説明

ネットワークにおいて資源を割り当てるための方法および装置

【課題】ARQプロトコルに基づくネットワークで効率的資源割り当ての実現。
【解決手段】送信機は受信機にPDUを送信し、送信機ARQスライディングウインドウを管理する。受信機は送信機に1つあるいは複数のFBIメッセージを返送し、受信機ARQスライディングウインドウを管理する。送信機は、FBIメッセージの受信時に、受信されたフィードバック応答ステータス情報に従って、そのARQスライディングウインドウを更新し、そのARQスライディングウインドウに基づいてPDUを再送する。RRMユニットはFBIメッセージを受信し、そのメッセージに従って更新される拡張ARQスライディングウインドウを管理する。RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、計算された順方向資源の量および逆方向資源の量を送信機に割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の背景]
[1.技術分野]
本発明は、包括的には通信ネットワークに関し、より詳細には、ARQプロトコルに基づくネットワークにおいて資源を割り当てることに関する。
【0002】
[2.関連技術]
無線ネットワークあるいは電力線(power line)ネットワークのような、比較的誤りのレベルが高い傾向があるネットワークは、一般的に、誤ったデータを再送するために、データリンク層(LL)内に誤り制御(EC)ユニットを組み込む。そのようなシステムでは、媒体アクセス制御(MAC)層が、物理(PHY)層によって与えられる資源を異なるユーザ間で分配することを担当する。
【0003】
当業者によく知られているいくつかの方式は、MACプロトコルおよびMAC時間フレーム(MTF)を用いる、集中管理式の時分割多元接続(TDMA)方式に基づく。以下のセクションでは、このタイプの方式の基本原理を説明する。
【0004】
そのような方式では、互いに通信することができる局装置(STA)が、1つのセル内にグループ化される。無線資源管理(RRM)ユニットと呼ばれる特定のエンティティが、そのセル内のSTA間で、PHY層によって与えられる資源を分配するための役割を担う。TDMA方式では、時間が一連のMTFに分割され、各MTFは、「専用タイムスロット」と呼ばれるいくつかの予約された時間インターバルを含む。STAに割り当てられるPHY資源は1つあるいは複数の専用タイムスロットを含み、その専用タイムスロットにおいて、STAは伝送媒体上でデータを送信することができる。専用タイムスロットは可変の持続時間を有することができ、かつ、STAの要件に従ってMTF毎に動的に与えられる。MACレベルでは、STAが、1つの専用タイムスロットにおいて、そのプロトコルスタックの上位層から受信されるデータトラフィックを送出することができる。さらに、STAは、たとえばMACあるいはECユニットのような、LLに含まれる種々のモジュールによって生成されるシグナリングメッセージを、宛先STAに、またはRRMユニットに送信することもできる。STAは、資源要求(RR)メッセージと呼ばれる特定のMACシグナリングメッセージを通して、RRMユニットに対してその資源要件を指示する。これらの要件に従って、RRMユニットは、各MTF内に含まれるPHY資源を分配する。
【0005】
上位層に誤りのないサービスを提供するために、自動再送要求(ARQ)プロトコルに基づくECユニットを実行して、信頼性のあるプロトコルデータユニット(PDU)伝送を確保することができる。従来では、ARQプロトコルは、PDUを送信するSTA、すなわち送信機と、これらのPDUを受信するSTA、すなわち受信機とに共通のPDUの識別情報を基にする。そのようなプロトコルによれば、この識別情報を用いて、受信機が、いわゆるフィードバック情報(FBI)メッセージを通して、どのPDUが正確に受信されていないかを送信機に対して指示することができるようにする。結果として、これらのFBIメッセージの受信時に、送信機はPDU再送を実行することができる。PDU識別情報は典型的には、各PDUに固有のシーケンス番号(SN)である。一般的に、このSNは、考慮される層によってのみ取り扱われる。
【0006】
PDUが送出される度にFBIメッセージを待つことによって、送信を中断するのを避けるために、一般的にはスライディングウインドウ機構が導入される。そのようなスライディングウインドウ機構では、送信機は、送信するのを許されるSNのリストを管理し、受信機は、受信する準備ができているSNのリストを管理する。これらのリストはそれぞれ、PDUのウインドウと考えられる。送信機では、そのようなウインドウ内にあるPDUのみを送出することができる。
【0007】
図1は、従来技術による、一般的に用いられているARQ方式を示す。そのシステムはRRMユニット10を備える。送信機ARQユニット11および受信機ARQユニット12が、それぞれ送信機および受信機に関連付けられる。簡単にするために、1つのデータフロー15だけを考える。PDUを送信するために用いられる方向は「順方向」と呼ばれ、一方、送信されたPDUについてのフィードバック情報を返送するために用いられる反対方向は「逆方向」と呼ばれる。
【0008】
送信機ARQユニット11は、RRメッセージ13を送信し、RRMユニット10に対して初期PDU送信のための資源を要求する。送信機ARQユニット11は、RRMユニット10によって送信機ARQユニット11に割り当てられた資源を用いて、PDU15を受信機ARQユニット12に送信する。一方、受信機ARQユニットはRRMユニット10にRRメッセージ16を送信し、FBIメッセージ送信のための資源を要求する。送信されたPDUの受信時に、受信機ARQユニットは、RRMユニットによって受信機ARQユニットに割り当てられた資源を用いて、FBIメッセージ14を送信する。
【0009】
無線ネットワークあるいは電力線ネットワークのような、誤りを生じやすいシステムでは、既に述べられたように、MAC層にECユニットが導入され、多くの場合にARQ方式が実施される。図1に対する上記の解説の結果として、そのようなARQ方式は、シグナリングオーバーヘッドを生じる。実際には、送信機ARQユニットおよび受信機ARQユニットは、それぞれPDUまたはFBIメッセージを送信するために、RRメッセージを用いてRRMユニットから資源を要求する。この付加的なシグナリングオーバーヘッドの結果として、待ち時間が発生し、余分な帯域幅が消費されることとなる。
【0010】
選択的ARQ(SARQ)方式を実施することにより、資源の使用および転送待ち時間を制限することが提案されている。そのような方式によれば、正確に受信されなかったPDUは、受信機によって個別に通知され、送信機によって再送される。そのようなSARQ方式は、送信機ARQスライディングウインドウに含まれる全てのPDUではなく、正確に受信されなかったPDUだけが再送されるので、PDUの再送を最小限に抑える。
【0011】
しかしながら、PDUの再送のために必要とされる帯域幅を最小限に抑えても、そのようなSARQプロトコルを実行するために、シグナリングメッセージに用いられる資源の量を減らすことはできない。さらに、転送遅延がより大きくなる可能性がある。
【0012】
上記のことから、結果として、ARQプロトコルに基づくネットワークにおいて効率的な資源割当てを適用することは難しい。
【0013】
[発明の概要]
したがって、本発明の目的は、全てのデータをやりとりするための伝送リンク上での転送遅延を制限しながら、集中管理式のTDMA方式に基づいて資源を割り当てる方式を提案する。そのような方式では、時間が一連の時間フレーム(TF)に分割される。
【0014】
第1の態様において、本発明は、ネットワークにおいて資源を割り当てる方法を提案する。このネットワークは、
送信機ARQユニットに関連付けられ、ARQプロトコルに従ってPDUを送信するための少なくとも1つの送信機と、
受信機ARQユニットに関連付けられ、上記送信されたPDUを受信し、かつ送信機に対して、上記送信されたPDUを正確に受信したか否かを通知するフィードバック応答ステータス情報を含む、1つあるいは複数のフィードバック情報(FBI)を返送することにより、PDUにそれぞれ応答するための少なくとも1つの受信機と、
一連の時間フレーム(TF)を与えるTDMA方式に基づいて送信機および/または受信機に資源を割り当てるための無線資源管理(RRM)ユニットとを備える。
上記方法は、
送信機ARQユニットがPDUを受信機に送信し、まだ応答されていない送信された最も古いPDUに対応する下端と、送信されることになる次のPDUに対応する先端とを有する送信機ARQスライディングウインドウを管理するステップと、
受信機ARQユニットが、上記PDUを受信した際に、まだ正確に受信されていない最も古いPDUに対応する下端と、最後に正確に受信されたPDUに対応する先端とを有する受信機ARQスライディングウインドウを管理するステップと、
受信機ARQユニットが、上記PDUを受信した後に、送信機に1つあるいは複数のFBIメッセージを返送するステップと、
送信機ARQユニットが、上記FBIメッセージを受信した際に、その中で受信されたフィードバック応答ステータス情報に従って送信機ARQスライディングウインドウを更新し、こうして更新された送信機ARQスライディングウインドウに基づいて受信機によって正確に受信されなかったものと解釈されるPDUを再送するステップとを含む。この方法において、
RRMユニットもFBIメッセージを受信し、その中で受信されたフィードバック応答ステータス情報に従って更新される下端および先端を有する、拡張ARQスライディングウインドウを管理し、
RRMユニットは、初期PDU送信および/またはPDU再送のために送信機に対して順方向資源の量を割り当て、FBIメッセージを返送するために受信機に対してフィードバック資源の量を割り当て、順方向資源の量およびフィードバック資源の量は拡張ARQスライディングウインドウに基づいて計算される。
【0015】
RRMユニットがTF毎に拡張ARQスライディングウィンドウを管理することが有利である。送信機が初期PDU送信のために、PDUの数nに対応する量の資源が要求される。続いて、数nに従って拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの先端が更新され、1つあるいは複数のFBIメッセージを受信する際に、拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの下端が更新される。
【0016】
RRMユニットは、TFを与えるTDMA方式に基づいて資源を割り当てる。本発明は任意の構造のTFを含む。現在のTFでは、同じ現在のTFの順方向資源を通して送信されるPDUについてのフィードバック応答ステータス情報を送信するために、フィードバック資源が割り当てられる場合があるか、または先行するTFの順方向資源を通して送信されるPDUについてのフィードバック応答ステータス情報を送信するために、フィードバック資源が割り当てられる場合がある。本発明の一実施形態では、拡張ARQスライディングウインドウが、TF構造のタイプに従って更新される。こうして、フィードバック資源が現在のTFに先行するTFの順方向資源に対応するときに、拡張ARQスライディングウインドウの先端を更新する前に、RRMユニットは現在のTFにおいてフィードバック資源の量を計算しかつ割り当てる。フィードバック資源が現在のTFの順方向資源に対応するときに、拡張ARQスライディングウインドウの先端を更新した後に、RRMユニットはフィードバック資源の量を計算しかつ割り当てる。
【0017】
送信機は、ARQプロトコルに従って、送信機ARQスライディングウインドウ内の各PDUと、フィードバック応答ステータスフラグを関連付けることが好ましい。こうして、送信機は、正確に受信されなかったことを指示するフィードバック応答ステータスフラグに関連付けられるPDUだけを再送することができる。こうして、本発明の一実施形態では、送信機ARQスライディングウインドウは、ARQプロトコルに従って、フィードバック応答ステータスフラグに関連する未処理の各PDUの参照を含む。別の言い方をすれば、未処理のPDU毎に、そのようなフィードバック応答ステータスフラグがARQプロトコルから、特にFBIメッセージに含まれるフィードバック応答ステータス情報から推定される。
