ノイズ低減のためのカオス的広帯域周波数変調器
【課題】コンピュータデバイスが他のコンピュータデバイスに及ぼす電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)を低減させる。
【解決手段】装置及び方法は、カオス的広帯域周波数変調を利用して、コンピュータシステムにおける電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)を低減する。カオスノイズ変調器は、非変調基準信号に応じて制御電圧を生成するマスターセルと、ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有し、マスターセルと連結され制御電圧に応じて変調出力信号を生成するスレーブセルとを備える。
【解決手段】装置及び方法は、カオス的広帯域周波数変調を利用して、コンピュータシステムにおける電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)を低減する。カオスノイズ変調器は、非変調基準信号に応じて制御電圧を生成するマスターセルと、ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有し、マスターセルと連結され制御電圧に応じて変調出力信号を生成するスレーブセルとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、コンピュータシステムのノイズ低減の分野に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、カオス的広帯域周波数変調を通じて、コンピュータシステムにおける電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)を低減する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータデバイスが数多く使用されるのに伴い、1つの動作するコンピュータデバイスが他のコンピュータデバイスに及ぼす電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)の問題は、他のコンピュータデバイスの性能を低減させてしまう。このような干渉は、外部からの電磁波をそらす、又は、無線周波数(RF)波がコンピュータデバイスのオペレーション及び性能に干渉するのを防ぐような特別な空間ノイズ低減筐体でコンピュータデバイスを囲うことにより、低減することができる。また、コンピュータデバイスの筐体に特別な塗料を塗布して、好ましくない電磁信号又は無線周波数信号をそらすことができる。しかしながら、上記のような筐体及び特別な塗料は、非常に高価であり、コンピュータデバイスの価格の低下が進む状況で、これらを用いるのは現実的でない。
【0003】
上記のような高価な筐体や特別な塗料を使用する替わりに、コンピュータデバイスにノイズ低減回路を設ける方法がある。従来から、コンピュータデバイスのプロセッサにより生成されるパワースペクトルのピークを低減するのに、正弦波プロファイル、三角波プロファイル及びLexmarkプロファイルのような周期的変調プロファイルが使用されてきた。スペクトルパワーのピークを低くすれば、電磁波干渉を低減させることができる。しかしながら、このように構成すると、パワースペクトルのバンド幅が拡大してしまう。パワースペクトルのバンド幅が拡がってしまうと、近隣周波数帯と干渉を引き起こし、その結果、無線周波数干渉が生じてしまう。
【0004】
自由に使用できる周波数帯内により多くの無線機をチップに搭載するようになり、このような複数無線環境における設計においては、二つの課題が存在する。
【0005】
一つは、チップにおける様々なデバイス間及び周囲環境で利用する周波数帯域同士の間隔が詰まっていることである。これは、様々なデバイス同士の相互作用により、干渉を引き起こしてしまうことにつながる。このような干渉は、図1に示すように、干渉しているチャネルから動作周波数をずらすことにより、低減可能である。図1は、周波数対パワーのプロットであり、周波数拡散のコンセプトを示したものである。無線周波数干渉を低減するには、図に示すように、パワースペクトル101をパワースペクトル102へとシフトさせることにより、動作周波数をずらす。周波数をずらすことにより無線周波数干渉は低減可能であるが、高いパワーピーク101、102には、依然として電磁波干渉の問題が残る。
【0006】
二つ目の課題として、コンピュータデバイスの数が増加し周波数帯が拡大する状況で、連邦通信委員会(FCC)のような取締機関が規定する水準にまで電磁波干渉を低減するのが難しくなっていることが挙げられる。従来から、周期的なクロック周波数を利用してコンピュータデバイスのパワー周波数スペクトルを変調するスペクトル拡散技術により、この課題に対応してきた。
【0007】
スペクトル拡散技術は、周波数スペクトルのバンド幅を拡げ、スペクトルにおけるピークパワーを小さくする。図1に示すように、このスペクトル拡散手法を、試験デバイスの周波数スペクトル105に適用すると、平坦な周波数スペクトル104が得られる。さらなるピークパワーの低減が必要となる場合には、スペクトル拡散技術をさらに適用し、103のスペクトルが得られる。しかしながら、電磁波干渉に対応して104のパワーを低減すると、バンド幅が103のように拡がった結果、(106で示すような)無線周波数干渉が生じる場合がある。同図には、(高いパワーピークに起因する)電磁波干渉を避けるために生じたパワー損失が105で示されている。104に適用されたスペクトル拡散技術よりも高いスペクトル拡散を可能とすることにより、より大きく拡がったバンド幅103を得ることができる。
【0008】
本発明の実施形態が、以下に記す詳細な説明及び本発明の様々な実施形態の添付図面を参照することにより理解されるが、これらは、本発明を特定の実施形態に制限するものではなく、本発明を説明し理解を促すことを目的として提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電磁波干渉を低減する一方、無線周波数干渉を引き起こしてしまう可能性のあるスペクトル拡散技術の問題点を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、カオス広帯域周波数変調器の上位層のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を使用した変調出力信号の生成を示したものである。
【図4A】本発明の一実施形態に係るカオス変換写像を示したものである。
【図4B】本発明の一実施形態に係るカオス信号生成器の実装を示したものである。
【図5A】本発明の一実施形態に係るカオス変換写像関数としてテント写像を実装した図4Bに示すカオス信号生成器の出力を示したものである。
【図5B】本発明の一実施形態に係る、図4Bのカオス信号生成器を使用したテント写像ノイズの確率密度関数を表したものである。
【図6A】本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器600の上位層ブロック図である。
【図6B】本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の210及び211)のトランジスタレベルでの実装例を示したものである。
【図6C】本発明の他の実施形態に係る、ランプ発生器(図2の210及び211)のトランジスタレベルでの実装例を示したものである。
【図7】本発明の一実施形態に係る、エッジ発生器の上位層の実装例を示したものである。
【図8A】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャートである。
【図8B】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャートである。
【図9】周期的三角波信号ベース変調に対して、本発明の一実施形態に係るカオスノイズベース変調の利点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、カオス的広帯域周波数変調を利用して、コンピュータシステムにおける電磁波干渉及び無線周波数干渉を低減する装置及び方法について述べる。
【0011】
「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施例」、「他の実施形態」等は、少なくとも本発明の実施形態が、実施形態に関連した特定の特徴、構造及び特性を含むことを示唆するが、必ずしも全ての実施形態がこれら特定の特徴、構造及び特性を含むことを意味しない。したがって、本明細書中の様々な箇所で使用されている「一実施形態」、「ある実施形態」又は「いくつかの実施形態」という表現は、必ずしも同一の実施形態を示していない。また、本明細書において、ある要素、特徴、構造又は特性が「含まれてもよい」、「含まれる場合がある」、又は「含むことができる」と記載されている場合は、これら特定の要素、特徴、構造又は特性が、必ず含まれる必然性を要求しないことを表している。また、明細書及び特許請求の範囲において、単に要素が記載されることは、「一つのみ」との記載がされない限り、この要素が一つしかないことを意味しない。また、明細書及び特許請求の範囲において、「さらなる」要素との記載は、このさらなる要素が一つよりも多く存在することを除外しない。
【0012】
背景技術の章で述べたように、周波数変調のための周期的クロック信号に基づく周波数スペクトル拡散技術では、新たなパワースペクトルのバンド幅が拡がってしまうのと引き換えに、パワーピークを下げていた。したがって、新たなパワースペクトルで拡がってしまったバンド幅により、近くに位置する動作中の周波数スペクトルと無線周波数干渉を引き起こしてしまう可能性がある。スペクトル拡散技術を適用する場合に、変調されたクロック信号のスペクトルが均一に拡がることから、連続的なサンプル間で修正を全く行わない純粋なノイズ信号を変調信号として使用するのが理想的である。しかしながら、純粋にランダムな信号を生成するのは、高価なプロセスである。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態による、電磁波干渉及び無線周波数干渉を低減するカオス(ランダム)広帯域周波数変調器200の上位層のブロック図である。変調器200は、マスターセル201とスレーブセル202を有する配置で構成される。このような構成では、変調されていない入力基準クロック周波数に例えばクロックのジッターによりドリフトが生じてしまったとしても、出力される変調クロック信号がこの変調されていない非変調入力基準クロック信号209を追随可能である。
【0014】
一実施形態において、マスターセル201は、それぞれ比較器205、206に連結された一組のランプ発生回路203、204を含む。比較器の出力は、エッジ発生器207に接続される。一実施形態において、エッジ発生器207は、セット‐リセットラッチ(SRラッチ)である。比較器205、206は、ランプが形成された周期的信号と、所定信号(電圧)Vxとを比較する。
【0015】
一実施形態において、所定電圧Vxは、バンドギャップ電圧発生回路を通じて生成される。他実施形態においては、他の電圧源を使用して所定電圧Vxを生成してもよい。所定電圧Vxは、ランプ信号と所定の電圧とが交差する点が、非変調基準信号の周波数に近く(又は同一に)なる出力周波数となるような値に設定される。一実施形態において、所定電圧Vxは、SRラッチ207の制御信号を生成するのに使用される。また、ある実施形態では、所定電圧Vxは、以下に詳述するスレーブセルに入力される。
【0016】
一実施形態において、非変調基準信号は、基準クロック信号発生器209によって生成されるような周期的な信号である。他の実施形態では、基準信号は、位相周波数比較器(PFD)208に送られる外部信号である。また、一実施形態において、所定電圧Vxは、電源電圧レベルのおよそ2分の1であるVcc/2に設定される一定信号である。
【0017】
以下に述べるスレーブセル202のカオス信号生成器212によって生成されるカオスノイズに、この所定電圧Vxを付加する。カオス(ランダム)ノイズにこの所定電圧Vxを加算する理由の一つとして、カオス信号生成器212がノイズを生成しない場合に、スレーブセル202の出力変調クロックと209からの基準信号とを同期させることがある。一実施形態において、スレーブセル202の加算器216、217によって、所定電圧Vxがカオスノイズ信号に加算される。
【0018】
一実施形態において、マスターセル201の位相周波数比較器208は、エッジ発生器207及び基準クロック発生器209と連結される。位相周波数比較器208は、エッジ発生器207と基準クロック発生器209からの非変調基準クロック信号とを比較して、制御電圧Vctrlを生成する。一実施形態において、制御電圧Vctrlは、最終的に出力される変調クロックを生成するスレーブセル202に入力される。制御電圧Vctrlにより、ランプ発生器203、204、210及び211からのランプ信号の傾きを調整する。ランプ発生器203、204、210及び211は、非変調入力基準信号の周波数と同じ周波数を持つランプ信号を生成する。ランプ信号の傾きを調整する目的としては、非変調入力基準信号のノイズ(例えば、クロックのジッタ)を追跡するためであり、変調出力信号が生成される時にノイズもその一部に含まれている。
