説明

ノズルカバー付き押下げヘッド容器。

【課題】カバー筒部材を紛失するおそれがなく、かつ簡単に使用できる、ノズルカバー付き押下げヘッド容器を提供する。
【解決手段】容器体2の口頸部4内から上方付勢されかつ押下げヘッド12を上部に付したステム10を、口頸部4の外側からステムを囲む案内筒24をそれぞれ起立するとともに、押下げヘッド12の外面に、そのヘッド前面から突出したノズル14の挿通用孔52を有するカバー筒部材40を昇降自在かつ回動可能に嵌合するとともに、押下げヘッドを回り止めし、さらに挿通用孔上方の筒壁42部分からノズルカバー56を突設した押下げヘッド容器であって、上記挿通用孔52は、全体として筒壁42の周方向に長い横溝52aを含み、この横溝の長手方向の一部を、筒径方向から見てV字形の第1の屈曲部54として、回動時のカバー筒部材のノズルカバー56とノズル14とが接触しないように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルカバー付き押下げヘッド容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来押下げヘッドに付設したノズルを保護し、その押下げを阻止するストッパーとしての機能を付加するために、押下げヘッドからノズルに亘る部分を覆い、かつ着脱自在に嵌合させたカバー部材を有する押下げヘッド容器が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−043165
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の押上げヘッド容器では、カバー部材をノズル付き押下げヘッドに着脱自在に嵌合させていたから、使用の際にカバー部材を取り外した後に、このカバー部材を紛失してしまうおそれがあった。また、子供や高齢者など力の弱い利用者にとっては、押下げヘッドへのカバー部材の嵌合が固すぎると、着脱が容易でないことがあった。
本発明は、ノズル及び押下げヘッドのカバー筒部材を紛失するおそれがなく、かつ簡単に使用できる、ノズルカバー付き押下げヘッド容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の手段は、容器体2の口頸部4内から上方付勢されかつ押下げヘッド12を上部に付したステム10を、口頸部4の外側からステムを囲む案内筒24をそれぞれ起立するとともに、
押下げヘッド12の外面に、そのヘッド前面から突出したノズル14の挿通用孔52を有するカバー筒部材40を昇降自在かつ回動可能に嵌合するとともに、押下げヘッドを回り止めし、さらに挿通用孔上方の筒壁42部分からノズルカバー56を突設した押下げヘッド容器であって、
上記挿通用孔52は、全体として筒壁42の周方向に長い横溝52aを含み、この横溝の長手方向の一部を、筒径方向から見てV字形の第1の屈曲部54として、回動時のカバー筒部材のノズルカバー56とノズル14とが接触しないように形成され、
さらに上記案内筒24とこの案内筒と重なるカバー筒部材40の筒部分との各対向面の一方に溝路28を、他方にこの溝路28内を移動する係合凸部48をそれぞれ設けるとともに、その溝路28を、ノズル挿通用孔52に対応する形の案内溝29と、押下げ用溝30とで形成し、
案内溝29は、少なくとも第1の屈曲部と相似な第2の屈曲部32を含み上記横溝52aに対応する形の第1溝部分29aを有し、この第1溝部分の内縁に沿って係合凸部48が移動することで、ノズル14が上記横溝52a内を溝の延びる方向へ案内されるように形成し、
押下げ用溝30は、上記案内溝29の先部から下方へ延長し、カバー筒部材40が押下げヘッド12とともに昇降する際に上記係合凸部48が押下げ用溝30内を上下動するように構成している。
【0005】
