説明

ハイブリッド粒子を生成する方法

本発明は、ポリマーとSiO粒子とを含むハイブリッド粒子を生成する方法であって、a)第1の重合段階では、1つまたは複数のモノマーと平均粒径が1nm〜150nmであるコロイド状SiO粒子とを含む水不溶相を水性媒体中で重合させ、b)第2の重合段階では、1つまたは複数のモノマーを、第1の重合段階で得られたポリマーの存在下で水性媒体中で重合させる方法に関する。本発明は、ナノスケールSiO粒子およびポリマーに基づくハイブリッド粒子を生成する方法、および本発明による方法によって得ることができる分散液に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノスケールSiO粒子およびポリマーに基づくハイブリッド粒子を生成する方法、および本発明による方法によって得ることができる分散液に関する。
【0002】
ポリアクリレートおよびポリメタクリレートは、従来技術の分野で古くから公知である。それらは、例えば、プレキシガラスまたはいわゆるアクリレートゴムを製造するために使用される。
【0003】
化学的に架橋した純粋なポリアクリレートは、比較的低い強度しか示さない。ポリマーの機械的特性は、フィラーを使用することによって改善することができる。アクリレートエステル基は、比較的容易に鹸化されるので、ポリアクリレートと共に使用できるフィラーは少ししか存在せず、その一例はカーボンブラックである。しかし、カーボンブラックによって、ポリアクリレートに対してしばしば望まれる透明性が損なわれる。
【0004】
特許文献1には、重合体および微細な無機固体からなる粒子の水性分散液を生成する方法が記載されている。
【0005】
特許文献2には、それぞれの場合にSiO粒子を包むポリマーマトリックスからなる混合粒子が記載されている。非特許文献1には、官能基化および非官能基化SiO粒子の存在下でアクリル酸エチルを乳化重合させることによるラテックス粒子の生成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1216262号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0505230号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Angewandte Makromolekulare Chemie 242巻(1996年)105〜122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ポリマーとナノスケールSiO粒子とを含むハイブリッド粒子を生成する方法であって、高規格の複合材料を経済的な方式で製造できる方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の主題は、ポリマーとSiO粒子とを含むハイブリッド粒子を生成する方法であって、
a)1つまたは複数のモノマーと、平均粒径1nm〜150nmを有するコロイド状SiO粒子とを含む水不溶相を、第1の重合段階で水性媒体中で重合させ、
b)第2の重合段階では、1つまたは複数のモノマーを、第1の重合段階で得られたポリマーの存在下で水性媒体中で重合させる方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
両方の重合段階は、水および水不溶相から作製した2相系で実施され、この場合、好ましくは、乳化剤が使用される。重合は、好ましくは、フリーラジカル機構によって進行し、したがって、対応する開始剤を使用することも任意選択で可能である。
【0011】
生成方法において、第1の重合段階では、1つまたは複数のモノマーを、水不溶相中のナノスケールSiO粒子の存在下で重合させる。SiO粒子は、水不溶相中に分散している。重合で使用される水不溶相はまた、任意選択で、モノマーおよびSiO粒子の他に、有機溶媒、および開始剤または乳化剤などの他の成分を含むこともできる。一実施形態では、水不溶相は、実質的に、モノマー、またはモノマーと有機溶媒との混合物からなる。好ましくは、水不溶相は、実質的に、モノマーからなる。
【0012】
第2の重合段階では、モノマーを、第1の重合段階で得られたポリマーの存在下で水性媒体中で重合させる。任意選択で、重合混合物はまた、第1の重合段階の重合物および第2段階のモノマーの他に、有機溶媒、開始剤または乳化剤など他の成分を含むこともできる。
【0013】
使用できる有機溶媒の例は、ケトン、アルデヒド、アルコール、エステル、エーテル、脂肪族、芳香族、およびハロゲン化炭化水素、ならびに可塑剤である。一実施形態では、溶媒の選択は、その溶媒がプロセスの最後で容易に除去できるように行われる。メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびメトキシプロパノールが好ましい。別の実施形態では、溶媒は、長鎖アルコールであり、これは、ハイブリッド粒子中に残存することができる。
【0014】
第1の重合段階は、好ましくは、懸濁重合プロセス、特に好ましくは、微細懸濁重合プロセスである。例えば、モノマー、モノマー可溶性開始剤およびSiO粒子は、水中に懸濁し、重合することができる。乳化は、好ましくは、乳化剤を使用することによって、および高せん断力の作用下で、例えば、高速ミキサを介して行われる。いったん乳化が起こってしまうと、撹拌は、同じレベルで、または好ましくは、より遅い速度で継続してもよい。重合は、一般に、20℃〜150℃、好ましくは、30℃〜100℃の範囲、特に好ましくは、50℃と90℃の間の温度で、例えば、フィード重合またはバッチ重合として実施される。バッチ重合が好ましい。
【0015】
好ましい実施形態では、第1段階のモノマー、コロイド状SiO粒子、および前記モノマーに可溶性の開始剤から作製された水不溶相が、高せん断力の作用下で、水で、好ましくは、乳化剤の助けによって乳化されることによって微細粒子の水中油型エマルジョンが得られる。油滴径は、一般に、100nm〜5000nm、好ましくは、150nm〜2000nm、特に好ましくは、200nmと1500nmの間の範囲、例えば、約0.5μmである。この場合、粒子は、水不溶相中に存在する。生成エマルジョンは、重合温度にされ、小せん断力のみの作用下で重合する。この場合、重合温度は、一般に、20℃〜150℃の範囲、好ましくは、30℃〜100℃の範囲、特に好ましくは、50℃と90℃の間である。
【0016】
この場合、モノマー可溶性開始剤の選定は、選択される重合温度、および使用されるモノマーに依存する。有機過酸化物およびアゾ化合物、例えば、過ケタール、過酸化物および過エステルなど熱で分解する開始剤が好ましい:
t−ブチルペルオキシピバレートτ1/2=1時間(74℃で)
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートτ1/2=1時間(92℃で)
ジラウロイルペルオキシドτ1/2=1時間(80℃で)。
アゾ化合物の例は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
【0017】
開始剤としてのジラウロイルペルオキシドおよび(メタ)アクリル酸エステルを用いた約80℃での第1段階の重合が好ましい。重合は、特に気相モノマーを使用する場合、高圧で実施される。
【0018】
使用できる乳化剤の例は、アニオン性、カチオン性、両性、および非イオン性乳化剤である。アニオン性および非イオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤が特に好ましい。アニオン性乳化剤は、脂肪酸およびスルホン酸のナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩;C12〜C16−アルキルスルフェートのアルカリ金属塩;エトキシル化および硫酸化もしくはスルホン化脂肪アルコール;アルキルフェノールおよびスルホジカルボキシレートエステルを含む。非イオン性乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコールおよび分子当り2〜150個のエチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールを含む。カチオン性乳化剤は、例えば、1つまたは複数の長鎖アルキルからなる疎水性部分を有するアンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物を含む。好ましい乳化剤は、アルキルベンゼンスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、C14〜C16−アルキルスルホネートNa塩、およびドデシルスルフェートNa塩である。アルキルフェノールのエトキシル化および硫酸化を介して生成した乳化剤は、特に良好な適合性を有する。例は、5〜10個のエチレンオキシド単位を有するノニルフェノールまたはトリイソブチルフェノールの誘導体、例えば、6倍のエトキシル化トリイソブチルフェノール、硫酸化Na塩である。乳化剤は、通常、モノマーに対して、0.02重量%〜5重量%、好ましくは、0.1重量%〜2重量%の濃度で使用される。
