説明

ナンバープレート文字認識装置及びナンバープレート文字認識方法

【課題】車両のナンバープレートに含まれる運輸支局コードを、より実情に則した優先順位でマッチング処理することが可能なナンバープレート文字認識装置を提供する。
【解決手段】対象車両の存在位置と、周辺に存在する運輸支局の位置との間の移動距離を求め、対象車両と運輸支局との距離が短いほど、高い重み付けとなるように重み付け処理を行う。そして、重み付けが高く設定された運輸支局コードから順次パターンマッチング処理を実行して、運輸支局コードの認識処理を行う。従って、よりマッチングする確率の高い運輸支局コードから順次パターンマッチング処理されるので、短時間で且つ高精度に運輸支局コードを認識することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のナンバープレートに記載された文字を認識する技術に係り、特に、運輸支局コードを示す文字を高精度に認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駐車場内への車両の入退場管理や、道路上における違反車両の特定等を目的とした車両のナンバープレート文字認識装置が種々提案されている。ナンバープレートの文字認識技術は、車両に搭載されたナンバープレートを含む画像を撮影し、撮影した画像内からナンバープレートの画像を抽出し、更に、抽出したナンバープレートの画像から、一連番号、運輸支局コード、分類番号、用途コード(図2参照)の各情報を示す数字、漢字、平仮名の複数種類の文字を認識することにより、個々の車両に割り振られている情報を認識して、車両を特定しようとするものである。
【0003】
ここで、数字、及び平仮名については種類が少ないのでパターンマッチング処理による認識を短時間、且つ高精度に行うことができる。しかし、運輸支局コード(例えば、「品川」「横浜」等の文字)は、ほとんどが漢字とされており、種類数が多く、且つ画数が多いので、パターンマッチング処理による認識処理に長時間を要するという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1(2009−252045号公報)には、認識の対象となる車両の位置情報をGPSを用いて取得し、且つ、この対象車両の位置と運輸支局との距離を計算し、この距離に基づいて候補の順位を決めてパターンマッチング処理を実行し、文字を認識することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−252045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来例では、対象車両と運輸支局との距離に基づいて候補の順位を決めており、これらの間の道路事情が考慮されていない。例えば、対象車両の存在位置と、運輸支局Aの位置の間に高速道路が存在する場合には、たとえ2点間の距離が長い場合であっても、往来が容易であるので、この対象車両が運輸支局Aに登録された車両である可能性は高い。しかし、特許文献1に開示された技術では、対象車両と運輸支局Aとの間の距離が長い(両者間の距離が遠い)という理由から、この運輸支局Aの優先順位が低く設定されてしまうという問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、車両のナンバープレートに含まれる運輸支局コードを、より実情に則した優先順位でマッチング処理することが可能なナンバープレート文字認識装置、及びナンバープレート文字認識方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、車両に搭載されるナンバープレートの文字を認識するナンバープレート文字認識装置(12)において、撮影部(例えば、カメラ11)で撮影される対象車両のナンバープレート画像から、運輸支局コードを含む文字を認識する文字認識部(23)と、ナンバープレートを撮影した前記対象車両の位置情報を取得する車両位置情報取得部(例えば、GPS)と、前記対象車両の位置情報に基づき、前記対象車両周辺の運輸支局の位置情報を取得する運輸支局位置情報取得部(29)と、前記対象車両と前記運輸支局との位置関係に基づいて、前記対象車両と各運輸支局との間の移動距離、または移動時間を演算し、前記対象車両との間の移動距離、または移動時間が短い運輸支局ほど高い重み付けとなるように、前記文字認識部にて認識する運輸支局コードに重み付けする重み付け処理部(24b)と、を有し、前記文字認識部は、前記ナンバープレート画像を、重み付けの高い運輸支局コードから順にマッチング処理して、前記対象車両の運輸支局コードを認識することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記各運輸支局の登録台数を認識し、前記重み付け処理部は、前記登録台数が多い運輸支局ほど、高い重み付けとすることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1,2において、前記対象車両の位置情報に基づいてこの周辺に優先検索範囲を設定する範囲設定部(24c)を更に備え、前記優先検索範囲内に存在する運輸支局を、重み付けの対象とする運輸支局とすることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記範囲設定部は、前記対象車両のナンバープレートの撮影日に基づき、撮影日が休日である場合には、平日である場合よりも、前記優先検索範囲を広く設定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記重み付け処理部は、前記撮影日が休日である場合には、更に、この休日が3以上の所定数の連休中の休日であるか否かを判定し、前記所定数の連休中の休日である場合には、所定数未満の連休中の休日の場合よりも、前記優先検索範囲を広く設定することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、車両に搭載されるナンバープレートの文字を認識するナンバープレート文字認識方法において、撮影部で撮影される対象車両のナンバープレート画像から、運輸支局コードを含む文字を認識するステップと、ナンバープレートを撮影した前記対象車両の位置情報を取得するステップと、前記対象車両の位置情報に基づき、前記対象車両周辺の運輸支局の位置情報を取得するステップと、前記対象車両と前記運輸支局との位置関係に基づいて、前記対象車両と各運輸支局との間の移動距離、または移動時間を演算し、前記対象車両との間の移動距離、または移動時間が短い運輸支局ほど高い重み付けとなるように、運輸支局コードに重み付けするステップと、前記ナンバープレート画像を、重み付けの高い運輸支局コードから順にマッチング処理して、前記対象車両の運輸支局コードを認識するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のナンバープレート文字認識装置及び方法では、対象車両の存在位置と、周辺に存在する運輸支局の位置との間の移動距離、または移動時間を求め、移動距離または移動時間が短いほど、高い重み付けとなるように重み付け処理を行い、重み付けが高く設定された運輸支局コードから順次パターンマッチング処理により、運輸支局コードの認識処理を行う。従って、短時間で、且つ高精度に運輸支局コードを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置、及びその周辺機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置で認識するナンバープレートの文字の記載例を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置による処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置で使用する各運輸支局までの距離、及び車両登録台数を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置で使用する地図データの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るナンバープレート文字認識装置12(以下、「文字認識装置」と略す)、及びその周辺機器の構成を示すブロック図、図2は、車両用のナンバープレートに記載される文字を示す説明図である。
【0017】
初めに、図2を参照して、ナンバープレートに記載される文字の呼称について説明すると、図2に示すナンバープレートにおいて、上段左側の「横浜」の文字を「運輸支局コード」と称し、その右側の「500」の数字を「分類番号」と称し、下段左側の「な」の文字を「用途コード」と称し、その右側の「12−34」の数字を「一連番号」と称する。
【0018】
以下、図1を参照して、文字認識装置12の構成について説明する。図1に示すように、文字認識装置12には、対象車両のナンバープレートを含む画像を撮影するカメラ11(撮影部)が接続されている。
【0019】
文字認識装置12は、カメラ11で撮影された画像からナンバープレート領域を抽出するナンバープレート領域抽出部21と、該ナンバープレート領域抽出部21で抽出されたナンバープレートの画像から、文字領域を抽出する文字領域抽出部22と、該文字領域抽出部22で抽出された各領域の文字を判定する文字認識部23と、外部機器或いはユーザの入力操作により各種の情報を取得する情報取得部29と、認識したナンバープレートの文字を外部に出力する出力部28と、を備えている。なお、文字認識装置12は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、専用LSI等を有する一般的なコンピュータ装置を用いて構成することができる。
【0020】
