説明

ネットワークゲームシステム

【課題】 ネットワークチームゲームシステムの中での、遊戯者の一時的な離脱を許容する一方で、離脱が安易に行われず、かつ離脱した遊戯者がネットワークチームゲームシステムへの復帰に躊躇しないようにした、新規なシステムを提供する。
【解決手段】 複数のゲーム端末装置がサーバーを介して接続するネットワークゲームにおいて、各ゲーム端末が操作するゲームプログラム上のキャラクタがチーム組んでRPGゲームを実行して行く。チームから離脱しようとするゲーム端末の遊戯者がいた場合、そのキャクタの操作権を他のゲーム端末装置の遊戯者に委譲する。離脱した遊戯者が遊戯に復帰する際、キャラクタの変動パラメータの値を離脱時の変動パラメータの値とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワークゲームシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のネットワークゲームシステムとしては、例えば、特開2002−239251号に記載のものが存在する。このものは、複数のゲーム装置が通信ネットワークを介してゲーム親局に接続され、当該ゲーム親局を介して各ゲーム装置間で通信ゲームアプリケーションを実行する。また、このゲームシステムは、ゲーム装置の間で通信ゲームアプリケーションを実行する際に、遊戯者間で個人情報を交換できる個人情報処理手段を各ゲーム装置に設けたことを特徴とするものである。
【0003】
ネットワークゲームシステムにおいて、複数の遊戯者がチームを組んで、ゲームシナリオにしたがって、ゲームを進めていくものがある。即ち、各遊戯者が操作するゲーム端末装置で制御される、配下の各キャラクタがチームを組んで、遊戯者が互いに離間しているにも拘わらず、ネットワークを介してチームプレイを可能にする場がネットワーク上に設けられている。例えば、麻雀ゲーム、チームスポーツゲームの他、ネットワークRPG(ロールプレイングゲーム)と称されるジャンルである。
【0004】
ネットワークRPGの分野では、複数の遊戯者は、各人がそれぞれ操作するゲーム端末装置を介して、ネットワーク上に形成される、共通のルール(このルールはゲームプログラムで決まってくる。)にしたがって、ゲームに参加する。各遊戯者に対応したキャラクタが、共通の場、共通のゲーム空間(仮想空間)に定義或いは設定され、キャラクタがチームを構成してそれぞれの役割を果たしながら、ゲームプログラムによって定められるシナリオにしたがって、ゲーム空間に定義される世界や環境を進んでいく。キャラクタはゲーム端末装置を介して遊戯者によって操作されるために、遊戯者は、キャラクタを介してチームを組み、ゲームプログラムにしたがって、特定のシナリオを進んでいく。
【0005】
ゲームのシナリオの過程で例えば戦闘シーンがあり、キャラクタのチームが、共同して敵を倒すなどの行為を行っていく。
【0006】
遊戯者がこのネットワークゲームシステムに参加しようとする場合には、自己のゲーム端末装置をネットワーク上に接続された、ゲーム親局とも称されるゲームサーバに接続し、ロビー、すなわち、ネットワーク上の仮想の入り口に入った後、チームを構成する他の遊戯者を募る。ゲームサーバは、チームを構成する遊戯者の人数が許容値に達した後、チームによるゲームのスタートを許可する。尚、本発明に関連する従来例として、例えば特開2001-7425号公報に記載されたビデオゲーム装置が存在する。
【特許文献1】特開2001-007425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種のネットワークゲームシステムでは、チーム遊戯であるが故に、遊戯の途中で、チームを構成する遊戯者がチームを離脱すると、他の遊戯者は遊戯を継続できないか、極めて不利な状況に置かれるという問題ある。麻雀ゲーム等の対戦ゲームでは対戦相手がCPUに置き換わってもゲームは続行可能であるが、RPGのような協力プレイの場合、チーム全体での成果が重要になるため、ゲームサーバ或いはゲーム端末装置のCPUによって代用キャラクタを自動制御することでは不充分である。
【0008】
そこで、従来のネットワークゲームシステムでは、チームからの離脱が許可されないか、離脱があった時点で遊戯を強制的に終了させてしまうことが行われていた。
【0009】
しかしながら、チームプレイの最中でも、遊戯者は離脱せざるを得ない場合もあり、チームからの離脱を遊戯者に一切認めないとすると、チームゲームへ遊戯者が参加することを躊躇するなどの問題がある。
