説明

ナノメートルオーダーで配列制御されたカーボンナノチューブ・合成高分子複合材料

【課題】カーボンナノチューブの配列を制御してカーボンナノチューブを含む新規材料を提供する。
【解決手段】式(I)で表される反復単位を有するポルフィリンポリマーがカーボンナノチューブに巻きついた棒状会合体が平行かつ等間隔に配列されたシート構造から成るカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノテクノロジーの技術分野に属し、特に配列制御されたカーボンナノチューブを含む新規な複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飯島澄男らによってフラーレン製造時の堆積物中に発見されたカーボンナノチューブは、ナノテクノロジーの新素材の一つとして注目を集めている〔S. Iijima他、Nature, 363,
603-605 (1993)(非特許文献1)〕。
【0003】
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略称することがある)は、グラファイトのシート(グラフェンシート)が円筒状に丸まった形状から成る炭素物質であり、グラフェンシートが1枚円筒状になった単層カーボンナノチューブと、複数のグラフェンシートが同心円筒状になった多層カーボンナノチューブとがあることが知られている。
【0004】
CNTは、発見されて以来、その特異な構造に基づく研究ツールとして注目されるとともに、導電性材料など各種の機能性材料(ナノデバイス)として応用面でも嘱望されている。しかしながら、CNTは広いπ表面を持つため凝集しやすく、溶媒に難溶であり、一般の有機化合物のように自己凝集能を利用する大きな構造体を得ることが困難であり、このことがCNTの応用を図る際の障害の一つとなっている。CNTを規則的に配列された構造を構築することができれば、CNTの特性を活かした新しい機能性材料の開発に資することができるものと期待されるが、そのような技術は見当たらない。
【非特許文献1】S. Iijima他、Nature, 363, 603-605 (1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、カーボンナノチューブの配列を制御してカーボンナノチューブを含む新しい材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、特定の有機化合物がカーボンナノチューブに巻きつくことに注目し、この作用を利用することにより、カーボンナノチューブを含む新しい構造体が得られることを見出し、本発明を導き出したものである。
かくして本発明に従えば、下記の式(I)で表される反復単位を有するポルフィリンポリマーがカーボンナノチューブに巻き付いた棒状会合体が平行かつ等間隔に配列されたシート構造から成ることを特徴とするカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料が提供される。
【0007】
【化1】

式(I)中、Mは、水素原子、または金属ポルフィリンポリマーを形成し得るものとして知られた金属を表し、(A)は下記の式(a−1)、(a−2)、(a−3)または(a−4)から選ばれる原子団を表し、(B)は下記の式(b−1)、(b−2)または(b−3)から選ばれる原子団を表す。
【0008】
【化2】

