説明

ハニカムパネルの製造方法

【課題】ハニカムコアと面板との接着強度を損なわない一方で、ハニカムパネルの平板性が高く、かつ、経済的であって仕上がりの良いインテリアとしての用途可能なハニカムパネルの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るハニカムパネル1の製造方法は、対向する2枚の平らな面板3a,3bと、その2枚の面板3a,3bの間に配置されたハニカムコア2とを、接着剤6bを介して一体的に形成されるハニカムパネル1の製造方法であって、平坦面8上に均一な厚さを有するように接着剤6aの層を形成し、前記面板3aまたは3bとを、接着させる前記ハニカムコア2の接着面の一方を前記接着剤層6aの上に載置し、前記接着剤層6aからハニカムコア2を分離することによって、前記ハニカムコア2の前記接着面に接着剤6bを付着させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムパネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハニカムパネルは、ハニカムコアを2枚の面板間に挟み込んだ簡単な構造であるものの、軽量で、かつ、防音に優れているため、仕切り板等として建築用に用いられており、また、面板が透明なアクリル樹脂板等である場合には、その美観からインテリアとしても用いられている。従って、ハニカムパネルは、ハニカムコアと面板との接着強度はもちろんのこと、その他にハニカムパネルの平坦性、及び、仕上がりの良さが要求されている。
【0003】
ここで、一般的なハニカムパネルの製造方法における、ハニカムコアを面板に接着させる方法は、ハニカムコアを接着させる面板の面全体に接着材を塗布、若しくは、接着シートを貼り、ハニカムコアをその接着剤等の上側に置き、加熱装置によって接着剤を硬化させる製造方法が知られている。
【0004】
そして、ハニカムコアに接着される面板の大きさは一般的に900mm×1800mmや1200mm×2500mmと大きい一方で、厚さが1〜4mmと薄く、簡単に湾曲してしまう。そのため、ハニカムコアと面板とを接着する際には、面板は接着時においては、面板を平らな場所において、面板の平坦性を確保している。
【0005】
しかしながら、面板の平坦性を確保していたとしても、面板に塗布された接着剤の厚さが全体的に均一でない場合には、接着不良が生じる。
また、接着剤を面全体に塗布していたために、ハニカムコアと接着しない部分にも接着剤が塗布され、非常に無駄が多く、コストがかかるものであって、かつ、面板が透明なアクリル樹脂板等の場合にあっては、面板の内側に塗布された接着剤により、透明度の低下により美観が損なわれるという問題もあった。
【0006】
このような問題に対し従来、特許文献1では、光硬化樹脂からなる接着剤を、面板の方ではなくハニカムコアの開口部に直接刷毛、ローラ、スプレー等によって塗布することによって、ハニカムコアと透明な面板を接着させるハニカムパネルの製造方法が記載されている。当該方法によれば、樹脂板の全面に接着剤を塗布しないため、接着剤の量を減らすことができ、また、光エネルギーにより接着剤が硬化するために、過熱による樹脂板の変形防止及び高コストの過熱装置の不要化を図ることができる。
【特許文献1】特開平5−318632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ローラ、スプレー等により接着剤をハニカムコアの接着面にのみ塗布する方法の場合には、ハニカムコアを構成する各セル毎に付着する接着剤の厚さが異なってしまい、接着剤の厚さの不均一による接着不良という課題が残る。
【0008】
また、光硬化接着剤を使用すれば、コストが高いうえに、面板が透明な板に限られるという課題が残る。
【0009】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために創作されたものであり、前記した課題を解決し、接着強度を損なわない一方で、平坦性が高く、かつ、経済的であって仕上がりの良いインテリアとしての用途可能なハニカムパネルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るハニカムパネルの製造方法は、対向する2枚の平らな面板と、その面板の間に配置されたハニカムコアとを、接着剤を介して一体的に形成するハニカムパネルの製造方法であって、平坦面上に均一な厚さを有するように前記接着剤の層を形成し、前記面板と接着させる前記ハニカムコアの一端面を前記接着剤層の上に載置し、前記接着剤層から前記ハニカムコアを分離することによって、前記ハニカムコアの前記接着面に接着剤を付着させることを特徴とする。
【0011】
このような手順にかかるハニカムパネルの製造方法によれば、均一な厚さを有する接着剤層の上にハニカムコアの接着面を置くために、当該接着剤層からハニカムコアを分離すれば、ハニカムコアの接着面に付着する接着剤の厚さは全体的に均一となる。また、使用される接着剤は、ハニカムコアの接着面のみであるため、無駄な接着剤をカットすることができる。そして、面板が透明なアクリル樹脂板等の場合であっても、面板の内側の面が接着剤によって透明度が損なわれるというおそれがない。
【0012】
また、ハニカムパネルの製造方法は、前記接着剤層の上に設置されたハニカムコアの前記接着面の反対側の面を、当接して摺動または転動あるいは押圧する加圧手段で加圧するようにした。
【0013】