【0010】
一方、チームを組む他の遊戯者に、離脱した遊戯者のキャラクタの操作権限を委譲させることも考えられるが、単純にこれだけでは、離脱した遊戯者の操作負担を軽減させて、離脱した遊戯者が何ら努力せずにキャラクタが成長することになるなど、離脱することをむしろ助長するなどの弊害も予想される。
【0011】
そこで、この発明は、ネットワークチームゲームシステム中での、遊戯者の一時的な離脱を許容する一方で、離脱が安易に行われず、かつ離脱した遊戯者がネットワークゲームシステムへの復帰に躊躇しないようにした、新規なシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために本発明は、ネットワークゲームシステムから遊戯者が一時的に離脱する場合に、ネットワークシステムのサーバ或いはこのサーバに接続するゲーム端末装置の処理装置は、遊戯者の操作の配下にあるキャラクタの現在の変動パラメータ値をメモリに記憶し、キャラクタの操作権限を他の遊戯者の操作端末に委譲させ、一時的に離脱した遊戯者にそのキャラクタの操作権限を返還する場合に、離脱時にコピーした変動パラメータ値を復帰するキャラクタのパラメータ値として設定するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
このように構成することにより、キャラクタの操作権限が他の遊戯者に委譲されて、このキャラクタの能力値、好適には、ゲーム進行に応じて変動するパラメータであり、例えば、キャラクタに対して設定された体力、魔力、攻撃力、防御力等、が向上するように、他の遊戯者によって委譲されたキャラクタが上手に操作されても、キャラクタの操作権限が委譲元の遊戯者に返還される際には、このキャラクタは元のパラメータ値に強制的に設定される。このために、離脱したキャラクタのパラメータ値が減少することを、遊戯者が心配することがなく、離脱した遊戯者がゲームに復帰し易くする。
【0014】
したがって、本発明は、ネットワークゲームシステムを利用して、複数の遊戯者がチームを組んだ電子ゲーム中での、遊戯者の一時的な離脱を許容する一方で、離脱が安易に行われず、かつ離脱した遊戯者がネットワークゲームシステムへ復帰することを躊躇わないようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。以下の説明では、ネットワークRPGゲームを例にとり、ネットワーク上に共通して形成される仮想のゲーム空間内で、複数の遊戯者がそれぞれ対応するキャラクタを操作して、共通する目的を達成するゲームシステムについて説明することとする。
【0016】
ゲームのシナリオを進んで行く過程で、各キャラクタは敵を倒すなどのポイントに応じて、その能力値(変動パラメータ値)が対応するゲーム端末のメモリ或いはサーバのメモリにおいて更新記憶される。
【0017】
特定のゲーム装置1から、ゲームサーバ77へアクセスするためのシステム構成を、図1に従って説明する。この場合、先ず、特定のゲーム装置1は、初期登録を行う必要がある。初期登録後では、ネットワークゲームシステムに接続されたゲームサーバ77にアクセスの許可又は不許可の判定を行う。ネットワーク3には、ゲーム装置1とゲームサーバ77が接続されている。ゲーム装置1から、ゲームサーバ77へアクセスして、ゲーム装置1とゲームサーバ77が協力して、ネットワークゲームを実行する。ゲームサーバ77は、ゲーム装置1から送られる操作情報やゲームプログラム、さらにゲームプログラムの実行に必要なデータに基づいて、キャラクタの位置や挙動、パラメータ値、キャラクタと背景との接触判定、視点の位置や方向など、ゲーム画面を構成するためのデータ処理を行う。この処理結果はゲームサーバ77に接続するゲーム装置1に送られる。ゲーム装置1は、処理されたデータとゲームプログラムに基づいて、必要な画像処理を行う。その結果は、ゲーム装置1が接続されるモニタに表示される。
【0018】
ネットワーク3には、認証サーバ900が接続されている。この認証サーバ900は、複数のゲームサーバ77の共通の認証サーバ900である。認証サーバ900のデータベース902には、複数のゲームサーバ77それぞれに対するゲーム装置1の情報が登録されている。
【0019】
図2は、本発明に係わるネットワークゲームシステムの機能ブロック図を示している。このシステムでは、各ゲーム装置間で共通のゲームアプリケーションプログラムが実行される。システムは、ビデオゲーム機である複数の端末装置1、1、…と、単数又は複数のゲームサーバ含むゲーム親局7と、このゲーム装置とゲーム親局とを接続するための通信ネットワーク3を備えている。なお、端末装置には、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、パソコン、携帯電話等の携帯端末などが含まれる。
