説明

ネットワーク可視化装置

【課題】ネットワーク管理者が視覚的に把握しやすいネットワーク可視化手段を提供する。
【解決手段】ネットワーク可視化装置は、トポロジ画面、対地間トラヒック画面において指定された条件(例えば、所定のノードまたはリンクを経由するフローを、トラヒック量の多いものから順に最大N個)に合うフローの情報を表示装置に表示させる。また、このような画面表示後、所定のフローが選択されたときには、各画面上に、その選択されたフローを強調表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの状態の可視化技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IP(Internet Protocol)網等のネットワークの接続構成(以下、トポロジと呼ぶ)や、経路情報、トラヒック情報等を、GUI(Graphical User Interface)を用いて可視化する技術がある(非特許文献1参照)。また、対地となる装置(ノード)間で発生するトラヒック(以下、フローと呼ぶ)や、フローの経路や、時系列のトラヒック量を可視化することで、ボトルネックとなっている箇所の分析、設備増設箇所の判断や、故障時のインパクト等の分析を、ネットワークの管理者が画面上で直感的に行えるようにする技術もある(非特許文献2参照)。例えば、ネットワーク内の各フローのトラヒック量や、フローの経路や、時系列のトラヒック量の変化を、トラヒック情報一覧の画面、トポロジ画面および対地間トラヒックの画面等を用いることで、表示する(図1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】見越,鎌村,白石,大木,塩本,竹中,"マルチレイヤTE可視化システムの開発", 電子情報通信学会 PN研究会,2007年5月
【非特許文献2】小島他、"交流トラヒックを用いたネットワーク設計・運用方式の提案", 09年信学全国大会,B-6-9,2009年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ネットワーク内のフローはノード数の二乗に比例して存在するため、各フローに関する分析対象を制限したとしても、ネットワーク全体の分析結果を画面上に表示すると情報量が膨大になってしまい、管理者がネットワークの状態分析を行うことが困難になる。例えば、図1において装置A経由のフローが多数ある場合、トポロジ画面や対地間トラヒック画面に表示されるフロー数も膨大になり、管理者は視覚的な把握が困難になる。そこで、本発明は、前記した問題を解決し、ネットワークの管理者がネットワークのフローの情報を視覚的に把握しやすいネットワーク可視化手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、本発明のネットワーク可視化装置は、ネットワークを構成する各ノードの接続状態および各ノードを接続するリンクを示したトポロジ情報と、ネットワークを流れるフローごとに、そのフローの始点ノードおよび終点ノードならびにその始点ノードおよび終点ノード間において経由するリンクの識別情報を示した経路情報と、フローそれぞれのトラヒック量を示したトラヒック情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する。そして、ネットワーク可視化装置は、画面表示処理部を備え、この画面表示処理部は、トポロジ情報および経路情報を参照して、ネットワークのトポロジ上に各ノード間を流れるフローを示したトポロジ画面を表示装置に表示する。また、トラヒック情報を参照して、所定時間ごとの各フローのトラヒック量の推移を示した対地間トラヒック画面を表示する。さらに、所定時刻における、各フローのトラヒック量の一覧を示したトラヒック情報一覧画面を表示装置に表示する。そして、ネットワーク可視化装置は、フロー表示制御部を備え、このフロー表示制御部は、入力部経由で、ノードまたはリンクの選択入力と、画面上に表示させるフロー数の最大値とを受け付けたとき、経路情報を参照して、ネットワークを流れるフローの中から、入力されたノードまたはリンクを経由する最大値までの数のフローを選択し、画面表示処理部に、トポロジ画面上に選択したフローを表示させ、対地間トラヒック画面上に選択したフローを表示させ、トラヒック情報一覧画面上に選択したフローを表示させる。
【0006】
