説明

ハイブリッドナノ粒子

無機ナノ粒子を形成することのできる化合物と官能基を含有している有機分子との反応により得られる粒子、並びに非活性の有機ポリマーの仕上げ処理のため、殊にUV線の作用に対して安定化するためのこの粒子の使用。このような粒子を含有している液体処方物並びにこの粒子及びその液体処方物の製造法。前記の液体処方物から得られる粉末及びこの粉末の再分散により得られる液体処方物。光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化するための、表面に光吸収性の有機化合物が結合しているナノ粒子の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機ナノ粒子を形成できる化合物と官能基を含有している有機分子との反応により得られる粒子、並びにこの粒子を、非活性有機ポリマーの仕上げ加工のため、殊にUV線の作用に対して安定化させるために使用することに関する。更に本発明は、このような粒子を含有している液体処方物、並びにこの粒子及びその液体処方物の製造法に関する。本発明には、前記の液体処方物から得られる粉末及びこの粉末の再分散により得られる液体処方物も包含される。
【0002】
本発明の更なる実施形は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び実施例から知ることができる。本発明の目的の前記及び後述の特徴は、その都度の具体的記載の組み合わせだけではなく、他の組み合わせでも、本発明の範囲を逸脱せずに使用可能であることは明らかである。その中の全ての特徴が好ましい又は全く好ましい本発明の実施形が好ましい又は特別好ましい。
【0003】
表面変性されたナノスケールのセラミック粉末の製造は、WO93/21127から公知である。この場合には、非変性のセラミック粉末が、粉末粒子の表面上に存在する基と反応することのできる及び/又は相互に作用することのできる基を含有する低分子量有機化合物の存在下に、水中及び/又は有機溶剤中に分散されている。この低分子量有機化合物の例としては、特定のモノ−及びポリカルボン酸、モノ−及びポリアミン、β−ジカルボニル化合物、オルガノアルコキシシラン又は変性されたアルコレートが挙げられている。この低分子量有機化合物を用いるこの表面変性は、ナノスケールの粒子の凝集をコントロールする作用をする。
【0004】
EP1205177A2及びEP1205178A2は、皮膚科用及び化粧用の組成物の製造のために使用できる複合体(Konjugate)を記載している。この複合体には、無機顔料及びスぺーサー基を介して無機顔料に結合している有機化合物をベースとしている作用物質が包含されている。この複合体の製造は、スぺーサー基を介する予製無機顔料へのこの作用物質の結合によって行われている。
【0005】
WO2006/099952中には、少なくとも1個の架橋可能な発色団を基体としているシェルを有している金属酸化物粒子が記載されている。この金属酸化物粒子を予め準備し、次いで架橋可能な発色団を含有しているシェルが供給されている。
【0006】
WO2007/017587及びWO2007/017586は、化粧用遮光処方物中で使用するための、金属誘導体及びカルボキシル−又はスルホン酸基を含有している有機化合物をベースとしているナノ粒子を含有している混合物を記載している。これら有機化合物は、カルボキシル−又はスルホン酸基を介してナノ粒子に結合している。この混合物の製造は、既に共有結合した有機化合物を含有している特別なアルコキシ化合物を用いて行われている。
【0007】
WO2005/120440A1は、無機ネットワーク及びスぺーサー基を介してこのネットワークに結合した有機化合物を含有している粒子を記載しており、ここで、有機化合物は、その製造時の共重合によって、粒子の内部に存在している。無機ネットワークの内部中の有機分子の存在は、例えば有機分子と粒子周辺との間の相互作用が望ましい場合に、この粒子の使用特性に負に作用することがありうる。
【0008】
技術水準の前記方法では、変性された粒子の製造が、屡々、存在粒子の表面変性によって又は既に変性された化合物の反応によって行われている。ある場合には、存在する粒子寸法を制限しており、他の場合には、差し当たり変性された化合物が製造されている。しかしながら、双方の処理法は、変性された粒子の製造可能性を制限している。
【0009】
更に、官能性添加物、例えばUV吸収剤での非活性有機ポリマーの仕上げ処理時に、屡々、この官能性添加物が時間の経過でポリマーマトリックスを逃出し、例えばそれらがポリマーの表面に移行(マイグレーション)する問題が現れる。更に、非活性有機ポリマー中の官能性添加物の安定性(寿命)を高める要求が存在する。
【0010】
従って本発明は、予め成形された粒子又は予め変性された化合物を使用することなしに、簡単かつコントロールされた製造に基づいて、変性された粒子を提供することを課題としていた。本発明のもう一つの課題は、高い安定性を有するマイグレーシヨン安定機能性の添加剤を有効に入手することを可能とする、改良された他の製造法を見つけることであった。
【0011】
これらの及び他の課題は、本発明の開示内容から明らかなように、広く記載されている本発明による方法の種々の実施形によって解決される。
【0012】
意外にも、これらの課題は、無機ナノ粒子Xを形成することのできる化合物Vと官能基Zを含有している有機分子Mとの反応(この際、分子Mと化合物Vが、粒子Pの形成プロセスの間中一緒に存在している)によって得られる粒子Pによって解決されることを発見した。
【0013】
この発明の範囲内で、型C〜Cなる表現は、特定数の炭素原子を有する化合物又は置換基を表している。炭素原子の数は、a及びbを含み、aからbまでの全範囲から選択することができ、aは少なくとも1であり、bは常にaより大きい。化合物又は置換基のもう一つの特定は、型C〜C−Vの表現により行われる。ここで、Vは1つの化合物群又は置換基群、例えばアルキル化合物又はアルキル置換基を表している。
【0014】
ハロゲンは、弗素、塩素、臭素又は沃素、特に弗素、塩素又は臭素、特別好ましくは弗素又は塩素を表す。
【0015】
種々の置換基を記載している全体的概念は、個々には次のものを表している:
〜C20−アルキル:炭素原子数20までを有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばC〜C10−アルキル又はC11〜C20−アルキル、好ましくはC〜C10−アルキル、例えばC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、又はC〜C−アルキル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチル−ペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、又はC〜C10−アルキル、例えばヘプチル、オクチル、2−エチル−ヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル又はデシル並びにこれらの異性体。
【0016】
〜C20−アルキルカルボニル:1個のカルボニル基(−CO−)を介して結合されている炭素原子数1〜20を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(前記のような)、好ましくはC〜C10−アルキルカルボニル、例えばホルミル、アセチル、n−又はイソ−プロピオニル、n−、イソ−、sec−又はtert−ブタノイル、n−、イソ−、sec−又はtert−ペンタノイル、n−又はイソ−ノナノイル、n−ドデカノイル。
【0017】
アリール:炭素原子数6〜14を有する単環〜三環の芳香環系、例えばフェニル、ナフチル又はアントラセニル、好ましくは単環〜二環の特別好ましくは単環の芳香環系。
【0018】
アリールオキシは、1個の酸素原子(−O−)を介して結合されている単環〜三環の芳香環系(前記のような)、好ましくは単環〜二環の、特別好ましくは単環の芳香環系である。
【0019】
アリールアルキルは、1個のC〜C20−アルキレン基を介して結合されている単環〜三環の芳香環系(前記のような)、好ましくは単環〜二環の、特別好ましくは単環の芳香環系である。
【0020】
〜C20−アルキレン:炭素原子数2〜20を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基、例えばC〜C10−アルキレン又はC11〜C20−アルキレン、好ましくはC〜C10−アルキレン、殊にメチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレン。
【0021】
ヘテロ環:5〜12員の、好ましくは5〜9員の、特別好ましくは5〜6員の酸素−、窒素−及び/又は硫黄原子、場合により複数の環を有する環系、例えばフリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はt−ブチルチオフェニル。
【0022】
〜C20−アルコキシは、1個の酸素原子(−O−)を介して結合されている炭素原子数1〜20を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基(前記のような)、例えばC〜C10−アルコキシ又はC11〜C20−アルコキシ、好ましくはC〜C10−アルキルオキシ、殊に好ましくはC〜C−アルコキシ、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシを表す。
【0023】
ヘテロ原子は、好ましくは酸素、窒素、硫黄又は燐である。
【0024】
本発明の範囲内で、概念「溶剤」は、副次的に、希釈剤にも用いられる。溶解された化合物は、分子が溶解され、懸濁され、分散された又は乳化された形で溶剤中に存在するか又は溶剤と接触して存在する。勿論、溶剤の混合物も溶剤として理解される。
【0025】
本発明による粒子Pの「液体処方物」は、粒子Pの溶液、分散液、乳濁液又は懸濁液である。
【0026】
この出願の範囲で、「ナノ粒子」とは、1nm〜1000nmの粒度を有する粒子であると理解される。概念(ナノ)粒子(Partikel)に関して、概念「(ナノ)粒子(Teilchen)」も使用される。
【0027】
ナノ粒子及び粒子Pの粒度の測定のために、当業者には、粒子の組成に依存して、かつ部分的には粒度に関して相互に異なる結果を生じることができる、一連の種々の方法を使用することができる。例えば、透過電子顕微鏡(TEM)、動的光散乱(DLS)又はUV吸収波長の測定を用いて粒度を測定することができる。本発明の範囲内でこの粒度は、可能な場合には、透過電子顕微鏡(TEM)の測定を用いて測定される。ナノ粒子の理想的な球形形状の場合には、この粒度は粒径に一致するはずである。差し当たり生じた一次粒子の場合によるナノ粒子の互いの接触貯蔵の結果として生じる凝集物は、1000nmより大きいことも当然ありうる。
【0028】
本発明によれば、粒子Pは、無機ナノ粒子Xを形成することのできる化合物Vと官能基Zを含有している有機化合物Mとの反応により製造される。化合物Vは、全て同じであることも異なっていることもできる。更に、有機分子M並びに官能基Zは全て同じであることも異なっていることもできる。従って、本発明による粒子は、異なる種類の粒子の混合物であることもできる。化合物Vが全て同じであることが好ましい。化合物Vが全て同じで、同時に有機分子Mが全て同じであることが特別好ましい。
【0029】
本発明による粒子P及びナノ粒子Xは、結晶であることも非晶質であることもできるか又は結晶質及び非晶質構造の変動性割合を有することもできる。検査はTEM測定によって又はX線−粉末回折測定によって行われる。
【0030】
無機ナノ粒子X及び有機分子Mを含有している本発明による粒子Pの化学量論的又は量的組成は、例えば化合物Vの特性又は有機分子Mの特性に依存して、下記に説明されているように広い範囲にわたり変えることができる。
【0031】
化合物Vとしては、原則的に、化学的反応により無機ナノ粒子Xを形成することのできる全ての物質がこれに該当する。
【0032】
化合物Vとして、加水分解−及び縮合反応(ゾル−ゲル法)の結果により無機ナノ粒子を形成することができるような物質を例示することができる。
【0033】
化合物Vとして、金属−又は半金属酸化物、金属−又は半金属硫化物、−セレン化物、−窒化物、−硫酸塩又は−炭酸塩を含有している無機ナノ粒子を形成させるような物質を使用することが好ましい。この場合に、金属−又は半金属酸化物、殊に好ましく金属酸化物を含有している無機ナノ粒子を形成させるような化合物Vが特別好ましい。例えばこのような化合物Vは、元素Si、Zn、Ti、Ce、Zr、Sn、Feを含有している。Zn、Ti、Snが好ましい。
【0034】
1実施形で化合物Vは、Ti(OH)、Ti(OEt)4、チタンテトラプロポキシド(=Ti(OPr))、チタンテトライソプロポキシド(=Ti(OiPr))、Zn(アセテート)(=Zn(OAc))、Zn(メタクリレート)、Zn(ベンゾエート)、ZnCl、ZnBr、Zn(NO又はSnClである。Zn(OAc)、Zn(NO、ZnCl、Ti(OiPr)又はSnClが好ましい。
【0035】
本発明による粒子の他の1実施形では、他の金属塩である化合物Vが、無機ナノ粒子の形成のために使用される。
【0036】
この場合に、1〜5価の金属カチオンの金属塩を使用することが好ましい。2〜4価の金属カチオンの金属塩を使用することが特別好ましい。金属カチオンとして、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、土類金属イオン又は遷移金属イオンがこれに該当する。金属カチオオンとして、Zn(II)、Ti(IV)、Ce(I)、Ce(III)、Zr(II)、Sn(II)、Sn(IV)、Fe(II)、Fe(III)が好ましい。Zn(II)、Ti(IV)が特別好ましい。
【0037】
化合物Vが金属塩である場合にアニオンとしては、アセテート、ホルミエート又はベンゾエートが好ましい。アセテートが特別好ましい。
【0038】
既に記載のように、同様に、無機ナノ粒子を形成するような化合物Vは、金属酸化物又はそれらの混合物を含有することが好ましい。この場合に、型Aの金属酸化物(ここで、xは1〜3の範囲の数値であり、yは1〜5の範囲の数値であり、Aは金属である)が特別好ましい。金属酸化物としては、ZnO、TiO、ZrO、CeO、Ce、SnO、SnO、Al、SiO又はFeが全く特別好ましい。殊に、ZnO、TiO、ZrO、CeO、Ce、SnO
【0039】
好ましい本発明による粒子Pは、記号式X−Mに従い、この際、有機分子Mが化合物Vをベースとしている無機ナノ粒子Xと相互に作用する。無機ナノ粒子Xの表面でこの相互作用が優先的に行われ、この場合に、本発明による粒子Pは表面変性された無機ナノ粒子に相当する。この記号式X−Mで、当然、本発明による粒子Pの広範囲内で変動可能な組成が示されている。この組成には、有機分子Mと有機ナノ粒子Xとの相互作用が包含される。記号式X−Mは、複数の有機分子Mと無機ナノ粒子Xとの相互作用を、好ましく特徴付けている。
【0040】
本発明による粒子Pの構造は、一般に、例えば化合物Vの特性に依存して、広範囲にわたり変動することができる。例えば、有機分子Mは、粒子P中に分配されているか又は粒子の表面上に存在することができる。粒子P中の有機分子Mの分配は、均一でも不均一でもありうる。Mは、優先的に粒子Pの表面に又は本質的に表面に存在する。粒子Pの表面の有機分子Mでの被覆は、完全に又は部分的に、例えば個々の島の形で存在することができる。有機分子Mは、既に記載のように、本質的に粒子Pの表面上に存在することが全く好ましい。本発明による粒子Pの構造は、中に有機分子Mが存在しない範囲内で、有機分子が粒子Pの形成の間に存在しない場合に存在するであろう無機ナノ粒子Xの構造に一致することができる。粒子P中の有機分子Mの分布の測定は、例えば、TEM測定を用いる粒子Pの結晶性の測定によって行われる。例えば、粒子P中の有機分子Mの分布は、一般に、本質的に粒子Pの表面上の有機分子Mの分布よりもより強力に粒子Pの結晶性を妨げる。
【0041】
多くの用途で、無機ナノ粒子Xを本発明による粒子Pで代えることもできる。
【0042】
一般に、粒子Pは、粒子Pの全質量に対して0.1〜99.9質量%、有利には1〜80質量%、特別好ましくは5〜70質量%の有機化合物Mを含有している。
【0043】
無機粒子X及び本発明による粒子Pは、1nm〜1000nmの粒度を有することが好ましい。X及びPの粒度は1nm〜100nmが好ましい。1nm〜50nmの粒度が特別好ましく、全く好ましくは1nm〜30nm、殊に1nm〜20nmの粒度が好ましい。
【0044】
官能基Zを含有している有機分子Mは、好ましくは低分子量であり、即ちこれは800g/モルより低い分子量を有する。600g/モルを下回る、殊に500g/モルを下回る有機分子の分子量が全く好ましい。
【0045】
有機分子Mは、好ましくは式Y’−Zに従う。ここで、Y’は化学的構造単位(リンカー)を表し、これを介して、場合によってはYまでへのY’の化学的変換の後に、この有機分子と無機ナノ粒子Xとは相互作用をする。従って、本発明による粒子を、好ましくは次の象徴的な一般式(I)及び(II)によって記載することができる:
X−Y’−Z (I)
又は
X−Y−Z (II)
例えば、リンカーY’からリンカーYまでの化学的変換は、加水分解によって行われる。
【0046】
Y’とX又はYとXとの間の相互作用の方式は、異なるYとY’に対して非常に異なることがありうる。例えば、リンカーは、無機ナノ粒子Xと共有結合していることができる。更に、静電気的(イオン性)相互作用、双極子−双極子力を介して又は水素−架橋結合を介しての相互作用も可能である。優先的に、リンカーは共有的に又は静電気的にXと相互作用をする。このリンカーは、当然複数の位置でも無機ナノ粒子と相互作用することができ、例えば複数の共有結合を形成するか又は共有結合と並んで、例えば水素−架橋を介してXと更に相互作用をすることができる。
【0047】
リンカー −Y−の例は次のものである:
【化1】

