説明

ナノ材料を含むタングステンおよび関連するナノテクノロジー

【課題】タングステンを含むサブミクロンおよびナノ材料組成物及びのその組成物の調製方法を提供する。
【解決手段】(a)タングステン;および(b)タングステン以外の少なくとも1つの金属を含み、ナノ顔料である、ナノ材料組成物。タングステン以外の少なくとも1つの金属がナトリウムであるナノ材料組成物。さらに、タングステンブロンズを含むナノ材料組成物であり、ナノ粒子を含むタングステンを試薬と反応させることによって調製される、ナノ材料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2003年10月6日に出願された米国特許出願第10/679,611号の一部継続出願であり、これは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。この出願はまた、2002年12月10日に出願された米国特許出願第10/315,272号の一部継続出願であり、これは、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。本出願は、2004年5月10日に出願された、仮出願第60/569,689号の恩典を主張する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、タングステンを含むサブミクロンおよびナノスケール粉末の製造方法、およびこのような粉末の用途に関する。
【背景技術】
【0003】
関連背景
特にナノ粉末、一般にサブミクロン粉末は、新規系統の材料であり、そのドメインサイズが非常に小さいので、サイズ閉じ込め効果が材料性能の有意な決定因子になるということがその際立った特徴である。したがってこのような閉じ込め効果は、広い範囲の商業的に重要な特性につながり得る。したがってナノ粉末は、広い範囲のデバイス、および様々な用途のための製品の設計、開発、および商品化のための非常に大きいチャンスである。さらにはこれらは、従来の粗粒物理化学的メカニズムが適用可能でないような新しい系統の材料先駆物質(material precursor)全体を代表するので、これらの材料は、特性の独特の組み合わせを提供し、釣り合わない性能からの新規および多機能な構成要素を可能し得る。Yadavらは、米国特許第6,344,271号(特許文献1)および同時係属中の同一出願人による米国特許出願第09/638,977号、同第10/004,387号、同第10/071,027号、同第10/113,315号、および同第10/292,263号(これらのすべては、これらの特許出願中に含まれている参考文献とともに、その全体が参照により本明細書に組み入れられる)において、サブミクロンおよびナノスケール粉末のいくつかの用途を教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,344,271号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
簡単に記載すれば、本発明は、タングステンを含むナノスケール粉末の製造方法およびこれらの用途に関与する。
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、ドープ(dope)されているか、またはドープされていないタングステン酸化物のナノ粒子を提供する。
【0007】
いくつかの態様において、本発明は、タングステンを含む、ドープされているか、またはドープされていない金属酸化物の製造方法を提供する。
【0008】
いくつかの態様において、本発明は、ドープされているか、またはドープされていないタングステンを含む酸化物の複合材料およびコーティングを提供する。
【0009】
いくつかの態様において、本発明は、ドープされているか、またはドープされていないタングステン酸化物を含む粉末の用途を提供する。
【0010】
いくつかの態様において、本発明は、多様な用途における使用のための触媒を提供する。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は、多様な用途における使用のための添加剤を提供する。
【0012】
いくつかの態様において、本発明は、光学、検出、熱、生物医学、構造、超伝導、エネルギー、およびセキュリティー用途、ならびに他の用途のための材料およびデバイスを提供する。
いくつかの態様において、本発明は、高容積、低コスト、および再生可能な品質において、タングステンを含む新規ナノスケール粉末の生成方法を提供する。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
(a)タングステン;および
(b)タングステン以外の少なくとも1つの金属
を含み、ナノ顔料である、ナノ材料組成物。
(項目2)
タングステン以外の少なくとも1つの金属がナトリウムである、項目1記載のナノ材料組成物。
(項目3)
タングステンブロンズを含む、項目1記載のナノ材料組成物。
(項目4)
ナノ粒子を含むタングステンを試薬と反応させることによって調製される、ナノ材料組成物。
(項目5)
項目4記載のナノ材料を含む電子または光学デバイス。
(項目6)
(a)タングステンを含むナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程;および
(b)第1の組成物のナノ粒子を試薬と反応させ、該反応によって、第1の組成物とは異なる第2の組成物が生じる工程
を含む、組成物調製方法。
(項目7)
第1の組成物が、1より大きいアスペクト比を有する粒子を含む、項目6記載の方法。
(項目8)
第1の組成物が酸素を含む、項目6記載の方法。
(項目9)
試薬が窒素を含む、項目6記載の方法。
(項目10)
試薬がハロゲンを含む、項目6記載の方法。
(項目11)
試薬が、酸またはアルカリである、項目6記載の方法。
(項目12)
試薬が水素を含む、項目6記載の方法。
(項目13)
試薬が酸素を含む、項目6記載の方法。
(項目14)
試薬が炭素を含む、項目6記載の方法。
(項目15)
反応が、450℃を上回る温度を有する環境において実施される、項目6記載の方法。
(項目16)
第1の組成物が、2つ以上の金属を含む、項目6記載の方法。
(項目17)
項目6記載の方法を用いて調製された組成物を含む製品。
(項目18)
項目6記載の方法を用いて調製された組成物を含むインク。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるサブミクロンおよびナノスケール粉末の生成のための例示的な全体的アプローチを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は一般に、タングステン(W)を含む非常に細かい粉末を目的とする。これらの教示の範囲は、高純度粉末を含む。本明細書において考察されている粉末は、1ミクロン未満、あるいくつかの態様において100ナノメートル未満の平均微結晶サイズを有する。高容積、低コスト、および再生可能な品質において、このような粉末を生成および利用するための方法も、概略が示される。
【0015】
定義
分かりやすさを目的として、本明細書において示される説明および具体例の理解を助けるために、次の定義が与えられる。特定の変数について一連の値が与えられるときはいつでも、この範囲の上限および下限の両方が、この定義内に含まれる。
【0016】
本明細書において用いられている「微粉」とは、次の基準を同時に満たす粉末のことを言う:
(1)10ミクロン未満の平均サイズを有する粒子;および
(2)1〜1,000,000のアスペクト比を有する粒子。
【0017】
例えばいくつかの態様において、微粉は、5ミクロン未満の平均ドメインサイズおよび1〜1,000,000の範囲のアスペクト比を有する粒子を有する粉末である。
【0018】
