説明

ナノFETを含む電子検出のためのシステムおよび方法

ナノFET装置を含む、電荷検出のためのシステムが開示される。単一分子シークエンシングのための電荷検出方法も開示される。本方法には、高分子またはその集合体をナノFET装置のゲートに結合させる段階、および電荷タグの溶液を流入させる段階が含まれ、電荷タグには電荷複合体に結合したヌクレオチドが含まれる。本方法には、1つの電荷タグを高分子またはその集合体に組み込む段階、および電荷タグを高分子またはその集合体から切断する段階も含まれる。本方法には、ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つを検出する段階がさらに含まれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、2007年6月29日出願の米国特許仮出願第60/947,247号の優先権の恩典を主張する。
【0002】
分野
本発明は、一般に単一分子シークエンシングのための電子検出、特にナノFETを含む電子検出のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
蛍光技術などの光学検出プラットフォームは、一般にデオキシリボ核酸(「DNA」)シークエンシングのための主要なプラットフォームである。光学検出プラットフォームは、合成、ハイブリダイゼーションおよびライゲーションによる、一般に配列に基づく化学に作用する。光学検出プラットフォームは、一般に、酵素基質の蛍光標識、例えばフルオロフォア標識デオキシヌクレオチド三リン酸(「dNTP」)、短いプローブオリゴヌクレオチド、または酵素自体を必要とする。基質修飾の最適化は、ゼロモード導波路、FRET、ステップワイズなどの光学検出プラットフォームの従来の先行技術において莫大な労力である。最適化のための労力は、サンガーシークエンシングに対するよりも単一分子シークエンシングに対するほうがさらに大きい。
【0004】
近年、小型の電界効果トランジスタ(「FET」)で直接に配列決定することが可能であることが示された(T. Sakata & Y. Miyahara、Angewandte Chemie 45(14):2225-2228 (2006)(非特許文献1)参照)。しかし、科学技術の現在の状況は、10塩基までを証明したにすぎず、同じFET上に多数の分子を必要とする。シークエンシングを実行するために用いられた方法は、終結しないステップワイズ合成であった。したがって、当技術分野において非光学FETに基づくシークエンシングを用いて単一分子を利用することと同時にさらなる塩基を解読することに対する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T. Sakata & Y. Miyahara、Angewandte Chemie 45(14):2225-2228 (2006)
【発明の概要】
【0006】
概要
一態様は、一般に、電荷検出のためのシステムに関する。このシステムは、ソース、ドレイン、およびゲートで構成されるナノFET装置を含み、ナノFET装置のゲートは、標的DNA鎖を受け取るよう構成されている。このシステムはまた、電荷タグの溶液を含み、電荷タグは、荷電分子複合体に結合した少なくとも1つのヌクレオチドをさらに含む。このシステムは、ナノFET装置が電荷タグの溶液中に位置するように構成されている試験ウェルおよびナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つをモニターするように構成されている検出器をさらに含む。このシステムはなおさらに、試験ウェルと検出器とのインターフェースとなるように構成されている制御器を含み、ここで制御器は、電荷タグの溶液中を流れて試験ウェルに入り、電荷タグを取り込ませ、電荷タグを切断し、かつ、検出器で電圧および電流のうち少なくとも1つを検出するように構成されている。
【0007】
もう一つの態様は、単一分子シークエンシングのための電荷検出法に関係する。この方法は、標的DNA鎖をナノFET装置のゲートに結合させること、および電荷タグの溶液を流入させることを含み、ここで電荷タグは電荷複合体に結合したヌクレオチドを含む。この方法はまた、1つの電荷タグを標的DNA鎖の中に取り込むことおよび電荷タグを標的DNA鎖から切断することを含む。この方法はさらに、ナノFET装置からの電流および電圧のうち少なくとも1つを検出する段階を含む。
【0008】
さらにもう一つの態様は、単一分子シークエンシングのための電荷検出法に関する。この方法は、標的DNA鎖をナノFET装置のゲートに結合させること、および電荷タグの溶液を流入させることを含み、ここで電荷タグは電荷複合体に結合したヌクレオチドを含む。この方法はまた、電荷タグと標的DNA鎖のライゲーション、および電荷タグを標的DNA鎖から切断することを含む。この方法はさらに、ナノFET装置からの電流および電圧のうち少なくとも1つを検出することを含む。
【0009】
該態様の様々な特徴は、以下の該態様の詳細な説明に関して、添付の図に関連して検討した場合にそれがより良く理解されるように、より詳しく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一態様による例示的なシステムを説明する図である。
【図2】もう一つの態様による、図1に示されるシステムのナノFET集合体をより詳細に表す図である。
【図2A】さらにもう一つの態様による、ナノFETに関連する検出ボリュームを表す図である。
【図3】さらにもう一つの態様による、図1に示されるシステムにより実行される例示的な流れ図を説明する図である。
【図4】さらにもう一つの態様による、電圧勾配のないナノFET集合体を示す図である。
【図5】さらにもう一つの態様による、ライゲーションされなかったオリゴを除去するための電圧勾配をもつナノFET集合体を表す図である。
【図6】さらにもう一つの態様による、ポリメラーゼを含むナノFET集合体を説明する図である。
【図7】さらにもう一つの態様による、電圧勾配をもつポリメラーゼを含むナノFET集合体を示す図である。
【図8】さらにもう一つの態様による、交流電場とのポリメラーゼ結合を含むナノFET集合体を表す図である。
【図9】さらにもう一つの態様による、サンドイッチELISAのためのナノFET集合体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
態様の詳細な説明
簡明のためかつ説明目的のため、本発明の原理は、主にその例示的な態様に関して記載される。しかし、当業者であれば、同じ原理があらゆる種類の電子検出システムに等しく適用可能であり、かつあらゆる種類の電子検出システムで実施することができること、ならびに、任意のかかる変形形態が本発明の真の精神および範囲を逸脱しないことを容易に理解する。さらに、以下の詳細な説明では、具体的な態様を説明する添付の図面が参照されている。該態様に対する電気的、機械的、論理的、および構造的な変更は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく行ってよい。そのため、以下の詳細な説明は、限定的な意味に理解されるものでなく、本発明の範囲は添付される特許請求の範囲およびそれらの同等物により規定される。
【0012】
態様は、一般に、ナノFETを用いる単一分子シークエンシングのためのシステムおよび方法に関する。特に、ナノFETは、核酸鎖、例えばDNA(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)の電荷変化を検出するように構成することができる。核酸鎖は、本明細書において「ポリヌクレオチド鋳型」、またあるいは、「標的」とも称され得る。ポリヌクレオチド鋳型は、オリゴヌクレオチド(「結合プライマー」と称され得る)に結合(ライゲーション)することができ、それはその後ナノFETに結合する。結合プライマーは、ユニバーサルプライマーであってよい。結合プライマーは、「結合領域」とも称され得る。
【0013】
一部の態様では、可逆的結合を実行することができる。可逆的結合は、いくつかの方法で実施することができる。1つの技法には、DNAよりもはるかに高い融解温度を有し、そのためDNAを融解させるために用いる温度では除去されない、ペプチド核酸(「PNA」)またはその他の類似の合成オリゴヌクレオチドの使用が含まれる。PNAはFETに結合することができ、その相補鎖はポリヌクレオチド鋳型にライゲーションされた結合領域の一部として(PNA/DNAキメラとして)含まれる。次に、ポリヌクレオチド鋳型は、結合領域内のPNA相補鎖を介してFETの表面に結合したPNAとハイブリダイズすることができる。FET上のPNAは、ビオチン・ストレプトアビジンを用いて結合させることができ、好ましくはビオチンをPNAに結合させる。ポリヌクレオチド鋳型は、次に、単に温度をPNA融解温度よりも上昇させることにより除去することができる。もう一つの可逆的結合技法は、ビオチンストレプトアビジン結合を直接使用することができ、ここでビオチンはユニバーサルプライマーに結合し、ユニバーサルプライマーはその後に標的核酸鎖にライゲーションされる。
