ノード装置、最適パス決定方法及びプログラム
【課題】メッシュ型ネットワークにおいて、ノード装置間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減する。
【解決手段】不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131は、pingプログラムまたはtracerouteプログラムの実行結果から、リンクのRTT及び経由ルータ台数を取得し、BGPまたはOSPFの経路制御プロトコルの分析結果から、リンクのAS経由数/ルータ経由数及びコストを取得する。不通リンク決定手段132は、リンクのRTT等に基づいて、伝送性能が劣ると予想される候補リンクを計測対象から除外し、最適パスの決定に際してその候補リンクを不通リンクとして扱う。これにより、計測対象となる候補リンク数を削減でき、プローブパケットの送出総量を削減できる。また、最適パスを決定するための計算量も削減できる。
【解決手段】不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131は、pingプログラムまたはtracerouteプログラムの実行結果から、リンクのRTT及び経由ルータ台数を取得し、BGPまたはOSPFの経路制御プロトコルの分析結果から、リンクのAS経由数/ルータ経由数及びコストを取得する。不通リンク決定手段132は、リンクのRTT等に基づいて、伝送性能が劣ると予想される候補リンクを計測対象から除外し、最適パスの決定に際してその候補リンクを不通リンクとして扱う。これにより、計測対象となる候補リンク数を削減でき、プローブパケットの送出総量を削減できる。また、最適パスを決定するための計算量も削減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間のリンクの利用可能帯域を計測し、この計測結果から最適な伝送パス(最適パス)を動的に決定するノード装置、最適パス決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュ型ネットワークは、3つ以上のノードがそれぞれ相互に接続され、網目状に構成された伝送路をいう。メッシュ型ネットワークでは、2つのノード間の伝送経路は、その2つのノードを直接繋ぐ最短パスの経路だけではなく、他のノードを経由して繋ぐ迂回パスの経路も存在する。このため、2つのノード間の伝送経路に障害が発生した場合であっても、他のノードを経由する迂回パスによって、伝送を継続することができる。このメッシュ型ネットワークにおいては、ノード間のリンクが局所的に混雑することによって、最短パスよりも迂回パスの利用可能帯域の方が広くなる場合がある。
【0003】
以下、「リンク」は、2つの(オーバーレイ)ノードを直接結ぶ経路をいい、「パス」は、2つの(オーバーレイ)ノードを結ぶ経路一般(途中に他のノードを経由する経路を含む)をいう。また、事業者により素材映像伝送を実現するメッシュ型ネットワークのシステムにおいて、メッシュ型ネットワークを構成するノードは、全て管理者によって管理されており(アドレスが既知であり)、ノードが頻繁に参加または離脱することはないものとする。
【0004】
従来、ネットワークにおけるノード間の最適パスを決定する手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の手法は、ネットワーク全体の処理負荷の低減を考慮して、ノード間伝送路の負荷情報に基づいてノードのグルーピングを行い、受信するデータに基づいてトラフィック情報(利用可能帯域)を計測し、トラフィック情報に基づいて最適パスを決定するものである。
【0005】
この利用可能帯域を計測する手法として、例えば、パケットペア法が知られている。図14は、パケットペア法による利用可能帯域の計測手法について説明する図である。図14を用いて、ノード101からノード102までの間のリンク1−2の帯域(利用可能帯域)1−2を計測する手法について簡単に説明する。ノード101からノード102までの間のリンクに、帯域Wのボトルネックが存在するものとする。起点のノード101は、充分に短い時間間隔Tで、パケット長Lのプローブパケットを連続的に終点のノード102へ送信する。リンク1−2におけるいずれかのパス上で他のトラフィックの影響を受けない場合には、終点のノード102は、ノード101から送信されたプローブパケットを、時間間隔T’=L/Wで受信する。したがって、ノード102は、受信するプローブパケットの時間間隔を算出することにより、ボトルネックの帯域(利用可能帯域)Wを計測することができる。実際には、計測を繰り返した結果を統計的に処理することにより、他のトラフィックの影響を排除した利用可能帯域が推定される。
【0006】
図13は、図14に示したパケットペア法に用いるプローブパケットの構成を示す図である。図13に示すように、プローブパケットは、Version(バージョン)、Header Length(ヘッダ長)等のヘッダと、ダミーデータが格納されたペイロードとにより構成される。パケットペア法においては、プローブパケット長が長い場合は計測精度が向上するから、プローブパケット長を、IPネットワークのMTU(Maximum Transmission Unit:最大転送単位)として一般的な1500バイトに固定することが多い。このため、プローブパケットは、先頭のIPヘッダ部分を除いて、ダミーデータにより構成される。
【0007】
図15は、従来のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、相互に接続された複数のノード101〜104等により、網目状に構成されている。ノード101は、プローブパケットをノード102〜104へ送信し、ノード102〜104もプローブパケットを他のノード101〜104へ送信する。ノード101は、プローブパケットをノード102〜104からそれぞれ受信すると、隣接リンクの利用可能帯域(ノード102からノード101までの間のリンク2−1の帯域2−1、ノード103からノード101までの間のリンク3−1の帯域3−1、ノード104からノード101までの間のリンク4−1の帯域4−1)を、前述のパケットペア法によりそれぞれ計測し、結果パケットに格納してノード102〜104へ送信する。ノード102〜104も、プローブパケットを受信すると、隣接リンクの利用可能帯域をそれぞれ計測し、結果パケットに格納して他のノード101〜104へ送信する。
【0008】
そして、ノード101〜104は、他のノード101〜104において計測された隣接リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、全てのリンクの利用可能帯域を取得する。そして、取得した全リンクの利用可能帯域に基づいて最適パスを決定する。図15に示すように、ノード103は、全リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード101からノード103までの間の最適パスを決定する際に、ノード101からノード103までの間のパスを構成するリンクの組み合わせを求め、その組み合わせ毎にリンクの帯域の最小値が最も大きいリンクの組み合わせを最適パスとして決定する。例えば、パスを構成するリンクの組み合わせとしてリンク1−3、リンク1−2,2−3、リンク1−4,4−3、リンク1−4,4−2,2−3、及びリンク1−2,2−4,4−3が存在し、それぞれのリンクの帯域が、(帯域1−2<帯域2−3、帯域2−4、帯域4−3)、(帯域1−4<帯域2−3、帯域4−2、帯域4−3)、(帯域1−2<帯域1−4<帯域1−3)の関係にある場合、リンク1−3を最適パスとして決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−153978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図15に示した従来のノード101〜104を含むメッシュ型ネットワーク100では、以下の問題があった(課題(1)(2))。
【0011】
〔課題(1)〕
従来のメッシュ型ネットワーク100では、ノードがn台の場合、利用可能帯域を計測する計測対象となるリンク(以下、候補リンクという。)の総数がn(n−1)であり、nの増加に従って、n2のオーダーで増大する。候補リンク数の増加は、プローブパケットの送出量と計測結果を交換する結果パケットの送出量の増大につながり、メッシュ型ネットワーク100への負荷を増加させる。また、候補リンクが多数存在すると、候補リンクから最適パスを決定する処理(例えば、総当たり法による全リンクの利用可能帯域の計算及び比較処理、並びにダイクストラ法による最適パスの決定処理)の計算量も増大する。
【0012】
〔課題(2)/付加的な課題〕
また、従来のメッシュ型ネットワーク100では、隣接リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測が行われ、そして、計測結果を交換するために、それぞれ別のパケット(帯域計測のときはプローブパケット、計測結果を交換するときは結果パケット)が送受信されるため、メッシュ型ネットワーク100へのデータ送信量が増大する。また、前述のとおり、プローブパケットは、計測精度の向上を図るために、MTUとほぼ等しい固定長に設定されることが多く、メッシュ型ネットワーク100に与える負荷が大きいにも関わらず、そのペイロード部分はダミーデータのみで構成され、有効に使用されていない。
【0013】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード装置間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減可能なノード装置、最適パス決定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った。その結果、各ノード装置において、メッシュ型ネットワークの経路情報を分析し、分析結果(例えば、ping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムの実行により得られるRTT(Round Trip Time:ラウンドトリップ時間)または経由ルータ台数、BGP(Border Gateway Protocol)またはOSPF(Open Shortest Path First)等の経路制御プロトコルにて送受信されるメッセージの分析により得られる経由AS数/経由ルータ台数またはコスト)に基づいて、伝送性能が劣ると予想される候補リンクを計測対象から除外し、最適パスの決定に際してその候補リンクを不通リンクとして扱う、いわゆる候補リンクの足切りを行うことを見出した。
【0015】
これにより、伝送性能が劣ると予想される候補リンクは、最適パスに含まれるリンクにはなり得ないから、利用可能帯域の計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができる。
【0016】
また、本発明者らは、各ノード装置において、計測した隣接リンクの利用可能帯域を、帯域計測に用いるプローブパケットに格納して送信することを見出した。
【0017】
これにより、各ノード装置は、プローブパケットとは別に、計測結果の利用可能帯域を送信する必要がなく、帯域計測と計測結果の交換とをプローブパケットによって同時に実現することができる。最適パスを決定するノード装置は、他のノード装置から送られてくるプローブパケットを受信することにより、隣接リンクの利用可能帯域を計測することができ、同時に、プローブパケットに格納された利用可能帯域を取得することができる。つまり、プローブパケットを受信し、自ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域の計測と、他のノード装置における隣接リンクの利用可能帯域の取得とを同時に行うことにより、メッシュ型ネットワークにおいて送受信されるパケットの量を減らし、ネットワーク負荷を一層低減することができる。したがって、前記課題(2)を解決することができる。
【0018】
すなわち、本発明によるノード装置は、複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定するノード装置において、当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するネットワーク経路情報取得手段、及び、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断し、前記リンクを不通リンクとして決定する不通リンク決定手段を有する不通リンク決定部と、当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測部と、前記帯域計測部により計測された、前記不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信し、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する結果パケット処理部と、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、前記結果パケット処理部により取得された他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定する最適パス決定部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークを管理するために用いるping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムを実行し、この実行結果に基づいて、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはRTT(Round Trip Time)をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークの経路を制御するためのBGP(Border Gateway Protocol)に用いるBGPメッセージのAS(Autonomous System)−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、他のノード装置を内包するASを始点として送信され、当該ノード装置を内包するASへ送信されたBGPメッセージを選定し、前記選定したBGPメッセージのAS−PATH属性に含まれるAS番号から、当該ノードと他のノードとの間のAS数をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークの経路を制御するためのOSPF(Open Shortest Path First)に用いる広告メッセージに基づいて、当該メッセージが送信されたルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得し、前記ネットワークアドレス及びコスト情報から、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはコスト情報をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるノード装置は、前記結果パケット処理部の代わりにプローブパケット処理部を備え、前記プローブパケット処理部が、当該ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを他のノード装置から受信し、他のノード装置において隣接リンクの利用可能帯域を計測させるためのプローブパケットに、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納し、前記プローブパケットを他のノード装置へ送信することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明による最適パス決定方法は、複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定する方法において、当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するステップと、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断するステップと、前記伝送性能が劣ると判断したリンクを不通リンクとして決定するステップと、当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測するステップと、前記計測した、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を、結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信するステップと、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得するステップと、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による最適パス決定プログラムは、コンピュータを、前記ノード装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード装置間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【図2】実施例1におけるノードの処理概要を示すフローチャートである。
【図3】実施例1におけるノードの構成を示すブロック図である。
【図4】pingプログラムの実行結果例を示す図である。
【図5】tracerouteプログラムの実行結果例を示す図である。
【図6】BGPメッセージの例を示す図である。
【図7】BGPメッセージに基づいて作成された経路マップ(ASマップ)例を示す図である。
【図8】OSPFのLSAに基づいて作成されたルータマップ情報例を示す図である。
【図9】実施例4のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【図10】実施例4におけるノードの処理概要を示すフローチャートである。
【図11】実施例4におけるノードの構成を示すブロック図である。
【図12】実施例4,5におけるプローブパケットの構成例を示す図である。
【図13】従来のプローブパケットの構成を示す図である。
【図14】パケットペア法による利用可能帯域の計測手法について説明する図である。
【図15】従来のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード(ノード装置)間の最適パスを決定する際の候補リンクを削減することを特徴とする。実施例1は、IPネットワーク管理用のping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムの実行結果を用いてネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例2は、経路制御用のBGPに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例3は、経路制御用のOSPFに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例4は、実施例1〜3のいずれかの例に加え、隣接リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。実施例5は、実施例4の拡張例であり、隣接リンクの利用可能帯域の属性もプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。実施例1〜3により、前記課題(1)を解決することができる。また、実施例4,5により、前記課題(1)に加え、課題(2)を解決することができる。ここで、ネットワーク経路情報は、経路の伝送性能を判定する際に用いる情報である。
【実施例1】
【0028】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、前述のとおり、IPネットワーク管理用のpingプログラムまたはtracerouteプログラムの実行結果を用いてネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例1は、IPネットワーク上でオーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0029】
図1は、実施例1のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、例えばインターネットであり、相互に接続された複数のノード1〜4等により、網目状に構成されている。後述する実施例2,3においても同様である。
【0030】
〔ノードの処理概要/実施例1〕
