説明

ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料

【課題】優れた香味の容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】乳成分に、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上4.0以下であるローストシュガーを1〜10重量%と、食塩を0.1〜0.2重量%配合することにより、カフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料を提供する。本発明は、通常、乳入り飲料に用いられるコーヒーや紅茶などの原料を使用しなくても、該コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料風の苦味やコクを有しており、しかも、ノンカフェインである容器詰乳入り嗜好性飲料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料、及びその製造方法に関し、特に、通常乳入り飲料に用いられるコーヒーや紅茶などの原料を使用しなくても、該コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料風の苦味やコクを有しており、しかも、ノンカフェインである新規容器詰乳入り嗜好性飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料製造技術の進展や冷蔵輸送網の発達などにともない、容器詰飲料の形態で、冷蔵状態で流通・保存されるチルド飲料のカテゴリーの商品が多く販売されるようになっている。チルド飲料は、冷蔵輸送すること、賞味期間を通常の容器詰め飲料に比べて短縮することにより、殺菌条件を緩和できるという特性を有する。それに伴い加熱殺菌による風味の低下が抑えられることもあって、従来の容器詰め飲料よりも優れた香味の製品が増えて人気を博している。そのなかでも乳成分を比較的多量に含んだ乳入り飲料は、従来の容器詰め飲料と比べた場合に香味の差別性が明確であることもあって、チルド飲料の中では重要な位置を占めている。
【0003】
この乳成分を多く含む乳入り飲料は、一般的にコーヒーや紅茶の抽出物と混合して販売されている。その理由の一つとしては、一定の乳成分量の下ではコーヒーや茶類の抽出液を配合しないと、飲料全体のコク味が充分感じられないという香味設計上の問題があげられる。もちろん、乳成分量を増加させればその問題の一部は解決できるが、その対応は飲料の原材料費の増加につながるので実用化という面では必ずしも容易ではないという事情がある。
【0004】
また、近年の飲食品に対する健康志向に伴って、飲料の分野でも、ノンカフェイン飲料に対する消費者の要望がある。その場合には、乳入り飲料としての高い嗜好性があったとしても、前述のようにコーヒーや紅茶を使用するとその消費者の要望には応えられないことになる。そこで、かかる消費者の要望に応えるために、コーヒー豆や紅茶葉、更にはそれらの抽出液から、超臨界ガス抽出処理や活性炭などの吸着剤処理によってカフェインを除く技術も提案されているので(特開2006−174746号公報、特開平7−313062号公報、特開平5−219889号公報)、乳入り飲料の調製に際して、それらの脱カフェインされた原料を使用することでこの問題を解決することも考えられる。しかし、それらのいくつかは実用化されているものの、まだコストが高く、更に、脱カフェイン処理をしているために、カフェイン自体の持つ苦味やコクが失われ、得られる製品の香味も充分でないという問題も残っており、一般の商品に汎用的に使用できるという段階には至っていない。
【0005】
そこで、コーヒーや茶類等のようなカフェイン含有飲料成分以外の成分を添加することによって、乳入り飲料のコク味をあげる技術も提案されている。例えば、特開平8−23878号公報には、ミルク入り飲料に、カルシウム塩を添加することで、及び、特開2007−215451号公報には、乳製品を含有する飲料に、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のような塩類を0.0005〜0.1質量%を添加することでコク味と旨味を強化した飲料が開示されている。しかし、これは実施例からも明らかなようにあくまでも乳入りコーヒーなどの飲料に隠し味的に少量配合することを想定しており、カフェイン含有飲料成分を含有しない新たな嗜好性飲料を作ろうとするものではない。因みに、乳入りの容器詰め飲料に対して味覚調整のために極少量の食塩を配合するという技術は従来より一般的に使用されていた技術にとどまるものである。
【0006】
カフェイン含有飲料成分以外の成分を添加することによって、乳入り飲料のコク味をあげる他の方法として、食物繊維やデキストリンなどを使ったり(特開2004−41118号公報)、適当な香料を添加したりすることにより、ボディ感、コク味を出すことが知られている。しかし、これらもあくまでもそれだけで成立する技術ではなく、乳入りコーヒー飲料や、乳入り紅茶飲料の味覚の調整といった範囲に留まるものである。したがって、これまでに、乳入り飲料において、その苦味やコク味を付与するために、従来行なわれているコーヒーや茶類等のようなカフェイン含有飲料成分の添加に代替えできる嗜好性の高い飲料の調製法は提案されていない。
【0007】
一方で、従来より、カスタードプリンのようなゲル化食品の調製に際して、ゲル化食品の着色或いは味付けの目的から、砂糖を焙煎(ロースト)し、カラメル化したカラメルソースが用いられている。カラメルソースは、通常、砂糖類を水と併せて火にかけ、180℃位で、混ぜないで煮詰め、砂糖が煮詰まってチョコレート色になった(カラメル化した)時点で、熱湯を注いで、かき混ぜ溶解し調製される。カラメルソースは、特に、着色或いは味付けの目的から、容器詰めカスタードプリンのような多層プディングの上層等に用いられている(特開平8−154611号公報、特開平10−313799号公報、特開平11−243892号公報)。
