ノズル
【課題】細長い噴射孔をもつノズルにおいて、打力の均等化を図る。
【解決手段】ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしている。
【解決手段】ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルに関し、特に、水と空気からなる気液混合の二流体の噴霧用ノズルとし、連続鋳造装置の二次冷却帯に連続的に引き出される鋳片に対して冷却水噴霧用として好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続鋳造装置の二次冷却帯では並設されたロール間に多数ノズルを間隔をあけて並設し、噴霧範囲をラップさせて鋳片全面に冷却ミストを噴射して未冷却部分の発生をなくすと共に、冷却ムラを発生しないようにしている。
【0003】
この種の鋳片冷却用のノズルとしては、本出願人は先に特許第2719073号の図16に示す二流体ノズルを提供している。該ノズル1は、主孔2の両側に副孔3を設け、噴射側頂面に直径方向に設けた切り込み4を主孔2および副孔3と連通させて噴射孔5を設けている。
【0004】
前記ノズルでは、噴霧パターンが両側のスソ引き部分が短い台形状となり、噴射範囲がラップした部分とラップしていない部分の流量、打力および粒子径の均等化を図ることができる。かつ、流量制御範囲のターンダウン比を1:20以上の広い範囲に変動しても、前記ラップした部分とラップしていない部分との流量変動が抑制できる利点を有するものである。
【0005】
【特許文献1】特許第2719073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記連続鋳造装置の鋳片冷却用のノズルでは、鋳片の搬送領域に応じて急冷却、緩冷却と冷却温度を調節する必要があり、さらに、鋼種に応じても冷却温度を調整する必要がある。その際、ノズルに供給する空気量は大きく変化させず、水量は高水量時に比較して低水量時には1/5程度として冷却温度を調節する場合がある。この場合、同一のノズルで水量の制御範囲を広くして使用する場合、噴霧の打力分布に関しては、高水量時と低水量時では若干相違が発生し、高水量時には打力分布が均等となるが、低水量時には空気の影響が大きくなり、水の流量分布は均等であっても、打力は両外側が強くなる2山状の分布となり、冷却ムラが発生しやすい問題があった。
【0007】
前記問題は、従来の図16に示すノズルにおいて、図17(A)に示すように、噴射孔から噴霧する時に圧搾空気の圧力が急激に減少することで膨張拡大し、噴射孔の長さ方向の両外側の空気量が中央よりも増大しやすい。その結果、噴射孔5の長さ方向の両側の打力が中央よりも大となり、図17(B)に示す噴霧の打力分布において2山状となる。
【0008】
さらに、前記図16に示すノズルでは、ノズル本体1の気液混合流路の流入口6には供給管7を連通して、該供給管7より空気とエアとが混合された気液混合流体が導入される。該供給管7が図17(C)に示ように屈曲した配管とせざるを得ない場合、該供給管7内において気液混合流体が屈曲する際に、気液分離が発生しやすい。この状態でノズル本体1内に流入されると、低水量時には気液分離状態のまま噴射されやすく、水量の分布および打力の分布が不均質になりやすい問題もある。
特に、連続鋳造装置の二次冷却帯に配置するノズルへの供給管は直線状に配管しにくく屈曲して配管せざるを得ない場合が多く、この点でも配管の形態にかかわらずノズルの形状を改良することで打力分布、水量分布の均一化を図るようにすることが望まれている。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、低水量時にも高水量時と同様に打力分布を均等化し、かつ、ノズルへの供給する流体の配管が屈曲していても、打力分布および水量分布の均等化を確保できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、
前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、
前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしていることを特徴とするノズルを提供している。
【0011】
前記のように、本発明では、ノズル本体内において、先端に幅狭で細長い形状とした噴射孔と対向するようにオリフィスを設け、噴射孔に達する流路の幅をオリフィスで狭めた後に主孔で広げ、再度、噴射孔で狭くしている。このように、噴射孔の幅と同様または3倍以下としたオリフィスを設けると、該オリフィス内部で空気を幅方向中央部に寄せてノズル本体の中央軸線に沿って空気を整流させて主孔へと流入させることができ、かつ、主孔内で空気と水とを均一に混合させることができる。該オリフィスを通した気液混合流体を、円弧形状とした主孔内で圧力を高めて噴射孔より噴射させることができる。噴射孔への流入時にはオリフィスで空気の広がりを予め抑制しているため、噴射孔からの噴射時に空気が急激に拡大膨張して両外側へ噴射するのを抑制でき、その結果、噴霧パターンにおいて打力分布が2山状とならず、均等とすることができる。
【0012】
前記オリフィスの流路幅(W2)と噴射孔の流路幅(W1)との比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定しているのは、オリフィスの流路幅(W2)を噴射孔の流路幅W1より小さくすると、中央部に空気が集まり過ぎて打力分布が山形状となり、均等化が損なわれることとなる。一方、オリフィスの流路幅(W2)を噴射孔の流路幅(W1)より3倍以上とするとオリフィスを設けて空気を中央部に整流する機能が低下し、前記した打力分布が2山状となることを防止できないことによる。
前記W1とW2との比は後述するように、本発明者がW1とW2に比をかけて繰り返し実験で知見した結果に基づく。
【0013】
前記オリフィスの流路幅と直交している長さ寸法は、前記噴射孔の長さ方向の寸法より大きく設定していることが好ましい。
これは、オリフィスの長さ方向を狭くすると、幅狭で細長い形状とした噴射孔からの噴射時に、水量を長さ方向に均等に分布させにくくなることによる。
【0014】
前記オリフィスを軸線方向(流路方向)に挟む両端面は、軸線方向に対して直交させていることが好ましい。
このように、オリフィスへの流入側を流路方向に対して直交する方向とすると、流入する空気はオリフィスの壁面に衝突した後にオリフィス内に流入し、オリフィス内での空気の整流機能を高めることができる。
また、オリフィスからの流出側も流路方向に対して直交方向とすることで、オリフィスから流出した空気を急膨張させて主孔内での水との撹拌機能を高めることができる。かつ、主孔を先端の噴射孔に向けて円弧形状としていることで、主孔の流入側で撹拌した気液混合流体を噴射孔に向けて圧力を増大させながら流通させることができる。
【0015】
前記オリフィスの軸線方向と直交方向の断面形状を、楕円、長円、円形または前記主噴射孔と相似形としていることが好ましい。
特に、噴射孔の形状が楕円であればオリフィスの断面形状も楕円とする等、噴射孔の形状と断面形状とを同一形状あるいは若干大きくした相似形状とすることが好ましい。
このように、オリフィスにおいて噴射孔と同様な形状として気液混合流体を通過させてから主孔で再撹拌した後に噴射孔から噴射すると、噴射孔から空気と水とを均一に混合させた気液混合流体を噴射することができ、噴霧パターンの全体において打力分布および流量分布を均等化させることができる。
【0016】
前記主孔は中心軸線に対する直交方向の断面が円形、楕円または長円としている。
