説明

ネットワークシステムの診断システム、方法及びプログラム

【課題】複雑なネットワーク構成を含むプロセス制御システムにも適用可能であり、複数の処理からなる複雑な内容の監視、診断が実行する場合にも、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、簡単かつ柔軟に監視、診断の手順を設定、変更できるようにする。
【解決手段】診断部品パラメータ定義シート13kで、診断装置1において実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、診断部品のパラメータのデフォルト値を設定しておいた状態で、フロー定義シート13lにおいて、所望の診断部品を選択し、シート下方のフロー定義領域にコピー・ペーストして貼り付けていく。このようにして診断部品2301〜2305を時系列的に並べることにより、診断装置1において実行する監視、診断を含む動作のフローを定義することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製鉄業におけるネットワークを含むプロセス制御システムを監視及び診断するのに好適なネットワークシステムの診断システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
24時間操業で高い信頼性が要求される製鉄業等におけるプロセス制御システムは、これまで重電メーカ専用のコンピュータやネットワークで構成されてきたが、コスト削減や拡張性の点で難点があった。
【0003】
そのため、近年では、仕様が公開された汎用品のコンピュータ等の機器を利用したオープン系システムであるプロセス制御システムの導入が進んでいる。しかしながら、適用規模が大きくなり、操業部門からの最新IT技術を応用した高機能システムを実現したいというニーズに対応すると、汎用品の数量と組み合わせが膨大となってしまうことがある。また、特にネットワークに関しては、一部で発生した障害の影響が全系に及び、現象も非定期で再現性がないため、障害発生時の原因究明と復旧作業の難易度が高くなってしまうことが多かった。
【0004】
高度な専門性を要するネットワークの専門家が、複数の機器が分散して配設され、ネットワークで接続されているプロセス制御システムを管理するために24時間待機するのは、作業量が膨大であり非現実的なため、ネットワークの専門家が遠隔で複数の機器からなるプロセス制御システムを監視、診断するため専用システムとツールを導入することが試みられた。なお、ここで、監視、診断とはプロセス制御システムに含まれる各機器等が停止しているのか、動作しているのか、又、動作しているときには正常に動作しているのか等の情報を得ることを指し示す。しかしながら、プロセス制御システムの監視、診断には、製造プロセス内の各現場における現場操業者が行う操作や操作状況のヒアリングすること、及び、ITVのみによる監視では限界があるので設備の状況を詳細に把握しながら実行することが不可欠であることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−171077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現場で24時間操業に携わっているオペレータや、設備全体の保全のために待機している整備部門の作業者が、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、多様なプロセス制御システムを柔軟に監視、診断できる、安価で汎用性があり使いやすいツールがなかった。
【0007】
本出願人は、上記のような点に鑑みて、特許文献1において、市販されているような表計算ソフトウェアでネットワーク構成図シートやネットワーク定義シート等を作成し、それらシートに基づいて、ping発行監視やCRCエラー監視を行えるようにすることを提案している。より詳細には、表計算ソフトウェアで作成したシートを利用して、例えばping発行監視のping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト等のパラメータや、ping発行監視やCRCエラー監視の実行スケジュールを自由に設定できるようになっている。
【0008】
ところで、オープン系システムの導入が進むにつれて、既存の重電メーカ専用のコンピュータ等のうち、オープン系システムのネットワークに直接接続できない機器との伝送が必要となるケースが生じる。そのため、例えば標準・代表的な通信プロトコルであるTCP/IPから個別仕様のシリアル伝送の通信プロトコル(他の通信プロトコル)に変換するプロトコルコンバータをネットワークと既存機器との間に設置するような、複雑なシステム形態が増加している。
【0009】
また、プロセス制御システムを構成する複数の機器について、複数の種類・内容からなる複雑な監視、診断を実施すること必要となることも多い。このような複雑な監視、診断を実施するとき、その診断の手順を適宜設定することが重要となってくる。その場合に、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、簡単かつ柔軟に監視、診断の手順を設定、変更できるようにすることが望まれる。
【0010】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、複雑なネットワーク構成を含むプロセス制御システムにも適用可能であり、複数の処理からなる複雑な内容の監視、診断が実行する場合にも、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、簡単かつ柔軟に監視、診断の手順を設定、変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のネットワークシステムの診断システムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムを監視、診断するネットワークシステムの診断システムであって、前記ネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段と、前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたフロー定義手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のネットワークシステムの診断方法は、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段とを備えた診断システムによるネットワークシステムの診断方法であって、前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたことを特徴とする。