本明細書において用いられている「サブミクロン粉末」とは、1ミクロン未満の平均サイズを有する微粉のことを言う。例えばいくつかの態様において、サブミクロン粉末は、500ナノメートル未満の平均ドメインサイズ、および1〜1,000,000の範囲のアスペクト比の粒子を有する粉末である。
【0019】
「ナノ粉末」、「ナノサイズ粉末」、「ナノ粒子」、および「ナノスケール粉末」という用語は、互換的に用いられ、250ナノメートル未満の平均サイズを有する微粉のことを言う。例えばいくつかの態様において、ナノ粉末は、100ナノメートル未満の平均ドメインサイズ、および1〜1,000,000の範囲のアスペクト比の粒子を有する粉末である。
【0020】
「純粋粉末」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、金属ベースで少なくとも99.9%の組成純度を有する粉末である。例えばいくつかの態様において、純度は99.99%である。
【0021】
「ナノ材料」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、100ナノメートル未満のドメインサイズを有する任意の寸法形における材料である。
【0022】
「ドメインサイズ」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、特定の材料形態の最小寸法のことを言う。粉末の場合、ドメインサイズは、粒サイズである。ホイスカーおよび繊維の場合、ドメインサイズは、直径である。プレートおよびフィルムの場合、ドメインサイズは、厚さである。
【0023】
「粉末」、「粒子」、および「粒」という用語は、互換的に用いられ、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、カルコゲニド、ハロゲン化物、金属、金属間化合物、セラミック、ポリマー、合金、およびこれらの組み合わせを包含する。これらの用語は、単一金属、多金属、および複合組成物を含む。これらの用語はさらに、中空、濃密、多孔質、半多孔質、被覆、非被覆、層化、ラミネート化、単純、複合、樹状、無機、有機、元素状、非元素状、複合材料、ドープされた、ドープされていない、球形、非球形、表面機能化、表面非機能化、化学量論的、および非化学量論的形もしくは物質を含む。さらには粉末という用語は、その総称的な意味において、一次元材料(繊維、管など)、二次元材料(プレート、フィルム、ラミネート、平面など)、および三次元材料(球、円錐、オーバル、円筒、立方体、単斜晶、平行六面体、亜鈴、六角形、先端が切り取られた12面体、不規則形状構造など)も含む。
【0024】
「アスペクト比」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、粒子の最大対最小寸法の比のことを言う。
【0025】
「先駆物質」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、同一または異なる組成の粉末に転換され得る任意の粗物質を包含する。あるいくつかの態様において、先駆物質は液体である。先駆物質という用語は、有機金属化合物、有機化合物、無機化合物、溶液、分散液、溶融物、ゾル、ゲル、エマルジョン、または混合物を含むが、これらに限定されない。
【0026】
「粉末」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、酸化物、炭化物、窒化物、カルコゲニド、金属、合金、およびこれらの組み合わせを包含する。この用語は、中空、濃密、多孔質、半多孔質、被覆、非被覆、層化、ラミネート化、単純、複合、樹状、無機、有機、元素状、非元素状、分散された、複合材料、ドープされた、ドープされていない、球形、非球形、表面機能化、表面非機能化、化学量論的、および非化学量論的形もしくは物質を含む。
【0027】
「コーティング」(または「フィルム」または「ラミネート」または「層」)とは、この用語が本明細書において用いられる場合、サブミクロンおよびナノスケール粉末を含む任意の沈着を包含する。この用語は、その範囲内に、中空、濃密、多孔質、半多孔質、被覆、非被覆、単純、複合、樹状、無機、有機、複合材料、ドープされた、ドープされていない、均一、不均一、表面機能化、表面非機能化、薄い、厚い、予備処理した、後処理した、化学量論的、または非化学量論的形もしくは形態である基体、表面、沈着、またはこれらの組み合わせを含む。
【0028】
「分散」とは、この用語が本明細書において用いられる場合、インク、ペースト、クリーム、ローション、ニュートン学説的、非ニュートン学説的、均一、不均一、透明、半透明、不透明、白色、黒色、有色、乳化、添加剤をともなう、添加剤をともなわない、水ベース、極性溶媒ベース、または非極性溶媒ベースの、任意の流体または流体様状態における粉末の混合物を包含する。
【0029】
いくつかの態様において、本発明は、ドープされた、またはドープされていないタングステン酸化物を含むサブミクロンおよびナノスケール粉末を目的とする。地殻におけるタングステンの相対的存在量、および精製技術の現在の限界から考えて、商業的に生産される多くの材料は、天然のタングステン不純物を有すると予想される。これらの不純物は、100ppm未満であり、大部分の事例では他の元素不純物と同様な濃度にあると予想される。このような不純物の除去は、1つの用途について、対象となる特性に物質的には影響を与えない。本明細書においての目的のためには、タングステンが他の元素不純物と同様な濃度において存在する、タングステン不純物を含む粉末は、本発明の範囲から除外される。しかしながら、一つまたは複数のドープされた、またはドープされていない組成物において、タングステンは、粉末中のドープ剤として、100ppm以下の濃度において意図的に作り変えられてもよく、これらは、本発明の範囲内に含まれることを強調する。
【0030】
総称的意味において、本発明は、少なくとも100重量ppm、いくつかの態様において金属ベースで1重量%超、他の態様において金属ベースで10重量%超のタングステン(W)を含むナノスケール粉末、より総称的意味においてサブミクロン粉末を教示する。
【0031】
タングステンを含むナノスケールおよびサブミクロン粉末を製造するためのいくつかの態様が開示されているが、本明細書においての目的のためには、ナノスケールまたはサブミクロン粉末は、任意の方法によって生成されてもよく、または結果として任意のプロセスからの副生物として生じてもよい。
【0032】
図1は、一般的にはサブミクロン粉末、特にナノ粉末の生成のための例示的な全体的研究方法を示している。図1に示されている方法は、タングステン含有原料(例えば非限定的に、目の粗い酸化物粉末、金属粉末、塩、スラリー、廃棄物生成物、有機化合物、または無機化合物)から開始される。図1は、本発明によるナノスケールおよびサブミクロン粉末の生成のためのシステムの1つの態様を示している。
【0033】
図1に示されているプロセスは、100において、タングステン金属含有先駆物質、例えばエマルジョン、流体、粒子含有流体懸濁液、または水溶性塩から開始される。先駆物質は、蒸発されたタングステン金属蒸気、蒸発された合金蒸気、ガス、単相液体、多相液体、溶融物、ゾル、溶液、流体混合物、固体懸濁液、またはこれらの組み合わせであってもよい。金属含有先駆物質は、少なくともいくつかの部分が流体相にある化学量論的または非化学量論的金属組成物を含む。本発明のあるいくつかの態様において、流体先駆物質が利用される。典型的には流体は、運搬、蒸発、および熱加工処理を行うのがより容易であり、結果として、より均一な生成物を生じる。
【0034】
本発明の1つの態様において、これらの先駆物質は、環境的に害がなく、安全で、容易に入手可能で、高金属負荷、より低コストの流体材料である。タングステン金属含有先駆物質の例は、金属アセテート、金属カルボキシレート、金属エタノエート、金属アルコキシド、金属オクトエート、金属キレート、金属有機化合物、金属ハライド、金属アジド、金属ニトレート、金属スルフェート、金属ヒドロキシド、有機化合物または水中に可溶な金属塩、ナトリウム/カリウム/リチウムを含む金属のアンモニウム化合物を含む金属の化合物、および金属含有エマルジョンを含むが、これらに限定されない。