【0014】
ポリヌクレオチド鋳型上の結合領域と相補的な初期化オリゴヌクレオチドは、初期化オリゴヌクレオチド(本明細書において「初期化プライマー」とも称される)と結合領域との間のハイブリダイゼーションを引き起こす条件下、ナノFETおよび結合した標的に関連する検出ボリューム(detection volume)に導入することができる。初期化プライマーは、ユニバーサルプライマーであってよい。異なる荷電分子複合体を含む大型の一連のオリゴヌクレオチド(本明細書において「プローブ」とも称される)は、それに、すなわち電荷タグに結合することができ、ここで電荷タグは、ポリヌクレオチド鋳型上の塩基と会合している。プローブが流入する時に、それらはポリヌクレオチド鋳型にライゲーションすることができる。この過程は、その該当部分が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20080003571号によってより詳細に記載されている。
【0015】
プローブの末端にある保護基は、1より多くのプローブのライゲーションを阻止する。プローブは、洗浄によるか、または電場を印加してプローブをナノFETから遠くに引き寄せることにより、検出ボリュームから除去することができる。標的とアニールしたがライゲーションされていないプローブは、印加した電場により、検出ボリューム温度の上昇により、または検出ボリュームの条件を変更することにより(pHおよびイオン濃度)標的から除去することができる。次に、電荷タグを切断し、ナノFETからの電流または電圧のうち少なくとも1つの検出を初期化してよい。大部分の態様は、電荷複合体をプローブに結合するために光不安定性リンカーを使用することを企図し、光を用いて電荷タグを切断すると同時に検出過程を初期化することができる。一部の態様では、その他の化学、例えば化学切断を用いて電荷タグを分離してよい。電荷タグを除去するとオリゴヌクレオチドの末端にある保護基も除去されるので、別のオリゴヌクレオチドのライゲーションが可能になる。除去過程は、その該当部分が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20080003571号、ならびに米国特許第5,740,341号および同第6,306,597号により詳細に記載されている。
【0016】
電場を用いてライゲーションされなかったプローブを検出ボリュームから除去する場合、次に電場を除去するかまたは減少させ、拡散させてプライマーを元の検出域に戻すことができ、あるいは、電場を逆転させてプローブを強制的に元の検出域に戻し、さらなるライゲーションおよび検出サイクルを可能にすることができる。電場を使用すると、たとえ平均濃度が低くても検出域の局所濃度を増加させることにより、より速い反応速度を可能にすることができる。あるいは、プローブが検出ボリュームから洗い流されている場合、電荷タグの結合している別の組のプローブを加えて検出することができる。したがって、5塩基ごとに判断することができる。ポリヌクレオチド鋳型が所望の長さまで配列決定された後、第2の鎖全体は融解する。
【0017】
その後、オリジナルの初期化オリゴヌクレオチド(オリジナルプライマー)よりも1塩基短い、第2の初期化オリゴヌクレオチド(第2のプライマー)を、ポリヌクレオチド鋳型の結合しているナノFETに導入すればよい。次に、電荷タグの結合した、大型の一連のプローブを再導入し、第2の鎖が完了するまでライゲーションおよび検出過程を反復する。第2のプライマーは、ユニバーサルプライマーであってよい。第2のプライマーを使用することにより、第1のユニバーサルプライマーで既に検出した1つの塩基オフセットによってあらゆる塩基オフセットを検出することができる。次に、この過程を、塩基が1つ少ない別の初期化オリゴヌクレオチド(プライマー)を用いて、最後の塩基が検出されるまで繰り返す。各プライマーは、ユニバーサルプライマーであってよい。この過程は、その該当部分が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20080003571号により詳細に記載されている。また、この過程は、その全文が本明細書に組み入れられる、PCT出願国際公開第2006084132号により説明されるように、標的分子のクローンの組に対する蛍光標識および蛍光検出を用いて記載されている。
【0018】
一部の態様では、検出は、5位の単一塩基の検出に基づき、配列は、プライマーおよびナノFETを用いる2塩基コード化スキーム(two-base encoding scheme)から直接決定することができる。特に、2塩基コードプローブを用いて、4番目および5番目の塩基についての情報を得ることができる。PCT出願国際公開第2006084132号に記載される、2塩基コード化スキームは、シークエンシングの間に各塩基を2回誤差がないか照合して、測定誤差を除去する。ライゲーションされ切断されたプライマーは、長さが5塩基であると記載されるが、約2〜約15塩基を含む、他の長さであってもよい。その上、検出は、5位から出発すると記載されているが、異なる位置から出発することもあり得る。代替態様では、取り込まれているプローブの直接の照合が使用される。さらなる態様では、3以上の塩基のコード化が使用される。
【0019】
もう一つの態様は、一般に、小さい電場でバイアスをかけたナノFETを用いる単一分子シークエンシングに関する。前の態様に類似して、核酸鎖は(一部の態様では可逆的結合を用いて)、ナノFETのゲートに結合プライマーを介して結合される。ナノFETは、導電板を含むウェルの中に位置することができる。次に、自由電荷標識プローブの溶液を導入してよい。小さい電場は、電圧勾配を生じる導電板間で生成され得る。荷電プローブは電荷を有するので、それらは核酸鎖の近くに引き寄せられ得、従って電荷標識プローブの局所濃度は増加し、ライゲーション中の酵素の速度が改良される。
【0020】
さらにもう一つの態様は、ライゲーションされなかった電荷標識プローブの除去を補助するための、電圧勾配をもつナノFETを用いる単一分子シークエンシングに関係する。より具体的には、標的核酸鎖は、導電板を含むウェル中で、結合プライマーを介してナノFETのゲートに結合することができる。遊離電荷標識荷電プローブの溶液をウェルに導入してよい。遊離電荷標識荷電プローブは、当業者に公知のように、重合過程により、それら自身で標的核酸鎖とハイブリダイズするので、電圧勾配を印加して任意のライゲーションされなかった荷電プローブを除去することができる。この電圧勾配の結果として、電荷タグ(自由電荷標識プローブ)は、標的核酸鎖と同様に引き上げられる。電圧勾配は1回または複数回印加することもあり得る。したがって、ナノFETの電圧の検知、および光切断のために用いられる光の印加は、電圧勾配がかかる時に生じるように時機を合わせることができる。ライゲーションされなかった電荷タグを除去する効果により、よりクリーンなシグナルがもたらされ得る。
【0021】
プライマーの伸長過程を加速するため、ライゲーションする酵素を、その正味電荷が電荷標識プローブの正味電荷の符号と同じ符号を有するように修飾することができる。これにより、プローブと反対方向に移動する酵素に起因する問題を防ぐことができる。修飾は、酵素の重要でない領域のアミノ酸を交換してその正味電荷を直接変更することによるか、または、電荷タグを酵素に結合させることにより達成することができる。酵素および電荷標識プローブの正味電荷は、正であっても負であってもよい。
【0022】
既に記載したように、電圧勾配は、単一分子シークエンシング過程の一部として使用することができる。この電圧勾配の結果として、電荷タグ(自由電荷標識プローブ)は、標的核酸鎖と同様に引き上げられる。したがって、ナノFETの電圧の検知、および光切断のために用いられる光の印加は、電圧勾配がかかる時に生じるように時機を合わせることができる。ライゲーションされなかった電荷タグを除去する効果により、よりクリーンなシグナルがもたらされ得る。電圧勾配を、既に記載したように逆転させてプライマーを検出ボリュームの中に含める場合、電場を用いてプライマーを検出ボリュームの中にさらに濃縮して、そうでなければ必要とされるプライマーの濃度を低下させることができる。
