説明

ネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子

【課題】液晶表示素子を構成した際に、液晶表示素子としての従来の要求特性を満たしながら、応答速度を改善し、なおかつイオン密度を低減して、表示品位を向上させる事が可能な液晶組成物を提供する。
【解決手段】それぞれ少なくとも一種以上の下記一般式


を含有し、更に第四成分として、250〜400nmにおける最大吸収波長が290nm以上であり、且つ分子構造中に水酸基を有する場合はその全てが分子内水素結合を形成している紫外線吸収剤を含有することを特徴とするネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気光学表示素子の諸特性を満足し、広いネマチック温度範囲、高い屈折率異方性、低い粘性及び低いイオン密度を有するネマチック液晶組成物及び、これを用いた液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子の代表的なものにTN-LCD(ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子)があり、時計、電卓、電子手帳などに使用されている。一方、表示容量の拡大に伴い、STN(スーパーツイスティッド・ネマチック)-LCDが開発され、携帯電話などの高情報処理用の表示に広く普及している。
【0003】
最近、携帯用端末表示(Personal Digital Assistance)などでは高コントラストかつ応答速度の速い表示特性が要求されている。高速応答化は、液晶の低粘性化及びガラス基板間に保持される液晶相の厚み(d)を薄くする事で達成されるが、リタデーション(Δn×d)の変動によるコントラスト低下を避けるために、低粘性かつより大きい屈折率異方性(Δn)を有する液晶が望まれている。一方で、液晶表示素子とした際にガラス基板間に保持された液晶相中のイオン量が多い場合、液晶にかかる実効値電圧がイオンの移動により消費されるため、駆動電圧が周波数によって変動する事がある。そのため、一般的に各画素の実効周波数が異なるという特徴を有する高時分割駆動を行なった場合、コントラストの低下やクロストークと呼ばれる表示消え/表示見えが発生するという問題があった。すなわち液晶表示素子とした際のイオン密度を低減する事が良好なコントラストを得るために重要な因子となる。
【0004】
Δnの大きい液晶組成物としては例えばN-フェニル-3-フェニル-3-ヒドロキシ-2-プロピレン-1-1イミンを含有する液晶組成物(特許文献1参照)や、フルオロトラン系化合物を含有する液晶組成物(特許文献2参照)など開示されている。しかし高いΔnを有する液晶化合物は一般的に粘性が高く、液晶組成物のΔnを増大させることと低粘性化はトレードオフの関係にあるため、液晶組成物の粘性が増大するという欠点があった。そこで、4-置換フェニルクロチルエーテル誘導体を含む液晶組成物(特許文献3参照)トラン-4,4’-ジイル構造を有する化合物を含有する液晶組成物(特許文献4参照)、及びジアルケニルトラン誘導体化合物を含む液晶組成物(特許文献5参照)のように高いΔnに加えて、比較的低い粘性を有する液晶組成物が開示されている。しかし粘性とΔnのトレードオフの改善効果は未だ不十分であり、近年の高速応答、高コントラスト液晶表示素子に要求される特性を満たすものではなかった。さらに表示情報量の増加に伴い高時分割駆動へシフトしたことで、液晶セル中のイオン量の影響による表示品位の低下が問題となってきている。すなわち、高いΔn及びより低い粘性を有し、かつ液晶表示素子のイオン量を低減しうる液晶組成物が望まれていたが、具体的な液晶化合物の組合せでこれらを同時に満たす液晶組成物を得る方法については未だ知られておらず、その開発が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開平9−124577号公報
【特許文献2】特開昭63−287737号公報
【特許文献3】特開昭62−277333号公報
【特許文献4】特開平10−88140号公報
【特許文献5】特開平10−017500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明が解決しようとする課題は、低い粘性と大きな屈折率異方性を有しかつ液晶表示素子とした際のイオン密度が低いネマチック液晶組成物及び、これを用いる事により高速応答に優れかつ駆動電圧の周波数変化を抑えてコントラストを改善した液晶表示素子を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、種々の液晶化合物を用いた液晶組成物を検討した結果、本願発明を完成するに至った。
すなわち、第一成分として一般式(1)
【0008】
【化1】

(式中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。)
で表される化合物1種以上を、2〜20質量%含有し、
第二成分として一般式(2)
【0009】
【化2】