【0018】
RRMユニットはさらに、受信されたFBIメッセージからのフィードバック応答ステータスフラグを、拡張ARQスライディングウインドウに記憶できることが有利である。結果として、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウに記憶されるフィードバック応答ステータスフラグに従って、順方向資源の量を計算し、それを送信機に割り当てることができ、かつ、拡張ARQウインドウが応答されることができるようにフィードバック資源の量を計算し、それを受信機に割り当てることができる。
【0019】
本発明の一実施形態では、RRMユニットは、1つあるいは複数のFBIメッセージを受信した際に、1つあるいは複数の強制フィードバック情報(EFBI)を送信機に送信する。EFBIメッセージは、所定の判定基準に従って、最後に受信された1つあるいは複数のFBIメッセージから形成されるか、または拡張ARQスライディングウインドウから形成されることができる。
【0020】
本発明の一実施形態では、送信機は、PDUを再送するために必要とされる資源の量を含む、再送のための資源要求(RRR)メッセージをRRMユニットに送信する。それに続いて、RRMユニットは、RRRメッセージを通して受信された再送のための資源の量に基づいて、拡張ARQスライディングウインドウを更新する。最後に、RRMユニットは、こうして更新された拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、割り当てられることになる資源の量を計算することができる。
【0021】
送信機が、PDUを再送するために必要とされる資源の量を含む、再送のための資源要求(RRR)メッセージをRRMユニットに送信することが有利である。この場合、RRMユニットは、RRRメッセージにおいて要求される資源の量を、現在の拡張ARQスライディングウインドウから計算される、PDUを再送するための資源の量と比較することができる。こうして、比較の結果、要求された資源の量および計算された資源の量が異なるときに、RRMユニットは1つまたは複数のEFBIメッセージを送信機に送信することができる。したがって、前記ARQプロトコルの特性に従って、RRMユニットは、要求された資源の量および計算された資源の量の中から選択された資源の量を割り当てる。
【0022】
本発明は任意のタイプのARQプロトコルを含む。フィードバック応答ステータスフラグはARQプロトコルに従って取り扱われる。こうして、ARQプロトコルが拡張選択的ARQ(ESARQ)プロトコルであるとき、拡張ARQスライディングウインドウのPDUに関連付けられるフィードバック応答ステータスフラグは、PDUの送信時に、あるいはFBIメッセージによるそのPDUに対する否定応答の受信時に、「未応答」に設定されることが好ましい。このフィードバック応答ステータスフラグは、FBIメッセージによるそのPDUに対する肯定応答の受信時に、「応答済み」に設定されることが好ましい。一方、そのARQプロトコルが選択的ARQ(SARQ)プロトコルであるときに、拡張ARQスライディングウインドウのPDUに関連付けられるフィードバック応答ステータスフラグは、FBIメッセージによる肯定応答の受信時に、「応答済み」に設定され、否定応答の受信時に、「否定応答済み」に設定され、PDUの初期送信あるいは再送時に、「未応答」に設定される。
【0023】
第2の態様では、本発明は、第1の態様による方法を実行するための手段を含む、ネットワークにおいて資源を割り当てるための装置を提案する。
【0024】
こうして、本発明の一実施形態によるRRMユニットは、送信機および受信機のいずれからも、資源を要求するためのシグナリングメッセージを受信することなく、伝送資源を計算し、送信機および受信機に割り当てることができる。結果として、本発明の一実施形態は、資源割当て方式の効率を高める。
【0025】
本発明のさらなる別の特徴および利点は、以下の説明からより明らかになるであろう。その説明は純粋に例示として与えられており、添付の図面とともに読まれるべきである。
【0026】
[好ましい実施形態の説明]
既に言及されてきたように、資源を要求するために、およびその資源を送信機および受信機に割り当てるために発生するシグナリングオーバーヘッドは多くの場合に転送待ち時間を引き起こす。この解析を基にして、本発明の一実施形態は、ARQプロトコルを用いる、誤りを起こしやすいネットワークにおける集中管理式の資源割当て方式に基づいて、ネットワーク内の転送待ち時間を短縮するように効率的に用いられる資源割当ての方法を提案する。
【0027】
一般的に用いられているARQプロトコルを参照して導入部分において説明されたように、PDUは送信機および受信機の両方によって同じようにして特定される。一実施形態では、そのような識別子はSNである。さらに、FBIメッセージにおいて、フィードバック応答ステータス情報はそれぞれ、送信されたPDUに関連付けられることが好ましい。
【0028】
RRMユニットは、送信機が初期PDU送信のために、およびPDUを再送するために必要とする資源に基づいて、送信機および受信機に資源を割り当てる。RRMユニットがPDUを再送するために必要とされる資源の量を計算できるようにすることにより、そのシステムは、送信機とRRMユニットの間でシグナリングオーバーヘッドが生成されるのを避けることができるようになる。したがって、本発明の一実施形態では、RRMユニットは、いくつかの情報を処理して、PDUを再送するために必要とされる資源の量を計算できる。RRMユニットが、拡張ARQスライディングウインドウを管理することが好ましい。
【0029】
この拡張ARQスライディングウインドウは、送信機および受信機両方のARQスライディングウインドウのイメージと見なすことができる。そのようなシステムは、第一に、拡張ARQスライディングウインドウ内の受信機ARQスライディングウインドウの下端のイメージ、すなわち拡張ARQスライディングウインドウの下端が、受信機ARQスライディングウインドウの下端以下であることが好ましいという事実によって整合性がある。また、このようなシステムは、第2に、拡張ARQスライディングウインドウの先端のイメージは常に、送信機ARQスライディングウインドウの先端に等しいか、あるいはそれを超えるという事実によって整合性がある。このようにして、RRMユニットは、資源を要求するためのシグナリングメッセージを送信機から受信することなく、資源の量を計算し、PDUを再送できるようにすることができる。
【0030】
本発明の一実施形態では、受信機は、ARQプロトコルに基づく、一般的に用いられているネットワークの場合と同様に、FBIメッセージを送信機に送信する。しかしながら、RRMユニットもFBIメッセージを受信し、拡張ARQスライディングウインドウの下端を更新できるようにする。それゆえ、RRMユニットは、FBIメッセージの受信時に、拡張ARQウインドウを更新することが好ましい。一実施形態では、これらのFBIメッセージは、それぞれ送信されたPDUに関連付けられる、受信機によって正確に受信されたか否かを通知するフィードバック応答ステータス情報を含む。ウインドウの下端は、FBIメッセージに含まれる情報に基づいて設定される。結果として、拡張ARQスライディングウインドウの下端は、受信機ARQスライディングウインドウの下端と同期する。
【0031】
一方、RRMユニットは、送信機が次の初期PDUを送信するために必要とされる資源に従って、拡張ARQスライディングウインドウを更新する。RRMユニットは、割当てシステムのタイプに応じて、種々のトリガに基づいて、初期PDU送信のための資源の量を計算する。いくつかのタイプの割当てシステムでは、初期PDU送信のための資源は、RRMユニットが自動的に割り当てることができる。この場合には、RRMユニットは、各TFにおいて、初期送信のために同じ資源の量を割り当てる。他のタイプの割当てシステムでは、送信機は、初期PDU送信のための所与の資源の量を要求するために、RRMユニットにシグナリングメッセージを送信する。その後、RRMユニットは、このシグナリングメッセージにおいて受信された量に基づいて、初期PDU送信のための資源の量を計算する。本発明は、RRMユニットが初期PDU送信のための資源の量を計算できるようにするための他の方法も含む。たとえば、初期PDU送信のための資源の量を、所定の規則に基づいて計算することができる。これらの規則は、ネットワーク特性あるいは確率論的な規則であってもよい。RRMユニットによって初期PDU送信のために計算された資源の量に従って、RRMユニットは拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの先端を更新する。本発明の一実施形態では、RRMユニットは、資源割当てを実行するのに合わせて、この更新を実行する。
【0032】
拡張ARQスライディングウインドウは、初期送信されることになるか、または再送されることになる各PDUの識別子を含むことが好ましい。そのような識別子には、たとえばSNを用いることができる。
【0033】
結果として、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウに含まれる情報に基づいて、初期送信あるいは再送のための順方向資源の量を都合よく計算する。その後、RRMユニットは、好ましくは送信機に資源割当てメッセージを送信することにより、計算された資源の量を送信機に割り当てる。
【0034】
このようにして、遅延を全く生じることなく、RRMユニットは、送信機が初期送信あるいは再送のための未処理のPDUを送信できるようにするための十分な資源を容易に割り当てることができる。
【0035】
RRMユニットが送信機に割り当てられることになる資源の量を計算する度に、RRMユニットはさらに、送信機のために計算された、この資源の量に基づいて、受信機に同時に割り当てられることになる資源の量を計算することが好ましい。このようにして計算された資源のような資源の量は、フィードバック情報を送出するために、同時に、すなわち同じTFにおいて受信機に割り当てられる。結果として、送信機ARQウインドウ全体が、そのフレーム構成に従って、同じTFにおいて、あるいは後続のTFにおいて都合よく肯定応答されることができる。これによって、転送遅延を短縮できるようになる。
【0036】
これまでのセクションは、FBIメッセージが失われない場合に特に適した、本発明の基本原理を用いる実施形態を説明している。しかしながら、導入部分において説明されたように、無線リンクは誤りを生じやすい。結果として、FBIメッセージは、PDUよりも誤りによく耐えるように符号化される場合があるが、それでも、その伝送中に損なわれる可能性がある。
【0037】
FBIメッセージが失われる第1の結果として、受信機ARQスライディングウインドウの状態を、RRMユニット側および送信機側が直ちに知ることができなくなる。この場合、待ち時間を最小限に抑え続けるための方法は、所与のPDUに対してフィードバック情報が報告されなかった場合には、好ましくはそのPDUを失われたものと見なすことである。実際にそのPDUが失われていなかった場合には、遅延は生じない。そのPDUが失われた場合には、遅延は、対応するフィードバック情報が受信された場合と全く同じである。この手法に相当する方法では、PDUが不必要に繰り返される可能性があり、厳密なSARQ方式はもはや適用されない。それゆえ、以下の説明では、2つの状況、すなわち厳密なSARQ方式の下での待ち時間の最小化と、拡張SARQ方式(ESARQ)の下での待ち時間の最小化とが区別される。
【0038】