【0020】
このシステムにおいては、端末装置が特定のゲームを実行するために定められたインターネットプロバイダ5を介してゲーム親局7に接続されていて、ゲーム親局7を通して各ゲーム装置(端末装置)1、1の間で共通のゲームプログラムを実行する。なお通信ネットワークには、LAN、イーサネット(登録商標)も含まれる。
【0021】
図3は、端末装置の構成を説明するための機能ブロック図である。ゲーム装置1は、ゲームプログラムやその他の制御プログラムを実行する処理装置としてのCPU1aと、ゲームプログラムを処理する上で必要とするデータやオペレーティングシステム等を記憶するROM1bと、動画等のグラフィック、テキスト及びその他の情報からなるデータ群とこれに基づいて特定のゲームを実行させるゲームアプリケーションプログラムとを記憶するCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク、メモリカード等の記憶媒体を含むメモリ装置1cと、CPU1aと各部間のデータ転送を制御するバスコントローラ1dと、CPU1aのプログラムを保持し、データ処理に使用されるRAM1eと、描画データから表示画像を生成する描画プロセッサ1fと、音響データから音響信号を形成するサウンドプロセッサ1gとから構成されている。
【0022】
また、描画プロセッサ1fにはVRAM1sが接続されていて、画像信号を形成する際に使用されている。サウンドプロセッサ1gにはサウンドRAM1tが接続されていて、音響信号を形成する際に使用されている。なお、サウンドプロセッサ1gの出力部は、オーディオ・ビデオ用コネクタ1rに接続されている。
【0023】
上述したバスコントローラ1dは、大別すると、ペリフェラルインターフェース1hと、描画プロセッサコントローラ1uと、内部バスコントローラ1vと、外部バスコントローラ1wとから構成されている。
【0024】
CPU1aにはバス11aを介してバスコントローラ1dが接続されており、CPU1aはバスコントローラ1dを制御する。このバス11aにはRAM1eも接続されている。上述したCPU1aにはバス11bを介して拡張シリアルコネクタ1qが直接接続されており、このCPU1aは拡張シリアルコネクタ1qに接続されたシリアル系の付属機器との間で所定のデータ伝送方法に基づき信号の交換を行うことにより、当該付属機器を制御したり使用したりすることができるようになっている。すなわち、このゲーム装置1には、シリアル系の付属機器が接続可能になっていて、付属機器とゲーム装置1との間で、例えばプログラム、映像、音響、コマンド等の信号の交換ができるようになっている。
【0025】
描画プロセッサコントローラ1uは、CPU1aの制御下にて描画プロセッサ1fを制御することができる。内部バスコントローラ1vにはバス11cを介してCD−ROM装置1c、ROM1b及びサウンドプロセッサ1gがそれぞれ接続されており、この内部バスコントローラ1vはCPU1aの制御下にてそれらCD−ROM装置1c、ROM1b及びサウンドプロセッサ1gの動作を制御することができる。
【0026】
外部バスコントローラ1wの出力部はバス11dを介して拡張コネクタ1mに接続されており、この外部バスコントローラ1wはCPU1aの制御下にて拡張コネクタ1mに接続されたパラレル系の付属機器との間で信号の交換を行うことにより、この付属機器を制御したり使用したりすることができるようになっている。すなわち、このゲーム装置1には、パラレル系の付属機器が接続可能になっていて、付属機器とゲーム装置1との間でプログラム、映像、音響、コマンド等の信号の交換ができるようになっている。
【0027】
ペリフェラルコネクタ1iにはペリフェラル2、2が接続されている。オーディオ・ビデオ用コネクタ1rには、テレビジョン(TV)モニタ4が接続されている。拡張コネクタ1mには、パラレル系の付属装置としてケーブルモデム6が接続されており、このケーブルモデム6を介してゲーム装置はネットワーク3に接続される。拡張コネクタ1mに接続されるパラレル系の付属装置としては、ケーブルモデム6の他に、ターミナルアダプタ、衛星データ受信機、携帯端末装置(PDA)、携帯電話機、データ記録装置、あるいはその他のシリアル又はパラレル付属機器を挙げることができる。拡張シリアルコネクタ(USB規格やIEEE1394規格に準拠してもよい)1rに接続されるシリアル系の付属装置としては、モデム、携帯電話機、PHS、データ記録装置、通信ケーブル、あるいは、その他のシリアル付属機器が挙げられる。
