説明

ナノコンポジットおよびその製造方法

剥離ケイ酸塩小板、熱可塑性ポリマー、およびブロック共重合体を含む組成物、並びに、その製造方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
ポリマー樹脂を強化するため、それらに多くの材料が添加されてきた。このような強化ポリマー樹脂は、一般に、複合材料又は「コンポジット」と称される。このような強化用材料の一般的な種類の1つは繊維である。フレークおよび粒子状材料もポリマーマトリックスを強化するために使用されてきた。特に、近年、強化用材料の1つ以上の寸法がナノメートルのオーダーである、コンポジットの1種が出現した。このようなコンポジットは、「ナノコンポジット」として当該分野で公知である。ナノコンポジットの1種は、強化用材料として剥離した層状ケイ酸塩を有し、この材料において、層状構造は破壊されており、個々のケイ酸塩小板(platelet)がポリマー樹脂全体に分散している。
【0002】
層状ケイ酸塩は、典型的には、積み重なったケイ酸塩小板で構成されている。このケイ酸塩小板は、典型的には、厚さが約1ナノメートルのオーダーであり、典型的には、アスペクト比が少なくとも約100である。これらの小板間の空間は、ギャラリースペース(gallery space)と称されている。適切な条件では、このギャラリースペースにモノマー、オリゴマー、又はポリマーを充填することができる。これによって、ケイ酸塩小板間の距離が増大し、インターカレーションと称される方法で層状ケイ酸塩が膨潤する。個々のケイ酸塩小板の少なくとも一部がもはや積み重ねて組織されていないほど層状ケイ酸塩が膨潤する場合、それらの個々のケイ酸塩小板は「剥離している(exfoliated)」と称される。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,252,757号明細書
【特許文献2】米国特許第3,666,407号明細書
【特許文献3】米国特許第3,671,190号明細書
【特許文献4】米国特許第3,844,978号明細書
【特許文献5】米国特許第3,844,979号明細書
【特許文献6】米国特許第3,852,405号明細書
【特許文献7】米国特許第3,855,147号明細書
【特許文献8】米国特許第4,469,639号明細書
【特許文献9】米国特許第6,036,765号明細書
【特許文献10】米国特許第6,521,678B1号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0024130号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2004/0023016号明細書
【特許文献13】米国特許第6,448,353号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要旨)
一態様では、本発明は、ナノコンポジットの製造方法を提供し、本方法は、
層状ケイ酸塩、
熱可塑性ポリマー、および
層状ケイ酸塩と適合性があるブロックと、層状ケイ酸塩と適合性がない少なくとも1つの別のブロックとを含むブロック共重合体、
を含む構成成分を配合する工程、ならびに
層状ケイ酸塩の少なくとも20重量%を剥離させ、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の剥離ケイ酸塩小板を形成する工程、
を含み、ここで、別のブロックは、熱可塑性ポリマー中に含有されているセグメントと同一の、5つの連続したモノマー単位のセグメントを含有せず、別のブロックはそれぞれ熱可塑性ポリマーと不混和性であり、別のブロックは熱可塑性ポリマーと水素結合も化学結合も形成しない。
【0005】
本発明の方法は、ナノコンポジットの調製に使用され得るプロセスおよび材料の範囲を拡大する。
【0006】
従って、別の態様では、本発明は、
剥離ケイ酸塩小板、
熱可塑性ポリマー、および
層状ケイ酸塩と適合性があるブロックと、層状ケイ酸塩と適合性がない少なくとも1つの別のブロックとを含むブロック共重合体であって、別のブロックが、熱可塑性ポリマー中に含有されているセグメントと同一の、5つの連続したモノマー単位のセグメントを含有せず、別のブロックがそれぞれ熱可塑性ポリマーと不混和性であり、別のブロックが熱可塑性ポリマーと水素結合も化学結合も形成しないブロック共重合体、
を含むナノコンポジットを提供し、ここで、
このナノコンポジットは層状ケイ酸塩を含まないか、又は、層状ケイ酸塩に対する剥離ケイ酸塩小板の重量比は少なくとも0.2である。
【0007】
別途表示しない限り、d−層間隔(d-layer spacing)の値は、25℃で決定されるd−層間隔の値を指す。
【0008】
本明細書で使用する場合、
「ブロック」の用語は、隣接部分には存在しない少なくとも1つの特徴を有する多くのモノマー単位を含むブロック共重合体の一部を指し;
「ブロック共重合体」の用語は、構成の異なるブロックで線状のシーケンスに構成されている共重合体を指し;
「モノマー単位」の用語は、単一のモノマー分子がポリマーの構造に寄与する最大構成単位を指し;
「層状ケイ酸塩と適合性がある」の語句は、層状ケイ酸塩にインターカレートできることを意味し;
「剥離ケイ酸塩小板」の用語は、厚さが5ナノメートル未満、アスペクト比が少なくとも10であり、ケイ酸塩小板が層状ケイ酸塩を剥離させることにより製造されたか又は他の何らかの方法により製造されたかに関わらず、このようなケイ酸塩小板が少なくとも互いに向かい合って積み重なった状態に結合していない個々のケイ酸塩小板を指し、
「不混和性」の用語は、互いに十分に混合しても自然に2相(各相は独立に連続的又は不連続である)を形成することを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(詳細な説明)
本発明の組成物は、剥離ケイ酸塩小板;熱可塑性ポリマー;およびブロック共重合体を、典型的には、ナノコンポジットの形態で含む。
【0010】
本発明による層状ケイ酸塩(例えば、インターカレート(intercalated)および/又は剥離された層状ケイ酸塩)として使用され得る有用な層状ケイ酸塩としては、例えば、天然フィロケイ酸塩、合成フィロケイ酸塩、有機変性フィロケイ酸塩(例えば、有機粘土(oreganoclay))およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0011】
天然フィロケイ酸塩の例としては、スメクタイトおよびスメクタイト型粘土(モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト、バイデライト(beidellite)、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、フルオロヘクトライト、スチブンサイト、ボルコンスコアイト(volkonskoite)、マガディアイト、ケニヤアイト(kenyaite)、ハロイサイト、およびハイドロタルサイトなど)が挙げられる。
【0012】
好適な合成フィロケイ酸塩としては、例えば、(特許文献1)(グランキスト(Granquist));(特許文献2)(オールマン(Orlemann));(特許文献3)(ニューマン(Neumann));(特許文献4)(ヒックソン(Hickson));(特許文献5)(ヒックソン(Hickson));(特許文献6)(グランキスト(Granquist));および(特許文献7)(グランキスト(Granquist))に開示されている熱水プロセスにより調製されるものが挙げられる。市販の合成スメクタイト粘土は、例えば、テキサス州ゴンザレス、サザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products,Gonzales,Texas)から、例えば、「ラポナイト(LAPONITE)B」(合成層状フルオロケイ酸塩)、「ラポナイト(LAPONITE)D」(合成層状ケイ酸マグネシウム)、および「ラポナイト(LAPONITE)RD」(合成層状ケイ酸塩)を含む「ラポナイト(LAPONITE)」の商品名で市販されている。
