X=741)。
【0060】
タンパク質287および741が混合物(すなわち、タンパク質1、2、5、6、7または8の中)に含まれる場合、それらのタンパク質は「ΔG」の形態であり得る。タンパク質961が含まれる場合、好ましくは、N末端リーダーおよびC末端膜アンカーが不在である「961c」の形態である[例えば、参考文献1、2、および11を参照のこと]。
【0061】
好ましい混合物は、以下の3種のタンパク質を含有する:
(1)961c、好ましくは961c2996(例えば、本明細書中の配列番号31);
(2)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、nは2であり、−X−はΔG287(好ましくはΔG287NZ)であり、−X−はリーダーペプチドの欠損した953(好ましくは9532996)であり、−L−はGSGGGGであり、そして−A−はN末端メチオニンを含有する(例えば、−A−はMまたはMA)である(例えば、本明細書中の配列番号28および29));ならびに
(3)NH−A−[−X−L−]−B−COOH(ここで、n=2であり、X=936(好ましくは9362996)であり、X=ΔG741(好ましくはΔG741MC58)であり、L=GSGGGG(例えば、本明細書中の配列番号30))である。
前記混合物はまた、N.meningitidis細菌外膜小胞も含有し得る。
【0062】
(異種宿主)
本発明のタンパク質の発現は、ナイセリアにおいて起こり得るが、本発明は、好ましくは、異種宿主を利用する。異種宿主は、原核細胞(例えば、細菌)または真核細胞であり得る。異種宿主は、好ましくは、E.coliであるが、その他の適切な宿主としては、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonenna typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えばM.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。
【0063】
(ベクターなど)
本発明は以下を提供する:(a)前述のタンパク質をコードしている核酸(b)これらの核酸配列を含有するベクター(c)これらのベクターを含有する宿主細胞(d)本発明のタンパク質または核酸を含有する組成物であって、免疫原性組成物(例えばワクチン)としてまたは診断試薬として適切であり得る組成物(e)医薬として(例えばワクチンとして)または診断試薬として使用するためのこれらの組成物(f)以下:(1)ナイセリア細菌に起因する感染の処置もしくは予防のための医薬(2)ナイセリア細菌の存在もしくはナイセリア細菌に対して惹起された抗体の存在を検出するための診断試薬、および/または(3)ナイセリア細菌に対する抗体を惹起し得る試薬の製造におけるこれらの組成物の使用、ならびに(g)患者の処置の方法であって、治療有効量のこれらの組成物を患者へ投与する工程を包含する方法。
【0064】
本発明の実施には、典型的に以下の基礎的な工程を包含する:第一のタンパク質をコードしている第一の核酸を獲得する工程;第二のタンパク質をコードしている第二の核酸を獲得する工程;および第一の核酸と第二の核酸とを連結する工程。得られた核酸は、発現ベクターに挿入され得るか、または既に発現ベクターの一部であり得る。
【0065】
溶解性を改善するために、ハイブリッドタンパク質の精製は、本明細書中に開示された技術の再折り畳みを包含し得る。
【0066】
(免疫原性の組成物および医薬)
本発明の組成物は、好ましくは、免疫原性の組成物であり、より好ましくはワクチン組成物である。この組成物のpHは、好ましくは、6と7との間である。pHは、緩衝液を用いて維持され得る。この組成物は無菌であり得る。
【0067】
本発明に従うワクチンは、予防薬(すなわち、感染の予防)または治療薬(すなわち、感染の処置)のいずれかであり得、典型的には予防薬である。
【0068】
本発明はまた、本発明の組成物を医薬として使用するために提供する。この医薬は、好ましくは、哺乳動物において免疫応答を惹起することが可能であり(すなわち、免疫原性の組成物である)、より好ましくは、ワクチンである。
【0069】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を惹起するための医薬の製造における本発明の組成物の使用を提供する。その医薬は、好ましくはワクチンである。
【0070】
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を惹起するための方法を提供し、その方法は、有効量の本発明の組成物を投与する工程を包含する。この免疫応答は、好ましくは防御性である。本方法は、ブースター応答を惹起し得る。
【0071】
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ワクチンの目的が予防的な使用にある場合、ヒトは好ましくは小児(例えば、幼児または乳児)である;ワクチンの目的が予防的な使用にある場合、ヒトは好ましくは成人である。小児を意図するワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために、成人にも投与し得る。
【0072】
これらの使用および方法は、好ましくは、ナイセリアが原因の疾患(例えば、髄膜炎、敗血症、淋病など)の予防および/または治療のためである。細菌性髄膜炎の予防および/または治療が好ましい。
【0073】
(本組成物のさらなる成分)