このようにすることで、ネットワーク可視化装置は、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上に、管理者が指定した条件に適合するフローを表示させる。これにより、管理者がネットワークのフローの情報を画面上で視覚的に把握しやすくなる。
【0007】
また、本発明のネットワーク可視化装置のフロー表示制御部は、入力部経由で、画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を受け付けたとき、ネットワークを流れるフローの中から選択するフロー数の最大値を、変更入力に示される最大値とする。
【0008】
このようにすることで、ネットワーク可視化装置は、画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を受け付けたとき、そのフロー数の最大値を変更する。これにより、管理者は、画面上に表示させるフロー数を変更したいとき、管理者の所望するフロー数に変更できる。
【0009】
また、本発明のネットワーク装置のフロー表示制御部は、画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を、フロー表示制御画面上のフロー数増加ボタンおよびフロー数減少ボタンのクリックにより受け付ける場合において、入力部経由で、フロー数増加ボタンおよびフロー数減少ボタンが1回クリックされるたびに増加または減少させるフロー数の設定情報の入力を受け付ける。そして、入力された設定情報に従い、フロー表示制御画面上のフロー数増加ボタンが1回クリックされるたび、画面上に表示させるフロー数の最大値を増加させ、フロー数減少ボタンが1回クリックされるたび、画面上に表示させるフロー数の最大値を減少させる。
【0010】
このようにすることで、ネットワーク可視化装置は、画面上に表示させるフロー数の最大値の変更幅を、管理者が所望する数に設定することができる。
【0011】
また、本発明のネットワーク装置のフロー表示制御部は、最大値の数までのフローを選択するとき、トラヒック情報に示される当該フローのトラヒック量および経路情報に示される当該フローのホップ数を参照して、フローそれぞれのトラヒック量またはホップ数の、多い順または少ない順に最大値までの数のフローを選択する。
【0012】
このようにすることで、ネットワーク可視化装置は、フローそれぞれのトラヒック量またはホップ数の、多い順または少ない順に所定数のフローを画面上に表示させることができる。
【0013】
また、本発明のネットワーク装置のフロー表示制御部は、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面のいずれかの画面上に表示されるフローの中から、強調表示するフローの選択入力を受け付けたとき、画面表示処理部に、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上の当該フローを強調表示させる。
【0014】
このようにすることで、ネットワーク可視化装置は、各画面上に表示されるフローの中から選択されたフローを強調表示できる。
【0015】
また、本発明のネットワーク可視化装置のフロー表示制御部は、トポロジ画面の視点を90度回転させる指示入力を受け付けたとき、画面表示処理部に、トポロジ画面上に表示中のフローが経由するリンクを横軸として、リンクを流れる他のフローそれぞれのトラヒック量を縦軸に示した画面を表示させる。
【0016】
このようにすることで、管理者は、選択したフローが経由するリンク上に、どのようなフローが流れているかや、それぞれのフローのトラヒック量がどの程度かを視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワーク管理者が視覚的に把握しやすいネットワーク可視化手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】比較例となるネットワーク可視化装置が表示する画面を示した図である。
【図2】本実施の形態のネットワーク可視化装置(可視化装置)が表示する画面を示した図である。
【図3】可視化装置の処理概要を概念的に示した図である。
【図4】可視化装置を網管理装置のユーザI/F部として実現した場合の網管理装置の構成を示した図である。
【図5】可視化装置のフロー表示制御部によるデータ処理例を示した図である。
【図6】可視化装置の他の表示画面例を示した図である。
