説明

ナノ粒子を含む重合性組成物

輝度向上フィルムのために特に有用なナノ粒子を含む重合性組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国特許第5,175,030号明細書および同第5,183,597号明細書に記載されているような特定の微細複製光学製品は「輝度向上フィルム」と一般に呼ばれる。輝度向上フィルムは、エレクトロルミネセンスパネル、ラップトップコンピュータ表示装置、ワードプロセッサ、デスクトップモニター、テレビ、ビデオカメラならびに自動車表示装置および航空機表示装置中で用いられるものを含む液晶表示装置(LCD)などの背部照明フラットパネル表示装置の輝度を増すために多くの電子製品の中で用いられている。
【0002】
輝度向上フィルムは、望ましくは、生じた輝度ゲイン(すなわち「ゲイン」)に関連付けられる輝度向上フィルムの屈折率を含む特定の光学的特性および物理的特性を示す。改善された輝度は、表示装置を照明するために、より少ない電力を用いることにより電子製品がより効率的に動作することを可能にすることができ、よって電力消費を減らし、その部品上により低い熱負荷を加え、製品の寿命を延ばす。
【0003】
輝度向上フィルムは、例えば、米国特許第5,908,874号明細書、同第5,932,626号明細書、同第6,107,364号明細書、同第6,280,063号明細書、同第6,355,754号明細書ならびにEP第1014113号明細書および国際公開第03/076528号パンフレットに記載されたように、硬化されるか、または重合される高屈折率のモノマーから調製されてきた。
【0004】
輝度向上フィルムの製造のために適する種々の重合性組成物は知られているけれども、産業界は代替組成物において利点を見出すであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、
i)構造
【化1】

(式中、
R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立してHまたはBrであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、
Qは独立してOまたはSである)
を有する主部分を含むモノマー、
ii)構造
【化2】

R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立してHまたはBrであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、
Lは、直鎖または分岐のC2〜C12アルキル基から独立して選択された連結基であり、ここで、炭素鎖は1個以上の酸素基で任意に置換されている、および/または炭素原子は1個以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
を有する主部分を含むモノマー、
およびiとiiの混合物
からなる群から選択された少なくとも約15重量%の1種以上の第1のモノマー、
b)少なくとも約10重量%の無機ナノ粒子および
c)少なくとも2種の(メタ)アクリレート官能基を含む任意に架橋剤
を含む重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を有する輝度向上フィルムが記載されている。
【0006】
もう1つの実施形態において、
a)少なくとも約15重量%の1種以上の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー、
b)少なくとも約10重量%の無機ナノ粒子および
c)少なくとも2個の(メタ)アクリレート官能基を含む任意に架橋剤
を含む重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を有する輝度向上フィルムが記載されている。
【0007】
もう1つの実施形態において、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含む有機成分および少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む実質的に無溶媒の重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を有する輝度向上フィルムが記載されている。有機成分は180°Fで1000cps未満の粘度を有する。有機成分は450g/モルより大きい数平均分子量を有する少なくとも1種の低重合体エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。
【0008】
なおもう1つの実施形態において、1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含むとともに少なくとも1.54の屈折率を有する有機成分および少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む実質的に無溶媒の重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を有する輝度向上フィルムが記載されている。
【0009】
無機粒子の量は、典型的には約60重量%未満である。無機ナノ粒子は、好ましくは表面改質されている。無機ナノ粒子は、典型的には、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化錫、それらの混合金属酸化物、およびそれらの混合物を含む。ナノ粒子は、一次粒子サイズにおいて5nm〜75nm、10nm〜30nm、5nm〜15nmの範囲であってもよい。
【0010】
第1のモノマーは、好ましくは、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応生成物からなる。重合性組成物は少なくとも1種の第2の高屈折率モノマー(すなわち第1のモノマーとは異なる)を更に含んでもよい。重合性組成物は、好ましくはメタクリレート官能性モノマーを含まない。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、第2の光学フィルムまたは光ガイドに接触している輝度向上フィルムを含む物品に関する。第2の光学フィルムは、ターニングフィルム、ディフューザ、吸収偏光子、反射偏光子または保護カバーフィルムを含んでもよい。
【0012】
本明細書に記載された重合性組成物は他の光学物品または微細構造化物品のためにも有利である場合がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本説明内で用いられる時、
「屈折の率」または「屈折率」は、自由空間中の電磁放射線の速度対材料中の電磁放射線の速度の比であることが理解される当該材料(例えばモノマー)の絶対屈折率を意味する。屈折率は既知の方法を用いて測定することが可能であり、可視光線領域内で「アッベ(Abbe)」屈折計(例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグのフィッシャー・インストルメンツ(Fisher Instruments(Pittsburgh,PA))から市販されている)を用いて一般に測定される。測定された屈折率が計器に応じてある程度異なりうることは一般に認められている。
【0014】
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方を意味する。
【0015】
「重合性組成物」は、少なくとも1種の重合性モノマーを含む有機成分および任意の無機ナノ粒子を含む全組成物を意味する。
【0016】
「有機成分」は無機ナノ粒子を除く組成物の成分のすべてを意味する。重合性組成物が無機ナノ粒子を含まない実施形態に関して、有機成分および重合性組成物は同一物中の1つである。
【0017】
「ナノ粒子」という用語は、約100nm未満の直径を有する粒子(一次粒子または結合一次粒子)を意味するように本明細書で定義される。
【0018】
「表面改質されたコロイドナノ粒子」は、ナノ粒子が安定な分散液を提供するように改質された表面を各々が有するナノ粒子を意味する。
【0019】
「凝結」は互いに化学結合されていてもよい一次粒子間の強い結合を意味する。より小さい粒子への凝結の崩壊は達成するのが難しい。
【0020】
「凝集」は電荷または極性によって結合されていてもよい一次粒子間の弱い結合を意味し、より小さい粒子に崩壊させることが可能である。
【0021】
「一次粒子サイズ」は単一(非凝結、非凝集)粒子の平均径を意味する。
【0022】
輝度向上フィルムは点灯装置の軸上輝度(本明細書において輝度と呼ぶ)を一般に向上させる。輝度向上フィルムは光透過性の微細構造化フィルムであることが可能である。微細構造化トポグラフィは、反射および屈折を通して光の方向を変えるためにフィルムを用いることができるようなフィルム表面上の複数のプリズムであることが可能である。プリズムの高さは、典型的には約1〜約75マイクロメートルの範囲である。ラップトップコンピュータ、ウォッチなどで見られるものなどの光学的表示装置中で用いられる時、微細構造化光学フィルムは、光学的表示装置を通って走る垂直軸から所望する角度で配置された一対の平面内に表示装置からの光逃散を制限することにより光学的表示装置の輝度を増すことが可能である。結果として、許容範囲の外に表示装置から出る光は表示装置に反射して戻り、表示装置の中で、光の一部は「再循環する」ことが可能であり、表示装置から光が逃散することを可能にする角度で微細構造化フィルムに戻ることが可能である。再循環が所望の輝度レベルを表示装置に与えるために必要な電力消費を削減することができるので再循環は有用である。
【0023】
輝度向上フィルムは、対称のチップとグルーブの規則的反復模様を有する微細構造保持物品を含む。グルーブ模様の他の例には、チップとグルーブが対称でない模様、チップとグルーブとの間のサイズ、向きまたは距離が均一ではない模様が挙げられる。輝度向上フィルムの例は、ル(Lu)らによる米国特許第5,175,030号明細書およびル(Lu)による米国特許第5,183,597号明細書に記載されている。
【0024】
図1を参照すると、輝度向上フィルム30は、基層2および光学層4を含んでもよい。光学層4はプリズム6、8、12および14として識別された規則的直角プリズムの直線配列を含む。各プリズム、例えば、プリズム6は第1の平面10および第2の平面11を有する。プリズム6、8、12および14は、プリズムが上に形成されている第1の表面18および実質的に平坦または平面で第1の表面18とは逆である第2の表面20を有する基層2上に形成される。直角プリズムとは、尖端角αが典型的には約90度であることを意味する。しかし、この角度は70度〜120度の範囲であることが可能であり、80度〜90度の範囲であってもよい。更に、尖端は、鋭いか、丸みを帯びているか、平坦にされているか、または先端が切り取られていることが可能である。プリズムの平面は同じである必要がなく、プリズムは互いに対して傾けられていてもよい。光学物品の全厚さ24とプリズムの高さ22との間の関係は異なってもよい。しかし、輪郭が明確なプリズム平面を有する比較的より薄い光学層を用いることが典型的には望ましい。プリズムの高さ22対全厚さ24の典型的な比は、一般に25/125および2/125の間である。