本発明の組成物は、代表的には、上記組成物に加え、一つまたはそれ以上の「薬剤的に受容可能なキャリア」を含有し、この組成物を受容した個体に対し、それ自身は有害な抗体の生成を誘導しない任意のキャリアを含む。適切なキャリアは、典型的には、大きく、緩慢に代謝された巨大分子であり、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、多量体アミノ酸、アミノ酸コポリマー、トレハロース(WO00/56365)および脂質集合体(例えば、油滴またはリポソーム)である。そのようなキャリアは、当業者に周知である。これらのワクチンはまた、水、生理食塩水、グリセロール、などのような希釈剤も含有し得る。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質などのような補助物質も存在し得る。薬剤的に受容可能な賦形剤の徹底的な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesから入手可能である。
【0074】
ワクチンとして用いられる免疫原性の組成物は、必要に応じて、免疫学的有効量の抗原、および上記成分の他の任意の成分を含有する。「免疫学的有効量」によって、単回投与かまたは一連の投与のうちの一部としてかのいずれかで個体へこの量を投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置を受ける個体の健康状態および身体的条件、年齢、処置を受ける個体の分類学的な群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体合成のための個体の免疫系の能力、要求される防御の度合い、ワクチンの調剤、処置する医者の医学的立場の評価、ならびにその他の関連性のある要因に依存して変化する。その量は、慣用的な試験によって決定され得る相対的に広い範囲にあることが期待される。投薬処置は、単回投与スケジュールまたは複数回投与スケジュール(例えば、ブースター投与が挙げられる)であり得る。ワクチンは、他の免疫調節薬剤と共に投与され得る。
【0075】
ワクチンは、他の免疫調節薬剤と共に投与され得る。
【0076】
本組成物は、アルミニウム塩に加えて(またはその代わりに)、他のアジュバントを含み得る。組成物の効果を高めるために好ましいアジュバントには以下のものが挙げられるが、それだけに限らない:(1)水中油エマルジョンの処方物(ムラミルペプチド(下記参照)または細菌の細胞壁成分のような他の特定の免疫刺激性の薬剤を伴うかまたは伴わない)、例えば、(a)マイクロフルイダイザーを用いてミクロン以下の微粒子にして処方されたMF59TM(WO90/14837;参考文献13の10章)であって、5%スクワレン、0.5%Tween80および0.5%Span85(必要に応じてMTP−PEを含む)を含むMF59TM、(b)ミクロン以下のエマルジョンにマイクロフルイダイズされたか、または、より大きな微粒子サイズのエマルジョンを生成するために攪拌されたかいずれかのSAFであって、10%スクワレン、0.4%Tween80、5%プルロニック−blocked polymer L121、およびthr−MDPを含むSAF、ならびに(c)RibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)であって、2%スクワレン、0.2%Tween80およびモノホスホリル脂質A(monophosphorylipid A)(MPL)、トレハロースジミコレート(TMD)および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の一つまたはそれ以上の細菌細胞壁成分(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM))を含む、RibiTMアジュバントシステム(RAS);(2)QS21またはStimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA)のようなサポニンアジュバントを用い得、またはISCOM(免疫刺激複合体)のようなそれらから生成する微粒子であり、そのISCOMは、例えばWO00/07621のような追加の界面活性剤を欠き得る;(3)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA);(4)サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(WO99/44636)など)、インターフェロン(例えば、γインターフェロン)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CFS)、腫瘍壊死因子(TNF)など);(5)モノホスホリル脂質A(MPL)または3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)(例えばGB−2220221、EP−A−0689454);(6)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油エマルジョンとの組み合わせ(例えば、EP−A−0835318、EP−A−0735898、EP−A−0761231);(7)CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド[Krieg Vaccine 2000、19、618−622;Krieg Curr opin Mol Ther
