ナノレポーターによるタンパク質の検出
本発明は、タンパク質の検出のための方法、組成物、キット、および装置を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多重化タンパク質検出を可能にする。本発明は、タンパク質の分析のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、試料におけるタンパク質の検出および/または定量化のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年10月13日に出願された米国仮特許出願61/251,192、2010年4月16日に出願された米国仮特許出願61/325,224、および2010年4月22日に出願された米国仮特許出願61/326,787の利益を主張し、上記仮出願の内容は、その全容が参考として各々本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、固有のナノレポーター構築物を作製するための分子生物学のツール、およびそれらを使用するための方法を用いる、タンパク質の検出、定量化、同定、および多重分析の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
最近のヒトゲノムの分析の完了に伴い、今、多くの注目がプロテオミクスの分野にシフトしつつあり、その分野では、遺伝子産物(タンパク質)、それらの変種、相互作用するパートナー、ならびにそれらの制御およびプロセシングの動態学が研究の重点項目である。そのような研究は、例えば、遺伝性障害および環境誘発性障害に潜む機構、または薬物による治療の影響を理解するのに必須であり、加えて、さらなる臨床分析および診断分析のための根本の基盤となる可能性がある。これらの研究にとって重要なことは、タンパク質全体の特定の変種(例えば、スプライスバリアント、点突然変異、翻訳後修飾バージョン、および環境/治療誘発性改変)を定性的に決定する能力、およびそれらの定量的調節を見る能力である。さらに、1つだけではなく、複数の生物学的液体/抽出物からこれらの分析を実施することが益々重要になりつつある。タンパク質試料に内在する追加的な難題のせいで多重化タンパク質測定テクノロジーの方法が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生物学的液体におけるタンパク質の測定は、それらの特有の性質のせいで困難である。したがって、タンパク質およびそれらの変種の分析のための迅速で、感度が高く、再現可能で、かつ正確な分析アプローチの差し迫った要求がある。
【0005】
関心対象となるタンパク質をそれらの天然の環境から、およびその環境内で分析するために、様々な生物学的液体および/または抽出物に存在するタンパク質を定性的および定量的の両方で評価し得るアッセイが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、タンパク質の分析のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、試料におけるタンパク質の検出および/または定量化のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)前記の少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域を含む第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む第2のタンパク質プローブ、および(iv)第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る部分(portion)を付着させているマトリックスを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、第2のタンパク質プローブ、および上記部分を含む少なくとも1つの複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合しており、上記部分が第1のタンパク質プローブにおける捕獲プローブに結合している、工程;ならびに(c)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって複合体または複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0007】
成分(moiety)とはエンティティーを指し、エンティティーとしても知られている。本発明の成分は、マトリックスに作動可能に連結され、第1のタンパク質プローブの捕獲領域と結合する。成分は、限定されないが、共有結合、非共有結合、電子結合、屈曲結合、芳香族結合、金属結合、水素結合、イオン結合、またはファンデルワールス力を含む物理的または化学的結合によってマトリックスに作動可能に連結している。成分は、本明細書に記載された物理的または化学的結合、受容体−リガンド相互作用、2つのオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーション事象、またはオリゴヌクレオチドとポリペプチドとの間の相互作用のいずれかを通して第1のタンパク質プローブの捕獲領域と結合する。例えば、ビオチンを含む捕獲領域は、ストレプトアビジンを含む成分に結合して、強い非共有結合を形成し、ストレプトアビジンを付着させているマトリックスが、そのマトリックスが第1のタンパク質プローブの捕獲領域に結合することを可能にする(図1参照)。全ての公知の受容体−リガンド相互作用が企図されるが、0.1fM〜1000nMの間の解離定数(Kd)をもつ相互作用が好ましい。ハイブリダイゼーション事象は、相補的配列を有するオリゴヌクレオチド間で起こる。しかしながら、完璧または完全な相補性は必要とされない。本発明は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、およびそれらの間にある任意のパーセンテージの相補性を有するオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーション事象を含む。さらに、アプタマーの第1のタンパク質プローブとの会合は、オリゴヌクレオチドとポリペプチドとの間の好ましい相互作用の非限定的例を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域を含む第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む第2のタンパク質プローブ、(iv)マトリックスに付着した成分であって、第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る成分を含み、各第2のタンパク質プローブが異なるナノレポーター領域を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、複数の複合体における各ナノレポーターは、それを集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの解離定数は、約1.00×10−10〜約1.00×10−08である。いくつかの実施形態において、2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0009】
いくつかの実施形態において、マトリックスは、ビーズおよびアレイからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、マトリックスはビーズである。複数の標的タンパク質が分析されるいくつかの実施形態において、マトリックスはビーズであり、複数の複合体の各複合体における各成分は異なるビーズに付着している。いくつかの実施形態において、マトリックスは表面である。複数の標的タンパク質が分析されるいくつかの実施形態において、マトリックスは表面であり、複数の複合体の各複合体における各成分は、表面の異なる位置に付着している。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して第2のプローブに付着している。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、摂氏約32度(℃)〜約40℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約37℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的領域は約15個〜約20個の塩基である。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1の捕獲領域または第1のマトリックスに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、シグナルオリゴを含む第2のタンパク質プローブ、および(iv)第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合:第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る成分を付着させている第2のマトリックスを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、および第2のタンパク質プローブを含む少なくとも第1の複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合しており、第1のプローブが第1の捕獲領域に付着している場合、捕獲プローブが第2のマトリックスにおける成分に結合している、工程;(c)シグナルオリゴを第1複合体から遊離させる工程;(d)(1)少なくともシグナルオリゴ、(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブを含む第2の複合体を形成する工程であって、ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;ならびに(e)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって第2の複合体または第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、第2の1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1マトリックスはビーズまたはアレイである。好ましくは、第1マトリックスはビーズである。他の実施形態において、第2のマトリックスはビーズまたはアレイである。
【0014】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、第2の捕獲領域に付着している。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの遊離工程は、シグナル分子を第3のマトリックスへ直接的または間接的に捕獲することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、定常領域をさらに含み、定常領域が複数の反復ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、定常領域は第3のマトリックスにおける第2の成分に結合しており、第2の成分は定常領域を結合し得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域または第1のマトリックスに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、シグナル分子を含む第2のタンパク質プローブを含み、第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合、捕獲プローブが第2のマトリックスにおける成分に結合しており、それぞれの複数の複合体における各第2のタンパク質プローブが異なるシグナルオリゴを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0017】
いくつかの実施形態において、複数の複合体のうちの複合体の第1マトリックスはビーズであり、ビーズは複数の同一の第1のタンパク質プローブを含む。同一のという用語は、同じ配列を有し、かつ同じ捕獲領域を含むかまたはそれに付着しているかのいずれかのタンパク質プローブを記載するものとする。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している第1のタンパク質プローブ、および(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している第2のタンパク質プローブを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、および第2のタンパク質プローブを含む第1の複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合している、工程;(c)第1のオリゴおよび第2のオリゴをライゲーションしてシグナルオリゴを形成する工程;(d)(1)第1シグナルオリゴ、(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブを含む第2の複合体を形成する工程であって、ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;ならびに(e)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって第2の複合体または第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは第1複合体から遊離される。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態においてシグナルオリゴの遊離工程は、シグナルオリゴをマトリックスへ直接的または間接的に捕獲することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している第2のタンパク質プローブを含み、第1のオリゴと第2のオリゴのライゲーションがシグナルオリゴを形成し、複数の複合体における各複合体が異なるシグナルオリゴを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、2つ以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明は、固有に標識されたタンパク質プローブの集団であって、各プローブが、i)標的特異的領域;およびii)複数の異なる検出可能な分子を含むナノレポーターを含む領域を含み、各タンパク質プローブにおけるナノレポーターが、それを集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、集団を提供する。いくつかの実施形態において、標的特異的領域は、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、標的特異的領域の解離定数は約1.00×10−10〜約1.00×10−8である。
【0027】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通してタンパク質プローブに付着している。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約32℃〜約40℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約37℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的領域は約15個〜約20個の塩基である。
【0028】
参照による組み入れ
本明細書に言及された全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に示されて参照により組み入れられるのと同じ程度で、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付された特許請求の範囲に詳細に示されている。本発明の特徴および利点をより良く理解することは、本発明の原理が利用される例証的な実施形態を示す以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう:
【図1】図1は、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体が標的タンパク質に結合する、本発明の一実施形態を示す概略図である。第1の抗体は、(丸印の「B」として示された)ビオチンなどのアフィニティータグに付着しており、一方、第2の抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着している。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、第1抗体のアフィニティータグにより溶液から単離される。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、シグナルオリゴを生じることができ、そのシグナルオリゴは、その後、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。
【図2】図2は、異なる濃度でIL−2標的タンパク質を用いた、検出アッセイの結果を示すグラフである。具体的には、ブロッカーを含まない溶液、0.03%でミルクを含む溶液、0.1%でウシ血清アルブミン(BSA)を含む溶液、または98ng/mlでサケ精子(SS)を含む溶液内でのIL−2の検出を、増加するIL−2標的タンパク質モル濃度([IL2標的、M])の関数として検出される総数として測定した。
【図3】図3は、図2に用いられるアッセイにおけるIL−2検出の効率を示すグラフである。検出された総数を、視野(FOV)あたり600個の分子に対して標準化し、IL2標的タンパク質分子の増加する濃度([IL2標的、分子])の関数として表した。検出の効率は、このグラフに示された直線の傾きである。
【図4】図4は、溶液三者間結合についての本発明の2つの選択可能な実施形態を示す概略図である。この方法によれば、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体はその標的タンパク質に結合する。第1の抗体は、ビオチンなどのアフィニティータグに付着しており、定常領域を含み、その定常領域は、例えば、F反復配列を含む。第2の抗体は、ナノレポータープローブおよび第2の定常領域に付着しており、その第2定常領域は、例えば、G反復配列を含む。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、第1抗体のアフィニティータグにより溶液から単離することができる。複合体の「標準的な」溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することによって達成される。複合体の「代替の」溶離は消化によって達成される。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の1つについての解離定数(Kd)およびプローブ濃度を示すグラフであり、ナノレポータープローブおよびタンパク質プローブのKdに対する結合した標的の割合として表されている。
【図6】図6は、溶液中、標的タンパク質に特異的な捕獲抗体が標的タンパク質に結合して、複合体を形成する、本発明の実施形態を示す概略図である。その後、複合体は、溶液から単離することができる。その後、複合体を、第2の抗体と接触させ、第2抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着している。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、シグナルオリゴを生じることができ、そのシグナルオリゴは、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析され得る。
【図7】図7Aおよび7Bは、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体が標的タンパク質に結合する、本発明の実施形態を示す概略図である。第1の抗体は、捕獲抗体であり、一方、第2の抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着しており、プローブ中の鎖の1つは、ビオチンなどのアフィニティータグに付着している。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、捕獲抗体により溶液から単離することができる。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、アフィニティータグを含むシグナルオリゴを生じることができる。その後、シグナルオリゴは、ナノレポーターにハイブリダイズして、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体を形成することができ、その複合体は、単離し、および/または固体表面に固定化することができる。ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体は、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図8A】図8Aは、近接ライゲーションを用いる、本発明のある特定の実施形態を示す概略図である。第1および第2のオリゴは、第1および第2の抗体に、それぞれ付着しており、どちらの抗体も標的タンパク質に特異的である。第1および第2の抗体は標的タンパク質に結合し、第1のオリゴおよび第2のオリゴを近接した状態に至らせる。架橋オリゴおよびリガーゼをその溶液に加え、第1のオリゴと第2のオリゴを連結させて、シグナルオリゴを生じる。その後、シグナルオリゴは、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。
【図8B】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図8C】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図8D】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図9】図9は、近接ライゲーションを用いる、本発明のある特定の実施形態を示す概略図である。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図10】図10は、増加するタンパク質標的濃度([タンパク質標的])の関数として検出される総数として測定された、TNFアルファ、IL1アルファ、IL6、およびVEGFの多重化タンパク質検出の結果を示すグラフである。この例において、溶液中、サンドイッチ検出アッセイを用いた。4重の測定を示す。
【図11】図11は、濃度の代わりにレーンによってプロットされた、図10における分析されたデータを示すグラフである。具体的には、この図は、2つの標的タンパク質が滴定有効であったが、2つの他のタンパク質は滴定無効であったことを示している。
【図12】図12は、2つのタンパク質標的、IL1アルファおよびIL6を用いる検出の限界(LOD)実験の結果を示すグラフである。検出された総数を、標的タンパク質の増加するモル濃度([標的]モル濃度)の関数としてプロットした。実験により、検出の限界が、IL1アルファ(IL1α)およびIL6、それぞれについて1.4×10−12Mおよび1.9×10−12Mに対応する、1ミリリットルあたり26ピコグラムおよび38ピコグラム(pg/ml)であった。検出限界は、バックグラウンド検出レベルより上の2標準偏差であった。6つの陰性対照を実施し、その結果として、プラスまたはマイナス1標準偏差の平均数、すなわち、それぞれ、3196±265および6703±585を生じた。
【図13】図13は、水かまたは様々な倍数濃度(0.01×、0.03×、または0.1×)のSSPE緩衝液かのいずれかを用いた精製およびすすぎ工程後の抗体レポーター複合体の様々なコンポーネント(PROX01、PROX03、PROX04、PROX05、およびPROX06)によって保持された総数を示すグラフである。0.03×SSPEにおいて、ライゲーションされた産物を表すオリゴ、PROX05が保持された。
【図14】図14は、結合し、ストレッチされ、固定化されたレポーター上の各抗体プローブ(S17、S8、S22、S14、S23、S6、S13、S7、S18、S9、S10、S11、S12、S15、S16、S19、S20、およびS21)についての視野(FOV)あたりの数を示すグラフである。数は、表面に結合している抗体プローブを持つレポーターについてのみ示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明の特に好ましい実施形態について詳細に言及する。好ましい実施形態の例は、次の実施例セクションにおいて示されている。
【0031】
他に規定がない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書で言及された全ての特許および刊行物は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
本発明は生体分子試料における個々の標的分子の検出および定量化のための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、個々の標的分子を結合し得るタンパク質プローブを提供する。本発明はまた、ナノレポーターの使用を提供する。ナノレポーターの標識コードを通して、タンパク質プローブの標的分子への結合は、標的分子の同定をもたらす。そのようなタンパク質プローブおよび/またはナノレポーターを作製して用いる方法もまた提供される。本明細書に記載された方法および組成物は、診断、予後、品質管理、およびスクリーニングの適用などの幅広い種類の適用において用いることができる。
【0033】
本発明のある特定の態様は、多数の標的分子の検出に関する。多重化は、試料を分ける必要のない、試料内の1つより多い標的分子の測定である。本明細書に記載された方法は、多重化、定量化、および感度の領域で潜在的利益をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、標的分子はタンパク質である。タンパク質濃度の測定は難題である。タンパク質は、粘着性であり、凝集する傾向にある。加えて、タンパク質は不安定であり、RNAまたはDNAより容易にアンフォールディングする傾向にある。極度のpH、温度、溶質濃度、および変性剤の存在は、タンパク質安定を妨害し、測定を複雑にし得る条件である。いくつかの実施形態において、本発明は、感度が高く、かつ信頼性のある多重化タンパク質測定のための方法および組成物を提供する。
【0034】
液体試料内での多重化は、このアプローチの重要な利点である。1つの試料内での多重化は、かなりの労働力を節約し、測定の数に比例した試料の必要量を低減し、別々の試料操作および測定工程により度合いを増すエラーの削減により正確さを向上させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、処理中に異なる試料を一緒にプールして、一度に分析することを可能にする。これは、処理量の優位性を与え、異なる試料の分析を、例えば、8倍まで、加速させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明は、標的分子の分析のためのタンパク質プローブを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多重化アッセイに用いるタンパク質プローブ集団を提供する。集団における各タンパク質プローブは、標的分子に特異的である。その後、標的分子のタンパク質プローブへの結合がナノレポーターを用いて検出される。各ナノレポーターは、特定の標的分子に会合することができる固有の標識コードを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、タンパク質プローブへ直接的または間接的に付着している。その後、固有のナノレポーターの標識コードは、各ナノレポーターの標識コードが、タンパク質プローブに結合した標的分子に会合することができるように特定のタンパク質プローブに割り当てられる。
【0037】
他の実施形態において、タンパク質プローブは、シグナルオリゴへ直接的または間接的に付着している。各タンパク質プローブは、固有のシグナルオリゴに付着している。シグナルオリゴの分析に用いられるナノレポーターは、シグナルオリゴに相補的である部分を含む。固有のナノレポーターの標識コードは、各ナノレポーターの標識コードがシグナルオリゴ配列を介して標的分子に会合することができるように、特定のシグナルオリゴ配列に割り当てられる。
【0038】
本発明の他の態様において、本発明は、シグナルをデジタル的に測定することにより標的分子を検出するための方法を提供する。現在のテクノロジーは、アナログ蛍光シグナルを用いて標的分子の存在を定量化する。蛍光を用いる定量化は、様々な理由でエラーを起こしやすい。例えば、フルオロフォアは光退色し得る。タンパク質の存在下で、または局所環境、例えば、pH、塩のせいで、スペクトルの変化があり得る。加えて、光源は、時間と共に強度に変化があり得る。例えば、アークランプは、一般的に用いられる光源であるが、時間と共に有意に異なる照度レベルを引き起こし得るアークワンダーと呼ばれる現象を示す。本発明の実施形態において、標的分子はデジタル的に検出される。蛍光を、ナノレポーターの標識コードを読み取るために用いてもよいが、シグナルは高く、スポットは存在するかしないかのいずれかであり、したがってデジタル検出である。標的分子のデジタル検出は、より正確な定量化をもたらす。
【0039】
タンパク質プローブ
タンパク質プローブは、少なくとも1つの標的タンパク質、少なくとも1つの標的タンパク質代理物、または両方と結合するように設計される分子または集合体であり;適切な条件下で、タンパク質プローブおよび標的タンパク質を含む分子複合体を形成することができる。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「アミノ酸配列」は、本明細書では交換可能に用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは線状でも分岐型でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸または合成アミノ酸が割り込んでいてもよい。その用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識コンポーネントとのコンジュゲーションなどの任意の他の操作によって改変されているアミノ酸ポリマーも含む。本明細書で用いられる場合、用語「アミノ酸」は、天然および/または非天然または合成アミノ酸のいずれをも指し、それらには、グリシンおよびD型またはL型の光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド模倣体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
本発明の方法はまた、タンパク質以外の標的を結合するように設計されたタンパク質プローブを含む。タンパク質以外の標的の例には、核酸、脂質、糖質、イオン、小分子、有機モノマー、および薬物が挙げられるが、それらに限定されない。便宜のためのみ、本明細書に記載された実施形態のほとんどは、標的タンパク質に結合するタンパク質プローブとの関連において説明されている。しかしながら、これらの実施形態はまた、他の標的分子に適用することができる。
【0041】
タンパク質プローブは、典型的には、少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブを含む少なくとも1つのプローブセットの一部である。しかしながら、ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットは、第1のプローブのみまたは第2のプローブのみを含むことができるが、第1のプローブおよび第2のプローブの両方を含むことはできない。プローブは、それらが少なくとも1つの標的タンパク質、少なくとも1つの標的タンパク質の少なくとも1つの部分、少なくとも1つの標的タンパク質代理物、標的タンパク質代理物の少なくとも一部分、またはそれらの組み合わせに、典型的には、配列特異的様式、高次構造(confirmation)特異的様式、または両方で、例えば、限定されないが、抗原−抗体結合、アプタマー−標的結合などの様式で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、タンパク質プローブは、アイデンティティ部またはアイデンティティ部の少なくとも一部分、例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴを含む。ある特定の実施形態において、タンパク質プローブは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態において、捕獲領域は、タンパク質プローブの単離および/またはタンパク質プローブの表面への固定化のために用いられる。捕獲領域は、下記に記載されているようなアフィニティータグ、ビーズ、スライド、またはアレイであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体である。本明細書で用いられる場合、抗体(複数可)という用語は、広い意味で用いられ、無傷の抗体分子、例えば、限定されないが、免疫グロブリンA、免疫グロブリンG、および免疫グロブリンMだけでなく、少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合する抗体分子の任意の免疫反応性コンポーネント(複数可)も含む。そのような免疫反応性コンポーネントには、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片(scFv)、ミニ抗体、二重特異性抗体、架橋抗体断片、AffibodyTM、サイクロチド、分子などが挙げられるが、それらに限定されない。抗体工学技術またはタンパク質工学技術を用いて導き出された免疫反応性産物もまた、明白に、抗体という用語の意味の範囲内である。関連したプロトコールを含む抗体工学および/またはタンパク質工学の詳細な説明は、とりわけ、J.MaynardおよびG.Georgiou、Ann.Rev.Biomed.Eng.2:339 76(2000);Antibody Engineering、R.KontermannおよびS.Dubel編、Springer Lab Manual、Springer Verlag(2001);米国特許第5,831,012号;ならびにS.Paul、Antibody Engineering Protocols、Humana Press(1995)に見出すことができる。
【0044】
抗体は、限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、組換え発現抗体、ヒト化抗体、植物抗体などを含む様々な源から得ることができ、ウサギ、マウス、ヤギ、ラット、ヒト、ウマ、ウシ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、ロバ、ヒトなどを含む様々な動物種から得ることができることを当業者は認識しているであろう。幅広い種類の抗体が市販されており、カスタムメイドの抗体は、いくつかの契約研究所から入手することができる。関連したプロトコールを含む抗体の詳細な説明は、とりわけ、Current Protocols in Immunology、Coliganら編、John Wiley & Sons(1999、2003年8月までの更新を含む);The Electronic Notebook;Basic Methods in Antibody Production and Characterization、G.HowardおよびD.Bethel編、CRC Press(2000);J.Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、第3版、Academic Press(1996);E.HarlowおよびD.Lane、Using Antibodies、Cold Spring Harbor Lab Press(1999);P.ShepherdおよびC.Dean、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach、Oxford University Press(2000);A.JohnstoneおよびM.Turner、Immunochemistry 1 and 2、Oxford University Press(1997);C.Borrebaeck、Antibody Engineering、第2版、Oxford university Press(1995);A.JohnstoneおよびR.Thorpe、Immunochemistry in Practice、Blackwell Science,Ltd.(1996);H.Zola、Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives(Basics:From Background to Bench)、Springer Verlag(2000);ならびにS.Hockfieldら、Selected Methods for Antibody and Nucleic Acid Probes、Cold Spring Harbor Lab Press(1993)に見出すことができる。さらに、標識型または非標識型の、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および単一特異性抗体、加えて、それらの免疫反応性コンポーネントを含む膨大な数の市販の抗体;カスタム抗体供給業者などは、ワールドワイドウェブ上の、とりわけ、biocompare.comでのAntibody Searchページ、antibodyresource.comでのAntibody Resource Page、およびsigmaaldrich.comでのAntibody Explorerページに見出すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された抗体は、核酸、例えば、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および/またはナノレポーターに付着している。核酸を抗体に付着させるための方法は、当技術分野において知られている。核酸を抗体に付着させるための任意の適切な方法は、本発明の方法に含まれる。本明細書に記載された抗体は、Gullbergら、PNAS 101(22):228420−8424頁(2004);およびBoozerら、Analytical Chemistry、76(23):6967−6972頁(2004)に記載された方法によって核酸に付着することができ、両方の文献は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載された抗体は、ランダムアミン付着によって核酸に付着することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された抗体は、10:1の核酸対抗体の比を用いてランダムアミン付着によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、参照により本明細書に組み入れられたKozlovら、Biopolymers 5:73(5):621−630頁(2004)に記載された方法によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、ヒドラジン化学作用によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、参照により本明細書に組み入れられたNolan、Nature Methods 2、11−12(2005)に記載されているように「オタマジャクシ(tadpole)」を用いて核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、本明細書に記載されたものを含む、操作された抗体を作製するための当技術分野において公知の任意の適切な方法によって核酸に付着することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブはアプタマーである。アプタマーには、核酸アプタマー(すなわち、一本鎖DNA分子または一本鎖RNA分子)およびペプチドアプタマーが挙げられる。アプタマーは、高特異性の高次構造依存性様式で、典型的には非常に高い親和性で、標的分子を結合するが、必要に応じて、より低い結合親和性のアプタマーを選択することができる。アプタマーは、メチル基またはヒドロキシル基の存在または非存在などの非常に小さな構造的違いに基づいて標的間を区別することが示されており、ある特定のアプタマーは、D−エナンチオマーとL−エナンチオマーを区別することができる。薬物、金属イオン、および有機色素を含む小分子標的、ペプチド、ビオチン、ならびに、限定されないが、ストレプトアビジン、VEGF、およびウイルスタンパク質を含むタンパク質に結合するアプタマーが得られている。アプタマーは、ビオチン化後、フルオレセイン標識後、ならびにガラス表面およびミクロスフェアに付着した場合に、機能活性を保持することが示されている。
