説明

ニトロイミダゾール化合物

本発明は、興味ある医薬品性質を有する、特定のニトロイミダゾール化合物に関する。特に、本化合物は、感染症、建生場結核菌、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアにより引き起こされる感染症の処置および/または予防に有用である。本発明はまた、本化合物を含有する医薬組成物、ならびにそれらの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロイミダゾール化合物、それらの生産方法、それらを含む医薬品および医薬組成物としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人類に知られている最も古い疾患の一つである結核(TB)は、結核菌(MTB)により引き起こされる。本疾患は感染性であり、一般的な風邪に似て、咳やくしゃみにより空気を介して容易に広がる。現在、MTBは世界の人口の3分の1に感染し、感染性疾患による成人の死因のAIDSに次ぐ第2位であり、15秒に1人TBにより死亡している。最近20年間、特に東南アジアおよびサハラ以南のアフリカのような区域で、TBの症例が復活してきている。
【0003】
最初の有効な抗TB薬物であるストレプトマイシンは1946年に導入された。しかしながら、この単剤療法は、細菌の抵抗性の発現のため急速に無効になった。更なる抗結核薬が発見されるにつれ、2剤もしくはそれ以上の薬物を用いる併用療法が抵抗性の出現を抑制することを可能にした。最後の新しい抗TB薬物であるリファンピシンは1960年代に導入された。過去30年間、新しい作用機構のTB薬物は導入されていない。TBに対する現在の療法は有効ではあるが、複数の薬物を伴う。これはリファンピシン、イソニアジド、ピラジナミドおよびエタンブトールによる2ヶ月間の処置、それに引き続くリファンピシンおよびイソニアジドによるさらに4ヶ月間の継続療法を伴う。この治療法の主な欠点は長期の処置期間であり、これは患者のコンプライアンスおよび適正な実施を困難にする。TB患者の3分の2以上が十分なかつ適正なTB処置を受けず、これが高い再発率および薬剤耐性の出現をもたらす。現在、世界でTB症例の約4%は多剤耐性(MDR)、即ちイソニアジドおよびリファンピシンの両者に抵抗性である。MDR−TBは治療するのが困難で、処置期間が2年に至り、高い無効率である。処置期間を短縮し、そして多剤耐性TBを更に効率良く処置するために新規TB薬物が緊急に必要とされている。
【0004】
リーシュマニア症はリーシュマニア属に属する200種以上の寄生性原虫の一つにより引き起こされて、雌のスナバエの刺咬によって伝播される。リーシュマニア症は熱帯および亜熱帯を含む約88ヶ国において風土性である。
【0005】
四つの主なリーシュマニア症の型がある。カラアザールとも呼ばれる、内臓リーシュマニア症は最も重篤な型であって、寄生虫ドノバンリーシュマニアにより引き起こされる。内臓リーシュマニア症を発症する患者は、処置を受けなければ数ヶ月以内に死亡し得る。内臓リーシュマニア症に対する二つの主な療法は、アンチモン誘導体であるスチボグルコネートナトリウム(ペントスタム(登録商標))およびアンチモン酸メグルミン(グルカンチム(登録商標))である。スチボグルコネートナトリウムは約70年間使用されており、この薬物に対する抵抗性が問題となってきている。加えて、処置が比較的長期間で苦痛であり、好ましくない副作用を引き起こし得る。
【0006】
シャガス病(アメリカトリパノソーマ症とも呼ばれる)は米大陸の貧困層の間で風土性であるもう一つのヒト寄生虫疾患である。本疾患は原虫寄生虫のクルーズトリパノソーマにより引き起こされ、これは血を吸う昆虫によりヒトに伝染する。このヒト疾患は二つの段階:感染後早期に起こる急性期、および多年に亘って発症し得る慢性期で発症する。慢性感染は認知症を含む、種々の神経障害、心筋への損傷、および時に消化管の拡張、ならびに体重減少をもたらす。無処置では、慢性疾患はしばしば致命的である。
【0007】
シャガス病を処置するために現在使用可能な薬物はニフルティモックスおよびベンズニダゾールである。しかしながら、これらの現在の療法の問題点としては、それらの有害な副作用、処置の長さ、および処置中の医学的監視の必要性が含まれる。さらに、処置は疾患の急性期の間に投与された場合にのみ実際有効である。二つの第一選択薬物に対する抵抗性が既に生じている。抗菌剤アンホテリシンbが第二選択薬物として提唱されてきているが、この薬物は高価であって、比較的毒性がある。
【0008】
それ故に、リーシュマニア症およびシャガス病の現行の処置を改善する新規薬物の必要性がまたある。
【0009】
WO97/01562は、TBを処置するのに有用である、数多くのニトロイミダゾール化合物、とりわけPA−824を開示している。しかしながら、PA−824は、合成経路が高価であり、錠剤処方が複雑であり(その低い溶解度による)、効力のさらなる改良の必要がある。
【0010】
好ましくは、簡単な合成経路ならびに効力、溶解度および安定性に関して改良された性質を有する、医薬使用に適する改良された化合物を提供することが本発明の目的である。
【0011】
本発明により、本発明のニトロイミダゾール化合物は医薬使用のために有利な性質を有することが、驚くべきことに見出された。
【発明の開示】
【0012】
(発明の概要)
第一の局面では、本発明は、式(I):
【化1】

[式中:
(a) mは0であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はハロアリールであって、他方は水素であり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(b) mは1であり;
WはNであって、Vは、一つもしくはそれ以上のアルコキシ置換基で所望により置換されていてよいアルキルアリール基であり;
R1およびR3は両方ともHであり;そして
R2およびR4の一方はアルコキシであって、他方はHであるか;
または:
(c) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はアルキルもしくはアリールであって、他方はHであり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(d) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R2およびR4の一方は−L(B)−(Z)、−L(B)−(Z)−もしくはY−(B)−Zであって、他方はHであり;
そして
R1およびR3は両方ともHであり;
ここで:Lは、式−O−R5−[式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である]を有している原子基であり;Bはシクロアルキル、複素環、アリールまたは一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいヘテロアリール環であり;nは1もしくは2であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキル、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシもしくは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級チオアルキルであり;
そしてYは−NHC(O)−であり;
nは1もしくは2であり;pは0、1もしくは2であり;そしてqは1もしくは2であるが;
ただし、R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;qは2であり、両方のB基はフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L−(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、Zは4−トリフルオロメトキシ、4−フルオロ、4−トリフルオロエトキシ、4−ペンタフルオロプロポキシ、4−テトラフルオロプロポキシ、4−トリフルオロメチル、2,4−ジフルオロメチルもしくは2,4−ジフルオロでない。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0013】
好ましくは、化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物である。
化合物は、上の(a)が該当する式(I)の化合物であるとき、R1およびR3の一方が4−フルオロフェニルであることが好ましい。
【0014】
化合物は、上の(b)が該当する式(I)の化合物であるとき、Vが一つもしくはそれ以上のメトキシ基で任意に置換されるベンジル基であることが好ましい。R2およびR4の一方がメトキシ基であることがさらに好ましい。
【0015】
化合物は、上の(c)が該当する式(I)の化合物であるとき、R1およびR3の一方がエチル、ペンチルもしくはフェニル基であることが好ましい。
化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物であって、R2およびR4の一方がY−(B)−Zであるとき、Bはピペリジン、ピリミジンもしくはフェニル基であることが好ましい。pが1であることがまた好ましい。
【0016】
化合物は、上の(d)が該当する、式(I)の化合物であって、R2およびR4の一方が−(L−B)−(Z)であるとき、Bがフェニルもしくはシクロヘキシルであることが好ましい。Lが−O−低級アルキレン、さらに好ましくは−O−CH−であることがさらに好ましい。
【0017】
化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物であって、R2およびR4の一方が−L−(B)−(Z)であるとき、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)N−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCH−もしくは−OCHCH−であることが好ましい。さらに好ましくは、Lが−O−CHC(O)−である。Bは、4〜12員環の、好ましくは5もしくは6員環のシクロアルキル、複素環、アリールもしくはヘテロアリール環であることがさらに好ましい。環は、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より好ましくは選択される、一つもしくはそれ以上の置換基で任意にさらに置換され得る。好ましい態様では、Bは、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、ピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ナフチル、インドリル、インドリニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダニル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、もしくはテトラゾリルからなる群より選択される環状の環である。まださらに好ましい態様では、Bは、ピペラジニル、フェニル、ピリジル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリルからなる群より選択される環状の環である。好ましくは、Zは、ハロゲン、例えば、ハロメチル、ジハロメチル、トリハロメチル、ペンタハロエチル、ハロメトキシ、ジハロメトキシ、トリハロメトキシ、ペンタハロエチルもしくはペンタハロエトキシのような、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキルまたは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシである。
【0018】
化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物であって、R2およびR4の一方が−L−(B)−(Z)であるとき、Bがピペラジン、ピリジン、フェニルもしくはベンズイミダゾール基、または所望によりフェニル環と縮合していてよい、オキサゾールもしくはチアゾール基であることが好ましい。pは1であることがまた好ましい。
【0019】
化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物であるとき、ZがF、Br、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシもしくは−SCFであることが好ましい。
化合物は、上の(d)が該当する式(I)の化合物であるとき、pが1であることが好ましい。
【0020】
好ましくは、化合物は、式(II):
【化2】

[式中:
Lは、式−O−R5−[式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である]を有している原子基である。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)N−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCH−もしくは−OCHCH−からなる群より選択される。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグである。
【0021】
Bは、4〜12員環の、好ましくは5もしくは6員環のシクロアルキル、複素環、アリールもしくはヘテロアリール環である。環は、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より好ましくは選択される、一つもしくはそれ以上の置換基で任意にさらに置換され得る。好ましい態様では、Bは、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、ピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ナフチル、インドリル、インドリニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダニル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、もしくはテトラゾリルからなる群より選択される環状の環である。好ましい態様では、Bは、ピペラジニル、フェニル、ピリジル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、チアゾリルからなる群より選択される環状の環である。
【0022】
Zは、ハロゲン、例えば、ハロメチル、ジハロメチル、トリハロメチル、ペンタハロエチル、ハロメトキシ、ジハロメトキシ、トリハロメトキシ、ペンタハロエチルもしくはペンタハロエトキシのような、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキルまたは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシである。好ましくは、ハロゲンは、フルオロもしくはクロロであって、フルオロが最も好ましいハロゲンである。ZはBの環構造の任意の位置に結合し得るが、好ましくはメタ位置に、さらに好ましくは環構造のパラ位置に結合する。n=2のとき、好ましくはZは外部の環状環に結合し、即ち、その環状環はLに直接に結合せず、nは1もしくは2、好ましくは2である;
ただし、nが1であるならば、Bはフェニルでなく、またはnが1であって、Bがフェニルであるならば、Lは−O−CHC(O)NH−もしくは−O−CHC(O)NHCH−である。
【0023】
特に、本発明は、式(i)の6−置換−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン、および式(ii)の6−置換−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジンを包含する。
【化3】

【0024】
好ましい態様では、本発明は、式:
【化4】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、Xは独立してCもしくはNであり、そして、環構造が化学的に安定であるという条件で、0、1、2、3もしくは4個のXはNであって、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、二つでない隣接するXがNであり、他の環構造のNに結合するXはCであり、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCH−、−OCHCH−からなる群から選択されそしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0025】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化5】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、Xは独立してCもしくはNであり、そして、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCH−、−OCHCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0026】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化6】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、4もしくは7位に、さらに好ましくは5および6位にある。
【0027】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化7】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、YはOもしくはNであり、そして、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、4もしくは7位に、さらに好ましくは5および6位にある。
【0028】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化8】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0029】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化9】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択されそしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0030】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化10】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、YはSもしくはNであり、そして、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、4もしくは7位に、さらに好ましくは5および6位にある。
【0031】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化11】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)NHCH−、−OCHCH−および−OCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0032】
もう一つの好ましい態様では、本発明は、式:
【化12】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。
【0033】
式(I)の化合物の中の任意のアリール基はフェニル基であることが好ましい。アリール基は、低級ハロアルキル(さらに好ましくはトリフルオロメチル)、低級ハロアルコキシ(好ましくはトリフルオロメトキシ)またはハロ(好ましくはBr、ClもしくはF、最も好ましくはF)から好ましく選択される、一つもしくはそれ以上の置換基で任意に置換され得る。
【0034】
もう一つの局面では、本発明は、式(V):
【化13】

[式中、LおよびZは式(II)の化合物について上記で定義の通りであり、それぞれの環は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノもしくは低級アルコキシからなる群より選択される、1、2、3個もしくはそれ以上の置換基で独立してさらに置換され得る。]
の化合物、またはその塩に関する。好ましい態様では、Lは−O−CHC(O)−、−O−CHC(O)NH−、−O−CHC(O)NHCH−および−OCHCH−からなる群より選択され、そしてZは−F、−CF、もしくは−OCFからなる群より選択される。好ましくは、Zは、3位に、さらに好ましくは4位にある。
【0035】
もう一つの局面では、本発明は、薬学的に許容される添加物、賦形剤もしくは担体と併用して、式(I)、(II)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0036】
もう一つの局面では、本発明は、医薬品として使用するための、式(I)、(II)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0037】
もう一つの局面では、本発明は、式(I)、(II)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの治療的に有効量を、それを必要とするヒトまたは動物対象に投与することを含む、結核菌、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアのような病原性の微生物または寄生虫により引き起こされる疾患を処置するおよび/または予防する方法を提供する。
【0038】
なおもう一つの局面では、本発明は、結核菌のような病原性の微生物により引き起こされる疾患の処置および/または予防のための医薬品の製造のための、式(I)、(II)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0039】
なおもう一つの局面では、本発明は、結核菌のような病原性の微生物により引き起こされる疾患の処置および/または予防のための医薬品の製造のための、式(I)、(II)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用を提供する。
好ましくは、疾患はTB、さらに好ましくは多剤耐性TBである。
【0040】
もう一つの局面では、本発明は、式(III):
【化14】

[式中:
(a) mは0であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一つはハロアリールもしくはアルキルであって、他方はHであり、またはR1およびR3は両方とも低級アルキル基であり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(b) mは1であり;
WはNであって、Vは、一つもしくはそれ以上のアルコキシ置換基で所望により置換されていてよいアルキルアリール基であり;
R1およびR3は両方ともHであり;そして
R2およびR4の一方はアルコキシであって、他方はHであるか;
または:
(c) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はアルキルもしくはアリールであって、他方はHであり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(d) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R2およびR4の一方は−L(B)−(Z)、−L(B)−(Z)−もしくは−Y−(B)−Zであって、他方はHであり;
そして
R1およびR3は両方ともHであり;
ここで:Lは、式−O−R5−[式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である]を有している原子基であり;Bはシクロアルキル、複素環、アリールまたは一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいヘテロアリール環であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキル、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシもしくは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級チオアルキルであり;
そしてYは−NHC(O)−であり;
nは1もしくは2であり;pは0、1もしくは2であり;そしてqは1もしくは2である。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの有効量を、それを必要とするヒトまたは動物対象に投与することを含む、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアによる感染により引き起こされる疾患もしくは障害を処置するおよび/または予防する方法を提供する。
【0041】
なおもう一つの局面では、本発明は、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアのような寄生虫により引き起こされる疾患の処置および/または予防のための医薬品の製造のための、式(I)、(II)、(III)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0042】
なおもう一つの局面では、本発明は、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアのような寄生虫により引き起こされる疾患の処置および/または予防のための医薬品の製造のための、式(I)、(II)、(III)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの使用を提供する。
好ましくは、疾患はシャガス病もしくはリーシュマニア症である。
【0043】
もう一つの局面では、本発明は、第一選択もしくは第二選択TB薬物との併用での使用のための、式(I)、(II)、(III)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。なおもう一つの局面では、本発明は、a)式(I)、(II)、(III)もしくは(V)の化合物、または上記で定義の式(Ia)〜(Ii)のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ、およびb)イソニアジド、リファンピシン、ピラジンアミド、エタンブトール、ストレプトマイシン、カプレオマイシン、カナマイシン、エチオアミド、パラアミノサルチル酸(PAS)、サイクロセリン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、アミカシン、クロファジミン、チアセタゾン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシンからなる群より選択される少なくとも一つのTB薬物を含む組合せを提供する。
【0044】
さらにもう一つの局面では、本発明は、窒素複素環式化合物の製造方法であって、
立体障害の無い置換エポキシドをハロイミダゾール化合物と反応させて(ここで、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、1:1以下である)、アルコール官能基を持つ付加物を形成し
付加物上のアルコール官能基を保護して、アルコール保護付加物を形成し;そして
アルコール保護付加物を環化試薬で処理して、窒素複素環式化合物を形成すること:を含む、方法を提供する。
【0045】
好ましくは、遊離のもしくは塩の型での、窒素複素環式化合物は、式(IV)
【化15】

[式中:R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルである。]
の化合物により表される。
【0046】
好ましくは、立体障害の無い置換エポキシドは、マスクされたアルコール部分をさらに含む。立体障害の無い置換エポキシドは、式(Ij)
【化16】

[式中:R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリルである。]
の化合物により表されることがさらに好ましい。
【0047】
ハロイミダゾール化合物は、式(Ik)
【化17】

[式中:X=Cl、BrもしくはI;Y=H、Li、Na、K、COH、CO、t−ブトキシカルボニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、p−トルエンスルホニル、もしくはトリイソプロピルシリル;R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルである。]
の化合物により表されることがさらに好ましい。
【0048】
アルコール保護付加物は、式(Im)
【化18】

[式中:R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=H、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリル;X=Cl、BrもしくはIである。]
の化合物により表されることがさらに好ましい。
【0049】
好ましくは、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.55〜0.95:1の範囲に、さらに好ましくは、0.6〜0.9:1の範囲に、まださらに好ましくは、0.65〜0.85:1の範囲に、まださらに好ましくは、0.65〜0.8:1の範囲に、まださらに好ましくは、0.7〜0.85:1の範囲に、まださらに好ましくは、0.7〜0.8:1の範囲にある。
【0050】
好ましくは、立体障害の無い置換エポキシドは、ハロイミダゾール化合物と反応させて、45〜105℃、さらに好ましくは55〜95℃、まださらに好ましくは65〜85℃、まださらに好ましくは60〜80℃の温度範囲で、アルコール官能基を持つ付加物を形成する。
好ましくは、ハロイミダゾール化合物は、クロロもしくはブロモからなる群より選択されるハロゲン置換基を含有する。
【0051】
付加物上のアルコール官能基を処理して、触媒の存在下にアルコール保護付加物を形成することがさらに好ましい。
好ましくは、触媒はピリジニウム−p−トルエンスルホネートである。環化試薬は、無水TBAF、無水TBABrもしくはNaHからなる群より選択されることがまた好ましい。
【0052】
好ましくは、アルコール保護付加物を環化試薬と処理して、マイクロ波条件下に窒素複素環式化合物を形成する。
好ましくは、初期の未保護のアルコール付加物を環化試薬と処理して、マイクロ波条件下に窒素複素環式化合物を形成する。
【0053】
アルコール保護付加物を環化試薬と処理して、真空で窒素複素環式化合物を形成することがまた好ましい。
好ましくは、Rは、テトラヒドロピラニルである。好ましくは、R=Hである。好ましくは、RならびにRは、水素およびアルキルからなる群より独立して選択される。好ましくは、Rは、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)である。
さらに好ましくは、R、RおよびRは、全てHである。
【0054】
好ましくは、窒素複素環式化合物は、3−アルキルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランもしくは3−アリールオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである。さらに好ましくは、3−アルキルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランもしくは3−アリールオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランは、(S)−もしくは(R)−異性体である。
【0055】
一つの好ましい態様では、窒素複素環式化合物は、3(S)−テトラヒドロピラニルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである。
もう一つの好ましい態様では、窒素複素環式化合物は、3(R)−テトラヒドロピラニルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである。
【0056】
本発明はさらに、窒素複素環式化合物の製造方法であって、式(In)
【化19】

[式中:R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリール;R=トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリル;およびR=Hである。]
の化合物により表されるアルコール保護付加物を、マイクロ波条件下で環化試薬と処理して、式(IV)
【化20】

により表される窒素複素環式化合物を生成する、方法を提供する。
【0057】
好ましくは、環化試薬は、無水TBAF、無水TBABrもしくはNaHからなる群より選択される。アルコール保護付加物をマイクロ波条件下に高圧で処理することがまた好ましい。
【0058】
初期の未保護のアルコール付加物をマイクロ波条件下に高圧で処理することがさらに好ましい。
好ましくは、窒素複素環式化合物は、(R)−もしくは(S)−異性体である。
【0059】
本発明は、さらに、式(IV)
【化21】

[式中:R=ニトロ;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=Hである。]
により表される化合物を、ハロゲン化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルと反応させて、式(Io)
【化22】

[式中:R=ニトロ;R=トリフルオロメトキシベンジル;R=Hである。]
により表される窒素複素環式化合物を生成することをさらに含む、上記の方法を提供する。
【0060】
好ましくは、ハロゲン化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルは、臭化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジル、塩化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルおよびヨウ化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルからなる群より選択される。
【0061】
好ましくは、式(IV)
【化23】

[式中:R=ニトロ;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=Hである。]
により表される化合物を、アルコールを脱保護する試薬とさらに処理した後、ハロゲン化4−(トリフルオロメトキシ)ベンジルと反応する。好ましくは、アルコールを脱保護する試薬は、酢酸、TBAF、TBABrからなる群より選択される。
窒素複素環式化合物は(R)−もしくは(S)−異性体であることがさらに好ましい。
【0062】
詳細な説明
定義
本明細書中で使用される際には、用語“アルキル”は、直鎖および分岐鎖アルキル基の両方を含む。アルキルは、好ましくは、1〜8個の炭素原子を含む。任意のアルキル、アルコキシ、アルキレン、シクロアルキル、複素環式残基、アリールもしくはヘテロアリールは、それ以外の言及が無い限り、非置換であるかまたは例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノから選択される一つもしくはそれ以上の置換基により置換され得る。用語“アルキレン”とは、アルキルから誘導される二価のラジカルを意味する。
【0063】
本明細書中で使用される際には、用語“低級アルキル”とは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルのような、1〜5個の炭素原子、好ましくは、1〜3個の炭素原子を含む、分岐鎖もしくは直鎖アルキル基を意味する。本明細書中で使用される際には、用語“低級アルコキシ”とは、−OR(式中、Rは上記で定義の低級アルキルである)を意味する。低級アルコキシの例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシが含まれる。
【0064】
本明細書中で使用される際には、用語“低級アルケニル”は、例えば、その異性体型全てのC〜C12アルケニルであり得る、直鎖もしくは分岐鎖アルケニルを含む。
用語“アルコキシカルボニル”は、RCO基(式中、Rは、アルコキシ基、例えば、全てがその異性体型にあるC〜C12−アルコキシ基である)を意味する。
“ハロ”もしくは“ハロゲン”は、F、Cl、BrもしくはI、好ましくは、FもしくはClを意味する。
【0065】
用語“アルキルハロゲン”もしくは“ハロアルキル”とは、それに上記で定義の少なくとも一つのハロゲンが結合している上記で定義のアルキル基を意味する。例は、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルである。用語“低級アルキルハロゲン”もしくは“低級ハロアルキル”は、上記で定義の用語“低級アルキル”に相当する意味を有する。
【0066】
用語“低級アルコキシハロゲン”もしくは“低級ハロアルコキシ”とは、それに上記で定義の少なくとも一つのハロゲンが結合している上記で定義の低級アルコキシ基を意味する。例は、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシである。
【0067】
用語“シクロアルキル”とは、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノで所望によりさらに置換されていてよい飽和のもしくは部分的に飽和の(非芳香性の)環状環を意味する。例としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルが含まれる。シクロアルキル環は、好ましくは、5もしくは6員環の環状環である。
【0068】
用語“アリール”とは、単環式環について4〜12個の炭素原子、好ましくは、5もしくは6個の炭素原子、および縮合二環式環について8、9もしくは10個の炭素原子を含有し得る芳香性の単環式または縮合二環式環構造を意味する。アリール基は、例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノで、所望によりさらに置換されていてよい。アリール基は、例えば、フェニルもしくはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。用語“ハロアリール”は、上記で定義の一つもしくはそれ以上のハロゲン、好ましくは、一つもしくはそれ以上のフルオロ基で置換されるアリール基を意味する。用語“アルキルアリール”は、−R−アリール(式中、Rは上記で定義のアルキル基であって、アリールは上で定義されたようである)を意味する。例はベンジルである。
【0069】
用語“複素環式”とは、N、OおよびSからなる群より選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子をこれに加えて含む、そして1もしくは2個のベンゼン環におよび/またはさらなる複素環式環に所望により縮合していてよく、環Cもしくは環ヘテロ原子上を例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ基で所望によりさらに置換されていてよい飽和のもしくは部分的に飽和の(非芳香性の)環を意味する。
【0070】
用語“ヘテロアリール”とは、1もしくは2個のベンゼン環におよび/またはさらなる複素環式環に所望により縮合していてよく、環Cもしくは環ヘテロ原子上を例えば、低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ基で所望によりさらに置換されていてよい、芳香性の複素環式環、例えば、5もしくは6員環の芳香性の複素環式環を意味する。複素環式環のおよびヘテロアリール基の例としては、例えば、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、プリニル、ピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、インドリル、インドリニル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、イミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダニル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、もしくはテトラゾリルが含まれる。
本明細書中で使用される際には、用語“窒素複素環式化合物”とは、構造の環の中にsp−混成窒素を含有している環状構造を意味する。
【0071】
本明細書中で使用される際には、用語“置換される”は、カチオン性もしくはアニオン性の塩形成を含み、有機化合物の全ての許容され得る置換基を含むことを意図する。幅広い局面では、許容され得る置換基は、有機化合物の非環式および環式の、分岐したおよび分岐していない、炭素環式のおよび複素環式の、芳香性のおよび非芳香性の置換基を含む。本発明は、有機化合物の許容され得る置換基により如何なる様式においても限定されることを意図していない。
【0072】
“立体障害の無い置換エポキシド”とは、置換が根底にある反応を妨害しない、置換エポキシドを意味し、置換が置換される原子の許容され得る原子価に従うという暗黙の条件を含む。
【0073】
本明細書中で使用される際には、用語“置換ニトロイミダゾール”とは、普通はイミダゾール環の炭素位置でもしくはイミダゾール環の窒素位置で、イミダゾール核の上でニトロ置換基ならびにもう一つの置換基の両方を保持するイミダゾール核を意味する。
【0074】
本明細書中で使用される際には、用語“保護基”とは、潜在的に反応性の官能基を意図されない化学変換から防止する一時的なもしくは永久的な化学部分を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが、それぞれ、含まれる。保護基化学の分野は当分野で公知である;保護基の例は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, T. W. Green and P. M. Wuts; John Wiley and Sons, 1991,pp. 10-142の中に見出され得る従来使用される保護基を含む。
【0075】
本明細書中で使用される際には、用語“マスクされたアルコール部分”とは、遊離のアルコール基の反応性のマスキングをもたらす、ヒドロキシ官能基の一時的な保護のために一般に使用される任意の基を意味する。ヒドロキシ官能基のための適当な保護基の例としては、以下の例が含まれるがこれらに限定されない:アルコキシカルボニル、アシル、アルキルシリルもしくはアルキルアリールシリル基、およびアルコキシアルキル基。
【0076】
本明細書中で使用される際には、用語“脱保護すること”もしくは“脱保護”は、有機合成の当分野で公知であって、官能基の背後にある反応性をマスクする保護基もしくは化学部分の除去で、保護されていない官能基を残しているための条件を意味する。種々の官能基のための適当な脱保護剤もしくは条件の例は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, T. W. Green and P. M. Wuts; John Wiley and Sons, 1991の中に見出され得る。
【0077】
本明細書中で使用される際には、用語“遊離型”とは、化合物の非塩型を意味する。これに加えて、本発明の化合物は、非溶媒和型ならびに水和物を含む溶媒和型、結晶型および多形型で存在し得る。
【0078】
本明細書中で使用される際には、用語“塩”もしくは“塩型”とは、アルカリおよびアルカリ土金属もしくは有機アミンのような、金属またはアミンで形成される塩基付加塩を意味する。カチオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等である。適当なアミンの例は、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインである(例えば、Berge S. M. et al., “Pharmaceutical Salts”, J. of Pharma. Sci., 66:1 (1977)を参照)。
【0079】
用語“電子求引性基”は、当分野で認識されており、隣接する原子から価電子を引き寄せる置換基の傾向を意味する、即ち、置換基は、隣接する原子に関して電気陰性である。例示的な電子求引性基としては、ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロ等が含まれる。
【0080】
本明細書中で使用される際には、用語“マイクロ波条件”とは、マイクロ波照射を生成するかもしくは刺激するために使用される技術の使用を意味する。有機合成におけるマイクロ波照射の使用についての例は、例えば、Tetrahedron, 57:9225-9283 (2001)およびAce. Chem. Soc, 82:14-19 (2004)の中に見出され得る。
【0081】
本発明はまた、本発明の化合物の鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマーおよび混合物を包含する。当業者に明白であるように、本発明の化合物は不斉炭素原子を含有している。それ故に、個別の立体異性体は本発明の範囲内に含まれるとして意図されることが理解されねばならない。本明細書中で使用される際には、化学的立体配座についての用語“R”および“S”は、“Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry”, Pure Appt. Chem., 45:13-30 (1976)の中で、IUPACにより定義される通りである。
【0082】
一般名もしくは商品名により本明細書中で同定される試薬および化合物の構造は、例えば、“The Merck Index”から、もしくはデータベース、例えば、Patents International (例えば、IMS World Publications)から取られ得て、従って、当業者が実施可能である。
【0083】
本発明の化合物
本発明の化合物は、病原体による感染の処置および/または予防に有用である。病原体は好ましくは細菌または原虫であり、特にミコバクテリウム、クロストリジウム、クリプトスポリジウム、ヘリコバクター、トリパノソーマ、リーシュマニアもしくはプラスモディウムである。さらに具体的には、細菌または原虫は、結核菌(特に多剤耐性結核菌)、クロストリジウムディフィシレ、クリプトスポリジウムパルブム、ヘリコバクターピロリ、ローデシアトリパノソーマ、ガンビアトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、ドノバンリーシュマニア、森林型熱帯リーシュマニア、熱帯熱マラリア原虫、トリ型結核菌、マイコバクテリウムウルセランスであり得る。特に、病原体は、結核菌、クルーズトリパノソーマまたはドノバンリーシュマニアである。
【0084】
遊離型でのもしくは薬学的に許容される塩の型での、本発明の化合物は、例えば、実施例の試験により指示されるように、例えば、抗菌剤として、価値ある薬理学的性質を呈示して、それ故に治療用に適応されている。
【0085】
本発明の化合物は、ドノバンリーシュマニアに対して、5μM以下、好ましくは4μM以下、さらに好ましくは3μM以下、なおさらに好ましくは2μM以下、なおさらに好ましくは1μM以下、なおさらに好ましくは0.5μM以下、そしてまださらに好ましくは0.1μM以下であるIC50を示す。
【0086】
本発明の化合物は、クルーズトリパノソーマに対して、5μM以下、好ましくは4μM以下、さらに好ましくは3μM以下、なおさらに好ましくは2μM以下、なおさらに好ましくは1μM以下、なおさらに好ましくは0.5μM以下、そしてまださらに好ましくは0.1μM以下であるIC50を示す。
【0087】
本発明の化合物は、結核菌に対して、好ましくは0.8μM以下、さらに好ましくは0.5μM以下、さらに好ましくは0.1μM以下、さらに好ましくは0.05μM以下、さらに好ましくは0.01μM以下、さらに好ましくは0.005μM以下、さらに好ましくは0.001μM以下、さらに好ましくは0.0005μM以下であるMICを示す。
【0088】
本発明の化合物は、遊離型でまたは塩型で、例えば、有機もしくは無機酸、例えば、トリフルオロ酢酸または塩酸との付加塩、またはそれらがカルボキシ基を含むときには、塩基と得られ得る塩、例えば、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ塩、または置換のもしくは非置換のアンモニウム塩で存在し得る。
【0089】
本発明の化合物は、単独の活性成分としてもしくは数個の活性成分、例えば、抗生物質を含有する組合せ錠剤の中の一つの活性成分として投与され得る。
【0090】
医薬品の使用のための必要な投与量は、投与方式、処置されるべき特定の状態および望ましい作用に依存して勿論変動する。一般に、約0.03〜2.5mg/体重当りのkgの一日投与量で、満足な結果が全身的に得られると指示される。大型哺乳類、例えば、ヒトにおいて適応される一日投与量は、例えば、一日四回までの分割された服用量でもしくは遅延型で、便利に投与される、約0.5mg〜約100mgの範囲にある。経口投与用の適当な単位投与型は、約1〜100mgの活性成分を含む。
【0091】
本発明の化合物は、任意の従来のルートにより、特に経腸的に、例えば、錠剤もしくはカプセル剤の型で、例えば、経口的に、または非経口的に、例えば、注射溶液もしくは懸濁液の型で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏もしくはクリームの形で、または経鼻のもしくは坐剤の型で投与できる。少なくとも一つの薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と共に、遊離形でまたは薬学的に許容される塩の型で式1〜8の化合物を含む医薬組成物を、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と混合することにより従来の様式で製造することができる。
【0092】
本発明の化合物は、例えば、上記の通り、遊離型でまたは薬学的に許容される塩型で投与できる。そのような塩は従来の様式で製造でき、遊離の化合物と同程度の活性を示す。
【0093】
式(i)および(ii)の化合物を以下の反応スキームに従って製造することができる
【化24】

[式中、Rはニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルであり;Rは保護基、例えば、2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル、トリエチルシリルであり;RはH、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;Rは保護基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリルであり;XはCl、BrもしくはIであり;WはH、Li、Na、K、COH、CO、t−ブトキシカルボニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、p−トルエンスルホニル、もしくはトリイソプロピルシリルである。]。
【0094】
本発明の化合物は、窒素複素環式化合物の製造方法を提供する。一つの態様では、方法は、立体障害の無い置換エポキシドをハロイミダゾール化合物と反応させて(そこではハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、1:1以下である)、アルコール官能基を持つ付加物を形成し、付加物の上のアルコール官能基を保護して、アルコール保護付加物を形成し、そしてアルコール保護付加物を環化試薬で処理して、窒素複素環式化合物を形成することを含む。本発明は、二保護のアルコール付加物をモノ脱保護の第一級アルコール付加物に変換して、それを環化試薬と反応させて、窒素複素環式化合物を形成する方法をさらに提供する。
【0095】
本発明で提供される方法に従って、爆発性のジニトロイミダゾールの使用が、電子求引性置換基を含有するハロイミダゾールの使用により全く回避される。有利には、また、本発明の方法は、労働集約的な精製工程の必要性を少なくすると同時に、イミダゾピランの作製に対する効率的な方法を提供する。全方法は、例えば、US6,087,358に開示されている方法より大規模合成に対して更に効率的でかつ更に適している。
【0096】
合成の一つの工程で出発原料の適切なモル比を使用することにより、合成の工程毎の収率ならびに全収率を増加し得る。これに加えて、出発原料の適切なモル比の使用により、生成された生成物を精製するための労力が不要になる。本発明の方法は、環化工程を組み込むことにより合成の効率をさらに促進して、ニトロイミダゾピラン生成物を高収率で形成する。好ましい態様では、マイクロ波条件下で、高圧でもしくはマイクロ波条件および高圧の両方の組合せで、環化を成し遂げ得る。
【0097】
好ましい態様では、マイクロ波条件下で、高圧でもしくはマイクロ波条件および高圧の両方の組合せで、環化を成し遂げ得る。本明細書中で使用される際には、用語“マイクロ波条件”とは、マイクロ波照射を生成するかもしくは刺激するために使用される技術の使用を意味する。有機合成におけるマイクロ波照射の使用についての例は、例えば、Tetrahedron, 57:9225-9283 (2001)およびAce. Chem. Soc, 82:14-19 (2004)の中に見出し得る。
かくして、好ましい態様では、本発明は、マイクロ波照射を使用して、化合物(Ir)の化合物(IV)への変換のための方法を提供する。
【0098】
好ましい態様では、ハロイミダゾール化合物は式(Ip)
【化25】

[式中、XはCl、BrもしくはIであり;WはH、Li、Na、K、COH、CO、保護基、例えば、t−ブトキシカルボニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、p−トルエンスルホニル、もしくはトリイソプロピルシリルであり;Rはニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルであり;RはH、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルである。]
の化合物により表される。
【0099】
ハロイミダゾール化合物は、無水炭酸カリウム、プロトンスポンジ、DBU等のような非プロトン性弱塩基での前処理により反応のために活性化し得る。ハロイミダゾール化合物を、無水エタノール、無水メタノール、無水THF、無水N,N−ジメチルホルムアミド、無水ジクロロメタン等のような無水溶媒の存在で立体障害の無い置換エポキシドと反応する。遊離もしくは塩の型でのハロイミダゾール化合物の立体障害の無い置換エポキシドへの、適切なモル比を用いる、求核付加は、アルコール官能基を持つ付加物を生じる。
【0100】
ハロイミダゾール化合物は、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲン置換基を保持するイミダゾール核を含有している窒素複素環式化合物である。イミダゾール核は、普通は炭素のもしくは窒素の環原子において、さらに置換され得る。アシル、ホルミル、スルホニル、シリル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロ、ニトロもしくはアルコキシカルボニルのような置換基の代表的クラスを使用し得る。
【0101】
本発明の一つの局面では、炭素環原子における置換基は、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロ、ニトロもしくはアルコキシカルボニルのような電子求引性基を含む。好ましい態様では、イミダゾール環の炭素原子における置換基はニトロ基である。さらに好ましい態様では、置換基は、イミダゾール核上の4位にあるニトロ基である。
【0102】
本発明のもう一つの局面は、イミダゾール核上の環窒素原子における置換である。イミダゾールの窒素原子は、非置換である、即ちプロトン化されているか、または窒素原子が脱プロトン化されているかもしくはエポキシド化合物との求核反応を許容するように過渡的に保護されるように誘導体化され得る。イミダゾール核上の環窒素原子における置換基の例としては、Li、Na、K、COH、CO、t−ブトキシカルボニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、p−トルエンスルホニル、およびトリイソプロピルシリルが含まれるが、それらに限定されない。立体障害の無い置換エポキシドは、エポキシドのハロイミダゾールとの反応を立体的に妨害しない置換基を含有しているエポキシドである。エポキシド上の置換基の例としては、異性体的なおよび立体異性体的な置換基を含む、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリールが含まれるが、それらに限定されない。エポキシド上の置換基は、任意の立体配置にあり得て、対称的にもしくは不斉的に置換されるエポキシドを生じさせ得る。
【0103】
本発明のもう一つの局面は、ハロイミダゾールとの反応に立体障害を呈しないヒドロキシ、シリル、アルコキシ、アルケニル、アリール、アリールオキシ、アミノ、シアノ、アシル等の基のような官能基を持つ置換基を提供する。置換基上の反応性官能基は、反応性がマスクされるように保護され得る。一つの態様では、立体障害の無い置換エポキシドは、マスクされたアルコール部分をさらに含む。代表的なヒドロキシ保護基としては、アシル基、ベンジルおよびトリチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルおよびアリルエーテルが含まれる。
【0104】
本発明の一つの態様では、エポキシド上の置換基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリルおよび類縁のアルキル化シリルラジカルのようなシリル保護基を含み得る。もう一つの態様では、立体障害の無い置換エポキシドは、マスクされたアミン部分をさらに含む。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、トリメチルシリル、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル等が含まれる。
【0105】
好ましい態様では、立体障害の無い置換エポキシドは、式(Iq)
【化26】

[式中、RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;Rはトリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリルである。]
の化合物により表される。
【0106】
本発明の一つの局面は、ハロイミダゾールに対する立体障害の無い置換エポキシドの量のモル比の使用に関する。一つの態様では、立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、1:1以下もしくは同一である。もう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.55〜0.95:1の範囲にある。もう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.6〜0.9:1の範囲にある。もう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.65〜0.85:1の範囲にある。もう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.65〜0.8:1の範囲にある。もう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.7〜0.85:1の範囲にある。なおもう一つの態様では、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、0.7〜0.8:1の範囲にある。
【0107】
本発明のもう一つの局面は、約45〜105℃の範囲にある温度で行われる反応に関する。好ましい態様では、立体障害の無い置換エポキシドはハロイミダゾール化合物と反応させて、約55〜95℃の温度範囲でアルコール官能基を持つ付加物を形成する。もう一つの好ましい態様では、立体障害の無い置換エポキシドはハロイミダゾール化合物と反応させて、約65〜85℃の温度範囲でアルコール官能基を持つ付加物を形成する。なおもう一つの好ましい態様では、立体障害の無い置換エポキシドはハロイミダゾール化合物と反応させて、約60〜80℃の温度範囲でアルコール官能基を持つ付加物を形成する。
【0108】
ハロイミダゾール化合物は立体障害の無い置換エポキシドと反応させて、反応生成物を与えて、それを当業者に公知の方法での分離で、最終生成物としてアルコール官能基を持つ付加物を生じる。最終生成物を形成するための後処理の例としては、ろ過、溶媒の除去、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン等のような従来の有機溶媒を用いる水相および有機相の間の抽出、続いて従来の乾燥剤での有機相の乾燥を含み、溶媒の除去により、アルコール官能基を持つ付加物を得る。
【0109】
立体障害の無い置換エポキシドのハロイミダゾールとの反応により生成される付加物は、エポキシドの求核性環開裂により誘導されるアルコール官能基を含有する。アルコール官能基を含有する生じた付加物をプロトン化された型で分離して、90%より大きな純度でおよびエポキシドに基づいて90%以上の収率で得る。有利に、アルコール官能基を持つ付加物を、大規模で製造することができて、さらなる精製の必要無しで方法の次の工程で使用される。反応で出発原料として使用される未反応のハロイミダゾール化合物は、水相から回収されて、反応にリサイクルされて、全体の方法をなお更に対費用効果の高い、効率的でかつ大規模合成に適するようにする。
【0110】
一つの態様では、アルコール保護付加物は、式(Ir)
【化27】

[式中、Rはニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルであり;Rは保護基、例えば、2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル、トリエチルシリル、ベンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルであり;RはH、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり;Rは保護基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリルもしくはジフェニル−t−ブチルシリルであり;XはCl、BrもしくはIである。]
の化合物により表される。
【0111】
本発明の方法の立体化学は、立体障害の無い置換エポキシドに対する使用について選択される鏡像異性体により決定される。従って、本発明の方法により得られる鏡像異性体は、エポキシド出発原料で使用される鏡像異性体の選択に依存して、(S)−もしくは(R)−鏡像異性体であり得る。
【0112】
位置異性体の選択的生成は、本発明のもう一つの局面である。求核的付加の方向に依存して、一つのもしくは他の位置異性体が単離される。本発明の方法に従って、唯一つの位置異性体が有利であって、反応液から単離される。他の位置異性体は,LC−MSのおよびLC−UVの分光法を用いる検出方法により検出されない。本発明の方法のもう一つの工程は、好ましくは触媒の存在で、アルコール付加物を保護して、アルコール保護付加物を形成することを含む。アルコールをアルコール保護付加物に変換する方法は、当分野で、特に保護基の分野で、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, T.W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd ed. 1999の第二章に公知である。従って、本発明の方法は、保護基を持つアルコール付加物を処理して、アルコール付加物を相当するアルコール保護付加物に変換することを含む。そのようなアルコール保護基の例としては、ジヒドロピラニル−、2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルおよびテキシルジメチルシリルが含まれるが、それらに限定されない。一つの態様では、3,4−ジヒドロ−2H−ピランを使用して、アルコール付加物を相当するジヒドロピラニルで保護したアルコール付加物に変換する。例えば、Kugelrohr蒸留装置から得られる新たに蒸留した3,4−ジヒドロ−2H−ピランが好ましい。
【0113】
アルコール官能基を持つ付加物を相当するアルコール保護付加物へ転換するには、温和な反応条件を使用して、立体障害の無いエポキシドから誘導される全ての反応性基または一過性にマスクされた反応性基の開裂を避ける。温和な条件は、15℃〜35℃の範囲にある室温でおよそ20〜30時間の間、反応物を攪拌することを含む。特に低温での反応を促進するために、触媒を加え得る。そのような触媒は、当分野で公知であって、アシル基、ベンジルおよびトリチルエーテル、テトラピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテルならびにアリルエーテルを含む。しかしながら、パラ−トルエンスルホン酸のような触媒の使用は、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)保護基の開裂に有効であることが判明している。好ましい態様では、触媒はピリジニウム−p−トルエンスルホネートである。
【0114】
アルコール付加物と保護基の反応時間の最後に、例えば、飽和重炭酸ナトリウム水溶液等で、反応をクエンチすることより、反応を停止し得る。有機層の除去で、水層を、ジクロロメタン、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルのような揮発性の有機溶媒で数回抽出する。抽出から得られる有機層を合併し、水、食塩水で洗浄して、硫酸マグネシウムのような従来の乾燥剤で乾燥させる。真空での溶媒の除去は、残渣を与えて、それをシリカでろ過して、カラムに付着する如何なる残留する触媒を除去する。ヘキサン中の50%EtOAcでの溶離および真空での溶媒の除去は、アルコール保護付加物を生じて、それをさらなる精製の必要無しに引き続いて使用することができる。本発明のもう一つの局面は、窒素複素環式化合物を形成するためのアルコール保護付加物の環化に関する。一つの態様では、アルコール保護付加物を環化試薬(そこでは環化試薬は、無水TBAFおよび無水TBABrからなる群より選択される)の存在で環化される。
【0115】
もう一つの態様では、アルコール保護付加物を環化試薬で処理して、マイクロ波条件下に窒素複素環式化合物を形成する。もう一つの態様では、アルコール保護付加物を高圧下に環化試薬で処理して、窒素複素環式化合物を形成する。本発明の好ましい態様では、アルコール保護付加物を環化試薬で処理して、マイクロ波条件下で高圧下に窒素複素環式化合物を形成する。環化試薬の群は、Huenigの塩基、トリエチルアミン、等およびNaHを含んで、この反応にさらに適用されることができる。
【0116】
もう一つの態様では、第一級非保護アルコール付加物を環化試薬で処理して、マイクロ波条件下に窒素複素環式化合物を形成する。もう一つの態様では、第一級非保護アルコール保護付加物を高圧下に環化試薬で処理して、窒素複素環式化合物を形成する。本発明の好ましい態様では、第一級非保護アルコール保護付加物を環化試薬で処理して、マイクロ波条件下で高圧下に窒素複素環式化合物を形成する。
【0117】
環化反応では、アルコール保護付加物を、環化試薬の添加の前に、THFのような無水の非プロトン性溶媒に溶解する。無水THFを含有する数個の20〜30mLの反応容器を作成するためのオートサンプラーの使用は、大量に使用するための無水THFを調製する過程を促進し、スケールアップする。好ましい態様では、環化試薬は無水TBAFである。市販のTBAF(Aldrich、1M、THF溶液)を無水にする。さらなる態様では、無水TBAFを、使用前に、好ましくは、窒素もしくはアルゴンで、脱ガスする。
【0118】
無水溶媒でのエーテルならびに環化試薬を含有する反応容器は、10〜30分の時間期間で100℃〜160℃の温度範囲における高圧下にマイクロ波条件下に露出する前に密封される。一つの態様では、マイクロ波条件をBiotageシステム(http://www.biotagedcg.com/)を用いて発生することができる。時間の最後に、反応容器から溶媒の除去を除去して残渣を得て、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、望ましい窒素複素環式化合物を70%に等しいかもしくはより大きい収率で得る。比較すると、WO2004/035547に開示されるように、N−置換−4−ニトロ−ハロイミダゾールおよびニトロイミダゾピランの合成のための別の合成ルートは、約50%の収率を報告している。
【0119】
形成された窒素複素環式化合物は、ピラン環の上の3位置にアルコール官能基を保持しているイミダゾピランである。一つの態様では、遊離のもしくは塩の型にある、窒素複素環式化合物は、式(Ii)の化合物により表される
【化28】

[式中、R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルである。]
の化合物により表される。
【0120】
一つの態様では、窒素複素環式化合物は、6位にニトロ置換基を含有する。もう一つの態様では、形成された窒素複素環式化合物は、(S)−異性体である。好ましい態様では、形成された窒素複素環式化合物は、6位にニトロ置換基を持つ、(S)−異性体である。
【0121】
本発明のもう一つの局面は、窒素複素環式化合物が、アルキルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランもしくはアリールオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである、窒素複素環式化合物の製造方法を提供する。本発明の一つの態様では、窒素複素環式化合物が、3−アルキルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランもしくは3−アリールオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである、式(I)の窒素複素環式化合物の製造方法を提供する。もう一つの態様では、窒素複素環式化合物は、(S)−もしくは(R)−異性体であり得る。本発明の一つの態様では、窒素複素環式化合物が3(R)−テトラヒドロピラニルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである、式(I)の窒素複素環式化合物の作製のための方法が提供される。本発明の好ましい態様では、窒素複素環式化合物が3(S)−テトラヒドロピラニルオキシ−6−ニトロ−2H−3,4−ジヒドロ−[2−1b]イミダゾピランである、式(I)の窒素複素環式化合物の作製のための方法が提供される。
【0122】
本発明のもう一つの局面は、式(IV)
【化29】

(式中、R=ニトロ;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル、;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル)により表される化合物を式:
【化30】

(式中、R=ニトロ;R=トリフルオロメトキシベンジル;R=H)により表される化合物に変換することをさらに含む。
【0123】
もう一つの局面では、本発明は、
a)式(Is)
【化31】

[式中、Rは化合物(Ip)〜(Ir)について上記で定義の通りであり;Rは化合物(Ip)〜(Ir)について上記で定義の通りであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルもしくはヘテロアリールであり、そして、XはCl、Br、I、−OCOO−イソブテニル、低級アルキル、フェニルである。]
の化合物を
式(It)
【化32】

(式中、YはNもしくはCHであり;RはH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、オルト−、メタ−もしくはパラ置換のトリフルオロ−、トリフルオロメトキシ−、フルオロ−フェニル、ビフェニル、ヘテロアリール、ベンジルである)の化合物と
または式(Iw)
【化33】

(式中、Zは上記で定義の通りであり、n=0、1、2もしくは3である)の化合物と
または式(Ix)
【化34】

(式中、YおよびZは上記で定義の通りである)の化合物と
または式(Iy)
【化35】

(式中、Zは上記で定義の通りである)の化合物と
反応させ;
b)式(Iz)
【化36】

[式中、Rは化合物(Ip)〜(Ir)について上記で定義の通りであり;Rは化合物(Ip)〜(Ir)について上記で定義の通りであり;RはHもしくはLi、Na、K、Mg、Zn、Caのように対イオンである。]
の化合物を、
式(Iaa)
【化37】

(式中、Xはハロゲン、Cl、Br、Iである)と
もしくは式(Iab)
【化38】

(式中、R10はH、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアルキル、フルオロアルキル、フルオロアルケニル、ジフルオロアルキル、トリフルオロアルキル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ヘテロアルケニル、ヘテロアリール、オルト−、メタ−もしくはパラ置換のトリフルオロ−、トリフルオロメトキシ−、フルオロ−フェニル、ビフェニル、ヘテロアリール、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンジルであり、そして、Xはハロゲン、Cl、Br、Iである)と反応させること:
を含む、本発明の化合物を製造する方法を提供する。
【0124】
本発明の化合物を製造する一般的方法
スキーム1は、二つの重要な中間体6および7を図示する。スキーム2は式(If)の化合物の、スキーム3は式(Ig)の化合物について、スキーム4は式(i)、(ii)、(Ia)、(Ic)、(Ie)の化合物について、スキーム5およびスキーム6は式(Id)の化合物について、作製を図示する。
【化39】

【化40】

【化41】

【0125】
【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【実施例】
【0126】
本発明を、以下の実施例を参照して記載する。本発明は実施例に限定されないことが認識されるべきである。
【0127】
実施例1
(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オール(3)
【化46】

混合物2−クロロ−4−ニトロイミダゾール(20.0g、0.14mol、100mol%)を無水EtOH(200mL)に溶解し、無水KCO(2.82g、0.020mol、15mol%)、その後tert−ブチル−ジメチル−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−シラン(22.2mL、0.11mol、0.78mol%)を、室温で加える。反応混合液を70℃に6〜10時間加熱する。次いで、溶媒を真空で除去して、反応混合液をEtOAcに溶解する。有機層を水、0.5N HCl、水、食塩水で数回洗浄して、溶媒を真空で除去して、粗製のアルコールを帯黄色の固体として得る。固体をジエチルエーテルに懸濁して、ろ過して、最終化合物を無色の粉末として得る。残存するろ液を濃縮して、ジエチルエーテルで生成物を沈殿する過程を二回繰り返す。
MS: M 336.3。
融点:116-118℃。
[α]21D = -29.43 (C= 0.003, MeOH)。
【0128】
実施例2
1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(4)
【化47】

(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オール(3.0g、8.9mmol、100mol%)をジクロロメタン(100mL)に溶解して、新たに蒸留した3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1.5g、17.8mmol、200mol%)、その後ピリジニウム−p−トルエンスルホネート(3.4g、13.4mmol、150mol%)を、溶液に加える。反応混合液を室温で24時間攪拌する。反応混合液を飽和NaHCO水溶液でクエンチする。有機層を分離して、水相部分をジクロロメタンで抽出する。合併した有機層を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を真空で除去して、1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾールを無色の油として得る。
MS: M 420.6。
【0129】
実施例3
(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジン(5)
【化48】

1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(0.74g、1.76mmol、100mol%)を無水THF(180mL)に溶解して、TBAF(THF中の1M溶液、1.76mL、100mol%)を溶液に加える。反応管を密封して、140℃で数分間マイクロ波に暴露する。溶媒を真空で除去して、残渣をシリカで精製して、(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジンを帯黄色の油として得る。
【0130】
(S)−3−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イル)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロパン−1−オール(0.053g、0.172mmol、100mol%)を無水THF(17mL)に溶解して、TBAF(THF中の1M溶液、0.17mL、100mol%)を溶液に加える。反応管を密封して、140℃で数分間マイクロ波に暴露する。溶媒を真空で除去して、残渣をシリカで精製して、(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジンを帯黄色の油として得る。
MS: M 270。
【0131】
実施例4
(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)
【化49】

(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジン(4.35g、16.1mmol、100mol%)をHOAc/THF/水4:2:1(72:36:18ml)に溶解して、反応混合液を60℃に加熱して、18時間攪拌する。反応混合液を室温に冷却して、CHClで滴下して摩砕して、生成物を沈殿する。ろ過後に、ろ液の容積を低減して、摩砕過程を数回繰り返して、(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オールを帯黄色の固体として得る。
MS: M 186.4。
【表1】

融点:212-214℃。
[α]21D = -68.46 (C= 0.0027, MeOH)。
【0132】
実施例5
(S)−2−ニトロ−6−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−イルメトキシ]−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(11)
【化50】

4−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド(2.5g、12.2mmol、100%)をジメトキシエタン(DME)25mlに溶解する。Lawessonの試薬(2.5g、6.1mmol、50%)を加えて、反応液を室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮して、シリカクロマトグラフィーにより精製して、4−トリフルオロメトキシ−チオベンズアミドを黄色の固体(M+ 222.2)として得る。
【0133】
4−トリフルオロメトキシ−チオベンズアミド(3.7g、16.6mmol、100mol%)およびKHCO(13.3g、132.7mmol、800mol%)をTHF(25mL)に溶解して、5分間超音波処理する。次いで、ブロモピルビン酸エチル(6.2mL、49.7mmol、300mol%)を加えて、反応液を2時間攪拌する。反応液を0℃に冷却して、THF中の2,6−ルチジン(16.4mL、141.0mmol、850mol%)、無水トリフルオロ酢酸(9.20mL、66.3mmol、400mol%)の混合液を加える。反応液を室温にゆっくりと温めて、別の1時間攪拌する。反応液を真空で濃縮して、EtOAcを加える。有機層を水で二回洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を真空で除去する。粗製の物質をシリカクロマトグラフィーを用いて精製して、2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステルを白色の固体(M+ 318.1)として得る。
【0134】
2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−カルボン酸エチルエステル(3.0g、9.5mmol、100mol%)およびLiAlH(1.0g、26.7mmol、280mol%)を乾燥THF(20mL)に0℃で溶解して、反応液を30分間攪拌する。反応液を、水2mLに引き続いて15%NaOH溶液1mLでクエンチする。固体をろ去して、EtOAcで数回洗浄する。ろ液を真空で濃縮して、[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−メタノールを得る。
【0135】
[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−イル]−メタノール(2.5g、9.1mmol、100mol%)を酢酸(アクセス)中の33%HBrに加えて、100℃に加熱する。反応液を0℃に冷却して、pHが8.0になるまで、NaOHペレット(pallet)でクエンチする。生成物をEtOAcで抽出して、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮して、粗製の油を得て、それをシリカクロマトグラフィーを用いて精製して、4−ブロモメチル−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾールを得る。
【0136】
Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、0.16g、3.9mmol、150mol%)を、無水DMF(10.0mL)中の(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(0.49g、2.64mmol、100mol%)、4−ブロモメチル−2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール(1.05g、3.17mmol、120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.05g、0.13mmol、5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、終夜攪拌する。反応液を0℃に冷却して、氷冷水でクエンチする。生成物をEtOAc 250mLで二回抽出して、MgSOで乾燥させて、真空で濃縮して、粗製の褐色の油を得て、それを逆相分取LCを用いて精製して、(S)−2−ニトロ−6−[2−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−4−イルメトキシ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジンを得る。
MS: M 443.1。
【表2】

融点:140-141℃。
元素分析、C17H13F3N4O5Sに対する計算値:C, 46.15; H, 2.97; N, 12.66、実測値:C, 45.68; H, 2.71; N, 12.40。
【0137】
実施例6
((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−酢酸(7)
【化51】

Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、0.13g、3.24mmol、120mol%)を、無水DMF(10.0mL)中の(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(0.50g、2.70mmol、100mol%)、ブロモ酢酸t−ブチル(0.48mL、3.20mmol、120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.05g、0.14mmol、5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、終夜攪拌する。反応液を0℃に冷却して、氷冷水でクエンチする。沈殿物をろ過して、真空で乾燥させて、((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステルを得る。CHCl(100mL)中の50%トリフルオロ酢酸を上記エステル(1.40g、4.71mmol、100mol%)に加えて、室温で0.5時間攪拌させる。溶媒を真空で除去して、痕跡量のTFAを、トルエンを加えて、引き続いて蒸発により除去する。この手順を((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−酢酸の自由に流動する微白色の固体が得られるまで、繰り返す。
MS: M 242.2。
【表3】

融点:178-179℃。
【0138】
12および13の合成のための一般手順
【化52】

不活性雰囲気下で、((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−酢酸(100mol%)を無水CHClに溶解して(0.20M)、HATU(120mol%)およびDIEA(120mol%)を加える。反応液を室温で5分間攪拌し、引き続いて1,2−ジアミノ−置換ベンゼン(120mol%)を添加する。生じた反応混合液を室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮して、EtOAcに溶解して、水で三回洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥させて、濃縮して、逆相分取LCにより精製して、微褐色の固体を得る。この固体を氷酢酸に溶解して(0.33M)、95℃に30分間加熱する。粗製の反応混合液を濃縮して、得られる残渣を分取逆相LCにより精製して、白色の固体を得る。
【0139】
実施例7
(S)−2−ニトロ−6−(6−トリフルオロメチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(12)
【化53】

MS: M 383.9。
【表4】

融点:120-121℃。
元素分析、C19H20F3N5O6*HCO2Hに対する計算値:C, 44.76; H, 3.29; N, 16.30、実測値:C, 45.26; H, 3.32; N, 16.65。
【0140】
実施例8
(S)−2−ニトロ−6−(6−トリフルオロメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(13)
【化54】

MS: M 399.8。
【表5】

融点:99-100℃。
[α]21D = -42.844 (C= 0.0031, MeOH)。
【0141】
14〜21の合成のための一般手順
不活性雰囲気下で、((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−酢酸(100mol%)を無水CHClに溶解して(0.2M),HATU(120mol%)およびDIEA(120mol%)を加える。反応液を室温で5分間攪拌し、引き続いてアミン(120mol%)を添加する。生じた反応混合液を室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮して、EtOAcに溶解して、水で三回洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥させて、濃縮して、逆相分取LCにより精製して、望む生成物を得る。
【0142】
実施例9
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−N−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アセタミド(14)
【化55】

MS: M 403.4。
【表6】

融点:157-158℃。
[α]21D = -50.01 (C= 0.005, MeOH)。
元素分析、C15H13F3N4O6に対する計算値:C, 44.78; H, 3.26; N, 13.92、実測値:C, 43.67; H, 2.87; N, 13.36。
【0143】
実施例10
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−N−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−アセタミド(15)
【化56】

MS: M 417.4。
【表7】

融点:110-111℃。
[α]21D = -46.69 (C= 0.0027, MeOH)。
元素分析、C16H15F3N4O6に対する計算値:C, 46.16; H, 3.64; N, 13.45、実測値:C, 46.06; H, 3.67; N, 13.05。
【0144】
実施例11
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−N−[4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−チアゾール−2−イル]−アセタミド(16)
【化57】

MS: M 486.4。
【表8】

融点:120-121℃。
[α]21D = -30.67 (C= 0.0028, MeOH)。
元素分析、C19H20F3N5O6*H2Oに対する計算値:C, 42.94; H, 3.21; N, 13.90、実測値:C, 42.65; H, 3.31; N, 13.48。
【0145】
実施例12
2−(2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−N−(6−トリフルオロメトキシ−ベンゾチアゾール−2−イル)−アセタミド(17)
【化58】

MS: M 460.2。
【表9】

融点:89-90℃。
元素分析、C16H12F3N5O6S*CH3CO2Hに対する計算値:C, 41.62; H, 3.11; N, 13.48、実測値:C, 41.53; H, 2.66; N, 13.85。
【0146】
実施例13
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−1−[4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン(18)
【化59】

MS: M 472.3。
【表10】

融点:77-79℃。
[α]21D = -44.46 (C= 0.006, MeOH)。
元素分析、C19H20F3N5O6に対する計算値:C, 48.41; H, 4.29; N, 18.85、実測値:C, 48.28; H, 4.07; N, 14.85。
【0147】
実施例14
1−[4−(4−フルオロ−フェニル)−ピペラジン−1−イル]−2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−エタノン(19)
【化60】

MS: M 406.5。
【表11】

融点:73-74℃。
元素分析、C18H20FN5O5*0.5HCO2Hに対する計算値:C, 51.86; H, 4.95; N, 16.34、実測値:C, 51.67; H, 4.83; N, 15.68。
【0148】
実施例15
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−1−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−エタノン(20)
【化61】

MS: M 475.2。
【表12】

融点:189-190℃。
[α]21D = -31.96 (C= 0.0026, MeOH)。
元素分析、C18H19F3N6O5に対する計算値:C, 47.37; H, 4.20; N, 18.40、実測値:C, 47.17; H, 3.77; N, 18.00。
【0149】
実施例16
2−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシ)−1−[4−(5−トリフルオロメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ピペリジン−1−イル]−エタノン(21)
【化62】

MS: M 511.5。
【表13】

融点:131-132℃。
元素分析、C21H21F3N6O6*H2O*2*HCO2Hに対する計算値:C, 44.52; H, 4.39; N, 13.54、実測値:C, 44.30; H, 3.79; N, 13.60。
【0150】
実施例17
4−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−安息香酸(22)
【化63】

Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、0.26g、6.48mmol、120mol%)を、無水DMF(20.0mL)中の(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(1.0g、5.40mmol、100mol%)、4−(ブロモメチル)−安息香酸メチル(1.48g、6.48mmol、120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.10g、0.27mmol、5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、終夜攪拌する。反応液を0℃に冷却して、氷冷水でクエンチする。沈殿物をろ過して、真空で乾燥させて、微白色の固体を得る。
MS: M 333.9。
【表14】

融点:169-170℃。
【0151】
1N NaOH溶液(3.60mL、3.60mmol、200mol%)をDMF(4.0mL)中の上記固体エステル(0.60g、1.80mmol、100mol%)に加えて、生じた反応混合液を95℃に終夜加熱する。溶媒を真空下で除去して、引き続いて水1.0mLを添加する。次いで、反応混合液を氷酢酸でpH2.0に酸性化する。生成物をEtOAc(3×100mL)を用いて抽出し、合併した有機層をNaSOで乾燥させて、濃縮して、4−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−安息香酸を得る。
MS: M 319.9。
【表15】

融点:212-213℃。
【0152】
実施例18
(S)−2−ニトロ−6−[4−(5−トリフルオロメトキシ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−ベンジルオキシ]−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(23)
【化64】

不活性雰囲気下で、4−((S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−安息香酸(100mol%)を無水CHClに溶解して(0.20M),HATU(120mol%)およびDIEA(120mol%)を加える。反応液を室温で5分間攪拌し、引き続いて1,2−ジアミノ−置換ベンゼン(120mol%)の添加をする。生じた反応混合液を室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮して、EtOAcに溶解して、水で三回洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮して、微褐色の固体を得て、これを氷酢酸に溶解する(0.36M)。反応混合液を95℃に30分間加熱する。粗製の反応混合液を濃縮して、得られる残渣を分取逆相LCにより精製して、最終生成物を綿毛状の固体として得る。
MS: M 476.4。
【表16】

融点:98-99℃。
[α]21D = -37.81 (C= 0.003, MeOH)。
【0153】
実施例19
4−(2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−ベンゾニトリル(24)
【化65】

Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、0.16g、4.05mmol、150mol%)を、無水DMF(12mL)中の2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(0.50g、2.70mmol、100mol%)、4−ブロモメチル−ベンゾニトリル(0.63g、3.20mmol、120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.050g、0.14mmol、5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、4時間攪拌する。反応液をメタノールでクエンチして、溶媒を減圧下で除去する。残渣に塩化メチレンを加えて、混合液をろ過して、無機塩を除去する。有機層を真空で濃縮して、逆相LCにより精製して、4−(2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−ベンゾニトリルを得る。
MS: M 301.2。
【表17】

融点:166-167℃。
【0154】
実施例20
2−ニトロ−6−[4−(5−トリフルオロメトキシ−ベンゾオキサゾール−2−イル)−ベンジルオキシ]−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(25)
【化66】

Ar下に0℃で、塩化アセチル(3500mol%)をEtOH中の4−(2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−イルオキシメチル)−ベンゾニトリル(100mol%)の攪拌した溶液(0.16M)に加える。混合液を室温に温めて、5時間攪拌する。反応液を減圧下で濃縮して、次の工程に移る。残渣を乾燥EtOHに再び溶解して(0.30M)、1,2−アミノフェノール(120mol%)およびトリエチルアミン(120mol%)を加えて、生じた反応混合液を終夜攪拌する。反応液を濃縮して、最終生成物を分取逆相LCにより精製して、最終化合物を褐色の粉末として得る。
MS: M 477.0。
【表18】

融点:187-188℃。
元素分析、C21H15F3N4O6に対する計算値:C, 52.94; H, 3.18; N, 11.75、実測値:C, 52.77; H, 3.22; N, 11.21。
【0155】
実施例21
(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オール(26)
【化67】

混合物2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール(20.0g、0.14mol、100mol%)を無水EtOH(200mL)に溶解し、無水KCO(2.82g、0.020mol、15mol%)、その後tert−ブチル−ジメチル−((S)−1−オキシラニルメトキシ)−シラン(22.2mL、0.11mol、0,78mol%)を、室温で加える。反応混合液を70℃に6〜10時間加熱する。次いで、溶媒を真空で除去して、反応混合液をEtOAcの中に取り入れる。有機層を水、0.5N HCl、水、食塩水で数回洗浄して、溶媒を真空で除去して、粗製のアルコール(35.7g、90.2%)を帯黄色の固体として得る。固体をジエチルエーテル中に懸濁して、ろ過して、最終化合物を無色の粉末として得る。残存するろ液を濃縮して、ジエチルエーテルで生成物を沈殿する過程を二回繰り返す。
MS: M 336.3。
【0156】
実施例22
1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(27)
【化68】

(S)−1−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−3−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オール(3.0g、8.9mmol、100mol%)をジクロロメタン(100mL)に溶解して、新たに蒸留した3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1.5g、17.8mmol、200mol%)、その後ピリジニウム−p−トルエンスルホネート(3.4g、13.4mmol、150mol%)を、溶液に加える。反応混合液を室温で24時間攪拌する。反応混合液を飽和NaHCO水溶液でクエンチする。有機層を分離して、水相部分をジクロロメタンで抽出する。合併した有機層を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を真空で除去して、1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾールを無色の油として得る。
MS: M 420.6。
【0157】
実施例23
(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジン(28)
【化69】

1−[(S)−3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(0.74g、1.76mmol、100mol%)を無水THF(180mL)に溶解して、TBAF(THF中の1M溶液、1.76mL、100mol%)を溶液に加える。反応管を密封して、140℃で数分間マイクロ波に暴露する。溶媒を真空で除去して、残渣をシリカで精製して、(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジンを帯黄色の油として得る。
【0158】
実施例24
(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(29)
【化70】

(S)−2−ニトロ−6−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b]−[1,3]オキサジン(4.35g、16.1mmol、100mol%)をHOAc/THF/水4:2:1(72:36:18ml)に溶解して、反応混合液を60℃に加熱して、18時間攪拌する。反応混合液を室温に冷却して、CHClを滴下しながら摩砕して、生成物を沈殿する。ろ過後に、ろ液の容積を低減して、摩砕過程を数回繰り返して、(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オールを帯黄色の固体として得る。
MS: M 186.4。
【0159】
実施例25
(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(29)のアルキル化のための一般的手順
Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、0.16g、3.9mmol、150mol%)を、無水DMF(10.0mL)中の(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(2.64mmol、100mol%)、ハロゲン化ベンジル(120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.05g、0.13mmol、5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、終夜攪拌する。反応液を0℃に冷却して、氷冷水でクエンチする。生成物をEtOAc250mlで二回抽出して、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮して、粗製の褐色の油を得て、それを逆相分取LCを用いて精製して、生成物を得る。
【0160】
実施例26
【化71】

化合物30を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−ブロモ−4−クロロメチルベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 356.3。
【0161】
実施例27
【化72】

化合物31を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−クロロメチル−4−トリフルオロメトキシベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 360.3。
【0162】
実施例28
【化73】

化合物32を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−クロロメチル−2−トリフルオロメトキシベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 360.3。
【0163】
実施例29
【化74】

化合物33を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−ブロモメチル−3,5−ジトリフルオロメチルベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 412.3。
【0164】
実施例30
【化75】

化合物34を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−ブロモメチルベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 275.7。
【0165】
実施例31
【化76】

化合物35を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(6)および1−ブロモメチル−4−シクロヘキシルメトキシベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。
MS: M 388.1。
【0166】
実施例32
【化77】

無水CHCN(30mL)中の臭化4−フルオロベンジル(1.89g、10.0mmol)、4−ヒドロキシベンジルアルコール(1.24g、10.0mmol)およびCsCO(6.52g、20.0mmol)の混合液を還流下に18時間加熱する。混合液を室温に冷却し、ろ過して、溶媒を減圧下に除去して、微褐色の固体を得て、それを少量のCHClで摩砕して、36を微黄色の結晶性固体として得る。
融点:132.0-133.4℃。
【表19】

MS: M 388.1。
【0167】
実施例33
【化78】

化合物37を、2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(29)および1−クロロメチル−4−(4−フルオロベンジルオキシ)ベンゼンから実施例25に記載の通り製造する。後処理は、37を微黄色の固体として提供した。
融点:150.2-150.9℃。
【表20】

【0168】
実施例34
【化79】

塩化メシル(0.78mL、10.0mmol)をDMF(40mL)中の29(0.93g、5.0mmol)およびトリエチルアミン(2.1mL、15.0mmol)の攪拌した溶液に0℃で加える。次いで、反応混合液を0℃で1時間さらに攪拌する。溶媒および過剰の試薬を減圧下に除去する。HO(50mL)を淡褐色の残渣に加える。次いで、混合液をろ過して、固体をHO(50mL)で洗浄して、38を黄白色の固体として得る。
融点:213-214℃。
【表21】

【0169】
実施例35
【化80】

DMF(20mL)中の38(1.68g、6.3mmol)、NaN(5g、76mmol)の混合液を不活性雰囲気下に70℃で48時間加熱する。溶媒を減圧下に除去する。HO(100mL)を残渣に加える。混合液を酢酸エチル(3×80mL)で抽出する。有機抽出液を合併して、食塩水(200mL)で洗浄して、MgSOで乾燥させる。次いで、溶媒を減圧下に除去して、褐色の固体を得て、それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、塩化メチレン中の0〜5%メタノール)により精製して、39を黄色の固体として得る。
融点:152.0-152.4℃。
【表22】

【0170】
実施例36
【化81】

EtOAc(8mL)中の39(40mg、0.19mmol)およびPd/C(活性炭素上の10%パラジウム、38mg)の混合液を、水素の雰囲気(風船)下に室温で2時間攪拌する。TLC(CHCl中の5%MeOH)は、出発原料が消費されていることを示した。同一のTLCをCHCl中の25%MeOHでさらに展開して、R=0.20に一つのスポットを示す。混合液をろ過して、溶液を減圧下に濃縮して、40を微褐色のフィルム(17mg、50%)として得る。
【表23】

【0171】
実施例37
【化82】

塩化4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシアセチル(1.2g、4.6mmol)をDMF(20mL)中の粗製のアミン40(アジドの還元からの粗製のアミン、約1.1mmol)およびトリエチルアミン(1.1mL、8.0mmol)の攪拌した溶液に室温で加える。反応混合液を室温で18時間さらに攪拌する。溶媒および過剰の試薬(複数を含む)を減圧下に除去する。HO(50mL)を加える。そして、混合液をCHCl(3×50mL)で抽出する。有機抽出液を合併して、水(2×100mL)で洗浄して、MgSOで乾燥させる。次いで、溶媒を減圧下に除去して、褐色のガムを得て、それを分取TLC(CHCl中の5%MeOHで溶離)により精製して、41を黄色の固体として得る。
融点:158.0-159.5℃。
【表24】

計算値:C, 44.78、H, 3.26、N, 13.93、分析値:C, 44.89、H, 3.25、N, 13.75。
【0172】
実施例38
【化83】

不活性雰囲気下で、40(100mol%)を無水DMFに溶解して(0.2M)、塩化1−(4−トリフルオロメチル−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−カルボニル(120mol%)およびトリエチルアミン(200mol%)を加える。生じた反応混合液を室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮して、EtOAcに溶解して、水で三回洗浄する。有機層を無水NaSOで乾燥させて、濃縮して、逆相分取LCにより精製して、42を得る。
MS: M 442.3。
【0173】
実施例39
【化84】

封管中でエタノール中の2−(4−フルオロフェニル)−オキシラン(2.17mmol)の溶液に、2−クロロ−4−ニトロイミダゾール(2.6mmol)を一度に加えて、70℃で16時間加熱する。反応混合液を濃縮して、残渣をDCMに溶解して、ろ過する。ろ液を濃縮して、粗製の化合物を得る。粗製の化合物を、溶離液として10%〜25%の酢酸エチル:石油エーテルのグラジエントを用いるシリカゲル(60〜120メッシュ)カラムで精製して、204mgのアルコール43を得る。
MS: M 251.3。
【0174】
実施例40
【化85】

THF中のNaH(使用前に乾燥ヘキサンで洗浄)(1.4mmol)の懸濁液に、THF中のアルコール43(0.7mmol)の溶液を室温で加えて、80℃で2時間攪拌する。溶媒を真空下に除去して、残渣をDCMに溶解して、水、食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させる。有機層を濃縮して、粗製の生成物を得る。粗製の化合物を、溶離液として酢酸エチル:石油エーテルの15%〜25%のグラジエントを用いるシリカゲル(60〜120メッシュ)で精製して、45mgの望む化合物44を得る。
MS: M 250.2。
【0175】
実施例41
【化86】

乾燥DCM中の3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノール(1.1mmol)の溶液に、イミダゾール(2.33mmol)に引き続いてDMAP(0.11mmol)を加えて、0.5時間攪拌する。次いで、TBDMSCl(4.68mmol)を加えて、12時間室温で攪拌して、反応をTLCによりモニターする。反応混合液を水で希釈してDCM(3×30mL)で抽出して、淡水、食塩水で洗浄して、乾燥(NaSO)させて、回転蒸発器を用いて、40℃以下で真空下に濃縮する。
MS: M 284.9。
【0176】
実施例42
【化87】

乾燥DCM中の化合物45(0.7mmol)の攪拌した溶液に、KCO(1.4mmol)およびNaI(0.066mmol)を加えて、30分間室温で攪拌する。次いで、化合物2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール(0.84mmol)を室温で加えて、終夜80℃で攪拌して、反応をTLCによりモニターする。反応混合液を水で希釈してDCM(3×25mL)で抽出して、水、食塩水で洗浄して、乾燥(NaSO)させて、真空下に濃縮する。粗製の化合物を、溶離液として30%酢酸エチル/石油エーテルを用いる中性アルミナで精製して46を得る。
MS: M 396.3。
【0177】
実施例43
【化88】

THF中の化合物46(0.5mmol)の溶液に、1M TBAF−THF(1.5mmol)を室温で加えて、12時間60℃で攪拌して、反応をTLCによりモニターする。反応混合液を水中でクエンチして、DCM(3×25mL)で抽出して、水、食塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させて、真空下に40℃で濃縮する。粗製の化合物のTLC分析は、望む生成物および単純な脱保護により誘導されたアルコールの存在を指示している。これらの二つの成分を溶離液として40%酢酸エチル/石油エーテルを用いるシリカゲル(100〜200メッシュ)カラムクロマトグラフィーにより分離する。アルコールをTBAF−THFと60℃で再び処理して、さらなる量の環化生成物を得る。
MS: M 246.3。
【0178】
実施例44
【化89】

1,4−ジオキサン中の2−クロロ−4−ニトロイミダゾール(4.11mmol)およびトリエチルアミン(1.58mmol)の混合液を30分間攪拌する。次いで、1−オクテン−3−オン(3.16mmol)を上記混合液に加えて、封管中で60℃で16時間攪拌する。反応液を水で希釈して、EtOAc(3×30mL)で抽出して、水、食塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させて、濃縮する。粗製の試料を何らさらに精製することなく次工程に使用する。
MS: M 274.2。
【0179】
実施例45
【化90】

乾燥MeOH中の化合物48(2.2mmol)の予め冷却した(0℃)溶液に、NaBH(2.2mmol)を少しずつ加えて、2時間0℃で攪拌する。反応液をアセトンでクエンチして、30分間攪拌し、引き続いて有機溶媒の蒸発をする。反応液を水で希釈して、EtOAc(3×30mL)で抽出する。有機層を水、食塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させて、濃縮する。粗製の化合物を、溶離液として酢酸エチルを用いる中性アルミナの短カラムを通してろ過する。溶媒の蒸発により49を得る。
MS: M 276.2。
【0180】
実施例46
【化91】

乾燥THF中の化合物49(1.8mmol)の溶液に、TBAF(5.4mmol)を室温でゆっくりと加えて、12時間60℃で攪拌する。反応液を水で希釈して、EtOAc(3×30mL)で抽出する。有機層を水、食塩水で洗浄して、NaSOで乾燥させて、濃縮して、粗製の50を得る。得られた化合物を5%EtOAc:CHClでのシリカゲル(100〜200メッシュ)で精製する。溶媒の蒸発により純粋な50を得る。
MS: M 240.3。
【0181】
実施例47
【化92】

2−アジドメチル−オキシラン(6.5g、65.6mmol)、2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(10.6g、72.2mmol)、および炭酸カリウム(1.8g、13.1mmol)を乾燥エタノール(100ml)中で混合して、70℃で18時間加熱する。溶媒を真空で除去して、粗製の生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−アジド−3−(2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オールを微黄色の粘調な固体として得る。
MS: 246.61 ; M+ = 247.2; M = 245.1。
【表25】

【0182】
水素化ナトリウム(鉱油中で60%)およびヨウ化メチル(120mol%)を、無水DMF(25mL)中の1−アジド−3−(2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)−プロパン−2−オール(120mol%)の溶液に−20℃で加えて、4時間攪拌する。反応混合液を氷冷水(100ml)でクエンチして、水層を酢酸エチル(3×100ml)で抽出する。合併した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下に濃縮して、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1−(3−アジド−2−メトキシ−プロピル)−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾールを微黄色の粘調な固体として得て、それをStaudinger反応を用いて相当するアミンに還元する。1−(3−アジド−2−メトキシ−プロピル)−2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール(100mol%)およびトリフェニルホスフィン(120mol%)をCHClに溶解して、反応液を室温で6時間攪拌する。反応液を1N HClを用いてクエンチして、3−(2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)−2−メトキシ−プロピルアミンを得る。
【0183】
4−(メトキシ)ベンズアルデヒド(150mol%)を、DMF中の3−(2−クロロ−4−ニトロ−1H−イミダゾール−1−イル)−2−メトキシ−プロピルアミン(アジドの還元からの粗製アミン、約100mol%)の攪拌した溶液に室温で加えて、引き続いて氷酢酸(100mol%)の添加をする。30分後に、NaBHCN(200mol%)を加える。反応混合液を室温で18時間さらに攪拌する。溶媒を減圧下に除去する。H0(50mL)を残渣に加える。混合液をCHCl(3×50mL)で抽出する。有機抽出液を合併して、H0(100mL)で洗浄して、MgSOで乾燥させる。次いで、溶媒を減圧下に除去して、褐色のガムを得て、それをDMFに溶解する。DBU(150mol%)を加えて、反応液をマイクロ波で10分間120℃で照射して、6−メトキシ−8−(4−メトキシ−ベンジル)−2−ニトロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2a]ピリミジンを分取HPLC精製の後で得る。
MS: M 319.3。
【0184】
実施例48
(S)−2−ニトロ−6−(4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンジルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(52)
【化93】

Ar下に0℃で、NaH(鉱油中で60%、150mol%)を、無水DMF中の(S)−2−ニトロ−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン−6−オール(100mol%)、1−ブロモメチル−4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンゼン(120mol%)、およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(5mol%)の攪拌した溶液に加える。混合液を室温に温めて、終夜攪拌する。反応液を0℃に冷却して、氷冷水でクエンチする。生成物をEtOAc 250mlで二回抽出し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮して、粗製の褐色の油を得て、それを逆相分取LCを用いて精製して、(S)−2−ニトロ−6−(4−トリフルオロメチルスルファニル−ベンジルオキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン、52を得る。
Mass: M 376.3。
【0185】
実施例49
2−ニトロ−6−[4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−6,7−ジヒドロ−5H−イミダゾ[2,1−b][1,3]オキサジン(53)
【化94】

クロロクロム酸ピリジニウム(10.54g、48.9mmol)をジクロロメタン(100ml)に溶解して、セライト(10g)を加えて、懸濁液を30分間攪拌する。乾燥ジクロロメタン中の(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−イル)メタノール(5g、34.2mmol)の溶液を反応混合液に滴下し、2時間室温で攪拌する。反応混合液をジエチルエーテル(80ml)で希釈して、10分間攪拌し、セライトを通してろ過し、エーテルで数回洗浄して、溶媒を真空で除去して、粗製の2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−カルバルデヒドを得て、それをさらなる精製無しで次工程に使用する。
【0186】
2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−5−カルバルデヒド(3.52g、24.4mmol)を1,2−ジクロロエタン(250mL)に溶解して、1,2−ジクロロエタン(50mL)中の1−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]ピペラジン(6.01g、24.4mmol)を加える。反応混合液を室温で1時間保持する。この反応混合液に、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(20.72g、97.7mmol)を少しずつ加える。反応混合液を室温で9時間攪拌させる。水を反応混合液に加えて、クロロホルムで抽出する。有機層を乾燥させて、濃縮して、1−(2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−イルメチル)−4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジンを得る。
【0187】
ピペラジン誘導体(7.09g、18.9mmol)をメタノール(80ml)に溶解し、水(3ml)、その後p−トルエンスルホン酸(3.91g、22.7mmol)を加えて、反応混合液を還流下に60℃で3時間加熱する。反応混合液を濃縮して、10%NaHCO水溶液で中和し、引き続いてクロロホルムで抽出する。溶媒を真空で除去して、2−[4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−プロパン−1,3−ジオールを得て、それをさらなる精製無しで次の工程で使用する。
【0188】
乾燥DMF(100ml)中の水素化ナトリウム(2.58g、64.6mmol)の懸濁液を−20℃に冷却して、DMF(25ml)中のジオール(4.5g、16.1mmol)を反応混合液に加えて、1時間攪拌する。乾燥DMF(25mL)中の塩化t−ブチルジメチルシリル(2.92g、19.3mmol)を反応混合液に滴下して加えて、1時間攪拌する。反応混合液を氷冷水でクエンチして、酢酸エチルで抽出する。有機層を水、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、濃縮して、カラムクロマトグラフィーにより精製して、3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−[4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジン−1−イルメチル]−プロパン−1−オールを得る。
【表26】

Mass: M449.6。
【0189】
上記アルコール(100mol%)をDCMに溶解して、DMAP(0.07mol%)、その後トリエチルアミン(157mol%)およびNsCl(100mol%)を0℃で加える。反応混合液を室温に温めて、5時間攪拌する。溶媒を真空で除去して、残渣をEtOAcに溶解し、水、0.5N HCl、水、食塩水で洗浄して、MgSOで乾燥させ、ろ過して、濃縮する。残渣をさらなる精製無しで次の工程で使用する。
【0190】
粗製のノシレートをDCMに溶解して、2−Cl−ニトロイミダゾール(150mol%)および炭酸カリウム(120mol%)を加えて、反応混合液をマイクロ波の中で150℃に5分間加熱する。溶媒を除去して、残渣をEtOAcに溶解して、水、0.5N HCl、水、食塩水で数回洗浄し、MgSOで乾燥させて、溶媒を真空で除去する。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(3−tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イルメチル)−プロピル]−4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジンを得る。
Mass: M578.6。
【0191】
1−(3−tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2−(2−クロロ−4−ニトロ−イミダゾール−1−イルメチル)−プロピル]−4−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ピペラジン(100mol%)を無水THFに溶解して、TBAF(THF中の1M溶液、100mol%)を溶液に加える。反応管を密封して、マイクロ波に140℃で8分間暴露する。溶媒を真空で除去して、残渣をシリカおよび分取HPLCで精製して、化合物53を帯黄色の固体として得る。
Mass: M428.6。
【0192】
実施例50
【化95】

化合物54を下のスキームに示す通りに合成する。
【化96】

【0193】
実施例51
【化97】

化合物55をEur J Med Chem 24, 1989, 631-633に記載の通り合成する。
【0194】
実施例52:結核菌に対する活性
試験および標準化合物のMIC値を、二つの参照生物であるウシ型カルメット・ゲラン桿菌(BCG) Pasteur (ATCC 35745)および結核菌H37Rv (ATCC 27294)に対して試験する。細菌を、10%(v/v)アルブミン−デキストロース生理食塩水[ADS:0.81%NaCl、5%BSA画分V(Roche, Mannheim, Germany)および2%グルコース]、0.2%グリセロール、0.05%Tween-80を添加したMiddlebrook 7H9ブロス(Becton Dickinson)で培養する。
【0195】
薬物感受性試験を、幾分か改変したブロス微量希釈法(NCCLS, National Committee for Clinical Laboratory Standards. 2003 Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically; Approved Standard. Sixth Edition)を用いて平底96穴プレートで行う。ストレプトマイシンおよびPA−824を標準薬物として使用する。活発に増殖しているミコバクテリア培養物(OD600約0.2)を完全7H9ブロスの中で希釈して、OD600約0.04(およそ106CFU/ml)の光学密度を得る。希釈された同量の培養物(100μL)を連続的に希釈された薬物(100μL)を含有している穴に加える。蒸発を防ぐためにMICマイクロプレートを密封して、37℃で4〜7日間培養する。細菌の増殖を、レドックス色素アルマール・ブルー(Serotec Ltd., Oxford, UK)を用いるか光学密度(OD600)測定により定量化する。
【0196】
アルマール・ブルーMICアッセイについては、アルマール・ブルーおよび10%Tween-80の新たに調製した1:1混合液50μlをそれぞれの穴に加える。マイクロプレートを37℃でさらに24時間培養する。細菌の増殖を、それぞれ、530nmおよび590nmの励起のおよび発光の波長を用いる蛍光測定(SpectraMax M2, Molecular Devices)により定量化して、15000以下の相対的蛍光単位(RFU)値は増殖無しと考える。それ故に、MICは、≦15000のRFU読み取りを生じる最低の薬物濃度として定義される。
【0197】
比濁分析のMIC方法については、マイクロプレートのOD600値を7日後に記録する(SpectraMax M2, Molecular Devices)。MICは、抗生物質の無い増殖対照について得られる値に対して≦1/10の吸光度の読み取りを生じる最低の薬物濃度として定義される。両方のMICアッセイは、一貫しかつ再現性のある結果を与える;標準薬物のストレプトマイシンについては、MIC値は、それぞれ、ウシ型BCGについては0.6〜0.13μg/mLであって、結核菌H37Rvについては0.25μg/mLである。
【0198】
実施例53:クルーズトリパノソーマに対する活性
Trypanosoma cruzi Tulahuen C2C4菌株を使用する。感染性の無鞭毛体およびトリポマスチゴート段階を、12.5cm組織培養フラスコの中で、2mMのL−グルタミンおよび10%熱不活性化胎児ウシ血清を添加したRPMI 1640培地でL−6細胞(ラット骨格筋芽細胞株)中で培養する。無鞭毛体は細胞内で発生し、トリポマスチゴートに分化して、宿主細胞を去る。これらのトリポマスチゴートは、新しいL−6細胞に感染して、アッセイで感染を開始するために使用される段階である。全ての培養およびアッセイは、37℃で空気中5%COの雰囲気下に実施される。
【0199】
化合物の原液を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で10mg/mLで調製して、必要ならば、加熱するかもしくは超音波処理して試料を溶解する。使用後、原液を−20℃に保存する。アッセイのためには、化合物を、完全培地を用いて適切な濃度にさらに希釈する。最高の薬物濃度を含む穴のDMSO濃度は、1%を越えない。
【0200】
アッセイを、無菌の96穴マイクロタイタープレートで実施して、それぞれの穴は2×10個のL−6細胞を有する100μLの培地を含有する。24時間後に、培地からの5×10個のトリポマスチゴートの血流型を含有するトリパノソーマ懸濁液の50μLを穴に加える。48時間後に、培地を穴から除去して、連続的な化合物希釈の有無でもって、100μLの新鮮な培地により置き換える。この点で、L−6細胞を無鞭毛体で感染しなければならないで、遊離のトリポマスチゴートは何も培地中にあってはならない。7個の3倍の化合物希釈を使用して、90μg/mL〜0.123μg/mLの範囲をカバーする。それぞれの化合物をデュプリケートで試験する。活性化合物を確認のため2回試験する。96時間の培養後に、プレートを倒立顕微鏡下に検査して、対照の増殖および無菌性を保証する。
【0201】
次いで、基質CPRG/Nonidet(クロロフェノールレッド−D−ガラクトピラノシド(CPRG, Roche Diagnostics Ltd; 15.19mg)プラス250μLのNonidetP−40を、100μLの無菌のリン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.2)に溶解して、0.25%NonidetP−40/PBSの中でCPRGの最終の望ましい濃度の5倍を得る)、50μLを全ての穴に加える。呈色反応が2〜6時間内に目に見えるようになって、540nmで測光的に読み取ることができる。データをグラフィックプログラムに移し、S字状阻害カーブを決定して、IC50値を計算する。
【0202】
実施例54:ドノバンリーシュマニアに対する活性
ドノバンリーシュマニア菌株MHOM/ET/67/L82 (Dr. S. Croft, London School of Hygiene and Tropical Medicineから得られた)を使用する。菌株をSyrianゴールデン・ハムスター中で維持する。無鞭毛体を感染させたハムスターの脾臓から収集する。無鞭毛体を、10%熱不活性化胎児ウシ血清(FBS)を添加したpH5.4のSM培地(Cunningham I., J. Protozool. 24, 325-329, 1977)中で37℃で空気中5%COの雰囲気下に無菌培養で増殖させる。
【0203】
化合物の原液を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)中で10mg/mLで調製して、必要ならば、加熱するかもしくは超音波処理して試料を溶解する。使用後、原液を−20℃に保存する。アッセイのためには、化合物を、完全培地を用いて適切な濃度にさらに希釈する。最高の薬物濃度を含む穴中のDMSO濃度は、1%を越えない。
【0204】
アッセイを、96穴の平底マイクロタイタープレート(Costar, Corning Inc.)で実施して、それぞれの穴は、連続的な薬物希釈の有無でもって、無菌培養からの10個の無鞭毛体を有する100μLの培地を含有する。無鞭毛体の濃度をCASY細胞分析システム(Schaerfe System, Reutlingen, Germany)で測定する。無鞭毛体を計数する前に、寄生虫の培地を22ゲージの注射針を2回通して、無鞭毛体のクラスターを解体する。
【0205】
試験化合物の最大濃度は90μg/mLである。7個の3倍の希釈を使用して、30μg/mL〜0.041μg/mLの範囲をカバーする。それぞれの化合物をデュプリケートで試験する。活性化合物を確認のため2回試験する。72時間の培養後に、プレートを倒立顕微鏡下に検査して、対照の増殖および無菌性を保証する。
【0206】
次いで、アルマール・ブルー(レザズリン12.5mgを蒸留水100mlに溶解する)の10μlをそれぞれの穴に加えて、プレートをさらに2時間培養する。次いで、536nmの励起波長および588nmの発光波長を用いて、Spectramax Gemini XSマイクロプレート蛍光計(Molecular Devices Cooperation, Sunnyvale, CA, USA)で、プレートを読み取る。
【0207】
データをマイクロプレートリーダーソフトウェアーSoftmax Pro (Molecular Devices Cooperation, Sunnyvale, CA, USA)を用いて解析する。蛍光の減少(即ち阻害)を対照培地の蛍光のパーセントとして示し、薬物濃度に対してプロットする。IC50値を、ソフトウェアープログラムによりS字状阻害カーブから計算する。
【0208】
産業上の利用可能性
本発明のニトロイミダゾール化合物は、有用な医薬品性質を有する。特に、本化合物は、感染症、例えば結核菌、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアにより引き起こされる感染症の処置および/または予防に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中:
(a) mは0であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はハロアリールであって、他方は水素であり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(b) mは1であり;
WはNであって、Vは、一つもしくはそれ以上のアルコキシ置換基で所望により置換されていてよいアルキルアリール基であり;
R1およびR3は両方ともHであり;そして
R2およびR4の一方はアルコキシであって、他方はHであるか;
または:
(c) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はアルキルもしくはアリールであって、他方はHであり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(d) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R2およびR4の一方は−L(B)−(Z)、−L(B)−(Z)−もしくはY−(B)−Zであって、他方はHであり;
そして
R1およびR3は両方ともHであり;
ここで:Lは、式−O−R5−(式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である)を有している原子基であり;Bはシクロアルキル、複素環、アリールまたは一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいヘテロアリール環であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキル、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシもしくは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級チオアルキルであり;
そしてYは−NHC(O)−であり;
nは1もしくは2であり;pは0、1もしくは2であり;そしてqは1もしくは2である;
ただし、R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;qは2であり、両方のB基はフェニルでありそしてLは−O−CH−である)ならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L−(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、Zは4−トリフルオロメトキシ、4−フルオロ、4−トリフルオロエトキシ、4−ペンタフルオロプロポキシ、4−テトラフルオロプロポキシ、4−トリフルオロメチル、2,4−ジフルオロメチルもしくは2,4−ジフルオロでない。]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項2】
式中:
mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R2およびR4の一方は−L(B)−(Z)、−L(B)−(Z)−もしくはY−(B)−Zであって、他方はHであり;
そして
R1およびR3は両方ともHであり;
ここで:Lは、式−O−R5−(式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である)を有している原子基であり;Bはシクロアルキル、複素環、アリールまたは一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいヘテロアリール環であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキル、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシもしくは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級チオアルキルであり;
そしてYは−NHC(O)−であり;
nは1もしくは2であり;pは0、1もしくは2であり;そしてqは1もしくは2である;
ただし、R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L(B)−(Z)(式中;qは2であり、両方のB基はフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、pは0でなく;
R2もしくはR4が−L−(B)−(Z)(式中;nは1であり、BはフェニルでありそしてLは−O−CH−である)であるならば、Zは4−トリフルオロメトキシ、4−フルオロ、4−トリフルオロエトキシ、4−ペンタフルオロプロポキシ、4−テトラフルオロプロポキシ、4−トリフルオロメチル、2,4−ジフルオロメチルもしくは2,4−ジフルオロでない、
請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項3】
R2およびR4の一つが−L−(B)−(Z)(式中、Bは、ピペラジン、ピリジン、フェニルもしくはベンズイミダゾール基、または所望によりフェニル環と縮合していてよい、オキサゾールもしくはチアゾール基である)である、請求項1もしくは請求項2に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項4】
Lが−O−CHC(O)−である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項5】
式(II)
【化2】

[式中:
Lは、式−O−R5−(式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である)を有している原子基であり;
Bは、一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいシクロアルキル、複素環、アリールもしくはヘテロアリール環であり;nは1もしくは2であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキルまたは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシである;ただし、nが1であるならば、Bはフェニルでなく、またはnが1であって、Bがフェニルであるならば、Lは−O−CHC(O)NH−もしくは−O−CHC(O)NHCH−である]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項6】
薬学的に許容される添加物、賦形剤もしくは担体と共に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、結核菌、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアによる感染により引き起こされる疾患もしくは障害を処置するおよび/または予防する方法。
【請求項8】
式(III)
【化3】

[式中:
(a) mは0であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一つはハロアリールもしくはアルキルであって、他は水素であるか、またはR1およびR3は両方とも低級アルキル基であり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(b) mは1であり;
WはNであって、Vは、一つもしくはそれ以上のアルコキシ置換基で所望により置換されていてよいアルキルアリール基であり;
R1およびR3は両方ともHであり;そして
R2およびR4の一方はアルコキシであって、他方はHであるか;
または:
(c) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R1およびR3の一方はアルキルもしくはアリールであって、他方はHであり;そして
R2およびR4は両方ともHであるか;
または:
(d) mは1であり;
WはOであって、Vは不在であり;
R2およびR4の一方は−L(B)−(Z)、−L(B)−(Z)−もしくはY−(B)−Zであって、他方はHであり;
そして
R1およびR3は両方ともHであり;
ここで:Lは、式−O−R5−(式中;R5は低級アルキレン、−C(O)−、低級アルキレン−C(O)−、−C(O)−低級アルキレン、低級アルキレン−C(O)−NH−、低級アルキレン−NH−である)を有している原子基であり;Bはシクロアルキル、複素環、アリールまたは一つもしくはそれ以上の置換基で所望によりさらに置換されていてよいヘテロアリール環であり;そしてZは、ハロゲン、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルキル、少なくとも一つのハロゲンで置換される低級アルコキシもしくは少なくとも一つのハロゲンで置換される低級チオアルキルであり;
そしてYは−NHC(O)−であり;
nは1もしくは2であり;pは0、1もしくは2であり;そしてqは1もしくは2である]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、クルーズトリパノソーマもしくはドノバンリーシュマニアによる感染により引き起こされる疾患もしくは障害を処置するおよび/または予防する方法。
【請求項9】
窒素複素環式化合物の製造方法であって、立体障害の無い置換エポキシドをハロイミダゾール化合物と反応させて(ここで、ハロイミダゾール化合物に対する立体障害の無い置換エポキシドのモル比は、1:1以下である)、アルコール官能基を持つ付加物を形成し;
付加物上のアルコール官能基を保護して、アルコール保護付加物を形成し;そして
アルコール保護付加物を環化試薬で処理して、窒素複素環式化合物を形成すること:を含む、方法。
【請求項10】
遊離のもしくは塩の型での、窒素複素環式化合物が式(IV)
【化4】

[式中:R=ニトロ、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニル;R=2−テトラヒドロピラニル、2−エトキシエチル、トリチル、メチル、エチル、アリル、トリメチルシリルエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルもしくはテキシルジメチルシリル;R=H、アシル、ホルミル、スルホニル、トリフルオロメチル、シアノ、ハロもしくはアルコキシカルボニルである。]
の化合物により表される、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−521464(P2009−521464A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547540(P2008−547540)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/048763
【国際公開番号】WO2007/075872
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【出願人】(508188787)ユナイテッド・ステイツ・デパートメント・オブ・ヘルス・アンド・ヒューマン・サービシーズ (1)
【氏名又は名称原語表記】US DEPARTMENT OF HEALTH & HUMAN SERVICES
【Fターム(参考)】