説明

ネットワーク装置

【課題】単一方向リンク障害の障害検知では、障害検知後に該当ポートを閉塞する機能しか持っておらず、ケーブルのピン障害となった場合は、通信を継続することができなかった。
【解決手段】監視機能部が死活監視パケットを定期的に対向ネットワーク装置の接続ポート宛に送信し、単一方向リンク障害(パケットを送信できるが受信できない状態、または、パケットを受信できるが送信できない状態)を検知した場合、LANケーブルを接続するポートで使用しているピン(Tx+,Tx−,Rx+,Rx−)を予備ピン(Tx'+,Tx−,Rx'+,Rx−)に切り替え、対向装置の同様な切り替えを待って、通信を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置に係り、LANケーブルの障害に基づく単方向リンク障害を補償するネットワーク装置に関する、
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク装置の単一方向リンク障害の検知に関しては、アクティブなポート上で死活監視を定期的に送信し、接続したネットワーク機器間で単一方向リンクを検知可能なUDLD(Uni-Directional Link Detection)が提案されている。非特許文献1は、UDLDを解説する。なお、単一方向リンク障害は、パケットを送信できるが受信できない状態、またはパケットを受信できるが送信できない状態である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Cisco Systems、”単方向リンク検出プロトコル機能の説明と設定”、[online]、2007年7月9日、[平成23年6月2日検索]、インターネット<URL:http://www.cisco.com/web/JP/support/nav/documentation.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、UDLDの単一方向リンク障害の障害検知では、障害検知後に該当ポートを閉塞する機能しか持っていない。したがって、LANケーブルのピン障害で単一方向リンク障害となった場合、通信を継続することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、LANケーブルのピン障害による単一方向リンク障害を検知し、ポートで使用していないピンに切り替えることで通信を継続するネットワーク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題は、監視機能部が死活監視パケットを定期的に対向ネットワーク装置の接続ポート宛に送信し、単一方向リンク障害を検知した場合に、LANケーブルを挿入するポートで使用しているピン(Tx+,Tx−,Rx+,Rx−)を予備ピン(Tx'+,Tx'−,Rx'+,Rx'−)に切り替え、通信の継続を試みるネットワーク装置により、解決できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単一方向リンク障害を検知した際、その原因がLANケーブルのピン障害に起因する場合、ポートで使用しているピンを予備ピンに切り替えることで、通信を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネットワークを説明するブロック図である。
【図2】ネットワーク装置の機能ブロック図である。
【図3】パケット転送結果テーブルを説明する図である。
【図4】LANケーブルのピン配置図(正常時)である。
【図5】LANケーブルのピン配置図(単一リンク障害時)である。
【図6】ネットワーク装置のポート監視とポート使用ピン切替のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【0010】
図1を参照して、ネットワークの構成を説明する。図1において、ネットワーク1000は、3台のネットワーク装置100と、2本のLANケーブル200とで構成されている。ネットワーク装置100は、port110を有する。
【0011】
LANケーブル200−1は、ネットワーク装置100−1のport110−11と、ネットワーク装置100−2のport110−21とを接続する。LANケーブル200−2は、ネットワーク装置100−1のport110−12と、ネットワーク装置100−3のport110−31とを接続する。
【0012】
各ネットワーク装置100は、リンクが有効となっているポート間で死活監視を実施し、単一方向リンク障害を検知する。単一方向リンク障害を検知したとき、各ネットワーク装置100は、LANケーブル200で使用するピン配列を切り換える。単一方向リンク障害の原因がLANケーブル200にあるとき、これによって、各ネットワーク装置100は、通信を継続する。
【0013】
図2を参照して、ネットワーク装置の構成を説明する。図2において、ネットワーク装置100は、OS400と、OS400上のパケット転送機能部410と監視機能部420とから構成されている。監視機能部420は、ポート使用ピン切替制御部421と、監視制御部422と、パケット転送結果テーブル423とから構成されている。
【0014】
パケット転送機能部410は、パケット転送および死活確認パケットを送信する。監視機能部420は、単一方向リンク障害を検出する。監視機能部420は、単一方向リンク障害を補償する。ポート使用ピン切替制御部421は、単一方向リンク障害のとき、ポートの送信ピンと、受信ピンを切り替える。監視制御部422は、パケット転送結果テーブル423を更新する。
【0015】