本手段では、ノズルの挿通用孔を有し、かつ挿通用孔の上部からノズルカバーを突出するカバー筒部材を提案している。これにより、押下げ操作の際にカバー筒部材を外す必要がなく、この部材の紛失を防止できる。本発明の挿通用孔は、いわばノズルの“通り道”であり、その第2の屈曲部を含む第1の溝部分を有する。ノズルは、第2の屈曲部を通ることで、ノズルカバーの両側部を迂回するように斜め下方及び斜め上方へ順次移動するようにしている。特にこれら斜行状態で溝の内縁にノズルが押し付けられると、ステムに不適切な応力が作用するおそれがある。そこで挿通用孔内でその道なりにノズルを案内するための案内溝及び係合凸部を案内筒及びカバー筒部分の対応面部分に相互の係合可能に形成する。
【0006】
「挿通用孔」は、ノズル付きの押下げヘッドにカバー筒部材を嵌合した状態で、カバー筒部材の回動及び上下動を可能とするために設ける。全体としてT字形やL字形などの溝状に形成することが望ましい。
【0007】
「案内溝」は、係合凸部と協動してノズルがノズル挿通孔の内部を(好ましくは孔の中心線を)通るように案内する機能を有する。好適な実施形態では、装着部材の案内筒側に案内溝を、カバー筒部材の筒部分側に係合凸部をそれぞれ形成しているが、案内筒側に係合凸部を、筒部分側に案内溝を形成してもよい。また、「カバー筒部材の筒部分」は、カバー筒部材の周壁(外周壁)に限定されず、案内筒に対して回動可能であればよい。
【0008】
上記案内機能を実現するために案内溝と挿通用孔とは相互に対応した形状を有する。図1に示すように案内溝と挿通用孔とを、相対的に動く2つのパーツ(案内筒とカバー筒部材)に形成するときには、案内溝と挿通用孔とは図8及び図9に示すようにおおよそ180°回転対称な形状とするとよい。案内筒や押下げヘッドに対してカバー筒部材が回動及び昇降するときに、案内溝内の係合凸部の動きと挿通用孔内のノズルの動きとは相対的に反対となるからである。案内溝と挿通用孔とが同じパーツにあるときには、両者は同じ向きの相似形とすればよい。
【0009】
「第2の屈曲部」は、係合凸部と協動してカバー筒部材への回転力を垂直方向の力に変換する機能を有する。第2の屈曲部は第1の屈曲部とほぼ相似形である。相似という言葉を用いるのは、屈曲部の各斜辺の長さに対して溝の太さの割合が異なるからである。これについては後述する。両屈曲部の巾方向中点を通る中心線の形状は同じとすることができる。各屈曲部の斜辺の水平に対する傾斜角度は60°以下とすることが望ましく、特に45°程度が好適である。
【0010】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記ノズルカバー56は、天板57の左右両縁から二つの側板58を垂下し、これら側板のうち横溝52aが延びる方向にある一方側板の垂下長hを、上記第2の屈曲部の高さHよりも小としている。
【0011】
本手段は、ノズルカバーの好適な構造を提案している。ノズルカバーは、ノズルの上半部を他物の接触から保護するものであり、横断面形状をほぼ逆U字形とすることができる。また、ノズルカバーの側板は、ノズルが第2の屈曲部内を道なりに移動することで側板に当接せずに側板の下側を迂回することが可能に形成する。
【0012】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記挿通用孔52は、カバー筒部材40の筒壁42の前壁部分下端から上方へ延びるノズル挿入用の一つの縦溝52bと、この縦溝52bの上部から周方向一方へ延びる一つの上述の横溝52aとで形成され、
上記案内溝29は、上記縦溝52aに対応して、第1溝部分29aの一端部から上方へ延びる第2溝部分29bを有する。
【0013】
本手段では、まず横溝内にノズルを挿入するための縦溝を挿通用孔の一部として形成することを提案している。また、縦溝に対応する第2溝部分を案内溝の一部として形成するとよい。これにより係合凸部が第1溝部分から第2溝部分内へ摺動することで、ノズルが横溝から縦溝へ両溝の角部に衝突せずに案内されるようにしている。
【0014】
第4の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記挿通用孔52は、カバー筒部材40の筒壁42の前壁部分下端から上方へ延びるノズル挿入用の一つの縦溝52bと、この縦溝52bの上部から周方向双方へ延びる一対の上述の横溝52aとで形成されており、
