説明

ハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材

【課題】マイクロアレイに特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができるとともに取り扱い性の向上を図ることができるハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材を提供すること。
【解決手段】複数種のプローブ生体高分子がスポット固定される反応場32が複数形成されているマイクロアレイ30に対して、反応場32毎に独立して互いに非接触に配置されるカバー10により各反応場32上のサンプル生体高分子を含む液体40を覆い、カバー10を拘束する拘束部材20により保持して各反応場32上のサンプル生体高分子を含む液体40を各カバー10の範囲内に留めるハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のサンプル生体高分子をプローブ生体高分子に同時にハイブリダイズさせるためのハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の一例として、スライドガラスを基板とするマイクロアレイの表面が親水性でプローブDNAが固定されている親水性領域と、その周りのプローブDNAが固定されておらず表面が疎水性である疎水性領域と、を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の他の例として、サンプル生体高分子を含む溶液がスライドグラス上の親水性領域に接触した状態で、サンプル生体高分子を含む溶液と同一の蒸気圧を有する溶液を入れた密閉容器中でサンプル生体高分子とプローブ生体高分子とのハイブリダイゼーションを行うものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
従来のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の他の一例として、試料載置面上に試料が載置されるスペースを囲むように形成され、試料載置スペース内に滴下された試料をせき止め試料載置スペース外に拡散するのを防止する防護帯を有するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
従来のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の他の一例として、疎水性の素材からなる板に、複数個の開口窓が設けられ、各開口窓が仕切りによって分割されているものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−267667号公報
【特許文献2】特許第3860174号公報
【特許文献3】実開平4−13915号公報
【特許文献4】特開平7−72046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の特許文献1、特許文献2に開示されたハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材では、スポット周辺を疎水領域にするための疎水処理にコストがかかるとともに、反応液にカバーをすることがコンタミ懸念でできないために、反応液を静置するだけで撹拌による反応時間短縮ができず、反応液の乾燥蒸発も防止が困難であった。また、疎水処理のエッジ部分には段差ができるので、異物が残り、その後のハイブリダイゼーションが不正確なものとなる。
【0008】
また、上記の特許文献3、特許文献4に開示されたハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材では、上部カバーとパッキンで密閉されるので、コンタミや乾燥の問題は解消するが、やはり撹拌による反応時間の短縮が困難であり、洗浄液の廃液の排出がパッキンに阻害される懸念があり、十分な対策とは言い難い。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、マイクロアレイに特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができるとともに取り扱い性の向上を図ることができるハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る上記課題は、下記構成により達成される。
(1) 複数種のプローブ生体高分子をスポット固定する反応場が複数形成されているマイクロアレイに対して、前記反応場毎に独立して互いに非接触に配置されるカバーにより各反応場上のサンプル生体高分子を含む液体を覆い、前記カバーを拘束する拘束部材により保持して各反応場上のサンプル生体高分子を含む液体を各カバーの範囲内に留めるハイブリダイゼーション方法。
【0011】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、マイクロアレイの反応場にスポット固定されている複数種のサンプル生体高分子に適用される液体が独立したカバーによって覆われ、拘束部材によってカバーが拘束されることで、カバー同士の接触が起こることが無く、また、液体自体はカバーの範囲内で表面張力により留まる。この構成により、マイクロアレイには追加処理を行わないので、コスト面で有利にできる。また、カバーが検体単位に独立しているために、乾燥蒸発懸念がない。したがって、マイクロアレイに特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができる。
【0012】
(2) 上記(1)記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバーまたは拘束部材に設けられるスペース維持部材により前記カバーと前記反応場との間隔を非接触に維持し且つサンプル生体高分子を含む液体を保持するハイブリダイゼーション方法。
【0013】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、カバーまたは拘束部材に設けられるスペース維持部材によりカバーと反応場との間隔を非接触に維持し且つサンプル生体高分子を含む液体を保持するために、例えば、マイクロアレイに反りが生じたとしても、その反りに追従することで、カバーとマイクロアレイとの隙間を一定に保つことができる。
【0014】
