説明

ネットワークの再構築方法及びネットワークシステム

【課題】ネットワークシステムの動作状況に応じた迅速且つ安定なネットワークシステムを得ることができるネットワークの再構築方法を得る。
【解決手段】構築が完了している現ネットワークにおいて、所定のアプリケーションが実行される場合における各無線端末の動作頻度を集計する集計工程を実行し、構築対象の全ての無線端末をネットワークから離脱させる離脱工程を実行するとともに、前記集計工程で集計された各無線端末の動作頻度及び各無線端末がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作頻度が高い無線端末の待ち時間を動作頻度が低い無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末のネットワークへの再接続を実行するネットワーク再構築工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステム、例えば、複数の中継ノードを有してツリーネットワークを構築される無線ネットワークシステムにおけるネットワークの再構築の方法に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク(例えば、マルチホップネットワーク)を構築する無線通信システムでは、ネットワークトポロジとしてツリー型を採用する場合がある。ツリー型のネットワークトポロジを採用する場合、ルーティング情報の管理が容易であるなどの点で他のネットワークトポロジを採用する場合に比べて有利である。
【0003】
ネットワークトポロジとしてツリー型を採用する無線通信システムとして、例えば、ZigBee(Koninklijke Philips Electronics N.V.の登録商標である。)ネットワークシステムがある。このZigBeeネットワークでは、ネットワークに参加していない無線端末(以下「ノード」ともいう。)が、ネットワークを構築しているノードに対して、ネットワークに参加するための信号(以下「Join信号」ともいう。)を発信することによってネットワークへの参加を開始する(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
一方、出願人らは、上記ZigBeeを使用するネットワークに関して、ネットワーク再構築にかかる時間を減少させることができ、ネットワーク再構築前と後とで、ツリー構造の維持の向上を図ることができる無線通信装置のネットワーク再構築方法として、当該無線通信装置200のネットワーク上の位置に関する情報を検出するネットワーク位置検出部203と、当該無線通信装置200のネットワークからの離脱を検知するネットワーク接続検知部204と、Join信号の発信タイミングを制御する制御部202とを備え、制御部202は、Join信号を発信するまでの発信タイムアウト時間を、ネットワーク上の位置に関する情報に応じて変化させることを提案している(例えば、特許文献1)。
【0005】
一般に、ネットワークの再構築にあたっては、ステップ1:各無線端末の起動を伴った親ノード候補からの情報収集処理が実行されるとともに、ステップ2:各親ノード候補から得られた情報に基づいた親ノードの選定が実行される。
上記のステップ1では、無線端末が起動し、起動した無線端末からビーコンリクエストが周囲に送られるとともに、ビーコンリクエストに呼応して、既に起動している端末(ルート端末及び無線端末)からビーコンが送り返される。このビーコンを無線端末が受け取ることで、親ノード候補を特定できる。ステップ2では、親ノード候補毎に、ホップ数及びリンク品質等に従って通信コストを計算し、例えば、通信コストが最も低い親ノード候補を親ノードとする。
【0006】
先に示した特許文献1には、上記のステップ1において、端末の位置関係を考慮したネットワークの再構築が提案されている。一方、先に説明した非特許文献1の本願指摘部位には、主にステップ2における、複数の親ノード候補から特定の親ノードをホップ数、リンク品質に基づいて選定する手法が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−224978号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“ZigBee Specification Document 053474r13”,ZigBee Alliance,pp.323-352:「IEEE802.15.4ZigBee仕様のレイヤ1とレイヤ2の仕様」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術では、特許文献1にも示すように、基本的に、端末の位置関係に基づいて各端末の起動が行われ、起動後における親ノードの決定には、全ての無線端末が同じ基準[HOP数(Network Depth)+リンク品質(LQI:Link Quality Indicator)が最小になる]で親ノードを決定しているため、トラフィック量の少ない無線端末がより上流となることが発生していた。
【0010】
また、ネットワークを一旦構築して稼動させた後に、アプリケーション上、必要となった無線端末を追加する場合、追加の無線端末を設置するだけでは、追加の無線端末をネットワークに参加させる事は可能であっても、ネットワーク構成の見直し(再構築)を行うことは実質的に出来なかった。
【0011】
再構築を行う場合は、一旦全ての端末を止めて、再度上流側から各端末を起動する必要があり、設置時の制約や設置後のシステム構成の変化に対する順応性が低く、システムの性能や安定性が低くなる可能性があった。
【0012】
本発明の目的は、ネットワークの基端に位置するルート端末に、所定のアプリケーションが装備され、当該アプリケーションが働くことにより、例えば、センサとこのセンサにより検出されるセンサ値に基づいて動作制御されるアクチュエータへの制御情報の伝達を受け持つネットワークシステムの構築において、当該ネットワークシステムの動作状況に適合したネットワークシステムの再構築が可能で、さらには、このようなネットワークの再構築が可能なネットワークシステムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための、
