ハイブリッド車両用冷房装置
【課題】車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への搭載性に優れたハイブリッド車両用冷房装置を提供する。
【解決手段】実施例1の冷房装置101は、エンジン用ラジエータ5とエンジン3とを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路としての配管21〜23とを有している。また、この冷房装置101は、電装系用ラジエータ11とモータ7及びPCU9とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路としての配管25〜29とを有している。さらに、この冷房装置101は、LiBr水溶液C1及び水C2がそれぞれ充填された第1室31及び第2室32を有するケミカルヒートポンプ13を有している。そして、この冷房装置101では、電装系用放熱流路を構成する配管29が第2室32内に延びるように形成されている。
【解決手段】実施例1の冷房装置101は、エンジン用ラジエータ5とエンジン3とを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路としての配管21〜23とを有している。また、この冷房装置101は、電装系用ラジエータ11とモータ7及びPCU9とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路としての配管25〜29とを有している。さらに、この冷房装置101は、LiBr水溶液C1及び水C2がそれぞれ充填された第1室31及び第2室32を有するケミカルヒートポンプ13を有している。そして、この冷房装置101では、電装系用放熱流路を構成する配管29が第2室32内に延びるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境意識の高まりから、エンジンとモータとを駆動源とし、モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両が注目されている。このハイブリッド車両にあっては、車室の好適な空調を実現しながら、省エネルギーな走行を可能とするハイブリッド車両用空調装置が求められる。
【0003】
このようなハイブリッド車両用空調装置として、例えば特許文献1に開示のものが知られている。このハイブリッド車両用空調装置は、エンジン用ラジエータと、エンジン用ラジエータとエンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、電装系用ラジエータと、電装系用ラジエータとモータとを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、エンジン用ラジエータ及び電装系用ラジエータと並列に接続され、車室に設けられたヒータコアとを備えている。
【0004】
このハイブリッド車両用空調装置によれば、エンジンやモータで生じた排熱を車室の暖房に用いることができることから、暖房のためだけにエンジンを運転する必要性がなくなり、車室の好適な暖房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この上記従来のハイブリッド車両用空調装置は、車室を暖房できるだけであり、車室を冷房することができない。
【0007】
この点、特開2008−291777号、特開2007−218504号、特開昭61−193914号公報等に開示されているケミカルヒートポンプを採用することが考えられる。これらのケミカルヒートポンプは、開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填された第1室及び第2室を有している。
【0008】
そこで、上記のハイブリッド車両用空調装置がケミカルヒートポンプを備えれば、ケミカルヒートポンプにおける吸熱反応等によって生じた冷熱を車室に供給することにより、車室を冷房することが可能となる。
【0009】
しかしながら、上記のようなケミカルヒートポンプでは、発熱反応時や吸熱反応時において化学物質の冷却を行う必要がある。そして、上記のハイブリッド車両用空調装置がこのようなケミカルヒートポンプを備えた場合、化学物質の冷却には、各ラジエータが利用されることとなる。その一方で、上記のハイブリッド車両用空調装置では、ハイブリッド車両がエンジンとモータとを駆動源としている。このため、単にケミカルヒートポンプを採用するだけでは、エンジンやモータの冷却と化学物質の冷却の両方を行う必要があることから、エンジン用ラジエータと電装系用ラジエータとをともに大きな容量にする必要がある。この場合、ハイブリッド車両用空調装置の車両への搭載性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への搭載性に優れたハイブリッド車両用冷房装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のハイブリッド車両用冷房装置は、エンジンとモータとを駆動源とし、該モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両の車室を冷房可能なハイブリッド車両用冷房装置であって、
エンジン用ラジエータと、
該エンジン用ラジエータと前記エンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、
電装系用ラジエータと、
該電装系用ラジエータと前記モータ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、
開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填される第1室及び第2室を有し、該第2室に蓄えられた冷熱によって前記車室を冷房可能なケミカルヒートポンプとを備え、
前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方には、前記電装系用放熱流路が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
本発明のハイブリッド車両用冷房装置(以下、単に冷房装置という。)では、ケミカルヒートポンプにおける化学反応である発熱反応及び吸熱反応によって第2室に冷熱が蓄えられ、この冷熱によって車室を冷房することが可能である。
【0013】
また、本発明の冷房装置では、ハイブリッド車両が主としてエンジンによって走行し、モータ及び駆動回路の負荷が小さいか、または、ゼロである際、電装系用ラジエータが冷却に余裕を有することから、電装系用ラジエータが電装系用放熱流路を介して第1室及び第2室の少なくとも一方を冷却することができる。このため、エンジン用ラジエータのみで第1室及び第2室の少なくとも一方を冷却する必要がなく、エンジン用ラジエータを小型化できる。また、この冷房装置では、電装系用ラジエータの冷却能力、すなわちその躯体の大きさについて、モータや駆動回路の冷却の他、第1室や第2室の冷却に必要な最低限の大きさとすることができる。このため、電装系用ラジエータの大型化を抑制することも可能となる。このため、冷房装置の大型化を抑制することが可能となっている。
【0014】
したがって、本発明の冷房装置によれば、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への優れた搭載性を発揮することができる。
【0015】
本発明の冷房装置において、第1室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第1室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。第2室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第2室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。第1室及び第2室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第1室及び第2室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。
【0016】
本発明の冷房装置において、ケミカルヒートポンプとしては、吸収式ヒートポンプ、吸着式ヒートポンプ、化学反応式ヒートポンプ、水素吸蔵式ヒートポンプ、ハイドレートヒートポンプ等を採用することができる。ケミカルヒートポンプに用いる化学物質としては、LiBrとH2Oとの組み合わせ、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭とH2O及び/又はアンモニアとの組み合わせ、MgOやCaO等のアルカリ土類酸化物とH2Oとの組み合わせ、CaCl2等のアルカリ土類金属塩化物とH2O及び/又は低級アルコールとの組み合わせ、金属アンモニア錯塩とアンモニアとの組み合わせ、水素吸蔵合金と水素との組み合わせ等を採用することが可能である。
【0017】
例えば、第1室にLiBr水溶液を充填し、第2室に水を充填した吸収式ヒートポンプは、以下のように、第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。まず、蓄冷時には、第1室を加熱してLiBr水溶液から水蒸気を発生させる。この際、開閉弁を開きつつ、第2室を冷却すれば、第1室から接続流路を経て移動した水蒸気が第2室で凝縮し、水になる。この状態で開閉弁を閉じることで、第1室内のLiBr水溶液は濃縮され、第2室には水(凝縮水)が溜まる。そして、冷房運転時には開閉弁を開く。これにより、第2室の圧力が低下し、第2室の凝縮水が低温で沸騰し、この時に気化熱を奪う。そして、LiBr水溶液は、この水蒸気(水)を吸収する。こうして、第2室に冷熱が蓄えられる。なお、第1室での吸収反応を継続させて、より多くの冷熱を第2室内に蓄えさせるためには、LiBr水溶液が水を吸収する際に生じる発熱反応の熱を取り除く必要がある。
【0018】
また、第1室内にMgO又はMg(OH)2を充填し、第2室に水を充填した水素吸蔵式ヒートポンプでは、MgOが水と反応することにより発熱してMg(OH)2となり、Mg(OH)2が水を分解することにより吸熱してMgOとなる。このため、この吸着式ヒートポンプにおいても、第1室を加熱することによって第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。
【0019】
さらに、第1室内にMH1合金を充填し、第2室にMH2合金を充填した吸着式ヒートポンプでは、MH1合金が水素を吸蔵することによって発熱し、MH2合金が水素を放出することによって吸熱する。このため、この水素吸蔵ヒートポンプにおいても、第1室を加熱することによって第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。第2室内の水素を接続流路によって第1室に移動することによっても第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。
【0020】
本発明の冷房装置は、第1室を加熱する第1室加熱手段を備えていることが好ましい(請求項2)。この場合、第1室内の水を水蒸気にして第2室に移動させるケミカルヒートポンプ等、多くの種類のケミカルヒートポンプを採用することができる。
【0021】
第1室加熱手段は、(1)エンジンから排出される排ガス(高温)、(2)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(高温)及び(3)エンジンを潤滑するためのエンジンオイル(高温)の少なくとも一つの熱媒を用い得る(請求項3)。高温の排ガスを熱媒とする場合には、エンジンと接続された排気管やマフラを第1室に設けることが可能である。エンジン用放熱流路内の高温のエンジン冷却液を熱媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。高温のエンジンオイルを熱媒とする場合には、エンジンと接続されたオイル流路を第1室に設けることが可能である。
【0022】
また、この場合の冷房装置において、第1室には熱媒が循環可能な熱媒流路が設けられ、また、第1室を熱媒がバイパス可能な熱媒バイパス通路が設けられていることが好ましい(請求項4)。これにより、熱媒の温度が未だ低く、第1室を加熱できない場合には、その熱媒を熱媒バイパス通路に通し、熱媒の流路抵抗を低減することができる。また、熱媒流路を循環する熱媒により好適に第1室内の化学物質が加熱されるとともに、加熱の必要がない場合には熱媒をバイパスさせることで第1室内の化学物質を不必要に加熱することを防止できる。このため、第1室内の化学物質の劣化や変質を効果的に防止することが可能となる。
【0023】
本発明の冷房装置は、第2室を冷却する第2室冷却手段を備えていることが好ましい(請求項5)。この場合、第2室の水蒸気を凝縮水にするケミカルヒートポンプ等、多くの種類のケミカルヒートポンプを採用することができる。
【0024】
第2室冷却手段は、(1)電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の電装系冷却液(低温)、(2)空気及び(3)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項6)。電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の低温の電装系冷却液を冷媒とする場合には、電装系用放熱流路を第2室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第2室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第2室に設けることが可能である。
【0025】
本発明の冷房装置は、第1室を冷却する第1室冷却手段を備えていることが好ましい(請求項7)。この場合、第1室に生じる発熱反応の熱を取り除き、第1室の反応を継続させることができる。
【0026】
この場合の第1室冷却手段は、モータが駆動している間には、(1)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(低温)、(2)エンジンを潤滑するためのエンジンオイル(低温)、(3)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)及び(4)空気の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項8)。エンジン用放熱流路内の低温のエンジン冷却液を冷媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。低温のエンジンオイルを冷媒とする場合には、エンジンと接続されたオイル流路を第1室に設けることが可能である。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第1室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第1室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。
【0027】
この場合の第1室冷却手段は、エンジンが駆動している間には、(1)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)、(2)空気、(3)電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の電装系冷却液(低温)及び(4)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(低温)の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項9)。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第1室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第1室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。電装系用放熱流路内の低温の電装系冷却液を冷媒とする場合には、電装系用放熱流路を第1室に設けることが可能である。エンジン用放熱流路内の低温のエンジン冷却液を冷媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。
【0028】
本発明の冷房装置において、第2室には吸熱を行う吸熱手段が設けられていることが好ましい(請求項10)。吸熱手段が第2室に吸熱を行わせることにより、車室の冷房が行われる。
【0029】
吸熱手段は、第2室に設けられ、車室に冷却風を供給可能なフィンであり得る。また、吸熱手段は、車室に設けられたクーラコアと、第2室に設けられ、クーラコアとの間で空調冷却液を循環する室内用流路とからなり得る(請求項11)。この場合には、クーラコアを介して車室の冷房を行うことで、フィンによって第2室の周りの空気を直接車室に供給して冷房を行う場合と比較して、車両における冷房装置の搭載位置の自由度が高くなり、車両に対する冷房装置の搭載性が向上する。
【0030】
本発明の冷房装置は、高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するように用いられることが好ましい(請求項12)。高負荷冷房運転時とは、車室の冷房時の熱負荷が大きい時である。車両への乗り始めは熱負荷が特に大きい。このため、運転初期に第2室内の冷熱によって車室を冷房することが効果的である。
【0031】