【0023】
さらにもう一つの態様は、ポリメラーゼを用いるナノFETを伴う単一分子シークエンシングに関係する。特に、ポリメラーゼを、試験ウェル中のナノFETのゲートに結合させることができる。電荷標識プローブの溶液は、試験ウェルの中に導入することができる。荷電複合体は、それぞれのdNTPに光不安定性リンカーとともに結合することができ、次にdNTPはさらなる重合の追加を遅くするかまたは停止する(従って、ターミネーターとして機能する)。したがって、これによりシステムを改良された検出効率および改良された信号対雑音検出に対して同期化することが可能となる。このシステムはまた、電荷の変化が既知の時間で(光のパルスが起こる直後に)変化するので、瞬間の結合イベントを真の取り込みイベントと区別する能力の大幅な改良も可能にする。あるいは、標識をγリン酸に結合させ、「リアルタイム」シークエンシングを可能にしてもよい。標識は、2’位、3’位、および5’位を含む、多数の異なる位置に置かれることもあり得る。
【0024】
一部の態様では、ウェルには、電圧勾配を生成することのできる導電板が含まれてよい。電圧勾配は、結合しなかった電荷タグを引き離し、検出効率および信号対雑音検出を改良することができる。
【0025】
さらにもう一つの態様は、一般に、非標識核酸を直接読み取る、交流(AC)電場で動作するナノFETのゲートに結合したポリメラーゼに関する。より具体的には、ナノFETを含むウェル中で交流電場を生成することができ、交流電場は使用される非標識デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の質量および双極子モーメントに適した周波数で動作する。ナノFETおよび増幅システムは、交流電場周波数よりも速い速度で良好な信号対雑音比を測定するように構成することができる。あるいは、電荷標識dNTPを、終結システムまたは酵素活性を停止させないシステム(特に標識が切断され得る、または光不安定性である場合)のいずれかで用いることもあり得る。信号対雑音比を最大化するために核酸鎖の長さを最小化してもよいが、交流電場で小型の電荷タグとともに絡み合ったポリマーにおいて長い核酸鎖を使用するならば、この必要は少ない。核酸鎖が長すぎる場合は、それは丸まるか、またあるいはナノFETのゲートと相互作用する可能性があり得る。一部の態様では、電荷タグはγリン酸で結合し、酵素切断および最高速度を可能にすることもあり得る。
【0026】
さらにもう一つの態様は、一般に、電荷タグ酵素結合免疫吸着測定法(「ELISA」)サンドイッチアッセイに関する。特に、ナノFETをELISAサンドイッチアッセイで使用することができ、この場合検出抗体は電荷標識を有する。これは、単一の捕獲抗体かまたは一組の同一抗体群のいずれかを用いて実施することができる。その他の種類のサンドイッチアッセイ、例えば非抗体アッセイも実施することができる。アッセイの動態は直接観察することができ、競合アッセイを実施する場合は、各々の標的に関連する動態を観察することができる。
【0027】
本明細書において、「ハイブリダイゼーション」という用語は相補核酸の対形成に関して用いられる。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、および形成されるハイブリッドの平均熱変性温度(Tm)などの因子の影響を受ける。ハイブリダイゼーション法は、1つの核酸の別の相補核酸、すなわち相補的なヌクレオチド配列を有する核酸へのアニーリングを伴う。相補的配列を含有する2つの核酸のポリマー同士がお互いを見つけ、塩基対形成相互作用によりアニールする能力は周知の現象である。Marmur and Lane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:453 (1960)およびDoty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:461 (1960)によるハイブリダイゼーション過程の最初の所見に続いて、この過程は現代生物学に不可欠のツールに改良されてきた。
【0028】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において2またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはその他の合成同等物、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜約15ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約15〜約30ヌクレオチドを含む分子を意味するものと理解される。正確なサイズは多くの因子に依存し、多くの因子は、同じくオリゴヌクレオチドの最終的な機能または使用に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCR、またはそれらの組合せを含む、どのような方法で作製されてもよい。
【0029】
「標識」という用語は、本明細書において検出可能な(好ましくは定量可能な)シグナルを提供するために用いることができ、核酸またはタンパク質に結合することのできる任意の原子もしくは分子を意味するものと理解される。標識は、蛍光、放射能、比色分析、重量測定、X線回折もしくは吸収、磁性、酵素活性、および同類のものにより検出可能なシグナルを提供することができる。標識は、荷電部分(正または負電荷)であってもよいし、あるいは、電荷中性であってもよい。標識は、核酸、または、該標識を含む該配列が検出可能である限り、タンパク質配列を含んでもよいし、あるいはそれからなってよい。
【0030】
本明細書において、「電荷タグ」という用語は、別の分子に結合するかまたは結合する予定のモジュール式の化学複合体を意味するものと理解され、この際、電荷タグは他の分子の正味電荷とは異なる正味電荷を有する。例えば、電荷タグは核酸分子に結合される。電荷タグは、リン酸基に、または三リン酸基のα、β、もしくはγ位のヌクレオチドに結合することができ、あるいは、四リン酸基の4位などに結合することができる。その上、電荷タグは、2'、3'、4’位またはヌクレオチドの糖上の何らかの組合せに結合することができ、あるいは、ヌクレオチドの塩基に結合することができる。電荷タグは、限定されるものではないが、染料、リンカー基、ヌクレオチド、ホスホルアミダイト、ホスホン酸塩、リン酸基、アミン基、蛍光クエンチャー基および同類のものを含む、任意の数の所望成分を含む。
【0031】
本明細書において、「高分子またはその集合体」という用語は、相対分子量の高い分子(例えば、数千ダルトン以上の分子量)およびかかる分子の凝集体を意味するものと理解される。高分子の限定されない例としては、核酸、タンパク質(例えば、酵素、抗体、および同類のもの)、多糖(例えば、炭水化物)、および脂質が挙げられる。高分子の集合体の限定されない例としては、細胞成分、例えば細胞膜およびオルガネラが挙げられる。一態様では、高分子は、核酸鎖、例えば標的DNAまたは標的RNAであり得る。別の態様では、高分子はポリメラーゼであり得る。さらなる態様では、高分子は抗体であり得る。
【0032】
図1は一態様に従う例示的な検出システム100を示す。当業者は、図1に表される検出システム100が一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去もしくは変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。
【0033】
図1に示されるように、検出システム100には、試薬送達システム105、ナノFET集合体110、検出器115、制御器120および/または光源125が含まれる。試薬送達システム105は、1つまたは複数の核酸修飾のための試薬130、特に液体試薬を、ナノFET集合体に、かつ/またはナノFET集合体から移動させることができる。試薬送達システム105は、ポンプ(1つまたは複数)、バルブ(1つまたは複数)、1つまたは複数のリザーバ、ナノFET集合体110が配置されているチャネル(1つまたは複数)を含む、流動に基づく(flow-based)システム、および/または同種類のものであり得る。
【0034】