噴射孔に向けて軸線方向では円弧形状とした主孔は、その長さ及び断面積は、オリフィスで整流とした気液混合流体を、所要の圧力に増大させことができれば、その断面形状、長さ、および断面積は限定されない。
【0017】
なお、噴霧条件に応じて相違するが、例えば、オリフィスの軸線方向の長さはオリフィス長径の20〜100%、主孔の長さはオリフィスの流出端から噴射孔までの長さの50〜20%、オリフィスの断面積に対して主孔の流入側の断面積とを1:1.5〜1:5とすることが好ましい。
【0018】
前記オリフィスはノズル本体の流路に沿って一体的に形成しても良いし、前記主孔の流入端に段差を介して連続する大径流路を設け、該大径流路に、中央に貫通孔を設けたスリーブを内嵌固定し、該スリーブの貫通孔で前記オリフィスを形成してもよい。
前記ノズル本体は金属、セラミック、樹脂のいずれでも良い。また、オリフィスを形成するスリーブを取り付ける場合には、該スリーブも金属、セラミック、樹脂のいずれでもよい。
【0019】
前記スリーブを用いてオリフィスを形成する場合、該スリーブの貫通孔の形状、該貫通孔の断面積、あるいは/および板厚が相違する複数種を設け、噴霧条件に応じてスリーブを選択して取り付け可能としていることが好ましい。
このように、同一形状のノズル本体に複数種類のスリーブを選択的に取り付けることで、ノズルの噴霧条件を変えることができる。よって、冷却用に多数のノズルを使用し、かつ、使用箇所によって噴霧条件を変える必要がある場合や鋼種に応じて冷却温度を調節する必要がある場合に、非常に有効なものとなる。
【0020】
さらに、前記ノズル本体には、前記切り込み方向と直交方向の前記主孔の両側に副孔を連通させて形成し、これら副孔を前記切り込みの対向する両側面に開口させ、前記噴射孔の両側に連通した副噴射孔を設けていることが好ましい。
前記のように主孔の両側に副孔を設けると、切込の両側面に開口する副噴射孔が噴射孔の長さ方向中央部で直交方向両側に連通することより、幅方向の噴射角度をより広げることができる。
【0021】
前記主孔の両側に設ける副孔は、主孔の軸線方向に沿って設けて同一長さとし、その先端を主孔の先端と略同一位置まで延在させ、該副孔先端を円弧状、平坦状、下孔部へ向かって傾斜するテーパ状、あるいはV形状としていることが好ましい。
前記のように副孔の先端形状を変えることにより、副噴射孔からの噴射量、噴射角度を任意に設定することができる。
【0022】
さらに、前記主孔の流入側に円弧状に拡径する下孔を設け、該下孔に前記オリフィスを連通させていることが好ましい。
このように、噴射孔側に向けて円弧形状とした主孔の流入側にさらに円弧形状に拡径する下孔を連続させると、噴射孔へ向けて気液混合流体の圧力をスムーズに高めることができる。
【0023】
前記ノズル本体の噴射側端面に設ける直径方向の切り込みは、該切り込み方向と直交方向の寸法を一定とすると共に、その対向する両側面を切り込み底面に対して垂直あるいは所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させ、かつ、前記直径方向の切込は中央部に向けて直線状あるいは円弧形状に傾斜させてもよい。
【0024】
前記切込の両側面は10゜〜30゜、好ましくは14゜〜15゜の範囲で面取りして傾斜させることが好ましいが、垂直としてもよい。
また、切り込みは中心部に向けて25°〜70゜の傾斜角で直線状に切り込んでも良いし、中心部に向けて円弧状に切り込んでもよい。いずれも場合も主噴射孔からの幅方向の噴射角度を切り込みの形状に沿わせて広角度とすることができる。
【0025】
前記ノズル本体の流路には液体とエアの二流体を供給して、二流体用ノズルとして好適に用いられる。
なお、急冷却用のノズルとして用いる場合には、ノズル本体に水のみを供給しても良いし、乾燥用のノズルとして用いる場合には、ノズル本体に空気のみを供給して一流体ノズルとして利用してもよい。
【0026】
本発明のノズルは、特に、水と空気の気液混合流体を噴射する二流体ノズルとし、連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明のノズルは、幅が狭く細長い噴射孔からの噴射する際に、該噴射孔と相似形状のオリフィスを設け、該オリフィスを通すことで空気の拡散を抑制して整流させていることで、噴射孔からの噴射時に空気が急膨張して両外側の空気量が増大することを防止できる。その結果、特に低水量時に発生する打力の2山分布を発生させず、打力分布を噴霧領域内と均等化することができる。
このように、高水量時と同様に低水量時にも打力分布の均等化を図ることができるため、水量を調節しても冷却ムラを発生させない効果を有する。
よって、鋳片冷却用として前記ノズルを配置した時に、冷却領域に応じて冷却温度に応じて水量を増減しても、冷却ムラの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6に第1実施形態を示す。
該第1実施形態はノズル本体の流路に沿ってスリーブを取り付けてオリフィスを形成している。
【0029】
ノズル本体10は中心軸線Sに沿って形成した流路11の基端を気液混合流体の流入口12とし、流路11の流入口12aを一端に設けた大径孔部12、オリフィス13、噴射側先端を円弧形状に収険した断面円形の主孔14を設けている。
ノズル本体10の噴射側先端面は平坦面10aとし、該平坦面10aに直径方向の切り込み16を同一幅で設け、該切り込み16は長さ方向の両端より中心に向けて深さ方向に直線状に傾斜さている。即ち、切り込み16の底面16aはテーパ面16aとすると共に、幅方向に対向する両側面16b、16cは開口側に向けて直線状に切り込んでいる。
前記切り込み16により主孔14の先端部を切り込んで、切り込み16の底面16aに、長さ方向Xが長いと共に幅方向Yが狭い長円形状の噴射孔18を形成している。該噴射孔18の幅方向寸法をW1とし、長さ方向寸法をL1とする。
【0030】
前記オリフィス13は中心軸線を噴射孔18の中心軸線Sと一致させ、図4に示すように、断面形状を噴射孔18より若干大きな相似形状の長円形状としている。
オリフィス13の幅方向寸法W2は噴射孔18の幅方向寸法W1に対して、W1:W2=1:1〜1:3に設定しており、本実施形態ではW1:W2=1:3としている。
オリフィス13の長さ方向寸法L2は噴射孔18の長さ方向寸法L1より大きくし(L1<L2)、本実施形態ではL2はL1の1.5倍程度としている。
【0031】
前記オリフィス13の流入側および流出側の両側端面は流路方向と直交方向の平坦面としている。
該オリフィス13の幅方向寸法W2は主孔14の流入端14aの直径よりも小さく、よって、幅方向Yではオリフィス13の幅方向両端13a、13bが流入端14aの幅方向両側より流路側へ段状に突出して流路幅W2を狭くしている。
前記オリフィス13の長さ方向寸法L2は主孔14の流入端14aの直径よりも大きく、よって、長さ方向Xでは主孔14の流入端14aがオリフィス13の長さ方向両端16c、16dより流路側に段状に突出している。
【0032】
前記ノズル10は図5(A)(B)に示すように、空気と水との気液混合流体を供給する配管20を流入口12に連結している。
前記ノズル10は、図示していないが、連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置している。よって、ノズル10の配置位置に応じて配管20は図5(A)に示すように直管の場合もあり、図5(B)に示すように曲管の場合もある。
【0033】
前記配管20に供給する気液混合流体Cは、本実施形態では、空気量は略一定とし、水量を調節して供給しており、急冷却領域では水量を増大させて高水量噴霧とし、緩冷却領域で水量を低減させて低水量噴霧としている。
【0034】
