説明

ナノ構造物センサー

【課題】本発明は、ナノ構造物センサー及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明の一側面は、基板と、前記基板上に位置する第1電極と、前記基板上に前記第1電極と離隔しており、前記第1電極を取り囲む第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に接触され、感知対象によって電気的特性が変化する少なくとも1つのナノ構造物と、を具備するセンサーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造物センサー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近には周囲の環境に敏感な炭素ナノチューブのようなナノ構造物の特性を用いた新たな化学的、生物学的なセンサーを開発するために炭素ナノチューブに関する関心が高まっており、既に多様な種類の炭素ナノチューブを基盤としたセンサー構造が提案された。
【0003】
炭素ナノチューブを基盤として従来技術によるセンサーの一例として、複数の炭素ナノチューブと前記複数の炭素ナノチューブの両端に位置した四角形形状の第1及び第2電極で構成されたセンサーがある。従来技術によるセンサーにおいて、第2電極には基準電圧が印加され、炭素ナノチューブは感知対象によって抵抗が変化し、第1電極の電圧又は電流は炭素ナノチューブの抵抗の変化によって変化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術によるセンサーは改善すべき点がある。
【0005】
第一、炭素ナノチューブが第1電極及び第2電極の間にのみ連結されるためには、即ち、炭素ナノチューブが第1電極及び第2電極のみならず、隣り合う第1電極にも連結されることを防止するためには、炭素ナノチューブをパターニングする必要性があり、これは、追加的な工程(一例として、フォトリソグラフィ工程)を必要とする。このような追加的な工程は、センサーの製造費用を増加させる。従って、炭素ナノチューブのパターニングを要求しない技術を開発すれば、センサーの製造費用を節減することができる。
【0006】
第二、パターニングを行ったにもかかわらず、製造工程の誤謬等によって第1電極と隣り合う第1電極を連結する炭素ナノチューブが残存する場合には、センサーの測定の正確度を減少させる虞があり、製造されたセンサーを含めたICチップ全体を廃棄しなければならない場合が発生する虞もある。従って、第1電極と隣り合う第1電極を連結する炭素ナノチューブが残存する場合にもセンサーが正常的に動作するようにする技術を開発すれば、センサーの歩留まりを増加させることができる。
【0007】
第三、感知対象が液体である場合(又は、感知対象が所定の液体に含まれている場合)には、炭素ナノチューブの抵抗が炭素ナノチューブに隣接した液体の電位によって変更されることができるが、炭素ナノチューブに隣接した液体の電位が可変的なので、これによってセンサーの測定の正確度が下がる虞がある。従って、炭素ナノチューブに隣接した液体の電位をより一定に維持できる技術を開発すれば、センサーの測定の正確度を改善することができる。
【0008】
従って、本発明の目的は、ナノ構造物が第1電極及び隣り合う第1電極間に連結されることを防止するためのパターニング工程を必要としないナノ構造物センサー及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
又、本発明の他の目的は、製造工程の誤謬等によって第1電極と隣り合う第1電極を連結する炭素ナノチューブが残存する場合にも正常的に動作することができるナノ構造物センサー及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
又、本発明の更に他の目的は、ナノ構造物に隣接した液体の電位をより一定に維持できるナノ構造物センサー及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するために、本発明の第1側面は、基板と、前記基板上に位置する第1電極と、前記基板上に前記第1電極と離隔しており、前記第1電極を実質的に取り囲む第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に接触され、感知対象によって電気的特性が変化する少なくとも1つのナノ構造物と、を具備するセンサーを提供する。
【0012】
有利な具現は、次ぎの特徴のうち、1つ又はその以上を選択的に含むことができる。センサーは前記基板上に位置して、前記第1電極及び前記第2電極の間に位置した絶縁体を更に具備することができる。又、センサーは、前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記第1電極と前記第1導電体との間に位置する−を更に具備することができる。又、センサーは、前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極と前記第2導電体との間に位置する−を更に具備することができる。
【0013】
一具現例として、第2電極は、第1電極を完全に取り囲む連続的な電極でも良い。一具現例として、1つ又はその以上の電極は、不連続的な電極でも良い。一具現例として、第2電極はギャップを含むことができる。一具現例として、ナノ構造物は、所望の取り囲む電極と接触することなくギャップを通じて他の電極と接触してはいけない。
【0014】
センサーは、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を更に具備することができ、前記MOSFETのソース、ゲート、及びドレインのうち少なくともいずれか1つは、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか1つと電気的に連結されることができる。前記第2電極には、所定の電圧である基準電圧が印加されることができる。前記第1電極は、互いに離隔した複数の第1副電極(sub−electrode)に分けられることができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意(random)の配置を有することができる。
【0015】
前記センサーは、前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極と離隔している追加的な第1電極と、前記基板上に前記第1電極、前記第2電極及び前記追加的な第1電極と離隔しており、前記追加的な第1電極を取り囲む追加的な第2電極と、前記追加的な第1電極及び前記追加的な第2電極に接続された追加的な少なくとも1つのナノ構造物と、を更に具備することができる。
【0016】
前記センサーは、液体状態、気体状態、又は、前記感知対象に対する運搬体(carrier)のうち少なくともいずれか1つ内で感知を行うことができる。前記ナノ構造物は、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノ棒、ナノリボン、ナノフィルム、又はナノボールを具備することができる。
【0017】
本発明の第2側面は、基板と、前記基板上に位置し、複数のホールを具備した第2電極と、前記基板上に前記第2電極と離隔しており、前記複数のホールのそれぞれの内部に位置した第1電極と、前記複数の第1電極及び前記第2電極に接続され、感知対象によって電気的特性が変化する少なくとも1つのナノ構造物と、を具備するセンサーを提供する。