【0019】
一般に、第1の重合段階では、水中に懸濁したポリマー粒子と、その中に含まれたSiO粒子とを含む懸濁液が得られる。
【0020】
次いで、第1の重合段階で得られたポリマーは、第2の重合段階で使用される。その場合、第1段階で得られた重合混合物は、好ましくは、例えば、第2の重合段階の成分を、第1の重合段階の重合混合物が存在する反応容器に直接添加することによって、直接、さらなる使用に供される。
【0021】
この場合、一実施形態では、第1の重合段階のポリマーは、水不溶相を形成し、この水不溶相はまた、任意選択で、第2段階のモノマーの他に有機溶媒、および開始剤または乳化剤などの他の成分を含むこともできる。
【0022】
好ましい実施形態では、第2の重合段階は、乳化重合である。例えば、モノマー、乳化剤、および任意選択で、水溶性開始剤を含む水性エマルジョンは、第1の重合段階で得られたポリマーに添加することができる。重合プロセスは、フィード重合(半連続重合)、または、単一のまたは複数のバッチ式添加が可能であるバッチ重合として行うことができる。フィード重合が好ましい。
【0023】
別の実施形態では、高せん断力の作用下で、モノマー、水、乳化剤、および任意選択で、水溶性開始剤から生成できるエマルジョンは、第1の重合段階で得られた懸濁液に重合温度で添加される。供給量は、好ましくは、それぞれの場合において、例えば、いわゆるフィード重合の場合のように、少量のモノマーのみが反応混合物中に存在するように制御される。別の実施形態では、モノマー、およびやはり乳化剤を含むことができる開始剤の水溶液は、別々に計量供給される。
【0024】
別の実施形態では、第2の重合段階のモノマーは、追加の開始剤なしで、反応容器中に存在し、かつ第1の重合段階から得られた重合混合物内に計量供給され、第1の重合段階から依然として存在する残留開始剤の存在下で重合する。第1の重合段階のモノマーが80重量%〜95重量%の程度しか重合していないときに、第2の重合段階のモノマーの添加を開始することが、やはり有利であり得る。
【0025】
開始剤が、第2の重合段階に対して添加される場合、水溶性開始剤は、一般に、この目的のために使用される。水溶性開始剤の例は、アルカリ金属過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、および過酸化水素である。開始剤としてペルオキソジスルフェートを使用することが好ましく、その例は、カリウムペルオキソジスルフェートである。酸化成分、例えば、アンモニウムペルオキソジスルフェートの他に、還元成分、例えば、ビスルファイト、ロンガリット、または第三級芳香族アミンを含むレドックス開始剤を使用することもできる。開始剤の量は、好ましくは、モノマーに対して0.01重量%〜2重量%の範囲である。
【0026】
重合が実施される温度は、一般に、20℃〜150℃、好ましくは、30℃〜100℃の範囲、特に好ましくは、50℃と90℃の間である。重合は、特に、気相モノマーが使用される場合、高温で実施される。
【0027】
アルカンチオール、またはチオグリコール酸のエステル、例えば、チオグリコール酸2−エチルヘキシルなどの鎖移動剤を使用することによって、重合ステップ1および2、詳細には、重合ステップ2の分子量を調整することができる。
【0028】
フィード重合プロセスの形態をとる好ましい実施形態では、モノマー、乳化剤、および水溶性開始剤を含む水性エマルジョンは、第1の重合段階で得られたポリマーに添加される。
【0029】
第2の重合段階に対して使用できる乳化剤の例は、アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性乳化剤である。アニオン性および非イオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤が特に好ましい。アニオン性乳化剤は、脂肪酸およびスルホン酸のナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩;C12〜C16−アルキルスルフェートのアルカリ金属塩;エトキシル化および硫酸化もしくはスルホン化脂肪アルコール;アルキルフェノールおよびスルホジカルボキシレートエステルを含む。非イオン性乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコールおよび分子当り2〜150個のエチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールを含む。カチオン性乳化剤は、例えば、1つまたは複数の長鎖アルキルからなる疎水性部分を有するアンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物を含む。好ましい乳化剤は、アルキルベンゼンスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、C14〜C16−アルキルスルホネートNa塩、およびドデシルスルフェートNa塩である。アルキルフェノールのエトキシル化および硫酸化を介して生成した乳化剤は、特に良好な適合性を有する。例は、5〜10個のエチレンオキシド単位を有するノニルフェノールまたはトリイソブチルフェノールの誘導体、例えば、6倍のエトキシル化トリイソブチルフェノール、硫酸化Na塩である。乳化剤は、通常、モノマーに対して、0.02重量%〜5重量%、好ましくは、0.1重量%〜2重量%の濃度で使用される。
【0030】
アニオン性または非イオン性乳化剤が、第1の重合段階で使用される場合、アニオン性または非イオン性乳化剤が、第2の重合段階でも使用されることが特に好ましい。第1の重合段階と同じクラスの乳化剤を第2の重合段階でも使用すること、例えば、両方の段階でアニオン性乳化剤を使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明による方法で得られたポリマーは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよく、好ましくは、コポリマーであってよい。反応条件、詳細には、モノマーの型は、第1の重合段階で形成されるポリマー(ポリマーA)が第2の重合段階で形成されるポリマー(ポリマーB)と異なるように選択される。
【0032】
ポリマーAおよびBは、相互に異なっていてもよく、例えば、その化学的構成、その化学的不均一性、その粘着性、そのガラス転移温度、その分子量、および/またはその架橋度という点において相互に異なっていてもよい。ポリマーAおよびBは、好ましくは、そのモノマー組成において異なる。この場合、ポリマーは、含まれるモノマーの点で、または、−同じモノマーがそれぞれの場合に存在する場合は−各々のモノマーの割合の点で相互に異なっていてもよい。
【0033】
本発明による方法で使用される好ましいモノマーは、ビニルモノマーである。ビニルモノマーは、好ましくは、末端に存在するエチレン性不飽和C−C結合を含むモノマーである。好ましくは、ビニルモノマーは、フリーラジカル重合させることができる。
【0034】
使用できるビニルモノマーの例は、イソプレンまたはブタジエンなどのジエン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、酢酸ビニルおよびα−分枝モノカルボン酸のビニルエステルなどのビニルエステル、スチレンおよび置換スチレン、アクリル酸およびメタクリル酸およびその誘導体、例えば、(メタ)アクリル酸のエステル、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸無水物である。アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルは、好ましくは、アルキル鎖中に1〜18個の炭素原子、より好ましくは、1〜12個の炭素原子を有する。アルキル鎖は、直鎖であっても分枝であってもよく、他の官能基、例えば、アミノ基またはアルコール基を有することができる。
【0035】
