説明

ハニカム構造体及びその製造方法

【課題】初期圧力損失の増加を抑制することができるハニカム構造体を提供する。
【解決手段】流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、捕集層を構成する材料の融点が、隔壁母材を構成する材料の融点より高く、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、捕集層における、隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、隔壁母材と捕集層とを有する隔壁の厚さの6%以下であるハニカム構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、初期圧力損失の増加を抑制することができ、かつ、粒子状物質の初期捕集効率が高いハニカム構造体、及びそのようなハニカム構造体を製造することができるハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関や各種の燃焼装置等から排出されるガスには、煤(soot)を主体とする粒子状物質(パティキュレートマター(PM))が、多量に含まれている。このPMがそのまま大気中に放出されると、環境汚染を引き起こすため、排出ガスの排気系には、PMを捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が搭載されている。
【0003】
このようなDPFとしては、例えば、「流体(排ガス、浄化ガス)の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁と最外周に位置する外周壁とを備え、流体(排ガス)の流入側の端面における所定のセルの開口部と、流体(浄化ガス)の流出側の端面における残余のセルの開口部に目封止部を有する」ハニカム構造体が用いられている。
【0004】
このようなハニカム構造体を用いて排ガス中のPMを捕集する場合、PMが多孔質の隔壁の内部に侵入して、隔壁の細孔を閉塞させ、圧力損失(圧損)が急激に増加することがあるという問題があった。
【0005】
このような圧損の増加を抑制するため、隔壁の表面に、PMを捕集するための捕集層を設け、その捕集層によって、隔壁内部へのPMの侵入を防ぎ、圧損の上昇を抑制しようとするフィルタが提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0006】
従来、自動車の排ガス規制においては、PMの質量による規制が行われていたが、近年、PMの個数規制の導入が検討されている。その場合、粒子径の小さいPMを確実に捕集することが必要となる。粒子径の小さいPMは主に拡散によってフィルタ内に存在する細孔表面に捕集されることが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
【0007】
従来、捕集層を有するハニカム構造体を作製する際には、捕集層形成用スラリー(捕集層形成原料)中にハニカム構造体を浸漬したり、捕集層形成用スラリーをハニカム構造体のセル中に流し込んだりすることにより、多孔質の隔壁(隔壁母材)に捕集層形成用スラリーを塗布し、焼成することにより捕集層を形成していた。そして、隔壁の表面に、この多孔質の隔壁よりも細孔径が小さくかつ厚みが薄い多孔質膜を形成する場合には、多孔質膜を構成するセラミックス粒子の粒子径を隔壁の細孔径よりも小さくする必要があった。しかし、この方法では、捕集層形成用スラリーがハニカム構造体の隔壁(隔壁母材)の細孔内に浸入し、得られたハニカム構造体に排ガスを流通させる際の初期圧力損失(初期圧損)が高くなるという問題があった。
【0008】
更に、コージェライトやチタン酸アルミニウムなどからなるハニカム構造体等の場合、ハニカム構造体等に形成されたマイクロクラックにスラリーが浸入し、得られたハニカム構造体等の熱膨張率が高くなるという問題があった。
【0009】
これに対し、多孔質支持体の気孔に、「後で除去することが可能な物質」を充填して、この気孔を塞いだ後、多孔質支持体の表面に粒子径の小さいセラミックス粒子を含むスラリーを塗布する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。上記「後で除去することが可能な物質」としては、例えば、可燃性物質を挙げることができる(特許文献1)。可燃性物質を用いた場合にはこの可燃性物質は、後の焼成工程により燃焼除去することができる。また、上記「後で除去することが可能な物質」としては、例えば、水やアルコールを挙げることができる(特許文献2、3)。水やアルコールを用いた場合には、スラリーを塗布した後に、乾燥することにより、これら水やアルコールを除去することができる。
【0010】
また、アルミナやジルコニア等の酸化物を主成分とした微粒子を用いて、多孔質支持体の表面に、セラミックス多孔質膜(捕集層)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。具体的には、平均一次粒子径、タップかさ密度及び塗料中の平均二次粒子径(分散媒中に分散させたときの平均二次粒子径)が制御された酸化物を主成分とする微粒子と、水を主成分とする分散媒とを含有し、その粘度が2mPa・s以上かつ1000mPa・s以下に制御された多孔質膜形成用塗料を用いて、多孔質セラミックスからなる多孔質支持体の表面にセラミックスの多孔質膜を形成する方法である。
【0011】
更に、ハニカム成形体に、ハニカム成形体と同一の材料に造孔材及び水を更に添加して作製した捕集層形成用スラリーを、噴霧することにより、ハニカム成形体の隔壁に捕集層形成用スラリーを堆積させ、その後、乾燥及び焼成することによって、ハニカム成形体に捕集層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。
【0012】
更に、多孔質の隔壁の細孔径よりも長い無機繊維状材料とシリカ又はアルミナを主成分とする接着材料からなるスラリーを、隔壁の表面に堆積させ、その後、乾燥及び焼成することによって、隔壁の表層に多孔質膜(捕集層)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平1−274815号公報
【特許文献2】特公昭63−66566号公報
【特許文献3】特開2000−288324号公報
【特許文献4】特開2010−95399号公報
【特許文献5】国際公開第2008/136232号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】SAEテクニカルペーパー、2008−01−0618、米国自動車技術者協会、2008年発行(SAE Technical Paper 2008−01−0618、Society of Automotive Engineers(2008))
【非特許文献2】SAEテクニカルペーパー、2007−01−0921、米国自動車技術者協会、2007年発行(SAE Technical Paper 2007−01−0921、Society of Automotive Engineers(2007))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記特許文献1〜4に記載の製造方法では、多孔質支持体(隔壁)の細孔内に捕集層形成用スラリーが浸入し難くはなるが、その浸入量を確実に抑制することは困難であった。
【0016】
上記特許文献5に記載の製造方法で用いられたような無機繊維材料は、地域によっては法規制対象物質となっており、一般にも、使用しないことが望まれている。
【0017】
上記特許文献5に開示された製造方法では、ハニカム構造体の隔壁(隔壁母材)の材質と捕集層の材質とが同じであるため、焼成時には隔壁母材と捕集層とが同じ温度で焼結し、捕集層の細孔が小さくなることがあった。また、スラリーを隔壁母材にディップコートする場合と比較して、スラリーを隔壁母材に噴霧して堆積させる場合には、均一な厚さの捕集層を形成し難くなる傾向があった。
【0018】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、初期圧力損失の増加を抑制することができ、かつ、粒子状物質の初期捕集効率が高いハニカム構造体、及びそのようなハニカム構造体を製造することができるハニカム構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
[1] 流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、前記残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、前記捕集層を構成する材料の融点が、前記隔壁母材を構成する材料の融点より高く、前記捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、前記隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、前記隔壁母材と前記捕集層とを有する隔壁の厚さの6%以下であるハニカム構造体。
【0020】
[2] 前記隔壁の単位体積当たりの細孔表面積が、1.4〜20m/cmである[1]に記載のハニカム構造体。
【0021】
[3] 前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入していない部分の気孔率が60%以上である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
【0022】
[4] 前記捕集層の厚さが、前記隔壁母材と前記隔壁母材に配設された前記捕集層とを有する隔壁の厚さの5〜30%である[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0023】
[5] 前記隔壁母材が、平均細孔径10〜60μm、且つ気孔率40〜70%である[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0024】
[6] 前記隔壁母材の材質がコージェライトであり、前記捕集層の材質がアルミナ、ムライト及びスピネルからなる群から選択される少なくとも一種を含むものである[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
【0025】
