説明

ナノワイヤフィルタ、その製造方法および吸着物除去方法、これを具備したフィルタ装置

本発明は、ナノワイヤを用いたフィルタ、およびその製造方法を提供する。一般的に、多層構造を有するナノワイヤにおいて、ナノワイヤの間に存在する着脱が容易な物質を吸着している場合、その空間を着脱または吸着した空間の余裕空間として用いてフィルタを製作する。例示した酸化バナジウムナノワイヤを用いて、一般的に知られた揮発性有機化合物を含んだ有害な有機物ガスおよび、人体に致命的なガスおよびタバコの煙をろ過できるフィルタを提供する。また、粒子形態の有害物質に対しても安定的にろ過できるフィルタを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタに関するものであって、特に、有害物質をろ過するためのナノワイヤフィルタおよびその製造方法、これを具備したフィルタ装置、及び、ナノワイヤフィルタの吸着物除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業化の結果として生成される有害有機物、粒子形態の有害物質または新しい家のような新築建物に使用される有害有機物、半導体工程で必要な人体に致命的なガス、喫煙時または空気中または建設現場などに現れる発癌物質などは、人間の生活、持続に多大な影響を与え、寿命の短縮をもたらしている。
【0003】
このような根源的な有害有機物およびガス、粒子などをろ過する装置がフィルタである。このようなフィルタとしては、HEPA(High Efficiency Paticulate Air)フィルタおよびチャコールフィルタが使用されている。HEPAフィルタは、空気中の粒子をろ過するために使用されている。チャコールフィルタは、有機物、すなわちガス形態の物質をろ過するために使用されている。
【0004】
しかしながら、工業化の加速化により、大気中には人体に致命的な物質が複合的に含まれている。特にこれらの物質は2種類の物性を有し、すなわちガスおよび粒子状態で存在する。したがって、各物性に応じて独立的に使用されていた従来のHEPAフィルタまたはチャコールフィルタでは限界がある。これに伴い、ガスおよび粒子を同時にろ過するフィルタが切実に必要なのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、次のような目的がある。
【0006】
第1に、本発明の目的は、人体に致命的な有害物質が2種類の物性、すなわちガスおよび粒子状態で存在する有害物質を同時にろ過できるナノワイヤフィルタおよびその製造方法を提供することである。
【0007】
第2に、本発明の他の目的は、ナノワイヤフィルタを具備したフィルタ装置を提供することである。
【0008】
第3に、本発明の他の目的は、ナノワイヤフィルタに吸着した吸着物を安定的に着脱させて、ナノワイヤフィルタの効用性を増大させることができる吸着物除去方法を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的及び利点は、以下の説明によって理解することができ、本発明の実施形態を参照することによって明らかになる。また、本発明の当業者にとって、本発明の目的及び利点は特許請求の範囲化された手段及びそれらの組み合わせによって実現することができることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の態様によると、支持部材と、支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤとを備えるフィルタを提供する。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の他の態様によると、支持部材と、支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤを備えるフィルタと、フィルタが内部に挿入固定されて、流入される流体をフィルタにガイドする吸入口およびフィルタを介してろ過された流体を外部に排出する排出口が設けられたボディとを備えるフィルタ装置を提供する。
【0012】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様によると、支持部材を提供するステップと、支持部材に決定化された複数個のナノワイヤを配列するステップとを含むフィルタ製造方法を提供する。
【0013】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様によると、支持部材と、支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤを備えるフィルタと、フィルタが内部に挿入固定されて、流入される流体をフィルタにガイドする吸入口およびフィルタを介してろ過された流体を外部に排出する排出口が設けられたボディとを備えるフィルタ装置のフィルタに吸着した吸着物を除去する方法において、フィルタに熱を加えるステップと、ボディの吸入口に不活性ガスまたは空気を注入するステップとを含むフィルタ装置のフィルタに吸着した吸着物除去方法を提供する。
【0014】
また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様によると、支持部材と、支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤを有するフィルタと、フィルタが内部に挿入固定されて、流入される流体をフィルタにガイドする吸入口およびフィルタを介してろ過された流体を外部に排出する排出口が設けられたボディとを備えるフィルタ装置のフィルタに吸着した吸着物除去方法において、フィルタの前方が、後方よりさらに低い圧力を有する状態で、ボディの吸入口に不活性ガスまたは空気を注入するステップを含むフィルタに吸着した吸着物除去方法を提供する。
