ハンタウイルス感染の診断のための方法および試薬
ハンタウイルス感染の検出のための新規な方法および免疫診断試験キットが開示される。この方法およびキットは、ハンターン(HTNV)、プーマラ(PUUV)、ソウル(SEOV)、ドブラバ(DOBV)、シンノンブル(SNV)およびアンデス(ANDV)を含む少なくとも6つの異なるハンタウイルス血清型由来の組換えN抗原および/または組換えG1抗原の組み合わせを使用する。これらおよび他のハンタウイルスタイプ由来のさらなるハンタウイルス抗原もまた存在し得る。この方法によって、極めて正確な結果が得られ、かつ感染の検出が可能になり、その結果処置を与えることおよび死亡を回避することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、仮特許出願第60/581,027号(2004年6月18日出願)の利益を主張し、この仮特許出願は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、NIH助成金U01 AIO54779の下、National Institute of Allergy and Diseasesからの支援によって行われた。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【0003】
(技術分野)
本発明は、一般に、ハンタウイルスに関する。詳細には、本発明は、ハンタウイルス感染の診断のための組成物における使用のための、免疫原性ヌクレオカプシドおよび糖タンパク質ポリペプチドを含む、多数のハンタウイルス血清型由来の免疫原性試薬に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
ハンタウイルス(ブンヤウイルス科:ハンタウイルス属(Bunyaviridae:Hantavirus))は、脂質エンベロープがある、マイナス−センスRNAウイルスである。ウイルスゲノムのRNAは三部からなり、これは、それぞれ小、中および大のゲノムフラグメントについてS、MおよびLと一般に命名された3つのフラグメントからなる。このMセグメントは、G1およびG2と名付けられる、2つのエンベロープ糖タンパク質を形成するようにプロセシングされる前駆体タンパク質をコードする。このSセグメントは、ウイルスの繊維状のらせんヌクレオカプシドを形成し、体液性の応答を誘発する、Nと名付けられたヌクレオカプシドタンパク質をコードする。ゲノムのLセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)をコードする。20を上回る別個のハンタウイルスが、世界中の特定のげっ歯類または食虫類の宿主に関連して見出される。ヒトへの伝播の方式、天然の保有宿主およびヒト感染の臨床的特徴は概説されている(例えば、非特許文献1)を参照のこと)。
【0005】
ハンタウイルス肺症候群(HPS)はまた、ハンタウイルス心肺症候群(HCPS)としても公知であり、死亡率50%におよぶ急性の熱性疾患である。患者は非特異的な症状を示し、劇症型の肺水腫および心血管虚脱に急激に進行する。北米におけるHPSの主な因子は、シンノンブルウイルス(SNV;フォーコーナーズウイルス(Four Corners virus)およびムエルトキャニオンウイルス(Muerto Canyon virus)としても知られる)である(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。ニューヨークウイルス(NYV)、ブラッククリークカナルウイルス(BCCV)およびバイユウウイルス(BAYV)を含む、少なくとも3つの他のハンタウイルスが、北米におけるHPSに関連している。
【0006】
世界中で、腎症状を伴う出血熱(HFRS)を生じるユーラシアのハンタウイルスによって、病気のより大きい犠牲が発生している。HFRS関連のウイルスとしては、ハンターンウイルス(HTNV)、プーマラウイルス(PUUV)、ソウルウイルス(SEOV)、およびドブラバ−ベルグレード(Dobrava−Belgrade)ウイルス(DOBV)が挙げられる。(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)が挙げられる。HFRSの臨床的な徴候は一般に、HTNV感染およびDOBV感染について最も重篤であるが、一方、PUUV感染は、スカンジナビア、フィンランド、西ロシアおよび中央ヨーロッパで発生する、HFRSの軽度の形態である流行性腎症(nephropathia epidemica)(NE)に関連する。HFRSの最も重篤な形態では20%におよぶ死亡率が報告されている。
【0007】
HFRS関連のハンタウイルスのなかでも、HTNV、SEOVおよびDOBVは抗原的に類似している。HPS関連ウイルスはまた、お互いに密接に関連しており、PUUVと交差反応する。抗原の交差反応性は、ウイルスのNタンパク質の中で最も顕著である。組換え抗原診断アッセイでは、ウイルスN抗原は、ウイルス糖タンパク質よりも優性である。N抗原に対する抗体は、感染の経過の早期に生じて、回復期には普遍的に検出可能である。急性のSNV感染を有する全ての人が、臨床症状の発現によってIgMクラスのSNVのN抗原に対して検出可能な抗体を有し、そしてほぼ全てがN抗原およびG1抗原に対するIgG抗体を有する(非特許文献12)。SNVのG1抗体は、他のハンタウイルスのG1抗原とは反応性ではない(非特許文献13、非特許文献14)。