【0035】
別の態様において、複合ナノ-ナノスケールおよびサブミクロン粉末が望まれるならば、多重金属先駆物質が混合されてもよい。例えば、タングステン先駆物質およびアルカリ(またはアルカリ土類)先駆物質が、カラーおよびエレクトロセラミック用途のためのナトリウムタングステン酸化物粉末を調製するために混合されてもよい。別の例として、タングステン先駆物質、バナジウム先駆物質、およびチタン先駆物質は、触媒用途のための高純度、高表面積、混合酸化物粉末を生じるために、正確な割合で混合されてもよい。さらに別の例において、バリウム先駆物質(および/または亜鉛先駆物質)およびタングステン先駆物質が、顔料用途のための粉末を生じるために混合されてもよい。このような複合ナノスケールおよびサブミクロン粉末は、それぞれの単一金属酸化物、または異なる組成物の粉末を物理的にブレンドすることによって形成された単純なナノ複合材料を通しては入手できない、驚くべき並はずれた特性を有する材料の作製を補助し得る。
【0036】
所望の純度のナノスケールまたはサブミクロン粉末を生成するために、より高い純度の先駆物質を用いることが望ましい。例えば、x%(金属重量ベースで)を超える純度が望まれるならば、混合されて用いられる一つまたは複数の先駆物質は、x%(金属重量ベースで)以上の純度を有し得る。
【0037】
引き続き図1を参照して、金属含有先駆物質100(1つの金属含有先駆物質または金属含有先駆物質の混合物を含有する)は、高温プロセス106へ供給される。これは、例えば高温反応器を用いて実施されてもよい。いくつかの態様において、合成助剤、例えば反応性流体108が、先駆物質100とともに、これが反応器106へ供給されるにつれて添加されてもよい。このような反応性流体の例は、水素、アンモニア、ハロゲン化物、酸化炭素、メタン、酸素ガス、および空気を含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書においての考察は、酸化物のナノスケールおよびサブミクロン粉末の調製方法を教示しているが、これらの教示は、類似の方法で、他の組成物、例えば炭化物、窒化物、ホウ化物、炭窒化物、およびカルコゲニドへも容易に広げることができる。これらの組成物は、これらの組成物のミクロンサイズの粉末先駆物質から、またはこれらのタングステンを含む組成物において望まれる要素を提供する反応性流体を利用することによって、調製することができる。いくつかの態様において、高温加工処理が用いられてもよい。しかしながら中温加工処理または低/極低温加工処理もまた、本発明の方法を用いてナノスケールおよびサブミクロン粉末を生成するために使用されうる。
【0039】
先駆物質100は、任意の熱処理前に、いくつかの他の方法で予め加工処理されてもよい。例えば、先駆物質安定性を確保するために、pHが調節されてもよい。あるいはまた、選択的溶液化学、例えば界面活性剤または他の合成助剤の存在をともなうか、またはともなわない沈殿が、ゾルまたは他の物質の状態を形成するために使用されてもよい。先駆物質100は、熱処理の前に予め加熱されてもよく、または一部燃焼されてもよい。
【0040】
先駆物質100は、高温領域106の中に軸方向、半径方向、接線的に、または任意の他の角度で注入されてもよい。上記のように、先駆物質100は、他の反応体と予め混合されるか、または拡散的に混合されてもよい。先駆物質100は、層流、放物線流、乱流、脈流、せん断流、またはサイクロン流パターン、または任意の他の流パターンによって、熱加工処理反応器中に供給されてもよい。これに加えて、一つまたは複数の金属含有先駆物質100は、反応器106中の一つまたは複数のポートから注入することもできる。供給原料スプレーシステムは、熱源を包み込む供給原料パターンを生じてもよく、あるいは熱源が供給原料を包み込んでもよく、あるいはこれの様々な組み合わせが使用されてもよい。いくつかの態様において、スプレーは、熱伝達効率、物質伝達効率、運動量移動効率、および反応効率を向上させるように霧化され、スプレーされる。反応器の形状は、円筒形、球形、円錐形、または任意の他の形状であってもよい。方法および装置は、例えば米国特許第5,788,738号、同第5,851,507号、および同第5,984,997号(これらの各々は、その全体が参照により特別に本明細書に組み入れられる)において教示されているものが使用されてもよい。
【0041】
引き続き図1を参照して、先駆物質100が反応器106の中に供給された後、これは、生成物粉末を形成するために高温で加工処理されてもよい。他の態様において、熱処理は、粉末生成物を形成するためにより低い温度で実施されてもよい。熱処理は、所望の多孔度、密度、形態、分散、表面積、および組成を有する生成物、例えば粉末を生成することを目的として、ガス環境において行なわれてもよい。この工程は、副生物、例えばガスを生成する。コストを低減するために、これらのガスは、再循環されるか、物質/熱統合されるか、またはこのプロセスによって望まれる純粋ガスストリームを調製するために用いられてもよい。
【0042】
高温熱加工処理を用いる態様において、高温加工処理は、工程106において(図1)、1500Kを超える、いくつかの態様において2500Kを超える、いくつかの態様において3000Kを超える、およびいくつかの態様において4000Kを超える温度で実施されてもよい。このような温度は、プラズマプロセス、空気中燃焼、精製酸素または酸素リッチガス中での燃焼、オキシダントでの燃焼、熱分解、適切な反応器中での電気アーク放電、およびこれらの組み合わせを含む様々な方法によって得ることができるが、これらに限定されない。プラズマによって、反応ガスを供給してもよく、またはクリーンな熱源を供給してもよい。
【0043】
106における高温熱プロセスは、一つまたは複数の相における金属を含む蒸気を結果として生じる。熱加工処理後、この蒸気は、工程110において冷却され、サブミクロン粉末、あるいくつかの態様においてナノ粉末の核形成を行なう。あるいくつかの態様において、工程110における冷却温度は、湿分濃縮を防ぐのに十分なほど高い温度に維持される。分散粒子は、このプロセスにおける熱動的条件によって形成される。プロセス条件、例えば圧力、滞留時間、過飽和および核形成率、ガス速度、流量、種の濃度、希釈剤添加、混合度、運動量移動、物質伝達、および熱伝達を作り変えることによって、ナノスケールおよびサブミクロン粉末の形態は、テーラードすることができる。留意すべき重要事項は、最終用途要件および顧客ニーズを満たす点で卓越した粉末製品を生成することにプロセスの焦点を合わせるべきであることである。
【0044】
あるいくつかの態様において、ナノ粉末は、工程116におけるより低い温度への冷却後、凝集または粒成長を最小限にし、かつ防ぐために急冷(quench)される。適切な急冷方法は、米国特許第5,788,738号に教示されている方法を含むが、これに限定されない。あるいくつかの態様において、音波〜超音波急冷が用いられてもよい。他の態様において、冷却剤ガス、水、溶媒、冷表面、または極低温流体が用いられてもよい。あるいくつかの態様において、運搬壁への粉末の沈着を防ぐことができる急冷方法が用いられる。適切な方法は、静電気手段、ガスでのブランケッティング、より高い流量の使用、機械的手段、化学的手段、電気化学的手段、または音波処理/壁の振動を含むが、これらに限定されない。
【0045】
