説明

ハサミ型シュレッダ

【課題】軽量化が図れて操作性が向上すると共に製造も容易であるようなハサミ型シュレッダを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、上刃部材と下刃部材とがピン部材(30)で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダ(1)である。各ハサミ要素(E1〜E5)の上刃部材(11〜15)と下刃部材(21〜25)とは、刃面を規定する外周縁部(11e〜15e、21e〜25e)を有している。各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部(11r〜15r、21r〜25r)を有している。各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部(11p〜15p、21p〜25p)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭に送られてくる個人情報を含んだ郵便物等を廃棄する際、第三者に見られることのないように、当該郵便物等を細かく切断することが要望されている。そのような要望に答えるべく、事務所用ないしは家庭用の電動シュレッダが市販されている。
【0003】
しかしながら、電動シュレッダは電源を必要とする。また、電動シュレッダには、誤って手指が切断されてしまう可能性がある。そこで、簡単かつ安全に利用できる手動のシュレッダとして、ハサミ型シュレッダのニーズが高まっている。
【0004】
ハサミ型シュレッダとしては、図8及び図9に示されるタイプのものが実際に市販されている。図8及び図9に示されるように、このハサミ型シュレッダ100は、上刃部材と下刃部材とがピン部材130で軸支されてなる5個のハサミ要素E101〜E105が積層されて構成されている。
【0005】
隣接するハサミ要素E101〜E105の間には、スペーサとして機能するワッシャ140が設けられている。すなわち、ピン部材130は、ハサミ要素E101〜E105とワッシャ140とを交互に貫通して保持している。
【0006】
各ハサミ要素E101〜E105の上刃部材111〜115と下刃部材121〜125とは、それぞれ、全体に平坦な板状の金属部材(ステンレススチール)によって構成されており、刃先領域が斜めにカットされて刃先が形成されている。
【0007】
そして、5枚の上刃部材111〜115は、ピン116及びワッシャ(不図示)によって一体的に組み付けられている。同様に、5枚の下刃部材121〜125は、ピン126及びワッシャ127によって一体的に組み付けられている。また、中央の(3枚目の)上刃部材113に、上刃用把持部151が固定されており、中央の(3枚目の)下刃部材123に、上刃用把持部152が固定されている。上刃用把持部151及び上刃用把持部152は樹脂製である。
【0008】
このようなハサミ型シュレッダ100は、利用者が上刃用把持部151と下刃用把持部152とを把持して、各ハサミ要素E101〜E105を一体的に開閉操作することによって、紙片等を細かく裁断することができるものである。
【0009】
その他、関連する公知文献としては、連結ブロックによって重畳連結可能な理髪用はさみが、実用新案登録第3060770号公報に記載されている。
【特許文献1】実用新案登録第3060770号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記のハサミ型シュレッダ100は、構造的に重くならざるを得ないため(市販品の実重量は125gである:この重量は片手操作のための上限値であると言える)、上刃部材111及び下刃部材121の各長さは8cmにも満たず、刃先領域の長さも4cm程度と短い。
【0011】
また、前記のハサミ型シュレッダ100は、パーツ数も多いため、製造コストの面でも有利とは言えない。
【0012】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、軽量化が図れると共に製造も容易であるようなハサミ型シュレッダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部を有しており、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部を有しており、複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、前記隆起部を貫通する共通のピン部材によって軸支されていることを特徴とするハサミ型シュレッダである。
【0014】
本発明によれば、内側凹部を設けたことによって軽量化を図ることができる一方、隆起部を設けたことによって隣接するハサミ要素の間にワッシャ等を設ける必要がない。従って、顕著な軽量化が図れると共に、パーツ数の削減が図れ、製造がより容易になる。
【0015】
好ましくは、前記隆起部は、前記共通のピン部材が貫通する部分においては、比較的高く隆起している一方、刃先に近い領域においては、比較的低く隆起している。このような構成を採用することにより、刃先領域において隣接するハサミ要素間の間隙を確保することができるため、ハサミ要素の間にワッシャ等を設けなくても、好適な刃面配列(複数のハサミ要素の刃面の好適な間隔)を実現することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、前記隆起部は、前記共通のピン部材が貫通する部分から、刃先に近い領域に至るまで、隆起の高さが徐々に低くなっている。このように、隆起部の形状として徐々に(連続的に)変化する態様を採用すると、当該隆起部の強度低下のおそれが顕著に小さく好適である。
【0017】
なお、このような隆起部は、前記内側凹部と共に、プレス加工によって容易に形成され得る。典型的なプレス加工によれば、外側縁部と内側凹部(反対面側が隆起部(リブ)となる)とは略同一厚みに形成され得る。
【0018】
好ましくは、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との両方が、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部を有している。しかしながら、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との片方のみが、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部を有している場合についても、少なくとも本願出願の時点においては、本件の保護対象から排除されない。
【0019】
また、好ましくは、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との両方が、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部を有している。この場合、隣接する2つのハサミ要素の互いに隣接する隆起部が直接接触するように、各ハサミ要素が積層され得る。なお、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との片方のみが、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部を有している場合についても、少なくとも本願出願の時点においては、本件の保護対象から排除されない。