本発明の冷房装置は、エバポレータ、圧縮機、コンデンサ、膨張弁及びこれらを接続する冷媒流路を有する圧縮式冷凍回路が備えられ得る。そして、蓄冷時及び通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路によって車室を冷房するように用いられ得る(請求項13)。
【0032】
高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するため、第2室内に冷熱が蓄えられていない時には、第2室内の冷熱によって車室を冷房することができない。このため、蓄冷時には圧縮式冷凍回路によって車室の冷房を行うことが好ましい。
【0033】
また、通常冷房運転とは、車室の冷房時の熱負荷が小さい時である。高負荷冷房運転によって車室の冷房が行われた後では熱負荷が小さくなる。そして、圧縮式冷凍回路によって車室の通常冷房運転を行うのであれば、圧縮機はさほどの仕事量を要さない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能である。
【0034】
本発明の冷房装置は、車室に設けられたクーラコアと、クーラコアとの間で空調冷却液を循環する室内用流路と、室内用流路に設けられたペルチェ素子とを備えた電熱式冷凍回路が備えられ得る。そして、蓄冷時及び通常冷房運転時には電熱式冷凍回路によって車室を冷房するように用いられ得る(請求項14)。
【0035】
高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するため、第2室内に冷熱が蓄えられていない時には、第2室内の冷熱によって車室を冷房することができない。このため、蓄冷時には電熱式冷凍回路によって車室の冷房を行うことが好ましい。また、電熱式冷凍回路によって車室の通常冷房運転を行うのであれば、ペルチェ素子はさほどの仕事量を要さない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能である。
【0036】
ペルチェ素子は、電装系用放熱流路と室内用流路との間に設けられていることが好ましい(請求項15)。この場合には、ペルチェ素子によって吸熱された空調冷却液の熱は、電装系用ラジエータによって車室外へ好適に放出されることとなる。このように、電装系用ラジエータを利用することで、ペルチェ素子の放熱側に専用ラジエータ等を設ける必要が生じない。このため、冷房装置の製造コストを低減できるとともに車両への搭載性を向上させることができる。
【0037】
本発明の冷房装置において、エンジン用放熱流路と電装系用放熱流路とは連通されていることが好ましい(請求項16)。この場合には、必要に応じてエンジン用ラジエータ及び電装系用ラジエータによってエンジンを冷却することが可能となる。同様に、電装系用ラジエータ及びエンジン用ラジエータによってモータ等を冷却することも可能となる。これらのため、エンジン用ラジエータや電装系用ラジエータをより小型化することが可能となる。
【0038】
本発明の冷房装置におけるエンジンには、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン及び天然ガスエンジン等が含まれる。一方、駆動回路としては、インバータやコンバータ等によって構成されたパワーコントロールユニット(PCU)等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図2】実施例1の冷房装置に係り、蓄冷時の状態を示す模式構造図である。
【図3】実施例1の冷房装置に係り、エンジン駆動時における通常冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図4】実施例1の冷房装置に係り、モータ駆動時における高負荷冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図5】実施例1の冷房装置に係り、モータ駆動時における通常冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図6】実施例1の冷房装置に係り、エンジン駆動時における高負荷冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図7】実施例2の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図8】実施例3の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図9】実施例4の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図10】実施例5の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図11】実施例6の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図12】実施例7の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7を図面を参照しつつ説明する。実施例1〜7の冷房装置101〜107は、車室の空調としての冷房運転を行う装置としてハイブリッド車両(以下、単に車両という。)に搭載されている。
【0041】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の冷房装置101は、エンジン3と、エンジン用ラジエータ5と、モータ7と、駆動回路としてのPCU(パワーコントロールユニット)9と、電装系用ラジエータ11と、ケミカルヒートポンプ13とを備えている。さらに、この冷房装置101は、圧縮式冷凍回路17を備えている。
【0042】
エンジン3は、車両の走行状況等に応じてモータ7と択一的に駆動されて車両を走行させる。エンジン3には図示しないウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケット内を流通するエンジン冷却液によりエンジン3を冷却又は暖機することが可能となっている。また、エンジン3には、排気ガスを車室外に放出するマフラ19が設けられている。
【0043】
マフラ19は、ケミカルヒートポンプ13の第1室31内を貫通するように延びている。これにより、マフラ19内を流通する高温の排ガスは、第1加熱手段としての熱媒として機能する。また、このマフラには第1室31をバイパス可能な熱媒バイパス通路19aが設けられている。この熱媒バイパス通路19aの上流にはフラッパ19bが設けられている。フラッパ19bは図示しない制御装置に電気的に接続されている。マフラ19内及び熱媒バイパス通路19a内には、図示しない触媒が設けられている。なお、エンジン3、マフラ19及び触媒の構成は、それぞれ公知のものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0044】
エンジン用ラジエータ5は、その内部をエンジン冷却液が流通可能に構成されており、エンジン用ラジエータ5内のエンジン冷却液と、エンジン用ラジエータ5周りの空気との間で熱交換を行うことでエンジン冷却液を冷却することが可能となっている。このエンジン用ラジエータ5の容量は、エンジン3の冷却及び第1室31内のLiBr水溶液C1の冷却に必要とされる最小限の大きさに構成されている。また、エンジン用ラジエータ5の近傍には電動ファン5aが設けられている。この電動ファン5aは、図示しない制御装置に接続されている。
【0045】
エンジン3とエンジン用ラジエータ5とは配管21〜23によって接続されている。これらの配管21〜23がエンジン用放熱流路である。これらの配管21〜23内にも上記のエンジン冷却液が流通しており、エンジン3とエンジン用ラジエータ5との間を循環することが可能となっている。また、配管21と配管22との間には分岐弁20aが設けられている。なお、分岐弁とは、一方の流路を他方の複数の流路に分岐可能、すなわち、一つの流路を複数の流路に連通又は非連通を切替可能な切替弁をいう。
【0046】
配管21は、エンジン用ラジエータ5と分岐弁20aとを接続している。配管22は、分岐弁20aとエンジン3とを接続している。配管23は、エンジン3とエンジン用ラジエータ5とを接続している。この配管23には第1ポンプP1が設けられている。また、分岐弁20aには配管24の一端側が接続されており、配管24の他端側は配管22に接続されている。この配管24は、第1室31内に延びており、配管24は、この第1室31内において、その一部が蛇行するように形成されている。この配管24内を流通する高温のエンジン冷却液は第1室加熱手段としての熱媒として機能し、この際の配管24は熱媒流路として機能する。また、配管24内を流通する低温のエンジン冷却液は第1室冷却手段に相当する。なお、第1ポンプP1及び分岐弁20aは、それぞれ図示しない制御装置に接続されている。
【0047】
モータ7はPCU9及び図示しない制御装置に電気的に接続されており、図示しない給電装置からの電力の供給を受けて駆動することで車両を走行させる。また、PCU9は、インバータやコンバータ等によって構成されている。このPCU9も図示しない制御装置に電気的に接続されており、車両の走行状況に応じて給電装置がモータ7に供給する電力の制御等を行う。モータ7及びPCU9は、エンジン3の駆動により車両が走行している間、ブレーキ操作等によって生じた発熱エネルギーを回生エネルギー(回生電力)として回収(充電)すべく作動する。
【0048】
モータ7及びPCU9には図示しないウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケット内を流通する電装系冷却液によって、モータ7及びPCU9は冷却されるようになっている。なお、モータ7、PCU9の構成は、それぞれ公知ものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0049】
電装系用ラジエータ11は、内部を電装系冷却液が流通可能に構成されており、電装系用ラジエータ11内の電装系冷却液と、電装系用ラジエータ11周りの空気との間で熱交換を行うことで電装系冷却液を冷却することが可能となっている。この電装系用ラジエータ11によるモータ7及びPCU9の冷却は、モータ7等の駆動による車両の走行中だけでなく、エンジン3による車両の走行中における回生エネルギーを回収する際にも行われる。この電装系用ラジエータ11の容量は、モータ7、PCU9及びケミカルヒートポンプ13の第2室32内の水C2の冷却に必要とされる最小限の大きさに構成されている。また、電装系用ラジエータ11の近傍には電動ファン11aが設けられている。この電動ファン11aは、図示しない制御装置に接続されている。
【0050】
モータ7、PCU9及び電装系用ラジエータ11は配管25〜29によって接続されている。これらの配管25〜29が電装系用放熱流路である。また、これらの配管25〜29内にも上記の電装系冷却液が流通しており、第2室32を経由しつつ、モータ7、PCU9及び電装系用ラジエータ11の間で循環可能となっている。この電装用冷却液は、第2室冷却手段としても機能する。
【0051】
配管25は、電装系用ラジエータ11とモータ7とを接続している。配管26は、モータ7とPCU9とを接続している。配管27は、PCU9と分岐弁20bとを接続している。配管28、29は、それぞれ電装系用ラジエータ11と分岐弁20bとを接続している。配管29は、第2室32内に延びており、配管29は、この第2室32内で蛇行するように形成されている。配管25、29には、それぞれ第2、3ポンプP2、P3が設けられており、これらの第2、3ポンプP2、P3及び分岐弁20bは、それぞれ図示しない制御装置に接続されている。なお、電装系用ラジエータ11内にも図示しない分岐弁が設けられており、配管25と配管28とを連通させる場合と、配管28と配管29とを連通させる場合と、配管25と配管29とを連通させる場合とを切り替えることが可能になっている。この分岐弁も図示しない制御装置に接続されている。
【0052】
ケミカルヒートポンプ13は吸収式ケミカルヒートポンプである。ケミカルヒートポンプ13は、化学物質としてのLiBr水溶液C1が充填された第1室31と、水C2が充填された第2室32と、第1室31と第2室32とを接続する接続流路33とを有している。第2室32内は、周囲の大気圧よりも減圧された状態となっている。また、接続流路33には、開閉弁V1が設けられている。この開閉弁V1は、図示しない制御装置に接続されている。上記のように、第1室31内には配管24とマフラ19とが設けられている。一方、第2室32内には配管29と後述の配管30とが設けられている。
【0053】
配管30は第2室32内に延びており、この第2室32内で蛇行するように形成されている。また、配管30には第4ポンプP4が設けられており、この第4ポンプP4を作動させることで配管30内を空調用冷却液が循環するようになっている。配管30は室内用流路として機能している。
【0054】
また、この配管30内はクーラコアと接続している。このクーラコア15は車室に設けられており、内部を空調用冷却液が流通可能に構成されて、クーラコア15内の空調用冷却液と車室の空気との間で熱交換を行うことが可能となっている。このクーラコア15の近傍には、電動ファン15aが設けられている。この電動ファン15aを作動させることにより、水の冷熱によって冷却された空気を車室に供給して車室の冷房運転を行うことができるようになっている。なお、第4ポンプP4及び電動ファン15aは、図示しない制御装置に接続されている。この配管30(室内用流路)、クーラコア15及び空調用冷却液が吸熱手段に相当している。
【0055】
圧縮式冷凍回路17は、エバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73及び膨張弁74が冷媒流路75によって接続されて形成されている。このエバポレータ71は車室に設けられており、また、このエバポレータ71の近傍には電動ファン71aが設けられている。この電動ファン71aを作動させることで、冷媒によって冷却されたエバポレータ71内の空気を車室に供給することが可能となっている。この冷房装置100において圧縮式冷凍回路17を構成するエバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73及び膨張弁74は、いずれも小型のものが採用されている。なお、これらエバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73、膨張弁74及び冷媒回路75の個々の構成は周知のものと同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0056】
以上のように構成された冷房装置101では、図2〜6に示すように作動することにより、車室の冷房運転を行う。以下、車両の始動直後等、車室の冷房時の熱負荷が大きい高負荷冷房運転と、高負荷冷房運転によって冷房された車室の温度の維持を目的とし、車室の冷房時の熱負荷が小さい通常冷房運転とについて、エンジン3の駆動によって車両が走行している場合と、モータ7の駆動によって車両が走行している場合とに分けて説明する。なお、図2〜6において、実線矢印はエンジン冷却液又は水の循環方向を示しており、破線矢印は熱の移動方向を示している。
【0057】
<加熱脱水運転>
ケミカルヒートポンプ13による冷房運転を行うためには、それに先立って、第1室31内のLiBr水溶液C1を加熱し、第2室32内に水C2を貯留させる加熱脱水運転が必要となる。この冷房装置101では、エンジン3の駆動によって車両が走行している間にこの加熱脱水運転が行われる。具体的には、図2に示すように、エンジン3の駆動中に分岐弁20aを作動させて、配管21と配管24とを連通させ、配管21と配管22とを直接には非連通とさせる。また、第1ポンプP1を作動させるとともにフラッパ19bを作動させて、熱媒バイパス通路19aの上流側を閉鎖させる。これにより、エンジン用放熱流路ではエンジン冷却液が矢印方向に循環する。このため、エンジン冷却液がエンジン3の排熱によって加熱される。また、排ガスによってマフラ19も加熱される。こうして、第1室31内のLiBr水溶液C1に対して、加熱されたエンジン冷却液及び排気ガスによる加熱が行われる。なお、この際、電動ファン5aも作動され、エンジン3の冷却も同時に行われる。
【0058】
このように、第1室31内のLiBr水溶液C1が加熱されることで、このLiBr水溶液C1は水C2を水蒸気の状態で分離させる。この際、制御装置が開閉弁V1の開制御を行うことで、水C2を第2室32に貯留させることができる。なお、この開閉弁V1は、LiBr水溶液C1を十分に加熱し、水C2が第2室32内に十分貯留された後、閉制御が行われる。
【0059】
また、制御装置は分岐弁20bについての制御を行い、配管28と配管27及び配管29とを連通させる。さらに制御装置は図示しない分岐弁の制御を行い配管25と配管28とを連通させる。そして、制御装置は第3ポンプP3を作動させる。これにより、電装系用放熱流路において電装系冷却液が矢印方向に循環する。また、同時に電動ファン11aを作動させる。こうして、電装系用放熱流路内の電装系冷却液が電装系用ラジエータ11で冷却され、その電装系冷却液によって水C2が冷却される。このため、第2室32内には水C2が凝縮水として貯留される。なお、この際、回生エネルギーを充電しているモータ7及びPCU9は、電装系用ラジエータ11によって同様に冷却される。
【0060】
この加熱脱水運転が行われている間、この冷房装置101では、圧縮式冷凍回路17による車室の通常冷房運転が行われ、車室の温度変化が抑えられている。また、加熱脱水運転が終了した後は、図3に示すように、分岐弁20a、20b、フラッパ19b及び第2、3ポンプP2、P3の制御が行われる。これにより、配管21と配管22とが連通し、配管21及び配管22と配管24とが非連通となる。また、マフラ19の上流側が閉鎖され、熱媒バイパス通路19aの上流側が開放される。さらに、配管27と配管28とが連通し、配管27及び配管28と配管29とが非連通となる。そして第2ポンプP2が作動し、第3ポンプP3が停止する。