【図7】可視化装置の他の表示画面例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明を実施するための形態(本実施の形態)のネットワーク可視化装置(可視化装置)が表示する画面の概要を説明する。
【0020】
可視化装置の表示する画面は、図2に例示するように、トポロジ画面、対地間トラヒック画面、トラヒック情報一覧画面を備える。トポロジ画面は、通信ネットワークのトポロジ(ノード間がどのリンクにより接続されているかを示した情報)上に各ノード間を流れるフローを示した画面である。対地間トラヒック画面は、各フローのトラヒック量の推移を時系列で示した画面である。トラヒック情報一覧画面は、所定時刻における、各フローのトラヒック量の一覧を示した画面である。可視化装置が、このような画面を表示させることで、ネットワークの管理者は、各フローがどのノード間(リンク)を流れているか、また、それぞれのフローのトラヒック量はどの程度か、また、それぞれのトラヒック量の推移はどのような状態かを視認しやすくなる。
【0021】
また、この画面は、フロー表示制御パネルを備える。このフロー表示制御パネルは、各画面上に表示させるフローの条件や、表示させるフローの最大数の指示入力を受け付けるための領域である。そして、可視化装置は、このフロー表示制御パネルからの指示入力に基づき、画面上へ表示させるフローを選択する。これにより、可視化装置は、画面上に、ネットワークの管理者が所望するフローを表示させることができる。
【0022】
このような可視化装置の処理概要を、図3を用いて説明する。ここでは既に可視化装置は、図2に示す画面を作成するための情報(図4に示す、通信ネットワークのトポロジ情報1431、各フローの経路情報1432、各フローのトラヒック量を示すトラヒック情報1433)を記憶しているものとする。
【0023】
可視化装置は、(1)画面上で選択したすべての箇所(ノードやリンク)を経由するフローを抽出するか、(2)画面上で選択したいずれかの箇所を経由するフローを抽出するかについての入力をフロー表示制御パネルから受け付ける。また、可視化装置は、フローを画面上に表示するときの順序(トラヒック量順か、ホップ数順か、フローごとに設定された優先度順か)の入力を受け付ける。
【0024】
ここでは、画面上でルータR1−ルータR3間のリンクが選択され、フロー表示制御パネルから、この選択したリンクを経由するフローをトラヒック量が多い順に最大2本表示する、という入力を受け付けた場合を考える。この場合、可視化装置は、例えば、画面301に示すように、トポロジ画面上に、ルータR1−ルータR3間のリンクを経由するフローA,Bを表示する。
【0025】
ここで、画面301は、現在表示中のフロー数(例えば、「2」)や、選択対象に収容される全フロー数や、表示フロー数の増減の入力を受け付けるボタン(表示フロー数増減ボタン)を含む。例えば、ボタンの[−](表示フロー数減少ボタン)がクリックされると、可視化装置は、表示フロー数を1つ減らし、画面302に示すように、ルータR1−ルータR3間のリンクを経由するフローのうちトラヒック量が最も多い1本のフローのみを表示する。一方、ボタンの[+](表示フロー数増加ボタン)がクリックされると、表示フロー数を1つ増加させ、画面303に示すように、ルータR1−ルータR3間のリンクを経由するフローのうちトラヒック量が多いものから順に3本のフロー(フローA,B,C)を表示する。
【0026】
次に、このような可視化装置を実現するための装置を例示する。前記した可視化装置は、例えば、図4に示す通信ネットワークの網管理装置100のユーザインタフェース(I/F)部120により実現される。
【0027】
通信ネットワークは、複数のノード(IP(Internet Protocol)ルータ等)が、リンク接続されたものである。網管理装置100は、通信ネットワークのネットワーク情報の収集や、ノードへの各種設定指示等の網管理処理を行う。この網管理装置100は、機能提供部110と、ユーザI/F部120と、記憶部140と、入出力部130と、を備え、この網管理装置100への指示入力を行うための入力装置200(キーボードや、マウス等)や、網管理装置100の処理結果を表示するための表示装置300(液晶モニタ等)が接続される。なお、この入力装置200および表示装置300をタッチパネルにより実現するようにしてもよい。
【0028】
網管理装置100のユーザI/F部120は、機能提供部110による処理結果を記憶部140に記憶する。そして、ユーザI/F部120は、入力装置200からの指示入力に基づき表示装置300の画面上に所定のフローを表示させたり、画面上に表示させるフロー数等の制御を行ったりする(図3の画面301〜303参照)。