【0015】
上述のように、従来、チャコールフィルタは有害有機物ガスをろ過するフィルタとして使用されており、HEPAフィルタは粒子有害物質をろ過するフィルタとして使用されている。しかしながら、ガス及び粒子状態の両方をろ過するためのフィルタはまだ提案されていなかった。
【0016】
これに伴い、本発明では、化学的ガスおよび物理的ガス、すなわち粒子形態の物質を同時にろ過することができるフィルタおよびその製造方法を提供する。その具現手段としては、ナノワイヤ、すなわちナノワイヤの構造が決定化されているナノワイヤと、ナノワイヤの間にその形態または構造が基本的なナノワイヤとは異なった構造を有する物質を重ねたナノワイヤを利用して、そのナノワイヤ構造の間を空白状態に空けておくことによってフィルタとして用いる。
【0017】
例を挙げると、酸化バナジウム(V25)ナノワイヤにおいて、酸化バナジウムナノワイヤは両側に結晶形態で維持され、その間に水(H2O)が満たされた形態を維持する。このような構造では、酸化バナジウムナノワイヤの間に満たされた物質、すなわち水は、簡単に酸化バナジウムナノワイヤの間から抜け出すことができ、その空間の大きさは、全体の酸化バナジウムナノワイヤの表面積の大部分を占める。このように水の抜けた空間に、一般的なガス形態の物質は簡単に吸着し、物理的に粒子性を帯びた物質は、運動量が減ることに伴って互いに異なるナノワイヤの間に吸着する。
【0018】
本発明では、上述した技術的原理を利用してナノワイヤフィルタを製造する。そして、このように製造されたナノワイヤフィルタに、一般的に広く知られた有害有機物ガスおよび粒子を流して送ることによってフィルタとして動作することを実験結果のデータを通じて証明する。
【0019】
また、本発明で提案するナノワイヤフィルタは、一般的な多孔性物質のチャコールフィルタの表面積より広く構成されている板状構造を有するように製造することによってフィルタ効果を極大化することができる。
【0020】
本発明で利用するナノワイヤは、その構造が板状構造、すなわち酸化バナジウム物質が1つの板をなし、また他の酸化バナジウム物質が1つの板構造を形成したとき、その2つの板の間に水(H2O)が存在する構造を有する。ここで水は簡単に排出することができる。このように水を外部に排出するときに発生する表面積は、全体のナノワイヤ面積と同じような面積を有することになる。また、ナノワイヤの間にある水を排出せずとも全体表面に水がまんべんなく分布したものではない、すなわち、空いている空間を維持する。このような空間に、有害な有機物ガスまたは粒子が捕集されると、それは物質のフィルタとして使用が可能である。
【0021】
本発明は、このような構造を有するナノワイヤをフィルム形態に製作し、フィルタとして活用する。このときに用いられるフィルタの構造は、支持部材として一般的な多孔性ガラス、ろ過紙、数μmから数百μmのホールを有するスポンジ形態、またはこのような構造を有する物質を受け皿として利用して、上部、下部またはその構造全体にナノワイヤを付着してフィルタを製造する。このような構造を有するフィルタは有害有機物、ガス形態および粒子形態の物質の注入口に付着することによってフィルタとして動作する。
【0022】
一方、ここで用いられるナノワイヤは500nmより小さく、望ましくは、100nmより小さい、少なくとも1つの断面積の寸法を有し、10より大きい、望ましくは50より大きい、さらに望ましくは100より大きいアスペクト比(長さ:幅)を有する任意の延長された金属材料または半導体材料を指称する。このようなナノワイヤは、半導体ナノワイヤ、炭素ナノチューブ(nanotube)および類似した寸法の異なる延長した金属または半導体を備える。特に、望ましいナノワイヤは、例えばSi、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi23、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Ti、Fe)(S、Se、Te2、Si3N4、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2CO、および2つ以上のこのような半導体の適切な組合せから選択された半導体材料からなる半導体ナノワイヤを含む。
【0023】
この明細書全体では、説明上、ナノワイヤという用語を引用するが、この詳細な説明における意図は、ナノチューブの利用も含むことを意味する。ナノチューブは、ここにおけるナノワイヤに対する説明と同じように、単独またはナノワイヤと共に、ナノチューブの組合せ/薄膜からなり、ここで説明される特性および利点を提供することができる。
【0024】
また、本発明のナノワイヤ薄膜は異種膜であって、半導体ナノワイヤ、ナノチューブまたは相異なる組成および構造的特徴のナノワイヤ/ナノチューブを統合しているということに留意しなければならない。
【0025】
また、本発明のナノワイヤは、チューブの内部および外部表面、たとえば網状マクロ多孔性金属、酸化物、セラミックおよび他の複合的多孔性媒質などの多孔性媒質の内部および外部表面と同じ基板に成長または付着したり、スポンジ形態の支持物質に吸着され得る。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0027】
第1に、本発明によれば、ナノワイヤを利用してフィルタを製作することによって、化学的または物理的微細粒子およびガス形態の物質を安定的にろ過することを可能にし、これにより、一般的に広く知られている有害有機物質および揮発性有機物質、有害粒子、また有害性生物および細菌などをろ過して清潔な環境を使用者に提供することができる。
【0028】
第2に、本発明によれば、複数個のナノワイヤフィルタを直列、並列または直並列に配置されたフィルタ装置を提供することによって、有害有機物のろ過率をさらに増大させることができる。
