説明

ナノ構造物

本発明は、ナノチューブ、特に、ナノチューブの調製のための工程及び装置に関する。特に、本発明は、炭素以外の材料から作られるナノチューブ、又は、炭素を含有するが、低い炭素の含有量のため、通常はカーボンナノチューブに分類されないであろうナノチューブに関する。本発明のナノチューブは、イオン導電体/バッテリーの部品、水素の貯蔵、ナノワイヤーを鋳造すること、電気的デバイス、触媒作用及び合成、フラットスクリーンの技術、並びに機械的用途のような、多くの用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノチューブ、特に、ナノチューブの調製のための工程及び装置に関する。より具体的には、本発明は、炭素以外の材料から作られるナノチューブ、又は、炭素を含有するが、低い炭素の含有量のため、通常はカーボンナノチューブに分類されないであろうナノチューブに関する。より詳しくは、本発明は、また、チューブ、ロッド、及びファイバーのような精密に定義されたナノ構造物並びに他のナノ構造物に関するが、どんな凝集性の構造も欠くと共に本発明の一部を形成しないナノ粒子(例えば、球体)のような等方性の構造に関係しない。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、実際上は、結晶質のグラファイトを形成する炭素原子の六角形の格子に基づく、円柱形の構造物である。カーボンナノチューブは、単一の壁又は多数の壁で囲まれた構造を有してもよい。カーボンナノチューブは、壁におけるグラファイトの環の直径及びは位置に依存して、半導体又は金属として挙動することができる。
【0003】
カーボンナノチューブは、このように、異常な電子的及び機械的性質を有する特有のナノ構造物である。カーボンナノチューブは、通常、0.4ナノメートル(nm)から100nmまでの程度の直径及び約1cmまでの長さを有する。ナノチューブを、一次元の量子ワイヤーのための原型として考えることができ、且つ、これらの性質は、具体的には、それらの構造から導かれる。ナノチューブの群を、分子のワイヤーを形成するために、互いに接合させることができる。事実上、カーボンナノチューブは、あるタイプのフラーレンであり、且つ、カーボンナノチューブの端を、フラーレン様のキャップから形成しなければならない。これは、カーボンナノチューブの直径が、フラーレンの分子と同程度に小さくあり得るのみであるという帰結を有する。
【0004】
カーボンナノチューブの一次元の電子的性質は、ナノチューブの軸に垂直な方向における電子の量子的な制限により、現れる。その結果は、ナノチューブを形成する炭素原子の六角形のネットワークの直径及び配置に依存して、たいていのカーボンナノチューブが、半導体性であると共に少数のものが、挙動の点で金属的であると共に、多くの一次元の伝導帯及び価電子帯を、生じさせるというものである。
【0005】
カーボンナノチューブの潜在的な関心のある電気的な、磁気的な、非線形光学の、熱的な、及び機械的な性質に関して多くの期待があり続けてきた。実際には、カーボンナノチューブは、鋼及び他の合金のものよりも大きい機械的強度及びひずみ特性を示す。同時に、カーボンナノチューブは、従来のタイプのセラミックの材料又は重合体の材料と同様であるか又はそれよりも少ない低い密度を有する。
【0006】
特許文献1は、カーボンナノチューブの成長を支持することが可能な基板が、反応室において加熱素子の付近に提供される、カーボンナノチューブを生産するための工程を記載する。そして、気体の炭素質の材料を、それが、基板上を通過すると共にそれに接触するように、反応室中を通過させるが、その結果として、カーボンナノチューブが、基板上に成長する。この工程は、300℃程度の低い温度におけるカーボンナノチューブの調製を許容することが言われている。
【0007】
特許文献2は、カーボンナノチューブの複合の構造物を調製するための工程を開示し、且つ、この特許は、金属の材料、セラミックの材料、又は重合体の材料のような、より密な材料とのカーボンナノチューブの複合物を生産する問題を克服することを試みる。このような材料の生産における一つの問題は、材料の間の密度の差が、軽量のカーボンナノチューブからの複合の材料の重力による分離に帰着するという事実から由来することが、示唆される。加えて、静電的な性質が、複合物の形成の間にカーボンナノチューブの凝集をもたらし、その結果として、複合の材料の均質なマトリックスを、容易に形成することができない。
【0008】
どんな先行する研究の先行技術にも、窒化リチウムのナノチューブ又は関連した異方性の(若しくは実際には等方性の)ナノ構造物についての開示がない。さらに、1族の元素を含有する形成された非金属の元素とナノ構造化された窒化物、炭化物、又は他の化合物の証拠がない。