前記形状からなる本発明のノズルでは、ノズル本体10の流路に流入する気液混合流体は、噴射孔18と相似形状のオリフィス13に流入し、噴射孔18に向けて整流作用がなされると同時に、空気A(図6中に点で示す)と水(図6中で丸で示す)が密に混合される。
詳細には、幅方向Yを長さ方向Xよりも縮小しているため、特に、幅方向Yにおいて空気を中央に集まるように整流し、空気Aの拡散および乱れを抑制し、噴射孔18と相似形状の長円形状に気液混合流体を流通させる。
【0035】
前記のようにオリフィス13を流通して整流された気液混合流体は主孔14内に流入し、主孔14を円弧状に収険していることにより、圧力を高めながら、主孔14の中央部へと流れ込んで噴射孔18より噴射される。該噴射孔18を長さ方向Xに長い長円形状とし、かつ、噴射孔18が開口する切り込み16を長さ方向Xに貫通した形状としているため、この切り込み16に沿って噴射され、長円形状の噴射パターンとなる。
【0036】
また、主孔14内にオリフィス13から流入端14aより流入した気液混合流体Cは、主孔14は断面円形で、長さ方向Xおよび幅方向Yが同径であるため、幅方向Yでの気液混合流体Cの膨張は長さ方向Xより大となり、該主孔14内で噴射孔18への流通する過程で、空気圧は長さ方向Xおよび幅方向Yにおいて均等となる。この状態で噴射孔18より気液混合流体Cを噴射することにより、空気の分布を均等として噴射することができる。その結果、低水量時においても、空気の分布が両外側部に多くなることを防止でき、噴霧範囲全体で打力の均等化を図ることができる。
【0037】
さらに、前記図5(B)に示すように、気液混合流体Cが屈曲部を有する配管20の場合、屈曲部分を流通時に気液の分離が生じる場合があるが、ノズル本体10のオリフィス13を流通する過程で、空気と水分とが混合することができる。よって、低水量時および高水量時のいずれにおいても、噴射孔18からは空気と水とが均等に混合された気液混合流体を噴射することができ、噴霧パターンの全体において流量分布の均等化も図ることができる。
【0038】
図7(A)〜(C)に第2実施形態を示す。
第2実施形態ではオリフィス13をスリーブ21を設けて形成している点で第1実施形態と相違させている。
図示のように、ノズル本体10内に中心軸線に沿って設ける流路11は、流入口12を一端に開口した大径孔からなる流路22に主孔14を連通し、該主孔14の先端に噴射孔18を設けている。
【0039】
スリーブ21は主孔14の流入端側の大径の流路22を横断するように内嵌固定している。該スリーブ21は主孔14内に圧入固定しても良いし、スリーブ21の外周面と流路22の内周面に設けたネジで螺着してもよい。
前記スリーブ21の中央には第1実施形態のオリフィス13と同様な形状の貫通孔21aを設け、オリフィス13と同様な作用を生じさせている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
なお、スリーブ21をノズル本体10に対して螺着して取り替え自在とすると、スリーブ21の貫通孔21aの形状を変えたスリーブをノズル本体10に取り付けることができる。よって、噴霧条件に応じたノズルとすることが簡単にできる。
【0041】
図8(A)〜(C)および図9に第3実施形態を示す。
第3実施形態は第2実施形態と同様にスリーブ21をノズル本体10に取り付け、該スリーブ21の貫通孔21aでオリフィスを形成している。
第3実施形態では、ノズル本体10に主孔14の幅方向Yの両側に副孔25(25A、25B)を設けている点で第2実施形態と相違させている。
【0042】
前記副孔25は、中心軸線Sに直交する断面を円形とし、断面大きな円形の主孔14の両側に断面小円形の副孔25がラップして連通した形状としている。また、副孔25の噴射側の先端部25Aは円弧状とすると共に、主孔14の噴射側先端と略同一位置まで平行に延在させ、かつ、流入端側も主孔14と同一位置までとし、スリーブ21により流入端側を閉鎖している。
【0043】
ノズル本体10の噴射側先端の平坦面10aに直径方向に設ける切り込み16により主孔14の先端部と副孔25A、25Bの主孔側が切り込まれ、切り込み16の底面16aに噴射孔18が形成されると共に、切り込み16の両側面16b、16cが前記一対の副噴射孔25A、25Bの先端を切り込んで開口し、噴射孔18の中央部に幅方向Yに一対の副噴射孔26A、26Bを設け、該副噴射孔26A、26Bを主噴射孔18と連通している。
【0044】
前記構成とすると、噴射孔18の長さ方向Xと直交する幅方向Yでは、対向する副孔25A、25Bに連通する副噴射孔26A、26Bが噴射孔18の中央部両側と連通して開口し、これら副噴射孔26A、26Bより幅方向Yの噴霧がなされるため、幅方向(噴霧パターンからみると厚さ方向)の噴射角度も拡げることができる。
また、図示していないが、噴霧条件によっては、主孔14の片側にのみ副孔を設けてもよい。
【0045】
図10は第3実施形態の変形例を示し、前記切り込み16の対向する両側面16b、16cを所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させた傾斜面としている。
該構成とすると、幅方向Yの噴霧角度を更に広げることができる。
なお、図11の変形例に示すように、直径方向の切り込み16の底面16aを中央部に向けて円弧形状に傾斜させてもよい。
スリーブ21を設け、その貫通孔でオリフィスを形成している点を含めて他の構成は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
図12(A)(B)は第4実施形態を示し、主孔14の流入側に円弧状に拡径する下孔28を設け、該下孔28に前記スリーブ21の貫通孔21a(即ち、オリフィス)を連通させている。
他の構成は第2実施形態と同様である。
前記のように、噴射孔18に向けて円弧形状とした主孔14の流入側にさらに円弧形状に拡径する下孔28を連続させると、噴射孔18へ向けて気液混合流体の圧力をスムーズに高めることができる。
【0047】
前記第1実施形態のオリフィス13の形状、第2実施形態のスリーブ21の貫通孔21aの形状は、図13(A)に示すように楕円形状、(B)に示すように円形、(C)に示すように2つの円が連続した形状等としてもよい。なお、主孔14の先端に設ける噴射孔18の形状に相似した形状とすることが好ましい。
また、前記各実施形態では主孔14の断面形状を円形としているが、長円、楕円等の形状としてもよい。
【0048】
(打力分布についての実験例)
オリフィスを形成していない従来の特許文献1のノズルと、該従来のノズルに対してオリフィスを形成した点のみを相違させた本発明のノズルを設け、該従来のノズルと本発明のノズルの打力分布を測定した。
その結果を図14のグラフに示す。測定条件は図14中に示す通りであり、Pa(MPa)は空気圧、Pw(MPw)は水圧、Qaは空気消費量(NL/min)、Qw(L/min)は水量を示す。
本発明のノズルと従来のノズルのいずれも、Qwが1.0L/minの低水量時、Qwが2.0L/minの中水量時、Qwが5.0L/minの高水量時の3段階で測定した。 打力分布および流量分布はノズルの噴射孔直下の200mmの位置で測定した。
この測定は、荷重センサーを吊り下げ固定し、該荷重センサーの下方位置にノズルを配置して上向きに噴口を位置させて荷重センサに向けて噴霧を発生させた。荷重センサーは噴霧の厚さよりも大きいものを使用し、かつ、ノズルを荷重センサーの吊り下げ位置の一側より真下を通過させて他側へと移動させた。
噴霧と接触することで荷重センサーは信号を発生し、この信号をグラフ化して図14に示す線図を得た。
【0049】
打力分布の測定結果は、従来のノズルでは低水量時には両側が大となる2山状を呈していたが、本発明のノズルでは2山が解消でき、台形状となり打力に殆どムラが発生しないことが確認出来た。さらに、中水量時および高水量時のいずれにおいても本発明のノズルでは打力分布が均等であった。