【0008】
また、焙煎(ロースト)した砂糖を食品の調製に用いる例として、砂糖類を乾熱下、140℃〜150℃に到達するまで加熱・焙煎することにより製造した、2.5重量%濃度水溶液の波長280nmにおける吸光度が0.15〜0.95の焙煎糖を、高級アイスクリームやチョコレート利用食品に添加したものが開示されている(特開平10−33126号公報)。この開示のものは、従来のカラメルや、カラメルソースに用いられる焙煎糖に比較して、140℃〜150℃という比較的低温で焙煎し、特定の吸光度のものに調整することによって、香気成分を調整した焙煎糖を、高級アイスクリームに配合して、該アイスクリームの風味レベルを変えないで、該アイスクリームに配合するバニラ香料を半減したり、或いは、チョコレート利用食品に配合して、その雑味、苦味及び渋味を軽減することを狙ったものである。しかし、該公報に記載のものにおいては、かかる焙煎糖とコーヒーや紅茶のようなカフェイン含有飲料の香味・風味の関係については、何も記載されていない。
【0009】
【特許文献1】特開平5−219889号公報。
【特許文献2】特開平7−313062号公報。
【特許文献3】特開平8−23878号公報。
【特許文献4】特開平8−154611号公報。
【特許文献5】特開平10−33126号公報。
【特許文献6】特開平10−313799号公報。
【特許文献7】特開平11−243892号公報。
【特許文献8】特開2004−41118号公報。
【特許文献9】特開2006−174746号公報。
【特許文献10】特開2007−215451号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、優れた香味の新規容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料、及びその製造方法を提供すること、特に、通常乳入り飲料に用いられるコーヒーや紅茶などの原料を使用しなくても、該コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料風の苦味やコクを有しており、しかも、ノンカフェインである新規容器詰乳入り嗜好性飲料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を達成するために乳入り嗜好性飲料の調製に際して配合するノンカフェイン配合原料について鋭意検討を行なう中で、乳成分を含む飲料に対して、特定の焙煎条件において焙煎し、特定のブリックス度における水溶液が特定の吸光度及びpHを有するローストシュガー(焙煎糖)を特定量配合し、更に、特定量の食塩を配合することにより、従来のように、乳入り飲料に用いられるコーヒーや紅茶などのカフェイン飲料原料を使用しなくても、該コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料風の苦味やコクを有しており、しかも、ノンカフェインである新規な容器詰乳入り嗜好性飲料を提供することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、乳成分を含む飲料であって、乳成分に、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上、4.0以下であるローストシュガーを1〜10重量%と、食塩を0.1〜0.2重量%配合することにより、カフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した新規容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料を提供することからなる。本発明においては、ローストシュガーが、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.1〜0.8の範囲であるものが特に好ましい。該ローストシュガーの360nmの吸光度において、0.04より小さい(淡色)の場合、苦味が足りず、飲料配合時に十分なコク感を与えることができない。また、0.9より大きい(濃色)の場合、雑味(酸味、えぐみ、不快な苦味など)が生じ、また、配合した飲料の液色がカラメル色素の影響で濃くなり、商品として良好な香味・外観のバランスに調製することが難しいなど、商品の官能(香味・外観)に望ましくない影響を与える。
【0013】
本発明において用いられるローストシュガーは、糖類を170℃になるまで緩やかに焙煎・加熱し、加熱停止後余熱で180℃になることを確認した後、反応を終了させることにより調製することができる。本発明において、ローストシュガー調製に用いられる糖類としては、砂糖が特に好ましい。また、本発明において、容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料の配合成分の特に好ましい割合としては、乳成分の量が、乳固形分として1〜11重量%、ローストシュガー量が2〜5重量%、食塩が0.1〜0.2重量%の配合割合を挙げることができる。
【0014】
本発明の容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料は、冷蔵状態で流通・保存されるチルド飲料として、流通・保存に供することができる。
【0015】
すなわち具体的には本発明は、(1)乳成分を含む飲料であって、乳成分に、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上、4.0以下であるローストシュガーを1〜10重量%と、食塩を0.1〜0.2重量%配合したことを特徴とするカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料や、(2)ローストシュガーが、砂糖を原料として調製したものであることを特徴とする上記(1)記載のカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料からなる。
