説明

ハイパーサーミアデバイスおよびそのナノ粒子との使用

高周波電磁場の発生器と、この信号の増幅器と、生成された電磁場の送信機と、直接温度測定システムとを備え、印加された電磁場のエネルギーを熱の形で放散でき、1つまたは複数のナノ粒子の温度を直接制御可能な、前記ナノ粒子と共に使用するためのハイパーサーミアデバイスを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイパーサーミアデバイスに関し、より詳細には、ナノテクノロジーの分野で使用するハイパーサーミアデバイスおよび制御された方法で特定の範囲を加熱する必要がある応用例におけるナノ構造システムの変更に関する。本発明はさらに、生体臨床医学の分野での薬物の制御放出、腫瘍またはアミロイドーシスなどの病態の治療などの応用例におけるハイパーサーミアデバイスおよびナノ粒子の方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
温熱療法は、生体組織が破壊されるまでその温度を上昇させることからなる。このタイプの治療は、温度が46℃に達するハイパーサーミアと、温度が47℃を超える熱凝固療法という2つの主なグループに分類可能である。温熱療法、特にハイパーサーミアは、化学療法治療および放射線療法治療を強化するために使用される。腫瘍性組織は健常な組織よりも熱感受性が高く、その上、温度が上昇すると、癌細胞が化学療法および放射線療法に対して感作される。実験腫瘍学および臨床腫瘍学では、ハイパーサーミア治療は既に、腫瘍範囲の温度を42〜46℃に上昇させるために使用されている。
【0003】
生体臨床医学の分野におけるハイパーサーミアの別の可能な応用例は、アミロイドと呼ばれる、組織内で沈着を形成する蛋白質の凝集を制御することからなる。アミロイドが十分量蓄積すると、これらの沈着により組織の正常な機能が変わりうる。アミロイドーシスは、糖尿病、結核、および関節リウマチなどの疾患と関係があり、アミロイドーシスとアルツハイマー病およびパーキンソン病などの神経変性疾患を結び付ける証拠もある。
【0004】
磁性ナノ粒子は、腫瘍の増殖の診断およびモニタリングに使用されている。これらの粒子は、その磁気的性質により、核磁気共鳴画像におけるコントラストを増強するのに大きく役立つ。ナノ粒子が使用される別の分野は薬物の制御放出にあり、磁場の使用により患部に薬物を集中させる。
【0005】
現在、腫瘍性組織の治療に使用される種々のマイクロ波ハイパーサーミアデバイスがある。これらのデバイスはナノ粒子を使用せず、その代わりに局所レベルで破壊作用を有するマイクロ波場を病変組織に直接照射する。この方法は、組織内ハイパーサーミアという名前で知られている。
【0006】
組織内ハイパーサーミアシステムは、照射範囲を最大限に制御するために、外科手技、たとえばカテーテルの使用(特許文献1を参照)または電磁場のエネルギーを放出する高周波活性電極を腫瘍性組織へ挿入すること(特許文献2を参照)によって、アンテナを組織に植え込む必要があるので、対象に対する侵襲性がかなり高い。
【0007】
これらの侵襲性の高い手法の代替的手段として、生体組織内に熱を放散する媒体としての磁性流体の使用に基づくいくつかのハイパーサーミア治療が提案されている。これらの流体は、凝集体を形成しないように安定化された生体適合性磁性微粒子またはナノ粒子で構成される。このタイプの手技は、アンテナまたは電極を病変組織に外科的に植え込む必要がなく、むしろ、たとえば磁鉄鉱から形成されたナノ粒子(非特許文献1)などの磁性流体を使用するという利点を有する。磁鉄鉱は許容可能な生体適合性を有する材料で、磁性流体を調製するための理想的な候補である。この場合、熱の形でエネルギーを放散するメカニズムは、ヒステリシスによる損失ならびに緩和および摩擦による損失に主に関連し、誘導されたフーコー電流による損失はない。これらの現象のそれぞれについて、以下でさらに説明する。
【0008】
ヒステリシスによる損失:ヒステリシスとは、ある材料が、その性質のうちの1つ(この場合は磁化(M))の変化を生じさせる刺激(この場合は外部磁場(H))がなくても、この性質を保持する傾向である。言い換えれば、外部磁場が磁性材料に印加される場合、この場が最大値(Hmax)に増加すると、その磁化が増加する。その後で場が減少すると、磁化は増加したときほど速くは減少しない。磁化と比較して外部磁場の値を示すことによって、MとHの関係が非線形であるだけではなく、一価でもないことが理解されよう。場が最小値(Hmin = -Hmax)に減少してから、場を再びHmaxに増加させるように場の向きが変更されると、M対Hの曲線がヒステリシス曲線またはサイクルとして知られる閉曲線(図1に示される)であることが判明する。ヒステリシスを有するすべてのシステムにおいて、サイクル全体を通してエネルギー(または仕事)から熱への不可逆変換がある。この場合、この変換は磁気エネルギーの熱への変換を伴う。この熱は、ヒステリシス曲線によって囲まれる面積に等しい。
【0009】