流量分布に関しても、従来のノズルと比較して本発明のノズルは両側の傾斜部分が少なく、台形状の山となり、流量分布にかんしても従来のノズルよりも均等化されていることが確認できた。
かつ、噴霧角度に関して、本発明のノズルは低水量時と高水量時と同一の115°であった。それに対して従来のノズルは低水量時は101°、高水量時は99°と差が生じていた。
このように、打力分布、流量分布および噴霧角度のいずれにおいても、本発明のノズルは従来のノズルより水量の影響をうけず均一化がはかれることが確認できた。
【0050】
(ノズルに接続する配管形状の影響に関する実験例)
ノズルに接続する気液混合流体の配管形状を図15に示すように変え、配管形状が打力分布に与える影響を測定した。ノズルは本発明の第2実施形態のスリーブを取り付けてオリフィスを形成したノズとした。また、測定時に流量を1.0L/min〜10.0L/minと段階的に変化させて測定した。打力分布の測定方法は前記と同様とした。
【0051】
図15に示すように、本発明のオリフィスを設けたノズルでは配管が屈曲を有する場合の打力分布は直管の打力分布と同等で、配管が屈曲していても打力分布に影響を発生させないことが確認できた。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されず、副孔を設けることが好ましいが、必ずしも副孔を設ける必要はない。
さらに、前記ノズルは空気と水とを混合した二流体ノズルとして好適に用いられるが、空気量の割合をゼロとして水のみによる一流体ノズルとしても使用できる。この場合には冷却効果をより高めることが出来ると共に、高圧空気を不要とできるため、ランニングコストを大幅に低減することができる。
また、冷却用に限定されず、各種用途に使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態のノズルの斜視図である。
【図2】(A)は図1のノズルのI−I線断面図、(B)はII−II線断面図である。
【図3】図1のノズルの噴射側から見た側面図である。
【図4】図2(A)のIII−III線断面図である。
【図5】(A)は直管からなる配管にノズルを連結した状態を示す概略図、(B)は曲管からなる配管にノズルを連結した状態を示す概略図である。
【図6】第1実施形態のノズルの噴霧状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図、(C)はスリーブの斜視図である。
【図8】第3実施形態のノズルを示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図、(C)は流入側から見た側面図である。
【図9】第3実施形態のノズルの斜視図である。
【図10】切り込みの変形例を示す要部断面図である。
【図11】切り込みの他の変形例を示す要部断面図である。
【図12】第4実施形態のノズルを示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図である。
【図13】(A)〜(C)はオリフィスを構成するスリーブの変形例を示す平面図である。
【図14】打力分布の実験例を示すグラブである。
【図15】配管形状と流量分布の実験例を示すグラブである。
【図16】(A)〜(C)が従来のノズルを示す図面である。
【図17】(A)は図16の従来のノズルの噴霧の問題点を示す説明図、(B)は打力分布を示す図面、(C)は配管形状を示す図面である。
【符号の説明】
【0054】
10 ノズル本体
12 流入口
13 オリフィス
14 主孔
16 切り込み
18 噴射孔
21 スリーブ
21a 貫通孔
25(25A、25B) 副孔
28 下孔
X 長さ方向
Y 幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明はノズルに関し、特に、水と空気からなる気液混合の二流体の噴霧用ノズルとし、連続鋳造装置の二次冷却帯に連続的に引き出される鋳片に対して冷却水噴霧用として好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続鋳造装置の二次冷却帯では並設されたロール間に多数ノズルを間隔をあけて並設し、噴霧範囲をラップさせて鋳片全面に冷却ミストを噴射して未冷却部分の発生をなくすと共に、冷却ムラを発生しないようにしている。
【0003】
この種の鋳片冷却用のノズルとしては、本出願人は先に特許第2719073号の図16に示す二流体ノズルを提供している。該ノズル1は、主孔2の両側に副孔3を設け、噴射側頂面に直径方向に設けた切り込み4を主孔2および副孔3と連通させて噴射孔5を設けている。
【0004】
前記ノズルでは、噴霧パターンが両側のスソ引き部分が短い台形状となり、噴射範囲がラップした部分とラップしていない部分の流量、打力および粒子径の均等化を図ることができる。かつ、流量制御範囲のターンダウン比を1:20以上の広い範囲に変動しても、前記ラップした部分とラップしていない部分との流量変動が抑制できる利点を有するものである。
【0005】
【特許文献1】特許第2719073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記連続鋳造装置の鋳片冷却用のノズルでは、鋳片の搬送領域に応じて急冷却、緩冷却と冷却温度を調節する必要があり、さらに、鋼種に応じても冷却温度を調整する必要がある。その際、ノズルに供給する空気量は大きく変化させず、水量は高水量時に比較して低水量時には1/5程度として冷却温度を調節する場合がある。この場合、同一のノズルで水量の制御範囲を広くして使用する場合、噴霧の打力分布に関しては、高水量時と低水量時では若干相違が発生し、高水量時には打力分布が均等となるが、低水量時には空気の影響が大きくなり、水の流量分布は均等であっても、打力は両外側が強くなる2山状の分布となり、冷却ムラが発生しやすい問題があった。
【0007】
前記問題は、従来の図16に示すノズルにおいて、図17(A)に示すように、噴射孔から噴霧する時に圧搾空気の圧力が急激に減少することで膨張拡大し、噴射孔の長さ方向の両外側の空気量が中央よりも増大しやすい。その結果、噴射孔5の長さ方向の両側の打力が中央よりも大となり、図17(B)に示す噴霧の打力分布において2山状となる。
【0008】
さらに、前記図16に示すノズルでは、ノズル本体1の気液混合流路の流入口6には供給管7を連通して、該供給管7より空気とエアとが混合された気液混合流体が導入される。該供給管7が図17(C)に示ように屈曲した配管とせざるを得ない場合、該供給管7内において気液混合流体が屈曲する際に、気液分離が発生しやすい。この状態でノズル本体1内に流入されると、低水量時には気液分離状態のまま噴射されやすく、水量の分布および打力の分布が不均質になりやすい問題もある。
特に、連続鋳造装置の二次冷却帯に配置するノズルへの供給管は直線状に配管しにくく屈曲して配管せざるを得ない場合が多く、この点でも配管の形態にかかわらずノズルの形状を改良することで打力分布、水量分布の均一化を図るようにすることが望まれている。
【0009】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、低水量時にも高水量時と同様に打力分布を均等化し、かつ、ノズルへの供給する流体の配管が屈曲していても、打力分布および水量分布の均等化を確保できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、
前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、
