説明

ネコ食餌用の組成物

本発明は、ネコ食餌用の組成物;および、そのような組成物を製造する方法を提供する。本組成物は、少なくとも約65重量%の食肉を含み、かつ、その容器形状を呈する本質的に固形の塊を有する。本組成物は、容器から取り出した後塊をスライスする際に、湿潤した外観と目視認識可能なはっきり識別される食餌小片とを有するとみなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2004年12月30日に出願されたU.S.予備出願シリアルNo.60/640,566に対する優先権を主張し、その開示を参考とすることによって本明細書に組み込む。
発明の背景
発明の分野
【0002】
本発明は、概して、動物の食餌用の組成物に関し、特に、ネコの食餌用の食肉および炭水化物基体の組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
ペット動物は、長年にわたって、“乾燥”および“湿潤”食餌組成物を食餌されている。“湿潤”食餌組成物は、概して、缶様の容器に包装され、その中に含まれる水分により外観上“湿潤”と考えられる。2つのタイプの湿潤組成物が、概して、当分野で公知である。第1は、“ミートローフ(ground loaf)”として当分野公知である。ローフ製品は、典型的には、加熱下、成分の混合物を接触させて、本質的に均質、細胞内ハネカムタイプの塊または“ミートローフ”を生成させることによって製造される。ミートローフ塊は、ついで、シリンダー状の容器、例えば、缶に包装される。充填する際に、ミートローフは、容器の形状を呈し、ペット動物に食餌を与える時に、ミートローフは、カットする必要がある。加工の結果として、ミートローフ製品は、広範な範囲の組織構造の違いを示し、ローフ製品は、概して、その他の形態の食餌、特に、乾燥製品とは十分に混ざらない。
【0004】
湿潤組成物のもう1つのタイプは、概して、“ぶつ切り肉汁(chunk and gravy)”として当分野公知である。ぶつ切り肉汁製品は、押出される肉エマルジョンを製造することによって調製され、かつ、物理的圧力または熱的エネルギー、例えば、水蒸気による調理、水中での調理、オーブン乾燥加熱等によって形成される予め形成された食肉小片を含む。製品、例えば、調理された肉は、ぶつに切り、ぶつ切りは、結局、肉汁またはソースと混ぜ合わされる。2つの成分は、ついで、容器、通常、缶に充填され、缶は、とじあわされ、滅菌される。ミートローフとは対照的に、ぶつ切り肉汁組成物は、調理されると、物理的に分離されたはっきり識別されるぶつ切り(すなわち、ひき肉片と穀物)を有する。これらのはっきり識別される小片は、最終容器内で肉汁タイプの液中に存在する。食餌を与える時、ぶつ切り肉汁製品は、缶から出し、その他の乾燥製品と容易に混ぜ合わせることができる。ぶつ切り肉汁製品は、個々の成分の一体性をよりよくするものの、ぶつ切り肉汁製品の不均質な配合物は、食餌動物により嫌われる場合もある。
【0005】
U.S.特許No.6,436,463は、ミートローフおよびぶつ切り肉汁組成物の2つの別個の物理的形態の“ハイブリッド”である湿潤組成物の第3のタイプを記載している。このハイブリッド組成物は、最終製品の本質的に均質な塊内に目視認識可能なはっきり識別される食肉の小片を有する細挽きされたハンバーガーまたはハヤシ肉料理の外観を有する。この特許文献は、このようなハイブリッド組成物を製造する方法であり、その方法が、食肉成分の物理的かつ化学的一体性を保つための第1の加熱工程と、その肉と穀物成分とをつなぐ役割を果たす改質肉汁工程とを含む方法を考察している。しかし、その特許文献に記載されているハイブリッド組成物は、乾燥物質基準で測定して、典型的には、約70重量%未満の食肉を含有し、かつ、約25重量%〜約40重量%に等しい非脂肪質炭水化物を有する。これらの組成物は、有用であるものの、同等の低非脂肪質炭水化物を含む高食肉濃度を有するネコ食餌用組成物についての需要がなお存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明は、少なくとも約65重量%の食肉を含み、かつ、その容器の形状を呈する本質的に固形の塊を有するネコ食餌用の組成物を提供する。1つの実施態様にて、本発明は、さらに、組成物の約10重量%未満の量の炭水化物を含む。もう1つの実施態様にて、組成物は、少なくとも約70重量%の食肉と、約10重量%未満の穀物(特に、穀粒、以下同じ)、好ましくは、1種以上の穀物を含む約2重量%〜約10重量%の穀物混合物を含む。組成物は、容器から取り出した後塊をスライスする際に、湿潤した外観と目視認識可能なはっきり識別される食餌小片とを有する。
