説明

ハニカムコア構造及びその製造方法

【課題】 本発明は、優れた剛性を有するハニカムコア構造を提供する。
【解決手段】 本発明のハニカムコア構造Aは、長さ方向に頂辺部11と底辺部12とが斜辺部13を介して順次、連設されてジグザク状に形成され且つ幅方向に延伸された一定幅を有する波状屈折シート1を複数枚、互いに隣接する波状屈折シート1における一方の波状屈折シート1の頂辺部11と他方の波状屈折シート1の底辺部12とが突き合わせ状に接合一体化されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムコア構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建材、車両部材用パネルなどの材料としてハニカムコア構造を用いたものが多数、提供されている。このようなハニカムコア構造としては、特許文献1に、延伸オレフィン系樹脂シートが紙製のハニカム構造体の少なくとも片面に積層されてなる積層体が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記積層体はハニカム構造が紙から形成されていることから強度が充分でない場合があるといった問題点を有している。
【0004】
【特許文献1】特開2006−43901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた剛性を有するハニカムコア構造及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハニカムコア構造は、長さ方向に頂辺部と底辺部とを斜辺部を介して順次、ジグザク状に折り曲げられ且つ幅方向に延伸された一定幅を有する波状屈折シートを複数枚、隣接する波状屈折シートにおける一方の波状屈折シートの頂辺部と他方の波状屈折シートの底辺部とが突き合わせ状に接合一体化されてなることを特徴とする。
【0007】
そして、上記ハニカムコア構造において、波状屈折シートの頂辺部と底辺部とが接着剤によって一体化されていることを特徴とする。
【0008】
又、上記ハニカムコア構造において、波状屈折シートは、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸して得られた延伸熱可塑性樹脂シートをジグザク状に折り曲げてなることを特徴とする。
【0009】
更に、上記ハニカムコア構造において、波状屈折シートは、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸して得られた延伸シートを一軸延伸した後にジグザク状に折り曲げてなることを特徴とする。
【0010】
そして、上記ハニカムコア構造において、延伸シートは、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートからなることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のハニカムコア構造の製造方法は、一方向に延伸された延伸熱可塑性樹脂シートを複数枚、その延伸方向を揃えた状態で延伸方向に直交する方向に所定間隔毎に設けられた直状の接着剤層からなる並列接着剤層と、この並列接着剤層における互いに隣接する接着剤層間に直状の接着剤層が位置するように設けられた並列接着剤層を交互に介して順次積層、接着してなる積層シートを形成し、この積層シートを上記接着剤層の長さ方向に所定間隔毎に切断して対向面に上記切断により分断された接着剤層部を有し且つ延伸方向が幅方向に向いている延伸熱可塑性樹脂シート片の積層体を形成し、次に、上記積層体における互いに隣接する延伸熱可塑性樹脂シート片を上記接着剤層部を支点として拡開させることによって、延伸熱可塑性樹脂シート片における上記接着剤層によって一体化された部分を頂辺部又は底辺部とし且つ隣接する接着剤層部間の延伸熱可塑性樹脂シート片部分を斜辺部とするハニカムコア構造を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハニカムコア構造は、上述のように、波状屈折シートはその幅方向に延伸されて延伸方向への圧縮強度に優れており、厚み方向の圧縮強度に優れている。従って、強度が要求される建材用途などにも好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のハニカムコア構造の一例を図面を参照しつつ説明する。図1に示したように、ハニカムコア構造Aの波状屈折シート1は、一定幅及び一定長さを有し且つ幅方向に一方向に延伸されてなる延伸熱可塑性樹脂シート片が折り曲げられて、延伸熱可塑性樹脂シート片の長さ方向に頂辺部11と底辺部12とが斜辺部13を介して順次、連設されてジクザク状に形成されてなる。
