説明

ネームプレート用ホルダ及びネームプレート

【課題】明暗いずれの環境下でも確実に表記部を目視することができ、薄型形状で低コストのネームプレート用ホルダを提供する。
【解決手段】衣服若しくは身体に装着する止着部10と、上記止着部に吊り下げ支持されたカードを収容する透明又は半透明のホルダ部とを備えたネームプレート用ホルダであって、上記ホルダ部は、仕切板40と、この仕切板で区割された少なくとも2つのカード収納ポケット21,22を有し、この仕切板は少なくともその一部が蓄光性蛍光材料などの発光面で構成され、前記仕切板は前記カード収納ポケットと一体に形成し、この仕切板は、蓄光性蛍光材料を含浸した合成樹脂製プレート部材、又は合成樹脂製プレート部材に蓄光性蛍光の印刷、塗布、接着などで表面層が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の胸部などに装着するネームプレート及びネームプレート用ホルダに係わり、昼間などの明るい環境下と夜間などの暗い環境下でそれぞれ目的の表記を視認することの可能なプレート表示構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のネームプレートは、プラスチックカードに例えば名前、所属、写真などの個人情報を表記し、このカードを透明(又は半透明)ホルダ内に収納して使用者の胸部に吊り下げるものとして広く知られている。特に最近はこのネームプレートに磁気記憶素子、IC素子などを内蔵して個人認証のデータを記憶するカードも多用されている。
【0003】
このようなネームプレートは夜間或いは比較的暗い場所で個人識別する場合がある。例えば看護従事者、警備従事者などが使用する場合には夜間比較的暗い場所でネームプレート上の個人表記が視認できるようにする必要がある。これと共にこの種のネームプレートはネームカードに簡単に印刷表記できることが要求され、例えば広く普及している事務用プリンタなどで作成できることが求められている。
【0004】
そこで従来、例えば本出願人が提案した特許文献1及び2には透明又半透明のプラスチックシート(トレーシングペーパ)にインクジェットプリンタなどで印刷表記し、このシートをLEDランプ光源で光を照射することが知られている。同公報には透明(又は半透明;以下同様)プラスチックケースに透明シートに印刷したネームカードと、このネームカードの背面にLED光源を照射するネームプレートが開示されている。そして昼間などの明るい環境下ではLED光源を消灯した状態で使用し、夜間などの暗い環境下ではLED光源を点灯して表記面を照射するカード構造が開示されている。
【0005】
ところが、最近このようなネームプレートには名前、顔写真などの表記と同時に磁気記憶テープ、IC記憶チップを内蔵して個人の識別カードとして使用されるに至っている。このカードは名前、顔写真などと共に個人識別情報の記憶部を内蔵しているため不透明なカードで構成され、セキュリティシステムなどで個人認証、入出管理などに使用されている。このため夜間など暗い場所では名前、顔写真などの表記が確認できない問題が指摘されている。
【0006】
そこで、特許文献3にはICカードに蓄光性蛍光塗料で印刷するカートが提案されている。同公報にはカード表面に明所で目視できる情報と暗所で目視できる情報を併記したカードが提案されている。そしてこの明暗両視認情報はいずれも昇華型プリンタで印刷表記することが提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第3117731号公報
【特許文献2】特開2007−108564号公報
【特許文献3】特開2003−91711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなネームプレート或いはネームプレート用ホルダは、その使用目的から(1)安価であること、(2)装着感が少なく使用者の活動の妨げとならないこと、(3)表示部の表記が明暗いずれの環境下でも視認できること、(3)ネームプレートの作成が例えば普及したプリンタ装置で簡便に作成できること、(4)個人情報として顔写真、ロゴなどの画像が印刷できることなどが要求されるに至っている。