図2は、図1に示したノード1の処理概要を示すフローチャートである。ノード2〜4もノード1と同じ処理を行う。この処理は、例えば、ノード1〜4間で映像データを送受信する際に、利用可能帯域を計測し、最適パスを決定し、決定した最適パスにて映像データを送受信するものである。後述する実施例2,3においても同様である。
【0031】
ノード1は、プローブパケットの送信タイミングを判定すると(ステップS21:Y)、ノード2〜4において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットをノード2〜4へ送信する(ステップS201)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔であり、プローブパケットは、メッシュ型ネットワーク100の状態変化に対応するために、定期的に送信される。
【0032】
ノード1は、ノード2〜4からプローブパケットをそれぞれ受信した場合(ステップS22:Y)、図14に示したように、プローブパケットの受信間隔を算出することにより、隣接リンクの利用可能帯域(ノード2からノード1までの間のリンク2−1の帯域2−1、ノード3からノード1までの間のリンク3−1の帯域3−1、ノード4からノード1までの間のリンク4−1の帯域4−1)をそれぞれ計測する(ステップS202)。利用可能帯域を計測した隣接リンクが候補リンクとなる。この場合、ノード1は、ノード2〜4から送信されるプローブパケットを定期的に受信する。
【0033】
ノード1は、不通リンクの更新タイミングを判定すると(ステップS23:Y)、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを実行し、実行結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTTを示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。更新タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。そして、ノード1は、ネットワーク経路情報に基づいて不通リンクを決定し(ステップS204)、候補リンク(リンク2−1,3−1,4−1)から不通リンクを除外する(ステップS205)。図1に示すように、例えば、ノード1は、ネットワーク経路情報に基づいて、リンク2−1が不通リンクであると決定し、候補リンクから不通リンク2−1を除外する。
【0034】
ノード1は、結果パケットの送信タイミングを判定すると(ステップS24:Y)、前述の例では、不通リンク2−1を除外した候補リンク3−1,4−1の利用可能帯域(帯域3−1,4−1)を結果パケットに格納し、結果パケットをノード2〜4へ送信する(ステップS206)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。これにより、ノード2〜4は、結果パケットを受信し、結果パケットから、ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得することができる。
【0035】
ノード1は、結果パケットをノード2〜4からそれぞれ受信した場合(ステップS25:Y)、受信した結果パケットから、他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する(ステップS207)。
【0036】
ノード1は、最適パスを決定するタイミングを判定すると(ステップS26:Y)、自ノード1において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、例えば前述した手法により、最適パスを決定する(ステップS208)。
【0037】
図1に示すように、ノード2は、リンク1−2が不通リンクであると決定し、ノード4は、リンク3−4が不通リンクであると決定する。この場合、例えばノード3は、ノード1,2,4から、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する。そして、ノード3は、全リンクのうちの不通リンク2−1,1−2,1−4,2−4,3−4を除外した候補リンク1−3,2−3,4−3,3−1,4−1,4−2,3−2に基づいて、最適パスを決定する。
【0038】
〔ノードの構成/実施例1〕
次に、図1に示したノード1の構成について説明する。図3は、ノード1の構成を示すブロック図である。このノード1は、通信部11、プローブパケット処理部12、不通リンク決定部13、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている。
【0039】
ノード1の通信部11は、メッシュ型ネットワーク100に対してプローブパケット及び結果パケットの送受信を行う。また、後述するpingプログラム及びtracerouteプログラムの実行に伴って、各種メッセージの送受信を行う。
【0040】
プローブパケット処理部12は、プローブパケットの送信タイミングにおいて、ノード2〜4において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを生成し、このプローブパケットを、通信部11を介してノード2〜4へ送信する。また、プローブパケット処理部12は、ノード2〜4から通信部11を介して、プローブパケットを受信し、プローブパケットの受信間隔を算出し、受信間隔等の情報をプローブパケット受信情報として帯域計測部14に出力する。また、プローブパケット処理部12は、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止する。尚、プローブパケット処理部12は、後述する記憶部17から、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である自ノード帯域情報を読み出し、この自ノード帯域情報に基づいて不通リンクを特定し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止するようにしてもよい。この場合、不通リンクの利用可能帯域にはデータが格納されていない。
【0041】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、メモリ(図示せず)からpingプログラムを読み出して実行し、通信部11を介してメッセージの送受信を行い、プログラム実行結果として、相手ノード2〜4までの間に存在するルータの台数及び相手ノード2〜4までのRTTを取得する。または、ネットワーク経路情報取得手段131は、メモリからtracerouteプログラムを読み出して実行し、通信部11を介してメッセージの送受信を行い、プログラム実行結果として、相手ノード2〜4までの間に存在するルータのIPアドレス及びルータ(相手ノード2〜4を含む)までのRTTを取得し、ルータのIPアドレスの数からルータ台数を算出し、相手ノード2〜4までのRTTを取得する。ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータ台数及びRTTをネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0042】
pingプログラムは、IPネットワークの管理のために一般的に用いられ、インターネット、イントラネット等のTCP/IPネットワークを診断するプログラムである。相手ノードのIPアドレスを指定することにより、ICMP(Internet Control Message Protocol)を使って所定量のデータを送信し、相手ノードから返信があるか否か、返信がある場合はその返信時間等によって、ネットワークを診断する。このプログラムにより、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数及び自ノードから相手ノードまでのRTTを取得することができる。ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレスを指定してpingプログラムを実行し、実行結果として、ルータ台数及びRTTを取得する。
【0043】
図4は、pingプログラムの実行結果例を示す図である。(尚、図4では実際には使われていないIPアドレスを記載している。)図4に示すように、ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレス「192.168.0.1」を指定してpingプログラムを実行した結果、1回目のシーケンス(icmp_seq=0)の結果が、ルータ台数が18(ttl(time to live)=237であるから、255−237=18)、RTTが9.954ms(time=9.954ms)であり、2〜11回目のシーケンスの結果を合わせて、RTTの最小値、平均値、最大値及び平均偏差値(7.369/8.707/・・・ms)を取得する。このように、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数(図4の場合、17台)、及び自ノードから相手ノードまでのRTT(図4の場合、平均値8.707ms)を取得する。
【0044】
一方、tracerouteプログラムも、IPネットワークの管理のために一般的に用いられ、目的のホストまでの経由ルータを一覧するためのプログラムである。このプログラムにより、自ノードと相手ノードとの間に存在するルータのIPアドレス及び自ノードから各ルータ(相手ノードを含む)までのRTTを取得することができる。ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレスを指定してtracerouteプログラムを実行し、実行結果として、ルータのIPアドレス及び各ルータ(相手ノードを含む)までのRTTを取得する。
【0045】
図5は、tracerouteプログラムの実行結果例を示す図である。(尚、図5では実際には使われていないIPアドレスを記載している。)図5に示すように、ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレス「192.168.0.1」を指定してtracerouteプログラムを実行した結果、相手ノードとの間に存在する各ルータの番号(2〜18)、各ルータのIPアドレス(172.31.254.254,・・・)、各ルータ(相手ノードを含む)までのRTT(0.508ms,・・・,7.284ms)を取得する。図5において、左端の「2」から「18」までの各行の情報が各ルータに関する情報であり、「1」の情報が自ノードに関する情報であり、「19」の情報が相手ノードに関する情報である。このように、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノードと相手ノードとの間に存在するルータのIPアドレス(17台のルータのIPアドレス172.31.254.254,・・・)、及び自ノードから各ルータ(相手ノードを含む)までのRTT(0.508ms,・・・,7.284ms)を取得する。そして、ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータのIPアドレスの数から、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数(図5の場合、17台)を算出し、相手ノードまでのRTT(例えば、「19」の情報における7.657ms,7.463ms,7.284msの平均値)を算出する。
【0046】
尚、pingプログラム及びtracerouteプログラムにより取得されるルータ台数及びRTT等は、長期的に変化する。そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを、所定周期にて適宜繰り返して実行する。
【0047】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4までの間のルータ台数、及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTT)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0048】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードまでの間のルータ台数と所定のしきい値とを比較し、ルータ台数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。または、相手ノードまでのRTTと所定のしきい値とを比較し、RTTが所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。これは、多数のルータを経由するリンク及びRTTの大きいリンクは、利用可能帯域が狭く伝送性能が劣る傾向にあるからである。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのルータ台数またはRTTも含めて平均的なルータ台数またはRTTを算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、ルータ台数またはRTTのばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0049】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、ネットワークの負荷、及び最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0050】
帯域計測部14は、プローブパケット処理部12からプローブパケット受信情報(ノード2〜4から送信されたプローブパケットの受信間隔等)を入力すると共に、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力する。帯域計測部14は、前述したとおり、プローブパケット受信情報における受信間隔等の情報に基づいて、ノード2〜4との間の隣接リンク(候補リンク2−1,3−1,4−1)の利用可能帯域を計測する。また、帯域計測部14は、候補リンク2−1,3−1,4−1から不通リンクを除外し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を自ノード帯域情報として記憶部17に格納する。尚、帯域計測部14は、計測した隣接リンク(候補リンク)の利用可能帯域を記憶部17に格納し、入力した不通リンク情報の示す不通リンクの利用可能帯域を記憶部17から削除するようにしてもよい。
【0051】
結果パケット処理部15は、記憶部17から自ノード帯域情報(自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出して結果パケットに格納し、この結果パケットを、通信部11を介してノード2〜4へ送信する。また、結果パケット処理部15は、ノード2〜4から通信部11を介して、結果パケットを受信し、結果パケットから、ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する。そして、結果パケット処理部15は、ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を他ノード帯域情報として記憶部17に格納する。これにより、記憶部17には、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である自ノード帯域情報、及びノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である他ノード帯域情報が格納される。
【0052】
最適パス決定部16は、記憶部17から自ノード帯域情報及び他ノード帯域情報(自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及びノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、前述したとおり、最適パスを決定する。
【0053】
以上のように、実施例1のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを実行して、自ノード1から相手ノード2〜4までの間のルータ台数、及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTTを示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、ルータ台数の多いリンクまたはRTTの大きいリンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンク2−1,3−1,4−1から不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0054】
これにより、不通リンクを除外した候補リンクから最適パスが決定されるから、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワーク100において、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【実施例2】
【0055】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、前述のとおり、経路制御用のBGPに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例2は、インターネット上に配置したノード間でオーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0056】
〔ノードの処理概要/実施例2〕
実施例2のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図1に示した構成と同様である。また、実施例2のノード1は、図2に示した実施例1のステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208と同じ処理を行い、ステップS203とは異なる処理を行う。ステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208の説明については省略する。
【0057】
ノード1は、図2に示した実施例1のステップS203の代わりに、BGPに用いるメッセージを受信して分析し、分析結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間に存在するAS(Autonomous System:自律システム)の数を示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。
【0058】
〔ノードの構成/実施例2〕
次に、実施例2におけるノード1の構成について説明する。実施例2におけるノード1の構成は、図3に示した実施例1の構成と同じであるが、実施例2におけるノード1の不通リンク決定部13が、実施例1の不通リンク決定部13とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、プローブパケット処理部12、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の説明については省略する。
【0059】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、BGPに用いるメッセージを、通信部11を介して受信し、受信したメッセージを分析し、分析結果として、相手ノード2〜4までの間のAS数を取得する。ネットワーク経路情報取得手段131は、AS数をネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0060】
BGPは、インターネットを構成するISP(Internet Service Provider)ネットワーク間において、経路制御のためのメッセージをBGPルータ間で交換する経路制御プロトコルである。BGPでは、各ISPネットワークをASといい、それぞれのASにユニークな番号(AS番号)が付与されている。各ASのBGPルータは、自ASの内部に含むネットワークアドレスと自らのAS番号とを含むBGPメッセージを接続先ASのBGPルータへ送信する。接続先のBGPルータは、このBGPメッセージを受信すると、受信したBGPメッセージの先頭に自らのAS番号を追記し(これをAS−PATH属性という。)、他の接続先ASのBGPルータへ送信する。尚、BGPの詳細については「R.Halhotra著、清水奨訳、入門IPルーティング、オライリージャパン、2002/8」の第7章を参照されたい。
【0061】
ここで、ノード1は、AS−PATH属性を含むBGPメッセージを、ノード1を内包するASのBGPルータから受信することにより、取得することができる。また、一般に、インターネット上に存在するオーバーレイ伝送網を構成するノードのIPアドレスが既知であれば、後述するプログラムにより、そのノードを内包するAS番号も取得することができる。つまり、ノード1は、自ノードを内包するASのAS番号と、相手ノードを内包するASのAS番号を取得できる。
