説明

ナースコールシステム及び報知端末

【課題】患者がどのような用件で医療・介護従事者の呼び出しを行なったのかを知らしめることを可能とする。
【解決手段】ナースコールシステム100は、用件ごとの操作指示を受け付ける操作部10、及び受け付けられた操作指示を通知する通信部12を有する端末装置1aと、端末装置1aからの通知を受信する通信部20と、通知された操作指示に対応する用件を報知する報知部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ナースコールシステム及び報知端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療現場においては、患者のベッドに設けられた呼び出しボタンの操作に応じて、ナースステーション等に設けられた端末装置で患者からの呼び出しを医師や看護師等(以下、医療・介護従事者と呼ぶ)に報知するナースコールシステムが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のナースコールシステムでは、患者がどのような用件で医療・介護従事者の呼び出しを行なったのか分からなかった。このため、医療・介護従事者は、患者からの呼び出しが行われた場合に患者のベッドまで用件を確認する必要があり、介護等の作業に取り掛かるのに不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、用件ごとの操作指示を受け付ける操作部、及び受け付けられた操作指示を通知する通知部を有する用件受付端末と、前記用件受付端末からの通知を受信する受信手段と、通知された前記操作指示に対応する用件を報知する報知手段と、を備えることを特徴とするナースコールシステムである。
【0005】
また、本発明の別の実施形態は、用件ごとの操作指示を受け付け、受け付けられた操作指示を通知する用件受付端末からの通知を受信する受信手段と、通知された前記操作指示に対応する用件を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする報知端末である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかるナースコールシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、端末装置の外観を示す正面外観図である。
【図3】図3は、用件ごとの操作指示を行う表示画面の表示例を示す概念図である。
【図4】図4は、報知画面の表示例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるナースコールシステム及び報知端末の詳細を説明する。
【0008】
図1は、実施形態にかかるナースコールシステム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ナースコールシステム100は、患者側の端末装置1a、医療・介護従事者側の端末装置1b、サーバ装置2を備える構成である。ナースコールシステム100において、端末装置1a、1b、及びサーバ装置2は、無線又は有線のLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク(図示しない)により互いに通信可能に接続されている。
【0009】
端末装置1aは、患者ごとに備えられ、例えば患者のベッド(図示しない)に設置される情報端末である。この患者ごとの端末装置1aは、通信を行う際のMACアドレスなど、端末ごとにユニークに割り当てられた識別情報と、患者ごとにユニークに割り当てられた患者IDとを関連付けてサーバ装置2で管理されている。したがって、端末装置1aから通信があった場合、サーバ装置2は、端末ごとの識別情報を参照することで、どの患者の端末装置1aから通信があったかを判別可能である。
【0010】
端末装置1bは、医療・介護従事者が常駐するナースステーションなどに設置される情報端末である。なお、本実施形態において、端末装置1bは、ナースステーションに設置されるものとするが、端末装置1aと同様に医療・介護従事者ごとに備えられてもよい。
【0011】
また、端末装置1aと端末装置1bとは、操作部10、表示部11、通信部12の他、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)など(いずれも図示しない)を備えた略同一構成の情報端末である。したがって、端末装置1aと端末装置1bとを特に区別しない場合は、端末装置1として説明する。
【0012】
操作部10は、タッチパネル10a、操作ボタン10bなどであり(図2参照)、ユーザの操作を受け付ける。表示部11はLCD(Liquid Crystal Display)などであり、CPUの制御の下で画面表示を行う。通信部12は、無線又は有線のLANなどの通信ネットワークと接続するための通信インタフェースである。通信部12は、CPUの制御の下、所定の通信プロトコルで通信ネットワークを介したデータ通信を行う。
【0013】
図2は、端末装置1の外観を示す正面外観図である。図2に示すように、端末装置1の筐体13には、正面に表示部11が設けられている。表示部11には、上面に重畳してタッチパネル10aが設けられている。また、表示部11の下には操作ボタン10bが設けられている。したがって、ユーザは、表示部11に表示された画面を確認しながらタッチパネル10aでのタッチ操作や操作ボタン10bの押下操作によって、端末装置1への操作指示を行うことができる。