【0009】
窒化マグネシウムは、ナノ構造化された2属の元素の材料の先行技術(特許文献3)において、唯一の例である。この先行する技術は、ナノ粒子(すなわち、nmの寸法の近似的に等方性の粒子−球体)を記載するが、本発明におけるような異方性の構造を記載しない。
【0010】
特許文献4は、“ナノ構造化された”金属、合金、及び炭化物を開示するが、これらは、重ねて、<100nmの直径の近似的に等方性のナノ粒子である。
【0011】
特許文献5は、<1000nmのナノ構造化された窒化物のセラミックの粉末を開示し、且つ、これらは、本質的に、等方性の材料である。
【0012】
特許文献6は、ナノサイズ化された炭化チタンを開示するが、重ねて、これらは、ナノ粒子であり、且つ、この特許は、単一の材料を開示するのみである。同様に、特許文献7は、ナノサイズ化されたホウ化チタンを開し、且つ、重ねて、その材料は、ナノ粒子の形態にある。また、この特許は、一つの例に及ぶだけである。
【0013】
特許文献8は、<100nmの直径及び10−1000のアスペクト比を備えた金属の炭化物のナノロッドを開示し、且つ、特許文献9は、任意の金属の炭化物のナノフィブリルを開示するが、各々の場合において、どんなナノチューブタイプの構造物の開示もない。
【0014】
しかしながら、先行技術は、完全に又は大体は、炭素以外の材料を主材料とした、ナノチューブのどんな形態も、又は、実際には、IA族の金属を主材料とした、どんな異方性のナノ構造物も、開示しない。カーボンナノチューブにおける関心は、広い範囲の系の性能における段階的な変化を許容する可能性のために、生まれる。しかしながら、カーボンナノチューブの用途の数は、構造物及び利用可能な電子的性質の範囲によって、限定される。
【特許文献1】国際公開第02/081366号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/042204号パンフレット
【特許文献3】中国特許出願公開第1109022A号
【特許文献4】国際公開第98/24576A号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5876682号明細書
【特許文献6】中国特許出願公開第1348919A号
【特許文献7】中国特許第1371863号
【特許文献8】米国特許第5997832号明細書
【特許文献9】国際公開第96/30570A号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、炭素以外の材料からのナノロッド、ナノファイバー、及びナノチューブのような広い範囲のナノスケールの構造物を提供することを目指す。また、低い(すなわち、50%未満の)炭素の含有量のために、炭素を組み込むが炭素のナノ構造物として分類されないであろうナノスケールの構造物を生産することも、本発明の範囲内にある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一つの態様に従って、周期表のIA族及びIIA族から選択される少なくとも一つの元素並びにIIIA族、IVA族、及びVA族から選択される少なくとも一つの元素から形成された等方性のナノスケールの構造物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ある実施形態において、ナノ構造物は、無機のものである。
【0018】
好ましくは、その構造物は、周期表のIA族から選択される少なくとも一つの元素並びにIIIA族、IVA族、及びVA族から選択される少なくとも一つの元素から形成される。より好ましくは、その構造物は、IA族から選択される少なくとも一つの元素並びにVA族から選択される少なくとも一つの元素から形成される。
【0019】
好ましくは、IA族の元素は、リチウム、ナトリウム、又はカリウムであり、且つ、最も好ましくは、その元素は、リチウムである。
【0020】
ある実施形態において、IIIA族、IVA族、及びVA族から選択される元素は、それらの族から選択される非金属の元素である。このように、IIIA族、IVA族、及びVA族から選択される元素は、ホウ素、炭素、ケイ素、又は窒素の一つ以上である。最も好ましくは、非金属の元素は、VA族の元素であり、且つ、最も好ましくは、VA族の元素は、窒素である。
【0021】
このように、最も好ましくは、ナノ構造物は、窒化リチウム(LiN)を主材料とする。
【0022】
好ましくは、その構造物は、ナノチューブ、ナノロッド、又はナノファイバーである。より好ましくは、その構造物は、ナノチューブである。
【0023】