(*は、官能基Zへの結合位置を示している)。
【0048】
式中で、
はH、C〜C20−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロ環、C〜C20−アルキルカルボニルであり、
、Rは相互に無関係に、O、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロ環であり、
は化学的単結合、O、C〜C20−アルキレン、C〜C20−アルキレン−Rであり、
はO、N、S、N(R)−C=O、N−CO、OC、CO、OCN、OCO
【化2】

であり、
はH、C〜C20−アルキルであり、
はH、金属カチオンであり、
この際、置換基R〜R及び/又はRはそれぞれ、任意の位置で1個以上のヘテロ原子で中断されていてもよく、この際、これらのヘテロ原子の数は10以下、好ましくは8以下、全く特別好ましくは5以下、殊に3以下であり、かつ/又はそれぞれ任意の位置であるが、5個以下、好ましくは4個以下、特別好ましくは3個以下のC〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘテロ原子又はハロゲンにより置換されていてよく、この際、これらも同様に最大2個、好ましくは最大1個の前記の置換基で置換されていてよい。金属カチオンは、好ましくは1−、2−又は3価の金属カチオン、例えばアルカリ金属−、アルカリ土類金属−、土類金属−、遷移金属カチオンである。殊に金属カチオンは、Li、Na、K、Ca2+及び/又はMg2+である。金属カチオンの価数で、当然、全体として電気的中性を確保することが考えられる。例えば、2価の金属カチオンは、2個のリンカーL10を中和する。イオン相互作用の形成、例えばリンカーL10の間の塩架橋が可能である。
【0049】
好ましいリンカー−Y−は、L1、L5、L8、L10又はL14である。
【0050】
好ましいシラン−リンカーL14は、
【化3】

(*は、官能基Zへの結合位置を示している)
又はこれらシラン−リンカーL15又はL16の(部分的)加水分解誘導体である。
【0051】
本発明による粒子の1実施形で、有機分子Mは、化合物Vと作用するだけでなく、入り交じって相互作用をする。例えば、有機分子Mは、互いに静電気的に相互作用するか又は水素架橋結合を介して、互いに相互作用することができる。同様に、有機分子Mは、無機ナノ粒子との可能な化学反応の前又は後に、互いに化学反応で反応することが可能である。例えばこのことは、有機分子Mの間の架橋反応の形で可能である。この架橋は、粒子Pの形成の前、間又は後に行うことができる。有機分子が縮合反応することができるシラン基を有する場合に、このような架橋が好ましく行われる。粒子Pの表面に有機分子Mが存在する場合には、この架橋反応を、完全に架橋されたシェルを形成するように実施することができるか又は表面上に部分的にのみ架橋された範囲を得ることもできる。
【0052】
有機分子の官能基Zは、本発明による粒子の使用に依存して非常に異なることができる。例えば、この官能基Zには、電磁線を吸収することのできる発色団が包含される。このような発色団は、例えばIR、可視光又はUV線を吸収することができる。例えば、このような発色団は、吸収された光を、再び、場合によっては他の波長で放出させる(蛍光又は燐光)か又は吸収された光エネルギーを非放射線的に放出することができる。更に、放射及び非放射線的な失活の組み合せプロセスも可能である。
【0053】
更に官能基Zには、UV吸収剤と並んで、例えば有機ポリマーの安定剤、有機ポリマーの助剤、難燃剤、有機染料又はIR−染料、蛍光染料、蛍光増白剤、帯電防止剤、粘着防止剤、成核剤、抗微生物添加剤が包含される。
【0054】
好ましく、この官能基Zには、400nmより短い、殊に200〜400nmの波長を有するUV−光を吸収する発色団(UV吸収剤)が包含される。従って、このような発色団は、例えばUV−A(320〜400nmの)、UV−B(290〜319nmの)及び/又はUV−C(200〜289nmの)光を吸収することができる。この発色団は優先的にUV−A及び/又はUV−B光を吸収する。全く特別優先的に、この発色団はUV−A及び/又はUV−Bを吸収し、この吸収された光エネルギーを非照射線的に失活させる。
【0055】
官能基Zの例は、次のものである:
【化4】

