ネットワーク装置
【課題】1000BASE−Tおいて、同期イーサネット網にある時だけ、PHYのMASTER/SLAVE関係をクロック配信の主従関係に合わせること。その際、必要以上にリンク断を発生しないこと。
【解決手段】装置の起動時に1000BASE−TポートのPHYをmultiport deviceに設定し、ESMCを受信してからクロック配信の主従関係に合う様にPHYに設定を行なう。既に適合している場合は変更せずに状態を維持する。
【解決手段】装置の起動時に1000BASE−TポートのPHYをmultiport deviceに設定し、ESMCを受信してからクロック配信の主従関係に合う様にPHYに設定を行なう。既に適合している場合は変更せずに状態を維持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク装置に係り、特に、網同期ネットワークで使用され、1000BASE−Tインタフェースのポートを有するネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広域ネットワークの分野においても、SDH等の回線ベースの技術から、低コストで収容効率の高いイーサネット(登録商標)等のパケットベース技術の適用が主流となって来た。その中で、レガシキャリアにおいては既存のSDH系同期回線をイーサネット網に収容する必要性が高まって来ているが、その際、イーサネット上で同期をとるための同期配信のシステム構築が重要な課題となっている。
【0003】
パケット網の同期配信に関しては、イーサネットポートを介してクロック配信するSynchronous Ethernet(登録商標)の方式があり、非特許文献1で規定されている。網側装置のクロックを、ユーザ側の装置が抽出して従属同期し、更に下流の装置へ展開する。その際、配信クロックの品質を伝達するインタフェースとしてESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel)があり、クロックの品質を示すSSM(Synchronization Status Message)コードを格納したパケットデータを主信号ポートを介して網側装置からユーザ側装置へ送出する。このプロトコルは、非特許文献2にて規定されている。
【0004】
他にもIEEE 1588で規定された時刻同期プロトコル、Precise Timing Protocol(以下、PTPとする)がある。マスタークロックに同期した装置が、従属する装置へ主信号ポートを介してPTP Messageと呼ばれるパケットデータを送信し、これを契機に従属側が時刻の差を修正することで時刻の同期を図る。
【0005】
以上の様に、Synchronous Ethernet、PTPいずれの場合でも、通常、網側装置のクロックにユーザ側装置が従属同期する構成をとり、パケット送信するプロトコルにより主従関係を構築する。
【0006】
ところで、イーサネットのインタフェースの一つである1000BASE−Tの物理層デバイス(以下PHYとする)の動作が、非特許文献3にて規定されている。ある装置間を電気のイーサネットポートで接続する際、ギガビットイーサネットをサポートする装置では、通常、リンク時にお互いのPHYの間でオートネゴシエーションのプロセスを経ることにより、リンク速度、半二重/全二重を決定する。更に1000BASE−Tでリンクアップする際にはオートネゴシエーションの中で、両PHYのMASTER/SLAVEの役割も決定する。一方の装置のPHYではMASTERとなって、装置のローカルクロックをデータ送信タイミングとして用い、もう一方の装置のPHYがSLAVEとなって、受信データからクロックを復元して送信タイミングとして用いることで、上り下り双方の通信を同期することが規定されている。どちらの装置がMASTER/SLAVEになるかは、オートネゴシエーションのプロセスにおいて、各々のPHYが内部メモリ(レジスタ)に格納しているポート設定をやり取りし、比較の上決定する。レジスタ設定とMASTER/SLAVE関係の対応については、後述する図4に従う。
【0007】
上記より、1000BASE−Tインタフェースでの接続が同期イーサネット網上にある場合は、両PHYのMASTER/SLAVE関係と、同期配信の送り側/受け側を一致させる必要がある。つまり、網側装置のPHYが”MASTER”、ユーザ側装置のPHYが”SLAVE”として動作しなければ、網側からユーザ側へ向かってクロックを受け渡すことができない。よって、所望の主従関係になるように、PHYのポート設定を施す必要がある。
特許文献1の段落番号0036には、クロック配信時のPHYのMASTER/SLAVE設定に関する考え方について、一例が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ITU−T G.8261
【非特許文献2】ITU−T G.8264
【非特許文献3】IEEE802.3第40項
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2010−522481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
同期イーサネット上の1000BASE−Tインタフェースにおいて、クロック配信の経路を確定するためには、上流側PHYのレジスタにmanual_MASTER、下流側PHYのレジスタにmanual_SLAVE設定を格納して、オートネゴシエーションをさせることで、確実に所望のMASTER/SLAVE関係を実現することができる。
【0011】
ところが、この装置を同期イーサネットではないネットワークでも共通して使用する場合には、接続先装置のPHY設定がどの様になっているか不確定であるので、もし初めからレジスタにmanual設定を格納してしまうと、たまたま同じマニュアル設定どうし(manual MASTERとmanual MASTER)の装置と接続しなければならない場合、リンクアップができなくなってしまう。
【0012】
また、特許文献1にあるように、クロック配信が動的に決定されてPHYのマスター/スレーブ関係を割り当てる場合、もともと同期マスター/スレーブ関係とPHYのマスター/スレーブ関係が一致していた場合でも、再度PHYのマスター/スレーブ関係を割り当て直すことにより、不必要なリンク切断が発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
装置の起動時に、1000BASE−TポートのPHYをmultiport deviceに設定し、接続先装置のPHY設定に関わらず、必ずリンクアップできる初期設定とした上で、その後、接続先の装置からESMCまたはPTP Messageを受信した時に初めて、自分が属するネットワークが同期イーサネットであると認識する。受信したESMCまたはPTP Messageを解析し、受信したポートの中で最もクロック品質の高いものを判定する。このポートからクロックを抽出して他のポートに送るため1000BASE−T PHYに設定を行なう。既に、PHYのMASTER/SLAVE状態が適合している場合は、設定変更せずに状態を維持し、適合していない場合にのみ、PHYレジスタを、受け側の場合manual_SLAVE、送り側の場合manual_MASTERに設定変更し、オートネゴシエーションをリスタートすることでクロック配信経路を確定する。
【発明の効果】
【0014】
1000BASE−Tインタフェースにおいて、同期イーサネットのネットワークで使用する場合は、必要以上のリンク断を発生させる事無く、確実にクロック伝達の経路を確定でき、同期イーサネットではないネットワークで使用する場合でも接続先装置の設定に関わらず確実にリンクアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図2】ESMCに格納されるSSMコードを説明する図である。
【図3】1000BASE−Tのクロック伝達を説明するブロック図である。
【図4】LOCAL/REMOTE装置のPHYデバイス設定とMASTER/SLAVEの対応を説明する図である。
【図5】ネットワーク装置のブロック図である。
【図6】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第1部分である。
【図7】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第2部分である。
【図8】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第3部分である。
【図9】LOCAL装置がクロック受信ポートになるべき場合に、REMOTE装置PHY設定の各場合に対して、両者PHYの状態がどのように遷移するかを説明する図である。
【図10】LOCAL装置がクロック送信ポートになるべき場合に、REMOTE装置PHY設定の各場合に対して、両者PHYの状態がどのように遷移するかを説明する図である。
【図11】ネットワーク装置のブロック図である。
【図12】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第1部分である。
【図13】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第2部分である。
【図14】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第3部分である。
【図15】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第4部分である。
【図16】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図17】網同期不具合を説明するブロック図である。
【図18】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図19】ネットワーク障害を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0017】
図1を参照して、ネットワーク構成の構成を説明する。図1において、アクセスネットワークシステム100は、OLT25と、光スプリッタ27と、ONT28と、T1−Etherコンバータ30と、PRC(Primary Reference Clock)26とから構成されている。OLT25は、WAN24に接続されている。OLT25とスプリッタ27との間は幹線ファイバで接続されている。また、スプリッタ27とONT28との間は支線ファイバで接続されている。ONT28とT1−Etherコンバータ30とは、電気的に接続されている。ONT28は、T1−Etherコンバータ30にESMCフレーム29を送信する。
【0018】
T1−Etherコンバータ30は、T1回線をイーサネットに収容し、WANを経由して対向T1装置との通信を行なう。T1の様な同期フォーマットの回線で通信を行なうためには、対向端末間で同期動作する必要があるので、同期イーサネットを適用する。図1では、PRC26からのクロックをOLT25が受信する。OLT25は、受信クロックについて、同期イーサネットによりONT28、T1−Etherコンバータ30に通信ポートを介してクロックを配信する。対向装置に置いても同一源のPRCから同期イーサネットにてクロックを受信して同期動作するため、対向端末間で同期動作が可能となる。通常クロック配信は、PRCを受信する上位ネットワーク装置からユーザ側装置に向かって下り方向に配信する。
【0019】
上流の装置から下流の装置にクロックを配信する際に、配信するクロックの品質を通知するためのインタフェースとして、ESMCが規定されている。ESMCは、上流装置から下流装置に向かって主信号ポートで送信するパケットデータである。ESMCは、クロック品質を示すSSMコードを格納している。装置は、ESMC受け取ることで、自分が同期イーサネット網中にあり、受け取ったポートは上流の装置につながっていることを認識する。受信した装置は、更にSSMコードを解析することにより受信クロックの品質を認識し、このクロックに同期して下流に送信してよいかどうかを判断する。
【0020】