【0019】
一実施形態において、ランプ発生器203、204、210及び211は、基準クロック信号の高パルス及び低パルスそれぞれについて、ランプを生成する。ランプは、非変調基準入力クロック信号の高パルス及び低パルスに幅にそれぞれ等しい幅を持つ。
【0020】
一実施形態において、抵抗R及びコンデンサC1及びC2は、マスターセル201におけるループを安定化する。一実施形態において、抵抗R及びコンデンサC1及びC2の値は、それぞれ5.5kΩ、15pF及び1.5pFである。別の実施形態では、処理技術、変調条件等の要件に応じて、これら抵抗及びコンデンサについて他の値を採用してもよい。
【0021】
一実施形態において、スレーブセル202は、1組のランプ発生器210、211、比較器213、214、カオス信号生成器212、加算器216、217、及びエッジ発生器215を含む。ランプ発生器210、211は、非変調基準入力クロックと同じ周波数を発生する。
【0022】
カオス信号生成器212は、ランダムなノイズ信号を生成する。ランダムノイズ信号のノイズ電圧の最大値及び最小値は、要求される周波数拡散に依存する。一実施形態において、ランダムノイズ信号の周波数は、基準信号の周波数よりも低くなっている。一実施形態において、ランダムノイズ信号の周波数は、32KHzである。また、一実施形態において、基準信号の周波数は、100MHzである。他の実施形態では、本発明の本質を変更することなく、ランダムノイズ信号及び基準信号について他の周波数を使用してもよい。
【0023】
カオス信号生成器212は、初期条件に非常に大きく影響を受ける。すなわち、初期電圧X(n)(Xnとも記す)の微小な変化であっても、ノイズのプロファイルに大きな変化をもたらす。例えば、図4Bに示す電圧X(n)(Xnとも記す)の初期状態が50mVに設定される場合、電圧X(n)の初期状態が55mVに設定される場合と比較して、全く異なるノイズプロファイルを示す。すなわち、この例において、初期条件の5mVの変化であっても、全く異なるノイズプロファイルが生成される。このように、Xnの初期電圧状態に大きく依存するということは、カオス信号生成器212が、既知の初期条件について決定性を有するが、カオス信号生成器212によって生成されるノイズプロファイルについてはそうではないということを意味している。また、このようなカオス信号生成器212の挙動は、カオスノイズ信号の連続的なサンプルは、この連続的サンプル間において非ゼロ相関を持つことを意味する。上述したように、純粋なノイズ信号では、連続的サンプル間でゼロ相関を持つ。カオス信号生成器212の実装については、以下に図4A及び図4Bを参照して説明するが、(図5A及び5Bに示すような)ノイズ生成器の性能は、カオス信号サンプル間で明らかにゼロ相関となり、ノイズ信号生成器212の出力がランダム(カオス的)であることを表している。カオス信号生成器212からのカオス信号サンプル間で明らかにゼロ相関となる理由は、図4Aに示す実施形態のように、相関が指数関数的に減少するからであり、したがってランダムな(カオス的な)出力信号であると言える。
【0024】
一実施形態において、スレーブセル202の比較器213、214は、カオス信号生成器212からのランダムノイズ信号と、ランプ発生器210、211からのランプ信号とを比較する。一実施形態において、カオス信号生成器212からのランダムノイズ信号は、マスターセル201の所定電圧Vxに(加算器216、217によって)加算される。そして、加算器213、214は、加算された出力とランプ発生器210、211からのランプ信号とを比較する。比較器213、214からの出力は、エッジ発生器215に入力される。一実施形態において、エッジ発生器215は、SRラッチである。一実施形態において、比較器213の出力は、SRラッチ215の"リセット"信号として入力され、比較器214の出力は、SRラッチ215の"セット"信号として入力される。一実施形態において、スレーブセル202の比較器は、変調クロック出力を生成する際に基準クロック信号における変化を追跡するマスターセル201の比較器と同一のものである。
【0025】
一実施形態において、ランプ発生器210によって生成されたランプ信号は、非変調基準クロック信号の低パルスに対応する。同様に、一実施形態において、ランプ発生器211によって生成されたランプ信号は、非変調基準クロック信号の高パルスに対応する。ランプ信号がランダムノイズ信号と交差する場合、比較器(213及び214)は、信号が高い状態から低い状態へ、又は低い状態から高い状態への遷移を出力する。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器213及び214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされる。
【0026】
一実施形態において、比較器214の出力が、高い状態から低い状態へと(低い状態から高い状態へと)遷移したときに、ランプ発生器211はリセットされる。このリセットにより、ランプ発生器は、ランプ信号の生成を中断する(開放する)。また、この比較器214の出力の遷移によって、他のランプ発生器210がトリガされる、すなわち、ランプ信号の生成が開始される。同様に、比較器213の出力が交差結合されることにより、ランプ発生器210がリセットされ、他のランプ発生器211がトリガされる。
【0027】
一実施形態において、比較器214の出力は、SRラッチ215をセットする、すなわち、SRラッチ215は、高信号を生成する。また、一実施形態において、比較器213の出力は、SRラッチ215をリセットする、すなわち、SRラッチ215は、低信号を生成する。その結果、ランプ発生器210及び比較器213は、変調出力クロック信号の低パルスを生成し、ランプ発生器211及び比較器214は、変調出力クロック信号の高パルスを生成する。
【0028】
マスターセル201とスレーブセル202との設計をマッチングさせる理由の一つとして、例えば、出力変調信号が生成される場合の非変調基準クロック信号のノイズを継続して追跡することが挙げられる。
【0029】
図3は、一実施形態に係るカオス(ランダム)ノイズ信号を使用して変調出力信号を生成するアルゴリズムを上位層の図式で示したものである。一実施形態において、非変調基準クロック301の高パルス及び低パルスとそれぞれ等しい幅を持つ二つのランプ(304及び305)が生成される。これらのランプ信号(304及び305)は、比較器(図2の213及び214参照)によってカオス(ランダム)ノイズ信号302と比較され、出力変調信号303が生成される。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号302は、比較器213、214によってランプ信号と比較される前に、図2に示す加算器216、217によってマスターセルの201の所定電圧Vxと足し合わされる。
【0030】
一実施形態において、ランダムノイズ信号302(図3参照)の周波数は、図2の基準クロック発生器209によって生成される基準クロック周波数よりも低い。ランダムノイズ信号302の電圧値が変化すると、変調出力信号の周波数も変化する。この周波数の変化は、ランダム信号電圧レベルが変化する前の交差点と比較して、ランプ信号(304及び305)がランダムノイズ信号302と異なる点で交差することによって生じる。図3において、周波数の変化は、306、307及び308で示されている。
【0031】
一実施形態において、カオス(ランダム)ノイズ信号302の電圧レベルは、カオス変換写像に依存する。カオス変換写像は、図2のカオス信号生成器212によって実装される。また、一実施形態において、テント変換写像が、カオス変換写像として実装される。他の実施形態においては、ベルヌーイシフト写像を、カオス変換写像として実装する。同様に、その他の実施形態において、カオス(ランダム)ノイズ信号302を生成するのに、他の形式のカオス変換写像を実装してもよい。
【0032】
図4Aは、本発明の一実施形態に係るカオス変換写像であるテント写像400を例示したものである。テント写像を使用する利点は、変換関数が二つの象限のみを持つので、実装が簡易になることである。テント写像400は、典型的なテント写像方程式401で表される。一実施形態において、テント写像400は、μ=2として実装される。また、他の実施形態においては、図2のカオス信号生成器212の原理を変更することなく、μについて他の値を使用してもよい。図4Aにおいて、x軸はXnの電圧を示し、y軸は、X(n+1)の電圧を示している。一実施形態において、バイアス電圧Vb(図4Bに記載されている)は、三角形の写像信号の中間点に設定される。図4Bに示す乗算回路の実装は、どのようなバイアス電圧VbがXnに対して設定されるかに依存する。
【0033】
図4Bは、本発明の一実施形態に係るカオス信号生成器410の実装を例示したものである。ここで例示する実装は、テント写像(図4Aの400)を、カオス変換写像として使用している。一実施形態において、乗算器411、412及び413は、アナログ乗算器である。一実施形態において、これらの乗算器は、オペアンプ(演算増幅器)ベースの回路として実装される。乗算器の抵抗(図示せず)は、乗算器411、412及び413の乗率を決定する。図4Bの実装では、乗算器の乗率は、テント写像方程式422に基づいている。したがって、本発明の一実施形態では、乗算器411の乗率は2、乗算器412の乗率は−2、乗算器413の乗率は4となっている。
【0034】
一実施形態において、乗算器411は、一つ前のランダムノイズ信号Xnに2を乗じて2Xnの信号を生成し、乗算器412は、一つ前のランダムノイズ信号Xnに−2を乗じて−2Xnの信号を生成し、乗算器413は、バイアス電圧Vb417に4を乗じて4Vbの信号を生成する。
【0035】
本発明の一実施形態では、マルチプレクサ414は、2Xn又は−2Xnの信号のいずれかを選択するように構成されており、マルチプレクサ415は、グラウンド信号(ゼロ)又は4Vbを加算増幅器420に供給するように構成されている。また、一実施形態では、比較器416は、信号Xnの電圧に応じてマルチプレクサ411、412の適切な制御信号を選択する。加算増幅器420の出力X(n+1)は、テント写像方程式の出力であり、図2の比較器213及び214に入力されるランダムノイズ信号421となる。上述のように、一実施形態では、ランダムノイズ信号421は、比較器213及び214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされる。
【0036】
加算増幅器420の出力421は、アナログフリップフロップ418によってサンプリングされる。アナログフリップフロップ418のサンプリング周波数は、クロック信号419によって制御される。一実施形態において、アナログフリップフロップ418は、スイッチS1‐S4及びコンデンサC1、C2によって実装される。一実施形態では、これらのスイッチは、トランジスタによって実装される。これらのスイッチは、互いに位相が異なるように動作し、入力ノードがコンデンサのうちの一方に接続され、他方のコンデンサは、新たな値をサンプルする。一実施形態において、アナログフリップフロップ418の出力Qを高インピーダンスの端子に接続することにより、出力コンデンサが放電してしまうのを防ぐ。一実施形態において、アナログフリップフロップ418の入力Dを低インピーダンスの端子に接続することにより、入力コンデンサが蓄電されるようにする。また、一実施形態において、アナログフリップフロップは、プログラム可能なサンプリング周波数で、ランダムノイズ信号をサンプル可能である。ある実施形態では、サンプリング周波数は、ハードウエア、ソフトウエア又はこれらの組み合わせによってプログラムされていてもよい。
【0037】
一実施形態において、バイアス電圧Vb417は、チップで生成されてもよいし、外部で生成されてもよい。一実施形態において、バイアス電圧Vb417は、バンドギャップ回路(図示せず)によって生成される。一実施形態において、バイアス電圧Vb417の値は、105mVである。また、バイアス電圧Vb417は、周波数スペクトル拡散をプログラムするのに使用される。一実施形態において、このプログラミングは、ソフトウエア、ハードウエア又はこれらの組み合わせによって実装される。バイアス電圧Vb417を変化させることにより、ノイズ電圧レベルXnが変化し、変調出力クロックの出力周波数(周波数スペクトルの拡がり)が変化する。
【0038】
図5Aは、本発明の一実施形態に係るカオス変換写像関数としてテント写像を実装した図4Bに示すカオス信号生成器の出力を示したものである。プロットは、ランダムノイズ信号レベルが、特定のパターンを繰り返していない、すなわちノイズサンプル間でゼロ相関となっており、時間の経過と共にランダムになっていることを示している。
【0039】
図5Bは、本発明の一実施形態に係る、図4Bのカオス信号生成器を使用したテント写像ノイズの確率密度関数(PDF)を表したものである。図4Bのカオス信号生成器の回路が初期状態から落ち着くまでの期間の後は、確率密度関数は、ホワイトノイズに相当する程度に均一になっている。