【0025】
輝度向上フィルムの基層は、光学製品、すなわち、光の流れを制御するために設計された製品の中で用いるために適する性質および組成の層であることが可能である。多くの材料を基材料として用いることが可能である。但し、材料が十分に光学的にクリアであり、特定の光学製品に組み立てるのに、または特定の光学製品内で用いるのに十分に構造的に強いことを条件とする。好ましくは、光学製品の性能を経時的に損なわない温度および老化への十分な抵抗を有する基材料が選択される。
【0026】
あらゆる光学製品のための基材料の特定の化学組成および厚さは、製作されつつある特定の光学製品の要件、すなわち、特に強度、透明性、耐熱性、表面エネルギー、光学層への粘着性に応じて異なることが可能である。基層の厚さは、典型的には少なくとも約0.025ミリメートル(mm)、より典型的には少なくとも約0.25mmである。更に、基層は、一般に約1mm以下の厚さを有する。
【0027】
有用な基層材料には、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸に基づくコポリマーまたはブレンドおよびガラスが挙げられる。任意に、基材料は、これらの材料の混合物または組み合わせを含むことが可能である。例えば、基材料は多層であってもよいか、または連続相に懸濁または分散された分散相を含んでもよい。例証的な基層材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例には、フォトグレードポリエチレンテレフタレート(PET)および「メリネックス(Melinex)」という商品名でデラウェア州ウィルミントンのデュポン・フィルムズ(DuPont Films(Wilmington,DE))から市販されているPETが挙げられる。
【0028】
基層材料は光学的に活性であることが可能であり、偏光材料として機能することが可能である。多くの基層材料は偏光材料として有用であることが知られている。フィルムを通した光の偏りは、例えば、通過光を選択的に吸収するフィルム材料に二色偏光子を含めることにより実行することが可能である。偏光は、整列したマイカチップなどの無機材料を含めることにより、または連続フィルム内に分散させた光変調液晶の小滴などの連続フィルム内に分散させた不連続相によって達成することも可能である。代替法として、フィルムを異なる材料の極微小層から調製することが可能である。フィルム内の偏光材料は、例えば、フィルムを延伸する、電場または磁場を加えるなどの方法および塗布技術を用いることにより偏光の向きに整列させることが可能である。
【0029】
偏光フィルムの例には、米国特許第5,825,543号明細書および第5,783,120号明細書に記載された偏光フィルムが挙げられる。これらの偏光フィルムの輝度向上フィルムと組み合わせた使用は、米国特許第6,111,696号明細書に記載されている。偏光フィルムのもう1つの例は米国特許第5,882,774号明細書に記載されている。多層偏光フィルムは、DBEF(「デュアル・ブライトネス・エンンハンスメント・フィルム(Dual Brightness Enhancement Film)」)という商品名でミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company(St.Paul,MN))によって販売されている。輝度向上フィルム中のこうした多層偏光光学フィルムの使用は米国特許第5,828,488号明細書に記載されている。
【0030】
他の偏光フィルムおよび非偏光フィルムも、特に米国特許第5,612,820号明細書および同第5,486,949号明細書に記載されたように本発明の輝度向上フィルムのための基層として有用であることが可能である。
【0031】
本発明は、光学物品、特に輝度向上フィルムの光学層のために有用な重合性樹脂組成物に関する。輝度向上物品または他の微細構造化物品は、複数のナノ粒子を任意に含む有機成分の反応生成物を含む重合済み構造を含む。重合済み構造は、基層および光学層でできている光学エレメントまたは光学製品であることが可能である。基層および光学層は同じかまたは異なるポリマー材料から形成することが可能である。
【0032】
重合性樹脂組成物は殆どの製品用途に関して少なくとも1.47の屈折率を有する第1のモノマーを含むのに対して、ターニングフィルムの重合性樹脂組成物は1.44ほどの屈折率を有してもよい。可視光線スペクトルにおける高い透過率も典型的には好ましい。本発明の組成物は、好ましくは、光開始剤の存在下で紫外線または可視光線による照射によって重合可能である。
【0033】
一実施形態において、本発明は、以下の一般構造IまたはIIを有する主部分を含む第1のモノマーを含む重合性組成物に関する。
【化3】

構造IおよびIIの各々において、各R1は独立して水素またはメチルである。各R2は独立して水素または臭素である。各Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、各Qは独立してOまたはSである。典型的には、R1基は同じである。典型的には、R2基も互いに同じである。構造IIにおいて、Lは連結基である。Lは独立して分岐または直鎖のC2〜C12アルキル基を含んでもよい。アルキル基の炭素鎖は1個以上の酸素基で任意に置換されていてもよい。更に、アルキル基の炭素原子は1個以上のヒドロキシル基で任意に置換されていてもよい。例えば、Lは−CH2CH(OH)CH2−であってもよい。典型的には、連結基は同じである。アルキル基は、好ましくは8個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子を含む。
【0034】
IとIIの混合物も用いてよい。
【0035】
第1のモノマーは合成するか、または購入してもよい。本明細書で用いられる主部分は、今論じた特定の構造を含むモノマーの少なくとも60〜70重量%を意味する。他の反応生成物もこうしたモノマーの合成の副生物として典型的に存在することは一般に認められている。
【0036】
第1のモノマーは、好ましくは、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応生成物である。第1のモノマーは、「RDX−51027」という商品名でジョージア州スミルナのUCBコーポレーション(UCB Corporation(Smyrna,GA))から得てもよい。この材料は、2−プロペン酸,(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]エステルの主部分を含む。
【0037】
こうした第1のモノマーの混合物も適切に用いてもよいけれども、製造の容易さのために、可能なかぎり少ない異なるモノマーを用い、けれどもなお適するゲインで輝度向上フィルムを達成することが好ましい。この目的を満たすために、輝度向上フィルムがこれらの第1のモノマーの1種のみの反応生成物、特にテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとアクリル酸の反応生成物よりなることが好ましい。
【0038】
もう1つの実施形態において、重合性組成物は少なくとも1種の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーを含む。種々の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーは市販されている。例えば、(メタ)アクリル化芳香族エポキシ(変性されたエポキシアクリレートとして記載されている)は、「CN118」、「CN115」および「CN112C60」という商品名でペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer(Exton,PA))から入手できる。(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー(エポキシアクリレートオリゴマーとして記載されている)は、「CN2204」という商品名でサートマー(Sartomer)から入手できる。更に、(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー(40%のトリメチロールプロパントリアクリレートとブレンドされたエポキシノボラックアクリレートとして記載されている)は、「CN112C60」という商品名でサートマー(Sartomer)から入手できる。
【0039】
幾つかの実施形態において、芳香族エポキシアクリレートはIIのものなどのビスフェノールAから誘導される。しかし、他の実施形態において、芳香族エポキシアクリレートは、ビスフェノールAとは異なるモノマーから誘導してもよい。有機成分は、芳香族エポキシアクリレート、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の反応性希釈剤および少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。あるいは、重合性組成物の有機成分は、光開始剤を各々が含む芳香族エポキシアクリレートおよび架橋剤または芳香族エポキシアクリレートおよび反応性希釈剤のみを含んでもよい。芳香族エポキシアクリレートを重合性組成物中で用いる場合、芳香族エポキシアクリレートは一官能性であってもよい。但し、重合性組成物が少なくとも2個のエチレン性不飽和重合性基を含む少なくとも1種の原料を含むことを条件とする。芳香族エポキシアクリレートは3個以上の(メタ)アクリレート基を有してもよい。芳香族エポキシ(メタ)アクリレートはハロゲン化されていてもよく、典型的には1.56より大きい屈折率を有する。他の態様において、芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは1.56未満の屈折率を有してもよい。芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは65℃で2150cpsより大きい粘度を有してもよい。30重量%未満の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートを例えば反応性希釈剤と組み合わせて用いてもよい。他の実施形態において、芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは65℃で2150cps未満の粘度を有してもよく、希釈剤を用いなくてもよい。30重量%を上回る芳香族エポキシ(メタ)アクリレートを有機成分中で用いてもよい。
【0040】
第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは、好ましくは少なくとも約15重量%(例えば、20重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%および50重量%ならびにそれらの間のあらゆる量)の量で重合性組成物中に存在する。典型的には、第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートは約60重量%を超えない。
【0041】