【0029】
入出力部130は、入出力インタフェースや通信インタフェースから構成される。また、機能提供部110、ユーザI/F部120における、機能提供部とのインタフェース121、GUI部122は、この網管理装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、網管理装置100をプログラム実行処理により実現する場合、記憶部140には、この網管理装置100の機能を実現するためのプログラムが格納される。なお、本実施の形態において、機能提供部110とユーザI/F部120とは同じ網管理装置100内の構成として説明するが、機能提供部110とユーザI/F部120とを別個の装置として実現してもよい。
【0030】
記憶部140は、通信ネットワークのトポロジ情報1431、各フローの経由リンクを示した経路情報1432、各フローのトラヒック量を示したトラヒック情報1433等を記憶する。
【0031】
トポロジ情報1431は、前記したとおり、通信ネットワークを構成する各ノードの接続状態および各ノードを接続するリンクを示した情報である。なお、このトポロジ情報1431は、各ノードの種別、機種、OS(Operating System)、保有I/F、稼動状態、コンフィグ情報(設定情報)等を含んでいてもよい。
【0032】
経路情報1432は、ネットワークを流れるフローごとに、そのフローの始点ノードおよび終点ノード、そのフローが経由するリンクの識別情報等を示した情報である(表1参照)。この経路情報1432は、トポロジ画面表示処理部124がトポロジ画面を作成するときや、グラフビュー処理部126が対地間トラヒック画面を作成するときに参照される。
【0033】
【表1】

【0034】
トラヒック情報1433は、各日時におけるフローそれぞれのトラヒック量を示した情報である(表2参照)。各フローのトラヒック量は、例えば、網管理部112が各ノードのI/F単位のトラヒック量を元に計算したものである。このトラヒック情報1433は、表2に例示するように各フローの始点ノードと終点ノードの識別情報を含んでいてもよい。このトラヒック情報1433は、リストビュー処理部125が、トラヒック情報一覧画面を作成するときや、グラフビュー処理部126が対地間トラヒック画面を作成するときに参照される。
【0035】
【表2】

【0036】
入出力部130は、入力装置200から入力された指示(例えば、表示するフロー数の指示)をユーザI/F部120へ受け渡したり、ユーザI/F部120の処理結果(図2に例示したトポロジ画面や、対地間トラヒック画面等)を表示装置300に表示させたりする。
【0037】
機能提供部110は、例えば、通信ネットワークのネットワーク情報を収集し、トポロジ情報1431、経路情報1432、トラヒック情報1433等を作成し、ユーザI/F部120へ出力する。また、この機能提供部110は、ノードへの各種設定指示等の網管理処理を行う。
【0038】
機能提供部110は、通信ネットワークとのインタフェース111と、網管理部112と、ユーザI/F部とのインタフェース113とを備える。網管理部112は、通信ネットワークとのインタフェース111経由で、通信ネットワークから種々の情報を取得し、通信ネットワークのトポロジ情報1431や、各フローの経由リンクを示した経路情報1432、各フローのトラヒック量を示したトラヒック情報1433等を作成し、ユーザI/F部とのインタフェース113経由で、ユーザI/F部120へ出力する。
【0039】
ユーザI/F部120は、機能提供部とのインタフェース121と、GUI(Graphical User Interface)部122とを備える。GUI部122は、画面表示処理部123と、フロー表示制御部127と、入力処理部128とを備える。
【0040】
画面表示処理部123は、記憶部140に記憶されたトポロジ情報1431や、経路情報1432、トラヒック情報1433等を参照して、各フローの経路やトラヒック量等を示した画面を作成し、表示装置300に表示させる。画面表示処理部123は、トポロジ画面表示処理部124と、リストビュー処理部125と、グラフビュー処理部126とを備える。
【0041】
