説明

ネットシート及びその枠体の製造方法

【課題】部品点数を極力抑えつつ、サイドサポートを簡単に形成することにある。
【解決手段】ネットシート2は、そのシートフレーム10に、ネットシート2の着座側を形成する枠体20が取付けられて構成されており、この枠体20に、着座面を構成するネット体22を張設するとともに、枠体20側部にサイドサポート部24を一体的に設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドサポートを備えるネットシート(乗員の着座面をネット体で構成した車両用シート)及びその構成要素である枠体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のネットシートとして、特許文献1に開示のネットシートが公知である。このネットシートは、シートバックの側方骨格をなす一対の側方フレームと、一対の側方フレームを覆う袋状のネット体を備えており、ネットシートの着座側が、一対の側方フレーム前側を覆うネット体で構成されている。そしてこのネット体の裏面側(着座面の裏側)には、一対の側方フレーム近傍位置に吊り部材が各々取付けられている。
そして一対の側方フレーム近傍の吊り部材を、各々ネット体内側の固定側部材に吊込み状に固定する。こうすることで、ネット体をシート内側で凹状とする(着座面とする)一方、側方フレーム両側付近のネット体を着座面に対して膨出状とする(サイドサポートを構成する)ことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−70592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の公知技術では、サイドサポートの形成において吊り部材が必須となる。そしてこの吊り部材を、シート内部の固定側部材に取付ける作業(サイドサポートの形成作業)が思いのほか面倒であった。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、部品点数を極力抑えつつ、サイドサポートを簡単に形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段として、第1発明のネットシートは、そのシートフレームに、ネットシートの着座側を形成する枠体が取付けられて構成されている。そしてこの枠体に、着座面を構成するネット体を張設するとともに、枠体側部にサイドサポート部を一体的に設けることとした。
このような構成であると、ネットシートのシートフレームに枠体を取付けるだけで、着座面をネット体で構成すると同時にサイドサポートを形成することができる。
【0006】
そして第2発明のネットシートは、第1発明に記載のネットシートであって、枠体側部に、可撓性を備える板状のサイドサポート部が、着座面よりもシート前側に張出して設けられている。そしてこの板状のサイドサポート部を、その固定縁側で着座面に対して膨出状としたのちヒンジ部で曲折する。そしてサイドサポート部の自由縁端を、着座側とは異なるシートフレーム後部側に取付けることで、サイドサポートを見栄えよく形成することができる。
【0007】
そして第3発明の製造方法では、ネット体を配置可能な第一型と、第一型に対して型閉じ可能な第二型と、第二型に向けて進退可能なスライド型とを備える成形金型を用いる。
この成形金型は、第一型に対して第二型を型閉じして、ネット体一部周りに(枠体の形状に対応する)第一キャビティを形成するとともに、第二型に対してスライド型を型閉じして、第一キャビティ側部一部から第二型側に張出す(サイドサポート部の形状に対応する)第二キャビティを形成する構成である。
【0008】
そして本製造方法では、第一型に配置したネット体を張設状態としつつ、ネット体の縁部を、第一型に配置されたネット体とは上下方向に異なる位置で固定する。こうすることで、ネット体に極力緩みを生じさせることなく安定した張設状態とすることができる。
そして第二型に対してスライド型を型閉じするとともに、第一型に対して第二型を型閉じして、第一キャビティ内に樹脂を射出して枠体を成型するとともに、第一キャビティから第二キャビティに樹脂を導入してサイドサポート部を成型する(一体成形する)ことができる。
【0009】
本発明の第1発明によれば、部品点数を極力抑えつつ、サイドサポートを簡単に形成することができる。また第2発明によれば、見栄えのよいサイドサポートを形成できる。
そして第3発明によれば、第1発明又は2発明のネットシートの枠体を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図6を参照して説明する。各図では、車両用シート前側に符号F、車両用シート後側に符号Bを適宜付すこととする。
[実施例1]