【0007】
もう1つの態様にて、本発明は、ネコの糖尿病を治療または処置するための方法を提供する。この方法は、糖尿病に罹りやすいか罹患したネコに本発明の組成物を食餌させる工程を含む。
【0008】
さらなる態様にて、本発明は、その容器の形状に実質的に一致する本質的に均質な塊を有する食肉および炭水化物基体のネコペットフード組成物を製造するための方法;および、その方法によって製造される製品を提供する。本方法は、本質的に均質な塊を製造するのに十分な温度で、食肉成分、穀物成分および加熱した肉汁成分を一度に接触させる工程を含み、その組成物が、少なくとも約65重量%の食肉を含む方法である。特定の実施態様にて、食肉成分および肉汁成分の温度は、加熱した肉汁と接触させる前は約40℃未満である。もう1つの実施態様にて、本発明は、ネコに食餌する食肉および炭水化物基体の組成物を製造するための方法;および、その方法による製造物を提供する。この方法は、1種以上の肉源を含む食肉混合物を調製し;1種以上の穀物を含む穀物混合物を調製し;水と1種以上の増粘剤との混合物を加熱して高温スラリーを調製し;本質的に均質な塊を生成するのに十分な温度で、食肉混合物、炭水化物混合物および高温スラリーを一度に接触させる各工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のその他およびさらなる目的、特徴および利点は、当業者であれば、容易に明らかとなるであろう。
発明の詳細な説明
定義
【0010】
“糖尿病薬”という用語は、ネコの糖尿病を予防または治療するのに有用なあらゆる化合物、組成物または薬剤を意味する。
【0011】
“食餌”という用語は、典型的には、全てとはいかないが、大部分、ペット動物用の栄養価を提供する食餌製品を意味するのみならず、また、スナック、ちそう品、補給物、おしゃぶり(food toys)等としての食餌製品であってもよい。
【0012】
“単一包装”という用語は、キットの構成部分が物理的に1つ以上の容器に入れられるかまたは1つ以上の容器を伴うことを意味し、製造、分配、販売または使用のための単位と考えられる。容器としては、バッグ、箱、ボトル、収縮ラップ包装、選別もしくは添付構成部分またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。単一包装は、個々の食餌組成物および物理的に伴われる糖尿病薬の容器であってもよく、これらは、製造、分配、販売または使用のための単位と考えられる。
【0013】
“バーチャル包装”という用語は、キットの構成部分が、例えば、1つの構成部分を入れたバッグ内のその他の構成部分を得る方法をユーザーに指示する1つ以上の物理的またはバーチャルキット構成部分についての指針;および、キットの使用方法について指示を得るために、ウェブサイトに到り、記録されたメッセージに接し、目視によりメッセージを一覧するかあるいは飼育係りまたはインストラクターに連絡することをユーザーに指示する指針を伴うことを意味する。
【0014】
特に断らない限り、“重量により(by weight)”という用語は、乾燥重量基準に基づき計算される総組成物の重量パーセンテージを指す。
【0015】
本発明は、個々の方法、プロトコルおよび試薬を変更することができるので、本明細書に記載する個々の方法、プロトコルおよび試薬に限定されるものではない。さらに、本明細書にて使用する用語は、単に、個々の実施態様を説明するのが目的であり、本発明の範囲を限定する意図は何等ない。本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈により明瞭に示されない限り、複数の参照をも含む。同様に、“comprise”、“comprises”および“comprising”という語は、それだけに限定するというよりもむしろそれを包括するという意味に理解するべきである。
【0016】
特に断らない限り、本明細書にて使用する全ての技術的および科学的用語および全ての頭字語は、本発明の分野で当業者よって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書に記載する方法および材料と同様または等価ないずれの方法および材料も、本発明の実施にて使用することができるが、好ましい方法、装置および材料を本明細書にて記載する。