【0008】
これに対し従来の、前掲特許文献1及び2のホルダは透明(半透明)のシート上に印刷し、このシートの背面側からLED発光素子で照射するホルダ構造であるため次の問題がある。ネームプレートを収容(挿入)した表示部の背面側にLED発光素子と、その電源(電池など)と、点滅スイッチを内蔵するためネームプレートの表示部が厚くなるため、例えばICカードその他の個人識別カードなどをホルダ内に同時に複数枚収納することができない。これと同時にカード表記部がLED基板で重くなり、この厚くて重い表示部が使用者の胸部から垂れ下がるため各種作業の障害となる。これらの問題と同時にLED素子などの点光源ではスポット光が、対面者(面談者)の目に点輝度として入射して周囲の表記が視認できない問題がある。
【0009】
また、従来の前掲特許文献3のカードは、名前などの表記を蓄光性蛍光インクで印刷することが提案されている。このように、蓄光性蛍光インクを用いて昇華型プリンタ装置で印刷する場合には、この蛍光インクで印字、印画する際に色彩、鮮明度など使用者の嗜好に合った表記は困難である。従って赤色、黄色など限られた蓄光性蛍光インクで表記印刷する以外、顔写真、コーポレイトロゴなどを印刷表記することは不可能とされている。
【0010】
そこで本発明者は、内部に2枚以上のカード状プレートを収容可能なホルダを使用者の胸部に吊り下げ、その表面側に明所用(昼間用)のネームカードを、裏面側に暗所用(夜間用)のネームカードを収容し、両カードの間に蓄光性蛍光材料などの仕切板を配置するとの着想に至った。これにより夜間及び暗所では暗所用のカードを表面に向ければ仕切板の蛍光面がバックライトとして表記部全体を均一の輝度で照らすことができ、同時に暗所用のカードはインクジェットプリンタなど普及した装置で簡単に所望の印刷が可能となることが判明した。
【0011】
本発明は明暗いずれの環境下でも確実に表記部を目視することができるネームカードのホルダを薄型形状で安価に製造することが可能なネームプレート用ホルダの提供をその主な課題としている。また本発明は、衣服身体などに装着した状態で明所用ネームカードと暗所用ネームカードを簡単な操作で切換えることが可能なネームプレート用ホルダの提供をその課題としている。
更に、本発明は暗所用ネームカードの表示と同時に作業用のスポット光を使用者の所望する方向に照射することの可能なネームプレート用ホルダの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。衣服若しくは身体に装着する止着部と、上記止着部に吊り下げ支持されたカードを収容する透明又は半透明のホルダ部とを備えたネームプレート用ホルダであって、上記ホルダ部は、仕切板と、この仕切板で区割された少なくとも2つのカード収納ポケットを有し、この仕切板は少なくともその一部が蓄光性蛍光材料などの発光面で構成される。
【0013】
前記仕切板は前記カード収納ポケットと一体に形成し、この仕切板は、(1)蓄光性蛍光材料を含浸した合成樹脂製プレート部材、又は(2)合成樹脂製プレート部材に蓄光性蛍光の印刷、塗布、接着などで表面層が形成される。
【0014】
前記仕切板は前記カード収納ポケットと分離した別部材で構成し、この仕切板は透明又は半透明の合成樹脂製のベースプレート部材に蓄光性蛍光材料が含浸、又は添着され、このベースプレートは前記カード収納ポケットに収納されるネームプレートの縦横サイズに対し、少なくともその一辺が大きいサイズに形成される。
【0015】
前記ホルダ部には発光体収納ポケットを設け、この発光体収納ポケットは前記カード収納ポケットの上部又は下部に配置し、上記発光体収納ポケットには発光体と、この発光体を点灯する電源を備えた発光体基板を収納する。前記発光体はLED素子、EL素子、液晶素子などの発光素子で形成される。
【0016】
前記止着部と前記ホルダ部とは、この止着部に対してホルダ部が表裏反転可能に回転自在の連結部で連結される。
【0017】