【0008】
ハンタウイルスは、ウイルス汚染されたげっ歯類の唾液、尿および糞便のエアロゾルの吸入を介してヒトに伝播する。研究者は、感染したげっ歯類のいる部屋に入るだけでハンタウイルス感染に罹患し得、このことはハンタウイルスが空気を通じて伝播するという有力な見解を強力に支持する。この観察はまた、屋内の曝露が極めて一般的であることを示す近年の疫学的な検討によって支持される。ヒトからヒトへの伝播は、アルゼンチンのアンデスウイルス(ANDV)について実証されており、そしてチリにおける2つの家族集団に起因する可能性が高い。このウイルスはまた、げっ歯類の咬傷後に伝播され得、そしておそらく、汚染された食物または水の摂取を通じて伝播され得る。
【0009】
ハンタウイルスの全ての種は、主に特異的なげっ歯類宿主に関連していると思われる。ハンタウイルスの3つの広範な群があり、そしてそれらは、げっ歯類の亜科であるネズミ亜科(Murinae)、ハタネズミ亜科(Arvicolinae)およびアメリカネズミ亜科(Sigmondontinae)に関連している。これらの種々の亜科におけるげっ歯類の間の系統発生的な関係は、ほとんどの部分で、各々の特定の保有宿主に関連するウイルスの系統発生的関係および抗原的関係と類似している。ハンタウイルスのこれらの群の各々は、公知のヒト病原体である1つ以上の種またはタイプを含む。種々のハンタウイルスに関する情報を表1に示す。
【0010】
【表1−1】
【0011】
【表1−2】
ハンタウイルス感染の管理には大きな進歩があったが、首尾よい管理には、疾患の死直前の段階よりも前に患者が診断される必要がある。三次的な看護の管理における進歩が生じており、ハンタウイルス感染に起因する死亡率を減少し得る。しかし、感染の進行は極めて急速であるので、これらの進歩は、診断が適時的な様式で行われ得る患者の予後にしか影響しないようである。田舎の環境に適切であって、疾患の初期段階の間に適用され得るハンタウイルス抗体の迅速な検出のための方法は、初期介入についての見通しを改善し得る。
【0012】
ハンタウイルス感染の適時的な診断のためにはいくつかのアッセイが試みられている。例えば、ハンタウイルス感染の血清学的診断のための種々の形式が、使用されており、これには、ビーズ凝集形式、実験室培養ウイルスを用いる免疫蛍光アッセイ形式および免疫沈降アッセイ形式、赤血球凝集素阻害形式、プラーク減少中和アッセイ形式およびフォーカス減少中和アッセイ形式、ならびにELISA形式が挙げられる(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。
【0013】
ストリップ・イムノブロットアッセイも、ハンタウイルス感染の効率的な診断の試みに用いられている(例えば、非特許文献12、非特許文献18、非特許文献19を参照のこと)。しかし、ハンタウイルスの多数の株を同定するための普遍的なアッセイで現在利用可能なものはない。
【非特許文献1】Mertzら,Adv.Internal Med.,第42巻,1997年,p.369〜421
【非特許文献2】Songら,Lancet,第344巻,1994年,p.1637
【非特許文献3】Khanら,J.Med.Virol,第46巻,1995年,p.281〜286
【非特許文献4】Kahnら,Am.J.Med.,第100巻,1996年,p.46〜48
【非特許文献5】Morzunovら,J.Virol,第69巻,1995年,p.1980〜1983
【非特許文献6】Rollinら,J.Med.Virol,第46巻,1995年,p.35〜39
【非特許文献7】Centers for Disease Control and Prevention,Morbid.Mortal.Weekly Rep.,第43巻,1993年,p.45〜48
【非特許文献8】Leeら、J.Infect.Dis.第137巻,1978年,p.298〜308
【非特許文献9】Leeら、J.Infect.Dis.第146巻,1982年,p.638〜644
【非特許文献10】Leeら、J.Infect.Dis.第146巻,1982年,p.645〜651
【非特許文献11】Brummer−Korvenkontioら,J.Infect.Dis.,第141巻,1980年,p.131〜134
【非特許文献12】Bharadwajら、J.Infect.Dis.第182巻,2000年,p.43〜48
【非特許文献13】Jenisonら,J.Virol.,第68巻,1994年,p.3000〜3006
【非特許文献14】Hjelleら,J.Gen.Virol.,第75巻,1994年,p.2881〜2888
【非特許文献15】Lundkvistら,Clin.Diagnos.Lab.Immunol.,第2巻,1995年,p.82〜86
【非特許文献16】Chuら,Virology,第198巻,1994年,p.196〜204
【非特許文献17】Elghら,J.Med.Virol.第45巻,1995年,p.146〜510
【非特許文献18】Hjelleら,J.Clin.Microbiol.,第35巻,1997年,p.600〜608