【0020】
また、好ましくは、複数のハサミ要素の各上刃部材は、共通の上刃用把持部に固定されており、複数のハサミ要素の各下刃部材は、共通の下刃用把持部に固定されている。この場合、ハサミ型シュレッダの片手での操作性において優れる。
【0021】
ここで、ハサミ型シュレッダによる書類等の切断時には、切断に必要な力を提供する必要がある。複数のハサミ要素が同時に書類等を切断するならば、各ハサミ要素において必要とされる力が合算されるため、全体として小さくない力が必要になることがある。
【0022】
このような問題を回避するためには、複数のハサミ要素の上刃部材は、少なくともそのうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、複数のハサミ要素の下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されていることが好ましい。
【0023】
この場合、各ハサミ要素による書類等の切断のタイミングがずらされるため、切断に必要な力を小さく抑制することができる。
【0024】
具体例として、5個のハサミ要素が積層されている場合、例えば、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられており、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側にずれて位置しており、中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側にずれて位置している、という態様が採用され得る。切断作業の快適性のためには、外側に「ずれる」量が略等しい(略等間隔)ことが更に好ましい。
【0025】
また、この場合、上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されていることが好ましい。このような構成であれば、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置するため、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で切断することができる。
【0026】
複数のハサミ要素のうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で固定されることの利点は、前述の通りである。しかし、そのような態様は、刃先が揃えられないで露出した状態でハサミ型シュレッダを管理・保管することが必須となる。そこで、本件発明者は、以下のような更なる改良型を開発した。
【0027】
改良型のハサミ型シュレッダでは、複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されているが、複数のハサミ要素の上刃部材については、一部の上刃部材のみが、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の上刃用把持部に固定されていて、その他の上刃部材(残部の上刃部材)については、共通の上刃用把持部に、摺動移動可能に保持されている。そして、複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが開かれる際には、積層方向に見て上刃部材が揃えられた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動すると共に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際には、積層方向に見て上刃部材がずらされた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動するようになっている。
【0028】
このような構成を採用することにより、切断に必要な力を小さく抑制できる一方で、刃先を揃えた状態でのハサミ型シュレッダの管理・保管が可能である。
【0029】
摺動移動可能な構成は、具体的には、例えば、スリット(長孔)によって実現され得る。すなわち、上刃用把持部に、複数のハサミ要素の残部の上刃部材を摺動移動可能に保持するスリットが設けられ得る。
【0030】
特には、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先(刃縁)及び下刃部材の刃先(刃縁)が交差した後の状態から、上刃用把持部と下刃用把持部とが少しだけ開かれた時に、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態となることが好ましい。
【0031】
この場合、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態で、ハサミ型シュレッダを管理・保管することが可能である。これは、安全性という点で、大変に優れる。
【0032】
更にこの場合、上刃用把持部と下刃用把持部との一方に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態まで、上刃用把持部と下刃用把持部とを自動的に開くコイルバネが設けられていることが好ましい。この場合、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材を積層方向に見て揃えることが、極めて容易である。
【0033】
具体例として、5個のハサミ要素が積層されている場合、例えば、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とが、前記一部の上刃部材として、積層方向に見て揃えられた状態で共通の上刃用把持部に固定され、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側であるという位置に摺動移動するようになっており、中央のハサミ要素の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、更に外側の位置に摺動移動するようになっている。切断作業の快適性のためには、外側に「ずれる」量が略等しい(略等間隔)ことが更に好ましい。
【0034】
また、この場合、上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されていることが好ましい。このような構成であれば、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置するため、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で切断することができる。
【0035】
なお、ハサミ型シュレッダにおいて、複数のハサミ要素のうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で固定されるという特徴は、それだけで新規かつ顕著に有用な技術的思想である。
【0036】