衣服又は身体に装着する止着部材と、上記止着部材に吊り下げ支持されたホルダ部材と、上記ホルダ部材に収容された少なくとも2枚の名札プレートと、を有するネームプレートであって、上記ホルダ部材は、上記2枚の名札プレートを収容する透明又は半透明のカード収納ポケットと、上記ポケット内に設けられ上記2枚の名札プレートを区割する仕切板とで構成される。上記2枚の名札プレートの1方は不透明の非透光性カードで、他方の名札プレートは透明又は半透明の透光性カードで構成し、上記仕切板は蓄光性部材で形成され、上記透光性カードを背面から照らすことを特徴とする。
【0018】
前記止着部材と前記ホルダ部材とは、この止着部材に対してホルダ部材が表裏反転可能に回転自在の連結部で連結される。
【0019】
前記ホルダ部材には発光体収納ポケットを設け、この発光体収納ポケットは前記カード収納ポケットの上部又は下部に配置し、上記発光体収納ポケットにはスポット光を照射する発光体と、この発光体を点灯する電源と点滅スイッチを備えた発光体基板が収納される。
【0020】
前記発光体収納ポケットは前記透光性カードと同一面側に前記発光体が配置される。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、フック、止めピンなどの止着部から吊り下げ支持したホルダ部に、仕切板で区割された少なくとも2つのカード収納ポケットを設け、この仕切板の少なくとも一部を蓄光性蛍光材料などの発光面で構成したものであるから、カード収納ポケットの一方に透明又は半透明のシートに名前、顔写真などの表示を施したカードを収納することによって、夜間など暗い環境下でも名前などの表示部を確実に視認することができる。
【0022】
特に、この透明又は半透明のシート上に施された名前などの表記は、背面側の蓄光性蛍光材料でバックライトとして均一な光で照らし出されるので、従来のスポット光を照射する場合のように表記部が部分的に証明されることも、スポット光が対面者(面談者)の眼孔に照射されることがない。
【0023】
また、仕切板で区割されたカード収納ポケットに昼間用のネームカードと夜間用のネームカードを、その表裏面に収納すればホルダ部を表裏反転することによって昼夜のネームカードを簡単に切換えることが出来る。これと共に例えば衣服若しくは身体に装着する止着部とホルダ部との間に回転自在の連結部を設けてホルダ部を表裏反転可能に構成することによって衣服、身体に装着した状態でホルダ部を表裏反転して昼夜のネームカードを切換えることが出来る。
【0024】
更に本発明は夜間用カードを収納するカード収納ポケットの上部又は下部に発光体収納ポケットを設け、このポケットに発光体と、この発光体を点灯する電源を備えた発光体基板を収納することによって夜間用カードを胸部に表紙した状態でスポット光を照射することが出来る。従ってホルダ部を胸部に吊り下げた状態で発光体を点灯することによってペンライト状に任意の場所を照射することができる。また、この発光体は例えば電池で、ネームカードを照らす仕切板は蓄光性蛍光材料でそれぞれ発光させるため電池の消耗を抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。図1は本発明に係わるネームプレート用ホルダの一実施形態(第1実施形態)を示し、図3は図1と異なるネームプレート用ホルダの一実施形態(第2実施形態)を示し、図5は図1及び図3と異なるネームプレート用ホルダの一実施形態(第3実施形態)を示す。以下各実施形態について説明する。
【0026】
本発明の第1実施形態におけるネームプレート用ホルダA(第2実施形態におけるB、第3実施形態におけるC)は、止着部10と、この止着部10に吊り下げ支持されたホルダ部20とから構成される。止着部10は使用者の衣服、例えば胸部(或いは肩部)ポケットの縁部に掛け止めするクリップ部材11、若しくは衣服の胸部、肩部などにピン止めするピン止め部材(不図示)などで構成される(後述の第1実施形態)。この他止着部10は使用者の首部にループタイ状に装着する首掛け紐部材(ネックストラップ)15で構成される(後述の第2実施形態)。
【0027】