【非特許文献19】Yeeら,J.Wildl.Dis.,第39巻,2003年,p.271〜277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ハンタウイルス感染の正確で、効率的で、かつ迅速なアッセイの広範な利用可能性が高度に所望されており、そしてこれは、かなりの数の命を救い得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、ハンタウイルス感染を診断するための、そして存在するハンタウイルスのタイプを決定するための、単純、正確かつ効率的な方法を提供する。この方法によって、1つより多いハンタウイルス血清型由来のハンタウイルスのような、いくつかのハンタウイルスによって生じるハンタウイルス感染の、例えば、1時間未満での迅速な検出が可能になる。感染が検出されれば、その個体は死亡を防ぐために適切な時間で適切な処置を与えられ得る。この方法は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVを含む、少なくとも6つの異なるハンタウイルス血清型由来の、N抗原および/もしくはG1抗原、ならびに/またはこれらの抗原に対する抗体を利用する。このアッセイは、迅速かつ信頼の置ける診断試験を提供し、そして比較的洗練されていない実験室能力しかない施設での使用に適している。さらに、このアッセイを用いて、ハンタウイルス感染について野生のげっ歯類をスクリーニングして特定のげっ歯類集団がウイルスに感染しているか否かを確認し、それによって実験室の研究者ら、野外のクルー、および野生のげっ歯類とともに作業してそれに遭遇する他の人々における感染を予防し得る。
【0016】
組換え技術を用いて本明細書に記載の生成物を作製し、他のウイルス混入物および有害なタンパク質のような通常存在する他の分子を含まないタンパク質調製物を提供し得る。
【0017】
従って、1実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出する方法に関する。この方法は:
(a)この生物学的サンプルと少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原とを接触させる工程であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの組換え抗原が存在し、この接触させる工程は、ハンタウイルス抗体が、この生物学的サンプル中に存在する場合、このG1抗原またはN抗原の少なくとも1つと結合して、抗体/抗原複合体を形成する条件下で行われる、工程と;
(b)この抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによってこのサンプル中のハンタウイルス抗体の有無を検出する工程と、を包含する。この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は、少なくとも6つのハンタウイルス血清型、すなわち、ハンターン(HTNV)、プーマラ(PUUV)、ソウル(SEOV)、ドブラバ(DOBV)、シンノンブル(SNV)およびアンデス(ANDV)に由来する少なくとも1つの抗原が存在する限り、G1抗原およびN抗原の任意の組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は全てN抗原である。
【0018】
さらなる実施形態では、この方法は、ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットに関する。この試験キットは:
(a)少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する組換え抗原と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と、を備える。
【0019】
好ましい実施形態では、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は、全てN抗原である。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗原を検出するための方法に関する。この方法は:
(a)この生物学的サンプルと少なくとも6つの異なる抗体とを接触させる工程であって、この抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、この6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在し、この接触工程は、ハンタウイルス抗原が、この生物学的サンプル中に存在する場合、この抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる工程と;
(b)この抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによってこのサンプル中のハンタウイルス抗原の有無を検出する工程と、を包含する。
【0021】
上記の方法の特定の実施形態では、この抗体はモノクローナル抗体である。
【0022】
さらに追加の実施形態では、本発明は、ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットに関する。この試験キットは:
(a)少なくとも6つの異なる抗体であって、この抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、この6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在する抗体と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える。