【0028】
図3には、さらに、ゲーム親局の詳細構成が示されている。ゲーム親局7は、通信ネットワーク3及び特定インターネットプロバイダ5を介して各ゲーム装置との間で通信を行う通信装置71と、この通信装置71に接続されていてゲーム装置1、1、…からのサインアップや接続要求を制御する一般サーバとしての認証サーバ72と、この認証サーバ72の下位に設けられていて、例えば、既述のネットワークRPGにかかわるゲームや麻雀等のゲームを他者と遊戯しているかのような疑似的な体験をゲーム装置1、1、…上で実現させるための処理を行う特殊サーバ(副サーバ)73と…とから構成されている。ここで、副サーバ73は、さらに第1号サーバ73a、第2号サーバ73b、…複数のゲームサーバから構成されている。各ゲームサーバは、ゲームの種類ごと(ゲームプログラム毎)に区別されており、かつ、特定の通信対戦ゲームを各ゲーム装置端末に実行させる処理手段(CPU)74a,b・・・を有している。
【0029】
図4(1)は各ゲーム端末のモニタに表示されるゲーム画面を示すものであり、複数のキャラクタ400がチームを組んで、例えば画面に表示されている敵キャラクタ402を倒すなどのゲームシナリオ(共通のルール)を進行していく様子を示している。各キャラクタは対応するゲーム端末装置によって制御される。複数のキャラクタのうちキャラクタ400Aは自身が操作可能なキャラクタであり、400Bは離脱した遊戯者から引き継いだキャラクタであり、残りのキャラクタは、ネットワークゲームシステムに接続して稼動中の他のゲーム端末装置によって操作されるキャラクタである。図4(2)は、仮想空間内の地面上にキャラクタ400及びエネミキャラクタ402が配置され、この様子を仮想視点から眺めていることを示した概念図である。
【0030】
ゲーム端末装置のCPU1aは、配下のキャラクタを操作するための必要な入力を入力装置から受け付けて、さらにゲームプログラムに基づいてキャラクタの制御情報を形成し、この制御情報に基づいてキャラクタを制御するとともに、この制御情報をリアルタイムに対応サーバに送り、サーバのCPUはこの情報を、同一チームを組んでいる他のキャラクタに対応するゲーム端末装置にそれぞれ送信する。サーバの処理装置は、送信する前に制御信号に基づきキャラクタを移動させたり、壁との接触判定を行なったり、プレイヤキャラクタ、敵キャラクタ等のパラメータを変化させたりし、その結果を各ゲーム端末装置に送信する。したがって、全てのゲーム端末装置のモニタに同一の画面が表示され、各ゲーム端末装置は対応するキャラクタをそれぞれ制御できる。
【0031】
サーバは、ゲーム端末装置間のデータ交換を仲介するとともに、共通する事項の制御をゲームプログラムに基づいて実行する。例えば、既述のチームの編成や敵キャラクタの制御などである。サーバとしては既述のブロック図のように専用機である他、遊戯者のアクセスがない、空いているゲーム端末、或いは、ゲームプレイ中の端末装置の処理ユニットによって代用されても良い。
【0032】
次に、既述のゲームシステムの動作を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。この図5の説明にあたり、ゲーム端末装置(図2の符号1)とゲームアプリケーションサーバ(同符号73)との関係を示したブロック図(図6)を利用する。
【0033】
ゲーム端末装置から認証サーバへアクセス要求があると、ゲームアプリケーションサーバ(以後、単に「サーバ」という。)はネットワークゲームシステムへの接続を許可するか否かの認証を行う(500)。
【0034】
ネットワークゲームシステムへの接続が認証されたゲーム端末装置1のCPU1aは、ゲームサーバへチーム編成を募るリクエストをサーバ73の処理手段(CPU)73−1に送信する(502)。サーバ73がチーム編成に必要な数の端末からアクセスあったか否かを判定し、必要数に達した段階でチームを編成する(504)。
【0035】
そして、サーバ73は、同一チームを構成する複数のゲーム端末のネットワーク上のアドレスをサーバの所定メモリ領域73-2にテーブルの形などで設定する。各端末装置1には、チーム編成が完了したことが通知される。各端末装置のメモリ1eには、複数のキャラクタを表示するためのデータ記憶されている。
【0036】