2001 3:15−24;Romanら、Nat.Med.、1997、3、849−854;Weinerら、PNAS USA、1997、94、10833−10837;Davisら、J.Immunol.、1998、160、870−876;Chuら、J.Exp.Med.、1997、186、1623−1631;Lipfordら、Eur.J.Immunol.、1997、27、2340−2344;Moldoveanuら、Vaccine、1988、16、1216−1224、Kriegら、Nature、1995、374、546−549;Klinmanら、PNAS USA、1996、93、2879−2883;Ballasら、J.Immunol.、1996、157、1840−1845;Cowderyら、J.Immunol.、1996、156、4570−4575;Halpernら、Cell.Immunol.、1996、167、72−78;Yamamotoら、Jpn.J.Cancer Res.、1988、79、866−873;Staceyら、J.Immunol.、1996、157、2116−2122;Messinaら、J.Immunol.、1991、147、1759−1764;Yiら、J.Immunol.、1996、157、4918−4925;Yiら、J.Immunol.、1996、157、5394−5402;Yiら、J.Immunol.、1998、160、4755−4761;およびYiら、J.Immunol.、1998、160、5898−5906;国際特許出願
WO96/02555、WO98/16247、WO98/18810、WO98/40100、WO98/55495、WO98/37919およびWO98/52581](すなわち、少なくとも一つのCGジヌクレオチドを含み、シトシンの代わりに必要に応じて5−メチルシトシンが使用されるオリゴヌクレオチド);(8)ポリオキシエチレンエーテルまたはポリオキシエチレンエステル(例えば、WO99/52549);(9)オクトキシノールと組み合わせた、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(例えば、WO01/21207)あるいはオクトキシノールのような追加の非イオン系界面活性剤の少なくとも一つと組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルエステルの界面活性剤(例えば、WO01/21152);(10)免疫刺激性のオリゴヌクレオチド(例えば、CpGオリゴヌクレオチド)およびサポニン(例えばWO00/62800);(11)免疫刺激物および金属塩の粒子(例えば、WO00/23105);(12)サポニンおよび水中油エマルジョン(例えば、WO99/11241);(13)サポニン(例えば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて+ステロール)(例えばWO98/57659);(14)本組成物の効果を高める免疫刺激する薬剤として作用するその他の物質。
【0077】
ムラミンペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン MTP−PE)などが挙げられる。
【0078】
(さらなる抗原)
本発明の組成物に含まれ得るさらなる抗原としては、以下が挙げられる:
−参考文献14、15、16、17などにおいて開示されるような、N.meningitidis血清群B由来の膜外小胞(OMV)調製物。
−N.meningitidis血清群A、C、W135および/またはY由来のサッカリド抗原、例えば、参考文献18において開示された血清群C由来のオリゴサッカリド[参考文献19も参照のこと]または参考文献20のオリゴサッカリド。
−Streptococcus pneumoniae由来のサッカリド抗原[例えば、参考文献21、22、23]。
−CagA[例えば、24]、VacA[例えば、24]、NAP[例えば、25]、HoxP[例えば、26]、HopY[例えば、26]および/またはウレアーゼのような、Helicobacter pylori由来のタンパク質抗原。
−不活性ウイルスのような、A型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、27、28]。
−表面および/またはコアの抗原のような、B型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、28、29]。
−C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば、30]。
−Bordetella pertussis由来の抗原(例えば、ペルタクチン(pertactin)ならびに/または凝集原2および凝集原3との必要に応じて組み合わせた[例えば、参考文献31および32]、百日咳ホロトキシン(PT)およびB.pertussis由来の線維状血球凝集素(FHA))。
−ジフテリアトキソイド[例えば、参考文献33の3章]のようなジフテリア抗原(例えばCRM197変異体[例えば、34])。
−破傷風トキソイド[例えば、参考文献33の4章]のような破傷風抗原。
−Haemophilus influenzae B由来のサッカリド抗原[例えば、19]。
−N.gonorrhoeae由来の抗原[例えば、3、4、5]。
−Chlamydia pneumoniae由来の抗原[例えば、35、36、37、38、39、40、41]。
−Chlamydia trachomatis由来の抗原[例えば、42]。
−Porphyromonas gingivalis由来の抗原[例えば、43]。