前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしていることを特徴とするノズルを提供している。
【0011】
前記のように、本発明では、ノズル本体内において、先端に幅狭で細長い形状とした噴射孔と対向するようにオリフィスを設け、噴射孔に達する流路の幅をオリフィスで狭めた後に主孔で広げ、再度、噴射孔で狭くしている。このように、噴射孔の幅と同様または3倍以下としたオリフィスを設けると、該オリフィス内部で空気を幅方向中央部に寄せてノズル本体の中央軸線に沿って空気を整流させて主孔へと流入させることができ、かつ、主孔内で空気と水とを均一に混合させることができる。該オリフィスを通した気液混合流体を、円弧形状とした主孔内で圧力を高めて噴射孔より噴射させることができる。噴射孔への流入時にはオリフィスで空気の広がりを予め抑制しているため、噴射孔からの噴射時に空気が急激に拡大膨張して両外側へ噴射するのを抑制でき、その結果、噴霧パターンにおいて打力分布が2山状とならず、均等とすることができる。
【0012】
前記オリフィスの流路幅(W2)と噴射孔の流路幅(W1)との比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定しているのは、オリフィスの流路幅(W2)を噴射孔の流路幅W1より小さくすると、中央部に空気が集まり過ぎて打力分布が山形状となり、均等化が損なわれることとなる。一方、オリフィスの流路幅(W2)を噴射孔の流路幅(W1)より3倍以上とするとオリフィスを設けて空気を中央部に整流する機能が低下し、前記した打力分布が2山状となることを防止できないことによる。
前記W1とW2との比は後述するように、本発明者がW1とW2に比をかけて繰り返し実験で知見した結果に基づく。
【0013】
前記オリフィスの流路幅と直交している長さ寸法は、前記噴射孔の長さ方向の寸法より大きく設定していることが好ましい。
これは、オリフィスの長さ方向を狭くすると、幅狭で細長い形状とした噴射孔からの噴射時に、水量を長さ方向に均等に分布させにくくなることによる。
【0014】
前記オリフィスを軸線方向(流路方向)に挟む両端面は、軸線方向に対して直交させていることが好ましい。
このように、オリフィスへの流入側を流路方向に対して直交する方向とすると、流入する空気はオリフィスの壁面に衝突した後にオリフィス内に流入し、オリフィス内での空気の整流機能を高めることができる。
また、オリフィスからの流出側も流路方向に対して直交方向とすることで、オリフィスから流出した空気を急膨張させて主孔内での水との撹拌機能を高めることができる。かつ、主孔を先端の噴射孔に向けて円弧形状としていることで、主孔の流入側で撹拌した気液混合流体を噴射孔に向けて圧力を増大させながら流通させることができる。
【0015】
前記オリフィスの軸線方向と直交方向の断面形状を、楕円、長円、円形または前記主噴射孔と相似形としていることが好ましい。
特に、噴射孔の形状が楕円であればオリフィスの断面形状も楕円とする等、噴射孔の形状と断面形状とを同一形状あるいは若干大きくした相似形状とすることが好ましい。
このように、オリフィスにおいて噴射孔と同様な形状として気液混合流体を通過させてから主孔で再撹拌した後に噴射孔から噴射すると、噴射孔から空気と水とを均一に混合させた気液混合流体を噴射することができ、噴霧パターンの全体において打力分布および流量分布を均等化させることができる。
【0016】
前記主孔は中心軸線に対する直交方向の断面が円形、楕円または長円としている。
噴射孔に向けて軸線方向では円弧形状とした主孔は、その長さ及び断面積は、オリフィスで整流とした気液混合流体を、所要の圧力に増大させことができれば、その断面形状、長さ、および断面積は限定されない。
【0017】
なお、噴霧条件に応じて相違するが、例えば、オリフィスの軸線方向の長さはオリフィス長径の20〜100%、主孔の長さはオリフィスの流出端から噴射孔までの長さの50〜20%、オリフィスの断面積に対して主孔の流入側の断面積とを1:1.5〜1:5とすることが好ましい。
【0018】
前記オリフィスはノズル本体の流路に沿って一体的に形成しても良いし、前記主孔の流入端に段差を介して連続する大径流路を設け、該大径流路に、中央に貫通孔を設けたスリーブを内嵌固定し、該スリーブの貫通孔で前記オリフィスを形成してもよい。
前記ノズル本体は金属、セラミック、樹脂のいずれでも良い。また、オリフィスを形成するスリーブを取り付ける場合には、該スリーブも金属、セラミック、樹脂のいずれでもよい。
【0019】
前記スリーブを用いてオリフィスを形成する場合、該スリーブの貫通孔の形状、該貫通孔の断面積、あるいは/および板厚が相違する複数種を設け、噴霧条件に応じてスリーブを選択して取り付け可能としていることが好ましい。
このように、同一形状のノズル本体に複数種類のスリーブを選択的に取り付けることで、ノズルの噴霧条件を変えることができる。よって、冷却用に多数のノズルを使用し、かつ、使用箇所によって噴霧条件を変える必要がある場合や鋼種に応じて冷却温度を調節する必要がある場合に、非常に有効なものとなる。
【0020】
さらに、前記ノズル本体には、前記切り込み方向と直交方向の前記主孔の両側に副孔を連通させて形成し、これら副孔を前記切り込みの対向する両側面に開口させ、前記噴射孔の両側に連通した副噴射孔を設けていることが好ましい。
前記のように主孔の両側に副孔を設けると、切込の両側面に開口する副噴射孔が噴射孔の長さ方向中央部で直交方向両側に連通することより、幅方向の噴射角度をより広げることができる。
【0021】
前記主孔の両側に設ける副孔は、主孔の軸線方向に沿って設けて同一長さとし、その先端を主孔の先端と略同一位置まで延在させ、該副孔先端を円弧状、平坦状、下孔部へ向かって傾斜するテーパ状、あるいはV形状としていることが好ましい。
前記のように副孔の先端形状を変えることにより、副噴射孔からの噴射量、噴射角度を任意に設定することができる。
【0022】
さらに、前記主孔の流入側に円弧状に拡径する下孔を設け、該下孔に前記オリフィスを連通させていることが好ましい。
このように、噴射孔側に向けて円弧形状とした主孔の流入側にさらに円弧形状に拡径する下孔を連続させると、噴射孔へ向けて気液混合流体の圧力をスムーズに高めることができる。
【0023】
前記ノズル本体の噴射側端面に設ける直径方向の切り込みは、該切り込み方向と直交方向の寸法を一定とすると共に、その対向する両側面を切り込み底面に対して垂直あるいは所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させ、かつ、前記直径方向の切込は中央部に向けて直線状あるいは円弧形状に傾斜させてもよい。
【0024】
前記切込の両側面は10゜〜30゜、好ましくは14゜〜15゜の範囲で面取りして傾斜させることが好ましいが、垂直としてもよい。
また、切り込みは中心部に向けて25°〜70゜の傾斜角で直線状に切り込んでも良いし、中心部に向けて円弧状に切り込んでもよい。いずれも場合も主噴射孔からの幅方向の噴射角度を切り込みの形状に沿わせて広角度とすることができる。
【0025】
前記ノズル本体の流路には液体とエアの二流体を供給して、二流体用ノズルとして好適に用いられる。
なお、急冷却用のノズルとして用いる場合には、ノズル本体に水のみを供給しても良いし、乾燥用のノズルとして用いる場合には、ノズル本体に空気のみを供給して一流体ノズルとして利用してもよい。
【0026】
本発明のノズルは、特に、水と空気の気液混合流体を噴射する二流体ノズルとし、連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