(3) 上記(1)又は(2)記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバー及び拘束部材に設けられる平面駆動手段により前記カバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施してサンプル生体高分子を含む液体を攪拌するハイブリダイゼーション方法。
【0015】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、カバー及び拘束部材に設けられる平面駆動手段によりカバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施してサンプル生体高分子を含む液体を攪拌することで、簡素な構造で、効率よく撹拌を行って反応効率を向上させることができる。
【0016】
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか記載のハイブリダイゼーション方法であって、前記カバー及び拘束部材に設けられる振動手段によりサンプル生体高分子を含む液体に振動を与えるハイブリダイゼーション方法。
【0017】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、カバー及び拘束部材に設けられる振動手段によりサンプル生体高分子を含む液体に振動成分を与えることで、液体を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
【0018】
(5) 上記(1)〜(4)のいずれか記載のハイブリダイゼーション方法であって、前記カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されているハイブリダイゼーション方法。
【0019】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されることで、親水処理が施された液体処理面に滴下された液体が液体処理面の周囲へ流れなくなって、液体をより確実にカバー範囲内に保持することができる。コンタミを防止することができる。
【0020】
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか記載のハイブリダイゼーション方法であって、前記マイクロアレイに対する前記カバーの開閉機構を備えてマイクロアレイ及びカバーの洗浄を容易にするハイブリダイゼーション方法。
【0021】
このように構成されたハイブリダイゼーション方法によれば、カバーの開閉機構を駆動させることで、例えば反応槽に洗浄液を直接注入できるので、マイクロアレイ及びカバーの洗浄を容易に行うことができる。
【0022】
(7) 反応場が複数形成されているマイクロアレイに対して、前記反応場毎に独立して互いに非接触に配置されて各反応場上に供給される液体を覆うカバーと、前記カバーを拘束保持して各反応場上の液体を各カバーの範囲内に留める拘束部材とを備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【0023】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、マイクロアレイの反応場にスポット固定されている複数種のサンプル生体高分子を含むように、反応場上に供給される液体を、反応場毎に独立して互いに非接触に配置されているカバーによって覆う。そして、拘束部材によってカバー同士が拘束されることでカバー同士の接触を回避し、液体はカバーの範囲内に留まる。これにより、マイクロアレイに追加処理を行わないので、コスト面で有利にできる。また、カバーが検体単位に独立しているために、乾燥蒸発懸念がない。したがって、マイクロアレイに特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができる。
【0024】
(8) 上記(7)記載のマイクロアレイ用カバー部材であって、前記拘束部材が前記各カバーを弾性を以て拘束する弾性拘束部材であるマイクロアレイ用カバー部材。
【0025】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、拘束部材が各カバーを弾性を以て拘束する弾性拘束部材であることで、処理作業中の液体の揺れをカバーにより吸収することができ、確実な処理作業を行うことができる。
【0026】
(9) 上記(7)又は(8)記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記拘束部材が前記各カバーの液体接触面と反対面を拘束するプレート状部材であるマイクロアレイ用カバー部材。
【0027】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、拘束部材が各カバーの液体接触面と反対面を拘束するプレート状部材であることで、プレート状部材が反応場に接触することはなく、且つ、各カバーの移動などの処理を一括的して為すことができるので、効率良くハイブリダイゼーションを行うことができる。
【0028】
(10) 上記(7)〜(9)のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記カバーが前記拘束部材に対して着脱自在であるマイクロアレイ用カバー部材。
【0029】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバーが拘束部材に対して着脱自在であるので、例えば、カバーが一部不良となった場合に、そのカバーのみの交換が可能となり、また、反応場の数に対応してカバーの数を設定することなども可能となる。
【0030】
(11) 上記(7)又は(8)記載のマイクロアレイ用カバー部材において、各反応場側に凸平面部を有する波形形状であり、前記凸平面部分で前記液体接触部がカバーとなり他の部分が拘束部材となるマイクロアレイ用カバー部材。
【0031】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、各反応場に凸平面部分を有する波形形状であって凸平面部分で液体接触部がカバーとなり他の部分が拘束部材となることで、カバーと拘束部材とを一体的に形成して、コスト面で有利に製造することができる。
【0032】
(12) 上記(7)〜(11)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記カバーと前記反応場との間隔を非接触に維持し且つ前記カバーにより液体を保持するスペース維持部材を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【0033】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバーと反応場との間隔を非接触に維持し且つカバーにより液体を保持するスペース維持部材を備えることで、液体の保持を確実に行うことができる。