[7] セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する未焼成隔壁母材を備えるハニカム成形体を形成する成形工程と、前記ハニカム成形体の、流体の流入側の端面における所定の前記セルの開口部に、目封止部を配設する第1目封止工程と、前記ハニカム成形体の、目封止部が配設されていない残余の前記セル内の前記未焼成隔壁母材の表面に、前記セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料及び飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液を含有する捕集層形成原料を、付着させる捕集層形成原料塗工工程と、前記ハニカム成形体の、流体の流出側の端面における前記残余のセルの開口部に、目封止部を配設する第2目封止工程と、前記捕集層形成原料が塗工されたハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を作製する焼成工程とを有するハニカム構造体の製造方法。
【0026】
[8] 前記ハニカム構造体が、流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、前記残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、前記捕集層を構成する材料の融点が、前記隔壁母材を構成する材料の融点より高く、前記捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、前記隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、前記隔壁母材の厚さの6%以下である[7]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0027】
[9] 前記電解質が、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン及び塩化物イオンからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンと、アルカリ土類金属イオン、水素イオン及びアンモニウムイオンからなる群から選択される少なくとも1種の陽イオンとを有するものである[7]又は[8]に記載のハニカム構造体の製造方法。
【0028】
[10] 前記捕集層形成原料が造孔材を含有し、前記捕集層用セラミック原料及び前記造孔材の合計体積が、前記捕集層形成原料全体の体積の5〜30体積%である[7]〜[9]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【0029】
[11] 前記捕集層形成原料が、粘度調整剤として、界面活性剤、水に不溶な微小有機繊維、又は、界面活性剤及び水に不溶な微小有機繊維の両方、を含有する[7]〜[10]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明のハニカム構造体によれば、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、捕集層における、隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、「隔壁母材と捕集層とを有する隔壁」の厚さの6%以下であるため、初期捕集効率を高くすることができ、更に、初期圧力損失の増加を抑制することができる。
【0031】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、ハニカム成形体の残余のセル内の未焼成隔壁母材の表面に、「セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料」及び「飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液」を含有する捕集層形成原料を、付着させる捕集層形成原料塗工工程を有するため、捕集層形成用スラリーがハニカム成形体の隔壁母材内に浸入することを防止することができ、得られたハニカム構造体において、捕集層における「隔壁母材の細孔内に浸入している部分」の厚さを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図3】本発明のハニカム構造体の一実施形態の、隔壁の断面を拡大して示す模式図である。
【図4】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の成形工程において作製されるハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の成形工程において作製されるハニカム成形体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図6】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の第1目封止工程において作製される片側目封止ハニカム成形体を模式的に示す斜視図である。
【図7】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の第1目封止工程において作製される片側目封止ハニカム成形体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図8】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の捕集層形成原料塗工工程において作製される未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図9】本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の第2目封止工程において作製される未焼成捕集層付ハニカム成形体の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【図10】PM捕集効率測定装置の入口PM測定部で測定されたPMの粒度分布を示すグラフである。
【図11】ハニカム構造体の隔壁(隔壁母材及び捕集層)の細孔を樹脂(エポキシ樹脂)で埋めた状態における、隔壁の「セルの延びる方向に直交する断面」のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0034】
(1)ハニカム構造体:
図1、図2に示すように、本発明のハニカム構造体の一実施形態(ハニカム構造体100)は、流体の流路となる複数のセル2を区画形成する多孔質の隔壁母材1を有するハニカム基材4と、流体の流入側の端面11における所定のセル2(流出セル2b)の開口部及び流体の流出側の端面12における残余のセル2(流入セル2a)の開口部に配設された目封止部5と、残余のセル2(流入セル2a)内の隔壁母材1の表面に配設された多孔質の捕集層13とを備え、捕集層13を構成する材料の融点が、隔壁母材1を構成する材料の融点より高く、捕集層13の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、捕集層13における、隔壁母材1の細孔内に浸入している部分の厚さが、「隔壁母材1と捕集層13とを有する隔壁23」の厚さの6%以下である。尚、捕集層13は、流出セル2b内の隔壁母材1の表面にも配設されていてもよい。また、ハニカム基材の「端面」というときは、セルが開口する面のことを意味する。また、隔壁23は、隔壁母材1に捕集層13が配設されたものである。つまり、隔壁母材1と捕集層13とを合わせたものが隔壁23である。図1は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明のハニカム構造体の一実施形態の、セルの延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【0035】
本実施形態のハニカム構造体100は、このように、捕集層13の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、捕集層13における、隔壁母材1の細孔内に浸入している部分の厚さが、隔壁23の厚さの6%以下であるため、初期捕集効率を高くすることができ、更に、初期圧力損失の増加を抑制することができる。
【0036】
本実施形態のハニカム構造体100においては、捕集層13を構成する材料の融点が、隔壁母材1を構成する材料の融点より高く、捕集層13を構成する材料の融点が、隔壁母材1を構成する材料の融点より300〜700℃高いことが好ましい。捕集層13を構成する材料の融点が、隔壁母材1を構成する材料の融点より高いことにより、ハニカム構造体を製造する過程において、隔壁母材及び捕集層を焼成により形成するときに捕集層の原料が溶融することがなく、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が小さく形成されることを抑制することができる。
【0037】
本実施形態のハニカム構造体100においては、捕集層13の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、9〜50倍であることが好ましく、30〜50倍であることが更に好ましい。捕集層13の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であることにより、PM初期捕集効率を高くすることができる。ここで、「細孔表面積」とは、細孔内の壁面(細孔内に露出する隔壁の表面)の面積を意味する。また、「単位体積当たりの細孔表面積」とは、単位体積中に存在する全ての細孔の「細孔表面積」の合計値を意味する。「単位体積当たりの細孔表面積」を測定する方法は、以下の通りである。ハニカム構造体100を樹脂(エポキシ樹脂)に埋設することによりハニカム構造体100の隔壁の細孔を樹脂で埋め、セル長手方向と垂直な方向の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を取得する。得られたSEM画像における隔壁を、画像上において(画像解析によって)、隔壁中央部(厚さ方向における中央部)から表層にかけて5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、以下の処理を行う。画像解析ソフト(Media Cybernetics社製Image−Pro Plus 6.2J)を用いて、各分割部分の隔壁表面の周囲長と面積を測定する。「周囲長/面積」をその分割部分の単位体積当たりの細孔表面積とする。ここで、「周囲長」とは、各「分割部分」において、材料が存在する部分と、材料が存在しない部分(細孔)とを識別し、材料が存在する部分と細孔との境界線の長さを全て足し合わせた長さである。最も表面に近い分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、捕集層13の単位体積当たりの細孔表面積とし、隔壁中央部の分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、隔壁母材1の単位体積当たりの細孔表面積とする。