【0013】
有機粘土は、典型的には、官能化されていない粘土を1つ以上の好適なインターカラント(intercalant)と相互作用させることにより製造されるスメクタイト又はスメクタイト型の粘土である。これらのインターカラントは、典型的には、中性又はイオン性の有機化合物である。有用な中性有機インターカラントとしては、アミド、エステル、ラクタム、ニトリル、尿素類、カーボネート、ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート、およびニトロ化合物などの極性化合物が挙げられる。中性の有機インターカラントは、モノマー、オリゴマー、又はポリマーとすることができる。中性の有機インターカラントは、元の電荷のつりあったイオンを完全に置換することなく、水素結合により粘土の層の中にインターカレートすることができる。有用なイオン性インターカラントは、典型的には、例えば、脂肪族、芳香族又は脂肪族のアミン、ホスフィン、およびスルフィドのアンモニウム(一級、二級、三級および四級)、ホスホニウム、又はスルホニウム誘導体などのオニウム化合物などのカチオン性界面活性剤である。有用なオニウムイオンとしては、例えば、四級窒素原子に結合している少なくとも1つの長鎖脂肪族基(例えば、オクタデシル、ミリスチル、又はオレイル)を有する四級アンモニウムイオンが挙げられる。有機粘土およびそれらの調製方法に関する更なる詳細は、例えば、(特許文献8)(トンプソン(Thompson)ら);(特許文献9)(ファロー(Farrow)ら);および(特許文献10)(チャイコ(Chaiko))で見出すことができる。
【0014】
様々な有機粘土が供給業者から入手可能である。例えば、サザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)は、「クレイトン(CLAYTONE)HY」、「クレイトン(CLAYTONE)AF」、「クロイサイト(CLOISITE)6A」(調整剤濃度140meq/100g)、「クロイサイト(CLOISITE)15A」(調整剤濃度125meq/100g)、および「クロイサイト(CLOISITE)20A」(調整剤濃度95meq/100g)を含む「クロイサイト(CLOISITE)」(層状ケイ酸マグネシウムアルミニウムから誘導)および「クレイトン(CLAYTONE)」(天然ナトリウムベントナイトから誘導)の商品名で様々な有機粘土を提供している。有機粘土は、また、イリノイ州アーリントンハイツ、ナノコール(Nanocor,Arlington Heights,Illinois)から「ナノマー(NANOMER)」の商品名で市販されている。
【0015】
典型的には、層状ケイ酸塩は、X線回折(XRD)および/又は透過型電子顕微鏡(TEM)などの周知の技術により決定され得るd−層間隔を示す。本発明の方法の間、d−層間隔は典型的には増大し、層が剥離していると見なされるほど広く層が分離され、XRD又はTEMによりd−層間隔が観察できなくなるまで、ブロック共重合体による個々のケイ酸塩の層間のインターカーレーションが進む。
【0016】
有用な熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリラクトン(例えば、ポリ(ピバロラクトン)およびポリ(カプロラクトン)など);ポリウレタン(例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又は4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンなどのジイソシアネートと、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(2,3−ブチレンスクシネート)、およびポリエーテルジオール等の長鎖直鎖ジオールとの反応から誘導されるものなど);ポリカーボネート(ポリ(メタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−エーテルビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(ジフェニルメタンビス(4−フェニル)カーボネート)、ポリ(1,1−シクロヘキサンビス(4−フェニル)カーボネート)、又はポリ(2,2−(ビス4−ヒドロキシフェニル)プロパン)カーボネートなど);ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリアミド(例えば、ポリ(4−アミノ酪酸)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(6−アミノへキサン酸)、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(p−キシリレンセバカミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)およびポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)など);ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンアゼレート)、ポリ(エチレン−1,5−ナフタレート)、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)、ポリ(p−ヒドロキシベンゾエート)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)(cis)、ポリ(1,4−シクロヘキシリデンジメチレンテレフタレート)(trans)、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートなど);ポリ(アリーレンオキサイド)(例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)およびポリ(2,6−ジフェニル−1,1−フェニレンオキサイド)など);ポリ(アリーレンスルフィド)(例えば、ポリフェニレンスルフィドなど);ポリエーテルイミド;ビニルポリマーおよびそれらの共重合体(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体など);アクリルポリマー(例えば、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(n−プロピルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体など);アクリロニトリル共重合体(例えば、ポリ(アクリロニトリル−co−ブタジエン−co−スチレン)およびポリ(スチレン−co−アクリロニトリル);スチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)ポリマーおよびそれらの誘導体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体、および、メタクリル化ブタジエン−スチレン共重合体など);ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリプロピレン、塩素化低密度ポリエチレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)など);イオノマー;ポリ(エピクロロヒドリン類);ポリスルホン(例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのナトリウム塩と4,4’−ジクロロジフェニルスルホンの反応生成物など);フラン樹脂(例えば、ポリ(フラン)など);セルロースエステルプラスチック(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロースプロピオネートなど);プロテインプラスチック;ポリアリーレンエーテル(例えば、ポリフェニレンオキサイドなど);ポリイミド;ポリビニリデンハライド;ポリカーボネート;芳香族ポリケトン;ポリアセタール;ポリスルホネート;ポリエステルイオノマー;および、ポリオレフィンイオノマーが挙げられる。これらの前述のポリマーの共重合体および/又は組み合わせを使用することもできる。
