説明

ナンセンス突然変異抑制治療用の経口的に活性な1,2,4−オキサジアゾールの投与方法

本発明は、ナンセンス突然変異関連疾患を治療又は予防する1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物を使用することに関する特定投与量及び投与計画に関する。特に、本発明は、ナンセンス突然変異関連疾患を有する哺乳動物における、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の使用に関する特定投与量及び投与計画に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全てが引用により本明細書中に組み込まれている、2006年10月12日出願の米国仮出願第60/851,450号の利益を主張するものである。
【0002】
(1. 発明の分野)
本発明は、ナンセンス突然変異関連疾患の治療又は予防における、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の特定の使用投与量及び投与計画に関する。特に、本発明は、ナンセンス突然変異関連疾患を有する哺乳動物における、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の使用に関する特定の投与量及び投与計画に関する。
【背景技術】
【0003】
(2. 発明の背景)
新たなクラスの1,2,4-オキサジアゾール化合物、及び未熟な翻訳終結の調節、又はナンセンス変異依存mRNA分解機構によって改善される疾患を治療、予防又は管理するためのそれらの使用は、引用によりその全てが本明細書に組み込まれる、「1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物、及びナンセンス抑制へのそれらの使用、並びに疾患の治療」と題され、2006年1月31日に発行された米国特許第6,992,096 B1号に記載されている。そのような化合物の1つが、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸である。全ての薬剤に関して、嚢胞性線維症及びデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの疾患を有する患者を治療するための適切な投与量並びに投与計画は、有害作用又は望ましくない効果なしに、所望の効果、若しくは最適な治療効果を達成するために必須である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、全ての有害作用又は望ましくない効果を防止若しくは減少させるか、又は最適な治療効果を与えるかのいずれか、あるいはその両方、すなわち所望の治療プロフィールを提供する、安全で効果的でかつ非毒性の投与量及び投与計画の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(3. 発明の要旨)
本発明は、特定の投与量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、特定の時間間隔で投与して、未熟な翻訳終結又はナンセンス変異依存mRNA分解機構を調節する、若しくはそれらに関連する1以上の症状を改善させる一方で、有害作用又は望ましくない効果を減少若しくは回避させる投与計画を含む。本発明はさらに、特定投与量及び単位剤形の、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む。
【0006】
一実施態様において、本発明は、その必要のある患者に、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、24時間の間に1回、2回又は3回投与する方法に関する。また、本発明は、その必要のある患者に、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む医薬組成物を、24時間の間に1回、2回又は3回投与する方法に関する。24時間の間における各投与での投与量は、同じか又は異なっていてもよい。一実施態様において、24時間で3回投与する場合、はじめの2回の投与での投与量は同じであり、3回目の投与量は、1回目の投与量の2倍である。別の実施態様において、3回の投与量は全て同じである。
【0007】
別の実施態様において、本発明は、未熟な翻訳終結、又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の調節によって改善される疾患の治療、予防又は管理方法に関し、該方法はそれらの必要のある患者に、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、24時間の間に1回、2回又は3回投与することを含む。好ましくは、投与は、数日、数週間、数ヶ月若しくは数年間、継続的に又は休憩期間を伴って、1日あたり3回行う。
【0008】
また、本発明は、未熟な翻訳終結、又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の調節によって改善される疾患の治療、予防又は管理方法に関し、該方法はそれらの必要のある患者に、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む医薬組成物を、24時間の間に1回、2回又は3回投与することを含む。好ましくは、投与は、数日、数週間、数ヶ月若しくは数年間、継続的に又は休憩期間を伴って、1日あたり3回行う。
【0009】
一実施態様において、本発明は、咳を治療、予防又は軽減する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0010】
一実施態様において、本発明は、筋肉におけるジストロフィン発現を増加させる方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む方法に関する。
【0011】
一実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与方法に関し、ここで該活性作用物質を、その必要のある患者に、24時間の間に1回、2回又は3回投与し、好ましくは、各投与は約4〜14時間隔てられる。特定の実施態様において、活性作用物質の投与量は、第1投与量から第3投与量にかけて高くなる。
【0012】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、該治療が必要のある患者に、特定の時間(例えば、5、7、10、14、20、24、28、60又は120日、又はそれより長い時間)投与する、継続的治療に関する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、0.1mg/kg〜500mg/kg、1mg/kg〜250mg/kg、1mg/kg〜150mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜25mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg又は2mg/kg〜10mg/kgの単回投与量又は分割投与量(例えば、1日あたり3回)で、その必要のある患者に投与することに関する。特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、約4mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約14mg/kg又は約20mg/kgの投与量で投与する。別の実施態様において、先に記載した3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の任意の投与量を、24時間内に、1回、2回又は3回投与する。
【0014】
別の実施態様において、本発明は、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、又は約500mg〜約1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む、単位投与量製剤に関する。
【0015】
別の実施態様において、本発明は、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg又は1400mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む、単位投与量製剤に関する。好ましい実施態様において、本発明は、125mg、250mg又は1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む、単位投与量製剤に関する。別の実施態様において、本発明は、患者において、約0.1μg/ml、約0.5μg/ml、約1μg/ml、約2μg/ml、約5μg/ml、約10μg/ml、約20μg/ml、約25μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約100μg/ml、約200μg/ml、約300μg/ml、約400μg/ml又は約500μg/mlより高い3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の血漿濃度を、少なくとも1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、若しくはそれより長い時間維持する方法に関し、該方法は、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
(4. 詳細な説明)
(4.1 図面の簡単な説明)
【図1】4-、4-及び8-mg/kg;10-、10-及び20-mg/kg;及び20-、20-及び40-mg/kg投与量レベルでのフェイズ2のデュシェンヌ型筋ジストロフィー試験における38人中37人の患者の血漿3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸濃度-時間プロファイル及びPKパラメータを示す図である。1人の患者のデータを、データが不十分であるため、分析から除外した。
【0017】
【図2】3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を対象に投与することによる24時間にわたる平均咳頻度に対する影響を示す図である。このデータは、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸が、平均咳頻度の初期の改善をもたらし、続いて平均咳頻度の一時的な増加をもたらし、続いて平均咳頻度の全体的な改善をもたらすことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(4.2 定義)
本明細書で使用するように、「未熟な翻訳終結」とは、アミノ酸に対応するコドンを終止コドンへと変える突然変異の結果をいう。
【0019】
本明細書で使用するように、「ナンセンス変異依存mRNA分解機構」とは、未熟な翻訳終結コドンを含むmRNAの分解を仲介する全ての機構をいう。特定の実施態様において、ナンセンス変異依存mRNA分解機構は、DNAのナンセンス突然変異に起因する。
【0020】
本明細書で使用するように、「未熟な終止コドン」又は「未熟な終止コドン」とは、アミノ酸に対応するコドンが存在すべき場所への終止コドンの存在をいう。
【0021】
本明細書で使用するように、「ナンセンス突然変異」は、アミノ酸に対応するコドンが終止コドンへと変わる点突然変異である。特定の実施態様において、ナンセンス突然変異は、DNAで起こり、その後mRNAに転写される突然変異である。
【0022】
本明細書で使用するように、「ナンセンス抑制」とは、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の阻害若しくは抑制をいう。特定の実施態様において、mRNA分解は、DNAのナンセンス突然変異に起因する。
【0023】
本明細書で使用するように、「未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の調節」とは、ナンセンス抑制のレベルを変化させることによる遺伝子発現制御をいう。例えば、未熟な終止コドンを有する遺伝子によってコードされた欠損タンパク質の産生を増加させること、すなわち疾患遺伝子の未熟な終止コドンの読み過ごしを可能にすることが望ましい場合、それにより遺伝子の翻訳が起き、その結果、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の調節はナンセンス抑制の上方制御を引き起こす。
【0024】
本明細書で使用するように、用語「有害作用」又は「副作用」とは、これらに限定されないが、吐き気、嘔吐、下痢、頭痛、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇、血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇、めまい、血清クレアチンキナーゼ(CK)の上昇、腹痛、腹部膨満、眼痛、眼部腫脹、眼部のほてり、乳頭感受性、乳腺圧痛、筋骨格的胸痛、発疹、痒み、下顎リンパ節、血清乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇、血清アルドースの上昇、及び血清トリグリセリドの上昇を含む。
【0025】
本明細書で使用するように、用語「活性作用物質」、「薬剤」及び「薬剤物質」とは、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物をいう。
【0026】
本明細書で使用するように、用語「投与量」とは、1回に投与されるべき活性作用物質の量を意味する。
【0027】
本明細書で使用するように、用語「単位剤形」とは、:錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;小袋(sachet);カプセル(cachet);トローチ;ロゼンジ;分散剤;粉末剤;溶液;ゲル;患者への経口投与又は粘膜投与に適した懸濁液(例えば、水性液体懸濁液、又は非水性液体懸濁液)、乳剤(例えば、水中油型乳剤、又は油中水型液体乳剤)、溶液、及びエリキシル剤などの液体剤形;及び、患者への経口投与又は非経口投与に適した液体剤形を提供するために再構成可能な滅菌固体(例えば、結晶性固体又は非晶質固体);を含む。単位剤形は、必ずしも単一投与量で投与しなくてもよい。
【0028】
本明細書で使用するように、用語「投与計画」及び「投与量」は、単位時間あたりに与えられる活性作用物質の量、及び投与の持続時間を意味する。
【0029】
本明細書で使用するように、用語「患者」は、動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットなど)を意味し、好ましくは非霊長類及び霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳動物を意味し、最も好ましくはヒトを意味する。特定の実施態様において、患者は、胎児、胚、乳児、子供、青年又は成人である。一実施態様において、プレスクリーニングを介して、患者がナンセンス突然変異を有することを測定する。別の実施態様において、プレスクリーニングを介して、患者が有するナンセンス突然変異(すなわち、UAA、UGA又はUAG)を測定する。
【0030】
本明細書で使用するように、「有効量」とは、該当疾患の治療又は管理に治療的便益を提供するか、若しくは該疾患に関連する症状を遅延又は最小化させるのに十分な、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の量をいう。一実施態様において、用語「有効量」とは、特定の持続時間の間、所望の血漿レベルを達成するのに十分な3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の量をいう。好ましい有効量は、本明細書に具体的に記載している。
【0031】
本明細書で使用するように、用語「管理する」、「管理すること」及び「管理」とは、患者が、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与から得る有益な効果であって、該当疾患の治癒はもたらさない、前記効果をいう。
【0032】
本明細書で使用するように、用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」とは、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与から生じる、患者の疾患又はその症状の開始、再発、拡散又は悪化の阻止をいう。ナンセンス突然変異関連疾患は遺伝的であり得るので、患者は、ナンセンス突然変異の存在に関して選別することができる。スクリーニングを介して、患者がナンセンス突然変異を有することを測定する場合において、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を患者に投与して、該当疾患又はその症状の開始、再発、拡散又は悪化を予防することができる。
【0033】
