説明

ハロゲン含有ビニルポリマーの熱安定剤組成物

【課題】ハロゲン含有ビニルポリマーのための改善された安定剤組成物、特にカドミウム、スズ、および/または鉛を含まず、加工中および/または使用中の変色に対して改善された耐性をもたらす改善された安定剤組成物を提供する。
【解決手段】ハロゲン含有ビニルポリマーを、たとえば劣化および変色から安定化させるために相乗安定剤組成物が使用される。安定剤組成物は、亜鉛化合物、ジヒドロピリジンまたはポリジヒドロピリジン、ベータ−ジケトンおよび潜在メルカプタンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン含有ビニルポリマーの安定剤組成物、安定化されたハロゲン含有ビニルポリマー組成物およびこれから形成される物品、およびハロゲン含有ビニルポリマーを安定化させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン含有ビニルポリマー、たとえば、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニルと酢酸ビニルのコポリマー、およびポリ塩化ビニリデンは、一般に様々な物品、たとえば、パイプ、窓枠、サイディング、ボトル、壁装材および包装用フィルムを製造するために用いられている。ポリマー樹脂における色彩保持(color hold)、特に窓の加工中、たとえば初期加工中および任意のその後の再加工中における色彩保持を向上させるために、ハロゲン含有ビニルポリマーに安定剤を添加する試みが数多くなされてきた。現在使用されているほとんどの安定剤組成物は、金属、たとえばスズ、カドミウム、および鉛さえも含有する。これらの安定剤組成物は初期加工中、ならびにその後の再加工中の変色を最小限に抑えるために有効であり得るが、環境、費用、およびその他の理由で、スズ、カドミウム、および/または鉛を含まない安定剤組成物の開発に対する関心が高まってきている。
【0003】
潜在またはブロックされたメルカプタンは、加工において早期の変色を最小限に抑え、またポリマーが紫外線および風雨に曝された場合に長期の色安定性を提供するため特に有効であることが判明している。潜在メルカプタンの利点は、加工中の遊離メルカプタンの放出が、他の安定剤(すなわち、有機または金属安定剤など)の効果を増大させることができることである。かかる組み合わせの例は、米国特許第4,973,619号に開示され、ここにおいて潜在メルカプタンは脂肪酸のカドミウムまたは亜鉛塩と組み合わせられる。
【0004】
ジヒドロピリジンも米国特許第4,209,439号に記載されているようにポリ塩化ビニルポリマー組成物の安定剤として使用することができる。ジヒドロピリジンは、周知の熱安定剤である2−フェニルインドールについて用いられるよりも低い濃度で有効な熱安定剤である。ジヒドロピリジンとアミノウラシルとの組み合わせは、米国特許第5,925,696号および第6,194,494号に記載されている。
【0005】
別の種類の熱安定剤であるベータ−ジケトンを、単独または他の安定剤との組み合わせにおいて用いることができる。米国特許第3,001,970号は、塩化ビニリデンのオルト−ヒドロキシ−ジベンゾイルメタンでの安定化を記載している。米国特許第4,427,816号は、ベータ−ジケトンおよびヒドロタルサイトの相乗性組み合わせを記載している。米国特許第5,015,777号において、ベータ−ジケトン、マンニトール、および安息香酸および脂肪酸のマグネシウムおよび亜鉛塩の混合物を含む安定剤組成物が記載されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4.973,619号明細書
【特許文献2】米国特許第4,209,439号明細書
【特許文献3】米国特許第5,925,696号明細書
【特許文献4】米国特許第6,194,494号明細書
【特許文献5】米国特許第3,001,970号明細書
【特許文献6】米国特許第4,427,816号明細書
【特許文献7】米国特許第5,015,777号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの先行技術の組み合わせはその意図される目的に適しているが、ハロゲン含有ビニルポリマーのための改善された安定剤組成物、特にカドミウム、スズ、および/または鉛を含まず、加工中および/または使用中の変色に対して改善された耐性をもたらす改善された安定剤組成物が当該分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様において、
亜鉛化合物、
潜在メルカプタン(ここで該潜在メルカプタンは式(1)を有するものである:
【化1】

式中、a=0または1であり、m=0または1であり、n=0または1であり、y=1〜4である。但し、y=1である場合、z=1〜4であり、yが1よりも大きい場合、z=1である;Rは、一価、二価、三価、または四価の、C1−400アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルアルキル、アルケニルアリール、アルアルケニル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アルコキシ(ヒドロキシアルキル)、アルコキシ(アシルオキシアルキル)、アルコキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アシルオキシアルキル、アシルオキシ(ヒドロキシアルキル)、アシルオキシアルコキシアルキル、アシルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、ベンゾイルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルキレンビス−(アシルオキシアルキル)、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキレニル、ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、メルカプトアルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトアルコキシカルボニルアルキル、メルカプトアルコキシカルボニルアルケニル、アルコキシカルボニル(アミド)アルキル、アルキルカルボニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシアルキル、ヒドロキシアリール、メルカプトアリールまたはカルボキシアリール基であり;
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−OH、−SH、アシル、C1−52アルキル、アルケニル、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアリール、アルコキシアリール、アルコキシヒドロキシアリール、またはメルカプトアリール基であり;
Xは、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルカリール、ヒドロキシアリール、ジヒドロキシアリール、シクロアルキルアリール、アリールシクロアルキル、またはヘテロ原子であり、
およびRは、aが1であり、mが1であるとき窒素としてのXと共に複素環式部分を形成することができ、
、R、およびRの1個は、a=1およびm=0である場合、RおよびXと結合して、酸素および硫黄からなる群から選択されたヘテロ原子としてのXと共に複素環式部分を形成することができる。
但し、Xがアルアルカリールである場合、zが1または2であり、RおよびRが−OHであり、a=1およびm=1である、そして更にRが−OHまたは−SHである場合、z=1である);
ジヒドロピリジン、ポリジヒドロピリジン、またはその混合物(ここにおいて、該ジヒドロピリジンは式(2)を有するものであり:
【化2】

式中、各R19は独立して、C〜C36アルキル基であり、各R18は独立して水素、−OR21、−NHR21、または−NR2122であり、ここにおいて、各R21およびR22は独立して置換または非置換C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニル基であり、各R20は独立して水素、酸素、ハロゲン、または置換または非置換C〜C36アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、またはアルアルキル基であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリール、またはC〜C36アルカリール基である);ここにおいて、ポリジヒドロピリジンは式(3)を有するものである:
【化3】

式中、AはC6−18アリールまたはC1−22アルキル基であり、C〜C18アルコキシ、C〜C18アルキルチオ、ヒドロキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、ハロゲン、フェニルまたはナフチル基で置換されていても、置換されていなくともよい。R19は独立してC〜C36アルキル基であり、aおよびbは0〜20の数であり、cは0または1であり、dは1〜6の数である。ただし、d(a+b+c)>1であり、(a+b)>0とする。R24およびR25はそれぞれ独立してメチレン、フェニル、または(−C2p−Q−)2p−タイプのアルキレン基(式中、pは2〜18の数であり、tは0〜10の数であり、Qは酸素または硫黄である)であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリールまたはC〜C36アルカリール基である);ならびに
ベータ−ジケトン(ここにおいて、該ベータ−ジケトンは式(4)を有するものである:
【化4】