誘導されたフーコー電流による損失:導体が、時間的に変化する磁場(B(t))内にあるとき、その導体を通る磁束(F(t))も時間と共に変化する。この時間の変化は、導体内で電流を誘導し、その向きは磁束の変化に対向する。誘導電流は、金属導体内で自由電荷の動きを生じさせ、最終的に電流を生成し、ジュール効果の結果として、熱の形でエネルギーを放散する生成された電場にその原因を有する。
【0010】
緩和および摩擦による損失:磁性材料において、さまざまな向きの磁気モーメント(m)を有する磁区が形成される。これらの磁区の結晶粒界において、mの2つの準安定状態があり、各状態に対応するエネルギー準位があり、その差はシステムの異方性エネルギー(Eanis)に一致すると考えられうる。外部磁場(H)の存在下で、ある確率である状態から別の状態に遷移し、それにより熱の形でエネルギーの損失が生じる。このメカニズムは、ネール効果による緩和としても知られる。粘度指数を有する強磁性流体の場合、緩和は、磁性粒子の回転ブラウン運動によっても生じる。これは、磁気モーメントの向きが粒子に強く結合し、mの緩和による運動が、ナノ粒子と周囲の媒体および/または他のナノ粒子との摩擦を発生させるときの非常に重要な現象である。
【0011】
ナノ粒子の磁気的性質は、実質的にはそのサイズと構造によって決まる。強磁性流体は、インビトロの細胞(非特許文献2)およびヒトの固形腫瘍(非特許文献3)における高周波誘導ハイパーサーミアに関して研究されている。
【0012】
残念なことに、これまでのところ、腫瘍の範囲における温度の制御を達成するのは非常に複雑であることが判明している。過熱が発生すると健常な組織も損傷するリスクがある。この問題を解決するために、医学的なハイパーサーミア治療における可能な応用例のための40〜46℃のキュリー温度(すなわち、その温度を超えると、強磁性体がその磁性を失い、純粋な常磁性体と同じように挙動する)を有するさまざまなタイプの磁性ナノ粒子の開発が最近試みられている(Y. Haik、C-J. Chen、特許文献3)。しかし、温度の大きな変化を発生させるのに必要な高周波場が生体に及ぼす影響は未だ十分に知られていない。さらに、制御されたキュリー温度を有するナノ粒子で使用される材料は、たとえば、生物に非常に有毒であるニッケル、銅、クロミウム、ガドリニウム、コバルト、マンガン、および亜鉛などの遷移金属である。
【0013】
他方、交流電磁場の作用下における金属金ナノ粒子の加熱についての間接的な観察結果がある(非特許文献4; 非特許文献5)。金属金ナノ粒子に結合された蛋白質の構造変化またはDNA鎖の脱ハイブリダイゼーションは、電磁場の印加によりナノ粒子で誘導されたフーコー電流のジュール効果によって生じる熱の放散に起因するものであった。ナノ粒子が結合した化合物の構造の変化に関連する間接的な観察結果から、その結果として起こる媒体の温度の上昇を伴う熱の放散が常にこれらのシステムで確認されている。したがって、達する温度を間接的に推測することしかできないので、この温度の正確で高精度の制御は達成されない。
【0014】
薬物の制御放出の分野では、ハイパーサーミアは薬物投与で使用するために提案されてきた。リポソームからの薬物の放出に関連する研究がある(非特許文献6)。これらの研究は、薬物の投与が従来の方法よりもはるかに均一で効果的であることを示す。ただし、これらのシステムでこれまでに実施された電磁場の印加は、患部を照射し薬物の放出を誘導するためのマイクロ波アンテナの外科的な植え込みなど、侵襲性が過度に高い手法の使用を伴う。
【0015】
さらに、多くの場合には、生体の生物学的障壁、たとえば細胞膜または血液脳関門を通過できない薬物がある。ただし、そのような薬物は、細胞または大脳内で非常に重要な治療的機能を果たすことができる。生体適合性被膜により前記薬物に結合されたナノ粒子は、前記の生物学的障壁を通過することができる。障壁を通過して高周波場が印加されると、温度が上昇した結果、生体適合性被膜はその構造を変化させ、所望の場所に薬物を放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6097985号明細書
【特許文献2】米国特許第5507743号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0249817号明細書
【特許文献4】国際公開第2002/032404号パンフレット(WO2002/032404)
【特許文献5】国際公開第2004/108165号パンフレット(WO2004/108165)
【特許文献6】国際公開第2005/116226号パンフレット(WO2005/116226)
【特許文献7】国際公開第2005/091704号パンフレット(WO2005/091704)
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】R. Hergt、W. Andra、C.G. d’Ambly、I. Hilger、W. A. Kaiser、U. Richter、H-G. Schmidt、IEEE Trans. Mag. 34 (1998) 3745