(式中、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で表される化合物1種以上を、8〜38質量%含有し、さらに第一成分及び第二成分の含有量の合計が10〜40質量%であって、
第三成分として一般式(3)
【0010】
【化3】

(式中、R3及びR4はそれぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Z1は-CH2CH2-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、又は単結合を表し、Y1〜Y8はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子又はメチル基を表し、Aは1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基を表す。)で表される化合物1種以上を、10〜40質量%含有し、
第四成分として、250〜400nmにおける最大吸収波長が290nm以上である紫外線吸収剤を0.001〜5質量%含有し、該紫外線吸収剤が分子構造中に水酸基を有する場合、全ての水酸基が分子内水素結合を形成していることを特徴とするネマチック液晶組成物及び当該組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のネマチック液晶組成物は、高い屈折率異方性と低い粘性を有しかつ液晶表示素子とした際にイオン密度が低いという特徴を有する。そのためセルギャップの薄い液晶表示素子の部材として好適であり、液晶表示素子とした時の高速応答性に優れると同時に、駆動電圧の周波数依存性が小さいという特徴を有する。そのため高時分割駆動における各画素の周波数分布に対して一定の駆動電圧を維持でき、表示ムラが大きく低減されるため良好な表示品位を保つ事ができ、コントラストと応答速度に優れ、TN、STN等の液晶表示素子に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本願発明の一例について説明する。
本発明において、第一成分として一般式(1)で表される化合物を2〜20質量%含有するが、その含有率は2〜15質量%の範囲であることがより好ましく、3〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0013】
一般式(1)で表される化合物において、R1の炭素数が少ない場合は液晶組成物の低粘性化に有利であるが、同時にネマチック相-等方性液体相転移温度を低下させる。R1の炭素数が多い場合は液晶組成物の粘性に悪影響を及ぼすがネマチック相-等方性液体相転移温度に与える影響は小さくなる。すなわち、一般式(1)においてR1の炭素数が特定の範囲にある化合物において本願発明の特徴を効果的に実現できる。R1は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜5のアルキル基又は炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましく、具体的には以下の式(1-a)から式(1-i)で表される化合物がより好ましい。
【0014】
【化4】

【0015】
一方、式(1-a)から式(1-i)で表される化合物中、R1がアルキル基を表す化合物が更に好ましい。よって、式(1-a)から式(1-d)が特に好ましく、式(1-b)及び式(1-d)が最も好ましい。
【0016】
第2成分として一般式(2)で表される化合物を8〜38質量%含有するが、その含有率は8〜25質量%の範囲であることがより好ましく、10〜15質量%の範囲であることが特に好ましい。一般式(2)で表される化合物において、R1と同様にR2の炭素数が少ない場合は液晶組成物の低粘性化に有利であるが、同時にネマチック相-等方性液体相転移温度を低下させ、R2の炭素数が多い場合は液晶組成物の粘性に悪影響を及ぼすが、ネマチック相-等方性液体相転移温度に与える影響は小さくなる。よって、R2の炭素数が特定の範囲にある化合物において本願発明の特徴を効果的に実現できる。R2は炭素数2〜7のアルキル基が好ましく、炭素数2〜5のアルキル基がより好ましく、具体的には以下の式(2-a)から式(2-f)で表される化合物が特に好ましい。
【0017】
【化5】

【0018】
式(2-a)から式(2-f)で表される化合物中、式(2-a)、式(2-b)及び式(2-d)が特に好ましい。
又、誘電率異方性が大きい化合物である一般式(1)及び一般式(2)の含有量の合計は10〜40質量%であるが、13〜25質量%の範囲であることがより好ましい。
【0019】
第三成分として、一般式(3)から選ばれる化合物一種以上を10〜40質量%含有するが、Aが1,4-シクロへキシレン基を表す場合、Y1〜Y8は水素原子を表すことが好ましく、さらにこの構造においてはR3が炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を表し且つR4が炭素数1〜8のアルキル基を表すことがより好ましく(以下、この化合物群を第三成分-1と称する)、R3が炭素数1〜5のアルキル基またはアルコキシ基を表し且つR4が炭素数1〜5のアルキル基を表すことがより好ましく、具体的には以下の式(3-a1)から(3-h4)で表される化合物が特に好ましい。
【0020】
【化6】