【0014】
患者側の端末装置1aでは、CPUがROMやHDDに記憶されたプログラムをRAMの作業領域に展開して順次実行することで、医療・介護従事者を呼び出す用件ごとの操作指示を操作部10で受け付け、受け付けられた操作指示を通信部12よりサーバ装置2へ通知する機能を有している。医療・介護従事者を呼び出す用件としては、容態の急変などを知らせる「緊急」の他、食事の後片付け、シーツ替え、着替え、トイレ補助などの一般的な業務を依頼する「一般」などがある。
【0015】
端末装置1aでは、CPUの制御の下、表示部11に上述した用件を受け付けるための表示画面を表示させ、操作部10から受け付けた操作に応じた用件を通信部12よりサーバ装置2へ通知する。
【0016】
図3は、用件ごとの操作指示を行う表示画面の表示例を示す概念図である。図3に示すように、表示部11には、用件を受け付けるための表示画面G1に「緊急」の用件を受け付ける操作ボタンG10と、「一般」の用件を受け付ける操作ボタンG12とが表示される。患者は、操作ボタンG10、G12のタッチ操作をタッチパネル10aより行うことで、「緊急」又は「一般」の用件の通知(ナースコール)を行うことができる。
【0017】
なお、操作ボタンG12のタッチ操作により「一般」の用件が選択された場合、表示部11には、「食事済」、「シーツ替え」、「トイレ」、「着替え」などの用件の詳細を通知するための操作ボタンG20〜G23を有する表示画面G2が表示される。患者は、操作ボタンG20〜G23のタッチ操作をタッチパネル10aより行うことで、「食事済」、「シーツ替え」、「トイレ」、「着替え」などの詳細の通知を行うことができる。
【0018】
サーバ装置2は、ナースコールシステム100における端末装置1a、1bの情報を統括するための情報機器である。具体的には、サーバ装置2は、CPU、ROM、RAM、HDD、通信インタフェースなど(いずれも図示しない)を備えたPC(Personal Computer)などであってよい。サーバ装置2は、CPUがROMやHDDに記憶されたプログラムをRAMの作業領域に展開して順次実行することで、通信部20、記憶部21、スケジューリング部22、報知部23としての機能を有している。
【0019】
通信部20は、CPUの制御の下、所定の通信プロトコルで通信ネットワークを介したデータ通信を行う。記憶部21は、HDDなどであって、プログラムや各種設定情報の他、ナースコールDB210、位置情報211などを記憶する。
【0020】
ナースコールDB210は、端末装置1aより通知されたナースコールを記憶するデータベース(DB)である。ナースコールDB210は、端末装置1aより通知された一件のナースコールを一レコードとして、複数のナースコールを記憶している。具体的には、端末装置1aからナースコールがあった場合、サーバ装置2では、CPUの制御の下、ナースコールがあった端末装置1aの識別情報をもとにナースコールを行った患者を特定し、特定した患者の患者IDや病室番号などとともに、ナースコールがあった用件とその日時とをナースコールDB210の一レコードに記憶する。したがって、サーバ装置2では、ナースコールDB210のレコードに含まれる日時を確認することで、ナースコールの通知順を確認できる。なお、端末装置1aより通知されたナースコールは、通知された順にナースコールDB210にスタックされる構成であってもよい。
【0021】
位置情報211は、ナースコールにおける用件ごとの、その用件にかかる位置の情報を記憶するデータファイルである。用件にかかる位置とは、その用件を処理する際に立ち寄る必要がある場所を示す。所定の用件のナースコールによって呼び出された医療・介護従事者は、患者の病室へ赴くだけでなく、その用件の処理に必要な薬品や備品を受け取りに倉庫などの所定の場所へ立ち寄ることがある。例えば、食器を片付ける「食事済」の用件の場合は、患者の病室へ赴いた後に配膳室などに食器を運ぶ必要がある。したがって、「食事済」の用件には、患者の病室と、配膳室とが用件にかかる位置の情報として位置情報211に記憶されている。サーバ装置2では、位置情報211を確認することで、用件にかかる位置の情報からナースコールによって一つの用件を処理するまでの移動距離を算出できる。
【0022】
スケジューリング部22は、ナースコールDB210に記憶されている複数のナースコールを、用件ごとに予め設定された優先順位をもとに並び替える。この用件ごとの優先順位は、用件を示すコードなどと順位を示す数字とがROMなどに予め設定されている。医療・介護従事者を呼び出す用件には、緊急を要する場合とそうでない場合とで優先順位がある。例えば「緊急」又は「一般」では「緊急」の方が優先順位が高い。また、「一般」においては、「トイレ」、「着替え」、「シーツ替え」、「食事済」の順に優先順位がある。したがって、スケジューリング部22は、ナースコールDB210に記憶されている複数のナースコールの用件が「トイレ」、「着替え」、「緊急」である場合、「緊急」、「トイレ」、「着替え」の順に並び替える。
【0023】
また、スケジューリング部22は、位置情報211をもとに、ナースコールDB210に記憶されている複数のナースコールの用件にかかる全ての位置を経由した場合の移動距離がより短くなる並び順に並び替える。例えば、患者の病室と、配膳室とが用件にかかる位置である「食事済」のナースコールと、配膳室に近い病室からのナースコールと、配膳室から遠くにある病室からのナースコールとがナースコールDB210に記憶されているものとする。この複数のナースコールの並べ替えでは、「食事済」のナースコールの次に配膳室から遠くにある病室からのナースコールを並べる場合よりも移動距離が短くなる、「食事済」のナースコールの次に配膳室に近い病室からのナースコールを並べる並び順とする。なお、上述したスケジューリング部22が並び替えた順位は、ナースコールDB210に記憶される。