情報取得部29は、ナンバープレートの文字を認識する対象となる車両(以下、「対象車両」という)の位置情報30、現在の日付情報31、対象車両周辺の地図情報32、及び対象車両周辺に存在する運輸支局の車両登録台数情報33を取得し、更にこれらの各情報30〜33を記憶する。このうち、位置情報、日付情報は、例えばGPS等により取得することができ、地図情報はナビゲーション装置より取得することができる。また、運輸支局の車両登録台数情報は、ユーザが定期的に入力するか、或いは、車載通信システムを用いて定期的に更新することにより取得することができる。
【0021】
文字認識部23は、一連番号の文字を認識する一連番号文字認識部25と、用途コードの文字を認識する用途コード文字認識部26と、分類番号文字を認識する分類番号文字認識部27、及び、運輸支局コードを認識する運輸支局コード認識部24を備えている。
【0022】
更に、運輸支局コード認識部24は、運輸支局コードのリストを記憶するリスト記憶部24aと、各運輸支局コードについてパターンマッチング処理の優先順位を決めるための重み付け処理を行う重み付け処理部24bと、対象車両の存在位置を基準として優先的に検索する運輸支局の範囲(優先検索範囲)を設定する範囲設定部24cと、を備えている。
【0023】
リスト記憶部24aは、日本国内に存在する運輸支局コードの全て、或いは一部を記憶する。また、重み付け処理部24bは、後述する手法により各運輸支局について重み付け処理を行い、この重み付け処理の結果に基づいて文字のパターンマッチング処理を実行する際の優先順位を決定し、この優先順位を各運輸支局に対応付けて、リスト記憶部24aに記憶する。範囲設定部24cは、後述する手法により、優先的に検索する運輸支局の範囲を設定する。
【0024】
以下、重み受け処理部24bによる重み付け処理について詳細に説明する。重み付け処理部24bでは、対象車両の存在位置と、その周辺に存在する運輸支局との位置関係に基づいて、各運輸支局コードを重み付けし、更に、各運輸支局に登録されている車両の台数(以下、「登録台数」という)に基づいて重み付けし、これらの重み付けの結果に基づいて運輸支局コードの文字を認識する際のパターンマッチング処理の優先順位を決定する。
【0025】
これを、図5に示す地図データを参照して説明する。いま、対象車両が静岡(P地点)に存在する場合には、その周辺に存在する運輸支局として静岡県には「静岡」「沼津」「浜松」「富士山」「伊豆」が存在し、静岡県の東側に隣接する神奈川県には「横浜」「川崎」「相模」「湘南」が存在し、更に、静岡県の西側に隣接する愛知県には「名古屋」「三河」「豊田」「岡崎」「尾張小牧」「一宮」「豊橋」が存在する。
【0026】
そして、対象車両の現在位置と、各運輸支局との間の移動距離(幹線道路、或いは高速道路で接続される実際の移動距離)を求め、この移動距離が近い順に高い重み付けとなるように、重み付け処理を行う。この際、対象車両位置と運輸支局との間の移動距離は、例えば、カーナビゲーション装置より取得することができる。即ち、カーナビゲーション装置は、目的地までの最短ルートを検出するために、走行ルートを求める機能を備えており、この機能を用いて対象車両位置と運輸支局との間の最短ルートに基づいて、移動距離を求めることができる。勿論、他の周知の方法で移動距離を求めるようにしても良い。
【0027】
その結果、図4に示すように、対象車両の位置と各運輸支局との間の距離に応じた優先順位が設定される。この例では、「静岡」「富士山」「沼津」「浜松」「湘南」「伊豆」「豊橋」「岡崎」「三河」「横浜」「相模」「豊田」・・・の順に優先順位が決定される。
【0028】
更に、重み付け処理部24bでは、情報取得部29で取得した車両登録台数情報33に基づいて、各運輸支局での登録台数を認識し、登録台数が多いほど高い重み付けとなるように、重み付け処理を行う。例えば、図4に示した「横浜」「相模」「豊田」は、対象車両との間の距離が全て160Kmであるので、これらについては、登録台数の多い「横浜」「相模」「豊田」の順に優先順位が決定される。
【0029】
なお、上記の例では、距離が同一の場合に、登録台数を用いて優先順位を決定したが、この順序を反対にしても良い。具体的には、先に登録台数に基づいて優先順位を決め、登録台数がほぼ同一の場合には、距離に応じて優先順位を決めるようにしても良い。更に、例えば、距離の差が10Km以内である場合には、登録台数による重み付けを優先させるなど、距離と登録台数との相対的な関係により種々の方法を用いて優先順位を決定することが可能である。
【0030】
更に、重み付け処理部24bにおいて、対象車両の存在位置から近隣の運輸支局コードを選択し、各運輸支局での登録台数のみで、重み付けをしてもよい。また、各運輸支局までの距離を比率にし、各運輸支局における登録台数の重み付けに加えることにより、新しい重み付け順位を決定してもよいし、登録台数を比率にし、距離の重み付けに加えてもよい。
【0031】