−IPVまたはOPVのような、ポリオ抗原[例えば、44、45]。
−凍結乾燥した非活性ウイルス[例えば、47、RabAvertTM]のような狂犬病抗原[例えば、46]。
−はしか、おたふくかぜおよび/または風疹抗原[例えば、参考文献33の9章、10章および11章]。
−血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質のような、インフルエンザ抗原[例えば、参考文献33の19章]。
−Moraxella catarrhalis由来の抗原[例えば、48]。
−Streptcoccus agalactiae(streptococcus B群)由来のタンパク質抗原[例えば、49、50]。
−Streptococcus agalactiae由来のサッカリド抗原。
−Streptococcus pyogenes(streptococcus A群)由来の抗原[例えば、50、51、52]。
−Staphylococcus aureus由来の抗原[例えば、53]。
【0079】
組成物は、一つ以上のこれらのさらなる抗原を含有し得る。
【0080】
サッカリドまたは糖質抗原が使用される場合、これは、好ましくは、免疫原性を高めるためにキャリアタンパク質に結合体化される[例えば、参考文献54〜63]。好ましいキャリアタンパク質は、ジフテリアトキソイドまたは破傷風トキソイドのような、細菌の毒素またはトキソイドである。CRM197ジフテリアトキソイドは、特に好ましい。その他の適切なキャリアタンパクとしては、N.meningitidis外膜タンパク質[例えば、参考文献64]、合成ペプチド[例えば、65、66]、熱ショックタンパク質[例えば、67]、百日咳タンパク質[例えば、68、69]、H.influenzae由来プロラインD[例えば、70]、C.difficile由来の毒素AまたはB[例えば、71]などが挙げられる。混合物が血清群AおよびCの両方由来の夾膜サッカリドを含有する場合、MenAサッカリド:MenCサッカリドの比率(w/w)が1よりも大きい(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1またはそれより高い)ことが好ましい。N.meningitidisの異なる血清群由来のサッカリドは、同種または異種のキャリアタンパク質に結合体化され得る。
【0081】
任意の適切な結合反応が使用され得、必要な場合は任意の適切なリンカーが用いられる。
【0082】
毒性のタンパク質抗原は、必要な場合は無毒化され得る(例えば、化学的手段および/または遺伝学的手段による百日咳毒素の無毒化[32])。
【0083】
ジフテリア抗原が組成物内に含まれる場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および百日咳抗原を含むことも好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリア抗原および破傷風抗原を含むことも好ましい。
【0084】
抗原は、好ましくは、アルミニウム塩(例えば、リン酸塩、水酸化物、ヒドロキシリン酸塩、酸化水酸化物、オルトリン酸塩、硫酸塩)と混合(より好ましくは、吸着)している。この塩は、任意の適切な形態をとり得る(例えば、ゲル、結晶、非結晶など)。
【0085】
この組成物中の抗原は、典型的には、少なくとも各1μg/mlの濃度で存在する。一般的に、任意の所定の抗原の濃度は、その抗原に対する免疫応答を誘発するに充分である。
【0086】
本発明の組成物中のタンパク質抗原の使用に対する代替物として、その抗原をコードしている核酸が使用され得る[例えば、参考文献72〜80]。従って、本発明の組成物のタンパク質成分は、そのタンパク質をコードしている核酸(好ましくは、(例えばプラスミドの形態の)DNA)によって置換され得る。
【0087】
(定義)
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる(consisting)」を意味し、例えば、Xを「含む」組成物とは、Xのみからなっても、X+Yのように追加の何かを含んでもよい。
【0088】
数値xに関係する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1−1】図1は、タンパク質741のための23配列のアラインメントを示す。これらは、配列番号1〜22番にMC58由来の配列を加えたものである。
【図1−2】図1は、タンパク質741のための23配列のアラインメントを示す。これらは、配列番号1〜22番にMC58由来の配列を加えたものである。
【図1−3】図1は、タンパク質741のための23配列のアラインメントを示す。これらは、配列番号1〜22番にMC58由来の配列を加えたものである。
【図2】図2は、淋菌(上端;配列番号25番)および髄膜炎菌(下端;配列番号26番)由来のNMB1343配列のアラインメントを示している。
【図3】図3は、本発明のハイブリッドタンパク質およびタンデムタンパク質を示している。
【図4】図4は、9612996内の9ドメインを示している。
【図5】図5は、これらのドメインがどのように操作されているかを示している。
【発明を実施するための形態】
【0090】
(ハイブリッドタンパク質−X=ΔG287)
参考文献1および2に開示されるタンパク質に加えて、N末端に株2996由来のΔG287を有する7つのハイブリッドタンパク質を構築した。8つの287タンデムタンパク質もまた作製した(以下を参照のこと)。
【0091】
【数4】