【0062】
そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノード1及び相手ノード2〜4のIPアドレスを指定して所定のプログラムを実行し、実行結果としてそのノード1〜4を含むそれぞれのASのAS番号を取得する。例えば、所定のプログラムとして「RADd、MERIT NETWORK INC.、ROUTING ASSETS DATABASE、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL:http://www.radb.net/>」のサービスを利用することができる。そして、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノード1を内包するASに到着するBGPメッセージを受信し、BGPメッセージからAS−PATH属性を取得し、そのAS−PATH属性が、相手ノードを内包するAS番号で始まると判断した場合、そのBGPメッセージから取得したAS−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、自ノード1と相手ノードとの間に存在するASを特定し、そのAS数を取得する。
【0063】
図6は、BGPメッセージの例を示す図である。BGPメッセージは、当該メッセージを生成した日時(DATE&TIME)、当該メッセージのタイプ(TYPE)、自ノードの隣のAS番号(SOURCE_AS)、ASのネットワークアドレス(PREFIX)及びAS−PATH属性(AS_PATH)により構成される。タイプにおいて、Bはある時刻における経路一覧、Aは経路の追加・更新、Wは経路の削除を示している。(尚、実際のBGPメッセージではAS番号として0〜65535の数が記述されるが、ここではAS番号を#Xのように記述している。)図6に示すBGPメッセージは、AS−#Rに内包される自ノードからAS−#Sに内包される相手ノード(ネットワークアドレスww.xx.y.z/16)との間に存在するAS数を取得することを目的として、AS−#Rにおいて観測されたBGPメッセージから、AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージを抜き出した一覧である。すなわち、図6に示すBGPメッセージは、ノード1の不通リンク決定部13におけるネットワーク経路情報取得手段131が、通信部11を介して受信したBGPメッセージのうち、AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージを抜き出した一覧である。
【0064】
図7は、図6に示したAS−PATH属性から生成された経路マップ(ASマップ)を示す図である。ネットワーク経路情報取得手段131は、図6に示したBGPメッセージ(AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージ)を分析し、AS−#Rに内包される自ノード1とAS−#Sに内包される相手ノードとの間に存在するASのマップ(ASマップ)を、図7に示すように生成する。図7に示すように、自ノード1と相手ノードとの間には、AS−#B,#C,#D経由の第1の経路、AS−#T,#A経由の第2の経路、AS−#E,#T,#A経由の第3の経路、及びAS−#F,#G,#H経由の第4の経路の合計4つの経路が存在している。ネットワーク経路情報取得手段131は、BGPメッセージに含まれるAS−PATH属性から生成したASマップに基づいて、第1の経路の経由AS数3、第2の経路の経由AS数2、第3の経路の経由AS数3、及び第4の経路の経由AS数3を取得し、このうち最小のAS数をネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。なぜなら、BGPによる経路制御においては通常、経由AS数の最も少ない経路をパケットの実際の転送経路として採用するからである。
【0065】
尚、ASマップは、ISP間の接続の変更により変わることがあり得る。そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、所定周期にて適宜繰り返して、受信したBGPメッセージを分析しASマップを作成する。また、BGPメッセージの分析により生成されるASマップは、必ずしも実際のメッシュ型ネットワーク100の経路を反映していない場合もあり得る。そこで、ASマップの分析により一旦計測対象から外れた候補リンクに対しても、適宜計測を行い、その正当性を検証する。
【0066】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4との間の各リンクにおけるAS数)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0067】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるAS数と所定のしきい値とを比較し、AS数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。これは、多数のASを経由するリンクは、経由するルータ台数も多くて利用可能帯域が狭く、伝送性能が劣る傾向にあるからである。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのAS数も含めて平均的なAS数を算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、AS数のばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0068】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0069】
以上のように、実施例2のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、BGPメッセージを受信し、BGPメッセージに含まれるAS−PATH属性から、相手ノードを含むASの番号から始まるBGPメッセージを特定し、このBGPメッセージに含まれるAS−PATH属性を分析することにより、自ノード1と相手ノード2〜4との間のASマップを生成し、ASマップに基づいて、自ノード1と相手ノード2〜4との間の各リンクにおけるAS数を示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、AS数の多いリンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンクから不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0070】
これにより、実施例1と同様に、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0071】
尚、実施例2において、以下に示す他の手法を用いることができる。例えば、図1に示したメッシュ型ネットワーク100及び図7に示したASマップにおいて、前述の「RADd」のプログラムを実行することにより、ノード1がAS−#Rに、ノード2がAS−#Cに、ノード3がAS−#Sに、ノード4がAS−#Tに内包されることがわかったとする。このとき、ノード1→3への直接伝送のパスとノード1→4→3への迂回伝送のパスは、ASマップ上では同一の経路(AS−#R→#T→#A→#S)となる。このため、両パスの利用可能帯域の計測結果は似通った結果になると予測される。
【0072】
そこで、不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からASマップの情報を入力し、ASマップの情報に基づいて、同一または類似した経路を通る候補リンクが複数存在することを判定した場合、それらの複数の候補リンクのうちの一部のリンクを不通リンクに決定する。前記例の場合、不通リンク決定手段132は、ノード1→3への直接伝送のパス及びノード1→4→3の迂回伝送のパスのうちの例えば後者のパスを不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。
【0073】
また、例えば、図1に示したメッシュ型ネットワーク100及び図7に示したASマップにおいて、前述と同様に、ノード1がAS−#Rに、ノード2がAS−#Cに、ノード3がAS−#Sに、ノード4がAS−#Tに内包されるものとする。この場合、ノード1→3への直接伝送のパス(AS−#R→#T→#A→#S)と、ノード1→2→3の迂回伝送のパス(AS−#R→#B→#C→#D→#S)とは、ASマップ上で経路を共有しないから、ノード1→3への直接伝送とノード1→2→3の迂回伝送とは相互の干渉が少ないことが予想される。
【0074】
そこで、不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からASマップの情報を入力し、ASマップの情報に基づいて、経路を共通しないパスの構成リンクだけを候補リンクとし、それ以外のリンクを伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定する。前記例の場合、両パスの構成リンク(この場合はリンク1−3とリンク1−2とリンク2−3の3つ)以外のリンクは全て伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定し、伝送に利用するパスをこの2パスに限定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、ノード1において実行される伝送アプリケーションに対し、ノード1→3とノード1→2→3の両パスを最適パスとして提示し、伝送アプリケーションには同時に両パスを使って伝送させることにより、両パスの利用可能帯域を合わせて伝送性能を向上させることができる。
【0075】
前記実施例2では、ノード1〜4は、当該ノード1〜4をそれぞれ内包するASのBGPルータからBGPメッセージを受信するものとして説明した。ノード1〜4は、BGPルータからBGPメッセージを受信する代わりに、他のASで観測したBGPメッセージから、AS−PATH属性に自ノードと相手ノードのAS番号を含むBGPメッセージを抽出し(受信し)、それらのメッセージからASマップを作成するようにしてもよい。図7に示した例では、AS−#Tに内包されるノードとAS−#Sに内包されるノードとを結ぶリンクのネットワーク経路情報を取得する際に、AS−#Rで観測したBGPメッセージからAS−PATH属性に自ノードと相手ノードのAS番号を含むBGPメッセージを抽出し、ASマップを作成してもよい。この場合、ノード1〜4は、BGPメッセージの観測データを、所定のプログラムを実行することにより取得する。例えば、所定のプログラムとして「routeviewsプロジェクト、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL: http://www.routeviews.org/>」「routing information serviceプロジェクト、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL:http://www.ripe.net/projects/ris/index.html」のサービスを利用し、インターネットの各所で観測したBGPメッセージを蓄積して公開しているサイトから、BGPメッセージの観測データを取得することができる。
【実施例3】
【0076】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、前述のとおり、経路制御用のOSPFに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例3は、ISPの内部ネットワーク、企業等の専用ネットワーク等において、オーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0077】
〔ノードの処理概要/実施例3〕
実施例3のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図1に示した構成と同様である。また、実施例3のノード1は、図2に示した実施例1のステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208と同じ処理を行い、ステップS203とは異なる処理を行う。ステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208の説明については省略する。
【0078】
ノード1は、図2に示した実施例1のステップS203の代わりに、OSPFに用いるメッセージを受信して分析し、分析結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数またはコスト(例えば、回線の速度)を示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。
【0079】
〔ノードの構成/実施例3〕
次に、実施例3におけるノード1の構成について説明する。実施例3におけるノード1の構成は、図3に示した実施例1の構成と同じであるが、実施例3におけるノード1の不通リンク決定部13が、実施例1の不通リンク決定部13とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、プローブパケット処理部12、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の説明については省略する。
【0080】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、OSPFに用いるメッセージを、通信部11を介して受信し、受信したメッセージを分析し、分析結果として、相手ノード2〜4までの間のルータ台数またはコストを算出する。ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータ台数またはコストをネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0081】
OSPFは、小規模のIPネットワークを構成するルータ間において、経路制御のためのメッセージを交換する経路制御プロトコルである。OSPFでは、各ルータにユニークな番号(ルータID)が付与されている。各ルータは、自らのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、コスト情報及び自らのルータIDを含む広告メッセージ(LSA:Link State Advertisement)を、全てのネットワークインターフェースから同報送信する。また、LSAを受信したルータは、LSAを受信したネットワークインターフェースを除いた全てのネットワークインターフェースから、受信したLSAを再び同報送信する。各ルータは、他のルータが同報送信したLSAを受信することにより、ネットワーク上に存在するルータの配置、ルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報(例えば回線速度)を取得し、これらを反映したルータマップ情報を生成し、生成されたルータマップ情報に基づき実際のパケット転送経路を決定している。
【0082】
図8は、OSPFのLSAに基づいて生成されたルータマップ情報例を示す図である。ルータマップ情報から、例えば、ネットワーク172.16.10.0/24からネットワーク172.16.30.0/24に至る経路にはルータ1→3(ID1→ID3)を経由する経路(そのコストはコスト1−3)とルータ1→2→3(ID1→ID2→ID3)を経由する経路(そのコストはコスト1−2とコスト2−3の和)との二つの経路が存在すること、がわかる。ノードのIPアドレスが既知なのでノードを内包するネットワークアドレスもわかるから、ルータマップ情報から2台のノードの間にあるルータの台数及びコストを知ることができる。尚、OSPFの詳細については「R.Halhotra著、清水奨訳、入門IPルーティング、オライリージャパン、2002/8」の第6章を参照されたい。
【0083】
ノード1における不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131は、通信部11を介して、ルータが同報送信するLSAを受信することにより、ルータの配置、ネットワークアドレス及びコスト情報を取得し、OSPF対応ルータと同等のルータマップ情報を生成することができる。この場合、OSPF対応ルータに、生成したルータマップ情報をノードへ送信する機能を持たせることにより、ノード1のネットワーク経路情報取得手段131がルータマップ情報を取得してもよい。
【0084】
このルータマップ情報は、図7に示した実施例2のASマップに対応し、実施例3のルータは実施例2のASに対応する。つまり、実施例3のネットワーク経路情報取得手段131は、実施例2のネットワーク経路情報取得手段131と同様の処理を行う。
【0085】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数及びコスト)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0086】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるルータ台数と所定のしきい値とを比較し、ルータ台数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。また、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるコストである回線の速度と所定のしきい値とを比較し、回線の速度が所定のしきい値よりも小さいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのルータ台数またはコストも含めて平均的なルータ台数またはコストを算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、ルータ台数またはコストのばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0087】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0088】
以上のように、実施例3のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、OSPFに用いるLSAに基づいて、ルータの配置、ルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得してルータマップ情報を生成し、または、ルータからルータマップ情報を取得してそのルータマップ情報を分析することにより、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数またはコストを示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、ルータ台数の多いリンクまたはコストの高い(回線速度の遅い)リンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンクから不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0089】
これにより、実施例1,2と同様に、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの付加を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0090】
尚、実施例3においても、実施例2にて説明した他の手法を用いることができる。ノード1の不通リンク決定部13における不通リンク決定手段132は、実施例2の他の手法と同様に、ルータマップ情報に基づいて、同一または類似した経路を通る候補リンクが複数存在することを判定した場合、複数の候補リンクのうちの一部のリンクを不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、不通リンク決定手段132は、実施例2の他の手法と同様に、ルータマップ情報に基づいて、経路を共通しないパスの構成リンクだけを候補リンクとし、それ以外のリンクを伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、伝送アプリケーションに対し、例えば、ノード1→3とノード1→2→3の両パスを最適パスとして提示し、伝送アプリケーションには同時に両パスを使って伝送させることにより、両パスの利用可能帯域を合わせて伝送性能を向上させることができる。