すなわち、本発明は、上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、共通のピン部材によって軸支されており、複数のハサミ要素の各上刃部材は、少なくともそのうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されていることを特徴とするハサミ型シュレッダである。
【0037】
この場合、各ハサミ要素による書類等の切断のタイミングがずらされるため、切断に必要な力を小さく抑制することができる。
【0038】
具体例として、5個のハサミ要素が積層されている場合、例えば、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられており、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側にずれて位置しており、中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側にずれて位置している、という態様が採用され得る。切断作業の快適性のためには、外側に「ずれる」量が略等しい(略等間隔)ことが更に好ましい。
【0039】
また、この場合、上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されていることが好ましい。このような構成であれば、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置するため、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で切断することができる。
【0040】
また、更に、ハサミ型シュレッダにおいて、複数のハサミ要素のうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態に摺動移動されるという特徴も、それだけで新規かつ顕著に有用な技術的思想である。
【0041】
すなわち、本発明は、上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、共通のピン部材によって軸支されており、複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されており、複数のハサミ要素の一部の上刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、共通の上刃用把持部に、摺動移動可能に保持されており、複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが開かれる際には、積層方向に見て上刃部材が揃えられた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動すると共に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際には、積層方向に見て上刃部材がずらされた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動するようになっていることを特徴とするハサミ型シュレッダである。
【0042】
このような構成を採用することにより、切断に必要な力を小さく抑制できる一方で、刃先を揃えた状態でのハサミ型シュレッダの管理・保管が可能である。
【0043】
摺動移動可能な構成は、具体的には、例えば、スリット(長孔)によって実現され得る。すなわち、上刃用把持部に、複数のハサミ要素の残部の上刃部材を摺動移動可能に保持するスリットが設けられ得る。
【0044】
特には、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先(刃縁)及び下刃部材の刃先(刃縁)が交差した後の状態から、上刃用把持部と下刃用把持部とが少しだけ開かれた時に、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態となることが好ましい。
【0045】
この場合、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態で、ハサミ型シュレッダを管理・保管することが可能である。これは、安全性という点で、大変に優れる。
【0046】
更にこの場合、上刃用把持部と下刃用把持部との一方に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態まで、上刃用把持部と下刃用把持部とを自動的に開くコイルバネが設けられていることが好ましい。この場合、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材を積層方向に見て揃えることが、極めて容易である。
【0047】
具体例として、5個のハサミ要素が積層されている場合、例えば、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とが、前記一部の上刃部材として、積層方向に見て揃えられた状態で共通の上刃用把持部に固定され、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側であるという位置に摺動移動するようになっており、中央のハサミ要素の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、更に外側の位置に摺動移動するようになっている。切断作業の快適性のためには、外側に「ずれる」量が略等しい(略等間隔)ことが更に好ましい。
【0048】
また、この場合、上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されていることが好ましい。このような構成であれば、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置するため、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で切断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
次に、図1及び図2を用いて、本発明の第1の実施の形態のハサミ型シュレッダ1について説明する。
【0050】
図1は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1が閉じている状態での側面図であり、図2は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1が開いている状態での斜視図である。
【0051】
図1及び図2に示すように、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1は、上刃部材と下刃部材とがピン部材30で軸支されてなる5個のハサミ要素E1〜E5が積層されて構成されている。
【0052】
隣接するハサミ要素E1〜E5の間には、スペーサとして機能するワッシャ等が設けられていない。すなわち、ピン部材30は、ハサミ要素E1〜E5のみを連続的に貫通して保持している。ピン部材30は、ここでは頭付きのボルトで構成され、ワッシャ31を介してナット32によって締め付け固定されている。
【0053】