【0023】
上記の免疫診断試験キットの特定の実施形態では、この抗体はモノクローナル抗体である。
【0024】
さらなる実施形態では、本発明は、少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原を含む固体支持体であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する、固体支持体に関する。この固体支持体は、ニトロセルロースのストリップであってもよい。
【0025】
特定の実施形態では、この固体支持体はさらに、少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体を含み、このような1つ以上の抗体が、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体からなる群より選択され、上記ハンタウイルス抗原および抗ヒト免疫グロブリン抗体は、この固体支持体上の別個の位置に固定されている。
【0026】
さらなる実施形態では、この固体支持体はさらに、少なくとも2つの内部コントロールを含み、このコントロールの1つは、この固体支持体を用いるイムノアッセイにおける陽性の結果について検出下限を規定し、そして他方のコントロールは、この固体支持体を用いるイムノアッセイにおける高度に陽性の結果を規定する。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明は、ハンタウイルスを検出するための免疫診断試験キットに関している。この試験キットは:
(a)上記のような固体支持体と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と、
を備える。
【0028】
さらなる実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する方法に関する。この方法は:
(a)生物学的サンプルを提供する工程と;
(b)上記のような固体支持体を提供する工程と;
(c)この生物学的サンプルとこの固体支持体とを、ハンタウイルス抗体がこの生物学的サンプル中に存在する場合にこのハンタウイルス抗体がハンタウイルス抗原の少なくとも1つと結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で、接触させる工程と;
(d)抗体/抗原複合体の存在を検出して、それによって生物学的サンプルにおけるハンタウイルス抗体の存在を検出する工程とを、包含する。
【0029】
特定の実施形態では、上記の方法は、さらに:
(e)未結合のハンタウイルス抗体を除去する工程と;
(f)上記の抗体/抗原複合体と会合し得る1つ以上の部分を提供する工程と;
(g)この1つ以上の部分の存在を検出して、それによってこの生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する。
【0030】
特定の実施形態では、上記1つ以上の部分は、検出可能に標識されたハンタウイルス抗原を含む。これらおよび他の実施形態では、上記検出可能な標識は酵素であり得る。
【0031】
さらに追加の実施形態では、本発明は、実質的にハンタウイルスを含まない、全血、血小板、血漿または血清を含む血液供給源を調製する方法に関する。この方法は:
(a)上記の方法のいずれか1つの方法によって、収集した血液サンプルから全血、血小板、血漿または血清のアリコートをスクリーニングする工程と;
(b)ハンタウイルス抗原またはハンタウイルス抗体が検出される、任意のサンプルを排除する工程と;
(c)ハンタウイルス抗原もハンタウイルス抗体も検出されないサンプルを合わせて、ハンタウイルスを実質的に含まない血液供給源を提供する工程と;
を包含する。
【0032】
任意の上記の方法では、生物学的サンプルは、ヒト血液サンプル由来であり得る。さらに、上記の任意の実施形態では、G1抗原(単数または複数)は、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み得る。G1抗原(単数または複数)は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であってもよい。
【0033】
さらに、N抗原(単数または複数)は、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでもよい。他の実施形態では、N抗原(単数または複数)は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であってもよい。
【0034】
上記G1抗原(単数または複数)は、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでもよく、そして上記N抗原(単数または複数)は、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、このG1抗原(単数または複数)は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ上記N抗原(単数または複数)は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34および配列番号36からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である。