図2を参照して、SSMコードを説明する。図2は、ITU−TのG.781 5.5.2に記載されている。図2において、品質レベルが最も高いのがPRC、以下高い順に、SSU(Synchronization Supply Unit)_A、SSU_B、SEC(Synchronous Equipment Clock、最後に最も品質が低いDNU(Do Not Use)である。
【0021】
PRCは、一次基準クロック同等レベル、SSUは、同期供給ユニットレベル、SECは、装置クロックレベル、DNUは、同期に使用不可のレベルである。
【0022】
品質レベルは、ESMC内の4bitのフィールドで表現されて、0010がPRCレベル、1111がDNUレベルである。
【0023】
図2ではITU−T G.781で議論されているクロック品質のOption I の場合を挙げているが、適用する装置の種類等によって、適宜Option II、或いはIIIも使用する。
【0024】
ESMCを受信するポートが複数ある場合は、両者のSSMコードを比較し、クロック品質のより高い方のポートからクロックを抽出して同期する。最も高品質のSSMを受信したポートが複数ある場合は、その中からポート番号順等で任意のポートを選んで良い。
【0025】
このESMCに類するものとして、IEEE1588で規定されている、時刻同期のプロトコルPTPがある。IEEE1588では、リファレンスクロックに同期した上流装置から、下流の装置へ時刻を配信するために、PTP Messageというパケットデータをやり取りする手法について議論している。ESMCと同様、上流の装置からPTP Messageを受け取ることによって自装置は上流装置に同期して動作するべきであると判断することができる。以下に述べる実施例においては、主にESMCを受信して動作する場合について説明するが、PTP Messageを受信する場合も同様に実施形態に含むものとする。
【0026】
図3を参照して、1000BASE−Tインタフェースにおける、クロック伝達を説明する。図3は図1の一部分の詳細となっている。図3において、ONT28と、T1−Etherコンバータ30は、1000BASE−Tでリンクしている。
【0027】
ONT28は、PLL2801と、PHY2802と、ポート2803とを含んでいる。PHY2802は、レジスタ2804を含んでいる。T1−Etherコンバータ30は、3001と、3002と、3003と、3004と、3005と、3006とから構成されている。PHY3002は、レジスタ3007を含んでいる。
【0028】
PLL2801は、網抽出クロックを受信する。PLL2801は、レファレンスクロック(REF CLK)と、ギガビット送信クロック(GTXCLK)とを生成して、PHY2802に供給する。PHY2802は、MASTERである。PHY3002は、SLAVEである。したがって、PHY3002は、受信データから受信クロック(RX CLK)を抽出して、PLL3001、3006に提供する。PLL3001は、レファレンスクロック(REF CLK)と、ギガビット送信クロック(GTXCLK)とを生成して、PHY3002、3004に供給する。PLL3006は、送信クロック(TXCLK)を生成して、PHY3005に供給する。PHY3004は、ギガビット送信クロック(GTXCLK)を送信のタイミングとして使用し、下流へクロックを伝達している。
【0029】
1000BASE−Tリンクの両端のPHYにおいて、どちらがMASTERになって、どちらがSLAVEになるかは、各々のPHYがレジスタ2804、3007に格納しているデバイス設定をオートネゴシエーションのプロセスにおいて比較し、両者の役割を決定する。IEEE802.3 40.5.1.1のTable40−3の中で記載されているように、PHYはレジスタ中の3bit(Reg9.12:10)にて、デバイス設定を保持する。デバイス設定は、
・manual MASTER (Reg9.12:10 = 11X)
・manual SLAVE (Reg9.12:10 = 10X)
・multiport device (Reg9.12:10 = 0X1)
・single−port device (Reg9.12:10 = 0X0)
の4レベルの中から1つが設定される。ここで、Xは、0または1である。
【0030】
図4を参照して、LOCAL PHYとREMOTE PHYのデバイス設定の組合せとMASTER/SLAVEの対応付けを説明する。ここで、LOCALとは、自装置、REMORTEとは、対向装置である。図4において、LOCALとREMOTEで異なるデバイス設定を持つ場合は、manual MASTER、multiport device、single−port device、manual SLAVEの順で先になる方がMASTERとなり、後になる方がSLAVEとなる。
【0031】
また、LOCALとREMOTEで同一のデバイス設定であった場合は、manual設定どうしではリンク断となる。multiportどうし、single−portどうしでは、PHYレジスタに格納されたランダムな値である、シード値(SEED value)を比較し、高い方がMASTERとなり、他方がSLAVEとなる。シード値も等しい場合は、リンク失敗として、シード値を再発行した上でオートネゴシエーションのプロセスをやり直す。
【実施例1】
【0032】
図5を参照して、ネットワーク装置の構成を説明する。図5において、ネットワーク装置31は、向かって左のWAN側に2つの電気ポート3108、3109と、LAN側に2つの電気ポート3110、3111を有する。全てのポートは、1000BASE−Tでリンクすることができ、各々のPHYデバイス3101、3102、3103、3104にてGMII(Gigabit Media Independent Interface)に変換されて処理される。ネットワーク装置31では、WANポートとLANポートがあらかじめ区別されており、同期イーサネットの中に置かれた場合は、WANポートのいずれか一方からクロックを抽出し、全てのLANポートへ展開する。ネットワーク装置31における主信号の内部処理の一部として、SSM判定ブロック3105を有している。SSM判定ブロック3105は、WANポートで受信したデータの中からESMCフレームを抽出、解析する。SSM判定ブロック3105は、その結果に基づいて、どのPHYで抽出した受信クロックに同期するべきかを選択する。SSM判定ブロック3105は、各PHYのデバイス設定のレジスタに値を設定する。また、SSM判定ブロック3105は、セレクタ3106に指示する。
【0033】
図5では、WANポート3108でSSM=1111を格納したESMC2901を受信し、WANポート3109でSSM=0010を格納したESMC2903を受信している。SSM判定ブロック3105は、SSM=0010の方がクロック品質が高いため、ポート3109から抽出した受信クロック(RX CLK)に同期するものと判定し、セレクタ3105に指示する。このクロックはPLL3107を介し、リファレンスクロックとして装置内に配られる。2つのLANポートに配置された各PHY3102、3104は、このリファレンスクロックを送信タイミングに用いる。下流の装置にクロック品質を伝達するため、装置内部で生成したESMC2902、2904をLANポートから送信する。
【0034】
本実施例の骨子は、クロック受信ポートの認識と、PHYのデバイス設定手順である。具体的な手順について、図6〜図8のフローチャートを用いて説明する。今、ネットワーク装置31が持つポートのうち、或る特定の1つのポートのPHYについて、動作フローを考える。
【0035】
図6において、装置起動後、PHYは、対象のポートのオートネゴシエーション時に1000BASE−Tリンクか判定する(S1)。NOなら、処理の対象外であり、終了する。ステップ1で対象のポートが1000BASE−Tリンクであれば、初期設定として、PHYは、multiport deviceを設定する(S2)。これにより、接続先PHYのデバイス設定によらずにリンクアップできる態勢をとる。
【0036】
その後、ネットワーク装置は、1つ以上のWANポートからのESMC受信を待つ(S3)。受信したら(YES)、SSM判定ブロック3105は、SSMコードを解析し、同期クロックを抽出するWANポートを決定する(S4)。ESMCは、1s周期で送信されるが、複数ポートから受信する場合は、判定動作が受信の順序に影響されてしまう場合も考えられるので、ESMCを数回受信してから、あるいは数回受信しなくなってから、他ポートのSSMと比較する等の保護条件を設けることが望ましい。
【0037】
SSM判定ルールを以下に記載する。
・WANポートからESMC未受信の場合は、同期イーサネット未対応のため、全ポート変更無し。
・LANポートからESMC受信していても無効。全ポート変更なし。
・1つのWANポートからESMC受信している場合、SSMに関わらずこのポートのクロックに同期。残りのWANポートは変更無し。全てのLANポートはクロック送信。
・複数のWANポートからESMCを受信している場合、SSMを比較して最も品質レベルの高いポートのクロックに同期。残りのWANポートは変更無し。全てのLANポートはクロック送信。
・最も品質レベルの高いポートが複数ある場合は、任意のWANポートに決めてよい。のこりのWANポートは変更なし。全てのLANポートはクロック送信。
【0038】
図6に戻って、今、対象としているポートが同期クロックを受信するポートと判定された場合(S5:YES)、図7にジャンプする。LANポートであれば(S6:YES)図8にジャンプする。そのいずれでも無ければ(クロック同期しない方のWANポート等)、PHYデバイス設定に特に変更は施さず、ESMC受信状態に変化があるまで待機状態とする(S7)。いずれの場合も後述のPHY設定変更後、本実施例の機能は待機状態に入るが、継続的に受信しているESMCにおいて、SSMコードが変わった等、受信状況に変化が生じた場合(S7:YES)、もう1度ステップ4のSSM比較に戻って設定し直すものとする。
【0039】
図7を参照して、対象ポートが同期クロックを受信するポートである場合について、説明する。クロック受信するためには、PHYは、SLAVEになっていないといけない。PHYは、SLAVEか判定する(S8)。対象のPHYが既にSLAVEとなっていた場合(YES)、クロック受信動作に適合しているので、PHY設定変更は無く待機状態とする(S9:NO)。待機中、装置全体でESMC受信状況に変化が生じた場合(S9:YES)、PHYは、図6のステップ4に戻って、SSM判定から再開する。対象のPHYがMASTERとなっていた場合(S8:NO)、PHYは、manual SLAVEに設定し、強制的にオートネゴシエーションをリスタートする(S11)。この後、PHYは、リンクに成功したか判定する(S12)。再度リンク成功できれば(YES)、PHYはSLAVE状態となるので、クロック受信に適合し、待機状態に入る。ステップ12で、リンク成功できなかった場合(NO)、先ずリンクすることを優先するため、PHYは、multiport deviceに設定する。これにより再リンクできる。リンクアップできなかったのは、接続先のREMOTE装置においてもPHYにmanual SLAVEが設定されている等のアンマッチが原因だと考えられるので、ネットワーク装置31は、REMOTE装置に対してPHY設定変更を要求する通知を送信する(S13)。これは対象のWANポートを介してパケットデータを送信する等の方法が考えられる。この後やむを得ず待機状態となる(S14:NO、S15:NO)。もしREMOTE装置が要求に応えてPHYの設定を変更した場合、一度リンク断発生して、対象のPHYがSLAVEとなって再リンクし、所望の状態となり(S15:YES)待機状態になる。待機中に、ESMC受信状態の変化が生じたら(S14:YES)、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。
【0040】