【非特許文献2】N.A. Brusentsov、V.V. Gogosov、T.N. Brusentsova、A.V. Sergeev、N.Y. Jurchenko、A.A. Kuznetsov、O.A. Kutnetsov、L.I. Shumakov、J. Magn. Magn. Mater. 225 (2001) 113
【非特許文献3】A. Jordan、R. Scholz、K. Maier-Hauff、M. Johannsen、P. Wust、J. Nadobny、H. Schirra、H. Schmidt、S. Deger、S. Loening、W. Lanksch、R. Felix、J. Magn. Magn. Mater. 225 (2001) 118
【非特許文献4】K. Hamad-Schifferli、J.J. Schwartz、A.T. Santos、S. Zhang、J.M. Jacobson、Nature 415 (2002) 152
【非特許文献5】M.J. Kogan、N.G. Bastus、R. Amigo、D. Grillo-Bosch、E. Araya、A. Turiel、A. Labarta、E. Giralt、V.F. Puentes、Nanoletters 6 (2006) 110
【非特許文献6】A.M. Ponce、B.L. Viglianti、D. Yu、P.S. Yarmolenko、C.R. Michelich、J. Woo、M.B. Bally、M.W. Dewhirst、J. Natl. Cancer Inst. 99 (2007) 53
【非特許文献7】A.C. Templeton、S. Chen、S.M. Gross、R. W. Murray、Langmuir 15 (1999) 66
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、当技術分野では、制御された方法で特定の範囲を加熱することが必要な応用例においてハイパーサーミアを用いる際の問題が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は概して、典型的にはナノ粒子の使用と組み合わせて、生体臨床医学の分野で使用でき、その動作は生体系と適合性があり、ハイパーサーミア効果の伝達が制御可能であるハイパーサーミアデバイスに関する。
【0020】
したがって、第1の態様において、本発明は、高周波電磁場の発生器と、この信号の増幅器と、生成された高周波電磁場の送信機と、直接温度測定システムとを備え、1つまたは複数のナノ粒子と共に使用されるハイパーサーミアデバイスを提供する。
【0021】
さらに、具体的には非常に高い周波数が使用される場合、本発明のデバイスは、大量の放射線の悪影響の結果としての機器の損傷または人の被害を防止するためのファラデーケージも含む。
【0022】
本発明のデバイスの一部を形成する発生器は、信号の生成に加えて、インピーダンス、反射係数、送信、および挿入による損失を決定するのに役立ち、それにより電磁場の作用下で1つまたは複数のナノ粒子の加熱源に関して調査を実施できるネットワーク分析器であってもよい。上記の係数および損失を測定することによって、信号の減衰を決定し、したがって場の所与の周波数で1つまたは複数のナノ粒子によって放散されるエネルギーを計算することが可能である。
【0023】
本発明のデバイスにおいて使用できる1つまたは複数のナノ粒子はすべて、たとえば有機分子または生体分子との金属-硫黄結合により官能化された貴金属ナノ粒子、金属-配位子結合により官能化された貴金属ナノ粒子、界面活性剤分子により保護され、双極子相互作用により安定化した貴金属ナノ粒子、直接官能化されたまたは貴金属の被覆により官能化された磁性ナノ粒子など、高周波電磁場の作用下で加熱できるナノ粒子である。これらのナノ粒子は、ヒステリシスによる損失、フーコー電流による損失、または緩和および摩擦による損失により電磁場の作用下で熱くなる(ハイパーサーミア)。本発明のハイパーサーミアデバイスと共に用いることが可能な特に好ましいナノ粒子の例が、特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7に開示されている。
【0024】
発生器によって発生された高周波電磁場は制御された強度および周波数を有し、後者は超長波(VLF)信号の値〜超高周波(SHF)信号の値にある。
【0025】
本発明のデバイスの一部を形成する高周波電磁場の送信用システムは、電磁場の焦点を合わせて特定の領域に集中することが可能である。
【0026】
送信デバイスを幾何学的に変更すると、電磁場が種々の形で空間に伝播し、それにより場を方向付けて空間の特定の範囲に集中するための新しい場送信システムの研究を行うことが可能になる。
【0027】
さらに、本発明のデバイスは、たとえばナノメータシステムの変更に関連するまたは生体臨床医学に関連する応用例など、局所的な加熱が必要な応用例に有用であるが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】