第1のモノマーおよび/または芳香族エポキシ(メタ)アクリレートに加えて、本発明の重合性組成物は、少なくとも1種、好ましくは1種のみの架橋剤を任意に含むことが可能である。重合性組成物の重合から生じるポリマーのガラス転移温度を上げるために多官能性モノマーを架橋剤として用いることが可能である。ガラス転移温度は、示差走査熱分析(DSC)、変調DSCまたは動的機械的分析などの技術上知られている方法によって測定することが可能である。好ましくは、高分子組成物は45℃より高いガラス転移温度を提供するのに十分に架橋される。
【0042】
架橋剤は少なくとも2個の(メタ)アクリレート官能基を含む。メタクリレート基がアクリレート基より低い反応性である傾向があるので、架橋剤が3個以上のアクリレート基を含むことが好ましい。適する架橋剤には、例えば、ヘキサンジオールアクリレート(HDDA)、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタクリレート)、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールプロポキシレートトリ(メタ)アクリレートおよびジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋剤のいずれか1つまたは組み合わせを用いてもよい。
【0043】
架橋剤は、好ましくは少なくとも約2重量%の量で重合性組成物中に存在する。典型的には、架橋剤の量は約25重量%より多くない。架橋剤は、約5重量%から15重量%の範囲のいずれかの量で存在してもよい。
【0044】
好ましい架橋剤には、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。より好ましくは、架橋剤はメタクリレート官能基を含まない。ペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA)およびジペンタエリトリトールペンタアクリレートは、それぞれ「SR444」および「SR399LV」という商品名でペンシルバニア州エクストンのサートマー・カンパニー(Sartomer Company(Exton,PA))から、「ビスコート(Viscoat)#300」という商品名で日本国大阪の大阪有機化学工業(Osaka Organic Chemical Industry,Ltd.(Osaka,Japan))から、「アロニックス(Aronix)M−305」という商品名で日本国東京の東亜合成(Toagosei Co.,Ltd.(Tokyo,Japan))から、および「エターマー(Etermer)235」という商品名で台湾国コーシウングのエターナル・ケミカル(Eternal Chemical Co.,Ltd.(Kaohsiung,Taiwan))から市販されている。トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(ジ−TMPTA)は、「SR351」および「SR355」という商品名でサートマー・カンパニー(Sartomer Company)から市販されている。TMPTAは、「アロニックス(Aronix)M−309」という商品名で東亜合成(Toagosei Co.Ltd.)からも入手できる。更に、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレートは、それぞれ「SR454」および「SR494」という商品名でサートマー(Sartomer)から市販されている。
【0045】
十分な重合性反応性基を有する表面改質されたナノ粒子を用いる実施形態に関しては、架橋剤を用いる必要はない。例えば、10重量%のフェノキシエチルアクリレートは、第1のモノマーおよび少なくとも10重量%の表面改質されたナノ粒子と組み合わせることが可能である(例えば、実施例1)。
【0046】
任意の架橋剤および任意の反応性希釈剤と同様に、(例えば、第1の芳香族エポキシ(メタ)アクリレート)モノマーは、典型的には(メタ)アクリレート官能基を含む。好ましい実施形態において、重合性組成物はアクリレート官能基のみを含み、従って、メタクリレート官能基を実質的に含まない。
【0047】
本明細書に記載された重合性組成物は(例えば表面改質された)無機酸化物粒子を含む。こうした粒子のサイズは、著しい可視光線散乱を避けるように選択される。光学特性または材料特性を最適化するとともに全組成物コストを下げるために無機酸化物粒子タイプの混合物を用いることが望ましい場合がある。無機ナノ粒子および有機樹脂から形成された混成ポリマーは、従来の有機樹脂単独で得ることができない耐久性を達成するのに適している。無機ナノ粒子を含めると、こうして形成された物品(例えば輝度向上フィルム)の耐久性を改善することが可能である。
【0048】
今記載された重合性組成物は無機ナノ粒子および180°Fで1000cps未満などの低い粘度を有する有機成分を含む実質的に無溶媒の重合性組成物を提供するために好ましい組成物である。
【0049】
「実質的に無溶媒の」は、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%および0.5重量%未満の(例えば有機)溶媒を有する重合性組成物に関連する。溶媒の組成は、ガスクロマトグラフィなどの既知の方法によって決定することが可能である。0.5重量%未満の溶媒濃度は好ましい。
【0050】
有機成分は固体であるか、または固体成分を含むことが可能である。但し、重合性組成物の融点が塗布温度より低いことを条件とする。有機成分は周囲温度で液体であることが可能である。
【0051】
有機成分の成分は、好ましくは、有機成分が低い粘度を有するように選択される。典型的には、有機成分の粘度は、以前に用いられた組成物の有機成分より実質的に低い。有機成分の粘度は、1000cps未満、典型的には900cps未満である。有機成分の粘度は、塗布温度で800cps未満、450cps未満、600cps未満または500cps未満であってもよい。本明細書で用いられるような粘度は、(1000秒-1以下の剪断速度で)動応力レオメータを用いて25mmの平行板により測定される。更に、有機成分の粘度は、塗布温度で典型的には少なくとも10cps、より典型的には少なくとも50cps、なおより典型的には少なくとも100cps、最も典型的には少なくとも200cpsである。
【0052】
塗布温度は、典型的には周囲温度(すなわち25℃)から180°F(82℃)の範囲である。塗布温度は、170°F(77℃)未満、160°F(71℃)未満、150°F(66℃)未満、140°F(60℃)未満、130°F(54℃)未満、または120°F(49℃)未満であってもよい。有機成分は固体であるか、または固体成分を含むことが可能である。但し、融点が塗布温度より低いことを条件とする。有機成分は周囲温度で液体であることが可能である。
【0053】
有機成分および重合性組成物は殆どの製品用途に関して少なくとも1.47の屈折率を有するのに対して、ターニングフィルムの重合性樹脂組成物は1.44ほどの屈折率を有してもよい。有機成分または重合性組成物の屈折率は、少なくとも1.48、1.49、1.50、1.51、1.52、1.53、1.54、1.55、1.56、1.57、1.58、1.59または1.60であってもよい。ナノ粒子を含む重合性組成物は、1.70ほどの屈折率(例えば、少なくとも1.61、1.62、1.63、1.64、1.65、1.66、1.67、1.68または1.69)を有することが可能である。可視光線スペクトルの高い透過率も典型的には好ましい。
【0054】
従って、今記載された重合性組成物もナノ粒子、および1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含むとともに高い屈折率、すなわち少なくとも1.54を有する有機成分を含む実質的に無溶媒の重合性組成物を提供するために好ましい組成物である。
【0055】
低い粘度および/または高い屈折率の有機成分を有する重合性組成物は、他のエチレン性不飽和モノマーからも調製してよい。有機成分は、(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリル化フェノールオリゴマー、(メタ)アクリル化アクリルオリゴマーおよびそれらの混合物を含んでもよい。しかし、幾つかの実施形態において、有機成分はウレタン連結を含まない。
【0056】
有機成分は、典型的には反応性希釈剤および/または架橋剤と組み合わせて450g/モルより大きい数平均分子量を有する少なくとも1種の低重合体エチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。
【0057】
適する低重合体(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマーは、「CN104」、「CN116」、「CN120」、「CN121」および「CN136」という商品名でサートマー(Sartomer)から、「フォトマー(Photomer)3016」という商品名でコグニス(コグニス(Cognis))から、および「3200」、「3201」、「3211」および「3212」という商品名でUCBから市販されている。
【0058】
適するウレタン(メタ)アクリレートは、「CN965」、「CN968」、「CN981」、「CN983」、「CN984」、「CN972」および「CN978」という商品名でサートマー(Sartomer)から、「フォトマー(Photomer)6210」、「フォトマー(Photomer)6217」、「フォトマー(Photomer)6230」、「フォトマー(Photomer)6623」、「フォトマー(Photomer)6891」および「フォトマー(Photomer)6892」という商品名でコグニス(コグニス(Cogins))から、「エベクリル(Ebecryl)1290」、「エベクリル(Ebecryl)2001」および「エベクリル(Ebecryl)4842)という商品名でUCBから市販されている。
【0059】
適するポリエステル(メタ)アクリレートは、「CN292」という商品名でサートマー(Sartomer)から、「フォトマー(Photomer)5010)、「フォトマー(Photomer)5429)、「フォトマー(Photomer)5430)、「フォトマー(Photomer)5432)、「フォトマー(Photomer)5662)、「フォトマー(Photomer)5806)および「フォトマー(Photomer)5920」という商品名でコグニス(コグニス(Cognis))から、および「エベクリル(Ebecryl)80」、「エベクリル(Ebecryl)81」、「エベクリル(Ebecryl)83」、「エベクリル(Ebecryl)450」、「エベクリル(Ebecryl)524」、「エベクリル(Ebecryl)525」、「エベクリル(Ebecryl)585」、「エベクリル(Ebecryl)588」、「エベクリル(Ebecryl)810」および「エベクリル(Ebecryl)2047」という商品名でUCBから市販されている。
【0060】