ビニルモノマーの例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、プロピレングリコールメタクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル、2−クロロアクリロニトリル、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メタクリル酸2−スルホエチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、メタクリル酸グリシジル、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸、メチルアクリルアミドグリコールメチルエーテルである。
【0036】
特に好ましいアクリレートモノマーは、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸エチルヘキシルである。特に好ましいメタクリレートモノマーは、メタクリル酸メチル(MMA)である。PVCおよびスチレンとアクリロニトリルとのコポリマー(SAN)もまた特に重要である。スチレンは、コモノマーとして使用することによってポリマーAまたはポリマーBの屈折率を変えることができる。
【0037】
本発明による方法で得られる好ましいポリマーは、ビニルポリマーであり、特に好ましくは、イソプレンまたはブタジエンなどのジエン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル、酢酸ビニルおよびα−分枝モノカルボン酸のビニルエステルなどのビニルエステル、スチレンおよび置換スチレン、アクリル酸およびメタクリル酸およびその誘導体、例えば、(メタ)アクリル酸のエステル、(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリル酸無水物に基づくポリマーの群から選択される。特に好ましいポリマーは、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのポリマーである。
【0038】
ポリマーAは、好ましくは、共重合パラメータr>1である第1のモノマー、および共重合パラメータr<0.8である第2のモノマーから作製されたコポリマーである。
【0039】
別の好ましい実施形態では、ポリマーAは、酢酸ビニル、またはアクリル酸およびメタクリル酸のエステルの単位を含むコポリマー、詳細には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルおよび/またはアクリル酸エチルヘキシルに基づくコポリマー、格別に好ましくは、1つまたは複数の前記モノマーとMMAとのコポリマーである。
【0040】
ポリマーAは、より好ましくは、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチルコポリマーである。アクリル酸ブチル単位対メタクリル酸メチル単位の重量比は、コポリマーAにおいて10:1〜1:2の範囲である。
【0041】
ポリマーBは、好ましくは、共重合パラメータr>1である第1のモノマー、および共重合パラメータr<0.8である第2のモノマーから作製されたコポリマーである。
【0042】
別の好ましい実施形態では、ポリマーBは、MMA、詳細には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルおよび/またはアクリル酸エチルヘキシルと組み合わせたMMAに基づくポリマーである。コポリマーB中のアクリレート単位対メタクリル酸メチル単位の重量比は、好ましくは、2:1〜1:100の範囲である。ビニルポリマーBが、補助的な量の極性ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルを含み、例えば、ビニルポリマーBが、0.1重量%〜5重量%、好ましくは、0.5重量%〜2重量%の量の(メタ)アクリル酸単位を含むことが同様に好ましい。一部の用途では、塩化ビニルに基づくビニルポリマーBが重要である。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明により生成したハイブリッド粒子は、相互に異なる少なくとも2つのポリマー(ポリマーAおよびポリマーB)、例えば、相互に異なるガラス転移温度Tを有する、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、スチレン、および/またはビニルエステルのポリマーを含む。ポリマーAのガラス転移温度Tは、一般に、−100℃〜+100℃の範囲、好ましくは、−80℃〜+50℃の範囲である。対照的に、ポリマーBのガラス転移温度T(Fox式から計算した、または決定した)は、好ましくは、ポリマーAと比べて少なくとも20℃高い。
【0044】
ガラス転移温度Tという表現は、本発明によって生成されるハイブリッド粒子中に含まれるポリマーのガラス転移温度に関連するものである。任意のホモポリマーのガラス転移温度は、公知であり、例えば、J. Brandrup、E. H. Immergut、Polymer Handbook 第1版、J. Wiley、New York、1975年に列挙されている。コポリマーのガラス転移温度は、いわゆるFox式から計算することができる(T. G. Fox、Bull. Am. Phys. Soc.(Ser. II)、1,123[1956])。ガラス転移温度は、通常、DSC(示差走査型熱量計)またはDMTA(動機械的熱分析)によって測定される。
【0045】
ポリマーAおよびポリマーBが、少なくとも部分的に相溶性である、すなわち、少なくとも部分的に混和性である場合、特別の利点が生じる。これは、例えば、少なくとも1種類のモノマーを共通に含むポリマーAおよびポリマーBの場合である。例は、通常、r>2およびr<0.6である共重合パラメータを有する、メタクリル酸エステル(モノマー1)およびアクリル酸エステル(モノマー2)から作製されたコポリマーAおよびBである。部分的に相溶性であるコポリマーAおよびBの例は、30重量%のMMAおよび70重量%のアクリル酸ブチルを含むビニルポリマーA(バッチ重合);および50重量%のMMAおよび50重量%のアクリル酸ブチルを含むビニルポリマーB(フィード重合)からなる組成物である。本発明の目的では、ポリマーAおよびポリマーBが、部分的に、物理的に相互に浸透することが好ましい。
【0046】
ポリマーAは、好ましくは、ポリマーネットワークを形成する。このポリマーAネットワークは、ナノスケールSiO粒子を含むが、この粒子は、物理的に含まれているか(この場合は、従来型架橋剤を用いて架橋を行うことができる)、または架橋剤の形態で化学的に結合されているかいずれかである。SiO粒子表面上でメタクリレート基または他の重合性基を介する架橋が好ましい。この場合、従来型の架橋剤を全く使用しないことが好ましい。
【0047】
従来型の架橋剤という表現は、直鎖または分枝の高分子ネットワークに最初に結合することによって3次元ポリマーネットワークを形成し得る少なくとも2つの重合性二重結合を有する低分子量(好ましくは、モノマー性の)分子を意味する。従来型の架橋剤は、例えば、Roempp Chemie−Lexikon[Roempp 化学百科事典]、10版、6巻、4836頁に定義されている。これらの架橋剤の例は、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカニルジアクリレート、トリシクロデカニルジメタクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N−メチレンビスメタクリルアミドである。
【0048】
架橋作用を有するSiO粒子を使用する場合、ポリマーAの生成では、好ましくは、従来型の架橋剤分子を全く使用しない、または多くとも少量(多くとも2重量%)の、好ましくは、多くとも1重量%、より好ましくは、多くとも0.5重量%、より好ましくは、多くとも0.2重量%の従来型の架橋剤分子を使用する。好ましい実施形態では、重合性組成物は、技術的に意味のある量の従来型の架橋剤分子を含まない。架橋剤の機能は、もっぱらSiO粒子の表面基によるものと仮定されている。本発明において、追加で、非常に少量の従来型の架橋剤、好ましくは、メタクリル酸アリルなどのグラフト連結剤を使用することによってネットワークを修飾することも可能である。
【0049】