【0018】
有利な具現は、次ぎの特徴のうち、1つ又はその以上を選択的に含むことができる。センサーは、前記第1電極及び前記第2電極を互いに絶縁させる絶縁体を更に具備することができる。又、前記センサーは、前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記各第1電極と前記第1導電体との間に位置する−を更に具備することができる。前記センサーは、前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極と前記第2導電体との間に位置する−を更に具備することができる。
【0019】
前記センサーは、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを更に具備することができ、 前記MOSFETのソース、ゲート、及びドレインのうち少なくともいずれか1つは、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか1つと電気的に連結されることができる。前記第2電極には所定の電圧である基準電圧が印加されることができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意(random)の配置を有することができる。
【0020】
本発明の第3側面は、(a)基板を準備する段階と、(b)前記基板上に位置する第1電極及び前記基板上に前記第1電極と離隔して前記第1電極を取り囲む第2電極を形成する段階と、(c)前記第1電極の上面及び前記第2電極の上面に接触する少なくとも1つのナノ構造物を形成する段階と、を具備するセンサー製造方法を提供する。
【0021】
有利な具現は、次ぎの特徴のうち、1つ又はその以上を選択的に含むことができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、パターニング工程を行うことなく形成されることができる。前記方法は、(d)前記(b)段階と前記(c)段階との間に行われ、前記基板上に絶縁体−前記絶縁体は前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する−を形成する段階を更に具備することができる。前記方法は、(e)前記(c)段階後に行われ、前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記第1電極及び前記第1導電体の間に位置する−及び前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極及び前記第2導電体の間に位置する−を形成する段階を更に具備することができる。
【0022】
前記第1導電体及び前記第2導電体は、リフトオフ方式で形成されることができる。
【0023】
前記第1導電体及び前記第2導電体は、化学的鍍金方式で形成されることもできる。この場合、前記(a)段階は、(a1)前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極形状のアルミニウム層を形成する段階と、(a2)前記基板をパラジウムが含まれた溶液に露出させることにより、前記アルミニウム層の表面にパラジウム層を形成する段階と、を含むことができる。前記化学的鍍金は、前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する方式で行われることができる。前記(a)段階は、(a3)前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する段階を更に含むことができる。前記化学的鍍金は、前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記金層の表面に追加的な金層が形成されるようにする方式で行われることができる。
【0024】
前記方法は、(f)前記(c)段階後に行われ、熱処理を行う段階を更に具備することができる。この場合、前記(a)段階は、(a1)前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極形状のアルミニウム層を形成する段階と、(a2)少なくとも前記基板をパラジウムが含まれた溶液に露出させることにより、前記アルミニウム層の表面にパラジウム層を形成する段階と、(a3)少なくとも前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する段階と、を含むことができる。
【0025】
前記方法は、(g)前記(a)段階と前記(b)段階との間に行われ、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成する段階を更に具備することができる。
【0026】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことができる。前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意の配置を有することができる。前記(c)段階は、(c1)前記基板をCNTが分散された溶液に浸漬させる段階と、(c2)前記基板を前記溶液から引き出す段階と、を具備することができる。前記第1電極は、前記第2電極によって区画される複数の第1副電極に分けられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図である。
【図2】本発明の第1実施例によるセンサーに採用されることができる第1電極20及び第2電極30(又は、第1導電体70及び第2導電体80)の多様な変形例を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図である。
【図4】本発明の第3実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図である。
【図5】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図7】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図9】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図10】本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。
【図11】第1及び第2電極20、30と第1及び第2導電体70、80を形成する方式の多様な例を説明するための図である。
【図12】第1及び第2電極20、30と第1及び第2導電体70、80を形成する方式の多様な例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図である。図1の上部は平面図で、下部は断面図である。図1の断面図は、平面図のA−A’線に沿って切断した断面図である。
【0030】