次に、範囲設定部24cによる優先検索範囲の設定処理について説明する。範囲設定部24cでは、優先的に検索する運輸支局の範囲を、その日付が平日であるか或いは休日(土曜日、日曜日、祝日)であるかに基づいて、変更する処理を実行する。例えば、日付が平日である場合には長距離の移動は少ないものと判断し、一例として、同一県内である静岡県の運輸支局を優先検索範囲として設定し、この優先検索範囲内の運輸支局について優先的にパターンマッチング処理を実行する。
【0032】
また、日付が休日である場合には、長距離を移動する車両が増えるものと判断し、一例として、同一県内及びその周辺である神奈川県、愛知県の運輸支局を検索範囲として設定する。更に、日付が休日であっても、大型連休(3日以上の連休)であるか、或いは、2日間以下の休日であるかにより移動距離が変わるので、3日以上の連休中の休日である場合には、更に検索範囲を広く設定する。一例として、千葉県、東京都、山梨県、長野県といった、より広い範囲の県内に存在する運輸支局を優先的に検索するように設定する。こうすることにより、平日、休日、連休中のそれぞれに適した運輸支局コードの認識が可能となる。連休の数によって、距離・登録台数の相対的な関係を変更してもよく、連休の数が多ければ遠い場所に存在するが登録台数の多い運輸支局コードを優先してもよい。
【0033】
次に、上述のように構成された本実施形態に係る文字認識装置12の処理手順を、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
初めに、ステップS11の処理において、情報取得部29は、車両に搭載されるGPS等により日付情報を取得し、この日付情報に基づいて本日の日付が、平日であるか或いは休日であるかを判断する。そして、平日であると判断された場合には、ステップS13の処理において、情報取得部29は、対象車両の現在位置を基準とした第1の検索範囲となる地図データを取得する。例えば、現在位置が静岡市内である場合には、静岡県の地図データを取得する。
【0035】
また、本日の日付が休日であると判断された場合には、ステップS12の処理において、この休日が連休中(3日以上の連休)の休日であるか否かを判断する。そして、連休中の休日でないと判断された場合には、ステップS14の処理において、情報取得部29は、対象車両の現在位置を基準とした第2の検索範囲となる地図データを取得する。この際、第2の検索範囲は、第1の検索範囲よりも広く設定されており、例えば、現在位置が静岡市である場合には、静岡県、愛知県、神奈川県の地図データを取得する。
【0036】
他方、本日の日付が連休中の休日であると判断された場合には、ステップS15の処理において、情報取得部29は、対象車両の現在位置を基準とした第3の検索範囲となる地図データを取得する。この際、第3の検索範囲は、第2の検索範囲よりも広く設定されており、例えば、現在位置が静岡市である場合には、静岡県、愛知県、神奈川県、東京都、千葉県、山梨県、長野県の地図データを取得する。また、この処理では、本日が連休のどこの日にあたるのか、例えば、4連休である場合には、その1日目であるのか、或いは2日目、3日目、4日目であるのかを確認し、これらの日程に基づいて地図データの取得範囲を変更しても良い。
【0037】
次いで、ステップS16において、重み付け処理部24bは、ステップS13〜S15のいずれかの処理で取得した地図データに基づき、該地図データ中に含まれる運輸支局の位置データを取得し、更に、対象車両の現在位置と各運輸支局との間の移動時間を求める。この移動時間は、前述したように、幹線道路或いは高速道路を用いた経路の距離として求めることができ、例えば、カーナビゲーション装置より得られる情報を用いることができる。その結果、例えば、図4に示したように、沼津が71Kmといった距離データを得ることができる。更に、取得した移動距離に基づき、移動距離が短いほど重み付けが高くなるように、重み付け処理を実行する。なお、図4では、静岡県、愛知県、神奈川県を検索範囲として設定した場合を示している。
【0038】
ステップS17において、重み付け処理部24bは、ステップS13〜S15のいずれかの処理で取得した地図データ中に含まれる運輸支局の登録台数を取得する。その結果、例えば、図4に示すように、名古屋が53902台といった登録台数のデータを得ることができる。そして、この登録台数に基づいて、各運輸支局についての重み付け処理を行う。
【0039】
その後、ステップS18において、ナンバープレートに記載されている各種の文字を認識する処理を実行する。この処理では、まず、カメラ11において、対象車両のナンバープレートの画像を撮影する。この際、撮影するナンバープレートは、車両の前方側、或いは後方側のいずれでも良く、例えば、自車両のフロント側にカメラを搭載し、自車両の前方を走行する対象車両の後方側のナンバープレートを撮影することにより、ナンバープレートの画像を取得する。
【0040】