適するフェノール(メタ)アクリレートは、「SR601」および「SR602」という商品名でサートマー(Sartomer)から、「フォトマー(Photomer)4025」および「フォトマー(Photomer)4028」という商品名でコグニス(コグニス(Cognis))から市販されている。
【0061】
適する(メタ)アクリル化アクリルオリゴマーも市販されているか、技術上知られている方法によって調製することが可能である。
【0062】
本明細書に記載された各実施形態において、重合性樹脂組成物は、任意に、けれども好ましくは、重合樹脂組成物の粘度を下げるとともに加工性を改善するために約35重量%以下(例えば、1〜35の範囲の整数)の反応性希釈剤を含む。反応性希釈剤は、(メタ)アクリレートまたは単量体N−置換(メタ)アクリルアミドまたは単量体N,N−置換(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドなどのモノエチレン性不飽和モノマーである。これらには、N−アルキルアクリルアミドおよびN,N−ジアルキルアクリルアミド、特にC1~4アルキル基を含むものが挙げられる。例は、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムである。
【0063】
好ましい希釈剤は、1.50より大きい(例えば、1.55より大きい)屈折率を有することが可能である。こうした反応性希釈剤はハロゲン化(例えば臭素化)させるか、またはハロゲン化させないことが可能である。適するモノマーは、典型的には450g/モルを含め、それ以下の数平均分子量を有する。
【0064】
適する反応性希釈剤には、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−(1−メチル−1−フェネチル)フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、2−ナフチルチオエチルアクリレート、1−ナフチルチオエチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチルアクリレート、2−ブロモフェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルオキシエチルアクリレート、2−ナフチルオキシエチルアクリレート、フェノキシ2−メチルエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−フェニルフェノキシエチルアクリレート、4−フェニルフェノキシエチルアクリレート、2,4−ジブロモ−6−s−ブチルフェニルアクリレート、2,4−ジブロモ−6−イソプロピルフェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレートが挙げられる。
【0065】
ペンタブロモベンジルアクリレートおよびペンタブロモフェニルアクリレートなどの他の高屈折率モノマーも用いることが可能である。
【0066】
唯一の希釈剤を含めるのは製造の容易さのために好ましい。好ましい希釈剤は、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、特にフェノキシエチルアクリレート(PEA)である。フェノキシエチルアクリレートは、「SR339」という商品名でサートマー(Sartomer)から、「エターマー(Etermer)210」という商品名でエターナル・ケミカル(Eternal Chemical Co.Ltd.)から、および「TO−1166」という商品名で東亜合成(Toagosei Co.Ltd.)からを含む1社を上回る供給業者から市販されている。ベンジルアクリレートはマサチューセッツ州ワードヒルのアルファイーサ・コーポレーション(AlfaAeser Corp.(Ward Hill,MA))から市販されている。
【0067】
こうした任意のモノマーは、少なくとも約5重量%の量で重合性組成物中に存在してもよい。任意のモノマーは、典型的には合計で重合性組成物の約50重量%以下になる。幾つかの実施形態において、任意の高屈折率モノマーの全量は約30重量%〜約40重量%(30と45との間の整数を含む)の範囲である。
【0068】
任意の高屈折率モノマーはハロゲン化(すなわち臭素化)されていてもよい。例証的な1種の任意の高屈折率モノマーは、「BR−31」という商品名で第一工業製薬(Daiichi Kogyo Seiyaku Co.Ltd.)(日本国京都(Kyoto,Japan))から市販されている2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0069】
適する重合方法には、技術上知られているように溶液重合、懸濁重合、乳化重合および塊状重合が挙げられる。適する方法には、ラジカル開始剤の存在下での加熱および光開始剤の存在下での紫外線または可視光線などの電磁放射線による照射が挙げられる。禁止剤は、合成、輸送および貯蔵中に樹脂の早期重合を防止するために重合性組成物の合成においてしばしば用いられる。適する禁止剤には、50〜1000ppmのレベルでのヒドロキノン禁止剤、4−メトキシフェノール禁止剤およびヒンダードアミンニトロオキシド禁止剤が挙げられる。禁止剤の他の種類および/または量を当業者に知られているように用いてもよい。
【0070】
本発明の組成物は少なくとも1種の光開始剤を任意に含む。単一の光開始剤またはそのブレンドを本発明の輝度向上フィルム中で用いてもよい。一般に、光開始剤は(例えば、樹脂の加工温度で)少なくとも部分的に可溶性であり、重合後に実質的に無色である。光開始剤は(例えば黄色に)着色されていてもよい。但し、UV線源を照射された後に光開始剤が実質的に無色にされることを条件とする。
【0071】
適する光開始剤には、モノアシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドが挙げられる。市販されているモノアシルホスフィンオキシドまたはビスアシルホスフィンオキシドには、「ルシリン(Lucirin)TPO」という商品名でバスフ(BASF)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte,NC))から市販されている2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、「ルシリン(Lucirin)TPO−L」という商品名でバスフ(BASF)からこれも市販されているエチル−2,4,6,−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートおよび「イルガキュア(Irgacure)819」という商品名でチバ・スペッシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されているビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。適する他の光開始剤には、「ダロキュア(Darocur)1173」という商品名でチバ・スペッシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されている2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンならびに「ダロキュア(Darocur)4265」、「イルガキュア(Irgacure)651」、「イルガキュア(Irgacure)1800」、「イルガキュア(Irgacure)369」、「イルガキュア(Irgacure)1700」および「イルガキュア(Irgacure)907」という商品名でチバ・スペッシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されている他の光開始剤が挙げられる。
【0072】
光開始剤は約0.1〜約10重量%の濃度で用いることが可能である。より好ましくは、光開始剤は約0.5〜約5重量%の濃度で用いられる。5重量%を上回るのは、輝度向上フィルムの黄変を引き起こす傾向を考慮すると一般に不利である。他の複数の光開始剤および光開始剤も当業者によって決定してもよいように適切に用いてもよい。
【0073】
フルオロ界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤などの界面活性剤は、表面張力を減らし、湿りを改善し、より滑らかな被膜およびより少ない被膜欠陥などを可能にするために重合性組成物中に任意に含めることが可能である。
【0074】
重合性組成物は、厚さ75マイクロメートルの輝度向上フィルムなどのために好ましくは5分未満の時間目盛りでエネルギー硬化可能である。重合性組成物は、典型的には45℃より高いガラス転移温度を提供するのに好ましくは十分に架橋される。ガラス転移温度は、示差走査熱分析(DSC)、変調DSCまたは動的機械的分析などの技術上知られている方法によって測定することが可能である。重合性組成物は従来のラジカル重合法によって重合させることが可能である。
【0075】
重合可能な表面改質のない無機ナノ粒子を通常は用いることが可能であるけれども、無機ナノ粒子は、ナノ粒子が有機成分と重合可能であるように好ましくは表面改質される。表面改質された(例えばコロイド)ナノ粒子は、物品または光学エレメントの耐久性および/または屈折率を向上するために有効な量で重合済み構造中に存在することが可能である。本明細書で記載された表面改質されたコロイドナノ粒子は、例えば、ナノ粒子が樹脂系内で安定な分散体を形成するように樹脂系とのナノ粒子適合性を含む様々な望ましい属性を有することが可能であり、表面改質は複合材をより耐久性にするナノ粒子と樹脂系の反応性を提供することが可能であり、樹脂系に添加された適切に表面改質されたナノ粒子は未硬化組成物粘度に少ない影響しか及ぼさない。組成物の未硬化特性および硬化特性を操作するために、表面改質剤の組み合わせを用いることが可能である。適切に表面改質されたナノ粒子は、樹脂系中の固形物体積装填を増やしつつ、且つ樹脂系中の固形物体積装填を増す間に光学的透明性を維持しつつ、例えば、樹脂の機械的強度を改善するとともに粘度変化を最少にするなどの光学エレメントの光学的特性および物理的特性を改善することが可能である。
【0076】
表面改質されたコロイドナノ粒子は、1nmより大きい且つ100nmより小さい一次粒子サイズまたは結合粒子サイズを有する酸化物粒子である。ナノ粒子が結合されていないことが好ましい。それらの測定は、透過電子顕微鏡(TEM)に基づくことが可能である。ナノ粒子は、例えば、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン、シリカ、ジルコニア、チタニア、それらの混合物またはそれらの混合酸化物などの金属酸化物を含むことが可能である。表面変性されたコロイドナノ粒子は、実質的に完全に凝縮されていることが可能である。
【0077】
シリカを含有していない完全に凝縮したナノ粒子は、典型的には55%より大きい、好ましくは60%より大きい、より好ましくは70%より大きい結晶度(単離された金属酸化物粒子として測定される)を有する。例えば、結晶度は約86%またはそれより高いに至る範囲であることが可能である。結晶度はX線回折技術によって決定することが可能である。凝縮した結晶質(例えばジルコニア)ナノ粒子が高い屈折率を有するのに対して、非晶質ナノ粒子は、典型的により低い屈折率を有する。