式(a−1)中、nは8から12の整数を表す。
【0009】
【化3】

式(b−1)または式(b−2)中、Rは炭素数が4〜15のアルキル基またはオキシエチレン鎖を表す。
【0010】
さらに、本発明は、前記のカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料を製造する方法であって、水性溶媒中でカーボンナノチューブとポルフィリンポリマーを超音波処理した後、上澄みを採取する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の複合材料を構成するポルフィリンポリマーの反復単位を表す式(I)において、Mは水素原子または金属原子を表す。金属原子としては、金属ポルフィリン(ポルフィリン錯体)を形成し得るものとして従来より知られたもののいずれでもよく、具体的には、亜鉛、コバルト、鉄、ロジウム、マンガン、マグネシウム、金、錫、ルテニウムなどが挙げられるが、亜鉛(Zn)が最も一般的である。
【0012】
式(I)において、Aは、メソ位のフェニル環を介してポルフィリン環を架橋するストラップとして機能する部位である。Aとしては、(a−1)、(a−2)、(a−3)、および(a−4)のうち(a−1)のアルキル基が一般的であり、特にデシル基が好ましく、デシルジオキシ鎖としてポルフィリン環をストラップしたものが用いられる。
【0013】
式(I)において、Bは、得られるシート構造の複合材料において、後述するように棒状会合体の間隔を定めるよう機能する部位である。Bとしては、(b−1)、(b−2)、および(b−3)のうち、(b−2)が好ましく、Rとして炭素数4〜15、特に炭素数6〜12のアルキル基から成るものが最も一般的に用いられる。
【0014】
本発明において用いられる如上のポルフィリンポリマーは、既知の各種の反応を工夫することにより合成することができる。図1には、ポルフィリンポリマーの合成スキームの1例を示している。
なお、本発明において用いられるポルフィリンポリマーの反復単位の数(図1に示すPro-6のnに相当する)は、10以上であることが好ましく、一般的には10〜20である。
【0015】
本発明に従いカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料を製造するには、カーボンナノチューブ(CNT)と上述したようなポルフィリンポリマー(以下、Porと略記することがある)とを水性溶媒中で超音波処理した後、上澄み(上澄み液)を採取する。ここで、水性溶媒とは、水または水と極性溶媒の混合溶媒である。実際の製造に当たっては、切断した単層CNTを水に分散させた溶液に、Porの極性溶媒(例えば、THF:テトラヒドロフラン)溶液を添加、混合して超音波処理(一般的には15〜30分間)に供した後、遠心分離操作にかけて上澄みを採取するのが一般的である。目的の複合材料を得るには、CNTとPorが適当な比で存在することが望ましい。例えば、ポルフィリンポリマーのポルフィリン1ユニットあたりの濃度をμMで表し、CNTの濃度をmg/Lで表した場合[Porの濃度]/[CNTの濃度]が3〜4の範囲にあるのが好ましい。
【0016】
このようにして、式(I)で表され反復単位を有するPorがCNTに巻きついた棒状会合体が平行かつ等間隔に配列されたシート構造から成るCNT・Por複合材料が得られる。これは、以下のようなメカニズムによるものと理解される。
【0017】
式(I)で表されるようなストラップされたポルフィリン環をモノマーユニットとするPorは、ストラップのない面〔式(I)においてAの存在しない側の面〕において、ポルフィリン環のπ表面と1次元方向に広がったCNTのπ表面との間のπ−π相互作用により、CNTに巻きついて棒状の会合体を形成する。さらに、この棒状会合体の側面に存在するアルキル鎖等〔式(I)においてBが有するアルキル鎖等〕のvan der Waals力により、その会合体が互いにパッキングして2次元的に広がったシート構造が形成される。図2は、この様子を模式的に示すものである。棒状会合体の間隔は、ナノメートルのオーダーであり、式(I)において原子団Bが有するアルキル鎖等の鎖長を変えることにより、変化させることができる(一般的には1〜5nmの範囲)。
【0018】
本発明に従えば、以下のような構造の複合材料が得られることは、吸収スペクトル測定、蛍光スペクトル測定、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察など各種の分析手段により確認されている(後述の実施例参照)。
以下に本発明の特徴をさらに明らかにするため実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0019】
ポルフィリンポリマーの合成
図1に示す反応スキームに従って、本発明の複合材料において用いられるポルフィリンポリマーとして、式(I)において、MがZn(亜鉛)、Aが(CH2)10、Bが式(b−2)でありRが炭素数6のアルキルであるポルフィリンポリマー(以下、Por−6と略記することがある)を合成した。なお、用いたポルフィリンポリマー反復単位の数(n)は、12である。
【0020】
(1)1,10−ビス(5−ブロモ−o−ホルミルフェノキシ)デカンの合成(工程i):
300ml三口丸底フラスコに5−ブロモサリチルアルデヒド(6.0g、30mmol、1.5 eq./ unit of 1,10−ジブロモデカン)、およびすりつぶした炭酸カリウム(16g、0.12mol、4eq./5−ブロモサリチリルベンズアルデヒド)を加え、脱気窒素置換を行った。次いで乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(180ml)を加え、1時間70°Cで加熱撹拌した。その後、1,10−ジブロモデカン(3.0g、10mmol)、およびヨウ化カリウム(1.6g、10mmol、0.5eq./unit of 1,10−ジブロモデカン)を加え、2時間70°Cで加熱撹拌した。TLC(シリカゲル、クロロホルム)により新たな化合物の生成、および原料の消失を確認して反応を停止した。溶媒を減圧留去した後、任意の量のクロロホルムを加え、不溶物をろ別した。ろ液を蒸留水で洗浄し、分取した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することにより、1,10−ビス(5−ブロモ−o−ホルミルフェノキシ)デカンの白色粉末を得た。収量10g、収率98%。