ネットワークの基端に位置され、入力情報に基づいて所定の制御情報を生成するアプリケーションが装備されるルート端末と、前記ルート端末よりネットワーク先端側に位置される無線端末とから構築されるネットワークの再構築方法の特徴構成は、
構築が完了している現ネットワークにおいて、前記アプリケーションが実行される場合における前記各無線端末の動作頻度を集計する集計工程を実行し、
構築対象の全ての無線端末をネットワークから離脱させる離脱工程を実行するとともに、
前記集計工程で集計された各無線端末の動作頻度及び各無線端末がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作頻度が高い無線端末の待ち時間を動作頻度が低い無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末のネットワークへの再接続を実行するネットワーク再構築工程を実行することにある。
【0014】
このネットワークの再構築方法では、先ず、集計工程において、所定のアプリケーションが実行される場合における各無線端末の動作頻度を集計する。そして、離脱工程において、構築対象の全ての無線端末をネットワークから離脱させる。その後、ネットワーク再構築工程を実行するのであるが、このネットワーク再構築工程において、順次、無線端末を起動しながらネットワークに接続させていく場合に、各無線端末に関して、待ち時間調整をおこなう。即ち、動作頻度が高い無線端末の待ち時間を動作頻度が低い無線端末の待ち時間より短くする形態に待ち時間を設定するものとし、各無線端末のネットワークへの再接続を実行する。
このように、待ち時間調整を行った場合、アプリケーションの実行において、その動作頻度が高い無線端末が、ネットワーク基端側に接続されることとなり、当該ネットワークシステムの動作状況に適合したネットワークシステムを得ることができる。
従って、再構築されたネットワークでは、動作頻度の高い無線端末がネットワーク上で、より上流側となり、全体の中継トラフィックの削減が実現し、更に、ネットワークの高効率化と低遅延化が実現できる。また、アプリケーションの変更に伴う無線端末の追加や削除に対しても再構築によって最適化が図られる。
【0015】
ここで、前記無線端末が、センサに装着されるセンサ無線端末と、前記センサにより検出されるセンサ情報に基づいて働くアクチュエータに装着されるアクチュエータ無線端末とを備え、
前記動作に、前記センサ無線端末から前記ルート端末を介して前記アクチュエータ無線端末に到るネットワーク経路に位置する前記無線端末が実行する情報の送信動作及び受信動作が含まれることが好ましい。
【0016】
この構成は、アプリケーションが、センサ情報に伴ってアクチュエータを作動させるアプリケーションの場合に、全体の中継トラフィックの削減が実現し、更に、高効率化で低遅延化されたアプリケーションの実行を実現できる。
【0017】
このように全体の中継トラフィックの削減を実現しようとする場合、前記動作に、前記センサにより検出されるセンサ値の送信動作及び前記アクチュエータに対する動作指示の送信動作を含むようにすることで、確実に中継トラフィックの削減を実現できる。
【0018】
さらに具体的には、前記集計工程における前記動作頻度の集計において、前記センサ値の送信動作回数及び前記アクチュエータへの動作指示の送信動作回数を重み付けして集計して総動作回数を求め、当該総動作回数から前記動作頻度を求めることも好ましい。
例えば、センサ値により作動するアクチュエータが複数ある場合、単純に、センサ値の送信動作回数及びアクチュエータの動作指示の送信動作回数を、同じ重み付けで処理すると、実質的なトラフィック数の削減を効果的に実現しにくい系の場合もある。それに対して、重み付けを調整・変更することで、ネットワークの実情に即した適切なネットワークを実現できる。
【0019】
さて、前記ネットワーク再構築工程において、
各無線端末を、前記集計工程で集計される動作頻度に基づいてクラス分けし、動作頻度が高いクラスに属する無線端末の待ち時間を、動作頻度が低いクラスに属する無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末のネットワークへの再接続を実行することが好ましい。
【0020】
このネットワークの再構築方法では、再構築対象の無線端末をクラス分けして、動作頻度に基づいた待ち時間の調整を行うため、個々の無線端末を順次、ネットワークに接続していく場合より、迅速に再構築を完了できる。さらに、例えば、全無線端末の数と、許容できる最大ホップ数との関係で、同一クラスに属する無線端末の数を設定することができ、アクチュエータの作動までの時間に最大許容時間が設定される等のシステムの構築が可能となる。
【0021】
即ち、前記クラス分けのクラス数は、許容できるネットワーク深さ、もしくはネットワークを介して働くアプリケーションの動作において許容される遅延時間に基づいて設定することが好ましい。
【0022】
一方、各無線端末のネットワークへの再接続に際する親ノードとする無線端末の決定において、無線端末が、当該無線端末から親ノードとする無線端末のホップ数及び無線端末へのリンク品質を考慮した通信コストに基づいて親ノードを決定する構成で、
前記通信コストの導出において、ネットワークの最大ホップ数と、前記動作頻度の高いクラスのクラス数を小さく、動作頻度の低いクラスのクラス数を大きくする形態で設定されるクラス数に基づいて、前記ホップ数及びリンク品質を重み付けして前記通信コストを導出することが好ましい。
【0023】
本願のネットワークの再構築方法では、各無線端末のクラス数が、事実上のポップ数に対応した通信コストに関連する情報となる。そこで、通信コストの導出に際して、クラス数を重み付けにも使用することで、アプリケーションの動作に適した効率的なネットワークシステムを実現できる。
【0024】
ここで、前記ホップ数及びリンク品質の重み付けを行うに、
前記ポップ数に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより重くし、
前記リンク品質に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより軽くすることが好ましい。
【0025】
本願に係るネットワークでは、ルート端末にアプリケーションを備え、当該ルート端末がネットワークの基端に位置されるネットワークにおいて、アプリケーションの働きに必要な入力情報が何れかの無線端末を介してルート端末に送られ、ルート端末でこの入力情報からアプリケーションにより制御情報が生成され、他の無線端末に送られる。