本発明のナノ構造物においては、ナノ構造物の性質を変更するために、IA族及びIIA族の金属の元素のいくつか又は全てを、水素又は遷移金属、好ましくは銅、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、及び亜鉛のような別の元素で、交換することが、可能である。このように、遷移金属又は水素は、また自由選択で、ナノ構造物の形成の間、反応容器中に存在してもよい。
【0024】
本発明の別の態様において、ナノ構造物は、中空の芯が、金属のナノワイヤーを形成するために、金属のような別の材料で充填されてあるナノチューブである。
【0025】
本発明のさらなる実施形態において、ナノ構造物の化学的な変更を、ナノ構造物の性質を高める又は調整するために、行ってもよい。このように、窒化リチウムの場合には、リチウム、窒素、及び酸素を含有する非化学量論的な構造物を生産するために、又は、酸化リチウムを主材料として有効にナノ構造物を生産するために、ナノ構造物を部分的に酸化させることは、可能である。
【0026】
本発明の別の態様において、先に定義したようなナノ構造物の生産のための工程が提供され、その工程は、大気圧と10−4トールの圧力との間の圧力で、密閉された熱室において、IIIA族、IVA族、又はVA族の元素の気体の源に、IA族又はIIA族の金属を、自由選択で遷移金属の存在下に、露出させることを含み、ここで温度の上限は、1200℃を超えない。
【0027】
好ましくは、その工程において、温度の上限は、化合物の分解の温度によって、定義される。
【0028】
ある実施形態において、その工程は、窒化リチウムを作るために、使用される。この場合には、リチウムは、密閉された容器において窒素の存在下で、その容器内の圧力が、窒化リチウムのナノ構造物を形成するために、一定であるまで、加熱される。
【0029】
窒化リチウムを主材料としたもののような、無機のナノ構造物は、このタイプの材料から利用可能である異なる性質の数のため、多くの用途において有益なものであることが、期待される。このように、例えば、窒化リチウムは、超イオン導電体であり、従って、窒化リチウムから誘導されるナノ構造物は、再充電可能なナノバッテリーのような材料及び他の電子部品における用途を見出しそうである。これは、炭素のナノ構造物が、明らかに不適当である、一つの用途である。
【0030】
ロッド、ファイバー、及びチューブを含むが、それらに限定されない、本発明の異方性の構造物は、それらの性質のため、多くの用途を有する。
【0031】
このように、本発明のナノ構造物は、イオン導電体/バッテリーの部品、水素貯蔵デバイスにおけるもの、ナノワイヤーを鋳造するためのもの、電気的なデバイス、触媒作用及び合成、フラットスクリーンの技術(表示画面)、並びに、構造部材のような機械的用途におけるもののような、多くの用途を有する。本発明に従う無機のナノ構造物は、これらの用途の全てを充足することが可能である。
【0032】
イオン導電体/バッテリーの部品の場合には、コバルト、ニッケル、銅、鉄、マンガン、又は亜鉛などのような別の元素へのIA族又はIIA族の金属の部分的な置換による窒化リチウムのナノ構造物の変更は、増加した空孔の準位及び減少した活性化エネルギーにより、改善された導電率のような電子的な性質の変調をもたらす。また、構造物の安定性における改善がある。よって、これらの材料は、理想的には、小さい再充電可能なバッテリーにおける部品としての使用に適切なものであることになる。このように、本発明のこの態様の一つの実施形態において、変更されてない窒化リチウムは、電解質を形成し、且つ、置換された窒化リチウムのナノ構造物は、電極を形成する。現在、イオン導電体であることが可能であると共にこのようにバッテリー内への組み込みの可能なものであるナノチューブの系はない。
【0033】
本発明の無機のナノチューブは、カーボンナノチューブの系と比較して、高められた水素の貯蔵の容量を示すことが、期待される。このように、本発明のさらなる態様は、構造物内に水素を収容すると共に貯蔵するために、窒化リチウムのような、無機の材料を主材料としたナノチューブの構造物の使用に関する。また、水素を含有するこのような構造物は、改善されたイオン導電率から利益を得ることになる。その構造物内における水素の包含のこの方法は、ちょうど、吸収された分子の形態におけるよりもむしろ水素を貯蔵する代替の方法を提供すると共に、大容量の水素を貯蔵する能力が重要である用途における使用を見出すことが期待される。このような使用の例は、乗り物用の進歩した燃料電池を含む。
【0034】