【0047】
スピーゲルマー(speigelmers)を含む核酸アプタマーは、試験管内進化法(SELEX)として知られたインビトロ選択プロセスにより同定される。SELEXプロセスにおいて、オリゴヌクレオチドの非常に大きいコンビナトリアルライブラリー、例えば、多くの場合、60〜100ヌクレオチド長ほどの大きさの、1014〜1015個の個々の配列が、日常的に、インビトロ選択および増幅の反復性プロセスによってスクリーニングされる。たいていの標的は、8〜15サイクル内でアフィニティー濃縮され、プロセスは自動化されて、より速いアプタマー単離を可能にしている。ペプチドアプタマーは典型的には、当技術分野において公知知ないくつかの異なるタンパク質工学技術によって同定され、それらの技術には、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、選択的感染ファージテクノロジー(SIP)などが挙げられるが、それらに限定されない。核酸アプタマーおよびペプチドアプタマーが従来の手順に従って、過度の実験なしに、得ることができることを当業者は理解しているであろう。関連したプロトコールを含むアプタマーの詳細な説明は、とりわけ、L.Gold、J.Biol.Chem.、270(23):13581 84(1995);S.Jayasena、Clin.Chem.、45:1628−50(1999);V.Sieberら、Nat Biotechnol.16(10):955−60(1998);D.WilsonおよびJ.Szostak、Ann.Rev.Biochem.68:611−47(1999);L.Jermutusら、Eur.Biophys.J.、31:179−84(2002);S S.Spadaら、Biol.Chem.、378:445−56(1997);B.Wlotzkaら、Proc.Natl.Acad.Sci.、99:8898−8902(2002)に見出すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、アプタマーは、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および/またはナノレポーターにライゲーションされるか、またはハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、アプタマーのナノレポーターへのライゲーションは、標識を有するセグメントをナノレポーターにアニーリングする前に行われる。アプタマーのハイブリダイゼーションまたはライゲーションは、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって行うことができる。例えば、ライゲーションは、少なくとも1つのDNAリガーゼまたは少なくとも1つのRNAリガーゼ、例えば、限定されないが、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Thermus thermophilus(Tth)リガーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAリガーゼ、またはPyrococcus furiosus(Pfu)リガーゼによって酵素的に実施することができる。ライゲーションはまた、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、N−シアノイミダゾール、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外線などの活性化剤および還元剤を用いる化学的ライゲーションによって実施することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブはペプトイドである。ペプトイドは、タンパク質を結合するN置換型グリシンの合成ペプチドの短い配列である。いくつかの実施形態において、小さいサイズのペプトイドは、本明細書に記載された方法の拡散および動態学を向上させる。ペプトイドを作製するための当技術分野において公知の任意の適切な方法は、本明細書に記載された方法に含まれる。参照により本明細書に組み入れられた、Simonら、PNAS 15;89(20):9367−9371(1992)を参照。
【0050】
標的タンパク質
標的タンパク質は、タンパク質プローブのそれへの結合によって検出または測定されるタンパク質であり、そのタンパク質プローブの標的特異的領域(複数可)が認識する。しかしながら、本発明は、核酸、脂質、糖質、小分子、有機モノマー、または薬物などのタンパク質以外の他の標的の検出を含む。本明細書における方法によって分析することができる核酸には、二本鎖DNA、一本鎖DNA、一本鎖DNAヘアピン、DNA/RNAハイブリッド、RNA(例えば、mRNAまたはmiRNA)、およびRNAヘアピンが挙げられる。便宜上のみ、本明細書に記載された方法は、ほとんどタンパク質を分析することに関連して説明されている。しかしながら、本明細書に記載された実施形態はまた、非タンパク質標的を検出するために用いることもできる。
【0051】
標的タンパク質は、他のコンポーネントを含む生体分子試料の一部であり得るか、または試料の唯一もしくは主要なコンポーネントであり得る。標的タンパク質は、細胞全体または組織全体、細胞抽出物または組織抽出物、その分画された可溶化液、または実質的に精製された分子のコンポーネントであり得る。標的タンパク質は、溶液中、または、例えば、チップ、マイクロアレイ、またはビーズなどの固体表面を含む固相に付着することができる。また、標的分子は、公知かまたは未知のいずれかの構造または配列を有し得る。
【0052】
本明細書に開示された組成物、方法、およびキットはまた、試料において標的タンパク質の存在を決定する幅広い種類の適用に用いることができる。例えば、限定されないが、組成物、方法、およびキットは、限定されないが、薬物代謝、ADMEプロファイリング、および毒性研究を含む薬物動態学的研究;薬物発見についての標的検証;タンパク質発現プロファイリング;プロテオーム分析;メタボロミクス研究;限定されないが、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ならびにガンマ−カルボキシグルタミン酸を形成するグルタミン酸の修飾、およびヒドロキシル化を形成するプロリンのヒドロキシル化などのアミノ酸修飾を含む翻訳後修飾研究;特定の血清または粘膜抗体レベルの分析;非核酸診断指示薬の評価;外来抗原検出などに有用である。
【0053】
ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットの少なくとも1つの第1のタンパク質プローブ、少なくとも1つの第2のタンパク質プローブ、または第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの両方は、少なくとも1つの標的タンパク質または少なくとも1つの標的タンパク質代理物と特異的に反応する少なくとも1つの抗体、アプタマー、またはペプトイドを含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットの少なくとも1つの第1のタンパク質プローブ、少なくとも1つの第2のタンパク質プローブ、または第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの両方は、少なくとも1つの標的タンパク質または少なくとも1つの標的タンパク質代理物と特異的に相互作用する結合タンパク質を含む。
【0054】
抗体プローブに関して、反応部分が典型的には、抗原結合部位および抗体分子の関連残基をふくむこと;ならびに、標的配列が、エピトープを含む、分析物の部分を含み、そのような配列が線状か、高次構造か、またはそれらの組み合わせかを問わないことを当業者は理解している。本明細書に記載された分子複合体および分子複合体の少なくとも一部分が、とりわけ、特定の分子複合体もしくは切断可能コンポーネントの性質、および用いられるSMD技術および検出装置に依存して、基質に繋ぎ止められ、もしくは付着しながらも、または、溶液中でありながらも、個々に検出することができることを当業者は認識しているであろう。
【0055】
タンパク質単離技術もまた当技術分野においてよく知られており、これらの技術の少なくとも一部を用いるキットは市販されている。タンパク質単離技術は、典型的には、以下のうちの1つまたは複数を用いる:物理的方法、化学的方法、および酵素的方法を含む浸解および細胞溶解;遠心分離;サイズ排除クロマトグラフィーおよび分取電気泳動などの分子量による分離;選択的沈殿、例えば、塩溶手順および塩析手順;様々なクロマトグラフ的方法など。タンパク質精製技術の詳細な説明およびそれについての関連したプロトコールは、とりわけ、Marchakら、Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual、Cold Spring Harbor Press(1996);Essentials from Cells:A Laboratory Manual、D.SpectorおよびR.Goldman編、Cold Spring Harbor Press(2003);R.Simpson、Proteins and Proteomics:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(2003);ならびに、D.Liebler、Introduction to Proteomics、Humana Press(2002)に見出すことができる。市販のキットも用いることができ、それらには、CALBIOCHEM.RTM.、La Jolla、Calif.から入手できるProteoExtractTMPartial Proteome Extraction Kits(P−PEK)、およびProteoExtractTMComplete Proteome Extraction Kits(C−PEK)が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の組成物、方法、およびキットと共に用いる非核酸分析物が、そのような精製技術および市販のキットを用いて過度の実験なしに容易に得ることができることを当業者は認識しているであろう。
【0056】
方法
本発明は、生体分子試料における個々の標的タンパク質の検出および定量化のための方法を提供する。特に、本発明は、個々の標的タンパク質を結合し得るタンパク質プローブを提供する。本発明はまた、ナノレポーターの使用を提供する。ナノレポーターの標識コードを通して、タンパク質プローブの標的分子への結合は、標的分子の同定をもたらす。そのようなタンパク質プローブおよび/またはナノレポーターを作製して用いる方法もまた提供される。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法を提供する。タンパク質プローブは、そのプローブが標的タンパク質、または標的タンパク質代理物、またはそれらの組み合わせに、典型的には、配列特異的様式、高次構造特異的様式、または両方で、例えば、限定されないが、抗原−抗体結合、アプタマー−標的結合などの様式で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0058】
タンパク質プローブは、典型的には、少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブを含む少なくとも1つのプローブセットの一部である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブセットが、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブを含む、方法を提供する。第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、標的タンパク質、または標的タンパク質代理物、またはそれらの組み合わせの異なる領域に、例えば、配列特異的様式、高次構造特異的様式、または両方で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、アイデンティティ部またはアイデンティティ部の少なくとも一部分、例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴを含むタンパク質プローブをさらに含む。アイデンティティ部は、本明細書に記載された方法の検出工程において標的タンパク質に結合したタンパク質プローブ(複数可)の存在または非存在の同定を可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットにおけるタンパク質プローブの少なくとも1つがアイデンティティ部(例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴ)を含む、方法を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態において、アイデンティティ部はシグナルオリゴである。シグナルオリゴは、ポリヌクレオチド配列を含む。各タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットは、アッセイにおいて、シグナルオリゴが標的タンパク質と会合することができるように、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有する。ある特定の実施形態において、シグナルオリゴは、約4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基を含む。一実施形態において、シグナルオリゴは、40〜120個の間の塩基、または80〜100個の間の塩基を含む。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴはビオチン化されており、下記のように、捕獲プローブおよびナノレポーターと共に用いられる。シグナルオリゴは、タンパク質プローブに直接的または間接的に付着することができる。核酸をタンパク質プローブに付着させるための方法は、本明細書に記載されたものを含め、当技術分野において公知である。シグナルオリゴは、設計された合成核酸配列、またはウイルスゲノム、バクテリオファージ、もしくは動物ゲノム由来の配列などの天然源由来の天然配列であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴとのハイブリダイゼーションを通してタンパク質プローブへ間接的に付着している。リンカーオリゴは、ポリヌクレオチド配列を含む。リンカーオリゴが用いられる実施形態において、各リンカーオリゴは、相補的シグナルオリゴが標的タンパク質に会合することができるように、アッセイにおいてタンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットに特異的および/または固有的である。シグナルオリゴは、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は10〜25個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は15〜20個の塩基の範囲にある。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は20個の塩基である。リンカーオリゴは、設計された合成核酸配列、またはウイルスゲノム、バクテリオファージ、もしくは動物ゲノム由来の配列などの天然源由来の天然配列であり得る。
【0062】
図1は、シグナルオリゴが標的タンパク質の検出に用いられる、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。図1に示された実施形態は、標的タンパク質の結合をナノレポーターのハイブリダイゼーションから分離するように設定されている。工程1)における図1は、リンカーオリゴとのハイブリダイゼーションを介してプローブに付着したシグナルオリゴを含む第1のタンパク質プローブ;およびアフィニティータグに付着した第2タンパク質を示す。図1に示された実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、アフィニティータグはビオチンである。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載されたタンパク質プローブおよびアフィニティータグのいずれでも利用することができる。第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブのどちらも、標的の1つまたは複数の部分を結合し得る標的特異的領域を含む。工程2)および3)において、標的タンパク質を、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブと混合する。工程4)において、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を精製する。図1に示された例において、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を、Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)などのストレプトアビジン結合型磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする、本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブ(複数可)の複合体を、限定されないが、HPLC、FPLC、サイズ排除(ゲル濾過)クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー;ビオチン−アビジン、マルトース−マルトース結合タンパク質(MBP)、カルシウム−カルシウム結合ペプチドなどのリガンド−受容体結合;アプタマー−標的結合;ジップコードハイブリダイゼーションなどの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。
【0063】
図1の工程5)において、シグナルオリゴを、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体から溶離させ、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。シグナルオリゴを溶離させるための方法は、当技術分野において公知であり、それらには、図1に示されたものおよび本明細書に記載されたものが挙げられる。いくつかの実施形態において、図1に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図1に記載されているような第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態において、捕獲領域は、タンパク質プローブの単離および/またはタンパク質プローブの表面への固定化に用いられる。捕獲領域は、下記のようなアフィニティータグ、またはビーズ、スライド、もしくはアレイなどの固体表面であり得る。
【0065】
図6は、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。この実施形態において、タンパク質プローブは、捕獲領域、例えば、磁気ビーズに付着している。図6は抗体の使用を示している。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載されたタンパク質プローブおよび捕獲領域のいずれでも利用することができる。タンパク質プローブ(例えば、抗体)を、本明細書に記載された方法を含む当技術分野において公知の任意の適切な方法によって捕獲領域に付着させることができる。標的タンパク質を、捕獲領域を含むタンパク質プローブと混合する。その後、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を、リンカーオリゴを介してシグナルオリゴに付着した第2のタンパク質プローブと接触させる。標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を精製する。この例において、標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、上記の方法などの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。捕獲領域がスライドまたはアレイである場合には、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、過剰の結合していない試料およびタンパク質プローブを洗い流すことによって精製することができる。その後、単離された標的タンパク質/タンパク質プローブ複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させる。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。シグナルオリゴを溶離させるための方法は、本明細書に記載された方法を含む当技術分野において公知である。この実施形態において、タンパク質とナノレポーターは十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。いくつかの実施形態において、図6に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図6に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴはアフィニティータグに付着している。シグナルオリゴにおけるアフィニティータグは、シグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。シグナルオリゴを利用する本明細書に記載された方法のいずれにおいても、シグナルオリゴはアフィニティータグに付着することができる。
【0067】
図7は、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。この実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれとも用いることができる。図7の図は、タンパク質プローブとして抗体を示すが、この例は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。図7は、捕獲領域(例えば、磁気ビーズ)に直接的または間接的に(例えば、オリゴを通してのハイブリダイゼーションによる)付着した抗体、およびビオチン化シグナルオリゴに付着した第2抗体を示す。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載された捕獲領域およびアフィニティータグのいずれでも利用することができる。標的タンパク質をタンパク質プローブと混合する。標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、上記の方法などの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。捕獲領域がスライドまたはアレイである場合には、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、過剰の結合していない試料およびタンパク質プローブを洗い流すことによって精製することができる。その後、単離された標的タンパク質/抗体複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、本明細書に記載されたものを含む当技術分野において公知の任意の適切な方法によって溶離させる。図7の実施形態において、シグナルオリゴを、Dynabeads(登録商標)などのオリゴヌクレオチド結合型ビーズを用いて精製する。しかしながら、シグナルオリゴを、それに付着したアフィニティータグに従っての任意の適切な方法によって精製することができる。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図7に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図7に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図7に記載された実施形態は、それがたった2回のビーズ精製を必要とするだけという利点を提供する。加えて、この実施形態において、タンパク質とナノレポーターは十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。
【0068】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、近接している2つのオリゴをライゲーションすること、例えば、近接ライゲーションによって作製される。近接ライゲーションの図は、図8に示されている。図8の工程1)において、オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように、かつプローブが近接した状態になったとき、ライゲーションによりシグナルオリゴを形成するように設計される。図8は、タンパク質プローブとして抗体を用いる実施形態を示す。しかしながら、図8に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。オリゴを含むプローブは、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、Gullbergら、PNAS 101(22)、p8420−24(2004)に記載された方法よって調製および精製することができる。図8の工程2)において、その後、標的タンパク質を、オリゴおよび架橋オリゴを含むプローブと混合する。
【0069】
架橋オリゴはポリヌクレオチド配列を含む。タンパク質プローブに付着したオリゴは、架橋オリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに付着したオリゴのそれぞれとの架橋オリゴの相補的部分は、6〜15個の塩基であり、架橋オリゴの全長は12〜30個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は20個の塩基である。
【0070】
図8の工程4)において、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。タンパク質プローブにおけるオリゴは、当技術分野において公知の任意の適切な方法によってライゲーションすることができる。本発明によるライゲーションは、任意の酵素的または化学的プロセスを含み、ヌクレオチド間の連結は、架橋オリゴに隣接してハイブリダイズする核酸配列の逆末端の間で形成される。ライゲーションに用いることができる酵素の例には、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Thermus thermophilus(Tth)リガーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAリガーゼ、またはPyrococcus furiosus(Pfu)リガーゼなどのDNAリガーゼおよびRNAリガーゼが挙げられるが、それらに限定されない。化学的ライゲーションは、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、N−シアノイミダゾール、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外線などの活性化剤および還元剤を用いて実施することができる。限定されないが、ギャップ充填OLAおよびLCRを含むギャップ充填ライゲーション、架橋オリゴヌクレオチドライゲーション、および補正ライゲーションなどのライゲーション技術もまた本発明の範囲内である。これらの技術の説明は、とりわけ、米国特許第5,185,243号、欧州特許出願公開第EP 320308号および第EP 439182号、ならびに国際公開特許第WO 90/01069号および第WO 01/57268号に見出すことができる。
【0071】
図8の工程5)において、ライゲーション後、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させる。加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。図8Bは、シグナルオリゴがビオチンまたは配列などのアフィニティータグを有する実施形態を示す。アフィニティータグは、本明細書に記載されているようなシグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。図8Cは、架橋オリゴがビオチンまたは配列などのアフィニティータグを有する実施形態を示す。アフィニティータグは、本明細書に記載されているようなシグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。ライゲーションされたオリゴのみが、単離および/または固定化プロセス中にシグナルオリゴにハイブリダイズしたままであるのに十分な重複を有する。図8Dは、図8Bおよび8Cの実施形態が組み合わされている実施形態を示す。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図8に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図8に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図8に記載された実施形態は、感度、交差反応性の最小化、および多重化を中心としたいくつかの有益性をもつ。近接ライゲーションは、高感度を示しており、オフ速度を本質的に減少させることによって見かけのKdを低下させる効果を有する。
【0072】
近接ライゲーションを利用するいくつかの実施形態において、オリゴのうちの1つは、ナノレポーターに付着している。図9はそのような実施形態の1つの図を示す。
【0073】
図9の工程1)において、オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように設計される。タンパク質プローブの1つにおけるオリゴの1つはナノレポーターに付着している。図9は、タンパク質プローブとして抗体を用いる実施形態を示す。しかしながら、図9に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。オリゴを含むプローブは、上記のように調製および精製することができる。図9の工程2)および3)において、その後、標的タンパク質を、オリゴおよび架橋オリゴを含むプローブと混合する。架橋オリゴは、第1のタンパク質プローブにおけるオリゴ、および第2のタンパク質プローブに付着したナノレポーターの部分に結合する。
【0074】
第1のタンパク質プローブに付着したオリゴおよびナノレポーターは、架橋オリゴと相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに付着したオリゴそれぞれおよびナノレポーターとの架橋オリゴの相補的部分は、6〜15個の塩基であり、架橋オリゴの全長は12〜30個の塩基である。図9の工程4)において、その後、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。第1のタンパク質プローブにおけるオリゴおよびナノレポーターは、上記のような当技術分野において公知の任意の適切な方法によってライゲーションすることができる。図9の工程5)において、ライゲーション後、任意で、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させることができる。
【0075】
加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。例えば、図8Cに記載されたアプローチを用いて、精製工程は、シグナルオリゴの、例えば、抗体からの遊離後、ライゲーションされたオリゴをライゲーションされていないオリゴから分離するように実施される。この精製工程は、磁気ビーズまたはタンパク質の物理的分離についての当技術分野において公知の任意の他の方法を用いて実施することができる。重要なことには、用いられる抗体の量が、用いられるレポーターの量より高い場合には、その結果として生じる過剰のライゲーションされていないオリゴが、レポーターのオリゴへのハイブリダイゼーションをブロックする可能性がある。実施例7に記載されているように、精製工程は、緩衝溶液でのすすぎ工程をさらに含む。図13は、様々な緩衝液条件において、抗体レポーター複合体のどれくらい様々なコンポーネントが、精製され、すすがれるかを示している。好ましいすすぎ用緩衝液はSSPEである;しかしながら、受容体複合体またはそのコンポーネントの数を保持するための類似した能力を有する他の緩衝液および全ての濃度が、これらの方法に包含される。
【0076】
シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図9に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図9に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図9に記載された実施形態は、近接ライゲーションによるKoffの減少という利点を利用している。より低いKoffは、より低いKd、およびより低い濃度のタンパク質プローブで作用する能力を意味する。このKdの減少によって、レポーターについて必要とされる濃度で作用すること、およびそれにしたがって、多重分析についての直接的検出アプローチを企図し、試薬費用を減少させることがより容易になる。これらの実施形態は、アッセイ内で、レポーターへのハイブリダイゼーション工程を必要としない。したがって、これらのアッセイは、より速くなって、より短い時間で応答することになるであろう。
【0077】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴを、下のセクションで記載されているようなナノレポーター(複数可)を用いて分析/検出する。これらの実施形態において、ナノレポーター(複数可)は、シグナルオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は15〜20個の塩基である。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、ナノレポーターを含むタンパク質プローブをさらに含む。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブまたはプローブセットにおけるタンパク質プローブの少なくとも1つがナノレポーターを含む、方法を提供する。
【0079】
図4は、本発明の実施形態のうちの1つの概略図を示す。この実施形態において、ナノレポーターは抗体のうちの1つに付着している。図4に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれを用いても、利用することができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、タンパク質プローブに直接的に付着することができる。他の実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴを通してのハイブリダイゼーションによってタンパク質プローブに付着することができる。したがって、ナノレポーターは、タンパク質プローブにおけるリンカーオリゴと相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、リンカーオリゴは15〜20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は15個の塩基である。
【0080】
ナノレポーターのリンカーオリゴへのハイブリダイゼーションは、相補的部分の長さに依存して異なる温度で起こり得る。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、32℃〜40℃の範囲の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、35℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、37℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、45℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、52℃〜57℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の融解温度(Tm)より15℃〜20℃下の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さおよびそれらのハイブリダイゼーション温度が、用いられるタンパク質プローブの型に依存することを当業者は理解しているであろう。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さは15〜20個の塩基であり、それは、約57℃、すなわち、37℃の理想的抗体温度より15℃〜20℃上のTmを与える。したがって、いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さは15〜20個の塩基であり、ハイブリダイズする温度は37℃である。
【0081】
図4は、抗体の1つがビオチンに結合しており、その他の抗体がナノレポーターを付着させている、標的タンパク質と抗体の複合体が形成されることを示す。図4に記載された方法は、ビオチン以外の本明細書に記載されたいずれのアフィニティータグも用いることができる。標的タンパク質−抗体複合体の精製は、本明細書に記載されたものを含む、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって実施することができる。ナノレポーターの溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することにより、消化、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法により、達成することができる。タンパク質−抗体複合体がアフィニティータグを含む実施形態において、複合体を、例えばストレプトアビジンでコーティングされた、カバーガラス(Optichem(登録商標)、Accelr8 Technology Corporation)に結合させることができる。ナノレポーターを下記のように分析する。いくつかの実施形態において、図4に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図4に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的ナノレポーターを有し、そのナノレポーターが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0082】
いかなる理論またはいかなる特定の実施形態にも限定されるつもりはないが、シグナルオリゴを利用する本発明の実施形態は、以下のいくつかの利点を提供する:(1)これらの実施形態は、標的タンパク質およびタンパク質プローブをナノレポーターから分離する。レポーターからのタンパク質の分離によって、タンパク質を測定するためにナノレポーターを用いることに付随した溶解性および粘着性の潜在的問題が排除される。ナノレポーターからの標的タンパク質の分離は、DNAとタンパク質の間でのKdミスマッチの課題を回避し、最大シグナルおよび最低ノイズを得るための両方についての理想的濃度の使用を可能にし、必要に応じて低Kdの抗体の使用を可能にする;(2)間接的シグナルオリゴアプローチは、下記のナノレポーターアッセイの上流のプロセスとして実行し、それにより、最適化されたナノレポーターアッセイを利用することができる;(3)タンパク質プローブセット(例えば、抗体ペア)が、必要に応じて、それらの通常の配置で、例えば、表面上(例えば、磁気ビーズ上)の捕獲抗体および溶液中の検出抗体として、用いることができる。いくつかの抗体はこの配置において最良に作用する;(4)これらの実施形態に関して、タンパク質プローブが標的から外れること(Koff速度)、例えば、抗体だけが、ビーズ上での結合および精製中、標的に結合した状態で留まらなければならないことに関連した問題が最小限に抑えられる。これは、より低い結合親和性をもつ抗体を含む広範囲の抗体の使用を可能にする;ならびに(5)タンパク質は、核酸、例えば、RNAまたはDNAと同じレーンで読み取ることができる。試料をまず分割する:一部を、本明細書に記載されたタンパク質検出実施形態に供し(細胞を界面活性剤で溶解し、その後、本明細書に記載されているように、結合させ、精製する)、一部を切り離して、核酸試料として処理する(細胞をGITCで溶解する)。その後、試料を再び組み合わせ、下記のようなナノレポーターを用いて分析するが、同じレーンで行う可能性もある。同じレーンにおける核酸(例えば、RNA)およびタンパク質の両方の測定は、測定による違いを最小限にし、タンパク質および核酸の発現データをより比較可能にし、必要とされるデータを得るための複数の測定方法の必要性を排除する。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、タンパク質の測定と組み合わせた、核酸、例えば、RNAまたはDNAの測定を提供する。
【0084】