従って、クラス数が小さい上位クラスの無線端末に関しては、動作頻度が高いため、できるだけホップ数が小さいことが好ましい。一方、クラス数が大きい下位クラスの無線端末に関しては、動作頻度は低いため、ホップ数にそれ程配慮する必要はなく、むしろ、通信品質に係るリンク品質が重要となる。
【0026】
従って、ポップ数に関して、クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより重くし、リンク品質に関して、クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより軽くすることにより、上述のクラス数に基づいたホップ数とリンク品質に求められる特性を満たすことができる。
【0027】
上述の本願に係るネットワークの再構築方法を実行できるネットワークシステムは、以下の構成を有するものとなる。
即ち、ネットワークの根元に位置され、入力情報に基づいて所定の制御情報を生成するアプリケーションが装備されるルート端末と、前記ルート端末よりネットワーク先端側に位置される無線端末とから構築されるネットワークシステムに、
構築が完了している現ネットワークにおいて、前記アプリケーションが実行される場合における前記各無線端末の動作頻度の集計を行い、当該動作頻度に従って各無線端末をクラス分けする動作集計・クラス分け手段と、
前記動作集計・クラス分け手段によるクラス分けに従って、各無線端末に、ネットワークからの離脱及びネットワークへの再接続に関するリブート指令を送るリブート処理手段とを備え、
前記リブート指令に含まれる各無線端末がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作頻度が高いクラスに属する無線端末の待ち時間が動作頻度が低いクラスに属する無線端末の待ち時間より短くなる形態としておくのである。
【0028】
この構成では、動作集計・クラス分け手段が、現ネットワークが確立された状態で、アプリケーションが働く場合の各無線端末の動作頻度を求め、求められた動作頻度に基づいて無線端末をクラス分けする。
そして、リブート処理手段から各無線端末に、動作集計・クラス分け手段によるクラス分けに従って、ネットワークからの離脱及びネットワークへの再接続に関するリブート指令を送る。
結果、各無線端末は、動作頻度に従って生成されるリブート指令に従って、ネットワークから離脱するとともに、再接続され、本願の目的に適合するネットワークが再構築される。
【0029】
ここで、前記ルート端末及び前記無線端末とは別個に制御装置を設け、
前記制御装置は、前記動作集計・クラス分け手段及び前記リブート処理手段を備え、
前記動作集計・クラス分け手段に、全ての前記無線端末の動作をモニタリングする機能部、当該モニタリング結果から一定時間内での各無線端末の動作頻度を求める機能部、総無線端末数とネットワークの最大深さを用いて無線端末を動作頻度順にクラス分けする機能部を有し、
前記リブート処理手段に、現ネットワークの末端に位置する無線端末からルート端末側に順にネットワークから離脱させる離脱動作指令、及び再接続を開始するまでの待ち時間を含む再接続動作指令を生成する機能を有することが好ましい。
【0030】
このネットワークシステムでは、制御装置がネットワークの再構築を受け持つ。
即ち、各無線端末の動作モニタリング、動作頻度の求出、動作頻度に従ったクラス分けを実行し、ネットワークの離脱及び、各無線端末のクラス分けに従った再接続を、制御装置が実行できる。
【0031】
また、前記無線端末が、センサに装着されるセンサ無線端末と、前記センサにより検出されるセンサ情報に基づいて働くアクチュエータに装着されるアクチュエータ無線端末とからなり、
前記ルート端末は、ネットワークを起動し、構築対象とする全ての前記無線端末と通信する通信手段、及び前記センサ情報を受信して、前記センサ情報に基づいて前記アクチュエータに対する動作指示を生成するアクチュエータ動作制御手段を備えることが好ましい。
この構成では、センサ情報に従ったアクチュエータの動作を実行できる。
【0032】
さらに、前記無線端末は、前記制御装置からの指示に従って、ネットワークから離脱し、待ち時間待って、再接続するネットワーク参加処理手段を備え、
各無線端末のネットワークへの再接続に際する親ノードとする無線端末の決定において、無線端末が、当該無線端末から親ノードとする無線端末へのホップ数及びリンク品質を考慮した通信コストに基づいて親ノードを決定する親ノード決定処理手段を備え、前記通信コストの導出において、ネットワークの最大ホップ数と、前記動作頻度の高いクラスのクラス数を小さく、動作頻度の低いクラスのクラス数を大きくする形態で設定されるクラス数に基づいて、前記ホップ数及びリンク品質を重み付けして前記通信コストを導出することが好ましい。
【0033】
本願のネットワークの再構築方法では、各無線端末のクラス数が、事実上のポップ数に対応した通信コストに関連する情報とすることができる。そこで、通信コストの導出に際して、クラス数を重み付けにも使用することで、アプリケーションの動作に適した効率的なシステムを実現できる。
【0034】
ここで、前記ホップ数及びリンク品質の重み付けに関しては、先にも説明したように、
前記ポップ数に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより重くし、
前記リンク品質に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより軽くすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本願に係るネットワークシステムを構成する各機器の構成を示す概念図
【図2】構築済みの現ネットワークの状態を示す説明図
【図3】構築済みの現ネットワークにおいて所定のアプリケーションが働いて、各無線端末の動作頻度を集計している状態を示す説明図
【図4】制御装置から各無線端末にリブート指令を送信している状態を示す説明図
【図5】クラス分けに従ったネットワークの再構築の状態を示す説明図
【図6】ネットワークの再構築処理のフローを示す図
【図7】現ネットワークの構築手順を示すタイムチャート図
【図8】ネットワークの再構築手順を示すタイムチャート図
【図9】全無線端末がネットワークから離脱した後の各無線端末の再接続手順を示すタイムチャート図