(*は、リンカーY又はY’への結合位置を示している)
[式中、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜C20−アルキル、ヒドロキシフェニル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、モノ−又はジ−アルキルアミノ、ニトリル、カルボキシレート、エステル、チオール、スルホキシド、スルホン酸、アシル、ホルミル、カルボニルオキシアルキル、カルボニルアミノアルキルであり、nは、0〜4の範囲の整数であり、
n個の置換基Rは相互に無関係に、同じ又は異なるものであってよく、この際、置換基Rは、任意の位置で1個以上のヘテロ原子で中断されていてよく、この際、これらヘテロ原子の数は10以下、好ましくは8以下、全く特別好ましくは5以下、殊に3以下であり、かつ/又はともかく任意の位置で、それぞれ5個以下、好ましくは4個以下、特別好ましくは3個以下のC〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘテロ原子又はハロゲンにより置換されていてよく、この際、これらも同様に、最大2個、好ましくは最大1個の前記の置換基で置換されていてよい]。
【0056】
本発明による粒子Pは、好ましく200〜600nmの波長を有する光を吸収する。更に本発明による粒子の吸収スペクトルは、好ましくは少なくとも、200〜600nmの波長範囲での吸収最大を示している。本発明による粒子Pは、優先的にUV−A及び/又はUV−B光を吸収する。本発明による粒子Pは、全く優先的にUV−A及び/又はUV−B光を吸収し、この吸収された光エネルギーを、非放射線的に失活させる。
【0057】
UV吸収剤としては、リンカーY又はY’を有する有機分子Mが好ましく使用される。
【0058】
UV吸収剤は、屡々市販製品である。それらは、例えば、Uvinul(登録商標)なる商品名で、BASF AG,Ludwigshafenから販売されている。このUvinul(登録商標)遮光剤には、次の群の化合物が包含される:ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、シアノアクリレート、桂皮酸エステル、パラ−アミノベンゾエート、ナフタルイミド。更に他の公知発色団、例えばヒドロキシフェニルトリアジン又はオキサルアニリドが使用されうる。このような化合物は、例えば単独で又は他の遮光剤と混合して化粧品、例えば日焼け防止剤中で使用されるか又は有機ポリマーの安定化のために使用される。特別好ましく使用されるUV吸収剤は、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシ−ベンゾフェノンである。UV吸収剤の更なる例は次のものである:
置換されたアクリレート、例えばエチル−又はイソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート(主に2−エチルヘキシル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート)、メチル−α−メトキシカルボニル−β−フェニルアクリレート、メチル−α−メトキシカルボニル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、メチル−又はブチル−α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、N−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、オクチル−p−メトキシシンナメート、イソペンチル−4−メトキシシンナメート、ウロカニン酸又はこれらの塩又はエステル;
p−アミノ安息香酸の誘導体、殊にそれらのエステル、例えばアミノ安息香酸−エチルエステル又はエトキシル化された4−アミノ安息香酸エチルエステル、サリチレート、置換された桂皮酸塩(シンナメート)、例えばオクチル−p−メトキシシンナメート又は4−イソペンチル−4−メトキシシンナメート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸又はこれらの塩。
【0059】
2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−、2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン並びに4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン−スルホン酸−ナトリウム塩;
4,4−ジフェニルブタジエン−1,1−ジカルボン酸のエステル、例えばビス(2−エチルヘキシル)エステル;
2−フェニルベンズイミダゾール−4−スルホン酸並びに2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸又はこれらの塩;
ベンズオキサゾロンの誘導体;
ベンズトリアゾール又は2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾールの誘導体、例えば2−(2H−ベンズトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6(2−メチル−3−((1,1,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)−プロピル)−フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロルベンズトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロルベンズトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)−ベンズトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロルベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロルベンズトリアゾール、2[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロルベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンズトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンズトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルカルボニルエチル)フェニル]−ベンズトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンズトリアゾール−2−イル−フェノール]、ポリエチレングリコール300[R−CHCH−COO(CH−](Rは3’−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5’−2H−ベンズトリアゾール−2−イルフェニルに等しい)による2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンズトリアゾールの完全エステル化生成物、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンズトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンズトリアゾール;
ベンジリデンカンファ又はその誘導体、例えばDE−A3836630中に挙げられているもの、例えば3−ベンジリデンカンファ、3(4’−メチルベンジリデン)d−1−カンファ;
α−(2−オキソボルニ−3−リデン)トルオール−4−スルホン酸又はその塩、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルニ−3−イリデンメチル)アニリニウム−モノスルフェート;
ジベンゾイルメタン、例えば4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;
2,4,6−トリアリールトリアジン−化合物、例えば2,4,6−トリス−{N−[4−(2−エチルヘキシ−1−イル)オキシカルボニルフェニル]アミノ}−1,3,5−トリアジン、4,4’−((6−(((t−ブチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)イミノ)ビス(安息香酸−2’−エチルへキシルエステル);
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス−(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジ−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジ−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−フェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0060】
更なる好適なUV吸収剤は、文献 Cosmetic Legislation,Vol.1,Cosmetic Products, European Commission 1999,64−66頁に記載されており、これをもって本発明に開示されているものとする。
【0061】
更に好適なUV吸収剤は、EP1191041A2の6頁14〜30行([0030])にも記載されている。これは完全に引用でき、この文献をもって、本発明に開示されているものとする。
【0062】
従って本発明によれば、有機分子MとしてUV吸収剤を含有している粒子Pを、UV−光の作用に対してポリマーを安定化するために使用することができる。
【0063】
本発明のもう一つの課題は、光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化するための一般的な方法であり、この際、ポリマーに、表面に光吸収性の有機化合物、例えばUV吸収剤を結合しているナノ粒子を添加する。本発明によるこの一般的方法は、当然、本質的にその表面に光吸収性化合物を有している相応する発明による粒子Pを用いて実施することができるが、これのみに限定されるものではない。一般に、表面に光吸収性有機化合物を有している全てのナノ粒子、例えば表面変性されたナノ粒子を使用することができる。このような表面変性されたナノ粒子の製造は、例えば刊行物WO2006/099952 A2、EP1205177又はWO2007/017586から公知である。刊行物WO2006/099952A2(3〜16頁)、EP1205177([0013]、[0071]−[0076])又はWO2007/017586([0012]−[0055])に記載の表面変性された粒子の例が顕現的に参照でき、これら刊行物をもって本発明に開示されているものとする。
【0064】
本発明のもう一つの課題は、光、ラジカル又は熱に対してポリマーを安定化するために、表面に光吸収性の有機化合物が結合しているナノ粒子を使用することである。
【0065】
その表面に光吸収性有機化合物が結合しているナノ粒子をポリマー中に導入することは、ポリマー中への本発明による粒子Pの導入と同じ方法によって行うことができる。
【0066】
ポリマー中での無機ナノ粒子X、例えばZnO及びTiOをベースとしているナノ粒子の使用は、屡々、ポリマーマトリックスの損傷又は破壊に対する、従ってポリマーの特性の劣化に対するこのナノ粒子の光触媒作用に基づき行われる。本発明による粒子Pは、有機分子MとしてUV吸収剤が使用される場合に、この光触媒活性を減少させる又は完全に抑制する利点を有する。
【0067】
有機分子MとしてのUV吸収剤を用いて本発明の方法により製造された粒子Pは、大抵、UV吸収剤が安定化されて存在する更なる利点を有している。本発明による粒子P中へのUV吸収剤の取込みによって、大抵、UV吸収剤の耐用時間が延長され、UV吸収剤の早すぎる光化学的破壊が阻止される。この作用効果は、UV吸収剤の必要量の有効な減少に寄与する。
【0068】