【0014】
詳細には、波状屈折シート1は、互いに平行に形成された頂辺部11と底辺部12とを有し、頂辺部11と底辺部12とが斜辺部13を介して連設されており、頂辺部11とこの頂辺部11の両端のそれぞれに連続する斜辺部13、13とによって等脚台形の突出部4が形成されており、この突出部4が底辺部12を介して波状屈折シート1の長さ方向に複数、繰返し形成されてジクザク状に形成されている。
【0015】
なお、波状屈折シート1の頂辺部11、底辺部12及び斜辺部13が全て同一長さとなるように形成されているが、頂辺部11、底辺部12及び斜辺部13はそれらの長さが互いに異なっていてもよい。
【0016】
そして、複数枚の波状屈折シート1がその厚み方向に重ね合わせられており、互いに隣接する波状屈折シート1、1において、一方の波状屈折シート1における頂辺部11と、他方の波状屈折シート1における底辺部12とが突き合わせられ、頂辺部11と底辺部12とが接着剤層2(好ましくはホットメルト接着剤層2)を介して接合一体化されてハニカムコア構造Aが構成されている。
【0017】
このハニカムコア構造Aにおいて、互いに隣接する波状屈折シート1、1間には、互いに平行に対向してなる頂辺部11及び底辺部12と、これらの頂辺部11と底辺部12との対向端同士を接続し且つ互いにV字状に組み合わせられた斜辺部13、13・・・とによって平面六角形状、好ましくは平面正六角形状の空隙部3、3・・・が複数個、互いに密集した蜂の巣状(六角形細胞状)に形成されている。そして、このハニカムコア構造Aは、波状屈折シート1がその幅方向、即ち、ハニカムコア構造の厚み方向に延伸されていることからハニカムコア構造Aの厚み方向に優れた剛性を有している。
【0018】
次に、ハニカムコア構造Aの製造方法の一例について説明する。先ず、延伸熱可塑性樹脂シートを用意する。この延伸熱可塑性樹脂シートは、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸やロール延伸などの汎用の延伸方法を用いて一方向に延伸することによって製造することができる。
【0019】
なお、熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリグリコール酸、ポリ(L−乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート/乳酸、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート/テレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂が挙げられ、耐熱性の優れたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0020】
上記熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂の極限粘度は、低すぎると、シート作成時にドローダウンを起こしやすく、高すぎると、延伸しても機械的強度(特に弾性率)が上昇しないので、0.6〜1.0が好ましい。なお、熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂の極限粘度は、JIS K7367−1に準拠して測定されたものをいう。
【0021】
次に、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸して延伸熱可塑性樹脂シートを製造する要領を説明する。熱可塑性樹脂シートから延伸熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸によって製造するには、例えば、図2に示した製造装置を用いる。具体的には、一対の延伸ロール5、6と、一対の牽引ロール7、8とを用意し、一対の延伸ロール5、6と、一対の牽引ロール7、8とが所定間隔を存して配設されている。