図1を参照すると、センサーは、基板10、第1電極20、第2電極30、及び少なくとも1つのナノ構造物40を具備する。又、センサーは、絶縁体60、第1導電体70、第2導電体80、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(以下、MOSFETと称する)90を更に具備することができる。センサーは、感知対象50のための運搬体と相互作用することができる。一具現例として、運搬体は水のような液体でも良く、気体でも良い。他の具現例として、運搬体は、気体状態又は液体状態内に位置することができる。一具現例として、運搬体は溶液でも良く、又は溶液内に位置することもできる。一具現例として、感知対象は、赤外線輻射のような電磁気輻射(electromagnetic radiation)であり得る。
【0031】
又、センサーは、少なくとも1つの追加的な第1電極100、少なくとも1つの追加的な第2電極110、複数の追加的なナノ構造物120、複数の追加的な絶縁体130、少なくとも1つの追加的な第1導電体140、及び少なくとも1つの追加的な第2導電体150を更に具備することができる。
【0032】
基板10として、多様な種類の基板が使用されることができる。例えば、基板10は、半導体基板(例:シリコン基板)、シリコンオンインシュレータ(silicon on insulator、SOI)基板、ガラス基板、又はプラスチック基板であり得る。
【0033】
第1電極20は、前記基板10上に形成される。第1電極20は、多様な構造を有することができる。例えば、第1電極20は単一層構造でも良く、多層構造でも良い。一例として、第1電極20は、アルミニウム(Al)の単一層で構成されることができる。他の例として、第1電極20は、アルミニウム層とその上に位置したパラジウム(Pd)層で構成されることもできる。更に他の例として、第1電極20は、アルミニウム層、アルミニウム層上に位置したパラジウム層、及びパラジウム層上に位置した金(Au)層で構成されることもできる。図面には、第1電極20(又は、第1導電体70)が四角形である場合の例が図示されているが、第1電極20は多様に変形することができる。
【0034】
第2電極30も前記基板10上に形成され、第1電極20と類似に多様な構造を有することができる。第2電極30は、第1電極20と離隔して形成される。従って、第2電極30は、第1電極20に直接接触しない。第2電極30は、第1電極20の側面21を取り囲む。
【0035】
前述した一具現例として、第2電極は、第1電極の全ての面を完全に取り囲むことができる。しかし、他の具現例として、第2電極に1つ又はその以上のギャップが存在することができる。このような具現において、第2電極は不連続的な構造を有することができる。一具現例として、第1及び第2電極は不連続的でも良い。
【0036】
ギャップが第2電極に存在する時、ギャップは一般的に充分に狭くなるべきである。その理由は、他の構造との干渉(crosstalk)又はセンサーの測定の正確性を悪化させる他の欠陥の可能性を充分に減少させることができ、一例として無視する程度にすることができるためである。一例として、仮に、ナノ構造物がギャップを通じて他の電極と接触する場合、干渉または他の欠陥によってセンサーの測定の正確度が悪化されることができる。一具現例として、ナノ構造物は取り囲む電極に接触しなくては、ギャップを通じて他の電極と接触しない。仮に、電極のギャップの大きさが小さく維持されると、センサーの生産量が大きく影響を受けず、例えば、ギャップがセンサーの生産量に及ぼす影響が他の工程による影響に対して小さいか、無視する程度であり得る。生産量と干渉はナノ構造物の形態(morphology)によって影響を受けることができ、このような影響は成分及び工程条件等に依存的である。適切な工程条件は、一般的に実験を通じて決定されることができる。
【0037】
従って、「実質的に取り囲む」というのは、第2電極が連続的に完全に第1電極を取り囲むことを言及するか、第2電極が生産量に重大な影響を及ぼさない程度に充分に小さいギャップを有して第1電極を取り囲むことを言及する。
【0038】
一具現例として、電極は、チップのエッジに位置することができる。この場合、「実質的に取り囲む」というのは、有効な(available)側面を取り囲むことを意味することができる。
【0039】
第2電極30が第1電極の側面21を取り囲むとして、必ず図面のように第2電極30が第1電極20と同じ高さに位置することではなく、第2電極30と第1電極20が互いに高さをある程度違うようにしても、本発明の範疇に含まれる。
【0040】
一具現例として、電極の側面は電極の一部として、電極の周辺を取り囲む部分を意味する。一具現例として、第2電極の内周(inner perimeter)は、第1電極の外周(outer perimeter)から一定な間隔だけ離れるか、そうではないことがある。この場合、第2電極の側面は第2電極の内周でも良く、第1電極の側面は第1電極の外周でも良い。
【0041】
第2電極30には、所定の電圧である基準電圧が印加されることが好ましい(従って、第1電極20の電圧又は電流がナノ構造物40の電気的特性の変化によって変化することが好ましい)。基準電圧は、一例として、電源電圧又は接地電圧であり得る。図面には、第2電極30(又は第2導電体80)が四角リング形状である場合の例が図示されているが、第2電極30は多様に変更可能である。
【0042】
少なくとも1つのナノ構造物40は、第1電極20及び第2電極30に接続する。一例として、1つのナノ構造物41の一部分が第1電極20に接触し、前記ナノ構造物41の他の一部分が第2電極30に接触する方式でナノ構造物41が第1電極20及び第2電極30に接続することができる。他の例として、1つのナノ構造物42の一部分が第1電極20に接触し、他の1つのナノ構造物43の一部分が第2電極30に接触し、前記1つのナノ構造物42及び前記他の1つのナノ構造物43が互いに接触する方式で、ナノ構造物42、43が第1電極20及び第2電極30に接続することができる。更に他の例として、1つのナノ構造物44の一部分が第1電極20に接触し、他の1つのナノ構造物45の一部分が第2電極30に接触し、前記1つのナノ構造物44及び前記他の1つのナノ構造物45が更に他の少なくとも1つのナノ構造物46を通じて互いに接続する方式で、ナノ構造物44、45、46が第1電極20及び第2電極30に接続することができる。一具現例として、ナノ構造物は縛られた網のように密集(dense)されることができる。
【0043】
ナノ構造物40として、多様な種類のナノ構造物が使用されることができる。例えば、ナノ構造部40として、ナノチューブ(nanotube)、ナノワイヤー(nanowire)、ナノ棒(nanorod)、ナノリボン(nanoribbon)、ナノフィルム(nanofilm)、又はナノボール(nanoball)が使用されることができる。又、ナノ構造物40として、カーボンナノチューブ(carbon nanotube、以下、CNTと称する)、半導体ナノワイヤー(semiconductor nanowire)又は伝導性ポリマーが使用されることができる。CNTは、電気的特性によって金属の特性を有するCNTと半導体の特性を有するCNTとに区分することができ、壁の数によって単一壁(single−walled)CNT、二重壁(double−walled)CNT、及び多重壁(multi−walled)CNT等に区分することができる。半導体ナノワイヤーを構成する物質しては、SnO、ZnO、In、及びCdO等を含む非常に多様な物質のうち少なくともいずれか1つが使用されることができる。
【0044】
一具現例として、ナノ構造物は、その断面の寸法より非常に長い長さを有することができる。そのようなナノ構造物は、ワイヤー、リボン、及びチューブを含むことができる。一具現例として、このようなナノ構造物は、これらが位置した構造物の表面と平行に延びるように構造物上に配置されることができる。