有機分子Mとしては、更に有機ポリマー用の安定剤が考慮される。安定剤とは、酸素、光(UV以外)又は熱の作用による分解に対して有機ポリマーを安定化する化合物である。これは、酸化防止剤又は光安定剤とも称される(Ullmanns,Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.3,629-650(ISBN-3-527-30385-5及びEP−A1110999、2頁29行〜38頁29行参照)。このような安定剤を用いて、実際に全ての有機ポリマーを安定化させることができる(EP−A1110999、38頁30行〜41頁35行参照)。これらの文献は、本発明のこの開示内容に関連している。このEP特許中に記載の安定剤は、ピラゾロン、有機ホスファイト又はホスホナイト、立体障害されたフェノール及び立体障害されたアミンの化合物群に属している(いわゆるHALS Typs o.HALS- Stabilisatoren,Vgl.Roempp.10.Auflage,Band 5,4206−4207頁の安定剤参照)。従って本発明によれば、有機分子Mとして安定剤を含有している粒子Pを、ポリマーの安定化のために使用することができる。
【0069】
有利な1実施形では、有機分子MとしてUV吸収剤及び有機ポリマーの特定の助剤を含有している粒子Pの混合物が使用される。これら助剤の例は、難燃剤、有機染料、IR−染料、蛍光染料、蛍光増白剤、成核剤、抗微生物添加剤である。使用分野に応じて助剤とUV吸収剤との割合を著しく変えることができる。例えば、UV吸収剤と助剤とのこの割合は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5、殊に2:1〜1:2である。
【0070】
更に有機分子Mとしては、有機ポリマーの助剤がこれに該当する。助剤とは、例えばプラスチックからのシート又は成形品の曇り(Beschlagen)を少なくとも充分に阻止する物質、いわゆる防曇剤であると理解することができる。更に、ポリマー添加剤としては、それから殊にプレート又はシートが製造されうる有機ポリマーの霧着防止剤が好適である。このようなポリマー添加剤は、例えば F.Wylin,のPlastics Additives Handbook,5th. Edition, Hanser, ISBN 1-56990-295-X,609−626頁に記載されている。従って本発明によれば、有機分子Mとして助剤を含有している粒子Pを、防曇剤又は霧着防止剤として使用することができる。
【0071】
更なる好適な有機分子Mは、滑剤、例えば酸化されたポリエチレンワックス並びに有機ポリマーの帯電防止剤である。帯電防止剤の例は、前記文献F.Wylin,Plastics Additives Handbook,627−645頁を参照されたし。
【0072】
更なる好適な有機分子Mは、例えばRoempp,10.Auflage,1352及び1353頁並びにUllmanns,Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.14,53−71に記載されている難燃剤(Flammschutzmittel)である。従って本発明によれば、有機分子Mとして難燃剤を含有している粒子Pをポリマーの難燃剤として使用することができる。
【0073】
市販の安定剤及び助剤は、例えば商品名Tinuvin(登録商標)、Chimassorb(登録商標)及びIrganox(登録商標)としてCibaから、Cyasorb(登録商標)及びCyanox(登録商標)としてCytecから、Lowilite(登録商標)、Lowinox(登録商標)、Anox(登録商標)、Alkanox(登録商標)、Ultranox(登録商標)及びWeston(登録商標)としてChemturaから、及びHostavin(登録商標)及びHostanox(登録商標)としてClariantから提供されている。安定剤及び助剤は、例えばPlastics Additives Handbook,5.Auflage,Hanser Verlag, ISBN 1-56990-295-X中に記載されている。
【0074】
他の有機分子Mは、可視範囲の光を吸収する有機染料又は蛍光増白剤である。このような染料及び蛍光増白剤は、技術水準で記載されているWO99/40123、10頁14行〜25頁25行に挙げられており、これをもって本発明に開示されているものとする。有機染料は400〜850nmの波長で吸収最大を有している一方で、蛍光増白剤は250〜400nmの範囲で1以上の吸収最大を有している。蛍光増白剤は周知のように、UV−光の照射時に、可視領域の蛍光照射線を放出する。蛍光増白剤の例は、ビススチリルベンゾール、スチルベン、ベンズオキサゾール、クマリン、ピレン及びナフタリンの群からの化合物である。市販の蛍光増白剤は、Tinopal(登録商標)(Ciba)、Ultraphor(登録商標)(BASF Aktiengesllschaft)及びBlankophor(登録商標)(Bayer)なる商品名で販売されている。更に蛍光増白剤は、Roempp.10.Auflage,Band 4,3028-3029(1998)及びUllmanns,Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.24,363-386(2003)中に記載されている。従って本発明によれば、有機分子Mとして有機染料又は増白剤を含有している粒子Pをポリマーの着色又は増白のために使用することができる。
【0075】
更なる好適な有機分子Mは、例えばBASF AktiengellschaftからLumogen(登録商標)IRとして市販されているIR−染料である。Lumogen(登録商標)染料には、ペリレン、ナフタルイミド又はクアテリレン(Quqterylene)の群の化合物が包含される。従って本発明によれば、有機分子MとしてIR−染料を含有している粒子Pを、ポリマーのIR−吸収剤として又はポリマーの不可視の標識付けのために使用することができる。
【0076】
殊に、ベンゾフェノンの存在下にZnOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pが好ましい。
【0077】
殊に、サリチル酸の存在下にZnOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pも好ましい。
【0078】
更に、式Y’−Z又はY−Z(ここで、Yはシラン−リンカー(L14)であり、ZはUV吸収剤の官能基である)の有機分子Mの存在下にZnOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pが好ましい。
【0079】
更に、式Y’−Z又はY−Z(ここで、Yはカルボニル−リンカー(L5)であり、ZはUV吸収剤の官能基である)の有機分子Mの存在下にTiOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pが好ましい。
【0080】
更に、式Y’−Z又はY−Z(ここで、Yはスルホン酸−リンカー(L8)であり、ZはUV吸収剤の官能基である)の有機分子Mの存在下にTiOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pが好ましい。
【0081】
更に、式Y’−Z又はY−Z(ここで、Yはシラン−リンカー(L14)であり、ZはUV吸収剤の官能基である)の有機分子Mの存在下にTiOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pが好ましい。
【0082】
殊に、式Y’−Z又はY−Z(ここで、Yはリンカー(L1)であり、Zは基Z2である)の有機分子Mの存在下にZnOを形成する化合物Vの反応によって得られる粒子Pも好ましい。
【0083】
好ましい本発明による粒子Pは、その全ての特徴がその好ましいものを表している粒子である。
【0084】
本発明による粒子は、当然、後に、技術水準から公知の方法を用いてその表面を変性することができる(EP1205117A2、WO93/21127)。
【0085】
本発明による粒子Pの製造は、無機ナノ粒子Xを形成することのできる化合物と官能基Zを有している有機分子Mとの反応によって行われ、この際、分子M及び化合物Vは粒子Pの形成プロセスの間中、一緒に存在している。
【0086】
既に説明しているように、化合物Vを用いて無機ナノ粒子を形成することができる。この際に、無機ナノ粒子Xの形成は、有機分子Mの不存在下に行うこともできる。しかしながら本発明によれば、化合物V及び有機分子Mは、粒子Pの形成時に一緒に存在している。有機分子Mは、化合物Vからの無機ナノ粒子の形成に、化合物Vの反応時に無機ナノ粒子Xではなく本発明による粒子Pが生じるように、有利に影響する。有機分子Mの存在以外の、無機ナノ粒子までの化合物Vの反応の際に実施されるはずの残りの反応条件は、変わらないことが全く特別好ましい。
【0087】
1実施形で、本発明による粒子Pの製造は、次の工程を包含している:
(a)場合により溶剤中に溶かされた化合物V及び場合により溶剤中に溶かされた有機分子Mの準備、
(b)場合による溶剤中での化合物Vと有機分子Mとの混合、
(c)場合による更なる物質又は更なる有機分子Mの添加(b)の下で場合による化合物Vからナノ粒子Xを形成するはずの反応条件下における、(b)からの混合物の反応により本発明による粒子Pを生成、
(d)場合による粒子Pの単離、
(e)場合による粒子Pの精製及び後処理、
(f)場合による粒子Pの更なる変性、
(g)場合による粒子Pの再分散。
【0088】
粒子Pの製造のための本発明の方法による好ましい1実施形では、工程(a)で、有機分子M又は化合物Vを有機溶剤中に溶かす。化合物Vも有機分子Mも1溶剤中に溶かされており、溶けた形で混合され、殊に化合物Vと有機分子Mとが同じ溶剤中に溶かされていることが特別好ましい。
【0089】
更に、本発明の方法の工程(c)で、更なる物質、例えば無機ナノ粒子の形成のための開始剤又は触媒又は他の有機分子Mを添加することが好ましい。無機ナノ粒子の形成のための開始剤又は触媒とは、粒子Pの形成を開始させ又は促進させる物質であると理解することができる。例えば、更なる物質として、塩基、殊にEtONa、EtOK、EtOLi、PrONa、MeONa、NaOH、LiOH、KOH、トリアルキルアミン、テトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド又は酸、殊にHCl、HSO、HNO、酢酸又は塩、殊にテトラ−アルキルアンモニウムハロゲニドが使用される。
【0090】
工程(c)で更なる有機分子Mが添加されることが好ましい。これらの更なる有機分子Mの添加は、粒子Pの粒度をコントロールするため又は付加的な官能基Zを粒子P中に取込むために使用することができる。一般に、粒度は有機分子Mの濃度に依存し、Mの濃度が高い程、一般に粒子Pの粒度は小さい。更なる有機分子Mの添加を介し、付加的な官能基Zを粒子P中に取込むことができる。この場合に、Zは全て同じ又は異なっていることもできる。有利に、本発明による方法を用いて、異なるZを有する粒子Pを製造することができる。異なるZを有して製造された本発明による粒子Pは、一般に異なるZに基づく組み合わされた特性を有する。例えばこのような方法で、種々のUV吸収剤を含有し、従って全ての必要な吸収スペクトルをカバーする粒子Pを製造することができる。官能基の更なる組み合わせは、例えば難燃剤と染料又はUV吸収剤と難燃剤との組み合わせである。所望の使用範囲に応じて、更なる組み合わせを選択することができる。そのような組み合わせ物は屡々相乗作用(Synergien)を示す。
【0091】
本発明による製造法の工程(a)で、1溶剤を使用し、工程(c)で更なる物質を添加するか又は更なる分子Mを添加することが全く特別好ましい。
【0092】
好ましい1実施形で、本発明による粒子Pの製造には次の工程が包含される:(a)Zn(OAc)及びUV吸収剤の準備、(b)極性溶剤、好ましくはエタノール又は水中でのZn(OAc)とUV吸収剤との混合、(c)塩基、好ましくはNaOH、LiOHの存在下での、(b)からの混合物の反応による本発明による粒子Pの生成、(d)場合による粒子Pの単離、(e)場合による粒子Pの精製及び後処理、(f)場合による粒子Pの更なる変性、(g)場合による粒子Pの再分散。
【0093】
もう一つの好ましい実施形での本発明による粒子Pの製造には、次の工程が包含される:(a)Ti(OiPr)及びUV吸収剤の準備、(b)極性溶剤、好ましくはエタノール又は水中でのTi(OiPr)とUV吸収剤との混合、(c)塩基、好ましくはNaOH、LiOHの存在下での、(b)からの混合物の反応による本発明の粒子Pの生成、(d)場合による粒子Pの単離、(e)場合による粒子Pの精製及び後処理、(f)場合による粒子Pの更なる変性、(g)場合による粒子Pの再分散。
【0094】