したがって、さらなる態様において、本発明は、たとえば薬剤の制御放出、アミロイドーシスにおける蛋白質凝集体の破壊、または腫瘍の局所的な破壊について、薬剤の放出を誘導するまたは腫瘍を破壊するためにアンテナの植え込みなどの侵襲的手法を伴う現在のハイパーサーミアシステムを使用しなければならない状態を回避し、したがって現在存在するハイパーサーミアシステムの主要な欠点の1つを回避するので、現在に至るまで存在するハイパーサーミア装置の技術的な制約を克服する生体臨床医学の応用例における本発明のデバイスの使用に関する。
【0029】
さらなる態様において、本発明は、癌、またはアミロイドーシスが媒介する病態など、1つまたは複数のナノ粒子のハイパーサーミアによる加熱に応答する病態の治療の方法において使用するためのハイパーサーミアデバイスを提供する。
【0030】
さらなる態様において、本発明は、ある場所において1つまたは複数のナノ粒子を加熱する方法であって、(a)高周波電磁場の発生器と、(b)高周波電磁場の増幅器と、(c)高周波電磁場の送信機と、(d)直接温度測定システムとを備えるデバイスを用い、
(i)その場所においてナノ粒子を導入するステップと、
(ii)ナノ粒子を加熱できる周波数および/または強度を有するデバイスを使用して高周波電磁場を生成するステップとを含む方法を提供する。
【0031】
文献における実験的な研究から、ナノ粒子の熱エネルギーは、電磁場を照射することにより増加できることが示されている。しかし、これまでのところ、温度の制御は最適ではない。これまでのところ、ナノ粒子の加熱の証拠は間接的に得られていたので、本発明のデバイスに組み込まれた温度の変動の直接測定は、好ましくは赤外線によってまたはゼーベック効果に基づく方法によって実行される測定と共に、ハイパーサーミアの分野における重要な新しい成果である。ナノ粒子が配置された媒体の温度の肉眼的な変化を観察する可能性を有するために、ナノ粒子が配置された領域に高出力の電磁場を有することが必要である。制御された方法で場の高い電力を利用するために、空間のある範囲において場のエネルギーを制御すること、ならびに本発明のデバイスを使用して達成されるのと同じように場の状態を変更し再現することが可能でなければならない。
【0032】
次に本発明の実施形態を、例を挙げて説明するが、添付の図面および例に関して限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ヒステリシス曲線を表すグラフである。
【図2】ナノ粒子を加熱するために高周波場を生成し、増幅して送信するためのデバイスであって、以下の要素、すなわち(i)高周波電磁場の発生器と、(ii)高周波電磁場の増幅器と、(iii)高周波電磁場の送信機と、(iv)直接温度測定システムと、(v)ファラデーケージと、(vi)1つまたは複数のナノ粒子とを備えるデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のデバイスは、1つまたは複数のナノ粒子(6)と共に使用され、図2に示される以下の要素を備える。
1)高周波増幅器に送信される制御された周波数および強度の電磁パルスを生成する高周波電磁場の発生器。この電磁場の周波数は、超長波(VLF)帯域〜超高周波(SHF)帯域にある。
2)発生器の周波数範囲で機能する、広帯域で低ノイズの、高周波信号の高周波電磁場増幅器。
3)高周波電磁場の送信機。これは本発明の範囲を限定するものではなく、増幅器の出力信号から、生成された高周波電磁場の焦点を合わせて空間のある領域に集中できるアンテナからなることができる。
4)直接温度測定システム。
【0035】
電子デバイスに干渉するかつ/または人に影響を及ぼす可能性がある周波数を使用するとき、本発明のデバイスは、放射線遮蔽の目的でファラデーケージ(5)も含んでもよい。
【0036】
例を挙げると、本発明のデバイスの一部を形成する発生器は、信号の生成に加えて、インピーダンス、反射係数、送信、および挿入損失を決定するのに役立つネットワーク分析デバイスであってもよい。物理的規模は実験的デバイスを通じて放散されるおよび/または反射される電磁場のエネルギーに関連しており、したがって電磁場の作用を受けるナノ粒子の加熱の起源およびメカニズムを調べることが可能である。たとえば、実験的セットアップのインピーダンスと共に、反射係数、送信、および挿入による損失を知ることによって、生成された信号の減衰を決定し、その結果としてどんな信号がナノ粒子に送信されているかを正確に知ることが可能であるが、これは本発明の範囲を限定するものではない。これを出発点として、放散エネルギーを推測し、場の周波数を考慮して、それを上記の種々の加熱メカニズムに関連付けることは比較的簡単である。
【0037】
本発明のデバイスは、前記電磁場に設置された1つまたは複数のナノ粒子が場のエネルギーの一部を吸収し、その後で、ヒステリシスによる損失、誘導されたフーコー電流による損失、ならびに緩和および摩擦による損失というメカニズムのいずれかによって、エネルギーの大部分を熱の形で放散するように、制御された電磁場を生成する。ナノ粒子は、1〜100nm(ここで1nmは10-9m)のサイズに達しうる原子または分子の集まりである。多数の場合、ナノ粒子を定義するのに使用されるのは、サイズの基準だけである。しかし、サイズを別とすれば、ナノ粒子を「ナノ」と定義する特性は、その物理的性質と関係がある。これらのシステムの構成要素のサイズが、物理的性質に関連する特性長さより短くなるとき、前記の性質は、その挙動が量子論によってのみ理解できるように変化する。