いくつかの態様において、高温加工処理システムは、このプロセスの品質管理を補助し得る機器およびソフトウエアを含む。さらには、あるいくつかの態様において、高温加工処理帯域106は、微粉120、あるいくつかの態様においてサブミクロン粉末、およびあるいくつかの態様においてナノ粉末を生成するように操作される。このプロセスからの気体生成物は、工程112(図1)において、組成、温度、および品質を確保するための他の変数についてモニターされてもよい。気体生成物は、再循環されてプロセス108において用いられてもよく、またはナノスケールおよびサブミクロン粉末120が形成されている場合には貴重な原料として用いられてもよく、またはこれらは、環境汚染物質(もしあるとすれば)を除去するために処理されてもよい。急冷工程116に続いて、ナノスケールおよびサブミクロン粉末は、工程118においてさらに冷却されてもよく、次いで工程120において収穫されてもよい。
【0046】
生成物ナノスケールおよびサブミクロン粉末120は、任意の方法によって収集されてもよい。適切な収集手段は、袋濾過、静電分離、膜濾過、サイクロン、衝撃濾過、遠心分離、ハイドロサイクロン、熱泳動法、磁気分離、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0047】
工程116における急冷は、コーティングの調製を可能にするように修正されてもよい。このような態様において、基体が、急冷粉末含有ガス流の経路に(バッチで、または連続モードで)供給されてもよい。基体温度および粉末温度を作り変えることによって、サブミクロン粉末およびナノスケール粉末を含むコーティングが形成され得る。
【0048】
いくつかの態様において、コーティング、フィルム、または構成要素はまた、細かいナノ粉末を分散し、次いで様々な公知の方法を適用することによって調製されてもよい。本方法は例えば、電気泳動沈着、磁気泳動沈着、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレー、ブラッシング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、トナー印刷、および焼結を含むが、これらに限定されない。ナノ粉末は、このような工程の前に、これらの電気、光学、光、触媒、熱、磁気、構造、電子、放出、加工処理、または成形特性を向上させるために、熱処理または反応が施されうる。
【0049】
本明細書に記載されているプロセス、または当業者による修正に基づいた同様のプロセスの任意の段階における中間体または生成物は、本明細書において教示されている方法および他の方法によって、ナノスケール粉末または微粉を生成するための供給原料先駆物質として直接用いられてもよいことに注目すべきである。他の適切な方法は、同一出願人による米国特許第5,788,738号、同第5,851,507号、および同第5,984,997号、および同時係属中の米国特許出願第09/638,977号および同第60/310,967号を含むが、これらに限定されない。これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。例えば、ゾルが燃料とブレンドされてもよく、次いでナノスケール単一または複合粉末を生成するために、2500Kを上回る熱加工処理用の供給原料先駆物質混合物として利用されてもよい。
【0050】
要約すれば、粉末を製造するための1つの態様は、(a)少なくとも100重量ppmのタングステン元素を含む先駆物質を調製する工程;(b)1500Kを超える、あるいくつかの態様において2500Kを超える、あるいくつかの態様において3000Kを超える、およびあるいくつかの態様において4000Kを超える温度で操作されている高温反応器中に先駆物質を供給する工程;(c)高温反応器において、先駆物質が、不活性または反応性雰囲気中、0.25マッハを上回る速度で、プロセスストリームにおいて、希土類金属を含む蒸気へと転化される工程;(d)蒸気を冷却して、サブミクロンまたはナノスケール粉末の核形成を行なう工程;(e)高いガス速度で粉末を急冷して、凝集および成長を防ぐ工程;および(f)これらのガスから急冷粉末を濾過する工程を含む。
【0051】
タングステンを含むナノスケール粉末を製造するための別の態様は、(a)2つ以上の金属を含み、そのうちの少なくとも1つが100重量ppmを超える濃度でタングステンである流体先駆物質を調製する工程;(b)1500Kを超える、いくつかの態様において2500Kを超える、いくつかの態様において3000Kを超える、およびいくつかの態様において4000Kを超える温度で、不活性または反応性雰囲気中で操作されている高温反応器中に前記先駆物質を供給する工程;(c)該高温反応器において、該先駆物質が、タングステンを含む蒸気に転化される工程;(d)蒸気を冷却して、サブミクロンまたはナノスケール粉末の核形成を行なう工程;(e)0.1マッハを超えるガス速度で粉末を急冷して、凝集および成長を防ぐ工程;および(f)これらのガスから急冷粉末を分離する工程を含む。あるいくつかの態様において、流体先駆物質は、形態を制御するため、またはプロセスの経済性および/または生成物の性能を最適化するために、合成助剤、例えば界面活性剤(分散剤、キャッピング剤、乳化剤などとしても公知である)を含んでいてもよい。
【0052】
コーティングを製造するための1つの態様は、(a)一つまたは複数の金属を含み、そのうちの1つがタングステンである流体先駆物質を調製する工程;(b)1500Kを超える、いくつかの態様において2500Kを超える、いくつかの態様において3000Kを超える、およびいくつかの態様において4000Kを超える温度で、不活性または反応性雰囲気中で操作されている高温反応器中に先駆物質を供給する工程;(c)高温反応器において、該先駆物質が、タングステンを含む蒸気に転化される工程;(d)蒸気を冷却して、サブミクロンまたはナノスケール粉末の核形成を行なう工程;(e)基体上へ粉末を急冷させて、タングステンを含む基体上にコーティングを形成する工程を含む。
【0053】
本明細書においての教示によって生成された粉末は、同一出願人による米国特許出願第10/113,315号によって教示されているような後加工処理によって修正されてもよい。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0054】
ナノ粒子を製品中に組み込む方法
サブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によって複合構造中に組み込むことができる。いくつかの非限定的な例示的方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、同一出願人による米国特許第6,228,904号に教示されている。
【0055】
本明細書において教示されているサブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によってプラスチック中に組み込むことができる。1つの態様において、本方法は、(a)任意の方法、例えば流体先駆物質と1500Kを超えるピーク加工処理温度とを使用する方法によって、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)一つまたは複数のプラスチックの粉末を供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末とプラスチックの粉末とを混合する工程;および(d)プラスチックの粉末の軟化温度よりも高いが、プラスチックの粉末の分解温度よりも低い温度で、混合粉末を所望の形状に同時押出しする工程を含む。別の態様において、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を含むプラスチック粉末のマスターバッチ(masterbatch)が調製される。これらのマスターバッチは後で、当業者に周知の技術によって、有用な製品に加工処理を施すことができる。さらに別の態様において、ナノスケールまたはサブミクロン粉末を含有するタングステン金属は、分散性の容易さを目的に粉末表面をコーティングするため、および均質性を確保するために、予め処理される。さらなる態様において、ナノスケール粉末およびプラスチック粉末を含む混合粉末の射出成形が、有用な製品を調製するために使用される。