【0034】
(13) 上記(7)〜(12)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記スペース維持部材が前記カバーの液体接触面側に設けられた凸部であり、この凸部が前記反応場の外縁部で前記マイクロアレイと接触するマイクロアレイ用カバー部材。
【0035】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、スペース維持部材がカバーの液体接触面側に設けられた凸部であり、この凸部が前記反応場の外縁部で前記マイクロアレイと接触することで、例えば、マイクロアレイに反りが生じたとしても、その反りに追従することで、カバーとマイクロアレイとの隙間を一定に保つことができる。
【0036】
(14) 上記(7)〜(13)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記スペース維持部材がマイクロアレイに対して前記拘束部材に設けられたストッパーであり、前記カバーの液体接触面と反応場とを一定間隔に保つマイクロアレイ用カバー部材。
【0037】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、スペース維持部材がマイクロアレイに対して拘束部材に設けられたストッパーであり、カバーとマイクロアレイとを非接触に保ったまま、カバーの液体接触面と反応場とを一定間隔に保持することで、液体の保持を確実に行うことができる。
【0038】
(15) 上記(7)〜(14)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記カバー及び拘束部材に設けられて、前記カバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施して前記液体を攪拌する平面駆動手段を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【0039】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバー及び拘束部材に設けられて、カバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施して液体を攪拌する平面駆動手段を備えることで、サンプル生体高分子を含む液体を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
【0040】
(16) 上記(7)〜(15)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記カバー及び拘束部材に設けられて、サンプル生体高分子を含む液体に振動を与える振動手段を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【0041】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバー及び拘束部材に設けられて、サンプル生体高分子を含む液体に振動を与える振動手段を備えることで、液体を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
【0042】
(17) 上記(7)〜(16)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されているマイクロアレイ用カバー部材。
【0043】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されていることで、親水処理が施された液体処理面に滴下された液体が液体処理面の周囲へ流れなくなって、液体を確実に保持することができる。
【0044】
(18) 上記(7)〜(17)のいずれか記載のマイクロアレイ用カバー部材において、前記マイクロアレイに対する前記カバーの開閉機構を備えているマイクロアレイ用カバー部材。
【0045】
このように構成されたマイクロアレイ用カバー部材によれば、カバーの開閉機構を駆動させることで、例えば反応槽に洗浄液を直接注入できるので、マイクロアレイ及びカバーの洗浄を容易に行うことができる。
【0046】
(19) 複数種のプローブ生体高分子をスポット固定している反応場が複数形成されているマイクロアレイに、上記(7)〜(18)のいずれか1項に記載のマイクロアレイ用カバー部材を適用し、以下の(a)〜(d)工程を実施するハイブリダイゼーション方法。
a)前記マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
b)前記マイクロアレイ上の各反応場に検体を含む液体を滴下し、
c)前記反応場のそれぞれを前記マイクロアレイ用カバー部材のカバーで覆って所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
d)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動する。
【0047】
(20) 複数種のプローブ生体高分子をスポット固定している反応場が複数形成されているマイクロアレイに、上記(7)〜(18)のいずれか1項に記載のマイクロアレイ用カバー部材を適用し、以下の(i)〜(iv)工程を実施するハイブリダイゼーション方法。
i)前記マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
ii)前記反応場のそれぞれを前記マイクロアレイ用カバー部材のカバーで所定距離を保って覆い、
iii)前記マイクロアレイ上の各反応場と前記カバーとの間それぞれに検体を含む液体を供給して所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
iv)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動する。
【発明の効果】
【0048】