ポリマーネットワークが、均一に分布したナノスケールSiO粒子を含むこと、すなわち、単位体積当り(または断面の顕微鏡写真では:単位面積当り)のSiO粒子数が、ポリマーAを含むハイブリッド粒子のこうした領域内で実質的に同一であることも好ましい。この場合、ここで調査した材料の寸法は、一般に、SiO粒径の少なくとも8倍である。このことは、ネットワーク内の大部分のSiO粒子は、ドメインを形成しないことを意味する。こうしたドメインの例は、SiO粒子をほとんど含まないか全く含まないポリマーコアの周囲のSiO粒子、またはポリマーに囲まれ、それらの間に存在するSiO粒子が全くか少ししか存在しないSiO粒子の集合体から作製されるシェルである。かかる集合体では、個々のSiO粒子が、非凝集のおよび/または非集合の形態で存在することもできる。
【0050】
ポリマーAは、架橋なしの場合さえある一般的には高分子量のポリマーである。架橋点から架橋点までのノード間長は、架橋分子対モノマーAの定量的な比で制御することができ、鎖長は、開始剤の量で制御することができる。一般的な規則は:架橋剤または開始剤の量が減少すると、ノード間長が増加するか、ポリマー鎖がより長くなる;ノード間距離が増加すると、ネットワークがより伸長性になることである。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、ポリマーBは、本発明によって生成されるハイブリッド粒子を相互に架橋することができる。このためには、化学的および/または物理的架橋が必要である。架橋とは、3次元ネットワークの構築を意味する(例えば、Roempp Chemie Lexikon[Roempp 化学百科事典]、9版、6巻(1992年)、4898頁を参照のこと)。
【0052】
ハイブリッド粒子が架橋される場合、多数の個々の粒子がビニルポリマーBを介して相互に結合を形成し、ネットワークがもたらされる。したがって、例は、例えば、分散媒体の除去を介しての、ハイブリッド粒子の分散液からのフィルムの形成、または、例えば、押出成型を介しての、粉末、または個々のハイブリッド粒子の分散液からのワークピースの生成である。
【0053】
化学的架橋の例は、共有結合、配位結合またはイオン結合の形成である。ハイブリッド粒子の物理的架橋の場合、ネットワークの形成は、ポリマーネットワーク内のドメインによって行われる。これらのドメインは、ガラス転移温度未満で結晶性領域であっても非晶質領域であってもよい。架橋が非晶質ドメインによって行われることが好ましい。物理的架橋は、例えば、ハイブリッド粒子を相互に直接接触させることによって(例えば、ハイブリッド粒子の水性分散液からの水の除去を介して)生成することができ、多様なハイブリッド粒子のポリマーBのポリマー鎖は、相互に物理的に浸透し(例えば、いわゆる浸透ネットワーク)、そして安定な結合がもたらされる。ポリマー材料内の物理的架橋は、実質的にSiO粒子を含まず、SiO粒子を含むポリマーAのドメイン間に位置づけられた連続ポリマー相の存在によって識別することができる。好ましくは架橋プロセスに適したビニルポリマーBは、良好なフィルム形成特性を有する。
【0054】
ハイブリッド粒子の物理的架橋および化学的架橋は組み合わせることができる。ポリマーB内に反応性基を組込むことによって、例えば、物理的架橋を介して材料を形成した後にまた化学的架橋を実施することが可能である。ポリマーB中の適切なコモノマーの例は、縮合によって架橋するN−メチロールアクリルアミドおよびN−メチロールメタクリルアミド、または塩形成によって架橋できる(メタ)アクリル酸である。
【0055】
物理的架橋が好ましい。化学的架橋を実施しなければならない場合は、最初に物理的に架橋することが好ましい。
【0056】
好ましくは、ポリマーBは、単離ハイブリッド粒子中で架橋されない、詳細には、化学的に架橋されない。ポリマーBは、好ましくは、10,000〜5,000,000g/molの範囲、好ましくは、50,000〜1,000,000g/molの範囲のモル質量Mを有するポリマーである。さらには、好ましくは、ポリマーBの少なくとも>30重量%が、高モル質量(例えば、>50,000g/mol、好ましくは、>100,000g/mol)であり、架橋していない。ポリマーBが、ポリマーA内に浸透しないかぎり、ポリマーBは、実質的に、SiO粒子を含まない。
【0057】
好ましい実施形態では、本発明は、
a)ポリマーA、詳細には、平均粒径が1〜150nmの反応的に表面修飾されたコロイド状SiO粒子によって化学的に架橋されたビニルポリマーと、
b)化学的に架橋されていないポリマーB、詳細には、ハイブリッド粒子を相互に架橋させることができる、好ましくは、物理的に架橋させることができるビニルポリマーとを含むハイブリッド粒子を生成する方法を提供する。
【0058】
ポリマーA対ポリマーBの重量比が、10:1〜1:2の範囲、好ましくは、5:1〜1:1、特に好ましくは、3:1〜1.5:1の範囲であることが好ましい。
【0059】
ポリマーBの水の吸収が、ポリマーAより大きいことが好ましい。ポリマーBが、0.1重量%〜5重量%の親水性基、例えば、メタクリル酸の塩および/またはアクリル酸ヒドロキシエチルおよび/または接着促進基、または水溶性開始剤からの親水性部分、例えば、K中の−SOHを含むことが好ましい。
【0060】
本発明による方法において使用されるSiO粒子の平均粒径は、一般に、1nm〜150nmである。SiO粒子の平均径に対する好ましい下限は、2nm、3nm、4nm、および5nmである。好ましい上限は、100nm、75nm、50nm、30nmおよび25nmである。
【0061】
粒径は、最大10重量%の粒子濃度でHoriba company製の「Dynamic Light Scattering Particle Size Analyzer LB−550」で動的光散乱によって溶液中で測定することができ、分散液の25℃での最大許容動粘度は、3mPasである。この場合の粒径は、粒径分布のメジアン(D50値)である。
【0062】
粒径は、固相において透過型電子顕微鏡によって測定することができる。このために、少なくとも100個のSiO粒子が測定され、粒径分布が計算される。
【0063】
SiO粒子は、コロイド状形態で存在する、すなわち、ナノスケール二酸化ケイ素は、一般に、少なくとも50%の別々の非集合および非凝集の一次粒子として存在する。集合物および凝集物と異なり、一次粒子は、球状形態を有する。他の好ましい下限は、70%、80%、90%、95%および98%である。こうしたパーセンテージは、重量%である。本発明は、好ましくは、実質的に、SiO粒子の集合物および/または凝集物を含まないハイブリッド粒子を生成する方法を提供する。
【0064】
SiO粒子は、表面修飾されてもよく、表面修飾されていなくてもよい。例えば、反応性または非反応性基を介して表面修飾されたSiO粒子が好ましい。表面上の反応性基として重合性基を有する表面官能基化SiO粒子が特に好ましい。詳細には、SiO粒子の表面上の重合性基は、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、アクリロイル基、および/またはメタクリロイル基を含むことができる。
【0065】
表面修飾の場合、対応する基は、例えば、適切なシラン化を介してSiO粒子の表面に化学的に結合することができる。適切なシランは、好ましくは、式RSiX4−aの有機シラン、式(RSi)NR3−bの有機シラン、およびRSiO(4−n)/2の有機シロキサンからなる群から選択され、式中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子1〜18個を有する炭化水素部分、または炭素原子1〜18個を有する有機官能基化炭化水素部分からのその他のものから選択され、または水素原子であり、Xは、それぞれ独立に、その他のものから選択され、加水分解性の基であり、a=0、1、2、または3であり、b=1、2、または3であり、nは、2から3以下の数である。加水分解性の基の例は、ハロゲン、アルコキシ、アルケノキシ、アシルオキシ、オキシミノ、およびアミノキシ基である。
【0066】