このような手順にかかるハニカムパネルの製造方法によれば、接着剤層の上に設置されたハニカムコアの他端面をローラ等の加圧手段で押し当てるので、たわみ等の変形しているハニカムコアであっても、ハニカムコアの上下開口部端面に、確実に同一の厚さの接着剤を付着することが可能となる。
【0014】
また、前記接着剤層は、前記平坦面上に配置された平板の上に形成され、前記接着層からハニカムコアを分離するときに、前記ハニカムコアを保持しつつ、前記接着層に前記接着層の厚さ方向にのみ力が加わるように前記平板の一端側を前記ハニカムコアの非接着側に折り返すようにめくることによって、分離することにした。
【0015】
このような手順にかかるハニカムパネルの製造方法によれば、平板全体を一度に引き剥がすよりも、小さい力で接着剤層からハニカムコアを引き剥がすことができる。また、引き剥がす力の働く方向は、接着層の厚さ方向のみであるため、引き剥がす際にハニカムコアには、水平方向に力が働くことがなく、ハニカムコアの変形を防止でき、かつ、ハニカムコアに付着した接着剤自体のずれも抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るハニカムパネルの製造方法は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
【0017】
請求項1にかかる発明によれば、付着する接着剤の厚さの不均一による接着不良が生じることがなく、接着強度を維持することができる一方で、余分な接着剤のカットによる経済的なハニカムパネルを提供するができる。面板が、透明なアクリル樹脂板等の場合にあっては、アクリル樹脂板等の内側の面が接着剤によって透明度が損なわれるというおそれがないために、仕上がりの良いハニカムパネルの提供することができる。
【0018】
請求項2にかかる発明によれば、たわむ等の変形をしているハニカムコアであっても、接着剤の未付着による接着不良を回避することが図れる。
【0019】
一方で、請求項3にかかる発明によれば、ハニカムコアを接着剤層から分離する際のハニカムコアの変形、および、付着した均一の厚さを有する接着剤のずれを防止することができ、さらに、平板性の高く、かつ、仕上がりの良いハニカムパネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明であるハニカム板を製造するための最良の一形態(以下「実施形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
まず、ハニカムパネル1の構造について、図1を参照しながら、説明する。
ハニカムパネル1は、図1に示すように、2枚の対向する面板3a、3bと、前記2枚の面板の間に配置するハニカムコア2とを、接着剤6bにより固着することによって形成される。
ハニカムコア2は、平面視六角形で、かつ、同一の厚さに形成されるセル5が複数連なった形状からなる。セル5は、中空部を有する筒状を保ち、隣り合うセルの各面が当接されて、一つのハニカムコアを形成している。また、ハニカムコアの材料としては、プラスチックやアルミ等の金属で形成してもよく、特に限定はされない。アルミ製のハニカムコア2を製造する場合は、複数のアルミ製の板を積層し、その積層されたアルミ製の板同士の一部を接着剤により固着させ、これを両端側から引き伸ばすことによって製造する。
前記面板3a、3bは、例えば前述したように透明なアクリル樹脂板を用いてもよいが、これは面板をアクリル樹脂板に限定するものではなく、アルミ板やスチール板、繊維強化プラスチック板等を用いてもよい。
接着剤6bは、ハニカムコア2と後述する接着剤層6aとを分離することによってハニカムコア2の接着面に付着した接着剤であるが、接着剤層6a(図2参照)及び接着剤6bともに、後述する接着剤6と同一の接着剤である。
【0022】
次にハニカムパネルの製造方法について、図2を参照しながら説明する。
まず、図2(a)に示すように、接着剤6を平坦面8上に配置する平板7の上に塗布する。塗布された接着剤6は、光硬化樹脂等に限定はされるものではなく、一般的な接着剤として用いられるエポキシ樹脂組成物でもよい。
また、本実施形態に例示する平板7は、アルミ製としているが、これに限定するものでない。また、接着性の観点から、平板表面は清浄して乾燥していることが望ましい。
【0023】
次に、アルミ製の平板7上に塗布した接着剤6を、図2(b)に示すように、全面均一な厚さにすることによって、接着剤層6aを形成する。ここで、本実施形態によれば、接着剤6を均一の厚さに整える部材として、へら9を用いているが、接着剤6の厚さを均一にすることが出来る部材であれば、ローラ等であっても良い。
【0024】
次に、図2(c)に示すように、ハニカムコア2を接着剤層6a上に載置し、ハニカムコア2の接着面に接着剤6aを付着させる。ここで、ハニカムコア2を、接着剤層6aに対して水平に置くことが望ましい。
また、ハニカムコア2の搬送時等の過程にて、たわみ等の変形の生じたハニカムコア2にあっては、接着剤層6a上に載置したとしても、接着剤層6aに接しない部分が生じるため、図2(d)に示すように、接着剤層6aが塗布されないハニカムコア2の他方側を、加圧手段にて軽く押し当ててもよい。当該方法によって、ハニカムコア2全面に接着剤を付着することが可能となる。ここで、加圧手段として、ローラ10をハニカムコア2の一端側から他端側に転がすことで加圧することを例としているが、これに限られるものでなく、平らな板等を用いて、ハニカムコア全面を一度に押圧することで加圧してもよい。