そして、ナンバープレート領域抽出部21は、カメラ11にて撮影された画像から、画像中に含まれるナンバープレート領域のみを抽出する。所望の領域を抽出する方法は、周知の技術を用いることができ、本実施形態では、画像中に存在する縦横のエッジを検出し、縦横のエッジの出現頻度に基づいて、ナンバープレート領域を検出する。
【0041】
更に、文字領域抽出部22は、検出したナンバープレート領域から、ナンバープレートに記載されている文字の領域を抽出する。日本国内で使用されるナンバープレートは、上下の二段に分かれているため、最初にナンバープレート内のエッジ成分を求め、縦方向に向けて順次エッジの出現頻度を検出し、エッジの出現頻度が極端に減少する位置を、ナンバープレート内の上段、下段に区切る際の境界として認識する。
【0042】
次いで、上段、下段の各文字列に対して、横方向に向けてエッジ出現頻度を検出し、エッジの出現頻度が減少する位置を、各文字を区切る際の境界として認識する。こうして、図2に示す各領域、即ち、運輸支局コードが記載されている領域、分類番号が記載されている領域、用途コードが記載されている領域、一連番号が記載されている領域を特定することができる。
【0043】
文字認識部23では、文字領域抽出部22で求められた領域に基づいて、ナンバープレートに記載されている文字を、一連番号、用途コード、分類番号、運輸支局コードにそれぞれ分類する。更に、分類した各文字領域に存在する文字を認識する。認識方法は、周知の文字認識手法を用いることができ、例えば、ニューラルネットワークを用いる文字認識手法や、パターンマッチング処理による文字認識手法を用いることができる。
【0044】
そして、文字認識部23の一連番号文字認識部25では、ナンバープレートに記載されている一連番号の数字を対象とした認識処理を行う。用途コード文字認識部26では、ナンバープレートに記載されている用途コードの平仮名を対象とした認識処理を行う。また、分類番号文字認識部27では、ナンバープレートに記載されている分類番号の数字を対象とした認識処理を行う。
【0045】
更に、運輸支局コード認識部24では、ナンバープレート上の運輸支局コードの位置に存在する文字を、優先順位の高い運輸支局コードから順次選択してパターンマッチング処理を実行し、マッチングした運輸支局コードを、このナンバープレートに記載された運輸支局コードであるものとして認識する。具体的には、「静岡」「富士山」「沼津」「浜松」・・・の順にパターンマッチング処理を実行し、画像中の文字と運輸支局コードの文字とが一致した場合に、この運輸支局コードであるものとして判断する。
【0046】
その後、ステップS19の処理において、出力部28は、認識した運輸支局コードを表示装置等の後段に設置した機器に出力する。
【0047】
こうして、ナンバープレートの各領域に記載された各文字を自動で認識できると共に、運輸支局コードについては、優先順位の高い運輸支局コードから順次パターンマッチング処理を実行することにより、より短時間でナンバープレート内に記載されている運輸支局コードを認識することができるのである。
【0048】
このようにして、本実施形態に係るナンバープレート文字認識装置では、文字認識を行う対象車両の位置と、運輸支局との間の移動距離に基づき、移動距離が短いほど高い重み付けとなるように重み付け処理を行い、重み付けの高い運輸支局コードから順次パターンマッチング処理を実行して、運輸支局コードを読み取る。従って、マッチングする確率がより高い運輸支局コードを、優先的にパターンマッチング処理に用いるので、短時間で、且つ高精度に運輸支局コードを認識することが可能となる。
【0049】
また、各運輸支局の登録台数を取得し、登録台数が多い運輸支局ほど、運輸支局コードの重み付けを高く設定するので、より短時間、且つ高精度に運輸支局コードを認識することが可能となる。
【0050】
更に、日付が平日であるか、休日であるか、或いは3日以上の連休中であるかに応じて、優先検索範囲を変更するので、日付に応じた好適な文字認識処理が可能となる。即ち、平日よりも休日の方がより長距離運転が増え、更に、3日以上の連休の方がより長距離運転が増えるので、これらの状況に適切に対応して、運輸支局コードの認識処理を行うことができる。
【0051】
なお、上述した実施形態では、対象車両の位置と運輸支局の位置との間の移動距離に基づき、移動距離が短いほど重み付けを高くする例について説明したが、2地点間の移動距離の変わりに、2地点間の移動時間を用いて重み付けすることも可能である。例えば、2地点間の距離が長い場合であっても、2地点間に高速道路が存在する場合には、より早く到達することができるので、移動時間は短くなり、重み付けを高く設定した方が良い。即ち、対象車両と運輸支局との移動距離が長い場合であっても、高速道路が存在することにより2地点間の経路の走行時間が短くなるので、より多くの車両が通行するものと考えられ、この運輸支局の重み付けを高くすることにより、パターンマッチング処理の所要時間の短縮化を図ることができる。