【0078】
シリカナノ粒子は5〜75nmまたは10〜30nmあるいは20nmの粒子サイズを有することが可能である。シリカナノ粒子は、10〜60重量%または10〜40重量%の量で耐久性物品または光学エレメント中に存在することが可能である。本発明の材料中で用いるためのシリカは、製品1040、1042、1050、1060、2327および2329などの「ナルコ・コロイダルシリカズ(Nalco Colloidal Silicas)」という商品名でイリノイ州ナパービルのナルコ・ケミカル(Nalco Chemical Co.(Naperville,IL))から市販されている。適するヒュームドシリカには、例えば、製品番号−130、−150および−200と同様に、「アエロジル(Aerosil)シリーズOX−50」という商品名でデグッサ(DeGussa,AG(ドイツ国ハナウ(Hanau(Germany))から市販されている製品が挙げられる。ヒュームドシリカは、「キャブオースフェア(CAB−O−SPERSE)2095」、「キャブオースフェア(CAB−O−SPERSE)A105」および「キャブオーシル(CAB−O−SIL)M5」という商品名でI、ツスコラ(Tuscola)のキャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)からも市販されている。
【0079】
ジルコニアナノ粒子は、5〜50nmまたは5〜15nmあるいは10nmの粒子サイズを有することが可能である。ジルコニアナノ粒子は、10〜70重量%または30〜60重量%の量で耐久性物品または光学エレメント中に存在することが可能である。本発明の組成物および物品中で用いるためのジルコニアは、「ナルコ(Nalco)」OOSSOO8という商品名でナルコ・ケミカル(Nalco Chemical Co.)から、および「ブーラー・ジルコニア(Buhler zirconia)Z−WOゾル」という商品名でスイス国ウズウィル(Uzwil,Switzerland))のバハラーAG(Buhler AG)から入手できる。ジルコニアナノ粒子は、2004年12月30日出願の米国特許出願第11/027426号明細書および米国特許第6,376,590号明細書に記載されているように調製することも可能である。
【0080】
チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化錫および/または混合金属酸化物ナノ粒子は、5〜50nmまたは5〜15nmあるいは10nmの粒子サイズまたは結合粒子サイズを有することが可能である。チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化錫および/または混合金属酸化物ナノ粒子は、10〜70重量%または30〜60重量%の量で耐久性粒子または光学エレメント中に存在することが可能である。本発明の材料中で用いるための混合金属酸化物は、「オプトレーク(Optolake)3」という商品名で日本国川崎のキャタリスツ・アンド・ケミカル・インダストリーズ・コーポレーション(Catalysts & Chemical Industries Corp.(Kawasaki,Japan))から市販されている。
【0081】
ナノサイズ粒子を表面処理すると、高分子樹脂中の安定な分散液を提供することが可能である。好ましくは、表面処理は、粒子が重合性樹脂中でよく分散され、実質的に均質な組成物をもたらすようにナノ粒子を安定化させる。更に、ナノ粒子は、安定化された粒子が硬化中に重合性樹脂と共重合または反応できるように表面処理剤で表面の少なくとも1部に対して改質することが可能である。
【0082】
本発明のナノ粒子は、好ましくは表面処理剤で処理される。一般に、表面処理剤は、粒子表面に結合する(共有結合、イオン結合または物理吸着を通して)第1の末端および粒子と樹脂の適合性を付与する、および/または硬化中に樹脂と反応する第2の末端を有する。表面処理剤の例には、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シランおよびチタネートが挙げられる。表面処理剤の好ましいタイプは金属酸化物表面の化学的性質によってある程度決定される。シランはシリカのために好ましく、他のものは珪質充填剤のために好ましい。シランおよびカルボン酸はジルコニアなどの金属酸化物のために好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に続いてまたは混合後に行うことが可能である。シランの場合、樹脂に導入する前にシランを粒子表面またはナノ粒子表面と反応させることが好ましい。表面改質剤の必要な量は、粒子サイズ、粒子のタイプ、改質剤の分子量および改質剤のタイプなどの幾つかの要素に応じて異なる。一般に、改質剤のおよその単一の層が粒子の表面に結合されることが好ましい。必要とされる結合手順または反応条件も用いられる表面改質剤に応じて異なる。シランに関しては、およそ1〜24時間にわたり酸性条件または塩基性条件下で高温で表面処理することが好ましい。カルボン酸などの表面処理剤は高温も長時間も必要としない場合がある。
【0083】
組成物のために適する表面処理剤の代表的な実施形態は、例えば、イソオクチルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリスイソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペンオキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸およびそれらの混合物が挙げられる。更に、「シルケスト(Silquest)A1230」という商品名でウェストバージニア州クロンプトンサウスチャールストンのOSIスペシャルティーズ(OSI Specialties(Crompton South Charleston,WV))から市販されている商標付きのシラン表面改質剤は特に適することが見出された。
【0084】
コロイド分散液中の粒子の表面改質は様々な方法によって実行することが可能である。そのプロセスは無機分散液と表面改質剤の混合を含む。任意に、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミドおよび1−メチル−2−ピロリジノンなどの共溶媒をこの点で添加することが可能である。共溶媒は表面改質剤および表面改質された粒子の溶解性を強化することが可能である。無機ゾルと表面改質剤を含む混合物は、その後、混合しつつまたは混合なしで室温または高温で反応させる。好ましい方法において、混合物は約85℃で約24時間にわたり反応させることが可能であり、よって表面改質されたゾルをもたらす。好ましい方法において、金属酸化物が表面改質される場合、金属酸化物の表面処理は、好ましくは、粒子表面への酸性分子の吸着を含むことが可能である。重金属酸化物の表面改質は室温で行ってもよい。
【0085】
シランによるZrO2の表面改質は、酸性条件または塩基性条件下で実行することが可能である。好ましい1つの場合、シランは、好ましくは酸性条件下で適する時間にわたって加熱される。その時点で、分散液は水性アンモニア(または他の塩基)と組み合わされる。この方法は、ZrO2表面からの酸対イオンの除去およびシランとの反応を可能にする。好ましい方法において、粒子は分散液から沈殿し、液相から分離される。
【0086】
その後、表面改質された粒子は種々の方法で硬化性樹脂に導入することが可能である。好ましい態様において、樹脂を表面改質されたゾルに添加し、その後、蒸発を経由して水および共溶媒(用いている場合)を除去し、よって重合性樹脂に分散させた粒子を残す溶媒交換手順が用いられる。蒸発工程は、例えば、蒸留、回転蒸発またはオーブン乾燥を経由して実行することが可能である。
【0087】
もう1つの態様において、表面改質された粒子を水混和性溶媒に抽出し、その後、必要ならば溶媒交換することが可能である。
【0088】
あるいは、表面改質された粒子を重合性樹脂に導入するもう1つの方法は、改質された粒子を粉末に乾燥させ、その後、粒子を中に分散している樹脂材料を添加することを含む。この方法の乾燥工程は、例えば、オーブン乾燥または噴霧乾燥などのシステムのために適する従来の手段によって実行することが可能である。
【0089】
表面改質剤の少なくとも1種が硬化性樹脂と共重合可能な官能基を有する表面改質剤の組み合わせは有用であることが可能である。表面改質剤の組み合わせは、より低い粘度をもたらすことが可能である。例えば、重合基はエチレン性不飽和であるか、または開環重合を受けやすい環式官能基であることが可能である。エチレン性不飽和重合基は、例えば、アクリレートまたはメタクリレートあるいはビニル基であることが可能である。開環重合を受けやすい環式官能基は、酸素、硫黄または窒素および好ましくはエポキシドのような3員環含有酸素などのヘテロ原子を一般に含む。
【0090】
表面改質剤の好ましい組み合わせは、硬化性樹脂(の有機成分)と共重合可能である官能基を有する少なくとも1種の表面改質剤と第1の改質剤とは異なる第2の改質剤を含む。第2の改質剤は重合性組成物の有機成分と任意に共重合可能である。第2の改質剤は低い屈折率(すなわち、1.52未満または1.50未満)を有してもよい。第2の改質剤は、好ましくは重合性組成物の有機成分と任意に共重合可能であるポリアルキレンオキシド含有改質剤である。
【0091】
ル(Lu)およびル(Lu)らに記載されてように、微細構造保持物品(例えば輝度向上フィルム)は、(a)重合性組成物(すなわち、本発明の重合性組成物)を調製する工程、(b)マスターのキャビティを充填するのに辛うじて十分な量でマスターの凹微細構造化成形面上に重合性組成物を沈着させる工程、(c)少なくとも一方が柔軟性であるプリフォーム基礎材料とマスターとの間に重合性組成物のビードを移動させることによりキャビテキを充填する工程および(d)組成物を硬化させる工程を含む方法によって調製することが可能である。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキ銅または真鍮などの金属であることが可能であるか、または重合条件下で安定であるとともに、好ましくはマスターから重合済み材料の綺麗な除去を可能にする表面エネルギーを有する熱可塑性材料であることが可能である。基フィルムの1つ以上の表面は、基フィルムへの光学層の接着性を促進するために任意に下塗りされているか、または別段に処理されていることが可能である。
【0092】
本発明の輝度向上フィルムは、ゲインを改善する目的のために表示装置中で通常は用いられる。例示的な背面照明液晶表示装置の概略図を図2の110で一般に示している。実際の表示装置において、描かれた種々の部品は、しばしば輝度向上フィルムに接触している。本発明の輝度向上フィルム111は、光ガイド118と液晶表示装置パネル114との間に一般に置かれる。液晶表示装置パネルは、典型的には両方の表面上に吸収偏光子を含んでいる。従って、こうした吸収偏光子は、本発明の輝度向上フィルムに隣接して置かれる。背面照明液晶表示装置は、蛍光ランプなどの光源116およびこれも液晶表示装置パネルに向いている反射光のための白色反射体120も含むことが可能である。輝度向上フィルム111は光ガイド118から放出される光を平行にし、よって液晶表示装置パネル114の輝度を増加させる。増加した輝度は、より鮮明な画像を液晶表示装置パネルによってもたらすことを可能にし、光源116の電力を減らして選択された輝度をもたらすことを可能にする。背面照明液晶表示装置は、参照文字121によって表されるコンピュータ表示装置(ラップトップ表示装置およびコンピュータモニター)、テレビ、ビデオレコーダー、移動通信装置、携帯装置(すなわち、携帯電話、パーソナルディジタルアシスト(PDA)および自動車および航空機の計器表示装置などの装置の中で有用である。
