ニップ式仮撚装置、及びこれを備える繊維機械
【課題】ベルトの片アタリが防止される、ニップ式仮撚装置を提供する。
【解決手段】基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与する。前記可動ベルト2は、前記可動ベルト2に対して対向する前記基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、前記基準ベルト1に対して対向する前記可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルト1に対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト2の張力を調整する張力調整部33が設けられる。
【解決手段】基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与する。前記可動ベルト2は、前記可動ベルト2に対して対向する前記基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、前記基準ベルト1に対して対向する前記可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルト1に対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト2の張力を調整する張力調整部33が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ニップ式仮撚装置、及びこれを備える繊維機械に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の技術として特許文献１は、所定の設定角度θの下で交差させた第1の無端ベルトV1と第2の無端ベルトV2を備え、これらのベルトV1・V2間に糸Yを一定接圧の下で通して、ベルト走行力の分力である加撚力と送出力を糸Yに付与する形式のベルト式仮撚装置7を開示する。このベルト式仮撚装置7は、以下のように構成される。第1の無端ベルトV1はブラケット13のプーリ14、15に掛けられ、このブラケット13は駆動プーリ14の軸を中心に旋回可能とされる。この構成で、ベルトV1の表面を他のベルトV2の表面に対して圧接・離反できるようになっている。
【０００３】
【特許文献１】特開昭58-197328号公報（第2頁第2カラム第11〜18行目、同第3カラム第12〜16行目）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、上記特許文献１の構成では、駆動プーリ14の軸まわりに旋回することでベルトV1とベルトV2が圧接する構成であるから、ベルトV1とベルトV2との片アタリは免れられない。
【０００５】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ベルトの片アタリが防止される、ニップ式仮撚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【０００６】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【０００７】
本発明の観点によれば、以下のように構成されるニップ式仮撚装置が提供される。即ち、基準側のベルトとしての基準ベルトと、可動側のベルトとしての可動ベルトと、を備え、前記の基準ベルト及び可動ベルトを走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト及び可動ベルトに挟まれながら走行する糸に対して撚りを付与する。前記可動ベルトは、前記可動ベルトに対して対向する前記基準ベルトの部分としての基準ベルト対向面と、前記基準ベルトに対して対向する前記可動ベルトの部分としての可動ベルト対向面と、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルトに対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト又は基準ベルトのうち少なくとも何れか一方のベルトの張力を調整する張力調整手段が設けられる。以上の構成によれば、前記の基準ベルト対向面と可動ベルト対向面とが片アタリすることがないので前記の基準ベルトや可動ベルト自体の寿命が延びるし、片アタリに起因するベルト発熱が回避されるので熱による糸の品質劣化が防止される。例えば、ベルト幅の大きい基準ベルトや可動ベルトを備えるニップ式仮撚装置や、基準ベルト又は可動ベルトのうち少なくとも何れか一方が複数並列のベルトから成る形式のニップ式仮撚装置においては、上記の効果が特に顕著に現れる。更に、前記張力調整手段の存在により、前記糸に対する前記ベルトの接圧を調整できる。
【０００８】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記基準ベルトに対する前記可動ベルトの相対的な位置を保持する相対位置保持手段を備える。以上の構成によれば、前記張力調整手段による前記ベルトの張力の調整が、前記糸に対する前記ベルトの接圧に対して良好に反映される。
【０００９】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整手段は、空気圧式に構成される。以上の構成によれば、前記張力調整手段が簡素な構成で実現されると共に、前記張力調整手段によって前記ベルトに対して付与される張力の消失を極めて短時間で完了できる。
【００１０】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整手段は、前記ベルトに対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる。以上の構成によれば、前記糸の種別に応じた張力を前記ベルトに対して付与するに際し、前記張力調整手段の負担を軽減できる。
【００１１】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリングである。以上の構成よれば、前記張力付与手段が簡素な構成で安価に実現される。
【００１２】
繊維機械は、上記のニップ式仮撚装置を備えて構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。本実施形態において繊維機械の一例としての延伸仮撚加工機は、ニップ式仮撚装置を備える。図１は、本発明の第一実施形態に係る延伸仮撚加工機の概略構成図である。
【００１４】
本実施形態において延伸仮撚加工機100は、給糸パッケージ101を有して糸Yを供給する給糸部102と、この給糸部102から供給される糸Yに対して延伸仮撚加工処理を施す糸加工処理部103と、糸加工処理部103により延伸仮撚加工処理が施された糸Yを巻き取って所定径の巻取パッケージを形成する巻取部104と、から成る錘105を複数で備える。延伸仮撚加工機100をコンパクトとすることを目的として、図１に示されるように、給糸部102や巻取部104は、上下に重ねて配される。
【００１５】
給糸パッケージ101は、複数の錘105・105・・・で共通のクリールスタンド106に取着されるペグ107に保持される。
【００１６】
糸加工処理部103は、糸Yの走行方向に沿って順に、第一フィードローラ108と、一次ヒータ109と、冷却器110と、ニップ式仮撚装置111と、撚止ガイド112と、ガイドローラ113と、第二フィードローラ114と、インタレースノズル115と、二次ヒータ116と、第三フィードローラ117と、を備えて構成される。
【００１７】
第一フィードローラ108と第二フィードローラ114の間で糸Yが延伸されるように、第二フィードローラ114の糸送り速度は、第一フィードローラ108の糸送り速度と比較して大きく設定される。一方、第二フィードローラ114と第三フィードローラ117の間で糸Yが弛緩されるように、第三フィードローラ117の糸送り速度は、第二フィードローラ114の糸送り速度と比較して小さく設定される。
【００１８】
ニップ式仮撚装置111は、走行する糸Yに対して撚りを付与するものであって、この糸Yに付与された撚りはニップ式仮撚装置111から糸Yの走行方向上流側へ第一フィードローラ108に至るまで伝播する。糸Yは、延伸されつつ撚りが付与された状態で熱セットされた後、冷却器110で冷却され、ニップ式仮撚装置111を通過するときに解撚される。この延伸仮撚加工処理が施された糸Yには、インタレースノズル115において適宜に交絡部が形成されることで、加撚糸と同程度の集束性が付与される。その後、糸Yは、弛緩された状態で二次ヒータ116において所定の熱処理が施され、巻取部104においてパッケージに巻き取られる。
【００１９】
以上の構成で、撚止ガイド112は、糸Yに付与された撚りが当該撚止ガイド112よりも糸Yの走行方向下流側へ伝播するのを抑止する機能を発揮し、ガイドローラ113は、撚止ガイド112に対する糸Yの巻付角度を調整するのに供される。
【００２０】
次に、ニップ式仮撚装置111について説明する。図２は、本発明の第一実施形態に係るニップ式仮撚装置の正面図である。本図に示されるように、ニップ式仮撚装置111は、基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与するものである。即ち、ニップ式仮撚装置111は、基準ベルト1を含む基準ベルトユニット3と、可動ベルト2を含む可動ベルトユニット4と、を備える。これら基準ベルトユニット3・可動ベルトユニット4は互いに概ね対称の構造とされるので、以下、主として、可動ベルトユニット4の構造を詳細に説明する。
【００２１】
可動ベルトユニット4は、延伸仮撚加工機100本体に対して固定されるユニットベース5と、このユニットベース5に対して摺動可能な可動ベルト支持体6と、前記の可動ベルト2と、から構成される。可動ベルト支持体6は、ユニットベース5内に収容される駆動部7と、この駆動部7から突設されるプーリ駆動軸収容筒8と、このプーリ駆動軸収容筒8の先端に配され、該プーリ駆動軸収容筒8内に収容される略示の駆動シャフト9によって回転駆動される駆動プーリ10と、この駆動プーリ10と対を成し、駆動プーリ10と共に可動ベルト2が掛けられる従動プーリ11と、この従動プーリ11をプーリ駆動軸収容筒8に対して支持する従動プーリ支持部12と、から構成される。この従動プーリ支持部12は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延びる支持アーム13と、この支持アーム13に対して可動ベルト2の走行方向に沿って摺動可能であって、従動プーリ11を軸支するスライダ14と、を含んで構成され、その詳細な構造については後述する。
【００２２】
本実施形態において駆動プーリ10と従動プーリ11に掛けられる可動ベルト2は、可撓性有する無端ベルトであって、そのベルト幅は概ね8〜12[mm]とされる。前記のプーリ駆動軸収容筒8は概ね基準ベルトユニット3へ向かって延在し、可動ベルトユニット4によって支持される可動ベルト2が、基準ベルトユニット3に支持される基準ベルト1と接触可能に構成される。基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yを挟むとき、本図に示されるように、可動ベルト2に対して対向する基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、基準ベルト1に対して対向する可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、は略平行とされる。そして、本実施形態において可動ベルト2は、基準ベルト対向面1aと、可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら基準ベルト1に対して進退可能に構成される。即ち、可動ベルト2を支持する可動ベルト支持体6の駆動部7は、ユニットベース5内において、可動ベルト対向面2aに対して垂直な方向へ摺動するように構成される。
【００２３】
ここで、図３を参照されたい。図３は、図２の3-3線矢視断面図である。本図に示されるように、ユニットベース5には上記の可動ベルト対向面2aに対して垂直な方向に沿う略示のガイドシャフト15が挿設され、このガイドシャフト15と図示しないリニアブッシングを介して、駆動部7はユニットベース5に対して連結される。この構成で、可動ベルト2は、基準ベルト対向面1aと、可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら基準ベルト1に対して進退可能とされる。加えて、上記の駆動部7には上記のガイドシャフト15の挿設方向と平行に延びるキー溝16が刻設され、このキー溝16内に収容されるキー17がユニットベース5に設けられ、このキー溝16及びキー17の存在により、ガイドシャフト15まわりの駆動部7の回転が規制されるように構成される。前記のプーリ駆動軸収容筒8は、本図に示されるように駆動部7に対して嵌入され、駆動プーリ10に連結される駆動シャフト9はプーリ駆動軸収容筒8に対して略同軸の関係とされる。
【００２４】
ユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18（相対位置保持手段）と、後記の第二可動ベルト付勢部19と、が設けられる。
【００２５】
本実施形態において、この相対位置保持部18は、基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有し、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って可動ベルト2を付勢する第一可動ベルト付勢部20と、この第一可動ベルト付勢部20によって付与させる付勢力によって可動ベルト2が進退移動するのを所定位置で規制する可動ベルト規制部21と、この可動ベルト規制部21による可動ベルト2の進退移動の規制に係る所定位置を、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って変更する規制位置変更部22と、から構成される。
【００２６】
上記の第一可動ベルト付勢部20は、本実施形態において空気圧式に構成されることで、可動ベルト2に対して付与する付勢力を増減可能に構成される。第一可動ベルト付勢部20は、具体的には、図略の圧縮空気供給装置に対してエアチューブを介して接続されるエア供給口23と、エア供給口23を介して供給される圧縮空気によって駆動される図略のベロフラムを内蔵する第一可動ベルト付勢部本体24と、このベロフラムの動作に連動するロッド25と、から構成される。このロッド25は、ガイドシャフト15の挿設方向と平行となるように配され、エア供給口23を介して第一可動ベルト付勢部本体24に圧縮空気が供給されると駆動部7に形成されるロッド当接面7aに当接し、圧縮空気によりベロフラムを介してロッド25に作用される圧力が駆動部7に伝達されるように構成される。この第一可動ベルト付勢部20は、駆動部7に伝達される上記圧力（エアー圧）が、基準ベルト1に対して近接する方向Aへ可動ベルト2を付勢するのに供されるように構成される。即ち、可動ベルト2から基準ベルト1を望む方向と、第一可動ベルト付勢部本体24からロッド25乃至ロッド当接面7aを望む方向と、は同一方向とされる。
【００２７】
上記の可動ベルト規制部21及び規制位置変更部22は、何れも、本実施形態においてラックアンドピニオンユニット26により実現される。このラックアンドピニオンユニット26は、ガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に延在し、ユニットベース5に対して摺動自在にユニットベース5内に内挿されるラック27と、図略のピニオンと、ユニットベース5に対して固定支持され、このピニオンを回転させるためのラックアンドピニオン用ステッピングモータ28と、から構成され、このラックアンドピニオン用ステッピングモータ28が作動することで、上記のピニオンを介して、ラック27がガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に進退するように構成される。このとき、ラック27は、駆動部7に対して、基準ベルト1から可動ベルト2が離反する方向Bへ当接するように配置され、もって、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力によって可動ベルト2が進出移動するのを所定位置で規制する。この所定位置は、ラック27の進退に伴って変更可能とされる。
【００２８】
上記の第二可動ベルト付勢部19は、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と比較して小さい付勢力を、可動ベルト2に対して、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ付与するものであって、本実施形態においてバネ式に構成され、具体的には、ユニットベース5と駆動部7の間に介設される圧縮コイルスプリング30を備える。上記の圧縮コイルスプリング30は、当該圧縮コイルスプリング30の自己弾性復元力が可動ベルト2を基準ベルト1から離反させる方向Bへ付勢するのに供されるように配置される。従って、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と、は反対の方向に作用するように構成され、更に、上述したように後者の付勢力は前者の付勢力よりも著しく弱く設定されるので、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付勢力が付与されているときは、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力は駆動部7の進退については何ら影響を及ぼさず、駆動部7は、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端に対して当接する。一方、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付勢力が一切付与されていないときは、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力の存在により、駆動部7は、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端から離れ、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向Bへ移動（退避）することとなる。
【００２９】
次に、従動プーリ支持部12の構成を説明する。図４及び図５を参照されたい。図４は、図２に類似する図であって、基準ベルトユニットの描画を省略したものである。図５は、図４の一部切欠き部分断面図である。図４に示されるように、従動プーリ支持部12は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延びる支持アーム13と、可動ベルト2の走行方向に沿って延在し、支持アーム13に対して固定支持される略示の摺動軸31と、支持アーム13に対して摺動軸31を介して摺動可能であって、従動プーリ11を軸支するスライダ14と、を含んで構成される。更に、この従動プーリ支持部12には、可動ベルト2に対して所定の張力を付与する後記の圧縮コイルスプリング32（張力付与手段）と、空気圧式に構成され、可動ベルト2の張力を調整する後記の張力調整部33（張力調整手段）と、が設けられる。
【００３０】
図５に示されるように、上記の支持アーム13は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延び、その先端には、前記の摺動軸31が嵌入されると共に、この摺動軸31と略同軸状に配される圧縮コイルスプリング32を収容するバネ収容室34が形成される。このバネ収容室34は、製造上の便宜から、スライダ14に向かって開口される。以下、このバネ収容室34の壁部のうち、駆動プーリ10側のものを第一側壁部35と、この第一側壁部35と対向するものを第二側壁部36と、スライダ14と摺動軸31を挟んで反対側のものをシリンダ取着壁部37と、称する。
【００３１】
上記のスライダ14は、摺動軸31の軸心と略平行に延在するスライダ本体38と、このスライダ本体38の基端側（駆動プーリ10側）に突設され、第一側壁部35を貫いて駆動プーリ10へ向かって延びる摺動軸31に対して略示のリニアブッシングを介して摺動する第一スライダ連結部39と、このスライダ本体38の中途に突設され、バネ収容室34内の摺動軸31に対して略示のリニアブッシングを介して摺動する第二スライダ連結部40と、から構成され、前記の従動プーリ11はスライダ本体38の先端に軸支される。前記の圧縮コイルスプリング32は、第一側壁部35と第二スライダ連結部40の間に配される。以上の構成で、従動プーリ11は、圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力によってスライダ14に対して付与される付勢力により駆動プーリ10から離反する方向へ付勢され、もって、可動ベルト2に対して所定の張力が付与される。
【００３２】
上記の張力調整部33は、バネ収容室34のシリンダ取着壁部37に形成される孔37aを貫通し、摺動軸31とシリンダ取着壁部37を挟んで反対側に延びる第二スライダ連結部40と、摺動軸31の軸心と略平行に延び、駆動プーリ10から従動プーリ11を離間させる方向へ第二スライダ連結部40に対して当接するロッド41を有してシリンダ取着壁部37に固定支持されるシリンダ42と、から構成される。このシリンダ42は、図略の圧縮空気供給装置に対してエアチューブを介して接続される。
【００３３】
次に、本実施形態に係るニップ式仮撚装置111の作動について説明する。再度、図２を参照されたい。
【００３４】
先ず、(i)基準ベルト1と可動ベルト2の間に、加撚対象としての糸Yの太さよりも十分大きな間隙が存在しており、(ii)この糸Yは、太線矢印で示される方向へ走行しており、(iii)基準ベルト1及び可動ベルト2は所定張力に設定されているものとする。
【００３５】
＜加撚の開始＞
この状態で、糸Yに対する加撚を開始するには、先ず、図示しないモータによって駆動プーリ10を所定の回転数で回転させて、可動ベルト2を所定速度で走行させた状態とする。この可動ベルト2の走行方向は本図において太線矢印で示される方向である。基準ベルトユニット3についても同様とする。なお、本図において基準ベルト1の走行方向は一見すると糸Yの走行方向に対して逆らう方向のようにも見えるが、本図においては直接的には描かれない前記の基準ベルト対向面1aにおいては、基準ベルト1の走行方向が糸Yの走行方向に対して逆らう方向ではないことが容易に理解されよう。
【００３６】
次に、図３に示される第一可動ベルト付勢部20に所定圧力の圧縮空気を導入してロッド25を進出させる。これにより、ロッド25が駆動部7のロッド当接面7aに当接し、ロッド25が第一可動ベルト付勢部本体24から受ける圧力が駆動部7に伝達されることで、駆動部7は、第二可動ベルト付勢部19に属する圧縮コイルスプリング30の自己弾性復元力に抗するかたちで、ガイドシャフト15の挿設方向に沿って摺動し、やがて、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端に当接し、それ以上の摺動が規制される。このとき、基準ベルト1と可動ベルト2は糸Yとの当接位置において若干撓みながら糸Yを挟む状態とされ、もって、基準ベルトユニット3に対して位置固定される基準ベルト1と、駆動部7とラック27の先端との当接により位置固定される（換言すれば、基準ベルト1に対する相対的な位置が保持される）可動ベルト2と、によって挟まれる糸Yに対しては、基準ベルト1が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、が作用することとなる。
【００３７】
基準ベルト1及び可動ベルト2の走行方向は、何れも、糸Yに対して所定の角度を有しており、もって、基準ベルト1の走行は、糸Yを送出する機能と、糸Yに対して撚りを付与する機能と、を発揮するようになっている。
【００３８】
＜加撚の停止：１＞
上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、第一可動ベルト付勢部20に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既に第一可動ベルト付勢部20に対して供給された圧縮空気を脱気し、第一可動ベルト付勢部20によって駆動部7に対して付与される付勢力を消失させればよい。これによれば、第二可動ベルト付勢部19によって駆動部7に対して付与される付勢力の存在により、駆動部7は基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向に移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００３９】
＜加撚の停止：２＞
上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ28を作動させることでラック27を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ進出させればよい。すると、駆動部7とラック27の先端との係合により、駆動部7は、ラック27の進出と連動するかたちで、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００４０】
＜加撚の停止：３＞
更に、上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に対して供給された圧縮空気を脱気し、シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じればよい。これによれば、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）が大幅に減じ、もって、可動ベルト2と基準ベルト1は、糸Yを加撚する機能を発揮できない状態となる。
【００４１】
上述した、(i)第一可動ベルト付勢部20によって駆動部7に対して付与される付勢力を消失させることによる加撚の停止の方法と、(ii)ラック27を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ進出させることによる加撚の停止の方法と、(iii)シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じることによる加撚の停止の方法と、は以下の点で相違する。即ち、(i)及び(iii)の方法は、(ii)の方法よりも短時間で完了する。第一可動ベルト付勢部20に対する圧縮空気の供給の停止や既に第一可動ベルト付勢部20に供給された圧縮空気の脱気などは時間を殆ど要さず、一方で、ラック27の進出には当該進出の距離に見合ったラックアンドピニオン用ステッピングモータ28の作動を要するからである。
【００４２】
＜ベルトの着脱＞
可動ベルト2を可動ベルトユニット4から取り外すときは、圧縮コイルスプリング32の付勢力と、シリンダ42の付勢力と、に抗するかたちで図示しない圧縮コイルスプリング圧縮手段により圧縮コイルスプリング32を強制的に圧縮させて、可動ベルト2に付与されている張力を消失させればよい。このとき、好ましくは、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に供給されている圧縮空気を脱気させておくとよい。この状態で、可動ベルト2を可動ベルトユニット4に取り付けるときは、前記の圧縮コイルスプリング圧縮手段による圧縮コイルスプリング32の圧縮を解除すると共に、シリンダ42に対して所定圧力の圧縮空気を供給すればよい。
【００４３】
＜接圧の調整＞
糸Yに対する加撚の際に、基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）を調整するには、単にシリンダ42に供給する圧縮空気の圧力を増減すればよい。
【００４４】
＜第二実施形態＞
次に、本発明の第二実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記の第一実施形態と相違する点を中心に説明する。図６を参照されたい。図６は、図３に類似する図である。
【００４５】
上記第一実施形態に係るユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18と、第二可動ベルト付勢部19と、が設けられ、相対位置保持部18は基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有する。一方、本実施形態に係るユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部43のみが設けられ、この相対位置保持部43は基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有する。そして、この相対位置保持部43は、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の経路における何れかの固定位置において可動ベルト2を固定する可動ベルト固定部44と、この可動ベルト固定部44による可動ベルト2の固定に係る固定位置を、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って変更する固定位置変更部45と、から構成される。
【００４６】
上記の可動ベルト固定部44及び固定位置変更部45は、何れも、本実施形態においてラックアンドピニオンユニット46により構成される。このラックアンドピニオンユニット46は、ガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に延在し、ユニットベース5に対して摺動自在にユニットベース5内に内挿されるラック47と、図略のピニオンと、ユニットベース5に対して固定支持され、このピニオンを回転させるためのラックアンドピニオン用ステッピングモータ48と、から構成され、ラック47の先端は駆動部7に対して連結固定される。この構成で、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を通電状態とすることにより発生するホールディングトルクの作用により上記の可動ベルト固定部44の担う役割が実現され、同様に、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度だけ回転させることにより上記の固定位置変更部45の担う役割が実現される。なお、相対位置保持部18の主たる機能（基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する機能）は、この可動ベルト固定部44により実現される。
【００４７】
次に、本実施形態に係るニップ式仮撚装置111の作動について説明する。再度、図２を参照されたい。
【００４８】
先ず、(i)基準ベルト1と可動ベルト2の間に、加撚対象としての糸Yの太さよりも十分大きな間隙が存在しており、(ii)この糸Yは、太線矢印で示される方向へ走行しており、(iii)基準ベルト1及び可動ベルト2は所定張力に設定されているものとする。
【００４９】
＜加撚の開始＞
この状態で、糸Yに対する加撚を開始するには、先ず、図示しないモータによって駆動プーリ10を所定の回転数で回転させて、可動ベルト2を所定速度で走行させた状態とする。この可動ベルト2の走行方向は本図において太線矢印で示される方向である。基準ベルトユニット3についても同様とする。
【００５０】
次に、図６に示されるラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度、回転させて、ラック47を、基準ベルト1に対して可動ベルト2が近接する方向へ摺動移動させ、ラック47の先端に連結される駆動部7等を介して可動ベルト2を基準ベルト1に対して近接させる。このとき、基準ベルト1と可動ベルト2は糸Yとの当接位置において若干撓みながら糸Yを挟む状態とされ、もって、基準ベルトユニット3に対して位置固定される基準ベルト1と、可動ベルトユニット4に対して位置固定される（換言すれば、基準ベルト1に対する相対的な位置が保持される）可動ベルト2と、によって挟まれる糸Yに対しては、基準ベルト1が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、が作用することとなる。
【００５１】
基準ベルト1及び可動ベルト2の走行方向は、何れも、糸Yに対して所定の角度を有しており、もって、基準ベルト1の走行は、糸Yを送出する機能と、糸Yに対して撚りを付与する機能と、を発揮するようになっている。
【００５２】
＜加撚の停止：１＞
上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度、回転させて、ラック47を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ摺動移動させればよい。これによれば、ラック47と駆動部7との連結関係により、駆動部7は基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向に移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００５３】
＜加撚の停止：２＞
更に、上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に対して供給された圧縮空気を脱気し、シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じればよい。これによれば、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）が大幅に減じ、もって、可動ベルト2と基準ベルト1は、糸Yを加撚する機能を発揮できない状態となる。
【００５４】
＜ベルトの着脱＞
可動ベルト2を可動ベルトユニット4から取り外すときは、圧縮コイルスプリング32の付勢力と、シリンダ42の付勢力と、に抗するかたちで図示しない圧縮コイルスプリング圧縮手段により圧縮コイルスプリング32を強制的に圧縮させて、可動ベルト2に付与されている張力を消失させればよい。このとき、好ましくは、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に供給されている圧縮空気を脱気させておくとよい。この状態で、可動ベルト2を可動ベルトユニット4に取り付けるときは、前記の圧縮コイルスプリング圧縮手段による圧縮コイルスプリング32の圧縮を解除すると共に、シリンダ42に対して所定圧力の圧縮空気を供給すればよい。
【００５５】
＜接圧の調整＞
糸Yに対する加撚の際に、基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）を調整するには、単にシリンダ42に供給する圧縮空気の圧力を増減すればよい。
【００５６】
以上説明したように上記実施形態において、ニップ式仮撚装置111は、以下のように構成される。即ち、基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与する。前記可動ベルト2は、前記可動ベルト2に対して対向する前記基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、前記基準ベルト1に対して対向する前記可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルト1に対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト2の張力を調整する張力調整部33が設けられる。以上の構成によれば、前記の基準ベルト対向面1aと可動ベルト対向面2aとが片アタリすることがないので前記の基準ベルト1や可動ベルト2自体の寿命が延びるし、片アタリに起因するベルト発熱が回避されるので熱による糸Yの品質劣化が防止される。例えば、ベルト幅の大きい基準ベルト1や可動ベルト2を備えるニップ式仮撚装置111や、基準ベルト1又は可動ベルト2のうち少なくとも何れか一方が複数並列のベルトから成る形式のニップ式仮撚装置111においては、上記の効果が特に顕著に現れる。更に、前記張力調整部33の存在により、前記糸Yに対する前記可動ベルト2の接圧を調整できる。
【００５７】
◆ なお、上記の張力調整部33は、可動ベルト2（可動ベルトユニット4）に対してのみ設けることに代えて、基準ベルト1（基準ベルトユニット3）に対してのみ設けることとしてもよいし、基準ベルト1（基準ベルトユニット3）及び可動ベルト2（可動ベルトユニット4）の双方に対して設けることとしてもよい。
【００５８】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記基準ベルト1に対する前記可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18を備える。以上の構成によれば、前記張力調整部33による前記可動ベルト2の張力の調整が、前記糸Yに対する前記可動ベルト2の接圧に対して良好に反映される。
【００５９】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整部33は、空気圧式に構成される。以上の構成によれば、前記張力調整部33が簡素な構成で実現されると共に、前記張力調整部33によって前記可動ベルト2に対して付与される張力の消失を極めて短時間で完了できる。
【００６０】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整部33は、前記可動ベルト2に対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる。以上の構成によれば、前記糸Yの種別に応じた張力を前記可動ベルト2に対して付与するに際し、前記張力調整部33の負担を軽減できる。
【００６１】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリング32である。以上の構成よれば、前記張力付与手段が簡素な構成で安価に実現される。
【００６２】
延伸仮撚加工機100は、上記のニップ式仮撚装置111を備えて構成される。
【００６３】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【００６４】
即ち、例えば、上記各実施形態において圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力を受ける第二スライダ連結部40は、同時に、シリンダ42の駆動力をロッド41を介して受けるように構成される。しかし、これに代えて、圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力を受ける部材と、シリンダ42の駆動力をロッド41を介して受ける部材と、は別体としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】本発明の第一実施形態に係る延伸仮撚加工機の概略構成図
【図２】第一実施形態に係るニップ式仮撚装置の正面図
【図３】図２の3-3線矢視断面図
【図４】図２に類似する図であって、基準ベルトユニットの描画を省略したもの
【図５】図４の一部切欠き断面図
【図６】図３に類似する図
【符号の説明】
【００６６】
1 基準ベルト
2 可動ベルト
3 基準ベルトユニット
4 可動ベルトユニット
18 相対位置保持部
100 延伸仮撚加工機（繊維機械）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ニップ式仮撚装置、及びこれを備える繊維機械に関する。
【背景技術】
【０００２】
この種の技術として特許文献１は、所定の設定角度θの下で交差させた第1の無端ベルトV1と第2の無端ベルトV2を備え、これらのベルトV1・V2間に糸Yを一定接圧の下で通して、ベルト走行力の分力である加撚力と送出力を糸Yに付与する形式のベルト式仮撚装置7を開示する。このベルト式仮撚装置7は、以下のように構成される。第1の無端ベルトV1はブラケット13のプーリ14、15に掛けられ、このブラケット13は駆動プーリ14の軸を中心に旋回可能とされる。この構成で、ベルトV1の表面を他のベルトV2の表面に対して圧接・離反できるようになっている。
【０００３】
【特許文献１】特開昭58-197328号公報（第2頁第2カラム第11〜18行目、同第3カラム第12〜16行目）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、上記特許文献１の構成では、駆動プーリ14の軸まわりに旋回することでベルトV1とベルトV2が圧接する構成であるから、ベルトV1とベルトV2との片アタリは免れられない。
【０００５】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ベルトの片アタリが防止される、ニップ式仮撚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【０００６】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【０００７】
本発明の観点によれば、以下のように構成されるニップ式仮撚装置が提供される。即ち、基準側のベルトとしての基準ベルトと、可動側のベルトとしての可動ベルトと、を備え、前記の基準ベルト及び可動ベルトを走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト及び可動ベルトに挟まれながら走行する糸に対して撚りを付与する。前記可動ベルトは、前記可動ベルトに対して対向する前記基準ベルトの部分としての基準ベルト対向面と、前記基準ベルトに対して対向する前記可動ベルトの部分としての可動ベルト対向面と、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルトに対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト又は基準ベルトのうち少なくとも何れか一方のベルトの張力を調整する張力調整手段が設けられる。以上の構成によれば、前記の基準ベルト対向面と可動ベルト対向面とが片アタリすることがないので前記の基準ベルトや可動ベルト自体の寿命が延びるし、片アタリに起因するベルト発熱が回避されるので熱による糸の品質劣化が防止される。例えば、ベルト幅の大きい基準ベルトや可動ベルトを備えるニップ式仮撚装置や、基準ベルト又は可動ベルトのうち少なくとも何れか一方が複数並列のベルトから成る形式のニップ式仮撚装置においては、上記の効果が特に顕著に現れる。更に、前記張力調整手段の存在により、前記糸に対する前記ベルトの接圧を調整できる。
【０００８】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記基準ベルトに対する前記可動ベルトの相対的な位置を保持する相対位置保持手段を備える。以上の構成によれば、前記張力調整手段による前記ベルトの張力の調整が、前記糸に対する前記ベルトの接圧に対して良好に反映される。
【０００９】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整手段は、空気圧式に構成される。以上の構成によれば、前記張力調整手段が簡素な構成で実現されると共に、前記張力調整手段によって前記ベルトに対して付与される張力の消失を極めて短時間で完了できる。
【００１０】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整手段は、前記ベルトに対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる。以上の構成によれば、前記糸の種別に応じた張力を前記ベルトに対して付与するに際し、前記張力調整手段の負担を軽減できる。
【００１１】
上記のニップ式仮撚装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリングである。以上の構成よれば、前記張力付与手段が簡素な構成で安価に実現される。
【００１２】
繊維機械は、上記のニップ式仮撚装置を備えて構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。本実施形態において繊維機械の一例としての延伸仮撚加工機は、ニップ式仮撚装置を備える。図１は、本発明の第一実施形態に係る延伸仮撚加工機の概略構成図である。
【００１４】
本実施形態において延伸仮撚加工機100は、給糸パッケージ101を有して糸Yを供給する給糸部102と、この給糸部102から供給される糸Yに対して延伸仮撚加工処理を施す糸加工処理部103と、糸加工処理部103により延伸仮撚加工処理が施された糸Yを巻き取って所定径の巻取パッケージを形成する巻取部104と、から成る錘105を複数で備える。延伸仮撚加工機100をコンパクトとすることを目的として、図１に示されるように、給糸部102や巻取部104は、上下に重ねて配される。
【００１５】
給糸パッケージ101は、複数の錘105・105・・・で共通のクリールスタンド106に取着されるペグ107に保持される。
【００１６】
糸加工処理部103は、糸Yの走行方向に沿って順に、第一フィードローラ108と、一次ヒータ109と、冷却器110と、ニップ式仮撚装置111と、撚止ガイド112と、ガイドローラ113と、第二フィードローラ114と、インタレースノズル115と、二次ヒータ116と、第三フィードローラ117と、を備えて構成される。
【００１７】
第一フィードローラ108と第二フィードローラ114の間で糸Yが延伸されるように、第二フィードローラ114の糸送り速度は、第一フィードローラ108の糸送り速度と比較して大きく設定される。一方、第二フィードローラ114と第三フィードローラ117の間で糸Yが弛緩されるように、第三フィードローラ117の糸送り速度は、第二フィードローラ114の糸送り速度と比較して小さく設定される。
【００１８】
ニップ式仮撚装置111は、走行する糸Yに対して撚りを付与するものであって、この糸Yに付与された撚りはニップ式仮撚装置111から糸Yの走行方向上流側へ第一フィードローラ108に至るまで伝播する。糸Yは、延伸されつつ撚りが付与された状態で熱セットされた後、冷却器110で冷却され、ニップ式仮撚装置111を通過するときに解撚される。この延伸仮撚加工処理が施された糸Yには、インタレースノズル115において適宜に交絡部が形成されることで、加撚糸と同程度の集束性が付与される。その後、糸Yは、弛緩された状態で二次ヒータ116において所定の熱処理が施され、巻取部104においてパッケージに巻き取られる。
【００１９】
以上の構成で、撚止ガイド112は、糸Yに付与された撚りが当該撚止ガイド112よりも糸Yの走行方向下流側へ伝播するのを抑止する機能を発揮し、ガイドローラ113は、撚止ガイド112に対する糸Yの巻付角度を調整するのに供される。
【００２０】
次に、ニップ式仮撚装置111について説明する。図２は、本発明の第一実施形態に係るニップ式仮撚装置の正面図である。本図に示されるように、ニップ式仮撚装置111は、基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与するものである。即ち、ニップ式仮撚装置111は、基準ベルト1を含む基準ベルトユニット3と、可動ベルト2を含む可動ベルトユニット4と、を備える。これら基準ベルトユニット3・可動ベルトユニット4は互いに概ね対称の構造とされるので、以下、主として、可動ベルトユニット4の構造を詳細に説明する。
【００２１】
可動ベルトユニット4は、延伸仮撚加工機100本体に対して固定されるユニットベース5と、このユニットベース5に対して摺動可能な可動ベルト支持体6と、前記の可動ベルト2と、から構成される。可動ベルト支持体6は、ユニットベース5内に収容される駆動部7と、この駆動部7から突設されるプーリ駆動軸収容筒8と、このプーリ駆動軸収容筒8の先端に配され、該プーリ駆動軸収容筒8内に収容される略示の駆動シャフト9によって回転駆動される駆動プーリ10と、この駆動プーリ10と対を成し、駆動プーリ10と共に可動ベルト2が掛けられる従動プーリ11と、この従動プーリ11をプーリ駆動軸収容筒8に対して支持する従動プーリ支持部12と、から構成される。この従動プーリ支持部12は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延びる支持アーム13と、この支持アーム13に対して可動ベルト2の走行方向に沿って摺動可能であって、従動プーリ11を軸支するスライダ14と、を含んで構成され、その詳細な構造については後述する。
【００２２】
本実施形態において駆動プーリ10と従動プーリ11に掛けられる可動ベルト2は、可撓性有する無端ベルトであって、そのベルト幅は概ね8〜12[mm]とされる。前記のプーリ駆動軸収容筒8は概ね基準ベルトユニット3へ向かって延在し、可動ベルトユニット4によって支持される可動ベルト2が、基準ベルトユニット3に支持される基準ベルト1と接触可能に構成される。基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yを挟むとき、本図に示されるように、可動ベルト2に対して対向する基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、基準ベルト1に対して対向する可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、は略平行とされる。そして、本実施形態において可動ベルト2は、基準ベルト対向面1aと、可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら基準ベルト1に対して進退可能に構成される。即ち、可動ベルト2を支持する可動ベルト支持体6の駆動部7は、ユニットベース5内において、可動ベルト対向面2aに対して垂直な方向へ摺動するように構成される。
【００２３】
ここで、図３を参照されたい。図３は、図２の3-3線矢視断面図である。本図に示されるように、ユニットベース5には上記の可動ベルト対向面2aに対して垂直な方向に沿う略示のガイドシャフト15が挿設され、このガイドシャフト15と図示しないリニアブッシングを介して、駆動部7はユニットベース5に対して連結される。この構成で、可動ベルト2は、基準ベルト対向面1aと、可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら基準ベルト1に対して進退可能とされる。加えて、上記の駆動部7には上記のガイドシャフト15の挿設方向と平行に延びるキー溝16が刻設され、このキー溝16内に収容されるキー17がユニットベース5に設けられ、このキー溝16及びキー17の存在により、ガイドシャフト15まわりの駆動部7の回転が規制されるように構成される。前記のプーリ駆動軸収容筒8は、本図に示されるように駆動部7に対して嵌入され、駆動プーリ10に連結される駆動シャフト9はプーリ駆動軸収容筒8に対して略同軸の関係とされる。
【００２４】
ユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18（相対位置保持手段）と、後記の第二可動ベルト付勢部19と、が設けられる。
【００２５】
本実施形態において、この相対位置保持部18は、基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有し、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って可動ベルト2を付勢する第一可動ベルト付勢部20と、この第一可動ベルト付勢部20によって付与させる付勢力によって可動ベルト2が進退移動するのを所定位置で規制する可動ベルト規制部21と、この可動ベルト規制部21による可動ベルト2の進退移動の規制に係る所定位置を、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って変更する規制位置変更部22と、から構成される。
【００２６】
上記の第一可動ベルト付勢部20は、本実施形態において空気圧式に構成されることで、可動ベルト2に対して付与する付勢力を増減可能に構成される。第一可動ベルト付勢部20は、具体的には、図略の圧縮空気供給装置に対してエアチューブを介して接続されるエア供給口23と、エア供給口23を介して供給される圧縮空気によって駆動される図略のベロフラムを内蔵する第一可動ベルト付勢部本体24と、このベロフラムの動作に連動するロッド25と、から構成される。このロッド25は、ガイドシャフト15の挿設方向と平行となるように配され、エア供給口23を介して第一可動ベルト付勢部本体24に圧縮空気が供給されると駆動部7に形成されるロッド当接面7aに当接し、圧縮空気によりベロフラムを介してロッド25に作用される圧力が駆動部7に伝達されるように構成される。この第一可動ベルト付勢部20は、駆動部7に伝達される上記圧力（エアー圧）が、基準ベルト1に対して近接する方向Aへ可動ベルト2を付勢するのに供されるように構成される。即ち、可動ベルト2から基準ベルト1を望む方向と、第一可動ベルト付勢部本体24からロッド25乃至ロッド当接面7aを望む方向と、は同一方向とされる。
【００２７】
上記の可動ベルト規制部21及び規制位置変更部22は、何れも、本実施形態においてラックアンドピニオンユニット26により実現される。このラックアンドピニオンユニット26は、ガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に延在し、ユニットベース5に対して摺動自在にユニットベース5内に内挿されるラック27と、図略のピニオンと、ユニットベース5に対して固定支持され、このピニオンを回転させるためのラックアンドピニオン用ステッピングモータ28と、から構成され、このラックアンドピニオン用ステッピングモータ28が作動することで、上記のピニオンを介して、ラック27がガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に進退するように構成される。このとき、ラック27は、駆動部7に対して、基準ベルト1から可動ベルト2が離反する方向Bへ当接するように配置され、もって、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力によって可動ベルト2が進出移動するのを所定位置で規制する。この所定位置は、ラック27の進退に伴って変更可能とされる。
【００２８】
上記の第二可動ベルト付勢部19は、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と比較して小さい付勢力を、可動ベルト2に対して、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ付与するものであって、本実施形態においてバネ式に構成され、具体的には、ユニットベース5と駆動部7の間に介設される圧縮コイルスプリング30を備える。上記の圧縮コイルスプリング30は、当該圧縮コイルスプリング30の自己弾性復元力が可動ベルト2を基準ベルト1から離反させる方向Bへ付勢するのに供されるように配置される。従って、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力と、は反対の方向に作用するように構成され、更に、上述したように後者の付勢力は前者の付勢力よりも著しく弱く設定されるので、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付勢力が付与されているときは、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力は駆動部7の進退については何ら影響を及ぼさず、駆動部7は、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端に対して当接する。一方、第一可動ベルト付勢部20によって可動ベルト2に対して付勢力が一切付与されていないときは、第二可動ベルト付勢部19によって可動ベルト2に対して付与される付勢力の存在により、駆動部7は、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端から離れ、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向Bへ移動（退避）することとなる。
【００２９】
次に、従動プーリ支持部12の構成を説明する。図４及び図５を参照されたい。図４は、図２に類似する図であって、基準ベルトユニットの描画を省略したものである。図５は、図４の一部切欠き部分断面図である。図４に示されるように、従動プーリ支持部12は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延びる支持アーム13と、可動ベルト2の走行方向に沿って延在し、支持アーム13に対して固定支持される略示の摺動軸31と、支持アーム13に対して摺動軸31を介して摺動可能であって、従動プーリ11を軸支するスライダ14と、を含んで構成される。更に、この従動プーリ支持部12には、可動ベルト2に対して所定の張力を付与する後記の圧縮コイルスプリング32（張力付与手段）と、空気圧式に構成され、可動ベルト2の張力を調整する後記の張力調整部33（張力調整手段）と、が設けられる。
【００３０】
図５に示されるように、上記の支持アーム13は、プーリ駆動軸収容筒8の外周面から従動プーリ11へ向かって延び、その先端には、前記の摺動軸31が嵌入されると共に、この摺動軸31と略同軸状に配される圧縮コイルスプリング32を収容するバネ収容室34が形成される。このバネ収容室34は、製造上の便宜から、スライダ14に向かって開口される。以下、このバネ収容室34の壁部のうち、駆動プーリ10側のものを第一側壁部35と、この第一側壁部35と対向するものを第二側壁部36と、スライダ14と摺動軸31を挟んで反対側のものをシリンダ取着壁部37と、称する。
【００３１】
上記のスライダ14は、摺動軸31の軸心と略平行に延在するスライダ本体38と、このスライダ本体38の基端側（駆動プーリ10側）に突設され、第一側壁部35を貫いて駆動プーリ10へ向かって延びる摺動軸31に対して略示のリニアブッシングを介して摺動する第一スライダ連結部39と、このスライダ本体38の中途に突設され、バネ収容室34内の摺動軸31に対して略示のリニアブッシングを介して摺動する第二スライダ連結部40と、から構成され、前記の従動プーリ11はスライダ本体38の先端に軸支される。前記の圧縮コイルスプリング32は、第一側壁部35と第二スライダ連結部40の間に配される。以上の構成で、従動プーリ11は、圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力によってスライダ14に対して付与される付勢力により駆動プーリ10から離反する方向へ付勢され、もって、可動ベルト2に対して所定の張力が付与される。
【００３２】
上記の張力調整部33は、バネ収容室34のシリンダ取着壁部37に形成される孔37aを貫通し、摺動軸31とシリンダ取着壁部37を挟んで反対側に延びる第二スライダ連結部40と、摺動軸31の軸心と略平行に延び、駆動プーリ10から従動プーリ11を離間させる方向へ第二スライダ連結部40に対して当接するロッド41を有してシリンダ取着壁部37に固定支持されるシリンダ42と、から構成される。このシリンダ42は、図略の圧縮空気供給装置に対してエアチューブを介して接続される。
【００３３】
次に、本実施形態に係るニップ式仮撚装置111の作動について説明する。再度、図２を参照されたい。
【００３４】
先ず、(i)基準ベルト1と可動ベルト2の間に、加撚対象としての糸Yの太さよりも十分大きな間隙が存在しており、(ii)この糸Yは、太線矢印で示される方向へ走行しており、(iii)基準ベルト1及び可動ベルト2は所定張力に設定されているものとする。
【００３５】
＜加撚の開始＞
この状態で、糸Yに対する加撚を開始するには、先ず、図示しないモータによって駆動プーリ10を所定の回転数で回転させて、可動ベルト2を所定速度で走行させた状態とする。この可動ベルト2の走行方向は本図において太線矢印で示される方向である。基準ベルトユニット3についても同様とする。なお、本図において基準ベルト1の走行方向は一見すると糸Yの走行方向に対して逆らう方向のようにも見えるが、本図においては直接的には描かれない前記の基準ベルト対向面1aにおいては、基準ベルト1の走行方向が糸Yの走行方向に対して逆らう方向ではないことが容易に理解されよう。
【００３６】
次に、図３に示される第一可動ベルト付勢部20に所定圧力の圧縮空気を導入してロッド25を進出させる。これにより、ロッド25が駆動部7のロッド当接面7aに当接し、ロッド25が第一可動ベルト付勢部本体24から受ける圧力が駆動部7に伝達されることで、駆動部7は、第二可動ベルト付勢部19に属する圧縮コイルスプリング30の自己弾性復元力に抗するかたちで、ガイドシャフト15の挿設方向に沿って摺動し、やがて、ラックアンドピニオンユニット26のラック27の先端に当接し、それ以上の摺動が規制される。このとき、基準ベルト1と可動ベルト2は糸Yとの当接位置において若干撓みながら糸Yを挟む状態とされ、もって、基準ベルトユニット3に対して位置固定される基準ベルト1と、駆動部7とラック27の先端との当接により位置固定される（換言すれば、基準ベルト1に対する相対的な位置が保持される）可動ベルト2と、によって挟まれる糸Yに対しては、基準ベルト1が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、が作用することとなる。
【００３７】
基準ベルト1及び可動ベルト2の走行方向は、何れも、糸Yに対して所定の角度を有しており、もって、基準ベルト1の走行は、糸Yを送出する機能と、糸Yに対して撚りを付与する機能と、を発揮するようになっている。
【００３８】
＜加撚の停止：１＞
上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、第一可動ベルト付勢部20に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既に第一可動ベルト付勢部20に対して供給された圧縮空気を脱気し、第一可動ベルト付勢部20によって駆動部7に対して付与される付勢力を消失させればよい。これによれば、第二可動ベルト付勢部19によって駆動部7に対して付与される付勢力の存在により、駆動部7は基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向に移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００３９】
＜加撚の停止：２＞
上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ28を作動させることでラック27を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ進出させればよい。すると、駆動部7とラック27の先端との係合により、駆動部7は、ラック27の進出と連動するかたちで、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００４０】
＜加撚の停止：３＞
更に、上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に対して供給された圧縮空気を脱気し、シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じればよい。これによれば、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）が大幅に減じ、もって、可動ベルト2と基準ベルト1は、糸Yを加撚する機能を発揮できない状態となる。
【００４１】
上述した、(i)第一可動ベルト付勢部20によって駆動部7に対して付与される付勢力を消失させることによる加撚の停止の方法と、(ii)ラック27を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ進出させることによる加撚の停止の方法と、(iii)シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じることによる加撚の停止の方法と、は以下の点で相違する。即ち、(i)及び(iii)の方法は、(ii)の方法よりも短時間で完了する。第一可動ベルト付勢部20に対する圧縮空気の供給の停止や既に第一可動ベルト付勢部20に供給された圧縮空気の脱気などは時間を殆ど要さず、一方で、ラック27の進出には当該進出の距離に見合ったラックアンドピニオン用ステッピングモータ28の作動を要するからである。
【００４２】
＜ベルトの着脱＞
可動ベルト2を可動ベルトユニット4から取り外すときは、圧縮コイルスプリング32の付勢力と、シリンダ42の付勢力と、に抗するかたちで図示しない圧縮コイルスプリング圧縮手段により圧縮コイルスプリング32を強制的に圧縮させて、可動ベルト2に付与されている張力を消失させればよい。このとき、好ましくは、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に供給されている圧縮空気を脱気させておくとよい。この状態で、可動ベルト2を可動ベルトユニット4に取り付けるときは、前記の圧縮コイルスプリング圧縮手段による圧縮コイルスプリング32の圧縮を解除すると共に、シリンダ42に対して所定圧力の圧縮空気を供給すればよい。
【００４３】
＜接圧の調整＞
糸Yに対する加撚の際に、基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）を調整するには、単にシリンダ42に供給する圧縮空気の圧力を増減すればよい。
【００４４】
＜第二実施形態＞
次に、本発明の第二実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記の第一実施形態と相違する点を中心に説明する。図６を参照されたい。図６は、図３に類似する図である。
【００４５】
上記第一実施形態に係るユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18と、第二可動ベルト付勢部19と、が設けられ、相対位置保持部18は基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有する。一方、本実施形態に係るユニットベース5には、基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部43のみが設けられ、この相対位置保持部43は基準ベルト1に対して可動ベルト2を進退移動させる機能をも有する。そして、この相対位置保持部43は、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の経路における何れかの固定位置において可動ベルト2を固定する可動ベルト固定部44と、この可動ベルト固定部44による可動ベルト2の固定に係る固定位置を、基準ベルト1に対する可動ベルト2の進退移動の方向に沿って変更する固定位置変更部45と、から構成される。
【００４６】
上記の可動ベルト固定部44及び固定位置変更部45は、何れも、本実施形態においてラックアンドピニオンユニット46により構成される。このラックアンドピニオンユニット46は、ガイドシャフト15の挿設方向に対して平行に延在し、ユニットベース5に対して摺動自在にユニットベース5内に内挿されるラック47と、図略のピニオンと、ユニットベース5に対して固定支持され、このピニオンを回転させるためのラックアンドピニオン用ステッピングモータ48と、から構成され、ラック47の先端は駆動部7に対して連結固定される。この構成で、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を通電状態とすることにより発生するホールディングトルクの作用により上記の可動ベルト固定部44の担う役割が実現され、同様に、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度だけ回転させることにより上記の固定位置変更部45の担う役割が実現される。なお、相対位置保持部18の主たる機能（基準ベルト1に対する可動ベルト2の相対的な位置を保持する機能）は、この可動ベルト固定部44により実現される。
【００４７】
次に、本実施形態に係るニップ式仮撚装置111の作動について説明する。再度、図２を参照されたい。
【００４８】
先ず、(i)基準ベルト1と可動ベルト2の間に、加撚対象としての糸Yの太さよりも十分大きな間隙が存在しており、(ii)この糸Yは、太線矢印で示される方向へ走行しており、(iii)基準ベルト1及び可動ベルト2は所定張力に設定されているものとする。
【００４９】
＜加撚の開始＞
この状態で、糸Yに対する加撚を開始するには、先ず、図示しないモータによって駆動プーリ10を所定の回転数で回転させて、可動ベルト2を所定速度で走行させた状態とする。この可動ベルト2の走行方向は本図において太線矢印で示される方向である。基準ベルトユニット3についても同様とする。
【００５０】
次に、図６に示されるラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度、回転させて、ラック47を、基準ベルト1に対して可動ベルト2が近接する方向へ摺動移動させ、ラック47の先端に連結される駆動部7等を介して可動ベルト2を基準ベルト1に対して近接させる。このとき、基準ベルト1と可動ベルト2は糸Yとの当接位置において若干撓みながら糸Yを挟む状態とされ、もって、基準ベルトユニット3に対して位置固定される基準ベルト1と、可動ベルトユニット4に対して位置固定される（換言すれば、基準ベルト1に対する相対的な位置が保持される）可動ベルト2と、によって挟まれる糸Yに対しては、基準ベルト1が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する糸Yの張力の分力と、が作用することとなる。
【００５１】
基準ベルト1及び可動ベルト2の走行方向は、何れも、糸Yに対して所定の角度を有しており、もって、基準ベルト1の走行は、糸Yを送出する機能と、糸Yに対して撚りを付与する機能と、を発揮するようになっている。
【００５２】
＜加撚の停止：１＞
上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、ラックアンドピニオン用ステッピングモータ48を所定角度、回転させて、ラック47を、基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向へ摺動移動させればよい。これによれば、ラック47と駆動部7との連結関係により、駆動部7は基準ベルト1から可動ベルト2を離反させる方向に移動（退避）して基準ベルト1と可動ベルト2の上記撓みが解消すると共に、基準ベルト1と可動ベルト2の間に糸Yの太さと比較して十分大きな間隙が生成され、もって、糸Yに対する加撚が停止する。
【００５３】
＜加撚の停止：２＞
更に、上記の加撚の停止の方法に代えて、以下のような方法も有効である。即ち、上記の状態で、糸Yに対する加撚を停止するには、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に対して供給された圧縮空気を脱気し、シリンダ42によって付与される可動ベルト2の張力を減じればよい。これによれば、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）が大幅に減じ、もって、可動ベルト2と基準ベルト1は、糸Yを加撚する機能を発揮できない状態となる。
【００５４】
＜ベルトの着脱＞
可動ベルト2を可動ベルトユニット4から取り外すときは、圧縮コイルスプリング32の付勢力と、シリンダ42の付勢力と、に抗するかたちで図示しない圧縮コイルスプリング圧縮手段により圧縮コイルスプリング32を強制的に圧縮させて、可動ベルト2に付与されている張力を消失させればよい。このとき、好ましくは、シリンダ42に対する圧縮空気の供給を停止すると共に、既にシリンダ42に供給されている圧縮空気を脱気させておくとよい。この状態で、可動ベルト2を可動ベルトユニット4に取り付けるときは、前記の圧縮コイルスプリング圧縮手段による圧縮コイルスプリング32の圧縮を解除すると共に、シリンダ42に対して所定圧力の圧縮空気を供給すればよい。
【００５５】
＜接圧の調整＞
糸Yに対する加撚の際に、基準ベルト1と可動ベルト2が糸Yに対して当接したときに撓むことで発生する、糸Yに対する可動ベルト2の接圧（糸Yに対する基準ベルト1の接圧）を調整するには、単にシリンダ42に供給する圧縮空気の圧力を増減すればよい。
【００５６】
以上説明したように上記実施形態において、ニップ式仮撚装置111は、以下のように構成される。即ち、基準側のベルトとしての基準ベルト1と、可動側のベルトとしての可動ベルト2と、を備え、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2を走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト1及び可動ベルト2に挟まれながら走行する糸Yに対して撚りを付与する。前記可動ベルト2は、前記可動ベルト2に対して対向する前記基準ベルト1の部分としての基準ベルト対向面1aと、前記基準ベルト1に対して対向する前記可動ベルト2の部分としての可動ベルト対向面2aと、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルト1に対して進退可能に構成される。前記の可動ベルト2の張力を調整する張力調整部33が設けられる。以上の構成によれば、前記の基準ベルト対向面1aと可動ベルト対向面2aとが片アタリすることがないので前記の基準ベルト1や可動ベルト2自体の寿命が延びるし、片アタリに起因するベルト発熱が回避されるので熱による糸Yの品質劣化が防止される。例えば、ベルト幅の大きい基準ベルト1や可動ベルト2を備えるニップ式仮撚装置111や、基準ベルト1又は可動ベルト2のうち少なくとも何れか一方が複数並列のベルトから成る形式のニップ式仮撚装置111においては、上記の効果が特に顕著に現れる。更に、前記張力調整部33の存在により、前記糸Yに対する前記可動ベルト2の接圧を調整できる。
【００５７】
◆ なお、上記の張力調整部33は、可動ベルト2（可動ベルトユニット4）に対してのみ設けることに代えて、基準ベルト1（基準ベルトユニット3）に対してのみ設けることとしてもよいし、基準ベルト1（基準ベルトユニット3）及び可動ベルト2（可動ベルトユニット4）の双方に対して設けることとしてもよい。
【００５８】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記基準ベルト1に対する前記可動ベルト2の相対的な位置を保持する相対位置保持部18を備える。以上の構成によれば、前記張力調整部33による前記可動ベルト2の張力の調整が、前記糸Yに対する前記可動ベルト2の接圧に対して良好に反映される。
【００５９】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整部33は、空気圧式に構成される。以上の構成によれば、前記張力調整部33が簡素な構成で実現されると共に、前記張力調整部33によって前記可動ベルト2に対して付与される張力の消失を極めて短時間で完了できる。
【００６０】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力調整部33は、前記可動ベルト2に対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる。以上の構成によれば、前記糸Yの種別に応じた張力を前記可動ベルト2に対して付与するに際し、前記張力調整部33の負担を軽減できる。
【００６１】
上記のニップ式仮撚装置111は、更に、以下のように構成される。即ち、前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリング32である。以上の構成よれば、前記張力付与手段が簡素な構成で安価に実現される。
【００６２】
延伸仮撚加工機100は、上記のニップ式仮撚装置111を備えて構成される。
【００６３】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【００６４】
即ち、例えば、上記各実施形態において圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力を受ける第二スライダ連結部40は、同時に、シリンダ42の駆動力をロッド41を介して受けるように構成される。しかし、これに代えて、圧縮コイルスプリング32の自己弾性復元力を受ける部材と、シリンダ42の駆動力をロッド41を介して受ける部材と、は別体としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】本発明の第一実施形態に係る延伸仮撚加工機の概略構成図
【図２】第一実施形態に係るニップ式仮撚装置の正面図
【図３】図２の3-3線矢視断面図
【図４】図２に類似する図であって、基準ベルトユニットの描画を省略したもの
【図５】図４の一部切欠き断面図
【図６】図３に類似する図
【符号の説明】
【００６６】
1 基準ベルト
2 可動ベルト
3 基準ベルトユニット
4 可動ベルトユニット
18 相対位置保持部
100 延伸仮撚加工機（繊維機械）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基準側のベルトとしての基準ベルトと、可動側のベルトとしての可動ベルトと、を備え、前記の基準ベルト及び可動ベルトを走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト及び可動ベルトに挟まれながら走行する糸に対して撚りを付与する、ニップ式仮撚装置において、
前記可動ベルトは、前記可動ベルトに対して対向する前記基準ベルトの部分としての基準ベルト対向面と、前記基準ベルトに対して対向する前記可動ベルトの部分としての可動ベルト対向面と、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルトに対して進退可能に構成され、
前記の可動ベルト又は基準ベルトのうち少なくとも何れか一方のベルトの張力を調整する張力調整手段が設けられる、
ことを特徴とするニップ式仮撚装置
【請求項２】
前記基準ベルトに対する前記可動ベルトの相対的な位置を保持する相対位置保持手段を備える、
ことを特徴とする請求項１に記載のニップ式仮撚装置
【請求項３】
前記張力調整手段は、空気圧式に構成される、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のニップ式仮撚装置
【請求項４】
前記張力調整手段は、前記ベルトに対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる、
ことを特徴とする請求項１〜３の何れか一に記載のニップ式仮撚装置
【請求項５】
前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリングである、
ことを特徴とする請求項４に記載のニップ式仮撚装置
【請求項６】
請求項１〜５の何れか一に記載のニップ式仮撚装置を備える、
ことを特徴とする繊維機械
【請求項１】
基準側のベルトとしての基準ベルトと、可動側のベルトとしての可動ベルトと、を備え、前記の基準ベルト及び可動ベルトを走行させつつ互いに近接させることで、前記の基準ベルト及び可動ベルトに挟まれながら走行する糸に対して撚りを付与する、ニップ式仮撚装置において、
前記可動ベルトは、前記可動ベルトに対して対向する前記基準ベルトの部分としての基準ベルト対向面と、前記基準ベルトに対して対向する前記可動ベルトの部分としての可動ベルト対向面と、の平行な関係を維持しながら前記基準ベルトに対して進退可能に構成され、
前記の可動ベルト又は基準ベルトのうち少なくとも何れか一方のベルトの張力を調整する張力調整手段が設けられる、
ことを特徴とするニップ式仮撚装置
【請求項２】
前記基準ベルトに対する前記可動ベルトの相対的な位置を保持する相対位置保持手段を備える、
ことを特徴とする請求項１に記載のニップ式仮撚装置
【請求項３】
前記張力調整手段は、空気圧式に構成される、
ことを特徴とする請求項１又は２に記載のニップ式仮撚装置
【請求項４】
前記張力調整手段は、前記ベルトに対して所定の張力を付与する張力付与手段と共に設けられる、
ことを特徴とする請求項１〜３の何れか一に記載のニップ式仮撚装置
【請求項５】
前記張力付与手段は、圧縮コイルスプリングである、
ことを特徴とする請求項４に記載のニップ式仮撚装置
【請求項６】
請求項１〜５の何れか一に記載のニップ式仮撚装置を備える、
ことを特徴とする繊維機械
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−７６９８（Ｐ２００９−７６９８Ａ）
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１６９６００（Ｐ２００７−１６９６００）
【出願日】平成１９年６月２７日（２００７．６．２７）
【出願人】（０００００６２９７）村田機械株式会社 (4,916)
【出願人】（５０２４５５５１１）ＴＭＴマシナリー株式会社 (91)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月２７日（２００７．６．２７）
【出願人】（０００００６２９７）村田機械株式会社 (4,916)
【出願人】（５０２４５５５１１）ＴＭＴマシナリー株式会社 (91)
【Ｆターム（参考）】
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