【0061】
この状態では、熱媒バイパス通路19aにより、排気ガスが第1室31内通過せずに、第1室31をバイパスする。また、駆動中のエンジン3によって加熱されたエンジン冷却液が配管21と配管22とを流通することで、配管24内にエンジン冷却液が流通しない。また、第2ポンプP2により、モータ7及びPCU9と電装系用ラジエータ11との間で電装系冷却水が循環し、冷却が行われる。なお、この間も、圧縮式冷凍回路17による車室の通常冷房運転が継続して行われている。こうして車両は目的地まで走行し、目的地に到着後、停車される。
【0062】
<モータ駆動時における高負荷冷房運転>
車両の再始動後から一定の時間の間、この車両ではモータ7等の駆動によって車両が走行(いわゆるEV走行。)する。この場合には、図4に示すように、制御装置は第4ポンプP4を作動させるとともに開閉弁V1の開制御を行う。これにより、配管30内を空調用冷却液が循環する。上記のように、第2室32内は、周囲の大気圧よりも減圧された状態となっているため、第2室内の水C2は、配管30内を循環する空調用冷却液の熱よって加熱されて沸騰し、気化する。そして水蒸気となった水C2は、接続流路33を流通して第1室31へ移動する。第1室31では水C2が濃縮又は脱水されたLiBr水溶液C1によって吸収される。このように水C2が沸騰し、この時に第2室32内の気化熱が奪われる(吸熱反応)。そして、この水C2が濃縮又は脱水されたLiBr水溶液に順次吸収されることで、第2室32内は冷却されて冷熱が蓄えられる(蓄冷運転)。このような吸熱反応に基づくため、第2室32内には即座に冷熱が蓄えられる。このように、第2室32内に蓄えられた冷熱により配管30内の空調用冷却液が冷却される。この状態で制御装置は電動ファン15aを作動させる。これにより、クーラコア15を介して、空調用冷却液の冷熱、すなわち、第2室32内の冷熱が車室に供給される。こうして、車両の始動直後における高負荷冷房運転が行われる。なお、この際、圧縮式冷凍回路17による車室の冷房運転は行われない。また、電装系用ラジエータ11によるモータ7及びPCU9の冷却については、上記の図3の場合と同様である。
【0063】
上記の蓄冷運転の間、濃縮又は脱水されたLiBr水溶液は水C2を吸収して希釈又は吸水したLiBr水溶液C1となるとともに発熱反応が生じることとなる。このため、制御装置は分岐弁20aを制御し、図4に示すように、配管21と配管22と配管24とを連通させ、配管21と配管22については直接には非連通とする。また、制御装置は電動ファン5a及び第1ポンプP1を作動させる。これにより、矢印方向でエンジン用放熱流路内をエンジン冷却液が循環し、その際、エンジン用ラジエータ5で冷却された配管24内のエンジン用冷却液によってLiBr水溶液C1が冷却される。これにより、LiBr水溶液C1による水C2の吸収がより好適に行われ、第2室32内に好適に冷熱が蓄えられる。
【0064】
また、この冷房装置101では、上記のようにLiBr水溶液C1の冷却を行うと同時に、このLiBr水溶液C1の熱によって加熱されたエンジン用冷却液やLiBr水溶液C1自体によって、エンジン3及びマフラ19(マフラ19内の触媒)の暖機を行うことも可能となっている。このため、エンジン3を始動直後から好適に駆動させることが可能となっている。
【0065】
<モータ駆動時における通常冷房運転>
第2室32内の冷熱、すなわち、ケミカルヒートポンプ13による高負荷冷房運転が終了した後は、図5に示すように圧縮式冷凍回路17による通常冷房運転が行われる。この際、制御装置は第1ポンプP1の作動を停止させる。これにより、第1室31内のLiBr水溶液C1が必要以上に冷却されることを防止できる。
【0066】
図示しないバッテリの消耗により、モータ7等の駆動による車両の走行が終了した後は、再びエンジン3の駆動による車両の走行が行われる。この場合には、次回の高負荷冷房運転に備えて、図1に示す加熱脱水運転が行われることとなる。
【0067】
<エンジン駆動時における高負荷冷房運転>
この冷房装置101では、上記のようなモータ7等の駆動による車両の走行時だけでなく、図6に示すように、エンジン3の駆動時においても高負荷冷房運転を行うことが可能である。この場合も図4に示す状態とほぼ同様であるが、水C2を吸収して発熱しているLiBr水溶液C1が排ガスによってさらに加熱されることを防止するため、制御装置はフラッパ19bを作動させて、熱媒バイパス通路19a内に排ガスを流通させる。なお、この状態において、制御装置が第1ポンプP1の作動を逆転させることも可能である。この場合には、エンジン用ラジエータ5によって冷却されたエンジン用冷却液によって、より好適にLiBr水溶液C1を冷却することが可能となる。
【0068】
また、モータ7及びPCU9をより急速に冷却する必要がある場合には、制御装置は分岐弁20bを制御して、配管27と配管29とを連通させて、配管27及び配管29と配管28とを非連通とさせる。さらに、制御装置は図示しない分岐弁を制御して配管25と配管29とを連通させる。そして、制御装置は第2ポンプP2又は第3ポンプP3を作動させて、電装系用放熱流路内において、矢印方向に電装系冷却液を循環させる。これにより、第2室32内の冷熱によってモータ7及びPCU9を急速に冷却することが可能となる。なお、この際、第4ポンプP4を作動させることで、ケミカルヒートポンプ13による車室の高負荷冷房運転と、モータ7及びPCU9の冷却とを同時に行うことも可能である。
【0069】
以上のように、この冷房装置101では、ケミカルヒートポンプ13における化学反応である発熱反応及び吸熱反応によって第2室32に冷熱が蓄えられ、この冷熱によって車室を冷房することが可能となっている。冷房することが可能となっている。特に、この冷房装置101は、圧縮式冷凍回路17を備えており、高負荷冷房運転時に第2室32内の冷熱によって車室を冷房するように用いられ、通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路17によって車室を冷房するように用いられている。このため、ケミカルヒートポンプ13の第2室32に蓄えられた冷熱で熱負荷が大きい冷房運転を行いつつ、通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路17によって車室の冷房を行うことで、圧縮機72はさほどの仕事量を要する必要がない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能となっている。
【0070】
また、この冷房装置101では、ハイブリッド車両が主としてエンジン3によって走行し、回生エネルギーの回収等でモータ7及びPCU9の負荷が小さいか、または、ゼロである際、電装系用ラジエータ11が冷却に余裕を有することから、電装系用ラジエータ11が電装系用放熱流路を介して第2室32を冷却することができる。このため、エンジン用ラジエータ3のみで第1室31や第2室を冷却する必要がなく、エンジン用ラジエータ3を小型化できる。また、この冷房装置101では、電装系用ラジエータ11の冷却能力、すなわちその躯体の大きさについて、モータ7やPCU9の冷却の他、第2室32の冷却に必要な最低限の大きさとすることができる。このため、電装系用ラジエータ11の大型化を抑制することも可能となっている。このため、冷房装置101の大型化を抑制することが可能となっている。
【0071】
したがって、この冷房装置101によれば、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への優れた搭載性を発揮することが可能となっている。
【0072】
特に、この冷房装置101では、第1室31を加熱する第1室加熱手段としての熱媒について、高温のエンジン冷却液及び高温の排ガスを採用している。このように、車両の走行によって不可避に生じる熱を利用することで、省エネルギーで第1室31内のLiBr水溶液C1を加熱することが可能となっている。さらに、このエンジン冷却液は低温時には第1室冷却手段としても機能するため、第1室31の加熱と冷却とで別々の手段を講じる必要がない。
【0073】
また、この冷房装置101では、第1室31を上記の熱媒(高温のエンジン冷却液)が循環可能な熱媒流路としての配管24と、第1室31を熱媒(高温の排ガス)がバイパス可能な熱媒バイパス通路19aとが設けられている。このため、排ガスの温度が未だ低く、第1室31を加熱できない場合には、その低温の排ガスを熱媒バイパス通路19aに通し、低温の排ガスの流路抵抗を低減することができる。また、配管24を循環する高温のエンジン冷却液やマフラ19内を流通する高温の排ガスにより好適に第1室31内のLiBr水溶液C1が加熱されるとともに、加熱の必要がない場合には高温の排ガス等をバイパスさせることで第1室31内のLiBr水溶液C1を不必要に加熱することを防止できる。このため、第1室31内のLiBr水溶液C1の劣化や変質を効果的に防止することが可能となっている。
【0074】
さらに、この冷房装置101では、第2室32を冷却する第2室冷却手段を備えている。このため、第2室32の水蒸気を水C1にするケミカルヒートポンプ13を採用できる。また、モータ7等の冷却に使用する電装系冷却液を第2室冷却手段として採用することで、別途に専用の第2室冷却手段を採用する必要がなく、製造コストの低減も可能となっている。
【0075】
また、この冷房装置101において、第2室32には吸熱を行なう吸熱手段が設けられている。そして、吸熱手段は、車室に設けられたクーラコア15と、第2室32に設けられ、クーラコア15との間で空調冷却液を循環する配管30(室内用流路)とから構成されている。このため、第2室32内の冷熱を吸熱し、クーラコア15を介して車室の高負荷冷房運転を行うことで、好適に車室を冷房できる。また、クーラコア15と配管30とを採用することで、車両における冷房装置101の搭載位置の自由度が高くなり、車両に対する冷房装置の搭載性が向上している。
【0076】
(実施例2)
図7に示す実施例2の冷房装置102は、図1に示す実施例1の冷房装置101における電装系用放熱流路の一部を変更して構成している。図7に示すように、この冷房装置102では、配管29に対して配管25及び配管27が接続している。また、配管29には分岐弁20cが設けられ、この分岐弁20cには配管28aの一端側が接続している。配管28aの他端側は配管29と接続している。さらに、配管29には、第2ポンプP2のみが設けられている。この第2ポンプP2及び分岐弁20cは、それぞれ図示しない制御装置に電気的に接続している。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0077】
この冷房装置102も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。この冷房装置102では、制御装置が第2ポンプP2を作動させるとともに電動ファン11aを作動させることにより、配管25内〜配管29内を電装系冷却液が循環する。このため、電装系用ラジエータ11によって冷却された電装系冷却液によって、モータ7、PCU9及び第2室32内の水C2が同時に冷却される。また、同様に、ケミカルヒートポンプ13における吸熱反応によって第2室32内に蓄えられた冷熱によって電装系冷却液を冷却し、これによってモータ7及びPCU9を冷却することも可能である。なお、この際、制御装置が分岐弁20cを作動させて配管29と配管28aとを連通させることで、電装系ラジエータ11を経由せずに電装系用放熱流路内で電装系冷却液を循環させることも可能である。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0078】
この冷房装置102は、実施例1の冷房装置101と比較して、電装系用放熱流路としての配管25〜29の接続が簡略化されている。具体的には、実施例1の冷房装置101と異なり、この冷房装置102では配管28及び第3ポンプP3が設けられていない。
このため、冷房装置101の製造が容易となるとともに、冷房装置102の小型化も可能となる。さらに、この冷房装置102では、製造コストの削減も可能となっている。
【0079】
(実施例3)
図8に示す実施例3の冷房装置103は、図1に示す実施例1の冷房装置101における構成に加えて、電装系用放熱流路としての配管241が追加されている。図8に示すように、配管241は、電装系ラジエータ11と接続しつつ、第1室31内に延びるように形成されている。また、この配管241は、第1室31内で蛇行するように形成されている。さらに、配管241には第5ポンプP5が設けられており、配管241内には電装系冷却液が流通している。この配管241内を流通する低温の電装系冷却液は第2室冷却手段として機能する。第5ポンプP5は、図示しない制御装置に電気的に接続している。なお、配管241は、電装系ラジエータ11内に設けられた図示しない分岐弁とも接続しており、配管25、配管28及び配管29と連通又は非連通を切り替えることが可能となっている。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0080】
この冷房装置103も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。この冷房装置103では、高負荷冷房運転の際、制御装置が第5ポンプP5を作動させ、また、図示しない分岐弁を作動させて配管25、配管28及び配管29と配管241とを非連通とさせる。これにより、電装系用ラジエータ11によって冷却された低温の電装系冷却液によって第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することが可能となる。このため、この冷房装置103では、実施例1の冷房装置101と比較して、蓄冷運転において、LiBr水溶液C1を冷却する際のエンジン用ラジエータ5の作動負担を軽減しつつ、より好適にLiBr水溶液C1を冷却できる。このため、この冷房装置103では、より好適に第2室32内に冷熱を蓄えさせることが可能となる。特に、エンジン3により車両が走行している際における高負荷冷房運転ではこの効果が顕著となる。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0081】
この冷房装置103では、電装系ラジエータ11によっても第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することが可能であるため、エンジン用ラジエータ5をより小型化させることが可能となる。このため、全体として冷房装置103が小型化し、車両への搭載性をより向上させることが可能となっている。
【0082】
(実施例4)
図9に示す実施例4の冷房装置104は、図8に示す実施例3の冷房装置103における吸熱手段を変更して構成している。この冷房装置104では、吸熱手段としてフィン321を採用している。このフィン321は第2室32の外周に設けられており、また、フィン321の近傍には電動ファン321aが設けられている。この電動ファン321aは図示しない制御装置に電気的に接続されている。他の構成は、実施例3の冷房装置103と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0083】
この冷房装置104も実施例3の冷房装置103と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、電装系ラジエータ11によって、第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することも可能となっている。この冷房装置104では、高負荷冷房運転の際、第2室32内に蓄えられた冷熱によってフィン321が冷却される。そして、制御装置が電動ファン321aを作動させることにより、冷却されたフィン321によって冷却された冷却風が車室に供給されて、車室の冷房(高負荷冷房運転)が行われる。他の作用効果は実施例3の冷房装置103と同様である。
【0084】
この冷房装置104では、吸熱手段としてフィン321を採用することで、冷房装置104の構成が簡略化されている。このため、冷房装置104を小型化することができるとともに、製造コストの削減も行うことが可能となっている。
【0085】
(実施例5)
図10に示す実施例5の冷房装置105は、図1に示す実施例1の冷房装置101の構成に加えて、エンジン用放熱流路と電装系用放熱流路とが互いに連通するように構成されている。具体的には、この冷房装置105では、エンジン用ラジエータ5と電装系用ラジエータ11とが配管61によって接続されている。そして、電装系用ラジエータ11と分岐弁20aとは配管62によって接続されている。また、電装系用ラジエータ11内には図示しない分岐弁が設けられており、配管61について、配管25、配管28又は配管62と切り替えて連通させることが可能となっている。同様に、配管62について、配管25、配管28又は配管61と切り替えて連通させることが可能となっている。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0086】
この冷房装置105も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置105では、エンジン用ラジエータ5及び電装系用ラジエータ11によってエンジン3を冷却することが可能となっている。このため、例えば、エンジン3の駆動時における高負荷冷房運転の際、分岐弁20aを制御し、配管24と配管62とを連通させて、配管62と配管22とを直接には非連通とする。また、配管61と配管62とを連通させる。この状態で第1ポンプP1及び電動ファン5a、11aをそれぞれ作動させる。これにより、発熱反応時のLiBr水溶液C1の熱で加熱されたエンジン冷却液について、電装系用ラジエータ11及びエンジン用ラジエータ5によって、より好適に冷却することが可能となる。このため、この冷房装置105では、好適に冷却されたエンジン冷却液により、駆動中のエンジン3を十分に冷却することが可能となる。