【0021】
この中でも、第三成分-1としては式(3-c1)〜(3-d4)、式(3-e1)〜(3-e3)及び式(3-g1)〜(3-g4)が好ましく、式(3-c2)、式(3-c3)、式(3-d1)〜(3-d3)、式(3-e1)、式(3-e2)、式(3-g1)〜(3-g3)がより好ましく、式(3-c2)、式(3-d1)、式(3-g1)〜(3-g3)がより特に好ましい。
【0022】
Aが1,4-フェニレン基を表す場合は、Y1〜Y8の少なくとも一つがフッ素原子を表すことが好ましく、さらにZ1は単結合を表し且つR3及びR4がそれぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素数2〜5のアルキル基又は炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましく、(以下、この化合物群を第三成分-2と称する)。具体的には以下の一般式(3-i1)から(3-m6)で表される化合物が特に好ましい。
【0023】
【化7】

【0024】
(R3及びR4はそれぞれ独立的に炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数2〜8の直鎖状アルケニル基を表す。)
この中でも、第三成分-2としては一般式(3-i1)、一般式(3-i3)、一般式(3-j1)、一般式(3-k1)、一般式(3-k2)、一般式(3-m1)〜(3-m6)が好ましく、一般式(3-i1)、一般式(3-i3)、一般式(3-k1)、一般式(3-k2)がより好ましく、一般式(3-i1)及び一般式(3-k1)が特に好ましい。
【0025】
第三成分-2においてR3及びR4の少なくとも一つがアルケニル基を表す場合、以下の式(a)〜(e)で表される構造であることが好ましい。
【0026】
【化8】

【0027】
(構造式は右端で環に連結しているものとする。)この中でも、(a)、(b)又は(e)で表される構造がより好ましく、(a)又は(b)が特に好ましい。
【0028】
第三成分の含有率は10〜35質量%の範囲であることが好ましく、10〜30%の範囲であることがより好ましく、その構成比は第三成分-1のみで構成されることが好ましく、第三成分-1と第三成分-2を用いて構成されることがより好ましく、第三成分-2のみを用いて構成されることが特に好ましい。
【0029】
四成分として、250〜400nmにおける最大吸収波長が290nm以上であり、且つ分子構造中に水酸基を有する場合はその全てが分子内水素結合を形成している紫外線吸収剤を含有するが、このような紫外線吸収剤として具体的には、一般式(4)、式(5)、一般式(6)及び式(7)からなる部分構造式を有する化合物群から選ばれる化合物が好ましい。
一般式(4)で表される部分構造を有する化合物
【0030】
【化9】

【0031】
(式中、R5は、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子はハロゲンにより置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2-は酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2CH2-は、-CH=CH-により置換されていてもよく、L1及びL2はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基を表すが、L1及びL2のうち少なくとも一つは水酸基であり、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)一般式(4)においてL1又はL2の少なくとも一つは水酸基を表すが、この水酸基中の水素原子はトリアゾール環の窒素原子と水素結合を形成する。
一般式(4)で表される部分構造を有する化合物は一般式(8)
【0032】
【化10】

【0033】
(式中、R5は、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子はハロゲンにより置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2-は酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2CH2-は、-CH=CH-により置換されていてもよく、L5〜L9はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、フッ素原子、塩素原子、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよいが、L5及びL6の少なくとも一つは水酸基であって、L10〜L13は、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよい。)で表される化合物がより好ましい。
【0034】
一般式(4)において、R5は、単結合又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキレン基が好ましく、単結合又は炭素数1〜5の直鎖アルキレン基がより好ましく、単結合がより好ましい。L7及びL9は、それぞれ独立的に、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、基中の-CH2-は-COO-又は-OCO-により置換えられていてもよく、L5及びL6は一方が水酸基を表し、他方が水素原子を表すことが好ましい。
一般式(4)で表される化合物は具体的には一般式(4-a)〜(4-h)
【0035】
【化11】

【0036】
(式中、X1は水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表す。)で表される化合物が特に好ましい。一般式(4-a)〜(4-h)の中でも、一般式(4-a)又は一般式(4-b)が特に好ましい。
式(5)で表される部分構造を有する化合物
【0037】
【化12】

【0038】
(波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合は水素原子を表す。)
式(5)で表される部分構造を有する化合物は一般式(9)
【0039】
【化13】