【0092】
これらのタンパク質を、フロイントの完全アジュバント(FCA)または3mg/mlミョウバン(alum)のいずれかでアジュバント化し、マウスの免疫に使用した。得られた血清を、種々のナイセリア株に対して殺菌アッセイを用いて試験した。タンパク質番号3を用いた力価は以下の通りである:
【0093】
【数5】

【0094】
水酸化アルミニウムでアジュバント化したタンパク質番号3を用いる、さらなる試験において、984150力価およびBCA力価をそれぞれ超えた抗287および抗741のELISA力価は以下の通りである:
【0095】
【数6】

【0096】
参考文献1および2に開示されるタンパク質で免疫した後に得られた(相同株に対して試験した)結果は、以下の通りである:
【0097】
【数7】

【0098】
(ハイブリッドタンパク質−X=961cまたは961cL)
参考文献1および2に開示されるタンパク質に加えて、N末端に961cまたは961cL(すなわち、961c+リーダーペプチド)のいずれかを有する8つのハイブリッドタンパク質を構築した:
【0099】
【数8】

【0100】
これらのタンパク質を、フロイントの完全アジュバント(FCA)または3.3mg/mlミョウバンのいずれかでアジュバント化し、マウスの免疫に使用した。得られた血清を、様々なナイセリア株に対し、殺菌アッセイを用いて試験した。タンパク質番号8を用いた力価は、以下の通りである:
【0101】
【数9】

【0102】
961c〜741[参考文献1および2]で免疫した後に得られた力価は、以下の通りである:
【0103】
【数10】

【0104】
これらの結果は、961c〜741をORF46.1またはΔG287〜919と混合することによって改善され得た。
【0105】
参考文献1および2に開示されるタンパク質で免疫した後に得られた(相同株に対して試験した)結果は、以下の通りである:
【0106】
【数11】

【0107】
(ハイブリッドタンパク質−X=ORF46.1)
参考文献1および2に開示されるタンパク質に加えて、N末端にORF46.1を有する2つのハイブリッドタンパク質を構築した:
【0108】
【数12】

【0109】
これらのタンパク質をフロイントの完全アジュバント(FCA)または3mg/mlミョウバンのいずれかでアジュバント化し、マウスの免疫に使用した。得られた血清を、相同株に対して殺菌アッセイおよびELISAによって、試験した。
【0110】
参考文献1および2に開示されるタンパク質で免疫した後に得られた結果は、以下の通りである:
【0111】
【数13】

【0112】
(ハイブリッドタンパク質−X=230)
参考文献1および2に開示されるタンパク質に加えて、N末端に230を有する4つのハイブリッドタンパク質を構築した:
【0113】
【数14】

【0114】
(ハイブリッドタンパク質−X=936)
参考文献1および2に開示されるタンパク質に加えて、N末端に936を有する7つのハイブリッドタンパク質を構築した:
【0115】
【数15】

【0116】
これらのタンパク質をフロイントの完全アジュバント(FCA)または3mg/mlミョウバンのいずれかでアジュバント化し、マウスの免疫に使用した。得られた血清を、様々なナイセリア株に対して、殺菌アッセイを用いて試験した。タンパク質番号2を用いた力価は、以下の通りである:
【0117】
【数16】

【0118】
タンパク質番号4を用いた力価は、以下の通りである:
【0119】
【数17】

【0120】
タンパク質番号7を用いた力価は、以下の通りである:
【0121】
【数18】

【0122】
参考文献1および2に開示されるタンパク質で免疫した後に得られた(相同株に対して試験した)結果は、以下の通りである:
【0123】
【数19】

【0124】
(ハイブリッドタンパク質の混合物)
マウスを、水酸化アルミニウムでアジュバント化した3つのタンパク質を、以下の単独または3通りの組み合わせのいずれかで免疫した:(1)287NZ〜953;(2)936〜741;および(3)961c。この混合物は、様々な株に対して高い殺菌力価を誘導し得た:
【0125】
【数20】

【0126】
個々のマウスを見ると、この混合物は、高くそして一貫した殺菌力価を誘導した:
【0127】
【数21】

【0128】
(タンデムタンパク質)
本発明のハイブリッドタンパク質は、式NH−[−X−L−]−COOHによって表され得る。ここで、−X−の全n例は、同じ基礎的なタンパク質(同一タンパク質、あるいは異なる株または種由来の同じタンパク質のいずれか)であり、そのタンパク質は「タンデム」タンパク質と呼ばれる。
【0129】
12の特異的なタンデムタンパク質は、以下の通りである:
【0130】
【数22】

【0131】
【数23】

【0132】
タンパク質番号1〜5は、E.Coliにおいて、可溶型で全て発現された。発現レベルは、培地1リットル当たり0.24mgと0.50mgとの間であった。タンデムタンパク質を精製し、リン酸アルミニウムをアジュバントとして混合した。タンデムタンパク質番号2、4および5は、リン酸アルミニウムに容易に吸着した;吸着は、タンデムタンパク質番号1および3にとっては不完全であった。
【0133】
(対立遺伝子改変体−741)
22個の741の多型配列が発見された(配列番号1〜22)。これらの配列およびMC58配列を、図1に整列した。
【0134】
(対立遺伝子改変体−NMB1343)
様々な血清群の髄膜炎菌42株においてPCRを用いて、NMB1343タンパク質をコードする遺伝子は、42株中24株において見出され、42株中18株では不在であった(表1)。NMB1343遺伝子を、NMB1343株のうち10株において配列決定した(表1、縦列3)。核酸配列(従って、アミノ酸配列番号23;GenBank AAF41718)は、10株全てにおいて同一であった。
【0135】
NMB1343はまた、N.gonorrhoeaeの2株(F62およびSN4)においても検出された。淋菌由来のアミノ酸配列は、配列番号24である。髄膜炎菌の配列とのアラインメントは、以下である:
【0136】
【数24】