上記案内溝29は、上記対向面の一方の周方向の任意の一箇所から、各横溝52aに対応して周方向反対側へ延びる一対の第1溝部分29aと、当該箇所から縦溝52bに対応して上方へ延びる第2溝部分29bとを有し、
さらにそれら第1溝部分29aの先部からは、2本の押下げ用溝30を垂下させている。
【0015】
本手段では、挿通用孔の横溝および案内溝の第1溝部分をそれぞれ一対として形成している。前者は縦溝を、又後者は第2溝部分をそれぞれ対照軸とする左右一対とすることが望ましい。こうすることで、右利きの人にも左利きの人にも使い勝手がよい容器とすることができる。
【0016】
第5の手段は、第2の手段から第4の手段の何れかを有し、かつ
上記対向面の一方に、同形状の複数の溝路28を等角的に配置し、かつ他方に、各溝路内に挿入する溝路と同数の係合凸部48を形成している。
【0017】
本手段では、案内溝と押下げ用溝とからなる複数の溝路を、パノラマ展開図である図8の如く等角的に配置している。これによりカバー筒部材のスムーズな回動が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
第1の手段に係る発明によれば次の効果を奏する。第1に、カバー筒部材40は、押下げヘッドにつけた状態での回転操作を可能とする、ノズルの挿通用孔52を有するから、押下げヘッドから外して紛失するおそれがない。第2に、ノズルのガイド手段として、案内溝29及び係合凸部48を形成したから、ノズルに不要の外力が作用することを防止できる。
【0019】
第2の手段に係る発明によれば、ノズルカバーの側板の垂下長を第2の屈曲部の高さH以上としたから、上記側板へのノズルの当接防止を確実とすることができる。
【0020】
第3の手段に係る発明によれば、挿通用孔52の一部としてノズル挿入用の縦溝52bを形成したから、押下げヘッドへのカバー筒部材の装着が容易である。
【0021】
第4の手段に係る発明によれば、挿通用孔52は、左右対照の一対の横溝52aを含むから、利用者の利き手にかかわらず、操作し易い。
【0022】
第5の手段に係る発明によれば、案内溝と押下げ用溝とからなる溝路28を複数形成したから、回動操作時のカバー筒部材のガタツキを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1から図9は本発明の第1の実施形態の押下げヘッド容器を示している。
この容器は、容器体2と、シリンダ6と、作動部材8と、装着部材16と、カバー筒部材40とで形成している。
【0024】
容器体2は、胴部から肩部を介して口頸部4を起立している。
シリンダ6は、上端部に有する鍔部6aを、口頸部4の上端面に係止させて、容器体2内へ垂下している。
【0025】
作動部材8は、上記シリンダ6内部から起立したステム10の上端部に押下げヘッド12を付設している。押下げヘッドは、図4に示す如くその頂壁の内周部及び外周部からそれぞれ内周壁13a及び外周壁13bを垂下している。内周壁13aはステム10の上部に嵌合されている。また押下げヘッドの前面からはノズル14を前方突出している。そして、作動部材8は、シリンダ6に対する上記ステム10の上下動により容器体内から液体を吸い上げ、加圧してステム10を介してノズル14から噴出するように構成している。
【0026】
装着部材16は、図1のように上記口頸部4に螺合させた装着筒18の上端からフランジ状頂壁20を少なくとも内方へ突出し、このフランジ状頂壁の内周側から係合筒22を、また、外周側から案内筒24をそれぞれ起立している。この案内筒の外面上端部には図5に示す如く第1抜止め用凸部25を付設する。さらに案内筒の上端部を除く左右側板部分外面には後述のカバー筒部材係止用のストッパ突部26を縦設している。上記係合筒22と押下げヘッド12の外周壁13Bとには、図4に示す如く相互に係合する縦凹条27a及び縦凸条27bからなる廻り止め手段27を形成する。