本発明のプログラムは、複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムを監視、診断する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記ネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段と、前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたフロー定義手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、監視、診断を含む動作のフローを定義することができるので、監視、診断を含む動作の手順を視認しながら設定、変更することができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、簡単かつ柔軟に監視、診断の手順を設定、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した診断システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す図である。
【図2】診断装置の機能構成を示す図である。
【図3】共通定義シートを説明するための図である。
【図4】実行スケジュールシートを説明するための図である。
【図5】ネットワーク構成図シートを説明するための図である。
【図6】ネットワーク定義シートを説明するための図である。
【図7】ping結果シートを説明するための図である。
【図8】SW一覧シートを説明するための図である。
【図9】シリアル伝送診断結果シートを説明するための図である。
【図10】シリアル伝送診断ログシートを説明するための図である。
【図11】操作画面を示す図である。
【図12】ping発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】「全ノード診断(1回)」ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図14】検索開始ボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図15】pingボタンの押下時の処理を示すフローチャートである。
【図16】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図17】キャプチャー設定画面を示す図である。
【図18】解析データの一覧表示画面を示す図である。
【図19】伝文トレースツール使用時の画面を示す図である。
【図20】シリアル伝送診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】時刻差判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】診断部品パラメータ定義シートを説明するための図である。
【図23】フロー定義シートを説明するための図である。
【図24】フロー定義シートを説明するための図である。
【図25】診断監視フロー実行指示画面を示す図である。
【図26】定義されたフローを実行する際の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、本発明を適用した診断システムを含むプロセス制御システムの構成例を示す。プロセス全体の制御を行う制御サーバ100には、複数台のスイッチングハブ200が接続する。図1では、制御サーバ100を一つの装置として図示したが、複数の装置により構成される場合もある。なお、以下の説明は、鉄鋼業の鋼板の製造プロセスにおけるプロセス制御システムを例として記載する。
【0015】
スイッチングハブ200は、例えば製造プロセスの制御系、HMI(Human Machine Interface)系、製造プロセスの制御系を統括する上位系のように系ごとに設置されており、各系のスイッチングハブ200に、各種センサ類、パーソナルコンピュータ、ハブ等のネットワーク機器300が複数台接続する。これら制御サーバ100、スイッチングハブ200、ネットワーク機器300によりTCP/IPネットワークNWが構成される。
【0016】
また、所定のスイッチングハブ200には、プロトコル変換器(プロトコルコンバータ)500及びモデムを介して、既存機器である通信対象機器400が接続する。プロトコル変換器500は、TCP/IPネットワークNWの通信プロトコル(TCP/IP)から、通信対象機器400の個別仕様のシリアル伝送の通信プロトコルに変換するものである。このように、本実施形態におけるネットワークは複数の種類の通信網を含むときをも対象とする。
【0017】
これらスイッチングハブ200には、スイッチングハブ2を介して、プロセス制御システムを監視及び診断するための診断装置1が接続する。
【0018】
また、プロトコル変換器500と通信対象機器400との間には、分岐ケーブル600を介してシリアル伝送キャプチャー装置700が接続する。シリアル伝送キャプチャー装置700は、通信対象機器400が送受信するデータを収集し、そのキャプチャーデータに時刻情報を関連付けてキャプチャーデータ格納部800に格納する。また、シリアル伝送キャプチャー装置700は、キャプチャーデータ格納部800に格納したキャプチャーデータを診断装置1に送信する。
【0019】
これら診断装置1やシリアル伝送キャプチャー装置700等を主要な構成要素とする診断システムは、以下で詳述するように、(1)ping発行監視ツール(応答要求診断ツール)、(2)CRCエラー監視ツール、(3)パケットキャプチャーツール、(4)シリアル伝送診断ツールとして機能する。
【0020】
(診断装置1の機能構成)
図2には、診断装置1の機能構成を示す。11は表示装置である。12はキーボードやポインティングデバイス等の入力装置である。
【0021】