【0038】
本発明のデバイスと共に使用できる1つまたは複数のナノ粒子はすべて、金属または非金属、磁性または非磁性のナノ粒子、または上記の混合物であり、有機分子または生体分子により官能化可能である。
【0039】
極小のナノ粒子を扱うとき、ナノ粒子が凝集体を形成する傾向がある結果、ナノ粒子を構成する原子の配位数を減らす際に安定性がある程度不足することがある。この問題を解決するために、表面原子に結合する保護分子を使用してナノ粒子を安定化させることが可能である。これは、ナノ粒子の官能化として知られている。同時に、官能化配位子または分子が適切な場合、官能化されたナノ粒子が、特定のタイプの細胞および/または分子(非常に特異的な標的)に結合することが可能である。
【0040】
これらのナノ粒子は以下のグループに属することが可能であるが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
(a)有機分子または生体分子との金属-硫黄結合により官能化された貴金属ナノ粒子(金、パラジウム、銅など)。これらのナノ粒子は、サイズおよび官能化鎖に応じて金属的性質および/または磁気的性質を有し、ヒステリシス、緩和、または誘導電流という種々のメカニズムにより加熱することができる。
(b)金属-配位子結合により官能化された貴金属ナノ粒子。配位子は、特にホスフィンまたはハロゲン化合物であってもよい。ナノ粒子は、配位子と結び付く結果、生体分子により官能化でき、配位子のサイズおよびタイプに応じて金属的性質および/または磁気的性質を有する。これらのナノ粒子は、ヒステリシス、緩和、または誘導電流という種々のメカニズムにより加熱することができる。
(c)界面活性剤分子により保護され、双極子相互作用により安定化した貴金属ナノ粒子。これらのナノ粒子は、サイズに応じて金属的性質を有し、誘導電流というメカニズムにより加熱することができる。
(d)直接官能化されたまたは貴金属の被覆により官能化された磁性ナノ粒子(たとえば、鉄ベース)。これらのナノ粒子は、サイズに応じて磁気的性質を有し、ヒステリシスおよび磁化緩和というメカニズムにより加熱することができる。貴金属の被覆成分は、この節で説明された粒子タイプ(a)と類似したように挙動してもよい。
【0041】
タイプa)、b)、およびc)のナノ粒子の金属特性も、タイプd)ならびに場合によってはa)およびb)のナノ粒子の磁気特性も、とりわけナノ粒子のサイズによって決まる性質である。ナノ粒子の金属特性を指すことによって、本出願は、ナノ粒子の電子構造が同じ材料の固体系の電子構造に類似しているという事実を指す。しかし、磁気的性質は、SQUID(超伝導量子干渉素子)による分析により決定できる規模を指し、主に残留磁化(MR)および保磁力(HC)(図1に示す)である。どちらの規模も、試料の磁気特性という概念を提供する。
【0042】
説明すると、加速された電荷は電磁場を発生させる。具体的には、本発明の電磁場発生器は、超長波(VLF)信号〜超高周波(SHF)信号の周波数を有する場を発生させ、後者は、中程度のマイクロ波帯域に相当する。前記信号は、好ましくは長波(LF)〜極超短波(UHF)にある。Table 1(表1)は、各帯域の高周波範囲の詳細を示す。周波数を制御するのとは別に、高周波発生器は、制御された強度を有する電磁場を発生させることができる。
【0043】
【表1】

【0044】
1例として、それぞれ特定の場合に印加される周波数は、加熱を希望するナノ粒子のタイプによって決まるが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
- 種々の配位子により官能化できる磁気ベースのナノ粒子の場合、同じ加熱を発生させるのに必要な磁場は100kHz〜1GHzの周波数を有さなければならず、磁場の強度は0〜15kA/mである。
- たとえば金またはパラジウムなどの貴金属ナノ粒子は、強磁性挙動の形態ならびに典型的な金属的挙動の要因となりうる種々の配位子、特に生物学的に興味のある化合物により官能化することができる。この場合、これらを加熱するために、これらを1GHzより高い電磁場にさらすことが必要である。この場合、アンテナ/増幅器の組み合わせは、最大10Wの電力を印加しなければならない。
【0045】
本発明のデバイスの一部を形成する高周波信号を送信する要素は、それぞれの場合に印加される電磁場の周波数に応じて、および送信される波面の形状に応じて、種々の形とサイズを取ることができる。これは本発明の範囲を限定するものではなく、この要素は、放射アンテナ、スパイラル、ソレノイド、または共振空洞を備えてもよい。この送信機は、生成された電磁場の焦点を合わせて空間のある領域に集中できる送信アンテナを有することを特徴とする。ナノ粒子のエネルギー出力および生成された電磁場の電力を活用するように、上手く前記場の焦点を合わせて集中することは非常に重要である。同時に、健常な組織が放射線に曝露されるのは少ないほどよいので、この可能性は、これらの組織を損傷するある一定の可能性を有する信号を扱うときに非常に有益である。