式中、R27は10個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、R28はフェニル基または3個までの低級アルキル基で置換されたフェニル基であり、R29およびR30はそれぞれ独立して水素、C〜C18アルキル基、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステルアルキル、またはアルコキシカルボニルで置換されたC〜C18アルキル基である)
を含む熱安定剤組成物が提供される。
【0009】
第二の態様において、ハロゲン含有ビニルポリマーおよび上記安定剤組成物を含む安定化されたポリマー組成物が提供される。
【0010】
他の態様において、上記の安定化されたポリマー組成物を含む物品が提供される。
【0011】
他の態様において、上記の安定剤組成物をハロゲン含有ビニルポリマー組成物に添加することを含むポリマー組成物を安定化させる方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において用いられる「a」および「an」なる用語は、量の制限を示すのではなく、少なくとも1つの言及された物が存在することを示す。本発明において用いられる場合、ヒドロカルビル基は、飽和または不飽和炭化水素、すなわち、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アリール、アルアルキル、アルアルカリール、アルアシクロアルキル、アルアルケニル、アルカリール、シクロアルカリール、およびアルケニルアリール基、ならびに上記基の混合物を包含する基である。この用語は、特に、たとえばタル油などの天然源から誘導される炭化水素の混合物を包含すると考えられる。さらに、アルキル基および上記基のアルキル部分は、特に記載しない限り直鎖または分岐鎖であってよい。オキシアルキレニルなる用語は、ポリアルキレンエーテル分子の二価基を意味する。これも本明細書において用いられる場合、アシルオキシアルキル基はアルコールのカルボン酸エステルから由来し、したがって式−ROC(=O)R(たとえば、メルカプトプロパノールのステアリン酸エステルはステアロイルオキシプロピル基を有する)を有し;アルコキシカルボニルアルキル基は式−RC(=O)OR(たとえば、3−メルカプトプロピオン酸ラウリルはドデシルオキシカルボニルエチル基を有する)を有する。「phr」なる略語は、ハロゲン含有ビニルポリマー100重量部あたりの特定の成分の重量部を意味する。
【0013】
本明細書において用いられる場合、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を包含することを意図する。従って、本明細書において用いられるC〜Cアルキルなる用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を包含する。C〜Cアルキルが別の基と組み合わせられる場合、たとえば(フェニル)C〜Cアルキルの場合、表示される基(この場合フェニル)は、一つの共有結合により直接結合するか(C)、または特定の数の炭素原子(この場合1〜約4個の炭素原子)を有するアルキル鎖により結合するかの何れかである。アルキルの例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルが挙げられる。
【0014】
本明細書において用いられる「アルケニル」とは、鎖に沿った任意の安定な点にある1以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖いずれかの構造の炭化水素鎖を示す。アルケニル基の例としては、エテニルおよびプロペニルが挙げられる。
【0015】
「アルコキシ」とは、酸素ブリッジを介して結合した、表示された数の炭素原子を有する前記定義のアルキル基を表す。アルコキシの例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシが挙げられる。
【0016】
本明細書において用いられる場合、「アリール」なる用語は、芳香環において炭素のみを含有する芳香族基を意味する。典型的なアリール基は1〜3の独立環、縮合環、またはペンダント環および6〜18の環原子を含有し、環構成要素として複素原子を含まない。必要ならば、かかるアリール基は炭素または非炭素原子または基でさらに置換することができる。このような置換は、N、O、およびSから独立して選択される1または2個の複素原子を任意に含有して、たとえば、3,4−メチレンジオキシ−フェニル基を形成してもよい5〜7員飽和環状基に対する縮合を包含する。アリール基は、たとえば、1−ナフチルおよび2−ナフチル、ならびにビフェニルをはじめとするフェニル、ナフチルを包含する。
【0017】
エステルアルキルなる用語は、エステル結合により結合した前記定義のアルキル基、すなわち式−O(C=O)アルキルの基を意味する。
【0018】
「アルコキシカルボニル」とは、カルボニル基に隣接したアルコキシ基、すなわち、式アルキル−O(C=O)−の基を意味する。
【0019】
アリールアルキルなる用語において、アリールおよびアルキルは前記定義の通りであり、結合点はアルキル基上である。この用語は、ベンジル、フェニルエチル、およびピペロニルを包含するが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
ハロゲン含有ビニルポリマーのための有効な安定剤組成物は、亜鉛化合物;ジヒドロピリジンまたはポリジヒドロピリジン、またはその両方;ベータジケトンとの組み合わせ、および潜在メルカプタンを含む。これらの組み合わせは従来技術の組成物よりも予想外に向上された早期の色彩保持を提供する。
【0021】
「ブロックされたメルカプタン」および「潜在メルカプタン」なる用語は、本明細書において、互換可能に使用され、分解して遊離メルカプタンを遊離するチオエーテルを意味する。潜在メルカプタンの特別の置換基は、低温度、たとえば室温で安定性を与えるが、ハロゲン含有ビニルポリマーを加工するために使用される、より高い温度で分解するように選択される。ブロッキング基はメルカプタンの不快な臭いを有効にマスクする。潜在メルカプタンは、式(1)を有するものである:
【0022】
【化5】

【0023】
式中、a=0または1であり、m=0または1であり、n=0または1であり、y=1〜4である。但し、y=1である場合、z=1〜4であり、yが1よりも大きい場合、z=1である。
【0024】
式1におけるRは、一価、二価、三価、または四価の、C1−52アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルアルキル、アルアルケニル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アルコキシ(ヒドロキシアルキル)、アルコキシ(アシルオキシアルキル)、アルコキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アシルオキシアルキル、アシルオキシ(ヒドロキシアルキル)、アシルオキシアルコキシアルキル、アシルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、ベンゾイルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルキレンビス−(アシルオキシアルキル)、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキレニル、ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、メルカプトアルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトアルコキシカルボニルアルキル、メルカプトアルコキシカルボニルアルケニル、アルコキシカルボニル(アミド)アルキル、アルキルカルボニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシアルキル、ヒドロキシアリール、メルカプトアリールまたはカルボキシアリール基である。
【0025】
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−OH、−SH、アセチル、一価または二価のC1−36アルキル、アルケニル、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアリール、アルコキシアリール、アルコキシヒドロキシアリール、またはメルカプトアリール基である。
【0026】
式1におけるXは、一価、二価、三価、またはより高価のアリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルカリール、ヒドロキシアリール、ジヒドロキシアリール、シクロアルキルアリール、アリールシクロアルキル基またはヘテロ原子である。更に、RおよびRは、一緒になって、aが1であり、mが1である場合、窒素としてのXと共に複素環式部分を形成することができ、R、R、およびRのうちの1つは、a=1およびm=0である場合、RおよびXと一緒になって、酸素および硫黄からなる群から選択されたヘテロ原子としてのXと共に複素環式部分を形成することができる。上記のことは、Xがアルアルカリールであり、zが1または2であり、RおよびRが−OHである場合、a=1およびm=1であり、そして更にRが−OHまたは−SHである場合、z=1であるとの条件に従う。
【0027】
好ましくは、アルキル基および上記の基のアルキル部分、たとえば、式4のヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、アルコキシアルキル基などのアルキル部分などは、1〜20個の炭素原子を含有し、3個以下のエチレン性二重結合を有することができる。
【0028】
潜在メルカプタンの例としては、たとえば、それぞれ式(1)に関連して、下記の式を有する化合物が挙げられる:
【0029】
【化6】

【0030】
式中、a=1であり、m=1であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Xは窒素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0031】
【化7】

【0032】
式中、a=1であり、m=1であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Rはメチルであり、Rはアセチルであり、Rはメチルであり、そしてXは窒素である。
【0033】
【化8】