【0040】
(式中R6は炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、C及びDはフェニル基を表し、それぞれ独立的にこれらの基中に存在する少なくとも一個の水素原子は炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基、フッ素原子、塩素原子、-OCF3に置換されていてもよい。)で表される化合物がより好ましく、
一般式(5-a)
【0041】
【化14】

【0042】
(式中、R6は炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよい)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(6)で表される部分構造を有する化合物
【0043】
【化15】

【0044】
(式中、L3及びL4はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基を表すが、L3及びL4のうち少なくとも一つは水酸基であり、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)
一般式(6)で表される部分構造を有する化合物は一般式(10)
【0045】
【化16】

【0046】
(式中、L14及びL15はそれぞれ独立的に水酸基、水素原子を表すが少なくとも一つは水酸基であり、L16〜L19はそれぞれ独立的に、-SO3Na、-SO3H、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これら基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置き換えられてもよい。)で表される化合物がより好ましく、一般式(6-a)
【0047】
【化17】

【0048】
(式中、L29は水素原子又は水酸基を表し、X2はそれぞれ独立的に-SO3Na、-SO3H、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これら基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置き換えられてもよい)で表される化合物が特に好ましい。
式(7)で表される部分構造を有する化合物
【0049】
【化18】

【0050】
(式中、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)
式(7)で表される部分構造を有する化合物は一般式(11)
【0051】
【化19】

【0052】
(式中a、b、cはそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、L20〜L28はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、水酸基、及び少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置き換えられていてもよいが、L21、L22、L24、L25、L27、L28の少なくとも一つは水酸基を表す。)で表される化合物がより好ましく、一般式(7-a)
【0053】
【化20】

(式中、X2は一般式(6-a)中のX2と同等の構造を表す)で表される化合物が特に好ましい。
【0054】
第四成分は複数の化合物から構成されることも好ましいが、その場合には一般式(8)で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
本願発明において紫外線吸収剤を0.001〜5質量%含有するが、0.001〜2質量%含有することが好ましく、0.001〜1質量%含有することがより好ましい。
本願発明は、第5成分として一般式(12-a)、一般式(12-b)、一般式(12-c)、一般式(12-d)、一般式(12-e)、一般式(12-f)、一般式(12-g)又は一般式(12-h)
【0055】
【化21】