官能性で非加水分解性の基の例は、ビニル、アミノプロピル、クロロプロピル、アミノエチルアミノプロピル、グリシジルオキシプロピル、メルカプトプロピル、およびメタクリルオキシプロピル基である。例えば、アルコキシシラン、シラザン、およびハロシランが適切である。SiO粒子の表面に重合性の基を結合させるのに使用できるシランについて挙げ得る例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリアセトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリルオキシメチルトリエトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルベンジルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシランヒドロクロリド、アリルエチレンジアミノプロピルトリメトキシシラン、アリルエチレンジアミノプロピルトリエトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリメチルトリビニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタビニルシクロペンタシロキサン、およびヘキサメチルヘキサビニルシクロヘキサシロキサンである。表面を修飾するのに使用できるシランについて挙げ得る例は、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロトリメチルシラン、ジメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルヒドロジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルメチルジメトキシシラン、クロロイソブチルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランである。
【0067】
表面に重合性基を有するシラン化SiO粒子の生成は、原理的に、すでに従来の技術分野で公知である。例えば、SiO粒子は、シリカゾルから沈殿させることができ、次いで、有機シラン、例えば、ビニルシランでシラン化することができる。沈殿シリカを用いるかかる生成プロセスは、例えば、欧州特許第0926170B1号に記載されている。さらなる例は、欧州特許第1366112号、欧州特許第2025722号、欧州特許第08007625号、欧州特許第08007580号、欧州特許第08007581号、および欧州特許第08007582号に見出されている。別の可能性は、J. Colloid Interface Sci 26巻62(1968年)に記載されている。これは、かかるナノ粒子のいわゆるストーバー合成である。
【0068】
SiO粒子表面の重合性基は、詳細には、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、アクリロイル基、および/またはメタクリロイル基を含むことができる。
【0069】
本発明の別の変形形態では、少なくとも2種類の異なる重合性基が、SiO粒子の表面に配置される。異なる重合性基は、好ましくは、一方では、メタクリロイル、アクリロイル、スチリル、またはイタコニル基であってよく、他方では、ビニル、アリル、アルケニル、またはクロトニル基であってよい。詳細には、異なる重合性基はまた、一方では、アクリロイルおよび/またはメタクリロイル基、他方では、ビニル、ヘキセニル、および/またはアリル基を含んでもよい。
【0070】
こうした型の二重表面修飾を生成するために、それぞれ対応するシランおよびシロキサンは、SiO粒子のシラン化中に混合物中でまたは順次反応することができる。
【0071】
重合性基によるSiO粒子の表面被覆度は、好ましくは、0.01基/nm〜6基/nm、より好ましくは、0.02基/nm〜4基/nmである。
【0072】
反応性基、例えば、重合性基により表面官能基化したSiO粒子は、ポリマーAの生成中に架橋剤として働き、化学的架橋をもたらすことができる。本発明の目的では、いかなる架橋ももたらさないSiO粒子、例えば、非修飾SiO粒子、または非反応性基で表面修飾したSiO粒子を使用することも可能である。こうした場合、ポリマーAの生成中に従来型の架橋剤を使用することが好ましい。
【0073】
重合性基の他に、SiO粒子はまた、重合中に反応しない基を備えることもできる。詳細には、SiO粒子の修飾は、2相系、例えば、アクリル酸ブチル−水において、SiO粒子がアクリル酸ブチル相に留まり、凝集しないようなものであるべきである。
【0074】
SiO粒子の表面積は、球状粒子の場合、粒径から計算することができる。計算のために、粒径分布のメジアン(D50)が使用される。次いで、比表面積(A)は、粒子の密度(ρ)を使用することによって計算することができる:
=6/(ρ×D50)
コロイド状二酸化ケイ素の密度は2.1g/cmである。
【0075】
単位表面積当りの反応性基の数(n)は、単位質量当りの反応性基の数(n)を比表面積で除した商から計算される:
=(n/A
単位質量当りの反応性基の数nは、適切な分析法によって求めることができる。アルコキシ、アシルオキシ、アセトキシ、アルケノキシまたはオキシモシラン型のシランを使用することによって表面上に反応性基を導入する場合、シランの完全な加水分解を仮定することができる。これは、使用した基のすべてがSiO粒子表面に存在することを意味する。
【0076】
SiO粒子表面上の重合性基の数はまた、NMR分光法またはDSC(示差走査型熱量法)によっても決定することができる。こうした方法は、特に、反応性基を決定するのに利用できる適切な分析法(例えば、ビニル基の場合のヨウ素数の決定)が存在しない場合に特に使用することができる。DSCの場合、重合熱は、SiO粒子表面上の重合性基の数の評価基準として測定される。前記DSCによる決定の場合、規定量の表面修飾SiO粒子が、標準化過酸化物溶液で処理され、反応熱が測定される。この方法は、例えば、ドイツ国特許第3632215A1号に記載されている。
【0077】
本発明によるハイブリッド粒子の平均径は、一般に、100nm〜5000nm、好ましくは、150nm〜2000nm、より好ましくは、200nm〜1500nmであり、その形状は、実質的に、球状である。ハイブリッド粒子の粒径分布に対するM/Mは、好ましくは、>2である。
【0078】
好ましいハイブリッド粒子は、実質的に、ポリマーAおよびSiO粒子からなる中心領域を有する。この場合、SiO粒子は、ポリマーA中で実質的に均一な分布を有する。好ましいハイブリッド粒子の外側領域は、基本的に、ポリマーBからなり、実質的に、SiO粒子を含まない。この場合、ポリマーBは、例えば、ポリマーAの周囲にシェルを形成することもでき、または、やはりポリマーAの周囲に他の何らかの形状、例えば、「ラズベリー」構造で配置することもできる。ポリマーBは、ある程度までポリマーA内に浸透することができ、したがって、詳細には、ポリマーAによって形成される中心領域の周縁領域に、両方のビニルポリマーが相互に隣接して存在する領域がもたらされる。したがって、ポリマーBによるハイブリッド粒子の続いての架橋(好ましくは、物理的架橋)によって特に強い結合が生成する。
【0079】
ハイブリッド粒子は、一般に、少なくとも10個のSiO粒子、好ましくは、少なくとも25個のSiO粒子、特に好ましくは、少なくとも50個のSiO粒子を含む。SiO粒子の含量は、1重量%〜40重量%、好ましくは、1重量%〜30重量%、より好ましくは、1重量%〜15重量%、特に好ましくは、2重量%〜8重量%である。
【0080】
ハイブリッド粒子は、上述の成分の他に、好ましくは、ハイブリッド粒子の全重量に対して0重量%〜5重量%、特に好ましくは、0.01重量%〜1重量%の濃度で、他の成分、例えば、UV安定剤、抗酸化剤、潤滑剤、分離剤、粘着剤、接着促進剤、レベリング剤、溶媒、または有機物質に可溶な染料を含むこともできる。
【0081】
本発明による方法により得ることができるハイブリッド粒子は、特に良好な機械的特性を有する。ハイブリッド粒子は、特に大きな引張り強度および破断時の引張り歪みのみならず、優れた弾力も有する。さらには、ハイブリッド粒子の特性は、広い範囲にわたり調整することができる。
【0082】
ハイブリッド粒子はまた、TPEとして公知である、熱可塑的に加工可能なエラストマーとして使用することもできる。ハイブリッド粒子は、例えば、射出成型プロセスで加工することによってエラストマー体を得ることができる。この場合に生成する成型物の特徴は、良好な機械的特性のみならず、特に心地よい触覚でもある。TPEの別の利点は、それがリサイクル可能であることである。
【0083】
ハイブリッド粒子はまた、コーティング剤として使用することもできる。この場合、ハイブリッド粒子は、(色)色素を含むのみでなく、塗料およびコーティングに典型的な添加剤、例えば、UV安定剤、抗酸化剤、レベリング剤、脱気剤、接着促進剤、および界面活性剤も含むフィルムを形成する。
【0084】
ハイブリッド粒子はまた、接着剤として使用することもできる。この場合、ハイブリッド粒子は、結合剤として機能することができ、無機フィラーのみでなく、接着促進剤、および接着剤に典型的な他の添加剤も含む。
【0085】
ハイブリッド粒子はまた、(メタ)アクリレート系のコーティング調合物で使用することによってじん性、触覚、および滑り特性および摩擦特性を改善することもできる。