【0046】
本発明のデバイスは、直接温度測定システムも組み込む。このシステムは、ナノ粒子によって放射される赤外線放射を検出するための検出器からなってもよいし、ゼーベック効果に基づく熱電対からなってもよいが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0047】
ゼーベック効果とは、互いに接続された2つの金属の温度差によってこの2つの金属の接合部に電力差が生じるという事実に由来する熱電効果である。したがって、2つの温度のうちの1つを知ってそれを基準とすることにより、前記電力差から、他方の金属の温度を知ることが可能である。
【0048】
場合によっては、本発明のデバイスは、ファラデーケージに配置してもよい。ファラデーケージは、外部電磁場を遮り、および/またはその中に生成された電磁場が外部に漏れるのを防ぐように設計された閉鎖された容積からなり、測定機器および/または人に影響を及ぼすことなく、容積に電磁放射を閉じ込めておく。
【0049】
ファラデーケージは、ガウスの法則の直接的な応用例である。導体材料は、電荷が導体の表面に分布するという事実により、導体材料に出入りしようとする電磁場がそうできないように容積の範囲を定める。
【0050】
本発明のデバイスは、1つまたは複数のナノ粒子からなるグループに作用し、ヒステリシスによるものであれ、フーコー電流によるものであれ、または摩擦および緩和によるものであれ、場の周波数と強度の関数としてナノ粒子の温度を上昇させる。その結果として、本発明のデバイスは、空間の特定の範囲の制御された加熱のために使用でき、これはナノメータシステムの変更などの分野における重要な応用例を有する。
【0051】
この分野では、1例として、高周波場の応用例でナノメータ規模のシステムの原子振動エネルギーの増加を利用することによって分子電子工学で開発されたこのシステムの構造を変更することに関して、ならびに前記デバイスの磁気的性質を変更することに関して、潜在的な応用例があるが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0052】
このデバイスを使用して、たとえば、いくつかある応用例のうち特にアミロイドーシスにおける蛋白質凝集体の破壊、非常に特異的な標的に結合できるナノ粒子を使用した腫瘍の治療、または薬物の制御放出などの生体臨床医学のハイパーサーミア治療の応用例におけるナノ粒子の加熱のメカニズムおよび源を調べることができる。
【0053】
高周波送信アンテナまたはデバイスは、等方的に、すなわち空間のすべての方向に均一に、放射しない。これらのアンテナでは、放射が領域に集中される範囲があり、通常はローブの形である。
【0054】
本発明のデバイスは、さまざまなアンテナの幾何学的設計により、望ましくない範囲を照射しないように、場を方向付けて空間の特定の範囲に集中するための新しい場送信システムの研究を行うために使用してもよい。これは、ハイパーサーミアの応用例を改良することになったときに非常に有用である。
【0055】
本発明のデバイスに組み込まれた直接温度測定システムは、好ましくは赤外線を使用してまたはゼーベック効果に基づいて、温度の制御強化を可能にし、したがって生体臨床医学において現在存在するハイパーサーミアシステムの応用例の主な問題のうちの1つを克服する。
【0056】
A.ハイパーサーミアデバイスのプロトタイプ
本発明の実施形態は、高周波場発生器Agilent 8648Dという器具のセットからなる。Agilent 8648Dは、9kHz〜4GHzで動作し、解像度は0.001Hzであり、その出力信号は、すべての周波数に対して+10〜-136dBmの電力範囲にある。高周波発生器の出力ポートは、同軸ケーブルによってソリッドステート高周波増幅器(Amplifier Research 5S1G4)の入力ポートに接続される。発生器と増幅器の入出力ポートのそれぞれおよび同軸ケーブルの両端は、N型のコネクタを有し、特に最大10GHzのマイクロ波信号において最小挿入損失(最大0.2dB)を発生させるように設計され、コネクタのインピーダンスは50オームである。
【0057】
この例で使用される高周波増幅器は信号を増幅でき、その周波数は0.8〜4.2GHzである。電力が1mWである発生器からの入力信号の場合、増幅器は6.5Wの出力信号を発生させ、これは37dBの利得に等しい。使用される増幅器が満たさなければならない条件は、高周波発生器からの入力信号の周波数、振幅、またはパルス変調を忠実に再生することである。増幅器の出力ポートもN型である。
【0058】