SARQ方式では、正確に受信されなかったものと「解釈される」PDUは、否定的なフィードバック応答ステータス情報を有するPDUに対応することに留意されたい。
【0039】
ESARQ方式では、正確に受信されなかったものと「解釈される」PDUは、明示的に応答されないPDUである。ESARQ方式では、明示的に応答されないPDUは、否定応答されたものと見なされる。
【0040】
SARQ方式およびESARQ方式に関して、有用なフィードバック情報は、FBIメッセージによって搬送される1組の応答(肯定または否定)と定義することができ、その情報によって、送信機ARQユニットあるいはRRMユニットはそれぞれ、送信機ARQスライディングウインドウ内および拡張ARQスライディングウインドウ内で参照されるPDUに対応するフィードバック応答ステータスフラグを更新する。その後、送信機は、必要に応じて、PDU再送をトリガすることができる。ARQ方式次第では、有用性のより高いフィードバック情報は異なる。SARQ方式では、明示的な否定応答(NAK)が最も有用なフィードバック情報である。なぜなら、資源を無駄にするのを避けるために、NAKがない場合には、基本的には再送が行われないためである。対照的に、ESARQ方式では、RRMユニットレベルにおいて、明示的な肯定応答(ACK)は、再送のために割り当てられる資源の量を減らすことができるので、明示的な肯定応答(ACK)が最も意味のある情報である。さらに、送信機では、ACKによって、正確に受信された、いくつかのPDUを不当に再送するリスクが避けられる。
【0041】
FBIメッセージが失われる第2の結果として、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウの同期外れが生じる可能性がある。実際には、誤りは多くの場合に時間および場所に依存するので、RRMユニットによって受信され、かつ復号されるFBIメッセージが、送信機ARQユニットによって復号されない場合がある。逆に、送信機ARQユニットによって受信され、かつ復号されたFBIメッセージが、RRMユニットによって復号されない場合がある。結果として、ARQスライディングウインドウ間に同期外れが生じるであろう。その際、RRMユニットによる資源の割当ておよび/または送信機ARQユニットによる資源の使用が、データフローを適切に行き渡らせるための実際の要件と一致しない可能性がある。さらに、この場合には、転送待ち時間に悪影響が及ぼされる可能性がある。
【0042】
それゆえ、本発明の一実施形態は、そのような同期外れの発生を検出し、かつできる限り早期に、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウを再同期させるための方法も提供する。以下の説明では、付加的なシグナリングメッセージによって再同期過程を可能にする3つの方法が考えられる。それらの方法はそれぞれ、第1の変形形態、第2の変形形態および第3の変形形態として示される。第3の変形形態は、遅延短縮および/または資源最小化に関して最も良い性能を提供する。しかしながら、第3の変形形態は、少し多いシグナリングメッセージを生成する。これらの3つの異なるオプションとは別に、他の方法の代わりに、あるいはそれらを補うために用いることができる最後の解決策が提案される。この最後の変形形態は、一定の資源が送信機に与えられないときに特に有利である。それは、たとえば、あるデータフローの場合に、自動的かつ静的な資源割当てがRRMユニットによって実行されるときに生じる場合がある。これは第4の変形形態と呼ばれる。
【0043】
第1、第2、第3および第4の変形形態において用いられる主なパラメータが以下に説明される。
【0044】
送信機および受信機ARQスライディングウインドウは、FBIメッセージによって応答されているか、または応答されていない、未処理のPDUをマッピングする。以下の説明では、BowおよびEowはそれぞれ、進行中のウインドウ、すなわち受信および応答送出を待っている、処理中の1組のPDUの下端および先端を画定する。送信機側では、Tx_Bowで表されるBowは、受信機ARQユニットによってまだ肯定応答されていないPDUのうち最も小さなSNを表しており、一方、Tx_Eowで表されるEowは、送出されることができるPDUのうち、次に大きなSNを示す。受信機側では、Rx_Bowで表されるBowは、まだ受信されていないか、または不当に受信されたPDUのうち最も小さなSNを表しており、一方、Rx_Eowで表されるEowは、最も大きなSNを有する、最後に正確に受信されたPDUを表す。
【0045】
本発明は、送信機および受信機の両方の側において、PDUを特定するための、SN以外の識別子を包含する。
【0046】
RRMユニットレベルにおいて定義される拡張ARQスライディングウインドウは、受信機ARQスライディングウインドウおよび送信機ARQスライディングウインドウ内に記載されるPDUの関連するSNを都合よく一体化する。一実施形態では、拡張ARQスライディングウインドウは、既に送信されている未処理のPDU、および次に送信されることが予想されるPDUのマップを表す。拡張ARQスライディングウインドウは、受信機ARQスライディングウインドウの下端に対応し、Ext_Bowで表される、ウインドウの下端と、送信機ARQスライディングウインドウの先端に対応し、Ext_Eowで表される、ウインドウの先端とによって画定される。
【0047】
さらに、本発明の一実施形態では、フィードバック応答ステータスフラグが、送信機ARQスライディングウインドウ、受信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウ内に記載される各PDUに関連付けられる。SARQ方式では、そのようなフィードバック応答ステータスフラグは、「応答済み」、「否定応答済み」または「未応答」の値をとることができる。ESARQ方式では、そのようなフィードバック応答ステータスフラグは、「応答済み」に対応する値、あるいは「未応答」に対応する値のいずれかをとることができる。
【0048】
送信機に割り当てられることになる順方向資源の量、および関連するFBIメッセージのために受信機に割り当てられることになるフィードバック資源の量は、この拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、RRMユニットによって計算される。順方向資源の量は、拡張ARQスライディングウインドウ内に含まれるPDUのフィードバック応答ステータスフラグに従って、TF毎に都合よく計算され、かつ割り当てられる。一方、フィードバック資源の量は、拡張ARQスライディングウインドウ全体が1つのTFにおいて応答されることができるように予定される。
【0049】
この方式を実施するために必要とされる資源の厳密な量は、その量が最適であるかどうかが、FBIメッセージが構成され、かつ符号化される方法(明示的/暗黙的、累積的あるいは非累積的、肯定/否定応答等)による場合があるので、ここでは定量化されないことに留意されたい。
【0050】
TF#iにおいて、送信機レベルで最初の送信を待っているPDUの数はTxiで表される。より理解しやすくするために、定ビットレートフロー(bit rate flow)を考え、この数Txiはこのビットレートフローに従って計算される。たとえばMPEG4のような可変のビットレートフローに適用する場合、数Txiは、初期送信の場合およびPDU再送の場合の未処理のPDUの数に基づいて決定される。
【0051】
以下の説明では、資源の所与の量を定量化するために資源単位を導入する。
【0052】
TF#iにおいてフィードバック情報を解析した後にPDU再送のために評価される資源単位の数はReTxiで表される。
【0053】
最終的な割当てを判断する前にTxiおよびReTxiに追加するための資源単位の正または負の量は、「補償」で表される。補償パラメータは、後に説明されるように、本発明の一実施形態の種々の変形形態において用いられる任意選択のパラメータである。この任意選択のパラメータは、資源割当てを実行する前にRRMユニットによって同期外れが検出された場合に、既に計算されているが、まだ割り当てられていない資源単位の数を、可能な場合に補正することを目的とする。変形形態によっては、そのような補正が初期送信あるいは再送に影響を与える。そのようなパラメータを計算するための異なる方法が以下に詳述されるであろう。
【0054】
簡単にするために、TF#iにおける3つのパラメータTxi、ReTxiおよび任意選択の「補償」の和がTotTxiで表される。したがって、TotTxiは、TF#iにおいて、PDUを送信するために割り当てられることになる資源単位の全数、すなわち送信機に割り当てられることになる順方向資源の量を表す。
【0055】
以下のセクションで、本発明の一実施形態が実行される、関連するエンティティおよびメッセージを説明する。
【0056】
最初に、RRMユニット、送信機ARQユニットおよび受信機ARQユニットが3つの個別のユニットと見なされ、最も一般的な構成が用いられるものとする。したがって、STA間の直接の通信が許される。本発明は、送信機ARQユニット、それぞれ受信機ARQユニットがRRMユニットと同じ場所に配置される構成を含む。この場合には、送信機ARQスライディングウインドウ、それぞれ受信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウ間の同期が保証されるので、説明される仕組みはさらに改善される。こうして、同期外れのリスクが制限され、たとえば、過剰に資源を割り当てるリスクが低減される。さらに、同じ場所に配置される構成では、いくつかのメッセージのやりとりがもはや必要とされないか、または内部で実行されることができるので、信頼性があるとともに高速の伝送を確保するために必要とされる資源単位の量がさらに低減される。
【0057】
本発明の一実施形態は、以下のセクションにおいて詳述されるシグナリングメッセージに基づく。
【0058】
送信機に割り当てられる資源の量をその送信機に通知するために、資源データ割当て(RDA)メッセージがRRMユニットによって用いられる。このメッセージは、所与のTF内の対応する専用タイムスロットを特定することが好ましい。そのようなメッセージには、たとえば、所与のTFの開始時に送信されるMACシグナリングメッセージを用いることができる。
【0059】
受信機に割り当てられる資源の量をその受信機に通知するために、資源フィードバック割当て(RFA)メッセージがRRMユニットによって用いられる。このメッセージは、所与のTF内の対応する専用タイムスロットを特定することが好ましい。そのようなメッセージにはMACシグナリングメッセージを用いることができ、たとえば所与のTFの開始時に送信することができる。
【0060】
フィードバック情報(FBI)メッセージは、送信されたPDUが受信機によって正確に受信されたか否かを送信機に通知する。そのようなメッセージは、受信機によって逆方向に送信される。さらに、RRMユニットが送信機と同じ場所に配置されないとき、これらのメッセージはRRMユニットにも到達可能にし、RRMユニットが、拡張ARQスライディングウインドウを更新し、かつ、それを送信機と同期させることができるようにすることが好ましい。
【0061】
これに関連して、任意選択で、RRMユニットは送信機にいくつかのFBIメッセージを送信することができる。これらのFBIメッセージは、拡張ARQスライディングウインドウ上で構成されるか、または受信機によって送信されるFBIメッセージから直に構成されるので、最後に受信されるFBIメッセージに類似する。RRMユニットは、1つあるいは複数の決められた判定基準に従って、FBIメッセージを構成するためのそのような方法を決定する。この任意選択の動作は、以下の説明において、強制再同期と呼ばれる。区別できるようにするために、RRMユニットから送信機に送信されるFBIメッセージは、強制フィードバック情報(EFBI)メッセージと呼ばれる。強制再同期によって、1つのTF持続時間内に2回FBIメッセージを送信できるようになる。しかしながら、強制再同期は、中継チャネル、すなわち受信機ARQユニットからRRMユニットまで、続いて、RRMユニットから送信機ARQユニットまでのチャネル上で構成されるので、空間ダイバーシティの利益をもたらすはずである。これに関連して、空間ダイバーシティは、最終的に全てのFBIメッセージが送信機によって受信されることになる確率を高める。さらに、RRMユニットから送信機ARQユニットへのチャネルが、RRMユニットから送信機ARQユニットにRDAメッセージを送信するために用いられるのと同じチャネルであることは注目に値する。それゆえ、TDMAシステムが良好に機能するとき、強制再同期も良好に機能する可能性が高くなる。