上述したように、本発明のノズルは、幅が狭く細長い噴射孔からの噴射する際に、該噴射孔と相似形状のオリフィスを設け、該オリフィスを通すことで空気の拡散を抑制して整流させていることで、噴射孔からの噴射時に空気が急膨張して両外側の空気量が増大することを防止できる。その結果、特に低水量時に発生する打力の2山分布を発生させず、打力分布を噴霧領域内と均等化することができる。
このように、高水量時と同様に低水量時にも打力分布の均等化を図ることができるため、水量を調節しても冷却ムラを発生させない効果を有する。
よって、鋳片冷却用として前記ノズルを配置した時に、冷却領域に応じて冷却温度に応じて水量を増減しても、冷却ムラの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6に第1実施形態を示す。
該第1実施形態はノズル本体の流路に沿ってスリーブを取り付けてオリフィスを形成している。
【0029】
ノズル本体10は中心軸線Sに沿って形成した流路11の基端を気液混合流体の流入口12とし、流路11の流入口12aを一端に設けた大径孔部12、オリフィス13、噴射側先端を円弧形状に収険した断面円形の主孔14を設けている。
ノズル本体10の噴射側先端面は平坦面10aとし、該平坦面10aに直径方向の切り込み16を同一幅で設け、該切り込み16は長さ方向の両端より中心に向けて深さ方向に直線状に傾斜さている。即ち、切り込み16の底面16aはテーパ面16aとすると共に、幅方向に対向する両側面16b、16cは開口側に向けて直線状に切り込んでいる。
前記切り込み16により主孔14の先端部を切り込んで、切り込み16の底面16aに、長さ方向Xが長いと共に幅方向Yが狭い長円形状の噴射孔18を形成している。該噴射孔18の幅方向寸法をW1とし、長さ方向寸法をL1とする。
【0030】
前記オリフィス13は中心軸線を噴射孔18の中心軸線Sと一致させ、図4に示すように、断面形状を噴射孔18より若干大きな相似形状の長円形状としている。
オリフィス13の幅方向寸法W2は噴射孔18の幅方向寸法W1に対して、W1:W2=1:1〜1:3に設定しており、本実施形態ではW1:W2=1:3としている。
オリフィス13の長さ方向寸法L2は噴射孔18の長さ方向寸法L1より大きくし(L1<L2)、本実施形態ではL2はL1の1.5倍程度としている。
【0031】
前記オリフィス13の流入側および流出側の両側端面は流路方向と直交方向の平坦面としている。
該オリフィス13の幅方向寸法W2は主孔14の流入端14aの直径よりも小さく、よって、幅方向Yではオリフィス13の幅方向両端13a、13bが流入端14aの幅方向両側より流路側へ段状に突出して流路幅W2を狭くしている。
前記オリフィス13の長さ方向寸法L2は主孔14の流入端14aの直径よりも大きく、よって、長さ方向Xでは主孔14の流入端14aがオリフィス13の長さ方向両端16c、16dより流路側に段状に突出している。
【0032】
前記ノズル10は図5(A)(B)に示すように、空気と水との気液混合流体を供給する配管20を流入口12に連結している。
前記ノズル10は、図示していないが、連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置している。よって、ノズル10の配置位置に応じて配管20は図5(A)に示すように直管の場合もあり、図5(B)に示すように曲管の場合もある。
【0033】
前記配管20に供給する気液混合流体Cは、本実施形態では、空気量は略一定とし、水量を調節して供給しており、急冷却領域では水量を増大させて高水量噴霧とし、緩冷却領域で水量を低減させて低水量噴霧としている。
【0034】
前記形状からなる本発明のノズルでは、ノズル本体10の流路に流入する気液混合流体は、噴射孔18と相似形状のオリフィス13に流入し、噴射孔18に向けて整流作用がなされると同時に、空気A(図6中に点で示す)と水(図6中で丸で示す)が密に混合される。
詳細には、幅方向Yを長さ方向Xよりも縮小しているため、特に、幅方向Yにおいて空気を中央に集まるように整流し、空気Aの拡散および乱れを抑制し、噴射孔18と相似形状の長円形状に気液混合流体を流通させる。
【0035】
前記のようにオリフィス13を流通して整流された気液混合流体は主孔14内に流入し、主孔14を円弧状に収険していることにより、圧力を高めながら、主孔14の中央部へと流れ込んで噴射孔18より噴射される。該噴射孔18を長さ方向Xに長い長円形状とし、かつ、噴射孔18が開口する切り込み16を長さ方向Xに貫通した形状としているため、この切り込み16に沿って噴射され、長円形状の噴射パターンとなる。
【0036】
また、主孔14内にオリフィス13から流入端14aより流入した気液混合流体Cは、主孔14は断面円形で、長さ方向Xおよび幅方向Yが同径であるため、幅方向Yでの気液混合流体Cの膨張は長さ方向Xより大となり、該主孔14内で噴射孔18への流通する過程で、空気圧は長さ方向Xおよび幅方向Yにおいて均等となる。この状態で噴射孔18より気液混合流体Cを噴射することにより、空気の分布を均等として噴射することができる。その結果、低水量時においても、空気の分布が両外側部に多くなることを防止でき、噴霧範囲全体で打力の均等化を図ることができる。
【0037】
さらに、前記図5(B)に示すように、気液混合流体Cが屈曲部を有する配管20の場合、屈曲部分を流通時に気液の分離が生じる場合があるが、ノズル本体10のオリフィス13を流通する過程で、空気と水分とが混合することができる。よって、低水量時および高水量時のいずれにおいても、噴射孔18からは空気と水とが均等に混合された気液混合流体を噴射することができ、噴霧パターンの全体において流量分布の均等化も図ることができる。
【0038】
図7(A)〜(C)に第2実施形態を示す。
第2実施形態ではオリフィス13をスリーブ21を設けて形成している点で第1実施形態と相違させている。
図示のように、ノズル本体10内に中心軸線に沿って設ける流路11は、流入口12を一端に開口した大径孔からなる流路22に主孔14を連通し、該主孔14の先端に噴射孔18を設けている。
【0039】
スリーブ21は主孔14の流入端側の大径の流路22を横断するように内嵌固定している。該スリーブ21は主孔14内に圧入固定しても良いし、スリーブ21の外周面と流路22の内周面に設けたネジで螺着してもよい。
前記スリーブ21の中央には第1実施形態のオリフィス13と同様な形状の貫通孔21aを設け、オリフィス13と同様な作用を生じさせている。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0040】
なお、スリーブ21をノズル本体10に対して螺着して取り替え自在とすると、スリーブ21の貫通孔21aの形状を変えたスリーブをノズル本体10に取り付けることができる。よって、噴霧条件に応じたノズルとすることが簡単にできる。
【0041】
図8(A)〜(C)および図9に第3実施形態を示す。
第3実施形態は第2実施形態と同様にスリーブ21をノズル本体10に取り付け、該スリーブ21の貫通孔21aでオリフィスを形成している。
第3実施形態では、ノズル本体10に主孔14の幅方向Yの両側に副孔25(25A、25B)を設けている点で第2実施形態と相違させている。
【0042】
前記副孔25は、中心軸線Sに直交する断面を円形とし、断面大きな円形の主孔14の両側に断面小円形の副孔25がラップして連通した形状としている。また、副孔25の噴射側の先端部25Aは円弧状とすると共に、主孔14の噴射側先端と略同一位置まで平行に延在させ、かつ、流入端側も主孔14と同一位置までとし、スリーブ21により流入端側を閉鎖している。
【0043】