【0038】
本実施形態のハニカム構造体100においては、捕集層13における、隔壁母材1の細孔内に浸入している部分(深層22(図3を参照))の厚さが、隔壁23の厚さの6%以下であり、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましい。このように、深層22(図3を参照))の厚さが、隔壁23の厚さの6%以下であることにより、初期圧力損失の増加を抑制することができる。深層22(図3を参照))の厚さは薄いほど好ましいが、0.1%程度が下限値となる。隔壁23の厚さは、隔壁断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像により測定した値である。
【0039】
本実施形態のハニカム構造体100は、図3に示されるように、隔壁23が、隔壁母材1と捕集層13とから構成されている。そして、捕集層13は、隔壁母材1の表面より外側に位置する表層21と、隔壁母材1の表面より内側(細孔内)に位置する深層22とから構成されている。図3は、本発明のハニカム構造体の一実施形態の、隔壁23の断面を拡大して示す模式図である。また、図3において、隔壁23の横(紙面左側)に記載されているグラフは、縦軸に「細孔表面積」、横軸に「隔壁の表面(捕集層のセル側に露出する表面)からの深さ」をそれぞれとったときのグラフ(深さ−細孔表面積グラフ)を示す。図3に示される「深さ−細孔表面積グラフ」は、捕集層13の表層21の細孔表面積が最も大きく、隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積が最も小さく、捕集層13の深層22が存在する部分(深層22と隔壁母材1とが混在する部分)が表層21と接する位置から、隔壁母材1のみが存在する領域(位置)にかけて細孔表面積が漸次小さくなっていることを示している。尚、図3に示される細孔表面積は、単位体積当たりの細孔表面積である。
【0040】
隔壁23における、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」、及び「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」を特定する方法は、以下の通りである。隔壁の中央部(厚さ方向における中央部)から捕集層表面までの間を5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、単位体積当たりの細孔表面積を測定する。隔壁の「分割」は、画像解析によって行うことが好ましい。この場合、細孔表面積は、SEM(走査型電子顕微鏡)画像により求めることが好ましい。捕集層13の表層21(隔壁母材1が存在しない領域)の最も表面に近い分割部分の細孔表面積を表層21の細孔表面積とする。隔壁の中央部に最も近い分割部分の細孔表面積を、隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積(隔壁母材1の細孔表面積)とする。そして、図3に示すような「深さ−細孔表面積」座標において、「深さ」軸(x軸)に平行に、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「表層21の細孔表面積」の値である直線αと、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積」の値である直線βとをそれぞれ引き、更に、深層22と隔壁母材1とが混在する領域における複数の「分割部分」のそれぞれの「細孔表面積の測定値」を直線近似(最小二乗法)して、「深さ−細孔表面積」座標系にその直線γを引く。そして、上記「表層21の細孔表面積」を示す直線αと、上記「深層22と隔壁母材1とが混在する部分の細孔表面積」を示す直線γとの交点の「深さ軸(x軸)の値」を、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」の深さD1とし、上記「隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積」を示す直線βと、上記「深層22と隔壁母材1とが混在する部分の細孔表面積」を示す直線γとの交点の「深さ軸(x軸)の値」を、「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の深さD2とする。
【0041】
従って、「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の深さから、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」の深さを差し引くと、捕集層13の深層22の厚さ(捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域の厚さ)となる。また、「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の深さは、捕集層13の厚さと同じである。また、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」の深さは、捕集層13の表層21の厚さと同じである。
【0042】
本実施形態のハニカム構造体100において、隔壁23は、単位体積当たりの細孔表面積が、1.4〜20m/cmであることが好ましく、1.5〜17m/cmであることが更に好ましく、4〜17m/cmであることが特に好ましい。1.4m/cmより小さいと、排ガス中のPMを捕集する際の初期捕集効率が低下することがあり、20m/cmより大きいと、初期圧力損失が増加することがある。また、「隔壁23の単位体積当たりの細孔表面積」は、「比表面積」に「密度」を乗じた値とする。比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス社製、商品名:フローソーブ)を用いて測定する。測定ガスとしては、クリプトンを用いる。密度は、乾式自動密度計(マイクロメトリックス社製、商品名:アキュピック)を用いて測定する。測定ガスとしては、ヘリウムを用いる。
【0043】
隔壁母材1は、平均細孔径10〜60μm、且つ気孔率40〜70%であることが好ましく、平均細孔径20〜50μm、且つ気孔率50〜65%であることが更に好ましく、平均細孔径20〜30μm、且つ気孔率55〜65%であることが特に好ましい。平均細孔径が10μmより小さいか、又は気孔率が40%より小さいと、初期圧力損失が高くなることがある。また、平均細孔径が60μmより大きいか、又は気孔率が70%より大きいと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。平均細孔径は、水銀ポロシメータによって測定した値である。気孔率は、水銀ポロシメータによって測定した値である。
【0044】
隔壁母材1の厚さは、100〜500μmであることが好ましく、200〜400μmであることが更に好ましく、300〜350μmであることが特に好ましい。100μmより薄いと、ハニカム構造体の強度が低くなることがある。500μmより厚いと、初期圧力損失が高くなることがある。
【0045】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4の形状は、特に限定されないが、円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の筒形状、等が好ましい。図1、図2に示すハニカム構造体100においては、円筒形状である。また、図1、図2に示すハニカム構造体100は、外周壁3を有しているが、外周壁3を有さなくてもよい。外周壁3は、ハニカム構造体を作製する過程において、ハニカム成形体を押出成形する際に、隔壁母材とともに形成されることが好ましい。また、外周壁3は、セラミック材料をハニカム構造体の外周に塗工して形成したものであってもよい。
【0046】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4の材料としては、セラミックが好ましく、強度及び耐熱性に優れることより、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらの中でも、コージェライトが特に好ましい。
【0047】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4のセル形状(ハニカム構造体の中心軸方向(セルが延びる方向)に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はなく、例えば、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。四角形のなかでも、正方形、長方形が好ましい。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体100において、ハニカム基材4のセル密度は、特に制限されないが、16〜96セル/cmであることが好ましく、32〜64セル/cmであることが更に好ましい。セル密度が、16セル/cmより小さいと、粒子状物質を捕集する隔壁の面積が小さくなり、排ガスを流通させたときに、短時間で圧力損失が大きくなることがある。セル密度が、96セル/cmより大きいと、セルの断面積(セルの延びる方向に直交する断面の面積)が小さくなるため、圧力損失が大きくなることがある。
【0049】
本実施形態のハニカム構造体100において、捕集層13における「隔壁母材1の細孔内に浸入していない部分」(表層21)の気孔率が60%以上であることが好ましく、70〜90%であることが更に好ましく、80〜90%であることが特に好ましい。60%未満であると、初期圧力損失が高くなることがある。
【0050】