両端にN型コネクタを有する同軸ケーブルによって、増幅器の出力ポートが送信デバイスに接続され、この場合、このデバイスは直径29mm断面2mmの銅スパイラルからなる。スパイラルは2.61GHzの共振周波数を有し、発生器および増幅器の動作範囲にある。スパイラルの場合、その中心の電磁場の磁気成分はビオ-サバールの法則によって決定される。磁気誘導はスパイラルの面に垂直で、その強度および向きはスパイラルを通る電流の強度と向きによって決まる。スパイラルは、直径40mm厚さ12mmのディスク形テフロンサポート(その透磁率は空気の透磁率に非常に類似している)上に配置され、その上に、スパイラルの面がテフロン表面の面と一致するように、円形の窪み(深さ2mmで、スパイラルの直径と一致する直径を有する)が作製される。ディスクの中央に、流体試料を配置できる直径15mm深さ1mmの円形の凹部がある。その直径は、温度センサとして使用される赤外線高温計の焦点範囲を画定する円の直径と一致する。高温計(Fluke 572 CF)は、物体の小さい領域における赤外線放射を最大30cmの距離で捕捉するように設計された光学部品を有する。このデバイスは、-30〜900℃の温度を測定することができる。このデバイスは、温度の測定を行う範囲を画定するレーザ光線も有する。
【0059】
銅スパイラルとテフロンディスクを組み合わせたものが、ファラデーケージの内部に配置される。ケージの側面寸法は、スパイラルによって放射される電磁場の特性波長より1桁大きい。例で使用される周波数の場合、電磁場は約0.1mの波長を有する。これは、ファラデーケージが1mの桁の側面寸法を有さなければならないことを意味する。ケージの上面に、高温計を使用した温度の直接測定を容易にするための開口が作製される。これは、電磁場が開口を通って伝播するのを防ぐように、2cm未満の直径を有さなければならない。
【0060】
熱電対は、高温計を校正するために使用される。電磁場を印加する前に、試料の温度は、熱電対を使用して直接測定される。高温計の測定値は、放射率の値を変更して試料の温度に調整される。各試料は、赤外線領域において異なる放射率を有する。この場合、放射率とは、所与の温度において本体が放射する赤外線放射の強度である。
【0061】
B.ナノ粒子
この例で使用されるナノ粒子は以下のとおりである。
(a)トリフェニルホスフィン配位子およびハロゲン化物配位子により官能化された金ナノ粒子。55個の金(Au)原子からなり1.4nmの直径を有するクラスタと、11個の原子からなり0.8nmの直径を有するクラスタについて研究した。これらのナノ粒子を使用して、pH=7.5の市販のHEPES-NaOH緩衝液に溶解した。
(b)チオール基を含む生体分子チオプロニンにより官能化されたように、Brustの合成(非特許文献7)の変法を使用して合成された金ナノ粒子。これらのナノ粒子は水溶性であり、したがって、潜在的な生物学的興味があり、治療上の興味がある生体分子により官能化されたナノ粒子のモデルになる。
【0062】
C.ナノ粒子の加熱:
上述のデバイスを用いて、示された(aおよびb)2つのタイプの金ナノ粒子の温度の変化を測定し、スパイラルの主要共振周波数に一致する周波数である2.61GHzの電磁場の周波数を印加する。この周波数において、信号の損失が最小限になるように、スパイラルへのエネルギーの最大の移動がある。
【0063】
結果はTable 2(表2)に詳述する。この表は、ハイパーサーミア治療に対するナノ粒子の可能性および設計されたデバイスの機能性を示す。
【0064】
【表2】

【0065】
Table 2(表2)で示されるように、すべての場合において、3.0℃(Au-チオプロニン(FNP約3.0nmおよび4.5nm)のナノ粒子で得られる)〜13.0℃(Au11-ホスフィンのナノ粒子で得られる)のナノ粒子の加熱があり、高周波電磁場の作用下で本発明のデバイスの機能によりすべてのナノ粒子が加熱される可能性を示す。
【0066】
情報開示陳述書の一部として提出された参考文献を含め、本発明書に引用したまたは本願と共に出願されたすべての文献、特許、特許出願を全体として参照により組み込む。
【符号の説明】
【0067】
1 高周波電磁場の発生器
2 高周波電磁場の増幅器
3 高周波電磁場の送信機
4 直接温度測定システム
5 ファラデーケージ
6 ナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のナノ粒子を加熱するためのハイパーサーミアデバイスであって、以下の要素、すなわち
(a)高周波電磁場の発生器と、
(b)高周波電磁場の増幅器と、
(c)高周波電磁場の送信機と、
(d)直接温度測定システムとを備えるハイパーサーミアデバイス。
【請求項2】
前記デバイスが、放射線遮蔽のために要素(a)〜(d)を収めたファラデーケージをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記高周波電磁場の前記発生器が、信号の生成に加えて、インピーダンス、反射係数、送信、および/または挿入損失を決定できるネットワーク分析デバイスである、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電磁場発生器が、制御された強度を有する電磁波の生成に加えて、超長波(VLF)信号〜超高周波(SHF)信号の定義された範囲にある高周波信号を生成できる、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電磁場の前記送信機が、前記電磁場の焦点を合わせて定義された領域に集中できる、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