本明細書で使用するように、用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」とは、該当疾患、又は該疾患に関連する症状の根絶若しくは改善をいう。特定の実施態様において、それらのような用語は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、該当疾患を有する患者へ投与することが、該疾患の拡散又は悪化を最小化することをもたらすことをいう。
【0034】
本明細書で使用するように、用語「医薬として許容し得る塩」は、無機酸及び無機塩基、並びに有機酸及び有機塩基を含む、医薬として許容し得る非毒性酸又は非毒性塩基から製造される塩をさす。3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸に関して適切な医薬として許容し得る塩基付加塩は、これらに限定されないが:アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から製造される金属塩;又は、リジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから製造される有機塩;を含む。適切な非毒性酸は、これらに限定されないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルホン酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などの、無機酸並びに有機酸を含む。特定の非毒性酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及びメタンスルホン酸を含む。それゆえ、具体的な塩の例は、塩酸塩及びメシル酸塩を含む。塩の他の例は当業者に周知であり、例えば、『レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)』、第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0035】
本明細書で使用するように、用語「水和物」は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩を意味し、これはさらに、非共有結合的分子間力で結合している、化学量論的量又は非化学量論的量の水を含む。
【0036】
本明細書で使用するように、用語「溶媒和物」は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩を意味し、これはさらに、非共有結合的分子間力で結合している、化学量論的量又は非化学量論的量の溶媒を含む。
【0037】
(4.3 未熟な翻訳終結に関連する疾患)
本発明は、患者における、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の抑制によって改善される疾患若しくは障害の治療方法、予防方法又は管理方法を含み、これらは、本明細書に記載の投与量及び/又は投与計画に従って、該方法を必要とする患者に、有効量の経口的に生体利用可能な化合物(すなわち、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物)を投与することを含む。
【0038】
一実施態様において、本発明は、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構を示す遺伝子に関連する全ての疾患の治療、予防又は管理を含む。一実施態様において、該疾患は、部分的には、未熟な終止コドンから生じる遺伝子の発現の不足に起因する。未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構を示し得る遺伝子、並びに未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構に関連する疾患の具体例は、その全てが引用によって本明細書に組み込まれる、2002年6月21日に出願され、「未熟な翻訳終結及びナンセンス介在性mRNA分解を調節する小分子の同定方法」(Methods For Identifying Small Molecules That Modulate Premature Translation Termination And Nonsense Mediated mRNA Decay)と題された米国特許出願第60/390,747号に見出される。
【0039】
特定の実施態様において、本明細書で提供する方法、組成物、投与量、単位剤形及び投与計画は、本明細書に記載したようなナンセンス突然変異関連疾患遺伝子において、ナンセンス突然変異関連疾患を有する、又は該疾患の素因となる、若しくは該疾患に感受性な胚あるいは胎児の遺伝子における、ナンセンス突然変異関連疾患の治療、予防又は管理に有用である。この実施態様に従って、妊娠女性は、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与され、該剤は胎盤を介して、胚又は胎児に受け渡される。特定の実施態様において、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、経口的に妊娠女性に投与する。
【0040】
未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の抑制に関連する疾患又は障害、若しくは該抑制で改善される疾患又は障害は、これらに限定されないが、遺伝性疾患、ガン、自己免疫性疾患、血液疾患、コラーゲン疾患、糖尿病、神経変性疾患、増殖性疾患、心血管系疾患、肺疾患、炎症性疾患又は中枢神経系疾患を含む。
【0041】
本発明の方法の範囲内の特定の遺伝性疾患は、これらに限定されないが、多発性内分泌腺腫(1型、2型及び3型)、アミロイド症、ムコ多糖症(I型及びIII型)、先天性副腎過形成、大腸腺腫様ポリポーシス、フォン・ヒッペル・リンドウ病、メンケス症候群、血友病A、血友病B、コラーゲンVII、アラジール症候群、タウンス-ブロックス症候群、ラブドイド腫瘍、表皮水疱症、ハーラー症候群、コフィン・ローリー症候群、無虹彩症、チャーコット-マリア-トゥース病、筋細管ミオパシー、X連鎖性筋細管ミオパシー、X連鎖性軟骨異形成、X連鎖性無ガンマグロブリン血症、多発性嚢胞腎、脊髄性筋萎縮症、家族性大腸腺腫症、ピルビン酸脱水素酵素欠損症、フェニルケトン尿症、神経線維腫症1、神経線維腫症2、アルツハイマー病、テイ・サックス病、レット症候群、ハーマンスキー・パドラック症候群、外胚葉性異形成/皮膚脆弱性症候群、レリー・ワイル軟骨異形成症、くる病、低リン血症、副腎白質ジストロフィー、脳回転状萎縮、アテローム性動脈硬化症、感音性難聴、ジストニア、デント病、急性間欠性ポルフィリン症、コーデン病、ハーリッツ表皮水疱症、ウイルソン病、トリーチャ・コリンズ症候群、ピルビン酸キナーゼ欠損症、巨人症、小人症、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、加齢、肥満症、パーキンソン病、ニーマン・ピック病C、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、心疾患、腎結石、血管拡張性失調症、家族性高コレステロール血症、網膜色素変性症、リソソーム蓄積症、結節硬化症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、及びマルファン症候群を含む。
【0042】
別の実施態様において、遺伝性疾患は、自己免疫性疾患である。好ましい実施態様において、自己免疫性疾患は、関節リウマチ、又は移植片対宿主病である。
【0043】
別の実施態様において、遺伝性疾患は血液疾患である。好ましい実施態様において、血液疾患は、血友病A、フォン・ヴィレブランド病(3型)、血管拡張性失調症、b-サラセミア又は腎結石である。
【0044】
別の実施態様において、該遺伝性疾患は、コラーゲン疾患である。一実施態様において、該コラーゲン疾患は、骨形成不全症又は肝硬変である。
【0045】
別の実施態様において、該遺伝性疾患は糖尿病である。
【0046】
別の実施態様において、該遺伝性疾患は、炎症性疾患である。好ましい実施態様において、該炎症性疾患は関節炎である。
【0047】
別の実施態様において、該遺伝性疾患は中枢神経系疾患である。一実施態様において、該中枢神経系疾患は、神経変性疾患である。好ましい実施態様において、該該中枢神経系疾患は、多発性硬化症、筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルツハイマー病、テイ・サックス病、遅発乳児型神経セロイドリポフスチン病(LINCL)、又はパーキンソン病である。
【0048】
別の実施態様において、該遺伝性疾患はガンである。好ましい実施態様において、該ガンは、頭頸部ガン、眼ガン、皮膚ガン、口部ガン、咽頭ガン、食道ガン、胸部ガン、骨ガン、肺ガン、結腸ガン、S字結腸ガン、直腸ガン、胃ガン、前立腺ガン、乳ガン、卵巣ガン、腎臓ガン、肝ガン、膵臓ガン、脳ガン、腸ガン、心臓ガン、又は副腎ガンである。該ガンは、初期性又は転移性であり得る。ガンは、固形腫瘍、血液ガン、及び他の新生組織形成を含む。
【0049】
別の好ましい実施態様において、該ガンは、腫瘍サプレッサー遺伝子に関連する(例えば、Garinisらの論文. 2002, Hum Gen 111:115-117;Meyersらの論文.1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95: 15587-15591;Kungらの論文. 2000, Nature Medicine 6(12): 1335-1340;を参照されたい)。そのような腫瘍サプレッサー遺伝子は、これらに限定されないが、APC、ATM、BRAC1、BRAC2、MSH1、pTEN、Rb、CDKN2、NF1、NF2、WT1、及びp53を含む。
【0050】
特に好ましい実施態様において、該腫瘍サプレッサー遺伝子はp53遺伝子である。ナンセンス突然変異はp53遺伝子で同定され、ガンと関連している。p53遺伝子におけるいくつかのナンセンス突然変異が同定されている(例えば:Masudaらの論文, 2000, Tokaiの論文J Exp Clin Med. 25(2):69-77;Ohらの論文, 2000, Mol Cells 10(3) :275-80;Liらの論文, 2000, Lab Invest. 80(4):493-9;Yangらの論文, 1999, Zhonghua Zhong Liu Za Zhi 21(2): 114-8;Finkeisteinらの論文, 1998, Mol Diagn. 3(1):37-41;Kajiyamaらの論文, 1998, Dis Esophagus. 11(4):279-83;Kawamuraらの論文, 1999, Leuk Res. 23(2):115-26;Radigらの論文, 1998, Hum Pathol. 29(11):1310-6;Schuyerらの論文, 1998, Int J Cancer 76(3):299-303;Wang-Gohrkeらの論文, 1998, Oncol Rep. 5(1):65-8;Fulopらの論文, 1998, J Reprod Med. 43(2):119-27;Ninomiyaらの論文, 1997, J Dermatol Sci. 14(3) :173-8;Hsiehらの論文, 1996, Cancer Lett. 100(1-2):107-13;Rallらの論文, 1996, Pancreas. 12(1):10-7;Fukutomiらの論文, 1995, Nippon Rinsho. 53(11):2764-8;Frebourgらの論文., 1995, Am J Hum Genet. 56(3):608-15;Doveらの論文, 1995, Cancer Surv. 25:335-55;Adamsonらの論文, 1995, Br J Haematol. 89(1):61-6;Graysonらの論文., 1994, Am J Pediatr Hematol Oncol. 16(4):341-7;Lepelleyらの論文, 1994, Leukemia. 8(8):1342-9;McIntyreらの論文, 1994, J Clin Oncol. 12(5):925-30;Horioらの論文., 1994, Oncogene. 9(4):1231-5;Nakamuraらの論文., 1992, Jpn J Cancer Res. 83(12):1293-8;Davidoffらの論文, 1992, Oncogene. 7(1):127-33;及び、Ishiokaらの論文., 1991, Biochem Biophys Res Commun. 177(3): 901-6;を参照されたく、これらはその開示によりその全てが引用により本明細書に組み込まれる)。
【0051】
他の実施態様において、必要のある患者に、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することによって治療、予防又は管理されるべき疾患は、これらに限定されないが、固形腫瘍、肉腫、ガン、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原生肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸ガン、膵臓ガン、乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、腺ガン、汗腺ガン、皮脂腺ガン、乳頭ガン、乳頭腺ガン、嚢胞腺ガン、髄様ガン、気管支原生ガン、腎臓細胞ガン、肝腫、胆管ガン、絨毛ガン、精上皮腫、胚性癌腫、ウイルムス腫瘍、子宮頸ガン、睾丸腫瘍、肺ガン、小細胞肺ガン、膀胱ガン、上皮ガン、グリオーマ、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、メナンジオーマ(menangioma)、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、血液-骨腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞白血病、又は多発性骨髄腫を含む。例えば、『ハリソンの内科学の原理(Harrison’s Principles of Internal Medicine)』, Eugene Braunwaldら編, 491-762頁(第15版2001)を参照されたい。
【0052】
一実施態様において、本発明は、咳を治療、予防又は軽減する方法であって、咳の治療、予防又は軽減を必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む方法に関する。特定の実施態様において、患者は、嚢胞性線維症を有する。別の実施態様において、咳は、慢性咳である。別の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物は、本明細書に示す剤形として、又は本明細書に示す投与計画に従って投与される。
【0053】
一実施態様において、本発明は、筋肉におけるジストロフィン発現を増加させる方法であって、筋肉におけるジストロフィン発現の増加を必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む方法に関する。特定の実施態様において、本発明は、筋細胞におけるジストロフィン発現を増加させる方法であって、筋細胞を有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物と接触させることを含む方法に関する。一実施態様において、筋細胞は、インビトロで接触される。具体的な実施態様において、患者は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する。別の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物は、本明細書に示す剤形として、又は本明細書に示す投与計画に従って投与される。
【0054】
(4.4 投与量及び投与計画)
理論に制限されることなく、本発明は、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構の抑制に最適化された、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の特定の投与量及び投与計画を部分的に含む。好ましい実施態様において、該ナンセンス変異依存mRNA分解機構は、DNAのナンセンス突然変異に起因する。
【0055】
本発明の新規方法は、未熟な翻訳終結及び/又はナンセンス変異依存mRNA分解機構若しくはその症状の抑制によって治療可能又は予防可能な疾患の治療、予防及び管理を含む一方で、例えば毒性又は副作用といった有害又は望ましくない効果を減少若しくは回避させる。本明細書に記載の投与量及び投与計画に関する好ましい投与経路は経口である(すなわち:溶液;コロイド溶液;又はさらなる活性作用物質、上述の飽和濃度の活性作用物質を含む溶液;の経口摂取)。
【0056】
本明細書に記載の投与量及び投与計画は、該活性作用物質の所望の血漿濃度を達成し維持する能力のために、有用であると考えられる。理論に制限されることなく、例えば24時間又はそれ以降にわたり(第4.4節に記載される物質などの)活性作用物質の相対的に一定な血漿濃度を達成し維持することは、患者に有益な治療効果を提供すると考えられる。本明細書に記載の投与量及び投与計画は、そのような活性作用物質の治療的血漿濃度を達成し維持するのに有用である。