【0029】
第3に、本発明によれば、複数個のナノワイヤフィルタが配置されたフィルタ装置において、複数個のナノワイヤフィルタをナノワイヤが稠密に配置されたフィルタと、ナノワイヤが相対的に稠密でない配置のフィルタとに各々製作して対向するように直列に配置、または並列に配置することによって、粒子性の物質およびガス性の物質を選択的にろ過することができる。
【0030】
第4に、本発明によれば、複数個のナノワイヤフィルタが配置されたフィルタ装置において、フィルタ装置の複数個の流体の流通路を設け、各流体の流通路内に複数個のバルブを配置し、このように配置されたバルブの動作を制御して流体の流れを制御することによって、有害有機物の量に応じて適切にナノワイヤフィルタの使用を調節することができ、これによってろ過率を増大させ、かつナノワイヤフィルタの寿命を増大させることができる。
【0031】
第5に、本発明によれば、有機有害物質が吸着したナノワイヤフィルタに熱を加えた状態で、ナノワイヤフィルタによって窒素のような不揮発性ガスおよび空気を流入させ、フィルタ装置の入力部と出力部との間で圧力差を利用して、ナノワイヤフィルタに吸着した有機有害物質を安定的に除去することによって、ナノワイヤフィルタの再使用率を大きく増大させ、ナノワイヤフィルタの効用性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1に係るフィルタ装置を説明するために示す構成図である。
【図2】本発明の実施例2に係るフィルタ装置を説明するために示す構成図である。
【図3】アセトンに対する本発明のナノワイヤフィルタのろ過率を表す実験結果の図である。
【図4】アセトンと窒素との混合ガスを本発明のナノワイヤフィルタを用いてろ過した後、ナノワイヤフィルタに捕集されているアセトンを着脱させる結果を表す実験結果の図である。
【図5】本発明のナノワイヤフィルタを2つ用いたときに表れるアセトン量を測定した実験結果の図である。
【図6】本発明のナノワイヤフィルタを2つ用いたときに表れるトルエン量を測定した実験結果の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が、本発明の技術的思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するために、本発明の最も望ましい実施例を添付した図面を参照して説明する。また、明細書全体にわたって同じ図面符号(または参照符号)で表示された部分は同じ要素を示す。
【0034】
実施例1
図1は、本発明の実施例1に係るフィルタ装置を説明するために示す構造図である。
【0035】
図1に示すように、本発明の実施例1によるフィルタ装置10は複数個の決定化されたナノワイヤが、規則的または不規則的に配列されて個別のナノワイヤ間に空間が存在するフィルタ11を備える。このとき、フィルタ11には決定化された状態で配列されたナノワイヤ間の空間の一部または全てを満たす分子形態の物質がさらに含まれ得る。
【0036】
フィルタ11を構成する複数個のナノワイヤからなるナノワイヤ薄膜は、可能な広い範囲の表面領域において形成し得る。例えば、ナノワイヤ薄膜は1mm2より大きい、1cm2より大きい、10cm2より大きい、1m2より大きい機能的な領域、これよりはるかに大きい、または小さい領域を有するように形成し得る。
【0037】
このようなナノワイヤ薄膜は互いに近接して位置する複数個の単一ナノワイヤを備える。ナノワイヤ薄膜は、単一ナノワイヤの厚さより厚いか、または同じ様々な厚さを有することができる。一例として、ナノワイヤ薄膜は、その長軸が概して互いに平行するように配列されたり、他の実施例として、ナノワイヤ薄膜が、単一ナノワイヤが整列しない代りに、任意または他の方法で互いに対して相異なる方向に配列することができる。
【0038】
このようなナノワイヤ薄膜はスピンコート、スポイトまたはピペットを利用した吸着、およびスプレー工程を利用した薄膜形成が可能である。
【0039】
一例として、スピンコートを利用する方法は、ナノワイヤをスポンジのような多孔性物質または網構造の物質にスピンコート方式で吸着または付着させる方法である。このとき、そのスピンコートの回数を適切に増加させて、複合的積層構造を有するナノワイヤ薄膜を製作することができる。この場合、多孔性物質にスピンコートを介してナノワイヤを吸着させた後、その上部に再度他の多孔性物質を積層させた後、再度ナノワイヤをスピンコートする方法によって製作する。
【0040】
他の例として、スプレー工程は、多孔性物質または網構造の物質にナノワイヤをスプレー形態で噴射して薄膜を製作する方法である。このとき、スピンコート方法と同じように多孔性物質にナノワイヤをスプレー形態で噴射して吸着させた後、その上部に再度他の多孔性物質を積層させた後、再度ナノワイヤをスプレー形態で噴射して製作する。
【0041】
一方、ナノワイヤを支持部材に吸着する時、その吸着力の優秀性を高め、着脱性を下げるために、支持部材にナノワイヤがよく吸着できる分子および表面処理をして、ナノワイヤフィルタを製作することもできる。すなわち、ナノワイヤを支持部材に配列前または後に、ナノワイヤが支持部材に簡単かつ丈夫に固定することができるように接着剤のような物質を用いる。
【0042】
例えば、接着剤は分子を含む親水性を高める物質として、APTES(Amino Propyl Tri Ethoxy Silane)、およびAPTMS((3−Amino Propyl)Tri Methoxy Silane)を含むシラン基を有する全ての化学物質を用いることができ、このような化学物質の分子を支持部材の表面に吸着させて、支持部材の表面を親水性のある状態にしてからナノワイヤを配列したり、またはO2アッシングのようなプラズマ法を用いて表面を親水性形態にしてからナノワイヤを配列してフィルタを製作したり、酸素基を支持部材に付着させてからナノワイヤを配列してフィルタを製作する。