上記ホルダ部20はネームカードを収納するカード収納ポケット21、22を設ける。このカード収納ポケット21、22は、例えばプラスチックシートで袋状に形成され、その前面側(フロント側)と背面側(リア側)には透明又は半透明(以下この両者を単に「透明」という)の表示窓21a、22aを形成する。そしてこの表示窓21a、22aから内部に収納したネームカード30の表示部31a、31bが外部から見えるようにする。後述する実施形態ではカード収納ポケット21、22を透明(又は半透明)のプラスチックシートで形成する場合を示し、この場合には収納ポケット全体が表示窓を形成することとなる。
【0028】
このように前面側に表示窓21a、背面側に表示窓22aを形成したカード収納ポケット21、22を仕切板40で前後に区割して第1カード収納ポケット21と第2カード収納ポケット22を形成する。この仕切板40はカード収納ポケット21,22と一体に構成する(後述の第1実施形態における仕切板41)か、又はカード収納ポケット21,22とは分離して構成する(後述の第2実施形態における仕切板42)。
【0029】
従って前面側と背面側にそれぞれ表示窓21a、22aを形成したカード収納ポケット21,22は仕切板40で前後に区割され、第1カード収納ポケット21と第2カード収納ポケット22が形成されることとなる。そこで本発明はこの第1カード収納ポケット21に昼間用(明所従事用)のネームカード30Aを収納し、第2カード収納ポケット22に夜間用(暗所従事用)のネームカード30Bを収納することを特徴としている。
【0030】
従って使用者は昼間用のネームカード30Aを例えばICカード、磁気カードなど個人認証カードで作成する。これによってセキュリティ管理、例えば出入時間記録、個人認証或いは事業所内の決済などの管理カードと、名前、顔写真などのネーム表記を同一のカードで行うことが出来る。
一方、夜間用のネームカード30Bは夜間作業に従事する使用者の個人情報用のカードとして作成する。この夜間用のネームカード30Bは対面者(面談、看護などの接遇者)に氏名、顔写真などの個人判別情報を表記し、暗所で視認できるようにする。従って夜間用のネームカード30Bは(1)簡便で安価に作成することができること、(2)夜間暗い場所で表記内容(名前、顔写真など)が視認できること、(3)対面者に不快感を与えないデザイン性に富んだ表記が可能であること、などが要求される。
【0031】
そこで本発明は上述の夜間用のネームカード30Bを、インクジェットプリンタなど一般に普及しているプリンタ装置で印刷できるようにする。これによってカード(又はシート)上には顔写真、ロゴなど特殊な印刷が可能となり、使用者は一般に普及している事務用プリンタ装置で迅速に、また簡便に所望の印刷を施すことが出来る。これに対し、従来のカード上に蓄光性蛍光材料のインクで名前などの表記部を印刷する場合には、色彩が制限され、顔写真・ロゴなどの印刷は不可能に近い(中間色がないことから明白)ことであり、また蓄光性蛍光材料のインクを準備することは困難であり高価となる。
【0032】
このように本発明は昼間用のネームカード30AはICカード、磁気カードなどセキュリティ管理に適したカードを使用し、この場合このカードは夜間など暗い場所では名前、顔写真などの表示を読み取ることが出来ない。そこで夜間用のネームカード30Bを一般に普及している事務用プリンタ装置によって簡便で安価に作成することを特徴としている。この夜間用のネームカード30Bは、例えばインクジェットプリンタ用のカードシートとして市販されている透明又は半透明のシートを用いる。この種の透明又は半透明のシートはトレーシングペーパとして広く知られ、同時に一般に普及している。
【0033】
そこで本発明は前述の仕切板40を暗い環境下で発光するように構成する。これによって透明又は半透明のシートで作成された夜間用のネームカード3Bは背面側から仕切板40の発する光で照明され、その表示部31bを可視することができる。この仕切板40の発光は前面が略々均一の輝度と明度でカード表面の表示部31bを照明することとなる。
【0034】