【0062】
新たなPDUを送信するための資源をRRMユニットに要求するために、資源要求データ(RRD)メッセージが送信機によって用いられる。そのようなメッセージは、パラメータTxiの値を搬送する。予測可能なフロー(定ビットレートフロー、等時性フロー等)の場合、そのような要求メッセージは、MACプロトコルによって、または他の決められた規則に基づいて、フローの設定後にRRMユニットが自己生成することができる。予測可能なフローではない場合には、RRDメッセージは、RRMユニットが送信機と同じ場所に配置される場合を除いて、媒体上で搬送される。この後者の場合に、RRDメッセージは、未処理のPDUのためのMACを通知する送信機のサービスアクセスポイントプリミティブ(service access point primitive)に対応する場合があるか、または特定の内部メッセージに対応する場合がある。
【0063】
RRMユニットが、送信機ARQユニットおよび受信機ARQユニットのいずれとも同じ場所に配置されないとき、RRMユニットは、受信機レベルでのPDU受信、および送信機レベルでのFBIメッセージ受信を事前に知ることができない。その際、拡張ARQスライディングウインドウと送信機ARQスライディングウインドウおよび受信機ARQスライディングウインドウとの同期が失敗する場合もある。
【0064】
最小限の転送待ち時間を保持するために、本発明の一実施形態では、拡張ARQスライディングウインドウが常に、送信機ARQスライディングウインドウおよび受信機ARQスライディングウインドウのイメージを含むように、基本的な方式を機能的に向上させる。その結果として、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の同期外れの持続時間が大幅に短縮される。以下の説明において、いくつかの任意選択のメッセージが定義され、それらは変形形態において説明されるように単独で、または組み合わせて用いられ、性能を改善することができる。
【0065】
再送のための資源要求(RRR)メッセージが、PDUを再送するために、資源をRRMユニットに要求するために送信機によって送信される。このメッセージにおいて要求される資源の量は、パラメータReTxiに対応する。RRRメッセージは、RRMユニットが送信機ARQユニットと同じ場所に配置される場合を除いて、媒体上で搬送される。RRMユニットが送信機ARQユニットと同じ場所に配置される場合には、RRRメッセージは、未処理のPDUのためのMACを通知する送信機のサービスアクセスポイントプリミティブに対応する場合があるか、または特定の内部メッセージに対応する場合がある。媒体上で搬送されるとき、RRRメッセージは、RRDメッセージと併合することができる。それに加えて、PDU再送のために送信機によって要求される資源単位の量がパラメータReTxiの値と異なるときに、拡張ARQスライディングウインドウに従ってRRMユニットによって推定される、パラメータReTxiの値を増減するために、任意選択の補償パラメータを用いることができる。これらの任意選択のメッセージは、後に説明される第1の変形形態および第3の変形形態において用いられる。
【0066】
強制フィードバック情報(EFBI)メッセージが、RRMユニットレベルにおいて受信されるFBIメッセージの複製の中に存在することが好ましい。これらのメッセージも、拡張ARQスライディングウインドウ上で構成することができる。それらのメッセージは、送信機レベルにおいていくつかの有用なフィードバック情報が不足しているとRRMユニットが検出するときに、任意選択でRRMユニットによって送信機に送信される。これらのメッセージが用いられるとき、次に割り当てられた資源単位において新たなPDUを送信する前に、送信機が、より最新の応答で送信機ARQスライディングウインドウをリフレッシュするのを助けるはずである。
【0067】
ESARQ方式では、これらのメッセージは、既に正確に受信されているPDUを無駄に再送するリスクを制限する。SARQ方式では、送信機レベルにおいて関連するFBIメッセージが失われたときに、これらのメッセージによって、RRMユニットは、フィードバック応答フラグ情報が「未応答」に等しいPDUを再送するために与えられる資源を増加できるようになる。送信機レベルにおいて関連するFBIメッセージが失われていない場合には、それらのメッセージが未使用のままになるので、対応する資源は割り当てられないであろう。これらのメッセージは第2および第3の変形形態において用いられる。
【0068】
送信機ARQスライディングウインドウの先端にある現在のPDUをRRMユニットに通知するために、ウインドウの先端指示(EWI)メッセージが送信機によってRRMユニットに送信される。したがって、EWIメッセージは、送信機ARQスライディングウインドウの先端(Tx_Eow)に、PDUのSN値のようなPDU識別子を含むことが好ましい。このメッセージは、少なくとも送信機ARQスライディングウインドウがそれぞれ進行した後に、すなわち送信機ARQスライディングウインドウのウインドウの先端と拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの先端とを同期させるために各PDUを初期送信した後に、RRMユニットに都合よく送出されることができる。EWIメッセージはさらに、自動的に計算される資源単位以外の、さらに多くの資源単位が送信機に割り当てられるべきであるか否かを評価するために、RRMユニットによって用いられる。こうして、このメッセージによって、最初の送信のために以前に予定された資源単位の量に起こり得る不一致を避けることができる。そのような不一致は、送信機ARQユニットまたはRRMユニットが、他の受信者(addressee)では完全に復号されているFBIメッセージを復号するのに失敗したときに生じる可能性がある。その場合に、補償パラメータを計算して、初期送信のために自動的に計算された資源単位以外の、さらに多くの資源単位を割り当てる。
【0069】
本発明の一実施形態では、RRMユニットがEWIメッセージの受信時に同期外れを検出するとき、RRMユニットは、それに応じて、拡張ARQスライディングウインドウを更新し、その後、こうして更新された拡張ARQスライディングウインドウから、割り当てられることになる順方向資源の次の量を計算する。
【0070】
送信機がRDA、RFA、RRD、RRRあるいはEWIメッセージを送信できるようにするために、必要に応じて、RRMユニットは専用の資源を使用可能にするものと仮定される。
【0071】
拡張ARQスライディングウインドウおよび送信機ARQスライディングウインドウが同期外れを起こしている場合に、以下のようにして、RRMユニットが転送待ち時間を相対的に短くするために必要とされることになる資源よりも少ない資源を割り当てるのを防ぐ。その場合に、拡張ARQスライディングウインドウは、送信機ARQスライディングウインドウおよび受信機ARQスライディングウインドウ全体を含まない可能性がある。
【0072】
拡張ARQスライディングウインドウの先端が、RRMユニットによる順方向資源の量の計算に沿って進行中であり、かつ、送信機ARQスライディングウインドウの先端が、RRM計算の結果を含むRDAメッセージの受信に沿って進行中である限り、拡張ARQスライディングウインドウの先端は送信機ARQスライディングウインドウの先端と同じように進められる。
【0073】
一方、FBIメッセージの受信および解析時に、RRMユニットは拡張ARQスライディングウインドウを更新する。その際、FBIメッセージが、RRMユニットレベルにおいて復号に成功するが、送信機レベルにおいて成功しないときに、あるいは送信機レベルにおいて復号に成功するが、RRMユニットレベルにおいて成功しないときに、同期外れが生じる場合がある。
【0074】
SARQ方式について考えてみると、FBIメッセージがRRMユニットレベルにおいて復号に成功するが、送信機レベルにおいて成功しない場合に、いくつかのPDUが、拡張ARQスライディングウインドウにおいて「否定応答済み」を付され、すなわちそれらのフィードバック応答ステータスフラグが「否定応答済み」に設定されることが好ましい。これに対して、送信機側では、それらのPDUは依然として未処理であり、送信機側で「未応答」を付され、すなわちそれらのフィードバック応答ステータスフラグは、送信機ARQスライディングウインドウにおいて「未応答」に設定されることが好ましい。その結果、RRMユニットは、「否定応答済み」を付されたPDUの再送を実行するために、さらに多くの資源を割り当てるであろう。送信機が、明示的な否定応答判定基準に基づいてPDU再送をトリガする場合には、送信機に割り当てられる資源の一部は、実際には使用されないであろう。しかしながら、この場合に、いくつかの資源が無駄にされる場合があるものの、待ち時間は最小限に保持される。
【0075】
SARQ方式について考えてみると、FBIメッセージが、送信機レベルにおいて復号に成功するが、RRMユニットレベルにおいて成功しない場合に、RRMユニットは、初期PDU送信およびPDU再送を実行するために必要とされる資源よりも少ない資源を割り当てるであろう。
【0076】
以下の変形形態は、これらの問題に対処するための都合のよい方法を提案する。
【0077】
第1の変形形態と呼ばれる、本発明の一実施形態は、RRRメッセージが基本的なRRDメッセージを補うために用いられることに基づく。RRRメッセージの主な利点は、それらのメッセージによって、RRMユニットが、一方の側よりも他方の側で多くの有用なフィードバック情報が受信されたことを検出できるようにすることである。その際、余分な転送待ち時間が生じるリスクを制限するために、RRMユニットは予測される資源単位よりも多くの資源単位を与えるように判定することができる。これに対して、帯域幅の使用を最適化するためには、RRMユニットは要求された資源単位のみを割り当てることができる。
【0078】
しかしながら、ESARQ方式では、多くの場合に、必要とされる資源単位よりも多くの資源単位を割り当てる可能性がある。実際には、この条件は、たとえば、FBIメッセージおよびRRRメッセージを受信した後に、より多くの有用なフィードバック情報がRRMユニットレベルにおいて予め受信されていたときに生じる可能性がある。したがって、送信機によって再送信のために要求される資源単位の数は、RRMユニットによって評価される数よりも大きくなる。その場合、RRMユニットは、転送待ち時間を最小限に保ち続けるために、要求された資源単位を都合よく割り当てるであろう。このようにして、送信機に割り当てられる資源が不足することによる転送待ち時間は発生しない。したがって、再送を待つ未処理のPDUを送信することができる。しかしこの場合に、いくつかの資源単位が無駄にされる。後に説明される、第3の変形形態と呼ばれる本発明の別の実施形態は、この問題に直面する。
【0079】