【図10】ネットワークを本願手法に従って再構築することによるトラフィック数の低減効果を示す図表
【発明を実施するための形態】
【0036】
本願に係るネットワークの再構築方法及びその再構築方法を実施することができるネットワークシステムについて、以下に図面に基づいて説明する。
図1は、本願に係るネットワークシステム100を構成する各機器の構成を示す概念図であり、図5に示すネットワークシステム100の一構成例を示す例である。
これらの図に示すように、本願に係るネットワークシステム100は、ネットワークの根元に位置されるルート端末1と、このルート端末1よりネットワーク先端側に位置される無線端末2とから構成され、本願に係るネットワークシステム100には、本願独特の制御装置3が備えられている。図5の場合、端末0がルート端末1であり、端末1〜6が無線端末2である。
【0037】
本例では、ルート端末1と無線端末2とは無線で、ルート端末1と制御装置3とは有線で通信可能とされており、無線端末2間及び無線端末2と制御装置3とは無線で通信可能とされている。従って、ルート端末1、無線端末2、及び制御装置3は、夫々、通信手段101を備えている。
【0038】
本ネットワークシステム100は、センサ4により検出されるセンサ情報(入力情報の一例)に基づいて、アクチュエータ5を作動させる目的で構築されるシステムであり、例えば、所定のガス種のガス濃度をセンサ4により検出して、検出されたガス濃度情報に従って、弁等であるアクチュエータ5によるガス供給の遮断を実行する構成のシステムである。従って、センサ情報に基づいて、アクチュエータ5に対する動作指示(制御情報の一例)を生成するアプリケーション6が、ルート端末1に備えられている。
【0039】
また、無線端末2として、センサ4に装着されるセンサ無線端末24と、センサ4により検出されるセンサ情報に基づいて働くアクチュエータ5に装着されるアクチュエータ無線端末25とが備えられている。図5の場合、端末1がセンサ無線端末24であり、端末3がアクチュエータ無線端末25である。
【0040】
即ち、本ネットワークシステム100では、センサ無線端末24からルート端末1にセンサ情報が送信され、ルート端末1に備えられるアプリケーション6により、アクチュエータ5に対する動作指示が生成され、アクチュエータ無線端末25に送信され、アクチュエータ5がその動作指示に従って作動する。
【0041】
このような構成において、本願に係るネットワークシステム100では、構築が完了している現ネットワークにおいて、各無線端末2の動作回数(動作頻度の一例)を集計する集計工程を実行し、構築対象の全ての無線端末2をネットワークから離脱させる離脱工程を実行するとともに、集計工程で集計された各無線端末2の動作回数及び各無線端末2がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作回数が高い無線端末の待ち時間を動作回数が低い無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末2のネットワークへの再接続を実行するネットワーク再構築工程を実行するようにネットワークシステム100が構成されている。本例では、ネットワークを構成する全ての無線端末2を再構築対象とする。
【0042】
即ち、ネットワークシステム100としては、ネットワークの根元に位置され、アプリケーション6が装備されるルート端末1と、前記ルート端末1よりネットワーク先端側に位置される無線端末2とから構築されるネットワークシステムであって、構築が完了している現ネットワークにおいて、前記各無線端末2の動作回数の集計を行い、当該動作回数に従って各無線端末2をクラス分けする動作集計・クラス分け手段31と、前記動作集計・クラス分け手段31によるクラス分けに従って、各無線端末2に、ネットワークからの離脱及びネットワークへの再接続に関するリブート指令を送るリブート処理手段32とを備え、
前記リブート指令に含まれる各無線端末2がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作回数が高いクラスに属する無線端末2の待ち時間が動作回数が低いクラスに属する無線端末2の待ち時間より短くなる形態とされている。
【0043】
本願が対象とするネットワークの構築は、一旦、確立されたネットワークにおいて、各無線端末2の動作回数を集計し、その動作回数に従ってネットワークの再構築を行う。従って、ネットワークが一旦確立されていることが必要とされる。本例では、現ネットワークの確立においては、予め設定されている端末起動順序に従って実行され、現ネットワークが構築されるものとする。このような端末起動順序の例としては、ルート端末1及び各無線端末2の空間的な位置関係(端末間の距離)に従って、ルート端末に近い側から順次、端末を起動する例が代表的である。本例において、図2の右上に「端末起動順序」と記載しているのが、この現ネットワークに対する端末の起動順序であり、この図で、順序として、1,2、3で順序が設定されていることを示し、同図における影が濃くなるに従って、起動が遅れることを示している(図7参照)。
【0044】
図1のルート端末1内に、例示的に、ルート端案に関して、「端末起動順序情報」に基づいて、現ネットワークの構築に際して働く手段を、ネットワーク構築手段10として示している。このネットワーク構築手段は、「端末起動順序情報」に基づいたルート端末の起動を実行する。各無線端末2に関しても、現ネットワークの構築では、「端末起動順序情報」に基づいた起動を行うように無線端末が構成されている。
【0045】
また、端末1,2間の通信の確立においては、所謂、「ビーコンリクエスト」、当該ビーコンリクエストに対する「ビーコン」、「アソシエーションリクエスト」、当該アソシエーションリクエストに対する「アソシエーションレスポンス」の遣り取りで、通信可能端末1,2の特定(親ノード候補の抽出)及び親ノードの特定(親ノードの選定)が可能となっている。ここで、親ノードの特定に際しては、本例における再接続では、従来行われてきた通信コストによる評価に加えて、クラス分けに従った重み付け評価も加えて、親ノードの決定が成される。
【0046】
以下、各機器の構成に関して順に説明する。
ルート端末