【0087】
また同様に、この冷房装置105では、電装系冷却液についても電装系用ラジエータ11及びエンジン用ラジエータ5によって好適に冷却させることが可能となる。このため、この冷房装置105では、好適に冷却された電装系冷却液により、駆動中のモータ7等を十分に冷却することも可能となる。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0088】
この冷房装置105では、上記のように、必要に応じてエンジン用ラジエータ5及び電装系用ラジエータ11によってエンジン3やモータ7等を冷却することが可能となっている。このため、エンジン用ラジエータ5や電装系用ラジエータ11をより小型化することが可能となり、車両への搭載性が一層向上している。
【0089】
(実施例6)
図11に示す実施例6の冷房装置106は、図1に示す実施例1の冷房装置101における圧縮式冷凍回路17に替えて、図11に示すように、電熱式冷凍回路18を備えている。電熱式冷凍回路18は、クーラコア15と、室内用流路としての配管41〜44と、ペルチェ素子80と、ペルチェ素子80の一面側に設けられた一面側熱交換器81とペルチェ素子80の他面側に設けられた他面側熱交換器82とを備えている。
【0090】
ペルチェ素子80は、図示しない制御装置に電気的に接続されており、電装系放熱流路と室内用流路との間で熱的に接合した状態で設けられている。具体的には、一面側熱交換器81が室内用流路側に設けられており、他面側熱交換器82が電装系放熱流路側に設けられている。これにより、ペルチェ素子80を介し、電装系放熱流路と室内用流路との間で熱の移動が可能となっている。なお、ペルチェ素子80、一面側熱交換器81及び他面側熱交換器82は、それぞれ公知のものが採用されており、ペルチェ素子80等の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0091】
クーラコア15と一面側熱交換器81とは、上記の室内用流路としての配管41〜44によって接続されており、第2室32内を経由しつつ、クーラコア15と一面側熱交換器81との間で空調用冷却液が循環可能となっている。より具体的には、クーラコア15と一面側熱交換器81とは配管41によって接続されており、一面側熱交換器81と分岐弁20dとは配管42によって接続されている。そして、分岐弁20dとクーラコア15とは配管43によって接続されている。この配管43は、第2室32内に延びており、第2室32内で蛇行するように形成されている。また、分岐弁20dには配管44の一端側が接続されており、配管44の他端側は配管43に接続している。配管43には第4ポンプP4が設けられている。なお、分岐弁20dは、図示しない制御装置に接続されている。
【0092】
一方、電装系用冷却流路では、PCU9と他面側熱交換器82とが配管45によって接続されており、他面側熱交換器と分岐弁20bとは配管46によって接続されている。また、分岐弁20bには、配管47の一端側が接続されており、この配管47の他端側は配管29と接続している。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0093】
この冷房装置106も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置106では、加熱脱水運転時等、車室の通常冷房運転を電熱式冷凍回路18によって行うことが可能となっている。
【0094】
具体的には、通常冷房運転を行う場合、制御装置はペルチェ素子80の一面側を吸熱面とし、他面側を放熱面としてペルチェ素子80を作動させる。また、制御装置は、分岐弁20dを作動させて配管42と配管44とを連通させて、配管42と配管43とを直接には非連通とさせる。この状態で制御装置は第4ポンプP4を作動させる。これにより、一面側熱交換器81内において、空調用冷却液の熱がペルチェ素子80によって吸熱されて冷却される。この冷却された空調用冷却液の冷熱がクーラコア15を介して車室に供給されて、車室が冷房(通常冷房運転)される。なお、通常冷房運転中は、空調用冷却液が第2室32内を経由して室内用流路内を循環することはない。このため、例えば、加熱脱水運転時等、第2室32内の水C2によって、空調用冷却液が温められてしまうことを防止できる。
【0095】
通常冷房運転が行われる際、電装系用放熱流路では、制御装置が分岐弁20bを作動させて配管28と配管29と配管46とを連通させる。また、制御装置は図示しない分岐弁を作動させて、配管25と配管28と配管29とを連通させる。この状態で制御装置は第2ポンプP2を作動させて、モータ7、PCU9、他面側熱交換器82の順で電装系冷却液を循環させる。これにより、モータ7及びPCU9によって加熱され、更に他面側熱交換器82内で放熱を受けて加熱された電装系冷却液は、電装用ラジエータ11によって冷却される。また同様に、制御装置は第3ポンプP3を作動させる。これにより、加熱脱水運転時において、第2室32内の水C2も同時に冷却することが可能となる。
【0096】
一方、高負荷冷房運転時では、制御装置がペルチェ素子80の作動を停止させる。また制御装置は分岐弁20dを作動させて、配管42と配管43とを連通させ、配管42と配管44とを直接には非連通とさせる。これにより、第2室32内の冷熱によって冷却された空調用冷却液の冷熱がクーラコア15を介して車室に供給される。
【0097】
さらに、高負荷冷房運転時は、制御装置が分岐弁20bを作動させて、配管46と配管47とを連通させ、配管46と配管28とを非連通とさせる。また、制御装置は図示しない分岐弁を作動させて配管25と配管29とを連通させる。これにより、第2室32内を経由することなく電装系冷却液がモータ7、PCU9および電装系用ラジエータ11の間で循環し、モータ7等の冷却が行われる。なお、この際、制御装置は第2ポンプP2又は第3ポンプP3のいずれかの作動を停止させても良い。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0098】
以上のように、この冷房装置106は、電熱式冷凍回路18を備えており、高負荷冷房運転時に第2室32内の冷熱によって車室を冷房するように用いられ、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室を冷房するように用いられている。このため、ケミカルヒートポンプ13の第2室32に蓄えられた冷熱で熱負荷が大きい冷房運転を行いつつ、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室の冷房を行うことで、ペルチェ素子80はさほどの仕事量を要する必要がない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能となっている。
【0099】
また、この冷房装置106では、ペルチェ素子が電装系用放熱流路と室内用流路との間に設けられている。このため、一面側熱交換器81において、ペルチェ素子80によって吸熱された空調冷却液の熱は、電装系用ラジエータ11によって車室外へ好適に放出されることとなる。このように電装系用ラジエータ11を利用することで、この冷房装置106では、ペルチェ素子80の放熱側に専用ラジエータ等を設ける必要が生じない。このため、この冷房装置106では、冷房装置106の製造コストを低減できるとともに車両への搭載性を向上させることができる。
【0100】
(実施例7)
図12に示す実施例7の冷房装置107は、図11に示す実施例6の冷房装置106における電装系用放熱流路の一部を変更して構成している。具体的には、図12に示すように、この冷房装置107では、配管27が電装系用ラジエータ11と接続している。また、電装系用ラジエータ11と他面側熱交換器82とが配管51によって接続されており、他面側熱交換器82と分岐弁20bとは配管52によって接続されている。また、分岐弁20bには配管53の一端側が接続しており、配管53の他端側は配管29と接続している。他の構成は実施例6の冷房装置106と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0101】
この冷房装置107も実施例6の冷房装置106と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置107についても、高負荷冷房運転時には、第2室32内の冷熱を用いて車室の冷房を行い、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室の冷房を行う。
【0102】
この冷房装置107では、モータ7及びPCU9によって加熱された電装系冷却液の冷却と、第2室32内の水C2の冷却、すなわち、加熱脱水運転時における第2室内32内の水C2の熱及び他面側熱交換器82内におけるペルチェ素子80の放熱によって加熱された電装系冷却液の冷却とをそれぞれ別々に電装系用ラジエータ11によって行うことが可能となっている。
【0103】
具体的には、加熱脱水運転が完了して第2室32内の水C2の冷却が必要ない時には、制御装置は分岐弁20bを作動させて、配管52と配管53とを連通させ、配管52と配管29とを非連通とさせる。この状態で制御装置は第2ポンプP2及び第3ポンプP3を作動させる。これにより、他面側熱交換器82、電装系用ラジエータ11の順で電装系冷却水が循環するとともに、モータ7、PCU9、電装系用ラジエータ11の順でも電装系冷却水が循環する。このため、電装系用ラジエータ11により、好適にモータ7及びPCU9を冷却することができる。
【0104】
一方、加熱脱水運転中は、制御装置は分岐弁20bを作動させて、配管52と配管29とを連通させ、配管52と配管53とを非連通とさせる。これにより、電装系用ラジエータ11で冷却された電装系冷却水によって、第2室32内の水C2を冷却することができる。この場合も、モータ7及びPCU9の影響を受けることが無いため、第2室32内の水C2は、電装系冷却水によって好適に冷却されることとなる。他の作用効果は実施例6の冷房装置106と同様である。
【0105】
以上において、本発明を実施例1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0106】
例えば、実施例4の冷房装置104に電熱式冷凍回路18を組み合わせる等、各実施例1〜7における第1室冷却手段、圧縮式冷凍回路17、電熱式冷凍回路18、吸熱手段等を適宜組み合わせて採用することもできる。
【0107】
また、実施例1〜7の冷房装置101〜107について、LiBr水溶液C1及び水C2の組み合わせに替えて、水素吸蔵合金(MH1合金、MH2合金)や他の化学物質を採用することもできる。
【0108】
さらに、実施例1〜7の冷房装置101〜107において、オイル流路を設けることにより、エンジン3の駆動によって高温となったエンジンオイルを第1室加熱手段として採用することもできる。
【0109】
また、実施例1〜7の冷房装置101〜107では、第1室冷却手段及び第2室冷却手段として、第1室31や第2室32の冷却を行う専用冷却液が循環する専用放熱流路を別途に設けても良い。また、第1室31や第2室32について、車両の走行時における走行風によってその冷却を行う構成とすることもできる。
【0110】
さらに、実施例1〜7の冷房装置101〜107について、第2室32内における吸熱反応が完了した状態、すなわち、第2室32内に冷熱が蓄えられた状態まで完了させておき、高負荷冷房運転時には、ケミカルヒートポンプ13において別途化学反応を生じさせないとすることも可能である。この場合には、第2室32の周囲を断熱させることが好ましい。これにより、より長時間に亘って第2室32内の水C2が冷熱を蓄えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、エンジンとモータとによって走行される乗用車、トラック等の車両における車室の空調装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
3…エンジン
7…モータ
9…PCU(駆動回路)
101〜107…冷房装置(ハイブリッド車両用冷房装置)
5…エンジン用ラジエータ
21〜23…配管(エンジン用放熱流路)
11…電装系用ラジエータ
25〜29、45〜47、51〜53…配管(電装系用放熱流路)
V1…開閉弁
33…接続流路
C1、C2…化学物質(C1…LiBr水溶液、C2…水)
31…第1室
32…第2室
13…ケミカルヒートポンプ
24…配管(熱媒流路)
19a…熱媒バイパス通路
15…クーラコア
30、41〜44…配管(室内用流路)
321…フィン
17…圧縮式冷凍回路(71…エバポレータ、72…圧縮機、73…コンデンサ、74…膨張弁、75…冷媒流路)
18…電熱式冷凍回路
80…ペルチェ素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用冷房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年における環境意識の高まりから、エンジンとモータとを駆動源とし、モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両が注目されている。このハイブリッド車両にあっては、車室の好適な空調を実現しながら、省エネルギーな走行を可能とするハイブリッド車両用空調装置が求められる。
【0003】
このようなハイブリッド車両用空調装置として、例えば特許文献1に開示のものが知られている。このハイブリッド車両用空調装置は、エンジン用ラジエータと、エンジン用ラジエータとエンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、電装系用ラジエータと、電装系用ラジエータとモータとを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、エンジン用ラジエータ及び電装系用ラジエータと並列に接続され、車室に設けられたヒータコアとを備えている。
【0004】
このハイブリッド車両用空調装置によれば、エンジンやモータで生じた排熱を車室の暖房に用いることができることから、暖房のためだけにエンジンを運転する必要性がなくなり、車室の好適な暖房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この上記従来のハイブリッド車両用空調装置は、車室を暖房できるだけであり、車室を冷房することができない。
【0007】
この点、特開2008−291777号、特開2007−218504号、特開昭61−193914号公報等に開示されているケミカルヒートポンプを採用することが考えられる。これらのケミカルヒートポンプは、開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填された第1室及び第2室を有している。
【0008】
そこで、上記のハイブリッド車両用空調装置がケミカルヒートポンプを備えれば、ケミカルヒートポンプにおける吸熱反応等によって生じた冷熱を車室に供給することにより、車室を冷房することが可能となる。
【0009】
しかしながら、上記のようなケミカルヒートポンプでは、発熱反応時や吸熱反応時において化学物質の冷却を行う必要がある。そして、上記のハイブリッド車両用空調装置がこのようなケミカルヒートポンプを備えた場合、化学物質の冷却には、各ラジエータが利用されることとなる。その一方で、上記のハイブリッド車両用空調装置では、ハイブリッド車両がエンジンとモータとを駆動源としている。このため、単にケミカルヒートポンプを採用するだけでは、エンジンやモータの冷却と化学物質の冷却の両方を行う必要があることから、エンジン用ラジエータと電装系用ラジエータとをともに大きな容量にする必要がある。この場合、ハイブリッド車両用空調装置の車両への搭載性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への搭載性に優れたハイブリッド車両用冷房装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のハイブリッド車両用冷房装置は、エンジンとモータとを駆動源とし、該モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両の車室を冷房可能なハイブリッド車両用冷房装置であって、
エンジン用ラジエータと、
該エンジン用ラジエータと前記エンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、
電装系用ラジエータと、
該電装系用ラジエータと前記モータ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、
開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填される第1室及び第2室を有し、該第2室に蓄えられた冷熱によって前記車室を冷房可能なケミカルヒートポンプとを備え、
前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方には、前記電装系用放熱流路が設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
本発明のハイブリッド車両用冷房装置(以下、単に冷房装置という。)では、ケミカルヒートポンプにおける化学反応である発熱反応及び吸熱反応によって第2室に冷熱が蓄えられ、この冷熱によって車室を冷房することが可能である。
【0013】