【0045】
ナノ構造物40の電気的特性は、感知対象50によって変化する。変化される電気的特性は、一例として抵抗であり得る。即ち、感知対象50の有無又は濃度によってナノ構造物40の抵抗が変化することができる。感知対象は、例えば、蛋白質、デオキシリボ核酸(以下、DNAと称する)、分子、又はイオン等である。ナノ構造物40が選択性を有するように、即ち、ナノ構造物40の電気的特性が多数の感知対象のうち特定感知対象によって変化するように、ナノ構造物40が特定感知対象に反応するようにする機能化(functionalization)が行われることもできる。一具現例として、機能化はナノ構造物が溶液内の蛋白質、腫瘍標識(tumor marker)、分子、及びウイルスを検出することができるように影響を与えて、センサーが電気的特性を検出するようにする。本発明の実施例によるセンサーに使用されるナノ構造物40は、任意の配置を有しても良い。
【0046】
例えば、ナノ構造物40が露出する感知対象50は、液相又は気相(又は、感知対象が液体又は気体に含まれている)であり得る。他の例として、感知対象50は、合成分子(complex molecule)のような分子であり得る。分子は、溶液内に位置することもできる。
【0047】
絶縁体60は基板10上に形成され、第1電極20及び第2電極30の間に位置する。絶縁体60の上面にナノ構造物40が位置する。
【0048】
第1導電体70は、少なくとも1つのナノ構造物40を挟んで第1電極20上に位置する。従って、少なくとも1つのナノ構造物40の一部が第1電極20及び第1導電体70の間に位置する。第1導電体70は、一例として、金(Au)層であり得る。
【0049】
第2導電体80は、少なくとも1つのナノ構造物40を挟んで第2電極30上に位置する。従って、少なくとも1つのナノ構造物40の一部が第2電極30及び第2導電体80の間に位置する。第2導電体80も一例として金層であり得る。
【0050】
MOSFET90は、第1電極20及び第2電極30の下に位置する。図面には、MOSFET90のゲート91Gに第1電極20が電気的に連結された例が示しているが、MOSFET90のゲート91G、ソース91S、及びドレイン91Dのうち、少なくともいずれか1つが第1電極20及び第2電極30のうち少なくともいずれか1つと電気的に連結されていれば充分である。MOSFET90は、ゲート91G、ソース91S、ドレイン91D、チャンネル領域92、ゲート絶縁膜93、ゲート電極94G、ソース電極94S、ドレイン電極94D、及び絶縁膜95を含む。MOSFET90は、ウェル(well)96を更に含むことができる。図面に示したMOSFET90のうち、左側はPMOS(p−channel metal−oxide semiconductor、ソースとゲートがP型でドーピングされており、ウェルはN型でドーピングされている)を示し、右側はNMOS(n−channel metal−oxide semiconductor、ソースとゲートがN型でドーピングされており、基板はP型基板である)に該当する。MOSFET90は、基板10に形成されたCMOS(complementary metal oxide semiconductor)回路(図示せず)の一部分として使用されることができる。CMOS回路は、増幅器、アナログ−デジタル変換機(ADC)、又は多数の第1電極20、100のうちから一部を選択するスイッチ等として使用されることができる。CMOS回路によってナノ構造物40の電気的特性の変化に対応するデジタル信号が生成されることが好ましい。
【0051】
センサーは、第1電極及び第2電極を複数個含むアレイ形態に具現されることができる。より具体的には、センサーは、少なくとも1つの追加的な第1電極100、少なくとも1つの追加的な第2電極110、及び複数の追加的なナノ構造物120を更に具備することができる。又、センサーは、複数の追加的な絶縁体130、少なくとも1つの追加的な第1導電体140、及び少なくとも1つの追加的な第2導電体150を更に具備することができる。
【0052】
少なくとも1つの追加的な第1電極100は、基板10上に第1電極20及び第2電極30と離隔して形成される。少なくとも1つの追加的な第1電極100のうち、各第1電極は、少なくとも1つの追加的な第2電極110のうち、前記各第1電極に対応する第2電極によって取り囲まれる。
【0053】
少なくとも1つの追加的な第2電極110は、基板上に第1電極20、第2電極30、及び少なくとも1つの追加的な第1電極100と離隔して形成される。
【0054】
複数の追加的なナノ構造物120のうち少なくとも1つのナノ構造物は、少なくとも1つの追加的な第1電極100のうち、これに対応する第1電極及び少なくとも1つの追加的な第2電極110のうちでこれに対応する第2電極と接続される。
【0055】
図2は、本発明の第1実施例によるセンサーに採用されることができる第1電極20及び第2電極30(又は、第1導電体70及び第2導電体80)の多様な変形例を説明するための図である。
【0056】
図2の(a)を参照すると、第1電極20(又は、第1導電体70)は円形で、第2電極30(又は、第2導電体80)は円形リング形状である。
【0057】
図2の(b)を参照すると、第1電極20(又は、第1導電体70)は、複数の突出部21と複数の陥凹部22を具備し、第2電極30(又は、第2導電体80)も複数の突出部31と複数の陥凹部32を具備する。第2電極の突出部31は、第1電極の陥凹部22に突出されており、第1電極の突出部21は第2電極の陥凹部32に突出されている。第1電極20及び第2電極30(又は、第1導電体70及び第2導電体80)がこのような形状を有すると、第1電極20及び第2電極30の側面が広くなって敏感度が改善されることができる。
【0058】
図2の(c)を参照すると、第1電極20(又は、第1導電体70)は、複数の第1副電極(sub−electrode)23に分けられることができる。複数の第1副電極23は互いに離隔している。第1電極20がこのような形状を有すると、複数の第1副電極23のうち、特性の良い第1副電極23のみを選択して使用することができるという長所がある。一例として、ナノ構造物40が任意の配置を有するので、第2電極30とある第1副電極23との間にはナノ構造物40が全く連結されないこともあり、第2電極30と他のある第1副電極23との間には所望の個数のナノ構造物40が連結されていることもあり、第2電極30と更に他のある第1副電極23との間にはナノ構造物40が過度に多く連結されていることもある。従って、測定を通じて所望の個数のナノ構造物が連結された第1副電極23を選択して、選択された第1副電極23のみを優れた特性の第1電極として使用することができる。
【0059】
一具現例として、所望する、又は適切な数のナノ構造物は、構造物の種類又は電気的特性によって決定されることができる。一例として、第1電極と第2電極との間の抵抗が10KOhm乃至100KOhmである時に抵抗の変化を測定するのが容易な場合に、複数の副電極のうちからこのような抵抗を有する第1副電極を選択することができる。他の具現例として、第1電極が複数の第1副電極に分けられた場合に、複数の第1副電極で測定された電気的特性の平均値が使用されることもできる。平均値を使用する方式は、1つの第1電極を使用する方式に対して、一般的にエラー発生に鈍感なので、このような方式は潜在的な長所を有している。
【0060】