【0043】
また、上記の方法によってナノワイヤを支持部材に配列した後、各ナノワイヤ間の連結によって簡単に着脱しないようにするために、ナノワイヤの間に接着剤を満たすこともできる。このとき、接着剤はポリマー、オイルまたは半導体物質を用いることができ、ポリマーとしては、伝導性および非伝導性ポリマーの全てが使用可能であり、オイルとしては、接着性のあるオイルは全て使用可能であり、半導体物質としてはスプレー、蒸着、例えば、CVDおよびPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)工程を含む半導体の製造工程に使用される全ての物質であって、上述した蒸着方法を介して吸着可能な物質は全て使用可能である。
【0044】
一方、上記の方法によってナノワイヤ薄膜を製作した後、製作されたナノワイヤ薄膜を上下または左右に圧縮して板形態にも製作することも可能である。また、このように製作された単一のナノワイヤ板を互いに重ね付けて多重板として製作することも可能である。また、単一のナノワイヤ板または多重板に上記の方法によってナノワイヤを吸着または付着させることもできる。
【0045】
ナノワイヤ薄膜を形成するまた別の方法としては、ナノワイヤだけを用いて棒形態の構造に形成する方法である。このような方法は、ナノワイヤを上下または左右に固定させることができる支持部材が求められる。このような方法もまた多層構造に形成することが可能である。
【0046】
一方、フィルタ11の決定化されなかった状態で配列されたナノワイヤの間の空間を満たす分子形態の物質は制限されず、ナノワイヤの間に簡単に吸着および着脱が可能な物質は全て使用可能である。例えば、空気分子、水分子、または窒素分子などを用いることができる。
【0047】
また、図1に示すように、本発明の実施例1によるフィルタ装置10は、フィルタ11がその内部に挿入されて固定されるフィルタボディ(filter body)12をさらに備える。フィルタボディ12は、上部と下部とが連通した円筒形構造に形成され、上部には有害有機物、ガス、および粒子有機物が流入する吸入口が設けられ、下部には吸入口を介して流入する有害ガスおよび粒子がフィルタ11によりろ過されて排出される排出口が設けられる。また、吸入口には、吸入口に流入する有害ガスおよび粒子の流入速度を制御するために、多様な形態の気流装置を設置することができ、このとき、気流装置は、空気の流れの制御が可能な全ての装置を含むものとして解釈されなければならない。
【0048】
フィルタボディ12は、図1に示すように円形構造で製作されたが、これは一例であって、フィルタ11が安定的に固定できる形態は全て適用することができる。例えば、フィルタ11が多孔性物質または網構造の物質を支持物として用いて製作された場合は、多孔性物質または網構造の物質が安定的に挿入固定できる形態を有するように製作したり、またはナノワイヤを棒状に製作した場合は、ナノワイヤがフィルタボディ12(このときのフィルタボディ12は、ナノワイヤの支持部材として用いられる)の内周面に沿って安定的に配列できる形態を有するように製作することができる。例えば、三角形、四角形、六角形、および八角形のような多角形構造を有する様々な形態に製作することができる。
【0049】
一方、フィルタ11は、一度使用して捨てるよりは、再利用して、その利用率を増大させる必要がある。このために、本発明の実施例1によるフィルタ装置10は、ろ過過程でフィルタ11に吸着した吸着物を着脱させるために熱加熱部材としてヒートネット13をさらに備える。
【0050】
ヒートネット13は、網形態で製作され、フィルタ11と対向する方向に前方(または、後方)に設置される。このようなヒートネット13は、互いに接触しない複数個の熱線が、2次元または3次元構造に、規則的または不規則的に配列されて網を形成し、電源供給部(図示せず)から供給される電圧に応答して熱を生成する。すなわち、ヒートネット13は、電源供給部から提供される電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、フィルタ11に熱を加えるようになる。
【0051】
また、本発明の実施例1によるフィルタ装置10は、フィルタ11に直接熱を加えるために、熱加熱部材としてホットワイヤ14をさらに備える。ホットワイヤ14は、フィルタ11に対応する部位のフィルタボディ12に設置される。すなわち、ホットワイヤ14はその内部にフィルタ11が挿入固定されるフィルタボディ12の外周面に沿って熱を生成する電線およびコイルを巻き、このように巻かれた電線またはコイルに電源供給部から電源電圧が供給されて熱を生成する。
【0052】
以下、ヒートネット13およびホットワイヤ14を用いて、フィルタ11に吸着した吸着物を着脱させる方法について説明することにする。
【0053】
まず、電源供給部からヒートネット13およびホットワイヤ14に電源を供給する。ヒートネット13およびホットワイヤ14は、電源供給部から供給される電気エネルギーを熱エネルギーに変換して熱を生成する。この状態でフィルタボディ12の吸入口に、ガス、例えば酸素(O2)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、およびアルゴン(Ar)のようなガスを含む不活性ガスおよび空気を流入させる。
【0054】
以後、フィルタボディ12の流入口に流入する不活性ガスおよび空気は、ヒートネット13から加えられる熱によって加熱されて、流入口に流入する前の温度より高い温度に上昇する。このとき、フィルタ11もまたホットワイヤ14により加熱されて高い温度に上昇する。これに伴い、フィルタ11に吸着した吸着物は、フィルタ11の温度上昇により、ある程度のポテンシャルを有することになり、かつ、この状態で高い温度を有し、フィルタ11を通過する不活性ガスによって、ポテンシャルを有する吸着物はフィルタ11から着脱することになる。