ノズル本体10の噴射側先端の平坦面10aに直径方向に設ける切り込み16により主孔14の先端部と副孔25A、25Bの主孔側が切り込まれ、切り込み16の底面16aに噴射孔18が形成されると共に、切り込み16の両側面16b、16cが前記一対の副噴射孔25A、25Bの先端を切り込んで開口し、噴射孔18の中央部に幅方向Yに一対の副噴射孔26A、26Bを設け、該副噴射孔26A、26Bを主噴射孔18と連通している。
【0044】
前記構成とすると、噴射孔18の長さ方向Xと直交する幅方向Yでは、対向する副孔25A、25Bに連通する副噴射孔26A、26Bが噴射孔18の中央部両側と連通して開口し、これら副噴射孔26A、26Bより幅方向Yの噴霧がなされるため、幅方向(噴霧パターンからみると厚さ方向)の噴射角度も拡げることができる。
また、図示していないが、噴霧条件によっては、主孔14の片側にのみ副孔を設けてもよい。
【0045】
図10は第3実施形態の変形例を示し、前記切り込み16の対向する両側面16b、16cを所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させた傾斜面としている。
該構成とすると、幅方向Yの噴霧角度を更に広げることができる。
なお、図11の変形例に示すように、直径方向の切り込み16の底面16aを中央部に向けて円弧形状に傾斜させてもよい。
スリーブ21を設け、その貫通孔でオリフィスを形成している点を含めて他の構成は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
図12(A)(B)は第4実施形態を示し、主孔14の流入側に円弧状に拡径する下孔28を設け、該下孔28に前記スリーブ21の貫通孔21a(即ち、オリフィス)を連通させている。
他の構成は第2実施形態と同様である。
前記のように、噴射孔18に向けて円弧形状とした主孔14の流入側にさらに円弧形状に拡径する下孔28を連続させると、噴射孔18へ向けて気液混合流体の圧力をスムーズに高めることができる。
【0047】
前記第1実施形態のオリフィス13の形状、第2実施形態のスリーブ21の貫通孔21aの形状は、図13(A)に示すように楕円形状、(B)に示すように円形、(C)に示すように2つの円が連続した形状等としてもよい。なお、主孔14の先端に設ける噴射孔18の形状に相似した形状とすることが好ましい。
また、前記各実施形態では主孔14の断面形状を円形としているが、長円、楕円等の形状としてもよい。
【0048】
(打力分布についての実験例)
オリフィスを形成していない従来の特許文献1のノズルと、該従来のノズルに対してオリフィスを形成した点のみを相違させた本発明のノズルを設け、該従来のノズルと本発明のノズルの打力分布を測定した。
その結果を図14のグラフに示す。測定条件は図14中に示す通りであり、Pa(MPa)は空気圧、Pw(MPw)は水圧、Qaは空気消費量(NL/min)、Qw(L/min)は水量を示す。
本発明のノズルと従来のノズルのいずれも、Qwが1.0L/minの低水量時、Qwが2.0L/minの中水量時、Qwが5.0L/minの高水量時の3段階で測定した。 打力分布および流量分布はノズルの噴射孔直下の200mmの位置で測定した。
この測定は、荷重センサーを吊り下げ固定し、該荷重センサーの下方位置にノズルを配置して上向きに噴口を位置させて荷重センサに向けて噴霧を発生させた。荷重センサーは噴霧の厚さよりも大きいものを使用し、かつ、ノズルを荷重センサーの吊り下げ位置の一側より真下を通過させて他側へと移動させた。
噴霧と接触することで荷重センサーは信号を発生し、この信号をグラフ化して図14に示す線図を得た。
【0049】
打力分布の測定結果は、従来のノズルでは低水量時には両側が大となる2山状を呈していたが、本発明のノズルでは2山が解消でき、台形状となり打力に殆どムラが発生しないことが確認出来た。さらに、中水量時および高水量時のいずれにおいても本発明のノズルでは打力分布が均等であった。
流量分布に関しても、従来のノズルと比較して本発明のノズルは両側の傾斜部分が少なく、台形状の山となり、流量分布にかんしても従来のノズルよりも均等化されていることが確認できた。
かつ、噴霧角度に関して、本発明のノズルは低水量時と高水量時と同一の115°であった。それに対して従来のノズルは低水量時は101°、高水量時は99°と差が生じていた。
このように、打力分布、流量分布および噴霧角度のいずれにおいても、本発明のノズルは従来のノズルより水量の影響をうけず均一化がはかれることが確認できた。
【0050】
(ノズルに接続する配管形状の影響に関する実験例)
ノズルに接続する気液混合流体の配管形状を図15に示すように変え、配管形状が打力分布に与える影響を測定した。ノズルは本発明の第2実施形態のスリーブを取り付けてオリフィスを形成したノズとした。また、測定時に流量を1.0L/min〜10.0L/minと段階的に変化させて測定した。打力分布の測定方法は前記と同様とした。
【0051】
図15に示すように、本発明のオリフィスを設けたノズルでは配管が屈曲を有する場合の打力分布は直管の打力分布と同等で、配管が屈曲していても打力分布に影響を発生させないことが確認できた。
【0052】
なお、本発明は前記実施形態に限定されず、副孔を設けることが好ましいが、必ずしも副孔を設ける必要はない。
さらに、前記ノズルは空気と水とを混合した二流体ノズルとして好適に用いられるが、空気量の割合をゼロとして水のみによる一流体ノズルとしても使用できる。この場合には冷却効果をより高めることが出来ると共に、高圧空気を不要とできるため、ランニングコストを大幅に低減することができる。
また、冷却用に限定されず、各種用途に使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態のノズルの斜視図である。
【図2】(A)は図1のノズルのI−I線断面図、(B)はII−II線断面図である。
【図3】図1のノズルの噴射側から見た側面図である。
【図4】図2(A)のIII−III線断面図である。
【図5】(A)は直管からなる配管にノズルを連結した状態を示す概略図、(B)は曲管からなる配管にノズルを連結した状態を示す概略図である。
【図6】第1実施形態のノズルの噴霧状態を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図、(C)はスリーブの斜視図である。
【図8】第3実施形態のノズルを示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図、(C)は流入側から見た側面図である。
【図9】第3実施形態のノズルの斜視図である。
【図10】切り込みの変形例を示す要部断面図である。
【図11】切り込みの他の変形例を示す要部断面図である。
【図12】第4実施形態のノズルを示し、(A)は長さ方向の断面図、(B)は幅方向の断面図である。
【図13】(A)〜(C)はオリフィスを構成するスリーブの変形例を示す平面図である。
【図14】打力分布の実験例を示すグラブである。
【図15】配管形状と流量分布の実験例を示すグラブである。
【図16】(A)〜(C)が従来のノズルを示す図面である。
【図17】(A)は図16の従来のノズルの噴霧の問題点を示す説明図、(B)は打力分布を示す図面、(C)は配管形状を示す図面である。
【符号の説明】
【0054】
10 ノズル本体
12 流入口
13 オリフィス
14 主孔
16 切り込み
18 噴射孔
21 スリーブ
21a 貫通孔
25(25A、25B) 副孔
28 下孔
X 長さ方向
Y 幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、
前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、