図3は、本発明の第2実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図であって、特に、MOSFETを含まないセンサーを説明するための図である。図3の上部は平面図で、下部は断面図である。図3の断面図は、平面図のB−B’線に沿って切断した断面図である。
【0061】
図3を参照すると、センサーは、基板10、第1電極20、第2電極30、少なくとも1つのナノ構造物40及び感知対象50を具備する。又、センサーは、第1絶縁体60、第1パッド210、第2パッド220、第1配線230、第2配線240、及び第2絶縁体250を更に具備することができる。又、図面には示していないが、センサーは第1電極20上に形成された第1導電体及び第2電極30上に形成された第2導電体を更に含むこともできる。
【0062】
本発明の第1実施例によるセンサーの場合、センサーにMOSFETが含まれ、ナノ構造物40の電気的特性の変化が増幅及び/又はデジタル変換され出力される。しかし、本発明の第2実施例によるセンサーの場合、センサーにMOSFETが含まれていないので、ナノ構造物40の電気的特性の変化がそのまま第1配線230及び第1パッド210を経由して外部に出力される。
【0063】
MOSFETを具現する必要がないので、本発明の第2実施例によるセンサーの場合、費用が安価であるプラスチック又は有機基板を使用することが好ましい。
【0064】
図4は、本発明の第3実施例によるセンサーの平面図及び断面図を簡略に示す図である。図4の上部は平面図で、下部は断面図である。図4の断面図は平面図のC−C’線に沿って切断した断面図である。
【0065】
図4を参照すると、センサーは、基板10、複数の第1電極20、第2電極30、複数のナノ構造物40、及び感知対象50を具備する。又、センサーは、絶縁体60、複数の第1導電体70、第2導電体80、及びMOSFET90を更に具備することができる。
【0066】
複数の第1電極20は基板10上に形成される。本発明の第1実施例と類似に、第1電極20は多様な構造及び多様な形状を有することができる。
【0067】
第2電極30も基板10上に形成される。第2電極30には、複数のホール36が形成されている。複数のホール36のうち、各ホールの内部には、複数の第1電極20のうち、前記各ホールに対応する少なくとも1つの第1電極が第2電極30と離隔して位置する。本発明の第1実施例と類似に、第2電極30は多様な構造及び多様な形状を有することができる。第2電極30には所定の電圧である基準電圧が印加されることが好ましい。
【0068】
複数の絶縁体60は、複数の第1電極20及び前記第2電極30を互いに絶縁させる。
【0069】
複数の第1導電体70は、複数のナノ構造物40を挟んで複数の第1電極20上に位置する。第1導電体70は、一例として、金層でも良い。
【0070】
第2導電体80は、複数のナノ構造物40を挟んで第2電極30上に位置する。第2導電体80も一例として金層でも良い。
【0071】
基板10、ナノ構造物40、感知対象50、及びMOSFET90の構造は、本発明の第1実施例と類似なので、説明の便宜上、これらについての説明は省略する。
【0072】
従来技術によるナノ構造物センサーの場合、工程等の誤謬によってナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に連結される場合、ある第1電極と隣り合う第1電極間のナノ構造物を通じた干渉によって正確な測定ができなかったが、本発明によるセンサーの場合、ナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に連結されても、ナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に位置する第2電極(第2電極には、基準電圧が印加される)に接続されるので、ある第1電極と隣り合う第1電極間に干渉が発生しない。従って、本発明によるセンサーは、工程等による誤謬に強い特性を有するという長所がある。
【0073】
従来技術によるセンサーの場合、ナノ構造物に隣接した感知対象の電位が変更されセンサーの正確な測定ができなかったが、本発明によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物が隣接した感知対象の電位をある程度一定に維持させるので、センサーの測定の正確度が改善される。より具体的に、従来技術によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物に隣接した感知対象の一側面に位置する反面、本発明によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物に隣接した感知対象を取り囲む。従って、本発明によるセンサーの場合、ナノ構造物に隣接した感知対象の電位がより一定に維持されることができ、従って、センサーの測定の正確度が改善される
【0074】
図5乃至図10は、本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法の各段階を示す図である。各図面の上部は平面図で、下部は断面図である。各図面の断面図は平面図のA−A’線に沿って切断した断面図である。本発明の第2及び第3実施例によるセンサーの製造方法は、本発明の第1実施例によるセンサーの製造方法及び図3及び図4を参照して容易に導出することができるので、これについての説明は、説明の便宜上省略する。
【0075】
図5を参照すると、まず、基板10を準備する。前述したように基板として多様な基板が使用されることができるが、図面には半導体基板が使用された例が示している。
【0076】
図6を参照すると、MOSFET90を形成する。MOSFET90を形成する工程は、既によく知られているので、これについての詳細な説明は説明の便宜上省略する。図面符号97は、第2電極30と追加的な第2電極100とを連結するための配線である。
【0077】
図7を参照すると、基板10上に位置する第1電極20及び基板10上に第1電極20と離隔して位置して第1電極20の側面を取り囲む第2電極30を形成する。これと同時に追加的な第1電極100及び追加的な第2電極110も形成される。
【0078】
図8を参照すると、基板10上に位置する絶縁体60を形成する。絶縁体60は、第1電極20及び第2電極30の間に位置する。これと同時に、追加的な絶縁体130も形成される。絶縁体は、一例としてSiOであり得る。図面には第1及び第2電極20、30が形成された後に、絶縁体60が形成される例が示しているが、図面と異なり、第1及び第2電極の一部が形成された後に、絶縁体60が形成され、その後に第1及び第2電極20、30の残りが形成されることもできる。一例として、第1及び第2電極20、30が順次に積層されたアルミニウム層、パラジウム層、及び金層で構成された場合に、アルミニウム層、絶縁体60、パラジウム層、及び金層が順次に形成されることもできる。他の例として、第1及び第2電極20、30が順次に積層されたアルミニウム層及びパラジウム層で構成された場合には、アルミニウム層、絶縁体60、及びパラジウム層が順次に形成されることもできる。
【0079】