また、本発明の冷房装置では、ハイブリッド車両が主としてエンジンによって走行し、モータ及び駆動回路の負荷が小さいか、または、ゼロである際、電装系用ラジエータが冷却に余裕を有することから、電装系用ラジエータが電装系用放熱流路を介して第1室及び第2室の少なくとも一方を冷却することができる。このため、エンジン用ラジエータのみで第1室及び第2室の少なくとも一方を冷却する必要がなく、エンジン用ラジエータを小型化できる。また、この冷房装置では、電装系用ラジエータの冷却能力、すなわちその躯体の大きさについて、モータや駆動回路の冷却の他、第1室や第2室の冷却に必要な最低限の大きさとすることができる。このため、電装系用ラジエータの大型化を抑制することも可能となる。このため、冷房装置の大型化を抑制することが可能となっている。
【0014】
したがって、本発明の冷房装置によれば、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への優れた搭載性を発揮することができる。
【0015】
本発明の冷房装置において、第1室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第1室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。第2室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第2室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。第1室及び第2室に電装系用放熱流路が設けられている場合には、第1室及び第2室の冷却を電装系用ラジエータによって行うことができる。
【0016】
本発明の冷房装置において、ケミカルヒートポンプとしては、吸収式ヒートポンプ、吸着式ヒートポンプ、化学反応式ヒートポンプ、水素吸蔵式ヒートポンプ、ハイドレートヒートポンプ等を採用することができる。ケミカルヒートポンプに用いる化学物質としては、LiBrとH2Oとの組み合わせ、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭とH2O及び/又はアンモニアとの組み合わせ、MgOやCaO等のアルカリ土類酸化物とH2Oとの組み合わせ、CaCl2等のアルカリ土類金属塩化物とH2O及び/又は低級アルコールとの組み合わせ、金属アンモニア錯塩とアンモニアとの組み合わせ、水素吸蔵合金と水素との組み合わせ等を採用することが可能である。
【0017】
例えば、第1室にLiBr水溶液を充填し、第2室に水を充填した吸収式ヒートポンプは、以下のように、第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。まず、蓄冷時には、第1室を加熱してLiBr水溶液から水蒸気を発生させる。この際、開閉弁を開きつつ、第2室を冷却すれば、第1室から接続流路を経て移動した水蒸気が第2室で凝縮し、水になる。この状態で開閉弁を閉じることで、第1室内のLiBr水溶液は濃縮され、第2室には水(凝縮水)が溜まる。そして、冷房運転時には開閉弁を開く。これにより、第2室の圧力が低下し、第2室の凝縮水が低温で沸騰し、この時に気化熱を奪う。そして、LiBr水溶液は、この水蒸気(水)を吸収する。こうして、第2室に冷熱が蓄えられる。なお、第1室での吸収反応を継続させて、より多くの冷熱を第2室内に蓄えさせるためには、LiBr水溶液が水を吸収する際に生じる発熱反応の熱を取り除く必要がある。
【0018】
また、第1室内にMgO又はMg(OH)2を充填し、第2室に水を充填した水素吸蔵式ヒートポンプでは、MgOが水と反応することにより発熱してMg(OH)2となり、Mg(OH)2が水を分解することにより吸熱してMgOとなる。このため、この吸着式ヒートポンプにおいても、第1室を加熱することによって第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。
【0019】
さらに、第1室内にMH1合金を充填し、第2室にMH2合金を充填した吸着式ヒートポンプでは、MH1合金が水素を吸蔵することによって発熱し、MH2合金が水素を放出することによって吸熱する。このため、この水素吸蔵ヒートポンプにおいても、第1室を加熱することによって第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。第2室内の水素を接続流路によって第1室に移動することによっても第2室に冷熱を蓄えさせることが可能である。
【0020】
本発明の冷房装置は、第1室を加熱する第1室加熱手段を備えていることが好ましい(請求項2)。この場合、第1室内の水を水蒸気にして第2室に移動させるケミカルヒートポンプ等、多くの種類のケミカルヒートポンプを採用することができる。
【0021】
第1室加熱手段は、(1)エンジンから排出される排ガス(高温)、(2)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(高温)及び(3)エンジンを潤滑するためのエンジンオイル(高温)の少なくとも一つの熱媒を用い得る(請求項3)。高温の排ガスを熱媒とする場合には、エンジンと接続された排気管やマフラを第1室に設けることが可能である。エンジン用放熱流路内の高温のエンジン冷却液を熱媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。高温のエンジンオイルを熱媒とする場合には、エンジンと接続されたオイル流路を第1室に設けることが可能である。
【0022】
また、この場合の冷房装置において、第1室には熱媒が循環可能な熱媒流路が設けられ、また、第1室を熱媒がバイパス可能な熱媒バイパス通路が設けられていることが好ましい(請求項4)。これにより、熱媒の温度が未だ低く、第1室を加熱できない場合には、その熱媒を熱媒バイパス通路に通し、熱媒の流路抵抗を低減することができる。また、熱媒流路を循環する熱媒により好適に第1室内の化学物質が加熱されるとともに、加熱の必要がない場合には熱媒をバイパスさせることで第1室内の化学物質を不必要に加熱することを防止できる。このため、第1室内の化学物質の劣化や変質を効果的に防止することが可能となる。
【0023】
本発明の冷房装置は、第2室を冷却する第2室冷却手段を備えていることが好ましい(請求項5)。この場合、第2室の水蒸気を凝縮水にするケミカルヒートポンプ等、多くの種類のケミカルヒートポンプを採用することができる。
【0024】
第2室冷却手段は、(1)電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の電装系冷却液(低温)、(2)空気及び(3)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項6)。電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の低温の電装系冷却液を冷媒とする場合には、電装系用放熱流路を第2室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第2室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第2室に設けることが可能である。
【0025】
本発明の冷房装置は、第1室を冷却する第1室冷却手段を備えていることが好ましい(請求項7)。この場合、第1室に生じる発熱反応の熱を取り除き、第1室の反応を継続させることができる。
【0026】
この場合の第1室冷却手段は、モータが駆動している間には、(1)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(低温)、(2)エンジンを潤滑するためのエンジンオイル(低温)、(3)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)及び(4)空気の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項8)。エンジン用放熱流路内の低温のエンジン冷却液を冷媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。低温のエンジンオイルを冷媒とする場合には、エンジンと接続されたオイル流路を第1室に設けることが可能である。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第1室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第1室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。
【0027】
この場合の第1室冷却手段は、エンジンが駆動している間には、(1)専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液(低温)、(2)空気、(3)電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の電装系冷却液(低温)及び(4)エンジン用放熱流路内のエンジン冷却液(低温)の少なくとも一つの冷媒を用い得る(請求項9)。専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の低温の専用冷却液を冷媒とする場合には、専用放熱流路を第1室に設けることが可能である。空気を冷媒とする場合には、第1室に走行風を受けるフィンを設けることが可能である。電装系用放熱流路内の低温の電装系冷却液を冷媒とする場合には、電装系用放熱流路を第1室に設けることが可能である。エンジン用放熱流路内の低温のエンジン冷却液を冷媒とする場合には、エンジン用放熱流路を第1室に設けることが可能である。
【0028】
本発明の冷房装置において、第2室には吸熱を行う吸熱手段が設けられていることが好ましい(請求項10)。吸熱手段が第2室に吸熱を行わせることにより、車室の冷房が行われる。
【0029】
吸熱手段は、第2室に設けられ、車室に冷却風を供給可能なフィンであり得る。また、吸熱手段は、車室に設けられたクーラコアと、第2室に設けられ、クーラコアとの間で空調冷却液を循環する室内用流路とからなり得る(請求項11)。この場合には、クーラコアを介して車室の冷房を行うことで、フィンによって第2室の周りの空気を直接車室に供給して冷房を行う場合と比較して、車両における冷房装置の搭載位置の自由度が高くなり、車両に対する冷房装置の搭載性が向上する。
【0030】
本発明の冷房装置は、高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するように用いられることが好ましい(請求項12)。高負荷冷房運転時とは、車室の冷房時の熱負荷が大きい時である。車両への乗り始めは熱負荷が特に大きい。このため、運転初期に第2室内の冷熱によって車室を冷房することが効果的である。
【0031】
本発明の冷房装置は、エバポレータ、圧縮機、コンデンサ、膨張弁及びこれらを接続する冷媒流路を有する圧縮式冷凍回路が備えられ得る。そして、蓄冷時及び通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路によって車室を冷房するように用いられ得る(請求項13)。
【0032】
高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するため、第2室内に冷熱が蓄えられていない時には、第2室内の冷熱によって車室を冷房することができない。このため、蓄冷時には圧縮式冷凍回路によって車室の冷房を行うことが好ましい。
【0033】
また、通常冷房運転とは、車室の冷房時の熱負荷が小さい時である。高負荷冷房運転によって車室の冷房が行われた後では熱負荷が小さくなる。そして、圧縮式冷凍回路によって車室の通常冷房運転を行うのであれば、圧縮機はさほどの仕事量を要さない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能である。
【0034】
本発明の冷房装置は、車室に設けられたクーラコアと、クーラコアとの間で空調冷却液を循環する室内用流路と、室内用流路に設けられたペルチェ素子とを備えた電熱式冷凍回路が備えられ得る。そして、蓄冷時及び通常冷房運転時には電熱式冷凍回路によって車室を冷房するように用いられ得る(請求項14)。
【0035】
高負荷冷房運転時に第2室内の冷熱によって車室を冷房するため、第2室内に冷熱が蓄えられていない時には、第2室内の冷熱によって車室を冷房することができない。このため、蓄冷時には電熱式冷凍回路によって車室の冷房を行うことが好ましい。また、電熱式冷凍回路によって車室の通常冷房運転を行うのであれば、ペルチェ素子はさほどの仕事量を要さない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能である。
【0036】
ペルチェ素子は、電装系用放熱流路と室内用流路との間に設けられていることが好ましい(請求項15)。この場合には、ペルチェ素子によって吸熱された空調冷却液の熱は、電装系用ラジエータによって車室外へ好適に放出されることとなる。このように、電装系用ラジエータを利用することで、ペルチェ素子の放熱側に専用ラジエータ等を設ける必要が生じない。このため、冷房装置の製造コストを低減できるとともに車両への搭載性を向上させることができる。
【0037】
本発明の冷房装置において、エンジン用放熱流路と電装系用放熱流路とは連通されていることが好ましい(請求項16)。この場合には、必要に応じてエンジン用ラジエータ及び電装系用ラジエータによってエンジンを冷却することが可能となる。同様に、電装系用ラジエータ及びエンジン用ラジエータによってモータ等を冷却することも可能となる。これらのため、エンジン用ラジエータや電装系用ラジエータをより小型化することが可能となる。
【0038】
本発明の冷房装置におけるエンジンには、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン及び天然ガスエンジン等が含まれる。一方、駆動回路としては、インバータやコンバータ等によって構成されたパワーコントロールユニット(PCU)等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図2】実施例1の冷房装置に係り、蓄冷時の状態を示す模式構造図である。
【図3】実施例1の冷房装置に係り、エンジン駆動時における通常冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図4】実施例1の冷房装置に係り、モータ駆動時における高負荷冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図5】実施例1の冷房装置に係り、モータ駆動時における通常冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図6】実施例1の冷房装置に係り、エンジン駆動時における高負荷冷房運転時の状態を示す模式構造図である。
【図7】実施例2の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図8】実施例3の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図9】実施例4の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図10】実施例5の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図11】実施例6の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【図12】実施例7の冷房装置に係り、車両の停車時の状態を示す模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した実施例1〜7を図面を参照しつつ説明する。実施例1〜7の冷房装置101〜107は、車室の空調としての冷房運転を行う装置としてハイブリッド車両(以下、単に車両という。)に搭載されている。
【0041】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の冷房装置101は、エンジン3と、エンジン用ラジエータ5と、モータ7と、駆動回路としてのPCU(パワーコントロールユニット)9と、電装系用ラジエータ11と、ケミカルヒートポンプ13とを備えている。さらに、この冷房装置101は、圧縮式冷凍回路17を備えている。
【0042】
エンジン3は、車両の走行状況等に応じてモータ7と択一的に駆動されて車両を走行させる。エンジン3には図示しないウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケット内を流通するエンジン冷却液によりエンジン3を冷却又は暖機することが可能となっている。また、エンジン3には、排気ガスを車室外に放出するマフラ19が設けられている。
【0043】
マフラ19は、ケミカルヒートポンプ13の第1室31内を貫通するように延びている。これにより、マフラ19内を流通する高温の排ガスは、第1加熱手段としての熱媒として機能する。また、このマフラには第1室31をバイパス可能な熱媒バイパス通路19aが設けられている。この熱媒バイパス通路19aの上流にはフラッパ19bが設けられている。フラッパ19bは図示しない制御装置に電気的に接続されている。マフラ19内及び熱媒バイパス通路19a内には、図示しない触媒が設けられている。なお、エンジン3、マフラ19及び触媒の構成は、それぞれ公知のものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0044】