【0091】
前述の実施例1〜3では、メッシュ型ネットワーク100の全ノード1〜4が、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測し、結果パケットに格納して他のノード1〜4へ送信することにより、その計測結果をお互いに交換し、それぞれ最適パスを決定するようにした。これに対し、全てのノード1〜4がそれぞれ最適パスを決定するのではなく、所定の1台の経路計算ノードに、最適パスを決定させるようにしてもよい。例えば、各ノード1〜4は、隣接リンクの利用可能帯域を計測し、その計測結果を結果パケットに格納し、経路計算ノードへ送信する。経路計算ノードは、結果パケットを受信し、実施例1〜3の不通リンク決定部13と同様の処理を行って不通リンクを決定し、最適パス決定部16と同様の処理を行って最適パスを決定する。各ノード1〜4は、経路計算ノードに対し、不通リンク及び最適パスの問い合わせを行う。
【実施例4】
【0092】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、前述のとおり、実施例1〜3のいずれかの例に加え、隣接リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。
【0093】
図9は、実施例4のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、相互に接続された複数のノード21〜24等により、網目状に構成されている。実施例5も同様である。
【0094】
〔ノードの処理概要/実施例4〕
図10は、図9に示したノード21の処理概要を示すフローチャートである。ノード22〜24もノード21と同じ処理を行う。実施例5も同様である。
【0095】
ノード21は、ノード22〜24からプローブパケットをそれぞれ受信した場合(ステップS91:Y)、隣接リンクの利用可能帯域(帯域2−1,3−1,4−1)をそれぞれ計測する(ステップS901)。利用可能帯域を計測した隣接リンクが候補リンクとなる。
【0096】
ノード21は、不通リンクの更新タイミングを判定すると(ステップS92:Y)、実施例1〜3のうちのいずれかにより、ネットワーク経路情報を取得する(ステップS902)。更新タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。そして、ノード21は、ネットワーク経路情報に基づいて不通リンクを決定し(ステップS903)、不通リンクを候補リンク(リンク2−1,3−1,4−1)から除外する(ステップS904)。図9の例は、不通リンクが存在しない場合を示している。
【0097】
ノード21は、プローブパケットの送信タイミングを判定すると(ステップS93:Y)、ノード22〜24において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットに、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納し(ステップS905)、このプローブパケットをノード22〜24へ送信する(ステップS906)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。
【0098】
ノード21は、最適パスを決定するタイミングを判定すると(ステップS94:Y)、自ノード21において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード22〜24において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定する(ステップS907)。
【0099】
〔ノードの構成/実施例4〕
次に、図9に示したノード21の構成について説明する。図11は、ノード21の構成を示すブロック図である。このノード21は、通信部11、プローブパケット処理部31、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている。図11において、図3に示したノード1の構成と共通する部分には図3と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。図3に示したノード1とこのノード21とを比較すると、ノード1,21は、通信部11、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている点で同一であるが、ノード21は、結果パケット処理部15を備えておらず、ノード1のプローブパケット処理部12とは異なるプローブパケット処理部31を備えている点で相違する。
【0100】
プローブパケット処理部31は、プローブパケットの送信タイミングにおいて、ノード22〜24において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを生成すると共に、記憶部17から自ノード帯域情報(自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、この自ノード帯域情報をプローブパケットに格納し、このプローブパケットを、通信部11を介してノード22〜24へ送信する。また、プローブパケット処理部31は、ノード22〜24から通信部11を介して、プローブパケットを受信し、プローブパケットの受信間隔を算出し、受信間隔等の情報をプローブパケット受信情報として帯域計測部14に出力する。そして、受信したプローブパケットから、他ノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得し、他ノード帯域情報として記憶部17に格納する。また、プローブパケット処理部31は、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止する。
【0101】
以上のように、実施例4のノード21によれば、プローブパケット処理部31が、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納したプローブパケットを送信し、他ノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納されたプローブパケットを受信するようにした。
【0102】
これにより、隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットと、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を含む結果パケットとを別々に送受信することなく、帯域計測を行い、かつ計測結果を交換するためのプローブパケットのみを送受信する。したがって、帯域計測及び計測結果交換を同時に行いながら、ネットワークへのパケット送出総量を削減することができる。したがって、実施例1の効果に加え、前記課題(2)を解決することができる。
【0103】
尚、ノード21のプローブパケット処理部31は、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域(具体的には、リンクの識別子(例えば、事前に各リンクに付与したユニークな識別子、リンクの両端のノードのIPアドレスを組にした識別子)及びそのリンクの利用可能帯域の計測結果)をプローブパケットに格納するようにしたが、その格納形式は限定されない。
【実施例5】
【0104】
次に、実施例5について説明する。実施例5は、前述のとおり、実施例4の拡張例であり、隣接リンクの利用可能帯域の属性をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。
【0105】
〔ノードの処理概要/実施例5〕
実施例5のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図9に示した構成と同様である。また、実施例5のノード21は、図10に示した実施例4の処理、すなわち、ステップS91〜ステップS94及びステップS901〜ステップS907の処理に加え、ステップS905とステップS906との間に、隣接リンクの利用可能帯域の属性を生成し、この属性をプローブパケットに格納する処理を行う。ステップS91〜ステップS94及びステップS901〜ステップS907の説明については省略する。
【0106】
〔ノードの構成/実施例5〕
次に、実施例5におけるノード21の構成について説明する。実施例5におけるノード21の構成は、図11に示した実施例4の構成と同じであるが、実施例5におけるノード21のプローブパケット処理部31及び最適パス決定部16が、実施例4のプローブパケット処理部31及び最適パス決定部16とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、不通リンク決定部13、帯域計測部14及び記憶部17の説明については省略する。
【0107】
プローブパケット処理部31は、実施例4に示した処理に加え、記憶部17から自ノード帯域情報を読み出し、利用可能帯域を計測する計測結果である自ノード帯域情報に対し、読み出す毎に統計処理し、計測結果の信頼性(例えば、しきい値と比較することにより得られる、計測結果のばらつきが大きいか小さいかを示す情報)または安定性(例えば、しきい値と比較することにより得られる、計測結果が長期的にほぼ同一の値を示しているかを示す情報)を属性として生成する。そして、プローブパケット処理部31は、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に加え、生成した属性をプローブパケットに格納し、ノード22〜24へ送信する。また、プローブパケット処理部31は、ノード22〜24により送信されたプローブパケットを受信し、このプローブパケットから属性を取得し、最適パス決定部16に出力する。
【0108】
最適パス決定部16は、記憶部17から自ノード帯域情報及び他ノード帯域情報(ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及びノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、プローブパケット処理部31から属性(計測結果の信頼性または安定性)を入力し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域及び属性に基づいて、最適パスを決定する。すなわち、信頼性または安定性が高いリンクを優先的に扱い、最適パスを決定する。例えば、同じ利用可能帯域のリンクが複数存在する場合、信頼性または安定性が高い方のリンクを、最適パスのリンクとなるように扱う。
【0109】
尚、属性には、計測結果が得られた時刻(計測時刻)を含むようにしてもよい。この場合、最適パス決定部16は、計測時刻が新しいリンクを優先的に扱い、最適パスを決定する。例えば、同じ利用可能帯域のリンクが複数存在する場合、計測時刻が新しい方のリンクを、最適パスのリンクとなるように扱う。また、属性には、伝送遅延等の情報を含むようにしてもよく、これらの情報は、最適パスの決定の際に用いられる。
【0110】
図12は、実施例4,5におけるプローブパケットの構成例を示す図である。図13に示したように、従来のプローブパケットは、先頭のヘッダ部分を除いて、ダミーデータにて構成されている。これに対し、図12に示す実施例4,5におけるプローブパケットは、従来のプローブパケットと同じヘッダと、当該プローブパケットを送信するノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、帯域計測結果である利用可能帯域、及び属性を含むペイロードとにより構成される。残りのペイロード部にはダミーデータが格納される。図12では、1つの隣接リンク毎に、リンクの識別子としてのリンクの相手ノードのIPアドレス(IPヘッダのSource Addressと併せてリンクを一意に識別可能なIPアドレス)、リンクの帯域計測結果である利用可能帯域、及びリンクの属性を組としている。ここではリンクの帯域計測結果である利用可能帯域、リンクの属性のデータ長は8バイトとした。尚、隣接リンクの数が少ない場合は、残りの部分にダミーデータが格納され、隣接リンクの数が多い場合は、ペイロード部の情報が複数のプローブパケットに分けて格納される。尚、実施例4では、図12に示したプローブパケットのペイロード部に、ノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、及び帯域計測結果である利用可能帯域が格納され、実施例5では、ノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、帯域計測結果である利用可能帯域、及び属性が格納される。
【0111】
以上のように、実施例5のノード21によれば、プローブパケット処理部31が、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に加えて、その属性(例えば、計測した利用可能帯域の信頼性または安定性を数値化した情報)もプローブパケットに格納して送信し、他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域及び属性が格納されたプローブパケットを受信するようにした。そして、最適パス決定部16が、属性を参照して最適パスを決定するようにした。
【0112】
これにより、リンクの信頼性または安定性の高いリンクを有するパスが最適パスに決定される可能性が高くなる。したがって、実施例4の効果に加え、決定される最適パスの精度が高くなる。
【0113】
以上、実施例1〜5を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1〜5に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施例1〜5では、メッシュ型ネットワーク100を前提として説明したが、メッシュ型ネットワーク100には、オーバーレイ技術による論理ネットワークも含まれる。また、前記実施例1〜5では、パケットペア法を用いて利用可能帯域を計測することを想定して説明したが、本発明は、プローブパケットを用いる計測手法一般に適用可能であり、計測手法を限定するものではない。
【0114】
尚、本発明の実施例1〜5によるノード1〜4,21〜24のハード構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。ノード1〜4,21〜24は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。実施例1〜3のノード1〜4に備えた通信部11、プローブパケット処理部12、不通リンク決定部13、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、実施例4,5のノード21〜24に備えた通信部11、プローブパケット処理部31、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0115】
1〜4,21〜24,101〜104 ノード
11 通信部
12 プローブパケット処理部
13 不通リンク決定部
14 帯域計測部
15 結果パケット処理部
16 最適パス決定部
17 記憶部
31 プローブパケット処理部
100 メッシュ型ネットワーク
131 ネットワーク経路情報取得手段
132 不通リンク決定手段
【技術分野】
【0001】
メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間のリンクの利用可能帯域を計測し、この計測結果から最適な伝送パス(最適パス)を動的に決定するノード装置、最適パス決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュ型ネットワークは、3つ以上のノードがそれぞれ相互に接続され、網目状に構成された伝送路をいう。メッシュ型ネットワークでは、2つのノード間の伝送経路は、その2つのノードを直接繋ぐ最短パスの経路だけではなく、他のノードを経由して繋ぐ迂回パスの経路も存在する。このため、2つのノード間の伝送経路に障害が発生した場合であっても、他のノードを経由する迂回パスによって、伝送を継続することができる。このメッシュ型ネットワークにおいては、ノード間のリンクが局所的に混雑することによって、最短パスよりも迂回パスの利用可能帯域の方が広くなる場合がある。
【0003】
以下、「リンク」は、2つの(オーバーレイ)ノードを直接結ぶ経路をいい、「パス」は、2つの(オーバーレイ)ノードを結ぶ経路一般(途中に他のノードを経由する経路を含む)をいう。また、事業者により素材映像伝送を実現するメッシュ型ネットワークのシステムにおいて、メッシュ型ネットワークを構成するノードは、全て管理者によって管理されており(アドレスが既知であり)、ノードが頻繁に参加または離脱することはないものとする。
【0004】
従来、ネットワークにおけるノード間の最適パスを決定する手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の手法は、ネットワーク全体の処理負荷の低減を考慮して、ノード間伝送路の負荷情報に基づいてノードのグルーピングを行い、受信するデータに基づいてトラフィック情報(利用可能帯域)を計測し、トラフィック情報に基づいて最適パスを決定するものである。
【0005】
この利用可能帯域を計測する手法として、例えば、パケットペア法が知られている。図14は、パケットペア法による利用可能帯域の計測手法について説明する図である。図14を用いて、ノード101からノード102までの間のリンク1−2の帯域(利用可能帯域)1−2を計測する手法について簡単に説明する。ノード101からノード102までの間のリンクに、帯域Wのボトルネックが存在するものとする。起点のノード101は、充分に短い時間間隔Tで、パケット長Lのプローブパケットを連続的に終点のノード102へ送信する。リンク1−2におけるいずれかのパス上で他のトラフィックの影響を受けない場合には、終点のノード102は、ノード101から送信されたプローブパケットを、時間間隔T’=L/Wで受信する。したがって、ノード102は、受信するプローブパケットの時間間隔を算出することにより、ボトルネックの帯域(利用可能帯域)Wを計測することができる。実際には、計測を繰り返した結果を統計的に処理することにより、他のトラフィックの影響を排除した利用可能帯域が推定される。
【0006】
図13は、図14に示したパケットペア法に用いるプローブパケットの構成を示す図である。図13に示すように、プローブパケットは、Version(バージョン)、Header Length(ヘッダ長)等のヘッダと、ダミーデータが格納されたペイロードとにより構成される。パケットペア法においては、プローブパケット長が長い場合は計測精度が向上するから、プローブパケット長を、IPネットワークのMTU(Maximum Transmission Unit:最大転送単位)として一般的な1500バイトに固定することが多い。このため、プローブパケットは、先頭のIPヘッダ部分を除いて、ダミーデータにより構成される。
【0007】
図15は、従来のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、相互に接続された複数のノード101〜104等により、網目状に構成されている。ノード101は、プローブパケットをノード102〜104へ送信し、ノード102〜104もプローブパケットを他のノード101〜104へ送信する。ノード101は、プローブパケットをノード102〜104からそれぞれ受信すると、隣接リンクの利用可能帯域(ノード102からノード101までの間のリンク2−1の帯域2−1、ノード103からノード101までの間のリンク3−1の帯域3−1、ノード104からノード101までの間のリンク4−1の帯域4−1)を、前述のパケットペア法によりそれぞれ計測し、結果パケットに格納してノード102〜104へ送信する。ノード102〜104も、プローブパケットを受信すると、隣接リンクの利用可能帯域をそれぞれ計測し、結果パケットに格納して他のノード101〜104へ送信する。
【0008】
そして、ノード101〜104は、他のノード101〜104において計測された隣接リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、全てのリンクの利用可能帯域を取得する。そして、取得した全リンクの利用可能帯域に基づいて最適パスを決定する。図15に示すように、ノード103は、全リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード101からノード103までの間の最適パスを決定する際に、ノード101からノード103までの間のパスを構成するリンクの組み合わせを求め、その組み合わせ毎にリンクの帯域の最小値が最も大きいリンクの組み合わせを最適パスとして決定する。例えば、パスを構成するリンクの組み合わせとしてリンク1−3、リンク1−2,2−3、リンク1−4,4−3、リンク1−4,4−2,2−3、及びリンク1−2,2−4,4−3が存在し、それぞれのリンクの帯域が、(帯域1−2<帯域2−3、帯域2−4、帯域4−3)、(帯域1−4<帯域2−3、帯域4−2、帯域4−3)、(帯域1−2<帯域1−4<帯域1−3)の関係にある場合、リンク1−3を最適パスとして決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−153978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図15に示した従来のノード101〜104を含むメッシュ型ネットワーク100では、以下の問題があった(課題(1)(2))。