第2の変形形態と呼ばれる別の実施形態では、FBIメッセージ受信時に、EFBIメッセージがRRMユニットによって送信機に計画的に送信される。これらのメッセージは、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウが同期している限り冗長であるが、それらのメッセージによって、送信機レベルよりもRRMユニットレベルにおいてより多くのフィードバック情報が受信されているときに、資源単位の無駄および/または余分な転送待ち時間が生じるリスクを制限できるようになる。実際にそれとは異なり、有用なフィードバック情報が送信機側において不足しているときに、SARQ方式の場合のように、いくつかの与えられた資源単位は、使用されないままになるか、または、いくつかの与えられた資源単位は、ESARQ方式において既に正確に受信されているいくつかのPDUを再送するために不当に使用されるようになり、初期送信ために割り当てられる資源単位を浪費する可能性がある。こうして、いずれの場合でも、既に説明されているように、RRDおよびFBIシグナリングメッセージのみに基づく基本的な仕組みと比べて、多くの場合に、余分な転送待ち時間を短縮することができる。
【0080】
第3の変形形態と呼ばれる別の実施形態は、EFBIメッセージとRRRメッセージとを合わせて用いることに基づく。実際には、この場合には、RRMユニットが、送信機レベルよりもRRMユニットレベルにおいてより多くの有用なフィードバック情報が失われていることを検出するときに、FBIメッセージ受信後に、RRMユニットによって、EFBIメッセージが送信機に送信される。その検出は、RRDメッセージを通して再送のために送信機によって要求された資源単位と、拡張ARQスライディングウインドウに従ってRRMユニットによって決定される資源単位とを比較することにより行われる。
【0081】
このオプションは以下の利点を提供する。第1に、ESARQ方式では、FBIメッセージおよびRRRメッセージの受信後に、送信機によってPDU再送のために計算された資源単位の数が、拡張ARQスライディングウインドウに従ってRRMユニットレベルによって計算された数よりも大きい場合には、RRMユニットは、要求された資源よりも少ない資源を割り当て、送信機にEFBIメッセージを送信することができる。したがってその場合には、最初に予定された資源だけが割り当てられ、資源の無駄が制限される。そうではなく、RRMユニットレベルよりも送信機レベルにおいてより多くのフィードバック情報が受信されたものと仮定すると、RRMユニットはEFBIメッセージを送信しない。別の言い方をすると、第3の変形形態に対応する本発明の一実施形態では、RRMユニットは、送信機によって要求される資源の量および拡張ARQスライディングウインドウから計算される資源の量のうちの最も少ない資源の量を割り当てる。
【0082】
SARQ方式では、資源割当てが最初にRRMユニットによって計算された量よりも少ないときには、正確に受信されていないいくつかのPDUを、相応の資源が与えられた場合に直ちに再送することに成功することができる可能性が高いので、資源割当てはもはや要求された資源には制限されない。第1の変形形態では、要求された資源よりも多くの資源を与えることは、おそらくそれらの資源が使用されないままになるので、資源の無駄につながるおそれがある。第3の変形形態に対応する本発明の一実施形態では、RRMユニットは、送信機によって要求される資源の量および拡張ARQスライディングウインドウから計算される資源の量のうちの最も多い資源の量を割り当てる。
【0083】
第4の変形形態と呼ばれる本発明の別の実施形態は、送信機ARQスライディングウインドウの現在の先端を搬送するEWIメッセージの受信に基づく。このメッセージの受信および解析時に、RRMユニットは、初期送信のための補償パラメータの値を決定する。
【0084】
EWIメッセージは、初期送信のために予定される資源の量に影響を及ぼすおそれがある同期外れの場合に転送待ち時間を短縮するのを助けることができる。このシステムによって、次に正確なFBIメッセージの受信を予想できるようになる。RRMユニットが送信機と同じ場所に配置されるときには、それは無駄になる。
【0085】
この実施形態において、基本的な着想は、順方向において実行されるPDUの順序付けの進展および逆方向において送信されるフィードバック情報の順序付けの進展を、RRMユニットの制御下におくことである。こうして、RRMユニットは、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウの両方が依然として適切に同期していることを検証することができる。1組の新たなPDUが所与のTFにおいて別のSTAに送信される度に、送信機は、EWIメッセージによって、送信機ARQスライディングウインドウの先端として記憶される現在のSNをRRMユニットに通知する。この現在のSNは、EWIメッセージのパラメータTx_Eowとして送信される。送信機は、初期PDU送信の前にPDU再送を予定するものと仮定される。送信機ARQユニットおよび拡張ARQウインドウがもはや同期していない場合には、次の送信が発生するときに、さらに多くの資源が要求される場合がある。その事例は、送信機によって初期送信された最後のPDUのSNが、予想されるSNよりも小さいときに生じる。その際、RRMユニットはこのSNと、自らのウインドウの先端のSN、すなわちパラメータExt_Eowとを比較する。この場合、TF#iにおいて、FBIメッセージの受信および解析時に評価される補償パラメータを計算することにより、余分な資源が割り当てられる。そのようなパラメータは以下のように計算される。
補償=Ext_Eow−Max(Tx_Eow;Ext_Bow)
【0086】
計算された値は、割り当てられることになる、計算された現在の資源によってまだ網羅されていない場合がある、連続したSNの間隔に対応する。その距離は、パラメータExt_Eowの値と、現在のTFにおいて送信機ARQスライディングウインドウ内のパラメータTx_Eowに到達した値との差として求められる。さらに、EWIメッセージが損なわれて、Ext_BowがTx_Eowよりも高くなる可能性がある場合には、その上限はその計算におけるExt_Bowを統合し、資源単位の余分な量を制限する。
【0087】
本発明の一実施形態において実行される基本的な動作が、以下に詳述される。
【0088】
資源が計算されるとき、RRMユニットは、好ましくは送信機および受信機にそれぞれRDAメッセージおよびRFAメッセージを送信することにより、計算された資源を送信機および受信機に割り当てる。
【0089】
送信機レベルでは、パラメータTxiの値に対応して、TF#iにおいて初期送信を待っているPDUを送信するために必要とされる処理能力がTF毎に検査され、パラメータTxiの値が0でない場合には、RRDメッセージが送出される。
【0090】
RRDメッセージの受信時に、デフォルトで、RRMユニットは、要求された資源の量、すなわちパラメータTxiを記憶する。その際、RRMユニットは、おそらく次のTFにおいて、または可能な限り速やかに、対応する資源を供給しなければならない。RRMユニットは、要求された資源の量Txi以下の、Txで表される資源の量を割り当てることが好ましい。いくつかの関連する専用タイムスロットが割り当てられるとき、RRMユニットは、以下の式において表されるように、割り当てられた資源の対応する量の分、拡張ARQスライディングウインドウの先端を更新する。
Ext_Eow=Ext_Eow+Tx
【0091】
ウインドウの先端の以前の値と新たな値との間にあるPDUは、「未応答」を付される。
【0092】
PDUの受信時に、受信機は受信機ARQスライディングウインドウを更新し、FBIメッセージを構成して、利用可能な資源がある場合にはFBIメッセージを送信する。
【0093】
FBIメッセージの受信時に、送信機は送信機ARQスライディングウインドウを更新し、再送されることになるPDUを選択する。
【0094】
FBIメッセージの受信時に、RRMユニットは拡張ARQスライディングウインドウを更新し、再送されなければならないデータユニットの数を検査する。こうして、PDUが肯定応答される度に、関連するフィードバック応答ステータスフラグが「応答済み」に設定される。PDUが否定応答される度に、関連するフィードバック応答ステータスフラグは、SARQ方式では「否定応答済み」に設定され、または、ESARQ方式では「未応答」のままである。その際、同時にまたは最後に、パラメータReTxiの値が、否定応答されたものと見なされるPDUの数だけインクリメントされる。これは、応答のステータス情報に基づいており、その応答はARQ方式、SARQ方式あるいはESARQ方式の選択に応じて明示的あるいは暗黙的にすることができる。
【0095】
所与のTF#iにおいて、RRMユニットは、初期送信のために要求される資源の量、すなわちTxiパラメータの値と、PDU再送を実行するために必要とされる資源の量、すなわちReTxiパラメータの値とを加算することにより、次の送信機会のために割り当てられることになる資源の量を計算する。本発明の一実施形態では、任意選択で、補償パラメータも加算される。先に述べたように、ReTxiパラメータは、SARQ方式では「否定応答済み」の数として、またはESARQ方式では「未応答」の数として、最後に受信されたFBIメッセージに従って更新された拡張ARQスライディングウインドウに基づいて計算される。最後に、RRMユニットは、以下に詳述するように、対応するフィードバック資源の量を決定し、受信機に割り当てる。
【0096】
同期外れが生じたときに、拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、再送およびフィードバック情報のための資源の割当てを続けるために、任意選択で以下の動作が続けて追加される。
【0097】
ESARQ方式では、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウ内の全てのPDUは、明示的に応答されない限り、否定応答されたものと見なされ、それゆえ再送されることになる。
【0098】
送信機レベルでは、TF#iにおいて再送を待っているPDUを再送するために必要とされる資源、すなわちReTxiパラメータの値をTF毎に検査することができる。第1および第3の変形形態によれば、ReTxiパラメータの値が0でない場合には、RRRメッセージが送出される。
【0099】
RRRメッセージの受信時に、送信機によってRRMユニットに対して要求されたPDU再送のための資源単位の数が、拡張ARQスライディングウインドウに基づいてRRMユニットレベルにおいて決定されたReTxiパラメータの値、すなわち「未応答」を付されたPDUの数よりも小さい場合には、予定された資源を要求された資源の量まで減少させる。その際、「補償」パラメータは、これらの2つの値の間の(負の量としての)差と見なすことができる。
【0100】
それに対して、送信機によってRRMユニットに対して要求されたPDU再送のための資源単位の数が、RRMユニットレベルにおいて決定されたReTxiパラメータの値よりも大きい場合には、予定された資源を要求された資源の量まで増加させる。送信機によって必要とされる資源を与えることにより、資源のうちのある部分が無駄にされる可能性があるとはいえ、転送待ち時間が最小限に保持される。その際、「補償」パラメータは、これらの2つの値の間の差(正)として計算される。
【0101】
しかしながら、第3の変形形態では、強制再同期を用いるため、資源の増加は実行されない。
【0102】
その後、RRMユニットは、計画的に(第2の変形形態)、またはRRDメッセージおよびRRRメッセージの解析に必要とされるときに、送信機によって再送のために要求される資源の量がReTxiパラメータの推定された値よりも大きいときに(第3の変形形態)、送信機ARQスライディングウインドウを更新することができるように、送信機にEFBIメッセージを送信することができる。この事例は、送信機レベルよりも、RRMユニットレベルにおいて、より多くの有用なフィードバック情報が受信されているという仮定に基づく。こうすることで、要求された資源よりも少ない資源がそれに応じて与えられるので、RRMユニットは、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間に同期外れが生じても、転送待ち時間が増加しないようにすることができる。さらに、それは、再送を実行するためのシステムの応答性を高めることができる。