金属のナノワイヤーを形成するために、金属でカーボンナノチューブを、チューブの中央を通じて、充填することが可能であることが、示されてきたが、ナノワイヤーを離型するための、カーボンナノチューブの鋳型のその後の除去が、苛酷な条件を要求するという問題がある。対照的に、本発明の無機のナノチューブは、ナノワイヤーを形成するために金属で充填した後に、それらを、水又は空気の存在下で適切な(穏やかな)条件の下で分解してもよいので、取り除くことが容易である。これは、カーボンナノチューブの場合に要求された、より強制の条件に対して、顕著な利点を表す。このように、本発明の別の態様は、無機のナノチューブから誘導されたナノワイヤーに関する。
【0035】
また、本発明の無機のナノ構造物を、電子デバイスを形成するために、使用することもできる。従来のカーボンナノチューブは、トランジスターのようなナノスケールの部品として提案されてきた。しかしながら、本発明の無機のナノ構造物を主材料としたイオン導電体は、これらの系の代案を提示する。このように、窒化リチウムの場合には、超イオン導電率及び多くの異なる価電子帯の利用可能性は、ある範囲の導電率の性質を活用することを、及びこのように、多くのデバイスを生産することを、可能にする。
【0036】
また、本発明のナノ構造物は、反応における触媒として使用することができる材料を提供する。ナノチューブ又はナノフィラメントに形成された触媒のようなナノ構造物の形態学は、活性触媒の表面の大きさ、表面積、及び形状の選択性の点から、粉末の使用上の利点を提示する。本発明のナノ構造物を、それらの自由な形態で、又は、適切な基体に不動にされるとき、使用してもよい。加えて、ナノ構造物におけるキラリティの可能性は、触媒をキラルな触媒として使用してもよいことを意味する。
【0037】
また、窒化リチウムのナノチューブのような無機のナノ構造物の電子的な性質は、発光ダイオード(電界放出ディスプレイ)のようなフラットスクリーンの技術における用途をもたらす。
【0038】
また、ある一定の本発明の無機のナノ構造物は、それらの長さに沿って極端に高い引張強さを見せる。また、好都合な圧縮の性質及び/又は(せん断歪のような)曲げの性質が、これらの材料に見られる。このように、例えば、窒化リチウムのナノチューブを、ある一定のデバイスにおける構造要素として使用してもよい。
【0039】
ナノスケールの構造物の合成を、直接的に又は間接的に、達成することができる。本発明のナノ構造物の形成の正確な機構は、明らかではない。しかしながら、多くの特徴が、ナノ構造物の形成を保証することに、重要であることが信じられる。
【0040】
反応容器の形状及び大きさは、重要である。我々は、長い狭い形状が、温度勾配を構築することに、重要であることを見出してきた。理想的には、好ましい温度勾配を保証するためには、容器の長さは、それの直径の少なくとも二倍であるべきである。温度勾配は、カルコゲニドのもののような無機のナノ構造物を生産するための化学蒸気輸送技術においては、特に重要である。
【0041】
また、我々は、生産物が、圧力が、大気圧より下まで減少させられる場合に限り、生ずることを見出してきた。しかしながら、我々は、また、反応容器に存在するある一定の量の気体があることが、なお必要であること、及び、これが、輸送気体として挙動することが信じられることも見出してきた。しかしながら、反応容器中の圧力に下限があり、且つ、我々は、合成が、10−4トールの圧力より下では、良好に進行しないことを見出してきた。受け入れ可能な圧力の範囲の上限は、大気圧である。
【0042】
また、温度が、無機化合物が、揮発性になるほど、十分に高いことも重要である。窒化リチウムの場合には、適切な温度の範囲は、反応容器中の圧力に依存して、150℃と300℃との間にある。ある一定の無機化合物において、個々の元素を、気相中で輸送すると共に再結合させてもよいことが信じられるので、多少の分解を、許容してもよいが、無機化合物の分解を回避する要望によって、温度の上限は、支配される。
【0043】
ある一定の無機化合物の形成の間に、反応容器中での遷移金属の存在が、ナノ構造物を生産することに有益であること、又は、ナノ構造物の性質を変えることを、見出してきた。このように、窒化リチウムの場合に、反応容器における鉄の粉末の存在は、シートが巻き上がる様式で、変質をもたらす。このように、遷移金属の存在は、無機のナノ構造物の形成において触媒の効果及び/又は構造を方向付ける効果を有してもよい。加えて、無機のナノ構造物の壁に遷移金属を統合する(置換する)可能性がある。
【実施例1】
【0044】
今、本発明を、窒化リチウムを主材料とした無機のナノ構造物の調製の例を参照して、例証することにする。窒化リチウムを、室温で窒素の気体にリチウムの金属を露出させることによって、形成することができる。あるいは、リチウムを、窒素の存在下で加熱することができる。また、窒化リチウムを、窒素と反応させられるリチウムに対する溶剤として、溶融したナトリウムを使用することによって、生産することができる。