このように構成される仕切板40は(1)仕切板(プラスチック板)41に蓄光性蛍光材料を含浸(練り込み成形)させるか、又は(2)プラスチック板(ベースプレート)41にスクリーン印刷、塗布ローラなどで蓄光性蛍光材料の膜(印刷膜又は塗布膜)を形成するか、又は(3)プラスチック板(ベースプレート)41に蓄光性蛍光材料で形成した蛍光シートを接着、粘着剤などで貼着するか、又は(4)互いに重ね合わせた2枚のプラスチック板41a、41bの間に蛍光シートをサンドイッチさせる。これらのいずれかの方法を採用する。
【0035】
尚、ここで蓄光性蛍光材料を例示すると、蓄光性蛍光体としてCaS:Bi(紫青色発光),CaSrS:Bi(青色発光),ZnS:Cu(緑色発光),ZnCdS:Cu(黄色〜橙色発光)等の硫化物蛍光体が知られている。また、特許文献(特開平7−11250号)には、蓄光性蛍光体として、MAl2O4で表わされる化合物で、Mは、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の金属元素からなる化合物を母結晶にすると共に、賦活剤としてユウロピウムを、共賦活剤としてランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムからなる群の少なくとも1つ以上の元素を添加することが開示されている。本発明の蓄光性蛍光材料はこのように既に知られている蓄光性蛍光体を適宜選択して使用する。
【0036】
以下図示の好適な実施形態について詳述する。
[第1実施形態]
図1に示すネームプレート用ホルダAは、同図(a)に背面図を、同図(b)に正面図を、同図(c)にジョイント部の断面を示す。また図2にその中央を縦断した断面図を示す。図1(a)に示すようにネームプレート用ホルダAは止着部10を構成するクリップ部材11と、このクリップ部材11に連結された吊下げ紐部材14と、ホルダ部材20とで構成されている。クリップ部材11は使用者の胸部、肩部などのポケット縁に掛け止めするクランプ構造に構成する。またこのクリップ部材11は使用者の衣服に刺入して掛止するピン止め部材(不図示)であっても良い。
【0037】
上記クリップ部材11には吊下げ紐14aが固定され、この吊下げ紐14aにはジョイント部材13が設けられている。このジョイント部材13は、これに吊り下げ支持するホルダ部20が表裏反転出来るように回転自在のジョイント構造(ユニバーサルジョイント構造)に構成されている。例えば吊下げ紐部材14を上下に分離し、その一方である吊下げ紐14aに連結ピン13pの肥大部を回転自在に嵌合連結する。そして他方の吊下げ紐14bにホルダ部20を取り付ける。このように構成するとクリップ部材11を衣服に止着した状態でジョイント部材13によってホルダ部20を表裏反転させることが可能となる。
【0038】
上記クリップ部材11にはホルダ部20が吊り下げ支持される。このホルダ部20にはカード収納ポケット21,22が設けられ、内部に収納したネームカード30A、30Bが外部から見えるように表示窓21a、22aが備えられる。そしてこのカード収納ポケット21,22は図2に示すように仕切板41で区割され、表裏に2枚のカード(昼間用のネームカード30Aと夜間用のネームカード30B)が収納される。
【0039】
図1(a)及び(b)に示すホルダ部20は次のように作成される。図2に示すように例えば表示窓21a,22aを構成する透明又は半透明のプラスチックシートS1とS2を重ね合わせる。このとき仕切板41を構成するベースプレートS3を挟んで表面側に第1のプラスチックシートS1を、背面側に第2のプラスチックシートS2を重ね合わせ、その周縁を加熱溶着する(図1に示すSeは溶着シーム部である)。このときネームカード30A、30Bを収納する挿入口21b、22bを除く3周辺を加熱溶着する。するとベースプレートS3の表面側に第1カード収納ポケット21が、背面側に第2カード収納ポケット22が形成され、それぞれに挿入口21bと22bが配設される。
【0040】