【0011】
〔課題(1)〕
従来のメッシュ型ネットワーク100では、ノードがn台の場合、利用可能帯域を計測する計測対象となるリンク(以下、候補リンクという。)の総数がn(n−1)であり、nの増加に従って、n2のオーダーで増大する。候補リンク数の増加は、プローブパケットの送出量と計測結果を交換する結果パケットの送出量の増大につながり、メッシュ型ネットワーク100への負荷を増加させる。また、候補リンクが多数存在すると、候補リンクから最適パスを決定する処理(例えば、総当たり法による全リンクの利用可能帯域の計算及び比較処理、並びにダイクストラ法による最適パスの決定処理)の計算量も増大する。
【0012】
〔課題(2)/付加的な課題〕
また、従来のメッシュ型ネットワーク100では、隣接リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測が行われ、そして、計測結果を交換するために、それぞれ別のパケット(帯域計測のときはプローブパケット、計測結果を交換するときは結果パケット)が送受信されるため、メッシュ型ネットワーク100へのデータ送信量が増大する。また、前述のとおり、プローブパケットは、計測精度の向上を図るために、MTUとほぼ等しい固定長に設定されることが多く、メッシュ型ネットワーク100に与える負荷が大きいにも関わらず、そのペイロード部分はダミーデータのみで構成され、有効に使用されていない。
【0013】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード装置間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減可能なノード装置、最適パス決定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った。その結果、各ノード装置において、メッシュ型ネットワークの経路情報を分析し、分析結果(例えば、ping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムの実行により得られるRTT(Round Trip Time:ラウンドトリップ時間)または経由ルータ台数、BGP(Border Gateway Protocol)またはOSPF(Open Shortest Path First)等の経路制御プロトコルにて送受信されるメッセージの分析により得られる経由AS数/経由ルータ台数またはコスト)に基づいて、伝送性能が劣ると予想される候補リンクを計測対象から除外し、最適パスの決定に際してその候補リンクを不通リンクとして扱う、いわゆる候補リンクの足切りを行うことを見出した。
【0015】
これにより、伝送性能が劣ると予想される候補リンクは、最適パスに含まれるリンクにはなり得ないから、利用可能帯域の計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができる。
【0016】
また、本発明者らは、各ノード装置において、計測した隣接リンクの利用可能帯域を、帯域計測に用いるプローブパケットに格納して送信することを見出した。
【0017】
これにより、各ノード装置は、プローブパケットとは別に、計測結果の利用可能帯域を送信する必要がなく、帯域計測と計測結果の交換とをプローブパケットによって同時に実現することができる。最適パスを決定するノード装置は、他のノード装置から送られてくるプローブパケットを受信することにより、隣接リンクの利用可能帯域を計測することができ、同時に、プローブパケットに格納された利用可能帯域を取得することができる。つまり、プローブパケットを受信し、自ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域の計測と、他のノード装置における隣接リンクの利用可能帯域の取得とを同時に行うことにより、メッシュ型ネットワークにおいて送受信されるパケットの量を減らし、ネットワーク負荷を一層低減することができる。したがって、前記課題(2)を解決することができる。
【0018】
すなわち、本発明によるノード装置は、複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定するノード装置において、当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するネットワーク経路情報取得手段、及び、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断し、前記リンクを不通リンクとして決定する不通リンク決定手段を有する不通リンク決定部と、当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測部と、前記帯域計測部により計測された、前記不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信し、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する結果パケット処理部と、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、前記結果パケット処理部により取得された他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定する最適パス決定部と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークを管理するために用いるping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムを実行し、この実行結果に基づいて、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはRTT(Round Trip Time)をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークの経路を制御するためのBGP(Border Gateway Protocol)に用いるBGPメッセージのAS(Autonomous System)−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、他のノード装置を内包するASを始点として送信され、当該ノード装置を内包するASへ送信されたBGPメッセージを選定し、前記選定したBGPメッセージのAS−PATH属性に含まれるAS番号から、当該ノードと他のノードとの間のAS数をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるノード装置は、前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段が、ネットワークの経路を制御するためのOSPF(Open Shortest Path First)に用いる広告メッセージに基づいて、当該メッセージが送信されたルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得し、前記ネットワークアドレス及びコスト情報から、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはコスト情報をネットワーク経路情報として取得し、前記不通リンク決定手段が、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明によるノード装置は、前記結果パケット処理部の代わりにプローブパケット処理部を備え、前記プローブパケット処理部が、当該ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを他のノード装置から受信し、他のノード装置において隣接リンクの利用可能帯域を計測させるためのプローブパケットに、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納し、前記プローブパケットを他のノード装置へ送信することを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明による最適パス決定方法は、複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定する方法において、当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するステップと、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断するステップと、前記伝送性能が劣ると判断したリンクを不通リンクとして決定するステップと、当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測するステップと、前記計測した、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を、結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信するステップと、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得するステップと、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定するステップと、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による最適パス決定プログラムは、コンピュータを、前記ノード装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード装置間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【図2】実施例1におけるノードの処理概要を示すフローチャートである。
【図3】実施例1におけるノードの構成を示すブロック図である。
【図4】pingプログラムの実行結果例を示す図である。
【図5】tracerouteプログラムの実行結果例を示す図である。
【図6】BGPメッセージの例を示す図である。
【図7】BGPメッセージに基づいて作成された経路マップ(ASマップ)例を示す図である。
【図8】OSPFのLSAに基づいて作成されたルータマップ情報例を示す図である。
【図9】実施例4のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【図10】実施例4におけるノードの処理概要を示すフローチャートである。
【図11】実施例4におけるノードの構成を示すブロック図である。
【図12】実施例4,5におけるプローブパケットの構成例を示す図である。
【図13】従来のプローブパケットの構成を示す図である。
【図14】パケットペア法による利用可能帯域の計測手法について説明する図である。
【図15】従来のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード(ノード装置)間の最適パスを決定する際の候補リンクを削減することを特徴とする。実施例1は、IPネットワーク管理用のping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムの実行結果を用いてネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例2は、経路制御用のBGPに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例3は、経路制御用のOSPFに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例4は、実施例1〜3のいずれかの例に加え、隣接リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。実施例5は、実施例4の拡張例であり、隣接リンクの利用可能帯域の属性もプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。実施例1〜3により、前記課題(1)を解決することができる。また、実施例4,5により、前記課題(1)に加え、課題(2)を解決することができる。ここで、ネットワーク経路情報は、経路の伝送性能を判定する際に用いる情報である。
【実施例1】
【0028】
まず、実施例1について説明する。実施例1は、前述のとおり、IPネットワーク管理用のpingプログラムまたはtracerouteプログラムの実行結果を用いてネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例1は、IPネットワーク上でオーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0029】
図1は、実施例1のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、例えばインターネットであり、相互に接続された複数のノード1〜4等により、網目状に構成されている。後述する実施例2,3においても同様である。
【0030】
〔ノードの処理概要/実施例1〕
図2は、図1に示したノード1の処理概要を示すフローチャートである。ノード2〜4もノード1と同じ処理を行う。この処理は、例えば、ノード1〜4間で映像データを送受信する際に、利用可能帯域を計測し、最適パスを決定し、決定した最適パスにて映像データを送受信するものである。後述する実施例2,3においても同様である。
【0031】
ノード1は、プローブパケットの送信タイミングを判定すると(ステップS21:Y)、ノード2〜4において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットをノード2〜4へ送信する(ステップS201)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔であり、プローブパケットは、メッシュ型ネットワーク100の状態変化に対応するために、定期的に送信される。
【0032】
ノード1は、ノード2〜4からプローブパケットをそれぞれ受信した場合(ステップS22:Y)、図14に示したように、プローブパケットの受信間隔を算出することにより、隣接リンクの利用可能帯域(ノード2からノード1までの間のリンク2−1の帯域2−1、ノード3からノード1までの間のリンク3−1の帯域3−1、ノード4からノード1までの間のリンク4−1の帯域4−1)をそれぞれ計測する(ステップS202)。利用可能帯域を計測した隣接リンクが候補リンクとなる。この場合、ノード1は、ノード2〜4から送信されるプローブパケットを定期的に受信する。
【0033】
ノード1は、不通リンクの更新タイミングを判定すると(ステップS23:Y)、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを実行し、実行結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTTを示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。更新タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。そして、ノード1は、ネットワーク経路情報に基づいて不通リンクを決定し(ステップS204)、候補リンク(リンク2−1,3−1,4−1)から不通リンクを除外する(ステップS205)。図1に示すように、例えば、ノード1は、ネットワーク経路情報に基づいて、リンク2−1が不通リンクであると決定し、候補リンクから不通リンク2−1を除外する。
【0034】
ノード1は、結果パケットの送信タイミングを判定すると(ステップS24:Y)、前述の例では、不通リンク2−1を除外した候補リンク3−1,4−1の利用可能帯域(帯域3−1,4−1)を結果パケットに格納し、結果パケットをノード2〜4へ送信する(ステップS206)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。これにより、ノード2〜4は、結果パケットを受信し、結果パケットから、ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得することができる。
【0035】
ノード1は、結果パケットをノード2〜4からそれぞれ受信した場合(ステップS25:Y)、受信した結果パケットから、他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する(ステップS207)。
【0036】
ノード1は、最適パスを決定するタイミングを判定すると(ステップS26:Y)、自ノード1において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、例えば前述した手法により、最適パスを決定する(ステップS208)。
【0037】
図1に示すように、ノード2は、リンク1−2が不通リンクであると決定し、ノード4は、リンク3−4が不通リンクであると決定する。この場合、例えばノード3は、ノード1,2,4から、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する。そして、ノード3は、全リンクのうちの不通リンク2−1,1−2,1−4,2−4,3−4を除外した候補リンク1−3,2−3,4−3,3−1,4−1,4−2,3−2に基づいて、最適パスを決定する。
【0038】
〔ノードの構成/実施例1〕
次に、図1に示したノード1の構成について説明する。図3は、ノード1の構成を示すブロック図である。このノード1は、通信部11、プローブパケット処理部12、不通リンク決定部13、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている。
【0039】
ノード1の通信部11は、メッシュ型ネットワーク100に対してプローブパケット及び結果パケットの送受信を行う。また、後述するpingプログラム及びtracerouteプログラムの実行に伴って、各種メッセージの送受信を行う。
【0040】
プローブパケット処理部12は、プローブパケットの送信タイミングにおいて、ノード2〜4において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを生成し、このプローブパケットを、通信部11を介してノード2〜4へ送信する。また、プローブパケット処理部12は、ノード2〜4から通信部11を介して、プローブパケットを受信し、プローブパケットの受信間隔を算出し、受信間隔等の情報をプローブパケット受信情報として帯域計測部14に出力する。また、プローブパケット処理部12は、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止する。尚、プローブパケット処理部12は、後述する記憶部17から、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である自ノード帯域情報を読み出し、この自ノード帯域情報に基づいて不通リンクを特定し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止するようにしてもよい。この場合、不通リンクの利用可能帯域にはデータが格納されていない。
【0041】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、メモリ(図示せず)からpingプログラムを読み出して実行し、通信部11を介してメッセージの送受信を行い、プログラム実行結果として、相手ノード2〜4までの間に存在するルータの台数及び相手ノード2〜4までのRTTを取得する。または、ネットワーク経路情報取得手段131は、メモリからtracerouteプログラムを読み出して実行し、通信部11を介してメッセージの送受信を行い、プログラム実行結果として、相手ノード2〜4までの間に存在するルータのIPアドレス及びルータ(相手ノード2〜4を含む)までのRTTを取得し、ルータのIPアドレスの数からルータ台数を算出し、相手ノード2〜4までのRTTを取得する。ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータ台数及びRTTをネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0042】