【0016】
また本発明は、(3)乳成分の量が、乳固形分として1〜11重量%であって、ローストシュガー量が2〜5重量%、食塩が0.1〜0.2重量%であるであることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料や、(4)糖類を170℃になるまで緩やかに焙煎・加熱し、加熱停止後余熱で180℃になることを確認した後、反応を終了させることにより、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上、4.0以下であるローストシュガーを調製し、該ローストシュガーを乳成分に1〜10重量%、更に、食塩を0.1〜0.2重量%配合し、常法により容器に充填したことを特徴とするカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料の製造方法からなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により提供される容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料は、コーヒーや紅茶などカフェインを含む原料を用いなくても、カフェイン含有飲料が本来持つような、深いコクと若干の苦味が付与され、更には甘味の強いベースにおいても後切れが良く甘さが口に残らない優れた香味を有する。また、本発明の容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料は、液色についてもコーヒーや紅茶のような茶色い液色をしており、濃い味をイメージすることができる非常に嗜好性が高い新規飲料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、糖類を170℃になるまで緩やかに焙煎・加熱し、加熱停止後余熱で180℃になることを確認した後、反応を終了させることにより、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが3.6以下であるローストシュガーを調製し、該ローストシュガーを乳成分に1〜10重量%、更に、食塩を0.1〜0.2重量%配合し、常法により容器に充填することにより、カフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した新規容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料を提供することからなる。
【0019】
<乳入り飲料>
本発明で対象とする乳成分を含む乳入り飲料とは、乳成分を乳固形分として0.1重量%以上含むものが該当する。ただし、本発明の効果が顕著に得られるという意味では乳固形分1〜9重量%(牛乳を用いた場合、牛乳の量:約10〜70重量%)含むものが好ましい。本発明でいう乳とは、牛由来の牛乳を前提としているが、そのほかの動物、例えばヤギ由来のものであっても構わない。また、牛乳をそのまま乾燥粉末化した全脂粉乳や、それから脂肪分を抜いた脱脂粉乳も牛乳の代替として用いられる。
【0020】
<ローストシュガー>
本発明で使用するローストシュガーとは、0.1°Bxの水溶液にした場合360nmの吸光度が0.04以上0.9以下、好ましくは0.1以上0.8以下であって、10°Bxの水溶液にした場合に、pHが2.0以上4.0以下、好ましくは2.5以上3.6以下であるローストシュガーとして定義される。この数値範囲以外のものは、苦味を中心とした香味、外観或いは品質の安定性などの点で本発明に使用するには適さない。本発明のローストシュガーを調製するための糖類としては、通常、例えば、砂糖・果糖・はちみつ・メープルシロップなどの糖類甘味料を用いることができるが、特に、該糖類に限定されない。また、該ローストシュガーとして、池田糖化工業株式会社や昭和化学工業株式会社などから販売されている市販品の「ローストシュガー」から適宜選択することで入手することができる。
【0021】
本発明において、ローストシュガーを調製するには、糖類を、例えば、約1〜3時間かけて、略170℃(170〜175℃程度)になるまで加熱(融解)する。加熱に際して、一定の攪拌を行なうことにより、加熱加温反応の進行を調整することができる。所定温度(略170℃)に達したら加熱処理を終了し、引き続き、余熱で180℃程度に達温させる。この間に、加熱(融解)したローストシュガーの外観(着色)及び香味の変化の進行・調整を行うことができる。余熱加温反応の進行は、一定の攪拌を行なうことにより調整することができる。余熱加温反応の終了後、必要量の湯又は水の添加、及び攪拌の強度調整(強く)により、更に冷却すると共に、調製したローストシュガーを所定の物性値(吸光度、pH)に調整する。これらの工程により、所望の官能(色、外観、香味)及び物性に調整されたローストシュガーを得ることができる。本発明において、ローストシュガーは、飲料に対して、1−10重量%、好ましくは2−5重量%の範囲で添加する。それよりも少ないと本発明の効果が得られにくく、多いと苦くなりすぎて飲料の嗜好性が低下してしまう。
【0022】
<食塩>
本発明で使用する食塩は、通常の食用の塩化ナトリウムでよい。配合量は0.1重量%以上、0.2重量%以下とする。好ましくは0.15重量%である。これ以下だと、本発明効果が得られにくく、多いと塩味が強くなりすぎて嗜好性が損なわれる。
【0023】
<飲料の製造法>