【0017】
有用なエラストマーポリマー樹脂(即ち、エラストマー)としては、熱可塑性および熱硬化性のエラストマーポリマー樹脂、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、スルホン化エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリクロロプレン、ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)、ポリ(ブタジエン−co−ペンタジエン)、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドエラストマー、シリコーンエラストマー、ポリ(ブタジエン−co−ニトリル)、水素化ニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルエラストマー、エチレン−アクリレート共重合体が挙げられる。
【0018】
有用な熱可塑性エラストマーポリマー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(t−ブチルスチレン)およびポリエステルなどのガラス性又は結晶性のブロックと、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、およびポリエーテルエステル等のエラストマーブロックのブロックで構成されるブロック共重合体、例えば、テキサス州ヒューストン、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company,Houston,Texas)により「クラトン(KRATON)」の商品名で市販されているポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)ブロック共重合体が挙げられる。これらの前述のエラストマーポリマー樹脂の共重合体および/又は混合物を使用することもできる。
【0019】
有用なポリマー樹脂としては、フルオロポリマー、即ち、少なくとも部分的にフッ素化されたポリマーも挙げられる。有用なフルオロポリマーとしては、例えば、クロロトリフルオロエチレン、2−クロロペンタフルオロプロペン、3−クロロペンタフルオロプロペン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、1,1−ジクロロフルオロエチレン、ジクロロジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、過フッ素化ビニルエーテル(例えば、CF3OCF2CF2CF2OCF=CF2などのパーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、又は、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)若しくはパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル))、硬化部位モノマー、例えば、ニトリル含有モノマー(例えば、CF2=CFO(CF2LCN、CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]q(CF2O)yCF(CF3)CN、CF2=CF[OCF2CF(CF3)]rO(CF2tCN、又はCF2=CFO(CF2uOCF(CF3)CN、式中、L=2〜12、q=0〜4、r=1〜2、y=0〜6、t=1〜4、およびu=2〜6)、臭素含有モノマー(例えば、Z−Rf−Ox−CF=CF2、式中、ZはBr又はIであり、Rfは、過フッ素化されていてもよく、1つ以上のエーテル酸素原子を含有してもよい置換又は非置換のC1〜C12フルオロアルキレンであり、xは0又は1である);又は、これらの組み合わせ、任意に、例えば、エチレン若しくはプロピレンなどの別の非フッ素化モノマーと組み合わせたものなどを含むモノマーから(例えば、フリーラジカル重合により)調製可能なものが挙げられる。このようなフルオロポリマーの具体例としては、フッ化ポリビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンの共重合体;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロプロピルビニルエーテル、およびフッ化ビニリデンの共重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル));および、これらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
有用な市販の熱可塑性フルオロポリマーとしては、例えば、ミネソタ州オークデール、ダイニオン社(Dyneon,LLC,Oakdale,Minnesota)により「THV」(例えば、「THV 220」、「THV 400G」、「THV 500G」、「THV 815」、および「THV 610X」)、「PVDF」、「PFA」、「HTE」、「ETFE」および「FEP」の商品名で市販されているもの;ペンシルバニア州フィラデルフィア、アトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals,Philadelphia,Pennsylvania)により「カイナー(KYNAR)」(例えば、「カイナー(KYNAR)740」)の商品名で市販されているもの;ニュージャージー州ソロフェア、ソルベイ・ソレクシス(Solvay Solexis,Thorofare,New Jergey)により「ハイラー(HYLAR)」(例えば、「ハイラー(HYLAR)700」)および「ヘイラー(HALAR)ECTFE」の商品名で市販されているものが挙げられる。
【0021】
ブロック共重合体は、一般に、異なるモノマーを逐次的に重合させることにより生成される。ブロック共重合体の生成に有用な方法としては、例えば、アニオン重合法、配位重合法、カチオン重合法、およびフリーラジカル重合法が挙げられる。
【0022】
本発明の実施に有用なブロック共重合体は、少なくとも2つの化学的に別個のブロックを含み、各ブロックは少なくとも5つのモノマー単位を含む。ブロック共重合体は、それが層状ケイ酸塩と適合性のあるブロックと層状ケイ酸塩と適合性のない少なくとも1つの別のブロック(即ち、このブロックは層状ケイ酸塩にインターカレートされない)を含むように選択される。更に、別のブロックは、熱可塑性ポリマー中に含有されるセグメントと同一の、5つの連続したモノマー単位のセグメントを含有せず、別のブロックはそれぞれ熱可塑性ポリマーと不混和性であり、別のブロックは熱可塑性ポリマーと水素結合も化学結合も形成しない。
【0023】
有用なブロック共重合体は、2以上の任意の数のブロックを有してもよく(例えば、ジ−ブロック共重合体、トリ−ブロック共重合体、テトラ−ブロック共重合体)、例えば、線状、星形、櫛形、又は、梯子形などの任意の形態を有してもよい。一般に、少なくとも1つのブロックが、選択された層状ケイ酸塩(有機粘土を含む)に対する親和性を有していなければならない。このブロックは、本質的に、親水性であっても又は疎水性(例えば、有機粘土を使用するとき)であってもよい。
【0024】