【0040】
図6Aは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器600の上位層のブロック図を示したものである。電流源601‐604は、電流を、コンデンサC1及びC2から/へとソース及びシンクするように構成されている。一実施形態において、基準クロック信号の高パルスは、スイッチS1及びS4を制御し、非変調基準クロック信号の低パルスは、スイッチS2及びS3をそれぞれ制御する。このような制御メカニズムにより、非変調基準クロック信号の高パルス及び低パルスと等しい幅を持つ高ランプ信号及び低ランプ信号が生成される。これらの高ランプ信号及び低ランプ信号は、図2の比較器213及び214の出力によって制御されるマルチプレクサ605に入力される。一実施形態において、電流源601、602、スイッチS1、S2、及びコンデンサC1は、集合的にランプ発生器600の第1の電荷ポンプを表す。同様に、一実施形態において、電流源603、604、スイッチS3、S4、及びコンデンサC2は、集合的にランプ発生器600の第2の電荷ポンプを表す。
【0041】
一実施形態において、ランプ発生器が図2のコンデンサ213、214からリセット信号を受信した場合は、ランプ信号はリセットされる、すなわちランプは、中断される又は開放される。一実施形態において、図2の比較器213及び214によって設定されるトリガ信号の受信と共に、ランプ信号のランプが始まる。
【0042】
図6Bは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の203、204、210及び211)のトランジスタレベルでの実装例610を示したものである。マスターセル201からの制御信号Vctrlは、コンデンサC1の蓄電を制御し、それによりランプの傾きを制御する。PMOSトランジスタM5、M1がカレントミラーを形成している。一実施形態において、トリガ信号及びリセット信号がローである場合、すなわち、グランドレベルにある場合、コンデンサC1は蓄電される。他の実施形態において、(PMOSトランジスタM3に接続されている)トリガ信号及びリセット信号がハイ、すなわち電源レベルにある場合、コンデンサC1は放電される。NMOSトランジスタM4を通過する電流は制御されていないため、放電電流によってコンデンサC1は急速に放電される。NMOSトランジスタM4を制御しない理由の一つは、ランプ信号出力を急速に放電できる点にあり、次の基準クロックサイクルにおいて再び出力を蓄電するのに十分な長さの時間を確保できる。
【0043】
図6Cは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の203、204、210及び211)のトランジスタレベルでの実装例620を示したものである。図6Bの実施形態と比較して、この実施形態では、PMOSトランジスタM6が加えられており、これにより、reset_b信号がイネーブル状態になる、すなわちランプが中断する又は開放されると、浮いているノードfnodeがグランドレベルに引き下げられる。ランプの蓄電開始する時、すなわちトリガ信号及びリセット信号がローである時に、ノードfnodeが浮いている状態にないことから、このような実施形態によるランプ信号のランプ特性は、図6Bの実施形態によって生成されるランプ信号のランプ特性よりも、より制御されたものとなる。
【0044】
一実施形態において、図6B及び図6CのPMOSトランジスタM2に入力される信号"アイドル"は、ランプ発生器610、620をバイパスするのに使用される。アイドル信号がゼロ(グランド)に設定される場合、"アウト"ノードは、電源レベルに引き上げられ、フローティングノードfnodeの影響が消される。図6B及び図6Cの実施形態では、CMOSをベースとした設計が示されたが、他のトランジスタ技術(例えば、ECL、BJT、BiCOMS等)を、本発明の本質を変更することなく同じ設計を実装するのに採用してもよい。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態に係る、エッジ発生器700の上位層の実装例を示したものである。上述したように、マスターセル201の出力信号(図2の位相周波数比較器208への入力信号)及び図2のスレーブセル202の出力信号(出力変調信号)のエッジが、207及び215によって生成される。ブロック207、215は、最終的なエッジを生成すると同時に、エッジ生成構造は、比較器701、702(図2の比較器205、206、213及び214と同じもの)を含み、ブロック207とブロック215とを連結する。一実施形態において、比較器701(図2の比較器205及び213と同じもの)及び比較器702(図2の比較器206及び214と同じもの)は、ランダムノイズ信号及びランプ信号706、707を受信して、変調出力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを生成する。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器701、702によってランプ信号706、707と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxと足し合わせられる。
【0046】
一実施形態において、ランプ信号の幅は、非変調基準クロック信号の高パルス及び低パルスの幅と等しい。一実施形態において、比較器の出力は、バッファ703、704にバッファされて、比較器出力の信号強度が増強される。一実施形態において、比較器は、異なる増幅器として実装される。一実施形態において、バッファ703、704の出力は、エッジ発生回路705に入力される。一実施形態において、エッジ発生回路705は、SRラッチである。
【0047】
一実施形態において、ランプ高信号706がランダム(カオス)ノイズ信号に等しい場合、比較器701は、SRラッチ705をセットする。同様に、一実施形態において、ランプ低信号707がランダム(カオス)ノイズ信号に等しい場合、比較器702は、SRラッチ705をリセットする。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器701、702によってランプ信号706、707と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされて、SRラッチ705のリセット信号及びセット信号が生成される。図7及び図2に示すように、マスターセル201は、スレーブセル202と同様なランプ発生器及びエッジ発生器を実装している。このようなマスター−スレーブ構成とすることにより、スレーブセル201において比較器(213及び214)のオフセットによって誘起されるエラーは、マスターセル201の比較器(205及び206)を通じて生成された制御信号Vctrlにより補償される。
【0048】
図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャート800である。図2及び図4Bを参照して、このプロセスを説明する。ブロック801において、2つの三角形のランプ信号が、ランプ生成器203‐204及び210‐211を通じて生成される。ランプ信号の生成について上述したように、ランプの一つ、ランプハイ(Rrise)は、入力される非変調基準クロック信号の立ち上がりエッジで生成され、ランプロー(Rfall)は、非変調基準クロック信号の立ち下がりエッジで生成される。
【0049】
本発明の一実施形態では、ブロック802において、マスターセル201の位相ロックについての判断がなされる。一実施形態において、マスターセル201がロックされていない場合、ブロック803が実行される。ブロック803において、カオス信号生成器212は、(図4Bには示していない)マルチプレクサを通じて図4Bの出力421をバイパスすることにより、定電圧Vxを生成する。定電圧Vxは、マスターセル201からの所定電圧Vxと同一のものである。一実施形態において、カオス信号生成器212自身が図4Bの出力信号421をバイパスすることによりVxを出力するために、加算器216、217はバイパスされて、加算器216、217によってVxを再び加算する必要はない。他の実施形態において、ブロック803は、カオス信号生成器212によりゼロ出力を生成し、加算器216、217は、バイパスされない。また、その他の実施形態において、マスターセル201がロックされない場合、比較器213、214は、Vxとランプ発生器210、211の出力とを比較する。また、その他の実施形態において、カオスノイズ発生器出力421が比較器213、214によって比較される前に、カオス信号生成器212又は加算器216、217にVxが加算されない。
【0050】
マスターセル201がロックされている場合は、ブロック812‐813において、Xnから導き出されたカオスノイズ発生器212からの信号X(n+1)が、アナログフリップフロップ418によって保存される。本発明の一実施形態において、ブロック814において、所定のサンプル時間が経過した後、X(n+1)が(Xnとして)図4Bの比較器416に再入力される。一実施形態では、このプロセスを、図8A及び図8Bの矢印Bで示すように繰り返す。カオスノイズ信号X(n+1)は、以下に説明するブロック810においても使用される。
【0051】
本発明の一実施形態では、ブロック804において、カオス信号生成器212及びランプ発生器203、204の出力が、マスターセルの比較器205、206に入力される。比較器205、206は、ランプ信号と所定電圧レベルVxとを比較する。比較器205、206は、ランプ信号と所定電圧信号との交差点において高パルスを生成する。本発明の一実施形態において、比較器205からの高パルスは、"セット"信号としてSRラッチ207に入力され、比較器206からの低パルスは、"リセット"信号としてSRラッチ207に入力される。
【0052】
本発明の一実施形態では、ブロック805において、SRラッチ207は、位相周波数比較器208のフィードバッククロックとして使用される出力クロックを生成する。一実施形態では、ブロック806において、出力変調クロックの立ち上がり及び立ち下がりエッジが生成される時に、ランプ信号はグラウンドレベルに開放される。他の実施形態において、比較器205、206の出力は、高及び低基準クロック信号について、ランプ信号を開放するのに使用される。
【0053】
一実施形態では、ブロック807において、SRラッチ207により生成されるクロックは、位相周波数比較器208により基準クロック信号と比較される。位相周波数比較器208の出力は、RCネットワークによりフィルタされ、ランプ発生器203、204に入力される制御電圧Vctrlとなる。一実施形態において、マスターセル201のランプ発生器203、204は、スレーブセル202のランプ発生器210、211と同一のものである。
【0054】
一実施形態では、ブロック808において、スレーブセル202のランプ発生器210、211は、マスターセル201からのVctrl信号を考慮してランプ信号の傾きを増加させる又は減少させることにより、傾きを調整する。傾きの調整は、非変調基準クロック信号と比較した場合の周期的ランプ信号の周波数に応じて行われる。傾きを調整し、ブロック809において生成される最終的なランプ信号となる。
【0055】
一実施形態では、ブロック815において、マスターセル201のループのロック状態に関しての判断が行われる。マスターセル201がロックされている場合は、制御電圧Vctrlが、スレーブセル202が正常に機能する程度に安定化される。すなわち、図4Bのカオスノイズ出力421が、図2の比較器213、214よって使用される。上述したように、一実施形態において、図4Bのランダムノイズ信号421は、比較器213、214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxと足し合わされる。ランプ信号の周波数が非変調入力基準信号の周波数と一致せず、マスターセル201がロックされていない状態である場合、ブロック804が繰り返される。この時、カオス信号生成器212の出力421はバイパスされるので、比較器213、214は、Vxとランプ信号とを比較する。
【0056】
一実施形態では、ブロック810において、ランダムノイズ信号X(n+1)を生成するカオス信号生成器212の出力421が、加算器216、217によって、所定電圧Vxに加算される。加算後の出力が、スレーブセル202のランプ発生器210、211によって生成されたランプ信号と比較される。比較は、比較器213、214によって行われる。一実施形態において、カオス信号生成器212の出力が、比較器213、214に直接入力される。本発明の一実施形態において、スレーブセル202における比較器213、214の出力は、"セット"及び"リセット"信号として、SRラッチ215に入力される。ブロック811では、SRラッチ215が、出力変調クロックを生成する。この時、プロセスは、図の矢印Aで示されるように、ブロック801から繰り返される。出力変調クロックの幾つかのサイクルが生成されると、ブロック816において、変調出力クロックがカオスノイズ信号から生成されたことが宣言される。
【0057】