本実施形態のハニカム構造体100において、捕集層13の厚さが、「隔壁母材1と、隔壁母材1に配設された捕集層13とを有する隔壁23」の厚さの5〜30%であることが好ましく、5〜17%であることが更に好ましく、10〜17%であることが特に好ましい。5%より薄い場合には、排ガス中のPMを捕集する際に、PMが多孔質の隔壁の内部に侵入して、隔壁の細孔を閉塞させ、圧力損失(圧損)が増加することがある。30%より厚い場合には、初期圧力損失が高くなることがある。
【0051】
本実施形態のハニカム構造体100において、捕集層13の材質としては、セラミックが好ましく、耐熱性に優れることより、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミナ、スピネル、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ジルコニア、チタニア、珪酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。
【0052】
また、本実施形態のハニカム構造体100においては、隔壁母材1の材質がコージェライトであり、捕集層13の材質がアルミナ、ムライト及びスピネルからなる群から選択される少なくとも一種を含むものであることが好ましい。
【0053】
本実施形態のハニカム構造体100において、表層21の細孔の平均細孔径は、0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることが更に好ましく、1〜3μmであることが特に好ましい。0.5μmより小さいと、初期圧力損失が高くなることがある。10μmより大きいと、排ガス中のPMを捕集する際の初期捕集効率が低下することがある。平均細孔径は、バブルポイント/ハーフドライ法(ASTM E1294−89)によって測定した値である。
【0054】
従来の、捕集層が備えられていないハニカム構造体をフィルタとして用いて、PMを含む排ガスを処理すると、隔壁の細孔内にPMが侵入して細孔を閉塞させるため、圧力損失が急速に上昇するという問題があった。これに対し、本願発明のハニカム構造体は、流入セル内の隔壁の表面に捕集層が形成されているため、PMが捕集層で捕集されて、隔壁の細孔内に侵入することを防止することができ、圧力損失の急速な上昇を抑制することができる。
【0055】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態は、セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する未焼成隔壁母材を備えるハニカム成形体を形成する成形工程と、ハニカム成形体の、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に、目封止部を配設する目封止工程と、ハニカム成形体の残余のセル内の未焼成隔壁母材の表面に、セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料及び飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液を含有する捕集層形成原料を、付着させる捕集層形成原料塗工工程と、捕集層形成原料が塗工されたハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を作製する焼成工程とを有するものである。
【0056】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法において、セラミック成形原料中の「セラミック原料の種類及び平均粒子径、造孔材の種類及び平均粒子径、並びに、これら原料の配合比」を調整し、捕集層形成原料中の「捕集層用セラミック原料の種類及び比表面積、造孔材の種類及び平均粒子径、粘度調整剤の種類、並びにこれら原料の配合比」を調製することによって、「流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、捕集層を構成する材料の融点が、隔壁母材を構成する材料の融点より高く、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、捕集層における、隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、隔壁の厚さの6%以下であるハニカム構造体」(上記、本発明のハニカム構造体)を得ることができる。
【0057】
このように、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態によれば、ハニカム成形体の残余のセル内の未焼成隔壁母材の表面に、「セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料」及び「飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液」を含有する捕集層形成原料を、付着させる捕集層形成原料塗工工程を有するため、捕集層形成用スラリーがハニカム成形体の隔壁母材内に浸入することを防止することができ、得られたハニカム構造体において、捕集層における「隔壁母材の細孔内に浸入している部分」の厚さを薄くすることができる。また、1つの焼成工程でハニカム成形体(ハニカム基材)と捕集層形成原料(捕集層)との両方を焼成するため、ハニカム成形体(ハニカム基材)と捕集層形成原料(捕集層)とを別々に焼成する場合に比べて、エネルギーの消費量を低減することができる。
【0058】
以下、本実施形態のハニカム構造体の製造方法について、工程毎に説明する。
【0059】
(2−1)成形工程;
まず、成形工程において、セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、図4、図5に示すような、流体の流路となる複数のセル52を区画形成する未焼成隔壁母材51を備えるハニカム成形体(ハニカム構造の成形体)50を形成する。図4は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の成形工程において作製されるハニカム成形体50を模式的に示す斜視図である。図4、図5に示されるハニカム成形体50は、外周壁53を有している。図5は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の成形工程において作製されるハニカム成形体50の、セル52の延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【0060】
セラミック成形原料に含有されるセラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。尚、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料であって、焼成されてコージェライトになるものである。
【0061】
また、このセラミック成形原料は、上記セラミック原料に、分散媒、有機バインダ、無機バインダ、造孔材、界面活性剤等を混合して調製することが好ましい。各原料の組成比は、特に限定されず、作製しようとするハニカム構造体の構造、材質等に合わせた組成比とすることが好ましい。
【0062】
作製されるハニカム構造体の隔壁母材の細孔表面積、平均細孔径及び気孔率を調整するために、各原料を以下のように調整することが更に好ましい。
【0063】
セラミック原料として、タルク、カオリン、アルミナ、シリカを用いることが好ましい。タルクの平均粒子径は、10〜30μmとすることが好ましい。カオリンの平均粒子径は、1〜10μmとすることが好ましい。アルミナの平均粒子径は、1〜20μmとすることが好ましい。シリカの平均粒子径は、1〜60μmとすることが好ましい。また、造孔材としては、でんぷん、カーボン、発泡樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、吸水性樹脂、又はこれらを組み合わせたものを使用することが好ましい。また、造孔材の平均粒子径は、10〜100μmとすることが好ましい。また、造孔材の添加量は、セラミック原料100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましい。また、有機バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又はこれらを組み合わせたものとすることが好ましい。また、有機バインダの添加量は、セラミック原料100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
【0064】
セラミック成形原料を成形する際には、まずセラミック成形原料を混練して坏土とし、得られた坏土をハニカム形状に成形することが好ましい。セラミック成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法としては特に制限はなく、押出成形、射出成形等の公知の成形方法を用いることができる。例えば、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
【0065】
ハニカム成形体の形状は、特に限定されず、図4に示すような円筒形状、端面が楕円形の筒形状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角形の筒形状、等が好ましい。
【0066】
また、上記成形後に、得られたハニカム成形体を乾燥してもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。
【0067】
尚、ハニカム成形体は、捕集層形成原料を隔壁に塗工した後に焼成を行い、捕集層形成原料を隔壁に塗工する前には焼成を行わない。
【0068】
(2−2)第1目封止工程;
成形工程の後に、第1目封止工程において、図6、図7に示すように、ハニカム成形体50の、流体の流入側の端面61における所定のセル52(流出セル52b)の開口部に、目封止部55を配設する。ハニカム成形体50に目封止部55を配設して片側目封止ハニカム成形体60を形成する。図6は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の第1目封止工程において作製される片側目封止ハニカム成形体60を模式的に示す斜視図である。図7は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の第1目封止工程において作製される片側目封止ハニカム成形体60の、セル52の延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【0069】