前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしていることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記オリフィスの流路幅と直交している長さ寸法は、前記噴射孔の長さ方向の寸法より大きく設定している請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記オリフィスを軸線方向(流路方向)に挟む両端面は、軸線方向に対して直交させている請求項1または請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記オリフィスの軸線方向と直交方向の断面形状を、楕円、長円、円形または前記主噴射孔と相似形としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項5】
前記主孔は中心軸線に対する直交方向の断面が円形、楕円または長円である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項6】
前記主孔の流入端に段差を介して連続する大径流路を設け、該大径流路に、中央に貫通孔を設けたスリーブを内嵌固定し、該スリーブの貫通孔で前記オリフィスを形成している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項7】
前記スリーブは、前記貫通孔の形状、該貫通孔の断面積、あるいは/および板厚が相違する複数種からなり、噴霧条件に応じてスリーブを選択して取り付け可能としている請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体には、前記切り込み方向と直交方向の前記主孔の両側に副孔を連通させて形成し、これら副孔を前記切り込みの対向する両側面に開口させ、前記噴射孔の両側に連通した副噴射孔を設けている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項9】
前記主孔の流入側に円弧状に拡径する下孔を設け、該下孔に前記オリフィスを連通させている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項10】
前記ノズル本体の噴射側端面に設ける前記直径方向の切り込みは、該切り込み方向と直交方向の寸法を一定とすると共に、その対向する両側面を切り込み底面に対して垂直あるいは所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させ、かつ、前記直径方向の切込は中央部に向けて直線状あるいは円弧形状に傾斜させている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項11】
前記ノズル本体の流路には液体とエアの二流体を供給している請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項12】
連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置している請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項1】
ノズル本体の中心軸線に沿って、一端の流入口より他端の噴射孔に向けて流路を設け、該流路の噴射側先端を円弧状とした主孔とし、噴射側先端の平坦面に直径方向の切り込みを設け、該切り込みは直径方向の両端より中心に向けて深さ方向に傾斜させ、該切り込みの中央部を前記主孔の先端と連通させ、前記切り込み方向が長いと共に直交方向の幅が狭い細長い噴射孔を設け、
前記主孔への流入部にオリフィスを設け、前記噴射孔の幅(W1)に対する前記オリフィスの流路幅(W2)の比を、W1:W2=1:1〜1:3の範囲に設定し、
前記噴射孔に達する流路の幅は、前記オリフィスで狭めた後に前記主孔で広げ、前記噴射孔で狭くしていることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記オリフィスの流路幅と直交している長さ寸法は、前記噴射孔の長さ方向の寸法より大きく設定している請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記オリフィスを軸線方向(流路方向)に挟む両端面は、軸線方向に対して直交させている請求項1または請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記オリフィスの軸線方向と直交方向の断面形状を、楕円、長円、円形または前記主噴射孔と相似形としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項5】
前記主孔は中心軸線に対する直交方向の断面が円形、楕円または長円である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項6】
前記主孔の流入端に段差を介して連続する大径流路を設け、該大径流路に、中央に貫通孔を設けたスリーブを内嵌固定し、該スリーブの貫通孔で前記オリフィスを形成している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項7】
前記スリーブは、前記貫通孔の形状、該貫通孔の断面積、あるいは/および板厚が相違する複数種からなり、噴霧条件に応じてスリーブを選択して取り付け可能としている請求項6に記載のノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体には、前記切り込み方向と直交方向の前記主孔の両側に副孔を連通させて形成し、これら副孔を前記切り込みの対向する両側面に開口させ、前記噴射孔の両側に連通した副噴射孔を設けている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項9】
前記主孔の流入側に円弧状に拡径する下孔を設け、該下孔に前記オリフィスを連通させている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項10】
前記ノズル本体の噴射側端面に設ける前記直径方向の切り込みは、該切り込み方向と直交方向の寸法を一定とすると共に、その対向する両側面を切り込み底面に対して垂直あるいは所要角度で開口側に向けて外側に傾斜させ、かつ、前記直径方向の切込は中央部に向けて直線状あるいは円弧形状に傾斜させている請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項11】
前記ノズル本体の流路には液体とエアの二流体を供給している請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のノズル。
【請求項12】
連続鋳造装置の二次冷却帯においてロール間に並設する冷却水噴射用として用いられ、前記ロールによって連続的に引き出される鋳片の全面に対して噴射液が噴射されるように配置している請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−296197(P2008−296197A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148092(P2007−148092)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(390002118)株式会社いけうち (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(390002118)株式会社いけうち (26)
【Fターム(参考)】
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