各ハサミ要素E1〜E5の上刃部材11〜15と下刃部材21〜25とは、それぞれ、全体的には概ね平坦な金属部材(ステンレススチール)によって構成されているが、詳細には、各上刃部材11〜15及び各下刃部材21〜25は、刃面を規定する外周縁部11e〜15e、21e〜25eを有する一方、プレス加工によって、当該外周縁部11e〜15e、21e〜25eの内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部11r〜15r、21r〜25rが形成されている。また、そのプレス加工によって、同時に、内側凹部11r〜15r、21r〜25rの刃面とは反対側の面に、刃面に対して隆起する隆起部(リブ)11p〜15p、21p〜25pが形成されている。隆起部11p〜15p、21p〜25pを設けることによって、上刃部材11〜15及び下刃部材21〜25としてより薄い板厚を採用しても、十分な強度を得ることが可能である。
【0054】
ここで、隆起部11p〜15p、21p〜25pの高さは、ピン部材30(ボルト)が貫通する部分において比較的高くなっている一方、刃先(外周縁部11e〜15e、21e〜25e)に近い領域においては比較的低くなっている。このことにより、所望の刃面配列(複数のハサミ要素の刃面の好適な間隔)を容易に実現している。
【0055】
更に、隆起部11p〜15p、21p〜25pの高さは、ピン部材30が貫通する部分から刃先に近い領域に至るまで、徐々に低くなっている。このように、隆起部の形状が徐々に(連続的に)変化する態様を採用すると、当該隆起部の強度低下のおそれが顕著に小さく、好適である。
【0056】
そして、5枚の上刃部材11〜15は、共通の樹脂製の上刃用把持部51によって一体的に覆われている。同様に、5枚の下刃部材21〜25は、共通の樹脂製の下刃用把持部52によって一体的に覆われている。
【0057】
なお、各外周縁部11e〜15e、21e〜25eの刃先領域が斜めにカットされることによって、刃先が形成されている。
【0058】
以上のような構成からなるハサミ型シュレッダ1は、利用者が上刃用把持部51と下刃用把持部52とを把持して、各ハサミ要素E1〜E1を一体的に開閉操作することによって、紙片等を細かく裁断することができる。
【0059】
以上のような本実施の形態のハサミ型シュレッダ1によれば、まず内側凹部11r〜15r、21r〜25rを設けたことによって、顕著な軽量化を図ることができる。実際に製作した試行品の重量は、100gであった。この重量は、片手操作にとって十分に好適である。また、ハサミ型シュレッダ1の重心が把持部51、52により近い位置にくるということも、片手操作の操作性向上に大きく寄与するものである。更に、この試行品は、把持部51、52に覆われていない各上刃部材11及び各下刃部材21の長さが約10cmもあり、刃先領域の長さ(刃先が形成されている長さ)も7.5cm程度と長く、従来品と比べた作業性において格段に優れている。
【0060】
更に、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1によれば、隆起部(リブ)11p〜15p、21p〜25pを設けたことによって、上刃部材11〜15及び下刃部材21〜25としてより薄い板厚を採用しても十分な強度を得ることが可能であることに加えて、隣接するハサミ要素E1〜E5の間にワッシャ等を設ける必要がないため、パーツ数の削減が図れ、製造がより容易になる。
【0061】
次に、図3を用いて、本発明の第2の実施の形態のハサミ型シュレッダ1’について説明する。
【0062】
図3は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1’が開いている状態での斜視図である。
【0063】
図3に示すように、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1’では、複数のハサミ要素のうちの一以上の上刃部材、具体的には上から2番目乃至4番目の上刃部材12〜14、が積層方向に見てずらされた状態で固定されている。
【0064】
更に具体的には、上から2番目のハサミ要素の上刃部材12と下から2番目のハサミ要素の上刃部材14とは、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材11と最下のハサミ要素の上刃部材15よりも外側にずれて位置しており、中央のハサミ要素の上刃部材13は、更に外側にずれて位置している。ここで、外側に「ずれる」量は、略等しくなっている。
【0065】
そして、上刃用把持部51と下刃用把持部52との配置間隔(間隙)が、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられる際に、最上のハサミ要素と最下のハサミ要素だけでなく、全てのハサミ要素において上刃部材の刃先(刃縁)及び下刃部材の刃先(刃縁)が必ず交差できるように、調整されている(第1の実施の形態の配置間隔よりも広げられている)。
【0066】
また、外形自体は多少変更されているが、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、上刃用把持部51が、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、下刃用把持部52が、親指によって支持されるように構成されている。
【0067】
本実施の形態のその他の構成については、前述の第1の実施の形態と同様である。図3において、対応する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】
本実施の形態によれば、各ハサミ要素による書類等の切断のタイミングがずらされるため、切断に必要な力を小さく抑制することができる。
【0069】
また、各上刃部材の配置のずれ量が等しくなっているため、切断作業がより快適である。
【0070】
その他、本実施の形態では、上刃用把持部51が少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成され、上刃用把持部が親指によって支持されるように構成されているため、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置する。これにより、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で、切断作業を行うことができる。このことは、切断作業を更に容易にする。
【0071】
なお、上から2番目のハサミ要素の上刃部材12と下から2番目のハサミ要素の上刃部材14とが、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材11と最下のハサミ要素の上刃部材15よりも内側にずれて位置しており、中央のハサミ要素の上刃部材13は、更に内側にずれて位置する態様が採用されてもよい。この場合にも、内側に「ずれる」量は、略等しくなっていることが好ましい。
【0072】
次に、図4乃至図7を用いて、本発明の第3の実施の形態のハサミ型シュレッダ1”について説明する。
【0073】