【0093】
表示装置は、輝度向上フィルムと液晶表示装置パネル114との間に置かれたもう1つの光学フィルム112を更に含んでもよい。他の光学フィルムは、例えば、ディフューザ、反射偏光子または第2の輝度向上フィルムを含んでもよい。他の光学フィルムは、技術上知られているように光学フィルム112と液晶表示装置パネル114との間または輝度向上フィルム111と光ガイド118との間に置いてもよい。更に、ターニングフィルムは光ガイドと光学フィルムとの間に置いてもよい。あるいは、輝度向上フィルムはターニングフィルムであってもよい。ターニングフィルムは入力表面上に形成されたプリズム構造を典型的に含み、入力表面は光ガイドに隣接して配置される。出力表面に対して通常は30度未満である視射角で光ガイドから出る光線はプリズム構造に出会う。光線は、プリズム構造の第1の表面によって屈折され、所望する方向、例えば、表示装置の視角に実質的に平行にターニングレンズまたはターニングフィルムによって光線を向けるようにプリズム構造の第2の表面によって反射される。
【0094】
偏光フィルムの例には、米国特許第5,825,543号明細書および同第5,783,120号明細書に記載された偏光フィルムが挙げられる。輝度向上フィルムと組み合わせたこれらの偏光フィルムの使用は米国特許第6,111,696号明細書に記載されている。偏光フィルムのもう1つの例は米国特許第5,882,774号明細書に記載されている。市販されているこうしたフィルムの1つの例は、DBEF(「デュアル・ブライトネス・エンンハンスメント・フィルム(Dual Brightness Enhancement Film)」)という商品名でスリーエム・カンパニー(3M Company)によって販売されている多層フィルムである。多層偏光光学フィルムは、例えば米国特許第5,828,488号明細書に記載されている。ターニングフィルムは入力表面上に形成されたプリズム構造を典型的に含み、入力表面は光ガイドに隣接して配置される。出力表面に対して通常は30度未満である視射角で光ガイドから出る光線はプリズム構造に出会う。光線は、プリズム構造の第1の表面によって屈折され、所望する方向、例えば、表示装置の視角に実質的に平行にターニングフィルムによって光線を向けるようにプリズム構造の第2の表面によって反射される。これらの追加の光学フィルムを輝度向上フィルムの基層として含める場合、基層の厚さは前に記載されたより随分厚くてもよい。
【0095】
本明細書に記載された重合性組成物は、微細構造保持光学物品(例えばフィルム)などの他の光学材料のために有利である場合がある。例証的な光学材料には、フレネルレンズなどの光学レンズ、高屈折率フィルムなどの光学フィルム、例えば、全面的内部反射フィルムまたは輝度向上フィルムなどの微細複製フィルム、フラットフィルム、多層フィルム、再帰反射シート、光学光ファイバーまたは光チューブ、可撓性モールド(例えば、プラズマ表示装置パネルのためのバリアリブを製作するために適する)およびその他が挙げられる。高屈折率重合性組成物からの光学製品の製造は、例えば米国特許第4,542,449号明細書に記載されている。
【0096】
本発明の利点を以下の実施例によって更に例示するが、実施例で挙げた特定の材料および材料の量ならびに他の条件および詳細は本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。本明細書におけるすべての百分率および比は特に明記がない限り重量による。
【実施例】
【0097】
試験方法
1.ゲイン試験方法
標準材料と比べた光学材料の透過光強度の差であるゲインは、カリフォルニア州チャットワースのフォト・リサーチ(Photo Research,Inc.(Chatsworth,CA))から入手できる「スペクトラスキャン(SpectraScan)(登録商標)PR−650スペクトル色度計で測定した。以下で形成された実施例ごとの本方法の結果を以下の「結果」節で報告している。単一シートゲイン(すなわち「SS」)を測定するために、フィルムサンプルを切断し、プリズムの溝がテフロン(登録商標)光キューブの前面に平行であるように「フォスタ(Foster)」DCR II光源を用いて光パイプを経由して照明されているテフロン(登録商標)光キューブ上に置いた。交差シートゲイン(すなわち「XS」)に関しては、同じ材料の第2のシートを第1のシートの下に置き、第2のシートの溝がテフロン(登録商標)光キューブの前面に垂直であるように向けた。
【0098】
3つの実験組において、プリズムの側面の勾配によって形成される90度の尖端角度を有するマスターツールを用いて、重合性樹脂組成物を輝度向上フィルムに調製した。第1の実験組において、隣接尖端間の平均距離は約50マイクロメートルであり、プリズム頂点の尖端は丸みを帯びていた。第2の実験組において、隣接尖端間の平均距離は約50マイクロメートルであり、プリズム頂点の尖端は尖っていた。第3の実験組において、隣接尖端間の平均距離は約24マイクロメートルであり、プリズム頂点の尖端は尖っていた。実験1(対照1、サンプル1〜3)および実験3(対照3、サンプル5)に関して、重合性樹脂組成物を約50℃の温度に加熱し、連続フィルムを作るのに十分な体積でマスターツール上に注いだ。第1の実験組において約25マイクロメートルの重合性樹脂の厚さおよび第3の実験組において約13マイクロメートルの重合性樹脂の厚さを作るために塗布バー器具を通してマスターツールおよび重合性樹脂を引っ張った。被覆後、PETフィルムを重合性樹脂上に積層した。その後、マスターツール、重合性樹脂およびPETフィルムをUV硬化機械に入れ、3000ミリジュール/cm2で照射した。硬化後、重合済み樹脂およびPETをマスターツールから引き剥がした。実験1および3のために記載されたのと似たプロセス条件下で実験2を行ったが、連続方式で行った。
【0099】
第1の実験組において、対照(すなわち、表Iの対照1)と一緒に重合性樹脂組成物1〜3から輝度向上フィルムを調製した。第2の実験組において、対照(すなわち、表Iの対照2)と一緒に重合性樹脂組成物4から輝度向上フィルムを調製した。第3の実験組において、対照(すなわち、表Iの対照3)と一緒に重合性樹脂組成物5から輝度向上フィルムを調製した。実験組ごとに、対照は、12.5重量%のPEA、37.5重量%のBR−31、30重量%のRDX−51027、「EB−9220」という商品名でUCBコーポレーション(UCB Corporation)から得られた20重量%の架橋剤、1pphの「ダロキュア(Darocur)」1173および「FC−430」という商品名でスリーエム・カンパニー(3M Company)から市販されている0.3重量%の界面活性剤からなっていた。
【0100】
次の表Iは、実施例で用いられた第1のモノマーの量、一官能性希釈剤(すなわち、フェノキシエチルアクリレート(PEA))、架橋剤(すなわちPETA)、無機ナノ粒子、光開始剤(「ルシリン(Lucirin)」TPO−L)を記載している。実施例で用いられた第1のモノマーは、少なくとも約60〜70重量%の2−プロペン酸、(1−メチルエチリデン)ビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]エステルを含んでいた。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例1
ナルコ(Nalco)2327(400g)を1qtのジャーに投入した。1−メトキシ−2−プロパノール(450g)、「シラン(Silane)A174」という商品名でウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich,Milwaukee,WI))から市販されている3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(18.95g)、シルケスト(Silquest)A1230(12.74g)および「プロスタブ(Prostab)5198」という商品名でニューヨーク州タリータウンのチバ・スペッシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Inc(Tarrytown,NY))から市販されているヒンダードアミンニトロオキシド禁止剤の水(0.2g)中の5%溶液を調製し、「ナルコ(Nalco)2327」という商品名でイリノイ州ナパービルのオンデオ・ナルコ(Ondeo−Nalco Co.(Naperville,IL))から市販されているコロイドシリカ分散液に攪拌しつつ添加した。ジャーを密封し、80℃に16.5時間にわたり加熱した。これは、変性されたシリカの透明で低粘度の分散液をもたらした。
【0103】
上の変性されたゾル(442.23g)、20/60/20SR444/第1のモノマー/PEA(82.25g)および水(0.65g)中のプロスタブ(Prostab)5198の5%溶液を1Lの丸底フラスコ(大口)に投入した。回転蒸発を経由して水およびアルコールを除去した。配合物はTGAによって測定して46.04重量%のSiO2を含んでいた。屈折率は1.512であった。1重量%のTPO−Lを添加した。
【0104】
実施例2
実施例1のSiO2含有樹脂(10g)を20/60/20SR444/第1のモノマー/PEA(2.12g)と混合して、38重量%のSiO2含有樹脂をもたらした。1重量%のTPO−Lを添加した。
【0105】
実施例3
実施例1のSiO2含有樹脂(10g)を20/60/20SR444/第1のモノマー/PEA(4.38g)と混合して、32重量%のSiO2含有樹脂をもたらした。1重量%のTPO−Lを添加した。
【0106】
実施例4
シラン変性ジルコニアナノ粒子分散液の調製
ナルコ(Nalco)OOSSOO8ジルコニアゾル(372.56g)およびシグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich)から市販されている2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)(23.16g)を1Lの丸底フラスコに投入した。回転蒸発を経由して水および酢酸を除去した。こうして得られた粉末を127.58gのDI水に再分散させ、2Lのビーカに投入した。2Lのビーカに400gの1−メトキシ−2−プロパノール、36.62gのA−174、24.61gのシルケスト(Silquest)A1230および水中のプロスタブ(Prostab)5198の5%溶液0.4gを攪拌しつつ添加した。この混合物を室温で30分にわたり攪拌し、その後、1L(クオート)のジャーに注ぎ、密封し、90℃に3.0時間にわたり加熱した。ジャーの内容物を取り出し、回転蒸発を経由して40%ZrO2に濃縮した。脱イオン水(1565g)および51gの水性濃縮アンモニア(29%NH3)を4Lのビーカに投入した。濃縮分散液(295g)を攪拌しつつビーカにゆっくり添加した。こうして得られた白色沈殿物を真空濾過を経由して単離し、追加のD.I.水で洗浄した。湿りを帯びた固形物を1−メトキシ−2−プロパノール(370g)に分散させた。得られたシラン変性ジルコニア分散液は20.2%の固形物を含んでいた。