【0034】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0035】
【化9】

【0036】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、R、R、およびRは水素であり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0037】
【化10】

【0038】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−テトラヒドロピラニルオキシエチルであり、Rは水素であり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0039】
【化11】

【0040】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは3−テトラヒドロピラニルオキシエチルであり、Rは水素であり、Xは酸素であり、そしてRおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0041】
【化12】

【0042】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−テトラヒドロピラニルオキシエチルであり、R、RおよびRは水素であり、Xは酸素であり、そしてRおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0043】
【化13】

【0044】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは3−テトラヒドロピラニルオキシエチルであり、R、RおよびRは水素であり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0045】
【化14】

【0046】
式中、a=0であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rはメチルであり、Rは水素であり、Xはフェニルである。
【0047】
【化15】

【0048】
式中、a=0であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、R、R、RおよびRは水素であり、Xはフェニルである。
【0049】
【化16】

【0050】
式中、a=0であり、m=0であり、n=0であり、z=1であり、y=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、RおよびRは水素であり、Xはフェニルである。
【0051】
【化17】

【0052】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、RおよびRは水素であり、Rはm−ヒドロキシであり、Xはフェニルである。
【0053】
【化18】

【0054】
式中、a=0であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−メルカプトエトキシカルボニルメチルであり、RおよびRは水素であり、Xはフェニルである。
【0055】
【化19】

【0056】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、R、RおよびRは水素であり、Rはメチルであり、Rはフェニルであり、Xは酸素である。
【0057】
【化20】

【0058】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは水素であり、Rはプロピルであり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0059】
【化21】

【0060】
式中、a=0であり、m=1であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは3−ヒドロキシプロピルであり、R、R、RおよびRは水素であり、Rは2−(メチレンオキシメチレン)トリルであり、Xは酸素である。
【0061】
【化22】

【0062】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、R、R、RおよびRは水素であり、Rはブトキシメチレンであり、Xは酸素である。
【0063】
【化23】

【0064】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Rはエチルであり、Rはo−ヒドロキシであり、Xはフェニルである。
【0065】
【化24】

【0066】
式中、a=1であり、m=0であり、n=1であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、R、RおよびRは水素であり、Rはメチルであり、Rはo−ヒドロキシであり、Xはフェニルである。
【0067】
【化25】

【0068】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=2であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Rはエチルであり、Rはヒドロキシであり、Xはフェニルである。
【0069】
【化26】

【0070】
式中、a=0であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=2であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、RおよびRは水素であり、Xはテトラクロロフェニルである。
【0071】
【化27】

【0072】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−ヒドロキシエチルであり、Rは水素であり、Rはエチルであり、Rはm−フェニルカルボニルであり、Xはo,p−ジヒドロキシフェニルである。
【0073】
【化28】

【0074】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、zは1であり、Rはノニルオキシエチルであり、Rは水素であり、Xは酸素であり、そしてRおよびRは一緒になって、Xと共に複素環を形成している。
【0075】
【化29】

【0076】
式中、a=1であり、m=0であり、n=0であり、y=1であり、z=1であり、Rは2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチルであり、Rは水素であり、Xは酸素であり、RおよびRは、一緒になって、Xと共に複素環式部分を形成している。
【0077】
潜在メルカプタンの好適な種類としては、たとえば、C2−18アルキルアルコール、たとえば、2−エチルヘキサノール、オクタノール、およびドデカノールの2−S−(テトラヒドロピラニル)チオグリコール酸エステル、ならびにそのフラニル同族体が挙げられる。適当な潜在メルカプタンとしては、たとえば、2−S−テトラヒドロピラナールチオエチルタレート、2−S−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、およびその混合物が挙げられる。
【0078】
潜在メルカプタンは、メルカプタン含有有機化合物をブロッキング基と反応させることによって形成することができる。適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、アルキルメルカプタン、メルカプトエステル、メルカプトアルコール、メルカプト酸などが挙げられる。1〜約400個の炭素原子および1〜4個のメルカプト基を有するアルキルメルカプタンが適している。Rを含むメルカプタン含有有機化合物は、以下の式によって示される構造を有する:
【0079】
【化30】

【0080】
式中、i=0〜6であり、j=0〜3であり、m=1〜2であり、n=2〜3であり(但し、m+n=4である);
は、−H、C1−18アルキル、またはC1−36アリールであり;
およびR10は、それぞれ独立して、−H、−OH、−SH、C1−18アルキル、アリール、R16C(=O)O−またはR16OC(=O)−であり;
11はシクロアルキル、シクロアルケニルまたはフェニルであり;
12は、−H、−OH、−SH、C1−18アルキル、C6−18アリール、R16C(=O)O−、R16OC(=O)−であり(但し、式MC2において、R11がフェニルであり、R12が−OHであり、i=0である場合、−SH基は非隣接炭素原子上に存在する);
13は、−H、またはハロゲン、ヒドロキシ、メルカプトもしくはアルキル置換基を含有してよい二価の基であって、R11がフェニルである場合、フェニルと組み合わさって、ナフタレン環を形成する二価の基であり;
14は、二価であり、そして−OC(=O)R17C(=O)O−、−OC(=O)CH=CHC(=O)O−、または−C(=O)OR17OC(=O)−であり;
15は、C1−12アルキル、好ましくは−CH、−CHCH;C1−12ヒドロキシアルキル、好ましくはヒドロキシメチル;または
【化31】

であり;
16は、−H、C1−24アルキル、C1−24アルケニル、C6−36アリール、C7−36アルアルキル、C7−36アルカリール、C1−16シクロアルキル、またはC1−36シクロアルケニルであり;
17は、C6−36アリーレン、C1−8アルキレニル、−(CHCHO)CHCH−(式中、b=1〜6である)、または
【化32】

(式中、f=1または2である)
である)。
【0081】
一具体例において、メルカプタン含有有機化合物は、式MC1(式中、Rは−Hであり;Rは−Hであり;R10は−OH、R16C(=O)O−またはR16OC(=O)−であり;i=1である)の化合物;式MC2(式中、R11はフェニルであり;Rは−Hであり;R12は−Hであり;R13は−Hであり;j=1であり;i=1である)の化合物;式MC3(式中、Rは−Hであり;R14は−OC(=O)CH=CHC(=O)O−であり;i=1である)の化合物;式MC4(式中、Rは−Hであり;i=1である)の化合物;および式MC5(式中、R15は−Cまたは
【化33】

であり;Rは−Hであり;i=1である)の化合物;および式MC6(式中、Rは−Hであり;i=1である)の化合物である。
【0082】
式MC1の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、表1に示される化合物が挙げられる。
【0083】
【表1】

【0084】
式MC2の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、下記の化合物が挙げられる。:
【0085】
【化34】

【0086】
式MC3の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、表2に示される化合物が挙げられる:
【0087】
【表2】

【0088】
式MC4の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、下記の化合物が挙げられる:
【0089】
【化35】

【0090】
式MC5の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、下記の化合物が挙げられる:
【化36】