トポロジ画面表示処理部124は、トポロジ情報1431や、経路情報1432を参照して、通信ネットワークを構成するノードと、そのノード間を接続するリンクと、各ノード間を流れるフローとを含むトポロジ画面(図2参照)を作成し、表示させる。また、トポロジ画面表示処理部124は、このトポロジ画面上に、フロー表示制御部127から指示されたフローを表示させる。このようなトポロジ画面により、管理者は、各フローがどのノードおよびリンク上を流れるか視認できる。
【0042】
リストビュー処理部125は、経路情報1432およびトラヒック情報1433を参照して、各フローのトラヒック量を示したトラヒック情報一覧画面(図2参照)を作成し、表示させる。このトラヒック量は、最新のトラヒック量でもよいし、過去の所定日時のトラヒック量でもよい。
【0043】
グラフビュー処理部126は、トラヒック情報1433を参照して、各フローのトラヒック量の推移を時系列で示した対地間トラヒック画面(図2参照)を作成し、表示させる。
【0044】
フロー表示制御部127は、入力処理部128経由で入力された指示に示されるフローの条件に従い、トラヒック情報1433に示される各フローの情報の絞り込み(データフィルタリング)や並べ替え(ソート)を行う。これにより、画面表示処理部123が画面上に表示させるフローの情報を制御する。例えば、ノードまたはリンクの選択入力と、画面上に表示させるフロー数の最大値Nとを受け付けたとき、経路情報1432を参照して、ネットワークを流れるフローの中から、入力されたノードまたはリンクを経由する最大N個のフローを選択する。そして、画面表示処理部124に対し、トポロジ画面上に、選択したフローを表示させ、対地間トラヒック画面上に選択したフローを表示させ、トラヒック情報一覧画面上に前記選択したフローを表示させる。
【0045】
入力処理部128は、入出力部130経由で入力された指示(例えば、表示するフロー数の最大値の指示や、表示するフローを示す情報等)を、フロー表示制御部127へ出力する。
【0046】
ここでのトラヒック情報1433における各フローの情報の絞り込み(データフィルタリング)や並べ替え(ソート)の例を、図5を用いて説明する。
【0047】
例えば、フロー表示制御部127は、入力処理部128経由で、図5に示すようにA操作(フローのフィルタリングを指示する操作)を受け付けたとき、トラヒック情報1433の元データについて、そのA操作で入力された条件に合うフローのフィルタリングを行う。
【0048】
その後、フロー表示制御部127は、入力処理部128経由で、B操作(フローの並べ替えを指示する操作)を受け付けたとき、フィルタリングしたレコードを、フローのトラヒック量が多い順または少ない順にソートする。なお、図5に示す、変化量指定後のサブフィルタの範囲については後記する。このようにフロー表示制御部127が、トラヒック情報1433のデータのフィルタリングやソートを行い、画面表示処理部123は、このフィルタリングされり、ソートされたりしたデータに基づき画面表示を行う。
【0049】
ここで、フロー表示制御部127が、フロー表示制御パネルから入力された指示の内容と、その指示に基づく処理内容の例を説明する。
【0050】
例えば、フロー表示制御パネルから指示された条件が、(A1)選択した箇所(ノード、リンク)をすべて経由するフローという条件であれば、フロー表示制御部127は、経路情報1432およびトラヒック情報1433から、選択した箇所をすべて経由するフローの情報を絞り込む。また、指示された条件が、(A2)選択した箇所(ノード、リンク)のいずれかを経由するフローであれば、フロー表示制御部127は、経路情報1432およびトラヒック情報1433から、選択した箇所のいずれかを経由するフローの情報を絞り込む。いずれの場合も、画面上に表示されるフローの最大値はNとする。このNの値は入力装置200からの指示に基づき増減可能である。このように画面上に表示するフローの最大値を制御することで、例えば、トポロジ画面や対地間トラヒック画面における各フローの視認性が向上する。
【0051】
さらに、フロー表示制御パネルから指示された条件が、(A3)トラヒック量が上位のフローであれば、フロー表示制御部127は、経路情報1432およびトラヒック情報1433から、トラヒック量の上位M個のフローの情報を絞り込み、トラヒック量が多いものから順に並べ替える。このMの値は入力装置200からの指示に基づき増減可能である。
【0052】
また、(A1)、(A2)の条件において、フロー表示数を最大N個に制限した場合のフロー表示制御部127のソート順は、例えば、以下の(B1)〜(B3)に示す順序がある。この順序についても、フロー表示制御部127が、入力処理部128経由で入力される。