13はワークシート格納部であり、表計算ソフトウェア(例えばExcel(登録商標))で作成したワークシートを格納する。当該ワークシートとしては、共通定義シート13a、実行スケジュールシート13b、ネットワーク構成図シート13c、ネットワーク定義シート13d、ping結果シート13e、pingログシート13f、SW一覧シート13g、SW監視ログシート13h、シリアル伝送診断結果シート13i、シリアル伝送診断ログシート13j、診断部品パラメータ定義シート13k、フロー定義シート13lが作成されている。
【0022】
14はping発行部であり、後述する診断部15の制御下、ネットワーク定義シート13dに基づいて、プロセス制御システム上の各機器に応答要求を送信する(ping発行)。なお、pingとは一般には、TCP/IPネットワークにおいて、IPパケットが送信先まで届いているかや、IP的に到達可能かどうかを調べるために利用させる最も基本的なコマンドである。
【0023】
15は診断部であり、プロセス制御システムの監視、診断を行う。診断部15は、ping発行部14でのping発行に対するプロセス制御システム上の各機器からの応答に基づいて、各機器の状態を診断する。本実施形態では、各機器からの応答の有無だけでなく、応答要求を送信してから応答が戻るまでの時間も調べるようにしている。そして、その診断結果をping結果シート13eに出力する。また、診断部15は、TCP/IPネットワークNW上のデータと、シリアル伝送路で接続された通信対象機器400とが送受信するデータ(すなわち、シリアル伝送キャプチャー装置700で収集してシリアル伝送取得部20を介して診断部15に入力されるキャプチャーデータ)とを時系列につき合わせて診断する。そして、その診断結果をシリアル伝送診断結果シート13iに出力する。
【0024】
16は表示制御部であり、診断部15及び後述するCRCエラー監視部17の制御下、ping結果シート13eやシリアル伝送診断結果シート13i等を表示装置11に表示したり、診断部15による診断結果をネットワーク構成図シート13cに反映させて表示装置11に表示したりする。例えばネットワーク構成図シート13c上で、応答の無い機器や伝送エラーを検出した機器は赤色、予め設定した時間と比較して応答の遅かった機器は黄色で囲んで表示する。
【0025】
17はCRC(Cyclic Redundancy Check)エラー監視部であり、SW一覧シート13gに基づいて、CRCエラー監視を行う。なお、CRCとは、巡回冗長検査と言われ、データ伝送等でデータが正しく伝送したかをチェックするエラー検出・訂正方式の一つである。プロセス制御システム上にはCRCエラーの発生件数を蓄積する機器、例えば各系のスイッチングハブ200が存在しており、これら機器からトラブルの前兆となるCRCエラーの発生件数を収集する。
【0026】
18はログ出力部であり、診断部15及びCRCエラー監視部17の制御下、後で詳細に記すping発行監視の結果がNGであった場合にpingログシート13fにログを出力し、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にSW監視ログシート13hにログを出力し、シリアル伝送エラーを検出した場合にシリアル伝送診断ログシート13jを出力する。
【0027】
19はキャプチャー部であり、各系のスイッチングハブ200を介してTCP/IPネットワークNW上のデータ(パケット)を収集し、収集した時刻情報を関連付けて保存する。
【0028】
20はシリアル伝送データ取得部であり、キャプチャーデータ格納部800に格納したキャプチャーデータをシリアル伝送キャプチャー装置700から取得する。
【0029】
本実施形態では、ping発行部14、診断部15、CRCエラー監視部17、キャプチャー部19、シリアル伝送データ取得部20等が相まって、複数の監視、診断を実行可能な診断手段を構成する。
【0030】
21はフロー定義部であり、予めオペレータが入力して設定する診断部品パラメータ定義シート13kを用いて、診断装置1において実行可能な監視、診断を含む動作を部品化(モジュール化)するとともに(以下、診断部品と称する)、診断部品のパラメータのデフォルト値を設定する。そして、診断部品を表示装置11に表示されるフロー定義シート13l上で時系列的に並べることにより、診断装置1において実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしている。
【0031】
なお、診断装置1は、複数の装置により構成されてもよいし、一つの装置により構成されてもよい。例えば(1)ping発行監視ツール及び(2)CRCエラー監視ツールとして機能するパーソナルコンピュータと、(3)パケットキャプチャーツール及び(4)シリアル伝送診断ツールとして機能するパーソナルコンピュータとに分けて構成してもよい。また、図1では、監視装置1とシリアル伝送キャプチャー装置700とを別体として図示したが、一体のものでもよい。
【0032】
(ワークシート)
共通定義シート13aは、図3に示すように、ping発行デフォルト指定、診断実行モード、シリアル伝送診断のための設定パラメータ、エラー発生時に実行させるバッチファイルを設定するためのものである。具体的には、下記の表1にも一部示すように、ping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト、TTL(Time To Live)、実行モード、データのfrom-to(送信、受信)、タイムアウト、スキャンタイム、エラー発生時実行ファイル名(パス、バッチファイル、起動回数制限)を設定する。タイムアウトは、シリアル伝送診断においてTCP/IPネットワークNW及び通信対象機器400それぞれでのデータの送受信の許容時刻差を設定する時間である。スキャンタイムは、シリアル伝送診断において、シリアル伝送データに対応するTCP/IPデータを検索するために設定する時間である。
【0033】
【表1】

【0034】
実行スケジュールシート13bは、図4に示すように、ping発行監視、CRCエラー監視、シリアル伝送診断の実行スケジュールを指定するためのものである。具体的には、下記の表2に示すように、実行周期、実行曜日、起動間隔、開始時刻、実行モードを設定する。また、現在スケジュール実行中であるか、停止中であるかが表示される。
【0035】
【表2】

【0036】