図9を参照すると、第1電極20の上面及び第2電極30の上面に接触する少なくとも1つのナノ構造物40を形成する。これと同時に追加的なナノ構造物120も形成される。好ましく、ナノ構造物40、120は、フォトリソグラフィ工程のようなパターニング工程を行うことなく形成され、従って、ナノ構造物は任意の配置を有する。ナノ構造物は、一例として、基板10をナノ構造物(一例:CNT)が分散された溶液に浸漬させる段階及び基板10を前記溶液から引き出す段階を通じて形成されることができる。CNTが分散された溶液は、一例として、CNTと1,2−ジクロロベンゼンを0.02g対200mlの比率で混合することにより得られる。又、基板の浸漬は、一例として、1分乃至5分間行われることができ、基板の引き出し速度は、一例として1乃至10mm/minの値を有することができる。
【0080】
図10を参照すると、第1電極20上に位置する第1導電体70及び第2電極30上に位置する第2導電体80を形成する。これと同時に追加的な第1導電体140及び追加的な第2導電体150が形成される。第1導電体70は、第1電極20とナノ構造物40との間の抵抗を改善するために使用され、第2導電体80は、第2電極30とナノ構造物40との間の抵抗を改善するために使用される。第1導電体70及び第2導電体80は多様な方式で具現されることができる。例えば、パターニング方式と非(non)パターニング方式、即ち、自己整列(self−align)方式がある。パターニング方式の一例としてリフトオフ方式がある。そして、非パターニング方式の一例として、化学的鍍金方式がある。より具体的に化学的鍍金方式として電解鍍金方式があり、好ましくは無電解鍍金方式がある。
【0081】
第1導電体70及び第2導電体80を形成する工程の代わりに、熱処理(annealing)工程を通じて第1導電体70及び第2導電体80とナノ構造物40間の抵抗を改善することもできる。
【0082】
その後、図2に示すように、ナノ構造物40を感知対象50に露出させる。
【0083】
図11及び図12は、第1及び第2電極20、30と第1及び第2導電体70、80を形成する方式の多様な例を説明するための図である。
【0084】
図11は、第1及び第2導電体70、80がリフトオフ方式で形成される例を説明するための図である。図11を参照すると、ナノ構造物40を基板10上に形成した後に(図11(a))、基板10上に感光膜を塗布して露光及び現像でパターンを形成して第1及び第2電極20、30と追加的な第1及び第2電極100、110の上部を除いた残り地域を覆う感光膜パターン310を形成する(図11の(b))。その後、感光膜パターン310上に金等の導電体320を蒸着した後に(図11の(c))、感光膜パターン310を除去することにより、第1及び第2電極20、30上に形成された第1及び第2導電体70、80だけを残して、感光膜パターン310上に形成された導電体は除去する(図11の(d))。
【0085】
図12は、第1及び第2導電体70、80が化学的鍍金方式、特に、無電解鍍金方式で形成される例を説明するための図であって、特に、第1及び第2電極20、30がアルミニウム層、パラジウム層、及び金層で構成され、アルミニウム層、絶縁体60、パラジウム層、及び金層が順次に形成される場合の例を示す図である。
【0086】
図12を参照すると、基板10上に第1及び第2電極20、30形状のアルミニウム層(又は、公知の導電層)330、及び絶縁体60を形成する(図12の(a))。
【0087】
その後、アルミニウム層330の表面にパラジウム層340を形成し、パラジウム(Pd)層340上に金層350を形成する(図12の(b))。パラジウム層340を形成する過程は、基板10の上面をパラジウムが含まれた溶液(パラジウム活性化溶液とも称する)に露出させる方式で行われることができる。パラジウムが含まれた溶液は、一例として、PdCl0.1g、HCl 3ml、HPO(85%) 3ml、Mg溶液 6ml、PEG(Polyethylene glycol)溶液 1ml、及び純水で構成されることができる。基板10の上面をパラジウムが含まれた溶液に露出させる工程は、一例として、常温で基板10をパラジウムが含まれた溶液に3分間浸漬した後、洗浄する方式で行われることができる。基板10の上面をパラジウムが含まれた溶液に露出させると、アルミニウム層330の表面にのみパラジウム層340が形成され、絶縁体60の表面にはパラジウム層が形成されない。従って、パラジウム層340の形成は、別途のパターニング工程を必要としない。パラジウム層340を触媒として金が鍍金されるので、パラジウム層340は、金がよく蒸着されるようにする機能を行う。無電解鍍金方式で金層350を形成する過程は、基板10の上面を金が含まれた溶液(金鍍金溶液とも称する)に露出させる方式で行われることができる。金が含まれた溶液は、一例として、KCN 0.06g、クエン酸(citric acid) 0.9g、KAuCN2 0.1g、ヒドラジン 2ml、及び純水 50mlで構成されることができる。基板10の上面を金が含まれた溶液に露出させる工程は、一例として、50℃で基板10を金が含まれた溶液に1時間20分間浸漬させた後、洗浄する方式で行われることができる。基板10の上面を金が含まれた溶液に露出させると、パラジウム層340の表面にのみ金層350が形成され、絶縁体60の表面には金層が形成されない。従って、金層350の形成は、別途のパターニング工程を必要としない。
【0088】
その後、パラジウム層340及び絶縁体60上にナノ構造物40を形成する(図12の(c))。
【0089】
その後、金層350上に第1及び第2導電体70、80に該当する追加的な金層360を形成する(図12の(d))。無電解鍍金方式で金層360を形成する過程は、基板10の上面を金が含まれた溶液に露出させる方式で行われることができる。金が含まれた溶液は、一例として、KCN 0.06g、クエン酸 0.9g、KAuCN2 0.1g、ヒドラジン 2ml、及び純水 50mlで構成されることができる。基板10の上面を金が含まれた溶液に露出させる工程は、一例として、50℃で基板10を金が含まれた溶液に15分間浸漬させた後、洗浄する方式で行われることができる。基板10の上面を金が含まれた溶液に露出させると、金層350の表面にのみ金層360が形成され、絶縁体60の表面には金層が形成されない。従って、金層360の形成は、別途のパターニング工程を必要としない。
【0090】
図12に図示された化学的鍍金工程は、多様に変形可能である。一例として、第1及び第2導電体70、80に該当する金層360を形成せず、その代わりに、熱処理工程を行うこともできる。熱処理工程によって第1及び第2電極20、30とナノ構造物40との間の抵抗を減少させることができる。他の例として、第1及び第2電極20、30に含まれる金層350を形成する工程を省略することもできる。
【0091】
本発明のセンサー製造方法は、ナノ構造物40のパターニングのための別途の工程を必要としないので、センサーの製造費用を節減することができるという長所がある。
【0092】
本発明によるナノ構造物センサー及びその製造方法は、ナノ構造物40のパターニングのための別途の工程を必要としないので、センサーの製造費用を節減することができるという長所がある。
【0093】
又、本発明によるナノ構造物センサー及びその製造方法は、任意の配置を有するナノ構造物40を基板10に蒸着しても良いので、安価の工程(一例として基板をナノ構造物が含まれた溶液に浸漬させる工程)でもナノ構造物40を蒸着することができるという長所がある。
【0094】