そこで上記ホルダ部20の材質について説明すると、上述の表示窓21a、22aを形成するプラスチックシートS1、S2は透明又は半透明のプラスチックフィルムで構成することが好ましい。例えば熱可塑性の樹脂を用いれば袋状に形成する第1、第2カード収納ポケット21、22を加熱溶着(高周波溶着など)で形成することが出来る。また熱硬化性樹脂を使用する場合は接着剤などで周縁を接着する。図示のホルダ部20は前述の第1のプラスチックシートS1と第2のプラスチックシートS2を塩化ビニール、ポリエチレンなどの樹脂材料で形成し、ベースシートS3はこれらの樹脂材料に前述の蓄光性蛍光材料を練り込んで成形する。尚、ベースシートS3は蓄光性蛍光材料を混入する他、プラスチックフィルムに印刷、塗布などで蓄光性蛍光材料の被膜を形成しても良い。そしてこれらのシート材をベースプレートS3を中央に、第1のプラスチックシートS1をその前面に、第2のプラスチックシートS2をその背面に重ねあわせ、周縁3方を加熱溶着して溶着シーム部Seを形成する。このように図1(a)(b)に示すホルダ部20は仕切板41(ベースシートS3で構成)と第1カード収納ポケット21及び第2カード収納ポケット22を形成する第1、第2のプラスチックシートS1、S2を、その周縁を加熱溶着して一体に形成したことを特徴としている。
【0041】
本発明は上述のホルダ部20に発光体収納ポケット25を設けたことを特徴としている。この発光体収納ポケット25は上述の第1、第2カード収納ポケット21、22の上部又は下部に配置される。図1(a)(b)のホルダ部20は第1、第2カード収納ポケット21、22の上部に配置してあり、内部に発光体基板51を挿入口25aから収納する。この発光体収納ポケット25は袋状に形成され前述のベースプレートS3に溶着して結合してある。
【0042】
上記発光体基板51はエポキシ樹脂などで形成され内部に電気回路がプリント配線されている。図示52a、52bは電池であり、2つの電池が直列に配置されている。この電池52a、52bは発光体基板51に着脱可能に装着されている。図示53はスポットライトであり、LED素子、EL素子、液晶素子で構成され、発光体基板51に取り付けられている。また図示54はホールティングスイッチであり、スポットライト53を点滅操作する。このように構成された発光体基板51は発光体収納ポケット25に収納され、前述の第2カード収納ポケット22側から外部に臨むように構成されている。尚この第2カード収納ポケット22には夜間用のネームカード30Bが収納される。
【0043】
以上のように構成されたネームプレート用ホルダAは仕切板41で区割された第1カード収納ポケット21に昼間用のネームカード30Aを挿入し、その背面に位置する第2カード収納ポケット22に夜間用のネームカード30Bを収納する。そして止着部10を使用者の胸ポケットなどに装着する。この状態で止着部10とホルダ部20との間に配置されたジョイント部材13で正面側に昼間用のネームカード30Aを臨ませるか、又は夜間用のネームカード30Bを臨ませる。そこで昼間用のネームカード30Aは明るい環境下で正面フロント側に臨ませ、その表示部31aが外部から見えるようにする。また夜間用のネームカード30Bは暗い環境下で正面フロント側に臨ませる。このときこの夜間用のネームカード30Bの表示部31bは仕切板41から発せられる蛍光によって照らされる。このとき、仕切板41は前面がほぼ均一の輝度と明度で一様に光を発するためスポット光が対面者の目に入ることも、また表示部31bの一部のみが明るく、その他は暗く照らされることがない。
【0044】
[第2実施形態]
前述のネームプレート用ホルダAは仕切板40(第1実施形態における41)をホルダ部20のカード収納ポケット21,22と一体(溶着結合)に設ける場合を示した。この仕切板40はカード収納ポケット21,22から分離した別部材で構成することも可能である。図3にその実施形態を示すが、図1の実施形態と同一構造については同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
図3のネームプレート用ホルダBは止着部10をネックストラップ(首掛け紐部材)15で構成した場合を示す。紐状のネックストラップ15は使用者の首に掛けるように構成され、このネックストラップ15にホルダ部20が吊下げ支持されている。図示13は前述と同様のジョイント部材である。ホルダ部20には袋状に形成したカード収納ポケット23、24が設けられている。このカード収納ポケット23、24にはカード状の仕切板42が収納されている。この仕切板42はカード収納ポケット内を前面側の第1カード収納ポケット23と背面側の第2カード収納ポケット24に区割する。