【0057】
一実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与方法に関し、ここで該活性作用物質を、12又は24時間に1回、必要のある患者に投与する。
【0058】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与方法に関し、ここで該活性作用物質は、12又は24時間に2回、必要のある患者に投与され、各々の投与は好ましくは4〜14時間隔てられ、一実施態様においては12時間隔てられる。これらの実施態様において、該活性作用物質は、例えば朝食及び夕食などの食事時間に投与することができる。
【0059】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の投与方法に関し、ここで該活性作用物質は、12又は24時間に3回、必要のある患者に投与され、各々の投与は好ましくは4〜14時間隔てられる。特定の実施態様において、該活性作用物質を、午前に1回、午後に1回、及び晩に1回投与する。投与間の好ましい間隔は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13及び14時間を含む。
【0060】
一実施態様において、活性作用物質の投与量は、24時間の間に上昇させる。別の実施態様において、投与する第2投与量を上昇させる(例えば2倍)。別の実施態様において、投与する第1及び第2投与量は一定を維持し、投与する第3投与量を上昇させる(例えば2倍)。特定の実施態様において、24時間における第3投与量を、式:1×、1×、2×;に従って投与する(ここで×は特定の初期投与量(例えば4mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg又は50mg/kg)である)。別の実施態様において、該活性作用物質を、患者の食事の約10、15、30、45又は60分以内(すなわち、前又は後)に投与する。一実施態様において、有効量の活性作用物質を食品にかける又は混ぜる。別の実施態様において、該活性作用物質を食事なしで投与する。
【0061】
特に好ましい投与計画は、約6時間、約6時間、及び約12時間の間隔で(例えば、朝食後の午前7時、昼食後の午後1時、及び夕食後の午後7時)、食事後30分以内に該活性作用物質を投与する場合である。
【0062】
さらに別の実施態様において、本発明は、0.1mg/kg〜500mg/kg、1mg/kg〜250mg/kg、1mg/kg〜150mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜25mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg、又は2mg/kg〜10mg/kgの間の単回投与量又は分割投与量(例えば、24時間に3回)の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要のある患者に投与することに関する。特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、約2〜6mg/kg、約5〜9mg/kg、約6〜10mg/kg、約8〜12mg/kg、約12〜16mg/kg、又は約18〜22mg/kgの投与量で投与する。特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、約4mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約14mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg又は約50mg/kgの投与量で投与する。別の実施態様において、上述の実施態様に記載の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の任意の投与量を、24時間で3回投与する。
【0063】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、毎日、その必要のある患者に、特定の時間(例えば、5、7、10、14、20、24、28、60又は120日、若しくはそれ以上)投与する継続的治療に関する。一実施態様において、該活性作用物質を、継続的に24時間あたり3回投与する。別の実施態様において、該活性作用物質を、継続的に毎日、毎週、毎月、又は毎年投与する。具体的実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約4mg/kg、約4mg/kg、及び約8mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。具体的実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約7mg/kg、約7mg/kg、及び約14mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。具体的実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約10mg/kg、約10mg/kg、及び約20mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。具体的な実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約30mg/kg、約30mg/kg及び約60mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。具体的な実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約10mg/kg、約10mg/kg及び約20mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。具体的な実施態様において、該活性作用物質を、24時間あたり3回、約40mg/kg、約40mg/kg及び約80mg/kgの投与量で、数日間、数週間、数ヶ月間、又は数年間、継続的に投与する。該活性作用物質を投与した各々の24時間において、約6時間、約6時間、及び約12時間の間隔で(例えば、朝食後の午前7時、昼食後の午後1時、及び夕食後の午後7時)、3回の投与が好ましい。継続的治療は、嚢胞性線維症、及びデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療、予防又は管理への使用が好ましい。
【0064】
療法の過程の治療期間は、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、1年、2年、3年、4年、5年、又はそれより長い期間にわたり得る。治療期間は休憩時間で中断することができ、該期間は1日、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週、13週、14週、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、1年、2年、3年、4年、5年、又はそれより長い期間にわたり得る。そのような決定は当業者(例えば、医師)がすることができる。
【0065】
特定の実施態様において、治療は14日間継続的であり、その後14日間治療せず、その後さらなる14日間継続的に治療する。一実施態様において、治療の2番目の14日間に投与する投与量は、治療の最初の14日間に投与した投与量よりも多い。非限定的な例として、必要としている患者に:連続する14日間、24時間で、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を3回(例えば、4mg/kg、4mg/kg及び8mg/kg)投与し;その後14日間治療せず;その後さらに連続する14日間、24時間で、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を3回(例えば、10mg/kg、10mg/kg及び20mg/kg)投与する。
【0066】
別の実施態様において、治療は28日間継続的である。連続的な治療を1日以上、1ヶ月以上、1週間以上又は1年以上中断することができる。連続的な治療の後に、1日以上、1ヶ月以上、1週間以上又は1年以上の休止期間を設け、次いで休止期間後に連続的な治療を再開することもできる。
【0067】
ある実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、本明細書に記載の投与量及び投与スケジュールに従い、第2活性作用物質との組み合わせで(例えば、同時に、又は逐次的に)投与する。特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、本明細書に記載の投与量及び投与スケジュールに従い:アミノグリコシド、コルチコステロイド、膵臓酵素、抗生物質、インスリン、血糖降下薬、オメガ-3脂肪酸、化学療法剤、又は酵素交換治療;との組み合わせで投与する。第2活性作用物質の投与は、局所的投与、経腸的投与(例えば、経口投与、十二指腸投与、直腸投与)、非経口投与(例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、又は腹膜内投与)、又はくも膜下腔投与であり得る。ある実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、本明細書に記載の投与量及び投与スケジュールに従い、放射線治療との組み合わせで投与する。
【0068】
その必要のある患者に投与する活性作用物質の量は、問題になっている患者の実際の体重、又は問題になっている患者集団(例えば、成人及び子供を含む、白人男性、白人女性、アフリカ系アメリカ人男性、アフリカ系アメリカ人女性、アジア系男性、アジア系女性)の平均体重に基づき計算するか若しくは計算できることは理解される。
【0069】
(4.5 血漿濃度)
一実施態様において、本発明は:約0.1μg/ml、約0.5μg/ml、約2μg/ml、約5μg/ml、約10μg/ml、約20μg/ml、約25μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約100μg/ml、約150μg/ml、約200μg/ml、約250μg/ml、又は約500μg/ml;より高い3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の血漿濃度を、患者において、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、又はそれ以上の間維持する方法に関し、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要とする患者に投与することを含む。特定の実施態様において、該投与は経口投与である。血漿中の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物のレベルを、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定できる。
【0070】
別の実施態様において、本発明は:約0.1μg/ml〜500μg/m又は約2μg/ml〜約10μg/mlの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の血漿濃度を、患者において、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、又はそれ以上の間維持する方法に関し、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要とする患者に、同じ投与量又は増加的投与量(例えば、本明細書に記載のような1×、1×、2×)で、1日あたり1回、2回、又は3回投与することを含む。特定の実施態様において、該投与は経口投与である。
【0071】
特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要とする患者に1日あたり1回、2回、又は3回投与することによって、患者の該活性作用物質レベルを、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、又はそれ以上の間、約2μg/mlよりも高く維持する。別の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要とする患者に1日あたり1回、2回、又は3回投与することによって、患者の該活性作用物質レベルを、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、又はそれ以上の間、約2μg/ml〜約10μg/mlの間に維持する。特定の実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、その必要とする患者に1日あたり1回、2回、又は3回投与することによって、患者の該活性作用物質レベルを、少なくとも約2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、8、12又は24時間、又はそれ以上の間、約10μg/mlよりも高く維持する。特定の実施態様において、該投与は経口投与である。
【0072】
特定の実施態様において、患者における3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の1μg/mLから1000μg/mL、1μg/mLから750μg/mL、1μg/mLから500μg/mL、1μg/mLから400μg/mL、1μg/mLから300μg/mL、1μg/mLから250μg/mL、1μg/mLから200μg/mL、1μg/mLから150μg/mL、1μg/mLから100μg/mL、1μg/mLから50μg/mL、1μg/mLから40μg/mL、1μg/mLから30μg/mL、1μg/mLから20μg/mL、1μg/mLから10μg/mL、又は10μg/mLから30μg/mLのCmaxを達成するための方法であって、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して、1日あたり1回、2回又は3回投与することを含む方法を本明細書に示す。
【0073】
特定の実施態様において、患者における3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の50μg・時/mLから1000μg・時/mL、50μg・時/mLから750μg・時/mL、50μg・時/mLから500μg・時/mL、50μg・時/mLから400μg・時/mL、50μg・時/mLから300μg・時/mL、50μg・時/mLから250μg・時/mL、50μg・時/mLから200μg・時/mL、50μg・時/mLから150μg・時/mL、又は50μg・時/mLから100μg・時/mLのAUC0〜24を達成するための方法であって、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して、1日あたり1回、2回又は3回投与することを含む方法を本明細書に示す。
【0074】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して投与する方法であって、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%信頼区間(CI)を有するインビボ血漿プロファイルを提供する方法に関する:
(a)投与1日目における87μg・時/mL又は投与28日目における91μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における10μg/mL又は投与28日目における11μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における0.5μg/mL又は投与28日目における0.6μg/mLの平均Cmin
【0075】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して投与する方法であって、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%CIを有するインビボ血漿プロファイルを提供する方法に関する:
(a)投与1日目における291μg・時/mL又は投与28日目における235μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における27μg/mL又は投与28日目における22μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における3.8μg/mL又は投与28日目における3.4μg/mLの平均Cmin
【0076】
別の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して投与する方法であって、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%CIを有するインビボ血漿プロファイルを提供する方法に関する:
(a)投与1日目における866μg・時/mL又は投与28日目における490μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における76μg/mL又は投与28日目における46μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における9.6μg/mL又は投与28日目における6.7μg/mLの平均Cmin
【0077】
(4.6 患者集団)
本発明の方法及び組成物が有用である特定の患者集団は、本明細書に記載の疾患などのナンセンス突然変異関連疾患を有する成人及び子供、又は(例えば、環境因子又は遺伝的因子に起因して)該疾患に感受性である成人及び子供を含む。
【0078】
一実施態様において、プレスクリーニングを介して、患者、又は患者の血縁者がナンセンス突然変異(すなわち、UAA、UGA、又はUAG)を有することを測定する。
【0079】
(4.7 医薬組成物及び単位投与量製剤)
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む医薬組成物及び単回単位剤形も、本発明に含まれる。本発明の個々の剤形は、経口投与、粘膜投与(舌下投与、口腔投与、直腸投与、経鼻投与、又は膣投与を含む)、又は非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、急速静注投与、動脈内投与、又は静脈内投与)に適切であってよい。好ましい医薬組成物及び単回単位製剤は、経口投与に適している。
【0080】
一実施態様において、該医薬組成物は固形の経口剤形である。一実施態様において、該医薬組成物は、液体の経口剤形である。特定の実施態様において、本発明は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物が経口的に生体利用可能である、投与量、単位投与量製剤、及び医薬組成物を提供する。経口投与の利点は、投与の簡便性、投与計画へのより高い患者コンプライアンス、臨床効率、より少ない合併症、より短い入院、及び全般的なコスト節減を含み得る。
【0081】
別の実施態様において、本発明は、約35mg〜約1400mg、約125mg〜約1000mg、約250mg〜約1000mg、又は約500mg〜約1000mgの間の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む単位投与量製剤に関する。一実施態様において、該単位投与量製剤は、ボトルに:3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物;並びに、医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)中の懸濁液に適切な1以上のキャリアー又は賦形剤;を含む。
【0082】
別の実施態様において、本発明は、35mg、50mg、70mg、100mg、125mg、140mg、175mg、200mg、250mg、280mg、350mg、500mg、560mg、700mg、750mg、1000mg、又は1400mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む単位投与量製剤に関する。好ましい単位投与量製剤は、約125mg、約250又は約1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む。一実施態様において、該単位投与量製剤は、ボトルに:3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物;並びに、医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)中の懸濁液に適切な1以上のキャリアー又は賦形剤;を含む。好ましい単位投与量製剤は、粉末及び小袋である。
【0083】
一実施態様において、本発明は、250mg、500mg、750mg又は1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む固体剤形であって、その投与を必要とする患者に対して、それぞれ4mg/kg、4mg/kg及び8mg/kgで1日3回投与された場合、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%信頼区間(CI)を有するインビボ血漿プロファイルを提供する固体剤形に関する:
(a)投与1日目における87μg・時/mL又は投与28日目における91μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における10μg/mL又は投与28日目における11μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における0.5μg/mL又は投与28日目における0.6μg/mLの平均Cmin
【0084】
一実施態様において、本発明は、250mg、500mg、750mg又は1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む固体剤形であって、その投与を必要とする患者に対して、それぞれ10mg/kg、10mg/kg及び20mg/kgで1日3回投与された場合、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%CIを有するインビボ血漿プロファイルを提供する固体剤形に関する:
(a)投与1日目における291μg・時/mL又は投与28日目における235μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における27μg/mL又は投与28日目における22μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における3.8μg/mL又は投与28日目における3.4μg/mLの平均Cmin
【0085】
一実施態様において、本発明は、250mg、500mg、750mg又は1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む固体剤形であって、その投与を必要とする患者に対して、それぞれ20mg/kg、20mg/kg及び40mg/kgで1日3回投与された場合、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%、90%から115%又は95%から110%以内の自然対数変換比に対する90%CIを有するインビボ血漿プロファイルを提供する固体剤形に関する:
(a)投与1日目における866μg・時/mL又は投与28日目における490μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における76μg/mL又は投与28日目における46μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における9.6μg/mL又は投与28日目における6.7μg/mLの平均Cmin
【0086】
本明細書に記載の単位投与量製剤は、約2℃〜約8℃の間で保存することを推奨するが、該単位投与量製剤は再構成前の約48時間は室温で保存することができる。一実施態様において、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の250mg単位投与量製剤の再構成を、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含むボトルに、約10mlの水を直接加えることで実施し、懸濁液の全体積において約25mg/mLの濃度を得る。3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の1000mg単位投与量製剤に対して、約20mlの水を、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含むボトル中に直接加え、懸濁液の全体積において約50mg/mLの濃度を得る。水を加えた直後、該ボトルに蓋をし、少なくとも約30秒間、ゆっくりと手で振り、均質な懸濁液を得る。再構成した懸濁液は、経口摂取前の24時間までははじめのプラスチックボトルに入れておいたままでよいが、再構成後は、該薬剤をすばやく摂取することを推奨する。再構成と投与との間に約15分を超える遅延があった場合、該ボトルを少なくとも約30秒間、再びゆっくりと手で振るべきであることを推奨する。該懸濁液を、該ボトルから直接的に投与することを推奨する。さらに、完全な単位剤形を投与すべき場合、該ボトルを1回水でリンスし、このリンス水を経口摂取して、粉末が該ボトル内に残っていないことを確実にすることを推奨する。単位剤形の部分量を投与すべき場合、スプーン又は注射器を使用して適切な投与量を得ることができる。
【0087】
患者への投与に適した本発明の単回単位剤形は、これらに限定されないが:小袋;カシェ剤;錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;トローチ;ロゼンジ;分散;粉末;溶液;懸濁液(例えば、水性又は非水性液体懸濁液)を含む液体剤形;乳剤(例えば、水中油型乳剤、又は油中水型液体乳剤);並びに、エリキシル剤;を含む。一実施態様において、本発明は、コロイド溶液、又は先に記載の飽和濃度のさらなる活性作用物質を含む溶液に関する。本発明に含まれる具体的剤形が互いに変化するこれらの方法及び他の方法は、当業者には直ちに明白である。例えば、『レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)』,第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)を参照されたい。
【0088】
本発明はさらに、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含む、無水の医薬組成物及び剤形を含む。本発明の無水の医薬組成物及び剤形は、無水成分又は低水分含有成分、及び低水分、又は低湿度条件を使用して製造することができる。
【0089】
本発明の典型的な経口剤形は、密接(intimate)混合物中の活性成分(群)を、従来的な医薬品合成法に従う少なくとも1つのキャリアー又は賦形剤と配合することによって製造する。賦形剤は、投与に望ましい製剤形態次第で、様々な形態をとり得る。例えば経口液体剤形又はエアロゾル剤形での使用に適した賦形剤は、これらに限定されないが、水、グリコール、オイル、アルコール、香料(例えば、バニラ抽出物)、防腐剤、及び着色料を含む。固形の経口剤形(例えば、粉末、錠剤、小袋、カプセル、及びカプレット)での使用に適する賦形剤の例は、これらに限定されないが、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑剤、結合剤、及び崩壊剤を含む。
【0090】
特に好ましい単位投与量製剤は粉末製剤であり、該製剤は、医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)中での再構成、及びそれに続く経口投与に適する、有効量の活性作用物質を含む。特定の実施態様において、該粉末は、該活性作用物質との組み合わせで、1以上のキャリアー又は賦形剤を任意に含み得る。別の実施態様において、該粉末は、投与又は再構成前に、密封容器中に保存することができる。さらに別の実施態様において、該粉末は、(例えばゼラチンカプセル内に)カプセル封入することができる。
【実施例】
【0091】
(5. 実施例)
以下の実施例は、説明の目的で提示するものであり、限定ではない。
(5.1 実施例1):3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の製造
【化1】

3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の調製方法が、いずれもその全てが引用により本明細書中に組み込まれている、2006年1月31日発行の米国特許第6,992,096号B2及び2007年9月9日出願の米国特許出願第11/899,813号に記載されている。3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の調製方法の代表例を以下に記載する。
【0092】
DMF(0.6 L)中の3-シアノ安息香酸(44.14g, 300mmol)の溶液に、K2CO3(62.19g, 450mmol)を添加した後、室温で30分間撹拌した。該懸濁液に、20分にわたってヨウ化メチル(28mL, 450mmol)を添加し、該反応混合物をさらに室温で4時間撹拌した。該反応混合物を1.2Lの冷水に注いで30分間撹拌し、該沈殿物を濾取した。該白色ケーキをメタノール(70mL)に溶解した後、冷水中で再沈殿させた。所望の産物を、79%収率(38g, LC/UVで99%の純度)の白色粉末として得た。1H-NMR (CDCl3)δ8.85 (2H), 8.28 (1H), 8.02 (1H), 4.17 (3H)。
【0093】
エタノール(500mL)中の3-シアノ安息香酸メチルエステル(50g, 310mmol)の溶液に、50%の水性ヒドロキシルアミン(41mL, 620mmol)を室温で添加した。該反応混合物を100℃で1時間撹拌し、該溶媒を減圧下で除去した。該油性残基を20/80のエタノール/トルエン(50mL×2)に溶解させた後、再び濃縮した。所望のエステル(61g,定量収量)を、98%の純度(LC/UV)を有する白色粉末として得た。1H-NMR (CDCl3)δ9.76 (1H), 8.24 (1H), 7.82 (2H), 7.51 (1H), 5.92 (2H), 3.82 (3H)。
【0094】
無水THF (200mL)中の3-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-安息香酸メチルエステル(60g, 310mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(75mL, 434mmol)を5℃で添加した後、該混合物に20分にわたって2-フルオロベンゾイルクロライド(48.1mL, 403mmol)を添加した。該反応混合物を室温で1時間撹拌した。該沈殿物を濾過で取り除き、該濾液を減圧下で濃縮した。該残基をエチル酢酸(400mL)に溶解させた後、水(200mL×2)で洗浄した。該溶媒を減圧下で除去し、所望の産物を、ヘキサン中の60%エチル酢酸で結晶化させ、所望の産物(81g,収率83%)を白色固体として得た。1H-NMR (CDCl3)δ8.18 (1H), 8.03 (3H), 7.48 (2H), 7.18 (2H), 5.61 (2H), 3.82 (3H)。
【0095】
ディーン-スターク(Dean-Stark)装置を使用して、トルエン(500mL)中の44gの3-(N-2-フルオロベンゾイルカルバムイミドイル)-安息香酸メチルエステルを、130℃で4時間還流させた。該反応混合物を5℃で18時間撹拌した。該白色沈殿物を濾過で取り除き、該濾液を濃縮し、トルエン中で再び結晶化させた。所望のオキサジアゾール(38g,収率92%)を、99%の純度(LC/UV)を有する白色固体として得た。1H-NMR (CDCl3)δ8.91 (1H), 8.38 (1H), 8.15 (2H), 7.62 (2H), 7.35 (2H), 3.95 (3H)。
【0096】
THF (40mL)中の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル(3.3g, 11mmol)の溶液に、1.5Mの水性NaOH (10mL, 14mmol)を添加した。該反応混合物を、100℃で2時間還流させた。有機溶媒を除去し、該水溶液を水(50mL)で希釈した後、水性HClで酸性化した。該白色沈殿物を濾取し、該白色ケーキを冷水で洗浄した後、凍結乾燥機を使用して乾燥させた。所望の酸(3.0g,収率96%)を、98%の純度(LC/UV)を有する白色粉末として得た。融点242℃;IR 3000 (芳香族C-H), 1710 (C=O);1H-NMR (D6-DMSO)δ8.31 (1H), 8.18 (2H), 8.08 (1H), 7.88 (2H), 7.51 (2H);13C-NMR (D6-DMSO)δ172.71, 167.38, 166.48, 161.25, 135.80, 132.24, 131.79, 131.79, 131.08, 130.91, 129.81, 127.76, 125.48, 117.38, 111.70;19F-NMR(D6-DMSO)δ109.7。
【0097】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の医薬として許容し得る塩を、当業者に既知の方法を使用して製造できる。該ナトリウム塩は以下のように製造できる。THF(400mL)中の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸メチルエステル(33g, 111mol)の溶液に、1.5Mの水性NaOH(100mL, 144mmol)を添加した。該反応混合物を100℃で2時間還流させた。有機溶媒を減圧下で除去し、該水溶液を5℃で2時間撹拌した。該白色沈殿物を濾過で取り除き、該濾液を濃縮し、水中で再び沈殿させた。該白色ケーキを冷水で洗浄した後、凍結乾燥機を使用して乾燥させた。所望の塩(33g,収率96%)を、98.6%の純度(LC/UV)を有する白色粉末として得た。