【0107】
上の変性されたZrO2分散液(540g)、20/60/20PEA/第1のモノマー/SR444(90.4g)および水(0.72g)中のプロスタブ(Prostab)5198の5%溶液を1Lの丸底フラスコに投入した。回転蒸発を経由して水およびアルコールを除去した。得られた配合物はTGAによって38.60%のZrO2を含んでおり、1.587の屈折率を有していた。
【0108】
実施例5
シラン変性ジルコニアナノ粒子分散液の調製
ブーラー・ジルコニア(Buhler zirconia)Z−WOゾル(401.5g)(スイス国ウズウィルのブーラー(Buhler AG)(Uzwil,Switzerland))から入手できる)を1qtのジャーに投入した。そのジャーに450gの1−メトキシ−2−プロパノール、28.5gのシランA174、19.16gのシルケスト(Silquest)A−1230および水中のプロスタブ(Prostab)5198の5%溶液0.5gを攪拌しつつ添加した。この混合物を室温で30分にわたり攪拌し、その後、密封し、90℃に3.0時間にわたり加熱した。ジャーの内容物を取り出し、回転蒸発を経由して40%ZrO2に濃縮した。脱イオン水(707.8g)および24.2gの水性濃縮アンモニア(29%NH3)を4Lのビーカに投入した。濃縮分散液(346.8g)を攪拌しつつビーカにゆっくり添加した。こうして得られた白色沈殿物を真空濾過を経由して単離し、追加のD.I.水で洗浄した。湿りを帯びた固形物を1−メトキシ−2−プロパノールに分散させた。得られたシラン変性ジルコニア分散液は20.58%の固形物を含んでいた。
【0109】
上の変性されたZrO2分散液(225.2g)、20/60/20PEA/第1のモノマー/SR444(30.9g)および水(0.24g)中のプロスタブ(Prostab)5198の5%溶液を1Lの丸底フラスコに投入した。回転蒸発を経由して水およびアルコールを除去した。得られた配合物はTGAによって47.85%のZrO2を含んでおり、1.615の屈折率を有していた。1重量%のTPO−Lを添加した。
【0110】
実施例6
2004年12月30日出願の米国特許出願第11/027426号明細書によりZrO2ゾルを調製し、固形物45.78%のゾルをもたらした。以下のZrO2試験方法によりZrO2を試験した。
【0111】
光子相関分光分析法(PCS)
マルバーン・シリーズ(Malvern Series)4700粒子サイズアナライザ(マサチューセッツ州サウスボロのマルバーン・インストルメンツ(Malvern Instruments Inc.(Southborough,MA))から入手できる)を用いて光子相関分光分析法(PCS)により体積平均粒子サイズを決定した。シリンジ付加圧力を用いて0.2μmのフィルタを通して希釈ジルコニアゾルサンプルをガラスキュベットに濾過し、その後、キュベットにフタをした。データ取得を開始する前に、サンプルチャンバの温度を放置して25℃で平衡させた。90度の角度で「コンチン(CONTIN)」分析を行うために供給されたソフトウェアを用いた。「コンチン(CONTIN)」は一般逆変換問題を分析するために広く用いられた数学的方法であり、それは、プロベンチャー(S.W.Provencher),Comput.Phys.Commun.,27,229(1982)で更に記載されている。24のデータビンを用いて分析を行った。1.333に等しい水の屈折率、0.890センチポイズに等しい水の粘度および1.9に等しいジルコニア粒子の屈折率の値を計算において用いた。
【0112】
2つの粒子サイズ測定をPCSデータに基づいて計算した。ナノメートルで報告されている強度平均粒子サイズは、散乱光強度分布の平均値に対応する粒子のサイズに等しかった。散乱光強度は粒子直径の6乗に比例する。これもナノメートルで報告されている体積平均粒子サイズは、ジルコニア粒子の屈折率と分散媒体(すなわち水)の屈折率の両方を考慮に入れている散乱光強度分布から計算された体積分布から誘導した。体積平均粒子サイズは体積分布の平均に対応する粒子サイズに等しかった。
【0113】
強度平均粒子サイズを体積平均粒子サイズによって除して、粒子サイズ分布を示唆する比を提供した。
【0114】
結晶の構造およびサイズ(XRD分析)
めのう乳鉢および乳棒を用いて手で粉砕することにより、乾燥させたジルコニアサンプルの粒子サイズを小さくした。両面被覆テープの一区画を上に接着させていた顕微鏡ガラススライドにスパチュラによって大量のサンプルを被着させた。スパチュラの刃でサンプルをテープに押し付けることによりサンプルをテープ上の接着剤に押し付けた。スパチュラの刃の端でサンプル面を掻き取ることにより過剰のサンプルを除去し、接着剤に接着した粒子の薄層を残した。掻き取り後に残っているゆるく接着した材料を顕微鏡スライドで硬い表面を強くコツコツ叩くことにより除去した。似た方式で、コランダム(リンデ(Linde)、1.0μmのアルミナ研磨粉、ロット番号C062、インジアナ州インジアナポリスのユニオン・カーバイド(Union Carbide(Indianapolis,IN)))を調製し、計器の広がりに関して回折計を更正するために用いた。
【0115】
反射形状、銅Kα放射線および散乱放射線の比例検出器レジストリーを有する「フィリップス(Philips)」垂直回折計を用いてX線回折スキャンを得た。可変入射ビームスリット、固定回折ビームスリットおよびグラファイト回折ビームモノクロメータが回折計に装着されていた。0.04度のステップサイズおよび8秒の保圧時間を用いてサーベイスキャンを25から55度2シータ(2θ)まで行った。45kVおよび35mAのX線発生器設定を用いた。コランダム標準のためのデータ収集を幾つかの個々のコランダムマウントの3つの別個の面上で行った。薄層サンプルマウントの3つの別個の面上でデータを収集した。
【0116】
回折データに関する国際センター(International Center for Diffraction Data)(ICDD)の粉末回折データベース(セット1〜47、ペンシルバニア州ニュートンスクエアのICDD(Newston Square,PA))内に含まれた基準回折パターンと比較することにより観察された回折ピークを特定し、ジルコニアの立方/正方(C/T)または単斜(M)のいずれかに帰させた。立方相に関する(111)ピークおよび正方相に関する(101)ピークを分離できなかった。そのため、これらの相を一緒に報告した。各ジルコニア形態の量を相対基準で評価し、最もインテンスな回折ピークを有するジルコニアの形態に100の相対強度値を割り振った。残りの結晶ジルコニア形態の最も強いラインを最もインテンスなラインを基準として比較し、1〜100の間の値を与えた。
【0117】
コランダムのゆえに観察された回折最大に関するピーク幅をプロファイルフィッティングによって測定した。コランダム試験範囲内のいずれかのピーク位置で計器の幅を評価するために用いられる連続関数をもたらすためにこれらのデータにポリノミナルを当てはめることにより、平均コランダムピーク幅とコランダムピーク位置(2θ)との間の関係を決定した。ジルコニアのゆえに観察された回折最大に関するピーク幅をプロファイルフィッティングの観察された回折ピークによって測定した。存在することが判明したジルコニア相に応じて以下のピーク幅を評価した。
立方/正方(C/T):(111)
単斜(M):(−111)および(111)
α1波長成分およびKα2波長成分を有するピヤソンVIIピーク形状モデルが説明し、線状バックグラウンドモデルをすべての場合に用いた。幅は度の単位を有する半最大でピークフル幅(FWHM)として見られた。プロファイルフィッティングをJADE回折ソフトウェア一組の能力の使用によって実行した。同じ薄相、同じマウントに関して得られた3つの別個のデータ収集に関してサンプルピーク幅を評価した。
【0118】
コランダム計器更正からの計器の幅値の内挿によってサンプルピークを計器の広がりに関して補正し、補正されたピーク幅をラジアンの単位に変換した。一次結晶サイズを計算するためにシャーラー(Scherrer)の式を用いた。
結晶サイズ(D)=Kλ/β(cosθ)
【0119】
シャーラー(Scherrer)の式において、
K=形態ファクター(ここで、0.9)
λ=波長(1.540598Å)
β=(ラジアンにおける)計器の広がりに関する補正後の計算ピーク幅=(ラジアンに変換された)[計算ピークFWHM)−計器幅]
ここで、FWHMは半最大でのフル幅である。
θ=1/2ピーク位置(散乱角)
【0120】
立方/正方の結晶サイズを(111)ピークを用いる3つの測定の平均として測定した。
立方/正方の平均結晶サイズ=[D(111)area1+D(111)area2+D(111)area3]/3
【0121】
単斜結晶サイズを(−111)ピークを用いる3つの測定および(111)ピークを用いる3つの測定の平均として測定した。
単斜結晶平均サイズ=
[D(−111)area1+D(−111)area2+D(−111)area3+D(111)area1+D(111)area2+D(111)area3]/6
【0122】
立方/正方(C/T)および単斜相(M)の重み付き平均を計算した。
重み付き平均=[(%C/T)(C/Tサイズ)+(%M)(Mサイズ)]/100
【0123】
この式において、
%CT=ZrO2粒子の立方および正方の微結晶含有率によってもたらされる%結晶度。
C/Tサイズ=立方および正方の微結晶のサイズ。
%M=ZrO2粒子の単斜微結晶含有率によってもたらされる%結晶度。
Mサイズ=単斜微結晶のサイズ。
【0124】
分散指数
分散指数は、PCSによって測定された体積平均サイズをXRDによって測定された重み付き平均微結晶サイズによって除したものに等しい。
【0125】
重量%固形物
重量3〜6グラムのサンプルを120℃で30分にわたり乾燥させることにより重量%固形物を決定した。%固形物は湿りサンプルの重量(すなわち乾燥前の重量、重量wet)および乾燥サンプルの重量(すなわち乾燥後の重量、重量dry)から以下の式を用いて計算することが可能である。
重量%固形物=100(重量dry)/(重量wet
【0126】
結果は次の通りである。
【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
ZrO2ゾル(50.00g)、MEEAA(2.22g)、BCEA(1.06g)、1−メトキシ−2−プロパノール(75g)およびPEA/RDXの50/50混合物(17.6g)を丸底フラスコに投入し、回転蒸発を経由してアルコールおよび水を除去した。ZrO2含有樹脂は49.59%ZrO2であり、1.639の屈折率を有していた。TPO−Lの0.5pphを上の混合物に添加した。
【0130】