【0103】
SARQ方式では、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウ内の全てのPDUは、FBI(またはEFBI)メッセージによって明示的に否定応答された場合にのみ、再送のための候補と見なすことができる。
【0104】
送信機レベルでは、TF#iにおいて再送を待っているPDUを再送するために必要とされる処理能力(ReTxi)がフレーム毎に検査され、第1の変形形態あるいは第3の変形形態において、ReTxiパラメータの値が0でない場合には、RRRメッセージが送出される。
【0105】
RRRメッセージの受信時に、送信機によってRRMユニットに対して要求されたPDU再送のための資源単位の数が、拡張ARQウインドウ(すなわち「否定応答された」PDU)に基づいてRRMユニットレベルにおいて決定されたReTxiパラメータの値よりも大きい場合には、予定された資源を要求された資源の量まで増加させる。その際、「補償」パラメータは、これら2つの値の間の差(正)を表す。
【0106】
それに対して、送信機によってRRMユニットに対して要求されたPDU再送のための資源単位の数が、RRMユニットレベルにおいて決定されたReTxiパラメータの値よりも小さい場合には、第1の変形形態では、予定された資源を要求された資源の量まで減少させる。それは、転送待ち時間には影響を及ぼさないが、予定された量よりも少ない資源を割り当てることができるようにする。これは、そうしなければ資源が無駄にされる可能性があるか、または少なくとも割当ての趣旨どおりに、すなわち正確に受信されなかったPDUの再送のために用いられないからである。その際、「補償」パラメータは、これらの2つの値の差に等しい負の値である。しかしながら、第3の変形形態では、その場合に強制再同期を用いるので、資源の削減は実行されない。
【0107】
ESARQ方式の場合と同様に、SARQ方式では、送信機ARQスライディングウインドウを必要に応じて更新することができるように、RRMユニットは、送信機にEFBIメッセージを送信することができる。それは計画的に(第2の変形形態)、または送信機によって再送のために要求される資源の量がReTxiパラメータの推定された値よりも少ないときに(第3の変形形態)行うことができる。
【0108】
検討された両方のARQ方式の下では、応答されないと解釈されたPDUについて厳密に知ることは必要とされないことに留意されるべきである。再送されなければならないPDUの数が必要とされる。
【0109】
さらに、強制再同期を実行するとき、RDAメッセージが正確に受信されるが、いくつかのフィードバック情報が依然として不足している場合には、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウは同期外れのままであろう。しかしながら、次のTFにおいて、新たな強制再同期が試みられることになる。したがって、強制再同期は決定論的に機能するわけではないが、この方式は、再同期が行われる確率を大きく高め、それゆえ転送待ち時間を低減する。
【0110】
EFBIメッセージを用いて強制的に同期させる場合であっても、正確に受信されなかったPDUを再送するために、結局は、ある資源が依然として不足する可能性がある。この事例はたとえば、送信機およびRRMユニットの両方が、受信機によって送出された同じFBIメッセージ(1つあるいは複数)を失ったときに生じる。しかしながら、その場合でも、同期外れによる付加的な遅延は生じない。
【0111】
あるRDAが失われる場合には、次のTFにおいて再同期方式が繰り返されるであろう。しかしながら、先に述べたように、本明細書は、集中管理式の資源割当て方式において資源に起こり得る不足は取り扱わない。
【0112】
RDAメッセージおよびEFBIメッセージのためのチャネルは同じであるので、集中管理式の資源割当て方式が機能する場合には、EFBIメッセージが損なわれる確率は非常に小さい。
【0113】
図2a〜図7cは、本発明の一実施形態に従って行うことができる1組の動作を例示するために提供される。
【0114】
詳細には、図2a〜図2cは、ESARQ方式との関連で転送待ち時間を最小限に抑える目的を例示する。図2a〜図2cは4つのTF、すなわちTF#i、TF#i+1、TF#i+2およびTF#i+3の最中のメッセージのやりとりを示す。TF#i中に、送信機11は、RRDメッセージ201を介して、RRMユニット10に5資源単位を要求する。次のTFでは、RRMユニット10は、RDAメッセージ202を介して、送信機に5資源単位を割り当て、かつ、対応するフィードバック情報を1つのTFにおいて送信できるようにするのに十分な資源単位を受信機に割り当てる。受信機が1資源単位で5資源単位についてフィードバック情報を送信するものと仮定すると、RRMユニット10は、RFA203を介して、受信機に1資源単位を割り当てる。より理解しやすくするために、1資源単位は1つのPDUを送信するために必要とされる資源の量に対応する。
【0115】
同じTF、TF#i+1において、送信機は、5資源単位を通して、SNがそれぞれ0、1、2、3および4に等しい5つのPDUを送信する。受信機は、0および2に等しいSNに対応する2つのPDUだけを正確に受信する。受信機はFBIメッセージ204を送信機およびRRMユニットに送信する。このFBIメッセージを受信すると、送信機およびRRMユニットは、ステップ205およびステップ206において、それぞれ送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウを更新する。ステップ206では、RRMユニットは再送目的のための資源単位の量を、以下のように計算する。
ReTx=3資源単位
【0116】
送信機は、RRDメッセージ207を介して、次のTFのために5つの資源単位を再び要求する。ステップ208では、RRMユニットは、初期送信および再送のために送信機に割り当てられることになる資源単位の全量を、以下のように計算する。
TotTx=3+5=8資源単位
【0117】
結果として、TF#i+2では、送信機は、送信機に8資源単位を割り当てるRDAメッセージ209をRRMユニットから受信する。同時に、RRMユニットは、RFAメッセージ210を介して、対応する資源単位を受信機に割り当てる。その後、送信機はステップ211において8PDUを送信する。受信機は、SNが8に等しいPDUを除く、送信されたPDUを受信する。その後、受信機はFBIメッセージ212および213をRRMユニットおよび送信機に送信する。TF#i+2の終了時に、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウは同期している。ステップ214では、RRMユニットは受信されたFBIメッセージを解析し、再送のための資源の量を以下のように計算する。
ReTx=1
【0118】
TF#i+2においてRRDメッセージが受信されていないので、RRMユニットは、TF#i+3において、再送のために、RDAメッセージ216およびRFAメッセージ217を介して、それぞれ送信機および受信機に1資源単位のみを割り当てる。送信機はこの資源を用いて、メッセージ218を介して、SNが8に等しいPDUを再送し、そのPDUは受信機12によって正確に受信され、その後、メッセージ219を介して応答される。FBIメッセージ219を受信すると、ステップ220において送信機ARQスライディングウインドウおよびステップ221において拡張ARQスライディングウインドウが、そのFBIメッセージを介して受信された情報に基づいて更新される。
【0119】
図3a〜図6cは、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の同期外れの場合に種々の変形形態によって行われる寄与に焦点を合わせる。簡単にするために、図6a〜図6cを除くこれらの例は、ESARQ方式に関連している。しかしながら、それらはSARQ方式において容易に再現することができる。
【0120】
図3a〜図3cは、ESARQ方式におけるEFBIメッセージを用いる強制自動再同期を示す。TF#i+1において、受信機12によって送信されるFBIメッセージ204が送信機側において失われる。これは、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の同期外れに相当する。図2a〜図2cの場合と同様に、RRMユニットは、RDAメッセージ209を介して送信機11に8資源単位を割り当て、メッセージ210を介して受信機に2資源単位を割り当てる。これらの資源割当ての後に、RRMユニットはEFBIメッセージ301を送信して、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとを再同期させる。このEFBIメッセージは、FBIメッセージ204の複製である。その後、ステップ302において、送信機はその送信機ARQスライディングウインドウを更新し、再び拡張ARQスライディングウインドウと同期させる。この例示される事例では、RRMユニットによって受信される各FBIメッセージは、送信機に送信されることになるEFBIメッセージにおいて複製される。こうして、RRMユニットによって受信されるFBIメッセージ303および304は、それらが以前に送信機によって既に受信されている場合であっても、送信機に送信されるEFBIメッセージ305および306において複製される。
【0121】
図4aおよび図4bは、ESARQ方式におけるRRRメッセージを用いる再同期を示す。この図示される例では、図3a〜図3cの場合と同様に、TF#i+1におけるFBIメッセージ204は送信機において失われるが、RRMユニットにおいては失われない。ステップ206において、FBIメッセージを受信すると、RRMユニットは、割り当てられることになる資源単位の量を計算する。それは3資源単位に等しい。送信機は、初期PDU送信のための4資源単位を要求するためのRRDメッセージ401、およびPDU再送のための5資源単位を要求するためのRRRメッセージ402を送信する。RRDメッセージ401を受信すると、RRMユニットは、ステップ403において、送信機に割り当てられることになる資源単位の量を計算する。それは7資源単位、すなわち再送のための3資源単位および初期送信のための4資源単位に等しい。RRRメッセージ402を受信すると、RRMユニットは、ステップ206においてRRMユニットによって計算され、3に等しいパラメータReTxの値に対応する、再送のための資源単位の量と、5資源単位に等しい、送信機によって要求される資源単位の量とを比較して、ARQスライディングウインドウの同期外れを検出する。その後、ステップ404において、RRMユニットは資源の量の両方の値の間の差に等しい補償パラメータを計算する。この例では、補償パラメータは2資源単位に等しい。この補償パラメータの値は、割り当てられることになる資源の量に追加される。結果として、RRMユニットは、RDAメッセージ405を介して、送信機に9資源単位を割り当てる。こうして割り当てられた資源単位の量は、それぞれRRDメッセージ401およびRRRメッセージ402を介して送信機11によって要求される資源単位の量に対応する。RRMユニットは、同じTFにおいて同時に、RFAメッセージ406を介して、受信機に対応する資源単位を割り当てる。
【0122】