図9は、周期的三角波信号ベース変調に対して、本発明の一実施形態に係るカオスノイズベース変調の利点を説明するための図である。図9は、周波数分散スペクトルのグラフである。灰色で示したスペクトルは、周期的な三角波信号を使用してクロック信号の変調を行ったスペクトルを表し、黒色で示したスペクトルは、上述の実施形態によるカオスノイズを使用してクロック信号の変調を行ったスペクトルを表している。この例では、黒色のスペクトルのピークは、灰色のスペクトルのピークよりも、12dB低くなっている。すなわち、カオスノイズベースの変調は、三角波ベースの変調に比べて、電磁波干渉ノイズが12dB引き下げられていることを意味する。また、灰色のスペクトルのバンド幅と、黒色のスペクトルのバンド幅が共に同じままになっている。つまり、黒色のスペクトルを使用すれば、パワーピークとバンド幅とのトレードオフで、無線周波数干渉を低減することが可能である。
【0058】
本発明の要素は、コンピュータ実行可能な命令を記憶する機械可読な記憶媒体としても提供可能である。例えば、一実施形態において、図4Bのバイアス電圧Vbはコンピュータ実行可能な命令によってプログラム可能であり、それにより変調出力信号の周波数分散を調整してもよい。機械可読記憶媒体としては、これらに限定されないが、フラッシュメモリ、光ディスク、CD‐ROM、DVD‐ROM、RAM、EPROM、EEPROM(登録商標)、磁気カード又は光学カード、若しくは、他の種類の電子的命令又はコンピュータ実行可能命令を記憶するのに適した機械可読記憶媒体を含む。例えば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムとしてダウンロードされてもよく、リモートコンピュータ(例えば、サーバー)から要求しているコンピュータ(例えば、クライアント)へと、通信リンク(例えば、モデム又はネットワーク接続)を通じてこのプログラムをデータ信号の形で転送してもよい。
【0059】
本発明が、特定の実施形態を参照して説明されたが、多くの代替、改良及び変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0060】
例えば、図2のスレーブセル202における加算器216、217によって加算される所定電圧Vxを、カオス生成回路212の一つの加算器で加算してもよい。この場合、図4Bの出力421が、図2のマスターセル201の位相固定信号によって制御されるマルチプレクサ(図4Bに示されていない)に入力される。図2のマスターセル201がロックされている場合は、(図4Bに示されていない)マルチプレクサは、出力421を選択する。(図4Bに示されていない)マルチプレクサを通じて、この出力421が(図4Bに示されていない)アナログ加算器により所定電圧Vxに加算される。一実施形態において、図2の加算器316、217を、このアナログ加算器で置き換えてもよい。このような実施形態において、カオス信号生成器410の最終的な出力は、所定電圧Vxを含む。
【0061】
一実施形態において、図2のマスターセル201のループがロックされていない場合は、(図4Bに示されていない)マルチプレクサは、(図4Bに示されていない)アナログ加算器を通じてゼロ電圧(グラウンド)を所定電圧Vxに加算して、カオス信号生成器410の出力を生成する。このような実施形態では、図2のマスターセル201のループがロックされていないので、図4Bの出力信号421は(図4Bに示されていない)マルチプレクサによりバイパスされる。
【0062】
また、他の実施形態として、図2のSRラッチ207、215を、SRフリップフロップで置き換えてもよい。同様に、その他の実施形態として、ランプ発生器を、図6Bに示した実装形態の替わりに図6Cに示した実装形態で実装してもよい。
【0063】
本発明の実施形態は、このような代替、改良及び変更が全て含まれ、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、コンピュータシステムのノイズ低減の分野に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、カオス的広帯域周波数変調を通じて、コンピュータシステムにおける電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)を低減する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータデバイスが数多く使用されるのに伴い、1つの動作するコンピュータデバイスが他のコンピュータデバイスに及ぼす電磁波干渉(EMI)及び無線周波数干渉(RFI)の問題は、他のコンピュータデバイスの性能を低減させてしまう。このような干渉は、外部からの電磁波をそらす、又は、無線周波数(RF)波がコンピュータデバイスのオペレーション及び性能に干渉するのを防ぐような特別な空間ノイズ低減筐体でコンピュータデバイスを囲うことにより、低減することができる。また、コンピュータデバイスの筐体に特別な塗料を塗布して、好ましくない電磁信号又は無線周波数信号をそらすことができる。しかしながら、上記のような筐体及び特別な塗料は、非常に高価であり、コンピュータデバイスの価格の低下が進む状況で、これらを用いるのは現実的でない。
【0003】
上記のような高価な筐体や特別な塗料を使用する替わりに、コンピュータデバイスにノイズ低減回路を設ける方法がある。従来から、コンピュータデバイスのプロセッサにより生成されるパワースペクトルのピークを低減するのに、正弦波プロファイル、三角波プロファイル及びLexmarkプロファイルのような周期的変調プロファイルが使用されてきた。スペクトルパワーのピークを低くすれば、電磁波干渉を低減させることができる。しかしながら、このように構成すると、パワースペクトルのバンド幅が拡大してしまう。パワースペクトルのバンド幅が拡がってしまうと、近隣周波数帯と干渉を引き起こし、その結果、無線周波数干渉が生じてしまう。
【0004】
自由に使用できる周波数帯内により多くの無線機をチップに搭載するようになり、このような複数無線環境における設計においては、二つの課題が存在する。
【0005】
一つは、チップにおける様々なデバイス間及び周囲環境で利用する周波数帯域同士の間隔が詰まっていることである。これは、様々なデバイス同士の相互作用により、干渉を引き起こしてしまうことにつながる。このような干渉は、図1に示すように、干渉しているチャネルから動作周波数をずらすことにより、低減可能である。図1は、周波数対パワーのプロットであり、周波数拡散のコンセプトを示したものである。無線周波数干渉を低減するには、図に示すように、パワースペクトル101をパワースペクトル102へとシフトさせることにより、動作周波数をずらす。周波数をずらすことにより無線周波数干渉は低減可能であるが、高いパワーピーク101、102には、依然として電磁波干渉の問題が残る。
【0006】
二つ目の課題として、コンピュータデバイスの数が増加し周波数帯が拡大する状況で、連邦通信委員会(FCC)のような取締機関が規定する水準にまで電磁波干渉を低減するのが難しくなっていることが挙げられる。従来から、周期的なクロック周波数を利用してコンピュータデバイスのパワー周波数スペクトルを変調するスペクトル拡散技術により、この課題に対応してきた。
【0007】
スペクトル拡散技術は、周波数スペクトルのバンド幅を拡げ、スペクトルにおけるピークパワーを小さくする。図1に示すように、このスペクトル拡散手法を、試験デバイスの周波数スペクトル105に適用すると、平坦な周波数スペクトル104が得られる。さらなるピークパワーの低減が必要となる場合には、スペクトル拡散技術をさらに適用し、103のスペクトルが得られる。しかしながら、電磁波干渉に対応して104のパワーを低減すると、バンド幅が103のように拡がった結果、(106で示すような)無線周波数干渉が生じる場合がある。同図には、(高いパワーピークに起因する)電磁波干渉を避けるために生じたパワー損失が105で示されている。104に適用されたスペクトル拡散技術よりも高いスペクトル拡散を可能とすることにより、より大きく拡がったバンド幅103を得ることができる。
【0008】
本発明の実施形態が、以下に記す詳細な説明及び本発明の様々な実施形態の添付図面を参照することにより理解されるが、これらは、本発明を特定の実施形態に制限するものではなく、本発明を説明し理解を促すことを目的として提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電磁波干渉を低減する一方、無線周波数干渉を引き起こしてしまう可能性のあるスペクトル拡散技術の問題点を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る、カオス広帯域周波数変調器の上位層のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を使用した変調出力信号の生成を示したものである。
【図4A】本発明の一実施形態に係るカオス変換写像を示したものである。
【図4B】本発明の一実施形態に係るカオス信号生成器の実装を示したものである。
【図5A】本発明の一実施形態に係るカオス変換写像関数としてテント写像を実装した図4Bに示すカオス信号生成器の出力を示したものである。
【図5B】本発明の一実施形態に係る、図4Bのカオス信号生成器を使用したテント写像ノイズの確率密度関数を表したものである。
【図6A】本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器600の上位層ブロック図である。
【図6B】本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の210及び211)のトランジスタレベルでの実装例を示したものである。
【図6C】本発明の他の実施形態に係る、ランプ発生器(図2の210及び211)のトランジスタレベルでの実装例を示したものである。
【図7】本発明の一実施形態に係る、エッジ発生器の上位層の実装例を示したものである。
【図8A】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャートである。
【図8B】本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャートである。
【図9】周期的三角波信号ベース変調に対して、本発明の一実施形態に係るカオスノイズベース変調の利点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、カオス的広帯域周波数変調を利用して、コンピュータシステムにおける電磁波干渉及び無線周波数干渉を低減する装置及び方法について述べる。
【0011】
「一実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施例」、「他の実施形態」等は、少なくとも本発明の実施形態が、実施形態に関連した特定の特徴、構造及び特性を含むことを示唆するが、必ずしも全ての実施形態がこれら特定の特徴、構造及び特性を含むことを意味しない。したがって、本明細書中の様々な箇所で使用されている「一実施形態」、「ある実施形態」又は「いくつかの実施形態」という表現は、必ずしも同一の実施形態を示していない。また、本明細書において、ある要素、特徴、構造又は特性が「含まれてもよい」、「含まれる場合がある」、又は「含むことができる」と記載されている場合は、これら特定の要素、特徴、構造又は特性が、必ず含まれる必然性を要求しないことを表している。また、明細書及び特許請求の範囲において、単に要素が記載されることは、「一つのみ」との記載がされない限り、この要素が一つしかないことを意味しない。また、明細書及び特許請求の範囲において、「さらなる」要素との記載は、このさらなる要素が一つよりも多く存在することを除外しない。
【0012】
背景技術の章で述べたように、周波数変調のための周期的クロック信号に基づく周波数スペクトル拡散技術では、新たなパワースペクトルのバンド幅が拡がってしまうのと引き換えに、パワーピークを下げていた。したがって、新たなパワースペクトルで拡がってしまったバンド幅により、近くに位置する動作中の周波数スペクトルと無線周波数干渉を引き起こしてしまう可能性がある。スペクトル拡散技術を適用する場合に、変調されたクロック信号のスペクトルが均一に拡がることから、連続的なサンプル間で修正を全く行わない純粋なノイズ信号を変調信号として使用するのが理想的である。しかしながら、純粋にランダムな信号を生成するのは、高価なプロセスである。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態による、電磁波干渉及び無線周波数干渉を低減するカオス(ランダム)広帯域周波数変調器200の上位層のブロック図である。変調器200は、マスターセル201とスレーブセル202を有する配置で構成される。このような構成では、変調されていない入力基準クロック周波数に例えばクロックのジッターによりドリフトが生じてしまったとしても、出力される変調クロック信号がこの変調されていない非変調入力基準クロック信号209を追随可能である。
【0014】