本発明のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材によれば、マイクロアレイに特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができるとともに取り扱い性の向上を図ることができるハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の複数の実施の形態例について図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
[第1実施形態]
図1乃至図4は本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の第1−1実施形態を説明するものであり、図1は本発明の第1−1実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図、図2は図1のマイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイに取り付けた状態の外観斜視図、図3は本発明の第1−2実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図、図4は本発明の第1−3実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図である。
【0051】
図1に示すように、本発明のハイブリダイゼーション方法を実行する為のマイクロアレイ用カバー部材1は、複数のカバー10と、それらを保持する拘束部材20と、を備えおり、反応場32が複数形成されているマイクロアレイ30に適用される。
【0052】
カバー10は、適用されるマイクロアレイ30とその反応場位置に応じて、予め定められた幅寸法と、予め定められた奥行き寸法と、予め定められた高さ寸法と、を有して矩形に形成されており、底面に、平坦な液体接触面12を有する。また、各カバー10は、その四隅に、液体接触面12から下方に向けて垂下した、スペース維持部材である4個の凸部14を有する。凸部14は、液体接触面12がマイクロアレイ30から所定の距離だけ離れるような高さ寸法を有する。この凸部14は1個だけでも間隔の維持か可能である。
更に、カバー10は、マイクロアレイ30の反応場32毎に独立して互いに非接触に配列されている。また、カバー10の液体接触面には親水処理が施され、その周辺部には撥水処理が施されていても良い。
【0053】
拘束部材20は、例えば、透明な弾性部材を素材とし、プレート状部材としてカバー10の液体接触面12の反対面に連結される板形状に形成されており、複数配列されているカバー10を拘束保持している。拘束部材20は、各カバー10を保持できればよいので、上記に代えて、カバー10位置を通る格子状に形成されても良い。また、拘束部材20は、各カバー10を着脱自在に保持している。これにより、カバー10のいずれか一部が不良となった場合に、そのカバーのみの交換が可能となり、また、反応場32の数に対応して保持するカバーの数を設定することなども可能となる。
【0054】
マイクロアレイ30は、例えばスライドガラス基板として提供され、複数の反応場32位置に対してカバー10を対応配置するように形成される。なお、マイクロアレイ30には、液体接触面に相当する反応場32の周囲に撥水処理を施し、反応場32に親水処理を施していても良い。
【0055】
次に、図1を含め、図2を参照して、マイクロアレイ用カバー部材1を適用したハイブリダイゼーション方法について説明する。
【0056】
まず、マイクロアレイ30の反応場32上に、検体を含む液体40が滴下され、マイクロアレイ30の上部からマイクロアレイ用カバー部材1が下降される。
【0057】
図2に示すように、マイクロアレイ用カバー部材1がマイクロアレイ30に向けて下降されることで、カバー10の凸部14が、反応場32の周りに当接される。これと同時に、カバー10の液体接触面12が液体40の上面に接触される。
【0058】
このとき、カバー10の凸部14が、液体接触面12をマイクロアレイ30から所定の距離だけ離れるような高さ寸法を有するために、液体40が反応場32と液体接触面12との間に生ずる表面張力でもってカバー10の範囲内に保持されることとなり、拘束部材20が弾性を有するために、カバー10が弾性的に保持される。この所定距離は滴下される液体の表面張力が維持できる量に対応しているが、実質的には、凸部14により距離が設定されているので、滴下される液体量も一定値に予め決定されている。
【0059】
このように、拘束部材20によってカバー10が拘束されていることで、カバー10同士は常に離され、そのカバー10の範囲内に表面張力により液体は保持され、各カバー10の範囲内で、コンタミ無くそれぞれのハイブリダイゼーションが進行する。
【0060】
(第1−2実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第1−2実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材について説明する。なお、第1−1の実施形態と同様の作用を有する要素には同じ符号を使用し、その説明を流用している。
図3に示すように、第1−2の実施形態のマイクロアレイ用カバー部材2は、カバー10に上記凸部14が形成されておらず、スペース維持部材としては、拘束部材20にストッパー22が形成されている。なお、凸部14を配接することも可能である。
【0061】
ストッパー22は、軸形状に形成されて、拘束部材20の四隅からマイクロアレイ30に向けて垂下されており、マイクロアレイ30に当接された際に、カバー10の液体接触面12がマイクロアレイ30から所定の距離だけ離れるようにする。
【0062】
第1−2の実施形態のマイクロアレイ用カバー部材2を適用したハイブリダイゼーション方法では、マイクロアレイ用カバー部材2がマイクロアレイ30に向けて下降されることで、拘束部材20のストッパー22が、マイクロアレイ30における反応場32の外側に当接され、カバー10の液体接触面12が液体40の上面に接触される。
【0063】
そして、拘束部材20のストッパー22が、カバー10の液体接触面12をマイクロアレイ30から所定の距離だけ離れるような長さ寸法を有するために、液体40が反応場32と液体接触面12との間に生ずる表面張力でもってカバー10の範囲内に保持される。
【0064】
(第1−3実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第1−3実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材3について説明する。なお、第1の実施形態と同様の作用を有する要素には同じ符号を使用し、その説明を流用している。