親水性ブロックは、典型的には、例えば、酸(例えば、−CO2H、−SO3H、−PO3H);−OH;−SH;一級、二級、又は三級のアミン;アンモニウムN−置換又は非置換のアミドおよびラクタム;N−置換又は非置換のチオアミドおよびチオラクタム;無水物;直鎖又は環式のエーテルおよびポリエーテル;イソシアネート;シアネート;ニトリル;カルバメート;尿素類;チオ尿素類;複素環式アミン(例えば、ピリジン又はイミダゾール)などの1つ以上の極性部分を有する。このような基を導入するのに使用され得る有用なモノマーとしては、例えば、酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられ、そして、(特許文献11)(ネルソン(Nelson)ら)に記載されるようにt−ブチルメタクリレートモノマー単位の酸触媒脱保護反応により形成されるメタクリル酸官能性を含む);アクリレートおよびメタクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート)、アクリルアミドおよびメタクリルアミド、N−置換およびN,N−二置換のアクリルアミド(例えば、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド)、N−エチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、およびN−エチル−N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド)、脂肪族アミン(例えば、3−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン);および、複素環式モノマー(例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−(2−アミノエチル)ピリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、3−アミノキヌクリジン、N−ビニルピロリドン、およびN−ビニルカプロラクタム)が挙げられる。
【0025】
疎水性ブロックは、典型的には、例えば、炭素数が少なくとも4、8、12、又は更には18のものなどの脂肪族および芳香族の炭化水素部分;例えば、炭素数が少なくとも4、8、12、又は更には18のものなどのフッ素化脂肪族および/又はフッ素化芳香族の炭化水素部分;および、シリコーン部分などの1つ以上の疎水性部分を有する。
【0026】
このようなブロックを導入するのに有用なモノマーとしては、例えば、炭化水素オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、スチレン、およびブタジエンなど);環式シロキサン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンなど);フッ素化オレフィン(例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、およびクロロフルオロエチレンなど);非フッ素化アルキルアクリレートおよびメタクリレート(例えば、ブチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなど);フッ素化アクリレート(例えば、式、H2C=C(R2)C(O)O−X−N(R)SO2f(式中、Rfは−C613、−C49、又は−C37であり;Rは水素、C1〜C10アルキル、又はC6〜C10アリールであり;Xは2価の連結基である)を有するパーフルオロアルキルスルホンアミドアルキルアクリレートおよびメタクリレートなど)が挙げられる。例としては、
49SO2N(CH3)C24OC(O)NH(C64)CH264NHC(O)OC24OC(O)CH=CH2、および、
49SO2N(CH3)C24OC(O)NH(C64)CH264NHC(O)OC24OC(O)C(CH3)=CH2
が挙げられる。
【0027】
このようなモノマーは、供給業者から容易に入手することができるか、又は、例えば、(特許文献12)米国特許出願公開第2004/0023016号明細書(サーノハウス(Cernohous)ら)の手順により調製することもできる。
【0028】
疎水性ブロックと親水性ブロックを有する有用なブロック共重合体の例としては、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−2−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−アクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド);ポリ(スチレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−N−ビニルピロリドン共重合体);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸));ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸);ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸));および、ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸))、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イソプレン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N,N−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ジエチルアミノスチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−グリシジルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−N−ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸))、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−メタクリル酸)(ここで、「MeFBSEMA」は、例えば、ミネソタ州セントポール、3M社(3M Company,Saint Paul,Minnesota)から入手可能な2−(N−メチルパーフルオロブタンスルホンアミド)エチルメタクリレートを指す)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸−co−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−co−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−イソプレン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸−co−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−co−MeFBSEMA))、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−無水メタクリル酸)、ポリ(MeFBSEMA−ブロック−(メタクリル酸−co−無水メタクリル酸))、ポリ(スチレン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−co−MeFBSEMA))、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−t−ブチルメタクリレート−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−無水メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブタジエン−ブロック−メタクリル酸−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸)−ブロック−MeFBSEMA)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(無水メタクリル酸−co−メタクリル酸−co−MeFBSEMA))、およびポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−(t−ブチルメタクリレート−co−MeFBSEMA))の水素化された形態が挙げられる。