【0091】
式MC6の範囲内の適切なメルカプタン含有有機化合物としては、たとえば、下記の化合物が挙げられる:
【0092】
【化37】

【0093】
潜在メルカプトエステルの形成のための適切なブロッキング化合物は、いくつかの基が電子欠損を共有する分子構造を有する安定化カルボカチオンを提供することができる化合物である。たとえば、3,4−ジヒドロピラン、2−メトキシ−3,4−ジヒドロピラン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルベンジルクロリド、インデン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、酢酸ビニル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルジビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、アリルフェニルエーテル、トランス−シンナムアルデヒド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、イソオイゲノール、および2−プロペニルフェノールによって例示される分極不飽和化合物である。他の適切な化合物としては、たとえば、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン;3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン;3,4−ジヒドロ−2−フェノキシ−2H−ピラン;3,4−ジヒドロ−2−ホルミル−2H−ピラン;および2,3−ジヒドロフランが挙げられる。3,4−ジヒドロ−2−ホルミル−2H−ピランは、高い温度および圧力でのアクロレインのディールス−アルダー二量化によって製造される。3,4−ジヒドロ−2−アルコキシ−2H−ピランおよび3,4−ジヒドロ−2−フェノキシ−2H−ピランは、触媒量の亜鉛塩、たとえば、塩化亜鉛の存在下での、対応するビニルエーテルとアクロレインとの反応によって製造される。2位に置換基を有する種々の3,4−ジヒドロ−2H−ピランを、同様の反応によって製造することができる。1および2モルのアクロレインとアルキレン−またはポリアルキレングリコールのジビニルエーテルとの反応によって形成される生成物も、ブロッキング剤である。ジ−(3,4−ジヒドロピラニル)エーテルから製造される潜在メルカプタンも、ポリマー組成物中のキレート化剤としての能力を有する。メルカプタンとの縮合反応中に塩化水素として分離するレイビルハロゲン原子を有する化合物、たとえば、塩化トリフェニルメチル、塩化ベンジル、およびビス(クロロメチル)ベンゼンも適している。このメルカプタンは、また、ブチルアルデヒドのようなアルデヒドまたはベンゼンジメタノールのようなベンジルアルコールとの縮合によって、ブロックされることができる。好ましいブロッキング剤としては、3,4−ジヒドロピラン(DHP)が挙げられる。
【0094】
潜在メルカプタンを製造するための一つの適切な方法には、分極不飽和化合物の二重結合に遊離メルカプタンのメルカプト基を付加することが含まれる(「方法A」)。たとえば、そのままのまたは溶液中のブロッキング化合物を、窒素雰囲気下で、メルカプタン、酸触媒および任意に類属反応を抑制するための少量の酸化防止剤の撹拌混合物に、温度を10〜70℃に維持しながら滴下により添加する。35〜70℃で1〜6時間加熱して、生成物への転化を、ガスクロマトグラフィーおよびSH基についてのヨウ素滴定によってモニターすることができる。酸触媒を(たとえば、アルカリ洗浄または触媒が固体の場合には濾過によって)除去する。得られた生成物を(たとえば、硫酸マグネシウムによって)乾燥させ、濾過し、全ての溶媒を、減圧下、50℃未満で除去する。固相触媒を使用し、次いで反応混合物から濾別し、そして次の合成で使用するために再生することができる。この方法は、メルカプトエタノールおよびN−ビニルカプロラクタムからのN−2−ヒドロキシエチルチオエチル−カプロラクタムの製造;メルカプトエチルデカノエート(メルカプトエチルカプロエート)および3,4−ジヒドロピランからの2−S−(テトラヒドロピラニル)チオエチルデカノエートの製造;インデンおよびメルカプトエタノールからの2H−ジヒドロインデニルチオ−エタノールの製造;ならびにメルカプトエタノールおよびシクロヘキシルジビニルエーテルからのビス(ヒドロキシエチルチオエチル)シクロヘキシルエーテルの製造について適している。同様の方法で、対応するシクロヘキシルエーテルから、対応するカプレート、オレエートおよびタレートエステルを製造することができる。
【0095】
代替的に、遊離メルカプタンとレイビルハロゲン含有化合物との縮合を使用することができる。たとえば、メタノール中のナトリウムメトキシドの溶液を、メルカプタンおよびハロゲン含有化合物の撹拌した混合物に、窒素雰囲気下で、50℃未満に温度を維持しながら滴下により添加する。任意に、この反応を塩基源の添加無しに進行させ、遊離した塩化水素を窒素ガス掃気によって除去し、外部酸除去剤を使用して中和する。50〜70℃の温度で2〜24時間加熱して、生成物の転化を上記のようにモニターし、単離する。
【0096】
適切な潜在メルカプタンは、また、遊離メルカプタンとレイビルヒドロキシル含有化合物との反応によって製造することができる。たとえば、そのままのまたは溶液中のヒドロキシ含有化合物を、メルカプタン、酸触媒および溶媒の撹拌した溶液に、窒素雰囲気下で45℃未満の温度を維持しながら添加する。45〜75℃で1〜10時間加熱して、生成物への転化を上記のようにして、および/または典型的に60〜120℃での共沸蒸留を使用して生成した水の量をモニターすることによってモニターする。単離は上記のようにして実施することができる。この方法は、2−ヒドロキシベンジルアルコールおよびメルカプトエタノールから1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−S−(2−ヒドロキシエチルチオ)メタンを製造するために有用である。
【0097】
遊離メルカプタンとグリシジルエーテルとの反応は、グリシジルエーテル(そのまま、または溶液中)を、メルカプタンおよび酸触媒の撹拌した混合物に、窒素雰囲気下で25〜60℃で添加することによって実施することができる。50〜75℃で1〜6時間加熱して、生成物への転化をモニターし、生成物を方法Aについて記載したようにして単離する。この方法は、メルカプトエタノールおよびグリシジルネオデカノエートからC19C(=O)OCHCH(OH)CHSCHCHOHを製造するために使用することができる。
【0098】
潜在メルカプタンを製造するための遊離メルカプタンとアルデヒドとの反応は、アルデヒドを、メルカプタン、酸触媒、および共沸溶媒の撹拌した溶液に窒素雰囲気下で添加し、反応水を除去するために、典型的に65〜120℃まで加熱、還流することによって実施することができる。反応の完結は、理論量の水が集められた後に達成される。代替的に、BF−エーテル化合物を、メルカプタン、アルデヒド、およびエーテルの撹拌した溶液に、還流条件下で滴下により添加し、1〜6時間還流させて、生成物への転化をガスクロマトグラフィーによってモニターする。生成物を方法Aのようにして単離することができる。
【0099】
潜在メルカプタンの有効な量は、樹脂100部あたり0.05〜2部(0.05〜2phr)である。この範囲内で、0.05phrより多い、または0.4phrより多い量が好ましく、2.0phr未満、または1.0phr未満の量が好ましい。
【0100】
潜在メルカプタンおよびベータ−ジケトンとの組み合わせにおいて相乗効果を提供する有効なジヒドロピリジンは式(2)を有するものである:
【0101】
【化38】

【0102】
式中、各R19は独立して、C〜C36アルキル基、好ましくはメチルまたはエチル基である。各R18は独立して、水素、−OR21、−NHR21、または−NR2122であり、ここにおいてR21およびR22のそれぞれは独立してC〜C20アルキル基、C〜C20アルコキシ基、またはC〜C20アルケニル基である。上記R基のそれぞれは、組成物の使用に悪影響を及ぼさない基で置換されていても、置換されていなくてもよい。好ましい置換基はアルコキシ基である。好ましくは、R18は−OR21であり、ここにおいてR21はC〜Cアルキルである。各R20は独立して、水素、酸素、ハロゲン、またはC〜C36アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、またはアルアルキル基であり、ここにおいて炭素含有基は組成物の使用に悪影響を及ぼさない基で置換されていても、置換されていなくてもよい。R26は水素、C〜C20アルキル基、C〜C36アリール基、またはC〜C20アルケニル基である。上記のそれぞれは組成物の使用に悪影響を及ぼさない基で置換されていても、置換されていなくてもよい。好ましくは、R26は水素である。適当なジヒドロピリジンとしては、たとえば、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジンが挙げられる。
【0103】
代替的に、あるいはジヒドロピリジンに加えて、式(3)のポリジヒドロピリジンを用いることができる:
【化39】