ハニカム成形体に目封止材料を充填する際には、一方の端面側に目封止材料を充填する。一方の端面側に目封止材料を充填する方法としては、ハニカム成形体の一方の端面にシートを貼り付け、シートにおける、「目封止部を形成しようとするセル」と重なる位置に孔を開けるマスキング工程と、「ハニカム成形体の、シートが貼り付けられた側の端部」を目封止材料が貯留された容器内に圧入して、目封止材料をハニカム成形体のセル内に圧入する圧入工程と、を有する方法を挙げることができる。目封止材料をハニカム成形体のセル内に圧入する際には、目封止材料は、シートに形成された孔を通過し、シートに形成された孔と連通するセルのみに充填される。
【0070】
目封止材料は、上記セラミック成形原料の構成要素として挙げた原料を適宜混合して作製することができる。目封止材料に含有されるセラミック原料としては、隔壁母材の原料として用いるセラミック原料と同じであることが好ましい。
【0071】
次に、ハニカム成形体に充填された目封止材料を乾燥させることが好ましい。
【0072】
図6、図7に示されるように、片側目封止ハニカム成形体60は、流入セル52aと流出セル52bとが交互に並び、目封止部が形成された一方の端面(流入側の端面61)において、目封止部55とセル52の開口部とにより市松模様が形成されていることが好ましい。
【0073】
(2−3)捕集層形成原料塗工工程;
次に、ハニカム成形体(片側目封止ハニカム成形体)の目封止部が配設されていない残余のセル内の未焼成隔壁母材の表面に、「セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料及び飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液」を含有する捕集層形成原料を、付着させる(捕集層形成原料塗工工程)。目封止部が配設されていないセル52を「残余のセル」と称しており、上記「所定のセル」と「残余のセル」とを合わせて全てのセルになる。そして、この「残余のセル52」が、流入セル52aとなる。図8に示すように、ハニカム成形体50(片側目封止ハニカム成形体60)の残余のセル52(流入セル52a)内の未焼成隔壁母材51の表面に捕集層形成原料を付着させて未焼成捕集層63を形成することにより、未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体70を得ることができる。尚、流入セル52a内の未焼成隔壁母材51の表面だけでなく、流出セル52b内の未焼成隔壁母材51の表面にも捕集層形成原料を付着させて未焼成捕集層63を形成してもよい。図9は、本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態の捕集層形成原料塗工工程において作製される未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体70の、セル52の延びる方向に平行な断面を示す模式図である。
【0074】
捕集層形成原料塗工工程において用いる捕集層形成原料は、上記のように、捕集層用セラミック原料及び電解質水溶液を含有し、捕集層用セラミック原料はセラミック原料(隔壁母材の原料)より融点が高く、捕集層形成原料中の電解質水溶液の濃度は飽和溶解度の50〜100%である。捕集層形成原料は、スラリー状であることが好ましい。ここで、「捕集層形成原料に含有される電解質水溶液」とは、「捕集層形成原料中の水」と、「捕集層形成原料に含有され、当該水に溶解している電解質」とからなる水溶液(捕集層形成原料に含有される水溶液)を意味する。また、「捕集層形成原料中の電解質水溶液の濃度」とは、捕集層形成原料中の「水の量」と「電解質の量」の合計に対する、捕集層形成原料中の「電解質の量」の比率、を意味する。
【0075】
このように、捕集層形成原料に「飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液」が含有されているため、捕集層形成原料塗工工程において、「捕集層形成原料中の水がハニカム成形体50に吸収され、ハニカム成形体50が水を含むことによって、ハニカム成形体50の強度が低下する」ことを抑制することができる。また、未焼成のハニカム成形体に捕集層形成原料を塗工するため、「捕集層形成原料が焼成後のハニカム構造体の隔壁母材内に浸入する」ことを防止することができる。また、捕集層用セラミック原料の融点が、セラミック原料の融点より高いため、焼成時に、捕集層用セラミック原料が過剰に溶融することによる捕集層の単位体積あたりの細孔表面積の低下を、抑制することができる。
【0076】
捕集層形成原料に含有される電解質は、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン及び塩化物イオンからなる群から選択される1種の陰イオンと、アルカリ土類金属イオン、水素イオン及びアンモニウムイオンからなる群から選択される1種の陽イオンとを有するものであることが好ましい。当該電解質としては、例えば、クエン酸、酒石酸、硫酸、酢酸、塩酸、クエン酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を挙げることができる。これらの中でも、クエン酸が好ましい。
【0077】
捕集層形成原料に含有される電解質水溶液の濃度は、捕集層形成原料における飽和溶解度に対して50〜100%であることが好ましく、70〜100%であることが更に好ましく、90〜100%であることが特に好ましい。50%より小さいと、ハニカム成形体が捕集層形成原料中の水を吸収することによって、ハニカム成形体の強度が低下することがある。
【0078】
捕集層形成原料に含有される捕集層用セラミック原料の融点は、セラミック原料の融点より高く、セラミック原料の融点より300〜700℃高いことが好ましい。
【0079】
捕集層形成原料に含有される捕集層用セラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、炭化珪素、ムライト、アルミナ、スピネル、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ジルコニア、チタニア、珪酸ジルコニウム、及びシリカからなる群から選択される少なくとも1種が更に好ましい。これらの中でも、ムライト、アルミナ及びスピネルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0080】
捕集層用セラミック原料の比表面積は、0.8〜200m/gであることが好ましく、3〜20m/gであることが更に好ましく、5〜15m/gであることが特に好ましい。200m/gより大きいと、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が大きくなり過ぎて、焼成工程において捕集層にクラックが発生することがある。0.8m/gより小さいと、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が小さくなり過ぎて、初期捕集効率が低下することがある。捕集層用セラミック原料の比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス社製、商品名:フローソーブ)にて測定した値である。
【0081】
捕集層形成原料には、捕集層用セラミック原料及び電解質水溶液以外に、造孔材、粘度調整剤等が含有されていることが好ましい。
【0082】
造孔材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、カーボン、でんぷん等を使用することができる。これらの中でも、PMMAが好ましい。造孔材の含有量は、捕集層用セラミック原料100質量部に対して5〜1000質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることが更に好ましく、40〜80質量部であることが特に好ましい。5質量部より少ないと、初期圧力損失が高くなることがある。1000質量部より多いと、初期捕集効率が低下することがある。
【0083】
また、捕集層用セラミック原料及び造孔材の合計体積が、捕集層形成原料全体の体積の5〜30体積%であることが好ましく、10〜20体積%であることが更に好ましく、15〜20体積%であることが特に好ましい。5体積%より少ないと、捕集層の厚さを調整し難くなることがある。30体積%より多いと、捕集層形成原料の流動性が低下し、捕集層形成原料を隔壁の表面に塗工し難くなることがある。
【0084】
造孔材の平均粒子径は、0.5〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることが更に好ましく、5〜20μmであることが特に好ましい。50μmより大きいと、初期捕集効率が低下することがある。0.5μmより小さいと、初期圧力損失が高くなることがある。造孔材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定した値である。
【0085】
捕集層形成原料中の粘度調整剤としては、界面活性剤、水に不溶な微小有機繊維、又は、界面活性剤及び水に不溶な微小有機繊維の両方であることが好ましい。
【0086】
界面活性剤としては、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液等を使用することができる。
【0087】
捕集層形成原料中の界面活性剤の含有量は、捕集層用セラミック原料と造孔材の合計を100質量部としたときに、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが更に好ましい。0.1質量部より少ないと、捕集層形成原料の流動性が低下し、捕集層形成原料を隔壁の表面に塗工し難くなることがある。10質量部より多くしても、流動性は向上しないことがある。
【0088】
水に不溶な微小有機繊維としては、セルロース繊維、アラミド繊維等を使用することができる。ここで、微小有機繊維とは、柱状構造又は針状構造であって、長径(繊維の長さ(繊維長))と短径(長さ方向(長径方向)に直交する方向における長さの中で、最長となる長さ)の比率(長径/短径)が1000以上、短径の長さが0.5μm以下の繊維を意味する。微小有機繊維は、粘度調整剤として使用され、水に不溶であることが好ましい。水に不溶な微小有機繊維によって捕集層形成原料の粘度を調整することによって、捕集層の厚さを調整することができる。