【0027】
さらに上記案内筒24の外面には、一対の溝路28を形成する。各溝路28は略L字形の案内溝29と押下げ用溝30とで形成されている。この案内溝29は、図1に点線で示す、横向きの第1溝部分29aと、縦向きの第2溝部分29bとからなる。そして、第2溝部分29bの先端からは、上記押下げ用溝30を下方へ延長している。図8には案内溝29及び押下げ用溝30の形状を説明するために案内筒の外面を360°パノラマ展開した図形を描いている。上記第1溝部分29aは、案内筒24の適所から周方向へ延びる全体として横長形であり、その長手方向の基端R寄りに、筒径方向外側から見て逆V字形の第2の屈曲部32を付形している。この第2の屈曲部は後述の係合凸部を上下動させるためのものである。上記第2溝部分29bは、上記係合凸部の挿入口であり、第1溝部分の基端Rから第1抜止め用凸部25の横を通過して案内筒の上端まで延びている。上記各溝路28は、押下げ用溝30及びストッパ突部26の形成箇所が周方向に重ならないように配置する。図示例では、図6に示す2つの第2溝部分29bを結ぶ一点鎖線は前後方向に対して30°程度ずらしてある。
【0028】
図示例では、さらに図1の如くフランジ状頂壁20を側外方へ延長して、この延長部分外縁から大径筒34を垂下するとともに、フランジ状頂壁の上面から外筒外面に亘って、内向きフランジを上端に有する加飾筒36を装着している。
【0029】
カバー筒部材40は、有頂筒形であって、その頂壁の外周部から、案内筒を下端部で囲む筒壁42を垂下している。この筒壁下端部は図4に示す大内径部とし、この大内径部を図5に示すように表裏両側から挟む内筒44a及び外筒44bを含む挟持筒44を設けている。上記内筒44aは、その左右両壁部下端面と、図1に点線で示すストッパ突部26の上端面の上に載置することが可能にしている。内筒の厚さは少なくともストッパ突部の突出巾と同じとするとともに、内筒の後壁部を全長に亘って縦溝状に切り欠いて、この切欠き46を、図7に示すカバー筒部材の回転位置におけるストッパ突部26の収納部としている。切り欠き46を除く内筒部分の下部適所には係合凸部48を付設する。この係合凸部は案内溝29内に摺動自在に挿入されている。このようにすることで、案内筒24に対するカバー筒部材40の回動により係合凸部48が逆V字形の第2の屈曲部32を通過するときに、カバー筒部材40が上下動するように構成されている。また上記内筒44aの内面には、第1抜止め用凸部25と係合する第2抜止め用凸部(図示せず)を付設している。
【0030】
上記カバー筒部材の筒壁42には、挿通用孔52を穿設している。この挿通用孔52は図3に示すように横溝52aと縦溝52bと逆L字形に形成している。図9は、この挿通用孔52の形状を説明するために、筒壁42の外面をパノラマ展開した図形を示している。横溝52aは、縦溝52bよりの部分に筒径方向から見てV字形の第1の屈曲部54を有する。挿入用孔52と案内溝29とは筒径方向外側から見ておおよそ180°回転対称な形状を有する。「おおよそ」という言葉を用いたのは、挿入用孔の縦溝52bと案内溝の第2溝部分29bとの長さは必ずしも同じではなくてもよいからである。また、挿入用孔の各溝部の巾はノズルの太さに、案内溝の巾は係合凸部のサイズに対応している。従って挿入用孔52と挿入用孔とは厳密な対照形状ではないが、おおよそ対応した形状を有する。第1の屈曲部54が横溝52aの周方向一方寄りに位置するときには、第2の屈曲部32は第1溝部分29aの周方向他方寄りに位置する。また、第1の屈曲部54と第2の屈曲部の相互に対応する斜辺の長さや傾斜角度は同じである。
【0031】
さらに挿通用孔52上方の筒壁部分からは、ノズルカバー56を庇状に突設している。ノズルカバーは、図11に示す如く上方から見て扇形の天板左右両側から側板58を垂下している。本実施形態では左右側板の一方を短くしており、その垂下長hを第1の屈曲部54の高さHよりも小さくする。
【0032】