【0035】
さらなる実施形態では、ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来するN抗原の少なくとも1つが存在する。
【0036】
さらなる実施形態では、ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が、存在する。
【0037】
本発明のこれらのそして他の実施形態は、本明細書の開示の観点から当業者に容易に想起される。
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に示さない限り、当該分野の範囲内の、ウイルス学、化学、生化学、組換えDNA技術および免疫学の従来の方法を使用する。このような技術は、文献において詳細に説明される。例えば、Fudamental Virology,第三版、第I巻および第II巻(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編);Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,現行版);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.)を参照のこと。
【0039】
前出または下記のいずれであろうと、本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0040】
本明細書全体にわたって以下のアミノ酸略号を用いる:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)
(I.定義)
本発明の記載では、以下の用語を使用し、以下に示すとおりに規定されるものとする。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形「ある、1つの(a)、(an)」および「この、その(the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含することに注意しなければならない。従って、例えば、「1つのG1ポリペプチド(a G1 polypeptide)」という言及は、2つ以上のこのようなポリペプチドの混合物などを包含する。
【0042】
「ポリペプチド(polypeptide)」および「タンパク質(protein)」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指しており、この生成物の最小の長さは限定しない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などは、この定義に包含される。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方が、この定義によって包含される。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらに、本発明の目的に関しては、「ポリペプチド(polypeptide)」とは、タンパク質が所望の活性を維持している限り、天然の配列に対して、(一般には本質的に保存的な)欠失、付加および置換のような改変を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介するような故意的な改変であってもよく、またはこのタンパク質を生成する宿主の変異もしくはPCR増幅に起因するエラーなどを介するような偶発的な改変であってもよい。
【0043】
「抗原(antigen)」という用語は、本発明での使用のための種々のハンタウイルスポリペプチドに関連して用いる場合に、天然抗原であるか、組換え抗原であるかまたは合成抗原であるかにかかわらず、ハンタウイルス抗体を認識する1つ以上のエピトープを含み、検討中のハンタウイルス株の種々の単離株のいずれかに由来する、N、G1などのポリペプチドを指す。従って、「ハンタウイルス抗原(hantavirus antigen)」は、任意のハンタウイルス血清型、株および単離株由来の抗原であって、マウス亜科、アメリカネズミ亜科およびハタネズミ亜科の任意の種々の単離株を包含するが、これらには限定されない。例えば、SNV抗原は、任意の種々のシンノンブルウイルス単離株、例えば、プロトタイプのNew Mexico SNV単離株、3H226、California単離株類、British Columbia単離株類などに由来する。同様に、SEOV抗原は、任意の種々のソウルウイルス単離株などに由来する。本発明における使用のためのさらなる抗原は、他のHPS関連ハンタウイルスおよびHFRS関連ハンタウイルスに由来し得、このウイルスとしては、限定はしないが、シンノンブルウイルス(SNV;フォーコーナーズウイルスおよびムエルトキャニオンウイルスウイルスとしても公知);アンデスウイルス(ANDV);ニューヨークウイルス(NYV);ブラッククリークカナルウイルス(BCCV);バイユウウイルス(BAYV);ハンターンウイルス(HTNV)、プーマラウイルス(PUUV)、ソウルウイルス(SEOV)およびドブラバ−ベルグレード(DOBV)ウイルスが挙げられる。これらのウイルスのゲノム配列は公知であり、そして本発明の使用のためのいくつかの抗原配列は、以下にさらに詳述される。