【0056】
ナノスケールまたはサブミクロン粉末をプラスチック中に組み込むための1つの態様は
、(a)任意の方法、例えば流体先駆物質と1500Kを超えるピーク加工処理温度とを使用する方法によって、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)フィルムがラミネート化されるか、押出しされるか、吹き入れられる(blow)か、キャストされるか、または成形されうる、一つまたは複数のプラスチックのフィルムを供給する工程;および(c)例えばスピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、イオンビームコーティング、スパッタリングなどの技術によって、ナノスケールまたはサブミクロン粉末をプラスチックのフィルム上へコーティングする工程を含む。別の態様において、ナノ構造コーティングが、例えば本明細書において教示されている技術などの技術によってフィルム上へ直接形成される。いくつかの態様において、コーティングの粒サイズは、200nm未満、いくつかの態様において75nm未満、およびいくつかの態様において25nm未満である。
【0057】
サブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によってガラス中に組み込むことができる。1つの態様において、タングステンのナノ粒子は、(a)任意の方法、例えば流体先駆物質と1500Kを超える温度とを、不活性または反応性雰囲気において使用する方法によって、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)ガラス粉末または溶融物を供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末とガラス粉末または溶融物とを混合する工程;および(d)ナノ粒子を含むガラスを、所望の形状およびサイズの物品に加工処理する工程によって、ガラス中に組み込まれる。
【0058】
サブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によって紙の中に組み込むことができる。1つの態様において、本方法は、(a)タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)紙パルプを供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末と紙パルプとを混合する工程;および(d)例えば成形、クーチング、およびカレンダ加工(calendering)によって、混合粉末を紙の中に加工処理する工程を含む。別の態様において、タングステン金属含有ナノスケールまたはサブミクロン粉末は、分散性の容易さを目的に粉末表面をコーティングするため、および均質性を確保するために、予め処理される。さらなる態様において、ナノ粒子は、製造された紙または紙ベースの製品上に直接適用される;ナノ粒子の小さいサイズは、これらが紙繊維を通って浸透し、紙の表面に残留し、これによって紙を機能化することを可能にする。
【0059】
本明細書において教示されるサブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によって皮革、繊維、または織物の中に組み込まれてもよい。1つの態様において、本方法は、(a)任意の方法、例えば1000K以上で操作される工程を含むプロセスによって、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)皮革、繊維、または織物を供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末と皮革、繊維、または織物とを接着させる工程;および(d)接着された皮革、繊維、または織物を製品に加工処理する工程を含む。さらに別の態様において、タングステン金属含有ナノスケールまたはサブミクロン粉末は、接着または分散性の容易さを目的に粉末表面をコーティングまたは機能化するため、または均質性を確保するために、予め処理される。さらなる態様において、ナノ粒子は、皮革、繊維、または織物ベースの製造された製品上に直接適用される;ナノ粒子の小さいサイズは、これらが皮革、繊維(ポリマー、ウール、綿、亜麻、動物由来、農業由来)、または織物へ付着するか、またはこれらを通って浸透し、これによって皮革、繊維、または織物を機能化することを可能にする。
【0060】
サブミクロンおよびナノスケール粉末は、任意の方法によってクリームまたはインクの中に組み込むことができる。1つの態様において、本方法は、(a)任意の方法、例えば流体先駆物質と1500Kを超えるピーク加工処理温度とを使用する方法によって、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)クリームまたはインクの配合物を供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末とクリームまたはインクとを混合する工程を含む。さらに別の態様において、タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末は、分散性の容易さを目的に粉末表面をコーティングまたは機能化するため、および均質性を確保するために、予め処理される。さらなる態様において、クリームまたはインクの予め存在する配合物は、クリームまたはインクを機能化するためにナノスケールまたはサブミクロン粉末と混合される。
【0061】
タングステンを含むナノ粒子は、水、溶媒、プラスチック、ゴム、ガラス、紙などに分散するのが難しいことがある。ナノ粒子の分散性は、あるいくつかの態様において、タングステン酸化物粉末、または他のタングステンを含むナノ粒子の表面を処理することによって、向上させることができる。処理工程は、あるいくつかの態様において、物理的接着に至ってもよい。他の態様において、処理工程は、ナノ粒子の表面への望ましい官能基の化学的接着に至ってもよい。例えば脂肪酸(例えばプロピオン酸、ステアリン酸、および油)、またはケイ素を含む有機金属化合物、またはチタンを含む有機金属化合物は、表面適合性を向上させるために、ナノ粒子へ適用する、またはナノ粒子とともに適用することができる。粉末が酸性表面を有するならば、アンモニア、第四塩、またはアンモニウム塩を、所望の表面pHを得るために表面へ適用することができる。他の事例では、酢酸洗浄を、所望の表面状態を得るために用いることができる。トリアルキルホスフェートおよびリン酸を、ダスチングおよび化学活性を減少させるために適用することができる。さらに他の事例では、粉末の分散性を改良するために、これらの粉末は、熱処理されてもよい。
【0062】
タングステンを含むナノ粒子およびサブミクロン粉末の用途
顔料
多金属酸化物を含有するタングステンを含むナノ粒子は、顔料としていくつかの驚くべき並はずれた利点を提供する。ナノ粒子は光の可視波長(400〜700nm)よりも小さく、このことは、可視波長よりもはるかに大きい粒サイズを有する粒子と比較して、並はずれた方法でのナノ粒子と可視波長との相互作用をもたらす。ナノ粒子の小さいサイズはまた、より均一な分散をもたらし得る。あるいくつかの態様において、ナノ粒子は凝集していない(すなわち焼結ネック形成または硬質凝集を有していない)ことが重要である。いくつかの態様において、ナノ粒子は、非機能化表面、すなわちクリーンな表面を有する;他の態様において、その中でナノ粒子が分散される必要があるマトリックスとの接着を可能にするために、表面が修正または機能化される。
【0063】