ネットワーク構成図シート13cは、図5に示すように、プロセス制御システムの構成すなわち、各機器及び機器間のネットワークの接続を模式図で表わしたものである。上述したように、表示制御部16は、このネットワーク構成図シート13c上の該当する機器を、診断部15による診断結果に応じた色を囲んで表示するので、その変色させる部分をセル結合で囲んでおく。ネットワーク構成図シート13cは、プロセス制御システムの設計段階で必ず作成され、保守運用段階でも使用されるものであり、それをネットワーク監視用に診断装置1に取り込んでおく。なお、図5の例では、鋼板にマークを付ける「マーカー」が図1でいう通信対象機器400に相当する。
【0037】
ネットワーク定義シート13dは、図6に示すように、ネットワーク構成図シート13cに設定した各機器について、ネットワーク情報(ホスト名、IPアドレス、接続機器コード)や機器情報(機器種類、メーカー、機種名)等を記載して定義するためのものである。具体的には、下記の表3に示すように、接続No.、機器コード、ネットワーク情報、機器情報、設計情報(行、列)、設置場所、サイズ、タイムアウトを設定する。上述したように、ping発行部14は、このネットワーク定義シート13dに定義された各情報に基づいて、プロセス制御システム上の機器に応答要求を送信する。
【0038】
【表3】

【0039】
ping結果シート13eは、図7に示すように、ping発行監視の結果を出力するためのものであり、NG回数、OK回数だけでなく、成功率も表示するようになっている。上述したように、診断部15は、このping結果シート13eに診断結果を出力する。
【0040】
pingログシート13fは、具体的に図示しないが、ping発行監視の結果がNGであった場合にログ(履歴)を出力するものであり、結果、日時、対象、IPアドレス、ステータス、備考の項目を設定する。上述したように、ログ出力部18は、ping発行監視の結果がNGであった場合、このpingログシート13fにログを出力する。
【0041】
SW一覧シート13gは、図8に示すように、CRCエラーを監視するスイッチングハブに関する情報を設定するためのものである。具体的には、CRCエラー監視周期を設定し、各スイッチングハブのIPアドレス、ネットワーク構成図シート13cに配置したスイッチングハブの行、列を設定する。また、CRCエラー件数が格納されているオブジェクトIDを設定する。
【0042】
SW監視ログシート13hは、具体的に図示しないが、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合にログを出力するためのものである。上述したように、ログ出力部18は、CRCエラー監視中にCRCエラーが発生した場合、このSW監視ログシート13hにログを出力する。
【0043】
シリアル伝送診断結果シート13iは、図9に示すように、後述するシリアル伝送診断ツールによるシリアル伝送診断の結果を出力するためのものであり、No.年/月/日、時/分/秒、マイクロ秒、送受信側のIPアドレス、Dump等を表示するようになっている。上述したように、診断部15は、このシリアル伝送診断結果シート13iに診断結果を出力する。
【0044】
シリアル伝送診断ログシート13jは、図10に示すように、シリアル伝送診断の結果がNGであった場合にログを出力するものであり、結果、日時、対象、IPアドレス、ステータス、サイズ、タイムアウト、備考の項目を設定する。上述したように、ログ出力部18は、シリアル伝送診断の結果がNGであった場合、このシリアル伝送診断ログシート13jにログを出力する。
【0045】
診断部品パラメータ定義シート13kは、図22に示すように、診断装置1において実行可能な監視、診断を含む動作をモジュールとして部品化するとともに、診断部品の監視、診断動作に関するパラメータのデフォルト値を設定するためのものである。図示例では、ネットワーク構成図シート13cを表示する「NW構成図表示」、「ping全ノード1回実行」、ping結果シート13eを表示する「ping結果シート表示」、pingログシート13fを表示する「pingログシート表示」、「CRCエラー手動収集」、SW監視ログシート13hを表示する「SW監視ログ表示」といった動作を部品化している。そして、ping診断について、ping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト、TTLのデフォルト値を設定することができる。また、CRC診断(CRCエラー監視)について、監視周期のデフォルト値を設定することができる。なお、ここでは図示していないが、「シリアル伝送診断」、「シリアル伝送診断結果シート表示」、「シリアル伝送診断ログシート表示」等を部品化することもできる。このようにして、診断装置1において実行可能な監視、診断を含む動作の部品を必要に応じて複数個設定しておく。
【0046】
フロー定義シート13lは、図23、24に示すように、診断部品パラメータ定義シート13kで定義された複数の診断部品を時系列的に並べることにより、診断装置1において実行する監視、診断を含む動作のフローを定義するためのものである。
【0047】
((1)ping発行監視ツール)
以下に述べるping発行監視は、診断部15の制御下で実行される。表示装置11上にて不図示のコマンドボタンをオペレータが操作すると、図11(a)に示すように、表示装置11にping発行操作画面1100が表示される。ping発行操作画面1100において、1101は「全ノード診断(無限)」、「全ノード診断(スケジュール)」、「全ノード診断(1回)」のいずれを実行するか選択するための選択ボタンである。1102は診断の中止を指示するための診断中止ボタンである。1103はトレースルート検索を行う場合に機器コードを設定するための設定欄である。ここで、トレースルートとは、ping実行時の応答を返すためのノードの経路である。1104はトレースルート検索の開始を指示するための検索開始ボタンである。1105はトレースルート検索を行う場合にping実行を指示するためのpingボタンである。1106はping結果シート13eを参照するためボタンである。また、ping発行操作画面1100には、初期状態を白で、ping発行中を青で、異常(応答が無い)を赤で、不安定(応答が遅い)を黄で表わすことが示されている。
【0048】