pingプログラムは、IPネットワークの管理のために一般的に用いられ、インターネット、イントラネット等のTCP/IPネットワークを診断するプログラムである。相手ノードのIPアドレスを指定することにより、ICMP(Internet Control Message Protocol)を使って所定量のデータを送信し、相手ノードから返信があるか否か、返信がある場合はその返信時間等によって、ネットワークを診断する。このプログラムにより、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数及び自ノードから相手ノードまでのRTTを取得することができる。ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレスを指定してpingプログラムを実行し、実行結果として、ルータ台数及びRTTを取得する。
【0043】
図4は、pingプログラムの実行結果例を示す図である。(尚、図4では実際には使われていないIPアドレスを記載している。)図4に示すように、ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレス「192.168.0.1」を指定してpingプログラムを実行した結果、1回目のシーケンス(icmp_seq=0)の結果が、ルータ台数が18(ttl(time to live)=237であるから、255−237=18)、RTTが9.954ms(time=9.954ms)であり、2〜11回目のシーケンスの結果を合わせて、RTTの最小値、平均値、最大値及び平均偏差値(7.369/8.707/・・・ms)を取得する。このように、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数(図4の場合、17台)、及び自ノードから相手ノードまでのRTT(図4の場合、平均値8.707ms)を取得する。
【0044】
一方、tracerouteプログラムも、IPネットワークの管理のために一般的に用いられ、目的のホストまでの経由ルータを一覧するためのプログラムである。このプログラムにより、自ノードと相手ノードとの間に存在するルータのIPアドレス及び自ノードから各ルータ(相手ノードを含む)までのRTTを取得することができる。ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレスを指定してtracerouteプログラムを実行し、実行結果として、ルータのIPアドレス及び各ルータ(相手ノードを含む)までのRTTを取得する。
【0045】
図5は、tracerouteプログラムの実行結果例を示す図である。(尚、図5では実際には使われていないIPアドレスを記載している。)図5に示すように、ネットワーク経路情報取得手段131は、相手ノードのIPアドレス「192.168.0.1」を指定してtracerouteプログラムを実行した結果、相手ノードとの間に存在する各ルータの番号(2〜18)、各ルータのIPアドレス(172.31.254.254,・・・)、各ルータ(相手ノードを含む)までのRTT(0.508ms,・・・,7.284ms)を取得する。図5において、左端の「2」から「18」までの各行の情報が各ルータに関する情報であり、「1」の情報が自ノードに関する情報であり、「19」の情報が相手ノードに関する情報である。このように、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノードと相手ノードとの間に存在するルータのIPアドレス(17台のルータのIPアドレス172.31.254.254,・・・)、及び自ノードから各ルータ(相手ノードを含む)までのRTT(0.508ms,・・・,7.284ms)を取得する。そして、ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータのIPアドレスの数から、自ノードと相手ノードとの間のルータ台数(図5の場合、17台)を算出し、相手ノードまでのRTT(例えば、「19」の情報における7.657ms,7.463ms,7.284msの平均値)を算出する。
【0046】
尚、pingプログラム及びtracerouteプログラムにより取得されるルータ台数及びRTT等は、長期的に変化する。そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを、所定周期にて適宜繰り返して実行する。
【0047】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4までの間のルータ台数、及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTT)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0048】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードまでの間のルータ台数と所定のしきい値とを比較し、ルータ台数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。または、相手ノードまでのRTTと所定のしきい値とを比較し、RTTが所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。これは、多数のルータを経由するリンク及びRTTの大きいリンクは、利用可能帯域が狭く伝送性能が劣る傾向にあるからである。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのルータ台数またはRTTも含めて平均的なルータ台数またはRTTを算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、ルータ台数またはRTTのばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0049】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、ネットワークの負荷、及び最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0050】
帯域計測部14は、プローブパケット処理部12からプローブパケット受信情報(ノード2〜4から送信されたプローブパケットの受信間隔等)を入力すると共に、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力する。帯域計測部14は、前述したとおり、プローブパケット受信情報における受信間隔等の情報に基づいて、ノード2〜4との間の隣接リンク(候補リンク2−1,3−1,4−1)の利用可能帯域を計測する。また、帯域計測部14は、候補リンク2−1,3−1,4−1から不通リンクを除外し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を自ノード帯域情報として記憶部17に格納する。尚、帯域計測部14は、計測した隣接リンク(候補リンク)の利用可能帯域を記憶部17に格納し、入力した不通リンク情報の示す不通リンクの利用可能帯域を記憶部17から削除するようにしてもよい。
【0051】
結果パケット処理部15は、記憶部17から自ノード帯域情報(自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出して結果パケットに格納し、この結果パケットを、通信部11を介してノード2〜4へ送信する。また、結果パケット処理部15は、ノード2〜4から通信部11を介して、結果パケットを受信し、結果パケットから、ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する。そして、結果パケット処理部15は、ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を他ノード帯域情報として記憶部17に格納する。これにより、記憶部17には、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である自ノード帯域情報、及びノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域である他ノード帯域情報が格納される。
【0052】
最適パス決定部16は、記憶部17から自ノード帯域情報及び他ノード帯域情報(自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及びノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、前述したとおり、最適パスを決定する。
【0053】
以上のように、実施例1のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、pingプログラムまたはtracerouteプログラムを実行して、自ノード1から相手ノード2〜4までの間のルータ台数、及び自ノード1から相手ノード2〜4までのRTTを示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、ルータ台数の多いリンクまたはRTTの大きいリンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンク2−1,3−1,4−1から不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0054】
これにより、不通リンクを除外した候補リンクから最適パスが決定されるから、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワーク100において、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【実施例2】
【0055】
次に、実施例2について説明する。実施例2は、前述のとおり、経路制御用のBGPに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例2は、インターネット上に配置したノード間でオーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0056】
〔ノードの処理概要/実施例2〕
実施例2のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図1に示した構成と同様である。また、実施例2のノード1は、図2に示した実施例1のステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208と同じ処理を行い、ステップS203とは異なる処理を行う。ステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208の説明については省略する。
【0057】
ノード1は、図2に示した実施例1のステップS203の代わりに、BGPに用いるメッセージを受信して分析し、分析結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間に存在するAS(Autonomous System:自律システム)の数を示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。
【0058】
〔ノードの構成/実施例2〕
次に、実施例2におけるノード1の構成について説明する。実施例2におけるノード1の構成は、図3に示した実施例1の構成と同じであるが、実施例2におけるノード1の不通リンク決定部13が、実施例1の不通リンク決定部13とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、プローブパケット処理部12、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の説明については省略する。
【0059】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、BGPに用いるメッセージを、通信部11を介して受信し、受信したメッセージを分析し、分析結果として、相手ノード2〜4までの間のAS数を取得する。ネットワーク経路情報取得手段131は、AS数をネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0060】
BGPは、インターネットを構成するISP(Internet Service Provider)ネットワーク間において、経路制御のためのメッセージをBGPルータ間で交換する経路制御プロトコルである。BGPでは、各ISPネットワークをASといい、それぞれのASにユニークな番号(AS番号)が付与されている。各ASのBGPルータは、自ASの内部に含むネットワークアドレスと自らのAS番号とを含むBGPメッセージを接続先ASのBGPルータへ送信する。接続先のBGPルータは、このBGPメッセージを受信すると、受信したBGPメッセージの先頭に自らのAS番号を追記し(これをAS−PATH属性という。)、他の接続先ASのBGPルータへ送信する。尚、BGPの詳細については「R.Halhotra著、清水奨訳、入門IPルーティング、オライリージャパン、2002/8」の第7章を参照されたい。
【0061】
ここで、ノード1は、AS−PATH属性を含むBGPメッセージを、ノード1を内包するASのBGPルータから受信することにより、取得することができる。また、一般に、インターネット上に存在するオーバーレイ伝送網を構成するノードのIPアドレスが既知であれば、後述するプログラムにより、そのノードを内包するAS番号も取得することができる。つまり、ノード1は、自ノードを内包するASのAS番号と、相手ノードを内包するASのAS番号を取得できる。
【0062】
そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノード1及び相手ノード2〜4のIPアドレスを指定して所定のプログラムを実行し、実行結果としてそのノード1〜4を含むそれぞれのASのAS番号を取得する。例えば、所定のプログラムとして「RADd、MERIT NETWORK INC.、ROUTING ASSETS DATABASE、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL:http://www.radb.net/>」のサービスを利用することができる。そして、ネットワーク経路情報取得手段131は、自ノード1を内包するASに到着するBGPメッセージを受信し、BGPメッセージからAS−PATH属性を取得し、そのAS−PATH属性が、相手ノードを内包するAS番号で始まると判断した場合、そのBGPメッセージから取得したAS−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、自ノード1と相手ノードとの間に存在するASを特定し、そのAS数を取得する。
【0063】
図6は、BGPメッセージの例を示す図である。BGPメッセージは、当該メッセージを生成した日時(DATE&TIME)、当該メッセージのタイプ(TYPE)、自ノードの隣のAS番号(SOURCE_AS)、ASのネットワークアドレス(PREFIX)及びAS−PATH属性(AS_PATH)により構成される。タイプにおいて、Bはある時刻における経路一覧、Aは経路の追加・更新、Wは経路の削除を示している。(尚、実際のBGPメッセージではAS番号として0〜65535の数が記述されるが、ここではAS番号を#Xのように記述している。)図6に示すBGPメッセージは、AS−#Rに内包される自ノードからAS−#Sに内包される相手ノード(ネットワークアドレスww.xx.y.z/16)との間に存在するAS数を取得することを目的として、AS−#Rにおいて観測されたBGPメッセージから、AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージを抜き出した一覧である。すなわち、図6に示すBGPメッセージは、ノード1の不通リンク決定部13におけるネットワーク経路情報取得手段131が、通信部11を介して受信したBGPメッセージのうち、AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージを抜き出した一覧である。
【0064】
図7は、図6に示したAS−PATH属性から生成された経路マップ(ASマップ)を示す図である。ネットワーク経路情報取得手段131は、図6に示したBGPメッセージ(AS−PATH属性がAS−#Sから始まるBGPメッセージ)を分析し、AS−#Rに内包される自ノード1とAS−#Sに内包される相手ノードとの間に存在するASのマップ(ASマップ)を、図7に示すように生成する。図7に示すように、自ノード1と相手ノードとの間には、AS−#B,#C,#D経由の第1の経路、AS−#T,#A経由の第2の経路、AS−#E,#T,#A経由の第3の経路、及びAS−#F,#G,#H経由の第4の経路の合計4つの経路が存在している。ネットワーク経路情報取得手段131は、BGPメッセージに含まれるAS−PATH属性から生成したASマップに基づいて、第1の経路の経由AS数3、第2の経路の経由AS数2、第3の経路の経由AS数3、及び第4の経路の経由AS数3を取得し、このうち最小のAS数をネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。なぜなら、BGPによる経路制御においては通常、経由AS数の最も少ない経路をパケットの実際の転送経路として採用するからである。
【0065】
尚、ASマップは、ISP間の接続の変更により変わることがあり得る。そこで、ネットワーク経路情報取得手段131は、所定周期にて適宜繰り返して、受信したBGPメッセージを分析しASマップを作成する。また、BGPメッセージの分析により生成されるASマップは、必ずしも実際のメッシュ型ネットワーク100の経路を反映していない場合もあり得る。そこで、ASマップの分析により一旦計測対象から外れた候補リンクに対しても、適宜計測を行い、その正当性を検証する。
【0066】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4との間の各リンクにおけるAS数)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0067】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるAS数と所定のしきい値とを比較し、AS数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。これは、多数のASを経由するリンクは、経由するルータ台数も多くて利用可能帯域が狭く、伝送性能が劣る傾向にあるからである。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのAS数も含めて平均的なAS数を算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、AS数のばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0068】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0069】
以上のように、実施例2のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、BGPメッセージを受信し、BGPメッセージに含まれるAS−PATH属性から、相手ノードを含むASの番号から始まるBGPメッセージを特定し、このBGPメッセージに含まれるAS−PATH属性を分析することにより、自ノード1と相手ノード2〜4との間のASマップを生成し、ASマップに基づいて、自ノード1と相手ノード2〜4との間の各リンクにおけるAS数を示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、AS数の多いリンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンクから不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0070】
これにより、実施例1と同様に、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの負荷を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0071】