本実施例のネットシート2は、図1を参照して、シートクッション4に起倒可能に取付けられたシートバック6を備える。そして本実施例では、シートバック6の着座面にネット体22(典型的には網目状の織物)を張設するとともに、シートバック6側部にサイドサポートを形成するのであるが、その張設及び形成作業は、余分な部材を極力用いることなく且つ簡単であることが望ましい。
そこで本実施例では、シートバック6のフレーム(バックフレーム10)に組み付け可能な後述する枠体20を用いることにより、部品点数を抑えつつ、シートバック6にサイドサポート(サイドサポート部24)を簡単に形成する構成を採用したものである。
【0011】
(バックフレーム)
本実施例のバックフレーム10は、図2を参照して、正面視略長方形状のフレーム枠であり、側面視でその両側下部が、シート前側Fに幅広とされた凸曲形状とされている。
そしてバックフレーム10両側の上部には、後述する枠体20をビス止めするための第一ビス孔14が各々設けてあり、下部には、後述するサイドサポート部24を係止するための係止孔16(シート上下方向に縦長な長方形状)が各々設けてある。
そして図3を参照して、バックフレーム10は縦断面略S字状をなしており、バックフレーム10のシート前側F(着座側)が、縦断面で見てシート側方に向けて折り返し状(折り返し端12)とされている。そしてこの折り返し端12に後述する枠体20が組付けられる。
【0012】
(枠体)
そして枠体20は、ネットシート2の着座側(シート前側F)を形成する部材である。本実施例の枠体20は、図2を参照して、上述のバックフレーム10の形状と対応した正面視略長方形状を有し、典型的にはポリプロピレンなどの樹脂成型品である。
そして枠体20両側の上部には、上述のバックフレーム10の第一ビス孔14形成位置に対応させて、第二ビス孔29が各々設けてある。
そして図3を参照して、枠体20後面には、上述のバックフレーム10を組付けるための組付け凹部21が形成されている。この組付け凹部21は、枠体20裏面に連続状に形成されており、上述のバックフレーム10の着座側(折り返し端12)を嵌め込み可能な大きさ寸法とされている。
【0013】
そして本実施例では、この枠体20に、着座面を構成するネット体22が張設されるとともに、後述のサイドサポート部24が形成されている。
本実施例のネット体22は、枠体20の内側(中空状)に張設されており、ネット体縁部22Lが枠体20内面に一体化されて固定されている。より詳しくは、ネット体縁部22Lの網目に枠体20(枠体20を構成する樹脂)が入り込むことで、ネット体縁部22Lと枠体20が一体化されて構成されている。
【0014】
(サイドサポート部)
そして枠体20の両側下部には、図2を参照して、可撓性を備える板状の一対のサイドサポート部24,24が各々着座面(ネット体22)よりもシート前側Fに張出して設けられている。本実施例のサイドサポート部24は、シート上下方向に幅広な平板状とされており、その一縁端側(固定縁側)が、上述の枠体20と一体化されて構成されている(典型的には樹脂製の一体成型品である)。
そしてサイドサポート部24は、図3を参照して、その自由縁端(24f)に向かう途中で若干シート後方に湾曲しており、後述するように、自由縁端(24f)をシート後側Bに湾曲させやすい形状とされている。
【0015】
そしてサイドサポート部24は、サイドサポート部24を曲折可能なヒンジ部26と、サイドサポート部24の自由縁端(24f)をバックフレーム10後部に取付け可能な係止爪28(取付け部の一例)を備える。
このヒンジ部26は、サイドサポート部24裏面の途中に設けたシート上下方向に延びる溝部である。また係止爪28は横断面略三角状とされて、自由縁端(24f)先端に設けてあり、シートバック6の係止孔16(縁部)に係止め可能な返しが形成されている。
【0016】
(枠体の取付け作業)
まず図1及び図2を参照して、枠体20の組付け凹部21に、バックフレーム10(折り返し端12)を嵌め込んだのち、枠体20上部に設けた第二ビス孔29を、上述のバックフレーム10の第一ビス孔14に重ね合わせてビス止め(ビス18)して固定する。
次に図3を参照して、枠体20下部に設けた一対のサイドサポート部24,24を、それらの固定縁側で着座面側に対して膨出状としたのちヒンジ部26で曲折する。
そしてサイドサポート部24の自由縁端(24f)を着座側とは異なるバックフレーム10後部側に取付ける。このとき自由縁端(24f)先端の係止爪28を、バックフレーム10後部側に設けた係止孔16に挿入して、バックフレーム10裏面で係止孔16周縁に係止する。
こうすることで、バックフレーム10に枠体20を取付けるとともに、湾曲状のサイドサポート部24をネットシート2側部に簡単に形成することができる。
【0017】