図4に示すように、第1−3実施形態のマイクロアレイ用カバー部材3は、各反応場32に対向する凸状平面部16を有する波形形状に形成されており、凸状平面部16の液体接触部12がカバーとなり、マイクロアレイ用カバー部材3他の部分が拘束部材となる構成である。このマイクロアレイ用カバー部材3は、例えば、透明樹脂材料に対する圧縮成形により形成することができる。
【0065】
第1−3の実施形態のマイクロアレイ用カバー部材3を適用したハイブリダイゼーション方法では、マイクロアレイ用カバー部材3がマイクロアレイ30に向けて下降されることで、凸状平面部16の液体接触面12が液体40の上面に接触されて、液体40が反応場32と液体接触面12との間に生ずる表面張力により凸状平面部16の範囲内に保持される。
【0066】
上述したように、本発明の各マイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、マイクロアレイ30の反応場32にスポット固定されている複数種のサンプル生体高分子を含み、反応場32上に供給される液体40が、反応場32毎に独立して互いに非接触に配置されているカバー10によって覆われ、拘束部材20によってカバー10が拘束されることで保持して液体40がカバー10の範囲内に留まる。これにより、マイクロアレイ30に追加処理を行わないので、コスト面で有利にできる。また、カバー10が検体単位に独立しているために、乾燥蒸発懸念がない。したがって、マイクロアレイ30に特殊な処理を施すことなく多検体ハイブリダイゼーションを効率良く行うことができる。
【0067】
また、本発明のハイブリダイゼーション方法によれば、カバー10に設けられるスペース維持部材である凸部14、ストッパ22によりカバー10と反応場32との間隔を非接触に維持し且つサンプル生体高分子を含む液体40を保持するために、例えば、マイクロアレイ30に反りが生じたとしても、その反りに追従することで、カバー10とマイクロアレイ30との隙間を一定に保つことができる。
【0068】
また、本発明のハイブリダイゼーション方法によれば、カバー10の液体接触面12の周囲への撥水処理及び液体接触面12への親水処理が成されることで、反応場32上へ滴下された液体40が親水処理が施された液体処理面12のみに接し、撥水処理部でカバー10の他の部分への流れなくなって、液体40を確実に保持することができる。
【0069】
また、本発明のマイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、拘束部材20が各カバー10を弾性を以て拘束する弾性拘束部材であることで、処理作業中の外部振動等を各カバーに伝えることなく、確実な処理作業を行うことができる。
【0070】
また、本発明のマイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、拘束部材20が各カバー10の液体接触面12と反対面を拘束するプレート状部材であることで、プレート状部材によって、各カバー10を一括的に処理することができるので、効率良くハイブリダイゼーションを行うことができる。
【0071】
また、本発明のマイクロアレイ用カバー部材3によれば、各反応場32に凹み部16を有する波形形状であって凹み部16で液体接触部12がカバーとなり他の部分が拘束部材となることで、カバーと拘束部材とを一体的に形成して、コスト面で有利に製造することができる。
【0072】
また、本発明の各マイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、カバー10と反応場32との間隔を非接触に維持し且つカバー10により液体40を保持するスペース維持部材である凸部14、ストッパー22を備えることで、液体40の保持を確実に行うことができる。
【0073】
また、本発明の各マイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、スペース維持部材がカバー10の液体接触面12側に設けられた凸部14であり、反応場32の回りの場所に凸部14で接触させることで、例えば、マイクロアレイ30に反りが生じたとしても、その反りに追従することで、カバー10とマイクロアレイ30との隙間を一定に保つことができる。
【0074】
また、第1−2実施形態のマイクロアレイ用カバー部材2によれば、スペース維持部材が拘束部材20に設けられたストッパー22であり、カバー10の液体接触面12と反応場32とを一定間隔に保つことで、液体40の保持を確実に行うことができる。
【0075】
また、第1−2実施形態のマイクロアレイ用カバー部材2によれば、スペース維持部材がマイクロアレイ30に対して拘束部材20に設けられたストッパー22であり、カバー10の液体接触面12と反応場32とを一定間隔に保つことで、液体40の保持を確実に行うことができる。
【0076】
また、本発明のマイクロアレイ用カバー部材1,2,3によれば、カバー10の液体接触面12の周囲への撥水処理及び液体接触面12への親水処理が成されていることで、親水処理が施された液体処理面に滴下された液体が液体処理面の周囲へ流れなくなって、液体40を確実に保持することができる。
【0077】
(第2実施形態)
本発明のハイブリダイゼーション導入から洗浄までは、次のような(a)〜(e)工程によって実施される。
a)マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
b)マイクロアレイ上の各反応場に検体を含む液体を滴下し、
c)反応場のそれぞれを前記マイクロアレイ用カバー部材のカバーで覆って所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
d)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動し、
e)反応槽内に洗浄液を注入して洗浄する。
【0078】
図5を参照して、本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の第2実施形態についてより具体的に説明する。図5は本発明の第2実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の側面図である。なお、以下の各実施形態において、上述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を流用する。
【0079】