【0053】
(B1)フローのトラヒック量が多い順または少ない順
(B2)フローホップ数が多い順または少ない順
(B3)フローの優先度が高い順または低い順
【0054】
例えば、指示された条件が、(A1)選択した箇所(ノード、リンク)をすべて経由するフローについて、(B1)フローのトラヒック量が多い順にN個表示する、という条件であった場合、フロー表示制御部127は、経路情報1432およびトラヒック情報1433から選択した箇所(ノード、リンク)をすべて経由するフローの情報を抽出する。そして、トラヒック情報1433に示されるトラヒック量を参照して、そのトラヒック量が多いものから順にN個のフローを絞り込む。なお、このフローの優先度は、例えば、トラヒック情報1433に設定されるものとする。
【0055】
このような網管理装置100によれば、管理者が所望するフローを画面上に表示させることができる。よって、管理者が画面上でフローの情報を確認するときの視認性を向上させることができる。
【0056】
なお、フロー表示制御部127が、フロー表示制御パネルの表示フローの増減ボタン(図3参照)を1つ押したときの変化量(変化幅)は、1個である場合を例に説明したが、これに限定されず、任意の値を設定可能である。この設定値は、図5のトラヒック情報1433のサブフィルタの範囲に反映される。例えば、増減ボタンを1回押したときに増減するフロー数を2個とした場合、トラヒック情報1433のサブフィルタの範囲は、フロー2個分となる。つまり、フロー表示制御部127は、画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を、フロー表示制御画面上のフロー数増加ボタンおよびフロー数減少ボタンのクリックにより受け付ける。そして、フロー表示制御部127は、フロー数増加ボタンおよびフロー数減少ボタンが1回クリックされるたびに増加または減少させるフロー数の設定情報の入力を受け付け、入力された設定情報に従い、フロー表示制御画面上のフロー数増加ボタンが1回クリックされるたび、画面上に表示させるフロー数の最大値を増加させる。また、フロー数減少ボタンが1回クリックされるたび、画面上に表示させるフロー数の最大値を減少させる。
【0057】
また、増減ボタンを1つ押したときの変化量(変化幅)は、フローのトラヒック量やホップ数で定義してもよい。例えば、増減ボタンを1回押したときに増減するフローを、100Mbpsとした場合、フロー表示制御部127は、トラヒック情報1433のサブフィルタの範囲も100Mbpsとする。このような設定をした場合において、例えば、表示フローの増加ボタンを1回押したとき、フロー表示制御部127は、トラヒック情報1433に示される各フローの情報のうち、トポロジ画面上に表示させるフローの範囲が100Mbps分拡大する。具体例を挙げると、今までトポロジ画面上に、トラヒック量が多いものから順に、500Mbpsまでのフローが表示されていた場合において、表示フロー数の増加ボタンが1回押されると、フロー表示制御部127は、トラヒック情報1433に示されるフローの情報のうち、トラヒック量が400Mbpsまでのフローの情報が表示される。
【0058】
なお、網管理装置100は、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面それぞれにおいて、管理者が選択したフローを強調表示するようにしてもよい。この場合の画面表示例を、図6を用いて説明する。
【0059】
例えば、フロー表示制御部127が、画面表示処理部123に対し、トポロジ画面および対地間トラヒック画面上にフローA,B,Cの情報を表示させている場合を考える(図6参照)。この場合、リストビュー処理部125は、トラヒック情報一覧画面上で、このフローA,B,Cが選択状態であることを示すため、例えば、他のフローの情報とは異なる色等で表示する。そして、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上のいずれかで、入力装置200のマウスのダブルクリック等によりフローが選択されると、入力処理部128経由でその選択情報がフロー表示制御部127へ入力される。フロー表示制御部127は、この選択情報に基づき画面表示処理部123に、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面それぞれで、この選択されたフローを強調表示させる。例えば、トポロジ画面上で、フローAの表示領域が選択された場合、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面それぞれにおけるフローAを強調表示させる。なお、この後、強調表示されたフローが再度選択されると、この強調表示を解除するようにしてもよい。このようにすることで、各画面上で表示しているフローが、選択されていない状態、選択されている状態、その選択された状態からさらに選択された状態(強調表示された状態)という3つの状態を、画面上で視認しやすくしている。