各端末装置は、自身で操作されるキャラクタの他、他のキャラクタとこのキャラクタの操作権を有するゲーム端末装置のアドレスのテーブルを構成し、これをメモリのワーク領域1eに設定記憶する(508)。
【0037】
サーバ73から送られるデータにはゲーム端末装置のアドレス情報が付加されており、ゲーム端末装置の処理装置1aは、特定アドレス情報を持ったデータとキャラクタとの対応関係をテーブルから判断し、特定ゲーム端末によって操作されるべきキャラクタを自キャラクタとともにモニタに表示する(510)。
【0038】
サーバのCPU73−1は、チームに属する端末装置から送られた制御情報に基づいて、必要な画像処理のための演算を行い、チームに属する他のゲーム端末のアドレス宛てに制御結果情報を送信する。すなわち、同一チームに属するゲーム端末同士がネットワーク上のアドレスによって互いに関連付けされてデータ交換がされ、チーム内の複数のキャラクタが同期して動作し、共通のゲーム画面、あるいは、共通の仮想三次元空間内で視点位置が異なるゲーム画面が、同一チームに属する端末装置のモニタに表示される。
【0039】
同一チームによる遊戯とは、共通のルールで行われ、このルールはゲームプログラムによって決まる。ゲームプログラムによって決まるシナリオに沿ってゲームの展開が進行する。戦闘シーンでは、各ゲーム端末によって操作される複数のキャラクタが、共同してサーバのCPU73−1によって操作される敵キャラクタを攻撃する。攻撃の際の操作の良否によってキャラクタのパラメータが変化する。ここでいうパラメータとはキャラクタの能力に関するもので、各ゲーム端末装置のメモリ1a上及び/又はサーバのメモリ73−2の特定エリアに記憶される。例として、キャラクタのライフカウント値、キャラクタの身体的強度、キャラクタが持っている武器の数や性能などゲームプログラム上適宜定義あるいは設定される。
【0040】
同一チームのゲーム端末装置間ではチャットによる情報(音声、テキスト、画像など)交換が可能であり、遊戯者はお互いに音声などによって状況を確認しながらチームプレイを楽しむことができる。このチャットのシステムは、例えば、特開2003−304350号公報に記載のものを適用することができる。以上の処理がゲーム終了まで継続される。
【0041】
本発明のシステムは、同一チームの遊戯者の誰かがゲームプレイから離脱しようとする場合には、このチャットシステムを利用して、離脱の許諾をチームの構成員に求めることができる。この時、離脱しようとする遊戯者は、離脱した後の自分のキャラクタの操作権限をチーム内の誰かに委譲する旨決めることができる。遊戯者は自己が操作するキャラクタの権限を、他のキャラクタを指定することによって、この他のキャラクタの操作権限を持つゲーム端末装置(1−1)のCPU1a−1に委譲する。
【0042】
離脱しようとしている遊戯者が操作するゲーム端末装置が、キャラクタの操作権限を委譲するキャラクタを指定する(512)と、この情報600がサーバに送信される。すなわち、委譲を求めることを意味するフラグとネットワーク上のアドレスが、ネットワークゲームシステムから離脱しようとしている端末装置1からサーバ73に通知される。この後、権限委譲元となるゲーム端末装置1のメモリのワーク領域に、委譲されるキャラクタ(自キャクタ)の現在のパラメータ値が、記憶される(514)。なお、これをサーバのメモリ73−2に記憶するようにしても良い。
【0043】
サーバは同一チームに属する複数のゲーム端末装置について、ネットワーク上のアドレスを規定したテーブルを備えており、離脱しようとしているゲーム端末と、キャラクタの操作権限が委譲されたゲーム端末装置に専用フラグを設定できる。これによりサーバ及び各ゲーム端末装置は、キャラクタの操作権限の委譲元ゲーム端末装置と、同権限の委譲先ゲーム端末装置とを区別することができる。
【0044】
このテーブルには、キャクタのIDとこのキャクタに対する操作権限のあるゲーム端末装置のネットワーク上のアドレスも規定されている。離脱しようとするゲーム端末装置の離脱要求情報600には、自キャクタの操作権限を委譲する先のキャクタ(委譲先ゲーム端末装置)が含まれている。サーバはこの離脱要求から委譲先ゲーム端末装置を知ることができる。
【0045】
サーバは、このキャラクタの操作権限のあるゲーム端末装置のネットワークアドレスを確認して、必要に応じて操作権限の委譲を当該委譲先端末装置に告知するとともに、委譲元キャラクタのパラメータ値を含む情報602を、委譲元ゲーム端末装置1−1のメモリ1eから読み出して、委譲先端末装置に送信する(516)。
【0046】