【0052】
以上、本発明のナンバープレート文字認識装置及び文字認識方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、各運輸支局の登録台数を用いて重み付け処理を実行する例を挙げたが、各運輸支局に登録されている車両のうち、乗用車のみを対象として登録台数を設定することも可能である。このようにすれば、トラックや大型車両を区別して重み付けすることができ、パターンマッチング処理の精度をより向上させることができる。
【0054】
また、休日、平日、連休中を示す日付情報31は、ユーザが入力することにより、設定する構成としても良い。
【0055】
また、本発明は上記した装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、車両に搭載されるナンバープレートの運輸支局コードを短時間で、且つ高精度に認識することに利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
11 カメラ(撮影部)
12 文字認識装置
21 ナンバープレート領域抽出部
22 文字領域抽出部
23 文字認識部
24 運輸支局コード認識部
24a リスト記憶部
24b 重み付け処理部
24c 範囲設定部
25 一連番号文字認識部
26 用途コード文字認識部
27 分類番号文字認識部
28 出力部
29 情報取得部(運輸支局位置情報取得部、車両位置情報取得部)
30 位置情報
31 日付情報
32 地図情報
33 車両登録台数情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるナンバープレートの文字を認識するナンバープレート文字認識装置において、
撮影部で撮影される対象車両のナンバープレート画像から、運輸支局コードを含む文字を認識する文字認識部と、
ナンバープレートを撮影した前記対象車両の位置情報を取得する車両位置情報取得部と、
前記対象車両の位置情報に基づき、前記対象車両周辺の運輸支局の位置情報を取得する運輸支局位置情報取得部と、
前記対象車両と前記運輸支局との位置関係に基づいて、前記対象車両と各運輸支局との間の移動距離、または移動時間を演算し、前記対象車両との間の移動距離、または移動時間が短い運輸支局ほど高い重み付けとなるように、前記文字認識部にて認識する運輸支局コードに重み付けする重み付け処理部と、を有し、
前記文字認識部は、前記ナンバープレート画像を、重み付けの高い運輸支局コードから順にマッチング処理して、前記対象車両の運輸支局コードを認識することを特徴とするナンバープレート文字認識装置。
【請求項2】
前記各運輸支局の登録台数を認識し、前記重み付け処理部は、前記登録台数が多い運輸支局ほど、高い重み付けとすることを特徴とする請求項1に記載のナンバープレート文字認識装置。
【請求項3】
前記対象車両の位置情報に基づいてこの周辺に優先検索範囲を設定する範囲設定部を更に備え、前記優先検索範囲内に存在する運輸支局を、重み付けの対象とする運輸支局とすることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のナンバープレート文字認識装置。
【請求項4】
前記範囲設定部は、前記対象車両のナンバープレートの撮影日に基づき、撮影日が休日である場合には、平日である場合よりも、前記優先検索範囲を広く設定することを特徴とする請求項3に記載のナンバープレート文字認識装置。
【請求項5】
前記重み付け処理部は、前記撮影日が休日である場合には、更に、この休日が3以上の所定数の連休中の休日であるか否かを判定し、前記所定数の連休中の休日である場合には、所定数未満の連休中の休日の場合よりも、前記優先検索範囲を広く設定することを特徴とする請求項4に記載のナンバープレート文字認識装置。
【請求項6】
車両に搭載されるナンバープレートの文字を認識するナンバープレート文字認識方法において、
撮影部で撮影される対象車両のナンバープレート画像から、運輸支局コードを含む文字を認識するステップと、
ナンバープレートを撮影した前記対象車両の位置情報を取得するステップと、
前記対象車両の位置情報に基づき、前記対象車両周辺の運輸支局の位置情報を取得するステップと、
前記対象車両と前記運輸支局との位置関係に基づいて、前記対象車両と各運輸支局との間の移動距離、または移動時間を演算し、前記対象車両との間の移動距離、または移動時間が短い運輸支局ほど高い重み付けとなるように、運輸支局コードに重み付けするステップと、
前記ナンバープレート画像を、重み付けの高い運輸支局コードから順にマッチング処理して、前記対象車両の運輸支局コードを認識するステップと、
を有することを特徴とするナンバープレート文字認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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