【0029】
一般に、ブロック共重合体は、少なくとも1つのブロックが層状ケイ酸塩にインターカレートできるように選択されなければならない。天然および合成の粘土では、これは、典型的には、少なくとも1つのブロックが親水性でなければならないことを意味するが、有機粘土の場合、このブロックは親水性であっても又は疎水性であってもよい。ブロック共重合体の残りのブロックの選択は、典型的には、層状ケイ酸塩とブロック共重合体が後で配合される任意のポリマー樹脂の性質に支配される。別のブロックは熱可塑性ポリマーと不混和性でなければならないが、追加のブロックのうち少なくとも1つ(例えば、全て)は、典型的には、粘土自体よりも熱可塑性ポリマーとより適合性があるように選択される。例えば、ポリオレフィン、ポリ(アルキルアクリレート)、スチレン系樹脂、ポリシロキサン、およびフルオロポリマーなどの親油性ブロックは、典型的に、ポリオレフィン、スチレン系樹脂、およびフルオロポリマーなどの親油性熱可塑性ポリマーに有用である。
【0030】
任意の量のブロック共重合体を使用してもよいが、典型的には、このブロック共重合体は、最初の混合物中に含まれる層状ケイ酸塩1部につき0.01〜10重量部以上の範囲の量で含まれる。より典型的には、このブロック共重合体は、最初の混合物中に含まれる層状ケイ酸塩1部につき0.05〜2重量部以上の範囲の量で含まれる。
【0031】
例えば、層状ケイ酸塩のインターカレーションおよび/又は剥離を助けるため、任意に、溶媒をブロック共重合体および層状ケイ酸塩と配合してもよい。有用な溶媒としては、例えば、有機溶媒、水、超臨界CO2、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機溶媒の例としては、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、β−エトキシエチルアセテート、β−ブトキシ−β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、メトキシトリグリコールアセテート、およびソルビトールアセテート)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン、2−ブタノン、アセトニルアセトン、およびアセトン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、およびキシレン)、脂肪族炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、およびドデカン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリム)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、ブチルカルビトール、メチルカルビトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、およびジアセトンアルコール)、ハロカーボン(例えば、四塩化炭素、メチレンクロライド、トリフルオロトルエン、およびクロロホルム)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0032】
しかし、溶媒を使用する場合、ブロック共重合体およびインターカレートされた層状ケイ酸塩および/又は剥離ケイ酸塩小板を含む混合物中における溶媒の含量は、典型的には、低レベルまで低減されるが、これは必要条件ではない。例えば、本発明による混合物および/又はナノコンポジットは、溶媒を本質的に含まなくてもよい(即ち、溶媒の含有量が1%未満である)。溶媒の除去方法としては、例えば、オーブン乾燥、および減圧下での蒸発が挙げられる。
【0033】
任意に、組成物は、例えば、界面活性剤、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、着色剤、香料、又は抗微生物剤などの1種類以上の添加剤を更に含有してもよい。
【0034】
本発明による組成物は、典型的には、流体状態で(例えば、溶融物として、又は任意選択的な溶媒中で)調製され、処理されるが、それらは、例えば、冷却後および/又は任意選択的溶媒を除去した後に固体として使用することもできる。
【0035】
任意の好適な方法で、本発明による組成物を製造することができる。
【0036】
1つの例示的方法では、層状ケイ酸塩、熱可塑性ポリマー、ブロック共重合体、および、層状ケイ酸塩を膨潤させ、且つ熱可塑性ポリマーおよびブロック共重合体を溶解させることができる溶媒を混合し、その後、(例えば、オーブン又はロータリーエバポレータで)溶媒を蒸発させる。
【0037】
別の例示的方法では、本組成物の構成成分は混練機又は押出機内で素練りされる。このような装置は周知であり、そして/又は容易に商業的に入手可能であり、典型的には、液化性能(例えば、真空ポート)および/又は温度制御ゾーンが装備されている。上記装置は、材料を導入および取り出すための単一のポートを(真空ポート以外に)有してもよく、又は、押出機若しくは高粘度処理装置の場合のように、装置は別々の入口ポートと出口ポートを有してもよい。
【0038】
組成物の構成成分が溶媒を含む場合、溶媒は、典型的には、素練り中に部分真空下で除去される。例えば、「METHOD OF MAKING A COMPOSITION AND NANOCOMPOSITES THEREROM」(ネルソン(Nelson)ら)と題され、代理人整理番号第60060US002を有する同時出願の米国特許出願に記載されている。
【0039】
典型的には、真空装置と共に供給される好適な高粘度処理装置(即ち、混練機)の一例は、「ディスコサーム(DISCOTHERM)B」の商品名でマサチューセッツ州アクトン、リストUSA社(List USA,Inc,Acton,Massachusetts)により市販されている高粘度処理装置である。
【0040】
真空システムが装着されている好適な混練機の別の例は、ノースカロライナ州ウィルミントン、IKAワークス社(IKA Works,Inc.,Wilmington,North Carolina)により「MKD 0,6−H60高性能計量混練機(MKD 0,6−H60 HIGH−PERFORMANCE MEASURING KNEADER)」の商品名で市販されているものである。
【0041】
好適な高性能混練機の更に別の例は、「スルゴ・シグマ混練機(SRUGO SIGMA KNEADER)」の商品名でイスラエル、ネティボット、スルゴ・マシーンズ・エンジニアリング(Srugo Machines Engineering,Netivot,Israel)から市販されている。この混練機を混練機の真空ポートで真空装置に接続することができる。
【0042】
有用な押出機としては、例えば、一軸スクリュー押出機および多軸スクリュー押出機、並びに往復式押出機が挙げられる。好適な押出機の例としては、スイス、プラッテルン、コペリオン・ブス社(Coperion Buss AG,Pratteln,Switzerland)により「MKS」、例えば、「MKS 30」の商品名で市販されているものが挙げられる。
【0043】
層状ケイ酸塩のインターカレーションおよび/又は剥離の程度を、例えば、構成成分の濃度又は組成、混合装置内の圧力(即ち、真空)、プロセスの温度プロファイル(例えば、恒温又は昇降温(ramped))、スクリュ設計、材料の添加の程度、加えられる剪断力および/又は速度のレベル、ならびに混合プロセスの持続時間を含む変数で大部分、制御することができる。例えば、インターカレーションおよび/又は剥離は、典型的には、温度を上昇させること又は溶媒の除去速度を減少させる(例えば、真空に引く程度を小さくする)ことにより促進され得る。温度を選択する際、溶媒、層状ケイ酸塩、およびブロック共重合体の物理的特性および化学的特性は、例えば、層状ケイ酸塩および/又はブロック共重合体の分解が比較的低レベルに維持され得るように考慮されなければならない。このような変数は、連続的又は段階的に変更することもできるし、又は、一定のレベルに維持することもできる。処理を助けるため、混練機又は押出機の温度は、典型的には、ブロック共重合体のガラス転移温度および/又は溶融温度より高温に保持されるが、これは必要条件ではない。