ルート端末1は、ネットワーク(現ネットワーク及び再構築ネットワーク共)の構築において最初に起動する端末であり、上記した当該ビーコンリクエストに対する「ビーコン」を生成するためのビーコン生成手段102、及び、アソシエーションリクエストに対する「アソシエーションレスポンス」を生成するためアソシエーションレスポンス生成手段103を備えている。
さらに、先に説明したセンサ情報を受信して、このセンサ情報に基づいてアクチュエータ5に対する動作指示を生成するアクチュエータ動作制御手段11(アプリケーション6)を備えて構成されている。これら通信に必要となる受信及び送信は、通信手段101により受持たれる。
【0047】
無線端末
無線端末2は、ネットワークの構築においてルート端末1に遅れて順次起動する端末である。現ネットワークの場合は、先に説明した「端末起動順序」に従って起動する構成とされており、再構築ネットワークの場合は、後述するリブート指令に従って起動する構成とされている。
【0048】
この無線端末2は、制御装置3からのリブート指令に従って、ネットワークから離脱し、待ち時間待って、再接続するネットワーク参加処理手段21が備えられている。
【0049】
このネットワーク参加処理手段21に於ける再接続の具体的構成に関して、以下、さらに詳細に説明する。
図1に示すように、再接続に関して、従来型の端末と同様に、通信の確立及び親ノードの決定のために、上記した「ビーコンリクエスト」を生成するためのビーコンリクエスト生成手段104、当該ビーコンリクエストに対する「ビーコン」を生成するためのビーコン生成手段102、及び、「アソシエーションリクエスト」を生成するためのアソシエーションリクエスト生成手段105、当該アソシエーションリクエストに対する「アソシエーションレスポンス」を生成するためアソシエーションレスポンス生成手段103を備えている。
従って、別の端末からビーコンリクエストを受けて応答することで、通信可能な端末であることを通知することができるとともに、別の端末からアソシエーションリクエストを受けて応答することで、親ノードとなることができる。
【0050】
さらに、各無線端末2のネットワークへの再接続に際する親ノードとする無線端末2の決定において、無線端末2が、当該無線端末2から親ノードとする無線端末へのホップ数及びリンク品質を考慮した通信コストに基づいて親ノードを決定する親ノード決定処理手段22を備え、この通信コストの導出において、ネットワークの最大ホップ数MHと、動作回数の高いクラスのクラス数を小さく動作回数の低いクラスのクラス数を大きくする形態で設定されるクラス数CNに基づいて、ホップ数HOP及びリンク品質LQIを重み付けして通信コストCostを導出するように構成されている。
具体的には、以下に示す数1の式によって導出するように構成されている。
【0051】
〔数1〕
Cost=HOP×(MH−CN)+LQI÷(MH−CN)
【0052】
この式からも判るように、通信コストCostは、ポップ数HOPに関して、クラス数CNが小さい上位クラスの無線端末2の重み付けを、クラス数CNが大きい下位クラスの無線端末2の重み付けより重くし、リンク品質LQIに関して、クラス数CNが小さい上位クラスの無線端末2の重み付けを、クラス数CNが大きい下位クラスの無線端末2の重み付けより軽くする形態となっている。
【0053】
親ノード決定処理手段22における親ノードの決定は、複数の端末(親ノード候補)からビーコンを受信した場合に、そのビーコンに含まれる情報(親ノード候補のホップ数及びその親ノード候補からのリンク品質)から各端末を通信コストCostを計算し、その通信コストの最も小さい端末を親ノードとする。
【0054】
さらに、先にも示したように、無線端末2として、センサ無線端末24とアクチュエータ無線端末25とが用意されているが、無線端末2がセンサ4に装着された状態で、センサ4により検出されるセンサ情報に従って例えば、そのセンサ情報が所定の閾値より大きい場合に、センサ情報をルート端末側におくる制御を実行するセンサ制御手段26が備えられている。一方、無線端末2がアクチュエータ5に装着された状態で、ルート端末1からの制御指令に従って例えば、その弁を遮断するといった動作制御を実行するアクチュエータ制御手段27が備えられている。
【0055】
制御装置
本例では、制御装置3は、ルート端末1及び無線端末2とは別個に設けられている。
制御装置3は、構築が完了している現ネットワークにおいて、各無線端末2の動作回数の集計を行い、当該動作回数に従って各無線端末をクラス分けする動作集計・クラス分け手段31と、動作集計・クラス分け手段31によるクラス分けに従って、各無線端末に、ネットワークからの離脱及びネットワークへの再接続に関する「リブート指令」を送るリブート処理手段32とを備え、動作集計・クラス分け手段31に、全ての無線端末の動作をモニタリングする機能部31a、当該モニタリング結果から一定時間内での各無線端末の動作回数を求める機能部31b、総無線端末数とネットワークの最大深さを用いて無線端末を動作回数順にクラス分けする機能部31cを有し、
前記リブート処理手段32に、リブート指令として、現ネットワークの末端に位置する無線端末2からルート端末側に順にネットワークから離脱させる離脱動作指令、及び再接続を開始するまでの待ち時間を含む再接続動作指令を生成する機能を有している。
【0056】
ここで、各無線端末2がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作回数が高いクラスに属する無線端末の待ち時間が動作回数が低いクラスに属する無線端末の待ち時間より短くなる形態とされている。
【0057】
更に、詳細に、各手段について説明する。
動作集計・クラス分け手段31
動作集計
動作集計・クラス分け手段31は、無線端末毎に、少なくともセンサ値の送信動作回数Nsenとアクチュエータの動作指令の送信動作回数Nactをカウントし動作回数テーブルに保存ように構成されている。この時、ネットワークの特性やアプリケーションの要求等からセンサ値の送信動作回数Nsenと、アクチュエータの動作指令の送信動作回数Nactに重み付け(数2に於けるα、β)を行うことも可能とされている。即ち、通常、センサ値の送信動作回数Nsen<アクチュエータの動作指令の送信動作回数Nactの条件を満たすこととなるため、α>βといった重み付けを行うこともできる。
【0058】
このような重み付けを行う場合も含めた一般式を数2に示した。ここで、α、βをともに1とする場合は、重み付けを行わないこととなる。
【0059】
〔数2〕
Nt=α×Nsen+β×Nact