図5に示すように、第2実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材4は、開閉機構50と、平面駆動手段60と、を備える。そして、マイクロアレイ用カバー部材4は反応槽70内に供給配置される。
【0080】
開閉機構50は、拘束部材20に固定されたアーム52と、このアーム52の中間位置に配置された枢軸54と、カム部材56と、から主として構成されている。アーム52は、その先端部が拘束部材20の上面に固定されており、枢軸54を介して、その基端部が延出されている。カム部材56は、アーム52の基端部側に接触されており、カム軸58が不図示の駆動手段に結合されている。カム部材56は、駆動手段である、例えばモータが駆動されることでアーム52の基端部側を押圧する。
【0081】
マイクロアレイ用カバー部材4は、反応槽70内に供給配置されるマイクロアレイ30上にカバー10及び拘束部材20を載置可能の構成であり、マイクロアレイ用カバー部材4を支持するアーム52が反応槽70から延出して構成で配置される。反応槽70は、底部に配置されるヒータ72によって加熱可能である。
【0082】
次に、本発明のハイブリダイゼーション導入から洗浄までの工程を具体的に説明する。
まず、開閉機構50において、不図示のスイッチがオンされることで、カム部材56が、例えば、図5中の90度のストロークでもって回動されると、カム部材56と接触しているアーム52基端部が図5中の下方に向けて押圧され、それによって、枢軸54を介して、アーム52の先端部側が拘束部材20及びカバー10とともに図5中の上方に向けて上昇され、反応槽70が開口状態となる。ここで、反応槽70内にマイクロアレイ30が供給配置される。反応槽70の内部寸法はマイクロアレイ30を基準位置に設定できる構成となっている。
【0083】
次に、マイクロアレイ30上の各反応場32に、図示していない滴下手段(例えば、ディスペンサー)により、検体を含む液体の所定量が滴下される。この滴下量は、反応場の広さ、マイクロアレイ30とカバー10との距離、供給される液の粘性などにより、予め設定されている。
【0084】
そして、カム部材56の駆動により、アーム52が下降し、マイクロアレイ30の各反応場32にマイクロアレイ用カバー部材4のカバー10が対応して降下し、反応槽70の閉位置となり、カバー10に設けられた凸部14により、カバー10とマイクロアレイ30との間隔が所定距離となる位置で保持される。この状態でハイブリダイゼーションに必要な所定時間の間、維持される。この反応槽70は必要に応じてヒータ72(図9)により加熱される。
【0085】
ここで、平面駆動手段60は、開閉機構50の枢軸54に連結されたラック部材62と、ラック部材62に噛み合う歯車64と、から主として構成されており、開閉機構50のアーム52を共用する。この平面駆動手段60は、歯車64の歯車軸66が、例えば、ステップモータ等の駆動手段に結合されているために、不図示のスイッチがオンされることで、予め定められた回動角度でもって、時計回転方向と反時計回転方向とに連続的に回動される。歯車64が往復回動されることで、ラック部材62がアーム52を、拘束部材20の長手方向に往復移動させるために、マイクロアレイ30の反応場32上で液体40を保持しているカバー10が、マイクロアレイ30の平面と平行状態を維持しつつ反応場32上を水平に往復移動されて、液体40を撹拌する。
【0086】
図9は、反応槽70への洗浄液の供給・廃棄を示す概略図である。
ハイブリダイゼーションに必要な所定時間が経過後、再度のカム部材56の駆動により、反応槽70の開口動作が実施される。これにより、マイクロアレイ用カバー部材4は反応槽70内部から完全に移動される。そして、反応槽70内に、洗浄液供給ポンプ73から、洗浄液タンク75に貯蔵されている洗浄液が供給されて、マイクロアレイ30及びカバー10の液体接触面12等が洗浄され、洗浄が終了したところで、洗浄液吸引ポンプ74が反応槽70内の洗浄液を吸い上げて廃液タンク76に送給する。
【0087】
第2実施形態のハイブリダイゼーション方法によれば、カバー10及び拘束部材20に設けられた平面駆動手段60によりカバー10をマイクロアレイ30の平面と平行維持しつつ往復運動されてサンプル生体高分子を含む液体40を攪拌することで、簡素な構造で、効率よく撹拌を行って反応効率を向上させることができる。
【0088】
また、第2実施形態のハイブリダイゼーション方法によれば、カバー10の開閉機構50を駆動させることで、反応槽70に洗浄液を直接注入できるので、マイクロアレイ30及びカバー10の洗浄を容易に行うことができる。
【0089】
また、第2実施形態のマイクロアレイ用カバー部材4によれば、カバー10及び拘束部材20に設けられて、カバー10をマイクロアレイ30の平面と平行状態を維持しつつ往復運動を実施して液体40を攪拌する平面駆動手段60を備えることで、サンプル生体高分子を含む液体40を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
【0090】
また、第2実施形態のマイクロアレイ用カバー部材4によれば、カバー10の開閉機構50を駆動させることで、反応槽70に洗浄液を直接注入できるので、マイクロアレイ30及びカバー10の洗浄を容易に行うことができる。
【0091】
上記第2実施形態では、ハイブリダイゼーション導入から洗浄までは、前述の工程(b)(c)の順番を入れ替え、次のような(i)〜(v)工程によって実施される形態で、カバーで反応場を覆った後に、検体を含む液体を導入するという構成も提供できる。
i)マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
ii)反応場のそれぞれをマイクロアレイ用カバー部材のカバーで所定距離を保って覆い、
iii)マイクロアレイ上の各反応場とカバーとの間それぞれに検体を含む液体を供給して所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
iv)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動し、
v)反応槽内に洗浄液を注入して洗浄する。
【0092】
この場合、マイクロアレイ用カバー部材の拘束部材には、マイクロアレイ上の各反応場とカバーとの間に検体を含む液体を供給する液供給部材であるノズルやディスペンサー等をそれぞれ設ける構成とすることが好ましい。そして、この液供給部材はマイクロアレイの移動と共に移動することが好ましい。
【0093】
(第3実施形態)