ナノFET集合体110は、核酸修飾のための部位を提供することができる。特に、ナノFET集合体110には、ナノFET135およびナノFET135と共役した1つまたは複数の核酸140(例えば、結合プライマー)が含まれ得る。次に、核酸140は、分析物145(例えば標的DNA)と共役することができる。あるいは、標的DNAは、結合のためにナノFETを導入するより前に結合プライマーにライゲーションされ得る。ナノFET135は、当業者に一般に公知である。ナノFET135には、従来のFETのように、ソース、ドレインおよびゲートが含まれる。ナノFET集合体は、単一のナノFET、または、複数のDNA標的の並列シークエンシングを可能にする複数のナノFETを含み得る。ナノFETは、参照によりその記述の全文が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20060269927号に記載される金のナノワイヤFETであり得る。あるいは、ナノFETは、カーボンナノチューブFET、またはシリコンナノFETであってよい。
【0035】
検出器115は、ナノFET集合体110、より具体的には、ナノFET135の電気的特性(例えば、電圧、電流など)などのパラメータを測定するように構成され得る。したがって、検出器115を、検出ボリューム(または試験ウェル)中に位置し得るナノFET135に電気的に連結して(図示せず)その電気的特性を測定することができる。
【0036】
制御器120は、検出システム100運用の様々な局面を制御および管理するように構成され得る。例えば、制御器120は、試薬送達システム105からナノFET集合体110まで、初期化プライマー、電荷標識オリゴヌクレオチド(プローブ)、電荷標識ヌクレオチド、リガーゼ、ポリメラーゼ、または洗浄液を流入させるように構成され得る。別の例として、制御器120は検出器115に連結して、検出器115が分析物145の電気的特性を測定する時を決定することができる。制御器120は、Field Programmable Gate Array(FPGA)、内部マイクロコントローラ、サーバー、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、または試薬送達システム105、検出器115および光源125に対する適当なインターフェースを備えたその他の同様のコンピューティングプラットフォームなどの内部ハードウェアを実装してよい。
【0037】
制御器120はまた、光源125と連結するように構成され得る。光源125は、一般に光のパルスもしくはバーストを用いる、分析物145から荷電オリゴヌクレオチド(または電荷タグ)を光切断(photocleave)するために使用されるように構成され得る。光源125からの光のパルスもしくはバーストは、検出過程の開始をマークすることもできる。大部分の光切断可能なリンカーはUVに応答するので、光源125はUVレーザーまたはUV LEDであることが好ましい。光源125からの光は、光が標的にライゲーションされているプローブと相互作用し、ライゲーションされていないプローブと相互作用しないように集中させることができる。例えば、光源125からの光は、全反射蛍光顕微鏡(Total Internal Reflection Fluorescent Microscopy)(TIRFM)により検出領域に限定することができる。光源125は、多数のまたは全てのナノFETが同時に照射されるようにフラッド光源であってよい。あるいは、光源125は、線光源または点光源として構成されてよく、それは次にナノFETのアレイを横切ってスキャンされ得る。フラッド光源を使用すると、全ての反応は同調して進むことができ、一方、線もしくは点光源を使用すると1より多くのナノFETの検出器を使用することが可能となり、それによって、例えば、アナログマルチプレクサを用いて1より多くのナノFETからのシグナルを検出器が処理することを可能にすることができる。
【0038】
図2は、別の態様に従うナノFET集合体110のより詳細な図を示す。当業者は、図2に表されるナノFET集合体110が一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去もしくは変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。
【0039】
図2に示されるように、ナノFET集合体110には、ナノFET135を取り付けることのできる基板205が含まれ得る。基板205は試験ウェル215の構造部材を形成し得る。カバー220は、別の試験ウェル215の構造部材ならびに側壁(図示せず)であってよい。さらにこの側壁に関して示されていないものは、溶液が試験ウェル215に流入し、試験ウェル215から外に出るために開くバルブである。
【0040】
ナノFET135は、選択された標的DNAの電気センサーとなるように構成され得る。ナノFET135は、当業者に公知のナノテクノロジー、例えば、参照によりその記述の全文が本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2006/0154400号および/または米国特許出願公開第2006/0154400号を用いて実行され得る。ナノFET135には、ソース211、ドレイン210およびゲート213が含まれ得る。ナノFET135は、図2Aに示されるように、検出ボリュームを生成することができる。図2A中、ナノFET135は、検出ボリューム216を生成することができる。ナノFET135は、検出ボリューム216中の電荷を検出することができる。検出ボリューム216の容量は、洗浄される溶液の種類ならびに使用される荷電標識オリゴヌクレオチドまたはヌクレオチドの種類に依存し得る。
【0041】
標的DNA225は、結合プライマー230を介してゲート213に結合することができる。結合プライマー230のゲート213への結合は、一部の態様では可逆的結合であってよく、それにより標的DNA225および結合プライマー230は除去され、別の標的DNA225および結合プライマー230に置き換えられる。標的DNA225および結合プライマー230は、電場、温度、またはナノFETの周囲の検出ボリュームの条件の(例えばpH、イオン濃度、または銀もしくはその他の切断剤の添加による)変化を用いて除去することができる。ナノFET135および標的DNA225は、電荷標識プローブの溶液に浸漬されてよく、ここで該溶液または混合物は、試薬送達システム105から流入され得る。溶液は電荷標識(すなわち電荷タグ)を含む4つの異なるプローブの組235A〜Dを含んでよく:電荷タグ235Aは、第1のコード(コードAと標識される)を表し得;電荷タグ235Bは、第2のコード(コードBと標識される)を表し得;電荷タグ235Cは、第3のコード(コードCと標識される)を表し得;かつ、電荷タグ235Dは、第4のコード(コードDと標識される)を表し得る。
【0042】
次に、電荷標識プローブ235A〜Dを、標的DNA225にライゲーションさせてよい。各々のライゲーションされた電荷標識プローブは、標的DNA225での位置を示す。しかし、電荷標識プローブを含む初期化プライマーの溶液が流入する場合、プローブは、切断可能なリンカーの3’側に5つの塩基、それに加えて切断可能なリンカーの5’側に3つのユニバーサル塩基の合計8つの塩基を有する(その他の態様では、切断可能なリンカーの3’側の3、4、6、または7塩基を切断可能なリンカーの5’側の種々の数のユニバーサル塩基とともに用いることができる)。最適な塩基の数は主に使用するリガーゼ酵素によって決まる。
【0043】
ライゲーションの後、ライゲーションしたプローブは次に切断され得る。各電荷タグ235A〜Dは、光またはエバネッセント光を作り出すその他のエネルギーによる電荷タグの切断を可能にするる光不安定性リンカーを含むことができるためである。光は、TIRFMにより;プラズモン構造、例えば、その該当部分が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20080066549号および同第20080105831号に記載されるものなどにより;ゼロモードクラッド導波路(ZMWG)、例えば、その該当部分が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,917,726号に記載されるものなどにより;ならびにそれらの組合せにより、切断領域に限定することができる。その他の態様は、化学または酵素を用いて電荷タグを切断することができる。検出器115は、次に活性化されて、光パルスの間または直後に起こるはずである標的DNAの電荷の変化を検出することができる。検出過程は、光源125から光を発することで時間を計ることができる。さらなるライゲーションが次に起こり得、その後にさらなる切断および検出が続く。その後、標的DNA225の第2の鎖は融解する。既存の溶液を流出させることができ、新しい溶液を導入してこの過程を繰り返すことができ、該溶液は前回の溶液中の初期化プライマーよりも1塩基短い初期化プライマーを含む。この過程は全ての塩基が決定されるまで反復される。