【0044】
どの方法を使用しても、その方法は、層状ケイ酸塩の少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は、更には少なくとも90重量%が剥離され、熱可塑性ポリマー中に分散された複数の剥離ケイ酸塩小板を形成することを確実にするのに十分な持続時間を有していなければならない。
【0045】
本発明の方法は、バッチプロセスで実施されても又は連続的に実施されてもよい。
【0046】
本発明により調製された組成物は、分散体、典型的には、熱可塑性ポリマー中の剥離ケイ酸塩小板の等方性分散体である。剥離ケイ酸塩小板が熱可塑性樹脂中に分散できるように、ブロック共重合体は、典型的には剥離ケイ酸塩小板と結合し、分散助剤の役割をする。組成物中の剥離ケイ酸塩小板の量は、任意の量であってよいが、組成物の総重量を基準にして、典型的には0.1〜10重量%の範囲、より典型的には0.5〜7重量%の範囲、更により典型的には1〜5重量%の範囲である。
【0047】
同様に、幾つかの実施形態では、組成物中の層状ケイ酸塩に対する剥離ケイ酸塩小板の重量比は、少なくとも0.2、0.5、1、2、3、4、5、10、又は50以上であってもよいが、より小さい重量比を使用してもよい。例えば、本発明の方法では、層状ケイ酸塩は、使用される層状ケイ酸塩の初期重量を基準にして、少なくとも40%、50%、60%、70%、又は更には少なくとも95%剥離されてもよい。幾つかの場合、層状ケイ酸塩の実質的に全てが剥離されてもよい。
【0048】
本発明により調製されたナノコンポジットは、例えば、バリアフィルム又はボトル、および難燃性材料の製造に有用である。
【0049】
以下の非限定的な実施例で本発明の目的および利点を更に説明するが、これらの実施例に引用される特定の材料およびその量、並びに、他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0050】
別途記載されない限り、実施例および本明細書の残りの部分における全ての部、パーセンテージ、比などは、重量によるものであり、実施例で使用する全ての試薬は、例えば、ミズーリ州セントルイス、シグマ−アルドリッチ社(Sigma−Aldrich Company,Saint Louis,Missouri)などの一般的な化学物質供給業者から入手されたか、若しくはそこから入手可能であるか、又は、慣用的な方法で合成することができる。
【0051】
実施例全体を通して、以下の略称を使用する:
【0052】
【表1】


【0053】
実施例において以下の手順を使用した:
(XRDおよびTEM解析用フィルムの作製)
厚さ1mmのフィルムのXRDおよびTEMによる解析を行った。フィルムを形成するため、解析される各材料を厚さ0.051mmの無処理のポリエステルライナー間に配置し、それを2枚のアルミニウムプレート(それぞれ厚さ3.2mm)間に配置して積み重ねを形成した。組み立てられた積み重ねをプレスした時、混合物がどちらのシムとも接触しないように2枚のシム(それぞれ厚さ1mm)を積み重ねの両側に配置した。各積み重ねを、「ウォバッシュMPIモデルG30H−15−LP(WABASH MPI MODEL G30H−15−LP)」の商品名でインディアナ州ウォバッシュ、ウォバッシュMPI(Wabash MPI,Wabash,Indiana)から入手可能な油圧熱プレス機内に配置した。上部と下部のプレス板を193℃に加熱した。積み重ねを1分間、1500psi(10Mpa)でプレスした。次いで、高温の積み重ねを30秒間、低圧水冷プレス(low-pressure water-cooled press)に移動させて積み重ねを冷却した。積み重ねを解体し、混合物をプレスすることにより得られたフィルムディスクの両側からライナーを除去した。
【0054】
(X線回折(XRD))
四軸回折装置(「フーバー(HUBER)(424/511.1)」の商品名で、ドイツ、D83253リムスティング、フーバー・ディフラクツィオンステヒニク社(Huber Diffraktionstechnik GmbH,D83253 Rimsting,Germany)から入手可能)、CuK−α線、および散乱線のシンチレーション検出器レジストリを使用して反射ジオメトリX線散乱データを収集した。入射ビームを平行にして0.70mmの円形の孔に到達させた。0.5〜10度(2θ)の反射ジオメトリで0.05度のステップサイズ(step size)および10秒の静止時間(dwell time)を使用して走査を行った。封入管型X線源および40kVおよび20mAのX線発生装置設定を使用した。「ジェード(JADE)」の商品名でカリフォルニア州リバーモア、MDI社(MDI,Inc.,Livermore,California)から入手可能なX線回折解析ソフトウェアを使用してデータ解析およびピーク位置の定義を決定した。
【0055】
(透過型電子顕微鏡法(TEM))
「ジオル(JEOL)200CX」の商品名でマサチューセッツ州ピーボディ、ジオルUSA(JEOL USA,Peabody,Massachusetts)から入手可能な、200kVで作動する透過型電子顕微鏡を使用してTEMを実施した。
【0056】
(分子量および多分散性)
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析で平均分子量および多分散性を決定した。サンプル約25mgをTHF10ミリリットル(mL)中に溶解させ、混合物を形成した。孔径0.2ミクロンのポリテトラフルオロエチレンシリンジフィルタを使用して、混合物を濾過した。次いで、オートサンプラーとポンプを装備したGPCシステムの一部である、「PLゲル−ミックスト(PLGEL−MIXED)B」の商品名でマサチューセッツ州アマースト、ポリマー・ラボズ(PolymerLabs,Amherst,Massachusetts)から入手可能な長さ25cm×直径1cmのゲル充填カラムに、濾過した溶液約150マイクロリットルを注入した。GPCは、約0.95mL/分の流量で移動するTHF溶離液を使用して室温で操作されるシステムであった。屈折率検出器を使用して濃度の変化を検出した。分子量600〜6×106g/モルの範囲の狭い多分散性ポリスチレン標準を使用して、数平均分子量(Mn)および多分散性指数(PDI)の計算を較正した。実際の計算は、ソフトウェア(「キャリバ(CALIBER)」の商品名でポリマー・ラボズ(Polymer Labs)から入手可能)を用いて行った。
【0057】
1H NMR分光法)
1H核磁気共鳴(1H NMR)分光分析で各ブロックの相対的濃度を決定した。試料を約10重量%の濃度で重水素化クロロホルム中に溶解させ、「ユニティ500MHZ NMRスペクトロメータ(UNITY 500MHZ NMR SPECTROMETER)」の商品名でカリフォルニア州パロアルト、バリアン社(Varian,Inc.,Palo Alto,California)から入手可能な500MHz NMR分光計内に配置した。ブロック構成成分の固有スペクトルの相対的面積からブロック濃度を計算した。
【0058】
(降伏応力および引張弾性率の測定)