このように本実施例では、上述のネット体22及びサイドサポート部24を一体的に備える枠体20を用いることにより、部品点数を抑えつつ、シートバック6にサイドサポート部24を簡単に且つ見栄えよく形成することができる。
ところで図3を参照して、枠体20側部には、後述する枠体20の製造方法の関係上、ネット体22の切取り跡22Sが現れることがある。このとき本実施例では、上述の曲折状のサイドサポート部24によって枠体20側部(切取り跡22S)が覆い隠される構成である。このため本実施例によれば、仮に切取り跡22Sが形成される製造方法を採用したとしても、見栄えのよいサイドサポート部24を形成することができる。このため仮に、サイドサポート部24以外の枠体20に現れた切取り跡22Sをカバー部材等で隠すこととしても、サイドサポート部24形成箇所では、サイドサポート部24自身が切取り跡22Sをカバーすることができる。
【0018】
[実施例2]
実施例2の基本構造は、実施例1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
そして本実施例のネットシート2aは、図4を参照して、サイドサポート部24aをより簡単に形成可能な構成を備える。すなわちネットシート2aの枠体20aには、短尺な板状のサイドサポート部24aが張出し状に設けられている。そしてこのサイドサポート部24aは、横断面で見て着座面側に対して凸曲面状に膨出する形状である。
そして本実施例では、枠体20a後面の取付け凹部21にバックフレーム10(折り返し端12)を嵌め込み、両者の上部及び下部を各々ビス止めする。このようにネットシート2aは、バックフレーム10に枠体20aをビス止めするだけで、着座面をネット体22で構成すると同時にサイドサポート部24aをより簡単に形成することができる。
【0019】
[枠体の製造方法]
(成形金型)
そして本実施例では、図5を参照して、ネット体22を載置可能な第一型50と、第一型50に対して型閉じ可能な第二型60と、第二型60に向けて進退可能なスライド型70とを備える成形金型40を使用する。この成形金型40は、図6を参照して、第一型50と第二型60を閉じ合わせたときの縦断面が略横Hをなし、その側部にスライド型70が進入可能な隙間(成形金型40側部の隙間)が設けてある。
そして成形金型40は、後述するように、第一型50に対して第二型60を型閉じして、ネット体22一部周りに(枠体20(20a)の形状に対応する)第一キャビティ42を形成する(図3及び図4を参照)。さらに成形金型40は、第二型60に対してスライド型70を型閉じして、第一キャビティ42側部から第二型60側に張出す(サイドサポート部24(24a)の形状に対応する)第二キャビティ44を形成する構成である。
【0020】
(第一型及び第二型)
そして本実施例の第一型50は、図5を参照して、平板状の基台52上に配置しており、第一型50周りの基台52(第一型50より低位置)には複数の留め具54が配置されている。そして第一型50の型合わせ面には、第一キャビティ42の下半分を象った第一キャビティ一部42Aが設けられている。
一方、第二型60の型合わせ面には第一キャビティ42の上半分を象った第一キャビティ他部42Bが設けられている。そして図6を参照して、第一型50に対して第二型60を型閉じすることで、ネット体22一部周りに第一キャビティ42を形成することができる。
【0021】
(スライド型)
そして本実施例の第二型60両側方には、図5を参照して、油圧シリンダ80によって第二型60側部(第二キャビティ44形成位置)に向けて進退可能な一対のスライド型70,70が配置されている。本実施例のスライド型70は、第二型60と型閉じ可能な型閉じ部72(前側が縦断面略凸曲状)と、この型閉じ部72よりも下方に張出す押圧部74(縦断面略長方形状)を備える。そして押圧部74の上下長さ寸法は、上述した成形金型40側部の隙間の上下間隔寸法と略同一であり、第一型50と第二型60を型閉じした際に、第一型50の基台52表面と若干の隙間を残して対面する構成である。
【0022】
そしてスライド型70と対面する第二型60側部の閉合わせ面には、第一キャビティ42側部で第二型60側に穿設された半円状の空間部44exが象られている。
そして図6を参照して、第二型60に対してスライド型70を型閉じする際に、略凸曲面状の型閉じ部72を空間部44exの途中まで侵入させて、第一キャビティ42側部より第二型60側に張出す湾曲長方形状の第二キャビティ44を形成する構成である。
【0023】
(枠体の製造)
そして本製造方法では、図6(a)を参照して枠体20aを製造する例を説明する。