次に、図6及び図7を参照して、本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の第3実施形態について説明する。図6は本発明の第3実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の側面図、図7は図6の一部破断平面図である。
【0094】
図6、図7に示すように、第3実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材5は、第2実施形態と同様の開閉機構50と、平面駆動手段80と、を備える。
【0095】
平面駆動手段80は、カバー10にそれぞれ結合された回動軸82と、回動軸82にそれぞれ結合された従動歯車84と、従動歯車84にそれぞれ噛み合うとともに枢軸54に取り付けられている両面ラック部材86と、から主として構成されている。この平面駆動手段80は、歯車64の歯車軸66が、例えば、ステップモータ等の駆動手段に結合されているために、不図示のスイッチがオンされることで、予め定められた回動角度でもって、歯車64が時計回転方向と反時計回転方向とに連続的に回動される。
【0096】
歯車64が往復回動されることで、枢軸54を介してラック部材62に結合されている両面ラック部材86が拘束部材20の長手方向に往復移動させるために、両面ラック部材86の往復移動に伴い各従動歯車84が往復回動され、それによって、マイクロアレイ30の反応場32上で液体40を保持しているカバー10がマイクロアレイ30の平面と平行状態を維持しつつ反応場32上を回動運動されて液体40を撹拌する。
【0097】
第3実施形態のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材5は、第2実施形態と同様の作用効果を奏するために、それらの説明は省略されるが、特に、本実施形態のハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材5によれば、液体40に対する回転運動でもって撹拌できるために、平面撹拌に適さない成分に対して効率の良い撹拌を行うことができる。
【0098】
(第4実施形態)
次に、図8を参照して、本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材の第4実施形態について説明する。図8は本発明の第4実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図である。
【0099】
図8に示すように、第4実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材6は、カバー10内に、圧電素子等の振動手段である振動子80をそれぞれ内蔵している。
マイクロアレイ用カバー部材6は、カバー10及び拘束部材20が反応槽70内に収められている反応試験時及び洗浄時に、振動子80が駆動されることで、カバー10が振動され、その振動成分でもって液体40を撹拌することができるとともに、洗浄時に洗浄液を撹拌することができる。振動子80は、カバー10に代えて拘束部材20に内蔵されても良い。
【0100】
第4実施形態のハイブリダイゼーション方法によれば、カバー10に設けられる振動子80によりサンプル生体高分子を含む液体40に振動成分を与えることで、液体40を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
また、第4実施形態のマイクロアレイ用カバー部材6によれば、カバー10に設けられて、サンプル生体高分子を含む液体40に振動を与える振動子80を備えることで、液体40を効率よく撹拌して反応効率を向上させることができる。
【0101】
なお、本発明に係るハイブリダイゼーション方法及びマイクロアレイ用カバー部材は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図である。
【図2】図1のマイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイに取り付けた状態の外観斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の第1変形例の外観斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の第2変形例の外観斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の側面図である。
【図7】図6の一部破断平面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るマイクロアレイ用カバー部材の外観斜視図である。
【図9】反応槽への洗浄液の供給・廃棄を示す概略図である。
【符号の説明】
【0103】
1 マイクロアレイ用カバー部材
10 カバー
14 凸部(スペース維持部材)
16 凹み部(凹み部分)
20 拘束部材
22 ストッパー(スペース維持部材)
30 マイクロアレイ
32 反応場
40 液体
50 開閉機構
60 平面駆動手段
70 反応槽
80 振動子(振動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種のプローブ生体高分子をスポット固定している反応場が複数形成されているマイクロアレイに対して、前記反応場毎に独立して互いに非接触に配置されるカバーにより各反応場上のサンプル生体高分子を含む液体を覆い、前記カバーを拘束する拘束部材により保持して各反応場上のサンプル生体高分子を含む液体を各カバーの範囲内に留めるハイブリダイゼーション方法。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバーまたは拘束部材に設けられるスペース維持部材により前記カバーと前記反応場との間隔を非接触に維持し且つサンプル生体高分子を含む液体を保持するハイブリダイゼーション方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバー及び拘束部材に設けられる平面駆動手段により前記カバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施してサンプル生体高分子を含む液体を攪拌するハイブリダイゼーション方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバー及び拘束部材に設けられる振動手段によりサンプル生体高分子を含む液体に振動を与えるハイブリダイゼーション方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されているハイブリダイゼーション方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載のハイブリダイゼーション方法であって、