一実施形態において、マスターセル201は、それぞれ比較器205、206に連結された一組のランプ発生回路203、204を含む。比較器の出力は、エッジ発生器207に接続される。一実施形態において、エッジ発生器207は、セット‐リセットラッチ(SRラッチ)である。比較器205、206は、ランプが形成された周期的信号と、所定信号(電圧)Vxとを比較する。
【0015】
一実施形態において、所定電圧Vxは、バンドギャップ電圧発生回路を通じて生成される。他実施形態においては、他の電圧源を使用して所定電圧Vxを生成してもよい。所定電圧Vxは、ランプ信号と所定の電圧とが交差する点が、非変調基準信号の周波数に近く(又は同一に)なる出力周波数となるような値に設定される。一実施形態において、所定電圧Vxは、SRラッチ207の制御信号を生成するのに使用される。また、ある実施形態では、所定電圧Vxは、以下に詳述するスレーブセルに入力される。
【0016】
一実施形態において、非変調基準信号は、基準クロック信号発生器209によって生成されるような周期的な信号である。他の実施形態では、基準信号は、位相周波数比較器(PFD)208に送られる外部信号である。また、一実施形態において、所定電圧Vxは、電源電圧レベルのおよそ2分の1であるVcc/2に設定される一定信号である。
【0017】
以下に述べるスレーブセル202のカオス信号生成器212によって生成されるカオスノイズに、この所定電圧Vxを付加する。カオス(ランダム)ノイズにこの所定電圧Vxを加算する理由の一つとして、カオス信号生成器212がノイズを生成しない場合に、スレーブセル202の出力変調クロックと209からの基準信号とを同期させることがある。一実施形態において、スレーブセル202の加算器216、217によって、所定電圧Vxがカオスノイズ信号に加算される。
【0018】
一実施形態において、マスターセル201の位相周波数比較器208は、エッジ発生器207及び基準クロック発生器209と連結される。位相周波数比較器208は、エッジ発生器207と基準クロック発生器209からの非変調基準クロック信号とを比較して、制御電圧Vctrlを生成する。一実施形態において、制御電圧Vctrlは、最終的に出力される変調クロックを生成するスレーブセル202に入力される。制御電圧Vctrlにより、ランプ発生器203、204、210及び211からのランプ信号の傾きを調整する。ランプ発生器203、204、210及び211は、非変調入力基準信号の周波数と同じ周波数を持つランプ信号を生成する。ランプ信号の傾きを調整する目的としては、非変調入力基準信号のノイズ(例えば、クロックのジッタ)を追跡するためであり、変調出力信号が生成される時にノイズもその一部に含まれている。
【0019】
一実施形態において、ランプ発生器203、204、210及び211は、基準クロック信号の高パルス及び低パルスそれぞれについて、ランプを生成する。ランプは、非変調基準入力クロック信号の高パルス及び低パルスに幅にそれぞれ等しい幅を持つ。
【0020】
一実施形態において、抵抗R及びコンデンサC1及びC2は、マスターセル201におけるループを安定化する。一実施形態において、抵抗R及びコンデンサC1及びC2の値は、それぞれ5.5kΩ、15pF及び1.5pFである。別の実施形態では、処理技術、変調条件等の要件に応じて、これら抵抗及びコンデンサについて他の値を採用してもよい。
【0021】
一実施形態において、スレーブセル202は、1組のランプ発生器210、211、比較器213、214、カオス信号生成器212、加算器216、217、及びエッジ発生器215を含む。ランプ発生器210、211は、非変調基準入力クロックと同じ周波数を発生する。
【0022】
カオス信号生成器212は、ランダムなノイズ信号を生成する。ランダムノイズ信号のノイズ電圧の最大値及び最小値は、要求される周波数拡散に依存する。一実施形態において、ランダムノイズ信号の周波数は、基準信号の周波数よりも低くなっている。一実施形態において、ランダムノイズ信号の周波数は、32KHzである。また、一実施形態において、基準信号の周波数は、100MHzである。他の実施形態では、本発明の本質を変更することなく、ランダムノイズ信号及び基準信号について他の周波数を使用してもよい。
【0023】
カオス信号生成器212は、初期条件に非常に大きく影響を受ける。すなわち、初期電圧X(n)(Xnとも記す)の微小な変化であっても、ノイズのプロファイルに大きな変化をもたらす。例えば、図4Bに示す電圧X(n)(Xnとも記す)の初期状態が50mVに設定される場合、電圧X(n)の初期状態が55mVに設定される場合と比較して、全く異なるノイズプロファイルを示す。すなわち、この例において、初期条件の5mVの変化であっても、全く異なるノイズプロファイルが生成される。このように、Xnの初期電圧状態に大きく依存するということは、カオス信号生成器212が、既知の初期条件について決定性を有するが、カオス信号生成器212によって生成されるノイズプロファイルについてはそうではないということを意味している。また、このようなカオス信号生成器212の挙動は、カオスノイズ信号の連続的なサンプルは、この連続的サンプル間において非ゼロ相関を持つことを意味する。上述したように、純粋なノイズ信号では、連続的サンプル間でゼロ相関を持つ。カオス信号生成器212の実装については、以下に図4A及び図4Bを参照して説明するが、(図5A及び5Bに示すような)ノイズ生成器の性能は、カオス信号サンプル間で明らかにゼロ相関となり、ノイズ信号生成器212の出力がランダム(カオス的)であることを表している。カオス信号生成器212からのカオス信号サンプル間で明らかにゼロ相関となる理由は、図4Aに示す実施形態のように、相関が指数関数的に減少するからであり、したがってランダムな(カオス的な)出力信号であると言える。
【0024】
一実施形態において、スレーブセル202の比較器213、214は、カオス信号生成器212からのランダムノイズ信号と、ランプ発生器210、211からのランプ信号とを比較する。一実施形態において、カオス信号生成器212からのランダムノイズ信号は、マスターセル201の所定電圧Vxに(加算器216、217によって)加算される。そして、加算器213、214は、加算された出力とランプ発生器210、211からのランプ信号とを比較する。比較器213、214からの出力は、エッジ発生器215に入力される。一実施形態において、エッジ発生器215は、SRラッチである。一実施形態において、比較器213の出力は、SRラッチ215の"リセット"信号として入力され、比較器214の出力は、SRラッチ215の"セット"信号として入力される。一実施形態において、スレーブセル202の比較器は、変調クロック出力を生成する際に基準クロック信号における変化を追跡するマスターセル201の比較器と同一のものである。
【0025】
一実施形態において、ランプ発生器210によって生成されたランプ信号は、非変調基準クロック信号の低パルスに対応する。同様に、一実施形態において、ランプ発生器211によって生成されたランプ信号は、非変調基準クロック信号の高パルスに対応する。ランプ信号がランダムノイズ信号と交差する場合、比較器(213及び214)は、信号が高い状態から低い状態へ、又は低い状態から高い状態への遷移を出力する。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器213及び214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされる。
【0026】
一実施形態において、比較器214の出力が、高い状態から低い状態へと(低い状態から高い状態へと)遷移したときに、ランプ発生器211はリセットされる。このリセットにより、ランプ発生器は、ランプ信号の生成を中断する(開放する)。また、この比較器214の出力の遷移によって、他のランプ発生器210がトリガされる、すなわち、ランプ信号の生成が開始される。同様に、比較器213の出力が交差結合されることにより、ランプ発生器210がリセットされ、他のランプ発生器211がトリガされる。
【0027】
一実施形態において、比較器214の出力は、SRラッチ215をセットする、すなわち、SRラッチ215は、高信号を生成する。また、一実施形態において、比較器213の出力は、SRラッチ215をリセットする、すなわち、SRラッチ215は、低信号を生成する。その結果、ランプ発生器210及び比較器213は、変調出力クロック信号の低パルスを生成し、ランプ発生器211及び比較器214は、変調出力クロック信号の高パルスを生成する。
【0028】
マスターセル201とスレーブセル202との設計をマッチングさせる理由の一つとして、例えば、出力変調信号が生成される場合の非変調基準クロック信号のノイズを継続して追跡することが挙げられる。
【0029】
図3は、一実施形態に係るカオス(ランダム)ノイズ信号を使用して変調出力信号を生成するアルゴリズムを上位層の図式で示したものである。一実施形態において、非変調基準クロック301の高パルス及び低パルスとそれぞれ等しい幅を持つ二つのランプ(304及び305)が生成される。これらのランプ信号(304及び305)は、比較器(図2の213及び214参照)によってカオス(ランダム)ノイズ信号302と比較され、出力変調信号303が生成される。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号302は、比較器213、214によってランプ信号と比較される前に、図2に示す加算器216、217によってマスターセルの201の所定電圧Vxと足し合わされる。
【0030】
一実施形態において、ランダムノイズ信号302(図3参照)の周波数は、図2の基準クロック発生器209によって生成される基準クロック周波数よりも低い。ランダムノイズ信号302の電圧値が変化すると、変調出力信号の周波数も変化する。この周波数の変化は、ランダム信号電圧レベルが変化する前の交差点と比較して、ランプ信号(304及び305)がランダムノイズ信号302と異なる点で交差することによって生じる。図3において、周波数の変化は、306、307及び308で示されている。
【0031】
一実施形態において、カオス(ランダム)ノイズ信号302の電圧レベルは、カオス変換写像に依存する。カオス変換写像は、図2のカオス信号生成器212によって実装される。また、一実施形態において、テント変換写像が、カオス変換写像として実装される。他の実施形態においては、ベルヌーイシフト写像を、カオス変換写像として実装する。同様に、その他の実施形態において、カオス(ランダム)ノイズ信号302を生成するのに、他の形式のカオス変換写像を実装してもよい。
【0032】
図4Aは、本発明の一実施形態に係るカオス変換写像であるテント写像400を例示したものである。テント写像を使用する利点は、変換関数が二つの象限のみを持つので、実装が簡易になることである。テント写像400は、典型的なテント写像方程式401で表される。一実施形態において、テント写像400は、μ=2として実装される。また、他の実施形態においては、図2のカオス信号生成器212の原理を変更することなく、μについて他の値を使用してもよい。図4Aにおいて、x軸はXnの電圧を示し、y軸は、X(n+1)の電圧を示している。一実施形態において、バイアス電圧Vb(図4Bに記載されている)は、三角形の写像信号の中間点に設定される。図4Bに示す乗算回路の実装は、どのようなバイアス電圧VbがXnに対して設定されるかに依存する。
【0033】
図4Bは、本発明の一実施形態に係るカオス信号生成器410の実装を例示したものである。ここで例示する実装は、テント写像(図4Aの400)を、カオス変換写像として使用している。一実施形態において、乗算器411、412及び413は、アナログ乗算器である。一実施形態において、これらの乗算器は、オペアンプ(演算増幅器)ベースの回路として実装される。乗算器の抵抗(図示せず)は、乗算器411、412及び413の乗率を決定する。図4Bの実装では、乗算器の乗率は、テント写像方程式422に基づいている。したがって、本発明の一実施形態では、乗算器411の乗率は2、乗算器412の乗率は−2、乗算器413の乗率は4となっている。
【0034】
一実施形態において、乗算器411は、一つ前のランダムノイズ信号Xnに2を乗じて2Xnの信号を生成し、乗算器412は、一つ前のランダムノイズ信号Xnに−2を乗じて−2Xnの信号を生成し、乗算器413は、バイアス電圧Vb417に4を乗じて4Vbの信号を生成する。
【0035】
本発明の一実施形態では、マルチプレクサ414は、2Xn又は−2Xnの信号のいずれかを選択するように構成されており、マルチプレクサ415は、グラウンド信号(ゼロ)又は4Vbを加算増幅器420に供給するように構成されている。また、一実施形態では、比較器416は、信号Xnの電圧に応じてマルチプレクサ411、412の適切な制御信号を選択する。加算増幅器420の出力X(n+1)は、テント写像方程式の出力であり、図2の比較器213及び214に入力されるランダムノイズ信号421となる。上述のように、一実施形態では、ランダムノイズ信号421は、比較器213及び214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされる。
【0036】