【0089】
捕集層形成原料中の微小有機繊維の含有量は、捕集層用セラミック原料100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であることが好ましく、0.2〜0.6質量部であることが更に好ましい。0.1質量部より少ないと、捕集層形成原料の厚さが薄くなることがある。1.0質量部より多いと、捕集層形成原料の厚さが厚くなることがある。
【0090】
微小有機繊維の短径は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.01〜0.1μmであることが更に好ましい。0.5μmより大きいと、粘度調整の効果が十分でないことがある。0.01μmより小さいと、凝集してしまうことがある。微小有機繊維の短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した値である。
【0091】
捕集層形成原料中に界面活性剤と微小有機繊維の両方が含有される場合には、界面活性剤と微小有機繊維の合計質量が、捕集層用セラミック原料100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましい。
【0092】
捕集層形成原料中の水の含有量は、捕集層用セラミック原料と造孔材の合計体積を100体積部としたときに、30〜80体積部であることが好ましい。水の含有量は、上記範囲内において、電解質、セラミック原料、造孔材の種類によって、適した量を選択すればよい。水の含有量が少ないと、捕集層形成原料の粘度が高くなり、塗工し難くなることがある。水の含有量が多いと、捕集層形成原料の粘度が低くなり、捕集層の厚さを調整し難くなることがある。
【0093】
ハニカム成形体(片側目封止ハニカム成形体)の残余のセル内の未焼成隔壁母材の表面に、捕集層形成原料を付着させる方法としては、スラリー状の捕集層形成原料中にハニカム構造体を浸漬する方法(ディップコート)や、スラリー状の捕集層形成原料をハニカム構造体のセル中に流し込む方法が好ましい。これらの方法により、セル内の隔壁表面上に捕集層形成原料を均一に塗工することができる。
【0094】
(2−4)第2目封止工程;
次に、図9に示すように、ハニカム成形体50(未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体70(図8を参照))の、流体の流出側の端面62における残余のセル(流入セル52a)の開口部に、目封止部55を配設する。これにより、未焼成捕集層付ハニカム成形体75が得られる。
【0095】
第2目封止工程においては、第1目封止工程と同様の方法で、未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体70(図8を参照)の流出側の端面62側に、目封止部55を形成することが好ましい。
【0096】
(2−5)焼成工程;
次に、捕集層形成原料が塗工されたハニカム成形体(未焼成捕集層付ハニカム成形体)を焼成してハニカム構造体100(図1、図2を参照)を作製する(焼成工程)。焼成工程においては、ハニカム成形体、目封止部、及び「セル内の隔壁表面に塗工された捕集層形成原料」が焼成されて、ハニカム基材と目封止部と捕集層とを備えたハニカム構造体が得られる。ハニカム成形体(未焼成捕集層付ハニカム成形体)の焼成は、セル内の隔壁表面に捕集層形成原料を塗工した後に行う。これにより、捕集層形成原料の隔壁母材への浸入を防ぐことができる。
【0097】
ハニカム成形体(未焼成捕集層付ハニカム成形体)を焼成(本焼成)する前には、そのハニカム成形体(未焼成捕集層付ハニカム成形体)を仮焼することが好ましい。仮焼は、脱脂のために行うものであり、その方法は、特に限定されるものではなく、中の有機物(有機バインダ、界面活性剤、造孔材等)を除去することができればよい。一般に、有機バインダの燃焼温度は100〜300℃程度、造孔材の燃焼温度は200〜800℃程度であるので、仮焼の条件としては、酸化雰囲気において、200〜1000℃程度で、3〜100時間程度加熱することが好ましい。
【0098】
ハニカム成形体(未焼成捕集層付ハニカム成形体)の焼成(本焼成)は、仮焼した成形体を構成する成形原料を焼結させて緻密化し、所定の強度を確保するために行われる。焼成条件(温度、時間、雰囲気)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。例えば、コージェライト化原料を使用している場合には、焼成温度は、1410〜1440℃が好ましい。また、焼成時間は、最高温度でのキープ時間として、4〜8時間が好ましい。仮焼、本焼成を行う装置は、特に限定されないが、電気炉、ガス炉等を用いることができる。
【実施例】
【0099】
以下、本発明のハニカム構造体及びその製造方法を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0100】
(実施例1)
セラミック原料として、コージェライト化原料(タルク、カオリン及びアルミナ)を用いた。タルク、カオリン及びアルミナの質量比は、焼成後、コージェライトが得られる質量比とした。セラミック原料100質量部に対して、バインダー(メチルセルロース)4質量部、水35質量部を混合してセラミック成形原料を得た。得られたセラミック成形原料を、ニーダーを用いて混練して、坏土を得た。得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、ハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体は、隔壁母材厚さが300μmであり、セル密度が48セル/cmであり、全体形状が円筒形(端面の直径が40mm、セルの延びる方向における長さが100mm)であった。セル形状は、セルの延びる方向に直交する形状が正方形であった。得られたハニカム成形体を、マイクロ波及び熱風で乾燥させた。
【0101】
次に、ハニカム成形体の一方の端面(流入側の端面)における複数のセル開口部の中の一部に、マスクを施した。このとき、マスクを施したセルとマスクを施さないセルとが交互に並ぶようにした。そして、マスクを施した側の端部を、コージェライト化原料を含有する目封止スラリーに浸漬して、マスクが施されていないセルの開口部に目封止スラリーを充填した。これにより、片側目封止ハニカム成形体を得た。
【0102】
次に、比表面積7m/gのアルミナ粒子150g、平均粒子径5μmのPMMA(ポリメチルメタクリレート)110g、ポリスチレンスルホン酸塩2g、クエン酸384g及び水286gを、ホモジナイザーで混合し、スラリー状の捕集層形成原料を調合した。クエン酸の含有量は、飽和溶解度(20℃)の93%であった。アルミナ粒子とPMMAの合計体積は、捕集層形成原料全体の体積の20%であった。
【0103】
次に、片側目封止ハニカム成形体を、目封止部を形成した側の端部から、捕集層形成原料内に浸漬し、ハニカム成形体に捕集層形成原料をディップコートした。このとき、捕集層形成原料が流入セル内の隔壁全体に塗工されるように、片側目封止ハニカム成形体のほぼ全体を捕集層形成原料内に浸漬した。また、片側目封止ハニカム成形体の流出側の端面(目封止部を形成していない側の端面)は、捕集層形成原料に接触しないようにした。その後、80℃で乾燥させた。これにより、未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体を得た。
【0104】
次に、ハニカム成形体の一方の端面(流入側の端面)に目封止部を形成した方法と同様の方法で、ハニカム成形体(未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体)の他方の端面(流出側の端面)のセル開口部についても、目封止スラリーを充填した。これにより、得られるハニカム構造体の両端面が、セルの開口部と目封止部とにより市松模様が形成される状態になった。その後、目封止スラリーが充填されたハニカム成形体を乾燥した。これにより、未焼成捕集層付ハニカム成形体を得た。
【0105】
次に、未焼成捕集層付ハニカム成形体について、450℃で5時間加熱することにより脱脂を行い、更に、1425℃で7時間加熱することにより焼成を行い、ハニカム構造体を得た。
【0106】
得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で、「細孔表面積比(隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積に対する捕集層の単位体積当たりの細孔表面積(捕集層/隔壁母材))」、「捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ(捕集層における、隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さ/隔壁母材と捕集層とを有する隔壁の厚さ)(%)」、「隔壁の細孔表面積(隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積)(m/cm)」、「表層の気孔率(%)」、「表層の厚さ/隔壁厚さ(%)」、「隔壁母材の平均細孔径(μm)」、「隔壁母材の気孔率(%)」、「初期圧損(kPa)」及び「200nm以下のPM初期捕集効率(200nm以下の粒子径のPMを対象とした初期捕集効率)(%)」を評価した。結果を表1に示す。ハニカム構造体の隔壁(隔壁母材及び捕集層)の細孔を樹脂(エポキシ樹脂)で埋めた状態における、隔壁の「セルの延びる方向に直交する断面」のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を図11に示す。図11より、ハニカム構造体の隔壁23は、表層21及び深層22を有する捕集層13と、隔壁母材1とから構成されていることがわかる。尚、図11のSEM画像は、「細孔表面積比」等を求めるためのSEM画像とは、異なる画像である。
【0107】
(細孔表面積比)