図12には、ping発行処理の流れを示す。まず、ネットワーク定義シート13dのデータを取得する(ステップS1201)。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末の機器コードを取得する(ステップS1202)。自端末の機器コードが取得できない場合はエラーメッセージを出力し、その後処理を終了する。次に、ネットワーク定義シート13dに基づいて、自端末と他の端末との組み合わせをすべて取得する(ステップS1203)。次に、検索開始ボタン1104、pingボタン1105の押下があったならば、各処理を実行する(ステップS1204(図14を参照)、S1205(図15を参照))。なお、トレースルート検索でない場合は、取得件数分、検索開始ボタン1104、pingボタン1105の押下がない状態でステップS1204、S1205の処理が繰り返される。そして、ping結果を表示制御部16を介してネットワーク構成図シート13cに反映させて表示し、ログ出力部18を介してpingログシート13fを作成する(ステップS1206)。
【0049】
ping発行操作画面1100の選択ボタン1101のうち「全ノード診断(1回)」ボタンが押下された場合は、共通定義シート13aに設定されている実行モードがping又は両方であれば、図13に示すように、ping発行部14を介してping発行処理を実行する(ステップS1301(図12を参照))。さらに、共通定義シート13aに設定されている実行モードがCRC又は両方のときは、CRCエラー監視部17の制御下で、CRCエラー累計を取得する(ステップS1302)。
【0050】
ping発行操作画面1100の選択ボタン1101のうち「全ノード診断(無限)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン1102が押下されるまで、図13の処理を繰り返す。
【0051】
ping発行操作画面1100の選択ボタン1101のうち「全ノード診断(スケジュール)」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン1102が押下されるまで、実行スケジュールシート13bで設定されているスケジュールに従って図13の処理を繰り返す。
【0052】
図14には、ステップS1204の検索開始ボタン1104の押下時の処理を示す。検索開始ボタン1104の押下時には、入力されたping発行元機器コードからping発行先機器コードのトレースルート検索を行う。まず、ping発行操作画面1100の設定欄1103に設定された機器コードがネットワーク構成図シート13cの内部情報に設定されているかをチェックし、発行元の機器コードに入力された機器コードが自端末かをチェックする(ステップS1401)。次に、内部情報よりping発行元機器コードからping発行先機器コードまでのトレースルートを取得する(ステップS1401)。
【0053】
図15には、ステップS1205のpingボタン1105の押下時の処理を示す。pingボタン1105の押下時には、検索開始ボタン1104の押下時の処理により取得したトレースルート間のping発行を行う。まず、検索開始ボタン1104の押下時の処理により取得したping発行元からping発行先のトレースルートをping結果シート13eの検索ルートに出力する(ステップS1501)。次に、内部情報よりping発行先機器コードからIPアドレスを取得する(ステップS1502)。次に、ステップS1502で取得したIPアドレスにping発行部14を介してping発行を行う(ステップS1503)。次に、出力結果に基づいて、表示制御部16を介してネットワーク構成図シート13cを表示し、NGであった場合にログ出力部18を介してpingログシート13fにログを出力する(ステップS1504)。
【0054】
((2)CRCエラー監視ツール)
以下に述べるCRC監視は、CRCエラー監視部17の制御下で実行される。表示装置11上にて不図示のコマンドボタンが操作されると、図8に示すように、表示装置11にSW一覧シート13gとともに、SNMP SW監視画面804が表示される。SNMP SW監視画面804には、SW一覧シート13gで設定されたCRCエラーの発生件数を蓄積する機器の一覧が表示される。
【0055】
CRCエラー件数取得ボタン801を押下すると、SW一覧シート13gのCRCエラー件数(カウンター合計値)が更新される。CRCエラー監視ボタン802を押下すると、表示制御部16を介してネットワーク構成図シート13cが表示され、監視周期毎にCRCエラー監視が開始される。CRCエラー監視中にCRCエラーが検知された場合には、ログ出力部18を介してSW監視ログシート13hにログが出力される。監視中止ボタン803を押下すると、CRCエラー監視が中止される。
【0056】
((3)パケットキャプチャーツール)
キャプチャー部19では、TCP/IPネットワークNW上のパケットをキャプチャーして得られたデータを用いて、指定条件に合致する伝文を抽出、出力、解析する。解析にはEtherealを使うことができ、Excelによる解析も可能である。Excelによる解析では、csv形式に変換した結果を読み込み、表示することができる。連携機能として、解析結果を伝文トレースツール形式で出力することができる。
【0057】
まず、キャプチャー方法について説明する。図16に示すキャプチャー設定画面1600において、設定欄1601でキャプチャーに使用するネットワークアダプタ1601を選択する。次に、設定欄1602で送信元・送信先のIPアドレスとポート番号を指定する。この場合に、「*」を指定すると、すべての値に対して実行するようになっている。次に、設定欄1603でキャプチャーする通信プロトコル(TCP、UDP、すべて)を選択する。次に、ラジオボタン1604で「キャプチャーする」を選択する。次に、設定欄1605でキャプチャー結果の保存先を指定する。その後、キャプチャー実行ボタン1606を押下すると、キャプチャーが実行される。キャプチャーを停止するにはキャプチャー停止ボタン1607を押下する。
【0058】
次に、解析設定方法について説明する。図17に示すように、ラジオボタン1604で「Excel解析する」を選択すると、その設定に応じて以下に説明するように画面が変化する。解析を始めるには、各条件を設定後、解析ボタン1608を押下する。
【0059】
設定欄1603で通信プロトコルを選択すると、図17に示すように、伝文種別のリスト1609が表示される。そこで伝文種別(Csemi標準伝送、Csemi PIO伝送)を選ぶと、フィルター条件設定欄1610が表示される。図17は、Csemi標準伝送が選択されたときのフィルター条件設定欄1610が表示された状態である。なお、Csemiとは「NS SEMI SYSTEM(登録商標)」の略称であり、プロセス制御を行うアプリケーションソフトと、汎用ソフトのWindows(登録商標) NT(登録商標)との間を橋渡しする役割を持つ出願人独自の制御用ミドルウェアである。Csemiについては、本出願人により新日鉄技報 No363 1997及び新日鉄技報 No379 2003に技術が開示されている。