【0056】
(式中、R7及びR8はそれぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Y9〜Y12はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子又はメチル基を表し、Z2は-CH2CH2-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、又は単結合を表すが一般式(12-g)及び一般式(12-h)においては単結合は除かれ、Z3は-C≡C-、-COO-又は-OCO-を表し、Z4は-COO-又は-OCO-を表す。)で表される化合物を含有することも好ましいが、1〜20種の範囲で選ばれることがより好ましく、1〜15種の範囲で選ばれることが特に好ましい。一般式(12-a)から一般式(12-h)の含有率は20〜90質量%の範囲であることが好ましく、30〜80質量%の範囲がより好ましく、40〜70%の範囲が特に好ましい。一般式(12-a)から一般式(12-h)において、R7及びR8はそれぞれ独立して炭素数1から8の直鎖型アルキル基又は炭素数2から8の直鎖型アルケニル基を表すことが好ましく、アルケニル基を表す場合前述の式(a)から式(e)で表される構造を表すことがより好ましい。
又、一般式(12-a)から一般式(12-h)の中でも、一般式(12-a)、一般式(12-b)、一般式(12-c)及び一般式(12-e)がより好ましい。
【0057】
本願発明の液晶組成物は、低い粘性、高いΔnを有し、さらに液晶表示素子を構成した場合においてイオン密度が低く、室温ないし高温における駆動電圧の周波数変化を抑制できるという特徴をもつ。そのため液晶表示素子の高時分割駆動に起因した各画素の周波数分布に対して安定した表示状態を保つ事ができ、高速応答性、高いコントラストに加えて、クロストークと呼ばれる表示見えや表示消え現象を改善した液晶表示素子を提供する事が可能である。ラビング処理されたポリイミド配向膜を有する液晶ディスプレイ用ガラスセルに注入した際のイオン密度は、10[nC/cm2]以下であることが好ましく、6[nC/cm2]以下であることがより好ましく、4[nC/cm2]以下であることが特に好ましい。誘電率異方性(Δε)は、5以上35以下が好ましいが、5以上25以下が特に好ましい。室温における駆動電圧の周波数依存性ΔV/Δf[(Vth[5000Hz]−Vth[64Hz])/Vth[64Hz]×100%]は2%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましく、0.6%以下が特に好ましく、0.4%以下がより特に好ましい。
【0058】
本願発明の液晶組成物は、前述以外の諸特性にも優れた液晶組成物を提供することが可能であるが、ネマチック相上限温度が60℃以上であることが好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上が特に好ましい。Δnは0.10から0.26の範囲であることが好ましく、0.10から0.16の範囲がTN-LCDのセル厚の設計に好ましく、0.13から0.24の範囲がSTN-LCDのセル厚の設計に好ましく、応答速度を重視する場合は0.15〜0.22の範囲であることが特に好ましい。
【0059】
本発明の液晶組成物は、前記の化合物以外に、ネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、2色性色素などを含有していてもよく、更に、耐熱製を改善する目的で酸化防止剤を含有していても良い。酸化防止剤は一般に市販されているものを使用する事ができる。例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGANOX1010、IRGANOX1076や住友化学社製Sumilizer-GS、Sumilizer-GP、Sumilizer-GA80等が挙げられる。又、TN-LCDのリバースツイストドメイン防止のためやSTN-LCDの螺旋構造を誘起するため、カイラル剤を添加しても良い。カイラル剤は通常市販されているものを使用することができる。例えば、コレステリルノナノエート(CN)、メルク社製S-811、R-811、CB-15、C-15などが挙げられる。温度上昇によって誘起螺旋ピッチが長くなるものと短くなるものが知られているが、これらの一方を1種あるいは2種以上を用いても良く、両者を組み合わせて1種あるいは2種以上用いても良い。例えば、TN-LCD、STN-LCD、TFT-LCDにおいては、基板間の厚みdと誘起螺旋ピッチpの商d/pは、0.001から24の範囲から選ぶことができるが、0.01から12の範囲が好ましく、0.1から2の範囲がより好ましく、0.1から1.5の範囲が更に好ましく、0.1から1の範囲が更により好ましく、0.1から0.8の範囲が特に好ましい。
【0060】
上記ネマチック液晶組成物はTN-LCD、STN-LCD、OCB-LCD、高分子分散型液晶表示素子、フェーズチェンジ型コレステリック液晶表示素子に有用であるが、TN-LCD、STN-LCDに特に有用である。また、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0061】
本発明のTN液晶表示素子は目的に応じて、ねじり角を80°から130°の範囲で選択することができ、85°から110°が好ましい。本発明のSTN液晶表示素子は目的に応じて、ねじり角を180°から270°の範囲で選択することができ、220°から260°が好ましい。
【0062】
本発明の液晶組成物を使用することにより、1/32から1/400デューティー、より好適には1/60から1/250デューティーの時分割駆動表示において、高速応答性に優れ、かつ低いイオン密度により各画素の周波数分布による駆動電圧変化が抑えられ、これにより表示ムラが低減して情報量の増加やカラー表示に対しより改善した高コントラストの液晶表示素子を提供することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。又、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
TNI :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δε :誘電率異方性(25℃)
Δn :屈折率異方性(25℃)
η :粘度(mPa・s) (20℃)
STN-LCD表示素子の作成は以下のように行った。ネマチック液晶組成物にカイラル物質「S-811」(メルク社製)を添加して混合液晶を調整し、ツイスト角240度のSTN-LCD表示用セルに注入した。なお、カイラル物質はカイラル物質の添加による混合液晶の固有螺旋ピッチPが10.0μmになるよう調整し、表示用セル厚dは5.0μmを用いた。
【0064】
Vth(STN) :閾値電圧(V)
Vsat(STN) :飽和値電圧(V)
γ :急峻性 Vsat(STN)/ Vth(STN)
τ :応答性(msec)
ΔV/Δf(Vth[5000Hz]−Vth[64Hz])/Vth[64Hz]×100%
ID : 25℃で10V、0.03Hzの三角波形を印加して測定した際の
液晶セルイオン密度 (nC/cm2)
【0065】
化合物記載に下記の略号を使用する。
-n 数字 :-CnH2n+1 (アルキル側鎖は数字、代表するときはRとする。)
-On :-OCnH2n+1
-ndm :-(CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1)
ndm- :CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-1-
-Od(m)n :-O(CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-2)
d(m)nO- :CnH2n+1-CH=CH-(CH2)m-2O-
連結基
-VO- :-COO- -T- :-C≡C-
-2- :-CH2CH2- -Z- : -CH=N-N=CH-
置換基
-CN :-C≡N -F :-F