【0044】
検討中の抗原は、参照分子の全長アミノ酸配列を含む必要はなく、このポリペプチドが適切なハンタウイルス抗体と反応するために必要な程度に多くの分子を含むだけでよい。従って、参照分子の1つまたは少数のエピトープだけしか存在する必要はない。さらに、抗原は、全長参照分子または参照分子のフラグメントと、別のタンパク質、例えば、別のハンタウイルス抗原および/またはハンタウイルス抗原の反応性を破壊しないタンパク質との間の融合タンパク質を含んでもよい。従って、この抗原は全長配列、フラグメント、短縮された配列および部分的な配列、ならびにこの参照分子のアナログ形態、ムテイン形態および前駆形態を含んでもよいことが容易に理解される。この用語はまた、この抗原がハンタウイルス抗体と反応する能力を保持する限り、参照配列に対する欠失、付加および置換を意図する。
【0045】
これに関して、特定のハンタウイルス株内で、天然のバリエーションが、単離株の間で出現する。従って、この用語は、このようなバリエーションを包含することが意図され、そして特に、アミノ酸組成において、参照抗原から、約20パーセント以下まで、さらに好ましくは約10〜15パーセント以下まで、そして最も好ましくは、約5パーセント以下まで変化する抗原を、包含することが意図される。参照分子と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、この抗原の抗体結合能力に実質的に影響しないわずかなアミノ酸置換を保有するタンパク質は、従って、参照ポリペプチドの定義の範囲内である。
【0046】
ハンタウイルス血清型、株または単離株「〜に由来する、由来の(derived from)」抗原とは、参照のハンタウイルスゲノムによってコードされる抗原の配列を含む抗原を意図する。代表的には、抗原は、1つ以上のエピトープを含み、そして一般には、下記に規定されるような参照ポリペプチドに対して実質的に相同なアミノ酸配列を有する。従って、「〜に由来する、由来の」という用語は、分子のもとの供給源を特定するために用いられるが、この分子が作製される方法を限定することは意味せず、例えば、この方法は、化学的合成または組換え手段によるものであってもよい。
【0047】
「アナログ(analog)」および「ムテイン(mutein)」という用語は、参照分子の生物学的に活性な誘導体であって、本明細書に記載されるアッセイにおける免疫反応性のような所望の活性を保持する誘導体を指す。一般には、「アナログ」という用語は、改変が免疫原性活性を破壊せず、以下で規定されるような参照分子に対して、「実質的に相同(substantially homologous)」である限り、天然の分子に対して、1つ以上のアミノ酸付加、(一般には本質的に保存的な)置換および/または欠失を有する、天然のポリペプチド配列および構造を有する化合物をいう。種々の単離株の間で多数の保存された領域および可変領域が公知であり、そして一般には、これらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、この2つの配列が整列される場合、高い程度の配列相同性、例えば、50%を超える、一般には60%〜70%を超えるアミノ酸配列相同性を有する。「ムテイン(mutein)」という用語は、1つ以上のペプチド模倣物(「ペプトイド(peptoids)」)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、天然の分子と少なくとも同じ免疫反応性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインを作製するための方法は、当該分野で公知であり、そして下にさらに記載される。
【0048】
「アナログ」および「ムテイン」という用語はまた、参照分子に対して行われる、目的のある変異を包含する。特に好ましいアナログは、本質的に保存的である置換、すなわち、それらの側鎖に関するアミノ酸のファミリー内で生じるような置換を含む。詳細には、アミノ酸は一般に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは時には、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、イソロイシンもしくはバリンでのロイシン、グルタミン酸でのアスパラギン酸、セリンでのトレオニンの単独の置換、または構造的に関連するアミノ酸でのアミノ酸の類似の保存的置換は、生物学的活性に大きな効果を有さないことが合理的に予測可能である。例えば、目的の抗原は、この分子の所望の機能が完全なままである限り、最大約5〜10個の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換、または最大約15〜25、50もしくは75の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換さえ、または5〜75の任意の整数の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換を含んでもよい。当業者は、当該分野で周知の、Hopp/WoodsプロットおよびKyte−Doolittleプロットを参照することによって、変化に耐容し得る目的の分子の領域を容易に決定し得る。