尚、実施例2において、以下に示す他の手法を用いることができる。例えば、図1に示したメッシュ型ネットワーク100及び図7に示したASマップにおいて、前述の「RADd」のプログラムを実行することにより、ノード1がAS−#Rに、ノード2がAS−#Cに、ノード3がAS−#Sに、ノード4がAS−#Tに内包されることがわかったとする。このとき、ノード1→3への直接伝送のパスとノード1→4→3への迂回伝送のパスは、ASマップ上では同一の経路(AS−#R→#T→#A→#S)となる。このため、両パスの利用可能帯域の計測結果は似通った結果になると予測される。
【0072】
そこで、不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からASマップの情報を入力し、ASマップの情報に基づいて、同一または類似した経路を通る候補リンクが複数存在することを判定した場合、それらの複数の候補リンクのうちの一部のリンクを不通リンクに決定する。前記例の場合、不通リンク決定手段132は、ノード1→3への直接伝送のパス及びノード1→4→3の迂回伝送のパスのうちの例えば後者のパスを不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。
【0073】
また、例えば、図1に示したメッシュ型ネットワーク100及び図7に示したASマップにおいて、前述と同様に、ノード1がAS−#Rに、ノード2がAS−#Cに、ノード3がAS−#Sに、ノード4がAS−#Tに内包されるものとする。この場合、ノード1→3への直接伝送のパス(AS−#R→#T→#A→#S)と、ノード1→2→3の迂回伝送のパス(AS−#R→#B→#C→#D→#S)とは、ASマップ上で経路を共有しないから、ノード1→3への直接伝送とノード1→2→3の迂回伝送とは相互の干渉が少ないことが予想される。
【0074】
そこで、不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からASマップの情報を入力し、ASマップの情報に基づいて、経路を共通しないパスの構成リンクだけを候補リンクとし、それ以外のリンクを伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定する。前記例の場合、両パスの構成リンク(この場合はリンク1−3とリンク1−2とリンク2−3の3つ)以外のリンクは全て伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定し、伝送に利用するパスをこの2パスに限定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、ノード1において実行される伝送アプリケーションに対し、ノード1→3とノード1→2→3の両パスを最適パスとして提示し、伝送アプリケーションには同時に両パスを使って伝送させることにより、両パスの利用可能帯域を合わせて伝送性能を向上させることができる。
【0075】
前記実施例2では、ノード1〜4は、当該ノード1〜4をそれぞれ内包するASのBGPルータからBGPメッセージを受信するものとして説明した。ノード1〜4は、BGPルータからBGPメッセージを受信する代わりに、他のASで観測したBGPメッセージから、AS−PATH属性に自ノードと相手ノードのAS番号を含むBGPメッセージを抽出し(受信し)、それらのメッセージからASマップを作成するようにしてもよい。図7に示した例では、AS−#Tに内包されるノードとAS−#Sに内包されるノードとを結ぶリンクのネットワーク経路情報を取得する際に、AS−#Rで観測したBGPメッセージからAS−PATH属性に自ノードと相手ノードのAS番号を含むBGPメッセージを抽出し、ASマップを作成してもよい。この場合、ノード1〜4は、BGPメッセージの観測データを、所定のプログラムを実行することにより取得する。例えば、所定のプログラムとして「routeviewsプロジェクト、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL: http://www.routeviews.org/>」「routing information serviceプロジェクト、[平成22年4月22日検索]、インターネット<URL:http://www.ripe.net/projects/ris/index.html」のサービスを利用し、インターネットの各所で観測したBGPメッセージを蓄積して公開しているサイトから、BGPメッセージの観測データを取得することができる。
【実施例3】
【0076】
次に、実施例3について説明する。実施例3は、前述のとおり、経路制御用のOSPFに用いるメッセージを分析してネットワーク経路情報を取得し、候補リンクを削減する例である。実施例3は、ISPの内部ネットワーク、企業等の専用ネットワーク等において、オーバーレイ伝送網を構築する場合に適用がある。
【0077】
〔ノードの処理概要/実施例3〕
実施例3のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図1に示した構成と同様である。また、実施例3のノード1は、図2に示した実施例1のステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208と同じ処理を行い、ステップS203とは異なる処理を行う。ステップS21〜ステップS26、ステップS201、ステップS202、ステップS204〜ステップS208の説明については省略する。
【0078】
ノード1は、図2に示した実施例1のステップS203の代わりに、OSPFに用いるメッセージを受信して分析し、分析結果から、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数またはコスト(例えば、回線の速度)を示すネットワーク経路情報を取得する(ステップS203)。
【0079】
〔ノードの構成/実施例3〕
次に、実施例3におけるノード1の構成について説明する。実施例3におけるノード1の構成は、図3に示した実施例1の構成と同じであるが、実施例3におけるノード1の不通リンク決定部13が、実施例1の不通リンク決定部13とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、プローブパケット処理部12、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の説明については省略する。
【0080】
不通リンク決定部13は、ネットワーク経路情報取得手段131及び不通リンク決定手段132を備えている。ネットワーク経路情報取得手段131は、OSPFに用いるメッセージを、通信部11を介して受信し、受信したメッセージを分析し、分析結果として、相手ノード2〜4までの間のルータ台数またはコストを算出する。ネットワーク経路情報取得手段131は、ルータ台数またはコストをネットワーク経路情報として不通リンク決定手段132に出力する。
【0081】
OSPFは、小規模のIPネットワークを構成するルータ間において、経路制御のためのメッセージを交換する経路制御プロトコルである。OSPFでは、各ルータにユニークな番号(ルータID)が付与されている。各ルータは、自らのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、コスト情報及び自らのルータIDを含む広告メッセージ(LSA:Link State Advertisement)を、全てのネットワークインターフェースから同報送信する。また、LSAを受信したルータは、LSAを受信したネットワークインターフェースを除いた全てのネットワークインターフェースから、受信したLSAを再び同報送信する。各ルータは、他のルータが同報送信したLSAを受信することにより、ネットワーク上に存在するルータの配置、ルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報(例えば回線速度)を取得し、これらを反映したルータマップ情報を生成し、生成されたルータマップ情報に基づき実際のパケット転送経路を決定している。
【0082】
図8は、OSPFのLSAに基づいて生成されたルータマップ情報例を示す図である。ルータマップ情報から、例えば、ネットワーク172.16.10.0/24からネットワーク172.16.30.0/24に至る経路にはルータ1→3(ID1→ID3)を経由する経路(そのコストはコスト1−3)とルータ1→2→3(ID1→ID2→ID3)を経由する経路(そのコストはコスト1−2とコスト2−3の和)との二つの経路が存在すること、がわかる。ノードのIPアドレスが既知なのでノードを内包するネットワークアドレスもわかるから、ルータマップ情報から2台のノードの間にあるルータの台数及びコストを知ることができる。尚、OSPFの詳細については「R.Halhotra著、清水奨訳、入門IPルーティング、オライリージャパン、2002/8」の第6章を参照されたい。
【0083】
ノード1における不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131は、通信部11を介して、ルータが同報送信するLSAを受信することにより、ルータの配置、ネットワークアドレス及びコスト情報を取得し、OSPF対応ルータと同等のルータマップ情報を生成することができる。この場合、OSPF対応ルータに、生成したルータマップ情報をノードへ送信する機能を持たせることにより、ノード1のネットワーク経路情報取得手段131がルータマップ情報を取得してもよい。
【0084】
このルータマップ情報は、図7に示した実施例2のASマップに対応し、実施例3のルータは実施例2のASに対応する。つまり、実施例3のネットワーク経路情報取得手段131は、実施例2のネットワーク経路情報取得手段131と同様の処理を行う。
【0085】
不通リンク決定手段132は、ネットワーク経路情報取得手段131からネットワーク経路情報(自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数及びコスト)を入力し、ネットワーク経路情報に基づいて、所定のしきい値との比較演算等により、伝送性能が劣る候補リンクを判定し、判定した候補リンクを不通リンクとして特定する。
【0086】
例えば、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるルータ台数と所定のしきい値とを比較し、ルータ台数が所定のしきい値よりも大きいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。また、不通リンク決定手段132は、相手ノードとの間のリンクにおけるコストである回線の速度と所定のしきい値とを比較し、回線の速度が所定のしきい値よりも小さいと判断した場合、その相手ノードとの間のリンクは伝送性能が劣る候補リンクであると判定する。尚、不通リンク決定手段132は、他のリンクのルータ台数またはコストも含めて平均的なルータ台数またはコストを算出し、その大小関係により判断してもよいし、ネットワーク経路情報取得手段131により定期的に取得されたネットワーク経路情報を逐次入力し、ルータ台数またはコストのばらつきと所定のしきい値と比較し、ばらつきが大きいリンクは不安定であるとし、伝送性能が劣る候補リンクであると判定するようにしてもよい。
【0087】
そして、不通リンク決定手段132は、不通リンクに関する情報(不通リンク情報)をプローブパケット処理部12及び帯域計測部14に出力する。これにより、プローブパケット処理部12に、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止させることができ、その相手ノードに対し、隣接リンクの利用可能帯域の計測を行わせないようにすることができるから、最適パスを決定するための処理負荷を軽減することができる。
【0088】
以上のように、実施例3のノード1によれば、不通リンク決定部13のネットワーク経路情報取得手段131が、OSPFに用いるLSAに基づいて、ルータの配置、ルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得してルータマップ情報を生成し、または、ルータからルータマップ情報を取得してそのルータマップ情報を分析することにより、自ノード1と相手ノード2〜4との間のルータ台数またはコストを示すネットワーク経路情報を取得し、不通リンク決定手段132が、ネットワーク経路情報に基づいて、ルータ台数の多いリンクまたはコストの高い(回線速度の遅い)リンクを伝送性能が劣る不通リンクと判定するようにした。そして、帯域計測部14が、候補リンクから不通リンクを除外し、プローブパケット処理部12が、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止し、最適パス決定部16が、自ノード1における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定するようにした。
【0089】
これにより、実施例1,2と同様に、計測対象となる候補リンク数を削減することができる。そして、利用可能帯域を計測するために用いるプローブパケットの送出総量を削減し、ネットワークの付加を低減することができる。また、最適パスを決定するための計算量を削減することができる。したがって、前記課題(1)を解決することができ、メッシュ型ネットワークにおいて、ノード間の最適パスを決定するための処理負荷を軽減することが可能となる。
【0090】
尚、実施例3においても、実施例2にて説明した他の手法を用いることができる。ノード1の不通リンク決定部13における不通リンク決定手段132は、実施例2の他の手法と同様に、ルータマップ情報に基づいて、同一または類似した経路を通る候補リンクが複数存在することを判定した場合、複数の候補リンクのうちの一部のリンクを不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、不通リンク決定手段132は、実施例2の他の手法と同様に、ルータマップ情報に基づいて、経路を共通しないパスの構成リンクだけを候補リンクとし、それ以外のリンクを伝送性能が劣ると判断して不通リンクに決定する。これにより、ノード1の処理負荷及びメッシュ型ネットワーク100の負荷を軽減することができる。また、伝送アプリケーションに対し、例えば、ノード1→3とノード1→2→3の両パスを最適パスとして提示し、伝送アプリケーションには同時に両パスを使って伝送させることにより、両パスの利用可能帯域を合わせて伝送性能を向上させることができる。
【0091】
前述の実施例1〜3では、メッシュ型ネットワーク100の全ノード1〜4が、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測し、結果パケットに格納して他のノード1〜4へ送信することにより、その計測結果をお互いに交換し、それぞれ最適パスを決定するようにした。これに対し、全てのノード1〜4がそれぞれ最適パスを決定するのではなく、所定の1台の経路計算ノードに、最適パスを決定させるようにしてもよい。例えば、各ノード1〜4は、隣接リンクの利用可能帯域を計測し、その計測結果を結果パケットに格納し、経路計算ノードへ送信する。経路計算ノードは、結果パケットを受信し、実施例1〜3の不通リンク決定部13と同様の処理を行って不通リンクを決定し、最適パス決定部16と同様の処理を行って最適パスを決定する。各ノード1〜4は、経路計算ノードに対し、不通リンク及び最適パスの問い合わせを行う。
【実施例4】
【0092】
次に、実施例4について説明する。実施例4は、前述のとおり、実施例1〜3のいずれかの例に加え、隣接リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。
【0093】
図9は、実施例4のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成を示す概略図である。このメッシュ型ネットワーク100は、相互に接続された複数のノード21〜24等により、網目状に構成されている。実施例5も同様である。
【0094】
〔ノードの処理概要/実施例4〕
図10は、図9に示したノード21の処理概要を示すフローチャートである。ノード22〜24もノード21と同じ処理を行う。実施例5も同様である。
【0095】
ノード21は、ノード22〜24からプローブパケットをそれぞれ受信した場合(ステップS91:Y)、隣接リンクの利用可能帯域(帯域2−1,3−1,4−1)をそれぞれ計測する(ステップS901)。利用可能帯域を計測した隣接リンクが候補リンクとなる。
【0096】
ノード21は、不通リンクの更新タイミングを判定すると(ステップS92:Y)、実施例1〜3のうちのいずれかにより、ネットワーク経路情報を取得する(ステップS902)。更新タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。そして、ノード21は、ネットワーク経路情報に基づいて不通リンクを決定し(ステップS903)、不通リンクを候補リンク(リンク2−1,3−1,4−1)から除外する(ステップS904)。図9の例は、不通リンクが存在しない場合を示している。
【0097】
ノード21は、プローブパケットの送信タイミングを判定すると(ステップS93:Y)、ノード22〜24において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットに、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域をプローブパケットに格納し(ステップS905)、このプローブパケットをノード22〜24へ送信する(ステップS906)。送信タイミングは、例えば所定の時間間隔とする。
【0098】
ノード21は、最適パスを決定するタイミングを判定すると(ステップS94:Y)、自ノード21において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及び他ノード22〜24において不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に基づいて、最適パスを決定する(ステップS907)。
【0099】
〔ノードの構成/実施例4〕
次に、図9に示したノード21の構成について説明する。図11は、ノード21の構成を示すブロック図である。このノード21は、通信部11、プローブパケット処理部31、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている。図11において、図3に示したノード1の構成と共通する部分には図3と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。図3に示したノード1とこのノード21とを比較すると、ノード1,21は、通信部11、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17を備えている点で同一であるが、ノード21は、結果パケット処理部15を備えておらず、ノード1のプローブパケット処理部12とは異なるプローブパケット処理部31を備えている点で相違する。
【0100】
プローブパケット処理部31は、プローブパケットの送信タイミングにおいて、ノード22〜24において利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを生成すると共に、記憶部17から自ノード帯域情報(自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、この自ノード帯域情報をプローブパケットに格納し、このプローブパケットを、通信部11を介してノード22〜24へ送信する。また、プローブパケット処理部31は、ノード22〜24から通信部11を介して、プローブパケットを受信し、プローブパケットの受信間隔を算出し、受信間隔等の情報をプローブパケット受信情報として帯域計測部14に出力する。そして、受信したプローブパケットから、他ノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得し、他ノード帯域情報として記憶部17に格納する。また、プローブパケット処理部31は、不通リンク決定部13から不通リンク情報を入力し、不通リンクの相手ノードに対するプローブパケットの送信を停止する。
【0101】
以上のように、実施例4のノード21によれば、プローブパケット処理部31が、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納したプローブパケットを送信し、他ノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納されたプローブパケットを受信するようにした。
【0102】
これにより、隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットと、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を含む結果パケットとを別々に送受信することなく、帯域計測を行い、かつ計測結果を交換するためのプローブパケットのみを送受信する。したがって、帯域計測及び計測結果交換を同時に行いながら、ネットワークへのパケット送出総量を削減することができる。したがって、実施例1の効果に加え、前記課題(2)を解決することができる。