本明細書に記載された実施形態のいずれも、複数の標的タンパク質の検出に用いることができる。いくつかの実施形態において、本発明は、標的タンパク質の分析のためのタンパク質プローブを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多重化アッセイに用いるタンパク質プローブ集団を提供する。集団における各タンパク質プローブは、標的分子に特異的である。その後、標的タンパク質のタンパク質プローブへの結合を、ナノレポーターを用いて検出する。各ナノレポーターは、下記のように、特定の標的分子に会合することができる固有の標識コードを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、下記のようなナノレポーターの検出は、1回に1分子がカウントされる点で本来、デジタルである。コードを読むために蛍光が用いられるが、シグナルは高く、スポットは存在するかしないかのいずれかであり、したがってデジタル検出である。シグナルを定量化するために用いられるアナログ蛍光シグナルよりむしろデジタル検出を用いることが、より正確な定量化をもたらす。したがって、本明細書に記載された方法は、現在可能なレベルを超えるレベルでの多重化、より正確な定量化、場合により、より高い感度を可能にする。
【0086】
ナノレポーター
特定の標的に会合するシグナルのコード(ナノレポーター標識コード)を提供するナノレポーター。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに会合したシグナルオリゴまたはリンカーオリゴへのナノレポーターの結合の際、ナノレポーターコードは、ナノレポーターが結合しているシグナルオリゴまたはタンパク質プローブを同定する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明のナノレポーターは、以下の2つの主要な部分を含む:(i)タンパク質プローブに会合したシグナルオリゴまたはリンカーオリゴに特異的な配列;および(ii)標識されたナノレポーター。いくつかの実施形態において、ナノレポーターはタンパク質プローブに直接的に付着している。
【0087】
ナノレポーターはモジュラー構造である。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、複数の異なる検出可能な分子を含む。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、以下のある特定の基本的要素を含む分子成分である:(i)直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域、および(ii)バックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、直線的に組み合わされて付着した2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の固有の標識付着領域、およびバックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、直線的に組み合わされて付着した3個以上の標識付着領域、およびバックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列を含む。標識付着領域という用語は、検出可能な分子についての個々の付着点としての役割を果たし得る、所定のバックボーン内の定義されたポリヌクレオチド配列の領域を含む。
【0088】
直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域は、固有的に設計された配列を含み得る。加えて、ナノレポーター内の直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域は、少なくとも1つの鋳型、例えば、限定されないが、クローニングカセット、ポリリンカーなどを含む誘導体を含めての、アデノウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ロタウイルスのゲノムなどの線状もしくは線状可能なウイルスゲノム、またはラムダ、M13、φX−174、Tシリーズのバクテリオファージなどのバクテリオファージの少なくとも一部分などの少なくとも1つの核酸配列;クローニングカセット、ポリリンカーなどを含む誘導体を含めての、pBR322およびpUCシリーズプラスミドなどのプラスミド;合成鋳型;人工配列を含む鋳型などを含む。事実上、いかなる小片の核酸も、それが少なくとも2個の標識付着領域を含むのに十分大きいならば、またはそれが少なくとも1つの他の核酸配列と組み合わせることができて、その組み合わされた配列が少なくとも2個の標識付着領域を含むのに十分大きいならば、ナノレポーターを作製するための鋳型としての役割を果たすことができることを当業者は理解しているであろう。
【0089】
いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターはまた、定常領域を含むバックボーンを含む。定常領域は、ナノレポーターに直接的または間接的に付着することができる。したがって、定常領域は、ナノレポーターに共有結合することができるか、または定常領域は、アッセイにおいて後で、ナノレポーターに結合することができる。定常領域という用語は、約10個〜約25個のヌクレオチドの縦列反復配列を含む。定常領域は、ナノレポーターの5’領域または3’領域のいずれかで付着することができ、定常領域に相補的である配列を固体基質に付着させることによるなど、画像化または検出のためのナノレポーターの捕獲および固定化のために利用されてもよい。
【0090】
ナノレポーターの要素は、単一分子成分(単一ナノレポーター)または2つの別個の分子成分(二重ナノレポーター)として見出すことができる。各分子成分は、1つの分子で構成されてもよいし、共有結合性または非共有結合性手段によってお互いに付着した1つより多い分子で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、二重ナノレポーターの各コンポーネントは、同じシグナルオリゴ分子上の異なる部位に結合するシグナルオリゴ特異的配列を有する。二重ナノレポーター系を用いる場合、ナノレポータープローブの1つは、標識されてなくてもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは捕獲領域を含んでもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは、シグナルオリゴ特異的領域、および一本鎖であり得るバックボーンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは、シグナルオリゴ特異的領域、および二本鎖であり得るバックボーンを含んでもよい。
【0091】
ナノレポーターバックボーンに付着した相補的ポリヌクレオチド配列は、検出可能な分子または標識モノマーをナノレポーターバックボーンに付着させる作用をする。相補的ポリヌクレオチド配列は、例えば、1つまたは複数の検出可能な分子の相補的ポリヌクレオチド配列への共有結合性組み入れによって、直接的に標識されてもよい。あるいは、相補的ポリヌクレオチド配列は、特異的なリガンド相互作用の能力があるビオチンまたは他の分子の相補的ポリヌクレオチド配列への組み入れによるなど、間接的に標識されてもよい。そのような例において、リガンド(例えば、相補的ポリヌクレオチド配列へのビオチン組み入れの場合におけるストレプトアビジン)が、検出可能な分子に共有結合していてもよい。標識付着領域に付着した検出可能な分子が、相補的ポリヌクレオチド配列へ直接的には組み入れられていない場合、この配列は、検出可能な分子と標識付着領域との間の橋としての役割を果たし、架橋分子、例えば、架橋核酸と呼ばれる場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されたナノレポーターを用いる。
【0093】
本発明の、核酸に基づいたナノレポーター、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体、またはナノレポーター−タンパク質プローブ複合体は、ナノレポーターの定常領域に相補的であるオリゴヌクレオチドなどの核酸を用いてアフィニティー精製または固定化され得る核酸を含む。上記で述べられているように、いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、精製および/または(例えば、固体表面への)固定化のためのアフィニティータグとしての役割を果たし得る少なくとも1つの定常領域を含む。定常領域は、典型的には、1連の15塩基の反復などの反復ヌクレオチドの2つ以上の縦列反復領域を含む。そのような例示的な実施形態において、ナノレポーターは、シグナルオリゴ、標的分子と複合体形成している、していないに関わらず、反復単位の逆相補体である15塩基のオリゴヌクレオチドでコーティングされたアフィニティー試薬により精製または固定化することができる。
【0094】
ナノレポーター、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体、またはナノレポーター−タンパク質プローブ複合体は、2つ以上のアフィニティー選択工程で精製することができる。例えば、ナノレポーターがタンパク質プローブに付着している実施形態において、ナノレポーターはアフィニティータグを含み得る。シグナルオリゴおよび二重ナノレポーターが用いられる場合の他の実施形態において、1つのナノレポータープローブは、第1のアフィニティータグを含み得、その他のナノレポータープローブは、第2の(異なる)アフィニティータグを含み得る。ナノレポータープローブを、シグナルオリゴと混合し、二重ナノレポーターの2つのプローブを含む複合体は、一方または両方の個々のアフィニティータグに対するアフィニティー精製により結合していない材料(例えば、シグナルオリゴ、またはナノレポーターの個々のプローブ)から分離される。第1工程において、混合物は、第1アフィニティータグについてのアフィニティー試薬に結合することができ、それによって、第1アフィニティータグを含むプローブのみ、および所望の複合体が精製される。結合した材料を、第1アフィニティー試薬から遊離させ、任意で、第2アフィニティータグについてのアフィニティー試薬に結合させて、第1アフィニティータグを含むナノレポータープローブからの複合体の分離を可能にする。この時点で、完全な複合体のみが結合しているであろう。複合体を、最終的に、第2アフィニティータグについてのアフィニティー試薬から遊離させ、その後、好ましくは、ストレッチさせ、画像化する。アフィニティー試薬は、アフィニティータグの結合パートナーでコーティングされた任意の固体表面であり得、例えば、結合パートナーでコーティングされたカラム、ビーズ(例えば、ラテックスまたは磁気ビーズ)、またはスライドなどである。アフィニティー試薬を用いるナノレポーターの固定化およびストレッチは、参照により全体として本明細書に組み入れられた、Sean M.FerreeおよびDwayne L.Dunawayによる、「Compositions Comprising Oriented,Immobilized Macromolecules and Methods for Their Preparation」という発明の名称の2005年12月23日に出願された米国仮出願第60/753,816号、ならびに米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に完全に記載されている。
【0095】
所定のナノレポーターのバックボーンの様々な標識付着領域に会合した標識モノマーによって供給されるシグナルの配列により、ナノレポーターの固有の同定が可能になる。例えば、蛍光標識を用いる場合、固有のアイデンティティまたは固有のスペクトルシグネチャーを有するナノレポーターは、特定の標的分子またはその部分を認識するシグナルオリゴ特異的配列またはタンパク質プローブに会合している。ナノレポーターと会合した、蛍光標識ナノレポーターのスペクトルコードなどのナノレポーターシグナルの検出により、混合物における標的分子の存在の検出が可能になる(定性分析)。所定のスペクトルコードまたはシグネチャーと会合した、全ての標識モノマーをカウントすることにより、シグナルオリゴ特異的配列、またはナノレポーターに結合したタンパク質プローブと会合した混合物における全ての分子のカウントが可能になる(定量分析)。シグナルオリゴが用いられる実施形態において、その後、シグナルオリゴは、シグナルオリゴに会合したタンパク質プローブへの標的分子の結合を介して標的分子と相関することができる。したがって、ナノレポーターは、公知の生物学的マーカーの定量分析によって異なる生物学的状態(例えば、疾患対健康)の診断または予後に有用である。
【0096】
さらに、本発明のナノレポーターによって提供されるシグナル分子検出および定量化の精巧な感度により、異なる生物学的状態の間でのゆらぎが、伝統的な分子方法を用いて特定の生物学的状態との相関を検出するには軽微すぎるものを含む、新しい診断マーカーおよび予後マーカーの同定が可能になる。ナノレポーターに基づいた分子検出の感度により、小さい生体試料における治療剤および診断剤の詳細な薬物動態学的分析が可能になる。
【0097】
ナノレポーターの合成は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって実施することができる。ナノレポーターの合成の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0098】
一実施形態において、本発明は、ナノレポーターバックボーンに付着したアフィニティータグをさらに含むナノレポーターを提供し、それによって、アフィニティータグの支持体への付着が、バックボーンストレッチ、およびバックボーン上の異なる標識付着領域に対応する標識モノマーにより提供されるシグナルの分解を可能にする。ナノレポーターストレッチは、限定されないが、物理的、水力学的、または電気的手段を含む手段を含む、当技術分野において公知の任意のストレッチ手段を含み得る。アフィニティータグは定常領域を含んでもよい。
【0099】
プローブの集団における各ナノレポータープローブの固有性により、複数の標的分子の多重化分析が可能になる。例えば、いくつかの実施形態において、各ナノレポータープローブは、6個の標識付着領域を含み得、各バックボーンの各標識付着領域は、その同じバックボーンにおけるその他の標識付着領域とは異なっている。標識認識領域が4つの色のうちの1つで標識されることになっており、かつ標識付着領域について24個の可能な固有配列があり、かつ各標識付着領域が特定の色を割り当てられている場合には、各バックボーンにおける各標識付着領域は、4つの配列のうちの1つからなるであろう。この例において4096個の可能なナノレポーターがあることになる。可能なナノレポーターの数は、例えば、色の数を増加させること、標識付着領域についての固有配列の数を増加させること、および/またはバックボーンあたりの標識付着領域の数を増加させることにより、増加させることができる。同様に、可能なナノレポーターの数は、色の数を減少させること、標識付着領域についての固有配列の数を減少させること、および/またはバックボーンあたりの標識付着領域の数を減少させることにより、減少させることができる。
【0100】
ある特定の実施形態において、検出方法は、多重アッセイで実施され、複数の標的分子が同じアッセイ(単一の反応混合物)において検出される。好ましい実施形態において、アッセイは、複数の標的分子が同時に検出されるハイブリダイゼーションアッセイである。ある特定の実施形態において、同じアッセイで検出される複数の標的分子は、少なくとも2個、少なくとも5個の異なる標的分子、少なくとも10個の異なる標的分子、少なくとも20個の異なる標的分子、少なくとも50個の異なる標的分子、少なくとも75個の異なる標的分子、少なくとも100個の異なる標的分子、少なくとも200個の異なる標的分子、少なくとも500個の異なる標的分子、または少なくとも750個の異なる標的分子、または少なくとも1000個の異なる標的分子である。他の実施形態において、同じアッセイで検出される複数の標的分子は、最高50個の異なる標的分子、最高100個の異なる標的分子、最高150個の異なる標的分子、最高200個の異なる標的分子、最高300個の異なる標的分子、最高500個の異なる標的分子、最高750個の異なる標的分子、最高1000個の異なる標的分子、最高2000個の標的分子、または最高5000個の標的分子である。さらに他の実施形態において、検出される複数の標的分子は、異なる標的分子の前述の数の間の任意の範囲、例えば、限定されないが、20個〜50個までの異なる標的分子、50個〜200個までの異なる標的分子、100個〜1000個までの異なる標的分子、500個〜5000個までの異なる標的分子など、その他もろもろである。
【0101】
本発明のナノレポーターにより提供される定性分析能力、およびそれに基づいた分析技術に加えて、本発明のナノレポーターは、独特なことに、定量分析を行うのに適している。生体分子試料における、本発明のナノレポーター(単一ナノレポーターか二重ナノレポーターかに関わらず)とそれらの標的分子の間の1対1の結合を提供することによって、試料に存在する標的分子の全部または代表的部分を、同定し、カウントすることができる。この様々な分子種の個々のカウントは、生体分子試料における標的分子の絶対的または相対的濃度を決定するための正確かつ直接的な方法を提供する。さらに、混合物中の各分子を個々にアドレス指定する能力により、高感度、最小限の試料必要量、小容量における液相動態学により与えられる高反応速度、および最終的に非常に低い試薬費用を含む小型化による利益を個々に活用している。
【0102】
検出可能な分子または標識モノマー
本発明のナノレポーターは、放射性同位元素、蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、または直接的(例えば、発光により)もしくは間接的(例えば、蛍光標識抗体の結合により)に検出することができる当技術分野において公知の他のモノマーなど、様々な標識モノマーのいずれかで標識することができる。一般的に、ナノレポーターにおける標識付着領域のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数の標識モノマーで標識され、ナノレポーターの標識付着領域に付着した標識モノマーによって提供されるシグナルは、ナノレポーターの標的特異的領域が結合する標的を同定する検出可能なコードを構成する。ある特定の実施形態において、標識付着領域からの所定のシグナルの欠如(例えば、ダークスポット)もまた、ナノレポーターコードの部分を構成することができる。
【0103】
本明細書に記載されたナノレポーターと共に用いることができる標識モノマーの例、および標識モノマーをナノレポーターへ組み入れるための方法の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0104】
アフィニティータグ
当技術分野において公知の様々なアフィニティータグは、例えば、ナノレポーターを精製および/または固定化するために、用いられ得る。いくつかの実施形態において、ビオチンアンカーが、ナノレポーターに付着しており、ナノレポーターのストレプトアビジンコーティング化スライド上への固定化を可能にする。
【0105】
いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、各末端にアフィニティータグ、A1およびA2を含む。標識ナノレポーターは、A1の固定化アフィニティーパートナーへの結合を通して表面に固定化することができる。A2についてのアフィニティー結合パートナーの非存在下において、ナノレポーターのA2末端は溶液中に留まるが、アフィニティー結合パートナー(A2’)の存在下において、ナノレポーターのA2末端もまた固定化される。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、単一のアフィニティータグ、A1を含む。もう一つのアフィニティータグ、A2は、A2を含む分子へのナノレポーターの直接的結合によってナノレポーターに付着することができる(例えば、ナノレポーターが核酸であるか、または核酸を含む場合には、それは、A2が付着している別の核酸と直接的にハイブリダイズすることができる)。あるいは、いずれかのアフィニティータグが、架橋核酸などの架橋分子を介して標識ナノレポーターに付着することができる。いくつかの実施形態において、A1の固定化の際、ナノレポーターは、ナノレポーターコードの検出を可能にする様式における標識付着領域の分離のために、例えば、エレクトロストレッチングにより、ストレッチまたは「伸長」することができる。任意で、ナノレポーターが伸長された状態にあると同時に、A2が導入され、表面まで降りて、A2と相補的であるナノレポーターの末端に結合する。
【0106】
いくつかの実施形態において、アフィニティータグは、例えば、タンパク質プローブを精製および/または固定化するために、タンパク質プローブに付着している。
【0107】
アフィニティータグは、限定されないが精製を含む様々な有用な適用のために、ビーズまたは他のマトリックスへの付着に用いることができる。
【0108】
アフィニティータグの例、ならびにそれらを作製し、および/またはそれらを本明細書に記載されたナノレポーターに付着させる方法の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0109】
生体分子試料
本発明のタンパク質プローブおよびナノレポーター系は、任意の生体分子試料において標的タンパク質を検出するために用いることができる。当業者によって認識されているように、試料は、物質をいくらでも含んでいてもよく、その例には以下が挙げられるが、それらに限定されない:(初代細胞および培養細胞系の両方を含む)細胞、細胞可溶化物または細胞抽出物、ならびに組織および組織抽出物などの生体試料;体液(血液、尿、血清、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、眼房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門および膣の分泌液、汗および精液、漏出液、滲出液(例えば、膿瘍、または感染もしくは炎症の任意の他の部位から得られる液体)または事実上、任意の器官の関節(例えば、正常な関節、または関節リウマチ、変形性関節症、痛風、もしくは化膿性関節炎などの疾患に冒された関節)から得られる液体が挙げられるが、哺乳類試料が好ましく、ヒト試料が特に好ましい;環境試料(空気、農業、水、および土の試料が挙げられるが、それらに限定されない);生物戦剤試料;細胞培養物由来の細胞外液、細胞外上清、細菌における封入体、細胞コンパートメント、細胞周辺質、ミトコンドリアコンパートメントなどを含む研究試料。
【0110】
生体分子試料は、生物学的検体から間接的に引き出すことができる。例えば、関心対象となる標的タンパク質がキナーゼである場合、本発明の生体分子試料は、細胞可溶化物由来の単離されたタンパク質を含む試料であり得る。別の例において、本発明の生体分子試料は、生物学的検体を分画、例えば、サイズ分画または膜分画に供することによって作製される。
【0111】
本発明の生体分子試料は、天然(例えば、操作または処理を受けていない)であってもよいし、処理されていてもよい(薬物を含む候補作用物質への暴露、遺伝子操作(例えば、遺伝子の付加または欠失)などを含む処理をいくつでも含み得る)。
【0112】
生体分子試料はまた、細菌、または、とりわけある特定の海もしくは地球に基づいた試料においてなどの、珪藻、渦鞭毛藻類、藻類などの他の生物体を含むものなどの環境試料も含み得る。
【0113】
ナノレポーターの検出
ナノレポーターは、所定のナノレポーター上の特定のシグナルを検出し得る、当技術分野において利用可能な任意の手段によって検出される。ナノレポーターが蛍光標識されている場合、適切な励起源についての相応の考慮を吟味してもよい。可能な源として、アークランプ、キセノンランプ、レーザー、発光ダイオード、またはそれらのいくかの組み合わせを挙げることができるが、それらに限定されない。適切な励起源が、適切な光学的検出系、例えば、倒立蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、または共焦点顕微鏡と共に用いられる。好ましくは、ナノレポーター上のスポットの配列を決定するのに十分な空間分解能での検出を可能にすることができる顕微鏡が用いられる。例えば、一実施形態において、標的分子にハイブリダイズした二重ナノレポーターの画像を得ることができる。例えば、ナノレポーターが3つの異なる色、(それぞれ、1、2、および3と名付けられた)Alexa 488、Cy3、およびAlexa 647で標識されている場合には、色1、2、および3がそれぞれ、異なるチャネルで獲得され、スポットの列として見ることができる第1および第2レジスターは、各レジスターを個々に示すことができるように数個のピクセルによってシフトアップされる。
【0114】
本発明の方法において用いることができるナノレポーターの検出のための方法の例は、「Methods for detection and quantification of analytes in complex mixtures」という発明の名称の米国特許第7,473,767号、「Methods for detection and quantification of analytes in complex mixtures」という発明の名称の米国特許公開第2007/0166708号、「Compositions comprising oriented, immobilized macromolecules and methods for their preparation」という発明の名称の米国特許出願第11/645,270号、「Nanoreporters and methods of manufacturing and use thereof」という発明の名称のPCT出願第US06/049274号、および「Stable nanoreporter」という発明の名称の米国仮出願第60/088,988号に記載されており、それらの全部は、参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0115】
ナノレポーターテクノロジーによるタンパク質検出の適用
本発明の組成物および方法は、診断、予後、治療、患者層別化、薬物開発、処置選択、およびスクリーニングを目的として用いることができる。本発明は、多くの異なる標的タンパク質が、本発明の方法を用いて単一の生体分子試料から一度に分析することができるという利点を提供する。これは、例えば、いくつかの診断検査を1つの試料で実施することを可能にする。
【0116】
本発明の組成物および方法は、プロテオミクスにおいて用いることができる。本明細書に記載された方法は、典型的には、答えを迅速に提供し、それはこの適用にとって非常に望ましいことである。本明細書に記載された方法および組成物は、診断または予後に、ならびに健康および疾患の指標として用い得るバイオマーカーを見出すプロセスにおいて用いることができる。本明細書に記載された方法および組成物は、薬物についてスクリーニングすること、例えば、薬物開発、処置の選択、処置効力の決定、および/または医薬開発のために標的を同定することに用いることができる。薬物に関与するスクリーニングアッセイでタンパク質発現を試験する能力は、タンパク質が身体において最終遺伝子産物であるため、非常に重要である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法および組成物は、タンパク質および遺伝子発現の両方を同時に測定し、それは実施されることになっている特定のスクリーニングに関して最も多い情報を提供することになるであろう。
【0117】
本方法は、罹患細胞型が試料中に存在するかどうか、疾患の段階、患者の予後、患者の特定の処置に応答する能力、または患者にとっての最良の処置を決定するために、患者から得られた、または患者に由来する生体分子試料の分析に適用することができる。本方法はまた、特定の疾患について同定されたバイオマーカーに適用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、状態の診断に用いられる。本明細書に用いられる場合、用語「診断する」または状態の「診断」は、状態を予想すること、または診断すること、状態の素因を決定すること、状態の処置をモニターすること、疾患の治療的応答を診断すること、ならびに状態の予後、状態進行、および状態の特定の処置に対する応答を含む。例えば、血液試料は、試料における疾患のマーカーまたは悪性細胞型の存在および/または量を決定して、それにより、疾患または癌を診断し、または病期分類するために、本明細書に記載された方法のいずれかに従ってアッセイすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法および組成物は、状態の診断および予後に用いられる。
【0120】
多数の免疫学的、増殖性、および悪性の疾患および障害は特に、本明細書に記載された方法に適している。免疫学的疾患および障害には、アレルギー性疾患および障害、免疫機能の障害、ならびに自己免疫疾患および状態が挙げられる。アレルギー性疾患および障害には、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、および食物アレルギーが挙げられるが、それらに限定されない。免疫不全症には、重症複合免疫不全症(SCID)、好酸球増加症候群、慢性肉芽腫症、白血球粘着不全症IおよびII、高IgE症候群、チェディアック・東症候群、好中球増多症、好中球減少症、形成不全、無ガンマグロブリン血症、高IgM症候群、ディジョージ/口蓋心臓顔面症候群、ならびにインターフェロンガンマ−TH1経路欠陥が挙げられるが、それらに限定されない。自己免疫障害および免疫調節不全障害には、関節リウマチ、糖尿病、全身性エリテマトーデス、グレーブス病、グレーブス眼症、クローン病、多発性硬化症、乾癬、全身性硬化症、甲状腺腫およびリンパ腫性甲状腺腫(橋本甲状腺炎、リンパ節様甲状腺腫)、円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、硬化性苔癬、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、萎縮性胃炎、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、ならびに炎症性腸疾患、同種移植片拒絶および感染性微生物または環境抗原に対するアレルギー性反応からの組織破壊が挙げられるが、それらに限定されない。
【0121】
本発明の方法によって評価され得る増殖性疾患および障害には、新生児における血管腫症;二次性進行型多発性硬化症;慢性進行型骨髄変性疾患;神経線維腫症;神経節神経腫症;ケロイド形成;骨ページェット病;(例えば、乳房または子宮の)線維嚢胞性疾患;サルコイドーシス;ペイロニーおよびデュピュイトラン線維症、硬変、アテローム性動脈硬化症、ならびに血管再狭窄が挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
本発明の方法によって評価され得る悪性疾患および障害には、血液悪性腫瘍および固形腫瘍の両方が挙げられる。
【0123】
血液悪性腫瘍は、試料が血液試料である場合、そのような悪性腫瘍が血液由来細胞の変化に関与するため、本発明の方法に特に適している。そのような悪性腫瘍には、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非B細胞リンパ腫、および他のリンパ腫、急性または慢性白血病、赤血球増加症、血小板血症、多発性骨髄腫、骨髄異形成障害、骨髄増殖性障害、骨髄線維症、非定型免疫リンパ球増殖、ならびに形質細胞障害が挙げられる。
【0124】
本発明の方法によって評価され得る形質細胞障害には、多発性骨髄腫、アミロイドーシス、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症が挙げられる。
【0125】
固形腫瘍の例として、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、脳腫瘍、中枢神経腫瘍、膀胱腫瘍、メラノーマ、肝癌、骨肉腫および他の骨癌、精巣癌腫および卵巣癌腫、頭頸部腫瘍、ならびに頚部新生物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0126】
本明細書に記載された方法は、病原感染、例えば、細胞内細菌およびウイルスによる感染を、試料中、細菌またはウイルス、それぞれのマーカーの存在および/または量を決定することによって診断するために用いることができる。
【0127】
幅広い種類の感染性疾患が、本発明のプロセスによって検出することができる。典型的には、これらは、細菌、ウイルス、寄生虫、および真菌の感染病原体によって引き起こされる。様々な感染病原体の薬物に対する抵抗性もまた、本発明を用いて決定することができる。
【0128】
本発明によって検出することができる細菌の感染病原体には、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、Klebsiella、Pseudomonas、Listeria monocytogenes、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium aviumintracellulare、Yersinia、Francisella、Pasteurella、Brucella、Clostridia、Bordetella pertussis、Bacteroides、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、B−Hemolytic strep.、Corynebacteria、Legionella、Mycoplasma、Ureaplasma、Chlamydia、Neisseria gonorrhea、Neisseria meningitides、Hemophilus influenza、Enterococcus faecalis、Proteus vulgaris、Proteus mirabilis、Helicobacter pylori、Treponema palladium、Borrelia burgdorferi、Borrelia recurrentis、Rickettsial pathogens、Nocardia、およびAcitnomycetesが挙げられる。
【0129】
本発明によって検出することができる真菌の感染病原体には、Cryptococcus neoformans、Blastomyces dermatitidis、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Paracoccidioides brasiliensis、Candida albicans、Aspergillus fumigautus、Phycomycetes(Rhizopus)、Sporothrix schenckii、Chromomycosis、およびMaduromycosisが挙げられる。
【0130】
本発明によって検出することができるウイルスの感染病原体には、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトパピローマウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、トガウイルス、ブニアウイルス、アレナウイルス、風疹ウイルス、およびレオウイルスが挙げられる。
【0131】
本発明によって検出することができる寄生虫の病原体には、Plasmodium falciparum、Plasmodium malaria、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、Onchoverva volvulus、Leishmania、Trypanosoma spp.、Schistosoma spp.、Entamoeba histolytica、Cryptosporidum、Giardia spp.、Trichimonas spp.、Balatidium coli、Wuchereria bancrofti、Toxoplasma spp.、Enterobius vermicularis、Ascaris lumbricoides、Trichuris trichiura、Dracunculus medinesis、trematodes、Diphyllobothrium latum、Taenia spp.、Pneumocystis carinii、およびNecator americanisが挙げられる。
【0132】
本発明はまた、感染病原体による薬物抵抗性の検出にも有用である。例えば、バンコマイシン抵抗性Enterococcus faecium、メチシリン抵抗性Staphylococcus aureus、ペニシリン抵抗性Streptococcus pneumoniae、多剤耐性Mycobacterium tuberculosis、およびAZT抵抗性ヒト免疫不全ウイルスは全て、本発明で同定することができる。
【0133】
したがって、本発明の組成物および方法を用いて検出される標的分子は、患者マーカー(癌マーカーなど)、または細菌マーカーもしくはウイルスマーカーなどの外来病原体での感染のマーカーのいずれでもあり得る。
【0134】
ナノレポーターの定量的性質により、本発明の組成物および方法は、その量が生物学的状態または疾患状態を示している標的タンパク質、例えば、病状の結果として上方制御または下方制御される血液マーカーを定量化するために用いることができる。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、サイトカイン検出に用いることができる。本明細書に記載された方法の低感度は、例えば、状態のバイオマーカーとして、癌などの疾患の診断または予後として、および無症候性状態の同定としての、サイトカインの早期検出に役に立つであろう。
【0136】
キット
本発明はさらに、本発明の1つまたは複数のコンポーネントを含むキットを提供する。キットは、例えば、1つもしくは複数のタンパク質プローブセット、および/または1つもしくは複数のナノレポーターを含み得る。キットは、上記のものを含め、当業者にとって明らかないずれの目的のためにも用いることができる。
【0137】
ある特定の実施形態において、本発明はまた、ナノレポーターの伸展および選択的固定化に有用なキットを提供する。キットは、固定化のための基質、およびナノレポーターの伸展または固定化を促進するための1つまたは複数の結合パートナーを含み得る。結合パートナーは、ある特定の実施形態において、適当な力でのナノレポーターの伸展に有用な成分を含み得る。特定の実施形態において、結合パートナーは、ナノレポーターの表面への固定化または選択的固定化を促進することができる。さらなる実施形態において、キットは、伸展および固定化のためのナノレポーターを含み得る。さらなる実施形態において、キットは、ナノレポーターを伸展させ得る装置を含み得る。
【0138】
キットは、本明細書に記載されているような、タンパク質プローブおよび/またはナノレポーターの集団を含み得る。
【0139】
キットは、あらかじめ標識されたナノレポーター、またはナノレポーターを標識するための1つもしくは複数のコンポーネントと共に標識されていないナノレポーターを含み得る。さらに、キットにおいて提供されるナノレポーターは、あらかじめ付着した標的特異的配列を有してもよいし、有しなくてもよい。一実施形態において、標的配列は、ナノレポーターバックボーンに付着せずに、キット内で提供される。
【0140】
キットは、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および架橋オリゴなどの他の試薬を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、タンパク質プローブペアを異なるプレミックスへ分離することができる。
【0141】
キットは、その上、他の試薬、例えば、ハイブリダイゼーション反応を実施するための緩衝液、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、およびDNA Iリガーゼを含み得る。
【0142】
キットはまた、キットのコンポーネントを用いるための、ならびに/または標識ナノレポーターを作製し、および/もしくは用いるための使用説明書を含む。
【0143】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、かつ記載するが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者にとって明白であろう。多数のバリエーション、変化、および置換が、本発明から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載された発明の実施形態の様々な代替を、本発明を実践するのに用い得ることは理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義すること、およびこれらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がそれらに網羅されることが意図される。
【実施例】
【0144】
実施例1.間接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液中のサンドイッチアッセイ