無機顔料を製造するための顕著なプロセスの難問の1つは、複合多金属配合物中の元素の均質な格子レベル混合を確保する能力である。本明細書に記載されたプロセスの特徴の1つは、必要な均質性を有する複合組成物を調製するその能力である。したがって本明細書においての教示は理想的には、タングステンを含むナノ粒子を用いて、色彩を作り出し、優れた性能の顔料を製造するのに適している。
【0064】
タングステンを含有する顔料のいくつかの非限定的な実例は、バリウムタングステン酸化物、亜鉛タングステン酸化物、カルシウムタングステン酸化物、錫ドープされたタングステン酸化物、タングステンブロンズ、ホスホタングストモリブデン酸、およびタングステンを含む非化学量論的物質である。
【0065】
1つの態様において、着色製品の製造方法は、(a)タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)一つまたは複数のプラスチックを供給する工程;(c)ナノスケールまたはサブミクロン粉末とプラスチックの粉末とを混合する工程;および(d)混合された粉末を製品に加工処理する工程を含む。さらに別の態様において、タングステン含有ナノスケールまたはサブミクロン粉末は、分散性の容易さを目的に粉末表面をコーティングするため、および均質性を確保するために予め処理される。さらなる態様において、ナノスケール粉末およびプラスチック粉末を含む混合粉末の押出しまたは射出成形を、有用な製品を調製するために用いることができる。
【0066】
添加剤
ナノスケールタングステンを含む物質は、有用な潤滑添加剤である。非限定的な実例は、タングステンジスルフィドナノ粒子である。タングステンジスルフィドナノ粒子の小さいサイズは、あるいくつかの態様において、より高い性能で低減されたコストを提供するより薄いフィルムを可能にする。このような潤滑ナノ粒子は、あるいくつかのより良い態様において、力をより均一に分配する能力を提供する。あるいくつかの態様、例えば高い精度、狭いギャップの移動表面において、潤滑添加剤は、モーターまたはエンジンの寿命を改良するために、潤滑流体または潤滑油へ添加されてもよい。潤滑ナノ粒子添加剤を有用にする並はずれた特徴は、ナノテクノロジーによって可能にされた粒子サイズが、天然の特徴的な粗サイズよりも小さくすることができるということである。ナノ粒子は、裂け目、トラフに入り、緩衝し(または残留し)、これによって損傷を与える内部圧力、力、および非効率な熱効果を減少させる。これらの添加剤は、現存するまたは新規の潤滑配合物中に分散されてもよく、これによってナノテクノロジーの利点を組み込むための容易な方法を提供する。タングステンジスルフィド、モリブデンジスルフィド、モリブデンタングステンスルフィド、およびこのような無機または有機ナノ粒子組成物は、他のところでも同様に有用な潤滑添加剤である。例えば髭剃り刃、および摩擦の不利な作用を最小限にする必要がある任意の表面である。
【0067】
生化学的分析剤
あるいくつかの態様において高純度型のナトリウムタングステン酸化物ナノ粒子は、生化学的分析において有用である。タングステンを含むナノ粒子は、高い表面積により、特に平均粒子サイズが100ナノメートル未満である場合、これらの用途において有用となる。
【0068】
硫黄および炭素加速分析剤
あるいくつかの態様において、金属型のタングステンナノ粒子は、誘導加熱炉における燃焼による炭素および硫黄の分析において有用である。タングステンを含むナノ粒子は、高い表面積および表面活性により、特に平均粒子サイズが100ナノメートル未満の場合、これらの用途において有用となる。
【0069】
電気および照明用途
タングステンを含むナノ材料は、電子エミッタとしていくつかの並はずれた利点を提供する。これらの利点は、(a)非常に薄いフィルムデバイスを可能にし得るナノ粒子の小さいサイズ、(b)焼結温度および焼結時間を低下させ得る高い表面積、(c)高温においてでさえ、タングステン金属の本質的に低い蒸気圧、および(d)並はずれた量子閉じ込めおよび粒界効果の結果である。これらの特性は、改良された電子放射デバイスおよび電気接触を調製するために用いることができる。コピー機、ファックス機、レーザープリンタ、およびエアクリーナーは、タングステンを含むナノ材料から調製されたチャージャーワイヤーから利点を享受し得る。タングステンを含むナノスケール粉末から調製することができる他のナノデバイスは、電極、化学センサ、生物医学的センサ、リン光体、および帯電防止コーティングを含む。タングステンを含むナノ材料はまた、化学機械的研磨用途のための新規組成物も提供する。
【0070】
上記の理由から、タングステンを含むナノ材料は、あるいくつかの態様において、陰極線管、ディスプレー、X線管、クライストロン、電子レンジ用のマグネトロン、および電子管における、直接加熱されたカソードにおいて、または間接的に加熱されたカソードのためのヒーターコイルにおいて特に有用である。タングステンを含む多金属ナノ材料組成物は、高強度放電ランプおよび溶接電極のための希土類およびトリアをベースとするものを含む。X線デバイスアノードもまた、タングステンを含むナノ材料の低い蒸気圧および熱伝導率から利点を享受し得る。
【0071】
蒸気圧、導電率、および電子特性の並はずれた組み合わせによって、タングステンを含むナノ材料組成物は、高出力半導体整流デバイス、高電圧ブレーカー(例えばW-Cu、W-Ag接触)のための基体として有用となる。他の態様において、様々な形の溶浸タングステンを含むナノ複合材料が、これらの用途に有用である。高温炉部品、例えば加熱コイル、リフレクタ、サーモカップルもまた、タングステンを含むナノ材料の量子閉じ込めおよび低い蒸気圧の特徴から利点を享受し得る。
【0072】
タングステンを含むナノ材料は、上で考察された特性の、同じ並はずれた組み合わせによって、照明用途(白熱ランプ)に有用である。用途の実例は、家庭用ランプ、自動車用ランプ、投光器またはプロジェクタ用途のためのリフレクタランプを含む。特殊ランプもまた、例えば非限定的に、視聴覚プロジェクタ、ファイバー光学システム、ビデオカメラライト、空港滑走路マーカー、写真プリンタ、医療および科学機器、およびステージまたはスタジオシステムなどの用途において、本明細書において教示されたナノテクノロジーから利点を享受し得る。照明製品および用途のあるいくつかの態様において、タングステンを含む材料の合金および分散強化形が有用である。
【0073】
エレクトロニクス用途
タングステンを含むナノ材料は、あるいくつかの態様において、リン光体および電子材料として有用である。これらの利点は、(a)非常に薄いフィルムデバイスを可能にし得るナノ粒子の小さいサイズ、(b)焼結温度および焼結時間を低下させ得る高い表面積、(c)高温においてでさえ、タングステン金属の本質的に低い蒸気圧、(d)有意な熱伝導率および導電率、および(e)並はずれた量子閉じ込めおよび粒界効果の結果である。これらの特性は、X線用の改良されたリン光体を調製するために用いることができる(例えばカルシウムタングステン酸化物、マグネシウムタングステン酸化物)。タングステンおよび銅ベースのヒートシンクからなる、改良された、より費用有効性の熱除去構成要素は、ナノ材料から調製することができる。タングステンを含むナノ材料インク(水、溶媒、またはUV硬化性)、接着剤、およびペーストは、セラミック回路基板用の電極および導体の開発および他の用途において有用であり得る。
【0074】
シリコンベースの半導体デバイスに対して、タングステンナノ材料は、狭い熱膨張率を提供する。上記の他の有用な特性と組み合わせて、タングステン、およびタングステンを含む複合組成物は、マイクロエレクトロニクスにおいて用いられているシリコンおよび金属を含む組成物と同様な熱膨張率を得るのを助けうる材料を提供する。これらの特性は、改良されたマイクロエレクトロニクス構成要素を調製するために用いることができる。タングステンを含むナノ材料インクおよびペーストは、改良されたDRAMチップ、他のシリコンデバイス、および液晶ディスプレー製品の調製において有用であり得る。
【0075】