【0098】
(5.2 実施例2):ナンセンス突然変異介在性嚢胞性線維症の経口治療
本実施例は、ナンセンス突然変異介在性嚢胞性線維症の治療に有用な事例的投与計画を説明する。
【0099】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、懸濁液用のバニラ香粉末として提供する。該薬剤を、最新の適正製造基準(cGMP)条件下で製造する。該製剤は、結合剤及び懸濁化剤、界面活性剤、並びに製造工程において役立つ様々な微量の賦形剤を含み得る。該混合物を、ホイルシール並びに白色のプラスチック製の子供が開けることのできない蓋で密閉した40mlのプラスチック(高密度ポリエチレン[HDPE])ボトルにつめることができる。各ボトルは、125、250又は1000mgの薬剤物質を含むことができ、これらは全製剤重量の25.0%である。あるいは、該混合物を、実施例6に説明するものなどの小袋製剤で提供することができる。賦形剤(及び、全製剤重量との比率)は、懸濁化剤(Litesse(登録商標)Ultra [精製ポリブドウ糖] - 25.7%)、味覚遮蔽も提供できる結合剤(マンニトール - 25.0%)、界面活性剤(ポリエチレングリコール3350 - 12.8%、及びLutrol(登録商標)micro F127 [ポロクサマー407 粉末] - 3.7%)、崩壊剤(クロスポビドン - 5.0%)、及び各々が2%未満で存在し得る他の賦形剤(ヒドロキシエチルセルロース、バニラ香料、ステアリン酸マグネシウム[非ウシ]、及びコロイド性シリカ)を含む。ボトルラベルは、薬剤物質の成分、ロット番号、該薬剤物質量、及び保存条件(例えば、室温、又は5℃〜8℃で冷蔵)を示す。
【0100】
該薬剤物質の投与は、患者の体重1キログラムあたり1ミリグラムの薬剤を基準とする。該薬剤物質の投与量を区切りのいい数にして、利用可能なボトルサイズに一致させることができる。投与スキームは、投与される実際の全投与量が、意図する投与量(すなわち、常に、指定投与量レベルである5mg/kg以内にあること)の50mgより低くならないこと、又は250mgより高くならないことを保証する。例えば、4mg/kgの投与量で治療されている体重40kgの患者は、160mgの投与量と計算することができる。この患者は、250mgボトル1本(全量250mg)、又は6.25mg/kg/投与量を受け取るであろう。同じ患者が晩に8mg/kgの投与量で治療される場合には320mgの投与量と計算され、250mgボトル2本(全量500mg)、又は12.5mg/kgを受け取るであろう。同じ患者が10mg/kgの投与量で治療される場合には400mgの投与量と計算され、250mgボトル2本(全量500mg)、又は12.5mg/kgを受け取るであろう。同じ患者が晩に20mg/kgの投与量で治療される場合には800mgの計算上の投与量となり、1000mgボトル1本(全量1000mg)、又は25mg/kgを受け取るであろう。
【0101】
該製剤の再構成及び投与を室温で実施する。再構成前に、該製剤の特定の加温は必要ではない。該製剤は、任意の医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)で再構成することができる。提供される各々の250mgボトルについて、〜10mLの水又は他の医薬として許容し得る溶媒を添加して、懸濁液の全体積において約25mg/mLの濃度を得る。提供される各々の1000mgボトルについて、〜20mLの水又は他の医薬として許容し得る溶媒を添加して、懸濁液の全体積において約50mg/mLの濃度を得る。水又は他の医薬として許容し得る溶媒を該乾燥検討薬物に添加した直後に、該ボトルに蓋をして約60秒間手で激しく振り、懸濁液の均質性を得る。該懸濁液は、経口摂取前24時間まで元のプラスチックボトルに入れたままにしてよいが、該薬剤は再構成後すぐに摂取することを推奨する。再構成と投与との間に15分を超える遅延がある場合、該ボトルを再び約60秒間手で激しく振るべきである。
【0102】
嚢胞性線維症を有する患者、又は嚢胞性線維症を有することに感受性である患者に、必要である限り、継続的に治療を施す。表1は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の事例的な日々の投与計画を説明し、ここで投与は、1日あたり3回、食物と共に6時間、6時間、及び12時間の間隔(例えば、〜午前7時、〜午後1時、及び〜午後7時)で実施する。特定の実施態様において、患者に、表1に説明するような3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を継続的に14日間投与した後に、14日間治療せず、その後さらに14日間投与し、その後さらに14日間は治療しない。別の特定の実施態様において、患者に、表1に説明するような3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を継続的に14日間、4mg/kg、4mg/kg及び8mg/kgで1日3回投与した後に、14日間治療せず、その後さらに14日間、10mg/kg、10mg/kg及び20mg/kgで1日3回投与し、その後さらに14日間は治療しない。ある実施態様において、表1に説明する1日1回の投与計画を1日ごとに実施する。他の実施態様において、表1に説明する別の投与計画を別の日に実施することができる。
【表1】

【0103】
好ましくは、患者は、食事後30分以内に該薬剤を摂取する;理想的には、該薬剤を約6時間、約6時間、及び約12時間の間隔で(例えば、朝食後の午前7時、昼食後の午後1時、及び夕食後の午後7時)摂取する。患者は、各々のボトルを必要量の水又は他の医薬として許容し得る溶媒で充填して蓋をし、該ボトルを約60秒間振った後、必要数の成分及び投与量あたりのボトルサイズを摂取することによって、該薬剤を摂取する。再構成薬剤の全投与量を、一度に摂取すべきである。経口摂取後、各々の投与ボトルを半分の水又は別の医薬として許容し得る溶媒で満たし、蓋をして振り、該ボトルからのこの水又は他の医薬として許容し得る溶媒を患者が摂取する。このリンス手順を1回実施する。ある実施態様において、該薬剤を小袋として提供する。これらの実施態様において、適切な量の薬剤を秤量又は測量し、投与前に適切な医薬として許容し得る溶媒と混合することができる。
【0104】
(5.3 実施例3):ナンセンス突然変異介在性デュシェンヌ型筋ジストロフィーの経口治療
本実施例は、ナンセンス突然変異介在性デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療に有用な事例的投与計画を説明する。
【0105】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、懸濁液用のバニラ香粉末として提供する。該薬剤を、最新の適正製造基準(cGMP)条件下で製造する。該製剤は、結合剤及び懸濁化剤、界面活性剤、並びに製造工程において役立つ様々な微量の賦形剤を含み得る。該混合物を、ホイルシール並びに白色のプラスチック製の子供が開けることのできない蓋で密閉した40mlのプラスチック(高密度ポリエチレン[HDPE])ボトルにつめることができる。各ボトルは、125、250又は1000mgの薬剤物質を含むことができ、これらは全製剤重量の25.0%である。あるいは、該混合物を、実施例6に説明するものなどの小袋製剤で提供することができる。賦形剤(及び、全製剤重量との比率)は、懸濁化剤(Litesse(登録商標)Ultra [精製ポリブドウ糖] - 25.7%)、味覚遮蔽も提供できる結合剤(マンニトール - 25.0%)、界面活性剤(ポリエチレングリコール3350 - 12.8%、及びLutrol(登録商標)micro F127 [ポロクサマー407 粉末] - 3.7%)、崩壊剤 (クロスポビドン - 5.0%)、及び各々が2%未満で存在し得る他の賦形剤(ヒドロキシエチルセルロース、バニラ香料、ステアリン酸マグネシウム[非ウシ]、及びコロイド性シリカ)を含む。ボトルラベルは、薬剤物質の成分、ロット番号、該薬剤物質量、及び保存条件(例えば、室温、又は5℃〜8℃で冷蔵)を示す。
【0106】
該薬剤の投与は、患者の体重1キログラムあたり1ミリグラムの薬剤を基準とする。患者に投与すべき薬剤の総ミリグラム量に対応する総体積を計算すべきである。例えば、30kgの患者が4mg/kg摂取する場合、送達されるべき投与量は30×4=120mgである。この患者には、250mg投与量ボトルを使用して投与すべきである。250mg投与量ボトル中の懸濁液の各1mlは、250/10=25mgの薬剤を含むので、この患者は、各4mg/kg投与量に関して120/25=〜5mLを摂取すべきである。同じ患者が晩に8mg/kgの投与量で治療される場合には240mgの投与量と計算され、250mgボトル1本(懸濁液10mL)を受け取るであろう。各投与量の懸濁液のこれらの体積は、プラスチック製経口投与シリンジを使用して、薬剤ボトルから回収すべきである。(250mgボトルに関して)10mLより小さな分画容量、又は(1000mgボトルに関して)20mLよりも小さな分画容量の移行に関して、所望量は、該調査薬物ボトルから適切な型及びサイズの投与シリンジ(例えば、Baxa社、Exacta-Med、較正済み、ラテックス不含、プラスチック製、経口投与シリンジ)に回収し、同じシリンジを使用して投与すべきである。再構成後の同じ24時間の間に、>1の投与量を、同じ懸濁液のボトルから摂取する;しかしながら、再構成薬剤は、同じ患者に再び複数回投与用のこの材料を使用する意図で、24時間を越えて保存すべきではない。1日に摂取すべき薬剤の総量が、該再構成薬剤の(250mgボトルの)10mL又は(1000mgボトルの)20mLを超える場合、新しい薬剤のボトルを各投与に使用すべきである。
【0107】
該製剤の再構成及び投与を室温で実施する。再構成前に、該製剤の特定の加温は必要ではない。該薬剤は、任意の医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)で再構成することができる。提供される各々の250mgボトルについて、〜10mLの水又は他の医薬として許容し得る溶媒を添加して、懸濁液の全体積において約25mg/mLの濃度を得る。提供される各々の1000mgボトルについて、〜20mLの水又は他の医薬として許容し得る溶媒を添加して、懸濁液の全体積において約50mg/mLの濃度を得る。水又は他の医薬として許容し得る溶媒を該乾燥検討薬物に添加した直後に、該ボトルに蓋をして約60秒間手で激しく振り、懸濁液の均質性を得る。該懸濁液は、経口摂取前24時間まで元のプラスチックボトルに入れたままにしてよいが、該薬剤は再構成後すぐに摂取することを推奨する。再構成と投与との間に15分を超える遅延がある場合、該ボトルを再び約60秒間手で激しく振るべきである。
【0108】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する患者、又はデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有することに感受性である患者に、必要である限り、継続的に治療を施す。表2は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の事例的な日々の投与計画を説明し、ここで投与は、1日あたり3回、食物と共に6時間、6時間、及び12時間の間隔(例えば、〜午前7時、〜午後1時、及び〜午後7時)で実施する。特定の実施態様において、患者に、表2に説明するような投与計画の1つにおいて、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を継続的に28日間投与する。ある実施態様において、表2に説明する1日1回の投与計画を1日ごとに実施する。他の実施態様において、表2に説明する別の投与計画を別の日に実施することができる。ある実施態様において、該薬剤を小袋として提供する。これらの実施態様において、適切な量の該薬剤を秤量又は測量し、投与前に適切な医薬として許容し得る溶媒と混合することができる。
【表2】

【0109】
患者は、食事後30分以内に該薬剤を投与される;理想的には、該薬剤を約6時間、約6時間、及び約12時間の間隔で(例えば、朝食後の午前7時、昼食後の午後1時、及び夕食後の午後7時)摂取する。患者は、各々のボトルを必要量の水又は他の医薬として許容し得る溶媒で充填して蓋をし、該ボトルを約60秒間振った後、経口投与シリンジを使用して適切な体積量をボトルから取り出し、該投与シリンジから内容物を直接的に摂取することによって、該薬剤を摂取する。該投与量に対応する再構成薬剤の全ての計算された投与量を、一度に摂取すべきである。該薬剤の経口摂取後、該投与シリンジを、投与量体積と同体積の水又は別の医薬として許容し得る溶媒で満たし、患者によって摂取されるべきである。このリンス手順を1回実施すべきである。
【0110】
治療効果を、足筋短趾伸筋(EDB)の生体検査でのジストロフィンレベルの基準測定値からの変化を測定することによって測定することができる。
【0111】
(5.4 実施例4):3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の無味製剤の製造
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、懸濁液用粉末として提供する。該薬剤を、最新の適正製造基準(cGMP)条件下で製造する。該薬剤は、結合剤及び懸濁化剤、界面活性剤、並びに製造工程において役立つ様々な微量の賦形剤と共によく混合することができる。該混合物を、ホイルシール並びに白色のプラスチック製の子供が開けることのできない蓋で密閉した40mlのプラスチック(高密度ポリエチレン[HDPE])ボトルにつめることができる。各ボトルは、約35mg、約70mg、約125mg、約140mg、約175mg、約250mg、約280mg、約350mg、約560mg、約700mg、約1000mg、又は約1400mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含むことができる。賦形剤(及び、全製剤重量との比率)は、懸濁化剤 (Litesse(登録商標)Ultra [精製ポリブドウ糖] - 25.7%)、味覚遮蔽も提供できる結合剤(マンニトール - 25.0%)、界面活性剤(ポリエチレングリコール3350 - 12.8%、及びLutrol(登録商標)micro F127 [ポロクサマー407 粉末] - 3.7%)、崩壊剤(クロスポビドン - 5.0%)、及び各々が2%未満で存在し得る他の賦形剤(cab-o-sil、ヒドロキシエチルセルロース、バニラ香料、ステアリン酸マグネシウム[非ウシ]、及びコロイド性シリカ)を含む。その後、該ボトルにラベルを貼り、薬剤物質の成分、ロット番号、該薬剤物質量、及び保存条件(例えば、室温、又は5℃〜8℃で冷蔵)を表示する。投与前に、該製剤を、適切な量の医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)で再構成する。
【0112】
(5.5 実施例5):3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の風味加工製剤の製造
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、(例えば、バニラ抽出物の添加により)懸濁液用バニラ風味粉末として提供する。該薬剤を、最新の適正製造基準(cGMP)条件下で製造する。該薬剤は、結合剤及び懸濁化剤、界面活性剤、並びに製造工程において役立つ様々な微量の賦形剤と共によく混合することができる。該混合物を、ホイルシール並びに白色のプラスチック製の子供が開けることのできない蓋で密閉した40mlのプラスチック(高密度ポリエチレン[HDPE])ボトルにつめることができる。各ボトルは、約35mg、約70mg、約125mg、約140mg、約175mg、約250mg、約280mg、約350mg、約560mg、約700mg、約1000mg、又は約1400mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含むことができる。賦形剤(及び、全製剤重量との比率)は、懸濁化剤 (Litesse(登録商標)Ultra [精製ポリブドウ糖] - 25.7%)、味覚遮蔽も提供できる結合剤(マンニトール - 25.0%)、界面活性剤(ポリエチレングリコール3350 - 12.8%、及びLutrol(登録商標)micro F127 [ポロクサマー407 粉末] - 3.7%)、崩壊剤(クロスポビドン - 5.0%)、及び各々が2%未満で存在し得る他の賦形剤(cab-o-sil、ヒドロキシエチルセルロース、バニラ香料、ステアリン酸マグネシウム[非ウシ]、及びコロイド性シリカ)を含む。その後、該ボトルにラベルを貼り、薬剤物質の成分、ロット番号、該薬剤物質量、及び保存条件(例えば、室温、又は2℃〜8℃で冷蔵)を表示する。投与前に、該製剤を、適切な量の医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)で再構成する。該製剤を、再構成前の48時間までの間、室温で保存することができる。
【0113】
多くの文献を引用し、全てのそれらの開示は、それらの全てが引用により本明細書に組み込まれる。
【0114】