【0017】
本明細書にて挙げる全ての特許、特許出願および刊行物は、本発明で使用することのできるその中に開示された化合物、プロセス、技術、処理方法、科学技術、物品ならびにその他の組成物および方法を記載かつ開示する目的のための原則によって許容される程度に参考とすることによって本明細書に組み込む。しかし、本発明が従来の発明によりこのような開示に対して権利を与えられないと解釈すべき理由は、本明細書には、何等存在しない。
発明
【0018】
本発明は、少なくとも約65重量%の食肉を含むネコ食餌用の食肉組成物を提供する。本組成物は、その容器の形状と実質的に一致する本質的に均質な塊である。本組成物は、容器から出した後固形の塊をスライスする際に、湿潤した外観を有する目視認識可能なはっきりと識別される食肉小片を有する。種々の実施態様にて、本発明の“高食肉”組成物は:
【表1】

を含む。
【0019】
1つの実施態様にて、本組成物は、さらに、組成物の約10重量%未満の量の炭水化物を含む。もう1つの実施態様にて、高食肉組成物は、少なくとも約70重量%の食肉と約10重量%未満の穀物、好ましくは、1種以上の穀物を含む約2重量%〜約10重量%の穀物混合物を含む。さらなる実施態様にて、本発明の高食肉組成物は、少なくとも約75重量%の食肉と約25重量%未満の肉汁を含む。
【0020】
本発明の高食肉組成物は、また、それらが低非繊維質炭水化物に等価な画分を有する点で有益である。本明細書で使用する場合、“非繊維質炭水化物に等価な画分”または組成物の“NFE”は、乾燥物質基準に基づき重量によって計算した粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維質および粗灰分のパーセンテージを差し引いた後の組成物の残りとして計算される。特に、本出願者らは、本発明の高食肉組成物が概して非繊維質炭化水素に等価な画分15重量%未満を有することを発見した。特定の実施態様にて、本発明の高食肉組成物は、少なくとも約70重量%の食肉を含み、かつ、非繊維質炭化水素に等価な画分約10重量%未満を有する。
【0021】
本発明の組成物は、その容器の形状を呈する本質的に固形の塊を有するネコの湿潤食餌組成物を製造するための当分野公知のいずれかの方法によって製造される。ネコ湿潤食餌組成物を製造するのに適した方法の例は、U.S.特許No.6,436,463に記載されている。
【0022】
本発明は、また、本発明の“高食肉”ネコ湿潤食餌組成物を製造するための方法も提供する。この方法は、本質的に均質な塊を生ずるのに十分な温度で、食肉成分および穀物成分を加熱した肉汁と一度に接触させる工程を含む。この方法は、食肉成分および穀物成分の各々が混合前に加熱される必要のある湿潤食餌組成物を製造するための公知の方法に優り、有益である。断言する積もりはないが、本質的に均質な塊を有する組成物を製造するための十分な熱が、混合前に食肉または穀物成分を別個に加熱することなく、高温肉汁成分によって提供されうると考えられる。このようにして、本発明は、操作およびコントロールがより容易であり、操業コストの低下を生じさせ、装置への資本投下の必要性の低い方法を提供する。
【0023】
さて、図1を参照しつつ、本発明の新規方法をさらに十分に説明する。本方法は、ミキサー11内で食肉混合物または食肉成分を調製する工程を含む。食肉混合物は、導管13を介して第2のミキサー41に移す。1種以上の穀物(すなわち、穀物成分)を含む穀物混合物をミキサー21内で調製し、導管23を介して第2のミキサーに移す。加熱した肉汁は、肉汁かま31内で加熱下水と1種以上の増粘剤とを接触させることによって、食肉混合物および炭水化物混合物とは別個に調製される。加熱した肉汁は、ついで、導管33を介して第2のミキサー41内に移す。食肉混合物、穀物混合物および加熱した肉汁は、第2のミキサー41内で本質的に均質な塊を生ずるのに十分な温度で一度に全て一緒に混合される。所望される場合、第2のミキサー内の有効温度を保つために、追加の熱を加えることができるが、それは、概して、必ずしも必要ではない。第2のミキサー41内で生ずる本質的に均質な塊は、ついで、例えば、充填機51を使用し、容器内に分配するためにさらに加工される。このように、本開示の食餌は、容易に製造される。
【0024】