図5aおよび図5bは、ESARQ方式におけるRRRメッセージおよびEFBIメッセージの両方を用いる最適な再同期過程を示す。この例では、図4aおよび図4bの場合と同様に、RRMユニットは、要求された5資源単位を有するRRRメッセージ402の受信時にARQスライディングウインドウの同期外れを検出する。次のTFにおいて、RRMユニットは、ステップ403において計算されるように、RDAメッセージ500を介して7資源単位を割り当てる。さらに、この実施形態では、送信機によって要求される再送のための資源の量が、RRMユニットによって計算される再送のための資源の量よりも多いので、RRMユニットは、送信機にEFBIメッセージ502を送信することにより再同期を強制する。このEFBIメッセージは、最後に受信されたFBIメッセージ204の複製である。一実施形態では、そのような同期外れが検出される度に、RRMユニットは送信機にEFBIメッセージを送信する。このEFBIメッセージを受信すると、送信機ARQスライディングウインドウがステップ503において更新される。それにより、0および2に等しい参照番号に対応するPDUは、この場合には、再送のために不当に選択されない。これに対して、図4aおよび図4bに示される事例では、0および2に等しい参照番号に対応するPDUが、TF#i+1において受信機によって正確に受信される場合であっても、TF#1+2において、それらのPDUは送信機によって受信機に再送される。
【0123】
図6a〜図6cは、SARQ方式におけるEWIメッセージを用いる再同期を示しており、送信機ARQスライディングウインドウの先端が更新される度に、送信機がEWIメッセージを送信する。この例では、RRMユニットは、それぞれRDAメッセージ601およびRFAメッセージ602を介して、各TFにおいて送信機に3資源単位を、受信機に1資源単位を割り当てる。TF#i中に、送信機は、メッセージ603、604および605を介して、割り当てられた資源単位を用いて3PDUを送信する。受信機は、メッセージ604において送信された、SNが1に等しいPDUを除くこれらのPDUを受信する。その後、受信機は、RRMユニットおよび送信機にFBIメッセージ606を送信する。このメッセージはRRMユニット側において失われる。一方、送信機は、ステップ607において、そのARQスライディングウインドウを更新し、それに続いて、RRMユニットにEWIメッセージ608を送信する。ステップ609において、RRMユニットは、EWIメッセージ608において受信されたウインドウの先端と、拡張ARQスライディングウインドウの先端とを比較することにより、同期外れの可能性を検査し、それに応じて、補償パラメータを計算する。このレベルでは、補償パラメータは0である。その後、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、割り当てられることになる資源単位の量を計算する。それは3に等しい。
【0124】
次のTFにおいて、RRMユニットはRDAメッセージ611およびRFAメッセージ612を送信する。ステップ614では、RRMユニットは、EWIメッセージ613において受信されたウインドウの先端と、拡張ARQスライディングウインドウの先端とを比較することにより、同期外れを検出する。またステップ614において、RRMユニットは、1に等しい補償パラメータを計算する。この補償値に基づいて、RRMユニットは、最初に計算された資源単位よりも1単位多い単位、すなわち4単位を割り当てる。より一般的に言うと、TF#i+2においてEWIメッセージ616を受信すると、RRMユニットはステップ617において補償パラメータを計算し、ステップ618において、それに応じて割り当てられることになる資源単位の次の量を計算する。
【0125】
最後に、図7a〜図7cは、ESARQ方式において、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウが同期外れを起こしている場合に、同期外れの持続時間を短縮するために本発明において提供される、RRR、EWIおよびEFBIメッセージのような特有のシグナリングメッセージ、および関連する動作が用いられない場合でも、FBIメッセージだけに基づいて再同期が行われることを示す。この例では、RRMユニットは、TF毎に、初期送信のための3資源単位を送信機に自動的に割り当てる。TF#i中に、ステップ701において、送信機はこれらの3資源単位を用いて、SNが0、1および2に等しい3つのPDUを送信する。受信機は、SNが0に等しいPDUのみを受信し、その後、送信機およびRRMユニットにFBIメッセージ702を送信する。それに応じて、RRMユニットはステップ703において拡張ARQスライディングウインドウを更新する。このFBIメッセージ702は送信機側において失われる。結果として、送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウは同期外れを起こす。次のTF、TF#i+1のための資源単位を割り当てるために、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、資源単位を計算する。RRMユニットは、RDAメッセージ704およびRFAメッセージ705を送信する。TF#i+1のために送信機に5資源単位が割り当てられるので、送信機はステップ706において5PDUを送信する。受信時に、受信機はFBIメッセージ707を送信し、これらの5PDUに肯定応答する。このFBIメッセージ707を受信すると、ステップ708およびステップ709において、それぞれ送信機ARQスライディングウインドウおよび拡張ARQスライディングウインドウが更新される。送信機側およびRRMユニット側の両方のARQスライディングウインドウは依然として同期外れを起こしている。RRMユニットは、ステップ710において、拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、送信機のための資源単位の量を計算する。結果として、RDAメッセージ711を介して、送信機に4資源単位が割り当てられる。その後、送信機は、ステップ712において、その送信機ARQスライディングウインドウに従って4PDUを送信する。これらのPDUを受信すると、受信機はFBIメッセージ713を送信し、それはRRMユニット側および送信機側において正確に受信される。それに応じて、ステップ714およびステップ715において、両方のARQスライディングウインドウが更新される。この時点で、両方のARQスライディングウインドウが再び同期する。
【0126】
RRMユニットが送信機と同じ場所に配置されるとき、拡張ARQスライディングウインドウおよび送信機ARQスライディングウインドウは1つのウインドウに併合される。その際、両方のARQスライディングウインドウの間にもはや同期外れの問題はない。この状況では、EFBIメッセージあるいはEWIメッセージは無用である。RRDおよびRRRは内部変数あるいはメッセージになる。
【0127】
RRMユニットが受信機と同じ場所に配置されるとき、拡張ARQスライディングウインドウおよび受信機ARQスライディングウインドウは1つのウインドウに併合される。RRMユニットレベルにおいて、もはやフィードバック情報の検査/解析は行われない。しかしながら、いくつかのフィードバック情報が失われる場合に、両方のARQスライディングウインドウの再同期を誘導する方式も依然として適用されることができる。
【0128】
先に示された図において、順方向資源およびフィードバック資源が同じTFに含まれるとき、同じTF内にある順方向資源に関連して、フィードバック資源が割り当てられ、かつ用いられる。本発明は他のTF構造を含み、特に、あるTFに含まれるフィードバック資源が、以前のTFに含まれる順方向資源に対応することができるTF構造を含む。
【0129】
本発明の一実施形態では、現在のTFが現在のTFに先行するTFの順方向資源に対応するフィードバック資源を含む、この最後のTF構造において、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウの先端を更新する前に、現在のTF内のフィードバック資源の量を計算し、割り当てる。
【0130】
本発明の一実施形態では、現在のTFが、順方向資源と、現在のTFの順方向資源に対応するフィードバック資源とを含む、他のタイプのTF構造において、RRMユニットは、拡張ARQスライディングウインドウの先端を更新した後に、現在のTF内のフィードバック資源の量を計算し、割り当てる。
【0131】
本発明の一実施形態は、シグナリングオーバーヘッドのコストあるいは資源の無駄を最小限に抑えながら、「リンク層」の応答性を高めるために、ECユニットに都合よく組み込むことができる。一実施形態によるそのような方法は、2つの状態変数、すなわち初期送信のための資源の量および拡張ARQウインドウだけに基づくことができ、それらの変数はRAMに記憶することができる。再送のための資源の量は明示的に取り扱う必要はない。RRMユニットによって判定される資源割当て方法は、送信機あるいは受信機に伝えられる必要はない。この特徴によって、特有のシグナリングメッセージ、あるいは既存のFBIメッセージ内のフィールドを追加することが避けられる。さらに、この特徴により、任意の規定された標準規格において実施できるようになる。
【0132】
拡張ARQウインドウが更新される方法だけが、RRMユニットの場所に応じて異なる。提案される方式は、シグナリングメッセージの損失に耐えることができる点でも好都合である。提案される仕組みは、選択的ARQ方式に基づいて、集中管理式のMACプロトコルおよびECユニットを実施するネットワークに適合させることができる点で有利であり得る。それは、トポロジーがどのようなものであっても、任意のタイプのデータ転送に適用することができる。それは、RRMユニットを組み込むアクセスポイント(AP)との間でデータフローがやりとりされるセルラーネットワークにおいて用いることができる。またそれは、「ホームネットワーク」のような、装置間での直接の通信に対応するネットワークにも適用することができる。
【0133】
信頼性の低いPHY媒体に依存し、時間とともに要件が変化する多数の応用形態に同時に対応する、任意の無線システムあるいは「電力線通信」(PLC)ネットワークは、本発明が基本的に対象にすることができるシステムの典型的な例である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】既に解説されている、従来技術による、一般的に用いられているARQ方式を示す図である。
【図2a】ESARQ方式との関連で本発明の一実施形態を示す図である。
【図2b】ESARQ方式との関連で本発明の一実施形態を示す図である。
【図2c】ESARQ方式との関連で本発明の一実施形態を示す図である。
【図3a】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてEFBIメッセージを用いる強制自動再同期を示す図である。
【図3b】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてEFBIメッセージを用いる強制自動再同期を示す図である。
【図3c】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてEFBIメッセージを用いる強制自動再同期を示す図である。
【図4a】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてRRRメッセージを用いる再同期を示す図である。
【図4b】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてRRRメッセージを用いる再同期を示す図である。
【図5a】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてRRRおよびEFBI両方のメッセージを用いる最適な再同期過程を示す図である。
【図5b】本発明の一実施形態による、ESARQ方式においてRRRおよびEFBI両方のメッセージを用いる最適な再同期過程を示す図である。
【図6a】本発明の一実施形態による、SARQ方式においてEWIメッセージを用いる再同期を示す図である。
【図6b】本発明の一実施形態による、SARQ方式においてEWIメッセージを用いる再同期を示す図である。
【図6c】本発明の一実施形態による、SARQ方式においてEWIメッセージを用いる再同期を示す図である。