ペレット化されたナノコンポジット部分を、「ミニジェクター・モデル45(MINI−JECTOR MODEL 45)」の商品名でオハイオ州ニューベリー、ミニジェクター・マシーナリー社(Mini−Jector Machinery Corp.,Newbury,Ohio)から入手可能な射出成形機を使用して180℃および70psi(0.48MPa)で射出成形した。物理的特性試験用に引張試験片を作り、ASTM D1708−2a「マイクロ引張試験片の使用によるプラスチックの引張特性のための標準試験方法(2002)」に従って作製した。「インストロン(INSTRON)5500R」の商品名でマサチューセッツ州カントン、インストロン社(Instron Corporation,Canton,Massachusetts)から入手可能な引張試験機でサンプルを試験した。その部分を、温度と湿度が制御された室内で21.1℃および相対湿度55パーセントで50.8mm/分の速度で引張した。報告する結果は5つの個々の測定の平均を表す。
【0059】
実施例において、以下の一般的手順を使用する。
【0060】
(混合のための一般的バッチ手順)
「ブラベンダ・プラスチ−コーダー・モデル(BRABENDER PLASTI−CORDER MODEL)PL2100」(BPM)の商品名でニュージャージー州サウスハッケンサック、ブラベンダー(Brabender,South Hackensack,New Jersey)から入手可能な溶融ミキサ中で構成成分を混合した。ミキサにローラーブレードミキシングパドルを使用する型式6のミキサーヘッドを装備した。混合中、バッチ温度とトルクを測定した。ミキサに熱可塑性ポリマーを添加し、180℃の温度と50rpmのパドル速度で溶融させる。温度が平衡に達した後、ブロック共重合体と層状ケイ酸塩を同時に添加する。コンポジットを30分間混合する。
【0061】
(連続二軸スクリュ押出のための一般的手順)
「コペリオンZSK−25ワールド・ラボ・押出機(COPERION ZSK−25 WORLD LAB EXTRUDER)」の商品名でニュージャージー州ラムジー、コペリオン(Coperion,Ramsey,New Jersey)から入手可能な、L/D41:1の同時回転式25mm二軸スクリュ押出機を使用して押し出しを実施した。これらの実施例で使用する押出機モデルのバレルゾーンは、長さ4D(100mm)である。二軸設計を使用してもよい。
【0062】
(スクリュ設計A)
バレルゾーン2および3にブロック共重合体と粘土材料を添加する前に均質な溶融物流を作り出すため、スクリュ設計に、コペリオン(Coperion)から入手可能な「ZME」の商品名の、主に歯車式混合要素からなる全長1.76D(即ち、孔径の1.76倍)の分配混合セクションが組み込まれる。手動でブレンドされたブロック共重合体と粘土粉末添加物を、大気に開放している2Dポートを通して押出機のバレルゾーン3に添加した後、溶融樹脂中に組み込み、溶融させるため、バレルゾーン4に低〜中程度の剪断強度の混練セクションを使用する。この混練セクションの全長は、2.5Dである。挿入深さ熱電対(immersion-depth thermocouple)で、この混練セクション全体にわたって溶融物流の温度をモニタし、記録した。バレルゾーン5の始めにある小さい大気ベント(長さ1D)により、粉末添加で捕捉された空気の排出が可能であった。バレルゾーン5、6および7にまたがり、大きい剪断力を利用する前方混練ブロック(forward kneading block)を有する5.5Dの混練セクションは、粘土がホスト樹脂中に分散し、剥離するように設計されている。混合セクションに溶融物が充填されることを確実にするため、そして剥離粘土材料をコンポジット全体に分配するため、混合セクションは、狭幅のパドルを備える3つの逆回転混練ブロック(reverse kneading block)により下流端が密閉される。挿入深さ熱電対を使用して、この混練セクション内の材料の溶融温度をモニタし、記録する。大きい剪断力を利用する前方混練ブロックを有する別の5D混合セクションをゾーン8および9で使用し、粘土粒子を更に剥離させるため、更に剪断力を提供した。バレルゾーン7に注入される窒素スイープガス(sweep gas)が、ほとんど充填されている混合ゾーンを端から端まで自由に流動してバレルゾーン9の真空ベント(長さ2D)に到達し、あらゆる揮発性物質を除去するように、このセクションは逆回転混練ブロックで密閉されない。このベントで52トル(6.9kPa)の真空に引く。
【0063】
(スクリュ設計B)
この設計は、スクリュ設計Aに類似しているが、2つの下流混合セクションが、設計Aの使用する、より広幅のパドルを備える大きい剪断力を利用するブロックの代わりに、中程度の剪断力の前方混練ブロックを使用するという点が異なる。これらの混合ゾーンは、また、スクリュ設計Aより狭い混練ディスクを使用するため、スクリュ設計Aより長さが短い。これらの混合セクションの全長は、それぞれ3Dおよび3Dであり、それに対してスクリュ設計Aの対応する混合セクションでは5.5Dおよび5Dである。全体的に、スクリュBは、スクリュAより剪断強度が小さい。
【0064】
二軸スクリュ押出機の供給ゾーンへの溶融樹脂の連続的な押出は、「キリオン(KILLION)KTS−125」の商品名でコネチカット州ポーカタック、デービス−スタンダード(Davis−Standard,Pawcatuck,Connecticut)から入手可能な、24のねじ山(flight)を有する3.0:1圧縮汎用スクリュが装備されている1.25インチ(3.18cm)一軸スクリュ押出機を使用することにより達成される。粉末添加剤を手動でブレンドし、「K−トロン重量式フィーダ、モデルKCLKT20(K−TRON GRAVIMETRIC FEEDER,MODEL KCLKT20)」の商品名でニュージャージー州ピットマン、K−トロン・インターナショナル(K−Tron International,Pitman,New Jersey)から入手可能な二軸オーガスクリュ(twin auger screw)を装備した重量式フィーダを使用して二軸スクリュ押出機のバレルゾーン3に供給した。「ノーマグ(NORMAG)」の商品名でノースカロライナ州ヒッコリー、ダイニスコ・エクストルージョン(Dynisco Extrusion,Hickory,North Carolina)から入手可能な10.3mL/回転のギヤポンプで、溶融したコンポジットを計量し、直径1/2インチ(1.3cm)のパイプを通して押し出し、ストランドを形成した。この押し出されたストランドを、マサチューセッツ州ウスター、バーリン社(Berlyn Corporation,Worcester,Massachusetts)から入手可能な8フィート(2.4m)の水浴中で冷却し、「コネア・モデル304(CONAIR MODEL 304)」の商品名でオハイオ州ケント、リダクション・エンジニアリング(Reduction Engineering,Kent,Ohio)から入手可能なストランドペレタイザーを使用してペレット化した。
【0065】
(実施例1〜12)
ブロック共重合体、層状ケイ酸塩、および熱可塑性ポリマーを表1(下記)に報告する量で混合し、連続二軸スクリュ押出の一般的手順に従って押し出した。
【0066】
【表2】

【0067】
実施例1〜12の押出条件を表2(下記)に報告し、これにXRDで決定した層状ケイ酸塩の形態も報告する。
【0068】
【表3】


【0069】
(実施例13〜17)
熱可塑性ポリマーとしてPPを使用し、連続二軸スクリュ押出の一般的手順に従って実施例13〜17を調製した。実施例17はPPを使用して調製されたが、ブロック共重合体又は層状ケイ酸塩を添加しなかった。表3(下記)は、ペレット化された押出物の組成および対応する物理的特性を報告する。
【0070】
【表4】

【0071】
(実施例18〜20)
混合の一般的バッチ手順に従って実施例18〜20を実施した。得られた溶融混合物を溶融ミキサから取り出して室温に冷却し、プレスしてフィルムにし、XRDで解析した。表4(下記)は、組成および層状ケイ酸塩の形態を報告する。
【0072】
【表5】

【0073】
(実施例21)
P(I−VP)(100g)をTHF800g中に溶解させた。この溶液にOC1(100g)を添加した。THFが全て除去されるまで、この溶液を80℃のバッチ真空オーブン内で12時間乾燥させた。得られたマスターバッチのP(I−VP):OC1の重量比は1:1であった。
【0074】