本発明の容器詰め飲料は通常の乳性飲料の製造法に従って製造すればよい(「最新ソフトドリンクス 光淋」参照)。なお、本発明の飲料に使用する原料としては、乳原料、ローストシュガー・食塩以外に、・糖類・乳化剤・安定剤・香料などが挙げられるが、これに限られない。飲料に使用できる原料であって本発明の作用効果を阻害しないものであればいずれも使用できる。
【0024】
<製品、流通形態>
本発明の嗜好性飲料の製品形態としては、容器詰飲料として調製され、該容器形態としては、PETボトル、缶、壜、紙容器、チルドカップなどを想定することができる。流通形態としては、常温流通、チルド流通のどちら向けの製品にでも対応可能であるが、香味の点で殺菌強度の低いチルド流通向けの飲料、チルド飲料が望ましい。又、ドライ流通品として製造を行う際は、容器がPETボトルの際はアセプティック充填を行い、缶及び壜容器の際はレトルト殺菌を行うことが望ましい。
【0025】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
[ローストシュガーの調製例]
砂糖を直火がまを用いて、攪拌しながら約3時間かけてゆっくり加熱した。170℃を超えた時点で加熱を止めた。余熱で180℃になることを確認したのちに反応を終了させた。このローストシュガーは0.1°Bxの水溶液にした場合360nmの吸光度は0.21であり、10°Bxの水溶液のpHは3.2であった。
【実施例2】
【0027】
[飲料の調製:乳固形分量5重量%(牛乳量40重量%)の場合]
牛乳400gに対して、グラニュー糖75gを調合し、更に、表1のローストシュガー(実施例1の調製例により調製したもの)、及び、食塩を配合した。最終的に脱イオン水を用いて1000gにフィルアップした後、殺菌して180gのガラス瓶につめ、本発明実施例或いは比較例の飲料を調製した。
【0028】
(評価)
官能評価は熟練した5名のパネリストによっておこなった。評価は、コク味、苦味、キレ味、総合評価を5点満点で評価した。横軸:ローストシュガー量(重量%)、縦軸:食塩量(重量%)、評価点:表1中、左より「コク味」、「苦味」、「キレ味」、「総合評価」をそれぞれ表す。結果を表1に示す。なお、表1中、ローストシュガー量(重量%)0.5、15%のもの、及びNaCl(重量%)0.05、0.3%のものは比較例を、それ以外のものは、本発明の実施例を示す。
【0029】
【表1】

【実施例3】
【0030】
[牛乳量の変動による影響]
ローストシュガーを3%・15%、食塩を0.15%・0.3%に固定して、牛乳量を表2のように変動させる以外は、実施例2と同様にしてサンプルを調製した。それらの官能評価結果を実施例2の表1にならい記載した。結果を表2に示す。なお、表2中、ローストシュガー量(重量%)3%のものは本発明の実施例を、15%のものは比較例を示す。

【0031】
【表2】

【実施例4】
【0032】
[飲料製品調製例]
ローストシュガー(池田糖化工業社製「ニガミシラップ」;0.1°Bx水溶液の360nm吸光度が0.37、10°Bxの水溶液のpHは3.0)120kg、乳化剤4kg、炭酸水素ナトリウム2kgを温水で溶解した後、クッションタンクへ投入した。更に、溶解したグラニュー糖300kg、食塩6kgをクッションタンクへ投入した。この溶解液についてホモジナイズ処理した後、牛乳1600kgを入れた調合タンクへ投入し、最終的に総量4000kgの調合液に仕上げた(乳成分量:40重量%、ローストシュガー:3重量%、食塩:0.15重量%)。出来上がった調合液を、更に、ストレーナーを通した後、チューブラー殺菌機で殺菌後、速やかに冷却を行い、別途用意した洗浄済みのチルドカップに充填し、アルミ蓋を取り付け、本発明の飲料を製造した。
【0033】
(評価)
本飲料は、従来のカフェイン含有飲料を添加した場合に劣らぬ、深いコクと若干の苦味を有し、更には、後切れが良く甘さが口に残らず、非常に嗜好性が高い飲料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳成分を含む飲料であって、乳成分に、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上、4.0以下であるローストシュガーを1〜10重量%と、食塩を0.1〜0.2重量%配合したことを特徴とするカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料。
【請求項2】
ローストシュガーが、砂糖を原料として調製したものであることを特徴とする請求項1記載のカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料。
【請求項3】
乳成分の量が、乳固形分として1〜11重量%であって、ローストシュガー量が2〜5重量%、食塩が0.1〜0.2重量%であるであることを特徴とする請求項1又は2記載のカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料。
【請求項4】
糖類を170℃になるまで緩やかに焙煎・加熱し、加熱停止後余熱で180℃になることを確認した後、反応を終了させることにより、ブリックス度0.1°Bxの水溶液にした場合に360nmの吸光度が0.04以上0.9以下であり、10°Bxの水溶液にした場合にpHが2.0以上、4.0以下であるローストシュガーを調製し、該ローストシュガーを乳成分に1〜10重量%、更に、食塩を0.1〜0.2重量%配合し、常法により容器に充填したことを特徴とするカフェイン含有飲料風苦味とコクを付与した容器詰ノンカフェイン乳入り嗜好性飲料の製造方法。


【公開番号】特開2009−219393(P2009−219393A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65968(P2008−65968)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】