もう一つの好ましい実施形には、次の工程の本発明の粒子Pの製造が包含される:(a)文献処方(C.Sanchez et al. J.Am.Chem.Soc. 2005,127,4869-4878,R.Schmid,A. Mosset and J.Galy,J.Chem.Soc.,Dalton Trans.,1991,1999)によるTi1616(OEt)32及びUV吸収剤の準備、(b)極性溶剤、好ましくはエタノール又は水中でのTi1616(OEt)32とUV吸収剤との混合、(c)塩基、好ましくはNaOH、LiOHの存在下での、(b)からの混合物の反応による本発明の粒子Pの生成、(d)場合による粒子Pの単離、(e)場合による粒子Pの精製及び後処理、(f)場合による粒子Pの更なる変性、(g)場合による粒子Pの再分散。
【0095】
場合による粒子Pの更なる変性(f)には、好ましくは、殊に有機分子M上での粒子Pの化学的変性、全く好ましくは官能基Z上での化学的反応が包含される。例えば本発明の方法のこの実施形では、不活性形から活性形への官能基Zの(後の)変換が可能である。
【0096】
一般に、本発明による粒子Pの製造のためには、圧力及び温度は重要性が低い。温度の選択は、粒度に影響することができ、当然、使用される化合物Vに依存して決まる。通常この反応温度は、5℃〜300℃の範囲、屡々10〜150℃の範囲である。20〜70℃の範囲の反応温度が好ましい。この反応は通例、常圧又は環境圧で実施される。しかしながら、50バールまでの圧力範囲で実施することもできる。
【0097】
本発明による液体処方物の固体含分は、一次近似的に本発明による粒子Pにより測定され、用途に応じて広い範囲内で変えられる。通常、固体含分は、液体処方物の全質量に対して1〜90質量%の範囲、殊に5〜70質量%の範囲内にある。
【0098】
本発明による液体処方物は、それ自体として又は希釈の後に直接使用することができる。更に、本発明による液体処方物は、なお慣用の添加物(添加剤)、例えば粘度を変える添加剤(濃化剤、増粘剤)、消泡剤、殺細菌剤、凍結防止剤及び/又は界面活性物質を含有することができる。界面活性物質には、保護コロイド又は低分子量の乳化剤(界面活性剤)が挙げられ、この際、後者は保護コロイドとは異なり、大抵2000g/モルを下回る、殊に1000g/モル(質量平均)を下回る分子量を有する。保護コロイド又は乳化剤は、アニオン、非イオン、カチオン性であることも、両性イオン性であることもできる。
【0099】
更に、本発明による液体処方物は、慣用の結合剤、例えば水性ポリマー分散液、水溶性樹脂又はワックスを有して処方されることができる。
【0100】
本発明による粒子Pは、液体処方物中に含有されており、この液体処方物から(本発明の方法の工程(d)及び(e))、液相の揮発性成分の除去によって、粉末形で取得することができる。粉末中で本発明による粒子は別々に、凝集された形で又は部分的に成膜されて存在することもできる。この場合に、本発明による粉末は、例えば液相の蒸発、凍結乾燥又はスプレー乾燥によって得られる。
【0101】
屡々、本発明による液体処方物は、本発明による粉末を例えばエタノール又はトルエン中に再分散させること(本発明の方法の工程(f))によって得られる。
【0102】
本発明による液体処方物及びこれからの液相の分離によって得られる本発明による粉末は、それが有機分子Mを、長時間にわたりコントロールされたマイグレーシヨン安定で含有している、即ち有機分子Mは長時間にわたり粒子Pと会合して粒子Pの外の環境に放出されない利点を有している。更に屡々、ナノ粒子の無機成分も、有機分子Mでの変性によって同様に粒子P中に固定されて、周辺に放出されない。従って、有機分子M及び/又は無機ナノ粒子は、その使用のために特別有利な形で存在する。この事実は、殊にUV吸収剤を含有しているような液体処方物又は粒子粉末に当て嵌まる。このマイグレーシヨン安定性は、例えば液体処方物のスプレー乾燥及び引き続くテトラヒドロフラン(THF)での粉末の抽出によって測定することができ、この際に、抽出により再取得される有機分子M分を測定している。更に本発明により、金属含有無機ナノ粒子の場合には、屡々、粒子Pからの金属の逃出が阻止される。従って、例えば金属(カチオン)の有害作用を制御することができる。
【0103】
その液体処方物形の本発明による粒子又は粉末は、有機ポリマーの仕上げ処理、例えば安定化のために好ましく使用される。この粒子を、この目的のために液体処方物としても粉末としても、慣用法によって有機ポリマー中に取込むことができる。ここで、例として、押出工程の前又は間の粒子と有機ポリマーとの混合が挙げられる。一般に、他の例えば表面変性されたナノ粒子も、本発明による粒子と一緒に又は単独でも、例えば添加剤又は充填物として有機ポリマー中に取込むことができる。
【0104】
有機ポリマー中への本発明による粒子Pの取込みの後に、粒子Pはポリマーマトリックス中に存在し、有機分子が本発明によりマイグレーシヨン安定で有機ポリマー中に含有される。このマイグレーシヨン安定性は、粒子粉末の前記方法(THFでの抽出)と同様に、粒子Pを含有しているポリマー粉末にも適用することができる。更にこのマイグレーシヨン安定性は、光学的測定によって試験することができる。このために、粒子Pを含有している有機ポリマーから、例えば押出しにより膜を製造し、これを高い温度(例えば60℃)でゲル化させる。一定時間、例えば1〜2週間の後に、光学的試験によって、粒子Pが膜の表面で移行されているか否か(可視の付着物の形成)を確認することができる。
【0105】
ここで不活発な有機ポリマーとは、任意のプラスチック、好ましくは熱可塑性プラスチック、殊にシート、繊維又は任意の形状の成形体であると理解することができる。本出願の範囲では、これを簡単に有機ポリマーとも称している。ポリマー添加剤での有機ポリマーの仕上げ処理又は安定化のための更なる例は、Plastics Additives,Handbook,5.Auflage ,Hanser Verlag,ISBN 1-56990-295-Xから引用することができる。有機ポリマーは、好ましくはポリオレフィン、殊にポリエチレン又はポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン又はメチルスチレンとジエン及び/又はアクリル誘導体との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン又はポリエステルである。有機ポリマーは、前記ポリマーの共重合体、混合物又は配合物であることもできる。特別好ましいポリマーは、ポリオレフィン、殊にポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0106】
UV−作用に対して熱可塑性ポリマーを安定化するために、例えば次のように処理することができる:先ずポリマーを押出機中で溶融させ、本発明により製造されたUV吸収剤を含有する粒子粉末を、例えば180〜200℃の温度でこのポリマー融液中に導入し、これから顆粒を製造し、次いでこれから公知法により、UV線の作用に対して安定化されているシート、繊維又は成形品を製造する。
【0107】
勿論、本発明による使用の範囲で、種々の本発明による粒子の混合物を使用することもできる。この混合物の粒子は、同じ又は異なる組成及び粒度分布を有することができる。例えばUV吸収剤含有粒子を、例えば有機ポリマー用の安定剤、例えば酸化防止剤を含有する他の本発明による粒子と一緒に、有機ポリマー及び塗膜層の安定化のために使用することもできる。
【0108】
例えば、このような本発明による液体処方物又はこれから例えばスプレー乾燥によって得られる、本発明の粒子を含有し、少なくとも1種の酸化防止剤、例えばフェノール系化合物、例えばペンタエリスリットテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えばCiba SCからのIrganox(登録商標)1010として入手可能)を含有している粉末が、工業的に重要である。更に、少なくとも1種の有機ポリマー用の帯電防止剤又は有機ポリマー用の霧着防止剤又は有機ポリマー用の着色剤を含有している粒子粉末が重要である。
【0109】
本発明による液体処方物はUV吸収剤及び安定剤を含有していることが好ましい。
【0110】
有機ポリマーの仕上げ処理、例えば安定化のための使用のために、本発明による粒子Pを、全作用効果を改良するために他の添加剤系と一緒に使用することもできる。例えばポリマー添加剤の慣用の乳液コンセントレート、懸濁液コンセントレート、懸濁乳液コンセントレートと一緒に。本発明による粒子と前記ポリマー添加剤の慣用の組成物との混合によって、一方で、慣用の組成物が本発明による粒子とは異なるポリマー添加剤を含有している場合には、作用スペクトルの拡大を得ている。他方で、慣用のポリマー添加剤組成物を有する処方による本発明の粒子の利点、殊に改良されたマイグレーシヨン安定性は消失しない。その結果、慣用のポリマー添加剤組成物の使用特性を、同じポリマー添加剤を含有している本発明による粒子Pを有する処方物によって改良することができる。殊に、この改良されたマイグレーシヨン安定性に基づき、同じ作用効果で、使用添加剤の量を減少させることが可能である。
【0111】
好ましい1実施形で、本発明による粒子Pは、他の安定化剤と一緒に、ポリマーの安定化のために使用される。殊にこのために、更なる安定剤として、UV吸収剤、酸化防止剤、立体障害されたアミン、ニッケル化合物、金属失活剤、ホスファイト、ホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、アミンオキシド、ベンゾフラノン、インドリノン、チオ相乗剤(Thiosynergisten)、過酸化物分解性化合物又は塩基性補助安定剤が使用される。
【0112】
本発明による液体処方物は、一連の更なる利点と結びついている。1つは、例えばポリマー添加剤による粒子Pの安定な処方物である。殊に他の処方物並びにポリマー添加物のマイクロ−又はナノ分散液の場合に観察される相分離問題及びポリマー添加剤の沈殿は、部分的にポリマー添加物を用いる有機ポリマーの仕上げ処理の場合におけるような過激な条件の使用の場合にも、観察されない。処理された有機ポリマーからのポリマー添加剤の水の作用による洗浄除去は、他の処方物に比較して明らかに低減されている。更に、慣用の処方物の場合に屡々現れているような、このポリマー添加剤と他の処方成分又は共重合添加剤との相互作用は、観察されない。更に、基質−又は環境影響、例えば媒体のpH−値又はUV線によるポリマー添加剤の分解は遅延化又は完全に抑制される。ポリマーマトリックス中への結合によるポリマー添加剤の低下された作用効果は、意外にも一般に観察されない。
【0113】
本発明による製造法のもう一つの利点は、本発明による粒子Pの粒度をコントロール調節できることである。殊に前記のように、化合物Vを有する混合物中の有機分子Mの濃度を介して、粒子Pの粒度を目的に合わせて調節することができる。例えば、ZnOナノ粒子の形成をもたらす化合物Vの存在下でのサリチル酸の使用によって、塩基、例えばNaOHの添加下に、サリチル酸の濃度に依存して、2〜10nmの粒度を調節することができる。有機分子の濃度が大きい程、本発明による粒子Pの粒度は小さい。例えば、Zn(OAc):サリチル酸のモルヒ1:0.5の場合に、約2nmの粒度を得ることができる。例えば1:0.1のZn(OAc):サリチル酸のモル比では、約5nmの粒度が得られる。
【0114】
種々の量の有機分子Mの繰り返し添加(本発明の製造法の工程(c))によって、粒子Pの粒度及び組成は、広範に変えることができる。粒度のこのような変動を介して、粒子Pの特性を調節することもできる。例えば、ZnO又はTiOをベースとするナノ粒子は、粒度に依存して種々のUV−吸収を示す。従って、本発明によれば、例えば粒子PのUV−吸収特性は、使用に応じて変えることができる。当業者が通常の実験で調節することのできる更なる特性は、例えば粒子Pの溶解特性又は粒子Pを含有している材料の透明性である。
【0115】
本発明による粒子Pの製造法は、非常に有効な粒子の達成を可能とする。本発明による粒子は、例えば液体処方物の又は粉末の成分として存在し、かつ容易に、有機ポリマー中に導入することができる。
【0116】
本発明による粒子は、例えば有機ポリマーの静電気帯電又は衝撃に対する仕上げ処理のため及び/又は例えば有機ポリマーの酸化、UV線、熱及び/又は光の作用に対する安定化のために殊に好適である。
【0117】
次の実施例につき本発明を詳述するが、本発明はそれらのみに限定されるものではない。
【0118】
実施例:
全ての当量(eq)はモル当量である。
【0119】
室温(RT):21℃。
【0120】
比較例1:
ZnO−ナノ粒子
【化5】