権限の委譲を受けたゲーム端末装置のCPU1a−1は、入力情報に応じて自己のキャラクタの他、画面上に表示されている一時離脱に係るキャラクタの操作権限を持つようになる。また、委譲元のキャラクタのパラメータ値をメモリのワーク領域1e−1に設定記憶する。キャラクタの委譲を受けたゲーム端末装置の処理手段1a−1は、このパラメータ値を基準として委譲されたキャラクタを操作できるとともに、自身のキャクタはそのまま操作できる(518)。
【0047】
委譲先端末装置1−1側での遊戯者の操作負担を軽減する目的から、委譲されたキャラクタの操作を自己キャラクタの操作に同期させて、少なくとも一部自動(全自動を含む。)になるように制御できる。勿論、ゲーム端末装置は、委譲されたキャラクタを個別に制御することもできる。例えば、自己キャラクタが敵キャラクタに攻撃を仕掛ける場合には、委譲されたキャラクタが敵からの攻撃に対する防衛を自動的に行なうことである。また、委譲されたキャラクタが敵キャラクタを攻撃する場合には、委譲先端末装置の入力に基づいて委譲されたキャクタを個別に制御することである。
【0048】
委譲先ゲーム端末装置では、委譲されたキャラクタに操作入力装置から加えられた操作に基づき、画像処理結果の画面が表示される。例えば、攻撃が委譲されたキャラクタに加えられた場合に、このキャラクタの転倒などの演出がモニタに表示される。この場合でも委譲されたキャラクタの余命値などのパラメータは、委譲先ゲーム端末からの操作によって変化することが望ましい。このことは、委譲キャラクタが敵キャラクタを排除したことなど、通常であればキャラクタのパラメータ値が増加される場合でも同じである。キャラクタの変動パラメータの現在値は、サーバのメモリの所定領域に常時更新記憶されても良い。操作権限が委譲されたキャラクタのパラメータ値は増減しなくても良いが、その場合はゲームの難度が下がることになる。
【0049】
所定時間経過後、委譲元端末装置1を介して遊戯者がネットワークゲームシステムに復帰しようとする場合(520)には、音声チャットシステム、テクストチャットシステム、或いはビデオチャットシステムなどの連絡手段を介して、サーバ73経由で、委譲先端末装置に連絡する。なお、委譲元端末装置の表示画面に現在のゲーム進行を実況中継的に表示するだけのことも許容されるが、これは委譲元端末装置がネットワークゲームシステムに復帰したわけではない。
【0050】
委譲元端末装置1が復帰コマンド604をサーバに通知すると、サーバは移動先端末装置1−1に委譲されたキャクタの操作権限を解除するコマンドを通知する。このコマンドの通知を受けた委譲先端末装置のCPU1a−1は、委譲されたキャラクタの操作権限を開放し、これを確認信号としてサーバに通知する。
【0051】
委譲元端末装置1に復帰コマンドの入力があると、CPU1aはメモリ1a及び/又はサーバのメモリ73−2のワーク領域から離脱時の変動パラメータ値を読み出し、このパラメータ値を委譲元端末装置のメモリ1aにある復帰キャラクタのパラメータ記憶領域に強制設定する。
【0052】
したがって、委譲元端末装置のCPU1aは、離脱時のパラメータ値(許容される範囲内での増減があっても良い。)の状態からゲームを再開する。なお、委譲先ゲーム端末装置によって行われた処理によって、委譲されたキャラクタのパラメータ値を変更或いは更新しても良いが、復帰時には元の値に戻して、委譲元ゲーム端末装置に離脱時のパラメータ値が設定される(522)。委譲先ゲーム端末装置において、委譲されたキャラクタのパラメータ値は委譲時のまま更新されなくても良い。
【0053】
この状態から委譲元端末装置が通常の操作入力を行うと、この入力情報に応じて、復帰後のキャラクタの操作を再開し、以後これを継続することができる。
【0054】
サーバのメモリ領域内に設定された記憶テーブル(#1)を下記に示す。この記憶テーブルは、各ゲーム端末装置のキャラクタの制御状態を示すものである。各ゲーム端末装置の処理手段は、この記憶テーブルを参照して、キャラクタの制御状態を知る事ができる。テーブルは、サーバで随時更新され、サーバは、このテーブルに記憶された能力値(体力、魔力、攻撃力、防御力)と座標値(X,Y)を参照して、必要な画像処理を行い、その結果をゲーム端末装置に送る。

#1
ユーザID 制御者 体力 魔力 攻撃力 防御力 座標X 座標Y f
1 1 100 100 100 100 100 100 0
2 2 90 80 70 60 101 101 0
3 1 80 90 100 80 100 101 1