【0022】
一対の延伸ロール5、6は所定間隔を存して互いに回転軸を平行にして対峙した状態に配設されていると共に、一対の牽引ロール7、8も所定間隔を存して互いに回転軸を平行にして対峙した状態に配設されている。そして、牽引ロール7、8はこれらのロールの対向面における回転方向が互いに同一方向となるように同一の外周の線速度にて回転している。なお、一対の延伸ロール5、6は、熱可塑性樹脂シートを引き抜く際に回転している必要はないが、温度分布を均一にするために引抜き方向に僅かに回転していることが好ましい。
【0023】
そして、熱可塑性樹脂シートB1を、好ましくは、この熱可塑性樹脂シートB1を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に予熱した上で、図2に示したように、一対の延伸ロール5、6間を通して引抜き延伸する。なお、熱可塑性樹脂シートB1を構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121−1987に準拠して測定されたものをいう。
【0024】
具体的には、延伸ロール5、6間に熱可塑性樹脂シートB1を供給し、延伸ロール5、6間から排出された熱可塑性樹脂シートB1を牽引ロール7、8間に供給して熱可塑性樹脂シートB1を牽引し、熱可塑性樹脂シートB1を引抜き延伸して延伸熱可塑性樹脂シートB2を製造することができる。
【0025】
なお、原反となる熱可塑性樹脂シートB1の厚みは、特に限定されないが、0.5〜4mmが好ましい。熱可塑性樹脂シートの厚みが0.5mm未満では、延伸後のシート厚みが薄くなりすぎ、取扱いに際しての強度が十分な大きさとならないことがあり、4mmを超えると延伸が困難となることがあるからである。
【0026】
又、原反となる熱可塑性樹脂シートB1の厚みは、延伸ロール5、6の対向面間の隙間の3.5倍以上であることが好ましく、4〜6倍がより好ましい。これは、熱可塑性樹脂シートの厚みが一対のロール5、6間の隙間の3.5倍未満であると、得られる延伸熱可塑性樹脂シートの表面に皺が発生して外観が低下することがあるからである。
【0027】
延伸ロール5、6の温度は、低いと、延伸に必要な柔軟性を得ることができず、引抜き延伸時に熱可塑性樹脂シート中にボイドが発生して強度が低下し、高いと、分子配向が緩和して高弾性の延伸シートを得ることができないので、(熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度−20)℃以上で且つ熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度範囲が好ましく、(熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10)℃以上で且つ熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂のガラス転移温度未満の温度範囲がより好ましい。
【0028】
引抜き延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れた延伸熱可塑性樹脂シートが得られず、高くなると、延伸時に熱可塑性樹脂シートの破断が生じやすくなるので、2〜9倍が好ましく、4〜8倍がより好ましい。なお、延伸倍率は、延伸熱可塑性樹脂シートの長さを引抜き延伸前の熱可塑性樹脂シートの長さで除したものをいう。但し、牽引による熱可塑性樹脂シートの延伸分は除く。
【0029】
熱可塑性樹脂シートB1の牽引速度は、小さいと、延伸熱可塑性樹脂シートの弾性回復を防止することができず、延伸熱可塑性樹脂シートの表面にしわ状の凹凸が発生し、大きいと、ネッキング量が大きくなり、厚みムラも大きくなるので、延伸ロール5、6の外周の線速度よりも大きな速度で且つ延伸ロール5、6の外周の線速度の1.2倍以下の速度が好ましい。なお、熱可塑性樹脂シートの牽引速度とは、熱可塑性樹脂シートが牽引された状態での熱可塑性樹脂シートの最高速度をいう。
【0030】
更に、熱可塑性樹脂シートが熱可塑性ポリエステル系樹脂シートである場合、引抜き延伸して得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、引張強度、引張弾性率、耐熱性などの物性を向上させるために、一対の延伸ロール5、6の温度よりも高い温度で一軸延伸してもよい。