図8を参照して、対象ポートがLANポートである場合について説明する。下流の装置にクロックを配信するためには、LANポートのPHYはMASTERになってないといけない。PHYは、ステータスがMASTERか判定する(S16)。SLAVEになっている場合(NO)、PHYは、強制的にmanual MASTERに変更し、オートネゴシエーションをリスタートする(S19)。対象のPHYが既にMASTERになっていた場合(S16:YES)、クロック送信動作に適合しているので、PHY設定変更は無く、待機状態とする(S17:NO、S18:NO)。待機中に、装置全体でESMC受信状態に変化が生じた場合(S17:YES)は、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。また、待機中にケーブルを抜くなどの外部要因によるリンク断が対象ポートで発生した場合(S18:YES)、次回のリンク時に必ずMASTER状態でリンクできるようにリンク断のタイミングでPHYをmanual MASTERに設定する(S19)。ステップ19でmanual MASTERに設定した後、PHYは、リンクが成功したか判定する(S20)。再度リンク成功できれば(YES)、PHYはMASTERとなるので、クロック送信の動作に適合し、待機状態に入る(S17:NO、S18:NO)。Manual MASTER に変更したことによりリンクアップできなかった場合(S20:NO)、REMOTE装置のPHY設定もmanual MASTERになっている等のアンマッチが考えられる。再びLOCAL側PHYをmultiport deviceに設定し、リンクアップ後REMOTE装置へPHY設定変更を要求する通知を送信する(S21)。クロック送信動作不適合のまま待機状態となる(S22:NO、S23:NO)。もしREMOTE装置が要求にこたえてPHYの設定を変更した場合は、一度リンク断発生して、再リンク後に、対象のPHYがMASTERとなり、所望の状態となる(S23:YES)。待機中に、ESMC受信状態の変化が生じたら(S17またはS22:YES)、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。
【0041】
図9を参照して、クロック受信するポートのPHY(LOCAL)とその接続先REMOTEのPHYが、よってどの様に状態遷移するかについて説明する。図6のステップ2で説明した通り、LOCAL側(自装置)PHYの初期設定は、multiport device設定とする。REMOTE側(対向装置)PHYの設定は、4種類であるが、互いにmultiport device設定どうしの場合、LOCALがMASTERになった場合とSLAVEになった場合の2通りが発生し得る。よって、case1〜case5の状態が初期状態として存在し得る。
【0042】
SSM判定ブロック3105の判定結果を受けて、LOCAL側がクロック受信ポートに決定した時点で、case1、case2では既にLOCALがSLAVEなので、クロック受信動作に適合となる。
【0043】
case3、case4ではLOCALがMASTERなので、manual SLAVEに設定を変更し、オートネゴシエーションをリスタートする。その結果、再リンクしてLOCALはSLAVEとなり、クロック受信動作に適合となる。
【0044】
case5でもLOCALがMASTERなので、manual SLAVEに設定を変更するが、REMOTE側もmanual SLAVEであるためリンクダウンとなってしまう。そこで、LOCAL側をmultiport device設定に戻し、再リンクアップすると共に、REMOTEへ設定変更要求を送信する。何も無ければ、クロック受信動作不適合のまま待機状態に入るが、要求に応じてREMOTE側がmanual MASTERに変更した場合、再リンクアップ後LOCALがSLAVEとなり、クロック受信動作適合状態で待機状態に入る。
【0045】
図10を参照して、LANポートのPHY(LOCAL)とその接続先REMOTEのPHYが、どの様に状態遷移するかについて説明する。図6のステップ2で説明したとおり、LOCAL側PHYの初期設定はmultiport device設定とする。REMOTE側設定4種類に、multiport device設定どうしの時にLOCALがMASTERになった場合とSLAVEになった場合も含めて、case1〜case5までの初期状態が存在する。
【0046】
case3、case4、case5では、LOCALがMASTERとなっており、既にクロック送信動作に適合しているので、設定の変更は無い。ただし、ケーブルを抜く等の外部要因によるリンク断が発生した場合、このタイミングを利用して、manual MASTERに設定を変更し、再リンクアップ後も確実にMASTERとなる様にする。
【0047】
case2では、LOCALがSLAVEとなっているので、manual MASTERに設定を変更し、再リンク後MASTERとなって送信動作に適合する。
case1でもLOCALがSLAVEとなっているので、manual MASTERに設定を変更する。しかし、manual MASTERどうしでリンクダウンとなってしまう。LOCALでmultiport device設定に戻し、REMOTE装置へ設定変更要求を送信する。何も無ければ、クロック送信動作不適合のまま待機状態に入るが、REMOTE側が要求に応じてmanual SLAVEに設定変更した場合は、再リンクアップ後LOCALがMASTERとなり、クロック送信動作適合で待機状態に入る。また、ここで外部要因によるリンク断が発生した場合は、LOCAL側manual MASTERに設定変更し、再リンク後も確実にMASTERとなるようにする。
【実施例2】
【0048】
本実施例では、ポートにWAN/LANの区別が無く、各ポートが上流側装置、下流側装置のどちらに接続しても使用できる図11に示すネットワーク装置への適用について説明する。
【0049】
図11において、ネットワーク装置54は、ポート5401、5402、5403、5404のポートを持ち、それぞれ1000BASE−Tでの接続が可能である。また、各ポートは、PHY5405、5406、5407、5408により、GMIIで疎通データを装置内部に展開する。接続先の装置から、ESMC29を受信すると、SSM判定ブロック5409は、どのポートからESMCを受信したかを把握するとともに、ESMCのSSMコードを比較し、どのポートから受信したクロックに同期するかを決定する。SSM判定ブロック5409は、判定結果に従って、各PHYのデバイス設定を行なうとともに、どのPHYからのRXCLKを採用するか、セレクタ5410に指示を出す。選択されたクロックは、PLL5411を介して、装置全体にリファレンスクロックとして配られる。
【0050】
図12〜図15を参照して、実施例2における、PHYデバイス設定手順について、説明する。ネットワーク装置起動後、PHYは、対象としているポートが1000BASE−Tで接続可能なポートか判定する(S55)、NOであれば、そのまま終了する。ステップ55でYESであれば、PHYは、初期設定をmultiport deviceに設定する(S56)。その後、ネットワーク装置54は、装置全体で1つ以上のポートがESMCNO受信を待つ(S57:NO)。ステップ57でYESのとき、SSM判定ブロック5409は、どのポートからESMCを受信したかを把握する。また、SSM判定ブロック5409は、各ポートのSSMコードを比較し、最もクロック品質の高いポートをクロック抽出ポートに決定する(S58)。その結果、対象としているポートが、PHYは、クロック受信ポートか判定する(S59)。YESのとき、図13ジャンプする。ステップ59でNOのとき、PHYは、対象のポートが、ESMCを受信しているか判定する(S60)。YESのとき、図14にジャンプする。ステップ60でNOのとき、は図15にジャンプする。
【0051】
SSM判定ルールを下記に示す。
・全ポート、ESMCを未受信の場合は同期イーサネット非対応のため、PHY設定変更なし。
・1つのポートでESMCを受信した場合、SSMに関わらずそのポートの受信クロックに同期し、他のポートを全てクロック送信ポートと認識する。
・複数のポートでESMCを受信した場合、受信したポートをWANポート、受信していないポートをLANポートと認識した上で、SSMに示される品質レベルが最も高いポートをクロック同期ポートとする。それ以外のESMC受信ポートは設定変更なし。ESMC未受信ポートは全てクロック送信ポートとする。
・SSMレベルが最も高いポートが複数ある場合、その中の任意のポートをクロック同期ポートと判定して良い。その他のESMC受信ポートは設定変更なし。ESMC受信していないポートは全てクロック送信ポートとする。
【0052】
図13を参照して、対象ポートがクロック受信ポートである場合について、説明する。クロック受信するためにはPHYはSLAVEでなくてはならない。PHYは、ステータスがSLAVEか判定する(S61)。PHYのステータスがもともとSLAVEである場合(YES)、特に設定変更しない(S62:NO)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があった場合(S62:YES)、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。
【0053】
ステップ61において、ステータスがMASTERだった場合、PHYは、manual SLAVEに設定し、オートネゴシエーションをリスタートする(S64)。PHYは、リンク成功したか判定する(S65)。YESならば、PHYは、SLAVE状態となってクロック受信動作が可能となって、ステップ62に遷移する。ステップ65でリンクに失敗した場合、REMOTE側のPHY設定もmanual SLAVEになっていると考えられる。リンクアップすることを優先し、PHYは、LOCAL側PHY設定をmultiport device に戻し、オートネゴシエーションをリスタートする。再度リンクアップできたら、REMOTE装置へ設定変更要求を通知する(S66)。PHYは、待機状態となる(S67:NO、S68:NO)。REMOTE装置が変更要求を受けて、manual MASTERに設定変更した場合、LOCAL側は一旦リンク断の後、再リンクしてSLAVE状態となる(S68:YES)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があった場合(S67:YES)、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。
【0054】
図14を参照して、対象のポートがクロック受信ポートではないが、ESMCを受信している場合のPHY設定手順について、説明する。このポートはクロック抽出をしないものの、ESMCを受信しているということから、ネットワークの上流側に位置する装置と接続されていると判断できる。よって、現在クロック源として選択されているポートに障害が起こった場合は、このポートがクロック源に設定される可能性がある。そのため、リンク切断してまで強制的に設定を変更する必要は無いが、機会があればSLAVEに変更しておくことが望ましい。
【0055】
ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S69)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ69でNOのとき、PHYは、リンク断が発生したか判定する(S70。NOのとき、ステップ69に戻る。ステップ70で、ケーブルを抜く等の外部要因によるリンク断が発生した場合、PHYは、この機会を利用してmanual SLAVEに設定を変更する(S71)。PHYは、リンクに成功したか判定する(S72)。リンク成功できれば(YES)、SLAVEとなって、ステップ69に遷移する。ステップ72でリンク失敗となった場合(NO)、REMOTE装置もmanual SLAVEになっていると予想されるので、PHYは、一旦multiport deviceに設定を戻して、再度リンクアップした後、REMOTE装置に対して、設定変更要求を通知する(S73)。
【0056】
ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S74)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ74でNOのとき、PHYは、リンク断が発生した後、SLAVEで再リンクアップしたか判定する(S75)。NOのとき、ステップ74に遷移する。REMOTE装置が要求に応じて自らのPHY設定をmanual MASTER に変更すると、一旦リンク切断した後、再度リンクアップし、LOCAL側がSLAVEとなると(S75:YES)、ステップ69に遷移する。
【0057】
最後に、図15を参照して、対象ポートがESMCを受信していない場合について、説明する。このポートは、ネットワークの下流側に位置する装置と接続されていると判断し、クロックを配信するため、PHYをMASTERに設定する。PHYは、ステータスがMASTERか判定する(S76)。PHYのステータスがSLAVEだった場合、強制的に manual MASTERに設定し、オートネゴシエーションをリスタートする(S79)。既にPHYのステータスがMASTERになっていた場合、設定変更無し。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S77)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ77でNOのとき、PHYは、リンク断が発生したか判定する(S78)。NOのとき、ステップ77に戻る。ステップ78でYESのとき、PHYは、その機会を利用してmanual MASTER に設定し、オートネゴシエーションをスタートする(S79)。manual MASTER 設定後、PHYはリンク成功か判定する(S80)。リンク成功できれば(YES)、PHYは、MASTERとなり、クロック配信動作が可能となって、ステップ77に遷移する。ステップ80でリンク失敗となった場合、REMOTE装置でもmanual MASTER設定になっていると考えられる。PHYは、multiport deviceに戻り、再度リンクアップできたら、REMOTE装置へ設定変更要求を通知する(S81)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S82)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ82でNOのとき、PHYは、リンク断が発生した後、MASTERで再リンクアップしたか判定する(S83)。YESのとき、ステップ77に遷移する。ステップ83でNOのとき、ステップ82に遷移する。
【0058】
図16ないし図19を参照して、実施例2のネットワーク装置のネットワーク構成について、説明する。
【0059】
図16と図17では、OLT25に光スプリッタ27を経由して2台のONT28が接続している。更に、2台のONT28は、ネットワーク装置54の、ポート5401、5402に接続する。また、ネットワーク装置54のポート5403にはATM−Etherコンバータ86、ポート5404にはT1−Etherコンバータ29が繋がっている。OLT25には、WAN24が接続されている。
【0060】
PRC26は、OLT25にクロックを供給する。このクロックは、2台のONT28にも配信される。2台のONT28は下流側に向かってESMCを送信し、クロック品質を伝達する。図16では、ONT28−1もONT28−2もOLT25からPRC品質のクロックを受信しており、両ONT28は、SSM=0010のESMCを送信している。ネットワーク装置54では、どちらも同じSSMではあるが、ポート5401からクロックを抽出するとし、前述のフローに従ってPHYの設定を変更する。その結果、ポート5401のPHYはSLAVEになって、ポート5403、5404は、MASTERとなっている。ポート5402は、ESMCを受信しているものの、クロック受信ポートとされなかったため、初期設定のmultiport device設定のまま、MASTER、SLAVEいずれかの状態となっている。
【0061】
この状態から、ONT28−1で同期不具合が発生した場合を示したのが図17である。図17において、OLT25から同期クロックを抽出できないため、ONT28−1は、SSM=1111を格納したESMCを装置54に向かって送信している。装置54では、ESMC受信状態の変化を受けて、再度SSMの比較を行ない、ポート5402からクロックを受信することを決定する。実施例2の動作に従ってPHYの設定を変更した結果、ポート5402は、SLAVEとなり、このポートからクロックを抽出する。
【0062】
図18、図19を参照して、ネットワーク装置を用いた別のネットワーク構成を説明する。図18において、WAN24から2系統のメディアコンバータ87(以下MCとする)を経由してネットワーク装置54に接続している。PRC26は、MC87−1、87−3にリファレンスクロックが供給され、同期イーサネットにより、MC87−2、87−4に配信される。MC87−2、87−4は、更に下流のネットワーク装置54に対し、SSM=0010のESMCを送信する。ネットワーク装置54は、実施例2の動作に従い、ESMCを受信した符号5401、5402のポートについて、SSMを比較する。図16の場合、SSMは同じ値だが、ポート5401からクロックを受信するものと決定し、PHY、クロック選択の設定手続きを行なった結果、ポート5401のPHYはSLAVEモードになって、クロックの抽出源となる。一方、ポート5402は、初期設定のmultiport device設定のまま、MASTERかSLAVEかいずれかの状態をとる。また、ポート5403、5404は、ESMCを受信していないため、クロック送信ポートと見なされ、PHY設定変更手続きにより、MASTERとなり、クロックと装置内で生成したESMCを、更に下流のATM−Etherコンバータ86、並びにT1−Etherコンバータ29に送信している。
【0063】
ここで、MC87−2とネットワーク装置54の間の接続において障害が発生し、通信が途絶えた場合の状況を示したのが、図19である。図19において、MC87−2からESMCが送られて来なくなったことを受けて、ネットワーク装置54は、再度SSM判定を行ない、SSM=0010を受信しているポート5402からクロックを抽出する様に、PHY設定の変更を行なう。その結果、ポート5402は、SLAVE状態でリンクし、このポートからクロックを受信する。ポート5401、5403、5404は、ESMCを受信していないため、クロック送信ポートとしてみなさる。ポート5401のPHYは、manual MASTERに設定されるが、障害発生のためリンクアップしていない。
[付記]
本発明は、以下の形態を採ることもできる。
(1)PHYのレジスタをmanual MASTER、もしくはmanual SLAVEに変更して、オートネゴシエーションを再スタートした結果、リンク確立できなかった場合に、
PHYのレジスタを multiport device設定に戻して、オートネゴシエーションを再スタートすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
(2)PHYのレジスタをmultiport device設定に戻して、リンク確立した後、REMOTE装置に対して、PHYレジスタ設定の変更要求を通知することを特徴とする(1)に記載のネットワーク装置。
(3)1つ以上のポートでESMCまたはPTP Messageの受信が停止した場合、
それまで受信していなかったポートでESMCまたはPTP Messageの受信を開始した場合、
SSMコードの値が変化した場合、
のうち少なくとも1つが発生した時に、
再度各ポートがクロック受信かクロック送信かそのいずれでもないかを判定し直し、
それに従ってPHYの設定を行なうことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
(4)SSMコードの等しいESMCパケットを一定数以上周期的に受信したことを以て、ESMCを受信していると認識し、
ESMC受信周期の一定回数以上受信できなかったことを以て
ESMCが停止したと認識する請求項1に記載のネットワーク装置。
(5)ESMC受信したポート全てで、SSMコードがDNS(Do Not Use)レベルだった場合、
PHYレジスタ変更、並びにオートネゴシエーションの再スタートを全く行なわないことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【符号の説明】
【0064】
24…WAN、25…OLT、26…PRC(プライマリ・リファレンス・クロック)、27…光スプリッタ、28…ONT、29…ESMCパケットデータ、30…T1−Etherコンバータ、31…ネットワーク装置、54…ネットワーク装置、86…ATM−Etherコンバータ、87…メディアコンバータ、100…アクセスネットワークシステム。
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク装置に係り、特に、網同期ネットワークで使用され、1000BASE−Tインタフェースのポートを有するネットワーク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広域ネットワークの分野においても、SDH等の回線ベースの技術から、低コストで収容効率の高いイーサネット(登録商標)等のパケットベース技術の適用が主流となって来た。その中で、レガシキャリアにおいては既存のSDH系同期回線をイーサネット網に収容する必要性が高まって来ているが、その際、イーサネット上で同期をとるための同期配信のシステム構築が重要な課題となっている。
【0003】
パケット網の同期配信に関しては、イーサネットポートを介してクロック配信するSynchronous Ethernet(登録商標)の方式があり、非特許文献1で規定されている。網側装置のクロックを、ユーザ側の装置が抽出して従属同期し、更に下流の装置へ展開する。その際、配信クロックの品質を伝達するインタフェースとしてESMC(Ethernet Synchronization Messaging Channel)があり、クロックの品質を示すSSM(Synchronization Status Message)コードを格納したパケットデータを主信号ポートを介して網側装置からユーザ側装置へ送出する。このプロトコルは、非特許文献2にて規定されている。
【0004】
他にもIEEE 1588で規定された時刻同期プロトコル、Precise Timing Protocol(以下、PTPとする)がある。マスタークロックに同期した装置が、従属する装置へ主信号ポートを介してPTP Messageと呼ばれるパケットデータを送信し、これを契機に従属側が時刻の差を修正することで時刻の同期を図る。
【0005】
以上の様に、Synchronous Ethernet、PTPいずれの場合でも、通常、網側装置のクロックにユーザ側装置が従属同期する構成をとり、パケット送信するプロトコルにより主従関係を構築する。
【0006】
ところで、イーサネットのインタフェースの一つである1000BASE−Tの物理層デバイス(以下PHYとする)の動作が、非特許文献3にて規定されている。ある装置間を電気のイーサネットポートで接続する際、ギガビットイーサネットをサポートする装置では、通常、リンク時にお互いのPHYの間でオートネゴシエーションのプロセスを経ることにより、リンク速度、半二重/全二重を決定する。更に1000BASE−Tでリンクアップする際にはオートネゴシエーションの中で、両PHYのMASTER/SLAVEの役割も決定する。一方の装置のPHYではMASTERとなって、装置のローカルクロックをデータ送信タイミングとして用い、もう一方の装置のPHYがSLAVEとなって、受信データからクロックを復元して送信タイミングとして用いることで、上り下り双方の通信を同期することが規定されている。どちらの装置がMASTER/SLAVEになるかは、オートネゴシエーションのプロセスにおいて、各々のPHYが内部メモリ(レジスタ)に格納しているポート設定をやり取りし、比較の上決定する。レジスタ設定とMASTER/SLAVE関係の対応については、後述する図4に従う。
【0007】