【0137】
対応するヌクレオチド配列のアラインメントを図2に示す。これは、淋菌の配列がNMB1343遺伝子の5’領域に4マーの挿入を有することを示しており、このことが、フレームシフトおよび5’メチオニン残基の結果的な欠損の原因となっている。
【0138】
(ドメイン欠失−961)
周辺領域は、血清群Aと血清群Bとの間に保存されている(>90%)にも関わらず、961は、N.meningitidis血清群Aゲノム配列に存在しない[81]。参考文献11および12は、961の多型を開示する。この遺伝子は、過毒性系統(hypervirulent lineage)ET−5、ET−37およびクラスターA4に属する血清群B株の91%に存在することが見出されたが、試験した系統3の全株において不在であった。試験した血清群C株のほとんどは、たとえ過毒性系統に属さなくとも陽性であった。血清群B株は、血清型2aおよび2bと同じであった。血清群Aに関して、亜群IIIに属する1株は陽性であったのに対し、他方の亜群IV−1に属する2株は陰性であった。961は、N.gonorrhoeaeならびに共生種N.lactamicaおよびN.cinereaにおいて不在であった。
【0139】
図4および図5は、タンパク質961におけるドメインを示す。
【0140】
タンパク質961のアンカー領域(ドメイン9)が欠失し(「961cL」)、E.coliにおいて発現される場合、そのタンパク質は、ペリプラズム中に運び出され、培地の上清に分泌される。
【0141】
さらにこれを追究するため、構造上の特色(961cΔaro変異体の場合における芳香族残基の欠失、およびその他のコイルドコイル領域の欠失)に基づいて、961のC末端領域の欠失変異体を構築した(961cL−Δaro、961cLΔcc、961aL、961aL−Δl、961aL−Δ2、961aL−Δ3)。発現ならびにペリプラズム中および培地上清中への分泌についてこれらを分析した。これらの欠失変異体全てにおいて、このタンパク質は大量に産生され、ペリプラズム画分中に存在し、培地上清中に放出される。
【0142】
(ΔG287−交雑株殺菌活性)
287を、異なるN.meningitidis血清群B株の5株についてクローン化し、ポリグリシン領域の終末までN末端を欠失するため、そしてC末端his−タグを導入するために、操作した。これにより5つのΔG287タンパク質を得た。これらをFCAでアジュバント化し、マウスの免疫血清を高めるために用い、次いで全5株の血清群B株ならびに血清群A株およびC株に対する殺菌活性を試験した。殺菌力価は、以下の通りである:
【0143】
【数25】

【0144】
(再折り畳み)
いくつかのハイブリッドタンパク質について、可溶性タンパク質のレベルを改善するために、参考文献2に開示された再折り畳みプロトコールに代わる方法を採用した。
【0145】
封入体(IB)を以下のように単離した。
【0146】
1.細胞(湿重量5g)を、25mlの0.1M Tris−HCl(pH7)、1mM EDTA中、4℃で、ultraturrax(10000rpm)を用いてホモジナイズする。
【0147】
2.細胞1g当たり1.5mgのリゾチームを加え、ultraturraxで手短に混合し、4℃で30分間インキュベートする。
【0148】
3.超音波処理または高圧ホモジナイゼーション(French press)を用いて細胞を破砕する。
【0149】
4.DNAを消化するために、MgClを最終濃度3mMおよびDNaseを最終濃度10μg/mlで加え、25℃で30分間インキュベートする。
【0150】
5.この溶液に、体積の0.5倍量の60mM EDTA、6%Triton X−100、1.5M NaCl(pH7)を加え、4℃で30分間インキュベートする。
【0151】
6.封入体を遠心分離(31000g(20000rpm)で10分間、4℃)によって遠沈する。
【0152】
7.ペレットを、40mlの0.1M Tris−HCl(pH7)、20mM EDTA中に、ultraturraxを用いて再懸濁する。
【0153】
8.工程6の遠心分離を繰り返す。
【0154】
9.封入体ペレットは、使用され得るか、または−20℃で凍結保存され得る。
【0155】
ハイブリッドタンパク質は、以下のようにE.coli中に発現された:
【0156】
【数26】