食肉混合物は、例えば、動物の筋肉;動物の骨格肉;動物の副次産物;および、筋肉、骨格肉および副次産物の混合物からなる群より選択される肉源を含め、多種多様な食肉または肉源から調製することができる。食肉としては、例えば、家禽;魚;および、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、羊、山羊等)の肉が挙げられる。肉副次産物としては、例えば、肺、腎臓、肝臓、タン、胃および腸が挙げられる。適した肉源としては、新鮮な食肉または肉副次産物および冷凍した食肉および肉副次産物を挙げることができる。食肉混合物は、概して、典型的には、約1/2インチ〜約1インチサイズの範囲の異なるひき肉板を通して肉を挽き、最終製品に要求されるはっきりと識別可能な食餌小片を形成することによって製造される。
【0025】
組成物に含ませるために調製した食肉混合物または食肉成分は、概して、少なくとも約15重量%の蛋白質および約25重量%の脂肪を含む。例えば、1つの実施態様にて、食肉混合物は、その混合物が約15重量%〜約25重量%の蛋白質、約5重量%〜約15重量%の脂肪および約55重量%〜約75重量%の水を含むような1種以上の動物蛋白質源を含む。
【0026】
食肉混合物は、当業者公知のいずれかの適当な混合装置内で調製することができる。食肉成分を調製するための適した装置の例としては、二軸スクリューミキサー、二軸リボンミキサー、オーバラッピングパドルミキサーまたは、例えば、スクリュー/リボン/パドルのような組み合わせミキサーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
穀物成分は、1種以上の穀物の混合物を含む。適した穀物としては、例えば、燕麦繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルドライス、コーンスターチ、コーングルテンミールおよびそれらの混合物からなる群より選択される穀物が挙げられる。炭水化物源を適当に均衡させることによって、当業者が最終製品の組織構造を整えられるように注意することが重要である。例えば、短鎖ポリサッカライドは、粘着性でねばねばしやすく、より長鎖のポリサッカライドは、より短鎖のポリサッカライドよりも粘着性でなくねばねばしにくい。基本的には、このハイブリッド食餌の所望される組織構造は、より長鎖のポリサッカライドおよび改質澱粉、例えば、原生のまたは改質された澱粉、セルロース等によって実現される。
【0028】
穀物混合物は、追加的に、任意の成分、例えば、追加される塩、スパイス、調味料、ビタミン類、ミネラル類、香辛料、着色剤等を含んでもよい。任意の添加剤の量は、動物の異なる成長段階についての栄養摂取条件に少なくとも一部依存する。例えば、National Research Council(NRC)は、家畜動物についてこのような成分の推奨量を定めている。例えば、ブタの栄養分要求量(10th Rev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1998)、家禽の栄養分要求量(9thRev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1994)、馬の栄養分要求量(5th Rev.Ed.,Nat’l Academy Press,Wash.D.C.,1989)等参照。American Feed Control Officials(AAFCO)は、例えば、イヌおよびネコについてのこのような成分の推奨量を定めている。American Feed Control Officials,Inc.,Official刊行物pp.126-140(2003)参照。
【0029】
食餌添加物として概して有用なビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK、葉酸、イノシトール、ナイアシンおよびパントテン酸が挙げられる。食餌添加物として概して有用なミネラル類および微量元素としては、例えば、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、コリンおよび鉄塩が挙げられる。
【0030】