Ph :1,4-フェニレン基 Ph1:3-フルオロ-1,4-フェニレン基
Ph2:3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基
Ma :ピリミジン-2,5-ジイル基 Cy :1,4-シクロヘキシレン基
また、第四成分として好適な化合物として以下の構造を有する化合物を実施例中に使用した。表中では下記の通り第四成分-A〜Gと表記する。
【0066】
【化22】

【0067】
第四成分として好適な化合物に類似するが、用いることができない化合物として、分子内水素結合を形成していない水酸基を有する以下の化合物を使用した。表中では下記の通り非第四成分-A〜Cと表記する。
【0068】
【化23】

【0069】
非第四成分−A及びBにおいて、芳香環の2位の水酸基は何れも1位のカルボニル基と水素結合を形成しているが、4位の水酸基は分子内水素結合を形成することができない。又、第四成分−Cにおいては、芳香環の2位の水酸基はトリアゾール環の窒素原子と水素結合を形成することができるが、4位の水酸基は分子内水素結合を形成することができないものである。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例1の液晶組成物は、比較例2〜3と比較して、高いΔnを維持しながら、粘性、STN表示素子におけるイオン密度及びΔV/Δfが改善されている。また、比較例4〜5と比較して、低い粘性を維持しながら、より高いΔnを有し、さらに粘性とSTN表示素子におけるイオン密度、ΔV/Δfが改善されている。さらに、第四成分を含有しない比較例1と比べ、STN表示素子におけるイオン密度及びΔV/Δfが改善されている。
【0072】
【表2】

【0073】

第四成分類似の構造を有する化合物でありながら、本願発明において第四成分とは定義されてない化合物を比較例1に添加して調整された比較例6〜8では、いずれもSNT表示素子におけるイオン密度及びΔV/Δfが大きく悪化している。
【0074】
【表3】

【0075】
第四成分として定義した化合物で第四成分B〜Gを用いた実施例2〜7は、いずれも実施例1と比較して、同等の効果を有する事がわかる。
【0076】
【表4】

【0077】
第三成分として、第三成分-1で定義される化合物を用いた実施例8〜10も、実施例1と同等の効果を有することが分かる。
【0078】
【表5】

【0079】
第一成分及+第三成分の比較例9、及び第一成分+第三成分+第四成分の比較例10では、実施例1と比較して、同等の粘性、ΔnでありながらSNT表示素子におけるイオン密度及びΔV/Δfが大きく劣る事がわかる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本願発明の液晶組成物のΔnと粘性を示す図である。
【図2】本願発明の液晶組成物の液晶セルイオン密度と粘性を示す図である。
【図3】本願発明の液晶組成物の液晶セル応答速度とΔV/Δfを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として一般式(1)
【化1】

(式中、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。)
で表される化合物1種以上を、2〜20質量%含有し、
第二成分として一般式(2)
【化2】

(式中、R2は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で表される化合物1種以上を、8〜38質量%含有し、さらに第一成分及び第二成分の含有量の合計が10〜40質量%であって、
第三成分として一般式(3)
【化3】

(式中、R3及びR4はそれぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Z1は-CH2CH2-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、又は単結合を表し、Y1〜Y8はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子又はメチル基を表し、Aは1,4-フェニレン基又は1,4-シクロヘキシレン基を表す。)で表される化合物1種以上を、10〜40質量%含有し、
第四成分として、250〜400nmにおける最大吸収波長が290nm以上である紫外線吸収剤を0.001〜5質量%含有し、該紫外線吸収剤が分子構造中に水酸基を有する場合、全ての水酸基が分子内水素結合を形成していることを特徴とするネマチック液晶組成物。
【請求項2】
紫外線吸収剤が、一般式(4)
【化4】

(式中、R5は、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子はハロゲンにより置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2-は酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2CH2-は、-CH=CH-により置換されていてもよく、L1及びL2はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基を表すが、L1及びL2のうち少なくとも一つは水酸基であり、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)で表される部分構造を有する化合物、
式(5)
【化5】