エンジン用ラジエータ5は、その内部をエンジン冷却液が流通可能に構成されており、エンジン用ラジエータ5内のエンジン冷却液と、エンジン用ラジエータ5周りの空気との間で熱交換を行うことでエンジン冷却液を冷却することが可能となっている。このエンジン用ラジエータ5の容量は、エンジン3の冷却及び第1室31内のLiBr水溶液C1の冷却に必要とされる最小限の大きさに構成されている。また、エンジン用ラジエータ5の近傍には電動ファン5aが設けられている。この電動ファン5aは、図示しない制御装置に接続されている。
【0045】
エンジン3とエンジン用ラジエータ5とは配管21〜23によって接続されている。これらの配管21〜23がエンジン用放熱流路である。これらの配管21〜23内にも上記のエンジン冷却液が流通しており、エンジン3とエンジン用ラジエータ5との間を循環することが可能となっている。また、配管21と配管22との間には分岐弁20aが設けられている。なお、分岐弁とは、一方の流路を他方の複数の流路に分岐可能、すなわち、一つの流路を複数の流路に連通又は非連通を切替可能な切替弁をいう。
【0046】
配管21は、エンジン用ラジエータ5と分岐弁20aとを接続している。配管22は、分岐弁20aとエンジン3とを接続している。配管23は、エンジン3とエンジン用ラジエータ5とを接続している。この配管23には第1ポンプP1が設けられている。また、分岐弁20aには配管24の一端側が接続されており、配管24の他端側は配管22に接続されている。この配管24は、第1室31内に延びており、配管24は、この第1室31内において、その一部が蛇行するように形成されている。この配管24内を流通する高温のエンジン冷却液は第1室加熱手段としての熱媒として機能し、この際の配管24は熱媒流路として機能する。また、配管24内を流通する低温のエンジン冷却液は第1室冷却手段に相当する。なお、第1ポンプP1及び分岐弁20aは、それぞれ図示しない制御装置に接続されている。
【0047】
モータ7はPCU9及び図示しない制御装置に電気的に接続されており、図示しない給電装置からの電力の供給を受けて駆動することで車両を走行させる。また、PCU9は、インバータやコンバータ等によって構成されている。このPCU9も図示しない制御装置に電気的に接続されており、車両の走行状況に応じて給電装置がモータ7に供給する電力の制御等を行う。モータ7及びPCU9は、エンジン3の駆動により車両が走行している間、ブレーキ操作等によって生じた発熱エネルギーを回生エネルギー(回生電力)として回収(充電)すべく作動する。
【0048】
モータ7及びPCU9には図示しないウォータジャケットが形成されており、このウォータジャケット内を流通する電装系冷却液によって、モータ7及びPCU9は冷却されるようになっている。なお、モータ7、PCU9の構成は、それぞれ公知ものと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0049】
電装系用ラジエータ11は、内部を電装系冷却液が流通可能に構成されており、電装系用ラジエータ11内の電装系冷却液と、電装系用ラジエータ11周りの空気との間で熱交換を行うことで電装系冷却液を冷却することが可能となっている。この電装系用ラジエータ11によるモータ7及びPCU9の冷却は、モータ7等の駆動による車両の走行中だけでなく、エンジン3による車両の走行中における回生エネルギーを回収する際にも行われる。この電装系用ラジエータ11の容量は、モータ7、PCU9及びケミカルヒートポンプ13の第2室32内の水C2の冷却に必要とされる最小限の大きさに構成されている。また、電装系用ラジエータ11の近傍には電動ファン11aが設けられている。この電動ファン11aは、図示しない制御装置に接続されている。
【0050】
モータ7、PCU9及び電装系用ラジエータ11は配管25〜29によって接続されている。これらの配管25〜29が電装系用放熱流路である。また、これらの配管25〜29内にも上記の電装系冷却液が流通しており、第2室32を経由しつつ、モータ7、PCU9及び電装系用ラジエータ11の間で循環可能となっている。この電装用冷却液は、第2室冷却手段としても機能する。
【0051】
配管25は、電装系用ラジエータ11とモータ7とを接続している。配管26は、モータ7とPCU9とを接続している。配管27は、PCU9と分岐弁20bとを接続している。配管28、29は、それぞれ電装系用ラジエータ11と分岐弁20bとを接続している。配管29は、第2室32内に延びており、配管29は、この第2室32内で蛇行するように形成されている。配管25、29には、それぞれ第2、3ポンプP2、P3が設けられており、これらの第2、3ポンプP2、P3及び分岐弁20bは、それぞれ図示しない制御装置に接続されている。なお、電装系用ラジエータ11内にも図示しない分岐弁が設けられており、配管25と配管28とを連通させる場合と、配管28と配管29とを連通させる場合と、配管25と配管29とを連通させる場合とを切り替えることが可能になっている。この分岐弁も図示しない制御装置に接続されている。
【0052】
ケミカルヒートポンプ13は吸収式ケミカルヒートポンプである。ケミカルヒートポンプ13は、化学物質としてのLiBr水溶液C1が充填された第1室31と、水C2が充填された第2室32と、第1室31と第2室32とを接続する接続流路33とを有している。第2室32内は、周囲の大気圧よりも減圧された状態となっている。また、接続流路33には、開閉弁V1が設けられている。この開閉弁V1は、図示しない制御装置に接続されている。上記のように、第1室31内には配管24とマフラ19とが設けられている。一方、第2室32内には配管29と後述の配管30とが設けられている。
【0053】
配管30は第2室32内に延びており、この第2室32内で蛇行するように形成されている。また、配管30には第4ポンプP4が設けられており、この第4ポンプP4を作動させることで配管30内を空調用冷却液が循環するようになっている。配管30は室内用流路として機能している。
【0054】
また、この配管30内はクーラコアと接続している。このクーラコア15は車室に設けられており、内部を空調用冷却液が流通可能に構成されて、クーラコア15内の空調用冷却液と車室の空気との間で熱交換を行うことが可能となっている。このクーラコア15の近傍には、電動ファン15aが設けられている。この電動ファン15aを作動させることにより、水の冷熱によって冷却された空気を車室に供給して車室の冷房運転を行うことができるようになっている。なお、第4ポンプP4及び電動ファン15aは、図示しない制御装置に接続されている。この配管30(室内用流路)、クーラコア15及び空調用冷却液が吸熱手段に相当している。
【0055】
圧縮式冷凍回路17は、エバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73及び膨張弁74が冷媒流路75によって接続されて形成されている。このエバポレータ71は車室に設けられており、また、このエバポレータ71の近傍には電動ファン71aが設けられている。この電動ファン71aを作動させることで、冷媒によって冷却されたエバポレータ71内の空気を車室に供給することが可能となっている。この冷房装置100において圧縮式冷凍回路17を構成するエバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73及び膨張弁74は、いずれも小型のものが採用されている。なお、これらエバポレータ71、圧縮機72、コンデンサ73、膨張弁74及び冷媒回路75の個々の構成は周知のものと同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0056】
以上のように構成された冷房装置101では、図2〜6に示すように作動することにより、車室の冷房運転を行う。以下、車両の始動直後等、車室の冷房時の熱負荷が大きい高負荷冷房運転と、高負荷冷房運転によって冷房された車室の温度の維持を目的とし、車室の冷房時の熱負荷が小さい通常冷房運転とについて、エンジン3の駆動によって車両が走行している場合と、モータ7の駆動によって車両が走行している場合とに分けて説明する。なお、図2〜6において、実線矢印はエンジン冷却液又は水の循環方向を示しており、破線矢印は熱の移動方向を示している。
【0057】
<加熱脱水運転>
ケミカルヒートポンプ13による冷房運転を行うためには、それに先立って、第1室31内のLiBr水溶液C1を加熱し、第2室32内に水C2を貯留させる加熱脱水運転が必要となる。この冷房装置101では、エンジン3の駆動によって車両が走行している間にこの加熱脱水運転が行われる。具体的には、図2に示すように、エンジン3の駆動中に分岐弁20aを作動させて、配管21と配管24とを連通させ、配管21と配管22とを直接には非連通とさせる。また、第1ポンプP1を作動させるとともにフラッパ19bを作動させて、熱媒バイパス通路19aの上流側を閉鎖させる。これにより、エンジン用放熱流路ではエンジン冷却液が矢印方向に循環する。このため、エンジン冷却液がエンジン3の排熱によって加熱される。また、排ガスによってマフラ19も加熱される。こうして、第1室31内のLiBr水溶液C1に対して、加熱されたエンジン冷却液及び排気ガスによる加熱が行われる。なお、この際、電動ファン5aも作動され、エンジン3の冷却も同時に行われる。
【0058】
このように、第1室31内のLiBr水溶液C1が加熱されることで、このLiBr水溶液C1は水C2を水蒸気の状態で分離させる。この際、制御装置が開閉弁V1の開制御を行うことで、水C2を第2室32に貯留させることができる。なお、この開閉弁V1は、LiBr水溶液C1を十分に加熱し、水C2が第2室32内に十分貯留された後、閉制御が行われる。
【0059】
また、制御装置は分岐弁20bについての制御を行い、配管28と配管27及び配管29とを連通させる。さらに制御装置は図示しない分岐弁の制御を行い配管25と配管28とを連通させる。そして、制御装置は第3ポンプP3を作動させる。これにより、電装系用放熱流路において電装系冷却液が矢印方向に循環する。また、同時に電動ファン11aを作動させる。こうして、電装系用放熱流路内の電装系冷却液が電装系用ラジエータ11で冷却され、その電装系冷却液によって水C2が冷却される。このため、第2室32内には水C2が凝縮水として貯留される。なお、この際、回生エネルギーを充電しているモータ7及びPCU9は、電装系用ラジエータ11によって同様に冷却される。
【0060】
この加熱脱水運転が行われている間、この冷房装置101では、圧縮式冷凍回路17による車室の通常冷房運転が行われ、車室の温度変化が抑えられている。また、加熱脱水運転が終了した後は、図3に示すように、分岐弁20a、20b、フラッパ19b及び第2、3ポンプP2、P3の制御が行われる。これにより、配管21と配管22とが連通し、配管21及び配管22と配管24とが非連通となる。また、マフラ19の上流側が閉鎖され、熱媒バイパス通路19aの上流側が開放される。さらに、配管27と配管28とが連通し、配管27及び配管28と配管29とが非連通となる。そして第2ポンプP2が作動し、第3ポンプP3が停止する。
【0061】
この状態では、熱媒バイパス通路19aにより、排気ガスが第1室31内通過せずに、第1室31をバイパスする。また、駆動中のエンジン3によって加熱されたエンジン冷却液が配管21と配管22とを流通することで、配管24内にエンジン冷却液が流通しない。また、第2ポンプP2により、モータ7及びPCU9と電装系用ラジエータ11との間で電装系冷却水が循環し、冷却が行われる。なお、この間も、圧縮式冷凍回路17による車室の通常冷房運転が継続して行われている。こうして車両は目的地まで走行し、目的地に到着後、停車される。
【0062】
<モータ駆動時における高負荷冷房運転>
車両の再始動後から一定の時間の間、この車両ではモータ7等の駆動によって車両が走行(いわゆるEV走行。)する。この場合には、図4に示すように、制御装置は第4ポンプP4を作動させるとともに開閉弁V1の開制御を行う。これにより、配管30内を空調用冷却液が循環する。上記のように、第2室32内は、周囲の大気圧よりも減圧された状態となっているため、第2室内の水C2は、配管30内を循環する空調用冷却液の熱よって加熱されて沸騰し、気化する。そして水蒸気となった水C2は、接続流路33を流通して第1室31へ移動する。第1室31では水C2が濃縮又は脱水されたLiBr水溶液C1によって吸収される。このように水C2が沸騰し、この時に第2室32内の気化熱が奪われる(吸熱反応)。そして、この水C2が濃縮又は脱水されたLiBr水溶液に順次吸収されることで、第2室32内は冷却されて冷熱が蓄えられる(蓄冷運転)。このような吸熱反応に基づくため、第2室32内には即座に冷熱が蓄えられる。このように、第2室32内に蓄えられた冷熱により配管30内の空調用冷却液が冷却される。この状態で制御装置は電動ファン15aを作動させる。これにより、クーラコア15を介して、空調用冷却液の冷熱、すなわち、第2室32内の冷熱が車室に供給される。こうして、車両の始動直後における高負荷冷房運転が行われる。なお、この際、圧縮式冷凍回路17による車室の冷房運転は行われない。また、電装系用ラジエータ11によるモータ7及びPCU9の冷却については、上記の図3の場合と同様である。
【0063】
上記の蓄冷運転の間、濃縮又は脱水されたLiBr水溶液は水C2を吸収して希釈又は吸水したLiBr水溶液C1となるとともに発熱反応が生じることとなる。このため、制御装置は分岐弁20aを制御し、図4に示すように、配管21と配管22と配管24とを連通させ、配管21と配管22については直接には非連通とする。また、制御装置は電動ファン5a及び第1ポンプP1を作動させる。これにより、矢印方向でエンジン用放熱流路内をエンジン冷却液が循環し、その際、エンジン用ラジエータ5で冷却された配管24内のエンジン用冷却液によってLiBr水溶液C1が冷却される。これにより、LiBr水溶液C1による水C2の吸収がより好適に行われ、第2室32内に好適に冷熱が蓄えられる。
【0064】
また、この冷房装置101では、上記のようにLiBr水溶液C1の冷却を行うと同時に、このLiBr水溶液C1の熱によって加熱されたエンジン用冷却液やLiBr水溶液C1自体によって、エンジン3及びマフラ19(マフラ19内の触媒)の暖機を行うことも可能となっている。このため、エンジン3を始動直後から好適に駆動させることが可能となっている。
【0065】
<モータ駆動時における通常冷房運転>
第2室32内の冷熱、すなわち、ケミカルヒートポンプ13による高負荷冷房運転が終了した後は、図5に示すように圧縮式冷凍回路17による通常冷房運転が行われる。この際、制御装置は第1ポンプP1の作動を停止させる。これにより、第1室31内のLiBr水溶液C1が必要以上に冷却されることを防止できる。
【0066】
図示しないバッテリの消耗により、モータ7等の駆動による車両の走行が終了した後は、再びエンジン3の駆動による車両の走行が行われる。この場合には、次回の高負荷冷房運転に備えて、図1に示す加熱脱水運転が行われることとなる。
【0067】
<エンジン駆動時における高負荷冷房運転>
この冷房装置101では、上記のようなモータ7等の駆動による車両の走行時だけでなく、図6に示すように、エンジン3の駆動時においても高負荷冷房運転を行うことが可能である。この場合も図4に示す状態とほぼ同様であるが、水C2を吸収して発熱しているLiBr水溶液C1が排ガスによってさらに加熱されることを防止するため、制御装置はフラッパ19bを作動させて、熱媒バイパス通路19a内に排ガスを流通させる。なお、この状態において、制御装置が第1ポンプP1の作動を逆転させることも可能である。この場合には、エンジン用ラジエータ5によって冷却されたエンジン用冷却液によって、より好適にLiBr水溶液C1を冷却することが可能となる。
【0068】
また、モータ7及びPCU9をより急速に冷却する必要がある場合には、制御装置は分岐弁20bを制御して、配管27と配管29とを連通させて、配管27及び配管29と配管28とを非連通とさせる。さらに、制御装置は図示しない分岐弁を制御して配管25と配管29とを連通させる。そして、制御装置は第2ポンプP2又は第3ポンプP3を作動させて、電装系用放熱流路内において、矢印方向に電装系冷却液を循環させる。これにより、第2室32内の冷熱によってモータ7及びPCU9を急速に冷却することが可能となる。なお、この際、第4ポンプP4を作動させることで、ケミカルヒートポンプ13による車室の高負荷冷房運転と、モータ7及びPCU9の冷却とを同時に行うことも可能である。
【0069】
以上のように、この冷房装置101では、ケミカルヒートポンプ13における化学反応である発熱反応及び吸熱反応によって第2室32に冷熱が蓄えられ、この冷熱によって車室を冷房することが可能となっている。冷房することが可能となっている。特に、この冷房装置101は、圧縮式冷凍回路17を備えており、高負荷冷房運転時に第2室32内の冷熱によって車室を冷房するように用いられ、通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路17によって車室を冷房するように用いられている。このため、ケミカルヒートポンプ13の第2室32に蓄えられた冷熱で熱負荷が大きい冷房運転を行いつつ、通常冷房運転時には圧縮式冷凍回路17によって車室の冷房を行うことで、圧縮機72はさほどの仕事量を要する必要がない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能となっている。
【0070】
また、この冷房装置101では、ハイブリッド車両が主としてエンジン3によって走行し、回生エネルギーの回収等でモータ7及びPCU9の負荷が小さいか、または、ゼロである際、電装系用ラジエータ11が冷却に余裕を有することから、電装系用ラジエータ11が電装系用放熱流路を介して第2室32を冷却することができる。このため、エンジン用ラジエータ3のみで第1室31や第2室を冷却する必要がなく、エンジン用ラジエータ3を小型化できる。また、この冷房装置101では、電装系用ラジエータ11の冷却能力、すなわちその躯体の大きさについて、モータ7やPCU9の冷却の他、第2室32の冷却に必要な最低限の大きさとすることができる。このため、電装系用ラジエータ11の大型化を抑制することも可能となっている。このため、冷房装置101の大型化を抑制することが可能となっている。