肉汁成分は、1種以上の増粘剤を水と約65℃〜約85℃(または約70℃〜約75℃)の温度で接触させることによって製造される。肉汁成分に使用される増粘剤としては、ガム、例えば、グアーガム;原生の澱粉および種々の改質された澱粉、例えば、熱および酸で処理された乾燥澱粉から製造されるデキストリン;ゲル化を抑制することのできる酸化された澱粉を得るための原生澱粉の次亜塩素酸塩による酸化;ペースティングおよびゲル化を遅延させることのできる酸または酵素加水分解されたポリサッカライド;凍結溶解安定性およびピーク粘度を提供することのできる、例えば、プロピレンオキシドまたは無水酢酸により架橋された澱粉および置換された澱粉;および、高フラクトースコーンシロップ;炭水化物、グルコースおよびサッカロースを挙げることができる。したがって、多数の望ましい結果、例えば、貯蔵寿命の安定性、プロセスコントロール、食感および口当たり、加熱酸安定性、剪断安定性および凍結溶解安定性は、改質の適切な選択を通して達成することができる。
【0031】
肉汁混合物の加熱は、例えば、例として、直接的な水蒸気注入によるか、または、熱交換器を備えた容器を使用することにより、いずれかの適当な方法を使用して達成することができる。
【0032】
肉汁成分は、概して、食肉成分、穀物成分および肉汁成分を一緒に混合する時に、適当な粘度を生ずるように選択された材料を含む。加工前の粘度は、本質的に均質な塊を生じ、かつ、組成物を容器内に入れる時(すなわち、充填する間)に、成分の分離を防止するために重要である。かくして、充填する段階で、3つの成分が均質なままであることが重要である。
【0033】
最終製品の食感を改善するように炭水化物のゲル化および水化を達成するかまたは本質的に達成するのに十分な時間および温度で、食肉成分、穀物成分および高温の肉汁を混ぜ合わせる。上記したように、本発明の方法は、加熱した肉汁を接触する前に、食肉成分または穀物成分の加熱を必要としない。かくして、食肉成分および穀物成分は、典型的には、約40℃未満、約25℃未満または約10℃未満の温度で調製される。例えば、1つの実施態様にて、食肉成分は、加熱した肉汁成分と接触させる前は、約0℃〜約5℃の温度を有する食肉スラリーを含む。
【0034】
食肉成分、穀物成分および加熱した肉汁成分は、いずれかの適当なミキサー内で接触される。適した混合装置の例としては、二軸スクリューミキサー、二軸リボンミキサーまたはオーバーラッピングパドルミキサーが挙げられる。個々の成分は、さらなる加工および容器内への分配のための単一な実体に確実に形成されるのに十分なほど激しく混合する必要がある。食肉成分、穀物成分および加熱した肉汁の混合の間の温度は、食餌のある一定の所望される食感を引き出すべく穀物/炭水化物のゲル化および水化を達成するかまたは本質的に達成するために、約25℃〜約45℃とする。ただし、追加の加熱は、必ずしも必要ではないかもしれない。
【0035】
最終混合物は、缶に充填され、缶は、ついで、密閉および滅菌される。この場合に、製品は、湿潤した外観を有する認識可能なはっきり識別される食肉小片を含む固形の塊を生ずる。所望される食感を有する本質的に均一なコロイド状の塊が生ずるまで、混合物に追加の水を加えてもよい。最終製品は、ついで、容器内に入れ、とじ合わせ、滅菌用にレトルトされる。
【0036】
本発明の組成物は、糖尿病に罹りやすいかまたは罹患したネコの糖尿病を予防または治療するために使用するのに適している。例えば、乾燥物質基準で測定して少なくとも約70重量%の食肉を含みかつ約15重量%未満の非繊維質炭水化物画分を有する本発明の組成物は、糖尿病に予め罹りやすくしたネコの血糖コントロールを処置するために食餌される。
【0037】
さらなる態様にて、本発明は、糖尿病を予防または治療するためのキットを提供する。キットは、キット構成部分に適した単一包装内の別個の容器またはバーチャル包装内の別個の容器内に、本発明のネコ食餌用の組成物と;(1) 1種以上の糖尿病薬および (2) 糖尿病を予防または治療するための1種以上の糖尿病薬と組み合わせるかまたは単独で本発明の組成物の使用方法の明細の1つ以上とを含む。キットがバーチャル包装を含む時に、キットは、1つ以上の物理的キット構成部分との組み合わせのバーチャル環境での明細に限定される。キットは、糖尿病を予防または治療するのに十分な量の組成物およびその他の構成部分を含有する。典型的には、組成物、糖尿病薬および/またはその他の適当なキット構成部分は、動物による食餌直前に混ぜ合わされる。キットは、種々の組み合わせおよび/または混合物のいずれかでキット構成部分を含むのがよい。1つの実施態様にて、キットは、1種以上の糖尿病薬と動物による食餌用の食餌容器とを入れる包みを含む。キットは、追加の品目、例えば、キット構成部分を混合するための装置または混合物を入れるための装置、例えば、食器(food bowl)を含むのがよい。もう1つの実施態様にて、組成物および/または糖尿病薬は、動物の健康を増進する追加の栄養補給物、例えば、ビタミン類およびミネラル類と混合される。