(5.6 実施例6):3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物の小袋製剤
多重積層からなる袋又は小袋を使用して、該混合物を包む。該多重積層は、紙層、アルミニウムホイル層、及びサーリン(surlyn)層を含んでよい。各々の小袋は、約125mg、約250mg、約500mg又は約1000mgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を含み得る。賦形剤(及び、全製剤重量との比率)は、以下の表3及び表4のいずれかに説明するものを任意に含む。
【表3】

【表4】

【0115】
該小袋にラベルを貼り、薬剤物質の成分、ロット番号、該薬剤物質量、及び保存条件(例えば、室温、又は2℃〜8℃で冷蔵)を表示する。投与前に、適切な量の該製剤を、適切な量の医薬として許容し得る溶媒(例えば、水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフード、又は粉ミルク)で再構成する。該製剤を、再構成前の48時間までの間、室温で保存することができる。
【0116】
(5.7 実施例7):経上皮電位差(TEPD)アッセイ
経鼻電位差としても知られる経上皮電位差(TEPD)の測定は、経上皮生体電気特性の評価を介して、直接的に分泌上皮細胞におけるナトリウム及びクロライド輸送の感受性評価を提供する(Knowlesらの論文, 1981, N. Engl, J Med. 305(25):1489-95;Knowlesらの論文, 1995, Hum. Gene Ther. 6:445)。標準的な手法を使用して、各鼻孔でTEPDを実施する(Standaertらの論文., 2004, Ped. Pulm. 37:385-92)。該手順において、小さなプラスチックカテーテルを使用して、鼻孔中の鼻粘膜細胞の外側の細胞膜を介する電位差を測定する。TEPD値は、ミリボルト、又はmVで表す。一般的に、-5.0mVに等しいクロライドコンダクタンス、又は-5.0mVよりも電気的に陰性なクロライドコンダクタンスが正常範囲と考えられている。鼻上皮細胞は、下気道を裏打ちしている呼吸上皮細胞よりも容易に到達でき、かつ同一のイオン輸送特性を有することが示されている(Knowlesらの論文, 1981, Am. Rev. Respir. Dis. 124(4):484-90)という理由から、TEPD評価は、下鼻甲介を裏打ちしている鼻上皮細胞で実施する。TEPD評価は、直腸上皮細胞、及び下気道上皮細胞でも実施することができる。細胞膜を介するクロライドイオン輸送におけるCFTRタンパク質の役割のため、及びこのタンパク質が存在しないため、嚢胞性線維症患者は異常なTEPDクロライドコンダクタンスを有する。終点として、TEPDは、気道細胞におけるCFTRの存在、機能的活性、及び頂端での局在の定量的統合であるクロライド輸送の変化を検出できるという利点を有する。さらに、TEPDはCFTR活性の直接的測定であり、(アミノグリコシド抗生物質の全身投与を例外として)CFの支持療法又は対症療法に影響されないようである。TEPD値が肺機能障害の度合い、及びレントゲン写真での異常性に相関し得るという証拠は重要である(Hoらの論文, 1997, Eur. Respir. J 1O(9):2018-22;Fajacらの論文, 1998, Eur. Respir. J 12(6):1295-300;Sermet-Gaudelusらの論文, 2005, Am. J Respit. Crit. Care Med. 171(9):1026-1031)。特に、イソプレテレノール誘導性CFTRクロライド活性のTEPD評価は、FEV1及び放射線医学的スコアを決定する遺伝子型よりもよい予測値であることが示されている(Hoらの論文, 1997, Eur Respir I 10(9):2018-22)。基準条件下において、TEPDで評価したクロライドチャネル活性が、CFを有する患者において自発的に正常化する見込みはほとんどなさそうである;TEPDで評価したクロライドチャネル活性において観測した全ての改善は、CFTR補正療法の薬理学的活性を具体的に示すと予想される。したがって、該活性は、CFTR機能障害の補正を目的とする、フェイズ1〜2の薬理学的調査及び遺伝子置換調査の一次終点となる(Peckhamらの論文, 1995, AJ Clin Sci (London). 89(3):277-84;Wilschanskiらの論文, 2003, N Engl. J. Med. 349(15):1433-41)。
【0117】
(5.8 実施例8):CFTR免疫蛍光
標準的な手法を使用して、免疫蛍光、及びCFTR mRNAの定量によるCFTRタンパク質の測定に関する、患者の各鼻孔からの鼻粘膜掻爬の回収及び処理を実施する(Clancyらの論文, 2001, Am. J. Respir. Crit. Care Med. 163(7): 1683-92;Amaralらの論文, 2004, J. Cyst. Fibros. 3 Suppl 2:17-23)。正常上皮細胞(例えば、鼻粘膜擦過由来)の免疫蛍光染色は、頂端表面にほとんどのCFTRタンパク質が存在することを示す。ナンセンス突然変異介在性CFの動物モデル、又はナンセンス突然変異介在性CFを有する患者において、CFTR染色は存在しない(例えば、未熟な停止突然変異に関してホモ接合性の患者において)、又は核周囲領域で主に観察される(例えば、正常なCFTR細胞内輸送を妨げるΔF508変異を有する患者において)。動物モデル及び患者の両方での機能的な野生型CFTRタンパク質又は非野生型CFTRタンパク質の成功的な産生は、免疫蛍光で評価されるような頂端上皮CFTRタンパク質の再出現と関連している(Clancyらの論文., 2001, Am. J Respir. Crit. Care Med. 163(7):1683-92;Wilschanskiらの論文., 2003, N. Engl. J. Med. 349(15):1433-41)。
【0118】
(5.9 実施例9):肺機能試験
標準的な肺活量測定手順を使用して、FEV1,FVC,及びMEF25-75を含む肺機能試験を測定する。(MEF25-75、FVC、及び特にFEV1を含む)肺機能の評価は、CFを有する患者における最終的な臨床的終点として認識されている(食品医薬品局、第62回抗感染症薬諮問委員会。嚢胞性線維症患者の管理のための吸入(Tobi(登録商標))用トブラマイシン溶液に関するNDAの議論、1997年11月;Tiddensの論文, 2002, Pediatr. Pulmonol. 34(3): 228-31)。FEV1及び他の肺機能試験測定は、健康管理的利用及びIV抗生物質使用に関して予測された疾患重篤性に相関し、かつCFが関連する死亡の危険性を示すことが示されている(食品医薬品局、第62回抗感染症薬諮問委員会。嚢胞性線維症患者の管理のための吸入(Tobi(登録商標))用トブラマイシン溶液に関するNDAの議論、1997年11月)。肺機能試験は単純な投与(まだ7歳の患者にさえ)であり、幅広く使用されている標準化された装置並びに手法を使用する。解釈は、患者の年齢、身長、及び性別からなる確立されている基準方程式を使用して実施する。FEV1における改善は、CFにおいて有意な臨床的利益を定量的に示すものとして認識されており、ドルナーゼアルファ、及びトブラマイシン吸入の規制認可の根拠とされている(食品医薬品局、第62回抗感染症薬諮問委員会。嚢胞性線維症患者の管理のための吸入(Tobi(登録商標))用トブラマイシン溶液に関するNDAの議論、1997年11月)。
【0119】
(5.10 実施例10):ナンセンス突然変異介在性嚢胞性線維症用の経口治療としての3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸のフェイズ2調査
患者は、調査への登録に適格な以下の条件の全てを満たさなければならない:
【0120】
1. 確定的に異常な発汗試験の証拠書類に基づくCFの診断(ピロカルピンイオン導入による、>60mEq/リットルの汗クロライド(LeGrysの文献,『発汗試験:サンプル回収及び定量的解析:承認ガイドライン-第2版(Sweat testing: Sample collection and quantitative analysis: Approved guidelines-Second edition)』。臨床研究所規格委員会2000;第20巻:14));
【0121】
2. TEPDで測定された異常なクロライド分泌(クロライド不含アミロリド及びイソプレテレノールを用いた、クロライド分泌のTEPD評価での-5mVよりも陽性);
【0122】
3. cftr遺伝子の対立遺伝子の1つにおけるナンセンス突然変異の存在;
【0123】
4. cftr遺伝子配列決定を実施したことの書面化;
【0124】
5. 年齢18歳以上;
【0125】
6. 体重40kg以上;
【0126】
7. 年齢、性別、及び身長(Knudson標準)で予測された40%以上のFEV1(Knudsonの論文, 1983, Am. Rev. Respi.r Dis. 127: 725-734);
【0127】
8. 室内空気における92%以上の酸素飽和(パルス酸素濃度計で測定した);
【0128】
9. 意志のある男性患者及び女性患者であって、外科的に滅菌しないのであれば、調査薬剤投与並びに追加期間の間、性交を控えるか、又は避妊バリア若しくは医学的避妊法を実施する:
【0129】
10. 陰性妊娠試験(出産可能性のある女性に関して);
【0130】
11. 定期的な訪問、薬剤投与計画、調査手順(TEPD測定、臨床検査室試験、及びPKサンプリングを含む)、及び調査制限に従う意志並びに能力;
【0131】
12. 書面化したインフォームドコンセントを提供する能力;及び
【0132】
13. 患者が、該試験の全ての適格な態様を通知されていたことを示す、個人によって署名されかつ日付を記入されたインフォームドコンセント書類の証拠。
【0133】
以下の条件のいずれかが存在した場合、本調査における登録から患者を除外する:
【0134】
1. 以前又は現在進行中の病状(例えば、複合疾病、精神医学的状態、アルコール依存症、薬物乱用)、病歴、物理的所見、ECG所見、又は治験責任者の意見で患者の安全性に悪影響を及ぼし得る検査所見の異常は、治療又は追加治療の経過を不完全なものにし、調査結果の評価を損なわせる可能性がある;
【0135】
2. 調査治療開始前2週間以内における、急性の上気道感染又は下気道感染を含む、進行中の急性疾病;
【0136】
3. 調査治療開始前2週間以内における、肺疾患の主要な合併症の履歴(最近の大量の喀血、又は気胸を含む);
【0137】
4. CF以外の臨床的に有意な活性肺疾患を示唆する胸部X線スクリーニングにおける異常、又はCFに準じる臨床的に有意な活性肺障害を示し得る無気肺又は胸水などの新たな有意な異常;
【0138】
5. B型肝炎表面抗原陽性、C型肝炎抗体試験陽性、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)試験陽性;
【0139】
6. 10g/dLより少ないヘモグロビン;
【0140】
7. 2.5g/dLより少ない血清アルブミン;
【0141】
8. 異常な肝臓機能(全血清ビリルビン>正常の上限;又は、血清ALT、AST又はGGT>正常の上限の2倍);
【0142】
9. 異常な腎臓機能(血清クレアチニン>正常の上限の1.5倍)
【0143】
10. 妊娠又は授乳;
【0144】
11. 固形器官移植又は輸血の履歴;
【0145】
12. 調査治療開始前14日以内での別の治験薬剤への曝露;
【0146】
13. 他のあらゆる治療臨床的治験への現在における参加;
【0147】
14. チアゾリジンジオンペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト、例えば、ロシグリタゾン(Avandia(登録商標)、又は同等物)、又はピオグリタゾン(Actos(登録商標)、又は同等物)の現在における使用;
【0148】
15. 調査治療開始前14日以内における鼻腔内薬物の変更(コルチコステロイド、クロモリン、臭化イプラトロピウム、フェニレフリン、又はオキシメタゾリンの使用を含む);
【0149】
16. 調査治療開始前14日以内における、全身的コルチコステロイド治療又は吸入コルチコステロイド治療における変更;
【0150】
17. 調査治療開始前14日以内、又は調査治療中における、吸入ゲンタマイシン又はアミカシンの使用又は所要;或いは
【0151】
18. 調査治療開始前14日以内における、全身的なアミノグリコシド抗生物質の所要。
【0152】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を、本明細書に記載の製剤で投与した。15人の患者(イスラエルで実施したフェイズ2から12人、並びに米国で実施したフェイズ2から3人;7人の患者は男性であり、8人の患者は女性であった;患者群は22歳の中央年齢値を有していた;並びに、全ての患者は、ある程度の肺機能障害を含む嚢胞性線維症の複数の徴候及び症状を有していた)に、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を、以下の56日のスケジュールに従って経口投与した:14日間、1日あたり3回(TID)、4mg/kg、4mg/kg及び8mg/kgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を投与した後、14日間は処理せず(28日からなる、サイクル1)、その後14日間、1日あたり3回(TID)、10mg/kg、10mg/kg及び20mg/kgの3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を投与した後、14日間は処理しなかった(28日からなる、サイクル2)。
【0153】
先に説明した手順を使用して、臨床的終点を評価した。TEPD測定を、治療前、及びサイクル1の14日目及び28日目、並びにサイクル2の14日目及び28日目に実施した。鼻粘膜掻爬を、治療前、及びサイクル1の14日目及び28日目、並びにサイクル2の14日目及び28日目に各患者の各鼻孔から回収した。FEV1、FVC及びMEF25-75を含む肺試験を、イスラエルで実施した調査においては、治療前、サイクル2の1日目、サイクル1の13日目又は14日目、並びにサイクル2の13日目又は14日目に測定し、かつ同変数を米国で実施した調査においては、治療前、及びサイクル2の13日目又は14日目に測定した。
【0154】
(TEPDクロライドコンダクタンスにおける平均変化)これは、各々の調査参加者のTEPDクロライドコンダクタンスにおける、治療期間の最初から最後の変化の平均である。例えば、3人の参加者の各々におけるTEPDクロライドコンダクタンスの変化が-7.0mV、-2.0mV及び-9.0mVであった場合、これらの参加者におけるTEPDクロライドコンダクタンスの平均変化は-6.0mVとなろう。
【0155】
(クロライドコンダクタンス応答のある患者の百分率)これは、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を用いた治療の最後でのTEPDクロライドコンダクタンス応答を示した患者の百分率である。該治験の目的に関して、クロライドコンダクタンス応答を、少なくとも-5.0mVのTEPDクロライドコンダクタンスの改善として定義する。例えば、基準値で+1.0mVのTEPDクロライドコンダクタンス値を有し、かつ治療の最後において-6.0mVのTEPDクロライドコンダクタンス値を有する患者において、該TEPDクロライドコンダクタンス改善は-7.0mVであり、これはクロライドコンダクタンス応答を表す。
【0156】
(正常範囲にTEPDクロライドコンダクタンスが改善した患者の百分率)先に記載したように、-5.0mVに等しいか又はより電気的に陰性なクロライドコンダクタンスは、通常、正常範囲であると考えられている。そのようなものとして、基準値で+1.0mVのTEPDクロライドコンダクタンス値を有する患者は、異常値を有していると考えられる。なぜなら、該値は-5.0mVよりもより電気的に陽性だからである。治療終了時において、患者のTEPDクロライドコンダクタンス値が-6.0mVにまで改善していた場合、該改善値は-5.0mVよりもより電気的に陰性であるので、該改善は正常範囲への改善を表す。
【0157】
患者の性別、年齢及び身長に基づき、調査の初めにおける平均FEV1値は正常の66%であり、かつ調査の初めにおける平均FVC値は正常の80%であった。該解析に含まれる15人の患者のうち14人は、重篤な肺炎を引き起こし得る嚢胞性線維症患者における共通の細菌感染である、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を含む気道コロニー化を有していた。また、15人の患者のうち14人は脾臓不全を有しており、慢性的に脾臓酵素の置換治療が必要であった。患者は、調査開始時に58.3kgの平均体重を有する軽い体重を有していた。
【0158】
表5は、5人の患者に関するTEPDの結果を示す。各測定に関しての結果を、鼻孔の最良、及び両鼻孔の平均に基づいて示す。歴史的に、TEPD試験の結果は通常、鼻孔の最良に基づいて示されてきた。しかしながら、嚢胞性線維症治療薬開発ネットワークによって確立された最新のガイドラインは、TEPDの結果を両方に基づいて示されるべきであることを推奨していた。CFTR遺伝子に様々な型のナンセンス突然変異を有する患者におけるTEPDクロライドコンダクタンスの改善を記載した。