(波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合は水素原子を表す。)で表される部分構造を有する化合物、
一般式(6)
【化6】

(式中、L3及びL4はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基を表すが、L3及びL4のうち少なくとも一つは水酸基であり、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)で表される部分構造を有する化合物
及び式(7)
【化7】

(式中、波線は部分構造の連結部分を表すが、連結しない場合には水素原子を表す。)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選ばれる請求項1記載のネマチック液晶組成物。
【請求項3】
一般式(1)において、R1が炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数2〜8の直鎖状アルケニル基を表す請求項1又は2記載の液晶組成物。
【請求項4】
一般式(3)において、Aが1,4-シクロヘキシレン基を表し、Y1〜Y8が水素原子を表し、Z1が単結合を表すか又は、Aが1,4-フェニレン基を表し、Y1〜Y8の少なくとも一つがフッ素原子を表し、Z1が単結合を表す請求項1から3の何れかに記載の液晶組成物。
【請求項5】
一般式(8)
【化8】

(式中、R5は、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の炭素原子はハロゲンにより置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2-は酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の-CH2CH2-は、-CH=CH-により置換されていてもよく、、L5〜L9はそれぞれ独立的に水素原子、水酸基、フッ素原子、塩素原子、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよいが、L5及びL6の少なくとも一つは水酸基であって、L10〜L13は、それぞれ独立的に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよい。)で表される紫外線吸収剤を含有する請求項2記載のネマチック液晶組成物。
【請求項6】
一般式(9)
【化9】

(式中R6は炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基又は少なくとも一つのハロゲンにより置換された炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置換えられてもよく、C及びDはフェニル基を表し、それぞれ独立的にこれらの基中に存在する少なくとも一個の水素原子は炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基、フッ素原子、塩素原子、-OCF3に置換されていてもよい。)で表される紫外線吸収剤を含有する請求項2記載のネマチック液晶組成物。
【請求項7】
一般式(10)
【化10】

(式中、L14及びL15はそれぞれ独立的に水酸基又は水素原子を表すが、少なくとも一つは水酸基であり、L16〜L19はそれぞれ独立的に、-SO3Na、-SO3H、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数1〜20のアルキル基、少なくとも一つのハロゲンにより置き換えられていても良い炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これら基中に存在する1個又は2個以上のCH2基はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置き換えられてもよい。)で表される紫外線吸収剤を含有する請求項2記載のネマチック液晶組成物。
【請求項8】
一般式(11)
【化11】

(式中a、b及びcはそれぞれ独立的に0または1の整数を表し、L20〜L28はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子、塩素原子、水酸基、少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は少なくとも一つのハロゲンにより置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基を表し、これらの基中に存在する1個又は2個以上の-CH2-はそれぞれ独立して酸素原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-N-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-又は-OCO-O-により置き換えられていてもよいが、L21、L22、L24、L25、L27、及びL28の少なくとも一つは水酸基を表す。)で表される紫外線吸収剤を含有する請求項2記載のネマチック液晶組成物。
【請求項9】
一般式(12-a)、一般式(12-b)、一般式(12-c)、一般式(12-d)、一般式(12-e)、一般式(12-f)、一般式(12-g)又は一般式(12-h)
【化12】

(式中、R7及びR8はそれぞれ独立的に炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Y9〜Y12はそれぞれ独立的に水素原子、フッ素原子又はメチル基を表し、Z2は-CH2CH2-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-、又は単結合を表すが一般式(12-g)及び一般式(12-h)においては単結合は除かれ、Z3は-C≡C-、-COO-又は-OCO-を表し、Z4は-COO-又は-OCO-を表す。)で表される化合物を1種以上含有する、請求項1〜8の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
【請求項10】
誘電率異方性(Δε)が5以上35以下の範囲である請求項1〜9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
【請求項11】
屈折率異方性(Δn)が0.10以上0.26以下の範囲である請求項1〜9の何れかに記載のネマチック液晶組成物。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の液晶組成物を用いる液晶表示素子。
【請求項13】
捩れ角が180〜270°の範囲である、請求項12記載の超捩れネマチック(STN)液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−7517(P2009−7517A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172079(P2007−172079)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】