【0104】
式中、AはC6−18アリール、C2−22アルケニル、またはC1−22アルキルであり、それぞれは置換されていなくてもよいし、あるいはC〜C18アルコキシ、C〜C18アルキルチオ、ヒドロキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、ハロゲン、フェニルまたはナフチルで置換されていてもよい。各R19は独立してC〜C36アルキル基であり、好ましくはメチルまたはエチル基である。aおよびbは0〜20の数であり、cは0または1であり、dは1〜6の数である。ただし、d(a+b+c)>1であり、(a+b)>0であるとする。R24およびR25はそれぞれ独立して、メチレン、フェニル、または(−C2p−Q−)2p−(式中、pは2〜18の数であり、tは0〜10の数であり、Qは酸素または硫黄である)のタイプのアルキレン基である。R26は水素、C〜C20アルキル基、C〜C36アリール基、またはC〜C20アルケニル基である。上記のそれぞれは、組成物の使用に悪影響を及ぼさない基で置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。好ましくは、R26は水素である。適当なポリジヒドロピリジンは、たとえば、チオジエチレン−ビス[5−メトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボキシレート]である。
【0105】
ジヒドロピリジンおよび/またはポリジヒドロピリジンの有効量は0.05〜1.0phrである。この範囲内で、0.05phrより多い、または0.5phrより多い量が好ましく、1.0phr未満の量が好ましい。
【0106】
ジヒドロピリジンは式4の構造を有するベータ−ジケトンとの組み合わせにおいて用いられる:
【0107】
【化40】