4 2 70 80 90 70 101 100 1

このテーブルが意味するところは次の通りであ。例えば、ユーザ3のキャラクタをユーザ1が制御し、ユーザ4のキャラクタをユーザ2が制御している状態を示している。記憶テーブルには、操作権限の委譲及び復帰に関するフラグ領域fがある。fに「0」が設定されている場合には、キャラクタの操作権限が委譲されていないことを示しており、「1」が設定されている場合には、キャラクタの操作権限が他のユーザに移管されていることを示している。キャラクタの操作権限の移管先が決まると、fが「0」から「1」にセットされ、復帰要求が許容されると「1」から「0」にセットされる。
【0055】
記憶テーブルにキャラクタの操作権限の移管があった際(fが「0」→「1」)の能力値の記憶領域が、下記の#2とおり存在する。

#2
ユーザID 制御者 体力 魔力 攻撃力 防御力 f
1 1 − − − − 0
2 2 − − − − 0
3 1 70 80 90 70 0→1(1→0)
4 2 6 70 80 60 0→1(1→0)

キャラクタ3及び4の操作権限がそれぞれ、他のユーザに移管された時点でのキャラクタの能力値がこのテーブルに記憶される。また、この操作権限が自身に復帰される場合、即ち、fが「1」から「0」にセットされた場合には、#1のテーブルのキャラクタ3及び4のキャラクの能力値を#2のテーブルの記憶値になるようにセットする。
【0056】
このように、遊戯者がネットワークゲームシステムから一時離脱しようとしても、キャラクタのパラメータは離脱時のまま実質的に変化しないために、「ここでゲームから離れるよりも自分でなるべくゲームを継続しよう」とする動機が働く。一方、「ここでゲームに復帰しても、キャラクタの能力値は低下していないのでゲームに早く復帰しよう」とする動機が働くことになる。よって、ネットワークチームゲーム中での、遊戯者の一時的な離脱を許容する一方で、離脱が安易に行われず、かつ離脱した遊戯者がネットワークゲームシステムへの復帰に躊躇しないようにした、新規なネットワークゲームシステムを提供することが可能となる。さらに、前述のように、ゲームを続行する他の遊戯者側にも、チーム全体の能力を減少させず、不利になることなくゲームを継続できるという効果がある。
【0057】
また、キャラクタの操作権限を委譲する際に、遊戯者はチャットなどの通知手段を用いて他の遊戯者の意志を確認できるために、チームプレイが一時的にでも停滞することを防止できるという効果がある。
【0058】
なお、既述のシステムにおいては、ゲームの離脱及び復帰に制限を設けないものとして説明したが、離脱及び/又は復帰に委譲先ゲーム端末装置の確認を必要とするものでも良い。この場合、チーム内の全てのゲーム端末がキャラクタの操作権限の委譲を拒絶した場合には、サーバのCPUに操作権限を委譲するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るゲームシステムのシステム構成図。
【図2】本発明に係わるネットワークゲームシステムの機能ブロック図。
【図3】ゲーム端末装置の構成を説明するための機能ブロック図。
【図4】(1)は、各ゲーム端末のモニタに表示されるゲーム画面図、(2)は、仮想空間内の地面上にキャラクタが配置され、この様子を仮想視点から眺めていることを示した概念図。
【図5】本発明の動作を示すフローチャート。
【図6】ゲーム端末装置とゲームアプリケーションサーバとの関係を示したブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲーム装置がネットワークに接続され、サーバを介して、互いに、データを交換可能に構成され、
当該複数のゲーム装置が、各入力装置によって入力される遊戯者の操作情報によって、配下の各キャラクタからなるチームを構成し、
共通のルールの下でゲームを実現するゲームプログラムを、前記複数のゲーム装置とサーバとが共同して、実行するようにしたネットワークゲームシステムにおいて、
各ゲーム装置及びサーバは、前記ゲームプログラムの全部又は一部を実行するための処理装置と、当該ゲームプログラムの実行に必要なデータを記憶するメモリとを備え、
前記各ゲーム装置は、遊戯者によって操作され、前記キャラクタを操作するための操作データを前記中央処理装置に入力し、この入力を受けた中央処理装置が当該操作データにしたがって前記キャラクタを操作できるようにするための入力装置、を備え、
前記各ゲーム装置の処理装置(A)と前記サーバの処理装置(B)とは、前記ゲームプログラムに基づいて、