任意の方法を、本明細書において教示された電子デバイスにおいてタングステンを含むナノ粒子を利用するために使用することができる。1つの態様において、ミニチュア電池においてタングステンを含むナノ粒子を使用するための方法は、(a)タングステンを含むナノスケールまたはサブミクロン粉末を調製する工程;(b)インク(水ベース、溶媒ベース、またはUV硬化性モノマーベースのインク)または接着剤またはペーストをこれらの粉末から調製する工程;および(c)電子デバイスを調製するためにインク、または接着剤、またはペーストを利用する工程を含む。
【0076】
触媒
タングステン含有ナノ粒子、例えば酸化物、硫化物、およびヘテロポリ錯体は、いくつかの化学反応に有用な触媒である。例えばこれらは、水和、脱水、ヒドロキシル化、およびエポキシド化反応において、触媒またはプロモーターとして用いることができる。1つの態様において、触媒またはプロモーターの生成方法は、(a)粉末の表面積が1グラムあたり25平方メートルを超える、いくつかの態様において1グラムあたり75平方メートルを超える、およびいくつかの態様において1グラムあたり150平方メートルを超えるように、タングステンを含むナノスケール粉末を調製する工程;および(b)還元環境において粉末を還元し(または任意の他の方法で粉末を活性化し)、次いでドープされた、またはドープされていないタングステン化合物を含むナノスケール粉末の存在下に化学反応を実施する工程を含む。いくつかの態様において、溶媒中にナノスケール粉末を分散し、次いでこれらの粉末を、分散液から基体上に沈着させるさらなる工程が、化学反応が実施される前に行われてもよい。
【0077】
上に記載した触媒粉末は、有用な化学反応の選択率および収率を向上させるために、ゼオライトおよび他の十分に規定された多孔質材料と組み合わせることができる。
【0078】
光学およびリン光体
タングステンを含む非化学量論的ナノ粒子は、リン光体として、および検出器用途のために、いくつかの並はずれた利点を提供する。これらの利点は、次の特徴の一つまたは複数の結果である:(a)小さいサイズ、(b)高い表面積、(c)様々な媒質、インク、および固体マトリックス中の分散性、(e)密度、蒸気圧、作業機能、およびバンドギャップの並はずれた複合した組み合わせ。タングステン含有ナノ粒子を含むリン光体および検出器の有利な点は、(a)1インチあたりの高いドット密度、(b)均質生成物を形成する能力、および(c)非常に薄いフィルムを調製し、これによって同じ性能または優れた性能に必要とされる原料を削減する能力である。ナノ粒子はまた、光沢レベル、減衰時間、および望まれる他の特徴を提供するため、粒を最適サイズに成長させるために後加工処理(焼成、焼結)を行うことができる。
【0079】
タングステンを含む多金属組成物(2、3、4以上の金属)が、あるいくつかの態様において用いられる。蛍光組成物の具体的な実例は、カルシウムタングステートである。これらのリン光体ナノ粉末は、シンチレーションカウンタ、ディスプレー用途、ランプ、蛍光灯、発光デバイス、マーカー、保安顔料(security pigment)、織物顔料、発光塗料、玩具、特殊効果などに用いることができる。
【0080】
タングステンを含むナノ粒子は、明るい光の下で酸素を失い、これによって青みがかった濾過光になる、タングステンを含む薄いフィルムの形成において有用である;これらのフィルムは、暗闇で再酸化され、これによって透明になる。タングステンを含むナノ材料の多くの有用な特性の1つは、タングステンが容易に酸素を失う能力である(例えば、WO3 - W20O58転移)。
【0081】
格子間化合物
タングステン(例えば炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物)を含む格子間化合物は、硬質耐火用途においていくつかの並はずれた利点を提供する。これらの利点は、次の特徴の一つまたは複数の結果である:(a)サイズ、(b)硬度、(c)サイズ閉じ込め、(e)密度、蒸気圧、および物理的性質の並はずれた複合した組み合わせ。ナノ粒子はまた、要望どおりに他の特徴を提供するため、粒を最適サイズに成長させるために後加工処理(焼成、焼結)を行うことができる。タングステン(および他の金属)を含む格子間ナノ材料組成物は、刃物、窯の構造要素、タービン、エンジン、サンドブラストノズル、保護コーティングなどにおいて有用である。
【0082】
合成のための試薬および原料
タングステン、例えばタングステン酸化物を含むナノ粒子、およびタングステン含有多金属酸化物ナノ粒子は、タングステンを含むナノ粒子の他の組成物を調製するための有用な試薬および先駆物質である。総称的意味において、タングステンを含むナノ粒子は、別の物質、すなわち試薬、例えば非限定的に酸、アルカリ、有機、モノマー、アンモニア、還元性流体、酸化性流体、ハロゲン、リン化合物、カルコゲニド、生物材料、ガス、蒸気、または溶媒と反応する;ナノ粒子は、その高い表面積により、この反応を容易にし、この反応の結果として生じる生成物もまた、ナノ粒子である。試薬は任意の適切な形を取ってもよく、窒素、ハロゲン、水素、炭素、または酸素を含んでいてもよい。
【0083】
次いでこれらの生成物ナノ粒子は適切には、広い範囲の用途のための他のファインケミカルを調製するための触媒用途または試薬として、適用または利用することができる。タングステンを含むナノ粒子を利用するいくつかの非限定的な実例が次に続く。これらの教示は、多金属酸化物および他の組成物、例えばタングステン格子間化合物、およびタングステンをベースとする有機金属化合物へも広げることができる。あるいくつかの態様において、ナノ粒子は、様々な温度、圧力、負荷、または環境組成下で、使用前に処理または機能化または活性化されてもよい。
【0084】
タングステン:
タングステン酸化物ナノ粒子は、炭素と反応させるか、または還元性ガスを含む水素と、450℃を上回る温度で反応させて、タングステンのナノ粒子を生成する。あるいくつかの態様において、より低い温度が用いられてもよい。他の態様の場合、真空または周囲圧力で、またはより高い圧力で、800K、1200Kなどの温度においてナノ結晶の加熱が用いられてもよい。タングステン金属ナノ粒子は、多くの用途(例えばフィラメント用のタングステン金属ワイヤの形成など)において、およびタングステンを含む他の組成物を形成するための先駆物質として有用である。
【0085】
タングステンを含むナノ粒子の生成のための1つの態様は、(a)タングステン酸化物を含むナノスケール粉末を調製する工程;(b)ナノスケール粉末と還元性化合物または環境とを反応させる工程;および(c)タングステンを含む、その結果として生じたナノ粒子を収集する工程を含む。タングステンを含むナノ材料のより高い表面積によって、驚くべきことに、転化のための温度および時間を減らすことが可能となる。あるいくつかの態様において、加工処理温度および時間は、少なくとも10%減少する。あるいくつかの態様において、加工処理温度および時間は、少なくとも30%減少する。あるいくつかの態様において、加工処理温度および時間は、少なくとも50%減少する。あるいくつかの態様において、加工処理温度および時間は、少なくとも70%減少する。
【0086】
タングステンハライド:
タングステンを含むナノ粒子は、タングステンハライドを含む化合物を形成するために、ハロゲンを含む化合物と反応させる。例証のためであるが、非限定的に、タングステンナノ粒子は、WCl6の青みがかった黒色結晶性固体ナノ粒子を調製するために塩素化される。塩素化は、1つの態様において、400℃を上回る温度および100〜1000トルで実施される(他の態様において、TとPとの他の組み合わせが用いられてもよい)。あるいくつかの態様において、過剰容積を供給することによる、相転換をともなう容積膨張に注意が払われる。塩素化の間、酸素または湿分の添加によって、タングステンのオキシクロライドが形成されることがある。タングステンフッ化物は、1つの態様において、フッ素とタングステンナノ粒子とを反応させることによって調製される。タングステン臭化物WBr6は、あるいくつかの態様において、交換反応、例えばBBr3とWCl6ナノ粒子との間の交換反応によって形成される。別の態様において、WBr5は、臭素蒸気とタングステンナノ粒子とを350℃を上回る温度で反応させることによって形成される。極端に吸湿性のオキシフッ化物(例えばWOF4)は、酸素-フッ素混合物とタングステン金属ナノ粒子とを反応させることによって形成することができる。他の態様においては、タングステン、タングステン酸化物、および過剰ヨウ素の混合、次いで300℃を上回る温度での反応によって、タングステンオキシ二ヨウ化物(tungsten oxydiiodide)(WO2I2)が生じる。