図1に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、アッセイは、タンパク質プローブの低い結合親和性とレポーターの作用濃度とのミスマッチに関する問題を排除するために、タンパク質標的の結合をレポーターのハイブリダイゼーションから分離するように設定される。
【0145】
検出抗体のオリゴでの標識および精製
10対1のリンカーオリゴ対抗体の比を用いるランダムアミン付着により、リンカーオリゴを抗体に付着させた。簡単に述べれば、二機能性クロスリンカーのスルホサクシニミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート(SMPB)(ThermoFisher, Inc.、Waltham、MA)を、抗IL2抗体Aに結合し、その後、室温で、1:3の抗体:オリゴの比でチオール化オリゴに反応させて、クロスリンクさせた。その混合物をZebaカラム2X、1000G(ThermoFisher, Inc.、Waltham、MA)に通して流すことによって、SMPBに連結した抗体Aを精製し、収量を決定する。
【0146】
オリゴをSMPB連結IL−2抗体Aに結合させるために、オリゴを、精製されたSMPB連結抗体に4℃で加えた。
【0147】
IL−2抗体Aに連結したオリゴである、抗体−SMPB−オリゴおよびPBEを、Omega Membraneを有するPall Nanosep(登録商標)遠心分離装置(MWCO 100kDa、Sigma−Aldrich, Inc.、St.Louis、MO)に加え、洗浄し、遠心分離した。
【0148】
シグナルオリゴの検出抗体へのハイブリダイゼーション
オリゴ連結Il2抗体Aおよびシグナルオリゴを3:2のシグナルオリゴ:抗体の比で加えることによって、シグナルオリゴを、IL−2抗体Aに連結したオリゴにあらかじめアニーリングさせた。他の比が企図される。
【0149】
標的と抗体の複合体の形成
シグナルオリゴにアニーリングしたIL−2抗体Aを、約1×10−15〜1×10−8Mでのビオチン化抗体B(BAF202、R&D systems, Inc.、Minneapolis、MN)、およびブロッカー(サケ精子)と、標的溶液を加えるための余裕を残して、混合した。標的タンパク質IL−2を望ましい希釈度(<1×10−8M)まで加えた。抗体を、100〜15〜100〜8Mの推定Kdに関して10×濃度とした。混合物をインキュベートした。
【0150】
標的タンパク質と抗体の複合体を、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いてプロトコールに従って精製した。
【0151】
シグナルオリゴの溶離
単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、45℃より高い温度で、0.1×SSPEを用いて10〜15分間、溶離させた。より短い時間およびより長い時間が企図される。
【0152】
シグナルオリゴの検出
各試料におけるシグナルオリゴの検出を、標識ナノレポータープローブおよび非標識ナノレポータープローブの両方を有する二重ナノレポーター系を用いて行った。各試料由来のシグナルオリゴを、以下のような最終濃度のハイブリダイゼーション試薬とハイブリダイズさせた:非標識ビオチン化プローブ、標識レポータープローブ、5×SSPE(pH7.5)、5×デンハルト試薬(Sigma)、剪断化サケ精子DNA(Sigma)、および界面活性剤。試薬を混合し、加熱フタ付きのサーモサイクラーブロック内で16時間、インキュベートした。
【0153】
ハイブリダイゼーション後の精製
ハイブリダイズしていないレポーターを除去するために、ビオチン化プローブごとに含まれる3’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズ(InvitrogenTM)に関して反応物を精製した。反応物をまず、0.1%界面活性剤中のSSPE混合物/TEで希釈し、20℃より高い温度で、連続的に回転させながら、ビーズに結合させた。ビーズを、SSPEおよび界面活性剤の中で3回洗浄し、ハイブリダイズした複合体を0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、45℃で15分間、溶離させた。溶離後、レポータープローブごとに含まれる5’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズに結合させることによって過剰のビオチン化プローブを除去するように、試料の2度目の精製を行った。抗3’−反復配列ビーズからの溶離は、最終濃度の1×SSPEでもたらされ、回転させながら、22.5℃で15分間、結合させた。ビーズを上記のように洗浄し、0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、40℃より高い温度で、溶離させた。その後、その二重に精製された試料を、下記のような捕獲のために調製した。
【0154】
NanoStringレポーター捕獲、ストレッチング、および画像化
Tetraspeck蛍光マイクロスフェア(InvitrogenTM)のカスタム製剤の溶液を各試料に加えた。試料をNanoString流体装置へ投入し、処理し、画像化した。
【0155】
結果:
結果を図2に示す。この実験の結果より、IL−2が本明細書に記載されたアッセイによって検出されたことが示された(図2)。この実験より、約110−11〜110−10Mの感度が示された。検出の効率は、図3においてプロットで示された傾きである。観察された効率は、おそらく、シグナルオリゴが付着している抗体の結合親和性によるものであった。この抗体は、約1.3×10−7のKdを有すると思われる。効率は、この抗体を約10−9のKdを有する抗体と交換することによって100×増加し得ることが予想される。
【0156】
効率の向上およびバックグラウンドの適度な改善で、感度は、1×10−13のレベルに達するはずであるが、さらなる向上は、バックグラウンドの継続的低下で可能であると予想される。
【0157】
このテクノロジーは、現在可能なレベルを超えるレベルで多重化を可能にし、より正確な定量化を可能にする可能性をもち、さらなる開発しかないだろうが、おそらく、より高い感度が最後のポイントとわかるであろう。
【0158】
実施例2.直接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液三者間−レポーターに付着したタンパク質プローブ
図4に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、ナノレポーターは抗体のうちの1つに付着している。抗体の調製および試料への結合は、実施例1に記載されたプロトコールと類似して起こる。図4に記載されたアッセイにおいて、抗体のうちの1つがビオチンに結合しており、その他の抗体がナノレポーターを付着させている、標的タンパク質と抗体の複合体が形成される。
【0159】
このアプローチは、中位から低いKd、すなわち、強い結合親和性の抗体を用いることによって、最良に作用するであろう。いかなる理論にも限定されるつもりはないが、抗体のKd(解離定数)は、通常、ナノレポーターの作用濃度よりずっと高い。ナノレポーターに付着した抗体を用いて作用させるためには、Kdは、標的のプローブへの>90%の結合を保証するために、レポーターの作用濃度の10分の1である必要がある。図5は、このアッセイに必要とされるプローブについての理想的なKdの計算を示す。図5は、結合した標的の割合対ナノレポータープローブおよびタンパク質プローブのKdを示す。図5より、タンパク質プローブについての理想的なKdが約1.0×10−15〜1.0×10−10であろうことが示されている。このKdは、1×10−7Mのレポーターからみ合い閾値より低い多重化レポーターの濃度を可能にする。
【0160】
ナノレポーターの抗体への付着
1つのアプローチは、抗体の標的タンパク質への結合前に、抗体をレポーターに付着させることである。このアプローチは、1×10−7Mのレポーターからみ合い閾値より有意に低い多重化レポーターの濃度を可能にするために、非常に強い結合親和性(Kd)抗体を必要とする。
【0161】
リンカーオリゴは、実施例1に記載されているように、抗体に加えられる。ナノレポーターは、37℃〜45℃の間の温度でのリンカーオリゴへのハイブリダイゼーションによって抗体に付着している。抗体:レポーター比は1:1であった。標識抗体およびレポーターを、0.05nM、37℃、1×SSPEで一晩、ハイブリダイズさせた。
【0162】
第2の直接的アプローチは、まず、溶液中で抗体を標的に結合させて、実施例1に記載されているように複合体を精製することである。精製後、ナノレポーターを、上記のプロトコールを用いて(標的結合後の)抗体にハイブリダイズさせる。このアプローチにおいて、ハイブリダイゼーションとタンパク質結合の間のミスマッチの問題は回避される。
【0163】
両方のこれらのアプローチについて、精製中および画像化中に結合したままであるためには、強い結合親和性もまた必要とされる。基本的に、Koff速度(標的タンパク質からの抗体解離)は、精製およびアッセイの読み取りについての時間より長くなければならない。
【0164】
標的タンパク質−抗体の複合体の精製は、実施例1に記載されているように実施することができる。溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することにより、または消化により達成することができる。しかしながら、複合体を溶融することは、抗体が結合したままであるが、アフィニティータグが遊離するのを可能にするために条件の最適化を必要とし得ることを、当業者は理解しているであろう。
【0165】
実施例1に記載されているように、タンパク質−抗体の複合体を、ストレプトアビジンでコーティングされたカバーグラス(Optichem(登録商標)、Accelr8 Technology Corporation)に結合させ、ストレッチして、画像化することができる。
【0166】
抗体の存在が、正常な結合、ストレッチング、および画像化プロセスを阻害する、表面への非特異的結合または粘着性を引き起こしていないことを確かめるために、抗体にハイブリダイズしたレポーターのストレッチングを試験した(データ未呈示)。
【0167】
実施例3.間接的測定を用いるタンパク質の検出−表面でのサンドイッチアッセイ
図6に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、捕獲抗体は、表面、例えば、磁気ビーズに付着しており、第2抗体はシグナルオリゴに付着している。抗体は、実施例1に記載された方法を含む当技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。この実施例において、タンパク質とナノレポーターは、十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。このアッセイにおいて、表面における局所的抗体濃度は高くあり得る。
【0168】
標的タンパク質を、磁気ビーズ上の捕獲抗体と混合する(2時間〜一晩、1×PBS、および室温)。結合していないタンパク質試料を洗い流す。標識抗体シグナルオリゴの複合体を、ブロッカーと共にビーズに加える(1×PBSおよび室温)。結合の期間後、過剰の標識抗体シグナルオリゴの複合体を洗い流す。その後、実施例1に記載されているように、単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させ、分析する。
【0169】
実施例6.間接的測定を用いるタンパク質の検出−ビオチン化シグナルオリゴ
図7に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、捕獲抗体は、表面、例えば、磁気ビーズに付着しており、第2抗体は、溶液中にあるか、またはビオチン化シグナルオリゴに付着している。このアッセイは、それがたった2回のビーズ精製を必要とするのみであるという利点を提供する。加えて、このアッセイにおいて、実施例2のように、タンパク質とナノレポーターは、十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。実施例3に記載されているように、標的タンパク質を、捕獲抗体、標識抗体シグナルオリゴの複合体、およびブロッカーと混合する。実施例3に記載されているように、標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。
【0170】
その後、実施例1に記載されているように、単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させる。その後、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いて製造会社のプロトコールに従って、シグナルオリゴを精製することができる。その後、実施例1に記載されているように、シグナルオリゴを分析する。
【0171】
実施例7.近接ライゲーションを用いるタンパク質の検出−間接的測定
図8に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。このアッセイにおいて、2つの物理的に近接したオリゴをライゲーションさせる。オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように、かつプローブが近接した状態になった場合、ライゲーションによってシグナルオリゴを形成するように設計される。
【0172】
このアプローチは、感度、交差反応性の最小化、および多重化を中心としたいくつかの有益性を有する。近接ライゲーションは、高感度を示しており、オフ速度を本質的に減少させることによって見かけのKdを低下させる効果を有する。
【0173】
オリゴを含むプローブを、Gullbergら、PNAS 101(22)、p8420−24(2004)に記載されているように、調製および精製する。その後、標的タンパク質を、オリゴを含むプローブおよび架橋オリゴと、試料を1時間インキュベートすることによって、混合する。その後、Gullbergらに記載されているように、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。室温での5分間のライゲーション後、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させる。加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。
【0174】
実施例1に記載されているように、シグナルオリゴを分析する。
【0175】
あるいは、アッセイは、図9に示されているように実施することができる。このアプローチにおいて、オリゴのうちの1つはナノレポーターに付着している。
【0176】
このアプローチは、近接ライゲーションによるKoffの減少という利点を利用している。より低いKoffは、より低いKd、およびより低い濃度のタンパク質プローブで作用する能力を意味する。このKdの減少によって、レポーターについて必要とされる濃度で作用すること、およびそれにしたがって、多重分析についての直接的検出アプローチを企図し、試薬費用を減少させることがより容易になる。このアプローチは、本明細書に提案された他の方法のいくつかのように、アッセイ内で、レポーターへのハイブリダイゼーション工程を必要としない。したがって、これらのアッセイは、より速くなって、より短い時間で応答することになるであろう。
【0177】
図8Cに記載されたアプローチを用いて、抗体からの遊離後、ライゲーションしたオリゴをライゲーションしていないオリゴから除去するように、精製条件を最適化する。例えば、この精製工程は、磁気ビーズを用いて実施することができる。重要なことには、用いられる抗体の量が、用いられるレポーターの量より高い場合には、その結果として生じる過剰のライゲーションされていないオリゴが、レポーターのオリゴへのハイブリダイゼーションをブロックする可能性がある。
【0178】
実施例8に記載された方法を用いて、抗体ペアをオリゴで標識した。これらのオリゴは、9個の塩基の重複、および1×PBS中での37℃の融解温度を有する架橋オリゴを含むように設計された。架橋オリゴは、18個の塩基、および精製を目的としたビオチンタグを有した。ライゲーションされたオリゴは、ビオチン化架橋と18個の塩基の重複を有し、それにしたがって、ライゲーションされたオリゴは、抗体に結合しているライゲーションしていないオリゴより安定である。ビオチン化オリゴを、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ上で溶液から単離する。ライゲーションしたオリゴだけが、ストリンジェントな緩衝液条件を用いるすすぎ工程後、ビオチン化オリゴに付着したままであるのに十分高い融解温度を有することが決定された。
【0179】
図13は、どれくらい様々なコンポーネントが様々な緩衝液条件で精製されるのかを示している。コンポーネントは、アッセイに用いられる濃度で溶液中に存在した。アッセイにおいて実施されているように、オリゴを抗体から遊離させるために、精製前に、溶液をプロテアーゼによって消化させた。融解温度推定値によって予想されたように、0.03×SSPEが最も効率のよい緩衝液をもたらした。PROX05が、このすすぎ工程後に保持されるライゲーションされた産物を表す。
【0180】
実施例8.間接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液中の多重化アッセイ
この実施例は実施例1に類似しているが、検出が多重化されており、抗体とオリゴの間に異なる結合化学作用を利用している。
【0181】
バイオインフォマティクス
シグナルオリゴを、一連の温度、典型的には、約4℃〜約37℃までで、かつ1×PBSにおいて最小の交差反応性を有するように設計した。シグナルオリゴと標識オリゴの間の固有の重複は、1×PBSにおいて51〜56の融解温度を有し、37℃でシグナルオリゴを標識オリゴにハイブリダイズさせることを可能にした。これらの15〜17個の塩基の重複は、0.1×SSPEにおいて41℃〜45℃の融解温度を有し、磁気ビーズ精製後の溶離を可能にした。
【0182】
オリゴの抗体への結合
オリゴを、アルデヒド−ヒドラジン化学作用を用いて、抗体に結合させた。全ての抗体および標的を、R&D systems,Inc.(Minneapolis、MN)から購入した。各抗体A(表1参照)を、サイズ排除スピンカラム(0.5ml Zeba Spin Column、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いて脱塩した。サクシニミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(Solulink、San Diego、CA)を各抗体Aに反応させた。各抗体を再び、サイズ排除スピンカラムを用いて精製した。
【0183】
表1.抗体
【0184】
【表1】
アミンオリゴを膜スピンカラム(5K MWCO VivaSpin、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いて脱塩した。20モル当量のサクシニミジル−4−ホルミルベンゾエート(Solulink、San Diego、CA)を各オリゴと反応させた。オリゴを再び、膜スピンカラムを用いて精製した。
【0185】
それぞれの対応する修飾オリゴを、対応する修飾抗体と3:1のモル比で反応させた。これを、スピンカラム(2ml Zeba Spin Column、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)で精製した。表2は、カウントプロセスの終わりに、1〜2個の間のオリゴが各抗体に付着していたことを示す(オリゴ:Ab)。
【0186】
表2.抗体−オリゴ結合プロセスの品質管理および定量化能力を示すモル置換率
【0187】
【表2】
シグナルオリゴの検出抗体へのハイブリダイゼーション
各固有のシグナルオリゴを、各抗体Aに連結した固有オリゴに、オリゴ連結抗体Aおよび対応するシグナルオリゴを4:1の比、シグナルオリゴ:抗体比で加えることによって、別々にあらかじめアニーリングさせた。他の比が企図される。
【0188】
標的と抗体の複合体の形成
ブロッカー(サケ精子)と共に約1×10−15〜1×10−8Mで単一チューブ中にシグナルオリゴにアニーリングした各抗体Aおよびビオチン化抗体B(4ペア)を含む2×マスターミックスを作製した。このマスターミックスのアリコートに望ましい希釈度(<1×10−8M)まで標的タンパク質を加えた。抗体は、10−15〜10−8Mの推定Kdに関して10×濃度であった。混合物をインキュベートした。
【0189】
標的タンパク質と抗体の複合体を、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いてプロトコールに従って精製した。
【0190】
シグナルオリゴの溶離
単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、45℃より高い温度で、0.1×SSPEを用いて10〜15分間、溶離させた。より短い時間およびより長い時間が企図される。
【0191】
シグナルオリゴの検出
各試料におけるシグナルオリゴの検出を、標識ナノレポータープローブおよび非標識ナノレポータープローブの両方を有する二重ナノレポーター系を用いて行った。各試料由来のシグナルオリゴを、以下のような最終濃度のハイブリダイゼーション試薬とハイブリダイズさせた:非標識ビオチン化プローブ、標識レポータープローブ、5×SSPE(pH7.5)、5×デンハルト試薬(Sigma)、剪断化サケ精子DNA(Sigma)、および界面活性剤。試薬を混合し、加熱フタ付きのサーモサイクラーブロック内で16時間、インキュベートした。
【0192】
ハイブリダイゼーション後の精製
ハイブリダイズしていないレポーターを除去するために、ビオチン化プローブごとに含まれる3’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズ(InvitrogenTM)に関して反応物を精製した。反応物をまず、0.1%界面活性剤中のSSPE混合物/TEで希釈し、20℃より高い温度で、連続的に回転させながら、ビーズに結合させた。ビーズを、SSPEおよび界面活性剤の中で3回洗浄し、ハイブリダイズした複合体を0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、45℃で15分間、溶離させた。溶離後、レポータープローブごとに含まれる5’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズに結合させることによって過剰のビオチン化プローブを除去するように、試料の2度目の精製を行った。抗3’−反復配列ビーズからの溶離は、最終濃度の1×SSPEでもたらされ、回転させながら、22.5℃で15分間、結合させた。ビーズを上記のように洗浄し、0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、40℃より高い温度で、溶離させた。その後、その二重に精製された試料を、下記のような捕獲のために調製した。
【0193】
NanoStringレポーター捕獲、ストレッチング、および画像化
Tetraspeck蛍光マイクロスフェア(InvitrogenTM)のカスタム製剤の溶液を各試料に加えた。試料をNanoString流体装置へ投入し、処理し、画像化した。
【0194】
結果
結果を図10に示す。この実験の結果より、4つのタンパク質が、本明細書に記載されたアッセイによって同時に検出されたことが示された(図10)。検出されたタンパク質は、TNFα、IL1α、IL6、およびVEGFであった。この実験より、約1×10−12Mの感度が示された。図11は、液体試料に対してプロットされた同じデータを示す。次の実験(図12)により、これらのタンパク質のうちの2つの検出の限界が、26pg/mlおよび38pg/ml(IL1αおよびIL6のそれぞれについて、1.4×10−12Mおよび1.9×10−12M)であることが示された。
【0195】
バックグラウンドにおける改善、すなわち、バックグラウンド検出の低減またはバックグラウンド対標的検出の比の向上によって、約2桁の感度の増加が可能になり、それに従って、感度は、1×10−14M、または有意に<1pg/mlに達するであろう。
【0196】
実施例9.抗ストレプトアビジンプローブレポーター
抗ストレプトアビジン抗体(Affinity Bioreagents、Rockford、IL)を、実施例1に記載されているように、オリゴヌクレオチド(オリゴ)で標識した。
【0197】
この実施形態の特定の例において、抗体−標識オリゴをレポーターに、0.05nMの濃度、45℃の温度で、1×SSPE緩衝液中、一晩、ハイブリダイズさせた。レポーターと、抗体に結合したオリゴとの間に25塩基の重複があった。この重複は、必要に応じて、短縮されてもよい。ある特定の実施形態において、重複は、任意で、1個、5個、10個、15個、20個、25個の塩基、またはそれらの間の任意の長さである。レポーターと抗体上のオリゴとの間の塩基のより短い重複により、抗体安定を生じる温度での抗体−オリゴのレポーターへのハイブリダイゼーションの効率の増加が可能になる。抗ストレプトアビジン抗体プローブと共にレポーターを、カートリッジのフローチャンバーへ(0.25×SSPE緩衝液中0.025nMの濃度で)導入し、レポーターの第1末端を、ストレプトアビジン表面に10分間、結合させた。その後、チャンバーをTAE緩衝液で洗浄した。まず、200ボルト(V)/センチメートル(cm)の電場を用い、次に、ビオチン化オリゴを導入して、レポーターの第2末端を表面に付着させることによって、レポーターをストレッチし、その後、表面に固定化した。試料を再び、TAEで洗浄し、色素を安定化させるためにSlowFadeTMを導入した。その後、この試料を画像化した。
【0198】
図14は、抗ストレプトアビジンプローブとのレポーター(S16)のみが検出されたことを示している。
【0199】
他の実施形態
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、かつ記載するが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者にとって明白であろう。多数のバリエーション、変化、および置換が、本発明から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載された発明の実施形態の様々な代替を、本発明を実践するのに用い得ることは理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義すること、およびこれらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がそれらに網羅されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年10月13日に出願された米国仮特許出願61/251,192、2010年4月16日に出願された米国仮特許出願61/325,224、および2010年4月22日に出願された米国仮特許出願61/326,787の利益を主張し、上記仮出願の内容は、その全容が参考として各々本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、固有のナノレポーター構築物を作製するための分子生物学のツール、およびそれらを使用するための方法を用いる、タンパク質の検出、定量化、同定、および多重分析の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
最近のヒトゲノムの分析の完了に伴い、今、多くの注目がプロテオミクスの分野にシフトしつつあり、その分野では、遺伝子産物(タンパク質)、それらの変種、相互作用するパートナー、ならびにそれらの制御およびプロセシングの動態学が研究の重点項目である。そのような研究は、例えば、遺伝性障害および環境誘発性障害に潜む機構、または薬物による治療の影響を理解するのに必須であり、加えて、さらなる臨床分析および診断分析のための根本の基盤となる可能性がある。これらの研究にとって重要なことは、タンパク質全体の特定の変種(例えば、スプライスバリアント、点突然変異、翻訳後修飾バージョン、および環境/治療誘発性改変)を定性的に決定する能力、およびそれらの定量的調節を見る能力である。さらに、1つだけではなく、複数の生物学的液体/抽出物からこれらの分析を実施することが益々重要になりつつある。タンパク質試料に内在する追加的な難題のせいで多重化タンパク質測定テクノロジーの方法が制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生物学的液体におけるタンパク質の測定は、それらの特有の性質のせいで困難である。したがって、タンパク質およびそれらの変種の分析のための迅速で、感度が高く、再現可能で、かつ正確な分析アプローチの差し迫った要求がある。
【0005】
関心対象となるタンパク質をそれらの天然の環境から、およびその環境内で分析するために、様々な生物学的液体および/または抽出物に存在するタンパク質を定性的および定量的の両方で評価し得るアッセイが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、タンパク質の分析のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、試料におけるタンパク質の検出および/または定量化のための方法および組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)前記の少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域を含む第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む第2のタンパク質プローブ、および(iv)第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る部分(portion)を付着させているマトリックスを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、第2のタンパク質プローブ、および上記部分を含む少なくとも1つの複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合しており、上記部分が第1のタンパク質プローブにおける捕獲プローブに結合している、工程;ならびに(c)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって複合体または複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定する方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0007】
成分(moiety)とはエンティティーを指し、エンティティーとしても知られている。本発明の成分は、マトリックスに作動可能に連結され、第1のタンパク質プローブの捕獲領域と結合する。成分は、限定されないが、共有結合、非共有結合、電子結合、屈曲結合、芳香族結合、金属結合、水素結合、イオン結合、またはファンデルワールス力を含む物理的または化学的結合によってマトリックスに作動可能に連結している。成分は、本明細書に記載された物理的または化学的結合、受容体−リガンド相互作用、2つのオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーション事象、またはオリゴヌクレオチドとポリペプチドとの間の相互作用のいずれかを通して第1のタンパク質プローブの捕獲領域と結合する。例えば、ビオチンを含む捕獲領域は、ストレプトアビジンを含む成分に結合して、強い非共有結合を形成し、ストレプトアビジンを付着させているマトリックスが、そのマトリックスが第1のタンパク質プローブの捕獲領域に結合することを可能にする(図1参照)。全ての公知の受容体−リガンド相互作用が企図されるが、0.1fM〜1000nMの間の解離定数(Kd)をもつ相互作用が好ましい。ハイブリダイゼーション事象は、相補的配列を有するオリゴヌクレオチド間で起こる。しかしながら、完璧または完全な相補性は必要とされない。本発明は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%、およびそれらの間にある任意のパーセンテージの相補性を有するオリゴヌクレオチド間のハイブリダイゼーション事象を含む。さらに、アプタマーの第1のタンパク質プローブとの会合は、オリゴヌクレオチドとポリペプチドとの間の好ましい相互作用の非限定的例を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域を含む第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む第2のタンパク質プローブ、(iv)マトリックスに付着した成分であって、第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る成分を含み、各第2のタンパク質プローブが異なるナノレポーター領域を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、複数の複合体における各ナノレポーターは、それを集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する。いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの解離定数は、約1.00×10−10〜約1.00×10−08である。いくつかの実施形態において、2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0009】
いくつかの実施形態において、マトリックスは、ビーズおよびアレイからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、マトリックスはビーズである。複数の標的タンパク質が分析されるいくつかの実施形態において、マトリックスはビーズであり、複数の複合体の各複合体における各成分は異なるビーズに付着している。いくつかの実施形態において、マトリックスは表面である。複数の標的タンパク質が分析されるいくつかの実施形態において、マトリックスは表面であり、複数の複合体の各複合体における各成分は、表面の異なる位置に付着している。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0011】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して第2のプローブに付着している。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、摂氏約32度(℃)〜約40℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約37℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的領域は約15個〜約20個の塩基である。
【0012】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1の捕獲領域または第1のマトリックスに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、シグナルオリゴを含む第2のタンパク質プローブ、および(iv)第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合:第1のタンパク質プローブにおける捕獲領域に結合し得る成分を付着させている第2のマトリックスを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、および第2のタンパク質プローブを含む少なくとも第1の複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合しており、第1のプローブが第1の捕獲領域に付着している場合、捕獲プローブが第2のマトリックスにおける成分に結合している、工程;(c)シグナルオリゴを第1複合体から遊離させる工程;(d)(1)少なくともシグナルオリゴ、(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブを含む第2の複合体を形成する工程であって、ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;ならびに(e)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって第2の複合体または第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、第2の1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、第1マトリックスはビーズまたはアレイである。好ましくは、第1マトリックスはビーズである。他の実施形態において、第2のマトリックスはビーズまたはアレイである。
【0014】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、第2の捕獲領域に付着している。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの遊離工程は、シグナル分子を第3のマトリックスへ直接的または間接的に捕獲することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、定常領域をさらに含み、定常領域が複数の反復ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、定常領域は第3のマトリックスにおける第2の成分に結合しており、第2の成分は定常領域を結合し得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、捕獲領域または第1のマトリックスに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、シグナル分子を含む第2のタンパク質プローブを含み、第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合、捕獲プローブが第2のマトリックスにおける成分に結合しており、それぞれの複数の複合体における各第2のタンパク質プローブが異なるシグナルオリゴを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0017】
いくつかの実施形態において、複数の複合体のうちの複合体の第1マトリックスはビーズであり、ビーズは複数の同一の第1のタンパク質プローブを含む。同一のという用語は、同じ配列を有し、かつ同じ捕獲領域を含むかまたはそれに付着しているかのいずれかのタンパク質プローブを記載するものとする。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0019】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0020】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している第1のタンパク質プローブ、および(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している第2のタンパク質プローブを供給する工程;(b)少なくとも1つのタンパク質、第1のタンパク質プローブ、および第2のタンパク質プローブを含む第1の複合体を形成する工程であって、少なくとも1つのタンパク質が第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブに結合している、工程;(c)第1のオリゴおよび第2のオリゴをライゲーションしてシグナルオリゴを形成する工程;(d)(1)第1シグナルオリゴ、(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブを含む第2の複合体を形成する工程であって、ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;ならびに(e)ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって第2の複合体または第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、1つまたは複数の分子の存在が試料におけるタンパク質の濃度を示している、工程を含む、試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、個々に検出する工程は、デジタルシグナルを検出することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは第1複合体から遊離される。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態においてシグナルオリゴの遊離工程は、シグナルオリゴをマトリックスへ直接的または間接的に捕獲することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、本発明は、複数の標的タンパク質の濃度を、複数の複合体を形成することによって決定するための方法であって、各複合体が(i)少なくとも1つの標的タンパク質、(ii)少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している第1のタンパク質プローブ、(iii)少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している第2のタンパク質プローブを含み、第1のオリゴと第2のオリゴのライゲーションがシグナルオリゴを形成し、複数の複合体における各複合体が異なるシグナルオリゴを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、2つ以上の標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される。いくつかの実施形態において、少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される。