【0021】
(2)1,10−ビス(5−トリメチルシリルエチル−o−ホルミルフェニル)デカンの合成(工程ii):
200ml三口丸底フラスコに1,10−ビス(5−ブロモ−o−ホルミルフェノキシ)デカン(2.6g、5.0mmol)、trans−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.68g、1.0mmol)を加え、6時間還流した。TLC(シリカゲル、クロロホルム)により新たな化合物の生成、および原料の消失を確認して反応を停止した。不溶物をろ別後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣からクロロホルムを用いて抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、および蒸留水で洗浄した。分取した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。精製はカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、クロロホルム/n−ヘキサン=1:1〜1:0(v/v))により行い、茶褐色の油状液体を得た。収量9.2g、収率78%。
【0022】
(3)ポルフィリン誘導体1の合成(工程iii):
1000ml二口丸底フラスコに2, 2’−ジピロメタン(0.59g、4.0mmol)を加え、脱気窒素置換を行った。次いで1,10−ビス(5−トリメチルシリルエチニル−o−ホルミルフェノキシ)デカン(1.1g、2.0mmol)、クロロホルム(800ml)、およびエタノール(6ml)を加え、遮光下で5時間窒素バブリングを行った後、三フッ化ホウ素のジエチルエーテル溶液(0.24ml、1.4mmol)を加え、1時間室温で撹拌した。TLC(シリカゲル、クロロホルム)により新たな化合物の生成、および原料の消失を確認して、p−クロラニル(1.6g、3.0mmol)を加え、さらに30分間室温で撹拌した。精製はカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、クロロホルム)、および再沈殿操作(ジクロロメタン/メタノール)により行い、青紫色粉末を得た。その青紫色粉末0.55gのクロロホルム(40ml)、および酢酸亜鉛二水和物(1.5g)のメタノール(20ml)溶液を加え、50分間室温で撹拌した。TLC(シリカゲル、クロロホルム:n−ヘキサン=1:1(v/v))により新たな化合物の生成、および原料の消失を確認して反応を停止した。反応溶液を蒸留水で洗浄し、分取した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去することにより、赤紫色粉末を得た。0.59g、収率29%。
【0023】
(4)ポルフィリン誘導体2の合成(工程iv):
100ml三口丸底フラスコにポルフィリン誘導体1(0.64g、0.72mmol)のジクロロメタン(25ml)溶液、および飽和炭酸カリウムのメタノール溶液(25ml)を加え、2時間室温で撹拌した。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン)により新たな化合物の生成、および原料の消失を確認して反応を停止した。反応溶液からクロロホルムを用いて抽出し、蒸留水で洗浄した。分取した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより、赤紫色粉末を得た。同定は質量分析(HR FAB Mass)、および1H NMRスペクトルにより行った。収量0.52g、収率97%。
融点306.8−308.5°C(分解)。
1H NMR(600 MHz, CDCl3) δ−1.74 (s, 4H), -1.03 (m, 4H), -0.94 (s, 4H), 0.57 (m, 4H), 3.71 (s,
2H), 3.71 (t, J =5.1 Hz, 4H), 7.22 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.94 (dd, J = 8.5, 1.1
Hz, 2H), 8.53 (d, J = 1.1 Hz, 2H), 9.08 (d, J = 4.2 Hz, 4H), 9.41 (d, J = 4.3
Hz, 4H), 10.29 (s, 2H); HR-FAB [NBA] m/z calcd. for [M]+ = 742.2286,
found 742.2287。
【0024】
(5)ポルフィリンポリマーPor-6の合成(工程v):
ポルフィリン誘導体2(0.11g、0.15mol)、1,4−ヘキシロキシ−2,5−ジヨードベンゼン (0.16g、0.30mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(68mg、60mmol、0.2eq)およびヨウ化銅(I)(5.6mg、30mmol、0.1eq)を加え、脱気アルゴン置換を行った。ついで乾燥テトラヒドロフラン(THF)(2ml)および乾燥ジイソプロピルアミン(5ml)を加え、6時間還流した。その後、6時間ごとにポルフィリン誘導体2(55mg、75mmol、28mg、37mmol、10mg、13mmol)を加え、還流した。TLC(シリカゲル、クロロホルム /n−ヘキサン=2:1(v/v))により反応の収束を確認し、1,4−ジドデシロキシ−2,5−ジヨードベンゼン(30mg、43mmol)を加え、さらに4時間還流した。精製はGPC(JAIGEL 2.5H + JAIGEL 3H、溶離液CHCl3、速度3.5ml/min.)により行い、ポルフィリンポリマーPor-6の赤色粉末を得た。収量8mg、収率12%。
【実施例2】
【0025】
CNT・Pro−6複合材料の調製とその評価
用いたCNTは1〜3μmに切断した単層CNTである。ポルフィリン1ユニットあたりの濃度が25μMのPor-6のテトラヒドロフラン(THF)溶液(400μl)に7.7mg/Lの濃度のCNT分散水溶液(400μl)を加え、15分間の超音波処理を行った。サンプルを10日間静置した後、5分間の遠心分離操作(3500rpm)にかけ、上澄みを採取した。