Nt:動作回数、Nsen:センサ値の送信動作回数、Nact:アクチュエータの動作指令の送信動作回数、α、β:重み付け係数(通常は1)
【0060】
クラス分け
動作集計・クラス分け手段31は、動作回数テーブルの動作回数Ntから各ノードの動作回数順位を決定し、その動作回数順位に応じて、各無線端末をグループ分けする。
本例が対象とするツリーネットワークは、ネットワーク深さの最大値を規定する値(MH:最大ポップ数)を定める。従来技術では、ネットワーク深さとして規定されている。また、アプリケーションの遅延要求等からMHを設定してよい。
【0061】
動作集計・クラス分け手段31は、無線ネットワークを構築する無線端末の総数NN(ノードナンバー)を動作回数テーブルの端末総数から求め、CNN(クラス端末数)=NN/MHから一つのクラスに属する台数であるクラス端末数CNNを求める。クラス端末数は自然数とする。少数が出た場合の切り上げ・切捨ては特に規定しない。
【0062】
動作集計・クラス分け手段31は、クラス端末数CNNに基づいて、各無線端末2のクラス分け(このクラスの順位を本願ではクラス数と呼ぶ)を行い、動作回数テーブルT(図2、図3、図4参照)のクラスを更新する。例えば、NN=6、MH=3ホップの場合、6/3=2となり、2台毎のクラス分けとなる。
【0063】
クラス数0→ルート端末、クラス数1→ルート端末の直下に位置する端末、クラス数2→クラス数1の端末の1ホップ下流に位置する端末、クラス数3→クラス数2の端末の1ホップ下流に位置する端末、
クラス数0には常にルート端末が位置され、動作回数Ntの大きい無線端末からクラス端末数CNN台毎にクラス数1から順に無線端末がクラスに分けられる。
【0064】
リブート処理手段
リブート処理手段32は、リブート指令として、現ネットワークの末端に位置する無線端末2からルート端末側に順にネットワークから離脱させる離脱動作指令、及び再接続を開始するまでの待ち時間を含む再接続動作指令を生成する機能部として構成されている。
【0065】
そして、離脱動作指令を受取った端末2は、順次、現ネットワークの端末側から離脱することとなる。
【0066】
再接続動作指令は、ReBoot(NA、CN)のような情報を含んでいる。NAはノードアドレス、CNは、その無線端末2が属するクラス数である。但し、端末#0は常にCN=0である。従って、制御装置3から再接続動作指令を受けた無線端末2は、先に説明した親ノードから離脱した状態で、所定の待ち時間待ってから、起動し、ネットワークに再接続する。ここでの再接続の手順は従来型の接続手順と同一である。ただし、通信コストの計算において、先にも示したように動作回数に応じて設定されるクラス数が加味される。
上記の各無線端末2における実待ち時間RWT=CN×WTである。CNはクラス数である。また、WTはネットワークや端末の動作速度などによって決まる単位待ち時間である。
例えば、この単位待ち時間は、WT=ネットワーク離脱に必要な処理時間×2+ネットワーク接続に必要な処理時間とする。
このように各無線端末2における実待ち時間RWTを設定することで、クラス数の大きいクラスに属する無線端末2ほど遅れて、ネットワークへの接続操作を実行することとなり、結果的に、動作回数の高い無線端末2がツリーネットワークの基端側に位置することとなる。
【0067】
以下、図2〜図9を参照しながら、本願に係るネットワークシステムの再構築方法に関して説明する。
図6に本願のネットワークシステム100の再構築手順の概略を示した。
【0068】
従来型ツリーネットワークの構築(ステップ#1)
この従来型ツリーネットワークの構築により構築されたネットワークが、これまで現ネットワークと呼んできたネットワークである。
この従来型のツリーネットワークの構築においては、図2、図7に示すように、各端末が「端末起動順序」に従って起動される。
1.まず、端末#0(ルート端末)が起動し、その後、端末#1〜6(無線端末)が「端末起動順序」に従って起動する。
2.無線端末#1〜3が、図7に示すようにビーコンリクエストを出す。その応答となるビーコンは端末#0と自分より先に起動した端末から送られる。この例では、先に起動した端末はルート端末1(#0)のみであるため、ルート端末1のみからビーコンが戻される。同一順序の端末は、同時に起動する。
3.端末#1〜3は、受け取ったビーコンからルート端末1までのホップ数HOPと端末間のリンク品質LQIを導き、MH=3(ネットワーク定数)、C0=1(一定の初期値)で、コスト関数:Cost=HOP×(MH−C0)+LQI÷(MH−C0)を計算する。
4.端末#1〜3は同一のコスト関数で親ノード候補を選定する。図から端末間の距離も設置条件も同じだとして、端末#1〜3は端末#0にアソシエーションリクエストを出し端末#0からアソシエーションレスポンスを受け取り、ネットワークへの接続を完了する。
5.次に、端末#4〜5が起動し、同様の起動・接続シーケンスを実行する。
6.端末#0〜3がビーコンで応答するが端末#0は端末間の距離が長くリンク品質が悪く親子ノードから漏れる。
7.端末#4〜5は、リンク品質の良い近傍の端末にアソシエーションリクエストを出す。即ち、端末#4は端末#2に、端末#5は端末#3にアソシエーションリクエストを出しネットワークへの接続を完了する。
8.最後に端末#6が起動し、同様に起動・接続シーケンスを行い。端末#4を親ノードしネットワークへの接続を完了する。
【0069】
ネットワーク再構築のためのデータ集計(ステップ#2)
1.現ネットワークの完成後、ルート端末1に備えられるアプリケーション6が動作を開始する。
2.センサ4に装着されている無線端末24(本例の場合は端末#1)はセンサ値を端末#0に送信し、アプリケーション6の働きにより、端末#0はセンサ値の変化からアクチュエータ5に装着された特定の無線端末25(本例の場合は端末#3)に動作指示を送信する。
3.端末#0は、センサ値の受信と指示の送信を制御装置3に転送する。
4.制御装置3では、各端末1,2の動作をカウントし、図3右下図のような動作回数テーブルTを作成する(図8参照)。
同図からも判明するように、この動作回数テーブルTは、各無線端末2について、所定期間における、それらの動作回数を含むテーブルとされている。
【0070】
再構築ツリーの構造完成(ステップ#3)