【0071】
したがって、この冷房装置101によれば、車室の好適な冷房を実現しつつ、より省エネルギーな走行が可能であるとともに、車両への優れた搭載性を発揮することが可能となっている。
【0072】
特に、この冷房装置101では、第1室31を加熱する第1室加熱手段としての熱媒について、高温のエンジン冷却液及び高温の排ガスを採用している。このように、車両の走行によって不可避に生じる熱を利用することで、省エネルギーで第1室31内のLiBr水溶液C1を加熱することが可能となっている。さらに、このエンジン冷却液は低温時には第1室冷却手段としても機能するため、第1室31の加熱と冷却とで別々の手段を講じる必要がない。
【0073】
また、この冷房装置101では、第1室31を上記の熱媒(高温のエンジン冷却液)が循環可能な熱媒流路としての配管24と、第1室31を熱媒(高温の排ガス)がバイパス可能な熱媒バイパス通路19aとが設けられている。このため、排ガスの温度が未だ低く、第1室31を加熱できない場合には、その低温の排ガスを熱媒バイパス通路19aに通し、低温の排ガスの流路抵抗を低減することができる。また、配管24を循環する高温のエンジン冷却液やマフラ19内を流通する高温の排ガスにより好適に第1室31内のLiBr水溶液C1が加熱されるとともに、加熱の必要がない場合には高温の排ガス等をバイパスさせることで第1室31内のLiBr水溶液C1を不必要に加熱することを防止できる。このため、第1室31内のLiBr水溶液C1の劣化や変質を効果的に防止することが可能となっている。
【0074】
さらに、この冷房装置101では、第2室32を冷却する第2室冷却手段を備えている。このため、第2室32の水蒸気を水C1にするケミカルヒートポンプ13を採用できる。また、モータ7等の冷却に使用する電装系冷却液を第2室冷却手段として採用することで、別途に専用の第2室冷却手段を採用する必要がなく、製造コストの低減も可能となっている。
【0075】
また、この冷房装置101において、第2室32には吸熱を行なう吸熱手段が設けられている。そして、吸熱手段は、車室に設けられたクーラコア15と、第2室32に設けられ、クーラコア15との間で空調冷却液を循環する配管30(室内用流路)とから構成されている。このため、第2室32内の冷熱を吸熱し、クーラコア15を介して車室の高負荷冷房運転を行うことで、好適に車室を冷房できる。また、クーラコア15と配管30とを採用することで、車両における冷房装置101の搭載位置の自由度が高くなり、車両に対する冷房装置の搭載性が向上している。
【0076】
(実施例2)
図7に示す実施例2の冷房装置102は、図1に示す実施例1の冷房装置101における電装系用放熱流路の一部を変更して構成している。図7に示すように、この冷房装置102では、配管29に対して配管25及び配管27が接続している。また、配管29には分岐弁20cが設けられ、この分岐弁20cには配管28aの一端側が接続している。配管28aの他端側は配管29と接続している。さらに、配管29には、第2ポンプP2のみが設けられている。この第2ポンプP2及び分岐弁20cは、それぞれ図示しない制御装置に電気的に接続している。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0077】
この冷房装置102も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。この冷房装置102では、制御装置が第2ポンプP2を作動させるとともに電動ファン11aを作動させることにより、配管25内〜配管29内を電装系冷却液が循環する。このため、電装系用ラジエータ11によって冷却された電装系冷却液によって、モータ7、PCU9及び第2室32内の水C2が同時に冷却される。また、同様に、ケミカルヒートポンプ13における吸熱反応によって第2室32内に蓄えられた冷熱によって電装系冷却液を冷却し、これによってモータ7及びPCU9を冷却することも可能である。なお、この際、制御装置が分岐弁20cを作動させて配管29と配管28aとを連通させることで、電装系ラジエータ11を経由せずに電装系用放熱流路内で電装系冷却液を循環させることも可能である。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0078】
この冷房装置102は、実施例1の冷房装置101と比較して、電装系用放熱流路としての配管25〜29の接続が簡略化されている。具体的には、実施例1の冷房装置101と異なり、この冷房装置102では配管28及び第3ポンプP3が設けられていない。
このため、冷房装置101の製造が容易となるとともに、冷房装置102の小型化も可能となる。さらに、この冷房装置102では、製造コストの削減も可能となっている。
【0079】
(実施例3)
図8に示す実施例3の冷房装置103は、図1に示す実施例1の冷房装置101における構成に加えて、電装系用放熱流路としての配管241が追加されている。図8に示すように、配管241は、電装系ラジエータ11と接続しつつ、第1室31内に延びるように形成されている。また、この配管241は、第1室31内で蛇行するように形成されている。さらに、配管241には第5ポンプP5が設けられており、配管241内には電装系冷却液が流通している。この配管241内を流通する低温の電装系冷却液は第2室冷却手段として機能する。第5ポンプP5は、図示しない制御装置に電気的に接続している。なお、配管241は、電装系ラジエータ11内に設けられた図示しない分岐弁とも接続しており、配管25、配管28及び配管29と連通又は非連通を切り替えることが可能となっている。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0080】
この冷房装置103も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。この冷房装置103では、高負荷冷房運転の際、制御装置が第5ポンプP5を作動させ、また、図示しない分岐弁を作動させて配管25、配管28及び配管29と配管241とを非連通とさせる。これにより、電装系用ラジエータ11によって冷却された低温の電装系冷却液によって第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することが可能となる。このため、この冷房装置103では、実施例1の冷房装置101と比較して、蓄冷運転において、LiBr水溶液C1を冷却する際のエンジン用ラジエータ5の作動負担を軽減しつつ、より好適にLiBr水溶液C1を冷却できる。このため、この冷房装置103では、より好適に第2室32内に冷熱を蓄えさせることが可能となる。特に、エンジン3により車両が走行している際における高負荷冷房運転ではこの効果が顕著となる。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0081】
この冷房装置103では、電装系ラジエータ11によっても第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することが可能であるため、エンジン用ラジエータ5をより小型化させることが可能となる。このため、全体として冷房装置103が小型化し、車両への搭載性をより向上させることが可能となっている。
【0082】
(実施例4)
図9に示す実施例4の冷房装置104は、図8に示す実施例3の冷房装置103における吸熱手段を変更して構成している。この冷房装置104では、吸熱手段としてフィン321を採用している。このフィン321は第2室32の外周に設けられており、また、フィン321の近傍には電動ファン321aが設けられている。この電動ファン321aは図示しない制御装置に電気的に接続されている。他の構成は、実施例3の冷房装置103と同様であり、同一の構成に対しては同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0083】
この冷房装置104も実施例3の冷房装置103と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、電装系ラジエータ11によって、第1室31内のLiBr水溶液C1を冷却することも可能となっている。この冷房装置104では、高負荷冷房運転の際、第2室32内に蓄えられた冷熱によってフィン321が冷却される。そして、制御装置が電動ファン321aを作動させることにより、冷却されたフィン321によって冷却された冷却風が車室に供給されて、車室の冷房(高負荷冷房運転)が行われる。他の作用効果は実施例3の冷房装置103と同様である。
【0084】
この冷房装置104では、吸熱手段としてフィン321を採用することで、冷房装置104の構成が簡略化されている。このため、冷房装置104を小型化することができるとともに、製造コストの削減も行うことが可能となっている。
【0085】
(実施例5)
図10に示す実施例5の冷房装置105は、図1に示す実施例1の冷房装置101の構成に加えて、エンジン用放熱流路と電装系用放熱流路とが互いに連通するように構成されている。具体的には、この冷房装置105では、エンジン用ラジエータ5と電装系用ラジエータ11とが配管61によって接続されている。そして、電装系用ラジエータ11と分岐弁20aとは配管62によって接続されている。また、電装系用ラジエータ11内には図示しない分岐弁が設けられており、配管61について、配管25、配管28又は配管62と切り替えて連通させることが可能となっている。同様に、配管62について、配管25、配管28又は配管61と切り替えて連通させることが可能となっている。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0086】
この冷房装置105も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置105では、エンジン用ラジエータ5及び電装系用ラジエータ11によってエンジン3を冷却することが可能となっている。このため、例えば、エンジン3の駆動時における高負荷冷房運転の際、分岐弁20aを制御し、配管24と配管62とを連通させて、配管62と配管22とを直接には非連通とする。また、配管61と配管62とを連通させる。この状態で第1ポンプP1及び電動ファン5a、11aをそれぞれ作動させる。これにより、発熱反応時のLiBr水溶液C1の熱で加熱されたエンジン冷却液について、電装系用ラジエータ11及びエンジン用ラジエータ5によって、より好適に冷却することが可能となる。このため、この冷房装置105では、好適に冷却されたエンジン冷却液により、駆動中のエンジン3を十分に冷却することが可能となる。
【0087】
また同様に、この冷房装置105では、電装系冷却液についても電装系用ラジエータ11及びエンジン用ラジエータ5によって好適に冷却させることが可能となる。このため、この冷房装置105では、好適に冷却された電装系冷却液により、駆動中のモータ7等を十分に冷却することも可能となる。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0088】
この冷房装置105では、上記のように、必要に応じてエンジン用ラジエータ5及び電装系用ラジエータ11によってエンジン3やモータ7等を冷却することが可能となっている。このため、エンジン用ラジエータ5や電装系用ラジエータ11をより小型化することが可能となり、車両への搭載性が一層向上している。
【0089】
(実施例6)
図11に示す実施例6の冷房装置106は、図1に示す実施例1の冷房装置101における圧縮式冷凍回路17に替えて、図11に示すように、電熱式冷凍回路18を備えている。電熱式冷凍回路18は、クーラコア15と、室内用流路としての配管41〜44と、ペルチェ素子80と、ペルチェ素子80の一面側に設けられた一面側熱交換器81とペルチェ素子80の他面側に設けられた他面側熱交換器82とを備えている。
【0090】
ペルチェ素子80は、図示しない制御装置に電気的に接続されており、電装系放熱流路と室内用流路との間で熱的に接合した状態で設けられている。具体的には、一面側熱交換器81が室内用流路側に設けられており、他面側熱交換器82が電装系放熱流路側に設けられている。これにより、ペルチェ素子80を介し、電装系放熱流路と室内用流路との間で熱の移動が可能となっている。なお、ペルチェ素子80、一面側熱交換器81及び他面側熱交換器82は、それぞれ公知のものが採用されており、ペルチェ素子80等の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0091】
クーラコア15と一面側熱交換器81とは、上記の室内用流路としての配管41〜44によって接続されており、第2室32内を経由しつつ、クーラコア15と一面側熱交換器81との間で空調用冷却液が循環可能となっている。より具体的には、クーラコア15と一面側熱交換器81とは配管41によって接続されており、一面側熱交換器81と分岐弁20dとは配管42によって接続されている。そして、分岐弁20dとクーラコア15とは配管43によって接続されている。この配管43は、第2室32内に延びており、第2室32内で蛇行するように形成されている。また、分岐弁20dには配管44の一端側が接続されており、配管44の他端側は配管43に接続している。配管43には第4ポンプP4が設けられている。なお、分岐弁20dは、図示しない制御装置に接続されている。
【0092】
一方、電装系用冷却流路では、PCU9と他面側熱交換器82とが配管45によって接続されており、他面側熱交換器と分岐弁20bとは配管46によって接続されている。また、分岐弁20bには、配管47の一端側が接続されており、この配管47の他端側は配管29と接続している。他の構成は実施例1の冷房装置101と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0093】
この冷房装置106も実施例1の冷房装置101と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置106では、加熱脱水運転時等、車室の通常冷房運転を電熱式冷凍回路18によって行うことが可能となっている。
【0094】
具体的には、通常冷房運転を行う場合、制御装置はペルチェ素子80の一面側を吸熱面とし、他面側を放熱面としてペルチェ素子80を作動させる。また、制御装置は、分岐弁20dを作動させて配管42と配管44とを連通させて、配管42と配管43とを直接には非連通とさせる。この状態で制御装置は第4ポンプP4を作動させる。これにより、一面側熱交換器81内において、空調用冷却液の熱がペルチェ素子80によって吸熱されて冷却される。この冷却された空調用冷却液の冷熱がクーラコア15を介して車室に供給されて、車室が冷房(通常冷房運転)される。なお、通常冷房運転中は、空調用冷却液が第2室32内を経由して室内用流路内を循環することはない。このため、例えば、加熱脱水運転時等、第2室32内の水C2によって、空調用冷却液が温められてしまうことを防止できる。
【0095】
通常冷房運転が行われる際、電装系用放熱流路では、制御装置が分岐弁20bを作動させて配管28と配管29と配管46とを連通させる。また、制御装置は図示しない分岐弁を作動させて、配管25と配管28と配管29とを連通させる。この状態で制御装置は第2ポンプP2を作動させて、モータ7、PCU9、他面側熱交換器82の順で電装系冷却液を循環させる。これにより、モータ7及びPCU9によって加熱され、更に他面側熱交換器82内で放熱を受けて加熱された電装系冷却液は、電装用ラジエータ11によって冷却される。また同様に、制御装置は第3ポンプP3を作動させる。これにより、加熱脱水運転時において、第2室32内の水C2も同時に冷却することが可能となる。
【0096】
一方、高負荷冷房運転時では、制御装置がペルチェ素子80の作動を停止させる。また制御装置は分岐弁20dを作動させて、配管42と配管43とを連通させ、配管42と配管44とを直接には非連通とさせる。これにより、第2室32内の冷熱によって冷却された空調用冷却液の冷熱がクーラコア15を介して車室に供給される。
【0097】
さらに、高負荷冷房運転時は、制御装置が分岐弁20bを作動させて、配管46と配管47とを連通させ、配管46と配管28とを非連通とさせる。また、制御装置は図示しない分岐弁を作動させて配管25と配管29とを連通させる。これにより、第2室32内を経由することなく電装系冷却液がモータ7、PCU9および電装系用ラジエータ11の間で循環し、モータ7等の冷却が行われる。なお、この際、制御装置は第2ポンプP2又は第3ポンプP3のいずれかの作動を停止させても良い。他の作用効果は実施例1の冷房装置101と同様である。
【0098】
以上のように、この冷房装置106は、電熱式冷凍回路18を備えており、高負荷冷房運転時に第2室32内の冷熱によって車室を冷房するように用いられ、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室を冷房するように用いられている。このため、ケミカルヒートポンプ13の第2室32に蓄えられた冷熱で熱負荷が大きい冷房運転を行いつつ、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室の冷房を行うことで、ペルチェ素子80はさほどの仕事量を要する必要がない。このため、車室の好適な冷房を実現しつつ、省エネルギーな走行が可能となっている。
【0099】
また、この冷房装置106では、ペルチェ素子が電装系用放熱流路と室内用流路との間に設けられている。このため、一面側熱交換器81において、ペルチェ素子80によって吸熱された空調冷却液の熱は、電装系用ラジエータ11によって車室外へ好適に放出されることとなる。このように電装系用ラジエータ11を利用することで、この冷房装置106では、ペルチェ素子80の放熱側に専用ラジエータ等を設ける必要が生じない。このため、この冷房装置106では、冷房装置106の製造コストを低減できるとともに車両への搭載性を向上させることができる。