【0024】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。
【0025】
いくつかの実施形態において、本発明は、固有に標識されたタンパク質プローブの集団であって、各プローブが、i)標的特異的領域;およびii)複数の異なる検出可能な分子を含むナノレポーターを含む領域を含み、各タンパク質プローブにおけるナノレポーターが、それを集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、集団を提供する。いくつかの実施形態において、標的特異的領域は、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、一本鎖核酸バックボーンを含み、バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、検出可能な標識を付着させている相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、標的特異的領域の解離定数は約1.00×10−10〜約1.00×10−8である。
【0027】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通してタンパク質プローブに付着している。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約32℃〜約40℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、約37℃の温度でリンカーオリゴにハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的領域は約15個〜約20個の塩基である。
【0028】
参照による組み入れ
本明細書に言及された全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に示されて参照により組み入れられるのと同じ程度で、参照により本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付された特許請求の範囲に詳細に示されている。本発明の特徴および利点をより良く理解することは、本発明の原理が利用される例証的な実施形態を示す以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう:
【図1】図1は、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体が標的タンパク質に結合する、本発明の一実施形態を示す概略図である。第1の抗体は、(丸印の「B」として示された)ビオチンなどのアフィニティータグに付着しており、一方、第2の抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着している。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、第1抗体のアフィニティータグにより溶液から単離される。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、シグナルオリゴを生じることができ、そのシグナルオリゴは、その後、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。
【図2】図2は、異なる濃度でIL−2標的タンパク質を用いた、検出アッセイの結果を示すグラフである。具体的には、ブロッカーを含まない溶液、0.03%でミルクを含む溶液、0.1%でウシ血清アルブミン(BSA)を含む溶液、または98ng/mlでサケ精子(SS)を含む溶液内でのIL−2の検出を、増加するIL−2標的タンパク質モル濃度([IL2標的、M])の関数として検出される総数として測定した。
【図3】図3は、図2に用いられるアッセイにおけるIL−2検出の効率を示すグラフである。検出された総数を、視野(FOV)あたり600個の分子に対して標準化し、IL2標的タンパク質分子の増加する濃度([IL2標的、分子])の関数として表した。検出の効率は、このグラフに示された直線の傾きである。
【図4】図4は、溶液三者間結合についての本発明の2つの選択可能な実施形態を示す概略図である。この方法によれば、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体はその標的タンパク質に結合する。第1の抗体は、ビオチンなどのアフィニティータグに付着しており、定常領域を含み、その定常領域は、例えば、F反復配列を含む。第2の抗体は、ナノレポータープローブおよび第2の定常領域に付着しており、その第2定常領域は、例えば、G反復配列を含む。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、第1抗体のアフィニティータグにより溶液から単離することができる。複合体の「標準的な」溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することによって達成される。複合体の「代替の」溶離は消化によって達成される。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の1つについての解離定数(Kd)およびプローブ濃度を示すグラフであり、ナノレポータープローブおよびタンパク質プローブのKdに対する結合した標的の割合として表されている。
【図6】図6は、溶液中、標的タンパク質に特異的な捕獲抗体が標的タンパク質に結合して、複合体を形成する、本発明の実施形態を示す概略図である。その後、複合体は、溶液から単離することができる。その後、複合体を、第2の抗体と接触させ、第2抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着している。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、シグナルオリゴを生じることができ、そのシグナルオリゴは、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析され得る。
【図7】図7Aおよび7Bは、溶液中、標的タンパク質に特異的な2つの抗体が標的タンパク質に結合する、本発明の実施形態を示す概略図である。第1の抗体は、捕獲抗体であり、一方、第2の抗体は、部分的二本鎖の核酸プローブに付着しており、プローブ中の鎖の1つは、ビオチンなどのアフィニティータグに付着している。第1および第2抗体の標的タンパク質への結合は、複合体を形成し、その複合体は、捕獲抗体により溶液から単離することができる。部分的二本鎖の核酸プローブの鎖の1つは、溶離して、アフィニティータグを含むシグナルオリゴを生じることができる。その後、シグナルオリゴは、ナノレポーターにハイブリダイズして、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体を形成することができ、その複合体は、単離し、および/または固体表面に固定化することができる。ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体は、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図8A】図8Aは、近接ライゲーションを用いる、本発明のある特定の実施形態を示す概略図である。第1および第2のオリゴは、第1および第2の抗体に、それぞれ付着しており、どちらの抗体も標的タンパク質に特異的である。第1および第2の抗体は標的タンパク質に結合し、第1のオリゴおよび第2のオリゴを近接した状態に至らせる。架橋オリゴおよびリガーゼをその溶液に加え、第1のオリゴと第2のオリゴを連結させて、シグナルオリゴを生じる。その後、シグナルオリゴは、本明細書に記載された方法のいずれかによって分析することができる。
【図8B】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図8C】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図8D】図8B〜Dは、図8Aに示されたシグナルオリゴが遊離して、精製され得る方法を示す概略図である。
【図9】図9は、近接ライゲーションを用いる、本発明のある特定の実施形態を示す概略図である。(円として描かれた)ナノレポーターの標識モノマーは、空間的に区別可能である質的に異なる波長の個々のシグナルを放射し、左の位置から右の位置へ、赤色(R)、黄色(Y)、緑色(G)、青色(B)、赤色(R)、および紫色(V)である。
【図10】図10は、増加するタンパク質標的濃度([タンパク質標的])の関数として検出される総数として測定された、TNFアルファ、IL1アルファ、IL6、およびVEGFの多重化タンパク質検出の結果を示すグラフである。この例において、溶液中、サンドイッチ検出アッセイを用いた。4重の測定を示す。
【図11】図11は、濃度の代わりにレーンによってプロットされた、図10における分析されたデータを示すグラフである。具体的には、この図は、2つの標的タンパク質が滴定有効であったが、2つの他のタンパク質は滴定無効であったことを示している。
【図12】図12は、2つのタンパク質標的、IL1アルファおよびIL6を用いる検出の限界(LOD)実験の結果を示すグラフである。検出された総数を、標的タンパク質の増加するモル濃度([標的]モル濃度)の関数としてプロットした。実験により、検出の限界が、IL1アルファ(IL1α)およびIL6、それぞれについて1.4×10−12Mおよび1.9×10−12Mに対応する、1ミリリットルあたり26ピコグラムおよび38ピコグラム(pg/ml)であった。検出限界は、バックグラウンド検出レベルより上の2標準偏差であった。6つの陰性対照を実施し、その結果として、プラスまたはマイナス1標準偏差の平均数、すなわち、それぞれ、3196±265および6703±585を生じた。
【図13】図13は、水かまたは様々な倍数濃度(0.01×、0.03×、または0.1×)のSSPE緩衝液かのいずれかを用いた精製およびすすぎ工程後の抗体レポーター複合体の様々なコンポーネント(PROX01、PROX03、PROX04、PROX05、およびPROX06)によって保持された総数を示すグラフである。0.03×SSPEにおいて、ライゲーションされた産物を表すオリゴ、PROX05が保持された。
【図14】図14は、結合し、ストレッチされ、固定化されたレポーター上の各抗体プローブ(S17、S8、S22、S14、S23、S6、S13、S7、S18、S9、S10、S11、S12、S15、S16、S19、S20、およびS21)についての視野(FOV)あたりの数を示すグラフである。数は、表面に結合している抗体プローブを持つレポーターについてのみ示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
本発明の特に好ましい実施形態について詳細に言及する。好ましい実施形態の例は、次の実施例セクションにおいて示されている。
【0031】
他に規定がない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書で言及された全ての特許および刊行物は全体として参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
本発明は生体分子試料における個々の標的分子の検出および定量化のための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、個々の標的分子を結合し得るタンパク質プローブを提供する。本発明はまた、ナノレポーターの使用を提供する。ナノレポーターの標識コードを通して、タンパク質プローブの標的分子への結合は、標的分子の同定をもたらす。そのようなタンパク質プローブおよび/またはナノレポーターを作製して用いる方法もまた提供される。本明細書に記載された方法および組成物は、診断、予後、品質管理、およびスクリーニングの適用などの幅広い種類の適用において用いることができる。
【0033】
本発明のある特定の態様は、多数の標的分子の検出に関する。多重化は、試料を分ける必要のない、試料内の1つより多い標的分子の測定である。本明細書に記載された方法は、多重化、定量化、および感度の領域で潜在的利益をもたらす。例えば、いくつかの実施形態において、標的分子はタンパク質である。タンパク質濃度の測定は難題である。タンパク質は、粘着性であり、凝集する傾向にある。加えて、タンパク質は不安定であり、RNAまたはDNAより容易にアンフォールディングする傾向にある。極度のpH、温度、溶質濃度、および変性剤の存在は、タンパク質安定を妨害し、測定を複雑にし得る条件である。いくつかの実施形態において、本発明は、感度が高く、かつ信頼性のある多重化タンパク質測定のための方法および組成物を提供する。
【0034】
液体試料内での多重化は、このアプローチの重要な利点である。1つの試料内での多重化は、かなりの労働力を節約し、測定の数に比例した試料の必要量を低減し、別々の試料操作および測定工程により度合いを増すエラーの削減により正確さを向上させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、処理中に異なる試料を一緒にプールして、一度に分析することを可能にする。これは、処理量の優位性を与え、異なる試料の分析を、例えば、8倍まで、加速させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、本発明は、標的分子の分析のためのタンパク質プローブを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多重化アッセイに用いるタンパク質プローブ集団を提供する。集団における各タンパク質プローブは、標的分子に特異的である。その後、標的分子のタンパク質プローブへの結合がナノレポーターを用いて検出される。各ナノレポーターは、特定の標的分子に会合することができる固有の標識コードを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、タンパク質プローブへ直接的または間接的に付着している。その後、固有のナノレポーターの標識コードは、各ナノレポーターの標識コードが、タンパク質プローブに結合した標的分子に会合することができるように特定のタンパク質プローブに割り当てられる。
【0037】
他の実施形態において、タンパク質プローブは、シグナルオリゴへ直接的または間接的に付着している。各タンパク質プローブは、固有のシグナルオリゴに付着している。シグナルオリゴの分析に用いられるナノレポーターは、シグナルオリゴに相補的である部分を含む。固有のナノレポーターの標識コードは、各ナノレポーターの標識コードがシグナルオリゴ配列を介して標的分子に会合することができるように、特定のシグナルオリゴ配列に割り当てられる。
【0038】
本発明の他の態様において、本発明は、シグナルをデジタル的に測定することにより標的分子を検出するための方法を提供する。現在のテクノロジーは、アナログ蛍光シグナルを用いて標的分子の存在を定量化する。蛍光を用いる定量化は、様々な理由でエラーを起こしやすい。例えば、フルオロフォアは光退色し得る。タンパク質の存在下で、または局所環境、例えば、pH、塩のせいで、スペクトルの変化があり得る。加えて、光源は、時間と共に強度に変化があり得る。例えば、アークランプは、一般的に用いられる光源であるが、時間と共に有意に異なる照度レベルを引き起こし得るアークワンダーと呼ばれる現象を示す。本発明の実施形態において、標的分子はデジタル的に検出される。蛍光を、ナノレポーターの標識コードを読み取るために用いてもよいが、シグナルは高く、スポットは存在するかしないかのいずれかであり、したがってデジタル検出である。標的分子のデジタル検出は、より正確な定量化をもたらす。
【0039】
タンパク質プローブ
タンパク質プローブは、少なくとも1つの標的タンパク質、少なくとも1つの標的タンパク質代理物、または両方と結合するように設計される分子または集合体であり;適切な条件下で、タンパク質プローブおよび標的タンパク質を含む分子複合体を形成することができる。用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「アミノ酸配列」は、本明細書では交換可能に用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは線状でも分岐型でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸または合成アミノ酸が割り込んでいてもよい。その用語はまた、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識コンポーネントとのコンジュゲーションなどの任意の他の操作によって改変されているアミノ酸ポリマーも含む。本明細書で用いられる場合、用語「アミノ酸」は、天然および/または非天然または合成アミノ酸のいずれをも指し、それらには、グリシンおよびD型またはL型の光学異性体の両方、ならびにアミノ酸類似体およびペプチド模倣体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
本発明の方法はまた、タンパク質以外の標的を結合するように設計されたタンパク質プローブを含む。タンパク質以外の標的の例には、核酸、脂質、糖質、イオン、小分子、有機モノマー、および薬物が挙げられるが、それらに限定されない。便宜のためのみ、本明細書に記載された実施形態のほとんどは、標的タンパク質に結合するタンパク質プローブとの関連において説明されている。しかしながら、これらの実施形態はまた、他の標的分子に適用することができる。
【0041】
タンパク質プローブは、典型的には、少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブを含む少なくとも1つのプローブセットの一部である。しかしながら、ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットは、第1のプローブのみまたは第2のプローブのみを含むことができるが、第1のプローブおよび第2のプローブの両方を含むことはできない。プローブは、それらが少なくとも1つの標的タンパク質、少なくとも1つの標的タンパク質の少なくとも1つの部分、少なくとも1つの標的タンパク質代理物、標的タンパク質代理物の少なくとも一部分、またはそれらの組み合わせに、典型的には、配列特異的様式、高次構造(confirmation)特異的様式、または両方で、例えば、限定されないが、抗原−抗体結合、アプタマー−標的結合などの様式で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0042】
ある特定の実施形態において、タンパク質プローブは、アイデンティティ部またはアイデンティティ部の少なくとも一部分、例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴを含む。ある特定の実施形態において、タンパク質プローブは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態において、捕獲領域は、タンパク質プローブの単離および/またはタンパク質プローブの表面への固定化のために用いられる。捕獲領域は、下記に記載されているようなアフィニティータグ、ビーズ、スライド、またはアレイであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体である。本明細書で用いられる場合、抗体(複数可)という用語は、広い意味で用いられ、無傷の抗体分子、例えば、限定されないが、免疫グロブリンA、免疫グロブリンG、および免疫グロブリンMだけでなく、少なくとも1つのエピトープに免疫特異的に結合する抗体分子の任意の免疫反応性コンポーネント(複数可)も含む。そのような免疫反応性コンポーネントには、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片(scFv)、ミニ抗体、二重特異性抗体、架橋抗体断片、AffibodyTM、サイクロチド、分子などが挙げられるが、それらに限定されない。抗体工学技術またはタンパク質工学技術を用いて導き出された免疫反応性産物もまた、明白に、抗体という用語の意味の範囲内である。関連したプロトコールを含む抗体工学および/またはタンパク質工学の詳細な説明は、とりわけ、J.MaynardおよびG.Georgiou、Ann.Rev.Biomed.Eng.2:339 76(2000);Antibody Engineering、R.KontermannおよびS.Dubel編、Springer Lab Manual、Springer Verlag(2001);米国特許第5,831,012号;ならびにS.Paul、Antibody Engineering Protocols、Humana Press(1995)に見出すことができる。
【0044】
抗体は、限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、組換え発現抗体、ヒト化抗体、植物抗体などを含む様々な源から得ることができ、ウサギ、マウス、ヤギ、ラット、ヒト、ウマ、ウシ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、ロバ、ヒトなどを含む様々な動物種から得ることができることを当業者は認識しているであろう。幅広い種類の抗体が市販されており、カスタムメイドの抗体は、いくつかの契約研究所から入手することができる。関連したプロトコールを含む抗体の詳細な説明は、とりわけ、Current Protocols in Immunology、Coliganら編、John Wiley & Sons(1999、2003年8月までの更新を含む);The Electronic Notebook;Basic Methods in Antibody Production and Characterization、G.HowardおよびD.Bethel編、CRC Press(2000);J.Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice、第3版、Academic Press(1996);E.HarlowおよびD.Lane、Using Antibodies、Cold Spring Harbor Lab Press(1999);P.ShepherdおよびC.Dean、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach、Oxford University Press(2000);A.JohnstoneおよびM.Turner、Immunochemistry 1 and 2、Oxford University Press(1997);C.Borrebaeck、Antibody Engineering、第2版、Oxford university Press(1995);A.JohnstoneおよびR.Thorpe、Immunochemistry in Practice、Blackwell Science,Ltd.(1996);H.Zola、Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives(Basics:From Background to Bench)、Springer Verlag(2000);ならびにS.Hockfieldら、Selected Methods for Antibody and Nucleic Acid Probes、Cold Spring Harbor Lab Press(1993)に見出すことができる。さらに、標識型または非標識型の、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および単一特異性抗体、加えて、それらの免疫反応性コンポーネントを含む膨大な数の市販の抗体;カスタム抗体供給業者などは、ワールドワイドウェブ上の、とりわけ、biocompare.comでのAntibody Searchページ、antibodyresource.comでのAntibody Resource Page、およびsigmaaldrich.comでのAntibody Explorerページに見出すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された抗体は、核酸、例えば、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および/またはナノレポーターに付着している。核酸を抗体に付着させるための方法は、当技術分野において知られている。核酸を抗体に付着させるための任意の適切な方法は、本発明の方法に含まれる。本明細書に記載された抗体は、Gullbergら、PNAS 101(22):228420−8424頁(2004);およびBoozerら、Analytical Chemistry、76(23):6967−6972頁(2004)に記載された方法によって核酸に付着することができ、両方の文献は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載された抗体は、ランダムアミン付着によって核酸に付着することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された抗体は、10:1の核酸対抗体の比を用いてランダムアミン付着によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、参照により本明細書に組み入れられたKozlovら、Biopolymers 5:73(5):621−630頁(2004)に記載された方法によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、ヒドラジン化学作用によって核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、参照により本明細書に組み入れられたNolan、Nature Methods 2、11−12(2005)に記載されているように「オタマジャクシ(tadpole)」を用いて核酸に付着することができる。本明細書に記載された抗体は、本明細書に記載されたものを含む、操作された抗体を作製するための当技術分野において公知の任意の適切な方法によって核酸に付着することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブはアプタマーである。アプタマーには、核酸アプタマー(すなわち、一本鎖DNA分子または一本鎖RNA分子)およびペプチドアプタマーが挙げられる。アプタマーは、高特異性の高次構造依存性様式で、典型的には非常に高い親和性で、標的分子を結合するが、必要に応じて、より低い結合親和性のアプタマーを選択することができる。アプタマーは、メチル基またはヒドロキシル基の存在または非存在などの非常に小さな構造的違いに基づいて標的間を区別することが示されており、ある特定のアプタマーは、D−エナンチオマーとL−エナンチオマーを区別することができる。薬物、金属イオン、および有機色素を含む小分子標的、ペプチド、ビオチン、ならびに、限定されないが、ストレプトアビジン、VEGF、およびウイルスタンパク質を含むタンパク質に結合するアプタマーが得られている。アプタマーは、ビオチン化後、フルオレセイン標識後、ならびにガラス表面およびミクロスフェアに付着した場合に、機能活性を保持することが示されている。
【0047】
スピーゲルマー(speigelmers)を含む核酸アプタマーは、試験管内進化法(SELEX)として知られたインビトロ選択プロセスにより同定される。SELEXプロセスにおいて、オリゴヌクレオチドの非常に大きいコンビナトリアルライブラリー、例えば、多くの場合、60〜100ヌクレオチド長ほどの大きさの、1014〜1015個の個々の配列が、日常的に、インビトロ選択および増幅の反復性プロセスによってスクリーニングされる。たいていの標的は、8〜15サイクル内でアフィニティー濃縮され、プロセスは自動化されて、より速いアプタマー単離を可能にしている。ペプチドアプタマーは典型的には、当技術分野において公知知ないくつかの異なるタンパク質工学技術によって同定され、それらの技術には、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ、選択的感染ファージテクノロジー(SIP)などが挙げられるが、それらに限定されない。核酸アプタマーおよびペプチドアプタマーが従来の手順に従って、過度の実験なしに、得ることができることを当業者は理解しているであろう。関連したプロトコールを含むアプタマーの詳細な説明は、とりわけ、L.Gold、J.Biol.Chem.、270(23):13581 84(1995);S.Jayasena、Clin.Chem.、45:1628−50(1999);V.Sieberら、Nat Biotechnol.16(10):955−60(1998);D.WilsonおよびJ.Szostak、Ann.Rev.Biochem.68:611−47(1999);L.Jermutusら、Eur.Biophys.J.、31:179−84(2002);S S.Spadaら、Biol.Chem.、378:445−56(1997);B.Wlotzkaら、Proc.Natl.Acad.Sci.、99:8898−8902(2002)に見出すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、アプタマーは、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および/またはナノレポーターにライゲーションされるか、またはハイブリダイズする。いくつかの実施形態において、アプタマーのナノレポーターへのライゲーションは、標識を有するセグメントをナノレポーターにアニーリングする前に行われる。アプタマーのハイブリダイゼーションまたはライゲーションは、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって行うことができる。例えば、ライゲーションは、少なくとも1つのDNAリガーゼまたは少なくとも1つのRNAリガーゼ、例えば、限定されないが、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Thermus thermophilus(Tth)リガーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAリガーゼ、またはPyrococcus furiosus(Pfu)リガーゼによって酵素的に実施することができる。ライゲーションはまた、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、N−シアノイミダゾール、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外線などの活性化剤および還元剤を用いる化学的ライゲーションによって実施することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブはペプトイドである。ペプトイドは、タンパク質を結合するN置換型グリシンの合成ペプチドの短い配列である。いくつかの実施形態において、小さいサイズのペプトイドは、本明細書に記載された方法の拡散および動態学を向上させる。ペプトイドを作製するための当技術分野において公知の任意の適切な方法は、本明細書に記載された方法に含まれる。参照により本明細書に組み入れられた、Simonら、PNAS 15;89(20):9367−9371(1992)を参照。
【0050】
標的タンパク質
標的タンパク質は、タンパク質プローブのそれへの結合によって検出または測定されるタンパク質であり、そのタンパク質プローブの標的特異的領域(複数可)が認識する。しかしながら、本発明は、核酸、脂質、糖質、小分子、有機モノマー、または薬物などのタンパク質以外の他の標的の検出を含む。本明細書における方法によって分析することができる核酸には、二本鎖DNA、一本鎖DNA、一本鎖DNAヘアピン、DNA/RNAハイブリッド、RNA(例えば、mRNAまたはmiRNA)、およびRNAヘアピンが挙げられる。便宜上のみ、本明細書に記載された方法は、ほとんどタンパク質を分析することに関連して説明されている。しかしながら、本明細書に記載された実施形態はまた、非タンパク質標的を検出するために用いることもできる。
【0051】
標的タンパク質は、他のコンポーネントを含む生体分子試料の一部であり得るか、または試料の唯一もしくは主要なコンポーネントであり得る。標的タンパク質は、細胞全体または組織全体、細胞抽出物または組織抽出物、その分画された可溶化液、または実質的に精製された分子のコンポーネントであり得る。標的タンパク質は、溶液中、または、例えば、チップ、マイクロアレイ、またはビーズなどの固体表面を含む固相に付着することができる。また、標的分子は、公知かまたは未知のいずれかの構造または配列を有し得る。
【0052】
本明細書に開示された組成物、方法、およびキットはまた、試料において標的タンパク質の存在を決定する幅広い種類の適用に用いることができる。例えば、限定されないが、組成物、方法、およびキットは、限定されないが、薬物代謝、ADMEプロファイリング、および毒性研究を含む薬物動態学的研究;薬物発見についての標的検証;タンパク質発現プロファイリング;プロテオーム分析;メタボロミクス研究;限定されないが、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ならびにガンマ−カルボキシグルタミン酸を形成するグルタミン酸の修飾、およびヒドロキシル化を形成するプロリンのヒドロキシル化などのアミノ酸修飾を含む翻訳後修飾研究;特定の血清または粘膜抗体レベルの分析;非核酸診断指示薬の評価;外来抗原検出などに有用である。
【0053】
ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットの少なくとも1つの第1のタンパク質プローブ、少なくとも1つの第2のタンパク質プローブ、または第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの両方は、少なくとも1つの標的タンパク質または少なくとも1つの標的タンパク質代理物と特異的に反応する少なくとも1つの抗体、アプタマー、またはペプトイドを含む。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのプローブセットの少なくとも1つの第1のタンパク質プローブ、少なくとも1つの第2のタンパク質プローブ、または第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブの両方は、少なくとも1つの標的タンパク質または少なくとも1つの標的タンパク質代理物と特異的に相互作用する結合タンパク質を含む。
【0054】
抗体プローブに関して、反応部分が典型的には、抗原結合部位および抗体分子の関連残基をふくむこと;ならびに、標的配列が、エピトープを含む、分析物の部分を含み、そのような配列が線状か、高次構造か、またはそれらの組み合わせかを問わないことを当業者は理解している。本明細書に記載された分子複合体および分子複合体の少なくとも一部分が、とりわけ、特定の分子複合体もしくは切断可能コンポーネントの性質、および用いられるSMD技術および検出装置に依存して、基質に繋ぎ止められ、もしくは付着しながらも、または、溶液中でありながらも、個々に検出することができることを当業者は認識しているであろう。
【0055】
タンパク質単離技術もまた当技術分野においてよく知られており、これらの技術の少なくとも一部を用いるキットは市販されている。タンパク質単離技術は、典型的には、以下のうちの1つまたは複数を用いる:物理的方法、化学的方法、および酵素的方法を含む浸解および細胞溶解;遠心分離;サイズ排除クロマトグラフィーおよび分取電気泳動などの分子量による分離;選択的沈殿、例えば、塩溶手順および塩析手順;様々なクロマトグラフ的方法など。タンパク質精製技術の詳細な説明およびそれについての関連したプロトコールは、とりわけ、Marchakら、Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual、Cold Spring Harbor Press(1996);Essentials from Cells:A Laboratory Manual、D.SpectorおよびR.Goldman編、Cold Spring Harbor Press(2003);R.Simpson、Proteins and Proteomics:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(2003);ならびに、D.Liebler、Introduction to Proteomics、Humana Press(2002)に見出すことができる。市販のキットも用いることができ、それらには、CALBIOCHEM.RTM.、La Jolla、Calif.から入手できるProteoExtractTMPartial Proteome Extraction Kits(P−PEK)、およびProteoExtractTMComplete Proteome Extraction Kits(C−PEK)が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の組成物、方法、およびキットと共に用いる非核酸分析物が、そのような精製技術および市販のキットを用いて過度の実験なしに容易に得ることができることを当業者は認識しているであろう。
【0056】
方法
本発明は、生体分子試料における個々の標的タンパク質の検出および定量化のための方法を提供する。特に、本発明は、個々の標的タンパク質を結合し得るタンパク質プローブを提供する。本発明はまた、ナノレポーターの使用を提供する。ナノレポーターの標識コードを通して、タンパク質プローブの標的分子への結合は、標的分子の同定をもたらす。そのようなタンパク質プローブおよび/またはナノレポーターを作製して用いる方法もまた提供される。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法を提供する。タンパク質プローブは、そのプローブが標的タンパク質、または標的タンパク質代理物、またはそれらの組み合わせに、典型的には、配列特異的様式、高次構造特異的様式、または両方で、例えば、限定されないが、抗原−抗体結合、アプタマー−標的結合などの様式で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0058】
タンパク質プローブは、典型的には、少なくとも1つの第1のプローブおよび少なくとも1つの第2のプローブを含む少なくとも1つのプローブセットの一部である。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブセットが、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブを含む、方法を提供する。第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブは、標的タンパク質、または標的タンパク質代理物、またはそれらの組み合わせの異なる領域に、例えば、配列特異的様式、高次構造特異的様式、または両方で、結合し、またはそれらと相互作用することを可能にする少なくとも1つの反応部分を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、アイデンティティ部またはアイデンティティ部の少なくとも一部分、例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴを含むタンパク質プローブをさらに含む。アイデンティティ部は、本明細書に記載された方法の検出工程において標的タンパク質に結合したタンパク質プローブ(複数可)の存在または非存在の同定を可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットにおけるタンパク質プローブの少なくとも1つがアイデンティティ部(例えば、シグナルオリゴ、ナノレポーター、および/またはリンカーオリゴ)を含む、方法を提供する。
【0060】