1.制御装置3は、一定時間経過後に、端末を動作回数から順位付けを行い、本例では、NN=6台、MH=3HOPの条件から6÷3=2台づつでクラス分けをする。これでアプリケーションが働くことによる各無線端末2の動作回数から再構築ツリーの条件を完成する(図8参照)。
【0071】
改良型ネットワークの構築(ステップ#4)
1.制御装置3は、前記の再構築ネットワークの条件から各端末にリブート指令を出す。
2.制御装置3は、現ネットワークの末端に位置する端末(本例の場合は#6)から順にリブート指令を出し、最後に端末#0にリブート指令を出す。
3.リブート指令(リブート指令の一例)は、先に示したReBoot(NA,CN)のようになる。但し、端末#0は常にCN=0である。
4.制御装置3からリブート指令を受けた無線端末2は、離脱動作指令に従って、親ノードにネットワーク離脱の告げ、先に説明した所定の実待ち時間RWT待ってからネットワークへの再接続を開始する(図8参照)。
【0072】
ネットワーク再構築完了(ステップ#5)
1.端末#0が起動・接続シーケンスを開始しネットワークの起動が開始する。
2.クラス数1(上位クラス)の端末(#4,#6)から順に起動・接続シーケンスを開始する。
3.端末#4,#6は、Cost=HOP×(MH−CN)+LQI÷(MH−CN)でCN=0で起動する。
4.端末#4,#6は、コスト関数Costに基づいて関数が小さくなるように親ノードを選ぶ。端末#4は端末#0(ホップ数=0)のビーコンを受け取り、端末#0を親ノードとしネットワークに接続する。端末#6は端末#4のビーコンを受け取るが他のビーコンを待つ。この例の場合は、端末#6は、後述する6.で説明するように、端末1,2,4のビーコンを受けるまで他のビーコンを受けるように構成されている。
5.次に、クラス2の端末#1、#2が起動する。端末#1、#2は端末#0を見つけ親ノードとする。Cost=HOP×(MH−CN)+LQI÷(MH−CN)でCN=0に基づいてコスト関数Costを求めることで、端末#0がこの場合も、親ノードとなる。
6.端末#6は端末#1,2,4のビーコンを受け取るが同じ1ホップである為、近傍でリンク品質の良い端末#2を親ノードに選ぶ。換言すると、端末#1及び#4は、遠方にあり、リンク品質が劣るため選択されない。
7.同様に、クラス3の端末#3、#5が起動する。この場合、端末#3、#5は、これまでに起動している端末#0、#1、#2、#4、#6からビーコンを受け取るが、Cost=HOP×(MH−CN)+LQI÷(MH−CN)で、端末#0に関してCN=0、#4、#6に関してCN=1、#2に関してCN=2となるとともに、リンク品質の評価も行い、ホップ数よりリンク品質を重んじることとなり、結果的に近傍の端末#4を親ノードとする。
【0073】
添付の図10に現ネットワークから、各無線端末2の動作頻度(動作回数)に基づいた再構築を行ったネットワークにおいて、同一のアプリケーション動作をおこなった場合のトラフィック数の変化を示した。
同図からも判明するように、総トラフィック数は、637から453に減少しており、アプリケーション動作に適合した効率的なネットワークが構築されていることが判る。
【0074】
したがって、再構築されたツリーネットワークでは、動作回数の高い無線端末2がツリーネットワーク上で、より上流側となり、全体の中継トラフィックの削減が実現し、更に、ネットワークの高効率化と低遅延化が実現できた。また、アプリケーションの変更に伴う無線端末の追加や削除に対しても再構築によって最適化が行われると言える。
【0075】
〔別実施形態〕
(1) 上記の実施形態では、センサにより検出されたセンサ情報によりアクチュエータを作動させるアプリケーションを例示したが、本願が対象とするアプリケーションは、入力情報に従って、制御情報を出力するものを対象とでき、機器連携やM2Mと言われるアプリケーションである「自動監視・警報」、「危険物検知・警報・回避」、「空調制御」等のアプリケーションも本願のネットワークシステムの対象とできる。
(2) 上記の実施形態においては、ルート端末1、無線端末2とは別の制御装置3を設け、本願独特の動作頻度・クラス分け手段及びリブート処理手段を当該制御装置3に設けたが、ネットワークが確立された状態で、各無線端末の動作回数に関する情報を集積でき、且つ、ネットワークから各無線端末が離脱した状態で、本願独特のリブート指令を各無線端末に伝達することが可能であれば、上記の動作頻度・クラス分け手段及びリブート処理手段を設ける位置は、その位置を問うものではない。
(3) 上記の例において、動作頻度は、各無線端末の動作回数として集計したが、例えば、警報機等の重要要素を持つ機器連携アプリケーションの場合、それ自体の動作回数は低いが重要度は高いので、「動作回数×重要度」から動作頻度を集計してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
例えば、センサとこのセンサにより検出されるセンサ値に基づいて動作制御されるアクチュエータの間の情報伝達を受け持つネットワークシステムの構築において、当該ネットワークシステムの動作状況に応じた迅速且つ安定なネットワークシステムを得ることができるネットワークの再構築方法を得ることができた。
【符号の説明】
【0077】
1 ルート端末
2 無線端末
3 制御装置
4 センサ
5 アクチュエータ
6 アプリケーション
10 起動制御手段
11 アクチュエータ動作制御手段
21 ネットワーク参加処理手段
22 親ノード決定処理手段
24 センサ無線端末
25 アクチュエータ無線端末
26 センサ制御手段
27 アクチュエータ制御手段
31 動作集計・クラス分け手段
32 リブート処理手段
100 ネットワークシステム
101 通信手段
102 ビーコン生成手段
103 アソシエーションレスポンス生成手段
104 ビーコンリクエスト生成手段
105 アソシエーションリクエスト生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの基端に位置され、入力情報に基づいて所定の制御情報を生成するアプリケーションが装備されるルート端末と、前記ルート端末よりネットワーク先端側に位置される無線端末とから構築されるネットワークの再構築方法であって、
構築が完了している現ネットワークにおいて、前記アプリケーションが働く際における前記各無線端末の動作頻度を集計する集計工程を実行し、
構築対象の全ての無線端末をネットワークから離脱させる離脱工程を実行するとともに、