【0157】
このペレットを可溶化し、再折り畳みし、限外濾過し、透析し、次いでタンパク質を精製した。
【0158】
(ORF46.1−961−His)
IBを、以下のように可溶化した:IBタンパク質を、4mlの6M グアニジンHCl、1mM EDTA(pH8.5)の緩衝液中に、最終タンパク質濃度が1mg/mlとなるように再懸濁した。タンパク質の再折り畳みのために、2mlの可溶性タンパク質を400mlの再折り畳み緩衝液(0.1M Tris HCl、lM L−アルギニン、2mM EDTA(pH8.2))中に希釈し、15℃で1時間インキュベートした結果、タンパク質濃度は5μg/mlとなった。その後、別の2mlの、可溶性タンパク質を添加し、さらに1時間、同じ温度でインキュベートした結果、最終タンパク質濃度は10μg/mlとなった。この物質を300mlのAmicon限外濾過セル(ultrafiltration cell)(8400)を用いて限外濾過し、30kDaカットオフのAmicon膜(YM30)に3バール圧を適用した結果、最終容量130mlを得た。この限外濾過した物質を、12〜14kDaカットオフの再生セルロース管状膜(Cellusep−Step bio)を用い、10Lの0.1M Tris HCl(pH8.2)の緩衝液で24時間透析した。2回目の透析は、10Lの300mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム(pH8.0)の緩衝液で24時間行った。この透析した物質は、Beckman遠心分離ローターJA25.5において、22000rpmで45分間、4℃で遠心分離した。この遠心分離後に単離した上清を、His−タグ精製に使用した。
【0159】
(orf 46.1−961c−His)
IBを、以下のように可溶化した:IBタンパク質を、4mlの6M グアニジンHCl、1mM EDTA(pH8.5)の緩衝液中に、最終タンパク質濃度が1mg/mlとなるように再懸濁した。タンパク質の再折り畳みのために、2mlの可溶性タンパク質を400mlの再折り畳み緩衝液(0.5M Tris HCl、lM L−アルギニン、2mM EDTA(pH8.2))中に希釈し、15℃で1時間インキュベートした結果、タンパク質濃度は5μg/mlとなった。その後、別の2mlの、可溶性タンパク質を添加し、さらに1時間、同じ温度でインキュベートした結果、最終タンパク質濃度は10μg/mlとなった。この物質を300mlのAmicon限外濾過セル(8400)を用いて限外濾過し、30kDaカットオフのAmicon膜(YM30)に3バール圧を適用した結果、最終容量150mlを得た。この限外濾過した物質を、12〜14kDaカットオフの再生セルロース管状膜(Cellusep−Step bio)を用い、10Lの0.1M Tris HCl(pH8.2)の緩衝液で24時間透析した。2回目の透析は、10Lの300mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム(pH8.0)の緩衝液で24時間行った。この透析した物質は、Beckman遠心分離ローターJA25.5において、22000rpmで45分間、4℃で遠心分離した。この遠心分離後に単離した上清を、His−タグ精製に使用した。
【0160】
(961c−orf46.1−His)
IBを、以下のように可溶化した:IBタンパク質を、4mlの6M グアニジンHCl、1mM EDTA(pH8.5)の緩衝液中に、最終タンパク質濃度が1mg/mlとなるように再懸濁した。タンパク質の再折り畳みのために、2mlの可溶性タンパク質を400mlの再折り畳み緩衝液(0.1M Tris HCl、0.5M L−アルギニン、2mM EDTA(pH8.2))中に希釈し、15℃で1時間インキュベートした結果、タンパク質濃度は5μg/mlとなった。その後、別の2mlの、可溶性タンパク質を添加し、さらに1時間、同じ温度でインキュベートした結果、最終タンパク質濃度は10μg/mlとなった。この物質を300mlのAmicon限外濾過セル(8400)を用いて限外濾過し、30kDaカットオフのAmicon膜(YM30)に3バール圧を適用した結果、最終容量150mlを得た。この限外濾過した物質を、12〜14kDaカットオフの再生セルロース管状膜(Cellusep−Step bio)を用い、10Lの0.1M Tris HCl(pH8.2)の緩衝液で24時間透析した。2回目の透析は、10Lの300mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム(pH8.0)の緩衝液で24時間行った。この透析した物質は、Beckman遠心分離ローターJA25.5において、22000rpmで45分間、4℃で遠心分離した。この遠心分離後に単離した上清を、His−タグ精製に使用した。
【0161】
(orf46.1−741−His)
IBを、以下のように可溶化した:IBタンパク質を、4mlの6M グアニジンHCl、1mM EDTA(pH8.5)の緩衝液中に、最終タンパク質濃度が10mg/mlとなるように再懸濁した。再折り畳みのために、2mlの可溶性タンパク質を400mlの再折り畳み緩衝液(0.5M Tris HCl、0.7M L−アルギニン、2mM EDTA(pH7.2))中に希釈し、15℃で1時間インキュベートした結果、タンパク質濃度は50μg/mlとなった。その後、別の2mlの、可溶性タンパク質を添加し、さらに1時間、同じ温度でインキュベートした結果、最終タンパク質濃度は100μg/mlとなった。この物質を300mlのAmicon限外濾過セル(8400)を用いて限外濾過し、30kDaカットオフのAmicon膜(YM30)に3バール圧を適用した結果、最終容量120mlを得た。この限外濾過した物質を、12〜14kDaカットオフの再生セルロース管状膜(Cellusep−Step bio)を用い、10Lの0.1M Tris HCl(pH8.2)の緩衝液で24時間透析した。2回目の透析は、10Lの300mM NaCl、50mM リン酸ナトリウム(pH8.0)の緩衝液で24時間行った。この透析した物質は、Beckman遠心分離ローターJA25.5において、22000rpmで45分間、4℃で遠心分離した。この遠心分離後に単離した上清を、His−タグ精製に使用した。
【0162】
参考文献2に記載のように精製したタンパク質と比較して、殺菌活性力価は以下のようであった:
【0163】
【数27】