「ビクイチ(Vikuiti)BEF III90/50フィルム」という商品名でスリーエム・カンパニー(3M Company)によって販売されている輝度向上フィルムの長さに似た長さに沿ってプリズムが高さにおいて異なることを除き、実験2従ってこれを輝度向上フィルムに調製した。結果を表Iで報告している。
【0131】
終点による数値範囲の列挙は、当該範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。本明細書で引用された特許、特許文書および刊行物の完全な開示は、各々が個別に援用されたかのように本明細書に全体的に引用して援用する。本発明に対する種々の修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者に対して明らかになるであろう。本明細書に記載された例示的な実施形態および実施例によって本発明が不当に限定されることを意図しておらず、こうした実施例および実施形態が例としてのみ提示され、本発明の範囲が次の通り本明細書に記載された請求の範囲によってのみ限定されることが意図されていることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の例示的な微細構造保持光学製品の透視図である。
【図2】本発明の輝度向上フィルムを含む例示的な背部照明液晶表示装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)i)構造
【化1】

(式中、
R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立して水素または臭素であり、
Qは独立してOまたはSであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−である)
を有する主部分を含むモノマー、
ii)構造
【化2】

(式中、
R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立して水素または臭素であり、
Qは独立してOまたはSであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、
Lは、直鎖または分岐のC2〜C12アルキル基から独立して選択された連結基であり、ここで、炭素鎖は1個以上の酸素基で任意に置換されている、および/または炭素原子は1個以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
を有する主部分を含むモノマー
およびiとiiの混合物
からなる群から選択された少なくとも約15重量%の1種以上の第1のモノマー、
b)少なくとも約10重量%の無機ナノ粒子および
c)任意に架橋剤
の反応生成物を含む重合済み構造を有する輝度向上フィルム。
【請求項2】
前記組成物は光開始剤を含む、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項3】
前記無機粒子の量は約60重量%未満である、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項4】
前記無機ナノ粒子は表面改質されている、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項5】
前記無機ナノ粒子はシリカ、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化錫、それらの混合金属酸化物、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項6】
一次粒子はサイズにおいて5nm〜75nm、10nm〜30nmまたは5nm〜20nmの範囲である、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項7】
前記第1のモノマーはテトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸の反応生成物からなる、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項8】
前記架橋剤は周囲温度で液体である、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項9】
前記架橋剤は多官能性ウレタン(メタ)アクリレート架橋剤である、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項10】
前記架橋剤は、ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項11】
少なくとも1種の一官能性エチレン系不飽和希釈剤または二官能性エチレン系不飽和希釈剤を更に含む、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項12】
前記希釈剤は室温で液体である、請求項10に記載の輝度向上フィルム。
【請求項13】
前記希釈剤はフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムを含む、請求項11に記載の輝度向上フィルム。
【請求項14】
前記希釈剤はN−置換(メタ)アクリルアミドまたはN,N−二置換(メタ)アクリルアミドを含む、請求項11に記載の輝度向上フィルム。
【請求項15】
前記重合性組成物はメタクリレート官能性モノマーを含まない、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項16】
前記フィルムは0.5〜10マイクロメートルの半径を有する丸み付き尖端を任意に含むターニングフィルムである、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項17】
請求項1に記載の輝度向上フィルムおよび前記輝度向上フィルムに接触している第2の光学フィルムを含む物品。
【請求項18】
前記第2の光学フィルムは、ターニングフィルム、ディフューザ、吸収偏光子、反射偏光子および保護カバーフィルムを含む群から選択される、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記第2の光学フィルムはプリズム構造を含む、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
a)少なくとも約15重量%の1種以上の(メタ)アクリル化芳香族エポキシオリゴマー、
b)少なくとも約10重量%の無機ナノ粒子および
c)任意に架橋剤
を含む重合性組成物の反応生成物を含む重合済み構造を有する輝度向上フィルム。
【請求項21】
(a)i)構造
【化3】

(式中、
R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立して水素または臭素であり、
Qは独立してOまたはSであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−である)
を有する主部分を含むモノマー、
ii)構造
【化4】

(式中、
R1は独立して水素またはメチルであり、
R2は独立して水素または臭素であり、
Qは独立してOまたはSであり、
Zは独立して−C(CH32−、−CH2−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)2−であり、
Lは、直鎖または分岐のC2〜C12アルキル基から独立して選択された連結基であり、ここで、炭素鎖は1個以上の酸素基で任意に置換されている、および/または炭素原子は1個以上のヒドロキシル基で任意に置換されている)
を有する主部分を含むモノマー
およびiとiiの混合物
からなる群から選択された少なくとも約15重量%の1種以上の第1のモノマー、
b)少なくとも約10重量%の無機ナノ粒子
c)任意に架橋剤および
d)任意に光開始剤
を含む重合性樹脂組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の反応生成物を含む光学物品。
【請求項23】
材料が微細構造化表面を任意に有するフィルムである、請求項22に記載の光学物品。
【請求項24】
前記微細構造化表面はキューブコーナー構造またはプラズマ表示装置パネルのためのバリアリブを製造するために適する構造を含む、請求項24に記載の光学物品。
【請求項25】
前記構造は4〜15マイクロメートルの範囲の半径を有する丸み付き尖端を有する複数のリッジを含む、請求項1に記載の輝度向上フィルム。
【請求項26】
1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含むとともに180°Fで1000cps未満の粘度を有する有機成分、および少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む、実質的に無溶媒の重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を含む、輝度向上フィルム。
【請求項27】
前記有機成分は180°Fで1000cps未満の粘度、160°Fで1000cps未満の粘度、140°Fで1000cps未満の粘度、120°Fで1000cps未満の粘度、120°Fで800cps未満の粘度または120°Fで600cps未満の粘度を有する、請求項26に記載の輝度向上フィルム。
【請求項28】
前記有機成分は、少なくとも1種の(メタ)アクリル化ウレタンオリゴマー、(メタ)アクリル化ポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリル化フェノールオリゴマー、(メタ)アクリル化アクリルオリゴマー、(メタ)アクリル化エポキシ(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物を含む、請求項26に記載の輝度向上フィルム。
【請求項29】
前記有機成分は、少なくとも450g/モルの数平均分子量を有する少なくとも1種の低重合体エチレン性不飽和モノマーを含む、請求項26に記載の輝度向上フィルム。
【請求項30】
1種以上のエチレン性不飽和モノマーを含むとともに少なくとも1.54の屈折率を有する有機成分、および少なくとも10重量%の無機ナノ粒子を含む、実質的に無溶媒の重合性組成物の反応生成物を含む輝度向上重合済み構造を含む、輝度向上フィルム。
【請求項31】
前記重合性組成物は、少なくとも1.47の屈折率、少なくとも1.52の屈折率、少なくとも1.55の屈折率または少なくとも1.60の屈折率を有する、請求項30に記載の輝度向上フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−503768(P2008−503768A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516536(P2007−516536)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/019774
【国際公開番号】WO2006/007286
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】