【0044】
図3は、さらに別の態様に従う、検出システム100(図1に示される)により実行される例示的な流れ図300を表す。当業者は、図3に表される流れ図300が一般化された概略図を表し、その他の段階を付加してもよいし、既存の段階を除去もしくは変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。
【0045】
図3に示されるように、標的DNA225をナノFET集合体110に入れるよりも前に、ユーザーは段階305において標的DNA225を結合プライマーに、かつビオチンにライゲーションすることができる。この段階は、検出およびシークエンシングの開始よりも前になされてよい。次に、ユーザーは標的DNA225をナノFET集合体110に結合させてよい。
【0046】
段階310において、ユーザーは標的DNA225を溶液に入れ、標的DNAをナノFET110の試験ウェル215に流入させることができる。次に、ユーザーは、段階315において、標的DNAの遊離末端が、ゲートの材料と結合プライマーの間の化学に基づいてゲート213に結合するのを待つ。一部の態様では、この結合は可逆的結合であってよい。
【0047】
段階320において、制御器120は、異なる長さの初期化プライマーが流入するように構成され得る。所望により、電荷標識プローブが流入してよい。制御器120は、段階325において、初期化プライマー(およびプローブ)が標的DNA225とハイブリダイズするのを待つように構成され得る。
【0048】
段階330において、制御器120は、それらが前の段階で導入されなかった場合には電荷標識プローブを流入させることができる。段階335において、制御器120は、電荷標識プローブが標的DNA225とハイブリダイズおよびライゲーションするのを待つように構成され得る。
【0049】
段階340において、制御器220は、任意のライゲーションされなかったプローブを流出させるように構成され得る。特に、ライゲーションされなかったプローブの除去によりバックグラウンドノイズが減少し、従ってより強い信号対雑音比が提供される。
【0050】
段階345において、光源125からの光の開始は、検出器115による検出過程の開始と同時に起こって、任意の結合した電荷タグを切断することができる。ハイブリダイゼーションおよびライゲーション過程の間のどのシグナルが、伸長した初期化プライマーにライゲーションされるプローブによって生じるのかを判断することはできないので、検出は、切断過程の一部として行われる。検出器115は、ナノFET135のゲート213の電流および/または電圧を感知するように構成され得る。次に、記録したデータをその後の処理のために制御器120で保存してよい。既存の技術とは違って、ライゲーション効率が高いかどうかは比較的重要でない。ライゲーションが1回のサイクルで起こらない場合、データの質を低下させることなくそれを繰り返すことができる。このことにより、特異性と効率の両方に対してよりもむしろ、酵素に対する特異性を最適化することが可能となる。制御器120は、これがこのプライマーに対する最後のライゲーションサイクルかどうかを判断するように構成することができる。これは、設定された数であってもよいし、データの質の分析結果として判断されてもよく、またその両方であってもよい。
【0051】
段階350において、制御器120は、最後の塩基が検出されたかどうかを判断することができる。より具体的には、初期化プライマーおよび電荷タグの溶液は、DNA鎖上のn番目の塩基ごとに検出するように構成することができる。次に、前回の初期化プライマーよりも1塩基短い、初期化プライマーのもう一つの溶液を用いて、前回の位置よりも1つ下の塩基位置を検出する。完全配列には、塩基の数に対してnサイクル行う必要がある。
【0052】
制御器120が、最後の塩基が検出されていないことを判断したら、制御器120は、段階330に関連する処理に戻ることができる。そうでなければ、段階355において、制御器210は、その後、標的DNA225からDNAの第2の鎖を融解させることができる。
【0053】
段階360において、制御器120は、最後の長さが検出されたかどうかを判断するように構成することができる。より具体的には、段階320において、m個の異なる長さのユニバーサルプライマーが流入した。したがって、制御器120は、異なる長さに対してm回配列決定するように構成することができる。
【0054】
制御器120が、最後の長さが検出されていないと判断したら、段階365において制御器120は標識プローブを任意で溶液に加えてもよい。その後、制御器120は段階320の処理を達成する。
【0055】
図4は、別の態様に従う、電場を含むナノFET集合体110Bのより詳細な図を示す。当業者は、図4に表されるナノFET集合体110Bが、一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去または変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。さらに、図4および図2はいくつかの共通の特徴を共有する。したがって、図4中の共通の特徴の解説は省略され、図2に関するこれらの特徴の説明によって、共通の特徴の適切な解説が提供される。
【0056】
図4に示されるように、ナノFET集合体110Bは、電荷タグ235の溶液中にナノFET135を含む。電荷タグ235にはハイブリダイズしていない遊離標識プローブが含まれ得る。ナノFET集合体110はまた、基板205およびカバー220それぞれの一部としての荷電電極(図示せず)を含んでよい。荷電電極は、電荷タグ235をナノFET135まで下がらせる、一部の態様では約0.1V/cm〜約100V/cmの範囲の小さな電場をもたらす。結果として、電荷タグ235の濃度は増加し、従って処理の速度を増大させる。加えて、交流電場を直流電場の上に重ねてより良好な速度および特異性を得てもよい。直流成分はプローブを高い濃度で検出領域に持ち込み、一方、交流電場を用いてハイブリダイズしなかったプローブを除去し、正確なプローブがハイブリダイズするための余地を設ける。ハイブリダイゼーションを阻止する比較的小さな電場が存在する間隔、ならびに、電場の強さが、ハイブリダイズしなかったプローブを除去するために十分強いが、正確にハイブリダイズしたプローブまたは正確にハイブリダイズおよびライゲーションされたプローブを除去するほど強くない間隔が存在するように、交流電場の大きさは、直流電場の強度に一致しなければならない。交流電場の周波数は、プローブがハイブリダイズしなかった位置から引き離されることを可能にするほど十分に低くなければならない。この電場の組合せは、あらゆるハイブリダイゼーション過程とともに使用することができる。ナノFET集合体110Bのこの態様の検出過程は、一般に流れ図300に従う。
【0057】
図5は、検出フェーズ中の図4の態様に従う、電場を含むナノFET集合体110Cのより詳細な図を示す。図5に示されるように、ナノFET集合体110Cは、試験ウェル215中にナノFET135を含む。試験ウェル215は、さらに基板205およびカバー220を、その中に組み込まれた電荷プレート(図示せず)とともに含んでよい。制御器120は、基板205とカバー220の間の試験ウェル215の中で実質的に約0.1V/cm〜約100V/cmの間の範囲のバイアスをかけるように構成され得る。結果として、バイアス電圧は電荷標識プローブ235を既知の状態に置くことができ、同時にハイブリダイズしたがライゲーションされなかった電荷標識プローブ、またはハイブリダイズされなかった(遊離)電荷標識プローブおよび標的DNA235を除去する。ナノFET集合体110Cのこの態様の1つの利点は、この態様が試薬をあまり必要としないことである。それは、電荷標識プローブは検出領域の内外に方向付けることができ、ナノFET135から離れるので、試薬を流入および流出させる必要はないと思われるためである。もう一つの利点は、電荷タグの洗浄が必要でないので、ナノFET集合体110Cがより速く実行されることであり得る。
【0058】
図6は、さらに別の態様に従う、標的DNAのポリメラーゼ結合を伴うナノFET集合体110Dのより詳細な図を示す。当業者は、図6に表されるナノFET集合体110Dが、一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去または変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。さらに、図6および図2はいくつかの共通の特徴を共有する。したがって、図6中の共通の特徴の解説は省略され、図2に関するこれらの特徴の説明によって、共通の特徴の適切な解説が提供される。