前記マイクロアレイに対する前記カバーの開閉機構を備えてマイクロアレイ及びカバーの洗浄を容易にするハイブリダイゼーション方法。
【請求項7】
反応場が複数形成されているマイクロアレイに対して、前記反応場毎に独立して互いに非接触に配置されて各反応場上に供給される液体を覆うカバーと、前記カバーを拘束保持して各反応場上の液体を各カバーの範囲内に留める拘束部材とを備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項8】
請求項7記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記拘束部材が前記各カバーを弾性を以て拘束する弾性拘束部材であるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項9】
請求項7又は8記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記拘束部材が前記各カバーの液体接触面と反対面を拘束するプレート状部材であるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記カバーが前記拘束部材に対して着脱自在であるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項11】
請求項7又は8記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
各反応場側に凸平面部を有する波形形状であり、前記凸平面部分で前記液体接触部がカバーとなり他の部分が拘束部材となるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記カバーと前記反応場との間隔を非接触に維持し且つ前記カバーにより液体を保持するスペース維持部材を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項13】
請求項7〜12のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記スペース維持部材が前記カバーの液体接触面側に設けられた凸部であり、この凸部が前記反応場の外縁部で前記マイクロアレイと接触するマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記スペース維持部材がマイクロアレイに対して前記拘束部材に設けられたストッパーであり、前記カバーの液体接触面と反応場とを一定間隔に保つマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項15】
請求項7〜14のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記カバー及び拘束部材に設けられて、前記カバーをマイクロアレイ平面と平行維持しつつ往復または回転運動の少なくとも一方を実施して前記液体を攪拌する平面駆動手段を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項16】
請求項7〜15のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記カバー及び拘束部材に設けられて、サンプル生体高分子を含む液体に振動を与える振動手段を備えるマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項17】
請求項7〜16のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記カバーの液体接触面の周囲への撥水処理又は液体接触面への親水処理の少なくとも一方の処理が成されているマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項18】
請求項7〜17のいずれか1項記載のマイクロアレイ用カバー部材において、
前記マイクロアレイに対する前記カバーの開閉機構を備えているマイクロアレイ用カバー部材。
【請求項19】
複数種のプローブ生体高分子をスポット固定している反応場が複数形成されているマイクロアレイに、請求項7〜18のいずれか1項に記載のマイクロアレイ用カバー部材を適用し、以下の(a)〜(d)工程を実施するハイブリダイゼーション方法。
a)前記マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
b)前記マイクロアレイ上の各反応場に検体を含む液体を滴下し、
c)前記反応場のそれぞれを前記マイクロアレイ用カバー部材のカバーで覆って所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
d)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動する。
【請求項20】
複数種のプローブ生体高分子をスポット固定している反応場が複数形成されているマイクロアレイに、請求項7〜18のいずれか1項に記載のマイクロアレイ用カバー部材を適用し、以下の(i)〜(iv)工程を実施するハイブリダイゼーション方法。
i)前記マイクロアレイを位置特定可能の反応槽内に設置し、
ii)前記反応場のそれぞれを前記マイクロアレイ用カバー部材のカバーで所定距離を保って覆い、
iii)前記マイクロアレイ上の各反応場と前記カバーとの間それぞれに検体を含む液体を供給して所定時間の間ハイブリダイゼーションを実施し、
iv)所定時間経過後、マイクロアレイ用カバー部材をマイクロアレイ上から移動する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−103501(P2009−103501A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273826(P2007−273826)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「個別化医療の実現のための技術融合バイオ診断技術開発/染色体解析技術開発/臨床診断用全自動染色体異常解析システムの開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】