【0045】
ナトリウム中のリチウムの溶解は、アルゴンで充填されたグローブボックス中で実行され、且つ、ナトリウムは、加熱を提供するための熱板を使用して、溶融した状態に保たれる。溶融したナトリウムは、存在してもよいどんな残余の酸素の気体又は水蒸気と反応することによって、アルゴン雰囲気を清浄に保つ。リチウムを、溶融したナトリウム中に溶解させ、そして、その混合物を含有するるつぼは、熱板から取り除かれ、且つ、冷却することが許容される。一度冷却すると、るつぼは、再度アルゴン気体の雰囲気で、炉内の反応容器中に密閉され、且つ、熱及び窒素が、供給される。窒化リチウムのナノチューブのみからなる、一まとまりの赤色の繊維状の材料は、炉内に提供された便利な表面上のるつぼより上に成長する。適切な表面は、例えば、鉄のワイヤーの輪を含む。アルゴン気体の雰囲気は、適切なポンプを使用して、取り除かれ、且つ、正圧(典型的には、1.5気圧)の下で導入される窒素で交換される。反応物は、72時間までの間、400℃と500℃との間、好ましくは約460℃まで加熱され、且つ、反応容器中の圧力は、反応の間における圧力の変化を測定するための圧力変換器で監視される。適切な期間、通常は6時間と72時間との間の後、反応が、完了すると共に、完了の点を、圧力変換器によって測定することができる。一度反応が完了し、そして、容器が、室温まで急冷されると、反応容器中の圧力は、一定である。
【0046】
反応容器は、冷たい指状突起を含み、そして、その指状突起中に、水が置かれ、且つ容器は、10−4トール以下の圧力まで排気される。冷たい指状突起に再凝縮するナトリウムを蒸留し尽くすために、再度、容器は、動的な真空下で、24時間までの間、400℃と500℃との間、好ましくは約450℃まで加熱される。紫色の結晶質の生産物の形態における窒化リチウムは、るつぼ中に残留すると共に、集められてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
な し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期表のIA族及びIIA族から選択される少なくとも一つの元素並びにIIIA族、IVA族、及びVA族から選択される少なくとも一つの元素から形成された異方性のナノスケールの構造物。
【請求項2】
当該ナノ構造物は、無機のものである、請求項1に記載のナノスケールの構造物。
【請求項3】
前記IA族の元素は、リチウム、ナトリウム、又はカリウムである、請求項1に記載のナノスケールの構造物。
【請求項4】
前記IA族の元素は、リチウムである、請求項3に記載のナノスケールの構造物。
【請求項5】
当該構造物は、ナノチューブ、ナノロッド、又はナノファイバーである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項6】
当該構造物は、ナノチューブである、請求項5に記載のナノスケールの構造物。
【請求項7】
前記IIIA族、IVA族、及びVA族から選択される非金属の元素は、ホウ素、炭素、ケイ素、又は窒素の一つ以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項8】
前記非金属の元素は、窒素である、請求項7に記載のナノスケールの構造物。
【請求項9】
前記IA族及びIIA族の金属の元素のいくつかは、水素及び/又は遷移金属から選択される別の元素で交換されてある、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項10】
当該ナノ構造物は、中空の芯が、金属のナノワイヤーを形成するために、金属で充填されてある、ナノチューブである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項11】
当該ナノ構造物の化学的な変更が、当該ナノ構造物の性質を高める又は調整するために、行われてある、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項12】
窒化リチウム(LiN)を主材料としたナノスケールの構造物。
【請求項13】
イオン導電体/バッテリーの部品における、水素の貯蔵デバイスにおける、ナノワイヤーを鋳造するための、電気的デバイスにおける、触媒作用における、フラットディスプレイの表示画面における、又は構造部材としての、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のナノ構造物の使用。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のナノ構造物の生産のための工程であって、