【表5】

【0159】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸のより低い投与量レベル及びより高い投与量レベルでの治療効果は統計的に有意ではなく、このことはさらなる投与量の増加は必要でない可能性、並びにより低い投与量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸でさえも、TEPDクロライドコンダクタンスを改善させるのに効果的であり得ることを示唆する。また、統計学的に有意な結果、及び二次終点に関する好ましい傾向も観測された。特に、該治験は二次終点において有意な変化を検出する力はないが、患者の平均FEV1、平均FVC及び平均体重における高投与量治療サイクルの調査の最初から最後までにおいて、統計的に有意な改善が観測された。表6は該結果を示す。肺機能の変化に関して、高投与量治療サイクルの最後に測定した肺機能を有していなかったので、1人の患者は含まれなかった。
【表6】

【0160】
さらに、患者の症状の変化は、生活の質に関するアンケートの使用を通じて公式に測定しなかったが、治験の研究者は、患者の嚢胞性線維症の症状における変化に関する質問を依頼した。中間解析に含まれる15人の患者において、6人は良好な全般的改善が報告され、6人は咳の減少が報告され、並びに10人は粘液の厚さの減少及び粘液除去が容易化したことが報告された。
【0161】
(5.11 実施例11):免疫蛍光及びウエスタンブロッティングによる、ジストロフィン、サルコグリカン、及びジストログリカンの発現
片方の足からのEDB筋及びそれを覆っている皮膚の生体検査を、治療前に局所麻酔及び意識下沈静(いくつかの場合においては、全身麻酔が必要とされる可能性がある)で実施し、治療の最終日に他方の足からの生体検査を実施する。標準的な手法を使用して、生体検査手順を実施する(Stedmanの論文, 2000, Human Gene Therapy 11:777-90)。(可能な場合)完全な筋腹を該手順で取り出す。治療前の生検の回収時間に、筋検体を少なくとも3つのフラグメントに分割し、及び治療の最終日に回収される生体検査検体を少なくとも2つのフラグメントに分割する。生体検査検体を、リンガー生理食塩水で湿らせたテルファ(telfa)ガーゼスポンジ上に置く。該生体検査検体を、立体解剖顕微鏡下、低出力で観察し、線維の配向を確立する。その後、該筋を、可能な場合は常に鋭利なメスを使用して横断的様式(線維の配向に対して垂直)で横断して2分間静置し、痙攣を停止させる。その後、該サンプルを液体窒素で冷却したイソペンタン中で凍らせ、液体窒素容器に移し、液体/蒸気境界面の上1インチ(2.54センチメートル)に保ち2分間徐冷して、液体窒素への浸漬前にイソペンタンを蒸発させ、調査番号、部位番号、患者番号、日付、患者のイニシャル、及び足側(右足又は左足)を標識した、予め冷却した(液体窒素で、及びドライアイス上に保存)ホイルで包んだ。
【0162】
全てのサンプル容器を、対象及び回収日を識別可能な様式ではっきりと標識する。ラベルがはがれることを妨げる様式で、ラベルをサンプル容器に貼る。該手順を実施した後すぐに、サンプルを、解析/培養/中心的再調査用に送る。ジストロフィンの検出用に、該タンパク質のC末端、N末端、及び桿状ドメインを認識する3種の市販抗体を使用する。サルコグリカン及びジストログリカン複合体の検出用に、可能な場合、α-、β-、γ-及びδ-サルコグリカンに対する市販抗体、並びにβ-ジストログリカンに対する市販抗体を使用する。該解析に落射蛍光顕微鏡を使用する;標準筋検体に対して蛍光強度を標準化した後、画像をCCDカメラで記録する。画像をデジタル的に保存して、将来的な再検討、及び調査完了時における最終的な評価用に保護する。また、当該抗体を使用するウエスタンブロッティングによるジストロフィン、サルコグリカン、及びβ-ジストログリカンの検出用に、組織を加工する。顕微鏡画像を記録して、将来的な再検討、及び調査完了時における最終的な評価用に保存する。残りの筋組織サンプルを、DMDに関与するmRNA及びタンパク質の検証的アッセイ用に保存する。免疫染色及びウエスタンブロッティングを、タンパク質検出用に実施する。
【0163】
診断の構成要素として、及び研究調査の文脈における治療効果の測定として、通常、筋の生体検査をDMD対象で実施する。EDBは日常的な活性に必須な筋肉ではなく、それゆえ該筋肉をサンプル化することは、該対象に有害な機能的帰結をもたらさないと理由から、EDBを選択した。少量のみを使用するので、EDB筋は、筋肉の実質的な繊維性置換を示さないようであり、それゆえジストロフィン産生の検出に適切な組織を提供する。EDB筋は識別が容易であり、局所麻酔下で切除可能であり、かつ所要の解析を実施するのに十分量の組織を提供することから、EDB筋のサンプル化は実用上の利点を提供する。免疫蛍光及びウエスタンブロッティングは、全長ジストロフィンの存在又は不在を確認するために筋生体検査検体で実施する日常的検査である。ジストロフィンの不在は、DMD診断の確認とみなされる。筋膜への局在を有するジストロフィンの回復は、前臨床的及び臨床的薬力学活性の直接的測定とみなされている(Barton-Davisの論文, 1999, J. Clin. Invest. 104(4) :375-81;Politanoの論文, 2003, Acta Myol. 22(1): 15-21)。
【0164】
(5.12 実施例12):四肢筋力の上昇及び低下の測定
標準的手順(Beenakkerの論文, 2001, Neuromuscul. Disord. 11(5):441-6;Hydeの論文, 2001, Neuromuscul. Disord. 11(2):165-70)に従い、手持ち型筋収縮計を使用して、四肢筋力の上昇及び低下の測定を実施する。評価筋群は(対象の基準機能状態次第で)、股関節外転筋、膝伸筋、肘屈筋及び肘伸筋、並びに握力筋を含むことを推奨する。両側性評価を実施することができ、3種の測定を、各側の各筋群から記録することができる。これらの変数を、治療前、治療2日目から最終日、及び治療後の追加期間の間モニターする。治療前、及び治療期間の間、筋の生体検査前に該筋力測定手順を実施する。
【0165】
手持ち型動力計を使用する筋力測定の評価は、歩行可能な対象及び歩行不可能な対象の筋力の、敏感でかつ再現可能な測定である(Beenakkerの論文, 2001, Neuromuscul. Disord. 11(5) :441-6;Hydeの論文, 2001, Neuromuscul. Disord. 11(2): 165-70)。デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する患者における評価者間信頼性は高い(Stubergの論文, 1988, Phys. Ther. 1988 68(6):977-82;Hydeの論文, 2001, Neuromuscul. Disord. 11(2):165-70)。手動で筋力を試験するのに比較して、筋力測定は、筋機能のより敏感でかつより単純な測定である(McDonaldの論文, 1995, Am. J. Phys. Med. Rehabil. (5 Suppl) :S70-92)。該試験を、評価者(例えば、医師、又は理学療法士)は容易に実施することができる。
【0166】
(5.13 実施例13):計時機能試験
計時機能試験は、仰臥位から立ち上がる時間のに要した時間、10メートル歩くのに要した時間、及び標準的サイズの階段4段を上るのに要した時間を含む(Mendellの論文, 1989, N. Engl. J. Med. 320(24):1592-7;Griggsの論文, 1991, Arch. Neurol. 48(4):383-8)。これらの変数を、治療前、治療2日目から最終日、及び治療後の追加期間の間モニターする。治療前、及び治療期間の間、筋の生体検査前に該計時機能試験を実施する。
【0167】
これらの試験(仰臥位から立ち上がる時間のに要した時間、10メートル歩くのに要した時間、及び標準的サイズの階段4段を上るのに要した時間)は、歩行可能な対象において機能的能力のさらなる測定を提供する。該試験は再現可能であり、一般的に実施され、実施が容易であり、かつステロイドを用いた治療的介入への書面化された応答を有する(Mendellの論文, 1989, N Engl. J. Med. 320(24):1592-7;Griggsの論文, 1991, Arch. Neurol. 48(4) :383-8)。
【0168】
(5.14 実施例14):血清のCKレベル
市販のNADH関連型動態アッセイ(Diagnostic Chemicals社, Oxford, CT)を使用して、血清のCK活性を評価する。血清のCKレベルを、治療前、治療期間1日目(初回投与前)、7日目、14日目、21日目及び27日目、並びに治療後42日目及び56日目に測定する。血清のCKはデュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいて増加しており、それゆえこれは該疾患における簡便な測定可能診断マーカーであり、かつ該薬剤の薬理活性の潜在的生体マーカーとして扱うことができる(Mendellの論文, 1989, New Eng. J Med. 320(24):1592-1597)。
【0169】
血清のCKは、全身の筋肉の完全性の測定を提供する。血清中におけるこの酵素の濃度は、DMDを有する対象において50〜100倍増加しており、該レベルの測定は、該疾患の早期診断に使用される(Scriver C.R., Beaudet A.L., Sly W.S., Valle D編『遺伝性疾患の代謝及び分子基盤』第8版、第4巻New York中のWortonの文献『筋ジストロフィー』:McGraw-Hillの文献, 2001:5493-523)。血清のCKレベルを測定して、該疾患の進行をモニターし、筋損傷のマーカーとして扱う。運動により誘導される変化は変動をもたらすが(Politanoの論文, 2003, Acta. Myol. 22(1): 15-21)、該マーカーは、幅広く利用できかつ信頼性の高いアッセイで、容易に繰り返し頻繁に評価することができるので、好都合である。前臨床調査は、血清CKの減少が、ステロイドを用いた治療の間の筋力の改善に、一致することを示している(Reitterの論文, 1995, Brain Dev. 17 Suppl: 39-43)。
【0170】
(5.15 実施例15):皮膚線維芽細胞及び筋細胞の培養
患者由来の筋組織及び皮膚で調査を実施し、該患者由来の初代筋培養物におけるジストロフィン産生がインビボにおけるジストロフィン産生に一致するかを測定する。これらの実験は、インビトロにおいてMyo-D産生発現構築物を形質移入することで筋細胞へと分化させた場合(Wangの論文, 2001, Development 128: 4623-33)、患者由来の皮膚線維芽細胞は治療に応答してジストロフィン産生を示すかどうかを評価する。皮膚細胞応答と臨床活性との相関関係は、治療に関して将来的患者を選択することにおいて、又はDMD治療用新規作用物質をスクリーニングするための、取得容易な予測試験を提供し得る。細胞を以下のように培養する。輸送の間、生体検査材料を、ヒト増殖培地(又はPBS)中、及び必要であればより長い時間氷上で保存する。該組織を24時間以内に調製しない場合、該材料を10%DMSO含有ヒト増殖培地中で凍らせ、液体窒素(又はドライアイス)中で保存することができる。該組織が筋芽細胞培養樹立用に調製する時に、生体検査材料をPBSで洗浄する。該組織の水分を保つのに十分なPBSを培養ディッシュに添加する。ほぼ均質な懸濁液となるように、該生体検査材料をかみそり刃で徹底的に再分化する。組織1グラムあたり約2mlのコラゲナーゼ/ディスパーゼ/CaCl2溶液を添加し、数分間再分化し続ける(例えば、5×5×5mmの筋生体検査に1mlの酵素溶液を使用する)。該懸濁液を滅菌チューブに移し、該混合物が細密なスラリーになるまで(例えば、約20〜30分)、ウオーターバス中37℃でインキュベートする。インキュベーションの間、該懸濁液をさらに、ピペットでの上下運動により均質化する。必要であれば、シリンジを用いてのピペット上下運動によるさらなる再懸濁液サイクルを実施する。8mLのヒト増殖培地を該懸濁液に添加し、混合する。該混合物を1200rpmで10分間遠心分離する。細胞ペレットを、3mlのヒト増殖培地に再懸濁する。細胞を、コラーゲン被覆6ウエルプレートの1ウエル、又は材料の量次第でT25コラーゲン被覆フラスコ中に播種する。細胞を、37℃でかつ5%CO2で48時間培養する。非接着細胞を除去し、(予備として)別のコラーゲン被覆ウエルに移す。新鮮な増殖培地を第1ウエルに添加する(3ml)。該細胞を、第1ウエルからコンフルエントまで、及び2つのコンフルエントなT75フラスコが得られるまで培養する。保存に関しては、細胞を、1つのT75フラスコから1mlの凍結培地を含む4つの冷凍チューブに凍らせることができる。該培養物の筋原細胞成分を、デスミン染色を実施することにより測定する。デスミン陽性細胞の百分率が低すぎる場合には、該培養物の前播種が必要である。
【0171】
(5.16 実施例16):デュシェンヌ型筋ジストロフィー用の経口治療としての3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸のフェイズ2調査
対象は、調査への登録に適格な以下の条件の全てを満たさなければならない:
【0172】
1. 血清CKの増加、及び筋生体検査におけるジストロフィンの不在を伴い、5歳までに現れる臨床的表現型に基づくデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の診断(ジストロフィンタンパク質のC端部への抗体を用いるネガティブ筋細胞膜染色);
【0173】
2. ジストロフィン遺伝子におけるナンセンス突然変異の存在;
【0174】
3. ジストロフィン遺伝子の配列決定を実施していること、又は配列決定をまだ実施していない場合には、血液サンプルを確認的にジストロフィン遺伝子の配列決定用に送ったことの書面化;
【0175】
4. 両足におけるEDB筋の物理的調査又はレントゲン写真画像証拠;
【0176】
5. 歩行能力;
【0177】
6. 男性;
【0178】
7. 5歳より高い年齢;
【0179】
8. 調査薬剤投与並びに追加期間の間、有性生殖的に活性であることが知られている対象において、性交しないこと、又は避妊バリア若しくは医学的避妊法を実施する意思:
【0180】
9. 定期的な訪問、薬剤投与計画、試験室試験、調査制限、及び調査手順(筋生体検査、筋力測定、及びPKサンプリングを含む)に従う意志並びに能力;
【0181】
10. 18歳以上である場合には書面化したインフォームドコンセントを提供する能力、又は7歳以上の場合(親/保護者の同意と共に)書面化したインフォームドアセント(informed assent)。該対象が7歳より低い年齢の場合、親/保護者の同意のみを得る;及び
【0182】
11. 患者/親/法的保護者が、実施されるべき治験の全ての適切な態様を通知されていたことを示す、個人によって署名されかつ日付を記入されたインフォームドコンセント書類の証拠(7歳以上の年齢の子供には同意も必要である)。
【0183】
以下の条件のいずれかが存在した場合、本調査における登録から患者を除外する:
【0184】
1. 以前又は現在進行中の病状(例えば、複合疾病、精神医学的状態、アルコール依存症、薬物乱用)、病歴、物理的所見、ECG所見、又は治験責任者の意見で患者の安全性に悪影響を及ぼし得る検査所見の異常は、治療又は追加治療の経過を不完全なものにし、調査結果の評価を損なわせる可能性がある;
【0185】
2. うっ血性心不全の臨床症状及び徴候(米国心臓病学会/米国心臓協会ステージC又はステージD)(Huntの論文, 2001, J Am. Coll. Cardiol. 38:2101-13);
【0186】
3. B型肝炎表面抗原陽性、C型肝炎抗体試験陽性、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)試験陽性;
【0187】
4. 10g/dLより少ないヘモグロビン;
【0188】
5. 2.5g/dLより少ない血清アルブミン;
【0189】
6. 異常なGGT又は全ビリルビン(試験室の正常の上限より高い);
【0190】
7. 異常な腎臓機能(血清クレアチニン>試験室の正常の上限の1.5倍)
【0191】
8. 固形器官移植又は輸血の履歴;
【0192】
9. 進行中の免疫抑制治療(コルチコステロイド以外)
【0193】
10. 調査治療開始前28日以内での別の治験薬剤への曝露;
【0194】
11. 他のあらゆる治療臨床的治験への現在における参加;
【0195】
12. チアゾリジンジオンペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト、例えば、ロシグリタゾン(Avandia(登録商標)、又は同等物)、又はピオグリタゾン(Actos(登録商標)、又は同等物)の現在における使用;
【0196】
13. 調査治療開始前3ヶ月以内における全身的コルチコステロイド治療への変更(例えば、治療開始;治療の休止;ステロイドの投与量、スケジュール又は型の変更);又は
【0197】