上記構成において、図1の状態では、ストッパ突部26の上端面がカバー筒部材の挟持筒44下面に当接し、カバー筒部材の押し下げを防止している。次にカバー筒部材を周方向の何れか一方に回転させると、カバー筒部材40の係合凸部48が図8に示す基端Rから第1溝部分29a内に入り、第2の屈曲部32に沿ってスライドする。これによりカバー筒部材40は、回転しながら上下動することになる。これら二つの運動の合成により、ノズル14が挿通用孔の横溝52a内を道なりに移動する動きが実現される。上記係合凸部48が第2の屈曲部32を経て第1の溝部分29aの先端Sに到達すると、ノズル14もノズル挿入孔の横溝52aの先端部に達する。その後にカバー筒部材40を押し下げると、カバー筒部材とともに押下げヘッド12も下降し、係合凸部48が押下げ用溝30内を下降する。押し下げ力を解放すると、押下げヘッド及びカバー筒部材の上昇復帰に伴って係合凸部も押下げ用溝内を上昇する。
【0033】
図9は、この挿通用孔52の形状を説明するために、筒壁42の外面をパノラマ展開した図形を示している。横溝52aは、中間部に筒半径方向から見てV字形の第1の屈曲部54を有しており、上記挿通用孔の第1溝部分29aとは上下反対向きに形成している。さらに第2の屈曲部32及び第1の屈曲部54の高さも同じである(H)。また縦溝52bは、筒壁42前壁上部分から挟持筒44を縦断してカバー筒部材の下端面に到達している。
【0034】
さらに挿通用孔52上方の筒壁部分からは、ノズルカバー56を庇状に突設している。ノズルカバーは、図11に示す如く上方から見て扇形の天板左右両側から側板58を垂下している。その垂下長hは、上記V字形の屈曲部の高さHよりも小さくする。またノズルカバーの平面形状は、図11に示すように、前後方向の中心軸Lに対して上記側板58の周方向の位置がθ〜θの範囲にあるように設計する。この構成によれば、ノズルカバー56が図11に示す実線位置から破線位置へ移動するときに、係合凸部48が第2の屈曲部32内を通過することで、側板58がノズル14との接触を避けるように上下動することになる。また、図示例では、図1に示すようにガタツキ防止用の突起60を筒壁42の後壁内面に付設している。さらにまたカバー筒部材の頂壁裏面の適所には、押下げヘッド押下げ用の押下げ凸部62を付設している。
【0035】
以下本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については解説を省略する。
【0036】
図10から図19は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態では、ノズルカバー、挿通用孔、溝路(案内溝及び押下げ用溝)の形状を変更したものである。
【0037】
ノズルカバー56は、図11に示すように上方から見て扇形に形成されている。天板57の両側からは、ノズルの側面を覆うように側板58を深く垂下している。この側板は上方から見た中心線Lに対して、θ〜θの範囲にある。
【0038】
挿通用孔52は、図12に示すように、縦溝52bの上端から周方向両側へ左右一対の横溝52aを延長することで左右対称に形成している。これにより左右の何れに回転させてもよいように構成している。各横溝52aは展開図である図18に示すように長手方向の中間部に逆V字形の第1の屈曲部54を有する。この屈曲部は、縦溝52bに対して角度θの位置で斜行し始めて角度θで頂点に至る。図示例では、屈曲部を構成する2つの斜辺は同じ長さで傾斜角も同じ(45°)である。しかしその構造は適宜変更することができる。屈曲部の高さHは、ノズルカバーの側板58の垂下長hよりも大きい。これによりカバー筒部材を回転するときにノズルが上記側板58を避けるように迂回するようにすることができる。
【0039】
案内溝29は、挿通用孔52に対応して、図17に示すように縦向きの第2溝部分29bの下端から周方向両側へ左右一対の第1溝部分29aを延出している。第1溝部分29aは、横溝52aに対して180°回転対照(図示例では上下対称)である。第2の屈曲部32の各斜辺の傾斜角度・長さは第1の屈曲部54の対応部分と同じである。第1実施形態と同様に案内溝29を案内筒の前後位置から多少ずらした場所に配置している。各案内溝の先部からは2本の押下げ用溝30を垂下している。