【0164】
His−タグ(「ORF46.1K」)の発現がない場合、同様の手順をORF46.1に用いて、IBからタンパク質を精製した:
【0165】
【数28】

【0166】
IBタンパク質を、4mlの6M グアニジンHCl、1mM EDTA(pH8.5)の緩衝液中に、最終タンパク質濃度が10mg/mlとなるように再懸濁した。再折り畳みのために、2mlの可溶性タンパク質を400mlの再折り畳み緩衝液(0.5M Tris HCl、0.7M L−アルギニン、2mM EDTA(pH7.2))中に希釈し、15℃で1時間インキュベートした結果、タンパク質濃度は50μg/mlとなった。その後、別の2mlの、可溶性タンパク質を添加し、さらに1時間、同じ温度でインキュベートした結果、最終タンパク質濃度は100μg/mlとなった。この物質を300mlのAmicon限外濾過セル(8400)を用いて限外濾過し、30kDaカットオフのAmicon膜(YM30)に3バール圧を適用した結果、最終容量120mlを得た。この限外濾過された物質を、12〜14kDaカットオフの再生セルロース管状膜(Cellusep−Step bio)を用い、10Lの50mM リン酸ナトリウム、2mM EDTA(pH7.2)の緩衝液で12時間透析した。2回目の透析は、10Lの同緩衝液で24時間行った。この透析された物質は、Beckman遠心分離ローターJA25.5において、22000rpmで45分間、4℃で遠心分離した。この遠心分離後に単離した上清を、陽イオン交換クロマトグラフィーに使用した。この精製は、AKTA診査(explorer)クロマトグラフィーシステム(Amersham−Pharmacia Biotech)で、5ml HiTrap SP セファロースHPカラム(Amersham−Pharmacia Biotech)を用いて行った。適用した流速は、1.5ml/分であった。このカラムを、35mlの50mM リン酸緩衝液(pH 7.2)で洗浄した。直線的勾配(0〜1M NaCl)を、50mM リン酸緩衝液(pH 7.2)を用いて実行した。タンパク質を、92mMおよび380mMのNaClで、2つのピークにて溶出した。各ピークを構成している画分をプールし、それぞれプール1およびプール2と名付けた。
【0167】
参考文献2に記載のように精製したタンパク質と比較して、水酸化アルミニウムでアジュバント化した場合の殺菌活性力価は、4未満から1024に改善された。再折り畳みタンパク質と共にリン酸アルミニウムアジュバントを使用した力価は2048であった。ELISA力価は、以下の通りであった:
【0168】
【数29】

【0169】
本発明は、例証としてのみ記述され、改変は、本発明の範囲および精神の範囲内に維持しつつ成され得ることが理解される。
【0170】
【表1】

【0171】
【表2】

【0172】
【表3】

【0173】
(配列表)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の、ハイブリッドタンパク質。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−252807(P2010−252807A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166543(P2010−166543)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2005−256658(P2005−256658)の分割
【原出願日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願人】(592243793)カイロン ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (107)
【Fターム(参考)】