【0103】
尚、ノード21のプローブパケット処理部31は、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域(具体的には、リンクの識別子(例えば、事前に各リンクに付与したユニークな識別子、リンクの両端のノードのIPアドレスを組にした識別子)及びそのリンクの利用可能帯域の計測結果)をプローブパケットに格納するようにしたが、その格納形式は限定されない。
【実施例5】
【0104】
次に、実施例5について説明する。実施例5は、前述のとおり、実施例4の拡張例であり、隣接リンクの利用可能帯域の属性をプローブパケットに格納して送信し、ネットワークのパケット送出総量を削減する例である。
【0105】
〔ノードの処理概要/実施例5〕
実施例5のノードを含むメッシュ型ネットワークの構成は、図9に示した構成と同様である。また、実施例5のノード21は、図10に示した実施例4の処理、すなわち、ステップS91〜ステップS94及びステップS901〜ステップS907の処理に加え、ステップS905とステップS906との間に、隣接リンクの利用可能帯域の属性を生成し、この属性をプローブパケットに格納する処理を行う。ステップS91〜ステップS94及びステップS901〜ステップS907の説明については省略する。
【0106】
〔ノードの構成/実施例5〕
次に、実施例5におけるノード21の構成について説明する。実施例5におけるノード21の構成は、図11に示した実施例4の構成と同じであるが、実施例5におけるノード21のプローブパケット処理部31及び最適パス決定部16が、実施例4のプローブパケット処理部31及び最適パス決定部16とは異なる処理を行う点で相違する。通信部11、不通リンク決定部13、帯域計測部14及び記憶部17の説明については省略する。
【0107】
プローブパケット処理部31は、実施例4に示した処理に加え、記憶部17から自ノード帯域情報を読み出し、利用可能帯域を計測する計測結果である自ノード帯域情報に対し、読み出す毎に統計処理し、計測結果の信頼性(例えば、しきい値と比較することにより得られる、計測結果のばらつきが大きいか小さいかを示す情報)または安定性(例えば、しきい値と比較することにより得られる、計測結果が長期的にほぼ同一の値を示しているかを示す情報)を属性として生成する。そして、プローブパケット処理部31は、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に加え、生成した属性をプローブパケットに格納し、ノード22〜24へ送信する。また、プローブパケット処理部31は、ノード22〜24により送信されたプローブパケットを受信し、このプローブパケットから属性を取得し、最適パス決定部16に出力する。
【0108】
最適パス決定部16は、記憶部17から自ノード帯域情報及び他ノード帯域情報(ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域、及びノード22〜24における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域)を読み出し、プローブパケット処理部31から属性(計測結果の信頼性または安定性)を入力し、不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域及び属性に基づいて、最適パスを決定する。すなわち、信頼性または安定性が高いリンクを優先的に扱い、最適パスを決定する。例えば、同じ利用可能帯域のリンクが複数存在する場合、信頼性または安定性が高い方のリンクを、最適パスのリンクとなるように扱う。
【0109】
尚、属性には、計測結果が得られた時刻(計測時刻)を含むようにしてもよい。この場合、最適パス決定部16は、計測時刻が新しいリンクを優先的に扱い、最適パスを決定する。例えば、同じ利用可能帯域のリンクが複数存在する場合、計測時刻が新しい方のリンクを、最適パスのリンクとなるように扱う。また、属性には、伝送遅延等の情報を含むようにしてもよく、これらの情報は、最適パスの決定の際に用いられる。
【0110】
図12は、実施例4,5におけるプローブパケットの構成例を示す図である。図13に示したように、従来のプローブパケットは、先頭のヘッダ部分を除いて、ダミーデータにて構成されている。これに対し、図12に示す実施例4,5におけるプローブパケットは、従来のプローブパケットと同じヘッダと、当該プローブパケットを送信するノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、帯域計測結果である利用可能帯域、及び属性を含むペイロードとにより構成される。残りのペイロード部にはダミーデータが格納される。図12では、1つの隣接リンク毎に、リンクの識別子としてのリンクの相手ノードのIPアドレス(IPヘッダのSource Addressと併せてリンクを一意に識別可能なIPアドレス)、リンクの帯域計測結果である利用可能帯域、及びリンクの属性を組としている。ここではリンクの帯域計測結果である利用可能帯域、リンクの属性のデータ長は8バイトとした。尚、隣接リンクの数が少ない場合は、残りの部分にダミーデータが格納され、隣接リンクの数が多い場合は、ペイロード部の情報が複数のプローブパケットに分けて格納される。尚、実施例4では、図12に示したプローブパケットのペイロード部に、ノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、及び帯域計測結果である利用可能帯域が格納され、実施例5では、ノード21が保持する隣接リンクの相手ノードのIPアドレス、帯域計測結果である利用可能帯域、及び属性が格納される。
【0111】
以上のように、実施例5のノード21によれば、プローブパケット処理部31が、自ノード21における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域に加えて、その属性(例えば、計測した利用可能帯域の信頼性または安定性を数値化した情報)もプローブパケットに格納して送信し、他ノード2〜4における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域及び属性が格納されたプローブパケットを受信するようにした。そして、最適パス決定部16が、属性を参照して最適パスを決定するようにした。
【0112】
これにより、リンクの信頼性または安定性の高いリンクを有するパスが最適パスに決定される可能性が高くなる。したがって、実施例4の効果に加え、決定される最適パスの精度が高くなる。
【0113】
以上、実施例1〜5を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1〜5に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施例1〜5では、メッシュ型ネットワーク100を前提として説明したが、メッシュ型ネットワーク100には、オーバーレイ技術による論理ネットワークも含まれる。また、前記実施例1〜5では、パケットペア法を用いて利用可能帯域を計測することを想定して説明したが、本発明は、プローブパケットを用いる計測手法一般に適用可能であり、計測手法を限定するものではない。
【0114】
尚、本発明の実施例1〜5によるノード1〜4,21〜24のハード構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。ノード1〜4,21〜24は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。実施例1〜3のノード1〜4に備えた通信部11、プローブパケット処理部12、不通リンク決定部13、帯域計測部14、結果パケット処理部15、最適パス決定部16及び記憶部17の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。また、実施例4,5のノード21〜24に備えた通信部11、プローブパケット処理部31、不通リンク決定部13、帯域計測部14、最適パス決定部16及び記憶部17の各機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【符号の説明】
【0115】
1〜4,21〜24,101〜104 ノード
11 通信部
12 プローブパケット処理部
13 不通リンク決定部
14 帯域計測部
15 結果パケット処理部
16 最適パス決定部
17 記憶部
31 プローブパケット処理部
100 メッシュ型ネットワーク
131 ネットワーク経路情報取得手段
132 不通リンク決定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定するノード装置において、
当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するネットワーク経路情報取得手段、及び、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断し、前記リンクを不通リンクとして決定する不通リンク決定手段を有する不通リンク決定部と、
当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測部と、
前記帯域計測部により計測された、前記不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信し、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する結果パケット処理部と、
前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、前記結果パケット処理部により取得された他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定する最適パス決定部と、
を備えたことを特徴とするノード装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークを管理するために用いるping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムを実行し、この実行結果に基づいて、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはRTT(Round Trip Time)をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項3】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークの経路を制御するためのBGP(Border Gateway Protocol)に用いるBGPメッセージのAS(Autonomous System)−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、他のノード装置を内包するASを始点として送信され、当該ノード装置を内包するASへ送信されたBGPメッセージを選定し、前記選定したBGPメッセージのAS−PATH属性に含まれるAS番号から、当該ノードと他のノードとの間のAS数をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項4】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークの経路を制御するためのOSPF(Open Shortest Path First)に用いる広告メッセージに基づいて、当該メッセージが送信されたルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得し、前記ネットワークアドレス及びコスト情報から、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはコスト情報をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のノード装置において、
前記結果パケット処理部の代わりにプローブパケット処理部を備え、
前記プローブパケット処理部は、当該ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを他のノード装置から受信し、他のノード装置において隣接リンクの利用可能帯域を計測させるためのプローブパケットに、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納し、前記プローブパケットを他のノード装置へ送信することを特徴とするノード装置。
【請求項6】
複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定する方法において、
当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するステップと、
前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断するステップと、
前記伝送性能が劣ると判断したリンクを不通リンクとして決定するステップと、
当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測するステップと、
前記計測した、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を、結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信するステップと、
他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得するステップと、
当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定するステップと、
を有することを特徴とする最適パス決定方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5までのいずれか一項に記載のノード装置として機能させるための最適パス決定プログラム。
【請求項1】
複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定するノード装置において、
当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するネットワーク経路情報取得手段、及び、前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断し、前記リンクを不通リンクとして決定する不通リンク決定手段を有する不通リンク決定部と、
当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測する帯域計測部と、
前記帯域計測部により計測された、前記不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信し、他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得する結果パケット処理部と、
前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、前記結果パケット処理部により取得された他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定する最適パス決定部と、
を備えたことを特徴とするノード装置。
【請求項2】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークを管理するために用いるping(ピング)プログラムまたはtraceroute(トレースルート)プログラムを実行し、この実行結果に基づいて、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはRTT(Round Trip Time)をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項3】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークの経路を制御するためのBGP(Border Gateway Protocol)に用いるBGPメッセージのAS(Autonomous System)−PATH属性に含まれるAS番号に基づいて、他のノード装置を内包するASを始点として送信され、当該ノード装置を内包するASへ送信されたBGPメッセージを選定し、前記選定したBGPメッセージのAS−PATH属性に含まれるAS番号から、当該ノードと他のノードとの間のAS数をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項4】
請求項1に記載のノード装置において、
前記不通リンク決定部のネットワーク経路情報取得手段は、ネットワークの経路を制御するためのOSPF(Open Shortest Path First)に用いる広告メッセージに基づいて、当該メッセージが送信されたルータのインターフェースに付与されたネットワークアドレス、及びルータ間リンクのコスト情報を取得し、前記ネットワークアドレス及びコスト情報から、当該ノード装置と他のノード装置との間のルータ台数またはコスト情報をネットワーク経路情報として取得し、
前記不通リンク決定手段は、前記ネットワーク経路情報取得手段により取得されたネットワーク経路情報と所定のしきい値とを比較し、前記ネットワーク経路情報についての当該ノード装置と他のノード装置との間のリンクを不通リンクとして決定することを特徴とするノード装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載のノード装置において、
前記結果パケット処理部の代わりにプローブパケット処理部を備え、
前記プローブパケット処理部は、当該ノード装置における隣接リンクの利用可能帯域を計測するためのプローブパケットを他のノード装置から受信し、他のノード装置において隣接リンクの利用可能帯域を計測させるためのプローブパケットに、前記帯域計測部により計測された当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を格納し、前記プローブパケットを他のノード装置へ送信することを特徴とするノード装置。
【請求項6】
複数のノード装置により構成されるメッシュ型ネットワークの下で、隣接リンクの利用可能帯域に基づいて、ノード装置間の最適パスを決定する方法において、
当該ノード装置と他のノード装置との間の伝送性能の判定に用いるネットワーク経路情報を取得するステップと、
前記ネットワーク経路情報に基づいて、伝送性能が劣るリンクを判断するステップと、
前記伝送性能が劣ると判断したリンクを不通リンクとして決定するステップと、
当該ノード装置と他のノード装置との間の経路を示す複数の候補リンクから、前記不通リンクを除外し、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を計測するステップと、
前記計測した、当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を、結果パケットに格納し、他のノード装置へ送信するステップと、
他のノード装置から、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域が格納された結果パケットを受信し、前記結果パケットから、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域を取得するステップと、
当該ノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域と、他のノード装置における不通リンクを除外した候補リンクの利用可能帯域とに基づいて、前記最適パスを決定するステップと、
を有することを特徴とする最適パス決定方法。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から5までのいずれか一項に記載のノード装置として機能させるための最適パス決定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−244312(P2011−244312A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116153(P2010−116153)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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