【0059】
図6に示されるように、ナノFET集合体110Dは、試験ウェル215中にナノFET135を含む。電荷タグが電荷標識デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、四リン酸またはそれ以上であり得る、電荷タグ235およびポリメラーゼ240の溶液を、試験ウェル215の中に入れてよい。電荷タグ235の溶液は、DNAの相補塩基に対応する4種類の電荷を含むことができる。標的DNA225は、ナノFET135のゲート213に結合される。ポリメラーゼは、事前に存在する核酸鋳型で核酸の合成を触媒する酵素であり、リボヌクレオチドからRNAを、またはデオキシリボヌクレオチドからDNAを構築する。
【0060】
電荷タグ235の混合物(または溶液)が試験ウェル215に導入される時に、4種類の電荷タグの中の1種類を、標的DNA225上で重合させることができる。電荷タグは、切断リンカー、例えば光不安定性リンカーを用いてヌクレオチドの糖または塩基に結合することができる。その他の態様は、化学切断リンカーの使用を企図する。
【0061】
適当な電荷タグ235が、重合した結合プライマー230に結合し、取り込まれる時に、選択された電荷タグ235の電荷を、切断可能なリンカーで遮断することができる。光源125を開始させ、ナノFET135の電流および/または電圧の検出を検出器115により行ってよい。切断可能なリンカーが切断されると、標的DNA225の次の電荷標識塩基と相補的な、次の電荷タグ235が浮動してきて、標的DNA225と結合し、ポリメラーゼに取り込まれ、そして検出される。5塩基ごとに検出するリガーゼアプローチとは違って、この検出過程は、各塩基を次々と検出する。
【0062】
別の態様では、電荷タグ235は切断可能なリンカーを用いずにリン酸基に結合する適当な電荷タグを含むdNTPであり得る。電荷タグ235は、次にポリメラーゼ240により取り込み時に切断され得る。検出は、ハイブリダイゼーションおよび取り込みのフェーズで起こり、その後に電荷タグが浮遊する。
【0063】
この過程は、誤った読み取りの可能性がある。特に、dNTPのリン酸基に結合した電荷タグの使用は、酵素に依存し得る。酵素は前進することも後退することもできる。酵素がバックアップする範囲まで、さらなる塩基を酵素のエキソヌクレアーゼ活性により作り出された空きの中に再び取込むことができる。これは、誤った読み取りをもたらす自然の取込みのように見える。従って、エキソヌクレアーゼ活性を有さない酵素が望ましい。その上、塩基は、伸張したプライマーに結合することができるが、その中に取り込まれることはできない。これも、取込みイベントと同じであるように見える。さらなる選択肢は、従って、次に同調的に除去することのできる可逆的なターミネーターとして電荷標識を使用することであり、測定したシグナルが実際に取込みイベントであることを最も保証する。同様の構造は、それらの記載の全文が参照により本明細書に組み入れられる、PCT公報国際公開第9627025号および国際公開第05040425号に記載されている。
【0064】
図7は、図6の一部として記載された態様の任意選択部分を示す。電場を印加して、DNA225、ポリメラーゼ240、および新しく取り込まれた電荷標識ヌクレオチドを既知の位置に戻し、どの電荷標識が取り込まれるかというより優れた判断を得る。ナノFETシグナルは、電荷の量、および電荷がナノFETのゲートから離れている距離の両方に依存するので、距離を制御することが電荷の質を決定する能力を向上させる。
【0065】
当業者は、図7に表されるナノFET集合体110Eが、一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去または変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。さらに、図7および図6はいくつかの共通の特徴を共有する。したがって、図7中の共通の特徴の解説は省略され、図6に関するこれらの特徴の説明によって、共通の特徴の適切な解説が提供される。
【0066】
図7に示されるように、ナノFET集合体110Eは、試験ウェル215中にナノFET135を含み得る。試験ウェル215には、荷電dNTPの溶液が収容され得、dNTPの各塩基に電荷値が割り当てられ得る。電荷は、切断可能なリンカー、例えば光不安定性リンカー、化学切断可能リンカー、またはその他の種類のリンカーによりdNTPの糖または塩基に結合され得る。電荷およびdNTPの組合せは、電荷タグ235を含み得る。
【0067】
試験ウェル215は、基板205およびカバー220を、その中に組み込まれている電荷プレート(図示せず)とともにさらに含むことができる。制御器120は、約0.1V/cm未満〜約100V/cmのバイアス電圧を電荷プレートに印加して、基板205とカバー220の間の試験ウェル215の中に電場を生成するように構成され得る。結果として、電荷標識プローブ(電荷タグ)235は標的DNA225と一緒に引き上げられる。電場は、電荷タグ235を既知の状態に置くと同時に任意の結合電荷タグおよび標的DNA225を引き上げることができる。ナノFET集合体110Eのこの態様の1つの利点は、電荷タグはナノFET135の内および外に方向付けることができるので、試薬をあまり必要としないことである。もう一つの利点は、電荷タグの洗浄が必要でないので、ナノFET集合体110Eがより速く実行されることであり得る。
【0068】
図7は、ナノFET集合体110EのナノFET135を垂直配向で表しているが、ナノFET135は、試験ウェル215の側壁に接して、カバー220または基板205とともにナノFET135のゲート213から伸びるチャネルと一列に並ぶことができる。この特定の立体配置は、電荷タグ235の(ナノFET135の周囲の)濃度を増加することができ、一部の例では電荷タグをナノFET135に引き寄せる。その上、この図はFETの下方に隣接している1つの電極、およびトップカバー上の第2の電極を示しているが、第2の電極は、側壁上、または、FETと同じであるがFETとは離れた表面上にあってもよい。
【0069】
図8は、さらに別の態様に従う、ナノFETに結合したポリメラーゼを伴うナノFET集合体110Fのより詳細な図を示す。当業者は、図8に表されるナノFET集合体110Fが、一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去または変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。さらに、図8および図6はいくつかの共通の特徴を共有する。したがって、図8中の共通の特徴の解説は省略され、図6に関するこれらの特徴の説明によって、共通の特徴の適切な解説が提供される。
【0070】
図8に示されるように、ナノFET集合体110Fは、試験ウェル215中にナノFET135を含む。電荷タグ235が、それに結合した電荷を含む遊離標識dNTPである、電荷標識ヌクレオチド(電荷タグ235)の溶液を、試験ウェル215に入れてよい。試験ウェル215は、基板205およびカバー220を、その中に組み込まれている電荷プレート(図示せず)とともにさらに含むことができる。図6に示される態様に類似して、標的DNAは、ナノFET135のゲート213に近接して維持される。図8に示される態様と図6に示される態様との間の1つの主な違いは、標的DNAをナノFETに結合させる代わりに、ポリメラーゼをナノFETに結合させる点である。これにより、電荷標識ヌクレオチドとゲートとの距離は、さらなる塩基が付加されても確実に同じままであり、一方、図6の態様の場合は、塩基の取込みのたびに距離が大きくなる。従って、図8の態様はより長い読み取りを可能にする可能性が高く、さらに、ナノFETが複数の標的DNAを読み取ることも可能にする。図6の態様は、標的DNAが固定され、第2の鎖を融解させ、標的を再びシークエンシングすることを可能にするという利点を有する。2番目の違いは、交流電場が図8に示されていることである。交流電場は電荷標識の測定を補助するために使用される。交流電場の周波数は変動させることができ、電荷タグの双極子の共鳴に合うように同調させることができる。ナノFET135および検出器115のアウトプットを次にフィルターにかけ、Stanford Research Systems SR830などのロックインアンプを用いて行うことができるように、共鳴を探すことができる。周波数は、4つの異なる電荷タグの各々に合うように変えてよい。あるいは、パルス方形波、またはその他の類似の波動関数から生じるデータにフーリエ変換を適用してもよく、それはその後、存在する場合、4つのタグのどれが存在するかを判定するために用いることができる。