【0060】
本実施形態では、通信プロトコル「TCP」の「Csemi標準伝送」の場合、図17に示すように、出力設定欄1611で、伝文トレースツール用バイナリファイル(.bin)の出力設定(レコードサイズ、論理回線No.、レコード数、送受信種別)ができる。
【0061】
さらに、図17に示すように、Excel解析設定欄1612が有効になるので、そこで解析時のオプションを指定する。ここでは、キャプチャー日時の指定、解析方法、出力形式を選ぶことができる。すなわち、キャプチャー日時(起点)及びキャプチャー日時(終点)を指定する(自動マージの起点及び終点となる)。また、自動起動するか否かをチェックボックスで選択するとともに、解析に使用するソフトを指定する。csvファイル出力時にデータ部のダンプを出力する場合、チェックボックスをオンにする。また、設定欄1605で日時検索する対象ファイル名を指定する。ファイル名の先頭が一致すれば検索対象になる。(条件を満たすファイルは自動マージの対象となる)。
【0062】
解析用タブの条件でディスプレイフィルターがかけられ、その結果が表示される。Excel解析設定欄1612の自動起動チェックボックスをオンにすると、ExcelかEtherealが自動的に起動させられる。Excel自動起動の場合、csv出力結果を確認することができる。Excel起動後にマクロを有効にするか問い合わせがあるので、それを有効にする。その後、読み込むcsvファイルをブラウズ指定することで、解析データの一覧が表示される(図18を参照)。また、Ethereal自動起動の場合、解析用タブの条件でディスプレイフィルターをかけた結果をEthereal上で確認することができる。
【0063】
次に、伝文トレースツール使用例について説明する。図19(a)に示すように、伝文トレースツール上で、伝文トレース形式で出力したファイル(例:xxx_TraceTool.bin)、定義書の保存先を指定する。伝文の定義書は予め作成しておく必要がある。
【0064】
そして、図19(b)に示すように、表示したい伝文を次の要領で選択する。まず、一覧再表示ボタン1901を押下して定義書を読み込み、欄1902でメッセージNo.を選択することにより、欄1903に伝文を一覧表示させる。欄1903で表示させたい伝文を選択すると、図19(c)に示すように、伝文内容が表示される。
【0065】
((4)シリアル伝送診断ツール)
以下に述べるシリアル伝送診断は、診断部15の制御下で実行される。表示装置11上にて不図示のコマンドボタンを操作すると、図11(b)に示すように、表示装置11にシリアル伝送診断操作画面1107が表示される。シリアル伝送診断操作画面1107において、1108は「無限」、「スケジュール」、「手動(1回)」のいずれを実行するか選択するための選択ボタンである。1109は診断の中止を指示するための診断中止ボタンである。
【0066】
図20には、シリアル伝送診断処理の流れを示す。まず、TCP/IPネットワークNW上のデータ(以下、TCP/IPデータと称する)を取得する(ステップS2001)。次に、通信対象機器400が送受信するデータ(以下、シリアル伝送データと称する)を取得する(ステップS2002)。そして、これらステップS2001、S2002で取得したデータを、図9に示したシリアル伝送診断結果シート13iにインポートし、時刻をキーにして並べ替える(ステップS2003)。
【0067】
次に、TCP/IPデータとシリアル伝送データとの時刻差ΔTdを判定する(ステップS2004)。時刻差ΔTdは、通信速度等によるTCP/IPデータとシリアル伝送データとの時刻差を補正するためのものであり、この時刻差判定処理については図21により後述する。
【0068】
次に、シリアル伝送診断結果シート13iにある、シリアル伝送データの時刻データをΔTdだけ減算し、再度並び替える(ステップS2005)。
【0069】
次に、シリアル伝送診断結果シート13iにある、シリアル伝送データの時刻データの前後、具体的には図3に示した共通定義シート13aで設定されたスキャンタイム時間内で、シリアル伝送データに対応するTCP/IPデータを検索し、時刻の順番が正しくなるようにシート内の行位置を入れ替える(ステップS2006)。図9において、No.の項目に□(受信)、■(送信)が付されているものがシリアル伝送データであり、その前後にあるデータがTCP/IPデータである。
【0070】
上記ステップS2006において、シリアル伝送データに対応するTCP/IPデータがないと診断した場合、TCP/IPデータが欠損したと判断し、エラー通知を実行し、表示制御部16を介してネットワーク構成図シート13cの所定の場所を色変え表示する(ステップS2007)。また、ログ出力部18を介してシリアル伝送診断ログシート13jを作成する。
【0071】
図21(a)には、ステップS2004の時刻差判定処理の流れを示す。まず、共通定義シート13aに設定されているデータのfrom-to(送信、受信)、タイムアウトを取得する(ステップS2101)。この例では、fromデータがENQ、toデータがACKと設定されている。
【0072】
次に、TCP/IPデータとシリアル伝送データの両方に対して、fromデータ(ENQ)とtoデータ(ACK)を先頭より探す(ステップS2102)。ステップS2102においてデータがなければ、ステップS2105に進み、次の行のデータのfrom-to(送信、受信)を取得した上で、ステップS2102に戻る。
【0073】
ステップS2102においてデータがあれば、ステップS2104に進み、ΔTt、ΔTsを計算し、ΔTt、ΔTsともにタイムアウトの範囲内にあるかどうかを判定する。ここで、図21(b)に示すように、ΔTtはTCP/IPネットワークNW側のデータの送受信の時刻差であり、ΔTsは通信対象機器400側のデータの送受信の時刻差である。
【0074】
ステップS2104においてΔTt、ΔTsともにタイムアウトの範囲内でなければ、ステップS2105に進み、次の行のデータのfrom-to(送信、受信)を取得した上で、ステップS2102に戻る。ステップS2104においてΔTt、ΔTsともにタイムアウトの範囲内であれば、ステップS2106に進む。ステップS2106では、TCP/IPデータとシリアル伝送データとの時刻差ΔTdを次式により計算する。