オハイオ州ハドソン、コベルコ・スチュワート・ボーリング(Kobelco Stewart Bolling,Hudson,Ohio)から入手した速度可変2本ロールミルを使用して、マスターバッチ30gとFE300gをコンパウンド化した。ローラーは、直径6インチ(15cm)、長さ12インチ(30cm)であり、ロール速度は毎分31回転(rpm)であった。FEをロール上で帯状にした(banded)後、マスターバッチを添加し、帯状物を切断し、得られた混合物の外観が均質になるまで(約10分)ロールバンクを通過させることにより混合した。ロール速度は31rpmであった。ミルで得られた混合物をプレスしてフィルムにし、XRDで解析したが、それによってd−層間隔は3.5nmに増大した(インターカレーションを示す)ことが分かった。
【0075】
本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者により本発明に様々な修正および変更がなされ得、本発明は、本明細書に記載される例示的実施形態に不当に限定されるものではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状ケイ酸塩、
熱可塑性ポリマー、および
前記層状ケイ酸塩と適合性があるブロックと、前記層状ケイ酸塩と適合性がない少なくとも1つの別のブロックとを含むブロック共重合体、
を含む構成成分を配合する工程、ならびに
前記層状ケイ酸塩の少なくとも20重量%を剥離させ、前記熱可塑性ポリマー中に分散された複数の剥離ケイ酸塩小板を形成する工程、
を含むナノコンポジットの製造方法であって、
別のブロックは、前記熱可塑性ポリマー中に含有されているセグメントと同一の、5つの連続したモノマー単位のセグメントを含有せず、別のブロックはそれぞれ前記熱可塑性ポリマーと不混和性であり、別のブロックは前記熱可塑性ポリマーと水素結合も化学結合も形成しない方法。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、フルオロポリマー、又はポリスチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記層状ケイ酸塩が、少なくとも40%剥離される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層状ケイ酸塩が、少なくとも70%剥離される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記層状ケイ酸塩の少なくとも95重量%が剥離される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記構成成分が溶媒を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロック共重合体がジブロック重合体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ブロック共重合体が、ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)およびポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)の水素化された形態からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、フルオロヘクトライト、スチブンサイト、ボルコンスコアイト、マガディアイト、ケニヤアイト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、合成層状ケイ酸塩、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記層状ケイ酸塩が有機粘土を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
最初の混合物中に含まれる、前記層状ケイ酸塩に対する前記ブロック共重合体の重量比が、0.01〜10(両端を含む)の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
最初の混合物中に含まれる、前記層状ケイ酸塩に対する前記ブロック共重合体の重量比が、0.05〜2(両端を含む)の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
剥離ケイ酸塩小板、
熱可塑性ポリマー、および
前記層状ケイ酸塩と適合性があるブロックと、前記層状ケイ酸塩と適合性がない少なくとも1つの別のブロックとを含むブロック共重合体であって、別のブロックは、前記熱可塑性ポリマー中に含有されているセグメントと同一の、5つの連続したモノマー単位のセグメントを含有せず、別のブロックはそれぞれ前記熱可塑性ポリマーと不混和性であり、別のブロックは前記熱可塑性ポリマーと水素結合も化学結合も形成しないブロック共重合体、
を含むナノコンポジットであって、
前記ナノコンポジットが層状ケイ酸塩を含まないか、又は、前記層状ケイ酸塩に対する剥離ケイ酸塩小板の重量比が少なくとも0.2であるナノコンポジット。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィンおよびフルオロポリマーからなる群から選択される、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選択される、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項17】
前記ブロック共重合体が、ジブロックポリマーを含む、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項18】
前記ブロック共重合体が、ポリ(スチレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン);ポリ(ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−4−ビニルピリジン)、およびポリ(イソプレン−ブロック−4−ビニルピリジン)の水素化された形態からなる群から選択される、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項19】
前記ケイ酸塩小板の少なくとも一部が、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベントナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、フルオロヘクトライト、スチブンサイト、ボルコンスコアイト、マガディアイト、ケニヤアイト、ハロイサイト、ハイドロタルサイト、および合成層状ケイ酸塩からなる群から選択される層状ケイ酸塩の層を含む、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項20】
前記ケイ酸塩小板に対する前記ブロック共重合体の重量比が、0.01〜10(両端を含む)の範囲である、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項21】
前記剥離ケイ酸塩小板が、ナノコンポジットの1〜5重量%(両端を含む)を構成する、請求項14に記載のナノコンポジット。
【請求項22】
前記ナノコンポジットが、フィルム又はボトルの少なくとも一部を構成する、請求項14に記載のナノコンポジット。

【公表番号】特表2008−514750(P2008−514750A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533481(P2007−533481)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/030017
【国際公開番号】WO2006/135397
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】