【0108】
式中、R27は10個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、R28はフェニル基または3個までの低級アルキル基で置換されたフェニル基であり、R29およびR30はそれぞれ独立して水素、C〜C18アルキル基、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステルアルキルまたはアルコキシカルボニルで置換されたC〜C18アルキル基である。低級アルキル基は1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、たとえば、C〜CおよびC〜Cアルキル基である。R基は30個以下の炭素原子を有するか、または20個以下の炭素原子を有してもよい。一具体例において、R29およびR30は水素である。
【0109】
適当なベータ−ジケトンとしては、たとえば、ラウロイルベンゾイルメタン、ミリストイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、オクタデカノイルベンゾイルメタン、テトラデカノイルベンゾイルメタン、ラウロイルトルイルメタン、ステアロイルトルイルメタン、ラウロイルキシロイルメタン、ステアロイルキシロイルメタン、および1以上の上記ベータ−ジケトンを含む組み合わせが挙げられる。一具体例において、安定剤組成物に用いられるベータ−ジケトンは、ステアロイルベンゾイルメタンである。
【0110】
ベータ−ジケトンの有効量は0.05〜1phrである。この範囲内で、0.05phrより多い、または0.5phrより多い量が好ましく、1.0phr未満の量も好ましい。
【0111】
適当な亜鉛化合物としては、有機亜鉛化合物および無機亜鉛化合物が挙げられる。適当な有機亜鉛化合物は、Zn−O結合を有し、たとえば亜鉛エノレート、たとえばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、アセトアセテート、ベンゾイルアセテートのエノレート、および/または亜鉛カルボキシレート、たとえば脂肪族飽和C〜C22カルボキシレート、脂肪族不飽和C〜C22カルボキシレート、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されているか、またはその鎖が少なくとも1つの酸素原子(オキサ酸)によって中断されている脂肪族C〜C22カルボキシレート、C〜C22環式および二環式カルボキシレート、または非置換であるかまたは少なくとも1つのヒドロキシル基および/または置換されたC〜C16アルキルによって置換されているフェニルカルボキシレートの亜鉛塩である。好ましい亜鉛カルボキシレートとしては、たとえば酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、ネオデカン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、3,6,9−トリオキサデカン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、p−tert−オクチルサリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、桂皮酸、グリコール酸、フタル酸、テレフタル酸、ヒドロキシフタル酸、または前記酸の少なくとも1個を含む混合物が挙げられる。適当な亜鉛カルボキシレートは、7〜25個の炭素原子を有するカルボン酸の亜鉛カルボキシレートである。さらには無機亜鉛化合物、たとえば酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、塩化亜鉛または炭酸亜鉛も用いることができる。亜鉛化合物は、たとえば0.001〜10、または0.01〜5、または0.01〜3phrの量で使用することができる。
【0112】
任意に、組成物は、追加の共安定剤、たとえば、エポキシ化合物、ポリオール、立体的ヒンダードアミン、ホスファイト、メルカプトカルボン酸エステル、ヒドロタルサイト、ゼオライト、ドーソン石など、および上記の共安定剤の1以上を含む組み合わせを包含することができる。
【0113】
適切なエポキシ化合物としては、たとえば、エポキシ化油、たとえば、大豆油、ラード油、オリーブ油、亜麻仁油、落花生油、桐油、綿実油、および上記のエポキシ化合物の1以上を含む混合物が挙げられる。他の適切なエポキシ化合物としては、たとえば、エピクロルヒドリン/ビスフェノールA樹脂、ブトキシプロピレンオキシド、グリシジルエポキシステアレート、エポキシ化α−オレフィン、エポキシ化グリシジルソイエート、およびエポキシ化ブチルトルエート;有機カルボン酸のグリシジルエステル、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびソルビトールのグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、シクロヘキサンオキシド、4−(2,3−エポキシプロポキシ)アセトフェノン、メシチルオキシドエポキシド、2−エチル−3−プロピルグリシドアミン、ならびに上記のエポキシ化合物の1以上を含む混合物が挙げられる。エポキシは、30phr以下の量で存在することができる。
【0114】
適当なポリオールとしては、たとえば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ビストリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、イノサイト(inosite)、ポリビニルアルコール、ソルビトール、マンニトール、ラクトース、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、テトラメチロールシクロヘキサノール、テトラメチロールシクロピラノール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、または上記の少なくとも1種を含む混合物が挙げられる。好ましいポリオールとしては、たとえばソルビトールおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。ポリオールはたとえば0.01〜20phr、または0.1〜10phrの量で用いることができる。
【0115】
有用な立体的に遮蔽されたアミンとしては、たとえば、モノマー、オリゴマー、またはポリマー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物が挙げられる。ピペリジン部分の窒素は、たとえば、水素、C〜C12アルキル、C〜Cアルケニル、またはC〜C12アルアルキルで置換されていてもよい。ピペリジン部分のC−4炭素は、たとえば、水素または酸素または窒素含有基で置換されていてもよい。適当な2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物としては、たとえば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ベンジル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−ベータ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルアセテート、トリメリット酸トリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)エステルなどが挙げられる。ピペリジンはたとえば0.01〜1phr、または0.1〜0.5phrの量で用いることができる。
【0116】
適切なホスファイトとしては、たとえば、トリアルキルホスファイト、たとえば、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリ(テトラデシル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、またはトリオレイルホスファイト;トリアリールホスファイト、たとえば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、またはトリス−p−ノニルフェニルホスファイト;アルキルジアリールホスファイト、たとえば、フェニルジデシルホスファイトまたは(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ジドデシルホスファイト;ジアルキルアリールホスファイト;チオホスファイト、たとえば、トリチオヘキシルホスファイト、トリチオオクチルホスファイト、トリチオラウリルホスファイト、またはトリチオベンジルホスファイト;または上記のホスファイトの任意の1以上を含む混合物が挙げられる。ホスファイトは、たとえば、0.01〜10、または0.05〜5、または0.1〜3phrの量で使用することができる。
【0117】
適当なメルカプトカルボン酸エステルとしては、たとえば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト安息香酸、またはチオ乳酸のエステルが挙げられる。メルカプトカルボン酸エステルは、たとえば0.01〜10、または0.05〜5、または0.1〜3phrの量において用いることができる。
【0118】
適当なヒドロタルサイトとしては、たとえば、式Al6MgO CO12HO、Mg4,5Al(OH)13CO 5HO、4MgO AlCO9HO、4MgO AlCO6HO、ZnO3MgO AlCO8−9HO、またはZnO3MgO AlCO5−6HOを有するものが挙げられる。適当なゼオライト(アルミノ珪酸アルカリおよびアルカリ土類金属塩)としては、たとえば、ゼオライトA、ホウソーダ石、ゼオライトY、ゼオライトX、ゼオライトP、ゼオライトMAP、ゼオライトK−F、カリウムオフレタイト、ゼオライトT等、および上記ゼオライトの少なくとも1つを含む混合物が挙げられる。ヒドロタルサイトおよび/またはゼオライトは、たとえば、0.1〜20phr、有利には少なくとも0.1phrの量において用いることができる。ヒドロタルサイトおよび/またはゼオライトは10phr未満、または5phr未満の量において用いることもできる。
【0119】
本明細書で使用されるハロゲン含有ビニルポリマーなる用語は、ハロゲンが炭素原子に直接結合しているハロゲン含有ポリマーを意味する。適当なハロゲン含有ポリマーとしては、たとえば、約14〜約75重量%、たとえば、約27重量%の塩素を有する塩素化ポリエチレン、塩素化天然および合成ゴム、塩酸ゴム、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリ(塩化ビニリデン)、塩素化ポリ(塩化ビニル)、ポリ(臭化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、他の塩化ビニルポリマー、ならびに上記のポリマーの1以上を含む混合物が挙げられる。ポリ塩化ビニル(PVC)として知られている塩化ビニルポリマーは、塩化ビニルモノマー単独または好ましくは全モノマー重量基準で少なくとも約70重量%の塩化ビニルを含むモノマーの混合物から製造される。適切なコモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニリデン、トリクロロエチレン、1−フルオロ−2−クロロエチレン、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、α−クロロアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、スチレン、ビニルケトン、たとえばビニルメチルケトンおよびビニルフェニルケトン、アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、二酢酸アリリデン、二酢酸クロロアリリデン、ならびにビニルエーテル、たとえばビニルエチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、1モルのアクロレインと1モルのエチレングリコールジビニルエーテルとの反応によって調製されたビニルエーテル、ならびに上記のコモノマーの1以上を含む混合物が挙げられる。適切なハロゲン含有ビニルコポリマーとしては、たとえば、塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル(87:13)、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸(86:13:1)、塩化ビニル−塩化ビニリデン(95:5)、塩化ビニル−フマル酸ジエチル(95:5)、塩化ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル(80:20)、および上記のコポリマーの1以上を含む混合物が挙げられる。
【0120】
硬質ハロゲン含有ビニルポリマー組成物は、可塑剤を含有しないものである。半硬質ハロゲン含有ビニルポリマー組成物には、ハロゲン含有ビニルポリマー100重量部あたり、可塑剤1〜25重量部が含有されている。軟質ハロゲン含有ビニルポリマー組成物には、ハロゲン含有ビニルポリマー100重量部あたり、可塑剤25〜100重量部が含有されている。適切な可塑剤としては、たとえば、その中に8〜12個の炭素原子を有する1〜3個のアルキル基が存在するポリ酸のアルキルエステルが挙げられる。アルキルエステルの適切なアルキル基としては、たとえば、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、および上記のアルキル基の1以上を含む混合物が挙げられる。アルキルエステルの適切なポリ酸としては、たとえば、フタル酸、トリメリット酸、安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、ホスフェートなどが挙げられる。ポリマー性可塑剤も適している。
【0121】
任意に、ハロゲン含有ポリマー組成物としては、他の一般的な添加剤、たとえば、酸化防止剤、潤滑剤、充填材、顔料、耐衝撃性改良剤、加工助剤、発泡剤、染料、紫外線吸収剤、圧縮剤(densifying agents)、殺生物剤、および上記の添加剤の1以上を含む混合物を含むことができる。上記の添加剤の適切な量は、組成物の所望の最終特性および最終用途に依存して、当業者により容易に決定される。一般的に、それぞれの添加剤は、ハロゲン含有ビニルポリマーの合計重量基準で、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の量で存在する。
【0122】
適切な酸化防止剤としては、たとえば、フェノール系酸化防止剤、たとえば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−4−ドデシルオキシフェノール、p−アミノフェノール、N−ラウリルオキシ−p−アミノフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス[o−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]スルフィド、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、3−ヒドロキシ−4−(フェニルカルボニル)フェノキシ酢酸のn−ドデシルエステル、t−ブチルフェノール、および上記の酸化防止剤の1以上を含む混合物が挙げられる。
【0123】
適切な潤滑剤としては、たとえば、パラフィンワックス、脂肪酸の塩、低分子量ポリエチレン(即ち、ポリエチレンワックス)、脂肪酸アミド(即ち、ラウラミドおよびステアルアミド)、ビスアミド(即ち、デカメチレン、ビスアミド)、脂肪酸エステル(たとえば、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸グリセリル、亜麻仁油、パーム油、オレイン酸デシル、トウモロコシ油、綿実油など)、および上記の潤滑剤の1以上を含む混合物が挙げられる。適切な充填材としては、たとえば、焼成クレー、炭酸カルシウム、タルク、および上記の充填材の1以上を含む混合物が挙げられる。適切な顔料としては、たとえば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、および上記の顔料の1以上を含む混合物が挙げられる。
【0124】
一般的に、上記した熱安定剤組成物は、1以上の亜鉛化合物、1以上の式(1)の潜在メルカプタン、1以上の式(2または3)のジヒドロピリジンまたはポリジヒドロピリジン、および少なくとも1種の式(4)のベータ−ジケトンを提供するように、熱安定性を相乗的に向上させるために有効な量で配合されたワンパート(one−part)混合物として提供される。他の任意の添加剤も、このワンパート混合物中に存在することができるので、それぞれの成分の特定量は、ワンパート混合物の全重量基準で、0.1〜99.9重量パーセント、好ましくは1.0〜99.0重量パーセントで変化することができる。熱安定性における相乗的改良をもたらすために有効な特定量は、当業者によって容易に決定される。
【0125】
ハロゲン含有ビニルポリマー組成物は、低剪断または高剪断下でブレンドすることによって調製することができる。同様に、熱安定剤組成物は、ハロゲン含有ビニルポリマー組成物中に、その成分およびポリマーを、適切なミルまたはミキサー内で混合することにより、またはポリマー全体への安定剤の均一な分布をもたらす他の方法により組み入れることができる。相溶性および物理的状態(即ち、液体または固体)に依存して、所望の性能特性を有する均一な安定化ポリマー組成物を形成するために、ブレンドの成分を加熱することが必要である場合がある。
【0126】
安定化されたハロゲン含有ビニルポリマー組成物は、物品を造形するための種々の技術、たとえば、成形、押出、および射出成形を使用することによって、種々の硬質物品、たとえば、家外壁、窓枠およびパイプを成形するために使用することができる。
【0127】
一具体例において、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジンおよび/またはポリジヒドロピリジン、およびベータ−ジケトンを含む相乗組み合わせは、向上された早期着色、すなわち、初期加工中長時間持続する白色度を提供する。別法として、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジン、およびベータ−ジケトンを含む相乗組み合わせは、向上された長期色彩安定性を、好ましくは向上された早期着色とともに提供する。
【0128】
本発明をさらに、次の実施例により説明する。ここにおいて、熱安定性試験のためのPVC組成物を、高剪断下で、100重量部のPVC樹脂、顔料(0.2phr)、離型剤(0.5〜2phr)、共安定剤(0.01〜2phrのホスファイト)、および潤滑剤(0.2〜2.0phr)を、表に示す安定剤組成物と一緒に混合することによって調製した。次いで、混合した組成物を、二本ロールミル内で390°F(199℃)で加熱し、サンプルを表示した時間間隔で取り出し、チップに形成した。それぞれのチップの色変化(dEによって反映される)および白色度(WI)を、Hunter Labs(L,a,b)比色計を使用して測定した。
【0129】
実施例1〜4は、ブラベンダーミキサー中で混合された、オクタン酸亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジンおよびステアロイルベンゾイルメタンの組み合わせを用いて得られる相乗作用を示す。Theicはトリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレートである。
【0130】
【表3】