【0031】
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートのポリエステル系樹脂は、延伸の阻害要因となる熱による等方的な結晶化及び配向が抑えられた状態で分子鎖は高度に配向しているので強度及び弾性率が優れているが結晶化度は低く、加熱されると配向は容易に緩和されて弾性率が低下してしまうという欠点を有している。
【0032】
そこで、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸やロール延伸によって延伸することによって得られた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを、一対の延伸ロールの温度より高い温度で一軸延伸することにより配向が緩和されることなく結晶化度が上昇し、加熱されても配向が容易に緩和されない耐熱性の優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを得ることができる。
【0033】
一軸延伸する方法としてはロール延伸法が好適に用いられる。なお、ロール延伸法とは、一対のロールを対峙させてなるロール対を二組用意し、この二組のロール対を所定間隔を存して配設し、二組のロール対間に延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを配設すると共に、各ロール対間に熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを挟持させ、一方のロール対の回転速度と、他方のロール対の回転速度とを相違させることによって、加熱状態の延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートに引張力を加えて延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを引っ張る方法であり一軸方向のみに強く分子配向させることができる。なお、ロール対間の速度比が延伸倍率となる。一方のロール対の対向面における回転方向と、他方のロール対の対向面における回転方向は同一方向となるように調整されている。
【0034】
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを一軸延伸する際の温度(以下「一軸延伸温度」という)は、引抜き延伸する際の一対の延伸ロールの温度より高い温度であればよいが、高すぎると、延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが溶融して切断されるので、熱可塑性ポリエステル系樹脂シートを構成している熱可塑性ポリエステル系樹脂を昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量分析によって測定して得られる示差走査熱量曲線において、熱可塑性ポリエステル系樹脂の結晶化ピークの立ち上がり温度以上で且つ融解ピークの立ち上がり温度以下が好ましい。
【0035】
なお、ポリエチレンテレフタレートの結晶化ピークの立ち上がり温度は約120℃であり、融解ピークの立ち上がり温度は約230℃である。従って、ポリエチレンテレフタレートシートを一軸延伸する際は120〜230℃で一軸延伸するのが好ましい。
【0036】
延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの一軸延伸の延伸倍率は、特に限定されるものではないが、延伸倍率が低いと、引張強度、引張弾性率に優れた延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートが得られず、高くなると、延伸時に延伸熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの破断が生じやすくなるので、1.1〜3倍が好ましく、1.2〜2倍がより好ましい。そして、引抜き延伸の延伸倍率と一軸延伸の延伸倍率の合計は、同様の理由で、2.5〜10倍が好ましい。
【0037】
このようにして製造された延伸熱可塑性樹脂シート41、42・・・を複数枚用意する。一枚の延伸熱可塑性樹脂シート41上にその延伸方向に延びる直線状の一定幅を有するホットメルト接着剤層2a、2a・・・を延伸熱可塑性樹脂シート41の延伸方向に対して直交する方向に一定間隔毎に複数条設けて並列接着剤層2Aを一体的に形成する。なお、互いに隣接する接着剤層2a、2a間の間隔は、接着剤層2aの幅の3倍とすると、得られるハニカムコア構造Aの波状屈折シート1の頂辺部11、底辺部12及び斜辺部13が同一長さとなる。以下の説明では、互いに隣接する接着剤層2a、2a間の間隔を接着剤層2aの幅の3倍とした場合について説明する。
【0038】
そして、延伸熱可塑性樹脂シート41上に配設したホットメルト粘着剤層2a、2a・・・が硬化する前に、別の延伸熱可塑性樹脂シート42を延伸熱可塑性樹脂シート41の並列接着剤層2A上に重ね合わせて、二枚の延伸熱可塑性樹脂シート41、42同士を並列接着剤層2Aを介して積層一体化する。なお、延伸熱可塑性樹脂シート41と延伸熱可塑性樹脂シート42とはそれらの延伸方向が合致した状態に重ね合わせる。
【0039】
次に、延伸熱可塑性樹脂シート42上にその延伸方向に延びる直線状の一定幅を有するホットメルト接着剤層2b、2b・・・を延伸熱可塑性樹脂シート42の延伸方向に対して直交する方向に一定間隔毎に複数条設けて並列接着剤層2Bを一体的に形成する。但し、各ホットメルト接着剤層2bは、並設粘着剤層2Aにおける互いに隣接しているホットメルト接着剤層2a、2a間の中央部に位置するように調整されている。
【0040】
そして、延伸熱可塑性樹脂シート42上に配設したホットメルト粘着剤層2b、2b・・・が硬化する前に、別の延伸熱可塑性樹脂シート43を延伸熱可塑性樹脂シート42の並列接着剤層2B上に重ね合わせて、延伸熱可塑性樹脂シート42、43同士を並列接着剤層2Bを介して積層一体化する。なお、延伸熱可塑性樹脂シート42と延伸熱可塑性樹脂シート43とはそれらの延伸方向が合致した状態に重ね合わせる。
【0041】
次に、延伸熱可塑性樹脂シート41上に並列接着剤層2Aを形成した時と同様の要領で、延伸熱可塑性樹脂シート43上に一定幅を有する直線状のホットメルト接着剤層2a、2a・・・からなる並列接着剤層2Aを形成する。
【0042】
即ち、延伸熱可塑性樹脂シート41上のホットメルト接着剤層2a、2a・・・を延伸熱可塑性樹脂シート41のホットメルト接着剤層2aの形成面に直交し且つ延伸熱可塑性樹脂シート43方向に投影した延伸熱可塑性樹脂シート43部分に一定幅を有する直線状のホットメルト接着剤層2a、2a・・・を形成して並列接着剤層2Aを一体的に形成する。
【0043】
上述の要領を繰り返して、複数枚の延伸熱可塑性樹脂シート41、42・・・を互いに隣接する延伸熱可塑性樹脂シート間に、並列接着剤層2A又は並列接着剤層2Bの何れか一方の並列接着剤層が介在し且つ並列接着剤層2Aと並列接着剤層2Bとが交互に介在した状態で積層一体化させて積層シートCを形成する(図4参照)。
【0044】
ホットメルト型接着剤としては、特に限定されず、延伸熱可塑性樹脂シート(波状屈折シート)を構成している熱可塑性樹脂の融点以下の融点を持つポリエステル系、ポリオレフィン系などのホットメルト型接着剤が挙げられる。
【0045】
上記では、ホットメルト型接着剤を用いたが、湿気硬化型や光硬化型などの反応性接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤などが用いられてもよい。
【0046】
又、ホットメルト接着剤を予め帯状に形成しておき、この帯状のホットメルト接着剤を延伸熱可塑性樹脂シート上に配設した後に別の延伸熱可塑性樹脂シートを重ね合わせた上で加熱しながら厚み方向に圧縮することによって延伸熱可塑性樹脂シート同士を帯状のホットメルト接着剤を介して一体化させてもよい。
【0047】
次に、積層シートCを延伸熱可塑性樹脂シート41、42・・・の延伸方向、即ち、接着剤層2a、2bの長さ方向に所定間隔毎に切断して積層体Dを形成する。この積層体Dは、延伸熱可塑性樹脂シート41、42・・・を切断してなる延伸熱可塑性樹脂シート片9、9・・・が複数枚、それらの厚み方向に積層一体化されてなり、互いに隣接する延伸熱可塑性樹脂シート片9、9間には、並列接着剤層2Aのホットメルト接着剤層2a、2a・・・を上記切断により分断してなる接着剤層部10a、10a・・・からなる並列接着剤層部10Aと、並列接着剤層2Bのホットメルト接着剤層2b、2b・・・を上記切断により分断してなる接着剤層部10b、10b・・・からなる並列接着剤層部10Bの何れか一方の並列接着剤層部が介在し且つ並列接着剤層部10Aと並列接着剤層部10Bとが交互に介在した状態となっている。