【0121】
1モル水酸化ナトリウムエタノール溶液(1eq)を、0.03モル酢酸亜鉛エタノール溶液(1eq)に加え、この混合物を室温で撹拌した。酸化亜鉛−ナノ粒子の成長がUV分光分析により観察できた。粒子は、連続的に成長し、暫く後に溶液中で沈殿した。
【0122】
分析:TEMは粒度約4〜5nmの結晶ZnO粒子を示した。
【0123】
水酸化リチウムの使用時には、より小さい(2〜3nm)粒子が、かつ水酸化カリウムの使用時には、より大きい(5〜10nm)粒子が得られた。
【0124】
例1
発色団で変性されたZnO
【化6】

【0125】
水酸化ナトリウム(1eq)のエタノール溶液、酢酸亜鉛(1eq)及び2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−3−アセチルピリジン(UV吸収性発色団)(0.5eq)を混合し、この混合物を室温で撹拌した。室温で1時間反応の後に、表面変性されたZnO−ナノ粒子を得るために、溶液を濃縮乾固させた。この溶液は、粒子が更に成長することなしに数ヶ月間安定であった。
【0126】
この溶液の一部から得られた粉末を、再びエタノール中に分散させることができた。
【0127】
製造(粉末含有):
酢酸亜鉛*2HO(無水エタノール中の0.03モル溶液)300ml(9ミリモル)を準備し、室温で水酸化ナトリウム(無水エタノール中の1モル溶液)9ml(9ミリモル)及び2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−3−アセチルピリジン(メタノール中の0.03モル溶液)150ml(4.5ミリモル)を添加した。この溶液は直ちに淡褐色に変色した。室温で1時間反応の後に生成物溶液を回転蒸発器で室温及び0〜10ミリバールで、3時間かかって濃縮乾固させた。
【0128】
淡褐色の微細な固体(粉末)2.8gが得られた。
【0129】
分析:
再分散された粉末のUV−分光分析は、ZnO及び有機発色団の吸収を示した。変性されたZnOの吸収端は、比較例1からの非変性ZnOの波長(約380nm)よりも非常に短い波長(約330nm)を示した−従ってより小さい粒度が確認された。
【0130】
比較例1で、TEMは、粒度4〜5nmを有する、表面変性されていない結晶ZnO−ナノ粒子を示した。UV吸収剤で変性されたZnO−粒子は、TEMによれば2〜3nmの粒度を有した。
【0131】
固体−NMRは、遊離のUV吸収剤がもはや存在しないことを示していた。全てのUV吸収剤は、結合された形で存在している。
【0132】
同様にこの実験を、次の発色団について実施することができ、類似の結果を得た:
AK ZnO:変性されたZnOの吸収端
【化7】