図4は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1”を開いた(上刃用把持部51と下刃用把持部52を開いた)状態での斜視図であり、図5は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1”を少しだけ閉じた状態での斜視図であり、図6は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1”を完全に閉じた状態での斜視図であり、図7は、本実施の形態のハサミ型シュレッダ1”が後述するコイルバネのために少しだけ開いた状態での斜視図である。
【0074】
複数のハサミ要素のうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で固定されることの利点は、第2の実施の形態について説明した通りである。しかしながら、そのような態様は、刃先が揃えられないで露出した状態でハサミ型シュレッダを管理・保管することが必須となる。そこで、本件発明者は、更なる改良型として第3の実施の形態を開発した。
【0075】
本実施の形態のハサミ型シュレッダ1”では、複数のハサミ要素の各下刃部材21〜25は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部52に固定されているが、複数のハサミ要素の上刃部材11〜15については、一部の上刃部材としての最上のハサミ要素の上刃部材11と最下のハサミ要素の上刃部材15のみが、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の上刃用把持部51に固定されていて、その他の上刃部材(残部の上刃部材)12〜14については、共通の上刃用把持部51に、摺動移動可能に保持されている。
【0076】
そして、複数のハサミ要素の残部の上刃部材12〜14は、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが開かれる際には、積層方向に見て上刃部材11〜15が揃えられた状態となるように、共通の上刃用把持部51内を摺動移動すると共に(図4及び図7参照)、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられる際には、積層方向に見て上刃部材11〜15がずらされた状態となるように、共通の上刃用把持部51内を摺動移動するようになっている(図5及び図6参照)。
【0077】
本実施の形態では、摺動移動可能な構成は、スリット62〜64によって実現されている。すなわち、上刃用把持部51に、複数のハサミ要素の残部の上刃部材12〜14を摺動移動可能に保持するスリット62〜64が設けられている。スリット62〜64は、その外側端の位置がずれている一方で、その内側端の位置は揃えられている。上刃部材12〜14は、上刃用把持部51と下刃用把持部52との操作に伴って隣接する下刃部材21〜24から受ける摩擦抵抗(摩擦力)によって、スリット62〜64内をスムースに摺動移動できるようになっている。
【0078】
そして、本実施の形態では、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態(図6)から、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが少しだけ開かれた時に、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態(図7)となるようになっている。
【0079】
更に、本実施の形態では、上刃用把持部51の側面(下刃用把持部52の側の面)に、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態(図6)から、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態(図7)まで、上刃用把持部51と下刃用把持部52とを自動的に開くコイルバネ70が設けられている。
【0080】
その他、スリット62〜64の他端側の位置の詳細については、本実施の形態においては以下のようになっている。すなわち、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられる際、上から2番目のハサミ要素の上刃部材12と下から2番目のハサミ要素の上刃部材14とが、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材11と最下のハサミ要素の上刃部材15よりも外側であるという位置に摺動移動でき、中央のハサミ要素の上刃部材13が、更に外側の位置に摺動移動でき、それら外側への各ずれ量が略等しい、というようになっている。
【0081】
本実施の形態のその他の構成については、前述の第2の実施の形態と同様である。図4乃至図7において、対応する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0082】
本実施の形態によれば、各ハサミ要素による書類等の切断のタイミングがずらされるため、切断に必要な力を小さく抑制することができる一方で、刃先を揃えた状態でのハサミ型シュレッダ1”の管理・保管が可能である。
【0083】
特に、全てのハサミ要素における上刃部材11〜15及び下刃部材21〜25が積層方向に見て揃えられた状態(図7)で、ハサミ型シュレッダ1”を管理・保管することが可能である。これは、安全性という点で、大変に有利である。
【0084】
また、コイルバネ70を設けたことにより、全てのハサミ要素における上刃部材11〜15及び下刃部材21〜25を積層方向に見て揃えることが、極めて容易に実現される。
【0085】
また、上刃部材12〜14の摺動位置のずれ量が等しくなっているため、切断作業がより快適である。
【0086】
その他、本実施の形態では、上刃用把持部51が少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成され、上刃用把持部が親指によって支持されるように構成されているため、切断作業時に、積層方向に揃えられた下刃部材が下側に位置する。これにより、当該揃えられた下刃部材に書類等を載せた状態で、切断作業を行うことができる。このことは、切断作業を容易にする。
【0087】
なお、本実施の形態に関しても、上刃用把持部51と下刃用把持部52とが閉じられる際、上から2番目のハサミ要素の上刃部材12と下から2番目のハサミ要素の上刃部材14とが、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材11と最下のハサミ要素の上刃部材15よりも内側であるという位置に摺動移動でき、中央のハサミ要素の上刃部材13が、更に内側の位置に摺動移動でき、それら内側への各ずれ量が略等しい、というようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るハサミ型シュレッダが閉じている状態での側面図。
【図2】図1のハサミ型シュレッダが開いている状態での斜視図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るハサミ型シュレッダが開いている状態での斜視図。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係るハサミ型シュレッダを開いた状態での斜視図。
【図5】図4のハサミ型シュレッダを少しだけ閉じた状態での斜視図。