【0071】
ナノFET集合体110Fのこの立体配置は、電荷がナノFET135のゲート213に対して近く、同じ場所にあるという利点を有する。
【0072】
さらに、電荷タグは、γリン酸領域でなく糖または塩基に光不安定性リンカーで結合することができ、それはその後に切断され得、同期を可能にし、従ってより確実な検出が可能となる。したがって、電荷タグを組み込むことができ、ナノFET135を取り囲む領域は未結合電荷タグを取り除くことができ、次に、電荷検出法を用いた検出器115による読み取りを行うことができる。次に、電荷タグ235の電荷は切断除去され、従って次の取込みのための標的DNA225が準備される。電荷はゲートから離れないので、φ29ポリメラーゼなどの高い処理能力の酵素を用いて長い配列のDNAを配列決定することができ、それは反応の速度を改良し得る。
【0073】
図9は、さらに別の態様に従う、サンドイッチELISAアッセイを伴うナノFET集合体110Gのより詳細な図を示す。当業者は、図9に表されるナノFET集合体110Gが、一般化された概略図を表し、その他の成分を付加してもよいし、既存の成分を除去または変更してもよいことをすぐに理解できるはずである。
【0074】
図9に示されるように、ナノFET集合体110Gは、ナノFET135を試験ウェル215中に含むことができる。試験ウェル215には電荷標識抗体245の溶液が収容され得、各々の抗体は、それに結合した電荷または本質的にそれと会合している電荷を有する。抗体255は、ナノFET135のゲート213に結合することができる。次に、標的タンパク質250を抗体255に結合させ、さらに電荷標識抗体245に結合させることができる。
【0075】
試験ウェル215は、基板205およびカバー220を、その中に組み込まれている荷電電極(図示せず)とともにさらに含むことができる。制御器120は、直流および交流電圧を電荷電極に実質的に約0.1V/cm〜約100V/cmの間の電圧まで印加して電場を生成するように構成することができる。次に、電場は電荷タグ245および標的タンパク質250を、結合した抗体のほうへ押し進めることができ、それは反応の速度を改良し得る。
【0076】
この態様を用いて非荷電タンパク質を検出することができる。より具体的には、非標識タンパク質(標的タンパク質250)は、それが電荷標識抗体245に結合し、ナノFET135のゲート213に結合している第2の抗体に結合したときに検出され得る。荷電部分の使用は全体的なシステムの頑強性を増大させるので、この配置を用いて速度をモニターすることもできる。つまり、さらなる電荷を用いて特定の抗体またはタンパク質をさらに区別することができる。その他の態様は、抗体の代わりにタンパク質を代用することができる。このアプローチは、結合した抗体255および電荷標識抗体245が異なる抗体である場合に、検出の際により大きい特異性の選択肢をさらに提供する。代替態様は、いくつかの抗体結合反応を同時にモニターする。それは、各々の抗体の結合が他の結合と区別され得るように、異なる抗体の電荷を変えることにより実現することができる。いくつかの抗体の限定されない例には、少なくとも3つの抗体、例えば約3〜約10の異なる抗体が含まれる。各々の抗体が異なる電荷を含み、そのため異なる電荷が存在するだけ多くの抗体の検出が可能となる場合に、より大きい特異性が実現され得る。
【0077】
記載される態様は単一のナノFETを特徴とするが、当業者にはナノFETのアレイが様々なナノFET集合体で実行され得ることが直ちに明らかであるはずである。同様に、チャネルのアレイを用いて処理量を増加させることもできる。
【0078】
ナノFETアレイは、標準的な半導体処理技法を利用して実行されてよく、あるいは、直接電子線リソグラフィーを用いて、またはナノインプリンティング技法を用いて作製され得る。ナノFETは、カーボンナノチューブFET金ナノワイヤFETまたはマイクロ波FETであり得る。
【0079】
ナノFETアレイは、個別の増幅回路(または前置増幅回路)を利用してよく、または、個々の前置増幅器を含むまたは含まないアナログマルチプレクサを使用してよい。
【0080】
データは、切断段階の前および/または後にさらなる読み取りを用いて収集することができる。また、データは、ドリフトおよび低いバンド幅ノイズをもたらす結合イベントおよび切断が観察できるように、リアルタイムで制御器により収集することができるが、これは、任意の真の取込みに関して逆の符号の2つのイベントが起こるためである。
【0081】
切断イベントに関係する時間はかなり短いので、切断の直前および直後に観察することにより最高の信号対雑音検出が得られる可能性が高い。したがって、ベースラインシフトまたは低いバンド幅ノイズに起因する誤差を最小化することができる。ポイントスキャナを光不安定性リンカーとともに使用する場合、マルチプレクサはスキャナの動きと同期化することができる。同様に、ラインスキャナを使用する場合、一組のマルチプレクサがラインスキャンの進行を追跡することができる。
【0082】
本発明の広い範囲に示される数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例中に示される数値は、できる限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、そのそれぞれの試験測定に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。さらに、本明細書において開示される全ての範囲は、その中に包含されるありとあらゆる下位範囲を含むものと理解される。例えば、「10未満」の範囲には、最小値0と最大値10の間の(かつ0と10を含む)ありとあらゆる下位範囲、つまり、0以上の最小値と10以下の最大値を有するありとあらゆる下位範囲、例えば、1〜5が含まれ得る。
【0083】
本発明はその例示的な態様を参照して記載されてきたが、当業者であれば、真の精神および範囲を逸脱することなく、記載される態様に様々な変更を行うことができる。本明細書において使用される用語および記述は、例証するためだけに示されるものであり、限定を意味するものではない。特に、本方法は実施例により記載されるが、本方法の段階は記載されるものとは異なる順序で、または同時に行われてよい。当業者は、これらおよびその他の変形形態が、以下の特許請求の範囲およびその同等物に規定される精神および範囲内で可能であることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース、ドレイン、およびゲートで構成されており、該ゲートが、少なくとも1つの高分子またはその集合体を受け取るよう構成されている、ナノFET装置;
光不安定性リンカーまたは化学切断リンカーを介して荷電分子複合体に結合しているヌクレオチドを含む電荷タグの溶液;
該ナノFET装置が該電荷タグの溶液中に位置するように構成されている、試験ウェル;
該ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つをモニターするように構成されている、検出器;ならびに
該試験ウェルと該検出器とのインターフェースとなるように構成されている、制御器
を含み、
該制御器が、該電荷タグの溶液を該試験ウェルに流入させ、該電荷タグの取込みを可能にし、該電荷タグを切断し、かつ、該検出器で電圧および電流のうち少なくとも1つを検出するように構成されている、
電荷検出のためのシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの高分子が、酵素または核酸鎖である、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
酵素がポリメラーゼである、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
核酸鎖が標的DNA鎖である、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
核酸鎖をさらに含み、ポリメラーゼがナノFET装置のゲートに結合するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