【0024】
報知部23は、ナースコールDB210に記憶されているナースコールの報知を行う。具体的には、報知部23は、ナースコールDB210に記憶されているナースコールのレコード(患者ID、患者の病室、用件、日時など)を読み出して、患者IDに対応する患者氏名や、患者の病室、用件などの報知を行う情報を生成し、通信部20より端末装置1bへ通知する。
【0025】
なお、報知部23は、ナースコールDB210に複数のナースコールが記憶されている場合は通知順を確認し、通知順に報知を行う。また、スケジューリング部22により並び替えられた順位がナースコールDB210に記憶されている場合は、その並び替えられた順位に従って報知を行う。具体的には、報知部23は、ナースコールDB210に記憶されているナースコールのレコードを順次読み出して、通知順や並び替えられた順位順に患者IDに対応する患者氏名や、患者の病室、用件などの報知を行う情報を生成し、通信部20より端末装置1bへ通知する。
【0026】
端末装置1bでは、CPUの制御の下、通知された情報を通信部12で受信し、その受信した情報を報知画面として表示部11に表示して医療・介護従事者に報知する。なお、報知部23の報知は、自装置に設けられたLCD等の表示装置(図示しない)へ報知画面を表示して行ってもよい。
【0027】
図4は、報知画面の表示例を示す概念図である。図4に示すように、端末装置1bの表示部11の報知画面G3には、報知部23からの通知された情報として、ナースコールがあった患者の病室、患者名、用件などが表示される。したがって、医療・介護従事者は、患者がどのような用件でナースコールを行ったのかを、患者のベッドまで伺うこと無く確認することができ、容易に介護等の作業に取り掛かることができる。また、報知画面G3には患者からのナースコールが一覧表示されることから、医療・介護従事者は、複数のナースコールの状況を把握することができる。
【0028】
また、報知画面G3において、患者からのナースコールの一覧は、ナースコールの通知順や、優先順位が高い順に表示される。したがって、医療・介護従事者は、処理すべき順位を容易に判断できる。
【0029】
また、報知画面G3における「XXX号室」が「004号室」であり、「003号室」、「004号室」、「005号室」が続いて配置される病室である場合は、「003号室」の間にある「004号室」を経由して「005号室」のナースコールに対応し、一覧表示される全てのナースコールを処理した場合の移動距離を短くするように、ナースコールを並び替えた報知画面G4が表示される。したがって、医療・介護従事者は、ナースコールを処理する際の移動距離(動線)がより短くなる処理順序を把握することができる。
【符号の説明】
【0030】
100…ナースコールシステム、1、1a、1b…端末装置、2…サーバ装置、20…通信部、21…記憶部、22…スケジューリング部、23…報知部、210…ナースコールDB、211…位置情報、G1、G2…表示画面、G3、G4…報知画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2010−258869公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用件ごとの操作指示を受け付ける操作部、及び受け付けられた操作指示を通知する通知部を有する用件受付端末と、
前記用件受付端末からの通知を受信する受信手段と、
通知された前記操作指示に対応する用件を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
通知された前記操作指示に対応する複数の用件の通知順を記憶する記憶手段を更に備え、
前記報知手段は、通知順に前記複数の用件を報知すること、
を特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
通知された前記操作指示に対応する複数の用件を、用件ごとに予め設定された優先順位をもとに並び替えるスケジューリング手段を更に備え、
前記報知手段は、並び替えられた前記複数の用件を報知すること、
を特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記スケジューリング手段は、前記複数の用件を、用件ごとに用件にかかる位置が予め設定された位置情報をもとに、当該複数の用件にかかる全ての位置を経由した場合の移動距離がより短くなる並び順に並び替えること、
を特徴とする請求項3に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記報知手段は、前記複数の用件を表示部に一覧表示して報知すること、
を特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のナースコールシステム。
【請求項6】
用件ごとの操作指示を受け付け、受け付けられた操作指示を通知する用件受付端末からの通知を受信する受信手段と、
通知された前記操作指示に対応する用件を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする報知端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate