説明

ネイルケア用組成物

【課題】 爪を外見的にも、そして根本からも美しくする性能を有し、爪甲の保湿効果、甘皮除去効果、及び表面平滑化効果を併せ持つネイルケア用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 アルカリ剤、アミノ酸、及び水溶性高分子を含むことを特徴とするネイルケア用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪を美しくするために用いられるネイルケア用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、爪を美しく見せるための美爪用製品として、種々の製品が開発、上市されている。最も一般的なものは、ネイルエナメルであり、爪甲上に有色皮膜を形成するものである。ネイルエナメルと同時に使用されるものとして、ベースコート、トップコートが知られている。ベースコートは、爪の溝を埋めて滑らかさを付与したり、ネイルエナメルを塗布しやすくする下塗り剤として用いられ、トップコートは、ネイルエナメルの上に塗布し、ネイルエナメルの光沢を良くしたり、耐久性を向上させるために用いられる。
【0003】
爪のケア用の製品として、さらには、ネイルトリートメント、キューティクルリムーバー、ネイルポリッシュ等がある。ネイルトリートメントは、ネイルエナメルやその除去用のエナメルリムーバーによって脱水、脱脂された爪に水分や油分を補給するために用いられ、キューティクルリムーバーは、爪甲上の古いキューティクル(甘皮)や汚れを除去するために用いられ、ネールポリッシュは、爪甲の表面を研磨し滑らかにするために用いられる。
【0004】
しかしながら、従来のネイルトリートメント、キューティクルリムーバー、ネイルポリッシュを用いる場合、爪甲表面のみが外見的に美しくなるのみであって、爪甲そのものが根本的に美しく改善されるものではない。また、従来のネイルトリートメント、キューティクルリムーバー、ネイルポリッシュを用いる場合、爪甲表面を美しくするためには、これら3種の製品全てを用いる必要があり、爪の手入れには多くの手間と時間を要している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、爪を外見的にも、そして根本からも美しくする性能を有し、爪甲の保湿効果、甘皮除去効果、及び表面平滑化効果を併せ持つネイルケア用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは鋭意検討した結果、アミノ酸及び水溶性高分子を含むアルカリ水溶液を用いることにより、爪を外面的にも内面的にも美しく改善できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、アルカリ剤、アミノ酸、及び水溶性高分子を含むことを特徴とするネイルケア用組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、アミノ酸として、リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、及びシスチンを含む上記ネイルケア用組成物に関する。
【0009】
また、本発明は、水溶性高分子として、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)を含む上記ネイルケア用組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のネイルケア用組成物は、爪を外観的にもそして根本からも美しくする性能を有する。すなわち、爪甲表皮の汚れや古いキューティクル(甘皮)を落すこと、爪母細胞に爪ケラチンの構成成分であるアミノ酸を補充すること、爪甲表面に皮膜を形成し爪を保護することの3つの性能を同時に合わせ持つものである。また、本発明のネイルケア用組成物を用いることにより、爪の手入れを簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のネイルケア用組成物は、アルカリ剤、アミノ酸、及び水溶性高分子を含むことを特徴とする。本発明のネイルケア用組成物は、クリーム状、乳液状、液状等として使用することが可能であり、本発明においては液状として使用することが好ましい。本発明のネイルケア用組成物は、通常、アルカリ剤、アミノ酸、及び水溶性高分子を含む水溶液として用いられる。
【0012】
本発明において、アルカリ剤は、爪の汚れや古いキューティクル(甘皮)を除去する作用、また、ネイルケア用組成物中にアミノ酸を高濃度で安定に配合するための作用を有するものと推測される。
【0013】
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機アルカリ剤が挙げられ、本発明においては、水酸化カリウムを用いることが好ましい。本発明においては、さらに、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール等を用いても良い。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0014】
ネイルケア用組成物のアルカリ濃度は、0.1〜0.7重量%であることが好ましく、0.15〜0.6重量%であることがより好ましく、0.2〜0.5重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%未満であるとアミノ酸が析出し、組成物の安定性が低下する傾向があり、0.7重量%を超えると水溶性高分子が析出し、組成物の安定性が低下する傾向がある。
【0015】
本発明において、アミノ酸は、爪母細胞に浸透し、爪甲形成を促進する作用があるものと考えられる。
【0016】
アミノ酸としては、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、セリン、チロシン、トリプロファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、リシン、ロイシンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明のネイルケア用組成物は、爪の構成成分であるアミノ酸である、リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン及びシスチンを含むことが好ましい。
【0018】
さらに、これらのアミノ酸は、使用するアミノ酸の全重量に対し、リシン2.6〜3.6重量%、ヒスチジン0.5〜1.5重量%、アルギニン5.9〜6.9重量%、アスパラギン酸6.5〜7.5重量%、トレオニン5.6〜6.6重量%、セリン10.8〜11.8重量%、グルタミン酸13.1〜14.1重量%、プロリン5.4〜6.4重量%、グリシン7.4〜8.4重量%、アラニン5.0〜6.0重量%、バリン3.7〜4.7重量%、メチオニン0.2〜1.2重量%、イソロイシン2.2〜3.2重量%、ロイシン7.8〜8.8重量%、チロシン2.7〜3.7重量%、フェニルアラニン2.0〜3.0重量%、シスチン10.1〜11.1重量%の割合で用いることが好ましい。
【0019】
アミノ酸の配合量は、ネイルケア用組成物の全重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜2重量%であることがより好ましく、0.1〜0.6重量%であることがさらに好ましい。0.01重量%未満であると、爪甲形成効果が得られない傾向があり、5重量%を超えるとアミノ酸が析出する傾向がある。
【0020】
本発明において、水溶性高分子は、爪甲表面に皮膜を形成し、滑らかさを付与する効果、保湿効果、また、ネイルケア用組成物に適度な粘度を付与する効果を奏するものと推測される。
【0021】
水溶性高分子は、天然高分子、半合成高分子及び合成高分子に大別され、本発明においては、植物系天然高分子、微生物系天然高分子、動物系天然高分子、セルロース系半合成高分子、デンプン系半合成高分子、アルギン酸系半合成高分子、多糖類系誘導体半合成性高分子、ビニル系合成高分子のいずれかであることが好ましい。さらに具体的に、植物系天然高分子としては、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、ペクチン、マンナン、デンプン等を挙げることができる。微生物系天然高分子としては、キサンタンガム、デキストラン、サクシルグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、γ−ポリグルタミン酸等を挙げることができる。動物系天然高分子としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等を挙げることができる。また、セルロース系半合成高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。デンプン系半合成高分子としては、可溶性デンブン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン等を挙げることができる。アルギン酸系半合成高分子としては、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等を挙げることができる。合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
【0022】
なかでも、本発明においては、水溶性高分子として、カルボキシル基を有する天然、半合成又は合成高分子を用いることが好ましい。特に好ましい水溶性高分子として、下記式(1)で表されるγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)を挙げることができる。γ−PGAは、グルタミン酸が結合したホモポリマーであり、高い親水性を示す。
【0023】
また、下記式(2)で表されるカルボキシビニルポリマーも好ましく用いることができる。カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸を重合して得たポリマーであり、同様に高い親水性を示す。
【0024】
これらのカルボキシル基を有する天然又は合成高分子は、そのまま、あるいは、ナトリウム塩、カリウム塩等として使用することができる。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
水溶性高分子の配合量は、ネイルケア用組成物の全重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜3重量%であることがより好ましく、0.2〜1重量%であることがさらに好ましい。0.01重量%未満であると、爪甲表面へ滑らかさを付与する効果、爪甲表面の保湿効果、爪甲表面の保護効果が得られない傾向があり、5重量%を超えると水溶性高分子が析出する傾向がある。
【0028】
本発明のネイルケア用組成物は、さらに、水に可溶な溶媒を含んでいてもよく、例えば、エタノール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類などが挙げられる。
【0029】
また、本発明のネイルケア用組成物は、さらに生理活性物質を含んでいても良い。生理活性物質は、美白用薬剤、肌荒れ防止用薬剤、収れん剤、抗炎症剤、清涼剤、ビタミン剤、又は栄養剤等である。
【0030】
本発明のネイルケア用組成物の調製方法は、特に限定されず、水溶性高分子の水溶液にアルカリ剤及びアミノ酸を加えることもでき、アルカリ水溶液に水溶性高分子及びアミノ酸を加えることもできる。
【0031】
このようにして調製されたネイルケア用組成物のpHは、7.5〜13であることが好ましく、10〜13であることがより好ましく、10〜12であることが最も好ましい。7.5未満であると、甘皮の除去効果が不十分となる傾向がある。
【0032】
本発明のネイルケア用組成物を使用する際には、適量を爪甲表面に塗布後、指や布等により軽く擦れば良い。
【0033】
本発明のネイルケア用組成物を使用することにより、爪の汚れや古いキューティクル(甘皮)が除去され、爪及び爪周辺部が美しく改善される。爪の汚れや古いキューティクル(甘皮)の除去にはアルカリが、滑らかさと保湿には水溶性高分子が寄与しているものと推測される。また、アルカリ水溶液は、爪や皮膚を柔軟にすることから、アミノ酸の爪及び爪母細胞への浸透を助けるものと考えられる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
ポリグルタミン酸(0.3重量%)及びブチレングリコール(20重量%)を含む精製水(全重量100g)に、アミノ酸(リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン及びシスチンを含む。)0.6g、及び水酸化カリウム0.25gを順に加え、撹拌混合し、ネイルケア用組成物を調製した。
【0036】
(実施例2)
水酸化カリウムの配合量を0.5gに変えた他は実施例1と同様に、ネイルケア用組成物を調製した。
【0037】
(実施例3)
アミノ酸の配合量を0.12gに変えた他は実施例1と同様に、ネイルケア用組成物を調製した。
【0038】
(実施例4)
ポリグルタミン酸(0.3重量%)及びブチレングリコール(20重量%)を含む精製水(全重量100g)に、カルボキシビニルポリマー0.2g、アミノ酸0.6g及び水酸化カリウム0.25gを順に加え、撹拌混合し、ネイルケア用組成物を調製した。
【0039】
(比較例1)
アミノ酸を使用しなかった他は実施例3と同様に、ネイルケア用組成物を調製した。
【0040】
(比較例2)
水酸化カリウムを使用しなかった他は実施例3と同様に、ネイルケア用組成物を調製した。
【0041】
(比較例3)
ブチレングリコール(20重量%)を含む精製水(全重量100g)に、アミノ酸0.12g及び水酸化カリウム0.25gを順に加え、撹拌混合し、ネイルケア用組成物を調製した。
【0042】
【表1】

【0043】
上記実施例1〜4で得られた試料は、いずれも爪甲汚れや甘皮の除去効果、保湿効果、爪の強度を増す効果等に優れたネイルケア用組成物である。また、上記実施例1〜4で得られた試料を使用した後の爪甲は、凹凸が減少し滑らかな表面を有する。
【0044】
次に、上記実施例4及び比較例1〜3で得られた試料について使用試験を行った。評価項目及び評価基準は下記の通りである。
【0045】
(評価方法)
20才代〜70才代の女性パネラー7名による2週間の使用の後、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0046】
(評価基準)
1.甘皮及び汚れの除去性
甘皮、汚れが良く落ちる 5点
甘皮、汚れが落ちる 4点
普通 3点
甘皮、汚れがあまり落ちない 2点
甘皮、汚れが全然落ちない 1点
2.使いやすさ
とても使いやすい 5点
使いやすい 4点
普通 3点
やや使いにくい 2点
使いにくい 1点
3.爪の保護感
傷が付きにくくなる 5点
やや傷が付きにくくなる 4点
変わらない 3点
やや傷が付きやすくなる 2点
傷が付きやすくなる 1点
4.保湿感
とてもしっとりする 5点
しっとりする 4点
普通 3点
あまりしっとりしない 2点
全然しっとりしない 1点
5.爪の強度
爪が丈夫になった 5点
やや爪が丈夫になった 4点
変わらない 3点
やや爪が弱くなった 2点
爪が弱くなった 1点
【0047】
【表2】

【0048】
実施例4の試料には、アルカリ剤、アミノ酸及び水溶性高分子がバランスよく配合されており、その結果、甘皮及び汚れの除去性、爪の保護感、保湿感、爪の強度において優れた結果が得られている。また、適度な粘度を有することから、使いやすさにも優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤、アミノ酸、及び水溶性高分子を含むことを特徴とするネイルケア用組成物。
【請求項2】
アミノ酸として、リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、及びシスチンを含む請求項1記載のネイルケア用組成物。
【請求項3】
水溶性高分子として、γ−ポリグルタミン酸を含む請求項1又は2記載のネイルケア用組成物。

【公開番号】特開2006−52154(P2006−52154A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233570(P2004−233570)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(501322933)株式会社ビーシーエス (2)
【出願人】(593056831)株式会社フロンティア (4)
【Fターム(参考)】