【0060】
このように、フロー表示制御部127が、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上のいずれかで選択されたフローの情報を、それぞれの画面上で連携して強調表示させるようにする。これにより、管理者が選択したフローの情報を、トポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上で視認しやすくなる。
【0061】
なお、フロー表示制御部127は、選択状態にあるフローや強調表示されたフローをトラヒック情報一覧画面上で上位に表示するようにしてもよい。このようにすることで、選択状態のフローや強調表示されたフローに対するその後の指示等が行いやすくなる。
【0062】
なお、図5に例示したサブフィルタされた単位を1つのグループとみなし、グループごとに、画面表示処理部123はトポロジ画面、対地間トラヒック画面およびトラヒック情報一覧画面上で、色分け等により区別して表示するようにしてもよい。
【0063】
なお、前記した実施の形態において画面表示処理部123のトポロジ画面表示処理部124は、トポロジ画面上で各ノード間を流れるフローを2次元で描画する場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、トポロジ画面上でフローを3次元で描画してもよい。例えば、トポロジ画面表示処理部124は、前記した実施の形態と同様、トポロジ画面に各フローをプロットした上で、経路情報1432およびトラヒック情報1433を参照して、トポロジ画面に、各リンクを流れるフローそれぞれのトラヒック量や、そのトラヒック量の時系列変動の情報を含めるようにする。そして、画面表示処理部123は、まず、図7に例示するようなトポロジ画面701を表示する。その後、フロー表示制御部127が画面上のフロー表示制御パネルから、トポロジ画面701の視点(角度)の変更指示入力を受け付けると、その指示入力に従い視点を変化させた画面を表示させる。そして、視点(角度)が90度だったとき、フロー表示制御部127は、画面表示処理部123に2次元の平面を90度回転させ、画面702に示すような画面を表示させる。すなわち、フローが経由するリンクを横軸として、ノードR1−ノードR3−ノードR4−ノードR5を流れる着目フローF1のトラヒック量と、この着目フローが経由するリンク(ノードR1−ノードR3−ノードR4−ノードR5)を経由する他フロー(F2,F3,F4)のトラヒック量とを示した画面を表示させる。このときのトラヒック量は、画面上で縦軸方向に示される。これにより、管理者は、選択したフローが経由するリンク上に、どのようなフローが流れているかや、それぞれのフローのトラヒック量がどの程度か、リンク使用率はどの程度かを画面上で視認しやすくなる。なお、このとき、フロー表示制御部127は、フロー表示制御パネルから画面上に表示させるフロー数の最大値Nの入力を受け付け、これに基づきトポロジ画面701および画面702に表示させるフロー数を決定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
100 網管理装置
110 機能提供部
111 通信ネットワークとのインタフェース
112 網管理部
113 ユーザI/F部とのインタフェース
120 ユーザI/F部
121 機能提供部とのインタフェース
122 GUI部
123 画面表示処理部
124 トポロジ画面表示処理部
125 リストビュー処理部
126 グラフビュー処理部
127 フロー表示制御部
128 入力処理部
130 入出力部
140 記憶部
200 入力装置
300 表示装置
1431 トポロジ情報
1432 経路情報