【0131】
実施例2において、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジンおよびステアロイルベンゾイルメタンを、組み合わせられた「ワックスパック」の形態において添加した。実施例3および4において、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジンおよびステアロイルベンゾイルメタンを別々に添加した。実施例2〜4は、ダイナミックミルにおいて混合された、オクタン酸亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロ3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロ、およびステアロイルベンゾイルメタンの組み合わせを用いて得られる相乗効果を示す。
【0132】
表1は、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジン、およびベータ−ジケトンの4種の組み合わせは、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、およびジヒドロピリジンの3種の組み合わせ(実施例1)または亜鉛化合物、潜在メルカプタン、および多量のベータ−ジケトンの3種の組み合わせ(実施例2)と比較した場合に、向上された早期変色(実施例3)を示すことを示す。ホスファイト安定剤を4種の安定剤組成物に添加すると早期変色はあまり改善されなかった(実施例4)。従って、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジン、およびベータ−ジケトンの相乗組み合わせの結果、潜在メルカプタンおよびベータ−ジケトンの2種の組み合わせよりも低い安定剤量で早期変色が改善される。
【0133】
実施例5〜8は、ブラベンダーミキサー中で混合された、オクタン酸亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、およびステアロイルベンゾイルメタンの組み合わせを用いて得られる相乗効果を示す。
【0134】
【表4】

【0135】
表2は、同量の添加された安定剤で、亜鉛化合物、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジン、およびベータ−ジケトンの4種の組み合わせは、亜鉛化合物、潜在メルカプタンおよびジヒドロピリジンの3種の組み合わせ(実施例5)または亜鉛化合物、潜在メルカプタンおよび多量のベータ−ジケトンの組み合わせ(実施例6)と比較して向上された初期白色度を示す(実施例7)ことを示す。実施例8において示すように、潜在メルカプタン、ジヒドロピリジンおよび/またはベータ−ジケトンとの3種および4種の組み合わせは、潜在メルカプタンのみとの組成物と比較して、著しく向上された初期着色を示す。
【0136】
実施例9〜12は、様々な濃度のジヒドロピリジンおよびベータ−ジケトンでブラベンダーミキサー中において混合された、オクタン酸亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、およびステアロイルベンゾイルメタンの組み合わせを用いて得られる相乗効果を示す。
【0137】
【表5】

【0138】
表3において示すように、同じ合計量の添加された安定剤で、ジヒドロピリジンと比較して過剰のベータ−ジケトンでは、7分以上の安定化における改善が得られ(実施例例9〜11を比較)、より早い時点で同じ色である。実施例9と12を比較すると、ベータジケトンおよびジヒドロピリジンの量を二倍にすると、1〜6分で同じような色をもたらし、7分で幾分改善される。
【0139】
実施例13〜15は、ブラベンダーミキサー中において混合された、塩化亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、およびステアロイルベンゾイルメタンの組み合わせを用いて得られる相乗効果を示す。
【0140】
【表6】

【0141】
表4に示すように、塩化亜鉛、2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレート、3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン、およびステアロイルベンゾイルメタンの4種の組み合わせは、潜在メルカプタンとDHPまたはベータ−ジケトンいずれか単独と比較すると、向上された安定化を示した。観察される安定化効果は、塩化亜鉛またはオクタン酸亜鉛を用いた場合と同様である。
【0142】
上記データは潜在メルカプタンおよび亜鉛化合物と組み合わせた場合に、ジヒドロピリジンおよびベータ−ジケトンの相乗性組み合わせはいずれかの化合物それ自身よりも改善された早期色彩保持を示すことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛化合物、
潜在メルカプタン
(ここで該潜在メルカプタンは式(1)を有するものである:
【化1】

式中、a=0または1であり、m=0または1であり、n=0または1であり、y=1〜4であり、但し、y=1である場合、z=1〜4であり、yが1よりも大きい場合、z=1である;
は、一価、二価、三価、または四価の、C1−400アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルアルキル、アルケニルアリール、アルアルケニル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アルコキシ(ヒドロキシアルキル)、アルコキシ(アシルオキシアルキル)、アルコキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アシルオキシアルキル、アシルオキシ(ヒドロキシアルキル)、アシルオキシアルコキシアルキル、アシルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、ベンゾイルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルキレンビス−(アシルオキシアルキル)、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキレニル、ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、メルカプトアルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトアルコキシカルボニルアルキル、メルカプトアルコキシカルボニルアルケニル、アルコキシカルボニル(アミド)アルキル、アルキルカルボニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシアルキル、ヒドロキシアリール、メルカプトアリールまたはカルボキシアリール基であり;
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−OH、−SH、アシル、C1−52アルキル、アルケニル、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアリール、アルコキシアリール、アルコキシヒドロキシアリール、またはメルカプトアリール基であり;
Xは、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルカリール、ヒドロキシアリール、ジヒドロキシアリール、シクロアルキルアリール、アリールシクロアルキル、またはヘテロ原子であり、
およびRは、aが1であり、mが1であるとき窒素としてのXと共に複素環式部分を形成することができ、
、RおよびRの1個は、a=1およびm=0である場合、RおよびXと一緒になって、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子としてのXと共に複素環式部分を形成することができる。
但し、Xがアルアルカリールである場合、zは1または2であり、RおよびRは−OHであり、a=1およびm=1である、そして更にRが−OHまたは−SHである場合、z=1である。);
ジヒドロピリジン、ポリジヒドロピリジン、またはその混合物
(ここにおいて、該ジヒドロピリジンは式(2)を有するものであり:
【化2】

式中、各R19は独立して、C〜C36アルキル基であり、各R18は独立して水素、−OR21、−NHR21、または−NR2122であり、ここにおいて、各R21およびR22は独立して置換または非置換C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニル基であり、各R20は独立して水素、酸素、ハロゲン、または置換または非置換C〜C36アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、またはアルアルキル基であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリール、またはC〜C36アルカリール基である。
ここにおいて、ポリジヒドロピリジンは式(3)を有するものであり:
【化3】