【0040】
図19は、本実施形態の変形例であり、図11に示す溝路28を等角的に複数(図示例では2つ)設けたものである。各溝路28は間隔を置かずに連続し、押下げ用溝30を共有している。
【0041】
図20及び図21は、本発明の第3の実施形態を示している。この実施形態では、案内筒24外面に回動不能に嵌合させた下半部から、案内筒部と同内径の上半部を起立する補助筒66を設ける。この補助筒の上半部内面は、押下げヘッドの外周壁13Bの下端部外面に対向している。また補助筒66の下半部と案内筒24の外面との適所(図示例では前半部)との間には、相互に係合する縦リブと縦溝とからなる位置合わせ手段68を形成する。案内筒24の適所には、押下げヘッドの外周壁13B下端面と係止するストッパ突部26を縦設する。またカバー筒部材40を押し下げ位置まで回動したときにストッパ突部に対応する外周壁13B部分には、ストッパ突部収納用の切り欠き46を形成する。
【0042】
切り欠き穿設箇所を除く外周壁13B部分の下部には、係合凸部48を設置する。また、この係合凸部の設置個所に対応して、上記補助筒66の上半部の適所(図示例では後半部分)には、第1実施形態のものと同様の形状を有する案内溝29を形成する。この案内溝29の第1溝部分29a内を、第2の屈曲部32を経由して係合凸部が往復することで、ノズル14が挿通用孔の第1の屈曲部54付き横溝52aを、道なりに移動する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る押下げヘッド容器の一部切欠き縦断面図である。
【図2】図1容器の押下げヘッドの平面図である。
【図3】図1容器の正面図である。
【図4】図1容器の縦断面図である。
【図5】図1容器の一部を断面で示す側面図である。
【図6】図1容器の横断面図である。
【図7】図1容器のカバー筒部材を回転させた状態での横断面図である。
【図8】図1容器の案内筒外面をパノラマ様に展開した図である。
【図9】図1容器のカバー筒部材の筒壁外面を展開した図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る押下げヘッド容器の一部切欠き縦断面図である。
【図11】図10容器の押下げヘッドの平面図である。
【図12】図10容器の正面図である。
【図13】図10容器の縦断面図である。
【図14】図10容器一部を断面で示す側面図である。
【図15】図10容器の横断面図である。
【図16】図10容器のカバー筒部材を回転させた状態での横断面図である。
【図17】図10容器の案内筒外面をパノラマ様に展開した図である。
【図18】図10容器のカバー筒部材の筒壁外面を展開した図である。
【図19】同実施形態の変形例の案内筒外面をパノラマ様に展開した図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る押下げヘッド容器の要部縦断面図である。
【図21】図20の一部を断面で示す分解図である。
【符号の説明】
【0044】
2…容器体 4…口頸部 6…シリンダ 6a…鍔部 8…作動部材 10…ステム
12…押下げヘッド 13a…内周壁 13b…外周壁 14…ノズル
16…装着部材 18…装着筒
20…フランジ状頂壁 22…係合筒 24…案内筒 25…第1抜止め用凸部
26…ストッパ突部 27…廻り止め手段 27a…縦凹条 27b…縦凸条
28…溝路 29…案内溝 29a…第1の溝部分 29b…第2の溝部分
30…押下げ用溝
32…第2の屈曲部 34…大径筒 36…加飾筒
40…カバー筒部材 42…筒壁 44…挟持筒 44a…内筒 44b…外筒
46…切り欠き 48…係合凸部
52…挿通用孔 52a…横溝 52b…縦溝 54…第1の屈曲部
56…ノズルカバー 57…天板 58…側板