試験ウェルが電荷プレートをさらに含み、制御器が、該電荷プレートに電圧を印加して、電荷タグをナノFET装置へ向ける電場を生成するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
試験ウェルが電荷プレートをさらに含み、制御器が、該電荷プレートに電圧を印加して、電荷タグをナノFET装置から離れさせ、高分子またはその集合体を引き寄せる電場を生成するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
試験ウェルが光源をさらに含み、制御器が、光不安定性リンカーを切断する光のパルスを印加するように構成されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
制御器が、(i)電荷プレートに電圧を印加して、電場を生成し、かつ(ii)光不安定性リンカーを切断する光のパルスを放出するように構成されており;
検出器が、(i)および(ii)の印加の後に、電流または電圧のうち少なくとも1つの検出を開始するように構成されている、
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
ナノFET装置のゲートに結合し、かつ、標的DNA鎖の一方の末端に結合するように構成されている結合プライマーをさらに含む、請求項4記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つの高分子またはその集合体をナノFET装置のゲートに結合させる段階;
初期化プライマーを流入させ、該初期化プライマーと該高分子とをハイブリダイズさせる段階;
光不安定性リンカーまたは化学的に切断可能なリンカーを介して電荷複合体に結合しているプローブを含む電荷タグの溶液を流入させる段階;
該電荷タグと該高分子またはその集合体とをライゲーションして第2の鎖を形成する段階;
該電荷タグを該高分子またはその集合体から切断する段階;および
該ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つを検出する段階
を含む、単一分子シークエンシングのための電荷検出方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの高分子が酵素または核酸鎖である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
酵素が、核酸鎖の一方の末端に結合したポリメラーゼである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの高分子が核酸鎖である、請求項11記載の方法。
【請求項15】
核酸鎖が標的DNA鎖である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
電荷タグの溶液を除去する段階;
高分子またはその集合体から第2の鎖を除去する段階;および
前回のユニバーサルプライマーと比較して1塩基離れた塩基を検出するように構成されている第2の初期化プライマーを添加する段階;
第2の初期化プライマーと高分子複合体とをハイブリダイズさせる段階;および
電荷タグの第2の溶液を添加する段階
をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
第2の電荷タグの溶液の電荷タグをライゲーションする段階;
該電荷タグを前記高分子またはその集合体から切断する段階;および
ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つを検出する段階
をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
電圧バイアスを印加して、電荷タグの溶液中の電荷タグをナノFET装置へ向けるか、またはナノFET装置から離れさせる段階をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項19】
電圧バイアスを印加して、電荷タグの溶液中の電荷タグをナノFET装置から離れさせ、前記高分子またはその集合体を引き上げる段階をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項20】
ソース、ドレイン、およびゲートで構成されており、該ゲートが、それに結合している第1の抗体を有し、かつ、該ゲートが標的タンパク質を受け取るよう構成されている、ナノFET装置;
任意で光不安定性リンカーまたは化学的に切断可能なリンカーを介して荷電分子複合体に結合している第2の抗体を含む電荷タグの溶液;
該ナノFET装置が該電荷タグの溶液中に位置するように構成されている、試験ウェル;
該ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つをモニターするように構成されている、検出器;ならびに
該試験ウェルと該検出器とのインターフェースとなるように構成されている、制御器
を含み、
該制御器が、該電荷タグの溶液を該試験ウェルに流入させ、該電荷タグの結合を可能にし、任意で該電荷タグを切断し、かつ、該検出器で電圧および電流のうち少なくとも1つを検出するように構成されている、
電荷検出のためのシステム。
【請求項21】
試験ウェルが電荷プレートをさらに含み、制御器が、該電荷プレートに電圧を印加して、電荷タグをナノFET装置へ向けるか、またはナノFET装置から離れさせる電場を生成するように構成されている、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
試験ウェルが電荷プレートをさらに含み、制御器が、該電荷プレートに電圧を印加して、電荷タグをナノFET装置から離れさせ、該ナノFET装置から第2の抗体を引き離す電場を生成するように構成されている、請求項20記載のシステム。
【請求項23】
試験ウェルが光源をさらに含み、制御器が、光不安定性リンカーを切断する光のパルスを放出するように構成されている、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
制御器が、(i)電圧を電荷プレートに印加して電場を生成し、かつ、任意で(ii)光不安定性リンカーを切断する光のパルスを印加するように構成されており;かつ、
検出器が、(i)および任意で(ii)の印加の後に、電流または電圧のうち少なくとも1つの検出を開始するように構成されている、
請求項23記載のシステム。
【請求項25】
第1および第2の抗体が異なっている、請求項20記載のシステム。
【請求項26】
第1の抗体をナノFET装置のゲートに結合させる段階;
標的タンパク質を第1の抗体に結合させる段階;
任意で光不安定性リンカーまたは化学的に切断可能なリンカーを介して電荷複合体に結合した少なくとも第2の抗体を含む電荷タグの溶液を流入させる段階;
該電荷タグを該標的タンパク質に結合させる段階;
任意で該電荷タグを該少なくとも第2の抗体から切断する段階;および
該ナノFET装置からの電圧および電流のうち少なくとも1つを検出する段階
を含む、サンドイッチアッセイのための電荷検出方法。
【請求項27】
電圧バイアスを印加して、電荷タグの溶液中の電荷タグをナノFET装置へ向ける段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
電圧バイアスを印加して、電荷タグの溶液中の電荷タグをナノFET装置から離れさせ、第2の抗体を引き上げる段階をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
少なくとも3種類の異なる抗体をさらに含み、該抗体の各々が異なる電荷を含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
約3〜約10種類の異なる抗体をさらに含み、該抗体の各々が異なる電荷を含む、請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−532485(P2010−532485A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515233(P2010−515233)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/068857
【国際公開番号】WO2009/006445
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510004723)アプライド バイオシステムズ (1)
【Fターム(参考)】