いくつかの実施形態において、アイデンティティ部はシグナルオリゴである。シグナルオリゴは、ポリヌクレオチド配列を含む。各タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットは、アッセイにおいて、シグナルオリゴが標的タンパク質と会合することができるように、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有する。ある特定の実施形態において、シグナルオリゴは、約4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基を含む。一実施形態において、シグナルオリゴは、40〜120個の間の塩基、または80〜100個の間の塩基を含む。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴはビオチン化されており、下記のように、捕獲プローブおよびナノレポーターと共に用いられる。シグナルオリゴは、タンパク質プローブに直接的または間接的に付着することができる。核酸をタンパク質プローブに付着させるための方法は、本明細書に記載されたものを含め、当技術分野において公知である。シグナルオリゴは、設計された合成核酸配列、またはウイルスゲノム、バクテリオファージ、もしくは動物ゲノム由来の配列などの天然源由来の天然配列であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴとのハイブリダイゼーションを通してタンパク質プローブへ間接的に付着している。リンカーオリゴは、ポリヌクレオチド配列を含む。リンカーオリゴが用いられる実施形態において、各リンカーオリゴは、相補的シグナルオリゴが標的タンパク質に会合することができるように、アッセイにおいてタンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットに特異的および/または固有的である。シグナルオリゴは、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は10〜25個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は15〜20個の塩基の範囲にある。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、シグナルオリゴの相補的部分は20個の塩基である。リンカーオリゴは、設計された合成核酸配列、またはウイルスゲノム、バクテリオファージ、もしくは動物ゲノム由来の配列などの天然源由来の天然配列であり得る。
【0062】
図1は、シグナルオリゴが標的タンパク質の検出に用いられる、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。図1に示された実施形態は、標的タンパク質の結合をナノレポーターのハイブリダイゼーションから分離するように設定されている。工程1)における図1は、リンカーオリゴとのハイブリダイゼーションを介してプローブに付着したシグナルオリゴを含む第1のタンパク質プローブ;およびアフィニティータグに付着した第2タンパク質を示す。図1に示された実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、アフィニティータグはビオチンである。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載されたタンパク質プローブおよびアフィニティータグのいずれでも利用することができる。第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブのどちらも、標的の1つまたは複数の部分を結合し得る標的特異的領域を含む。工程2)および3)において、標的タンパク質を、第1のタンパク質プローブおよび第2のタンパク質プローブと混合する。工程4)において、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を精製する。図1に示された例において、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を、Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)などのストレプトアビジン結合型磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする、本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブ(複数可)の複合体を、限定されないが、HPLC、FPLC、サイズ排除(ゲル濾過)クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー;ビオチン−アビジン、マルトース−マルトース結合タンパク質(MBP)、カルシウム−カルシウム結合ペプチドなどのリガンド−受容体結合;アプタマー−標的結合;ジップコードハイブリダイゼーションなどの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。
【0063】
図1の工程5)において、シグナルオリゴを、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体から溶離させ、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。シグナルオリゴを溶離させるための方法は、当技術分野において公知であり、それらには、図1に示されたものおよび本明細書に記載されたものが挙げられる。いくつかの実施形態において、図1に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図1に記載されているような第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは捕獲領域を含む。いくつかの実施形態において、捕獲領域は、タンパク質プローブの単離および/またはタンパク質プローブの表面への固定化に用いられる。捕獲領域は、下記のようなアフィニティータグ、またはビーズ、スライド、もしくはアレイなどの固体表面であり得る。
【0065】
図6は、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。この実施形態において、タンパク質プローブは、捕獲領域、例えば、磁気ビーズに付着している。図6は抗体の使用を示している。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載されたタンパク質プローブおよび捕獲領域のいずれでも利用することができる。タンパク質プローブ(例えば、抗体)を、本明細書に記載された方法を含む当技術分野において公知の任意の適切な方法によって捕獲領域に付着させることができる。標的タンパク質を、捕獲領域を含むタンパク質プローブと混合する。その後、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を、リンカーオリゴを介してシグナルオリゴに付着した第2のタンパク質プローブと接触させる。標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体を精製する。この例において、標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、上記の方法などの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。捕獲領域がスライドまたはアレイである場合には、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、過剰の結合していない試料およびタンパク質プローブを洗い流すことによって精製することができる。その後、単離された標的タンパク質/タンパク質プローブ複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させる。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。シグナルオリゴを溶離させるための方法は、本明細書に記載された方法を含む当技術分野において公知である。この実施形態において、タンパク質とナノレポーターは十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。いくつかの実施形態において、図6に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図6に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴはアフィニティータグに付着している。シグナルオリゴにおけるアフィニティータグは、シグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。シグナルオリゴを利用する本明細書に記載された方法のいずれにおいても、シグナルオリゴはアフィニティータグに付着することができる。
【0067】
図7は、本発明の実施形態の1つの概略図を示す。この実施形態は、本明細書に記載された方法のいずれとも用いることができる。図7の図は、タンパク質プローブとして抗体を示すが、この例は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。図7は、捕獲領域(例えば、磁気ビーズ)に直接的または間接的に(例えば、オリゴを通してのハイブリダイゼーションによる)付着した抗体、およびビオチン化シグナルオリゴに付着した第2抗体を示す。しかしながら、この図に示された実施形態は、本明細書に記載された捕獲領域およびアフィニティータグのいずれでも利用することができる。標的タンパク質をタンパク質プローブと混合する。標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。しかしながら、これを始めとする本明細書に記載されたいずれの他の実施形態においても、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、上記の方法などの当技術分野において公知の任意の適切な方法によって精製することができる。捕獲領域がスライドまたはアレイである場合には、標的タンパク質とタンパク質プローブの複合体は、過剰の結合していない試料およびタンパク質プローブを洗い流すことによって精製することができる。その後、単離された標的タンパク質/抗体複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、本明細書に記載されたものを含む当技術分野において公知の任意の適切な方法によって溶離させる。図7の実施形態において、シグナルオリゴを、Dynabeads(登録商標)などのオリゴヌクレオチド結合型ビーズを用いて精製する。しかしながら、シグナルオリゴを、それに付着したアフィニティータグに従っての任意の適切な方法によって精製することができる。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図7に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図7に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図7に記載された実施形態は、それがたった2回のビーズ精製を必要とするだけという利点を提供する。加えて、この実施形態において、タンパク質とナノレポーターは十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。
【0068】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴは、近接している2つのオリゴをライゲーションすること、例えば、近接ライゲーションによって作製される。近接ライゲーションの図は、図8に示されている。図8の工程1)において、オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように、かつプローブが近接した状態になったとき、ライゲーションによりシグナルオリゴを形成するように設計される。図8は、タンパク質プローブとして抗体を用いる実施形態を示す。しかしながら、図8に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。オリゴを含むプローブは、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、Gullbergら、PNAS 101(22)、p8420−24(2004)に記載された方法よって調製および精製することができる。図8の工程2)において、その後、標的タンパク質を、オリゴおよび架橋オリゴを含むプローブと混合する。
【0069】
架橋オリゴはポリヌクレオチド配列を含む。タンパク質プローブに付着したオリゴは、架橋オリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに付着したオリゴのそれぞれとの架橋オリゴの相補的部分は、6〜15個の塩基であり、架橋オリゴの全長は12〜30個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴの相補的部分は20個の塩基である。
【0070】
図8の工程4)において、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。タンパク質プローブにおけるオリゴは、当技術分野において公知の任意の適切な方法によってライゲーションすることができる。本発明によるライゲーションは、任意の酵素的または化学的プロセスを含み、ヌクレオチド間の連結は、架橋オリゴに隣接してハイブリダイズする核酸配列の逆末端の間で形成される。ライゲーションに用いることができる酵素の例には、T4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Thermus thermophilus(Tth)リガーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAリガーゼ、またはPyrococcus furiosus(Pfu)リガーゼなどのDNAリガーゼおよびRNAリガーゼが挙げられるが、それらに限定されない。化学的ライゲーションは、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、N−シアノイミダゾール、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外線などの活性化剤および還元剤を用いて実施することができる。限定されないが、ギャップ充填OLAおよびLCRを含むギャップ充填ライゲーション、架橋オリゴヌクレオチドライゲーション、および補正ライゲーションなどのライゲーション技術もまた本発明の範囲内である。これらの技術の説明は、とりわけ、米国特許第5,185,243号、欧州特許出願公開第EP 320308号および第EP 439182号、ならびに国際公開特許第WO 90/01069号および第WO 01/57268号に見出すことができる。
【0071】
図8の工程5)において、ライゲーション後、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させる。加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。図8Bは、シグナルオリゴがビオチンまたは配列などのアフィニティータグを有する実施形態を示す。アフィニティータグは、本明細書に記載されているようなシグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。図8Cは、架橋オリゴがビオチンまたは配列などのアフィニティータグを有する実施形態を示す。アフィニティータグは、本明細書に記載されているようなシグナルオリゴを単離および/または固定化するために用いることができる。ライゲーションされたオリゴのみが、単離および/または固定化プロセス中にシグナルオリゴにハイブリダイズしたままであるのに十分な重複を有する。図8Dは、図8Bおよび8Cの実施形態が組み合わされている実施形態を示す。シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図8に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図8に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図8に記載された実施形態は、感度、交差反応性の最小化、および多重化を中心としたいくつかの有益性をもつ。近接ライゲーションは、高感度を示しており、オフ速度を本質的に減少させることによって見かけのKdを低下させる効果を有する。
【0072】
近接ライゲーションを利用するいくつかの実施形態において、オリゴのうちの1つは、ナノレポーターに付着している。図9はそのような実施形態の1つの図を示す。
【0073】
図9の工程1)において、オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように設計される。タンパク質プローブの1つにおけるオリゴの1つはナノレポーターに付着している。図9は、タンパク質プローブとして抗体を用いる実施形態を示す。しかしながら、図9に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれとも用いることができる。オリゴを含むプローブは、上記のように調製および精製することができる。図9の工程2)および3)において、その後、標的タンパク質を、オリゴおよび架橋オリゴを含むプローブと混合する。架橋オリゴは、第1のタンパク質プローブにおけるオリゴ、および第2のタンパク質プローブに付着したナノレポーターの部分に結合する。
【0074】
第1のタンパク質プローブに付着したオリゴおよびナノレポーターは、架橋オリゴと相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに付着したオリゴそれぞれおよびナノレポーターとの架橋オリゴの相補的部分は、6〜15個の塩基であり、架橋オリゴの全長は12〜30個の塩基である。図9の工程4)において、その後、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。第1のタンパク質プローブにおけるオリゴおよびナノレポーターは、上記のような当技術分野において公知の任意の適切な方法によってライゲーションすることができる。図9の工程5)において、ライゲーション後、任意で、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させることができる。
【0075】
加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。例えば、図8Cに記載されたアプローチを用いて、精製工程は、シグナルオリゴの、例えば、抗体からの遊離後、ライゲーションされたオリゴをライゲーションされていないオリゴから分離するように実施される。この精製工程は、磁気ビーズまたはタンパク質の物理的分離についての当技術分野において公知の任意の他の方法を用いて実施することができる。重要なことには、用いられる抗体の量が、用いられるレポーターの量より高い場合には、その結果として生じる過剰のライゲーションされていないオリゴが、レポーターのオリゴへのハイブリダイゼーションをブロックする可能性がある。実施例7に記載されているように、精製工程は、緩衝溶液でのすすぎ工程をさらに含む。図13は、様々な緩衝液条件において、抗体レポーター複合体のどれくらい様々なコンポーネントが、精製され、すすがれるかを示している。好ましいすすぎ用緩衝液はSSPEである;しかしながら、受容体複合体またはそのコンポーネントの数を保持するための類似した能力を有する他の緩衝液および全ての濃度が、これらの方法に包含される。
【0076】
シグナルオリゴを、下記のようなナノレポーターを用いて分析する。いくつかの実施形態において、図9に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図9に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的シグナルオリゴを有し、そのシグナルオリゴが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。図9に記載された実施形態は、近接ライゲーションによるKoffの減少という利点を利用している。より低いKoffは、より低いKd、およびより低い濃度のタンパク質プローブで作用する能力を意味する。このKdの減少によって、レポーターについて必要とされる濃度で作用すること、およびそれにしたがって、多重分析についての直接的検出アプローチを企図し、試薬費用を減少させることがより容易になる。これらの実施形態は、アッセイ内で、レポーターへのハイブリダイゼーション工程を必要としない。したがって、これらのアッセイは、より速くなって、より短い時間で応答することになるであろう。
【0077】
いくつかの実施形態において、シグナルオリゴを、下のセクションで記載されているようなナノレポーター(複数可)を用いて分析/検出する。これらの実施形態において、ナノレポーター(複数可)は、シグナルオリゴに相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は15〜20個の塩基である。
【0078】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、ナノレポーターを含むタンパク質プローブをさらに含む。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、タンパク質プローブまたはタンパク質プローブセットを標的タンパク質に結合させることによる、標的タンパク質の検出および/または定量化のための方法であって、タンパク質プローブまたはプローブセットにおけるタンパク質プローブの少なくとも1つがナノレポーターを含む、方法を提供する。
【0079】
図4は、本発明の実施形態のうちの1つの概略図を示す。この実施形態において、ナノレポーターは抗体のうちの1つに付着している。図4に記載された方法は、本明細書に記載されたタンパク質プローブのいずれを用いても、利用することができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、タンパク質プローブに直接的に付着することができる。他の実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴを通してのハイブリダイゼーションによってタンパク質プローブに付着することができる。したがって、ナノレポーターは、タンパク質プローブにおけるリンカーオリゴと相補的である部分を含む。いくつかの実施形態において、相補的部分は、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、40個、50個、60個、70個、またはそれ以上のヌクレオチド塩基である。いくつかの実施形態において、リンカーオリゴは15〜20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は40個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は30個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は20個の塩基である。いくつかの実施形態において、相補的部分は15個の塩基である。
【0080】
ナノレポーターのリンカーオリゴへのハイブリダイゼーションは、相補的部分の長さに依存して異なる温度で起こり得る。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、32℃〜40℃の範囲の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、35℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、37℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、45℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、52℃〜57℃の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の融解温度(Tm)より15℃〜20℃下の温度で、タンパク質プローブに付着したリンカーオリゴにハイブリダイズすることができる。リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さおよびそれらのハイブリダイゼーション温度が、用いられるタンパク質プローブの型に依存することを当業者は理解しているであろう。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さは15〜20個の塩基であり、それは、約57℃、すなわち、37℃の理想的抗体温度より15℃〜20℃上のTmを与える。したがって、いくつかの実施形態において、タンパク質プローブは抗体であり、リンカーオリゴとのナノレポーターの相補的部分の長さは15〜20個の塩基であり、ハイブリダイズする温度は37℃である。
【0081】
図4は、抗体の1つがビオチンに結合しており、その他の抗体がナノレポーターを付着させている、標的タンパク質と抗体の複合体が形成されることを示す。図4に記載された方法は、ビオチン以外の本明細書に記載されたいずれのアフィニティータグも用いることができる。標的タンパク質−抗体複合体の精製は、本明細書に記載されたものを含む、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって実施することができる。ナノレポーターの溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することにより、消化、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法により、達成することができる。タンパク質−抗体複合体がアフィニティータグを含む実施形態において、複合体を、例えばストレプトアビジンでコーティングされた、カバーガラス(Optichem(登録商標)、Accelr8 Technology Corporation)に結合させることができる。ナノレポーターを下記のように分析する。いくつかの実施形態において、図4に示された方法は、複数の標的タンパク質を検出および/または定量化するために用いられる。各標的タンパク質は、図4に記載されているように第1のプローブおよび第2のプローブを含むプローブセットによって検出される。各プローブセットは、特異的および/または固有的ナノレポーターを有し、そのナノレポーターが、その後、各プローブセットの標的タンパク質に会合することができる。
【0082】
いかなる理論またはいかなる特定の実施形態にも限定されるつもりはないが、シグナルオリゴを利用する本発明の実施形態は、以下のいくつかの利点を提供する:(1)これらの実施形態は、標的タンパク質およびタンパク質プローブをナノレポーターから分離する。レポーターからのタンパク質の分離によって、タンパク質を測定するためにナノレポーターを用いることに付随した溶解性および粘着性の潜在的問題が排除される。ナノレポーターからの標的タンパク質の分離は、DNAとタンパク質の間でのKdミスマッチの課題を回避し、最大シグナルおよび最低ノイズを得るための両方についての理想的濃度の使用を可能にし、必要に応じて低Kdの抗体の使用を可能にする;(2)間接的シグナルオリゴアプローチは、下記のナノレポーターアッセイの上流のプロセスとして実行し、それにより、最適化されたナノレポーターアッセイを利用することができる;(3)タンパク質プローブセット(例えば、抗体ペア)が、必要に応じて、それらの通常の配置で、例えば、表面上(例えば、磁気ビーズ上)の捕獲抗体および溶液中の検出抗体として、用いることができる。いくつかの抗体はこの配置において最良に作用する;(4)これらの実施形態に関して、タンパク質プローブが標的から外れること(Koff速度)、例えば、抗体だけが、ビーズ上での結合および精製中、標的に結合した状態で留まらなければならないことに関連した問題が最小限に抑えられる。これは、より低い結合親和性をもつ抗体を含む広範囲の抗体の使用を可能にする;ならびに(5)タンパク質は、核酸、例えば、RNAまたはDNAと同じレーンで読み取ることができる。試料をまず分割する:一部を、本明細書に記載されたタンパク質検出実施形態に供し(細胞を界面活性剤で溶解し、その後、本明細書に記載されているように、結合させ、精製する)、一部を切り離して、核酸試料として処理する(細胞をGITCで溶解する)。その後、試料を再び組み合わせ、下記のようなナノレポーターを用いて分析するが、同じレーンで行う可能性もある。同じレーンにおける核酸(例えば、RNA)およびタンパク質の両方の測定は、測定による違いを最小限にし、タンパク質および核酸の発現データをより比較可能にし、必要とされるデータを得るための複数の測定方法の必要性を排除する。
【0083】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、タンパク質の測定と組み合わせた、核酸、例えば、RNAまたはDNAの測定を提供する。
【0084】
本明細書に記載された実施形態のいずれも、複数の標的タンパク質の検出に用いることができる。いくつかの実施形態において、本発明は、標的タンパク質の分析のためのタンパク質プローブを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、多重化アッセイに用いるタンパク質プローブ集団を提供する。集団における各タンパク質プローブは、標的分子に特異的である。その後、標的タンパク質のタンパク質プローブへの結合を、ナノレポーターを用いて検出する。各ナノレポーターは、下記のように、特定の標的分子に会合することができる固有の標識コードを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、下記のようなナノレポーターの検出は、1回に1分子がカウントされる点で本来、デジタルである。コードを読むために蛍光が用いられるが、シグナルは高く、スポットは存在するかしないかのいずれかであり、したがってデジタル検出である。シグナルを定量化するために用いられるアナログ蛍光シグナルよりむしろデジタル検出を用いることが、より正確な定量化をもたらす。したがって、本明細書に記載された方法は、現在可能なレベルを超えるレベルでの多重化、より正確な定量化、場合により、より高い感度を可能にする。
【0086】
ナノレポーター
特定の標的に会合するシグナルのコード(ナノレポーター標識コード)を提供するナノレポーター。いくつかの実施形態において、タンパク質プローブに会合したシグナルオリゴまたはリンカーオリゴへのナノレポーターの結合の際、ナノレポーターコードは、ナノレポーターが結合しているシグナルオリゴまたはタンパク質プローブを同定する。したがって、いくつかの実施形態において、本発明のナノレポーターは、以下の2つの主要な部分を含む:(i)タンパク質プローブに会合したシグナルオリゴまたはリンカーオリゴに特異的な配列;および(ii)標識されたナノレポーター。いくつかの実施形態において、ナノレポーターはタンパク質プローブに直接的に付着している。
【0087】
ナノレポーターはモジュラー構造である。いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、複数の異なる検出可能な分子を含む。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、以下のある特定の基本的要素を含む分子成分である:(i)直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域、および(ii)バックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、直線的に組み合わされて付着した2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の固有の標識付着領域、およびバックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、直線的に組み合わされて付着した3個以上の標識付着領域、およびバックボーンの標識付着領域に付着した相補的ポリヌクレオチド配列を含む。標識付着領域という用語は、検出可能な分子についての個々の付着点としての役割を果たし得る、所定のバックボーン内の定義されたポリヌクレオチド配列の領域を含む。
【0088】
直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域は、固有的に設計された配列を含み得る。加えて、ナノレポーター内の直線的に組み合わされて付着した複数の標識付着領域は、少なくとも1つの鋳型、例えば、限定されないが、クローニングカセット、ポリリンカーなどを含む誘導体を含めての、アデノウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ロタウイルスのゲノムなどの線状もしくは線状可能なウイルスゲノム、またはラムダ、M13、φX−174、Tシリーズのバクテリオファージなどのバクテリオファージの少なくとも一部分などの少なくとも1つの核酸配列;クローニングカセット、ポリリンカーなどを含む誘導体を含めての、pBR322およびpUCシリーズプラスミドなどのプラスミド;合成鋳型;人工配列を含む鋳型などを含む。事実上、いかなる小片の核酸も、それが少なくとも2個の標識付着領域を含むのに十分大きいならば、またはそれが少なくとも1つの他の核酸配列と組み合わせることができて、その組み合わされた配列が少なくとも2個の標識付着領域を含むのに十分大きいならば、ナノレポーターを作製するための鋳型としての役割を果たすことができることを当業者は理解しているであろう。
【0089】
いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターはまた、定常領域を含むバックボーンを含む。定常領域は、ナノレポーターに直接的または間接的に付着することができる。したがって、定常領域は、ナノレポーターに共有結合することができるか、または定常領域は、アッセイにおいて後で、ナノレポーターに結合することができる。定常領域という用語は、約10個〜約25個のヌクレオチドの縦列反復配列を含む。定常領域は、ナノレポーターの5’領域または3’領域のいずれかで付着することができ、定常領域に相補的である配列を固体基質に付着させることによるなど、画像化または検出のためのナノレポーターの捕獲および固定化のために利用されてもよい。
【0090】
ナノレポーターの要素は、単一分子成分(単一ナノレポーター)または2つの別個の分子成分(二重ナノレポーター)として見出すことができる。各分子成分は、1つの分子で構成されてもよいし、共有結合性または非共有結合性手段によってお互いに付着した1つより多い分子で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、二重ナノレポーターの各コンポーネントは、同じシグナルオリゴ分子上の異なる部位に結合するシグナルオリゴ特異的配列を有する。二重ナノレポーター系を用いる場合、ナノレポータープローブの1つは、標識されてなくてもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは捕獲領域を含んでもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは、シグナルオリゴ特異的領域、および一本鎖であり得るバックボーンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、非標識ナノレポータープローブは、シグナルオリゴ特異的領域、および二本鎖であり得るバックボーンを含んでもよい。
【0091】
ナノレポーターバックボーンに付着した相補的ポリヌクレオチド配列は、検出可能な分子または標識モノマーをナノレポーターバックボーンに付着させる作用をする。相補的ポリヌクレオチド配列は、例えば、1つまたは複数の検出可能な分子の相補的ポリヌクレオチド配列への共有結合性組み入れによって、直接的に標識されてもよい。あるいは、相補的ポリヌクレオチド配列は、特異的なリガンド相互作用の能力があるビオチンまたは他の分子の相補的ポリヌクレオチド配列への組み入れによるなど、間接的に標識されてもよい。そのような例において、リガンド(例えば、相補的ポリヌクレオチド配列へのビオチン組み入れの場合におけるストレプトアビジン)が、検出可能な分子に共有結合していてもよい。標識付着領域に付着した検出可能な分子が、相補的ポリヌクレオチド配列へ直接的には組み入れられていない場合、この配列は、検出可能な分子と標識付着領域との間の橋としての役割を果たし、架橋分子、例えば、架橋核酸と呼ばれる場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態において、本発明は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されたナノレポーターを用いる。
【0093】
本発明の、核酸に基づいたナノレポーター、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体、またはナノレポーター−タンパク質プローブ複合体は、ナノレポーターの定常領域に相補的であるオリゴヌクレオチドなどの核酸を用いてアフィニティー精製または固定化され得る核酸を含む。上記で述べられているように、いくつかの実施形態において、ナノレポーターは、精製および/または(例えば、固体表面への)固定化のためのアフィニティータグとしての役割を果たし得る少なくとも1つの定常領域を含む。定常領域は、典型的には、1連の15塩基の反復などの反復ヌクレオチドの2つ以上の縦列反復領域を含む。そのような例示的な実施形態において、ナノレポーターは、シグナルオリゴ、標的分子と複合体形成している、していないに関わらず、反復単位の逆相補体である15塩基のオリゴヌクレオチドでコーティングされたアフィニティー試薬により精製または固定化することができる。
【0094】
ナノレポーター、ナノレポーター−シグナルオリゴ複合体、またはナノレポーター−タンパク質プローブ複合体は、2つ以上のアフィニティー選択工程で精製することができる。例えば、ナノレポーターがタンパク質プローブに付着している実施形態において、ナノレポーターはアフィニティータグを含み得る。シグナルオリゴおよび二重ナノレポーターが用いられる場合の他の実施形態において、1つのナノレポータープローブは、第1のアフィニティータグを含み得、その他のナノレポータープローブは、第2の(異なる)アフィニティータグを含み得る。ナノレポータープローブを、シグナルオリゴと混合し、二重ナノレポーターの2つのプローブを含む複合体は、一方または両方の個々のアフィニティータグに対するアフィニティー精製により結合していない材料(例えば、シグナルオリゴ、またはナノレポーターの個々のプローブ)から分離される。第1工程において、混合物は、第1アフィニティータグについてのアフィニティー試薬に結合することができ、それによって、第1アフィニティータグを含むプローブのみ、および所望の複合体が精製される。結合した材料を、第1アフィニティー試薬から遊離させ、任意で、第2アフィニティータグについてのアフィニティー試薬に結合させて、第1アフィニティータグを含むナノレポータープローブからの複合体の分離を可能にする。この時点で、完全な複合体のみが結合しているであろう。複合体を、最終的に、第2アフィニティータグについてのアフィニティー試薬から遊離させ、その後、好ましくは、ストレッチさせ、画像化する。アフィニティー試薬は、アフィニティータグの結合パートナーでコーティングされた任意の固体表面であり得、例えば、結合パートナーでコーティングされたカラム、ビーズ(例えば、ラテックスまたは磁気ビーズ)、またはスライドなどである。アフィニティー試薬を用いるナノレポーターの固定化およびストレッチは、参照により全体として本明細書に組み入れられた、Sean M.FerreeおよびDwayne L.Dunawayによる、「Compositions Comprising Oriented,Immobilized Macromolecules and Methods for Their Preparation」という発明の名称の2005年12月23日に出願された米国仮出願第60/753,816号、ならびに米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に完全に記載されている。
【0095】
所定のナノレポーターのバックボーンの様々な標識付着領域に会合した標識モノマーによって供給されるシグナルの配列により、ナノレポーターの固有の同定が可能になる。例えば、蛍光標識を用いる場合、固有のアイデンティティまたは固有のスペクトルシグネチャーを有するナノレポーターは、特定の標的分子またはその部分を認識するシグナルオリゴ特異的配列またはタンパク質プローブに会合している。ナノレポーターと会合した、蛍光標識ナノレポーターのスペクトルコードなどのナノレポーターシグナルの検出により、混合物における標的分子の存在の検出が可能になる(定性分析)。所定のスペクトルコードまたはシグネチャーと会合した、全ての標識モノマーをカウントすることにより、シグナルオリゴ特異的配列、またはナノレポーターに結合したタンパク質プローブと会合した混合物における全ての分子のカウントが可能になる(定量分析)。シグナルオリゴが用いられる実施形態において、その後、シグナルオリゴは、シグナルオリゴに会合したタンパク質プローブへの標的分子の結合を介して標的分子と相関することができる。したがって、ナノレポーターは、公知の生物学的マーカーの定量分析によって異なる生物学的状態(例えば、疾患対健康)の診断または予後に有用である。
【0096】
さらに、本発明のナノレポーターによって提供されるシグナル分子検出および定量化の精巧な感度により、異なる生物学的状態の間でのゆらぎが、伝統的な分子方法を用いて特定の生物学的状態との相関を検出するには軽微すぎるものを含む、新しい診断マーカーおよび予後マーカーの同定が可能になる。ナノレポーターに基づいた分子検出の感度により、小さい生体試料における治療剤および診断剤の詳細な薬物動態学的分析が可能になる。
【0097】