CNT分散水溶液とPro-6のTHFを混合した直後に沈殿物の生成が見られた。上澄みは黒色の溶液であり、目視で不溶物は確認されなかった。一方、沈殿物は黒色であり、振動を与えると分散した。
【0026】
(1)吸収スペクトル測定:
上記のようにして得られた上澄みの吸収スペクトル測定を行い、得られた生成物の溶液中での挙動を検討した。吸収スペクトルを図3に示す。
図3に示されるように、Por-5のSoret帯の長波長シフト(415nm→418nm)が見られ、Por-6のポルフィリン環とCNTとの間にπ−π相互作用があることが確認された。
【0027】
(2)蛍光スペクトル測定:
上記のようにして得られた上澄みを用いて蛍光スペクトルの測定も行った。蛍光スペクトルを図4に示す。
CNTの添加によって、Pro-6に由来する蛍光が1/25000程度の強度にまで消光していることが分かる。Pro-6の消光には、Por-6からCNTへのエネルギー移動による静的消光と、Por-6とCNTの衝突による動的消光が考えられる。しかし、ポルフィリンユニットあたりの濃度が10-6M程度と薄いことから、動的消光は考えにくい。よって、この消光は、Por-6がCNTと相互作用したことによる動的消光であることが理解される。
【0028】
(3)高分解TEMによる観察
上記のようにして得られた上澄みをTEMグリッドにキャストし、風乾、減圧乾燥してTEM観察を行った。TEM像を図5に示す。
図5に示されるように、約1.5nmの規則的な周期(間隔)の格子縞を有する大きなシート構造が得られた。界面の様子からPor-6がCNTに巻きついていることが分かる。
【実施例3】
【0029】
CNT間隔の制御
図1に示されているのと同様の反応スキームに従い、MがZn、Aが(CH2)10、Bが式(b−2)でありRが炭素数12のアルキル基であるポルフィリンポリマー(以下、Por-12と略記する)を合成し、実施例2と同様の操作によりCNT・Por-12複合材料を調製した。
すなわち、ポルフィリン1ユニットあたりの濃度が1μMのPor-12テトラヒドロフラン(THF)溶液400μlに11mg/Lの濃度のCNT分散水溶液400μlを加え、15分間の超音波処理を行った。サンプルを10日間静置した後、5分間の遠心分離操作(3500rpm)を行い、その上澄みを採取した。
【0030】
得られた上澄みについて吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルの測定を行った。吸収波長の長波長シフト(Soret帯、415nm→421nm)が観測されたことからPor-6とCNTとの間のπ−π相互作用が確認された。また、蛍光スペクトル測定についても、CNT添加に伴うPor-12の消光が確認された。
【0031】
さらに、得られた上澄みをTEMグリッドにキャストし、風乾、減圧乾燥してTEM観察を行った。実施例2のCNT・Por-6系の場合と同様に、広範囲に規則的な周期(間隔)の格子縞を有するシート構造が観察された。その格子縞の間隔は約4.5nmであり、ポルフィリンポリマーのアルキル鎖長を変化させることにより、(ポルフィリンポリマーに巻きつかれている)CNTの間隔を変化させることができることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によって得られる複合材料は、カーボンナノチューブが一方向に配列制御された構造を有するので、例えば、異方的な導電性の所望される電荷放出材料などとして利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明において用いられるポルフィリンポリマー合成スキームの1例を示す。
【図2】本発明に従いカーボンナノチューブ(CNT)とポルフィリンポリマー(Por)とから複合材料が形成されるメカニズムを模式的に示している。
【図3】本発明のCNT・Por複合材料の吸収スペクトルの1例を示す。
【図4】本発明のCNT・Por複合材料の蛍光スペクトルの1例を示す。
【図5】本発明のCNT・Por複合材料のTEM像の1例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)で表される反復単位を有するポルフィリンポリマーがカーボンナノチューブに巻き付いた棒状会合体が平行かつ等間隔に配列されたシート構造から成ることを特徴とするカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料。
【化1】

〔式(I)中、Mは、水素原子、または金属ポルフィリンポリマーを形成し得るものとして知られた金属を表し、(A)は下記の式(a−1)、(a−2)、(a−3)または(a−4)から選ばれる原子団を表し、(B)は下記の式(b−1)、(b−2)または(b−3)から選ばれる原子団を表す。〕
【化2】

〔式(a−1)中、nは8から12の整数を表す。〕
【化3】

〔式(b−1)または式(b−2)中、Rは炭素数が4〜15のアルキル基またはオキシエチレン鎖を表す。〕
【請求項2】
カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1のカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料。
【請求項3】
請求項1のカーボンナノチューブ・ポルフィリンポリマー複合材料を製造する方法であって、水性溶媒中でカーボンナノチューブとポルフィリンポリマーを超音波処理した後、上澄みを採取する工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−68330(P2008−68330A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246484(P2006−246484)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年3月13日 社団法人 日本化学会発行の「日本化学会第86春季年会(2006)講演予稿集CD−ROM」に発表
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】