【0055】
また、真空装置を備えた圧力差をあたえる推進装置は、フィルタ装置10の出口側に取り付けられ、付着及び吸着した物質を着脱することができる。例えば、フィルタ装置10の入口を塞ぎ、出口側にのみ空気を排出するための装置、すなわち真空装置のような装置を設けてこれを駆動させ、入口と出口との圧力差によって吸着している物質を着脱する。
【0056】
一方、フィルタ装置10内に存在するフィルタ11の個数は制限されない。すなわち、ろ過率を高めるために複数個のフィルタを直列または並列に設置することもできる。
【0057】
実施例2
図2は、本発明の実施例2に係るフィルタ装置の構成を説明するために示す図である。ここでは、一例として3つのフィルタが直列に設置された構造に対して説明する。
【0058】
図2に示すように、本発明の実施例2に係るフィルタ装置は、その内部に複数個の流体通路が設けられたフィルタボディ22内に複数個のフィルタ21A、21B、21Cが設置される。このとき、フィルタ21A、21B、21Cは、本発明の実施例1によって記述されたフィルタ11と同じ構成および方法で製作され、かつ互いに対向する方向に直列に配置されて設置される。
【0059】
また、フィルタボディ22内に設けられた複数個の流体通路には、少なくとも1つのバルブ23A、23B、23C、23D、23E、23Fが設置され、特に、各フィルタ21A、21B、21Cの前方には、各々1つずつバルブ23A、23B、23Cが設置されて、フィルタボディ22の内部で流体の流れを制御する。
【0060】
図2に示された構造で、流体は吸入口を介して流入された後、2種類の方向を介して排出口に排出される。最初の流体の流れ方向(点線矢印参照)は、3つのフィルタ21A、21B、21Cを全て通過する方向であり、2番目の流体の流れ方向(実線矢印参照)は、1つのフィルタ21Aまたは2つのフィルタ21A、21Bのみを通過する方向である。このように、様々な流体の経路方向は、適切にバルブ23A、23B、23C、23D、23E、23Fを制御することによって可能である。
【0061】
例えば、最初のフィルタ21Aが有害物質を吸着し、これ以上有害物質を吸着できない場合は、2番目、3番目および4番目のバルブ23B、23C、23Dを開放して、最初のフィルタ21Aによってろ過されなかった有害物質を2番目および3番目のフィルタ21B、21Cを介して吸着させる。他の例として、最初のフィルタ21Aが流入する全ての有害物質をろ過できる能力を有する場合は、2番目のバルブ23Bを閉じ、5番目のバルブ23Eを開放させて最初のフィルタ21Aを通過した流体、すなわち有害物質が除去された流体が5番目のバルブ23Eを介して排出される。
【0062】
このように、段階別の吸着に応じてフィルタの個数およびフィルタの性能を調節することができる。
【0063】
また、フィルタボディ22の構造を変更したり、フィルタの位置および形態を考慮して、フィルタを直列、並列、または重畳的な構造に配置して、フィルタボディ22の適材適所に適切にバルブを設置して、流体の流れを制御することによってフィルタのろ過率を極大化させることができる。
【0064】
一方、前述した本発明の実施例に係るナノワイヤフィルタは、次のような特性を利用する。
【0065】
ガス毎のナノワイヤフィルタに対する捕集能力を比較すると、化学的に反応性の弱いガス、例えば、ヘリウム、窒素および酸素が、化学的に反応性の強いガス、例えば、アセトン、メタノール、スチレン、ベンゼン、トルエン、ホルムアルデヒド、キシレン、エチルベンゼン、ヒドラジン、およびジクロロメタン等を含む有害性有機化合物ならびにそれらの複合物質、また有毒性ガスおよびタバコの煙などに比べて顕著に落ちる。このように、ガス毎のナノワイヤフィルタの捕集能力の差を利用して、有毒性ガスおよび有害性有機化合物ガスをろ過することができる。
【0066】
一例として、酸化バナジウムナノワイヤフィルタの場合、水が満たされた空間に有毒ガスおよび有害性有機化合物を捕集することができる。また、粒子形態の有毒性物質に対してもこのような有毒性粒子物質がナノワイヤと互いに衝突することになるとき、流動性粒子物質の運動量がナノワイヤに移動し、これらが有する固有の運動量をなくし、ナノワイヤフィルタを構成する個別的なナノワイヤとナノワイヤとの間の空間に捕集される。
【0067】
以下、本発明の作用効果を実験結果データと結びつけて証明する。
【0068】
図3は、アセトンに対するナノワイヤフィルタのろ過率を示す図面である。図3において、「310」はアセトンに窒素ガスを10sccm程度混合させた後、再度窒素ガスを1000sccm程度さらに混合させて薄めた混合ガスで測定したアセトン量を示すグラフであり、「320」は、混合ガスをナノワイヤフィルタに通過させて、アセトンをろ過した後に測定したアセトン量を示すグラフである。また、「330」は、アセトンに窒素ガスを20sccm程度混合させた後、再度窒素ガスを1000sccm程度さらに混合させて薄めた混合ガスで測定したアセトン量を示すグラフであり、「340」は、混合ガスをナノワイヤフィルタに通過させて、アセトンをろ過した後に測定したアセトン量を示すグラフである。
【0069】
図3を参照すると、窒素ガスを1000sccm程度ナノワイヤフィルタに流入させた状態で、窒素が10sccm程度でアセトンと混ざり合った混合ガスがナノワイヤフィルタに流入したとき、「310」と同じ量のアセトンが検出され、このような量のアセトンがナノワイヤフィルタを介してろ過された後は、「320」のような量のアセトンが検出された。すなわち、3/4程度のアセトンがナノワイヤフィルタに吸着し、1/4程度のアセトンが排出口に排出されたことが分かる。
【0070】