従来技術によるナノ構造物センサーの場合、工程等の誤謬によってナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に連結される場合、ある第1電極と隣り合う第1電極間のナノ構造物を通じた干渉によって正確な測定ができなかったが、本発明によるセンサーの場合、ナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に連結されても、ナノ構造物がある第1電極と隣り合う第1電極間に位置した第2電極(第2電極には基準電圧が印加される)に接続されるので、ある第1電極と隣り合う第1電極間に干渉が発生しない。従って、本発明によるセンサーは、工程等による誤謬に強い特性を有するという長所がある。
【0095】
従来技術によるセンサーの場合、ナノ構造物に隣接した感知対象の電位が変更されセンサーの正確な測定ができなかったが、本発明によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物が隣接した感知対象の電位をある程度一定に維持させるので、センサーの測定の正確度が改善される。より具体的に、従来技術によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物に隣接した感知対象の一側面に位置する反面、本発明によるセンサーの場合、基準電位が印加される第2電極がナノ構造物に隣接した感知対象を取り囲む。従って、本発明によるセンサーの場合、ナノ構造物に隣接した感知対象の電位をより一定に維持させることができ、従って、センサーの測定の正確度が改善される。
【0096】
第3実施例の場合、取り囲む第2電極の面積が第1実施例による場合より広いので、感知対象の電位が一定に維持される効果がより改善される。又、第2電極を互いに連結する配線を省略することができるという追加的な効果を有する。
【0097】
又、本発明によるナノ構造物センサー及びその製造方法は、第1及び第2導電体70、80を含む場合には(又は、熱処理が行われた場合には)、ナノ構造物と第1及び第2電極20、30との抵抗を改善することができるので、より正確な測定を可能にするという長所を有する。
【0098】
又、本発明によるナノ構造物センサーの製造方法は、無電解鍍金方式で第1及び第2導電体70、80を製造する場合には、第1及び第2導電体70、80のパターニングのための別途の工程を必要としないので、センサーの製造費用を節減することができる。
【0099】
又、本発明によるナノ構造物センサー及びその製造方法は、増幅器及び/又はADC等として使用されることができるMOSFETを含む場合には、ナノ構造物40の電気的特性の変化を基板10ですぐ増幅及び/又はデジタル変換することができるので、測定の正確度を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特徴請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0101】
10 基板
20 第1電極
30 第2電極
40 ナノ構造物
50 感知対象
60 絶縁体
70 第1導電体
80 第2導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記基板上に前記第1電極と離隔しており、前記第1電極を実質的に取り囲む第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極に接触され、感知対象によって電気的特性が変化する少なくとも1つのナノ構造物と、を具備することを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記基板上に位置して、前記第1電極及び前記第2電極の間に位置した絶縁体を更に具備することを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項3】
前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記第1電極と前記第1導電体との間に位置する−と、
前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極と前記第2導電体との間に位置する−と、を更に具備することを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項4】
前記センサーは、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を更に具備し、
前記MOSFETのソース、ゲート、及びドレインのうち少なくともいずれか1つは、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか1つと電気的に連結されることを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項5】
前記第2電極には、所定の電圧である基準電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項6】
前記第1電極は、互いに離隔した複数の第1副電極(sub−electrode)に分けられることを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項8】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意(random)の配置を有することを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項9】
前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極と離隔している追加的な第1電極と、
前記基板上に前記第1電極、前記第2電極及び前記追加的な第1電極と離隔しており、前記追加的な第1電極を取り囲む追加的な第2電極と、
前記追加的な第1電極及び前記追加的な第2電極に接続された追加的な少なくとも1つのナノ構造物と、を更に具備することを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項10】
前記センサーは、液体状態、気体状態、又は、前記感知対象に対する運搬体(carrier)のうち少なくともいずれか1つ内で感知を行うことを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項11】
前記ナノ構造物は、ナノチューブ、ナノワイヤー、ナノ棒、ナノリボン、ナノフィルム、又はナノボールを具備することを特徴とする請求項1記載のセンサー。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に位置し、複数のホールを具備した第2電極と、
前記基板上に前記第2電極と離隔しており、前記複数のホールのそれぞれの内部に位置した第1電極と、
前記複数の第1電極及び前記第2電極に接続され、感知対象によって電気的特性が変化する少なくとも1つのナノ構造物と、を具備することを特徴とするセンサー。
【請求項13】
前記第1電極及び前記第2電極を互いに絶縁させる絶縁体を更に具備することを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項14】
前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記各第1電極と前記第1導電体との間に位置する−と、