当該工程は、大気圧と10−4トール圧力との間の圧力で、密閉された熱室において、該IIIA族、IVA族、又はVA族の元素の気体の源に、該IA族又はIIA族の金属を、自由選択で遷移金属の存在下で、露出させることを含み、
温度の上限は、1200℃を超えない、工程。
【請求項15】
前記温度の上限は、化合物の分解の温度によって定義される、請求項14に記載の工程。
【請求項16】
窒化リチウムのナノ構造物を形成するために、リチウムが、密閉された容器において、窒素の存在下で、該容器における圧力が一定であるまで、加熱される、請求項14又は15に記載の工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期表のIA族及びIIA族から選択される少なくとも一つの元素並びにIIIA族、IVA族、及びVA族から選択される少なくとも一つの元素から形成された異方性のナノスケールの構造物。
【請求項2】
当該ナノ構造物は、無機のものである、請求項1に記載のナノスケールの構造物。
【請求項3】
前記IA族の元素は、リチウム、ナトリウム、又はカリウムである、請求項1に記載のナノスケールの構造物。
【請求項4】
前記IA族の元素は、リチウムである、請求項3に記載のナノスケールの構造物。
【請求項5】
当該構造物は、ナノチューブ、ナノロッド、又はナノファイバーである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項6】
当該構造物は、ナノチューブである、請求項5に記載のナノスケールの構造物。
【請求項7】
前記IIIA族、IVA族、及びVA族から選択される非金属の元素は、ホウ素、炭素、ケイ素、又は窒素の一つ以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項8】
前記非金属の元素は、窒素である、請求項7に記載のナノスケールの構造物。
【請求項9】
前記IA族及びIIA族の金属の元素のいくつかは、水素及び/又は遷移金属から選択される別の元素で交換されてある、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項10】
当該ナノ構造物は、中空の芯が、金属のナノワイヤーを形成するために、金属で充填されてある、ナノチューブである、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項11】
当該ナノ構造物の化学的な変更が、当該ナノ構造物の性質を高める又は調整するために、行われてある、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のナノスケールの構造物。
【請求項12】
窒化リチウム(LiN)を主材料とした異方性のナノスケールの構造物。
【請求項13】
イオン導電体/バッテリーの部品における、水素の貯蔵デバイスにおける、ナノワイヤーを鋳造するための、電気的デバイスにおける、触媒作用における、フラットディスプレイの表示画面における、又は構造部材としての、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の異方性のナノ構造物の使用。
【請求項14】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載のナノ構造物の生産のための工程であって、
当該工程は、大気圧と10−2Pa(10−4トール圧力との間の圧力で、密閉された熱室において、該IIIA族、IVA族、又はVA族の元素の気体の源に、該IA族又はIIA族の金属を、自由選択で遷移金属の存在下で、露出させることを含み、
温度の上限は、1200℃を超え
該室は、冷たい指状突起を含み、該指状突起の中に水が置かれる、工程。
【請求項15】
前記温度の上限は、化合物の分解の温度によって定義される、請求項14に記載の工程。
【請求項16】
窒化リチウムのナノ構造物を形成するために、リチウムが、密閉された容器において、窒素の存在下で、該容器における圧力が一定であるまで、加熱される、請求項14又は15に記載の工程。

【公表番号】特表2006−511422(P2006−511422A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561649(P2004−561649)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005565
【国際公開番号】WO2004/057070
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505229911)ユニヴァーシティ オブ ノッティンガム (2)
【Fターム(参考)】