加算増幅器420の出力421は、アナログフリップフロップ418によってサンプリングされる。アナログフリップフロップ418のサンプリング周波数は、クロック信号419によって制御される。一実施形態において、アナログフリップフロップ418は、スイッチS1‐S4及びコンデンサC1、C2によって実装される。一実施形態では、これらのスイッチは、トランジスタによって実装される。これらのスイッチは、互いに位相が異なるように動作し、入力ノードがコンデンサのうちの一方に接続され、他方のコンデンサは、新たな値をサンプルする。一実施形態において、アナログフリップフロップ418の出力Qを高インピーダンスの端子に接続することにより、出力コンデンサが放電してしまうのを防ぐ。一実施形態において、アナログフリップフロップ418の入力Dを低インピーダンスの端子に接続することにより、入力コンデンサが蓄電されるようにする。また、一実施形態において、アナログフリップフロップは、プログラム可能なサンプリング周波数で、ランダムノイズ信号をサンプル可能である。ある実施形態では、サンプリング周波数は、ハードウエア、ソフトウエア又はこれらの組み合わせによってプログラムされていてもよい。
【0037】
一実施形態において、バイアス電圧Vb417は、チップで生成されてもよいし、外部で生成されてもよい。一実施形態において、バイアス電圧Vb417は、バンドギャップ回路(図示せず)によって生成される。一実施形態において、バイアス電圧Vb417の値は、105mVである。また、バイアス電圧Vb417は、周波数スペクトル拡散をプログラムするのに使用される。一実施形態において、このプログラミングは、ソフトウエア、ハードウエア又はこれらの組み合わせによって実装される。バイアス電圧Vb417を変化させることにより、ノイズ電圧レベルXnが変化し、変調出力クロックの出力周波数(周波数スペクトルの拡がり)が変化する。
【0038】
図5Aは、本発明の一実施形態に係るカオス変換写像関数としてテント写像を実装した図4Bに示すカオス信号生成器の出力を示したものである。プロットは、ランダムノイズ信号レベルが、特定のパターンを繰り返していない、すなわちノイズサンプル間でゼロ相関となっており、時間の経過と共にランダムになっていることを示している。
【0039】
図5Bは、本発明の一実施形態に係る、図4Bのカオス信号生成器を使用したテント写像ノイズの確率密度関数(PDF)を表したものである。図4Bのカオス信号生成器の回路が初期状態から落ち着くまでの期間の後は、確率密度関数は、ホワイトノイズに相当する程度に均一になっている。
【0040】
図6Aは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器600の上位層のブロック図を示したものである。電流源601‐604は、電流を、コンデンサC1及びC2から/へとソース及びシンクするように構成されている。一実施形態において、基準クロック信号の高パルスは、スイッチS1及びS4を制御し、非変調基準クロック信号の低パルスは、スイッチS2及びS3をそれぞれ制御する。このような制御メカニズムにより、非変調基準クロック信号の高パルス及び低パルスと等しい幅を持つ高ランプ信号及び低ランプ信号が生成される。これらの高ランプ信号及び低ランプ信号は、図2の比較器213及び214の出力によって制御されるマルチプレクサ605に入力される。一実施形態において、電流源601、602、スイッチS1、S2、及びコンデンサC1は、集合的にランプ発生器600の第1の電荷ポンプを表す。同様に、一実施形態において、電流源603、604、スイッチS3、S4、及びコンデンサC2は、集合的にランプ発生器600の第2の電荷ポンプを表す。
【0041】
一実施形態において、ランプ発生器が図2のコンデンサ213、214からリセット信号を受信した場合は、ランプ信号はリセットされる、すなわちランプは、中断される又は開放される。一実施形態において、図2の比較器213及び214によって設定されるトリガ信号の受信と共に、ランプ信号のランプが始まる。
【0042】
図6Bは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の203、204、210及び211)のトランジスタレベルでの実装例610を示したものである。マスターセル201からの制御信号Vctrlは、コンデンサC1の蓄電を制御し、それによりランプの傾きを制御する。PMOSトランジスタM5、M1がカレントミラーを形成している。一実施形態において、トリガ信号及びリセット信号がローである場合、すなわち、グランドレベルにある場合、コンデンサC1は蓄電される。他の実施形態において、(PMOSトランジスタM3に接続されている)トリガ信号及びリセット信号がハイ、すなわち電源レベルにある場合、コンデンサC1は放電される。NMOSトランジスタM4を通過する電流は制御されていないため、放電電流によってコンデンサC1は急速に放電される。NMOSトランジスタM4を制御しない理由の一つは、ランプ信号出力を急速に放電できる点にあり、次の基準クロックサイクルにおいて再び出力を蓄電するのに十分な長さの時間を確保できる。
【0043】
図6Cは、本発明の一実施形態に係る、ランプ発生器(図2の203、204、210及び211)のトランジスタレベルでの実装例620を示したものである。図6Bの実施形態と比較して、この実施形態では、PMOSトランジスタM6が加えられており、これにより、reset_b信号がイネーブル状態になる、すなわちランプが中断する又は開放されると、浮いているノードfnodeがグランドレベルに引き下げられる。ランプの蓄電開始する時、すなわちトリガ信号及びリセット信号がローである時に、ノードfnodeが浮いている状態にないことから、このような実施形態によるランプ信号のランプ特性は、図6Bの実施形態によって生成されるランプ信号のランプ特性よりも、より制御されたものとなる。
【0044】
一実施形態において、図6B及び図6CのPMOSトランジスタM2に入力される信号"アイドル"は、ランプ発生器610、620をバイパスするのに使用される。アイドル信号がゼロ(グランド)に設定される場合、"アウト"ノードは、電源レベルに引き上げられ、フローティングノードfnodeの影響が消される。図6B及び図6Cの実施形態では、CMOSをベースとした設計が示されたが、他のトランジスタ技術(例えば、ECL、BJT、BiCOMS等)を、本発明の本質を変更することなく同じ設計を実装するのに採用してもよい。
【0045】
図7は、本発明の一実施形態に係る、エッジ発生器700の上位層の実装例を示したものである。上述したように、マスターセル201の出力信号(図2の位相周波数比較器208への入力信号)及び図2のスレーブセル202の出力信号(出力変調信号)のエッジが、207及び215によって生成される。ブロック207、215は、最終的なエッジを生成すると同時に、エッジ生成構造は、比較器701、702(図2の比較器205、206、213及び214と同じもの)を含み、ブロック207とブロック215とを連結する。一実施形態において、比較器701(図2の比較器205及び213と同じもの)及び比較器702(図2の比較器206及び214と同じもの)は、ランダムノイズ信号及びランプ信号706、707を受信して、変調出力信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを生成する。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器701、702によってランプ信号706、707と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxと足し合わせられる。
【0046】
一実施形態において、ランプ信号の幅は、非変調基準クロック信号の高パルス及び低パルスの幅と等しい。一実施形態において、比較器の出力は、バッファ703、704にバッファされて、比較器出力の信号強度が増強される。一実施形態において、比較器は、異なる増幅器として実装される。一実施形態において、バッファ703、704の出力は、エッジ発生回路705に入力される。一実施形態において、エッジ発生回路705は、SRラッチである。
【0047】
一実施形態において、ランプ高信号706がランダム(カオス)ノイズ信号に等しい場合、比較器701は、SRラッチ705をセットする。同様に、一実施形態において、ランプ低信号707がランダム(カオス)ノイズ信号に等しい場合、比較器702は、SRラッチ705をリセットする。上述したように、一実施形態において、ランダムノイズ信号は、比較器701、702によってランプ信号706、707と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxに足し合わされて、SRラッチ705のリセット信号及びセット信号が生成される。図7及び図2に示すように、マスターセル201は、スレーブセル202と同様なランプ発生器及びエッジ発生器を実装している。このようなマスター−スレーブ構成とすることにより、スレーブセル201において比較器(213及び214)のオフセットによって誘起されるエラーは、マスターセル201の比較器(205及び206)を通じて生成された制御信号Vctrlにより補償される。
【0048】
図8A及び図8Bは、本発明の一実施形態に係る、カオスノイズ信号を通じて変調出力信号を生成するプロセスを示したフローチャート800である。図2及び図4Bを参照して、このプロセスを説明する。ブロック801において、2つの三角形のランプ信号が、ランプ生成器203‐204及び210‐211を通じて生成される。ランプ信号の生成について上述したように、ランプの一つ、ランプハイ(Rrise)は、入力される非変調基準クロック信号の立ち上がりエッジで生成され、ランプロー(Rfall)は、非変調基準クロック信号の立ち下がりエッジで生成される。
【0049】
本発明の一実施形態では、ブロック802において、マスターセル201の位相ロックについての判断がなされる。一実施形態において、マスターセル201がロックされていない場合、ブロック803が実行される。ブロック803において、カオス信号生成器212は、(図4Bには示していない)マルチプレクサを通じて図4Bの出力421をバイパスすることにより、定電圧Vxを生成する。定電圧Vxは、マスターセル201からの所定電圧Vxと同一のものである。一実施形態において、カオス信号生成器212自身が図4Bの出力信号421をバイパスすることによりVxを出力するために、加算器216、217はバイパスされて、加算器216、217によってVxを再び加算する必要はない。他の実施形態において、ブロック803は、カオス信号生成器212によりゼロ出力を生成し、加算器216、217は、バイパスされない。また、その他の実施形態において、マスターセル201がロックされない場合、比較器213、214は、Vxとランプ発生器210、211の出力とを比較する。また、その他の実施形態において、カオスノイズ発生器出力421が比較器213、214によって比較される前に、カオス信号生成器212又は加算器216、217にVxが加算されない。
【0050】
マスターセル201がロックされている場合は、ブロック812‐813において、Xnから導き出されたカオスノイズ発生器212からの信号X(n+1)が、アナログフリップフロップ418によって保存される。本発明の一実施形態において、ブロック814において、所定のサンプル時間が経過した後、X(n+1)が(Xnとして)図4Bの比較器416に再入力される。一実施形態では、このプロセスを、図8A及び図8Bの矢印Bで示すように繰り返す。カオスノイズ信号X(n+1)は、以下に説明するブロック810においても使用される。
【0051】
本発明の一実施形態では、ブロック804において、カオス信号生成器212及びランプ発生器203、204の出力が、マスターセルの比較器205、206に入力される。比較器205、206は、ランプ信号と所定電圧レベルVxとを比較する。比較器205、206は、ランプ信号と所定電圧信号との交差点において高パルスを生成する。本発明の一実施形態において、比較器205からの高パルスは、"セット"信号としてSRラッチ207に入力され、比較器206からの低パルスは、"リセット"信号としてSRラッチ207に入力される。
【0052】
本発明の一実施形態では、ブロック805において、SRラッチ207は、位相周波数比較器208のフィードバッククロックとして使用される出力クロックを生成する。一実施形態では、ブロック806において、出力変調クロックの立ち上がり及び立ち下がりエッジが生成される時に、ランプ信号はグラウンドレベルに開放される。他の実施形態において、比較器205、206の出力は、高及び低基準クロック信号について、ランプ信号を開放するのに使用される。
【0053】
一実施形態では、ブロック807において、SRラッチ207により生成されるクロックは、位相周波数比較器208により基準クロック信号と比較される。位相周波数比較器208の出力は、RCネットワークによりフィルタされ、ランプ発生器203、204に入力される制御電圧Vctrlとなる。一実施形態において、マスターセル201のランプ発生器203、204は、スレーブセル202のランプ発生器210、211と同一のものである。
【0054】