【0038】
もう1つの態様にて、本発明は、(1) 糖尿病を予防または治療するために本発明の組成物を使用し; (2) その組成物を本発明のその他の成分と混合し; (3) 本発明のその他の要素と組み合わせるかまたは単独でネコにその組成物を与え; (4) 本発明の方法を実施する1つ以上についての情報または明細を伝達する手段を提供する。その手段としては、情報または明細の入っている文書、デジタルストレージメディア、オプチカルストレージメディア、オーディオプレゼンテーションまたはビジュアルディスプレーが挙げられる。ある種の実施態様にて、伝達手段としては、情報または明細の入っている文書、デジタルストレージメディア、オプチカルストレージメディア、オーディオプレゼンテーションまたはビジュアルディスプレーが挙げられる。好ましくは、伝達手段は、このような情報または明細の入っている表示されるウェブサイトもしくはパンフレット、製品表示、包装挿入物、広告またはビジュアルディスプレーである。有用な情報としては、1種以上の(1)組成物および/またはその他の成分を組み合わせおよび与えるための方法および技術;および、(2)動物の飼育係りが本発明およびその使用について疑問を有する場合に使用するための動物飼育係り用のコンタクト情報が挙げられる。有用な明細としては、混合するための量および供与量ならびに頻度が挙げられる。伝達手段は、本発明を使用する利点について指示し、かつ、本発明を動物に施すための是認される方法を伝達するのに有用である。
【0039】
さらなる態様にて、本発明は、薬を調剤するための本発明の組成物の使用を提供する。もう1つの態様にて、本発明は、糖尿病に罹りやすいかまたは罹患したネコの糖尿病を予防または治療するための薬を調剤するためのこのような組成物の使用を提供する。概して、薬は、動物に投与するのに適した製剤および配合製剤を製造するために有用である当業者公知の賦形剤、緩衝剤、結合剤、可塑剤、着色剤、希釈剤、圧縮剤、滑剤、香辛料、湿潤剤およびその他の成分と、化合物または組成物を混ぜ合わせることによって調剤される。
【実施例】
【0040】
本発明は、その好ましい実施態様の以下の実施例によってさらに例示することができるが、これらの実施例は、特に断らない限り、単に例示する目的のみであり、本発明の範囲を限定する意図は何等ないものと理解されるであろう。
実施例1
【0041】
本実施例は、本発明の方法を使用するネコの食餌用の高食肉組成物の製造を示す。
【0042】
魚またはニワトリおよび食肉副次産物からの骨格筋を含む食肉ミックスは、リボン/パドルミキサー内で肉源を混合することによって調製した。
【0043】
穀物混合物は、穀物をビタミン類、ミネラル類、着色剤および香辛料と接触させることによって別個の混合物にて調製した。
【0044】
高温肉汁は、ついで、改質されたコーンスターチおよびグアーガムを、残りを構成する水/水蒸気と一緒に混合することによって調製した。肉汁は、ついで、Botswick Consistmeterで測定して、混合物が82℃(180°F)で標的粘度約20cm/30秒を達成するまで、約87℃(190°F)〜約93℃(200°F)の温度に加熱した。
【0045】
食肉混合物、穀物混合物および肉汁は、通常のミキサー内で合わせ、さらに加熱することなく、均一にブレンドした。食肉混合物、穀物混合物および肉汁のブレンド比は、それぞれ、75:2.5:18重量%であった。滅菌後に生ずる生成物は、ミートローフでもなくまたぶつ切り肉汁製品とも類似しない目視認識可能な食肉小片を含む栄養たっぷりのひき肉組織構造外観を有した。最終製品の組成を表1に示す。
【表2】

【0046】
本明細書にて、本発明の典型的な好ましい実施態様を開示し、具体的な用語を使用したが、それらの用語は、一般的かつ説明する意味においてのみ使用し、本発明を何等限定する意図はなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項に記載する。明らかなように、本発明の多くの変更および変形が、上記教示に照らして可能である。したがって、具体的な記載というよりもむしろ特許請求の範囲の請求項の範囲内で、本発明を実施することができることを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の動物、特に、ネコ食餌組成物の製造のための1つの実施態様としての製造工程を示す系統図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコの食餌用の組成物であって、少なくとも65重量%の食肉を含み、かつ、その容器の形状を呈する本質的に固形の塊を有する組成物。