上記より、1000BASE−Tインタフェースでの接続が同期イーサネット網上にある場合は、両PHYのMASTER/SLAVE関係と、同期配信の送り側/受け側を一致させる必要がある。つまり、網側装置のPHYが”MASTER”、ユーザ側装置のPHYが”SLAVE”として動作しなければ、網側からユーザ側へ向かってクロックを受け渡すことができない。よって、所望の主従関係になるように、PHYのポート設定を施す必要がある。
特許文献1の段落番号0036には、クロック配信時のPHYのMASTER/SLAVE設定に関する考え方について、一例が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ITU−T G.8261
【非特許文献2】ITU−T G.8264
【非特許文献3】IEEE802.3第40項
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2010−522481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
同期イーサネット上の1000BASE−Tインタフェースにおいて、クロック配信の経路を確定するためには、上流側PHYのレジスタにmanual_MASTER、下流側PHYのレジスタにmanual_SLAVE設定を格納して、オートネゴシエーションをさせることで、確実に所望のMASTER/SLAVE関係を実現することができる。
【0011】
ところが、この装置を同期イーサネットではないネットワークでも共通して使用する場合には、接続先装置のPHY設定がどの様になっているか不確定であるので、もし初めからレジスタにmanual設定を格納してしまうと、たまたま同じマニュアル設定どうし(manual MASTERとmanual MASTER)の装置と接続しなければならない場合、リンクアップができなくなってしまう。
【0012】
また、特許文献1にあるように、クロック配信が動的に決定されてPHYのマスター/スレーブ関係を割り当てる場合、もともと同期マスター/スレーブ関係とPHYのマスター/スレーブ関係が一致していた場合でも、再度PHYのマスター/スレーブ関係を割り当て直すことにより、不必要なリンク切断が発生してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
装置の起動時に、1000BASE−TポートのPHYをmultiport deviceに設定し、接続先装置のPHY設定に関わらず、必ずリンクアップできる初期設定とした上で、その後、接続先の装置からESMCまたはPTP Messageを受信した時に初めて、自分が属するネットワークが同期イーサネットであると認識する。受信したESMCまたはPTP Messageを解析し、受信したポートの中で最もクロック品質の高いものを判定する。このポートからクロックを抽出して他のポートに送るため1000BASE−T PHYに設定を行なう。既に、PHYのMASTER/SLAVE状態が適合している場合は、設定変更せずに状態を維持し、適合していない場合にのみ、PHYレジスタを、受け側の場合manual_SLAVE、送り側の場合manual_MASTERに設定変更し、オートネゴシエーションをリスタートすることでクロック配信経路を確定する。
【発明の効果】
【0014】
1000BASE−Tインタフェースにおいて、同期イーサネットのネットワークで使用する場合は、必要以上のリンク断を発生させる事無く、確実にクロック伝達の経路を確定でき、同期イーサネットではないネットワークで使用する場合でも接続先装置の設定に関わらず確実にリンクアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図2】ESMCに格納されるSSMコードを説明する図である。
【図3】1000BASE−Tのクロック伝達を説明するブロック図である。
【図4】LOCAL/REMOTE装置のPHYデバイス設定とMASTER/SLAVEの対応を説明する図である。
【図5】ネットワーク装置のブロック図である。
【図6】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第1部分である。
【図7】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第2部分である。
【図8】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第3部分である。
【図9】LOCAL装置がクロック受信ポートになるべき場合に、REMOTE装置PHY設定の各場合に対して、両者PHYの状態がどのように遷移するかを説明する図である。
【図10】LOCAL装置がクロック送信ポートになるべき場合に、REMOTE装置PHY設定の各場合に対して、両者PHYの状態がどのように遷移するかを説明する図である。
【図11】ネットワーク装置のブロック図である。
【図12】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第1部分である。
【図13】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第2部分である。
【図14】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第3部分である。
【図15】ネットワーク装置およびPHYの動作を説明するフローチャートの第4部分である。
【図16】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図17】網同期不具合を説明するブロック図である。
【図18】ネットワークの構成を説明するブロック図である。
【図19】ネットワーク障害を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0017】
図1を参照して、ネットワーク構成の構成を説明する。図1において、アクセスネットワークシステム100は、OLT25と、光スプリッタ27と、ONT28と、T1−Etherコンバータ30と、PRC(Primary Reference Clock)26とから構成されている。OLT25は、WAN24に接続されている。OLT25とスプリッタ27との間は幹線ファイバで接続されている。また、スプリッタ27とONT28との間は支線ファイバで接続されている。ONT28とT1−Etherコンバータ30とは、電気的に接続されている。ONT28は、T1−Etherコンバータ30にESMCフレーム29を送信する。
【0018】
T1−Etherコンバータ30は、T1回線をイーサネットに収容し、WANを経由して対向T1装置との通信を行なう。T1の様な同期フォーマットの回線で通信を行なうためには、対向端末間で同期動作する必要があるので、同期イーサネットを適用する。図1では、PRC26からのクロックをOLT25が受信する。OLT25は、受信クロックについて、同期イーサネットによりONT28、T1−Etherコンバータ30に通信ポートを介してクロックを配信する。対向装置に置いても同一源のPRCから同期イーサネットにてクロックを受信して同期動作するため、対向端末間で同期動作が可能となる。通常クロック配信は、PRCを受信する上位ネットワーク装置からユーザ側装置に向かって下り方向に配信する。
【0019】
上流の装置から下流の装置にクロックを配信する際に、配信するクロックの品質を通知するためのインタフェースとして、ESMCが規定されている。ESMCは、上流装置から下流装置に向かって主信号ポートで送信するパケットデータである。ESMCは、クロック品質を示すSSMコードを格納している。装置は、ESMC受け取ることで、自分が同期イーサネット網中にあり、受け取ったポートは上流の装置につながっていることを認識する。受信した装置は、更にSSMコードを解析することにより受信クロックの品質を認識し、このクロックに同期して下流に送信してよいかどうかを判断する。
【0020】
図2を参照して、SSMコードを説明する。図2は、ITU−TのG.781 5.5.2に記載されている。図2において、品質レベルが最も高いのがPRC、以下高い順に、SSU(Synchronization Supply Unit)_A、SSU_B、SEC(Synchronous Equipment Clock、最後に最も品質が低いDNU(Do Not Use)である。
【0021】
PRCは、一次基準クロック同等レベル、SSUは、同期供給ユニットレベル、SECは、装置クロックレベル、DNUは、同期に使用不可のレベルである。
【0022】
品質レベルは、ESMC内の4bitのフィールドで表現されて、0010がPRCレベル、1111がDNUレベルである。
【0023】
図2ではITU−T G.781で議論されているクロック品質のOption I の場合を挙げているが、適用する装置の種類等によって、適宜Option II、或いはIIIも使用する。
【0024】
ESMCを受信するポートが複数ある場合は、両者のSSMコードを比較し、クロック品質のより高い方のポートからクロックを抽出して同期する。最も高品質のSSMを受信したポートが複数ある場合は、その中からポート番号順等で任意のポートを選んで良い。
【0025】
このESMCに類するものとして、IEEE1588で規定されている、時刻同期のプロトコルPTPがある。IEEE1588では、リファレンスクロックに同期した上流装置から、下流の装置へ時刻を配信するために、PTP Messageというパケットデータをやり取りする手法について議論している。ESMCと同様、上流の装置からPTP Messageを受け取ることによって自装置は上流装置に同期して動作するべきであると判断することができる。以下に述べる実施例においては、主にESMCを受信して動作する場合について説明するが、PTP Messageを受信する場合も同様に実施形態に含むものとする。
【0026】
図3を参照して、1000BASE−Tインタフェースにおける、クロック伝達を説明する。図3は図1の一部分の詳細となっている。図3において、ONT28と、T1−Etherコンバータ30は、1000BASE−Tでリンクしている。
【0027】
ONT28は、PLL2801と、PHY2802と、ポート2803とを含んでいる。PHY2802は、レジスタ2804を含んでいる。T1−Etherコンバータ30は、3001と、3002と、3003と、3004と、3005と、3006とから構成されている。PHY3002は、レジスタ3007を含んでいる。
【0028】
PLL2801は、網抽出クロックを受信する。PLL2801は、レファレンスクロック(REF CLK)と、ギガビット送信クロック(GTXCLK)とを生成して、PHY2802に供給する。PHY2802は、MASTERである。PHY3002は、SLAVEである。したがって、PHY3002は、受信データから受信クロック(RX CLK)を抽出して、PLL3001、3006に提供する。PLL3001は、レファレンスクロック(REF CLK)と、ギガビット送信クロック(GTXCLK)とを生成して、PHY3002、3004に供給する。PLL3006は、送信クロック(TXCLK)を生成して、PHY3005に供給する。PHY3004は、ギガビット送信クロック(GTXCLK)を送信のタイミングとして使用し、下流へクロックを伝達している。
【0029】
1000BASE−Tリンクの両端のPHYにおいて、どちらがMASTERになって、どちらがSLAVEになるかは、各々のPHYがレジスタ2804、3007に格納しているデバイス設定をオートネゴシエーションのプロセスにおいて比較し、両者の役割を決定する。IEEE802.3 40.5.1.1のTable40−3の中で記載されているように、PHYはレジスタ中の3bit(Reg9.12:10)にて、デバイス設定を保持する。デバイス設定は、
・manual MASTER (Reg9.12:10 = 11X)
・manual SLAVE (Reg9.12:10 = 10X)
・multiport device (Reg9.12:10 = 0X1)
・single−port device (Reg9.12:10 = 0X0)
の4レベルの中から1つが設定される。ここで、Xは、0または1である。
【0030】