ΔTd=(ΔTt+ΔTs)/2
【0075】
シリアル伝送診断操作画面1107の選択ボタン1108のうち「手動(1回)」ボタンが押下された場合は、図20の処理を実行する。また、選択ボタン1108のうち「無限」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン1109が押下されるまで、図20の処理を繰り返す。また、選択ボタン1108のうち「スケジュール」ボタンが押下された場合は、診断中止ボタン1109が押下されるまで、実行スケジュールシート13bで設定されているスケジュールに従って図20の処理を繰り返す。
【0076】
以上述べたシリアル伝送診断ツールにより、TCP/IPネットワークNW上のデータと、通信対象機器400が送受信するデータとを常時収集しておき、例えばトラブル発生時に、指示した時間帯におけるTCP/IPネットワークNW上のデータと、通信対象機器400が送受信するデータとを時系列につき合わせてマージし、診断することができる。これにより、障害発生時の原因究明と対策実施作業の効率化を図ることができる。
【0077】
ここまでは、各種画面(ping発行操作画面1100、SNMP SW監視画面804、シリアル伝送診断操作画面1107)での操作、及び、共通定義シート13aや実行スケジュールシート13b等に基づいて監視、診断を設定し、実行させる例を説明したが、上述したように、診断部品を時系列的に並べることにより、監視、診断を含む動作のフローを定義し、実行させることもできる。この場合に、画面及びシート13a、13bに基づく監視、診断の機能と、以下に詳述するフロー定義による監視、診断の機能とは、並存させてもよいし、いずれか一方だけを実装するようにしてもよい。また、両機能を並存させる場合は、それぞれ独立して監視、診断を設定できるようにしてもよいし、いずれか一方が優先されるようにしてもよい。
【0078】
図22に示すように、診断部品パラメータ定義シート13kで、診断装置1において実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、診断部品のパラメータのデフォルト値を設定しておく。図示例では、「NW構成図表示」、「ping全ノード1回実行」、「ping結果シート表示」、「pingログシート表示」、「CRCエラー手動収集」、「SW監視ログ表示」といった動作が部品化されており、ping診断について、操業中、試運転、定修それぞれでのping繰り返し回数、実行間隔、ブロックサイズ、タイムアウト、TTLのデフォルト値を設定し、CRC診断(CRCエラー監視)について、操業中、試運転、定修それぞれでの監視周期のデフォルト値を設定するようになっている。診断部品パラメータ定義シート13kと各処理モジュールの協働は、例えばVBA(Visual Basic programing system Applications edition)等の具現化される。
【0079】
診断部品パラメータ定義シート13kで診断部品を設定し、そのパラメータのデフォルト値を設定した状態で、図23に示すように、フロー定義シート13lにおいて、「診断監視フロー(原紙)」シートをコピーして、適宜な名前に変更する。該シート上方の「部品:」の右セルにプルダウン形式で診断部品の一覧が表示されるので、所望の診断部品を選択し、シート下方のフロー定義領域にコピー・ペーストして貼り付けていく。図23の例では、まず「NW構成図表示」2301を貼り付けている。
【0080】
このようにして診断部品2301〜2305を時系列的に並べることにより、図24に示すように、診断装置1において実行する監視、診断を含む動作のフローを定義することができる。診断部品によっては(例えば「ping全ノード1回実行」)、診断結果に応じて分岐させることができ、正常であれば下方に、異常であれば右下方に診断部品を位置させる。なお、分岐可能な診断部品であっても、結果によらず次に同じ診断部品に移行する場合は、必ずしも分岐させなくてもよい。また、分岐することのない診断部品(例えば「NW構成図表示」、「ping結果シート表示」)を分岐させようとしたときには、注意を促す通知が行われるようにすればよい。
【0081】
フローは「終了」部品で終了させることができる。また、「pause」指定で、実行時にいったんフローを停止させるようにすることができる。
【0082】
さらに、診断部品を時系列的に並べるだけでなく、診断部品のパラメータの値を変更することができる。画面上で所定の操作を行うと、図24に示すように、診断監視フロー実行指示画面が表示される。この指示画面の「pingパラメータ表示」ボタン2401を操作すると、図25に示すように、操業状態及び診断時パラメータ値の入力欄が表示される。ここでは、診断部品パラメータ定義シート13kで設定したパラメータのデフォルト値が表示されるが、これらデフォルト値を変更することにより、当該フロー内だけで適用される値を自由に設定することができる。これにより、図24の例でいえば、最初の「ping全ノード1回実行」2302で異常であった場合、次の「ping全ノード1回実行」2304を実行するが、次の「ping全ノード1回実行」2304ではブロックサイズを小さくしたり、タイムアウトを長くしたりすることが可能となる。
【0083】
以上のようにして監視、診断を含む動作のフローを定義したならば、図24に示すように、診断監視フロー実行指示画面において、診断フローを選択し、「実行」ボタン2402を操作すると、フローに従って、診断手段(ping発行部14、診断部15、CRCエラー監視部17、キャプチャー部19、シリアル伝送データ取得部20等)による監視、診断を含む動作が実行されることになる。
【0084】
図24の例でいえば、まず「NW構成図表示」2301があるので、ネットワーク構成図シート13c(図5を参照)が表示される。なお、実行中の診断部品は、他の診断部品と異なる表示形態とする(例えば青色にする)。「NW構成図表示」2301の終了後、ここでは「pause」指定がなされているので、いったんフローを停止した状態となる。なお、終了した診断部品は、他の診断部品と異なる表示形態とする(例えば黄色にする)。
【0085】