一実施形態では、ブロック808において、スレーブセル202のランプ発生器210、211は、マスターセル201からのVctrl信号を考慮してランプ信号の傾きを増加させる又は減少させることにより、傾きを調整する。傾きの調整は、非変調基準クロック信号と比較した場合の周期的ランプ信号の周波数に応じて行われる。傾きを調整し、ブロック809において生成される最終的なランプ信号となる。
【0055】
一実施形態では、ブロック815において、マスターセル201のループのロック状態に関しての判断が行われる。マスターセル201がロックされている場合は、制御電圧Vctrlが、スレーブセル202が正常に機能する程度に安定化される。すなわち、図4Bのカオスノイズ出力421が、図2の比較器213、214よって使用される。上述したように、一実施形態において、図4Bのランダムノイズ信号421は、比較器213、214によってランプ信号と比較される前に、マスターセル201の所定電圧Vxと足し合わされる。ランプ信号の周波数が非変調入力基準信号の周波数と一致せず、マスターセル201がロックされていない状態である場合、ブロック804が繰り返される。この時、カオス信号生成器212の出力421はバイパスされるので、比較器213、214は、Vxとランプ信号とを比較する。
【0056】
一実施形態では、ブロック810において、ランダムノイズ信号X(n+1)を生成するカオス信号生成器212の出力421が、加算器216、217によって、所定電圧Vxに加算される。加算後の出力が、スレーブセル202のランプ発生器210、211によって生成されたランプ信号と比較される。比較は、比較器213、214によって行われる。一実施形態において、カオス信号生成器212の出力が、比較器213、214に直接入力される。本発明の一実施形態において、スレーブセル202における比較器213、214の出力は、"セット"及び"リセット"信号として、SRラッチ215に入力される。ブロック811では、SRラッチ215が、出力変調クロックを生成する。この時、プロセスは、図の矢印Aで示されるように、ブロック801から繰り返される。出力変調クロックの幾つかのサイクルが生成されると、ブロック816において、変調出力クロックがカオスノイズ信号から生成されたことが宣言される。
【0057】
図9は、周期的三角波信号ベース変調に対して、本発明の一実施形態に係るカオスノイズベース変調の利点を説明するための図である。図9は、周波数分散スペクトルのグラフである。灰色で示したスペクトルは、周期的な三角波信号を使用してクロック信号の変調を行ったスペクトルを表し、黒色で示したスペクトルは、上述の実施形態によるカオスノイズを使用してクロック信号の変調を行ったスペクトルを表している。この例では、黒色のスペクトルのピークは、灰色のスペクトルのピークよりも、12dB低くなっている。すなわち、カオスノイズベースの変調は、三角波ベースの変調に比べて、電磁波干渉ノイズが12dB引き下げられていることを意味する。また、灰色のスペクトルのバンド幅と、黒色のスペクトルのバンド幅が共に同じままになっている。つまり、黒色のスペクトルを使用すれば、パワーピークとバンド幅とのトレードオフで、無線周波数干渉を低減することが可能である。
【0058】
本発明の要素は、コンピュータ実行可能な命令を記憶する機械可読な記憶媒体としても提供可能である。例えば、一実施形態において、図4Bのバイアス電圧Vbはコンピュータ実行可能な命令によってプログラム可能であり、それにより変調出力信号の周波数分散を調整してもよい。機械可読記憶媒体としては、これらに限定されないが、フラッシュメモリ、光ディスク、CD‐ROM、DVD‐ROM、RAM、EPROM、EEPROM(登録商標)、磁気カード又は光学カード、若しくは、他の種類の電子的命令又はコンピュータ実行可能命令を記憶するのに適した機械可読記憶媒体を含む。例えば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムとしてダウンロードされてもよく、リモートコンピュータ(例えば、サーバー)から要求しているコンピュータ(例えば、クライアント)へと、通信リンク(例えば、モデム又はネットワーク接続)を通じてこのプログラムをデータ信号の形で転送してもよい。
【0059】
本発明が、特定の実施形態を参照して説明されたが、多くの代替、改良及び変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0060】
例えば、図2のスレーブセル202における加算器216、217によって加算される所定電圧Vxを、カオス生成回路212の一つの加算器で加算してもよい。この場合、図4Bの出力421が、図2のマスターセル201の位相固定信号によって制御されるマルチプレクサ(図4Bに示されていない)に入力される。図2のマスターセル201がロックされている場合は、(図4Bに示されていない)マルチプレクサは、出力421を選択する。(図4Bに示されていない)マルチプレクサを通じて、この出力421が(図4Bに示されていない)アナログ加算器により所定電圧Vxに加算される。一実施形態において、図2の加算器316、217を、このアナログ加算器で置き換えてもよい。このような実施形態において、カオス信号生成器410の最終的な出力は、所定電圧Vxを含む。
【0061】
一実施形態において、図2のマスターセル201のループがロックされていない場合は、(図4Bに示されていない)マルチプレクサは、(図4Bに示されていない)アナログ加算器を通じてゼロ電圧(グラウンド)を所定電圧Vxに加算して、カオス信号生成器410の出力を生成する。このような実施形態では、図2のマスターセル201のループがロックされていないので、図4Bの出力信号421は(図4Bに示されていない)マルチプレクサによりバイパスされる。
【0062】
また、他の実施形態として、図2のSRラッチ207、215を、SRフリップフロップで置き換えてもよい。同様に、その他の実施形態として、ランプ発生器を、図6Bに示した実装形態の替わりに図6Cに示した実装形態で実装してもよい。
【0063】
本発明の実施形態は、このような代替、改良及び変更が全て含まれ、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非変調基準信号に応じて制御電圧を生成するマスターセルと、
ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有し、前記マスターセルと連結され、前記制御電圧に応じて変調出力信号を生成するスレーブセルと
を備える装置。
【請求項2】
前記カオス信号生成器は、カオス変換写像に基づいて前記ランダムノイズ信号を生成する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記マスターセルは、
パルス信号を生成するエッジ発生器と
前記パルス信号及び前記非変調基準信号を受信して出力を生成する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器と連結され、前記出力を前記制御電圧に変換するループフィルターと
を有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マスターセルは、
前記制御電圧に応じてランプ信号を生成するランプ発生器と、
前記ランプ発生器と連結され、前記ランプ信号と所定電圧とを比較して前記エッジ発生器の制御信号を生成する比較器と
をさらに有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記所定電圧は、前記非変調基準信号の周波数に応じた周波数を持つ前記制御信号を生成するように設定される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ランプ発生器は、
第1の電荷ポンプと、
第2の電荷ポンプと、
前記第1の電荷ポンプ及び前記第2の電荷ポンプと連結され、前記ランプ信号を生成するマルチプレクサと
を含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記スレーブセルは、
前記マスターセルからの前記制御電圧に応じてランプ信号を生成するランプ発生器と、
前記カオス信号生成器に連結され、所定電圧を前記ランダムノイズ信号に加算して加算出力を生成する加算器と、
前記カオス信号生成器に連結され、前記加算出力と前記ランプ信号とを比較する比較器と、
前記比較器に連結され、前記変調出力信号を生成するエッジ発生器と
をさらに有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エッジ発生器の制御信号を生成するように前記マスターセルによって前記所定電圧が設定され、前記制御信号は、前記非変調基準信号の周波数に対応する周波数を持つ請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ランプ発生器は、
第1の電荷ポンプと、
第2の電荷ポンプと、
前記第1の電荷ポンプ及び前記第2の電荷ポンプと連結され、前記ランプ信号を生成するマルチプレクサと
を含む請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記カオス信号生成器は、
第1の正の乗算器と、
負の乗算器と、
前記第1の正の乗算器と前記負の乗算器と連結された第1のマルチプレクサと、
第2の正の乗算器と連結され、バイアス電圧を乗算する第2のマルチプレクサと、
前記第1のマルチプレクサ及び前記第2のマルチプレクサと連結され、前記ランダムノイズ信号を生成する加算増幅器と
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カオス信号生成器は、
前記ランダムノイズ信号をサンプリングするアナログフリップフロップと、
前記アナログフリップフロップに連結され、前記第1のマルチプレクサ及び前記第2のマルチプレクサの制御信号を生成する比較器と
を含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記アナログフリップフロップは、プログラム可能な周波数で前記ランダムノイズ信号をサンプリングする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記バイアス電圧は、前記変調出力信号の周波数分散を調整するべくプログラム可能である請求項11に記載の装置。
【請求項15】
マスターセルにより、非変調基準信号から制御電圧を生成する段階と、
ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有するスレーブセルにより、前記制御電圧及び前記ランダムノイズ信号に応じて変調出力信号を生成する段階とを備え、
前記スレーブセルは、前記マスターセルと連結されている方法。
【請求項16】
前記非変調基準信号から前記制御電圧を生成する段階は、
位相周波数比較器により、前記非変調基準信号を受信する段階と、
前記位相周波数比較器により、エッジ発生器からフィードバック信号を受信する段階と、
受信された前記非変調基準信号及び前記フィードバック信号に基づいて前記マスターセルをロックする段階と
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ランダムノイズ信号は、カオス変換写像を実行することにより生成される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御電圧に応じて前記変調出力信号を生成する段階は、
前記非変調基準信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ毎にランプ信号を生成する段階と、
前記ランダムノイズ信号に所定電圧を加算して加算出力を生成する段階と、
前記加算出力と前記ランプ信号とを比較する段階と、
前記比較に基づいて前記変調出力信号を生成する段階と
を有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記所定電圧を、前記変調出力信号を生成するための制御信号を生成する値に設定する段階をさらに備え、
前記制御信号は、前記非変調基準信号の周波数に対応する周波数を有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ランプ信号を生成する段階は、
前記マスターセルからの前記制御電圧に基づいて前記ランプ信号の傾きを調整する段階と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号を中断する段階と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号をトリガする段階と
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ランダムノイズ信号を生成する段階は、
一つ前のランダムノイズ信号に2を乗じる段階と、
前記一つ前のランダムノイズ信号に−2を乗じる段階と、
バイアス電圧に4を乗じる段階と、
前記一つ前のランダムノイズ信号と前記バイアス電圧とを比較する段階と、
前記2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号及び前記−2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号を多重化する第1多重化段階と、