【図6】図4のハサミ型シュレッダを完全に閉じた状態での斜視図。
【図7】図6のハサミ型シュレッダがコイルバネによって少しだけ開いた状態での斜視図。
【図8】従来のハサミ型シュレッダが閉じている状態での側面図。
【図9】図8のハサミ型シュレッダが開いている状態での斜視図。
【符号の説明】
【0089】
1、1’、1” ハサミ型シュレッダ
E1〜E5 ハサミ要素
11〜15 上刃部材
11e〜15e 外周縁部
11r〜15r 内側凹部
11p〜15p 隆起部
21〜25 下刃部材
21e〜25e 外周縁部
21r〜25r 内側凹部
21p〜25p 隆起部
30 ピン部材(頭付きボルト)
31 ワッシャ
32 ナット
51 上刃用把持部
52 下刃用把持部
62〜64 スリット
70 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部を有しており、
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との少なくとも一方は、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部を有しており、
複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、前記隆起部を貫通する共通のピン部材によって軸支されている
ことを特徴とするハサミ型シュレッダ。
【請求項2】
前記隆起部は、
前記共通のピン部材が貫通する部分においては、比較的高く隆起している一方、
刃先に近い領域においては、比較的低く隆起している
ことを特徴とする請求項1に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項3】
前記隆起部は、
前記共通のピン部材が貫通する部分から、刃先に近い領域に至るまで、隆起の高さが徐々に低くなっている
ことを特徴とする請求項2に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項4】
前記隆起部は、前記内側凹部と共に、プレス加工によって形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項5】
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との両方が、その外周縁部の内側に、刃面に対して凹に形成された内側凹部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項6】
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材との両方が、前記内側凹部の刃面とは反対側の面の少なくとも一部において、刃面に対して隆起する隆起部を有している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項7】
隣接する2つのハサミ要素の互いに隣接する隆起部が直接接触するように、各ハサミ要素は積層されている
ことを特徴とする請求項6に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項8】
複数のハサミ要素の各上刃部材は、共通の上刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の各下刃部材は、共通の下刃用把持部に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項9】
複数のハサミ要素の上刃部材は、少なくともそのうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されている
ことを特徴とする請求項8に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項10】
ハサミ要素は、5個が積層されており、
最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられており、
上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側に位置しており、
中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側に位置している
ことを特徴とする請求項9に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項11】
上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、
下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されている
ことを特徴とする請求項9または10に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項12】
複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の一部の上刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、共通の上刃用把持部に、摺動移動可能に保持されており、
複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが開かれる際には、積層方向に見て上刃部材が揃えられた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動すると共に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際には、積層方向に見て上刃部材がずらされた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動するようになっている
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項13】
上刃用把持部には、複数のハサミ要素の残部の上刃部材を摺動移動可能に保持するスリットが設けられている
ことを特徴とする請求項12に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項14】
上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、上刃用把持部と下刃用把持部とが少しだけ開かれた時に、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態となる
ことを特徴とする請求項12または13に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項15】
上刃用把持部と下刃用把持部との一方に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態まで、上刃用把持部と下刃用把持部とを自動的に開くコイルバネが設けられている
ことを特徴とする請求項14に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項16】
ハサミ要素は、5個が積層されており、