一方、アセトンの量を「310」においてさらに増加させ、このように増加したアセトンと20sccm程度の窒素とを混合させた混合ガスを再度1000sccm程度の窒素と混合させてナノワイヤフィルタに流入させたとき、「330」のような量のアセトンが検出され、このような量のアセトンがナノワイヤフィルタを介してろ過された後、「340」のような量のアセトンが検出された。この場合も3/4程度のアセトンがナノワイヤフィルタによって捕集されてろ過されることが分かる。
【0071】
このような実験結果に基づいて、ナノワイヤフィルタがアセトンを捕集することを証明した。
【0072】
一方、図4はもう1つ重要な事実を立証している。すなわち、窒素ガスを1000sccmで流入させたとき、アセトン量410が、時間に応じて徐々に減少するという事実である。
【0073】
図4は、ナノワイヤフィルタを利用してアセトンと窒素との混合ガスをろ過した後、ナノワイヤフィルタに捕集されているアセトンを着脱させた結果を示す実験結果の図である。図4において、測定したアセトン量「410」は、時間の流れに応じて徐々に減少していることが分かる。ここで使った方法は、ナノワイヤフィルタの吸入口にアセトンを流さず、窒素ガスのみを1000sccm程度流して持続的に示されるアセトン量を測定したものである。
【0074】
具体的に、ナノワイヤフィルタに捕集されているアセトンが除去されず、そのままナノワイヤフィルタに存在する場合は、そのナノワイヤフィルタの捕集能力は低下しているため再利用ができなくなる。したがって、アセトンが捕集されているナノワイヤフィルタに窒素ガスを1000sccm程度流せば、アセトン量は、時間の流れに応じて徐々に減少することになる。これは、ナノワイヤフィルタに捕集されているアセトンが、窒素を流すことによって捕集部分から徐々に離脱して外部に排出されるためである。これに加えて、ヒートネットおよびホットワイヤによって熱を同時に加えれば、ナノワイヤフィルタに捕集されているアセトンの離脱程度はより大きくなるであろう。
【0075】
一方、図5はナノワイヤフィルタを2つ使ったときに表れるアセトン量を測定した実験結果の図である。図5において、「510」は図3と同じようにアセトンに窒素ガスを10sccm程度混合させた後、再度窒素ガスを1000sccm程度再度混合させて薄めた混合ガスで測定したアセトン量を示すグラフであり、「520」は、混合ガスを最初のナノワイヤフィルタに通過させてアセトンをろ過した後に測定したアセトン量を示すグラフである。また、「530」は、最初のナノワイヤフィルタを通過した混合ガスを2番目のナノワイヤフィルタに通過させてアセトンをろ過した後に測定したアセトン量を示すグラフである。
【0076】
図5を参照すると、窒素ガスを1000sccm程度でナノワイヤフィルタに流入させた状態で、窒素が10sccm程度でアセトンと混ざり合った混合ガスがナノワイヤフィルタに流入したとき、「510」のような量のアセトンが検出され、このような量のアセトンが最初のナノワイヤフィルタを通してろ過された後は「520」のような量のアセトンが検出され、2番目のナノワイヤフィルタを通してろ過された後は「530」のような量のアセトンが検出された。すなわち、2つのナノワイヤフィルタを通してろ過された後は、任意のナノワイヤフィルタを介してろ過されなかった初期量に比べて、1/100程度にアセトン量が減少していることが分かる。
【0077】
これまでは、ナノワイヤフィルタのアセトンに対する捕集能力の実験結果を通して説明してきた。
【0078】
以下、別の有害有機物であるトルエンに対してナノワイヤフィルタの捕集能力を説明することにする。
【0079】
図6は、図5と同じ条件の窒素ガスを流す方法を用い、単に有害有機物質をアセトンからトルエンに変えてトルエン量を測定した実験結果の図である。図6において、「610」は図5と同じ条件で、トルエンに窒素ガスを10sccm程度混合させた後、再度窒素ガスを1000sccm程度さらに混合させて薄めた混合ガスで測定したトルエン量を示すグラフであり、「620」は混合ガスを最初のナノワイヤフィルタに通過させてトルエンをろ過した後に測定したトルエン量を示すグラフである。また、「630」は、最初のナノワイヤフィルタを通過した混合ガスを2番目のナノワイヤフィルタに通過させてトルエンをろ過した後に測定したトルエン量を示すグラフである。
【0080】
図6を参照すると、窒素ガスを1000sccm程度でナノワイヤフィルタに流入させた状態で、窒素が10sccm程度でトルエンと混ざり合った混合ガスがナノワイヤフィルタに流入したとき、「610」のような量のトルエンが検出され、このような量のトルエンが最初のナノワイヤフィルタを通してろ過された後は「620」のような量のトルエンが検出され、2番目のナノワイヤフィルタを通してろ過された後は「630」のような量のトルエンが検出された。すなわち、2つのナノワイヤフィルタを通してろ過された後は、あるナノワイヤフィルタを介してろ過されなかった初期量に比べて、1/25程度にトルエン量が減少することが分かる。
【0081】
前述したように、アセトンおよびトルエンを用いた実験結果のように、有害有機物がナノワイヤフィルタに流入したとき、排出口では有害有機物が顕著に減少することが分かる。これは、有害有機物が相対的に少なく分布する日常の環境ではさらに大きく作用することになる。
【0082】
また、本発明の実施例で記述したナノワイヤフィルタを製作するとき、フィルタを構成するナノワイヤの密度を調整すれば、粒子性物質およびガス形態の物質を同時に吸着することができる。すなわち、ナノワイヤの密度が稠密でないフィルタでは粒子性物質をろ過し、ナノワイヤの密度が稠密なフィルタでは有害性有機物質をろ過する方式である。しかし、このような方式は、ナノワイヤが稠密でない部分ではガスが吸着せず、ナノワイヤが稠密な部分では粒子が吸着しないということを意味してはいない。
【0083】