ナノレポーターの合成は、当技術分野において公知の任意の適切な方法によって実施することができる。ナノレポーターの合成の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0098】
一実施形態において、本発明は、ナノレポーターバックボーンに付着したアフィニティータグをさらに含むナノレポーターを提供し、それによって、アフィニティータグの支持体への付着が、バックボーンストレッチ、およびバックボーン上の異なる標識付着領域に対応する標識モノマーにより提供されるシグナルの分解を可能にする。ナノレポーターストレッチは、限定されないが、物理的、水力学的、または電気的手段を含む手段を含む、当技術分野において公知の任意のストレッチ手段を含み得る。アフィニティータグは定常領域を含んでもよい。
【0099】
プローブの集団における各ナノレポータープローブの固有性により、複数の標的分子の多重化分析が可能になる。例えば、いくつかの実施形態において、各ナノレポータープローブは、6個の標識付着領域を含み得、各バックボーンの各標識付着領域は、その同じバックボーンにおけるその他の標識付着領域とは異なっている。標識認識領域が4つの色のうちの1つで標識されることになっており、かつ標識付着領域について24個の可能な固有配列があり、かつ各標識付着領域が特定の色を割り当てられている場合には、各バックボーンにおける各標識付着領域は、4つの配列のうちの1つからなるであろう。この例において4096個の可能なナノレポーターがあることになる。可能なナノレポーターの数は、例えば、色の数を増加させること、標識付着領域についての固有配列の数を増加させること、および/またはバックボーンあたりの標識付着領域の数を増加させることにより、増加させることができる。同様に、可能なナノレポーターの数は、色の数を減少させること、標識付着領域についての固有配列の数を減少させること、および/またはバックボーンあたりの標識付着領域の数を減少させることにより、減少させることができる。
【0100】
ある特定の実施形態において、検出方法は、多重アッセイで実施され、複数の標的分子が同じアッセイ(単一の反応混合物)において検出される。好ましい実施形態において、アッセイは、複数の標的分子が同時に検出されるハイブリダイゼーションアッセイである。ある特定の実施形態において、同じアッセイで検出される複数の標的分子は、少なくとも2個、少なくとも5個の異なる標的分子、少なくとも10個の異なる標的分子、少なくとも20個の異なる標的分子、少なくとも50個の異なる標的分子、少なくとも75個の異なる標的分子、少なくとも100個の異なる標的分子、少なくとも200個の異なる標的分子、少なくとも500個の異なる標的分子、または少なくとも750個の異なる標的分子、または少なくとも1000個の異なる標的分子である。他の実施形態において、同じアッセイで検出される複数の標的分子は、最高50個の異なる標的分子、最高100個の異なる標的分子、最高150個の異なる標的分子、最高200個の異なる標的分子、最高300個の異なる標的分子、最高500個の異なる標的分子、最高750個の異なる標的分子、最高1000個の異なる標的分子、最高2000個の標的分子、または最高5000個の標的分子である。さらに他の実施形態において、検出される複数の標的分子は、異なる標的分子の前述の数の間の任意の範囲、例えば、限定されないが、20個〜50個までの異なる標的分子、50個〜200個までの異なる標的分子、100個〜1000個までの異なる標的分子、500個〜5000個までの異なる標的分子など、その他もろもろである。
【0101】
本発明のナノレポーターにより提供される定性分析能力、およびそれに基づいた分析技術に加えて、本発明のナノレポーターは、独特なことに、定量分析を行うのに適している。生体分子試料における、本発明のナノレポーター(単一ナノレポーターか二重ナノレポーターかに関わらず)とそれらの標的分子の間の1対1の結合を提供することによって、試料に存在する標的分子の全部または代表的部分を、同定し、カウントすることができる。この様々な分子種の個々のカウントは、生体分子試料における標的分子の絶対的または相対的濃度を決定するための正確かつ直接的な方法を提供する。さらに、混合物中の各分子を個々にアドレス指定する能力により、高感度、最小限の試料必要量、小容量における液相動態学により与えられる高反応速度、および最終的に非常に低い試薬費用を含む小型化による利益を個々に活用している。
【0102】
検出可能な分子または標識モノマー
本発明のナノレポーターは、放射性同位元素、蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、または直接的(例えば、発光により)もしくは間接的(例えば、蛍光標識抗体の結合により)に検出することができる当技術分野において公知の他のモノマーなど、様々な標識モノマーのいずれかで標識することができる。一般的に、ナノレポーターにおける標識付着領域のうちの1つまたは複数が、1つまたは複数の標識モノマーで標識され、ナノレポーターの標識付着領域に付着した標識モノマーによって提供されるシグナルは、ナノレポーターの標的特異的領域が結合する標的を同定する検出可能なコードを構成する。ある特定の実施形態において、標識付着領域からの所定のシグナルの欠如(例えば、ダークスポット)もまた、ナノレポーターコードの部分を構成することができる。
【0103】
本明細書に記載されたナノレポーターと共に用いることができる標識モノマーの例、および標識モノマーをナノレポーターへ組み入れるための方法の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0104】
アフィニティータグ
当技術分野において公知の様々なアフィニティータグは、例えば、ナノレポーターを精製および/または固定化するために、用いられ得る。いくつかの実施形態において、ビオチンアンカーが、ナノレポーターに付着しており、ナノレポーターのストレプトアビジンコーティング化スライド上への固定化を可能にする。
【0105】
いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、各末端にアフィニティータグ、A1およびA2を含む。標識ナノレポーターは、A1の固定化アフィニティーパートナーへの結合を通して表面に固定化することができる。A2についてのアフィニティー結合パートナーの非存在下において、ナノレポーターのA2末端は溶液中に留まるが、アフィニティー結合パートナー(A2’)の存在下において、ナノレポーターのA2末端もまた固定化される。いくつかの実施形態において、標識ナノレポーターは、単一のアフィニティータグ、A1を含む。もう一つのアフィニティータグ、A2は、A2を含む分子へのナノレポーターの直接的結合によってナノレポーターに付着することができる(例えば、ナノレポーターが核酸であるか、または核酸を含む場合には、それは、A2が付着している別の核酸と直接的にハイブリダイズすることができる)。あるいは、いずれかのアフィニティータグが、架橋核酸などの架橋分子を介して標識ナノレポーターに付着することができる。いくつかの実施形態において、A1の固定化の際、ナノレポーターは、ナノレポーターコードの検出を可能にする様式における標識付着領域の分離のために、例えば、エレクトロストレッチングにより、ストレッチまたは「伸長」することができる。任意で、ナノレポーターが伸長された状態にあると同時に、A2が導入され、表面まで降りて、A2と相補的であるナノレポーターの末端に結合する。
【0106】
いくつかの実施形態において、アフィニティータグは、例えば、タンパク質プローブを精製および/または固定化するために、タンパク質プローブに付着している。
【0107】
アフィニティータグは、限定されないが精製を含む様々な有用な適用のために、ビーズまたは他のマトリックスへの付着に用いることができる。
【0108】
アフィニティータグの例、ならびにそれらを作製し、および/またはそれらを本明細書に記載されたナノレポーターに付着させる方法の例は、参照により全体として本明細書に組み入れられた、米国特許第7,473,767号;米国特許出願第10/542,458号;第12/324,357号;第11/645,270号、および第12/541,131号に記載されている。
【0109】
生体分子試料
本発明のタンパク質プローブおよびナノレポーター系は、任意の生体分子試料において標的タンパク質を検出するために用いることができる。当業者によって認識されているように、試料は、物質をいくらでも含んでいてもよく、その例には以下が挙げられるが、それらに限定されない:(初代細胞および培養細胞系の両方を含む)細胞、細胞可溶化物または細胞抽出物、ならびに組織および組織抽出物などの生体試料;体液(血液、尿、血清、リンパ液、胆汁、脳脊髄液、間質液、眼房水または硝子体液、初乳、痰、羊水、唾液、肛門および膣の分泌液、汗および精液、漏出液、滲出液(例えば、膿瘍、または感染もしくは炎症の任意の他の部位から得られる液体)または事実上、任意の器官の関節(例えば、正常な関節、または関節リウマチ、変形性関節症、痛風、もしくは化膿性関節炎などの疾患に冒された関節)から得られる液体が挙げられるが、哺乳類試料が好ましく、ヒト試料が特に好ましい;環境試料(空気、農業、水、および土の試料が挙げられるが、それらに限定されない);生物戦剤試料;細胞培養物由来の細胞外液、細胞外上清、細菌における封入体、細胞コンパートメント、細胞周辺質、ミトコンドリアコンパートメントなどを含む研究試料。
【0110】
生体分子試料は、生物学的検体から間接的に引き出すことができる。例えば、関心対象となる標的タンパク質がキナーゼである場合、本発明の生体分子試料は、細胞可溶化物由来の単離されたタンパク質を含む試料であり得る。別の例において、本発明の生体分子試料は、生物学的検体を分画、例えば、サイズ分画または膜分画に供することによって作製される。
【0111】
本発明の生体分子試料は、天然(例えば、操作または処理を受けていない)であってもよいし、処理されていてもよい(薬物を含む候補作用物質への暴露、遺伝子操作(例えば、遺伝子の付加または欠失)などを含む処理をいくつでも含み得る)。
【0112】
生体分子試料はまた、細菌、または、とりわけある特定の海もしくは地球に基づいた試料においてなどの、珪藻、渦鞭毛藻類、藻類などの他の生物体を含むものなどの環境試料も含み得る。
【0113】
ナノレポーターの検出
ナノレポーターは、所定のナノレポーター上の特定のシグナルを検出し得る、当技術分野において利用可能な任意の手段によって検出される。ナノレポーターが蛍光標識されている場合、適切な励起源についての相応の考慮を吟味してもよい。可能な源として、アークランプ、キセノンランプ、レーザー、発光ダイオード、またはそれらのいくかの組み合わせを挙げることができるが、それらに限定されない。適切な励起源が、適切な光学的検出系、例えば、倒立蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、または共焦点顕微鏡と共に用いられる。好ましくは、ナノレポーター上のスポットの配列を決定するのに十分な空間分解能での検出を可能にすることができる顕微鏡が用いられる。例えば、一実施形態において、標的分子にハイブリダイズした二重ナノレポーターの画像を得ることができる。例えば、ナノレポーターが3つの異なる色、(それぞれ、1、2、および3と名付けられた)Alexa 488、Cy3、およびAlexa 647で標識されている場合には、色1、2、および3がそれぞれ、異なるチャネルで獲得され、スポットの列として見ることができる第1および第2レジスターは、各レジスターを個々に示すことができるように数個のピクセルによってシフトアップされる。
【0114】
本発明の方法において用いることができるナノレポーターの検出のための方法の例は、「Methods for detection and quantification of analytes in complex mixtures」という発明の名称の米国特許第7,473,767号、「Methods for detection and quantification of analytes in complex mixtures」という発明の名称の米国特許公開第2007/0166708号、「Compositions comprising oriented, immobilized macromolecules and methods for their preparation」という発明の名称の米国特許出願第11/645,270号、「Nanoreporters and methods of manufacturing and use thereof」という発明の名称のPCT出願第US06/049274号、および「Stable nanoreporter」という発明の名称の米国仮出願第60/088,988号に記載されており、それらの全部は、参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0115】
ナノレポーターテクノロジーによるタンパク質検出の適用
本発明の組成物および方法は、診断、予後、治療、患者層別化、薬物開発、処置選択、およびスクリーニングを目的として用いることができる。本発明は、多くの異なる標的タンパク質が、本発明の方法を用いて単一の生体分子試料から一度に分析することができるという利点を提供する。これは、例えば、いくつかの診断検査を1つの試料で実施することを可能にする。
【0116】
本発明の組成物および方法は、プロテオミクスにおいて用いることができる。本明細書に記載された方法は、典型的には、答えを迅速に提供し、それはこの適用にとって非常に望ましいことである。本明細書に記載された方法および組成物は、診断または予後に、ならびに健康および疾患の指標として用い得るバイオマーカーを見出すプロセスにおいて用いることができる。本明細書に記載された方法および組成物は、薬物についてスクリーニングすること、例えば、薬物開発、処置の選択、処置効力の決定、および/または医薬開発のために標的を同定することに用いることができる。薬物に関与するスクリーニングアッセイでタンパク質発現を試験する能力は、タンパク質が身体において最終遺伝子産物であるため、非常に重要である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法および組成物は、タンパク質および遺伝子発現の両方を同時に測定し、それは実施されることになっている特定のスクリーニングに関して最も多い情報を提供することになるであろう。
【0117】
本方法は、罹患細胞型が試料中に存在するかどうか、疾患の段階、患者の予後、患者の特定の処置に応答する能力、または患者にとっての最良の処置を決定するために、患者から得られた、または患者に由来する生体分子試料の分析に適用することができる。本方法はまた、特定の疾患について同定されたバイオマーカーに適用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、状態の診断に用いられる。本明細書に用いられる場合、用語「診断する」または状態の「診断」は、状態を予想すること、または診断すること、状態の素因を決定すること、状態の処置をモニターすること、疾患の治療的応答を診断すること、ならびに状態の予後、状態進行、および状態の特定の処置に対する応答を含む。例えば、血液試料は、試料における疾患のマーカーまたは悪性細胞型の存在および/または量を決定して、それにより、疾患または癌を診断し、または病期分類するために、本明細書に記載された方法のいずれかに従ってアッセイすることができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法および組成物は、状態の診断および予後に用いられる。
【0120】
多数の免疫学的、増殖性、および悪性の疾患および障害は特に、本明細書に記載された方法に適している。免疫学的疾患および障害には、アレルギー性疾患および障害、免疫機能の障害、ならびに自己免疫疾患および状態が挙げられる。アレルギー性疾患および障害には、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、および食物アレルギーが挙げられるが、それらに限定されない。免疫不全症には、重症複合免疫不全症(SCID)、好酸球増加症候群、慢性肉芽腫症、白血球粘着不全症IおよびII、高IgE症候群、チェディアック・東症候群、好中球増多症、好中球減少症、形成不全、無ガンマグロブリン血症、高IgM症候群、ディジョージ/口蓋心臓顔面症候群、ならびにインターフェロンガンマ−TH1経路欠陥が挙げられるが、それらに限定されない。自己免疫障害および免疫調節不全障害には、関節リウマチ、糖尿病、全身性エリテマトーデス、グレーブス病、グレーブス眼症、クローン病、多発性硬化症、乾癬、全身性硬化症、甲状腺腫およびリンパ腫性甲状腺腫(橋本甲状腺炎、リンパ節様甲状腺腫)、円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、硬化性苔癬、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、萎縮性胃炎、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、ならびに炎症性腸疾患、同種移植片拒絶および感染性微生物または環境抗原に対するアレルギー性反応からの組織破壊が挙げられるが、それらに限定されない。
【0121】
本発明の方法によって評価され得る増殖性疾患および障害には、新生児における血管腫症;二次性進行型多発性硬化症;慢性進行型骨髄変性疾患;神経線維腫症;神経節神経腫症;ケロイド形成;骨ページェット病;(例えば、乳房または子宮の)線維嚢胞性疾患;サルコイドーシス;ペイロニーおよびデュピュイトラン線維症、硬変、アテローム性動脈硬化症、ならびに血管再狭窄が挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
本発明の方法によって評価され得る悪性疾患および障害には、血液悪性腫瘍および固形腫瘍の両方が挙げられる。
【0123】
血液悪性腫瘍は、試料が血液試料である場合、そのような悪性腫瘍が血液由来細胞の変化に関与するため、本発明の方法に特に適している。そのような悪性腫瘍には、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非B細胞リンパ腫、および他のリンパ腫、急性または慢性白血病、赤血球増加症、血小板血症、多発性骨髄腫、骨髄異形成障害、骨髄増殖性障害、骨髄線維症、非定型免疫リンパ球増殖、ならびに形質細胞障害が挙げられる。
【0124】
本発明の方法によって評価され得る形質細胞障害には、多発性骨髄腫、アミロイドーシス、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症が挙げられる。
【0125】
固形腫瘍の例として、結腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、脳腫瘍、中枢神経腫瘍、膀胱腫瘍、メラノーマ、肝癌、骨肉腫および他の骨癌、精巣癌腫および卵巣癌腫、頭頸部腫瘍、ならびに頚部新生物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0126】
本明細書に記載された方法は、病原感染、例えば、細胞内細菌およびウイルスによる感染を、試料中、細菌またはウイルス、それぞれのマーカーの存在および/または量を決定することによって診断するために用いることができる。
【0127】
幅広い種類の感染性疾患が、本発明のプロセスによって検出することができる。典型的には、これらは、細菌、ウイルス、寄生虫、および真菌の感染病原体によって引き起こされる。様々な感染病原体の薬物に対する抵抗性もまた、本発明を用いて決定することができる。
【0128】
本発明によって検出することができる細菌の感染病原体には、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、Klebsiella、Pseudomonas、Listeria monocytogenes、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium aviumintracellulare、Yersinia、Francisella、Pasteurella、Brucella、Clostridia、Bordetella pertussis、Bacteroides、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、B−Hemolytic strep.、Corynebacteria、Legionella、Mycoplasma、Ureaplasma、Chlamydia、Neisseria gonorrhea、Neisseria meningitides、Hemophilus influenza、Enterococcus faecalis、Proteus vulgaris、Proteus mirabilis、Helicobacter pylori、Treponema palladium、Borrelia burgdorferi、Borrelia recurrentis、Rickettsial pathogens、Nocardia、およびAcitnomycetesが挙げられる。
【0129】
本発明によって検出することができる真菌の感染病原体には、Cryptococcus neoformans、Blastomyces dermatitidis、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Paracoccidioides brasiliensis、Candida albicans、Aspergillus fumigautus、Phycomycetes(Rhizopus)、Sporothrix schenckii、Chromomycosis、およびMaduromycosisが挙げられる。
【0130】
本発明によって検出することができるウイルスの感染病原体には、ヒト免疫不全ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトパピローマウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、トガウイルス、ブニアウイルス、アレナウイルス、風疹ウイルス、およびレオウイルスが挙げられる。
【0131】
本発明によって検出することができる寄生虫の病原体には、Plasmodium falciparum、Plasmodium malaria、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、Onchoverva volvulus、Leishmania、Trypanosoma spp.、Schistosoma spp.、Entamoeba histolytica、Cryptosporidum、Giardia spp.、Trichimonas spp.、Balatidium coli、Wuchereria bancrofti、Toxoplasma spp.、Enterobius vermicularis、Ascaris lumbricoides、Trichuris trichiura、Dracunculus medinesis、trematodes、Diphyllobothrium latum、Taenia spp.、Pneumocystis carinii、およびNecator americanisが挙げられる。
【0132】
本発明はまた、感染病原体による薬物抵抗性の検出にも有用である。例えば、バンコマイシン抵抗性Enterococcus faecium、メチシリン抵抗性Staphylococcus aureus、ペニシリン抵抗性Streptococcus pneumoniae、多剤耐性Mycobacterium tuberculosis、およびAZT抵抗性ヒト免疫不全ウイルスは全て、本発明で同定することができる。
【0133】
したがって、本発明の組成物および方法を用いて検出される標的分子は、患者マーカー(癌マーカーなど)、または細菌マーカーもしくはウイルスマーカーなどの外来病原体での感染のマーカーのいずれでもあり得る。
【0134】
ナノレポーターの定量的性質により、本発明の組成物および方法は、その量が生物学的状態または疾患状態を示している標的タンパク質、例えば、病状の結果として上方制御または下方制御される血液マーカーを定量化するために用いることができる。
【0135】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物および方法は、サイトカイン検出に用いることができる。本明細書に記載された方法の低感度は、例えば、状態のバイオマーカーとして、癌などの疾患の診断または予後として、および無症候性状態の同定としての、サイトカインの早期検出に役に立つであろう。
【0136】
キット
本発明はさらに、本発明の1つまたは複数のコンポーネントを含むキットを提供する。キットは、例えば、1つもしくは複数のタンパク質プローブセット、および/または1つもしくは複数のナノレポーターを含み得る。キットは、上記のものを含め、当業者にとって明らかないずれの目的のためにも用いることができる。
【0137】
ある特定の実施形態において、本発明はまた、ナノレポーターの伸展および選択的固定化に有用なキットを提供する。キットは、固定化のための基質、およびナノレポーターの伸展または固定化を促進するための1つまたは複数の結合パートナーを含み得る。結合パートナーは、ある特定の実施形態において、適当な力でのナノレポーターの伸展に有用な成分を含み得る。特定の実施形態において、結合パートナーは、ナノレポーターの表面への固定化または選択的固定化を促進することができる。さらなる実施形態において、キットは、伸展および固定化のためのナノレポーターを含み得る。さらなる実施形態において、キットは、ナノレポーターを伸展させ得る装置を含み得る。
【0138】
キットは、本明細書に記載されているような、タンパク質プローブおよび/またはナノレポーターの集団を含み得る。
【0139】
キットは、あらかじめ標識されたナノレポーター、またはナノレポーターを標識するための1つもしくは複数のコンポーネントと共に標識されていないナノレポーターを含み得る。さらに、キットにおいて提供されるナノレポーターは、あらかじめ付着した標的特異的配列を有してもよいし、有しなくてもよい。一実施形態において、標的配列は、ナノレポーターバックボーンに付着せずに、キット内で提供される。
【0140】
キットは、シグナルオリゴ、リンカーオリゴ、および架橋オリゴなどの他の試薬を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、タンパク質プローブペアを異なるプレミックスへ分離することができる。
【0141】
キットは、その上、他の試薬、例えば、ハイブリダイゼーション反応を実施するための緩衝液、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、およびDNA Iリガーゼを含み得る。
【0142】
キットはまた、キットのコンポーネントを用いるための、ならびに/または標識ナノレポーターを作製し、および/もしくは用いるための使用説明書を含む。
【0143】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、かつ記載するが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者にとって明白であろう。多数のバリエーション、変化、および置換が、本発明から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載された発明の実施形態の様々な代替を、本発明を実践するのに用い得ることは理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義すること、およびこれらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がそれらに網羅されることが意図される。
【実施例】
【0144】
実施例1.間接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液中のサンドイッチアッセイ
図1に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、アッセイは、タンパク質プローブの低い結合親和性とレポーターの作用濃度とのミスマッチに関する問題を排除するために、タンパク質標的の結合をレポーターのハイブリダイゼーションから分離するように設定される。
【0145】
検出抗体のオリゴでの標識および精製
10対1のリンカーオリゴ対抗体の比を用いるランダムアミン付着により、リンカーオリゴを抗体に付着させた。簡単に述べれば、二機能性クロスリンカーのスルホサクシニミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート(SMPB)(ThermoFisher, Inc.、Waltham、MA)を、抗IL2抗体Aに結合し、その後、室温で、1:3の抗体:オリゴの比でチオール化オリゴに反応させて、クロスリンクさせた。その混合物をZebaカラム2X、1000G(ThermoFisher, Inc.、Waltham、MA)に通して流すことによって、SMPBに連結した抗体Aを精製し、収量を決定する。
【0146】
オリゴをSMPB連結IL−2抗体Aに結合させるために、オリゴを、精製されたSMPB連結抗体に4℃で加えた。
【0147】
IL−2抗体Aに連結したオリゴである、抗体−SMPB−オリゴおよびPBEを、Omega Membraneを有するPall Nanosep(登録商標)遠心分離装置(MWCO 100kDa、Sigma−Aldrich, Inc.、St.Louis、MO)に加え、洗浄し、遠心分離した。
【0148】
シグナルオリゴの検出抗体へのハイブリダイゼーション
オリゴ連結Il2抗体Aおよびシグナルオリゴを3:2のシグナルオリゴ:抗体の比で加えることによって、シグナルオリゴを、IL−2抗体Aに連結したオリゴにあらかじめアニーリングさせた。他の比が企図される。
【0149】
標的と抗体の複合体の形成
シグナルオリゴにアニーリングしたIL−2抗体Aを、約1×10−15〜1×10−8Mでのビオチン化抗体B(BAF202、R&D systems, Inc.、Minneapolis、MN)、およびブロッカー(サケ精子)と、標的溶液を加えるための余裕を残して、混合した。標的タンパク質IL−2を望ましい希釈度(<1×10−8M)まで加えた。抗体を、100〜15〜100〜8Mの推定Kdに関して10×濃度とした。混合物をインキュベートした。
【0150】
標的タンパク質と抗体の複合体を、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いてプロトコールに従って精製した。
【0151】
シグナルオリゴの溶離
単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、45℃より高い温度で、0.1×SSPEを用いて10〜15分間、溶離させた。より短い時間およびより長い時間が企図される。
【0152】
シグナルオリゴの検出
各試料におけるシグナルオリゴの検出を、標識ナノレポータープローブおよび非標識ナノレポータープローブの両方を有する二重ナノレポーター系を用いて行った。各試料由来のシグナルオリゴを、以下のような最終濃度のハイブリダイゼーション試薬とハイブリダイズさせた:非標識ビオチン化プローブ、標識レポータープローブ、5×SSPE(pH7.5)、5×デンハルト試薬(Sigma)、剪断化サケ精子DNA(Sigma)、および界面活性剤。試薬を混合し、加熱フタ付きのサーモサイクラーブロック内で16時間、インキュベートした。
【0153】
ハイブリダイゼーション後の精製
ハイブリダイズしていないレポーターを除去するために、ビオチン化プローブごとに含まれる3’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズ(InvitrogenTM)に関して反応物を精製した。反応物をまず、0.1%界面活性剤中のSSPE混合物/TEで希釈し、20℃より高い温度で、連続的に回転させながら、ビーズに結合させた。ビーズを、SSPEおよび界面活性剤の中で3回洗浄し、ハイブリダイズした複合体を0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、45℃で15分間、溶離させた。溶離後、レポータープローブごとに含まれる5’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズに結合させることによって過剰のビオチン化プローブを除去するように、試料の2度目の精製を行った。抗3’−反復配列ビーズからの溶離は、最終濃度の1×SSPEでもたらされ、回転させながら、22.5℃で15分間、結合させた。ビーズを上記のように洗浄し、0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、40℃より高い温度で、溶離させた。その後、その二重に精製された試料を、下記のような捕獲のために調製した。
【0154】
NanoStringレポーター捕獲、ストレッチング、および画像化
Tetraspeck蛍光マイクロスフェア(InvitrogenTM)のカスタム製剤の溶液を各試料に加えた。試料をNanoString流体装置へ投入し、処理し、画像化した。
【0155】
結果:
結果を図2に示す。この実験の結果より、IL−2が本明細書に記載されたアッセイによって検出されたことが示された(図2)。この実験より、約110−11〜110−10Mの感度が示された。検出の効率は、図3においてプロットで示された傾きである。観察された効率は、おそらく、シグナルオリゴが付着している抗体の結合親和性によるものであった。この抗体は、約1.3×10−7のKdを有すると思われる。効率は、この抗体を約10−9のKdを有する抗体と交換することによって100×増加し得ることが予想される。
【0156】
効率の向上およびバックグラウンドの適度な改善で、感度は、1×10−13のレベルに達するはずであるが、さらなる向上は、バックグラウンドの継続的低下で可能であると予想される。
【0157】
このテクノロジーは、現在可能なレベルを超えるレベルで多重化を可能にし、より正確な定量化を可能にする可能性をもち、さらなる開発しかないだろうが、おそらく、より高い感度が最後のポイントとわかるであろう。
【0158】
実施例2.直接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液三者間−レポーターに付着したタンパク質プローブ
図4に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、ナノレポーターは抗体のうちの1つに付着している。抗体の調製および試料への結合は、実施例1に記載されたプロトコールと類似して起こる。図4に記載されたアッセイにおいて、抗体のうちの1つがビオチンに結合しており、その他の抗体がナノレポーターを付着させている、標的タンパク質と抗体の複合体が形成される。
【0159】
このアプローチは、中位から低いKd、すなわち、強い結合親和性の抗体を用いることによって、最良に作用するであろう。いかなる理論にも限定されるつもりはないが、抗体のKd(解離定数)は、通常、ナノレポーターの作用濃度よりずっと高い。ナノレポーターに付着した抗体を用いて作用させるためには、Kdは、標的のプローブへの>90%の結合を保証するために、レポーターの作用濃度の10分の1である必要がある。図5は、このアッセイに必要とされるプローブについての理想的なKdの計算を示す。図5は、結合した標的の割合対ナノレポータープローブおよびタンパク質プローブのKdを示す。図5より、タンパク質プローブについての理想的なKdが約1.0×10−15〜1.0×10−10であろうことが示されている。このKdは、1×10−7Mのレポーターからみ合い閾値より低い多重化レポーターの濃度を可能にする。
【0160】
ナノレポーターの抗体への付着
1つのアプローチは、抗体の標的タンパク質への結合前に、抗体をレポーターに付着させることである。このアプローチは、1×10−7Mのレポーターからみ合い閾値より有意に低い多重化レポーターの濃度を可能にするために、非常に強い結合親和性(Kd)抗体を必要とする。
【0161】
リンカーオリゴは、実施例1に記載されているように、抗体に加えられる。ナノレポーターは、37℃〜45℃の間の温度でのリンカーオリゴへのハイブリダイゼーションによって抗体に付着している。抗体:レポーター比は1:1であった。標識抗体およびレポーターを、0.05nM、37℃、1×SSPEで一晩、ハイブリダイズさせた。
【0162】
第2の直接的アプローチは、まず、溶液中で抗体を標的に結合させて、実施例1に記載されているように複合体を精製することである。精製後、ナノレポーターを、上記のプロトコールを用いて(標的結合後の)抗体にハイブリダイズさせる。このアプローチにおいて、ハイブリダイゼーションとタンパク質結合の間のミスマッチの問題は回避される。
【0163】
両方のこれらのアプローチについて、精製中および画像化中に結合したままであるためには、強い結合親和性もまた必要とされる。基本的に、Koff速度(標的タンパク質からの抗体解離)は、精製およびアッセイの読み取りについての時間より長くなければならない。
【0164】
標的タンパク質−抗体の複合体の精製は、実施例1に記載されているように実施することができる。溶離は、GビーズおよびFビーズを溶融することにより、または消化により達成することができる。しかしながら、複合体を溶融することは、抗体が結合したままであるが、アフィニティータグが遊離するのを可能にするために条件の最適化を必要とし得ることを、当業者は理解しているであろう。
【0165】
実施例1に記載されているように、タンパク質−抗体の複合体を、ストレプトアビジンでコーティングされたカバーグラス(Optichem(登録商標)、Accelr8 Technology Corporation)に結合させ、ストレッチして、画像化することができる。
【0166】
抗体の存在が、正常な結合、ストレッチング、および画像化プロセスを阻害する、表面への非特異的結合または粘着性を引き起こしていないことを確かめるために、抗体にハイブリダイズしたレポーターのストレッチングを試験した(データ未呈示)。
【0167】
実施例3.間接的測定を用いるタンパク質の検出−表面でのサンドイッチアッセイ
図6に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、捕獲抗体は、表面、例えば、磁気ビーズに付着しており、第2抗体はシグナルオリゴに付着している。抗体は、実施例1に記載された方法を含む当技術分野において公知の任意の方法によって調製することができる。この実施例において、タンパク質とナノレポーターは、十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。このアッセイにおいて、表面における局所的抗体濃度は高くあり得る。
【0168】
標的タンパク質を、磁気ビーズ上の捕獲抗体と混合する(2時間〜一晩、1×PBS、および室温)。結合していないタンパク質試料を洗い流す。標識抗体シグナルオリゴの複合体を、ブロッカーと共にビーズに加える(1×PBSおよび室温)。結合の期間後、過剰の標識抗体シグナルオリゴの複合体を洗い流す。その後、実施例1に記載されているように、単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させ、分析する。
【0169】
実施例6.間接的測定を用いるタンパク質の検出−ビオチン化シグナルオリゴ
図7に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。この実施例において、捕獲抗体は、表面、例えば、磁気ビーズに付着しており、第2抗体は、溶液中にあるか、またはビオチン化シグナルオリゴに付着している。このアッセイは、それがたった2回のビーズ精製を必要とするのみであるという利点を提供する。加えて、このアッセイにおいて、実施例2のように、タンパク質とナノレポーターは、十分離れており、それが、タンパク質の粘着性に関する懸念を排除している。実施例3に記載されているように、標的タンパク質を、捕獲抗体、標識抗体シグナルオリゴの複合体、およびブロッカーと混合する。実施例3に記載されているように、標的タンパク質と抗体の複合体を、捕獲抗体における磁気ビーズを用いて精製する。
【0170】
その後、実施例1に記載されているように、単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを溶離させる。その後、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いて製造会社のプロトコールに従って、シグナルオリゴを精製することができる。その後、実施例1に記載されているように、シグナルオリゴを分析する。
【0171】
実施例7.近接ライゲーションを用いるタンパク質の検出−間接的測定
図8に、この実施例についてのプロトコールの図を示す。このアッセイにおいて、2つの物理的に近接したオリゴをライゲーションさせる。オリゴを含むプローブは、標的タンパク質に対として結合するように、かつプローブが近接した状態になった場合、ライゲーションによってシグナルオリゴを形成するように設計される。
【0172】
このアプローチは、感度、交差反応性の最小化、および多重化を中心としたいくつかの有益性を有する。近接ライゲーションは、高感度を示しており、オフ速度を本質的に減少させることによって見かけのKdを低下させる効果を有する。
【0173】