前記複数のハサミ要素の一部の上刃部材は、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材であり、
上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側であるという位置に摺動移動するようになっており、中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側の位置に摺動移動するようになっている
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項17】
共通の上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、
共通の下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されている
ことを特徴とする請求項12乃至16のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項18】
上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、
複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、共通のピン部材によって軸支されており、
複数のハサミ要素の各上刃部材は、少なくともそのうちの一以上の上刃部材が積層方向に見てずらされた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されている
ことを特徴とするハサミ型シュレッダ。
【請求項19】
ハサミ要素は、5個が積層されており、
最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられており、
上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられている一方、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側に位置しており、
中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側に位置している
ことを特徴とする請求項18に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項20】
共通の上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、
共通の下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されている
ことを特徴とする請求項18または19に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項21】
上刃部材と下刃部材とがピン部材で軸支されてなるハサミ要素が、複数個積層されることによって構成されるハサミ型シュレッダにおいて、
各ハサミ要素の上刃部材と下刃部材とは、刃面を規定する外周縁部を有しており、
複数のハサミ要素の各上刃部材及び各下刃部材は、共通のピン部材によって軸支されており、
複数のハサミ要素の各下刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の下刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の一部の上刃部材は、積層方向に見て揃えられた状態で、共通の上刃用把持部に固定されており、
複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、共通の上刃用把持部に、摺動移動可能に保持されており、
複数のハサミ要素の残部の上刃部材は、上刃用把持部と下刃用把持部とが開かれる際には、積層方向に見て上刃部材が揃えられた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動すると共に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際には、積層方向に見て上刃部材がずらされた状態となるように、共通の上刃用把持部内を摺動移動するようになっている
ことを特徴とするハサミ型シュレッダ。
【請求項22】
上刃用把持部には、複数のハサミ要素の残部の上刃部材を摺動移動可能に保持するスリットが設けられている
ことを特徴とする請求項21に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項23】
上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、上刃用把持部と下刃用把持部とが少しだけ開かれた時に、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態となる
ことを特徴とする請求項21または22に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項24】
上刃用把持部と下刃用把持部との一方に、上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられて全てのハサミ要素において上刃部材の刃先及び下刃部材の刃先が交差した後の状態から、全てのハサミ要素における上刃部材及び下刃部材が積層方向に見て揃えられた状態まで、上刃用把持部と下刃用把持部とを自動的に開くコイルバネが設けられている
ことを特徴とする請求項23に記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項25】
ハサミ要素は、5個が積層されており、
前記複数のハサミ要素の一部の上刃部材は、最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材であり、
上刃用把持部と下刃用把持部とが閉じられる際、上から2番目のハサミ要素の上刃部材と下から2番目のハサミ要素の上刃部材とは、積層方向に見て揃えられ且つ最上のハサミ要素の上刃部材と最下のハサミ要素の上刃部材よりも外側であるという位置に摺動移動するようになっており、中央のハサミ要素の上刃部材は、更に外側の位置に摺動移動するようになっている
ことを特徴とする請求項21乃至24のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。
【請求項26】
共通の上刃用把持部は、少なくとも人差し指と中指とに支持されるように構成されており、
共通の下刃用把持部は、親指によって支持されるように構成されている
ことを特徴とする請求項21乃至25のいずれかに記載のハサミ型シュレッダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−119396(P2008−119396A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309520(P2006−309520)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000214548)長谷川刃物株式会社 (2)
【Fターム(参考)】