図4を参照して、LOCAL PHYとREMOTE PHYのデバイス設定の組合せとMASTER/SLAVEの対応付けを説明する。ここで、LOCALとは、自装置、REMORTEとは、対向装置である。図4において、LOCALとREMOTEで異なるデバイス設定を持つ場合は、manual MASTER、multiport device、single−port device、manual SLAVEの順で先になる方がMASTERとなり、後になる方がSLAVEとなる。
【0031】
また、LOCALとREMOTEで同一のデバイス設定であった場合は、manual設定どうしではリンク断となる。multiportどうし、single−portどうしでは、PHYレジスタに格納されたランダムな値である、シード値(SEED value)を比較し、高い方がMASTERとなり、他方がSLAVEとなる。シード値も等しい場合は、リンク失敗として、シード値を再発行した上でオートネゴシエーションのプロセスをやり直す。
【実施例1】
【0032】
図5を参照して、ネットワーク装置の構成を説明する。図5において、ネットワーク装置31は、向かって左のWAN側に2つの電気ポート3108、3109と、LAN側に2つの電気ポート3110、3111を有する。全てのポートは、1000BASE−Tでリンクすることができ、各々のPHYデバイス3101、3102、3103、3104にてGMII(Gigabit Media Independent Interface)に変換されて処理される。ネットワーク装置31では、WANポートとLANポートがあらかじめ区別されており、同期イーサネットの中に置かれた場合は、WANポートのいずれか一方からクロックを抽出し、全てのLANポートへ展開する。ネットワーク装置31における主信号の内部処理の一部として、SSM判定ブロック3105を有している。SSM判定ブロック3105は、WANポートで受信したデータの中からESMCフレームを抽出、解析する。SSM判定ブロック3105は、その結果に基づいて、どのPHYで抽出した受信クロックに同期するべきかを選択する。SSM判定ブロック3105は、各PHYのデバイス設定のレジスタに値を設定する。また、SSM判定ブロック3105は、セレクタ3106に指示する。
【0033】
図5では、WANポート3108でSSM=1111を格納したESMC2901を受信し、WANポート3109でSSM=0010を格納したESMC2903を受信している。SSM判定ブロック3105は、SSM=0010の方がクロック品質が高いため、ポート3109から抽出した受信クロック(RX CLK)に同期するものと判定し、セレクタ3105に指示する。このクロックはPLL3107を介し、リファレンスクロックとして装置内に配られる。2つのLANポートに配置された各PHY3102、3104は、このリファレンスクロックを送信タイミングに用いる。下流の装置にクロック品質を伝達するため、装置内部で生成したESMC2902、2904をLANポートから送信する。
【0034】
本実施例の骨子は、クロック受信ポートの認識と、PHYのデバイス設定手順である。具体的な手順について、図6〜図8のフローチャートを用いて説明する。今、ネットワーク装置31が持つポートのうち、或る特定の1つのポートのPHYについて、動作フローを考える。
【0035】
図6において、装置起動後、PHYは、対象のポートのオートネゴシエーション時に1000BASE−Tリンクか判定する(S1)。NOなら、処理の対象外であり、終了する。ステップ1で対象のポートが1000BASE−Tリンクであれば、初期設定として、PHYは、multiport deviceを設定する(S2)。これにより、接続先PHYのデバイス設定によらずにリンクアップできる態勢をとる。
【0036】
その後、ネットワーク装置は、1つ以上のWANポートからのESMC受信を待つ(S3)。受信したら(YES)、SSM判定ブロック3105は、SSMコードを解析し、同期クロックを抽出するWANポートを決定する(S4)。ESMCは、1s周期で送信されるが、複数ポートから受信する場合は、判定動作が受信の順序に影響されてしまう場合も考えられるので、ESMCを数回受信してから、あるいは数回受信しなくなってから、他ポートのSSMと比較する等の保護条件を設けることが望ましい。
【0037】
SSM判定ルールを以下に記載する。
・WANポートからESMC未受信の場合は、同期イーサネット未対応のため、全ポート変更無し。
・LANポートからESMC受信していても無効。全ポート変更なし。
・1つのWANポートからESMC受信している場合、SSMに関わらずこのポートのクロックに同期。残りのWANポートは変更無し。全てのLANポートはクロック送信。
・複数のWANポートからESMCを受信している場合、SSMを比較して最も品質レベルの高いポートのクロックに同期。残りのWANポートは変更無し。全てのLANポートはクロック送信。
・最も品質レベルの高いポートが複数ある場合は、任意のWANポートに決めてよい。のこりのWANポートは変更なし。全てのLANポートはクロック送信。
【0038】
図6に戻って、今、対象としているポートが同期クロックを受信するポートと判定された場合(S5:YES)、図7にジャンプする。LANポートであれば(S6:YES)図8にジャンプする。そのいずれでも無ければ(クロック同期しない方のWANポート等)、PHYデバイス設定に特に変更は施さず、ESMC受信状態に変化があるまで待機状態とする(S7)。いずれの場合も後述のPHY設定変更後、本実施例の機能は待機状態に入るが、継続的に受信しているESMCにおいて、SSMコードが変わった等、受信状況に変化が生じた場合(S7:YES)、もう1度ステップ4のSSM比較に戻って設定し直すものとする。
【0039】
図7を参照して、対象ポートが同期クロックを受信するポートである場合について、説明する。クロック受信するためには、PHYは、SLAVEになっていないといけない。PHYは、SLAVEか判定する(S8)。対象のPHYが既にSLAVEとなっていた場合(YES)、クロック受信動作に適合しているので、PHY設定変更は無く待機状態とする(S9:NO)。待機中、装置全体でESMC受信状況に変化が生じた場合(S9:YES)、PHYは、図6のステップ4に戻って、SSM判定から再開する。対象のPHYがMASTERとなっていた場合(S8:NO)、PHYは、manual SLAVEに設定し、強制的にオートネゴシエーションをリスタートする(S11)。この後、PHYは、リンクに成功したか判定する(S12)。再度リンク成功できれば(YES)、PHYはSLAVE状態となるので、クロック受信に適合し、待機状態に入る。ステップ12で、リンク成功できなかった場合(NO)、先ずリンクすることを優先するため、PHYは、multiport deviceに設定する。これにより再リンクできる。リンクアップできなかったのは、接続先のREMOTE装置においてもPHYにmanual SLAVEが設定されている等のアンマッチが原因だと考えられるので、ネットワーク装置31は、REMOTE装置に対してPHY設定変更を要求する通知を送信する(S13)。これは対象のWANポートを介してパケットデータを送信する等の方法が考えられる。この後やむを得ず待機状態となる(S14:NO、S15:NO)。もしREMOTE装置が要求に応えてPHYの設定を変更した場合、一度リンク断発生して、対象のPHYがSLAVEとなって再リンクし、所望の状態となり(S15:YES)待機状態になる。待機中に、ESMC受信状態の変化が生じたら(S14:YES)、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。
【0040】
図8を参照して、対象ポートがLANポートである場合について説明する。下流の装置にクロックを配信するためには、LANポートのPHYはMASTERになってないといけない。PHYは、ステータスがMASTERか判定する(S16)。SLAVEになっている場合(NO)、PHYは、強制的にmanual MASTERに変更し、オートネゴシエーションをリスタートする(S19)。対象のPHYが既にMASTERになっていた場合(S16:YES)、クロック送信動作に適合しているので、PHY設定変更は無く、待機状態とする(S17:NO、S18:NO)。待機中に、装置全体でESMC受信状態に変化が生じた場合(S17:YES)は、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。また、待機中にケーブルを抜くなどの外部要因によるリンク断が対象ポートで発生した場合(S18:YES)、次回のリンク時に必ずMASTER状態でリンクできるようにリンク断のタイミングでPHYをmanual MASTERに設定する(S19)。ステップ19でmanual MASTERに設定した後、PHYは、リンクが成功したか判定する(S20)。再度リンク成功できれば(YES)、PHYはMASTERとなるので、クロック送信の動作に適合し、待機状態に入る(S17:NO、S18:NO)。Manual MASTER に変更したことによりリンクアップできなかった場合(S20:NO)、REMOTE装置のPHY設定もmanual MASTERになっている等のアンマッチが考えられる。再びLOCAL側PHYをmultiport deviceに設定し、リンクアップ後REMOTE装置へPHY設定変更を要求する通知を送信する(S21)。クロック送信動作不適合のまま待機状態となる(S22:NO、S23:NO)。もしREMOTE装置が要求にこたえてPHYの設定を変更した場合は、一度リンク断発生して、再リンク後に、対象のPHYがMASTERとなり、所望の状態となる(S23:YES)。待機中に、ESMC受信状態の変化が生じたら(S17またはS22:YES)、図6のステップ4に戻って再度設定を行なう。
【0041】
図9を参照して、クロック受信するポートのPHY(LOCAL)とその接続先REMOTEのPHYが、よってどの様に状態遷移するかについて説明する。図6のステップ2で説明した通り、LOCAL側(自装置)PHYの初期設定は、multiport device設定とする。REMOTE側(対向装置)PHYの設定は、4種類であるが、互いにmultiport device設定どうしの場合、LOCALがMASTERになった場合とSLAVEになった場合の2通りが発生し得る。よって、case1〜case5の状態が初期状態として存在し得る。
【0042】
SSM判定ブロック3105の判定結果を受けて、LOCAL側がクロック受信ポートに決定した時点で、case1、case2では既にLOCALがSLAVEなので、クロック受信動作に適合となる。
【0043】
case3、case4ではLOCALがMASTERなので、manual SLAVEに設定を変更し、オートネゴシエーションをリスタートする。その結果、再リンクしてLOCALはSLAVEとなり、クロック受信動作に適合となる。
【0044】
case5でもLOCALがMASTERなので、manual SLAVEに設定を変更するが、REMOTE側もmanual SLAVEであるためリンクダウンとなってしまう。そこで、LOCAL側をmultiport device設定に戻し、再リンクアップすると共に、REMOTEへ設定変更要求を送信する。何も無ければ、クロック受信動作不適合のまま待機状態に入るが、要求に応じてREMOTE側がmanual MASTERに変更した場合、再リンクアップ後LOCALがSLAVEとなり、クロック受信動作適合状態で待機状態に入る。
【0045】
図10を参照して、LANポートのPHY(LOCAL)とその接続先REMOTEのPHYが、どの様に状態遷移するかについて説明する。図6のステップ2で説明したとおり、LOCAL側PHYの初期設定はmultiport device設定とする。REMOTE側設定4種類に、multiport device設定どうしの時にLOCALがMASTERになった場合とSLAVEになった場合も含めて、case1〜case5までの初期状態が存在する。
【0046】