【0048】
続いて、図6に示したように、積層体Dを延伸熱可塑性樹脂シート片9、9・・・同士を一体化させている接着剤層部10a、10bを支点として拡開させる。すると、積層体Dにおける接着剤層部10a、10a(10b、10b)間に位置する延伸熱可塑性樹脂シート片9の各部分が、接着剤層部10a、10bによって一体化されてなる延伸熱可塑性樹脂シート片9、9の各部分を支点として拡開方向に傾斜した状態となる。
【0049】
そして、延伸熱可塑性樹脂シート片9、9における接着剤層部10a、10bによって一体化された延伸熱可塑性樹脂シート片9、9の各部分が頂辺部11又は底辺部12となると共に、接着剤層部10a、10a(10b、10b)間に位置する延伸熱可塑性樹脂シート片9の各部分が斜辺部13となって波状屈折シート1を構成し、互いに平行に対向する頂辺部11及び底辺部12と、これら頂辺部11と底辺部12との対向端同士を接続し且つ互いにV字状に組み合わせられた斜辺部13、13・・・とによって平面正六角形状の空隙部3、3・・・が複数個、互いに密集した蜂の巣状(六角形細胞状)に形成されたハニカムコア構造Aが製造される(図1参照)。
【0050】
ハニカムコア構造Aは、その厚み方向(空隙部3の開口方向)に延伸熱可塑性樹脂シート片9の延伸方向が揃えられており、厚み方向の圧縮強度に優れている。そして、延伸熱可塑性樹脂シート片9が引抜き延伸及び一軸延伸を経て製造された延伸熱可塑性樹脂シートから形成されている場合には、延伸熱可塑性樹脂シート片9は引張強度、引張弾性率及び耐熱性に優れており、建材などに更に好適に使用される。
【実施例】
【0051】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
厚さ1mm、幅200mmのポリエチレンテレフタレートシート(帝人化成社製 商品名「A−PETシートFR」、極限粘度:0.7、結晶化度:4%、ポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度:72℃)を延伸装置(協和エンジニアリング社製)に供給してポリエチレンテレフタレートシートを75℃に予熱した後、ポリエチレンテレフタレートシートを一対の牽引ロール間に挟持して牽引速度2.5m/分にて牽引しながら70℃に加熱された一対の延伸ロール(ロール間隔:0.18mm)間を通して2m/分の速度で延伸倍率5倍に引抜き延伸して延伸ポリエチレンテレフタレートシートを製造した。この延伸ポリエチレンテレフタレートシートをその表面温度が170℃となるように加熱した上でロール延伸によって一軸延伸した。得られた延伸ポリエチレンテレフタレートシートは、その結晶化度が39%で且つ厚みが0.2mmであった。
【0053】
上記延伸ポリエチレンテレフタレートシートを縦250mm、横150mmの平面長方形状に裁断し、平面長方形状の延伸ポリエチレンテレフタレートシートを13枚用意した。なお、延伸ポリエチレンテレフタレートシートの縦方向が延伸方向となるように調整した。
【0054】
次に、延伸ポリエチレンテレフタレートシート41の一面にその延伸方向(長辺)に延びる直線状の幅5mmのホットメルト接着剤層(東洋紡績社製 商品名「バイロンGM−920」、融点:107℃)2a、2a・・・を延伸方向に直交する方向(横方向)に15mm間隔毎に複数条設けて並列接着剤層2Aを一体的に形成した。
【0055】
そして、延伸ポリエチレンテレフタレートシート41上に配設したホットメルト粘着剤層2a、2a・・・が硬化する前に、別の延伸ポリエチレンテレフタレートシート42を延伸ポリエチレンテレフタレートシート41の並列接着剤層2A上に重ね合わせて、二枚の延伸ポリエチレンテレフタレートト41、42同士を並列接着剤層2Aを介して積層一体化した。なお、延伸ポリエチレンテレフタレートシート41と延伸ポリエチレンテレフタレートシート42とはそれらの延伸方向が合致した状態に重ね合わせた。
【0056】