前記集計工程で集計された各無線端末の動作頻度及び各無線端末がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作頻度が高い無線端末の待ち時間を動作頻度が低い無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末のネットワークへの再接続を実行するネットワーク再構築工程を実行するネットワークの再構築方法。
【請求項2】
前記無線端末が、センサに装着されるセンサ無線端末と、前記センサにより検出されるセンサ情報に基づいて働くアクチュエータに装着されるアクチュエータ無線端末とを備え、
前記動作に、前記センサ無線端末から前記ルート端末を介して前記アクチュエータ無線端末に到るネットワーク経路に位置する前記無線端末が実行する情報の送信動作及び受信動作が含まれる請求項1記載のネットワークの再構築方法。
【請求項3】
前記動作に、前記センサにより検出されるセンサ値の送信動作及び前記アクチュエータに対する動作指示の送信動作が含まれる請求項2記載のネットワークの再構築方法。
【請求項4】
前記集計工程における前記動作頻度の集計において、前記センサ値の送信動作回数及び前記アクチュエータへの動作指示の送信動作回数を重み付けして集計して総動作回数を求め、当該総動作回数から前記動作頻度を求める請求項3記載のネットワークの再構築方法。
【請求項5】
前記ネットワーク再構築工程において、
各無線端末を、前記集計工程で集計される動作頻度に基づいてクラス分けし、動作頻度が高いクラスに属する無線端末の待ち時間を、動作頻度が低いクラスに属する無線端末の待ち時間より短くする形態で、各無線端末のネットワークへの再接続を実行する請求項1〜4のいずれか一項記載のネットワークの再構築方法。
【請求項6】
前記クラス分けのクラス数が、ネットワーク深さ、もしくはネットワークを介して働く前記アプリケーションの動作において許容される遅延時間に基づいて設定される請求項5記載のネットワークの再構築方法。
【請求項7】
各無線端末のネットワークへの再接続に際する親ノードとする無線端末の決定において、無線端末が、当該無線端末から親ノードとする無線端末のホップ数及び無線端末へのリンク品質を考慮した通信コストに基づいて親ノードを決定する構成で、
前記通信コストの導出において、ネットワークの最大ホップ数と、前記動作頻度の高いクラスのクラス数を小さく、動作頻度の低いクラスのクラス数を大きくする形態で設定されるクラス数に基づいて、前記ホップ数及びリンク品質を重み付けして前記通信コストを導出する請求項5又は6記載のネットワークの再構築方法。
【請求項8】
前記ホップ数及びリンク品質の重み付けを行うに、
前記ポップ数に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより重くし、
前記リンク品質に関して、前記クラス数が小さい上位クラスの無線端末の重み付けを、前記クラス数が大きい下位クラスの無線端末の重み付けより軽くする請求項7記載のネットワークの再構築方法。
【請求項9】
ネットワークの根元に位置され、入力情報に基づいて所定の制御情報を生成するアプリケーションが装備されるルート端末と、前記ルート端末よりネットワーク先端側に位置される無線端末とから構築されるネットワークシステムであって、
構築が完了している現ネットワークにおいて、前記アプリケーションが実行される場合における前記各無線端末の動作頻度の集計を行い、当該動作頻度に従って各無線端末をクラス分けする動作集計・クラス分け手段と、
前記動作集計・クラス分け手段によるクラス分けに従って、各無線端末に、ネットワークからの離脱及びネットワークへの再接続に関するリブート指令を送るリブート処理手段とを備え、
前記リブート指令に含まれる各無線端末がネットワークへの再接続を開始するまでの待ち時間に関して、動作頻度が高いクラスに属する無線端末の待ち時間が動作頻度が低いクラスに属する無線端末の待ち時間より短くなる形態とされているネットワークシステム。
【請求項10】
前記ルート端末及び前記無線端末とは別個に制御装置を設け、
前記制御装置は、前記動作集計・クラス分け手段及び前記リブート処理手段を備え、
前記動作集計・クラス分け手段に、全ての前記無線端末の動作をモニタリングする機能部、当該モニタリング結果から一定時間内での各無線端末の動作頻度を求める機能部、総無線端末数とネットワークの最大深さを用いて無線端末を動作頻度順にクラス分けする機能部を有し、
前記リブート処理手段に、リブート指令としての、現ネットワークの末端に位置する無線端末からルート端末側に順にネットワークから離脱させる離脱動作指令及び再接続を開始するまでの待ち時間を含む再接続動作指令を生成する機能部を有する請求項9記載のネットワークシステム。
【請求項11】
前記無線端末が、センサに装着されるセンサ無線端末と、前記センサにより検出されるセンサ情報に基づいて働くアクチュエータに装着されるアクチュエータ無線端末とからなり、
前記ルート端末は、ネットワークを起動し、構築対象とする全ての前記無線端末と通信する通信手段、及び前記センサ情報を受信して、前記センサ情報に基づいて前記アクチュエータに対する動作指示を生成するアクチュエータ動作制御手段を備える請求項9又は10記載のネットワークシステム。
【請求項12】
前記無線端末は、
前記制御装置からの指示に従って、ネットワークから離脱し、待ち時間待って、再接続するネットワーク参加処理手段を備え、
各無線端末のネットワークへの再接続に際する親ノードとする無線端末の決定において、無線端末が、当該無線端末から親ノードとする無線端末へのホップ数及びリンク品質を考慮した通信コストに基づいて親ノードを決定する親ノード決定処理手段を備え、前記通信コストの導出において、ネットワークの最大ホップ数と、前記動作頻度の高いクラスのクラス数を小さく動作頻度の低いクラスのクラス数を大きくする形態で設定されるクラス数に基づいて、前記ホップ数及びリンク品質を重み付けして前記通信コストを導出する請求項10記載のネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−23631(P2012−23631A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160941(P2010−160941)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】