1433 トラヒック情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを構成する各ノードの接続状態および前記各ノードを接続するリンクを示したトポロジ情報と、前記ネットワークを流れるフローごとに、そのフローの始点ノードおよび終点ノードならびにその始点ノードおよび終点ノード間において経由するリンクの識別情報を示した経路情報と、前記フローそれぞれのトラヒック量を示したトラヒック情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する入力部と、
表示装置に、前記トポロジ情報および経路情報を参照して、前記ネットワークのトポロジ上に前記各ノード間を流れるフローを示したトポロジ画面を表示し、前記トラヒック情報を参照して、所定時間ごとの前記各フローのトラヒック量の推移を示した対地間トラヒック画面を表示し、所定時刻における、前記各フローのトラヒック量の一覧を示したトラヒック情報一覧画面を表示する画面表示処理部と、
前記入力部経由で、前記ノードまたはリンクの選択入力と、画面上に表示させるフロー数の最大値とを受け付けたとき、前記経路情報を参照して、前記ネットワークを流れるフローの中から、前記入力されたノードまたはリンクを経由する前記最大値までの数のフローを選択し、
前記画面表示処理部に、前記トポロジ画面上に前記選択したフローを表示させ、前記対地間トラヒック画面上に前記選択したフローを表示させ、前記トラヒック情報一覧画面上に前記選択したフローを表示させるフロー表示制御部とを備えることを特徴とするネットワーク可視化装置。
【請求項2】
前記フロー表示制御部は、
前記入力部経由で、前記画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を受け付けたとき、前記ネットワークを流れるフローの中から選択するフロー数の最大値を、前記変更入力に示される最大値とすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク可視化装置。
【請求項3】
前記フロー表示制御部は、
前記画面上に表示させるフロー数の最大値の変更入力を、フロー表示制御画面上のフロー数増加ボタンおよびフロー数減少ボタンのクリックにより受け付ける場合において、前記入力部経由で、前記フロー数増加ボタンおよび前記フロー数減少ボタンが1回クリックされるたびに増加または減少させるフロー数の設定情報の入力を受け付け、
前記入力された設定情報に従い、前記フロー表示制御画面上の前記フロー数増加ボタンが1回クリックされるたび、前記画面上に表示させるフロー数の最大値を増加させ、前記フロー数減少ボタンが1回クリックされるたび、前記画面上に表示させるフロー数の最大値を減少させることを特徴とする請求項2に記載のネットワーク可視化装置。
【請求項4】
前記フロー表示制御部は、
前記最大値の数までのフローを選択するとき、
前記トラヒック情報に示される当該フローのトラヒック量および前記経路情報に示される当該フローのホップ数を参照して、前記フローそれぞれのトラヒック量またはホップ数の、多い順または少ない順に前記最大値までの数のフローを選択することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のネットワーク可視化装置。
【請求項5】
前記フロー表示制御部は、
前記トポロジ画面、前記対地間トラヒック画面および前記トラヒック情報一覧画面のいずれかの画面上に表示されるフローの中から、強調表示するフローの選択入力を受け付けたとき、前記画面表示処理部に、前記トポロジ画面、前記対地間トラヒック画面および前記トラヒック情報一覧画面上の当該フローを強調表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のネットワーク可視化装置。
【請求項6】
前記フロー表示制御部は、前記トポロジ画面の視点を90度回転させる指示入力を受け付けたとき、
前記画面表示処理部に、前記トポロジ画面上に表示中のフローが経由するリンクを横軸として、前記リンクを流れる他のフローそれぞれのトラヒック量を縦軸に示した画面を表示させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク可視化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−60604(P2012−60604A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204696(P2010−204696)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】