【図7a】ESARQ方式において、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の再同期を示す図である。
【図7b】ESARQ方式において、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の再同期を示す図である。
【図7c】ESARQ方式において、送信機ARQスライディングウインドウと拡張ARQスライディングウインドウとの間の再同期を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおいて資源を割り当てる方法であって、前記ネットワークは、
送信機ARQユニットに関連付けられ、ARQプロトコルに従ってPDUを送信するための少なくとも1つの送信機と、
受信機ARQユニットに関連付けられ、前記送信されたPDUを受信し、かつ前記送信機に対して、前記送信されたPDUを正確に受信したか否かを通知するフィードバック応答ステータス情報を含む、1つあるいは複数のフィードバック情報(FBI)を返送することにより前記PDUにそれぞれ応答するための少なくとも1つの受信機と、
一連の時間フレーム(TF)を与えるTDMA方式に基づいて前記送信機および/または前記受信機に資源を割り当てるための無線資源管理(RRM)ユニットと
を備え、
前記方法は、
前記送信機ARQユニットがPDUを前記受信機に送信し、まだ応答されていない送信された最も古いPDUに対応する下端と、送信されることになる次のPDUに対応する先端とを有する送信機ARQスライディングウインドウを管理するステップと、
前記受信機ARQユニットが、前記PDUを受信した際に、まだ正確に受信されていない最も古いPDUに対応する下端と、最後に正確に受信されたPDUに対応する先端とを有する受信機ARQスライディングウインドウを管理するステップと、
前記受信機ARQユニットが、前記PDUを受信した後に、前記送信機に1つあるいは複数のFBIメッセージを返送するステップと、
前記送信機ARQユニットが、前記FBIメッセージを受信した際に、その中で受信されたフィードバック応答ステータス情報に従って前記送信機ARQスライディングウインドウを更新し、こうして更新された前記送信機ARQスライディングウインドウに基づいて前記受信機によって正確に受信されなかったものと解釈されるPDUを再送するステップと
を含み、
前記RRMユニットも前記FBIメッセージを受信し、その中で受信されたフィードバック応答ステータス情報に従って更新される下端および先端を有する、拡張ARQスライディングウインドウを管理し、
前記RRMユニットは、初期PDU送信および/またはPDU再送のために前記送信機に対して順方向資源の量を割り当て、FBIメッセージを返送するために前記受信機に対してフィードバック資源の量を割り当て、前記順方向資源の量および前記フィードバック資源の量は前記拡張ARQスライディングウインドウに基づいて計算される、ネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項2】
前記RRMユニットは、
前記送信機の初期PDU送信のために、PDUの数nに対応する量の資源を要求することと、
前記数nに従って前記拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの前記先端を更新することと、
前記1つあるいは複数のFBIメッセージを受信する際に前記拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの前記下端を更新することと
に従って、TF毎に前記拡張ARQスライディングウインドウを管理する、請求項1に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項3】
前記フィードバック資源が現在のTFに先行するTFの順方向資源に対応するときに、前記拡張ARQスライディングウインドウの前記先端を更新する前に、前記RRMユニットは前記現在のTF内のフィードバック資源の量を計算し、かつ割り当て、
前記フィードバック資源が現在のTFの順方向資源に対応するときに、前記拡張ARQスライディングウインドウの前記先端を更新した後に、前記RRMユニットは、前記現在のTF内の前記フィードバック資源の量を計算し、かつ割り当てる、請求項2に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項4】
前記RRMユニットは、前記送信機によって要求される前記順方向資源の量を前記送信機に割り当てる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項5】
前記送信機は、前記ARQプロトコルに従って、フィードバック応答ステータスフラグを前記送信機ARQスライディングウインドウ内の各PDUと関連付け、
前記送信機は、正確に受信されなかったことを指示するフィードバック応答ステータスフラグに関連付けられる前記PDUを再送する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項6】
前記RRMユニットはさらに、前記拡張ARQスライディングウインドウ内に、前記受信されたFBIメッセージからのフィードバック応答ステータスフラグを記憶し、
前記RRMユニットは、前記拡張ARQスライディングウインドウ内に記憶される前記フィードバック応答ステータスフラグに従って、前記送信機に順方向資源の量を計算しかつ割り当て、前記拡張ARQウインドウが応答されることができるように、前記受信機にフィードバック資源の量を計算しかつ割り当てる、請求項5に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項7】
前記RRMユニットは、1つあるいは複数のFBIメッセージを受信した際に、1つあるいは複数の強制フィードバック情報(EFBI)を前記送信機に送信し、前記EFBIメッセージは、所定の判定基準に従って、最後に受信された1つあるいは複数のFBIメッセージから形成されるか、または前記拡張ARQスライディングウインドウから形成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項8】
ネットワークにおいて資源を割り当てる方法であって、
前記送信機が、PDUを再送するために必要とされる資源の量を含む、再送のための資源要求(RRR)メッセージを、前記RRMユニットに送信するステップと、
先行するステップにおいて受信された、再送するための前記資源の量に基づいて、前記RRMユニットが前記拡張ARQスライディングウインドウを更新するステップと、
こうして更新された前記拡張ARQスライディングウインドウに基づいて、前記RRMユニットが、割り当てられることになる前記資源の量を計算するステップと
が実行される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項9】
前記送信機が、PDUを再送するために必要とされる資源の量を含む、再送のための資源要求(RRR)メッセージを、前記RRMユニットに送信するステップと、
前記RRMユニットが、前記RRRメッセージにおいて要求される前記資源の量を、前記現在の拡張ARQスライディングウインドウから計算される、PDUを再送するための前記資源の量と比較するステップと、
前記比較するステップにおいて、前記要求された資源の量および前記計算された資源の量が異なるときに、前記RRMユニットがEFBIメッセージを前記送信機に送信するステップと、
前記ARQプロトコルの特性に従って、前記RRMユニットが、前記要求された資源の量および前記計算された資源の量の中から選択された資源の量を割り当てるステップと
が実行される、請求項7および8に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項10】
前記ARQプロトコルは拡張選択的ARQ(ESARQ)プロトコルであり、
前記拡張ARQスライディングウインドウのPDUに関連付けられるフィードバック応答ステータスフラグは、前記PDUの送信時、またはFBIメッセージによる前記PDUのための否定応答の受信時には「未応答」に設定され、FBIメッセージによる前記PDUのための肯定応答の受信時には「応答済み」に設定される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項11】
前記RRMユニットは、前記要求された資源の量および前記計算された資源の量のうちの最も少ない量である資源の量を割り当てる、請求項9および10に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項12】
前記ARQプロトコルは選択的ARQ(SARQ)プロトコルであり、
前記拡張ARQスライディングウインドウのPDUに関連付けられるフィードバック応答ステータスフラグは、FBIメッセージによる肯定応答の受信時には「応答済み」に設定され、
前記フィードバック応答ステータスフラグは、否定応答の受信時に「否定応答済み」に設定され、
前記フィードバック応答ステータスフラグは、前記PDUの初期送信あるいは再送時には「未応答」に設定される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項13】
前記RRMユニットは、前記要求された資源の量および前記計算された資源の量のうちの最も多い量である資源の量を割り当てる、請求項9および12に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項14】
前記送信機は、前記送信機ARQスライディングウインドウおよび前記拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの前記先端を同期させるために、初期PDU送信の後に、前記送信機ARQスライディングウインドウのウインドウの前記先端を含むウインドウの先端指示(EWI)メッセージを、前記RRMユニットに送信する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項15】
前記RRMユニットは、前記EWIメッセージに含まれる前記送信機ARQスライディングウインドウのウインドウの前記先端と、前記拡張ARQスライディングウインドウのウインドウの前記先端とを比較することにより、前記EBIメッセージが前記送信機側において失われたことを検出し、
前記検出時に、前記RRMユニットはそれに応じて、前記拡張ARQスライディングウインドウを更新し、それに続いて、こうして更新された前記拡張ARQスライディングウインドウから、割り当てられることになる順方向資源の次の量を計算する、請求項14に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項16】
前記送信機ARQユニットおよび前記受信機ARQユニットのうちの一方は前記RRMユニットと同じ場所に配置される、請求項1〜15のいずれか一項に記載のネットワークにおいて資源を割り当てる方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法を実行するための手段を含む、ネットワークにおいて資源を割り当てるための装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2006−14286(P2006−14286A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−146574(P2005−146574)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・インフォメイション・テクノロジー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC INFORMATION TECHNOLOGY CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】