式中、AはC6−18アリールまたはC1−22アルキル基であり、これらはC〜C18アルコキシ、C〜C18アルキルチオ、ヒドロキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、ハロゲン、フェニルまたはナフチル基で置換されているか、または非置換である。R19は独立してC〜C36アルキル基であり、aおよびbは0〜20の数であり、cは0または1であり、dは1〜6の数である。ただし、d(a+b+c)>1であり、(a+b)>0とする。R24およびR25はそれぞれ独立してメチレン、フェニル、または(−C2p−Q−)2p−タイプのアルキレン基(式中、pは2〜18の数であり、tは0〜10の数であり、Qは酸素または硫黄である)であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリールまたはC〜C36アルカリール基である。);
ならびに
ベータ−ジケトン
(ここにおいて、ベータ−ジケトンは式(4)を有するものである:
【化4】

式中、R27は10個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、R28はフェニル基または3個までの低級アルキル基で置換されたフェニル基であり、R29およびR30はそれぞれ独立して水素、C〜C18アルキル基、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステルアルキルまたはアルコキシカルボニルで置換されたC〜C18アルキル基である。)
を含む安定剤組成物。
【請求項2】
ベータ−ジケトンが、ラウロイルベンゾイルメタン、ミリストイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、オクタデカノイルベンゾイルメタン、テトラデカノイルベンゾイルメタン、ラウロイルトルイルメタン、ステアロイルトルイルメタン、ラウロイルキシロイルメタン、ステアロイルキシロイルメタン、または1以上の上記ベータ−ジケトンを含む組み合わせである請求項1記載の安定剤組成物。
【請求項3】
潜在メルカプタンが、C4−16アルキルアルコールの2−S−(テトラヒドロピラニル)チオグリコール酸エステルまたはC4−16アルキルアルコールの2−S−(ジヒドロフラニル)チオグリコール酸エステルである請求項1または2記載の安定剤組成物。
【請求項4】
ジヒドロピリジンが3,5−ビス(エトキシカルボニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジンであり、ベータ−ジケトンがステアロイルベンゾイルメタンであり、潜在メルカプタンが2−5−テトラヒドロピラナール−2−エチルヘキシルチオグリコレートである請求項1、2、または3記載の安定剤組成物。
【請求項5】
亜鉛化合物が、塩化亜鉛、オクタン酸亜鉛、または1以上の上記亜鉛化合物を含む組み合わせである請求項1または4記載の安定剤組成物。
【請求項6】
ベータ−ジケトンがステアロイルベンゾイルメタンである請求項1記載の安定剤組成物。
【請求項7】
ハロゲン含有ビニルポリマー組成物に、請求項1、2、3、4、または5記載の安定剤組成物を添加することを含む、組成物を安定化させる方法。
【請求項8】
ハロゲン含有ビニルポリマー、
亜鉛化合物、
潜在メルカプタン
(ここで該潜在メルカプタンは式(1)を有するものである:
【化5】

式中、a=0または1であり、m=0または1であり、n=0または1であり、y=1〜4であり、但し、y=1である場合、z=1〜4であり、yが1よりも大きい場合、z=1である;
は、一価、二価、三価、または四価の、C1−400アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルアルキル、アルケニルアリール、アルアルケニル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、アルコキシ(ヒドロキシアルキル)、アルコキシ(アシルオキシアルキル)、アルコキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルコキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アシルオキシアルキル、アシルオキシ(ヒドロキシアルキル)、アシルオキシアルコキシアルキル、アシルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、ベンゾイルオキシ(ポリアルコキシ)アルキル、アルキレンビス−(アシルオキシアルキル)、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルキレニル、ヒドロキシアルコキシカルボニルアルキル、ヒドロキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、メルカプトアルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトアルコキシカルボニルアルキル、メルカプトアルコキシカルボニルアルケニル、アルコキシカルボニル(アミド)アルキル、アルキルカルボニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシ(ポリアルコキシ)カルボニルアルキル、テトラヒドロピラニルオキシアルキル、ヒドロキシアリール、メルカプトアリールまたはカルボキシアリール基であり;
、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、−H、−OH、−SH、アシル、C1−52アルキル、アルケニル、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアリール、アルコキシアリール、アルコキシヒドロキシアリール、またはメルカプトアリール基であり;
Xは、アリール、ハロアリール、アルカリール、アルアルカリール、ヒドロキシアリール、ジヒドロキシアリール、シクロアルキルアリール、アリールシクロアルキル、またはヘテロ原子であり、
およびRは、aが1であり、mが1であるとき窒素としてのXと共に複素環式部分を形成することができ、
、R、およびRの1個は、a=1およびm=0である場合、RおよびXと一緒になって、酸素および硫黄からなる群から選択されたヘテロ原子としてのXと共に複素環式部分を形成することができる。
但し、Xがアルアルカリールである場合、zは1または2であり、RおよびRは−OHであり、a=1およびm=1である、そして更にRが−OHまたは−SHである場合、z=1である。);
ジヒドロピリジン、ポリジヒドロピリジン、またはその混合物
(ここにおいて、該ジヒドロピリジンは式(2)を有するものであり:
【化6】

式中、各R19は独立して、C〜C36アルキル基であり、各R18は独立して水素、−OR21、−NHR21、または−NR2122であり、ここにおいて、各R21およびR22は独立して置換または非置換C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニル基であり、各R20は独立して水素、酸素、ハロゲン、または置換または非置換C〜C36アルキル、アルケニル、アリール、アルカリール、またはアルアルキル基であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリール、またはC〜C36アルカリール基である。
ここにおいて、ポリジヒドロピリジンは式(3)を有するものであり:
【化7】

式中、AはC6−18アリールまたはC1−22アルキル基であり、これらはC〜C18アルコキシ、C〜C18アルキルチオ、ヒドロキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、ハロゲン、フェニルまたはナフチル基で置換されているか、または非置換である。R19は独立してC〜C36アルキル基であり、aおよびbは0〜20の数であり、cは0または1であり、dは1〜6の数である。ただし、d(a+b+c)>1であり、(a+b)>0とする。R24およびR25はそれぞれ独立してメチレン、フェニル、または(−C2p−Q−)2p−タイプのアルキレン基(式中、pは2〜18の数であり、tは0〜10の数であり、Qは酸素または硫黄である)であり、R26は水素、置換または非置換C〜C20アルキル、C〜C36アリールまたはC〜C36アルカリール基である);
ならびに
ベータ−ジケトン
(ここにおいて、ベータ−ジケトンは式(4)を有するものである:
【化8】

式中、R27は10個以上の炭素原子を有するアルキル基であり、R28はフェニル基または3個までの低級アルキル基で置換されたフェニル基であり、R29およびR30はそれぞれ独立して水素、C〜C18アルキル基、あるいはハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、エステルアルキルまたはアルコキシカルボニルで置換されたC〜C18アルキル基である)
を含むポリマー組成物。
【請求項9】
0.001〜10phrの亜鉛化合物、0.05〜2.0phrの潜在メルカプタン、0.05〜1.0phrのジヒドロピリジン、および0.05〜1.0phrのベータ−ジケトンを含む請求項7または8記載の安定化されたポリマー組成物。
【請求項10】
請求項8または9記載の安定化されたポリマー組成物を含む物品。

【公開番号】特開2006−45563(P2006−45563A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−220519(P2005−220519)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】