60…ガタツキ防止用突起 62…押下げ凸部 66…補助筒
68…位置合わせ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体2の口頸部4内から上方付勢されかつ押下げヘッド12を上部に付したステム10を、口頸部4の外側からステムを囲む案内筒24をそれぞれ起立するとともに、
押下げヘッド12の外面に、そのヘッド前面から突出したノズル14の挿通用孔52を有するカバー筒部材40を昇降自在かつ回動可能に嵌合するとともに、押下げヘッドを回り止めし、さらに挿通用孔上方の筒壁42部分からノズルカバー56を突設した押下げヘッド容器であって、
上記挿通用孔52は、全体として筒壁42の周方向に長い横溝52aを含み、この横溝の長手方向の一部を、筒径方向から見てV字形の第1の屈曲部54として、回動時のカバー筒部材のノズルカバー56とノズル14とが接触しないように形成され、
さらに上記案内筒24とこの案内筒と重なるカバー筒部材40の筒部分との各対向面の一方に溝路28を、他方にこの溝路28内を移動する係合凸部48をそれぞれ設けるとともに、その溝路28を、ノズル挿通用孔52に対応する形の案内溝29と、押下げ用溝30とで形成し、
案内溝29は、少なくとも第1の屈曲部と相似な第2の屈曲部32を含み上記横溝52aに対応する形の第1溝部分29aを有し、この第1溝部分の内縁に沿って係合凸部48が移動することで、ノズル14が上記横溝52a内を溝の延びる方向へ案内されるように形成し、
押下げ用溝30は、上記案内溝29の先部から下方へ延長し、カバー筒部材40が押下げヘッド12とともに昇降する際に上記係合凸部48が押下げ用溝30内を上下動するように構成したことを特徴とする、ノズルカバー付き押下げヘッド容器。
【請求項2】
上記ノズルカバー56は、天板57の左右両縁から二つの側板58を垂下し、これら側板のうち横溝52aが延びる方向にある一方側板の垂下長hを、上記第2の屈曲部の高さHよりも小としたことを特徴とする、請求項1記載のノズルカバー付き押下げヘッド容器。
【請求項3】
上記挿通用孔52は、カバー筒部材40の筒壁42の前壁部分下端から上方へ延びるノズル挿入用の一つの縦溝52bと、この縦溝52bの上部から周方向一方へ延びる一つの上述の横溝52aとで形成され、
上記案内溝29は、上記縦溝52aに対応して、第1溝部分29aの一端部から上方へ延びる第2溝部分29bを有することを特徴とする、請求項2記載のノズルカバー付き押下げヘッド容器。
【請求項4】
上記挿通用孔52は、カバー筒部材40の筒壁42の前壁部分下端から上方へ延びるノズル挿入用の一つの縦溝52bと、この縦溝52bの上部から周方向双方へ延びる一対の上述の横溝52aとで形成されており、
上記案内溝29は、上記対向面の一方の周方向の任意の一箇所から、各横溝52aに対応して周方向反対側へ延びる一対の第1溝部分29aと、当該箇所から縦溝52bに対応して上方へ延びる第2溝部分29bとを有し、
さらにそれら第1溝部分29aの先部からは、2本の押下げ用溝30を垂下させたことを特徴とする、請求項2記載のノズルカバー付き押下げヘッド容器。
【請求項5】
上記対向面の一方に、同形状の複数の溝路28を等角的に配置し、かつ他方に、各溝路内に挿入する溝路と同数の係合凸部48を形成したことを特徴とする、請求項2から請求項4の何れかに記載のノズルカバー付き押下げヘッド容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−83493(P2010−83493A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252285(P2008−252285)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(592042750)株式会社アルビオン (20)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】