【請求項2】
さらに、組成物の約10重量%未満の量の炭水化物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
さらに、1種以上の穀物を含む約2重量%〜約10重量%の穀物混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
穀物混合物が、燕麦繊維、セルロース、落花生殻、ビートパルプ、パーボイルドライス、コーンスターチ、コーングルテンミールおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の穀物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、約5重量%〜約25重量%の肉汁を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
肉汁が、コーンスターチ、グアーガム、グルコース、サッカロース、高フラクトースコーンシロップおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の増粘剤と水とを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、約15%未満の非繊維質炭水化物画分を有すると見なされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、約10%未満の非繊維質炭水化物画分を有するとみなされる、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、少なくとも約75重量%の食肉を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
食肉が、動物の筋肉;動物の骨格肉;動物の副次産物;および、筋肉、骨格肉および副次産物の混合物からなる群より選択される1種以上の肉源を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ネコの食餌用の食肉および炭水化物基体の組成物であって、少なくとも約70重量%の食肉を含み、かつ、約15重量%未満の非繊維質炭水化物画分を有する組成物。
【請求項12】
さらに、燕麦繊維、セルロース、落下生殻、ビートパルプ、パーボイルドライス、コーンスターチ、コーングルテンミールおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の穀物を含む約2重量%〜約10重量%の穀物混合物を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらに、コーンスターチ、グアーガム、グルコース、サッカロース、高フラクトースコーンシロップおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の増粘剤と水とを含む約5重量%〜約25重量%の肉汁を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、少なくとも約75重量%の食肉を含み、かつ、約10重量%未満の非繊維質炭水化物画分を有するとみなされる、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
その容器の形状に実質的に一致する本質的に均質な塊を有する食肉および炭水化物基体のネコ食餌組成物を製造するための方法であって、本質的に均質な塊を製造するのに十分な温度で、食肉成分、穀物成分および加熱した肉汁成分を一度に接触させる工程を含み、その組成物が、少なくとも約65重量%の食肉を含む方法。
【請求項16】
食肉成分の温度が、加熱した肉汁と接触させる前は、約40℃未満である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
加熱した肉汁成分を約65℃〜約85℃の温度にしてから、食肉成分または穀物成分を接触させる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