14. 調査治療開始前3ヶ月以内における全身的アミノグリコシド抗生物質を用いた治療。
【0198】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を、本明細書に記載の製剤で提供する。治療を、各治療同齢集団に、28日にわたり投与した。患者の初期同齢集団(n=6)を、28日間毎日、4mg/kg、4mg/kg及び8mg/kgのTIDにて3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を用いて治療した。臨床安全性の結果を検討した後、第2の患者群(n=20)を10-、10-及び20-mg/kgのTIDにて28日間にわたって3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸で毎日治療した。したがって、各患者は、合計84の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の投与を受けた。
【0199】
タンパク質のC-末端領域に対する染色についての短指押筋膜ジストロフィンの部分的回復又は増加が、基線と比較して、28日目に両投与量においていくつかの患者に実証された。この試験から得られた薬物動態パラメータを以下の表7に示すとともに、図1に示す。
【表7】

【0200】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸濃度に対応する血液を、各訪問の2日目において、試験薬物の第1の日用量の投与の直前及び3時間後に回収する。
【0201】
試験薬物投与時間及びサンプル回収時間を記録する。反復的な針刺を回避するために、ヘパリン化静脈カテーテルをサンプル回収に使用する場合は、サンプルのヘパリン汚染を回避するために、各サンプル回収前に少なくとも2mLの血液を除去し、破棄する。予定時間に、又は予定時間の±5分以内に血液サンプルを回収するように全て試みる。血液採取のタイミングは、試験薬物投与時間に関連する。
【0202】
各サンプルは、抗凝血薬としてK3-EDTAを含む5mLのVacutainer(登録商標)又は同等の管内に採取された2mLの静脈血を含む。回収直後に、管を8から10回静かに逆転させて、抗凝血薬と血液サンプルを混合させる。管を遠心するまで氷上で直立に保管する。遠心及びサンプル処理をサンプル回収の1時間以内に実施する。回収管を1500から1800の相対遠心力(RCF)で最低15分間にわたって水平ロータ(スウィングアウトヘッド付)における冷却遠心機(4℃から8℃)内に配置することによって血漿分を分離する。血漿分をピペットで吸い取り、2つのポリプロピレン凍結管に分ける(各管には、ほぼ同等のアリコットが供給される)。全てのサンプル回収及び凍結管を、対象、試験期間及び回収日時が特定されるように明確にラベル標示する。凍結後にラベルがはがれないようにラベルを凍結管に固定する。処理後、サンプルを約-20℃(又はそれ未満)のフリーザ内に入れる。
【0203】
サンプルロスを防ぐために、各時点に対して1アリコットの血漿をそれぞれ含む2つの出荷物(1つの投与前アリコット及び1つの投与後アリコット)に分ける。サンプルの第1のアリコットを回収の28から30日以内に出荷する。複数の対象のサンプルを単一出荷物の一部として一緒に送ることができる。出荷前に、サンプルが凍結状態を維持し、出荷時に破損することを防ぐのに十分なドライアイスを含む断熱容器でサンプルを梱包する。サンプルを重要宅配便で夜通し出荷する。
【0204】
タンデム型質量分析を伴う有効な高速液体クロマトグラフィー(HPLC/MS-MS)法を用いて試験の終了時に3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を分析するために、サンプルを保管する。その後、可能性のある後の分析のためにサンプルを保持する。
【0205】
その試験における一次的な終点は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸で28日間治療している間に筋肉におけるジストロフィン発現が増加した患者の割合であった。EDB筋の治療前及び治療後の免疫蛍光データが38人の全ての患者から入手可能であった。表8に示すように、両投与量において、患者は、ジストロフィンに対する染色において定量的な改善を示したことがデータによって示された。全体的に、4-、4-、8-mg/kgの投与量で治療された6人の患者のうち4人(67%)(90%CI27〜94%)、10-、10-、20-mg/kgの投与量で治療された20人の患者のうち10人(50%)(90%CI30〜70%)、20-、20-、40-mg/kgの投与量で治療された12人の患者のうち6人(50%)(90%CI50〜75%)が、治療後のジストロフィンの発現の増加を示した。応答は、治療前のジストロフィン発現(不在対最小)、年齢、ステロイドの使用、又はナンセンス突然変異の箇所若しくはタイプに依存していなかったようである。
【0206】
第2群における26人の男性のうちの24人の治療前一次筋細胞がインビトロ筋管培養に利用可能であった。3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の存在下で培養した場合に、筋管培養物は、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸治療に応じたジストロフィン発現の投与量依存的増加の徴候を示した。10μg/mLの濃度では、24人中24人(100%)が全長ジストロフィンの生成を示し、十分な濃度が達成されると、全ての対象においてナンセンス突然変異抑制の可能性があることを示唆するものであった。4-、4-、8-mg/kg;10-、10-、20-mg/kg;又は20-、20-、40-mg/kgの投与量が与えられた対象の大多数が、治療終了時の値を治療前の値と比較すると、CKが減少した。これらの変化は、統計的に有意であった(それぞれ低、中及び高投与量に対してp=0.03、p=0.002、p=0.001)。治療を中止すると平均値が基線に戻ったことは、薬理活性をさらに裏づけるものであった。
【表8】

【0207】
各投与量におけるこのプロトコルの変化に対して、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸を6、6及び12時間(±30分)間隔のTIDで採取することを推奨する。理想的には、各投与量を、食事後30分以内に摂取する(例えば、朝食後の午前7時、昼食後の午後1時、及び夕食後の午後7時)。投与スケジュールの変動は外来患者の設定で起こり得ることは理解されるが、規定の投与計画(投与間隔、及び食事への投与の関係を含む)はPKサンプル回収の日にきっちりと実施されるべきことを推奨する。先に記載の手順を使用して、臨床的終点を評価する。
【0208】
(5.17 実施例17):定量的咳評価
過度の咳は、人の気分や働きを損なうことが広く認識されている。米国において患者が主たる介護治療を必要とする最も高頻度の理由の中に咳がある(Hingら、2006、Adv. Data 374:1〜33)。慢性咳の患者は、欲求不満、苛立ち、咳の分断的性質に対する怒り、並びに睡眠及び社会的相互作用に対する悪影響を訴える(Kuzniarら、2007、Mayo Clin. Proc. 82(1):56〜60)。嚢胞性線維症(CF)の患者において、咳は、疾患関連症状の最も顕著なものの1つであり、昼間及び夜間の咳の増加は、痰生成の増加とともに、不定期の診療を必要とする最も多い理由である(Sawickiら、2006、Ped. Pulm.、Suppl. 29:344(#388))。CFにおける咳は、粘液膿分泌を伴う気道閉塞及び慢性気道炎症に関連する可能性が高い。実質的な咳の増加は、肺の悪化の予告であり、FEV1の減少及び炎症マーカーの増加に関連する(Smithら、2006、Thorax 61(5):425〜9)。肺の悪化に対する治療を完了した直後にCF患者において、1時間あたり2から5回の慢性的な昼間の咳の頻度が報告されたが(同上)、通院患者の場合は恐らくより高い。正常な個人は、一般には、一日全体において、咳の回数はより少ない(Hsuら、1994、Eur. Respir. J. 7(7);1246〜53)。主観的咳評価は、患者がその事象に適応し、その結果としてどの程度咳が出たかを思い出すことができないことによって、しばしば損なわれる。患者は、咳エピソードを過小報告する傾向があり、客観的咳評価と主観的咳評価の間に相関性がほとんどないことが多い(同上;Coyleら、2005、Cough1:3;Smithら、2006、Thorax 61(5):425〜9)。
【0209】
VivoMetrics社LifeShirt(登録商標)は、動作検知変換器、電極、喉拡声器、較正バッグ及び3軸加速度計を、5歳以下の患者に利用可能な軽量の洗浄可能ベストに組み込んでいる(全体が引用により本明細書中に組み込まれているLifeShirt(登録商標)モニタリングシステムQuickStartガイド参照)。動作検知器及び拡声器からの統合的入力を用いて、咳の頻度及び強度を測定することができる。時間が刻み込まれたデータを、レコーダ内に収容されたコンパクトなフラッシュカードに記憶させ、特殊化されたソフトウェアを使用した分析のために、製造元のVivoMetricsにアップロードすることができる。データをExcel、Oracle又はSASに変換することができる。
【0210】
該デバイスは、慢性閉塞性肺疾患の患者の映像/音声評価と比較した場合に、咳を評価する上で極めて正確であることが証明された(Coyleら、2005、Cough 1:3)。該デバイスは、図2に示すデータを得るのに使用されたもので、CFにおけるフェイズ3の試験中に、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の臨床的有益性に関する実質的な補足データを得るために使用されることになる。3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸のフェイズ2試験から非公式に収集された症状データが、このコンセプトを裏づけている。注目すべきことは、数人の患者が、試験時の咳の減少を示した。理論に縛られることなく、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸に媒介されたCFTR機能の誘導は、気道閉塞及び炎症を軽減するという仮説に基づいて、咳頻度の減少は、これらの薬理効果の症状的統合として機能することが可能であり、患者の口頭報告より正確かつ定量的な評価を与えることができる。
【0211】
本発明の具体的実施態様を説明の目的で本明細書に記載しているが、本明細書に記載の発明は、本明細書に記載の該具体的実施態様の範囲内に制限されるべきでないことが理解されるであろう。これらの実施態様は、本発明のいくつかの態様の例示を意図する。全ての同等的実施態様は、本発明の範囲内にあることを意図する。実際に、本明細書に示しかつ記載したものに加え、上記記載から、本発明の様々な改良が当業者に明白となるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンセンス突然変異関連疾患を治療、予防又は管理するための方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を1日3回投与することを含み、投与する第1投与量は、20mg/kgであり、投与する第2投与量は、20mg/kgであり、投与する第3投与量は、40mg/kgである、前記方法。
【請求項2】
前記第2投与量を、前記第1投与量投与の約6時間後に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第3投与量を、前記第2投与量投与の約6時間後に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前日に第3投与量を投与した約12時間後に、前記第1投与量を投与する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、28日間継続的に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、14日間継続的に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、継続的に14日間投与し;その後の14日間は3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与せず;その後の14日間は3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を連続投与する;請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記投与量を経口的に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ナンセンス突然変異関連疾患が、遺伝性疾患、ガン、自己免疫性疾患、血液疾患、コラーゲン疾患、糖尿病、神経変性疾患、増殖性疾患、心血管系疾患、肺疾患、炎症性疾患、又は中枢神経系疾患である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記ナンセンス突然変異関連疾患が、嚢胞性線維症である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ナンセンス突然変異関連疾患がデュシェンヌ型筋ジストロフィーである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記患者がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
咳を治療、予防又は軽減するための方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項14】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物が1日3回投与される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
投与する第1投与量が20mg/kgであり、投与する第2投与量が20mg/kgであり、投与する第3投与量が40mg/kgである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記患者が嚢胞性線維症を有する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
患者の筋肉におけるジストロフィン発現を増加させるための方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量の3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
【請求項18】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物が1日3回投与される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
投与する第1投与量が20mg/kgであり、投与する第2投与量が20mg/kgであり、投与する第3投与量が40mg/kgである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記患者がデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する、請求項17記載の方法。
【請求項21】
3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物を、それを必要とする患者に対して投与する方法であって、3-[5-(2-フルオロ-フェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物若しくは水和物に対する以下のバイオアベイラビリティーパラメータの少なくとも1つについて80%から125%以内の自然対数変換比に対する90%CIを有するインビボ血漿プロファイルを提供する、前記方法:
(a)投与1日目における866μg・時/mL又は投与28日目における490μg・時/mLの平均AUC0〜24
(b)投与1日目における76μg/mL又は投与28日目における46μg/mLの平均Cmax
(c)投与1日目における9.6μg/mL又は投与28日目における6.7μg/mLの平均Cmin

【請求項22】
前記自然対数変換比が90%から115%以内である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記自然対数変換比が95%から110%以内である、請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−506840(P2010−506840A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532453(P2009−532453)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/021921
【国際公開番号】WO2008/045566
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】