【0100】
(実施例7)
図12に示す実施例7の冷房装置107は、図11に示す実施例6の冷房装置106における電装系用放熱流路の一部を変更して構成している。具体的には、図12に示すように、この冷房装置107では、配管27が電装系用ラジエータ11と接続している。また、電装系用ラジエータ11と他面側熱交換器82とが配管51によって接続されており、他面側熱交換器82と分岐弁20bとは配管52によって接続されている。また、分岐弁20bには配管53の一端側が接続しており、配管53の他端側は配管29と接続している。他の構成は実施例6の冷房装置106と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0101】
この冷房装置107も実施例6の冷房装置106と同様に、第1ポンプP1等の作動や分岐弁20a等の作動によって、加熱脱水運転を行い、車両走行状況等に応じて高負荷冷房運転と通常冷房運転とを切り替えて車室の冷房を行うことが可能である。また、この冷房装置107についても、高負荷冷房運転時には、第2室32内の冷熱を用いて車室の冷房を行い、通常冷房運転時には電熱式冷凍回路18によって車室の冷房を行う。
【0102】
この冷房装置107では、モータ7及びPCU9によって加熱された電装系冷却液の冷却と、第2室32内の水C2の冷却、すなわち、加熱脱水運転時における第2室内32内の水C2の熱及び他面側熱交換器82内におけるペルチェ素子80の放熱によって加熱された電装系冷却液の冷却とをそれぞれ別々に電装系用ラジエータ11によって行うことが可能となっている。
【0103】
具体的には、加熱脱水運転が完了して第2室32内の水C2の冷却が必要ない時には、制御装置は分岐弁20bを作動させて、配管52と配管53とを連通させ、配管52と配管29とを非連通とさせる。この状態で制御装置は第2ポンプP2及び第3ポンプP3を作動させる。これにより、他面側熱交換器82、電装系用ラジエータ11の順で電装系冷却水が循環するとともに、モータ7、PCU9、電装系用ラジエータ11の順でも電装系冷却水が循環する。このため、電装系用ラジエータ11により、好適にモータ7及びPCU9を冷却することができる。
【0104】
一方、加熱脱水運転中は、制御装置は分岐弁20bを作動させて、配管52と配管29とを連通させ、配管52と配管53とを非連通とさせる。これにより、電装系用ラジエータ11で冷却された電装系冷却水によって、第2室32内の水C2を冷却することができる。この場合も、モータ7及びPCU9の影響を受けることが無いため、第2室32内の水C2は、電装系冷却水によって好適に冷却されることとなる。他の作用効果は実施例6の冷房装置106と同様である。
【0105】
以上において、本発明を実施例1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜7に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0106】
例えば、実施例4の冷房装置104に電熱式冷凍回路18を組み合わせる等、各実施例1〜7における第1室冷却手段、圧縮式冷凍回路17、電熱式冷凍回路18、吸熱手段等を適宜組み合わせて採用することもできる。
【0107】
また、実施例1〜7の冷房装置101〜107について、LiBr水溶液C1及び水C2の組み合わせに替えて、水素吸蔵合金(MH1合金、MH2合金)や他の化学物質を採用することもできる。
【0108】
さらに、実施例1〜7の冷房装置101〜107において、オイル流路を設けることにより、エンジン3の駆動によって高温となったエンジンオイルを第1室加熱手段として採用することもできる。
【0109】
また、実施例1〜7の冷房装置101〜107では、第1室冷却手段及び第2室冷却手段として、第1室31や第2室32の冷却を行う専用冷却液が循環する専用放熱流路を別途に設けても良い。また、第1室31や第2室32について、車両の走行時における走行風によってその冷却を行う構成とすることもできる。
【0110】
さらに、実施例1〜7の冷房装置101〜107について、第2室32内における吸熱反応が完了した状態、すなわち、第2室32内に冷熱が蓄えられた状態まで完了させておき、高負荷冷房運転時には、ケミカルヒートポンプ13において別途化学反応を生じさせないとすることも可能である。この場合には、第2室32の周囲を断熱させることが好ましい。これにより、より長時間に亘って第2室32内の水C2が冷熱を蓄えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、エンジンとモータとによって走行される乗用車、トラック等の車両における車室の空調装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
3…エンジン
7…モータ
9…PCU(駆動回路)
101〜107…冷房装置(ハイブリッド車両用冷房装置)
5…エンジン用ラジエータ
21〜23…配管(エンジン用放熱流路)
11…電装系用ラジエータ
25〜29、45〜47、51〜53…配管(電装系用放熱流路)
V1…開閉弁
33…接続流路
C1、C2…化学物質(C1…LiBr水溶液、C2…水)
31…第1室
32…第2室
13…ケミカルヒートポンプ
24…配管(熱媒流路)
19a…熱媒バイパス通路
15…クーラコア
30、41〜44…配管(室内用流路)
321…フィン
17…圧縮式冷凍回路(71…エバポレータ、72…圧縮機、73…コンデンサ、74…膨張弁、75…冷媒流路)
18…電熱式冷凍回路
80…ペルチェ素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータとを駆動源とし、該モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両の車室を冷房可能なハイブリッド車両用冷房装置であって、
エンジン用ラジエータと、
該エンジン用ラジエータと前記エンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、
電装系用ラジエータと、
該電装系用ラジエータと前記モータ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、
開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填される第1室及び第2室を有し、該第2室に蓄えられた冷熱によって前記車室を冷房可能なケミカルヒートポンプとを備え、
前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方には、前記電装系用放熱流路が設けられていることを特徴とするハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項2】
前記第1室を加熱する第1室加熱手段を備えている請求項1記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項3】
前記第1室加熱手段は、前記エンジンから排出される排ガス、前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液及び該エンジンを潤滑するためのエンジンオイルの少なくとも一つの熱媒を用いている請求項2記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項4】
前記第1室には前記熱媒が循環可能な熱媒流路が設けられ、また、該第1室を該熱媒がバイパス可能な熱媒バイパス通路が設けられている請求項3記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項5】
前記第2室を冷却する第2室冷却手段を備えている請求項1乃至4のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項6】
前記第2室冷却手段は、前記電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の前記電装系冷却液、空気及び専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項5記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項7】
前記第1室を冷却する第1室冷却手段を備えている請求項1乃至6のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項8】
前記第1室冷却手段は、前記モータが駆動している間には、前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液、該エンジンを潤滑するためのエンジンオイル、専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液及び空気の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項7記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項9】
前記第1室冷却手段は、前記エンジンが駆動している間には、前記専用ラジエータと接続された前記専用放熱流路内の前記専用冷却液、空気、前記電装系用ラジエータと接続された前記電装系用放熱流路内の前記電装系冷却液及び前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項7記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項10】
前記第2室には吸熱を行う吸熱手段が設けられている請求項1乃至9のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項11】
前記吸熱手段は、前記車室に設けられたクーラコアと、前記第2室に設けられ、該クーラコアとの間で空調用冷却液を循環させる室内用流路とからなる請求項10記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項12】
高負荷冷房運転時に前記第2室内の冷熱によって前記車室を冷房するように用いられる請求項1乃至11のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項13】
エバポレータ、圧縮機、コンデンサ、膨張弁及びこれらを接続する冷媒流路を有する圧縮式冷凍回路が備えられ、
通常冷房運転時には該圧縮式冷凍回路によって前記車室を冷房するように用いられる請求項12記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項14】
前記車室に設けられたクーラコアと、該クーラコアとの間で空調用冷却液を循環する室内用流路と、該室内用流路に設けられたペルチェ素子とを備えた電熱式冷凍回路が備えられ、
通常冷房運転時には該電熱式冷凍回路によって前記車室を冷房するように用いられる請求項12記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項15】
前記ペルチェ素子は、前記電装系用放熱流路と前記室内用流路とに熱的に接合して設けられている請求項14記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項16】
前記エンジン用放熱流路と前記電装系用放熱流路とは連通している請求項1乃至15のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項1】
エンジンとモータとを駆動源とし、該モータを駆動回路にて駆動するハイブリッド車両の車室を冷房可能なハイブリッド車両用冷房装置であって、
エンジン用ラジエータと、
該エンジン用ラジエータと前記エンジンとを接続し、エンジン冷却液が循環可能なエンジン用放熱流路と、
電装系用ラジエータと、
該電装系用ラジエータと前記モータ及び前記駆動回路の少なくとも一方とを接続し、電装系冷却液が循環可能な電装系用放熱流路と、
開閉弁によって開閉可能な接続流路によって接続され、互いに可逆な発熱反応及び吸熱反応を生じる化学物質が充填される第1室及び第2室を有し、該第2室に蓄えられた冷熱によって前記車室を冷房可能なケミカルヒートポンプとを備え、
前記第1室及び前記第2室の少なくとも一方には、前記電装系用放熱流路が設けられていることを特徴とするハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項2】
前記第1室を加熱する第1室加熱手段を備えている請求項1記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項3】
前記第1室加熱手段は、前記エンジンから排出される排ガス、前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液及び該エンジンを潤滑するためのエンジンオイルの少なくとも一つの熱媒を用いている請求項2記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項4】
前記第1室には前記熱媒が循環可能な熱媒流路が設けられ、また、該第1室を該熱媒がバイパス可能な熱媒バイパス通路が設けられている請求項3記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項5】
前記第2室を冷却する第2室冷却手段を備えている請求項1乃至4のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項6】
前記第2室冷却手段は、前記電装系用ラジエータと接続された電装系用放熱流路内の前記電装系冷却液、空気及び専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項5記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項7】
前記第1室を冷却する第1室冷却手段を備えている請求項1乃至6のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項8】
前記第1室冷却手段は、前記モータが駆動している間には、前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液、該エンジンを潤滑するためのエンジンオイル、専用ラジエータと接続された専用放熱流路内の専用冷却液及び空気の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項7記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項9】
前記第1室冷却手段は、前記エンジンが駆動している間には、前記専用ラジエータと接続された前記専用放熱流路内の前記専用冷却液、空気、前記電装系用ラジエータと接続された前記電装系用放熱流路内の前記電装系冷却液及び前記エンジン用放熱流路内の前記エンジン冷却液の少なくとも一つの冷媒を用いている請求項7記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項10】
前記第2室には吸熱を行う吸熱手段が設けられている請求項1乃至9のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項11】
前記吸熱手段は、前記車室に設けられたクーラコアと、前記第2室に設けられ、該クーラコアとの間で空調用冷却液を循環させる室内用流路とからなる請求項10記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項12】
高負荷冷房運転時に前記第2室内の冷熱によって前記車室を冷房するように用いられる請求項1乃至11のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項13】
エバポレータ、圧縮機、コンデンサ、膨張弁及びこれらを接続する冷媒流路を有する圧縮式冷凍回路が備えられ、
通常冷房運転時には該圧縮式冷凍回路によって前記車室を冷房するように用いられる請求項12記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項14】
前記車室に設けられたクーラコアと、該クーラコアとの間で空調用冷却液を循環する室内用流路と、該室内用流路に設けられたペルチェ素子とを備えた電熱式冷凍回路が備えられ、
通常冷房運転時には該電熱式冷凍回路によって前記車室を冷房するように用いられる請求項12記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項15】
前記ペルチェ素子は、前記電装系用放熱流路と前記室内用流路とに熱的に接合して設けられている請求項14記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【請求項16】
前記エンジン用放熱流路と前記電装系用放熱流路とは連通している請求項1乃至15のいずれか1項記載のハイブリッド車両用冷房装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−91547(P2012−91547A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238137(P2010−238137)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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