前記4を乗じたバイアス電圧及びグランド信号を多重化する第2多重化段階と、
前記第1多重化段階の出力と前記第2多重化段階の出力とを加算して、前記ランダムノイズ信号を生成する段階と
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記変調出力信号の周波数分散を調整するべく前記バイアス電圧をプログラムする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
非変調基準信号から制御電圧を生成する手段と、
カオス変換写像関数に基づいてランダムノイズ信号を生成する手段と、
前記制御電圧及び前記ランダムノイズ信号に応じて変調出力信号を生成する手段と
を備える装置。
【請求項25】
前記制御電圧に応じてランプ信号を生成する手段と、
加算出力を生成すべく、前記ランダムノイズ信号に所定電圧を加算する手段と、
前記ランプ信号と前記加算出力とを比較する手段とをさらに備え、
前記変調出力信号は、前記比較に基づく請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ランプ信号を生成する手段は、
前記制御電圧に基づいて前記ランプ信号の傾きを調整する手段と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号を中断する手段と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号をトリガする手段と
を含む請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ランダムノイズ信号を生成する手段は、カオス変換写像を実行する手段を含む請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ランダムノイズ信号を生成する手段は、
一つ前のランダムノイズ信号に2を乗じる手段と、
前記一つ前のランダムノイズ信号に−2を乗じる手段と、
バイアス電圧に4を乗じる手段と、
前記一つ前のランダムノイズ信号と前記バイアス電圧とを比較する手段と、
前記2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号及び前記−2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号を多重化する第1多重化手段と、
前記4を乗じたバイアス電圧及びグランド信号を多重化する第2多重化手段と、
前記ランダムノイズ信号を生成すべく、前記第1多重化の出力と前記第2多重化の出力とを加算する手段と
を備える請求項24に記載の装置。
【請求項1】
非変調基準信号に応じて制御電圧を生成するマスターセルと、
ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有し、前記マスターセルと連結され、前記制御電圧に応じて変調出力信号を生成するスレーブセルと
を備える装置。
【請求項2】
前記カオス信号生成器は、カオス変換写像に基づいて前記ランダムノイズ信号を生成する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記マスターセルは、
パルス信号を生成するエッジ発生器と
前記パルス信号及び前記非変調基準信号を受信して出力を生成する位相周波数比較器と、
前記位相周波数比較器と連結され、前記出力を前記制御電圧に変換するループフィルターと
を有する請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記マスターセルは、
前記制御電圧に応じてランプ信号を生成するランプ発生器と、
前記ランプ発生器と連結され、前記ランプ信号と所定電圧とを比較して前記エッジ発生器の制御信号を生成する比較器と
をさらに有する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記所定電圧は、前記非変調基準信号の周波数に応じた周波数を持つ前記制御信号を生成するように設定される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ランプ発生器は、
第1の電荷ポンプと、
第2の電荷ポンプと、
前記第1の電荷ポンプ及び前記第2の電荷ポンプと連結され、前記ランプ信号を生成するマルチプレクサと
を含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記スレーブセルは、
前記マスターセルからの前記制御電圧に応じてランプ信号を生成するランプ発生器と、
前記カオス信号生成器に連結され、所定電圧を前記ランダムノイズ信号に加算して加算出力を生成する加算器と、
前記カオス信号生成器に連結され、前記加算出力と前記ランプ信号とを比較する比較器と、
前記比較器に連結され、前記変調出力信号を生成するエッジ発生器と
をさらに有する請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記エッジ発生器の制御信号を生成するように前記マスターセルによって前記所定電圧が設定され、前記制御信号は、前記非変調基準信号の周波数に対応する周波数を持つ請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ランプ発生器は、
第1の電荷ポンプと、
第2の電荷ポンプと、
前記第1の電荷ポンプ及び前記第2の電荷ポンプと連結され、前記ランプ信号を生成するマルチプレクサと
を含む請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記カオス信号生成器は、
第1の正の乗算器と、
負の乗算器と、
前記第1の正の乗算器と前記負の乗算器と連結された第1のマルチプレクサと、
第2の正の乗算器と連結され、バイアス電圧を乗算する第2のマルチプレクサと、
前記第1のマルチプレクサ及び前記第2のマルチプレクサと連結され、前記ランダムノイズ信号を生成する加算増幅器と
を含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カオス信号生成器は、
前記ランダムノイズ信号をサンプリングするアナログフリップフロップと、
前記アナログフリップフロップに連結され、前記第1のマルチプレクサ及び前記第2のマルチプレクサの制御信号を生成する比較器と
を含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記アナログフリップフロップは、プログラム可能な周波数で前記ランダムノイズ信号をサンプリングする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記バイアス電圧は、前記変調出力信号の周波数分散を調整するべくプログラム可能である請求項11に記載の装置。
【請求項15】
マスターセルにより、非変調基準信号から制御電圧を生成する段階と、
ランダムノイズ信号を生成するカオス信号生成器を有するスレーブセルにより、前記制御電圧及び前記ランダムノイズ信号に応じて変調出力信号を生成する段階とを備え、
前記スレーブセルは、前記マスターセルと連結されている方法。
【請求項16】
前記非変調基準信号から前記制御電圧を生成する段階は、
位相周波数比較器により、前記非変調基準信号を受信する段階と、
前記位相周波数比較器により、エッジ発生器からフィードバック信号を受信する段階と、
受信された前記非変調基準信号及び前記フィードバック信号に基づいて前記マスターセルをロックする段階と
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ランダムノイズ信号は、カオス変換写像を実行することにより生成される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御電圧に応じて前記変調出力信号を生成する段階は、
前記非変調基準信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジ毎にランプ信号を生成する段階と、
前記ランダムノイズ信号に所定電圧を加算して加算出力を生成する段階と、
前記加算出力と前記ランプ信号とを比較する段階と、
前記比較に基づいて前記変調出力信号を生成する段階と
を有する請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記所定電圧を、前記変調出力信号を生成するための制御信号を生成する値に設定する段階をさらに備え、
前記制御信号は、前記非変調基準信号の周波数に対応する周波数を有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ランプ信号を生成する段階は、
前記マスターセルからの前記制御電圧に基づいて前記ランプ信号の傾きを調整する段階と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号を中断する段階と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号をトリガする段階と
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ランダムノイズ信号を生成する段階は、
一つ前のランダムノイズ信号に2を乗じる段階と、
前記一つ前のランダムノイズ信号に−2を乗じる段階と、
バイアス電圧に4を乗じる段階と、
前記一つ前のランダムノイズ信号と前記バイアス電圧とを比較する段階と、
前記2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号及び前記−2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号を多重化する第1多重化段階と、
前記4を乗じたバイアス電圧及びグランド信号を多重化する第2多重化段階と、
前記第1多重化段階の出力と前記第2多重化段階の出力とを加算して、前記ランダムノイズ信号を生成する段階と
を含む請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記変調出力信号の周波数分散を調整するべく前記バイアス電圧をプログラムする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
非変調基準信号から制御電圧を生成する手段と、
カオス変換写像関数に基づいてランダムノイズ信号を生成する手段と、
前記制御電圧及び前記ランダムノイズ信号に応じて変調出力信号を生成する手段と
を備える装置。
【請求項25】
前記制御電圧に応じてランプ信号を生成する手段と、
加算出力を生成すべく、前記ランダムノイズ信号に所定電圧を加算する手段と、
前記ランプ信号と前記加算出力とを比較する手段とをさらに備え、
前記変調出力信号は、前記比較に基づく請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記ランプ信号を生成する手段は、
前記制御電圧に基づいて前記ランプ信号の傾きを調整する手段と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号を中断する手段と、
前記比較に基づいて前記ランプ信号をトリガする手段と
を含む請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ランダムノイズ信号を生成する手段は、カオス変換写像を実行する手段を含む請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記カオス変換写像は、テント変換写像又はベルヌーイシフト写像のいずれかを含む請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ランダムノイズ信号を生成する手段は、
一つ前のランダムノイズ信号に2を乗じる手段と、
前記一つ前のランダムノイズ信号に−2を乗じる手段と、
バイアス電圧に4を乗じる手段と、
前記一つ前のランダムノイズ信号と前記バイアス電圧とを比較する手段と、
前記2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号及び前記−2を乗じた一つ前のランダムノイズ信号を多重化する第1多重化手段と、
前記4を乗じたバイアス電圧及びグランド信号を多重化する第2多重化手段と、
前記ランダムノイズ信号を生成すべく、前記第1多重化の出力と前記第2多重化の出力とを加算する手段と
を備える請求項24に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2011−118878(P2011−118878A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−233718(P2010−233718)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233718(P2010−233718)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】
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