隔壁母材及び捕集層の「単位体積当たりの細孔表面積」は、以下の方法で求める。まず、ハニカム構造体を樹脂(エポキシ樹脂)に埋設することによりハニカム構造体の隔壁の細孔を樹脂で埋め、セル長手方向と垂直な方向の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を取得する(図示せず)。SEM画像は、倍率5000倍、960×1280ピクセルの画像とする。得られたSEM画像における隔壁を、画像上において(画像解析によって)、隔壁中央部(厚さ方向における中央部)から表層にかけて5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、以下の処理を行う。画像解析ソフト(Media Cybernetics社製Image−Pro Plus 6.2J)を用いて、各分割部分の隔壁表面の周囲長と面積を測定する。「周囲長/面積」をその分割部分の単位体積当たりの細孔表面積とする。ここで、「周囲長」とは、各「分割部分」において、材料が存在する部分と、材料が存在しない部分(細孔)とを識別し、材料が存在する部分と細孔との境界線の長さを全て足し合わせた長さである。最も表面に近い分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、捕集層の単位体積当たりの細孔表面積とし、隔壁中央部の分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を、隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積とする。
【0108】
(捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ)
ハニカム構造体の隔壁(隔壁母材及び捕集層)の細孔を樹脂(エポキシ樹脂)で埋め、セルの延びる方向に直交する断面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像をとる。SEM画像は、倍率5000倍、960×1280ピクセルの画像とする。SEM(走査型電子顕微鏡)画像より、隔壁の厚さを測定する。また、得られたSEM画像における隔壁を、画像上において(画像解析によって)、隔壁中央部(厚さ方向における中央部)から表層にかけて5μm幅で分割し、各「分割部分(分割領域)」毎に、画像解析ソフト(Media Cybernetics社製、商品名:Image−Pro Plus 6.2J)を用いて、隔壁材料の周囲長と面積を算出する。「周囲長/面積」の値を、その分割部分の細孔表面積とする。ここで、「周囲長」とは、各「分割部分」において、材料が存在する部分と、材料が存在しない部分(細孔)とを識別し、材料が存在する部分と細孔との境界線の長さを全て足し合わせた長さである。捕集層表面に最も近い分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を「捕集層(表層)の細孔表面積」とする。また、隔壁の中央部に最も近い分割部分の単位体積当たりの細孔表面積を隔壁母材(隔壁母材のみが存在する領域)の細孔表面積とする。
【0109】
そして、図3に示すような「深さ−細孔表面積」座標において、「深さ」軸(x軸)に平行に、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「表層21の細孔表面積」の値である直線αと、「細孔表面積」軸(y軸)の値が「隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積」の値である直線βを引き、更に、深層22と隔壁母材1とが混在する部分(分割部分)の「細孔表面積の複数の測定値」を直線近似(最小二乗法)して、「深さ−細孔表面積」座標系にその直線γを引く。そして、上記「表層21の細孔表面積」を示す直線αと、上記「深層22と隔壁母材1とが混在する部分の細孔表面積」を示す直線γとの交点の「深さ」を、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」の深さD1とし、上記「隔壁母材1のみが存在する領域の細孔表面積」を示す直線βと、上記「深層22と隔壁母材1とが混在する部分の細孔表面積」を示す直線γとの交点の「深さ」を、「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の深さD2とする。尚、深さD1は、表層21の厚さになる。
【0110】
「捕集層13の深層22と隔壁母材1とが混在する領域と、隔壁母材1のみが存在する領域との境界部分」の深さD2から、「捕集層13の表層21と、捕集層13の深層22との境界部分」の深さD1を差し引いた値を、捕集層13の深層22の厚さ(捕集層の浸入部分の厚さ)とする。そして、「捕集層の浸入部分の厚さ」を「隔壁の厚さ」で除して100倍した値が、「捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ(%)」の値となる。
【0111】
(隔壁の細孔表面積)
隔壁の細孔表面積は、「比表面積」に「密度」を乗じた値とする。比表面積は、流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス社製、商品名:フローソーブ)を用いて測定する。測定ガスとしては、クリプトンを用いる。密度は、乾式自動密度計(マイクロメトリックス社製、商品名:アキュピック)を用いて測定する。測定ガスとしては、ヘリウムを用いる。
【0112】
(表層の気孔率)
上記「捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ」において測定した「隔壁のSEM画像」において、「表層の面積全体」に対する「表層における気孔の面積全体」の比率を算出し、「表層の気孔率(%)」とする。
【0113】
(表層の厚さ/隔壁厚さ)
上記「捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ」において測定した、「隔壁厚さ」及び「表層の厚さ(D1)」より、「表層の厚さ/隔壁厚さ(%)」を算出する。
【0114】
(隔壁母材の平均細孔径)
ハニカム構造体の隔壁から捕集層を除去し、島津製作所社製、商品名:オートポアIV9520を用いて、水銀圧入法により平均細孔径(μm)を測定する。
【0115】
(隔壁母材の気孔率)
ハニカム構造体の隔壁から捕集層を除去し、島津製作所社製、商品名:オートポアIV9520を用いて、水銀圧入法により気孔率(%)を測定する。
【0116】
(初期圧損)
各実施例、比較例と同条件で作製した「乾燥後のハニカム成形体」から、1枚の隔壁を10mm×10mm以上、50mm×50mm以下の評価領域が確保できるように切り出す。そして、各実施例、比較例と同条件で作製した捕集層形成原料を、切り出した隔壁の一方の面に塗布する。その後、実施例1と同じ条件で、乾燥、脱脂及び焼成することにより、評価用試料を得る。得られた評価用試料を、捕集層(表層)の表面が「ガスの流入側の面」になるように、「PM捕集効率測定装置」に装着する。
【0117】
PM捕集効率測定装置は、評価試料が装着される本体を備え、本体の上流側にPM発生装置を配設し、このPM発生装置で発生させたPMを、本体に供給するように構成されている。評価試料は、本体の内部を上流側と下流側に仕切る(区画)するように装着される。また、上記本体には、評価試料の上流側及び下流側に計測孔が穿設されている。この計測孔により、評価試料の上流側と下流側の圧力をそれぞれ計測することができる。また、上記本体には、評価試料の上流側に入口PM測定部が取り付けられており、評価試料の下流側に出口PM測定部が取り付けられている。
【0118】
初期圧損(kPa)を測定する際には、PMを発生させない状態で、空気を本体に供給する。具体的には、PMを含有しない空気を、本体に供給し、評価試料を通過させる。このとき、PMを含有しない空気が評価試料を透過するときの流速(透過流速)が、30cm/秒以上、2m/秒以下の範囲に入る値になるように調整する。そして、上流側の計測孔で測定した圧力と、下流側の計測孔で測定した圧力との差を、初期圧損とする。
【0119】
(200nm以下のPM初期捕集効率)
上記「初期圧損」の測定と同様にして、「PM捕集効率測定装置」を用いて、評価試料に、PMを含有する空気を透過させる。そして、評価試料にPMが堆積しはじめてから150秒の間、入口PM測定部及び出口PM測定部でPMの量(積算値)を測定する。ここで、入口PM測定部及び出口PM測定部でPMを測定する際には、粒子径200nm以下のPMのみを測定対象とする。そして、入口PM測定部で測定したPM量(積算値)に対する、出口PM測定部で測定したPM量(積算値)の比率を算出し、得られた値を1から差し引いた値を「200nm以下のPM初期捕集効率」とする。尚、入口PM測定部で測定されたPMの粒度分布は、図10で示すような分布であった。図10は、PM捕集効率測定装置の入口PM測定部で測定されたPMの粒度分布を示すグラフである。
【0120】
【表1】

【0121】
(実施例2〜7,9〜17)
実施例1と同様にしてハニカム成形体を作製し、乾燥させた。そして、捕集層形成原料を表5に示す条件で作製し、その後、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。ここで、表5の「粘度調整剤」の「ポリスチレンスルホン酸塩」は、三洋化成工業製のケミスタットSA−136(商品名)を使用した。また、「ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル」は、花王製のA−60(商品名)を使用した。また、「セルロース」は、平均繊維径(短径の長さ)0.1μmの微小セルロース繊維(ダイセル化学社製、商品名:セリッシュ)のことである。この微小セルロース繊維(微小有機繊維)は、水に不溶である。実施例1の場合と同様の評価を行った。また、表5における「(1)+(2)の体積割合」は、捕集層用セラミック原料の体積と造孔材の体積との合計の、捕集層形成原料全体の体積に対する割合を意味する。結果を表1〜3に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
(実施例8)
セラミック成形原料に、更に平均粒子径60μmのPMMAを添加した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を作製した。尚、セラミック成形原料中のPMMAの含有量は、10質量%であった。実施例1の場合と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0127】
(比較例1)