case3、case4、case5では、LOCALがMASTERとなっており、既にクロック送信動作に適合しているので、設定の変更は無い。ただし、ケーブルを抜く等の外部要因によるリンク断が発生した場合、このタイミングを利用して、manual MASTERに設定を変更し、再リンクアップ後も確実にMASTERとなる様にする。
【0047】
case2では、LOCALがSLAVEとなっているので、manual MASTERに設定を変更し、再リンク後MASTERとなって送信動作に適合する。
case1でもLOCALがSLAVEとなっているので、manual MASTERに設定を変更する。しかし、manual MASTERどうしでリンクダウンとなってしまう。LOCALでmultiport device設定に戻し、REMOTE装置へ設定変更要求を送信する。何も無ければ、クロック送信動作不適合のまま待機状態に入るが、REMOTE側が要求に応じてmanual SLAVEに設定変更した場合は、再リンクアップ後LOCALがMASTERとなり、クロック送信動作適合で待機状態に入る。また、ここで外部要因によるリンク断が発生した場合は、LOCAL側manual MASTERに設定変更し、再リンク後も確実にMASTERとなるようにする。
【実施例2】
【0048】
本実施例では、ポートにWAN/LANの区別が無く、各ポートが上流側装置、下流側装置のどちらに接続しても使用できる図11に示すネットワーク装置への適用について説明する。
【0049】
図11において、ネットワーク装置54は、ポート5401、5402、5403、5404のポートを持ち、それぞれ1000BASE−Tでの接続が可能である。また、各ポートは、PHY5405、5406、5407、5408により、GMIIで疎通データを装置内部に展開する。接続先の装置から、ESMC29を受信すると、SSM判定ブロック5409は、どのポートからESMCを受信したかを把握するとともに、ESMCのSSMコードを比較し、どのポートから受信したクロックに同期するかを決定する。SSM判定ブロック5409は、判定結果に従って、各PHYのデバイス設定を行なうとともに、どのPHYからのRXCLKを採用するか、セレクタ5410に指示を出す。選択されたクロックは、PLL5411を介して、装置全体にリファレンスクロックとして配られる。
【0050】
図12〜図15を参照して、実施例2における、PHYデバイス設定手順について、説明する。ネットワーク装置起動後、PHYは、対象としているポートが1000BASE−Tで接続可能なポートか判定する(S55)、NOであれば、そのまま終了する。ステップ55でYESであれば、PHYは、初期設定をmultiport deviceに設定する(S56)。その後、ネットワーク装置54は、装置全体で1つ以上のポートがESMCNO受信を待つ(S57:NO)。ステップ57でYESのとき、SSM判定ブロック5409は、どのポートからESMCを受信したかを把握する。また、SSM判定ブロック5409は、各ポートのSSMコードを比較し、最もクロック品質の高いポートをクロック抽出ポートに決定する(S58)。その結果、対象としているポートが、PHYは、クロック受信ポートか判定する(S59)。YESのとき、図13ジャンプする。ステップ59でNOのとき、PHYは、対象のポートが、ESMCを受信しているか判定する(S60)。YESのとき、図14にジャンプする。ステップ60でNOのとき、は図15にジャンプする。
【0051】
SSM判定ルールを下記に示す。
・全ポート、ESMCを未受信の場合は同期イーサネット非対応のため、PHY設定変更なし。
・1つのポートでESMCを受信した場合、SSMに関わらずそのポートの受信クロックに同期し、他のポートを全てクロック送信ポートと認識する。
・複数のポートでESMCを受信した場合、受信したポートをWANポート、受信していないポートをLANポートと認識した上で、SSMに示される品質レベルが最も高いポートをクロック同期ポートとする。それ以外のESMC受信ポートは設定変更なし。ESMC未受信ポートは全てクロック送信ポートとする。
・SSMレベルが最も高いポートが複数ある場合、その中の任意のポートをクロック同期ポートと判定して良い。その他のESMC受信ポートは設定変更なし。ESMC受信していないポートは全てクロック送信ポートとする。
【0052】
図13を参照して、対象ポートがクロック受信ポートである場合について、説明する。クロック受信するためにはPHYはSLAVEでなくてはならない。PHYは、ステータスがSLAVEか判定する(S61)。PHYのステータスがもともとSLAVEである場合(YES)、特に設定変更しない(S62:NO)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があった場合(S62:YES)、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。
【0053】
ステップ61において、ステータスがMASTERだった場合、PHYは、manual SLAVEに設定し、オートネゴシエーションをリスタートする(S64)。PHYは、リンク成功したか判定する(S65)。YESならば、PHYは、SLAVE状態となってクロック受信動作が可能となって、ステップ62に遷移する。ステップ65でリンクに失敗した場合、REMOTE側のPHY設定もmanual SLAVEになっていると考えられる。リンクアップすることを優先し、PHYは、LOCAL側PHY設定をmultiport device に戻し、オートネゴシエーションをリスタートする。再度リンクアップできたら、REMOTE装置へ設定変更要求を通知する(S66)。PHYは、待機状態となる(S67:NO、S68:NO)。REMOTE装置が変更要求を受けて、manual MASTERに設定変更した場合、LOCAL側は一旦リンク断の後、再リンクしてSLAVE状態となる(S68:YES)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があった場合(S67:YES)、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。
【0054】
図14を参照して、対象のポートがクロック受信ポートではないが、ESMCを受信している場合のPHY設定手順について、説明する。このポートはクロック抽出をしないものの、ESMCを受信しているということから、ネットワークの上流側に位置する装置と接続されていると判断できる。よって、現在クロック源として選択されているポートに障害が起こった場合は、このポートがクロック源に設定される可能性がある。そのため、リンク切断してまで強制的に設定を変更する必要は無いが、機会があればSLAVEに変更しておくことが望ましい。
【0055】
ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S69)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ69でNOのとき、PHYは、リンク断が発生したか判定する(S70。NOのとき、ステップ69に戻る。ステップ70で、ケーブルを抜く等の外部要因によるリンク断が発生した場合、PHYは、この機会を利用してmanual SLAVEに設定を変更する(S71)。PHYは、リンクに成功したか判定する(S72)。リンク成功できれば(YES)、SLAVEとなって、ステップ69に遷移する。ステップ72でリンク失敗となった場合(NO)、REMOTE装置もmanual SLAVEになっていると予想されるので、PHYは、一旦multiport deviceに設定を戻して、再度リンクアップした後、REMOTE装置に対して、設定変更要求を通知する(S73)。
【0056】
ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S74)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ74でNOのとき、PHYは、リンク断が発生した後、SLAVEで再リンクアップしたか判定する(S75)。NOのとき、ステップ74に遷移する。REMOTE装置が要求に応じて自らのPHY設定をmanual MASTER に変更すると、一旦リンク切断した後、再度リンクアップし、LOCAL側がSLAVEとなると(S75:YES)、ステップ69に遷移する。
【0057】
最後に、図15を参照して、対象ポートがESMCを受信していない場合について、説明する。このポートは、ネットワークの下流側に位置する装置と接続されていると判断し、クロックを配信するため、PHYをMASTERに設定する。PHYは、ステータスがMASTERか判定する(S76)。PHYのステータスがSLAVEだった場合、強制的に manual MASTERに設定し、オートネゴシエーションをリスタートする(S79)。既にPHYのステータスがMASTERになっていた場合、設定変更無し。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S77)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ77でNOのとき、PHYは、リンク断が発生したか判定する(S78)。NOのとき、ステップ77に戻る。ステップ78でYESのとき、PHYは、その機会を利用してmanual MASTER に設定し、オートネゴシエーションをスタートする(S79)。manual MASTER 設定後、PHYはリンク成功か判定する(S80)。リンク成功できれば(YES)、PHYは、MASTERとなり、クロック配信動作が可能となって、ステップ77に遷移する。ステップ80でリンク失敗となった場合、REMOTE装置でもmanual MASTER設定になっていると考えられる。PHYは、multiport deviceに戻り、再度リンクアップできたら、REMOTE装置へ設定変更要求を通知する(S81)。ネットワーク装置54は、ESMC受信状況に変化があるか判定する(S82)。YESのとき、ネットワーク装置54は、図12のステップ58に戻って、SSM比較から再スタートする。ステップ82でNOのとき、PHYは、リンク断が発生した後、MASTERで再リンクアップしたか判定する(S83)。YESのとき、ステップ77に遷移する。ステップ83でNOのとき、ステップ82に遷移する。
【0058】
図16ないし図19を参照して、実施例2のネットワーク装置のネットワーク構成について、説明する。
【0059】
図16と図17では、OLT25に光スプリッタ27を経由して2台のONT28が接続している。更に、2台のONT28は、ネットワーク装置54の、ポート5401、5402に接続する。また、ネットワーク装置54のポート5403にはATM−Etherコンバータ86、ポート5404にはT1−Etherコンバータ29が繋がっている。OLT25には、WAN24が接続されている。
【0060】
PRC26は、OLT25にクロックを供給する。このクロックは、2台のONT28にも配信される。2台のONT28は下流側に向かってESMCを送信し、クロック品質を伝達する。図16では、ONT28−1もONT28−2もOLT25からPRC品質のクロックを受信しており、両ONT28は、SSM=0010のESMCを送信している。ネットワーク装置54では、どちらも同じSSMではあるが、ポート5401からクロックを抽出するとし、前述のフローに従ってPHYの設定を変更する。その結果、ポート5401のPHYはSLAVEになって、ポート5403、5404は、MASTERとなっている。ポート5402は、ESMCを受信しているものの、クロック受信ポートとされなかったため、初期設定のmultiport device設定のまま、MASTER、SLAVEいずれかの状態となっている。
【0061】
この状態から、ONT28−1で同期不具合が発生した場合を示したのが図17である。図17において、OLT25から同期クロックを抽出できないため、ONT28−1は、SSM=1111を格納したESMCを装置54に向かって送信している。装置54では、ESMC受信状態の変化を受けて、再度SSMの比較を行ない、ポート5402からクロックを受信することを決定する。実施例2の動作に従ってPHYの設定を変更した結果、ポート5402は、SLAVEとなり、このポートからクロックを抽出する。