【0086】
ハイブリッド粒子は、ポッティング組成物、例えば、エポキシまたはシアネートエステル系のものの脆性を低減することができる。
【0087】
ハイブリッド粒子は、建築分野用のシーラントとして使用することもできる。この場合、ハイブリッド粒子の他に、フィラー、色素、他のポリマー、UV安定剤および抗酸化剤、接着促進剤、およびシーラントに典型的な他の成分を使用することができる。
【0088】
ハイブリッド粒子はまた、シーラント材料として使用することもできる。ハイブリッド粒子は、良好な機械的特性のみでなく、良好な耐油性および耐溶媒性も備えることができる。
【0089】
分散液
本発明による方法は、水性分散液の形態のハイブリッド粒子を得るのに適している。前記分散液は、同様に、本発明によって提供される。有利には、得られた分散液は、わずかの量、好ましくは、1重量%未満、特に好ましくは、0.1重量%未満の凝固剤しか含まない。
【0090】
次いで、任意選択で、本発明による方法によって得られた分散液は、普通の精製ステップ、例えば、ろ過プロセスにかけることができる。
【0091】
分散液中のハイブリッド粒子含量は、一般に、分散液の全重量に対して20重量%〜70重量%、好ましくは、30重量%〜65重量%、特に好ましくは、40重量%〜60重量%である。分散液は、一般に、乳化剤、例えば、アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性乳化剤を含む。アニオン性および非イオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤が特に好ましい。アニオン性乳化剤は、脂肪酸およびスルホン酸のナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩;C12〜C16−アルキルスルフェートのアルカリ金属塩;エトキシル化および硫酸化もしくはスルホン化脂肪アルコール;アルキルフェノールおよびスルホジカルボキシレートエステルを含む。非イオン性乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコールおよび分子当り2〜150個のエチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールを含む。カチオン性乳化剤は、例えば、1つまたは複数の長鎖アルキルからなる疎水部分を有するアンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物を含む。好ましい乳化剤は、アルキルベンゼンスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、C14〜C16−アルキルスルホネートNa塩、およびドデシルスルフェートNa塩である。アルキルフェノールのエトキシル化および硫酸化を介して生成した乳化剤は、特に良好な適合性を有する。例は、5〜10個のエチレンオキシド単位を有するノニルフェノールまたはトリイソブチルフェノールの誘導体、例えば、6倍のエトキシル化トリイソブチルフェノール、硫酸化Na塩である。
【0092】
本発明による分散液は、他の成分、例えば、ポリマーまたは界面活性剤、乳化剤、色素、無機フィラー、染料、安定剤(UV、抗酸化剤)、脱気剤、防腐剤、保護コロイド、溶媒、レベリング剤、接着促進剤、粘着剤、および分散液で使用される他の典型的な添加剤を含むことができる。これらは、本発明による生成法において、またはその後で、詳細には、あり得る精製ステップ後に添加することができる。
【0093】
本発明による分散液の一実施形態は、多様な用途、例えば、接着剤として(例えば、鋼材用、アルミニウム用、ガラス用、建設材料(石膏ボード)のためのプラスチック(PVC、PE、PP、ポリウレタン)用、石材用、皮革用、ゴム用、ガラスファイバー複合材用、またはカーボンファイバー複合材用)、あるいはシーラントとして(例えば、建設産業における、またはD.I.Y.分野における)、適している。別の応用は、コーティングによって提供される。
【0094】
ポリマー材料
本発明は、本発明による分散液から水を除去することにより、ポリマー材料を生成する方法をさらに提供する。これは、分散液を濃縮するために乾燥によって、例えば、室温または高温での乾燥によって容易に実施することができる。材料を20℃〜80℃で乾燥することが好ましい。残留水は、例えば、焼なますことによって、例えば、80℃〜140℃、好ましくは、100℃〜130℃の温度で除去することができる。減圧で乾燥することも可能である。
【0095】
ポリマー材料を生成するための別のオプションは、例えば、ドイツ国特許第4417559号に記載のものと同様な押出成型機で本発明による分散液を圧縮することである。その場合、分散液は押出成型機で分離されて水性相およびポリマー溶融物が得られる。これは、特に純粋な生成物をもたらす。その理由は、水中に溶解した補助成分がすべて、水性相と一緒に除去されるからである。ポリマー材料を生成するための別のオプションは、例えば、凍結凝固や、例えばアルミニウムイオンなどの多価イオンを使用する化学凝固などの通例の凝固プロセスによって、本発明による分散液を凝固させることである。分散液のスプレー乾燥も同様に可能である。
【0096】
水を除去した後、ハイブリッド粒子を含むポリマー材料は、一般に、さらに加工できる形態、例えば、粉末または顆粒である。前記粉末または顆粒を使用することによって、フィルム、ボード、および構成部材などのポリマー成型物をさらなる加工によって生成することができる。
【0097】
ポリマー材料は、非架橋形態または架橋形態のハイブリッド粒子を含む。本発明により生成できるポリマー材料の好ましい実施形態は、架橋形態、好ましくは、物理的架橋形態のハイブリッド粒子を含む。物理的架橋とは、固相が化学結合の形成なしで構築されることを意味する。ビニルポリマーBが、ビニルポリマーAの相間で、実質的に、連続である相を形成することがこの場合好ましい。したがって、ビニルポリマーAおよびSiOからなるハイブリッド粒子の領域が、ポリマーBから作製した連続相内に埋め込まれる。前記連続相は、実質的に、SiO粒子を含まない。好ましくは、材料においてビニルポリマーAおよびSiO粒子を含む領域間の距離は、20nm〜250nmである。
【0098】
好ましい実施形態において、本発明により生成することができるポリマー材料は、一般に、>200%、好ましくは、>300%である好ましい破断時の引張り歪み、一般に、>4MPa、好ましくは、>5MPaである引張り強度、0.3MPa〜3MPaのE−弾性率、または20ショアA〜90ショアAであるショア硬度など、有利な特性を有する。
【0099】
ポリマー材料は、多様な用途で、例えば、熱可塑性エラストマーとして、ガスケットとして、箔として、接着箔として、構成部材用の材料として、およびキャリアフィルムとして使用することができる。
【実施例】
【0100】
本発明は、本発明によるものであって、限定的作用を一切持たないいくつかの実施例によって以下で説明される。第1に、以下で使用される試験方法を最初に説明する。
【0101】
分散液の固体含量を120℃で2時間の乾燥の前後における質量差を測定することによって決定した。
【0102】
引張り特性(破断時の引張り歪み、引張り強度、E−弾性率(引張り歪み100%で))をZwick company製の引張り試験機でDIN53504/ISO37(S2)に基づく供試体を使用する方法によって決定した。試験速度は20mm/分であった。
【0103】
評価のために、少なくとも3個の供試体を試験し、平均値を計算した。
【0104】
ショア硬度をDIN53505に従って決定した。
【0105】
ガラス転移温度Tgを、低温デバイスおよび固体クランプを備えたHaake Mars IIレオメータのDMTAによって決定した。周波数1Hzで一定振幅で(材料および供試体厚さに応ずるが、線形粘弾性領域で)ねじりを系内に導入した。
【0106】
SiO粒径を、最大10重量%の粒子濃度でHoriba company製の「Dynamic Light Scattering Particle Size Analyzer LB−550」で動的光散乱によって液相で決定した。分散液の動粘度は、25℃で<3mPasであった。この場合の粒径は、粒径分布のメジアン(D50値)である。
【0107】