【0133】
例2:
ZnO及びシラン−リンカー
【化8】

【0134】
酢酸亜鉛溶液(1eq、0.03モルエタノール溶液)、水酸化ナトリウム溶液(1eq、1モルエタノール溶液)及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(0.5eq、エタノール中の0.03モル溶液)からの混合物を、室温で24時間撹拌した。引き続きこの混合物を遠心分離し、分離された固体をメタノールで数回洗浄した。
【0135】
分析:
H−NMRは、もはやSiOEt−基を示していない。
【0136】
TEMは、変性された非常に小さい(2〜3nmの)結晶ZnO粒子を示しており、
TGA(室温600℃まで)は、有機成分に相応する約40%の質量損失を示している。
【0137】
水酸化リチウムの使用の場合には、(1〜2nmの)より小さい粒子が得られ、かつ水酸化カリウムの使用の場合には、(5〜10nmの)より大きい粒子が得られた。
【0138】
更なる生成物を得るために、試薬の濃度及び割合を変えた。
【0139】
RTでの反応:
0.03モルエタノール溶液としての酢酸亜鉛。
【0140】
1モルエタノール溶液としてのNaOH。
【0141】
0.25モルエタノール溶液としてのLiOH。
【0142】
0.03モルメタノール溶液としての3−アミノプロピルトリエトキシシラン(96%、Fa.Fulka)。
【0143】
0.03モルメタノール溶液としての3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(97%、Fa.Alfa Aesar)。
【0144】
Lsg.:溶液。
【0145】
【表1】

【0146】
60℃での反応
【表2】

【0147】
例3
シラン−桂皮酸発色団
【化9】

【0148】
トリエチルアミン(1.5eq)及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(1eq)からの混合物をジクロロメタン中に溶かし、桂皮酸クロリド溶液(1eq)を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌した。引き続き、生成物溶液を水で数回洗浄し、乾燥させ、溶剤を吸引除去した。
【0149】
H−NMRで所望の構造が確認された:
δ(CDCl)0.70(2H、t、CHSi)、1.25(9H、t、3×CH)、1.72(2H、m、CHCHSi)、3.39(2H、q、CHNH)、
3.85(6H、q、3×OCH)、6.10(1H、s、NH)、6.48(1H
、d、CH=C)、7.3−7.4(3H、m、Ar)、7.45−7.55(2H、m、Ar)及び7.62(1H、d、CH=C)
例4:
シラン−シアノアクリレート発色団
【化10】

【0150】
トリエチルアミン(1.5eq)及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン(1eq)からの混合物をジクロロメタン中に溶かし、3,3−ジフェニル−2−シアノアクリロイル−クロリド−溶液(1eq)を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌した。引き続き、生成物溶液を水で数回洗浄し、乾燥させ、溶剤を吸引除去した。
【0151】
H−NMRで所望の構造が確認された:
δ(CDCl)0.55(2H、t、CHSi)、1.35(9H、t、3×CH)、1.50(2H、m、CHCHSi)、3.20(8H、m、3×OCH+CHN)、7.0−7.5(10H、m、Ar)及び11.8(1H、q、NH)
例5:
桂皮酸−シランを有するZnO
【化11】

【0152】
酢酸亜鉛(1eq、0.03モルエタノール溶液)、水酸化ナトリウム(1eq、1モルエタノール溶液)及び上記のシンナメート(0.5eq、0.155モルエタノール溶液)からの混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、粒子を得るために溶剤を吸引除去した。
【0153】
分析:
TEMは、2〜3nmの粒度を有する変性された結晶ZnOを示した。UV-visスペクトルは、λmax270nmでの桂皮酸吸収を示している。
【0154】
例6:
シアノアクリルアミド−シランを有するZnO
【化12】

【0155】
酢酸亜鉛(1eq、0.03モルエタノール溶液)、水酸化ナトリウム(1eq、1モルエタノール溶液)及びシアノアクリルアミド−シラン(0.5eq、0.155モルエタノール溶液)の混合物を、室温で24時間撹拌した。その後、粒子を得るために溶剤を吸引除去した。
【0156】
分析:
TGA(室温600℃まで)は、有機成分に相当する約40%の質量損失を示している。
【0157】
TEMは、2〜3nmの粒度を有する変性された結晶ZnOを示している。
【0158】
UV-visスペクトルは、λmax295nmでのシアノアクリレート吸収を示している。
【0159】
例7:
エタノール中の発色団を有するTiO
一般的処方:
UV−吸収性発色団のエタノール溶液(0.1〜1eq)に、蒸留水(0.7〜14eq)を添加した。この溶液に室温で撹拌下に、チタンテトライソプロポキシド(1eq)を滴加した。室温で1時間反応の後に、この溶液を、粒子を得るために濃縮乾固させた。得られた生成物を再びエタノール中に分散させた。
【0160】
この溶液は、粒子が更に成長することなしに、数ヶ月間安定に留まった。
【0161】
実験例:
【化13】