オリゴを含むプローブを、Gullbergら、PNAS 101(22)、p8420−24(2004)に記載されているように、調製および精製する。その後、標的タンパク質を、オリゴを含むプローブおよび架橋オリゴと、試料を1時間インキュベートすることによって、混合する。その後、Gullbergらに記載されているように、プローブライゲーションに必要とされるコンポーネントを加える。室温での5分間のライゲーション後、シグナルオリゴを、ジスルフィド還元、ウラシル除去、制限消化、プロテイナーゼK、または当技術分野において公知の任意の他の適切な方法によって遊離させる。加えて、シグナルオリゴを、図8B〜8Dに示された方法によって遊離させることができる。
【0174】
実施例1に記載されているように、シグナルオリゴを分析する。
【0175】
あるいは、アッセイは、図9に示されているように実施することができる。このアプローチにおいて、オリゴのうちの1つはナノレポーターに付着している。
【0176】
このアプローチは、近接ライゲーションによるKoffの減少という利点を利用している。より低いKoffは、より低いKd、およびより低い濃度のタンパク質プローブで作用する能力を意味する。このKdの減少によって、レポーターについて必要とされる濃度で作用すること、およびそれにしたがって、多重分析についての直接的検出アプローチを企図し、試薬費用を減少させることがより容易になる。このアプローチは、本明細書に提案された他の方法のいくつかのように、アッセイ内で、レポーターへのハイブリダイゼーション工程を必要としない。したがって、これらのアッセイは、より速くなって、より短い時間で応答することになるであろう。
【0177】
図8Cに記載されたアプローチを用いて、抗体からの遊離後、ライゲーションしたオリゴをライゲーションしていないオリゴから除去するように、精製条件を最適化する。例えば、この精製工程は、磁気ビーズを用いて実施することができる。重要なことには、用いられる抗体の量が、用いられるレポーターの量より高い場合には、その結果として生じる過剰のライゲーションされていないオリゴが、レポーターのオリゴへのハイブリダイゼーションをブロックする可能性がある。
【0178】
実施例8に記載された方法を用いて、抗体ペアをオリゴで標識した。これらのオリゴは、9個の塩基の重複、および1×PBS中での37℃の融解温度を有する架橋オリゴを含むように設計された。架橋オリゴは、18個の塩基、および精製を目的としたビオチンタグを有した。ライゲーションされたオリゴは、ビオチン化架橋と18個の塩基の重複を有し、それにしたがって、ライゲーションされたオリゴは、抗体に結合しているライゲーションしていないオリゴより安定である。ビオチン化オリゴを、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ上で溶液から単離する。ライゲーションしたオリゴだけが、ストリンジェントな緩衝液条件を用いるすすぎ工程後、ビオチン化オリゴに付着したままであるのに十分高い融解温度を有することが決定された。
【0179】
図13は、どれくらい様々なコンポーネントが様々な緩衝液条件で精製されるのかを示している。コンポーネントは、アッセイに用いられる濃度で溶液中に存在した。アッセイにおいて実施されているように、オリゴを抗体から遊離させるために、精製前に、溶液をプロテアーゼによって消化させた。融解温度推定値によって予想されたように、0.03×SSPEが最も効率のよい緩衝液をもたらした。PROX05が、このすすぎ工程後に保持されるライゲーションされた産物を表す。
【0180】
実施例8.間接的測定を用いるタンパク質の検出−溶液中の多重化アッセイ
この実施例は実施例1に類似しているが、検出が多重化されており、抗体とオリゴの間に異なる結合化学作用を利用している。
【0181】
バイオインフォマティクス
シグナルオリゴを、一連の温度、典型的には、約4℃〜約37℃までで、かつ1×PBSにおいて最小の交差反応性を有するように設計した。シグナルオリゴと標識オリゴの間の固有の重複は、1×PBSにおいて51〜56の融解温度を有し、37℃でシグナルオリゴを標識オリゴにハイブリダイズさせることを可能にした。これらの15〜17個の塩基の重複は、0.1×SSPEにおいて41℃〜45℃の融解温度を有し、磁気ビーズ精製後の溶離を可能にした。
【0182】
オリゴの抗体への結合
オリゴを、アルデヒド−ヒドラジン化学作用を用いて、抗体に結合させた。全ての抗体および標的を、R&D systems,Inc.(Minneapolis、MN)から購入した。各抗体A(表1参照)を、サイズ排除スピンカラム(0.5ml Zeba Spin Column、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いて脱塩した。サクシニミジル6−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾン(Solulink、San Diego、CA)を各抗体Aに反応させた。各抗体を再び、サイズ排除スピンカラムを用いて精製した。
【0183】
表1.抗体
【0184】
【表1】
アミンオリゴを膜スピンカラム(5K MWCO VivaSpin、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)を用いて脱塩した。20モル当量のサクシニミジル−4−ホルミルベンゾエート(Solulink、San Diego、CA)を各オリゴと反応させた。オリゴを再び、膜スピンカラムを用いて精製した。
【0185】
それぞれの対応する修飾オリゴを、対応する修飾抗体と3:1のモル比で反応させた。これを、スピンカラム(2ml Zeba Spin Column、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)で精製した。表2は、カウントプロセスの終わりに、1〜2個の間のオリゴが各抗体に付着していたことを示す(オリゴ:Ab)。
【0186】
表2.抗体−オリゴ結合プロセスの品質管理および定量化能力を示すモル置換率
【0187】
【表2】
シグナルオリゴの検出抗体へのハイブリダイゼーション
各固有のシグナルオリゴを、各抗体Aに連結した固有オリゴに、オリゴ連結抗体Aおよび対応するシグナルオリゴを4:1の比、シグナルオリゴ:抗体比で加えることによって、別々にあらかじめアニーリングさせた。他の比が企図される。
【0188】
標的と抗体の複合体の形成
ブロッカー(サケ精子)と共に約1×10−15〜1×10−8Mで単一チューブ中にシグナルオリゴにアニーリングした各抗体Aおよびビオチン化抗体B(4ペア)を含む2×マスターミックスを作製した。このマスターミックスのアリコートに望ましい希釈度(<1×10−8M)まで標的タンパク質を加えた。抗体は、10−15〜10−8Mの推定Kdに関して10×濃度であった。混合物をインキュベートした。
【0189】
標的タンパク質と抗体の複合体を、ストレプトアビジン結合型Dynabeads(登録商標)(Invitrogen)を用いてプロトコールに従って精製した。
【0190】
シグナルオリゴの溶離
単離された標的タンパク質/抗体の複合体を洗浄し、シグナルオリゴを、45℃より高い温度で、0.1×SSPEを用いて10〜15分間、溶離させた。より短い時間およびより長い時間が企図される。
【0191】
シグナルオリゴの検出
各試料におけるシグナルオリゴの検出を、標識ナノレポータープローブおよび非標識ナノレポータープローブの両方を有する二重ナノレポーター系を用いて行った。各試料由来のシグナルオリゴを、以下のような最終濃度のハイブリダイゼーション試薬とハイブリダイズさせた:非標識ビオチン化プローブ、標識レポータープローブ、5×SSPE(pH7.5)、5×デンハルト試薬(Sigma)、剪断化サケ精子DNA(Sigma)、および界面活性剤。試薬を混合し、加熱フタ付きのサーモサイクラーブロック内で16時間、インキュベートした。
【0192】
ハイブリダイゼーション後の精製
ハイブリダイズしていないレポーターを除去するために、ビオチン化プローブごとに含まれる3’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズ(InvitrogenTM)に関して反応物を精製した。反応物をまず、0.1%界面活性剤中のSSPE混合物/TEで希釈し、20℃より高い温度で、連続的に回転させながら、ビーズに結合させた。ビーズを、SSPEおよび界面活性剤の中で3回洗浄し、ハイブリダイズした複合体を0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、45℃で15分間、溶離させた。溶離後、レポータープローブごとに含まれる5’−反復配列に相補的なオリゴヌクレオチドに結合した磁気ビーズに結合させることによって過剰のビオチン化プローブを除去するように、試料の2度目の精製を行った。抗3’−反復配列ビーズからの溶離は、最終濃度の1×SSPEでもたらされ、回転させながら、22.5℃で15分間、結合させた。ビーズを上記のように洗浄し、0.1×SSPE/0.1%界面活性剤混合物中、40℃より高い温度で、溶離させた。その後、その二重に精製された試料を、下記のような捕獲のために調製した。
【0193】
NanoStringレポーター捕獲、ストレッチング、および画像化
Tetraspeck蛍光マイクロスフェア(InvitrogenTM)のカスタム製剤の溶液を各試料に加えた。試料をNanoString流体装置へ投入し、処理し、画像化した。
【0194】
結果
結果を図10に示す。この実験の結果より、4つのタンパク質が、本明細書に記載されたアッセイによって同時に検出されたことが示された(図10)。検出されたタンパク質は、TNFα、IL1α、IL6、およびVEGFであった。この実験より、約1×10−12Mの感度が示された。図11は、液体試料に対してプロットされた同じデータを示す。次の実験(図12)により、これらのタンパク質のうちの2つの検出の限界が、26pg/mlおよび38pg/ml(IL1αおよびIL6のそれぞれについて、1.4×10−12Mおよび1.9×10−12M)であることが示された。
【0195】
バックグラウンドにおける改善、すなわち、バックグラウンド検出の低減またはバックグラウンド対標的検出の比の向上によって、約2桁の感度の増加が可能になり、それに従って、感度は、1×10−14M、または有意に<1pg/mlに達するであろう。
【0196】
実施例9.抗ストレプトアビジンプローブレポーター
抗ストレプトアビジン抗体(Affinity Bioreagents、Rockford、IL)を、実施例1に記載されているように、オリゴヌクレオチド(オリゴ)で標識した。
【0197】
この実施形態の特定の例において、抗体−標識オリゴをレポーターに、0.05nMの濃度、45℃の温度で、1×SSPE緩衝液中、一晩、ハイブリダイズさせた。レポーターと、抗体に結合したオリゴとの間に25塩基の重複があった。この重複は、必要に応じて、短縮されてもよい。ある特定の実施形態において、重複は、任意で、1個、5個、10個、15個、20個、25個の塩基、またはそれらの間の任意の長さである。レポーターと抗体上のオリゴとの間の塩基のより短い重複により、抗体安定を生じる温度での抗体−オリゴのレポーターへのハイブリダイゼーションの効率の増加が可能になる。抗ストレプトアビジン抗体プローブと共にレポーターを、カートリッジのフローチャンバーへ(0.25×SSPE緩衝液中0.025nMの濃度で)導入し、レポーターの第1末端を、ストレプトアビジン表面に10分間、結合させた。その後、チャンバーをTAE緩衝液で洗浄した。まず、200ボルト(V)/センチメートル(cm)の電場を用い、次に、ビオチン化オリゴを導入して、レポーターの第2末端を表面に付着させることによって、レポーターをストレッチし、その後、表面に固定化した。試料を再び、TAEで洗浄し、色素を安定化させるためにSlowFadeTMを導入した。その後、この試料を画像化した。
【0198】
図14は、抗ストレプトアビジンプローブとのレポーター(S16)のみが検出されたことを示している。
【0199】
他の実施形態
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、かつ記載するが、そのような実施形態が例としてのみ提供されることは当業者にとって明白であろう。多数のバリエーション、変化、および置換が、本発明から逸脱することなしに、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載された発明の実施形態の様々な代替を、本発明を実践するのに用い得ることは理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義すること、およびこれらの特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内の方法および構造がそれらに網羅されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、捕獲領域を含む、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む、第2のタンパク質プローブ、および
(iv)マトリックスであって、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る成分が前記マトリックスに付着している、マトリックス
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、前記第2のタンパク質プローブ、および前記成分を含む少なくとも1つの複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合しており、前記成分が前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲プローブに結合している、工程;ならびに
(c)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントする工程を含む方法によって前記複合体または前記複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の複合体を形成することを含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、捕獲領域を含む、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む、第2のタンパク質プローブ、ならびに
(iv)マトリックスに付着した成分であって、前記成分は、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る、成分
を含み、各第2のタンパク質プローブが異なるナノレポーター領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の複合体における各ナノレポーターが、それを前記集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブの解離定数が約1.00×10−15〜約1.00×10−08である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
2つ以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
最高2000個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
最高980個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記マトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マトリックスがビーズであり、前記複数の複合体の各複合体における各成分が異なるビーズに付着している、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記マトリックスが表面であり、前記複数の複合体の各複合体における各成分が前記表面の異なる位置に付着している、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記第2のプローブに付着している、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノレポーターが、摂氏約32度〜約40度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度〜約45度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノレポーターが、前記リンカーオリゴに相補的である部分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記相補的領域が約15個〜約20個の塩基である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、第1の捕獲領域または第1のマトリックスに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、シグナルオリゴを含む、第2のタンパク質プローブ、および
(iv)前記第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合:第2のマトリックスであって、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る成分が前記第2のマトリックスに付着している、第2のマトリックス
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、および前記第2のタンパク質プローブを含む少なくとも第1の複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合しており、前記第1のプローブが第1の捕獲領域に付着している場合、前記捕獲プローブが前記第2のマトリックスにおける前記成分に結合している、工程;
(c)前記シグナルオリゴを前記第1複合体から遊離させる工程;
(d)(1)少なくとも前記シグナルオリゴ、ならびに
(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブ
を含む第2の複合体を形成する工程であって、前記ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;
(e)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントする工程を含む方法によって前記第2の複合体または前記第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記第2の1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項22】
前記シグナルオリゴが第2の捕獲領域に付着している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シグナルオリゴの前記遊離工程が、前記シグナル分子を第3のマトリックスへと直接的または間接的に捕獲する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノレポーターが定常領域をさらに含み、該定常領域が複数の反復ヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記定常領域を前記第3マトリックスにおける第2の成分に結合させる工程であって、前記第2成分が前記定常領域を結合し得る、工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記第1マトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第2のマトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
複数の複合体を形成する工程を含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブが、捕獲領域または第1のマトリックスに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、シグナル分子を含む、第2のタンパク質プローブ
を含み、前記第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合、前記捕獲プローブが前記第2のマトリックスにおける前記成分に結合しており、それぞれの前記複数の複合体におけるそれぞれの第2のタンパク質プローブが異なるシグナルオリゴを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
第1マトリックスがビーズであり、該ビーズが複数の同一の第1のタンパク質プローブを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
最高2000個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
最高980個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している前記第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している前記第2のタンパク質プローブ
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、および前記第2のタンパク質プローブを含む第1の複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合している、工程;
(c)前記第1のオリゴおよび前記第2のオリゴをライゲーションして、シグナルオリゴを形成する工程;
(d)(1)前記第1シグナルオリゴ、ならびに
(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブ
を含む第2の複合体を形成する工程であって、前記ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;
(e)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって前記第2の複合体または前記第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項38】
前記シグナルオリゴを前記第1複合体から遊離させる工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記シグナルオリゴが捕獲領域を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記シグナルオリゴの前記遊離工程が、前記シグナル分子をマトリックスへと直接的または間接的に捕獲する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
複数の複合体を形成する工程を含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブが、第1のオリゴに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブが、第2のオリゴに付着している、第2のタンパク質プローブ
を含み、前記第1のオリゴと前記第2のオリゴとのライゲーションがシグナルオリゴを形成し、前記複数の複合体における各複合体が異なるシグナルオリゴを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
固有的に標識されたタンパク質プローブの集団であって、各プローブが、
i)標的特異的領域;および
ii)ナノレポーターを含む領域であって、前記ナノレポーターは、複数の異なる検出可能な分子を含む、領域;
を含み、各タンパク質プローブにおける前記ナノレポーターが、それを前記集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、集団。
【請求項49】
標的特異的領域が、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から選択される、請求項48に記載の集団。
【請求項50】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項48に記載の集団。
【請求項51】
前記標的特異的領域の解離定数が約1.00×10−15〜約1.00×10−08である、請求項48に記載の集団。
【請求項52】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記タンパク質プローブに付着している、請求項48に記載の集団。
【請求項53】
前記ナノレポーターが、摂氏約32度〜約40度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項52に記載の集団。
【請求項54】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項53に記載の集団。
【請求項55】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴに相補的である部分を含む、請求項52に記載の集団。
【請求項56】
前記相補的領域が約15個〜約20個の塩基である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記抗体に付着しており、前記ナノレポーターが、摂氏約37〜45度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項49に記載の集団。
【請求項1】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、捕獲領域を含む、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む、第2のタンパク質プローブ、および
(iv)マトリックスであって、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る成分が前記マトリックスに付着している、マトリックス
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、前記第2のタンパク質プローブ、および前記成分を含む少なくとも1つの複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合しており、前記成分が前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲プローブに結合している、工程;ならびに
(c)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントする工程を含む方法によって前記複合体または前記複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の複合体を形成することを含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、捕獲領域を含む、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、複数の異なる検出可能な標識を含むナノレポーターを含む、第2のタンパク質プローブ、ならびに
(iv)マトリックスに付着した成分であって、前記成分は、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る、成分
を含み、各第2のタンパク質プローブが異なるナノレポーター領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の複合体における各ナノレポーターが、それを前記集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブの解離定数が約1.00×10−15〜約1.00×10−08である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
2つ以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
最高2000個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
最高980個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記マトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マトリックスがビーズであり、前記複数の複合体の各複合体における各成分が異なるビーズに付着している、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記マトリックスが表面であり、前記複数の複合体の各複合体における各成分が前記表面の異なる位置に付着している、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記第2のプローブに付着している、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノレポーターが、摂氏約32度〜約40度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度〜約45度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノレポーターが、前記リンカーオリゴに相補的である部分を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記相補的領域が約15個〜約20個の塩基である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブは、第1の捕獲領域または第1のマトリックスに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、シグナルオリゴを含む、第2のタンパク質プローブ、および
(iv)前記第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合:第2のマトリックスであって、前記第1のタンパク質プローブにおける前記捕獲領域に結合し得る成分が前記第2のマトリックスに付着している、第2のマトリックス
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、および前記第2のタンパク質プローブを含む少なくとも第1の複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合しており、前記第1のプローブが第1の捕獲領域に付着している場合、前記捕獲プローブが前記第2のマトリックスにおける前記成分に結合している、工程;
(c)前記シグナルオリゴを前記第1複合体から遊離させる工程;
(d)(1)少なくとも前記シグナルオリゴ、ならびに
(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブ
を含む第2の複合体を形成する工程であって、前記ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;
(e)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントする工程を含む方法によって前記第2の複合体または前記第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記第2の1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項22】
前記シグナルオリゴが第2の捕獲領域に付着している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記シグナルオリゴの前記遊離工程が、前記シグナル分子を第3のマトリックスへと直接的または間接的に捕獲する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ナノレポーターが定常領域をさらに含み、該定常領域が複数の反復ヌクレオチド配列を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記定常領域を前記第3マトリックスにおける第2の成分に結合させる工程であって、前記第2成分が前記定常領域を結合し得る、工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記第1マトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記第2のマトリックスがビーズおよびアレイからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
複数の複合体を形成する工程を含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブが、捕獲領域または第1のマトリックスに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブは、シグナル分子を含む、第2のタンパク質プローブ
を含み、前記第1のプローブが第1捕獲領域に付着している場合、前記捕獲プローブが前記第2のマトリックスにおける前記成分に結合しており、それぞれの前記複数の複合体におけるそれぞれの第2のタンパク質プローブが異なるシグナルオリゴを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
第1マトリックスがビーズであり、該ビーズが複数の同一の第1のタンパク質プローブを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
最高2000個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
最高980個までの異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
試料における少なくとも1つのタンパク質の濃度を決定するための方法であって、
(a)(i)少なくとも1つのタンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、第1のオリゴに付着している前記第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、第2のオリゴに付着している前記第2のタンパク質プローブ
を供給する工程;
(b)前記少なくとも1つのタンパク質、前記第1のタンパク質プローブ、および前記第2のタンパク質プローブを含む第1の複合体を形成する工程であって、前記少なくとも1つのタンパク質が前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブに結合している、工程;
(c)前記第1のオリゴおよび前記第2のオリゴをライゲーションして、シグナルオリゴを形成する工程;
(d)(1)前記第1シグナルオリゴ、ならびに
(2)シグナルオリゴ特異的領域、およびナノレポーターを含む領域を含む少なくとも1つのオリゴプローブ
を含む第2の複合体を形成する工程であって、前記ナノレポーターが複数の異なる検出可能な標識を含む、工程;
(e)前記ナノレポーターの1つまたは複数の分子の存在を個々にカウントすることを含む方法によって前記第2の複合体または前記第2の複合体の少なくとも一部分を個々に検出する工程であって、前記1つまたは複数の分子の存在が前記試料における前記タンパク質の濃度を示している、工程
を含む、方法。
【請求項38】
前記シグナルオリゴを前記第1複合体から遊離させる工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記シグナルオリゴが捕獲領域を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記シグナルオリゴの前記遊離工程が、前記シグナル分子をマトリックスへと直接的または間接的に捕獲する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記個々に検出する工程が、デジタルシグナルを検出する工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
複数の複合体を形成する工程を含む方法によって複数の標的タンパク質の濃度を決定する工程をさらに含み、各複合体が
(i)少なくとも1つの標的タンパク質、
(ii)前記少なくとも1つのタンパク質の第1の領域に特異的な第1のタンパク質プローブであって、前記第1のタンパク質プローブが、第1のオリゴに付着している、第1のタンパク質プローブ、
(iii)前記少なくとも1つのタンパク質の第2の領域に特異的な第2のタンパク質プローブであって、前記第2のタンパク質プローブが、第2のオリゴに付着している、第2のタンパク質プローブ
を含み、前記第1のオリゴと前記第2のオリゴとのライゲーションがシグナルオリゴを形成し、前記複数の複合体における各複合体が異なるシグナルオリゴを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
2個以上の標的タンパク質の濃度が決定される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
2個、3個、4個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、200個、300個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、または1000個より多い異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも972個の異なる標的タンパク質の濃度が決定される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記第1のタンパク質プローブおよび前記第2のタンパク質プローブが、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から独立して選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
固有的に標識されたタンパク質プローブの集団であって、各プローブが、
i)標的特異的領域;および
ii)ナノレポーターを含む領域であって、前記ナノレポーターは、複数の異なる検出可能な分子を含む、領域;
を含み、各タンパク質プローブにおける前記ナノレポーターが、それを前記集団における他のナノレポーターから区別する検出可能なシグナルを有する、集団。
【請求項49】
標的特異的領域が、抗体、ペプチド、アプタマー、およびペプトイドからなる群から選択される、請求項48に記載の集団。
【請求項50】
前記ナノレポーターが一本鎖核酸バックボーンを含み、前記バックボーンが、直線的に組み合わされて一緒に共有結合した複数の標識付着領域を含み、各標識付着領域が、相補的ポリヌクレオチド配列にハイブリダイズし、前記相補的ポリヌクレオチド配列に、前記検出可能な標識が付着している、請求項48に記載の集団。
【請求項51】
前記標的特異的領域の解離定数が約1.00×10−15〜約1.00×10−08である、請求項48に記載の集団。
【請求項52】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記タンパク質プローブに付着している、請求項48に記載の集団。
【請求項53】
前記ナノレポーターが、摂氏約32度〜約40度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項52に記載の集団。
【請求項54】
前記ナノレポーターが、摂氏約37度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項53に記載の集団。
【請求項55】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴに相補的である部分を含む、請求項52に記載の集団。
【請求項56】
前記相補的領域が約15個〜約20個の塩基である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノレポーターが、リンカーオリゴへのハイブリダイゼーションを通して前記抗体に付着しており、前記ナノレポーターが、摂氏約37〜45度の温度で前記リンカーオリゴにハイブリダイズしている、請求項49に記載の集団。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2013−507642(P2013−507642A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534336(P2012−534336)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052556
【国際公開番号】WO2011/047087
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511037366)ナノストリング テクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052556
【国際公開番号】WO2011/047087
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(511037366)ナノストリング テクノロジーズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]