(実施例1)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル0.43g、アクリル酸ブチル46g、コロイド状SiO粒子の分散液25g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、非反応的に修飾された表面、表面上の二重結合なし)、メタクリル酸アリル0.5g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.3g、および水58gから24,000rpmで15秒間の乳化によってUltraTurraxで生成する。
【0108】
次いで、80℃まで加熱され、水150g中の上記の乳化剤0.1gから作製された水性相を含む反応器内に生成エマルジョンを移し、不活性ガス下で80℃でゆっくり撹拌する。重合は1時間後に完了する。次いで、メタクリル酸0.44g、MMA21.2g、アクリル酸ブチル21.2g、カリウムペルオキソジスルフェート0.075g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.04g、および水30.5gからなり、UltraTurraxにおいて24,000rpmで15秒間乳化することによって生成したエマルジョンを1時間以内に滴下する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続し、混合物を25%アンモニウム溶液0.4gを添加することによって中和する。冷却およびろ過によって固体含量が31%である安定な水性分散液を得る。生成ハイブリッド粒子の径は、約1μmである。分散液は、室温でフィルム形成特性を有する。
【0109】
フィルムを生成するために、分散液を皿に注ぎ、室温で5日間乾燥した。フィルムを120℃で2時間焼なました。フィルムは以下の機械的特性を示す:
【0110】
【表1】

(実施例2)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル0.44g、アクリル酸ブチル46g、コロイド状SiO粒子の分散液25g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.3g、および水58gから24,000rpmで15秒間のエマルジョン化によってUltraTurraxで生成する。
【0111】
次いで、80℃まで加熱しておき、水150g中の上記の乳化剤0.1gから作製された水性相を含む反応器内に生成エマルジョンを移し、不活性ガス下で80℃でゆっくり撹拌する。重合は1時間後に完了する。次いで、メタクリル酸0.44g、MMA21.2g、アクリル酸ブチル21.2g、カリウムペルオキソジスルフェート0.075g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.04g、および水30.5gからなり、UltraTurraxにおいて24,000rpmで15秒間乳化することによって生成したエマルジョンを1時間以内に滴下する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続し、混合物を25%アンモニウム溶液0.4gを添加することによって中和する。冷却およびろ過によって固体含量が31%である安定な水性分散液を得る。生成ハイブリッド粒子の径は、約0.5μmである。分散液は、室温でフィルム形成特性を有する。
【0112】
フィルムを生成するために、分散液を皿に注ぎ、室温で5日間乾燥した。フィルムを120℃で2時間焼なました。フィルムは以下の機械的特性を示す:
【0113】
【表2】

(実施例3)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル2.15g、MMA77.42g、アクリル酸ブチル115.48g、コロイド状SiO粒子の分散液163.6g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩1.6g、および水282.5gから乳化(UltraTurraxで24,000rpmで60秒間)によって生成する。このエマルジョンを、80℃で予熱しておいた水750g、およびC14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.5gからなる当初の装入物に添加し、ゆっくりした撹拌下で80℃で60分以内に重合させる。次いで、メタクリル酸2.15g、MMA106g、アクリル酸ブチル106g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.2g、カリウムペルオキソジスルフェート0.25g、および水152.5gから生成したエマルジョンを80℃で90分間以内にただちに混合物に添加する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続する。最後に、分散液を25%アンモニウム溶液2gを添加することによって中和する。これによって固体含量が32%である水性分散液を得る。分散液は、室温でフィルム形成特性を有する。
【0114】
フィルムを生成するために、分散液を皿に注ぎ、室温で5日間乾燥した。一部分では、生成フィルムの特性を直接試験し、一部分では、フィルムを試験の前に120℃で2時間焼なました。フィルムは、2つのガラス転移温度、および以下の機械的特性を示す:
【0115】
【表3】

(実施例4)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル2.15g、MMA77.42g、アクリル酸ブチル115.48g、コロイド状SiO粒子の分散液163.60g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩1.6g、および水282.5gからUltraTurraxで、24,000rpmで60秒間の乳化によって生成する。このエマルジョンを、水400g、およびC14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.5gからなる当初の装入物に添加し、80℃で60分以内に重合させ、微細懸濁液を得る。次いで、メタクリル酸2.15g、MMA106g、アクリル酸ブチル106g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.2g、カリウムペルオキソジスルフェート0.25g、および水152.5gから生成したエマルジョンを80℃で90分間以内にただちに混合物に添加する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続する。最後に、分散液を25%アンモニウム溶液2gを添加することによって中和する。これによって固体含量40.3%の水性分散液がもたらされる。分散液は、室温でフィルム形成特性を有する。
【0116】
フィルムを生成するために、分散液を皿に注ぎ、室温で5日間乾燥した。フィルムは以下の機械的特性を示す:
【0117】
【表4】

(実施例5)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル2.15g、MMA153.76g、アクリル酸ブチル39.24g、コロイド状SiO粒子の分散液163.6g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩1.6g、および水282.5gから乳化(UltraTurraxで、24,000rpmで60秒間)によって生成する。このエマルジョンを、水750g、およびC14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.5gからなる当初の装入物に添加し、80℃で60分以内に重合させ、微細懸濁液が得られる。次いで、メタクリル酸2.19g、MMA106g、アクリル酸ブチル106g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.2g、カリウムペルオキソジスルフェート0.25g、および水152.5gから生成したエマルジョンを80℃で90分間以内にただちに混合物に添加する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続する。最後に、分散液を25%アンモニウム溶液2gを添加することによって中和する。これによってハイブリッド粒子含量32%の水性分散液がもたらされる。この分散液は、室温でフィルム形成特性を有する。
【0118】
フィルムを生成するために、分散液を皿に注ぎ、室温で5日間乾燥した。フィルムは以下の機械的特性を示す:
【0119】
【表5】