【0087】
タングステン亜酸化物:
タングステン酸化物(WO3黄色)ナノ粒子は、タングステン亜酸化物(例えばWO1.63-2.99)のナノ粒子を生成するために、還元性化合物、例えば水素と反応させることができる。亜酸化物は、化学量論的三酸化物形態(例えば緑黄色、青、褐色)とは異なる色彩を有する。さらなる還元は、W3Oを生じる。これは灰色がかっており、酸化物の特性および金属化合物の特性の両方を提供する。
【0088】
タングステンブロンズ:
タングステンブロンズナノ粒子は、一般式M1-xWO3によって表わすことができる。この一般式中のMは、アルカリ金属(Na、K、Cs)、または任意の他の金属であってもよい。こ
の一般式中のxは、ゼロであってもよく、ゼロより大きく1未満の任意の数であってもよい。タングステンブロンズナノ粒子は、タングステン酸化物ナノ粒子とMの任意の化合物とを反応させることによって調製することができる。いくつかの態様において、これは、金属Mの酸化物、Mの水酸化物、または金属Mである。他の態様において、他の組成物が使用されてもよい。この反応は、高温、真空、高圧、ガス環境、例えば水素または炭素を含む種、または酸素、または不活性ガス環境によって補助されてもよい。タングステンブロンズナノ粒子の他の調製方法は、電界還元、融合、固相反応、共縮合、気相沈着、スパッタリングなどを含む。いくつかの態様において、様々な成分のナノ粒子が、均一特性を有する費用有効性の製造を可能にするために用いられる。
【0089】
タングステンブロンズナノ粒子は、並はずれた特性を提供する。例証のためであるが、非限定的に、ナトリウムタングステンブロンズは、x>xcである場合、プラスの温度抵抗係数を提供し、かつx<xcである場合、マイナスの温度抵抗係数を提供する。xcは、粒子サイズ、酸素欠乏、および他のナノ粒子特徴による。例えばxcは、あるいくつかの態様において0.3であり、他の態様において0.6であり、他の態様において別の数であってもよい。
【0090】
ナトリウムタングステンブロンズを含むナノ粒子は、Na1-xWO3中のxの値に応じて、金属光沢を有する強い色彩を提供する。タングステンを含むこれらのナノ粒子および他のナノ粒子は、特別な効果の顔料を供給するために雲母または他のプレートと組み合わせることができる。タングステンブロンズのナノ粒子はまた、酸化反応および燃料電池用途のための触媒としても有用である。
【0091】
混合金属タングステン化合物:
タングステン金属ナノ粒子またはタングステン酸化物ナノ粒子は、タングステンを含む混合金属化合物のナノ粒子を生成するために、金属を含む他のナノ粒子と反応させることができる。このような化合物の例は、BaWO4、CdWO4、CaWO4、SrWO4、PbWO4、Na2WO4、Ce2(WO4)3などを含むが、これらに限定されない。あるいは、既に考察されているように、混合金属組成物、例えばこれらのタングステートはまた、先駆物質から直接調製することもできる。タングステートナノ粒子は、光学、電子、触媒、顔料、および他の用途に有用な材料である。セラミック、腐蝕抵抗、および火災阻害配合物もまた、タングステートナノ材料の並はずれた表面活性、小さいサイズ、および他の特性から利点を享受し得る。
【0092】
ポリタングステート化合物:
タングステートは、上で考察されているように、あるいくつかの配合条件、例えばpHが様々に変えられる場合、並はずれたポリタングステートナノクラスター形成特徴を示す。メタタングステート、パラタングステート、ヘテロポリアニオン、イソポリアニオンなどは、pHを調節し、有機酸中にモノマーを混合することなどによって調製することができる。ヘテロポリタングステートナノ粒子、例えばK、Co、P、Ce、希土類、および大カチオンを含むものは、触媒として、金属および合金の不動態化処理として、および有色レーキ、トナー、および染料製造のための沈殿剤として有用である。
【0093】
実施例1-2:タングステン酸化物粉末
アンモニウムタングステート先駆物質を、50:50の水とイソプロピルアルコールとの混合物中に溶解した。この混合物を、本明細書に記載されているDC熱プラズマ反応器中に、約100ml/分で、1分あたり約150標準リットルの酸素を用いてスプレーした。熱プラズマ反応器におけるピーク温度は、3000K以上であった。蒸気を、ナノ粒子の核形成を行なうために冷却し、次いでJoule-Thompson膨張によって急冷した。収集した粉末は、X線回折(Warren-Averbach分析)およびBETを用いて分析した。これらの粉末は、100nm未満の微結晶サイズ、および10m2/gm超の比表面積を有することが発見された。これらのナノ粉末は、水、極性溶媒、非極性溶媒、およびUV硬化性モノマー中に容易に分散可能であることも発見され、インクがこれらのナノスケール粉末を用いて容易に調製され得ることを確認した。
【0094】
次に、同じプロセスを用いた別個の試験において、この混合物を、約75ml/分の速度で、1分あたり約150標準リットルの酸素を用いてスプレーした。熱プラズマ反応器におけるピーク温度は、3000K以上であった。蒸気を冷却し、次いでJoule-Thompson膨張によって急冷した。収集した粉末は、X線回折(Warren-Averbach分析)およびBETを用いて分析した。これらの粉末は、75nm未満の微結晶サイズ、および15m2/gm超の比表面積を有することが発見された。
【0095】
これらの実施例は、タングステンを含むナノ粒子を調製することができること、およびタングステン酸化物粉末の特徴を、プロセス変動とともに様々に変えることができることを示している。
【0096】
実施例3:タングステン錫オキシド粉末
アンモニウムメタタングステートおよび錫有機金属化合物を含む混合物を、2000K以上のピーク温度を有する熱急冷反応器において加工処理した。蒸気を冷却し、次いでJoule-Thompson膨張によって急冷した。これらの粉末は、40nm未満の平均微結晶サイズを有することが発見された。この粉末の色彩は、きれいな青色であることが観察された。この実施例は、青色ナノ顔料を作るために、熱プラズマプロセスを用いることができることを示している。
【0097】
本発明の他の態様は、本明細書において開示された本発明の明細書または実施の考察から、当業者には明らかである。本明細書および実施例は、例示的なものとしてのみ考察され、本発明の真の範囲および精神は、特許請求の範囲によって示されるものとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
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【公開番号】特開2012−255163(P2012−255163A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−174731(P2012−174731)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2008−511285(P2008−511285)の分割
【原出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】