すなわち、上述した方式はナノワイヤフィルタの製作方法で互いに稠密度が異なるフィルタを直列に連結することによって、2種類の物性形態、すなわち粒子およびガス形態を同時にろ過できるものとして解釈されなければならない。また、その方式は、稠密なフィルタと稠密でないフィルタとを互いに交差して、直列または並列に連結したり、もしくは直列にいくつかの稠密なフィルタを連結したり、稠密でないいくつかのフィルタを直列に再度連結する場合の全てを含むものであり、その構造はここで提示した方法のみに限定されるものではない。
【0084】
また、本発明の実験結果の図において提示したナノワイヤフィルタの特性は、例示したトルエン、アセトンフィルタの特性に限定されたものではなく、化学的に有害な全ての有害物質に対してもろ過が可能で、粒子となった有害物質に対してもろ過が可能である。また、有害性生物および細菌が分布する病室、その他の清浄を要求する空間においても、ナノワイヤフィルタを使うことによって有害性細菌および有害性生物の量を減らすことができる。
【0085】
上記で説明したとおり、本発明の技術的思想は好ましい実施例を介して具体的に記述されたが、上記の実施例はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないことに注意しなければならない。また、本発明は、この技術分野の通常の専門家ならば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施例が可能であることが理解できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤと
を備えることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記ナノワイヤの間に形成された空間の一部を満たす分子形態の物質をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記物質が、空気分子、水分子または窒素分子のうちから選択されたいずれか1つであることを特徴とする請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記ナノワイヤが、半導体ナノワイヤまたは金属ナノワイヤからなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記ナノワイヤが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C、P、B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi2P3、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Ti、Fe)(S、Se、Te)2、Si34、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2COの単独材料と、これら材料のうち、少なくとも2つ以上を適切に組合わせた組合せ物のうちから選択されたいずれか1つの材料からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記ナノワイヤが、酸化バナジウムからなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記支持部材が、多孔性物質または網構造の物質からなることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
支持部材と、前記支持部材に支持されて、決定化された状態で配列された複数個のナノワイヤを有するフィルタと、
前記フィルタが内部に挿入固定されて、流入される流体を前記フィルタにガイドする吸入口と、前記フィルタを介してろ過された前記流体を外部に排出する排出口とが設けられたボディと
を備えることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
前記フィルタの前方または後方に設置されて、前記フィルタに熱を加える熱加熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記熱加熱部材が、網形態からなることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記ボディの外周面に沿って巻かれ、前記フィルタに熱を加える熱加熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記ボディには、前記フィルタの前方と後方との圧力差を誘発できる圧力発生部材をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
前記ボディには、前記吸入口と前記排出口との間に前記流体が移動する複数個の通路が設けられた請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
前記通路には、少なくとも1つの前記フィルタが設置されることを特徴とする請求項13に記載のフィルタ装置。
【請求項15】
前記通路には、前記流体の移動を制御するために少なくとも1つのバルブが設置されることを特徴とする請求項13に記載のフィルタ装置。
【請求項16】
前記ボディには、前記フィルタが複数個設置されていることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項17】
前記複数個のフィルタが、前記ナノワイヤが互いに同じ稠密性を有して配列されたり、互いに異なる稠密性を有して配列されることを特徴とする請求項16に記載のフィルタ装置。
【請求項18】
前記フィルタが、薄膜または板構造からなることを特徴とする請求項8に記載のフィルタ装置。
【請求項19】
支持部材を提供するステップと、