図3を参照して、パケット転送結果テーブルを説明する。図3において、パケット転送結果テーブル423は、port番号501と、ポート使用状態フラグ502と、単一リンク障害フラグ503と、送信元ポート番号504と、使用ピンNO.(Tx+)505と、使用ピンNO.(Tx−)506と、使用ピンNO.(Rx+)507と、使用ピンNO.(Rx−)508とから構成されている。
【0016】
ポート使用状態フラグ502は、不使用時(リンクダウン)「0」を、使用時(リンクアップ)「1」を記録する。単一リンク障害フラグ503は、正常時「0」を、障害時「1」を記録する。Txは、送信器である。Rxは、受信機である。+/−は、差動信号を表す。Tx+信号は、Rx+受信器が受信する。Tx−信号は、Rx−受信器が受信する。
【0017】
NO1〜NO5のレコードは、通常のLANケーブルのピン配置である。一方、NO6のレコードは、使用ピンNO.(Tx+)505が「4」となり、予備ピンを使用している。
【0018】
図4および図5を参照して、LANケーブルへの信号割り付けを説明する。図4において、LANケーブル200の通常のピン配置は、コネクタ210のピン番号1がTx+、ピン番号2がTx−、ピン番号3がRx+、ピン番号6がRx−であり、ピン番号4、5、7、8が予備ピンである。
【0019】
図5において、コネクタ210のピン番号1の障害を検出したときのピン配置は、コネクタ210のピン番号4がTx'+、ピン番号2がTx−、ピン番号3がRx+、ピン番号6がRx−であり、ピン番号5、7、8が予備ピンである。この場合、予備であるピン番号4を使用している。なお、図4および図5のLANケーブル200において、予備ピンも布線は実施済みである。
【0020】
図6を参照して、ネットワーク装置の監視機能部の処理を説明する。図6において、監視機能部420は、ポートの使用状態を確認する(S11)。ポートを使用している場合、監視機能部420は、該当するport番号501のパケット転送結果テーブル423のポート使用状態フラグ502を”1(使用)”に更新する(S12)。監視機能部420は、パケット転送結果テーブル423の単一リンク障害フラグ503を確認する(S13)。
【0021】
単一リンク障害フラグ503が”0(正常)”のとき、パケット転送機能部410は、対向するネットワーク装置100に向けて死活監視パケットを送信する(S14)。応答が無かった場合、監視機能部420は、パケット転送結果テーブル423の単一リンク障害フラグ503を”1”に更新する(S15)。
ポート使用ピン切替制御部421は、死活監視の信号(Tx+信号又はTx−信号)を送信し、Rx受信器にて信号を受信できるかの確認を行い、使用ピンの障害検出を行う(S16)。ステップ16にて障害が検出されなかった場合、パケット転送機能部410は、該当ポートを閉塞して(S22)終了する。
【0022】
使用ピンが障害となった場合、ポート使用ピン切替制御部421は、予備の使用ピンに対して、死活監視の信号(Tx+信号又はTx−信号)を送信し、Rx受信器にて信号を受信できるかの確認を行い、予備の使用ピンの正常性確認を行う(S17)。ステップ17にて予備の使用ピンが全て使用不可だった場合は、パケット転送機能部410は、該当ポートを閉塞して(S22)終了する。
【0023】
ステップ16にて使用ピンの障害を検出し、ステップ17にて予備のピンが使用可能となった場合は、ポート使用ピン切替制御部421は、単一リンク障害となったポートの使用ピンを予備のピンに切替を行なう(S18)。監視機能部420は、パケット転送結果テーブル423の使用ピンNO.(Tx+)505を更新して(S19)、ステップ13に遷移する。一方、ステップ14で応答があった場合、監視機能部420は、終了する。
【0024】
ステップ13で”1(障害)”のとき、パケット転送機能部410は、対向するネットワーク装置100に向けて死活監視パケットを送信する(S20)。応答があるとき、監視機能部420は、パケット転送結果テーブル423の単一リンク障害フラグ503を”0(正常)”に更新して(S21)、終了する。ステップ19で応答が無かった場合、パケット転送機能部410は、該当ポートを閉塞して(S22)終了する。
【0025】
ステップ11でポート不使用のとき、監視機能部420は、パケット転送結果テーブル423のポート使用状態フラグ502を”0(不使用)”に更新して(S23)、終了する。なお、説明の簡便のため、図6は1つのポートに注目して説明したが、実際には全てのポートについて実施する。
【0026】
また、ステップ14またはステップ19で「応答なし」との判定は、1回/分の頻度で死活監視パケットを送信して、3回連続して応答が無かったとき、そのように判定する。これは、対向するネットワーク装置100でのポートの使用ピンを予備のピンに切替を待つためである。
【符号の説明】
【0027】
100…ネットワーク装置、110…port、200…LANケーブル、210…コネクタ、400…OS、410…パケット転送機能部、420…監視機能部、421…ポート使用ピン切替制御部、422…監視制御部、423…パケット転送結果テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクが有効となっているポートに死活監視パケットを定期的に送信し、単一方向リンク障害を監視し、第1のポートが単一方向リンク障害となったとき、前記第1のポートで使用しているピンを切り替えることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク装置であって、
第2のポートとLANケーブルとを介して前記第1のポートと接続された第2のネットワーク装置が前記第2のポートで使用しているピンを切り替えたとき、通信を再開することを特徴とするネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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