先ず、第一型50に載置したネット体22を張設状態としつつ、その縁部を、第一型50よりも低位置の基台52の留め具54に固定する。このとき、留め具54と第一型50間のネット体22Tを緊張状態としておくことで、第一型50上のネット体22に極力緩みを生じさせることなく安定した張設状態とすることができる。
【0024】
つぎに図6(b)を参照して、第二型60に対してスライド型70を型閉じしたのち、第一型50に対して第二型60を型閉じする。このときスライド型70の押圧部74が、留め具54と第一型50間のネット体22T(緊張状態)を下方に押付けつつ、基台52表面に当接する。こうすることで第一型50上のネット体22を、着座面を構成するための好適な張設状態とすることができる。この状態で、第一型50を貫通するゲート56から第一キャビティ42内に溶融樹脂を射出して枠体20aを成型する。このとき第一キャビティ42内に流入した溶融樹脂は、張設状態のネット体(網目)を通過して第一キャビティ42内に満たされる。そして第一キャビティ42に充填された溶融樹脂は、第一キャビティ42に連通する第二キャビティ44に流入する。このように、第一キャビティ42から第二キャビティ44に溶融樹脂を導入してサイドサポート部24aを一体成型する。
【0025】
そして成形金型40から枠体20aを取り出したのち、枠体20aからはみ出るネット体22の縁部を除去することで(図3の切取り跡22Sを参照)、本実施例の枠体20aを製造することができる。このように本実施例の枠体20aの製造方法によれば、ネット体22の張設状態を良好に維持しつつ、ネットシート2aの枠体20aを簡単に製造することができる。
【0026】
本実施形態のネットシート2(2a)の構成及び枠体20(20a)の製造方法は、上述した実施例に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施例では、シートバック6(専ら着座者の腰部を側方から支持する腰部用のサイドサポート部24)を一例として説明したが、本実施例の枠体20は、シートクッション4にも適用可能な技術である。すなわち本実施例の枠体20を用いることで、シートクッション4の着座面をネット体22で構成するとともに、シートクッション4の両側に、乗員の大腿部を側方から支持するサイドサポート部を容易に形成することができる。
またネットシート2は、シートクッション4とシートバック6に各々本実施例の枠体を取付けて構成してもよい。
【0027】
(2)また実施例1では、サイドサポート部24とバックフレーム10の間に空間が形成される構成である。すなわちサイドサポート部24裏面とバックフレーム10の間にアタッチメント(例えばエアバック)を収納可能な空間が自然に形成される(サイドサポート部24内を収納空間として有効利用できる)構成である。このためサイドサポート部24内(サイドサポート部24とバックフレーム10の間の空間内)に例えばエアバックを収納する構成としてもよい。
そしてエアバックを予めバックフレーム10に取付けておくと、サイドサポート部24をバックフレーム10に取付けることで、同時にサイドサポート部24内にエアバックを収納できるので好ましい。
そして車両衝突(側突)時にエアバックが膨張することで、サイドサポート部24の膨出状部位がそのヒンジ部26(溝部)より裂け割れして、サイドサポート部24の膨出方向(ネットシート2の着座側)にエアバックが飛び出すこととなる。
【0028】
(3)また本実施例では、専ら板状のサイドサポート部24(24a)を例示したが、サイドサポート部の形状を限定する趣旨ではない。すなわちサイドサポート部は、着座面側に対して膨出状であればよく、例えば横断面で見て、半円,円状,半楕円状,楕円状などの流線形状や、三角形状(R付け三角形状)や四角形状(R付け四角形状)などの多角形状(R付け多角形状)であってもよい。
(4)また本実施例では、サイドサポート部24の係止爪28をバックフレーム10の係止孔16に挿入係止する例を説明した。これとは異なり、サイドサポート部24の自由縁端(24f)側に、バックフレーム10後部側の折り返し端(フレーム内側向きの折り返し端)に係止め可能な係合爪を設けてもよい。またサイドサポート部24の自由縁端(24f)を、バックフレーム10にボルト止めする構成としてもよく、接着して固定してもよい。すなわちサイドサポートの自由縁端(24f)を取付ける手段は、バックフレーム10の形状などに併せて各種の方法を適用することができる。
【0029】
(5)また本実施例では、バックフレーム10に対する枠体20の固定手段としてビス止めする例を示したが、その他にボルト止めやクリップ止めなどの各種物理的固定手段や接着手段を使用することが可能である。
(6)また本実施例のネット体22は、少なくとも乗員の着座面が専らネット素材で形成されていればよい。すなわちネット体22の着座面以外の部分は、ネット素材で構成されていてもよく、ネット素材とは異なる素材の表皮材で構成されていてもよい。