【0062】
図18、図19を参照して、ネットワーク装置を用いた別のネットワーク構成を説明する。図18において、WAN24から2系統のメディアコンバータ87(以下MCとする)を経由してネットワーク装置54に接続している。PRC26は、MC87−1、87−3にリファレンスクロックが供給され、同期イーサネットにより、MC87−2、87−4に配信される。MC87−2、87−4は、更に下流のネットワーク装置54に対し、SSM=0010のESMCを送信する。ネットワーク装置54は、実施例2の動作に従い、ESMCを受信した符号5401、5402のポートについて、SSMを比較する。図16の場合、SSMは同じ値だが、ポート5401からクロックを受信するものと決定し、PHY、クロック選択の設定手続きを行なった結果、ポート5401のPHYはSLAVEモードになって、クロックの抽出源となる。一方、ポート5402は、初期設定のmultiport device設定のまま、MASTERかSLAVEかいずれかの状態をとる。また、ポート5403、5404は、ESMCを受信していないため、クロック送信ポートと見なされ、PHY設定変更手続きにより、MASTERとなり、クロックと装置内で生成したESMCを、更に下流のATM−Etherコンバータ86、並びにT1−Etherコンバータ29に送信している。
【0063】
ここで、MC87−2とネットワーク装置54の間の接続において障害が発生し、通信が途絶えた場合の状況を示したのが、図19である。図19において、MC87−2からESMCが送られて来なくなったことを受けて、ネットワーク装置54は、再度SSM判定を行ない、SSM=0010を受信しているポート5402からクロックを抽出する様に、PHY設定の変更を行なう。その結果、ポート5402は、SLAVE状態でリンクし、このポートからクロックを受信する。ポート5401、5403、5404は、ESMCを受信していないため、クロック送信ポートとしてみなさる。ポート5401のPHYは、manual MASTERに設定されるが、障害発生のためリンクアップしていない。
[付記]
本発明は、以下の形態を採ることもできる。
(1)PHYのレジスタをmanual MASTER、もしくはmanual SLAVEに変更して、オートネゴシエーションを再スタートした結果、リンク確立できなかった場合に、
PHYのレジスタを multiport device設定に戻して、オートネゴシエーションを再スタートすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
(2)PHYのレジスタをmultiport device設定に戻して、リンク確立した後、REMOTE装置に対して、PHYレジスタ設定の変更要求を通知することを特徴とする(1)に記載のネットワーク装置。
(3)1つ以上のポートでESMCまたはPTP Messageの受信が停止した場合、
それまで受信していなかったポートでESMCまたはPTP Messageの受信を開始した場合、
SSMコードの値が変化した場合、
のうち少なくとも1つが発生した時に、
再度各ポートがクロック受信かクロック送信かそのいずれでもないかを判定し直し、
それに従ってPHYの設定を行なうことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
(4)SSMコードの等しいESMCパケットを一定数以上周期的に受信したことを以て、ESMCを受信していると認識し、
ESMC受信周期の一定回数以上受信できなかったことを以て
ESMCが停止したと認識する請求項1に記載のネットワーク装置。
(5)ESMC受信したポート全てで、SSMコードがDNS(Do Not Use)レベルだった場合、
PHYレジスタ変更、並びにオートネゴシエーションの再スタートを全く行なわないことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【符号の説明】
【0064】
24…WAN、25…OLT、26…PRC(プライマリ・リファレンス・クロック)、27…光スプリッタ、28…ONT、29…ESMCパケットデータ、30…T1−Etherコンバータ、31…ネットワーク装置、54…ネットワーク装置、86…ATM−Etherコンバータ、87…メディアコンバータ、100…アクセスネットワークシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000BASE−T規格に準拠した複数の電気ポートを持つネットワーク装置において、
起動時に、前記電気ポート全てのPHYのレジスタにmultiport device設定を格納し、
第1の電気ポートがESMCまたはPTP Messageを受信し始めたことを契機に、前記複数の電気ポートが、クロック受信ポートか、クロック送信ポートか、いずれでもないポートかを判定し、
前記クロック受信ポートは、その第1のPHYがSLAVEになるよう第1のレジスタをmanual SLAVEに変更し、
前記クロック送信ポートは、その第2のPHYがMASTERになるよう第2のレジスタをmanual MASTER変更して、オートネゴシエーションを再スタートすることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記第1のPHYが既にSLAVEだったとき、または、前記第2のPHYが既にMASTERだったとき、
オートネゴシエーションの再スタートを省くことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
リンク断が発生したとき、
前記第1のPHYの前記第1のレジスタをmanual SLAVEに、前記第2のPHYの前記第2のレジスタをmanual MASTERに設定することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記ESMCまたはPTP Messageを受信した前記電気ポートが1つのとき、該電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記ESMCを複数の前記電気ポートから受信しているとき、SSMの示すクロック品質が最も高い電気ポートを前記クロック受信ポートとし、
クロック品質の最も高い電気ポートが複数あるとき、その中から任意の電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記PTP Messageを複数の前記電気ポートから受信しているとき、その中から任意の電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
前記ESMCおよび前記PTP Messageを受信していない前記電気ポートは、クロック送信ポートと判定することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項8】
あらかじめ各電気ポートに対しWANポートかLANポートかが指定されている請求項1に記載のネットワーク装置であって、
1つ以上のWANポートからESMCまたはPTP Messageを受信したとき、前記クロック受信ポートと判定されなかったWANポートは、レジスタ変更とオートネゴシエーションの再スタートを省くことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項9】
あらかじめ各電気ポートに対しWANポートかLANポートかが指定されている請求項1に記載のネットワーク装置であって、
前記ESMCまたは前記PTP Messageを受信していてもあらかじめ前記LANポートと指定されている前記電気ポートであれば、前記クロック送信ポートであると判定することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項10】
前記クロック送信ポートは、同期中のクロックの品質をSSMに格納したESMCを送信することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項1】
1000BASE−T規格に準拠した複数の電気ポートを持つネットワーク装置において、
起動時に、前記電気ポート全てのPHYのレジスタにmultiport device設定を格納し、
第1の電気ポートがESMCまたはPTP Messageを受信し始めたことを契機に、前記複数の電気ポートが、クロック受信ポートか、クロック送信ポートか、いずれでもないポートかを判定し、
前記クロック受信ポートは、その第1のPHYがSLAVEになるよう第1のレジスタをmanual SLAVEに変更し、
前記クロック送信ポートは、その第2のPHYがMASTERになるよう第2のレジスタをmanual MASTER変更して、オートネゴシエーションを再スタートすることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記第1のPHYが既にSLAVEだったとき、または、前記第2のPHYが既にMASTERだったとき、
オートネゴシエーションの再スタートを省くことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
リンク断が発生したとき、
前記第1のPHYの前記第1のレジスタをmanual SLAVEに、前記第2のPHYの前記第2のレジスタをmanual MASTERに設定することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記ESMCまたはPTP Messageを受信した前記電気ポートが1つのとき、該電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
前記ESMCを複数の前記電気ポートから受信しているとき、SSMの示すクロック品質が最も高い電気ポートを前記クロック受信ポートとし、
クロック品質の最も高い電気ポートが複数あるとき、その中から任意の電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項6】
前記PTP Messageを複数の前記電気ポートから受信しているとき、その中から任意の電気ポートを前記クロック受信ポートとすることを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項7】
前記ESMCおよび前記PTP Messageを受信していない前記電気ポートは、クロック送信ポートと判定することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項8】
あらかじめ各電気ポートに対しWANポートかLANポートかが指定されている請求項1に記載のネットワーク装置であって、
1つ以上のWANポートからESMCまたはPTP Messageを受信したとき、前記クロック受信ポートと判定されなかったWANポートは、レジスタ変更とオートネゴシエーションの再スタートを省くことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項9】
あらかじめ各電気ポートに対しWANポートかLANポートかが指定されている請求項1に記載のネットワーク装置であって、
前記ESMCまたは前記PTP Messageを受信していてもあらかじめ前記LANポートと指定されている前記電気ポートであれば、前記クロック送信ポートであると判定することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項10】
前記クロック送信ポートは、同期中のクロックの品質をSSMに格納したESMCを送信することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−222524(P2012−222524A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84856(P2011−84856)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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