フローが停止した状態で、再度「実行」ボタン2402を操作すると、監視、診断を含む動作が再開され、最初の「ping全ノード1回実行」2302が実行される。最初の「ping全ノード1回実行」2302の終了後、正常であれば下方の「CRCエラー手動収集」2303が実行され、その後終了する。最初の「ping全ノード1回実行」2302が異常であれば、右下方の次の「ping全ノード1回実行」2304が実行される。次の「ping全ノード1回実行」2304が正常であれば、終了し、異常であれば、右下方の「ping結果シート表示」2305が実行され、ping結果シート13e(図7を参照)が表示された後、終了する。なお、異常が発生した診断部品は、他の診断部品と異なる表示形態とする(例えば赤色にする)。
【0086】
図26には、フロー定義部21において定義されたフローを実行する際の処理を示すフローチャートである。ステップS2601で、シートの左上から右下に向けて診断部品が定義されている先頭のセルをサーチする。次に、ステップS2602で、終了か否かを判定し、終了でなければ、ステップS2603に進む。ステップS2603では、診断部品を実行する。
【0087】
ステップS2603の後、ステップS2604で、「pause」指定されているか否かを判定する。「pause」指定がなければ、そのままステップS2605に進み、「pause」指定があれば、ステップS2606で「実行」ボタンが操作されるまで待機して、その後ステップS2605に進む。
【0088】
ステップS2605で、分岐しているか否かを判定する。その結果、分岐していなければ、ステップS2608に進み、下方の診断部品をサーチして、ステップS2602に戻る。一方、分岐していれば、ステップS2607で、正常であるか異常であるかを判定する。その結果、正常であれば、ステップS2608に進み、下方の診断部品をサーチして、ステップS2602に戻り、異常であれば、ステップS2609に進み、右下方の診断部品をサーチして、ステップS2602に戻る。
【0089】
以上述べたように、診断部品をフロー定義シート13l上で時系列的に並べることにより、監視、診断を含む動作のフローを定義することができるので、監視、診断を含む動作の手順を視認しながら設定、変更することができる。これにより、高度なネットワークの専門知識を必要とせずに、現場の状況を見ながら、簡単かつ柔軟に監視、診断の手順を設定、変更することができる。
【0090】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0091】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラム自体及びそのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 診断装置
2 スイッチングハブ
100 制御サーバ
200 スイッチングハブ
300 ネットワーク機器
400 通信対象機器
500 プロトコル変換器
600 分岐ケーブル
700 シリアル伝送キャプチャー装置
800 キャプチャーデータ格納部
11 表示装置
12 入力装置
13 ワークシート格納部
14 ping発行部
15 診断部
16 表示制御部
17 CRCエラー監視部
18 ログ出力部
19 キャプチャー部
20 シリアル伝送データ取得部
21 フロー定義部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムを監視、診断するネットワークシステムの診断システムであって、
前記ネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、
前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段と、
前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたフロー定義手段とを備えたことを特徴とするネットワークシステムの診断システム。
【請求項2】
前記診断手段は、前記ネットワークシステム上の機器に応答要求を送信し、該応答要求に対する各機器からの応答に基づいて各機器の状態を診断する応答要求診断を実行可能であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステムの診断システム。
【請求項3】
前記診断手段は、CRCエラー監視を実行可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークシステムの診断システム。
【請求項4】
前記ネットワークシステムは、前記複数の機器が接続して構成されるネットワークに、前記ネットワークの通信プロトコルとは異なる通信プロトコルでデータ通信を行う通信対象機器がプロトコル変換器を介して接続する構成とされており、
前記診断手段は、前記ネットワーク上のデータを収集し、前記通信対象機器が送受信するデータを収集し、前記収集した前記ネットワーク上のデータのうち、前記収集した前記通信対象機器が送受信するデータに対応するものを時間を基準にして検索し、表計算ソフトウェアで作成したシートに出力する伝送診断を実行可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のネットワークシステムの診断システム。
【請求項5】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、
前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段とを備えた診断システムによるネットワークシステムの診断方法であって、
前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたことを特徴とするネットワークシステムの診断方法。
【請求項6】
複数の機器が接続して構成されるネットワークシステムを監視、診断する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記ネットワークシステムに関する情報を記した表計算ソフトウェアで作成したシートを格納するシート格納手段と、
前記シート格納手段に格納されているシートに基づいて複数の監視、診断を実行可能な診断手段と、
前記診断手段が実行可能な監視、診断を含む動作を部品化し、それら部品を表計算ソフトウェアで作成したシート上で時系列的に並べることにより、前記診断手段が実行する監視、診断を含む動作のフローを定義できるようにしたフロー定義手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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