(実施例6)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル2.2g、アクリル酸ブチル170g、スチレン60g、コロイド状SiO粒子の分散液132g(アクリル酸ブチル中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩1.6g、および水281gから乳化(UltraTurraxで、24,000rpmで60秒間)によって生成する。
【0120】
前記エマルジョンを、80℃に加熱しておいた水805g中のC14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.5gからなる当初の装入物に添加し、不活性ガス下で80℃で60分以内に重合させる。次いで、MMA200g、アクリル酸ブチル4.2g、チオグリコール酸2−エチルヘキシル0.45g、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.15g、ナトリウムペルオキソジスルフェート0.43g、および水153gから、UltraTurraxで、24,000rpmで30秒間乳化することによって生成したエマルジョンを80℃で60分間以内にただちに混合物に添加する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続する。これによって、粒径約0.5μmで固体含量30%の分散液がもたらされる。
【0121】
分散液は、PEボトル内に充填され、−25℃で凍結される。融解後、それぞれのPEボトル内に、白色の弾性ブロックが得られ、このブロックから圧縮によって水を除去することができる。乾燥によって白色のプラスチック体がもたらされ、これは、150℃で成形して、透明でじん性のあるプラスチックシートにすることができる。
【0122】
(実施例7)
微細粒子エマルジョンを、過酸化ジラウロイル0.4g、アクリル酸ブチル45g、コロイド状SiO粒子の分散液24g(MMA中30重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)、C14〜C16−アルカンスルホン酸のナトリウム塩0.4g、および水60gから乳化(UltraTurraxで20,000rpmで15秒間)によって生成する。このエマルジョンを、80℃で予熱しておいた水250g、およびC14〜C16−アルカンスルホン酸0.1gからなる当初の装入物に添加し、ゆっくりした撹拌下で80℃で50分以内に重合させる。次いで、チオグリコール酸2−エチルヘキシル0.2%を含むMMA40g、C14〜C16−アルカンスルホン酸0.03g、カリウムペルオキソジスルフェート0.05g、および水30gから生成したエマルジョンを80℃で1時間以内にただちに混合物に添加する。次いで、撹拌を80℃で1時間継続する。これによって、粒径が約0.5μmで固体含量が23%である凝固剤を含まない分散液を得る。凍結凝固によって白色粉末が得られる。
【0123】
(実施例8)
手順は、実施例7と同様であるが、異なるモノマー構成:すなわち、アクリル酸ブチル34gおよびコロイド状SiO粒子の分散液34g(アクリル酸ブチル中33重量%、25nm球状粒子、凝集体なし、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランで反応的に修飾された表面)を第1段階で選択する。これによって粒径が0.5μm〜1μmの範囲の分散液がもたらされる。分散液の固体含量は22重量%である。凍結凝固によって白色粉末が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーとSiO粒子とを含むハイブリッド粒子を生成する方法であって、
a)1つまたは複数のモノマーと、平均粒径1nm〜150nmを有するコロイド状SiO粒子とを含む水不溶相を、第1の重合段階で水性媒体中で重合させ、
b)第2の重合段階では、1つまたは複数のモノマーを、前記第1の重合段階で得られた前記ポリマーの存在下で水性媒体中で重合させる、方法。
【請求項2】
前記重合段階a)およびb)において、相互に異なるポリマーが得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重合段階a)および重合段階b)において、それぞれ2つ以上のモノマーが使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合段階a)がバッチ重合として実施され、そして前記重合段階b)がフィード重合として実施される、請求項1〜3の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項5】
モノマー可溶性の開始剤が、重合段階a)で使用される、請求項1〜4の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが、好ましくは、前記SiO粒子表面上の重合性基によって前記第1の重合段階で化学的に架橋される、請求項1〜5の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項7】
重合段階b)で、前記モノマーの水性エマルジョンが、重合段階a)で得られた前記ポリマーに添加される、請求項1〜6の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項8】
水溶性開始剤が、重合段階b)で使用される、請求項1〜7の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項9】
水溶性相の平均径が、100nm〜5000nmの範囲、好ましくは、150nm〜2000nm、特に好ましくは、200nmと1500nmの間である、請求項1〜8の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項10】
使用されるモノマーが、好ましくは、ハロゲン化ビニル、ビニルエステル、スチレンおよび置換スチレン、およびアクリル酸およびメタクリル酸、およびその誘導体からなる群、特に好ましくは、ビニルエステル、スチレンおよび置換スチレン、およびアクリル酸およびメタクリル酸、およびそのエステルからなる群から選択されるビニルモノマーを含む、請求項1〜9の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項11】
2つ以上のアクリレートモノマーおよび/またはメタクリレートモノマーが、重合段階a)および重合段階b)で使用される、請求項1〜10の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項12】
重合段階a)および重合段階b)で使用されるモノマーが、i)メタクリル酸メチル、ならびにii)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、および/またはアクリル酸エチルヘキシルを含む、請求項1〜11の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項13】
重合段階a)で得られた前記ポリマーのメタクリル酸メチルモノマーの含量が、重合段階b)で得られた前記ポリマーの含量より少ない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記SiO粒子が、非反応性基および/または反応性基で表面修飾された、請求項1〜13の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項15】
前記SiO粒子の平均径が、2nm〜100nm、好ましくは、3nm〜75nm、より好ましくは、4nm〜50nm、より好ましくは、5nm〜30nmである、請求項1〜14の1つまたは複数に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15の1つまたは複数に記載の方法によって得ることができる水性ポリマー分散液。
【請求項17】
水が、請求項16に記載の水性分散液から除去される、ポリマー材料を生成する方法。

【公表番号】特表2013−507514(P2013−507514A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533654(P2012−533654)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065635
【国際公開番号】WO2011/045439
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512098430)エフォニク ナノレズィンズ ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】