前記支持部材に決定化された複数個のナノワイヤを配列するステップと
を含むことを特徴とするフィルタ製造方法。
【請求項20】
前記ナノワイヤを配列するステップの前に、前記ナノワイヤが前記支持部材に容易かつ丈夫に固定できるように、前記支持部材の表面に接着部材を付着させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項21】
前記ナノワイヤを配列するステップ後に、前記支持部材に配列された前記ナノワイヤ間の連結が簡単に着脱されないようにするために接着部材を満たすステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項22】
前記接着部材としては、シラン基を有する化学物質を使用することを特徴とする請求項20または21に記載のフィルタ製造方法。
【請求項23】
前記シラン基を有する化学物質が、APTES(AminoPropylTriEthoxySilane)またはAPTMS((3-AminoPropyl)TriMethoXySilane)であることを特徴とする請求項22に記載のフィルタ製造方法。
【請求項24】
前記ナノワイヤを配列するステップの前に、O2アッシング工程または前記支持部材の表面に酸素を付着させて前記支持部材の表面を親水性化するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項25】
前記ナノワイヤを配列するステップの後に、前記ナノワイヤの間に形成された空間の一部を分子形態の物質で満たすステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項26】
前記物質が、空気分子、水分子または窒素分子のうちから選択されたいずれか1つからなることを特徴とする請求項25に記載のフィルタ製造方法。
【請求項27】
前記ナノワイヤを配列するステップが、スピンコート方式、スポイトまたはピペットを利用した吸着方式、もしくはスプレー方式のうち、いずれか1つの方式で実施することを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項28】
前記ナノワイヤが、前記支持部材の内周面に膜形態で配列されることを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項29】
前記ナノワイヤが、半導体ナノワイヤまたは金属ナノワイヤからなることを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項30】
前記ナノワイヤが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C、P、B−C、B−P(BP6)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−SnおよびGe−Sn、SiC、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi23、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Ti、Fe)(S、Se、Te)2、Si34、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2CO単独材料、およびこれら材料うちの少なくとも2つ以上を適切に組合せた組合せ物のうちから選択されたいずれか1つの材料からなることを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項31】
前記ナノワイヤが、酸化バナジウムからなることを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項32】
前記支持部材が、多孔性物質または網構造の物質からなることを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項33】
前記ナノワイヤを配列するステップの後に、配列されたナノワイヤを圧縮するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載のフィルタ製造方法。
【請求項34】
前記配列されたナノワイヤを圧縮するステップの後、圧縮された板に前記ナノワイヤを配列するステップをさらに含むことを特徴とする請求項33に記載のフィルタ製造方法。
【請求項35】
前記フィルタに熱を加えるステップと、
前記ボディの前記吸入口に不活性ガスまたは空気を注入するステップと
を含むフィルタ装置のフィルタに吸着した吸着物除去方法。
【請求項36】
前記フィルタの前方が、後方よりさらに低い圧力を有するようにすることを特徴とする請求項35に記載のフィルタに吸着した吸着物除去方法。
【請求項37】
前記不活性ガスが、酸素、窒素、ヘリウムまたはアルゴンガスのうち、いずれか1つのガスを使用することを特徴とする請求項35に記載のフィルタに吸着した吸着物除去方法。
【請求項38】
前記フィルタの前方が、後方よりさらに低い圧力を有する状態で、前記ボディの前記吸入口に不活性ガスまたは空気を注入するステップを含むことを特徴とするフィルタ装置のフィルタに吸着した吸着物除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504854(P2010−504854A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530263(P2009−530263)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004616
【国際公開番号】WO2008/038954
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】