【0046】
そこで前述のものと同様に挿入口23bから仕切板42の前面側に昼間用のネームカード30Aを、挿入口24bから仕切板42の背面側に夜間用のネームカード30Bを収納する。すると第1カード収納ポケット23の表示窓23aから昼間用のネームカード30Aの表示部31aが外部に露出し、第2カード収納ポケット24の表示窓24aから夜間用のネームカード30Bの表示部31bが外部に露出する。
【0047】
上述のカード収納ポケット23、24は、透明又は半透明のプラスチックシートS1とS2を重ね合わせて挿入口23b、24bを除いてその周縁を加熱溶着する。プラスチックシートS1、S2の材料は前述のものと同様に選択する。次いでこのように構成された収納ポケット23、24に別途プレート状に構成した仕切板42を収納する。これによって仕切板42で区割されたカード収納ポケット23、24が形成される。
【0048】
上述のように構成されたホルダ部20には前述と同様の発光体収納ポケット25が設けられ、図示のものはカード収納ポケット23,24の下側に配置してある。その他の構成は図1のものと同様であるので同一番号を付して説明を省略する。
【0049】
本発明にあってスポットライト53を備えた発光体基板51は止着部10に設けることも可能である。例えば図5に示すように、クリップ部材18と発光体基板51を一体化する。そしてこの発光体基板51にホルダ部20を吊下げ支持し、その連結部にジョイント部材13を設ける。そしてホルダ部20は前述の第1実施形態又は第2実施形態と同様に構成する。
【0050】
更に本発明にあってホルダ部20を構成するカード収納ポケット21、22(23、24)は軟質プラスチックシートに限らず硬質シートで構成することも可能である。この場合には図5(b)に示すようにフロントプレートs1とリアプレートs2との間にスペーサ部材s3(底部スペーサと側部スペーサ)を介在させて両者を接着する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係わるネームプレート用ホルダの一実施形態(第1実施形態)を示す説明図であり、(a)はその背面状態の説明図、(b)はその正面状態の説明図を示し、(c)は止着部の構造を示す説明図である。
【図2】図1のネームプレート用ホルダの断面図であり、(a)は、図1の中央縦断断面図であり、(b)はそのX部の拡大断面図である。
【図3】図1と異なるネームプレート用ホルダの実施形態(第2実施形態)である。
【図4】図3のネームプレート用ホルダの断面図であり、(a)は、図1の中央縦断断面図であり、(b)はそのX部の拡大断面図である。
【図5】図1及び図3のネームプレート用ホルダにおける変形例の説明図であり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
【0052】
A ネームプレート用ホルダ(第1実施形態)
B ネームプレート用ホルダ(第2実施形態)
C ネームプレート用ホルダ(第3実施形態)
10 止着部
13 ジョイント部材
14 吊下げ紐部材
15 首掛け紐部材(ネックストラップ)
20 ホルダ部
21 第1カード収納ポケット(第1実施形態)
21a 表示窓(前面側)
21b 挿入口
22 第2カード収納ポケット(第1実施形態)
22a 表示窓(背面側)
22b 挿入口
23 第1カード収納ポケット(第2実施形態)
23a 表示窓(前面側)
23b 挿入口
24 第2カード収納ポケット(第2実施形態)
24a 表示窓(背面側)
24b 挿入口
25 発光体収納ポケット
25a 挿入口
30A ネームカード(昼間用)
30B ネームカード(夜間用)
31a 表示部(昼間用)
31b 表示部(夜間用)
40 仕切板(41乃至42)
51 発光体基板
52a 電池
52b 電池
53 スポットライト
54 ホールティングスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服若しくは身体に装着する止着部と、
上記止着部に吊り下げ支持されたカードを収容する透明又は半透明のホルダ部と、
を備えたネームプレート用ホルダであって、
上記ホルダ部は、仕切板と、この仕切板で区割された少なくとも2つのカード収納ポケットを有し、
この仕切板は少なくともその一部が蓄光性蛍光材料などの発光面を有していることを特徴とするネームプレート用ホルダ。
【請求項2】
前記仕切板は前記カード収納ポケットと一体に形成され、
この仕切板は、(1)蓄光性蛍光材料を含浸した合成樹脂製プレート部材、又は(2)合成樹脂製プレート部材に蓄光性蛍光の印刷、塗布、接着などで表面層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のネームプレート用ホルダ。
【請求項3】
前記仕切板は前記カード収納ポケットと分離した別部材で構成され、
この仕切板は透明又は半透明の合成樹脂製のベースプレート部材に蓄光性蛍光材料が含浸、又は添着され、
このベースプレートは前記カード収納ポケットに収納されるネームプレートの縦横サイズに対し、少なくともその一辺が大きいサイズに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のネームプレート用ホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ部には発光体収納ポケットが設けられ、
この発光体収納ポケットは前記カード収納ポケットの上部又は下部に配置され、
上記発光体収納ポケットには発光体と、この発光体を点灯する電源を備えた発光体基板が収納されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかの項に記載のネームプレート用ホルダ。
【請求項5】
前記発光体はLED素子、EL素子、液晶素子などの発光素子で形成されていることを特徴とする請求項4に記載のネームプレート用ホルダ。
【請求項6】
前記止着部と前記ホルダ部とは、この止着部に対してホルダ部が表裏反転可能に回転自在の連結部で連結されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかの項に記載のネームプレート用ホルダ。
【請求項7】
衣服又は身体に装着する止着部材と、
上記止着部材に吊り下げ支持されたホルダ部材と、
上記ホルダ部材に収容された少なくとも2枚の名札プレートと、
を有するネームプレートであって、
上記ホルダ部材は、
上記2枚の名札プレートを収容する透明又は半透明のカード収納ポケットと、
上記ポケット内に設けられ上記2枚の名札プレートを区割する仕切板と、
で構成され、
上記2枚の名札プレートの1方は不透明の非透光性カードで、他方の名札プレートは透明又は半透明の透光性カードで構成され、
上記仕切板は蓄光性部材で形成され、上記透光性カードを背面から照らすことを特徴とするネームプレート。
【請求項8】
前記止着部材と前記ホルダ部材とは、この止着部材に対してホルダ部材が表裏反転可能に回転自在の連結部で連結されていることを特徴とする請求項7に記載のネームプレート。
【請求項9】
前記ホルダ部材には発光体収納ポケットが設けられ、
この発光体収納ポケットは前記カード収納ポケットの上部又は下部に配置され、
上記発光体収納ポケットにはスポット光を照射する発光体と、この発光体を点灯する電源と点滅スイッチを備えた発光体基板が収納されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のネームプレート。
【請求項10】
前記発光体収納ポケットは前記透光性カードと同一面側に前記発光体が配置されていることを特長とする請求項9に記載のネームプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−3189(P2009−3189A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164253(P2007−164253)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(393000881)株式会社マルアイ (10)
【Fターム(参考)】