次に、延伸ポリエチレンテレフタレートシート42上にその延伸方向(縦方向)に延びる直線状の幅5mmのホットメルト接着剤層2b、2b・・・を延伸ポリエチレンテレフタレートシート42の延伸方向に対して直交する方向(横方向)に15mm間隔毎に複数条設けて並列接着剤層2Bを一体的に形成した。但し、各ホットメルト接着剤層2bは、並列粘着剤層2Aにおける互いに隣接しているホットメルト接着剤層2a、2a間の中央に位置するように調整した。
【0057】
そして、延伸ポリエチレンテレフタレートシート42上に配設したホットメルト粘着剤層2b、2b・・・が硬化する前に、別の延伸ポリエチレンテレフタレートシート43を延伸ポリエチレンテレフタレートシート42の並列接着剤層2B上に重ね合わせて、延伸ポリエチレンテレフタレートシート42、43同士を並列接着剤層2Bを介して積層一体化した。なお、延伸熱可塑性樹脂シート42と延伸熱可塑性樹脂シート43とはそれらの延伸方向が合致した状態に重ね合わせた。
【0058】
次に、延伸ポリエチレンテレフタレートシート41上のホットメルト接着剤層2a、2a・・・を延伸ポリエチレンテレフタレートシート41のホットメルト接着剤層2aの形成面に直交し且つ延伸ポリエチレンテレフタレートシート43方向に投影した延伸ポリエチレンテレフタレートシート43部分上に幅5mmを有する直線状のホットメルト接着剤層2a、2a・・・を形成して並列接着剤層2Aを一体的に形成した。
【0059】
上述の要領を繰り返して、13枚の延伸熱可塑性樹脂シート41、42・・・を互いに隣接する延伸熱可塑性樹脂シート間に、並列接着剤層2A又は並列接着剤層2Bの何れか一方の並列接着剤層が介在し且つ並列接着剤層2Aと並列接着剤層2Bとが交互に介在した状態で積層一体化させて積層シートCを形成した。
【0060】
次に、積層シートCをその延伸方向(縦方向)に10mm間隔毎に切断して積層体Dを形成した。この積層体Dは、延伸ポリエチレンテレフタレートしート41、42・・・を切断してなる延伸ポリエチレンテレフタレートシート片9、9・・・が複数枚、それらの厚み方向に積層一体化されてなり、互いに隣接する延伸ポリエチレンテレフタレートシート片9、9間には、並列接着剤層2Aのホットメルト接着剤層2a、2a・・・を上記切断により分断してなる接着剤層部10a、10a・・・からなる並列接着剤層部10Aと、並列接着剤層2Bのホットメルト接着剤層2b、2b・・・を上記切断により分断してなる接着剤層部10b、10b・・・からなる並列接着剤層部10Bの何れか一方の並列接着剤層部が介在し且つ並列接着剤層部10Aと並列接着剤層部10Bとが交互に介在した状態となっていた。
【0061】
続いて、積層体Dを延伸熱可塑性樹脂シート片9、9・・・同士を一体化させている接着剤層部10a、10bを支点として拡開させて、積層体Dにおける接着剤層部10a、10a(10b、10b)間に位置する延伸熱可塑性樹脂シート片9の各部分が、接着剤層部10a、10bによって一体化されてなる延伸熱可塑性樹脂シート片9、9の各部分を支点として拡開方向に傾斜した状態とした。
【0062】
そして、延伸熱可塑性樹脂シート片9、9における接着剤層部10a、10bによって一体化された延伸熱可塑性樹脂シート片9、9の各部分が頂辺部11又は底辺部12となると共に、接着剤層部10a、10a(10b、10b)間に位置する延伸熱可塑性樹脂シート片9の各部分が斜辺部13となって波状屈折シート1が構成され、互いに平行に対向する頂辺部11及び底辺部12と、これら頂辺部11と底辺部12との対向端同士を接続し且つ互いにV字状に組み合わせられた斜辺部13、13・・・とによって平面正六角形状の空隙部3、3・・・が複数個、互いに密集した蜂の巣状(六角形細胞状)に形成された厚みが10mmのハニカムコア構造Aを製造した。
【0063】
そして、上記ハニカムコア構造Aにおける厚み方向の両端面に湿気硬化型ポリエステル反応性接着剤(積水フーラー社製 商品名「エスダイン9615W」)を塗布して40℃、相対湿度95%で20時間に亘って養生した後、ハニカムコア構造Aの両端面に厚みが1mmの硬質ポリ塩化ビニルシートを積層した上でハニカムコア構造Aをその厚み方向に190℃にてプレスして、ハニカムコア構造Aの両端面のそれぞれに硬質ポリ塩化ビニルシートを積層一体化させた。
【0064】
(比較例1)