【0162】
3,3−ジフェニル−2−シアノアクリル酸59mg(0.24ミリモル)をエタノール10ml中に溶かした。蒸留水21.4μl(1.19ミリモル)を添加した。引き続き、この溶液に撹拌下にチタンテトライソプロポキシド100μl(0.34ミリモル)を加えた。室温で1時間反応の後に、生成物溶液を回転蒸発器を用い、RT及び0〜10ミリバールで濃縮乾固させた。
【0163】
同じ反応を、チタンテトライソプロポキシド:水:発色団の種々のモル比で実施した:1:0.7:0.1〜1:14:1。
【0164】
次の発色団を同様に反応させた:
【化14】

【0165】
分析:
エタノール中のUV−スペクトル:TiO及び発色団の吸収の双方を観察した。
レーザー回折による粒度測定:粒度1〜6nm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機ナノ粒子Xを形成することのできる化合物Vと官能基Zを含有している有機分子Mとの反応(この際、分子Mと化合物Vとが粒子Pの形成プロセスの間中、一緒に存在している)により得られる粒子P。
【請求項2】
粒子Pは1nm〜50nmの粒度を有していることを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
無機ナノ粒子Xは金属酸化物を含有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
ナノ粒子Xは、一般式 A(式中、xは1〜3の範囲の数値であり、yは1〜5の範囲の数値であり、Aは金属である)の金属酸化物又はそれらの混合物を含有していることを特徴とする、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
金属酸化物は、ZnO、TiO、ZrO、CeO、Ce、SnO、SnO、Al、SiO又はFe又はこれら金属酸化物の混合物であることを特徴とする、請求項4に記載の粒子。
【請求項6】
粒子Pは記号式X−Mに従い、有機分子Mは本質的に粒子の表面に存在している、請求項1から5までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項7】
有機分子Mは式Y’−Zに従い、Y’は、それを介して有機分子Mが無機ナノ粒子Xと相互作用をする化学的構造単位(リンカー)である、請求項6に記載の粒子。
【請求項8】
有機分子Mは式Y−Zに従い、Yは、それを介して有機分子Mが無機ナノ粒子Xと相互作用をする化学的構造単位(リンカー)であり、かつYは、Y’から化学的反応の後に生じている、請求項6に記載の粒子。
【請求項9】
一般式(I)又は(II):
X−Y’−Z (I)
X−Y−Z (II)
[式中、−Y’−又は−Y−は、
【化1】

であり、"*"は官能基Zへの結合を示しており、
この際、
はH、C〜C20−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロ環、C〜C20−アルキルカルボニルであり、
、Rは相互に無関係に、O、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロ環であり、
は化学的単結合、O、C〜C20−アルキレン、C〜C20−アルキレン−Rであり、
はO、N、S、N(R)−C=O、N−CO、OC、CO、OCN、OCO
【化2】

であり、
はH、C〜C20−アルキルであり、
はH、金属カチオンであり、
この際、置換基R〜R及び/又はRはそれぞれ任意の位置で1個以上のヘテロ原子で中断されていてよく、この際、このヘテロ原子の数は10以下、好ましくは8以下、全く特別好ましくは5以下、殊に3以下であり、及び/又はそれぞれ任意の位置であるが、5個以下の、好ましくは4個以下の、特別好ましくは3個以下のC〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘテロ原子又はハロゲンで置換されていてよく、この際、これらも同様に最大2個、好ましくは最大1個の前記の基で置換されていてよい]に相当している、請求項7又は8に記載の粒子。
【請求項10】
有機分子Mは800g/モルを下回る分子量を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項11】
一般式 X−Y’−Z又はX−Y−Z
[式中、−Zは、
【化3】

(*は、リンカーY又はY’への結合位置を示している)であり、
この際、
Rはハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、C〜C20−アルキル、ヒドロキシフェニル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、モノ−又はジ−アルキルアミノ、ニトリル、カルボキシレート、エステル、チオール、スルホキシド、スルホン酸、アシル、ホルミル、カルボニルオキシアルキル、カルボニルアミノアルキルであり、
nは、0〜4の範囲の整数であり、
n個の置換基Rは相互に無関係に、同じ又は異なるものであってよく、この際、置換基Rは任意の位置で1個以上のヘテロ原子で中断されていてよく、この際、これらヘテロ原子の数は10以下、好ましくは8以下、全く特別好ましくは5以下、殊に3以下であり、及び/又はそれぞれ任意の位置であるが、5個以下、好ましくは4個以下、特別好ましくは3個以下のC〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘテロ原子又はハロゲンによって置換されていてよく、この際、これらも同様に最大2個、好ましくは最大1個の前記の基で置換されていてよい]に相当している、請求項7から10までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項12】
粒子Pは、200〜600nmの波長範囲の電磁線を吸収することを特徴とする、請求1から11までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項13】
粒子Pの吸収スペクトルは、200〜600nmの波長範囲で吸収最大を示していることを特徴とする、請求項12に記載の粒子。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子を含有している、粉末。
【請求項15】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子を含有している、液体処方物。
【請求項16】
次の工程:
(a)場合により溶剤中に溶かされた化合物V及び場合により溶剤中に溶かされた有機分子Mを準備する工程、
(b)場合による溶剤中での化合物Vと有機分子Mとを混合する工程、
(c)場合により更なる物質又は更なる有機分子Mの添加下で場合による化合物Vからナノ粒子Xを形成させるはずの反応条件下における、(b)からの混合物の反応により本発明による粒子Pを生成する工程、
(d)場合により粒子Pを単離する工程、
(e)場合により粒子Pを精製及び後処理する工程、
(f)場合により粒子Pを更に変性する工程、
(g)場合により粒子Pを再分散させる工程
を包含している、請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子を製造する方法。
【請求項17】
工程(a)で、化合物V及び有機分子を有機溶剤中に溶かし、工程(b)で、溶かされた形で混合させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(c)で、更なる物質として、無機ナノ粒子Xの形成のための開始剤又は触媒を添加することを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
工程(c)で、更なる有機分子Mを添加することを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
無機ナノ粒子Xは金属酸化物であることを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
金属酸化物Xは、ZnO、TiO、ZrO、CeO、Ce、SnO、SnO、Al、SiO又はFe又はこれら金属酸化物の混合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項16から21までのいずれか1項に記載の方法によって粒子を製造することを特徴とする、粒度をコントロールする方法。
【請求項23】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子を製造し、その際、有機分子MとしてUV吸収剤を使用することを特徴とする、無機ナノ粒子Xの光触媒活性を抑制する方法。
【請求項24】
有機分子MとしてのUV吸収剤を、請求項1から13のいずれか1項に記載の粒子P中に取込むことを特徴とする、UV吸収剤を安定化する方法。
【請求項25】
光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化するための方法において、前記ポリマーに、請求項1から13までのいずれか1項に記載の粒子を含有している混合物を、ポリマーの安定化のために充分である量で添加することを特徴とする、光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化する方法。
【請求項26】
UV−光の作用に対してポリマーを安定化するための方法において、前記ポリマーに、請求項12又は13項に記載の粒子を含有している混合物を、ポリマーの安定化のために充分である量で添加することを特徴とする、UV−光の作用に対してポリマーを安定化する方法。
【請求項27】
混合物は粒子と共に更なる安定剤を含有していることを特徴とする、請求項25又は26に記載のポリマーを安定化する方法。
【請求項28】
更なる安定剤は、UV吸収剤、酸化防止剤、立体障害されたアミン、ニッケル化合物、金属失活剤、ホスファイト、ホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、アミンオキシド、ベンゾフラノン、インドリノン、チオ相乗剤、過酸化物分解性化合物又は塩基性補助安定剤であることを特徴とする、請求項27に記載のポリマーを安定化する方法。
【請求項29】
光の作用に対してポリマーを安定化するための、請求12又は13に記載の粒子Pの使用。
【請求項30】
化粧品用途におけるUV吸収剤としての、請求項12又は13に記載の粒子の使用。
【請求項31】
光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化するための方法において、前記ポリマーに、表面に光吸収性の有機化合物が結合しているナノ粒子を添加することを特徴とする、光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化する方法。
【請求項32】
光、ラジカル又は熱の作用に対してポリマーを安定化するための、表面に光吸収性の有機化合物が結合しているナノ粒子の使用。

【公表番号】特表2010−531907(P2010−531907A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513958(P2010−513958)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058380
【国際公開番号】WO2009/003981
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】