AがBに前記チームの編成を要求する手段と、BがAの要求に応じて当該チームを構成する手段と、同一のチームを構成する各Aに同一チームであることの通知をBが供給する手段と、同一チーム内のAがチームからの離脱を宣言できる手段と、チームから離脱しようとするA又Bは、配下の離脱するキャラクタの離脱時の変動パラメータ値をコピーし、これを前記ゲーム端末及び/又は前記サーバのメモリに記憶する手段と、Bは、チームから離脱しようとするAの配下にあるキャラクタの操作権限を、前記チームを構成する他のAに移転させる手段と、この操作権限の移転を受けたAは、自身の配下のキャラクタとともに移転の対象となったキャラクタを、前記操作装置を介して操作可能にする手段と、離脱をしたAは前記チームへの復帰への要請信号を前記操作装置への入力を介して前記Bに出力する手段と、この入力を受けたBは、離脱したAのキャラクタの操作権限を移転された他のAでの当該操作権限の終了を設定する手段と、離脱したAの前記チームへの復帰の際、このAに対する前記キャラクタの操作権限を返還させるとともに、前記ゲーム端末及び/又は前記サーバのメモリから、離脱時にコピーしたパラメータを読み出し、このパラメータ値を復帰時のキャラクタのパラメータ値として設定する手段と、
を実行するように構成されてなるネットワークゲームシステム。
【請求項2】
複数のゲーム端末装置がサーバにアクセスしているネットワークゲームシステムにおいて、前記各ゲーム端末装置に、ネットワークゲームの処理から、一時的な離脱とその復帰とを認めるシステムであり、前記ゲーム端末装置が離脱する際に、当該ゲーム端末装置の処理ユニットによって操作されるキャラクタの変動パラメータ値を記憶して、当該ゲーム端末及び/又は前記サーバのメモリに記憶し、離脱したゲーム端末がネットワークゲームシステムに復帰する際に、前記メモリに記憶された変動パラメータ値を復帰後の初期値としてキャラクタに設定されるように構成してなるネットワークゲームシステム。
【請求項3】
前記複数のゲーム端末間にチャットシステムが設けられてなる請求項1又は2記載のシステム。
【請求項4】
前記キャラクタの操作権限を委譲されたゲーム端末装置が、元々自身が操作可能なキャラクタへの制御又は操作に同期させて、委譲されたキャラクタの制御を少なくとも一部自動にて実行可能にした手段を備えてなる請求項1乃至3の何れか1項記載のシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか記載のシステムにおいて、前記各手段を前記ゲーム端末装置及び/又はサーバの処理装置に実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5記載のプログラムが記憶された記憶媒体。
【請求項7】
複数のゲーム端末装置が接続しているネットワークに接続されるサーバであって、処理手段と必要な記憶手段を有し、この記憶手段には、前記ゲーム端末装置が共同して電子遊戯を実行可能にするプログラムが記憶されており、
前記処理手段は、前記プログラムに基づいて、前記各ゲーム端末装置に、ネットワークゲームの処理から、一時的な離脱とその復帰とを認めるよう構成され、かつ、前記ゲーム端末装置が離脱する際に、当該ゲーム端末装置の処理ユニットによって操作されるキャラクタの変動パラメータ値を記憶し、当該ゲーム端末及び/又は前記サーバのメモリに記憶させ、離脱したゲーム端末がネットワークゲームシステムに復帰する際に、前記メモリに記憶された変動パラメータ値を復帰後の初期値としてキャラクタに設定されるように構成してなるサーバ。
【請求項8】
サーバを介してネットワークゲームシステムに接続可能であり、かつ、ネットワークゲームの処理から、一時的な離脱とその復帰とが可能なゲーム端末装置であって、
処理手段と必要な記憶手段を備え、この記憶手段には、前記ネットワークゲームシステムに接続する他のゲーム端末装置と共同して、電子遊戯を実行するためのプログラムが記憶されており、
前記処理手段はこのプログラムに基づいて、前記ネットワークゲームシステムから離脱する際に、当該処理手段によって操作されるキャラクタの変動パラメータ値を前記記憶手段及び/又は前記サーバに記憶し、ネットワークゲームシステムに復帰する際に、前記記憶された変動パラメータ値を復帰後の初期値としてキャラクタに設定されるように構成されてなるゲーム端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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