延伸ポリエチレンテレフタレートシートの代わりに、延伸していない厚みが0.2mmのポリエチレンテレフタレート(結晶化度:4%)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてハニカムコア構造Aを得た。
【0065】
得られたハニカムコア構造Aを図1において平面形状が横方向80mm、縦方向40mmの平面長方形状となるように厚み方向の全長に亘って切断して試験片を作製し、この試験片における厚み方向の圧縮強度をJIS K7220に準拠して測定温度23℃及び60℃にて測定し、その結果を表1に示した。
【0066】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のハニカムコア構造を示した平面図である。
【図2】延伸熱可塑性樹脂シートの製造装置を示した模式斜視図である。
【図3】積層シートを示した分解斜視図である。
【図4】積層シートを示した一部切り欠き斜視図である。
【図5】積層体を示した斜視図である。
【図6】積層体の拡開途上の一部を示した平面図である。
【符号の説明】
【0068】
1 波状屈折シート
11 頂辺部
12 底辺部
13 斜辺部
2 接着剤層
2a、2b 接着剤層
2A、2B 並列接着剤層
3 空隙部
41、42、43 延伸熱可塑性樹脂シート
9 延伸熱可塑性樹脂シート片
10a、10b 接着剤層
10A、10B 並列接着剤層部
A ハニカムコア構造
B1 熱可塑性樹脂シート
B2 延伸熱可塑性樹脂シート
C 積層シート
D 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に頂辺部と底辺部とが斜辺部を介して順次、連設されてジグザク状に形成され且つ幅方向に延伸された一定幅を有する波状屈折シートを複数枚、互いに隣接する波状屈折シートにおける一方の波状屈折シートの頂辺部と他方の波状屈折シートの底辺部とが突き合わせ状に接合一体化されてなることを特徴とするハニカムコア構造。
【請求項2】
互いに隣接する波状屈折シートにおける一方の波状屈折シートの頂辺部と他方の波状屈折シートの底辺部とが接着剤によって一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のハニカムコア構造。
【請求項3】
波状屈折シートは、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸して得られた延伸熱可塑性樹脂シートをジグザク状に折り曲げてなることを特徴とする請求項1に記載のハニカムコア構造。
【請求項4】
波状屈折シートは、熱可塑性樹脂シートを引抜き延伸して得られた延伸熱可塑性樹脂シートを一軸延伸した後にジグザク状に折り曲げてなることを特徴とする請求項1に記載のハニカムコア構造。
【請求項5】
熱可塑性樹脂シートは熱可塑性ポリエステル系樹脂シートからなることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のハニカムコア構造。
【請求項6】
一方向に延伸された延伸熱可塑性樹脂シートを複数枚、その延伸方向を揃えた状態で延伸方向に直交する方向に所定間隔毎に設けられた直状の接着剤層からなる並列接着剤層と、この並列接着剤層における互いに隣接する接着剤層間に直状の接着剤層が位置するように設けられた並列接着剤層とを交互に介して順次積層、接着してなる積層シートを形成し、この積層シートを上記接着剤層の長さ方向に所定間隔毎に切断して対向面に上記切断により分断された接着剤層部を有し且つ延伸方向が幅方向に向いている延伸熱可塑性樹脂シート片の積層体を形成し、次に、上記積層体における互いに隣接する延伸熱可塑性樹脂シート片を上記接着剤層部を支点として拡開させることによって、延伸熱可塑性樹脂シート片における上記接着剤層によって一体化された部分を頂辺部又は底辺部とし且つ隣接する接着剤層部間の延伸熱可塑性樹脂シート片部分を斜辺部とするハニカムコア構造を製造することを特徴とするハニカムコア構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−125637(P2010−125637A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300431(P2008−300431)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】