食肉成分が、動物の筋肉;動物の骨格肉;動物の副次産物;筋肉、骨格肉および副次産物の混合物からなる群より選択される1種以上の肉源を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
穀物成分が、燕麦繊維、セルロース、落下生殻、ビートパルプ、パーボイルドライス、コーンスターチ、コーングルテンミールおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の穀物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
加熱した肉汁が、コーンスターチ、グアーガム、グルコース、サッカロース、高フラクトースコーンシロップおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の増粘剤と水とを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
請求項15に記載の方法の製造物。
【請求項22】
糖尿病に罹りやすいかまたは罹患したネコの糖尿病を予防または治療するための方法であって、少なくとも65重量%の食肉を含み、かつ、その容器の形状を呈する本質的に固形の塊を有する組成物をそのネコに食餌する工程を含む方法。
【請求項23】
糖尿病に罹りやすいかまたは罹患したネコの糖尿病を予防または治療するための方法であって、少なくとも約70重量%の食肉を含み、かつ、約15重量%未満の非繊維質炭水化物画分を有する組成物をそのネコに食餌する工程を含む方法。
【請求項24】
糖尿病に罹りやすいかまたは罹患したネコの糖尿病を予防または治療するための方法であって、請求項15に記載の方法の製造物をそのネコに食餌する工程を含む方法。
【請求項25】
糖尿病を予防または治療するのに適したキットであって、キット構成部分に適した単一包装内の別個の容器またはバーチャル包装内の別個の容器内に、本発明のネコの食餌用の組成物と;(1) 1種以上の糖尿病薬および(2) 糖尿病を予防または治療するための1種以上の糖尿病薬との組み合わせかまたは単独で本発明の組成物の使用方法の明細の1つ以上とを含むキット。
【請求項26】
(1)糖尿病を予防または治療するために本発明の組成物を使用し;(2) その組成物を本発明のその他の成分と混合し;(3) 本発明のその他の要素と組み合わせるかまたは単独でネコにその組成物を与え;(4) 本発明の方法を実施する1つ以上についての情報または明細を伝達するための手段。
【請求項27】
表示されるウェブサイト、パンフレット、製品表示、包装挿入物、広告またはビジュアルディスプレーからなる群より選択される、請求項26に記載の手段。
【請求項28】
少なくとも約65重量%の食肉を含み、かつ、その容器の形状を呈する本質的に固形の塊を有する組成物のネコの糖尿病を予防または治療するための製剤を製造するための使用。
【請求項29】
組成物が、さらに、組成物の約10重量%未満の量の炭水化物を含む、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
組成物が、さらに、1種以上の穀物を含む約2重量%〜約10重量%の穀物混合物を含む、請求項28に記載の使用。
【請求項31】
穀物混合物が、燕麦繊維、セルロース、落下生殻、ビートパルプ、パーボイルドライス、コーンスターチ、コーングルテンミールおよびそれらの混合物からなる群より選択される1種以上の穀物を含む、請求項28に記載の使用。
【請求項32】
ネコの食餌用の食肉および炭水化物基体の組成物を製造するための方法であって、1種以上の肉源を含む食肉混合物を調製し;1種以上の穀物を含む穀物混合物を調製し;水と1種以上の増粘剤との混合物を加熱して高温スラリーを調製し;本質的に均質な塊を生じさせるのに十分な温度で、食肉混合物、炭水化物混合物および高温スラリーを一度に接触させる各工程を含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−526211(P2008−526211A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549657(P2007−549657)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/047466
【国際公開番号】WO2006/074091
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】