実施例1と同様にしてハニカム成形体を作製し、乾燥させた。その後、乾燥させたハニカム成形体について、450℃で5時間加熱することにより脱脂を行い、更に、1425℃で7時間加熱することにより焼成を行い、「焼成済みハニカム構造体」を得た。「乾燥後のハニカム成形体」の代わりに「焼成済みハニカム構造体」を用い、捕集層形成原料を表5に示す条件とした以外は、実施例1の場合と同様にして、捕集層形成原料を「焼成済みハニカム構造体」にディップコートした。その後、80℃で乾燥させ、1200℃で焼成してハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体について、実施例1の場合と同様の評価を行った。結果を表2,4に示す。
【0128】
(比較例2〜6)
実施例1と同様にしてハニカム成形体を作製し、乾燥させた。そして、捕集層形成原料を表5に示す条件で作製し、その後、実施例1と同様にしてハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体について、実施例1の場合と同様の評価を行った。結果を表2,4に示す。
【0129】
実施例11〜16、比較例3〜6のハニカム構造体の強度を確認するため、実施例11〜16、比較例3〜6のそれぞれにおいて用いられた「セラミック成形原料」及び「捕集層形成用原料の中の電解質と水」を用いて「乾燥後のセラミック成形体」を作製し、当該「乾燥後のセラミック成形体」について、以下の方法で、「曲げ試験」及び「変形試験」を行った。結果を表6に示す。
【0130】
(曲げ試験)
各実施例、比較例において用いられたセラミック成形原料を用いて、各実施例、比較例の製造方法と同様の方法で坏土を作製する。得られた坏土を真空押出成形機を用いて成形し、厚さ3mm、幅50mm、長さ100mmの板状のセラミック成形体を得た。セラミック成形体を80℃で乾燥させて、乾燥後のセラミック成形体から3mm×4mm×40mmの大きさの「試料」を切り出す。切り出した試料を、以下の溶液に40分間浸漬し、その後、4点曲げ試験(JIS−R1601)を行った。上記「試料」を浸漬する「溶液」は、各実施例、比較例において用いられた捕集層形成用原料中の電解質と水を、各実施例、比較例における溶解度と同じ溶解度となるように混合したものである。得られた「応力−歪曲線」において、歪の値が0.2%になるときの応力値を「曲げ応力」とする。この応力値が0.4MPa以上であれば、ハニカム構造体を製造する際、ハニカム成形体に捕集層形成原料をディップコートするときに、ハニカム成形体が、ディップコート時に加わる応力に耐えられ、ハニカム成形体の変形が抑制できる。
【0131】
(変形試験)
片側目封止ハニカム成形体の端面の面積の90%程度の面積の6メッシュのステンレス金網に、片側目封止ハニカム成形体を、流体の流入側の端面61とステンレス金網が接触するように載せる。ステンレス金網に載った状態の片側目封止ハニカム成形体を、捕集層形成原料が入れられた容器に浸漬することにより、片側目封止ハニカム成形体に捕集層形成原料をディップコートし、その後、片側目封止ハニカム成形体を容器から取り出す。片側目封止ハニカム成形体を、捕集層形成原料が入れられた容器に浸漬する際、および、容器から取り出した際には、塗工された捕集層形成原料の質量および片側目封止ハニカム成形体の自重により、片側目封止ハニカム成形体の端面が、ステンレス金網から応力を受けることになる。その後、片側目封止ハニカム成形体を乾燥させる。乾燥後、片側目封止ハニカム成形体の、ステンレス金網が接触していた端面を観察する。そして、片側目封止ハニカム成形体の端面に、金網の網目に沿った変形(模様)があるか否かを確認する。表6の「変形」の欄の「なし」が、変形がなかったことを示す。また、表6の「変形」の欄の「あり」が変形したことを示す。
【0132】
【表6】

【0133】
表1,2より、細孔表面積比(捕集層/隔壁母材)が、2.0より大きいとPM初期捕集効率が高いことがわかる。また、「捕集層の浸入部分の厚さ/隔壁厚さ」が6%以下であると、初期圧損が小さいことがわかる。また、表6より、電解質の溶解度が、飽和溶解度の50%以上であると、曲げ試験において、曲げ応力が大きく、変形もしないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明のハニカム構造体は、ディーゼルエンジン等の内燃機関や各種の燃焼装置等から排出されるガスを浄化するためのフィルタとして好適に利用することができる。また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、このようなハニカム構造体の製造に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0135】
1:隔壁母材、2:セル、2a:流入セル、2b:流出セル、3:外周壁、4:ハニカム基材、5:目封止部、11:流入側の端面、12:流出側の端面、13:捕集層、21:表層、22:深層、23:隔壁、50:ハニカム成形体、51:未焼成隔壁母材、52:セル、52a:流入セル、52b:流出セル、53:外周壁、55:目封止部、60:片側目封止ハニカム成形体、61:流入側の端面、62:流出側の端面、63:未焼成捕集層、70:未焼成捕集層付片側目封止ハニカム成形体、75:未焼成捕集層付ハニカム成形体、100:ハニカム構造体、α,β,γ:直線、D1,D2:深さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、前記残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、
前記捕集層を構成する材料の融点が、前記隔壁母材を構成する材料の融点より高く、
前記捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、前記隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、
前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、前記隔壁母材と前記捕集層とを有する隔壁の厚さの6%以下であるハニカム構造体。
【請求項2】
前記隔壁の単位体積当たりの細孔表面積が、1.4〜20m/cmである請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入していない部分の気孔率が60%以上である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記捕集層の厚さが、前記隔壁母材と前記隔壁母材に配設された前記捕集層とを有する隔壁の厚さの5〜30%である請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記隔壁母材が、平均細孔径10〜60μm、且つ気孔率40〜70%である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記隔壁母材の材質がコージェライトであり、前記捕集層の材質がアルミナ、ムライト及びスピネルからなる群から選択される少なくとも一種を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
セラミック原料を含有するセラミック成形原料を成形して、流体の流路となる複数のセルを区画形成する未焼成隔壁母材を備えるハニカム成形体を形成する成形工程と、
前記ハニカム成形体の、流体の流入側の端面における所定の前記セルの開口部に、目封止部を配設する第1目封止工程と、
前記ハニカム成形体の、目封止部が配設されていない残余の前記セル内の前記未焼成隔壁母材の表面に、前記セラミック原料より融点の高い捕集層用セラミック原料及び飽和溶解度の50〜100%の濃度の電解質水溶液を含有する捕集層形成原料を、付着させる捕集層形成原料塗工工程と、
前記ハニカム成形体の、流体の流出側の端面における前記残余のセルの開口部に、目封止部を配設する第2目封止工程と、
前記捕集層形成原料が塗工されたハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を作製する焼成工程とを有するハニカム構造体の製造方法。
【請求項8】
前記ハニカム構造体が、
流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁母材を有するハニカム基材と、流体の流入側の端面における所定のセルの開口部及び流体の流出側の端面における残余のセルの開口部に配設された目封止部と、前記残余のセル内の隔壁母材の表面に配設された多孔質の捕集層とを備え、
前記捕集層を構成する材料の融点が、前記隔壁母材を構成する材料の融点より高く、
前記捕集層の単位体積当たりの細孔表面積が、前記隔壁母材の単位体積当たりの細孔表面積の2.0倍以上であり、
前記捕集層における、前記隔壁母材の細孔内に浸入している部分の厚さが、前記隔壁母材の厚さの6%以下である請求項7に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項9】
前記電解質が、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン及び塩化物イオンからなる群から選択される少なくとも1種の陰イオンと、アルカリ土類金属イオン、水素イオン及びアンモニウムイオンからなる群から選択される少なくとも1種の陽イオンとを有するものである請求項7又は8に記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記捕集層形成原料が造孔材を含有し、前記捕集層用セラミック原料及び前記造孔材の合計体積が、前記捕集層形成原料全体の体積の5〜30体積%である請求項7〜9のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
【請求項11】
前記捕集層形成原料が、粘度調整剤として、界面活性剤、水に不溶な微小有機繊維、又は、界面活性剤及び水に不溶な微小有機繊維の両方、を含有する請求項7〜10のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−201542(P2012−201542A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66549(P2011−66549)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】