【0030】
(7)また本実施例では、ネット付きの枠体20を一体成型する例を説明したが、本実施例の枠体20の製造方法を限定する趣旨ではない。例えば、枠体20の下半分(第一キャビティ一部42Aにて成形)と、枠体20の上半分(第一キャビティ他部42Bにて成形)を別々に形成する。そして張設状態のネット体22を、これら反割りした枠体で挟み付けたのち、各枠体の対面を融着して一体化してもよい。また同様にサイドサポート部24を別に成型したのち枠体20に融着してもよい。このような融着による製造方法によれば、反割の枠体からネット体22をはみ出させることなく枠体を製造することができる(切取り跡22Sが現れない)。
【0031】
(8)また本実施例では、下方に配置した第一型50(固定型)にネット体22を載置して、その縁部を、第一型50よりも低位置(「第一型に配置されたネット体とは下方向に異なる位置」)に固定する例を説明した。これとは異なり、上方に配置した第一型50(移動型)にネット体22を配置して、その縁部を、第一型50よりも高位置(「第一型に配置されたネット体とは上方向に異なる位置」)に固定する構成としてもよい。
また第一型50の下部周縁周り(「第一型に配置されたネット体とは下方向に異なる位置」)にネット体22縁部を固定することで、基台52を省略した簡単な構成としてもよい。
(9)また本実施例では、第一型50に載置したネット体22の縁部を固定する手段として留め具54を使用する例を説明した。これとは異なり、ネット体22の縁部を、ボルト止め、ビス止めやクリップ止めなどの各種物理的固定手段や、接着手段での固定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】車両用シートの斜視図である。
【図2】シートバックの分解斜視図である。
【図3】図1のIII-III線縦断面図である。
【図4】別例のシートバックの縦断面図である。
【図5】製造金型の斜視図である。
【図6】(a)は、型開け時の製造金型の概略縦断面図であり、(b)は、型閉じ時の製造金型の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
2 ネットシート
4 シートクッション
6 シートバック
10 バックフレーム
16 係止孔
20 枠体
22 ネット体
22L ネット体縁部
22S 切取り跡
24 サイドサポート部
26 ヒンジ部
28 係止爪
40 成形金型
42 第一キャビティ
44 第二キャビティ
50 第一型
52 基台
54 留め具
60 第二型
70 スライド型
72 型閉じ部
74 押圧部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を側方から支持するサイドサポートを備えるとともに、前記乗員の着座面をネット体で構成したネットシートにおいて、
前記ネットシートは、そのシートフレームに、前記ネットシートの着座側を形成する枠体が取付けられて構成されており、
前記枠体に、前記着座面を構成するネット体を張設するとともに、前記枠体側部にサイドサポート部を一体的に設けたネットシート。
【請求項2】
前記枠体側部に、可撓性を備える板状の前記サイドサポート部が前記着座面よりもシート前側に張出して設けられており、
前記サイドサポート部を、その固定縁側で前記着座面に対して膨出状としたのちヒンジ部で曲折して、前記サイドサポート部の自由縁端を前記着座側とは異なるシートフレーム後部側に取付け可能な構成とした請求項1に記載のネットシート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した枠体の製造方法であって、
前記ネット体を配置可能な第一型と、前記第一型に対して型閉じ可能な第二型と、前記第二型側部に向けて進退可能なスライド型とを備え、
前記第一型に対して前記第二型を型閉じして、前記ネット体一部周りに第一キャビティを形成する一方、前記第二型に対して前記スライド型を型閉じして、前記第一キャビティ側部一部から前記第二型側に張出す第二キャビティを形成する金型装置を用いて、
前記第一型に配置した前記ネット体を張設状態としつつ、前記ネット体の縁部を、前記第一型に配置された前記ネット体とは上下方向に異なる位置で固定して、
前記第二型に対して前記スライド型を型閉じするとともに、前記第一型に対して第二型を型閉じして、前記第一キャビティ内に樹脂を射出して前記枠体を成型するとともに、前記第一キャビティから第二キャビティに樹脂を導入して前記サイドサポート部を成型する枠体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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