温度を直接測定する前記システムが、赤外線放射またはゼーベック効果に基づくシステムを使用する、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
ナノ粒子が、前記デバイスによって生成された高周波電磁場の作用によって加熱される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ナノ粒子が金属性および/または磁性であり、好ましくは官能化された貴金属ナノ粒子である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、有機分子または生体分子との金属-硫黄結合により官能化されたことを特徴とする、請求項7または請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記貴金属ナノ粒子が、金属-配位子結合により官能化された、請求項7または請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記貴金属ナノ粒子が、界面活性剤分子により保護され、双極子相互作用により安定化した、請求項7または請求項8に記載のデバイス。
【請求項12】
前記磁性ナノ粒子が、直接官能化されたまたは貴金属の被覆により官能化された、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
ハイパーサーミアによる1つまたは複数のナノ粒子の加熱に応答する病態の治療方法において使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記病態が、癌、またはアミロイドーシスに起因する病態である、請求項13に記載の治療方法において使用するためのデバイス。
【請求項15】
高周波電磁場の作用下で加熱できる1つまたは複数のナノ粒子上で加熱および他のハイパーサーミア効果を発生させるための、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項16】
好ましくはナノメータシステムの変更に関連する応用例および生体臨床医学における、システムのある範囲を制御加熱するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項17】
好ましくは腫瘍の局所的な破壊およびアミロイドーシスにおける蛋白質凝集体の破壊に適用される、生体臨床医学のハイパーサーミア治療における、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項18】
薬物の制御放出のための、ハイパーサーミア治療における、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項19】
電磁場の作用下で1つまたは複数のナノ粒子の前記加熱の源を調べるための、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項20】
前記高周波電磁場を集中し方向付ける新しい場送信機を開発するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイスの使用法。
【請求項21】
ある場所において1つまたは複数のナノ粒子を加熱する方法であって、(a)高周波電磁場の発生器と、(b)高周波電磁場の増幅器と、(c)高周波電磁場の送信機と、(d)直接温度測定システムとを備えるデバイスを用い、
(i)前記場所において前記ナノ粒子を導入するステップと、
(ii)前記ナノ粒子を加熱できる周波数および/または強度を有する前記デバイスを使用して高周波電磁場を生成するステップとを含む方法。
【請求項22】
前記ナノ粒子の前記場所において前記温度を決定し、場合によっては前記高周波電磁場の前記周波数および/または強度を調整して前記デバイスによって生成された前記ハイパーサーミアによる加熱効果を調節するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記場所が、生体対象の組織である、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が腫瘍を有し、前記加熱が、前記腫瘍の細胞を死滅させるためである、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−534499(P2010−534499A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517510(P2010−517510)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/002780
【国際公開番号】WO2009/013630
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(502408148)
【Fターム(参考)】