【0025】
次は、図2(e)に示すように、接着剤層6aとハニカムコア2とを分離する。ここで、ハニカムコア2と接着剤層6aとを分離させるためには、力を加える必要性があるが、かかる力が接着剤層6aの水平方向に働くと、接着剤層6aを介してハニカムコア2にも水平方向に力が働き、ハニカムコア2の形が変形してしまう。また、ハニカムコア2に付着された接着剤6bのずれも生じるが、かかる接着剤6bのずれは接着不良の原因となり、そして、面板3a、3bが透明な場合にあっては、接着剤のばらつきが完成後のハニカムパネル1の見た目を悪くする原因ともなる。以下、具体的にハニカムコア2と接着層6aとを分離する方法について、図3を用いて説明する。
【0026】
分離する方法は、図3(a)に示すように、平坦面8上に配置された均一な厚さに形成された接着剤層6aと、接着剤層6a上に載置するハニカムコア2とを、接着剤層6aの厚さ方向に引き剥がす方法があげられる。当該方法によれば、接着剤層6aの厚さ方向に向かって、ハニカムコア2全体を一度に引き剥がせばよく、接着剤層6aの水平方向に分離する際の力は働かず、接着剤層6aのずれ等は生じることはない。しかしながら、当該方法によれば、接着剤層6aとハニカムコア2全体とを、一度に引き剥すために大きな力が必要となるところ、ハニカムコア2は、加えられた力に対し容易に変形するものであるため、変形させずに一度にハニカムコア2全体を引き剥がすことは困難である。
【0027】
一方で、図3(b)に示すように、アルミ製の平板7上に均一な厚さを形成する接着剤層6aを配置し、ハニカムコア2を前記接着剤層6a上に載置する。そして、前記アルミ製の平板7をめくることによって、接着剤層6aとハニカムコア2とを、引き剥がす方法がある。当該方法によれば、図3(a)に示すようなハニカムコア2全体を一度に引き剥がす場合に比べて、引き剥がす際に必要な力は小さいため、ハニカムコア2にかかる負荷も小さく、ハニカムコア2の変形を防止することができる。
また、アルミ製の平板7をめくる際に、接着剤層6aの水平方向に力が働かないようにするために、アルミ製の平板7を折り返すようにめくれば、分離させる際の力がハニカムコア2に働かず、さらにハニカムコア2の変形を防止することができる。
【0028】
次に、ハニカムコア2と面板3aとを接着剤6bにより固着する。図2(f)に示すようにハニカムコア2を接着剤6bが付着している側を向けて、面板3aの上に置き、接着剤6bを硬化させることにより、ハニカムコア2と面板3aが固着する。
【0029】
そして、面板3aが固着してないハニカムコア2の他方側を、再度、図2(a)から(f)における工程により、ハニカムコア2と面板3bとを固着させると、ハニカム板1を製造することが出来る。このようにして形成されたハニカム板は、面板3a、3bが透明であると、接着剤6bがハニカムコア2の側面に垂れることがないため、見た目が良好である。そのため、建築内装材として仕切り板等に使用すると見栄えがよい。以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態に係るハニカムパネルの全体斜視断図である。
【図2】実施形態に係るハニカムパネルの製造方法の工程を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係るハニカムパネルの製造工程である、接着剤層からハニカムコアを分離する状態を示す側面図である
【符号の説明】
【0031】
1 ハニカムパネル
2 ハニカムコア
3a 面板
3b 面板
4 ハニカムコアの上下開口部
5 セル
6 接着剤
6a 接着剤層
6b 接着剤
7 アルミ製の平板
8 平坦面
9 へら
10 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の平らな面板と、その面板の間に配置されたハニカムコアとを、接着剤を介して一体的に形成するハニカムパネルの製造方法であって、
平坦面上に均一な厚さを有するように前記接着剤の層を形成し、前記面板と接着させる前記ハニカムコアの一端面を前記接着剤層の上に載置し、前記接着剤層から前記ハニカムコアを分離することによって、前記ハニカムコアの前記接着面に接着剤を付着させることを特徴とするハニカムパネルの製造方法。
【請求項2】
前記接着剤層の上に設置された前記ハニカムコアの前記接着面の反対側の面を、当接して摺動または転動あるいは押圧する加圧手段で加圧することを特徴とする請求項1に記載のハニカムパネルの製造方法。
【請求項3】
前記接着剤層は、前記平坦面上に配置された平板の上に形成され、前記接着剤層から前記ハニカムコアを分離するときに、前記ハニカムコアを保持して、前記平板の一端側を前記ハニカムコアの非接着側に折り返すようにめくることによって分離することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハニカム板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−247015(P2008−247015A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95161(P2007−95161)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000192589)神鋼ノース株式会社 (6)
【Fターム(参考)】