前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極と前記第2導電体との間に位置する−と、を更に具備することを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項15】
前記センサーは、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタを更に具備し、
前記MOSFETのソース、ゲート、及びドレインのうち少なくともいずれか1つは、前記第1電極及び前記第2電極のうち少なくともいずれか1つと電気的に連結されることを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項16】
前記第2電極には所定の電圧である基準電圧が印加されることを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項17】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項18】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意(random)の配置を有することを特徴とする請求項12記載のセンサー。
【請求項19】
(a)基板を準備する段階と、
(b)前記基板上に位置する第1電極及び前記基板上に前記第1電極と離隔して前記第1電極を取り囲む第2電極を形成する段階と、
(c)前記第1電極の上面及び前記第2電極の上面に接触する少なくとも1つのナノ構造物を形成する段階と、を具備することを特徴とするセンサー製造方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、パターニング工程なしに形成されることを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項21】
(d)前記(b)段階と前記(c)段階との間に行われ、前記基板上に絶縁体−前記絶縁体は前記第1電極及び前記第2電極の間に位置する−を形成する段階を更に具備することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項22】
(e)前記(c)段階後に行われ、前記第1電極上に位置する第1導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の一部が前記第1電極及び前記第1導電体の間に位置する−及び前記第2電極上に位置する第2導電体−前記少なくとも1つのナノ構造物の他の一部が前記第2電極及び前記第2導電体の間に位置する−を形成する段階を更に具備することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項23】
前記第1導電体及び前記第2導電体は、リフトオフ方式で形成されることを特徴とする請求項22記載のセンサー製造方法。
【請求項24】
前記第1導電体及び前記第2導電体は、化学的鍍金方式で形成されることを特徴とする請求項22記載のセンサー製造方法。
【請求項25】
前記(a)段階は、
(a1)前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極形状のアルミニウム層を形成する段階と、
(a2)前記基板をパラジウムが含まれた溶液に露出させることにより、前記アルミニウム層の表面にパラジウム層を形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項24記載のセンサー製造方法。
【請求項26】
前記化学的鍍金は、前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する方式で行われることを特徴とする請求項25記載のセンサー製造方法。
【請求項27】
前記(a)段階は、
(a3)前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項25記載のセンサー製造方法。
【請求項28】
前記化学的鍍金は、前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記金層の表面に追加的な金層が形成されるようにする方式で行われることを特徴とする請求項27記載のセンサー製造方法。
【請求項29】
(f)前記(c)段階後に行われ、熱処理を行う段階を更に具備することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項30】
前記(a)段階は、
(a1)前記基板上に前記第1電極及び前記第2電極形状のアルミニウム層を形成する段階と、
(a2)少なくとも前記基板をパラジウムが含まれた溶液に露出させることにより、前記アルミニウム層の表面にパラジウム層を形成する段階と、
(a3)少なくとも前記基板を金が含まれた溶液に露出させることにより、前記パラジウム層の表面に金層を形成する段階と、を含むことを特徴とする請求項29記載のセンサー製造方法。
【請求項31】
(g)前記(a)段階と前記(b)段階との間に行われ、前記第1電極及び前記第2電極の下に位置する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成する段階を更に具備することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、カーボンナノチューブ(CNT)を含むことを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのナノ構造物は、任意の配置を有することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項34】
前記(c)段階は、
(c1)前記基板をCNTが分散された溶液に浸漬させる段階と、
(c2)前記基板を前記溶液から引き出す段階と、を具備することを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。
【請求項35】
前記第1電極は、前記第2電極によって区画される複数の第1副電極に分けられることを特徴とする請求項19記載のセンサー製造方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図11(c)】
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【図11(d)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図12(c)】
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【図12(d)】
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【公表番号】特表2010−500558(P2010−500558A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523716(P2009−523716)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003767
【国際公開番号】WO2008/018726
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(508369906)エスエヌユー アール アンド ディービー ファウンデーション (11)
【Fターム(参考)】