【0049】
「フラグメント(fragment)」とは、インタクトな全長ポリペプチド配列および構造の一部のみからなる抗原を意図する。フラグメントは、天然のポリペプチドのC末端欠失、N末端欠失および/または内部欠失を含んでもよい。本発明のアッセイにおける使用のための代表的なG1フラグメントは、本明細書の図7〜図12に示される。「免疫原性フラグメント(immunogenic fragment)」とは、1つ以上のエピトープを含み、それによって本明細書に記載の免疫学的応答のうちの1つ以上を誘発するハンタウイルスポリペプチドのフラグメントを意味する。特定のハンタウイルスタンパク質の「免疫原性フラグメント(immunogenic fragment)」は一般に、検討中のフラグメントが本明細書で規定されるような免疫学的応答を誘発する能力を保持する場合、エピトープを規定する全長分子の少なくとも約5〜10個の連続するアミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続するアミノ酸残基、そして最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個以上の連続するアミノ酸残基または5アミノ酸と全長配列との間の任意の整数の連続するアミノ酸残基を含む。
【0050】
「N抗原」とは、検討中のハンタウイルスのヌクレオカプシドタンパク質由来である、上で規定されたような抗原を意味する。種々のハンタウイルスNタンパク質についてのDNAおよび対応するアミノ酸配列が公知である。例えば、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来する代表的なN抗原のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ図13〜図18に示される。さらに、多数の単離株のNタンパク質をコードするSセグメントは、GenBankに寄託されており、そして下にさらに記載される。さらなる配列が、1995年1月5日公開の国際公開番号WO95/00648に記載される。Hjelleら、J.Virol(1994)68:592〜596は、SNV、プロスペクトヒルウイルス(PHV)およびPUUVに由来するN抗原のアミノ酸配列を記載する。
【0051】
上記に例示されるとおり、本発明のアッセイにおける使用のためのN抗原とは、検討中の特定のハンタウイルス感染を有する個体由来の生物学的サンプルに存在する抗体との反応性が維持されるように、全長タンパク質または実質的に全長のタンパク質、ならびに1つ以上のエピトープを含むこのタンパク質のフラグメント、融合体または変異体を包含する。例えば、本明細書に記載されるアッセイにおける使用のためのN抗原は、全長SNV N配列と別のハンタウイルス抗原のような別のタンパク質との間の組換え融合体であってもよく、そして/または全長SNV N配列と組換え発現において補助するタンパク質(例えば、50kDaのE.coliマルトース結合タンパク質、またはヒトもしくは酵母のスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)タンパク質)との融合体であってもよい。本発明のアッセイにおいて有用なNタンパク質の代表的な免疫反応性フラグメントは、SNV NM 10に対して番号付けして、Nポリペプチドの17位〜59位に見出されるアミノ酸の配列に対応している43個のアミノ酸のアミノ末端近位セグメントであり、かつアミノ酸配列QLVTARQKLKDAERAVELDPDDVNKSTLQSRRAAVSALETKLG(配列番号39)を有する。このフラグメントは、Nタンパク質のイムノドミナントのエピトープを含み、そしてこのエピトープに対する抗体は、PUUV、SEOVおよびHTNVに由来するNタンパク質と交差反応性である(例えば、Yamadaら、J.Virol.(1995)69:1939〜1943;および1995年3月2日公開の国際公開番号WO 95/06250を参照のこと)。従って、このフラグメント、およびこの配列を含むより大きいフラグメントは、本明細書におけるアッセイにおいて用途を見出す。Nタンパク質のエピトープの説明については、また、Lundkvistら、Clin.Diag.Lab.Immunol.(1995)2:82〜86;およびGottら、Virus Res.(1991)19:1〜16を参照のこと。
【0052】
「G1抗原」とは、上で規定されるような抗原であって、検討中のハンタウイルスの、G1として公知のエンベロープ糖タンパク質に由来する抗原を意味する。種々のハンタウイルスG1タンパク質についてのDNAおよび対応するアミノ酸配列が公知である。代表的なG1領域は本明細書の図1〜図6に示される。さらに、多数の単離株由来のG1タンパク質をコードするMセグメントが、GenBankに寄託されており、そして下にさらに記載される。上記の説明どおり、本発明のアッセイにおける使用のためのG1抗原としては、全長タンパク質または実質的に全長のタンパク質、およびこのタンパク質のフラグメント、融合体または変異体であって、検討中の特定のハンタウイルス感染を有する個体由来の生物学的サンプルに存在する抗体との反応性が保持されるような1つ以上のエピトープを含むものが挙げられる。本明細書に記載のアッセイで用いられるG1抗原としては、抗原の組換え体発現を容易にするための、検討中のG1抗原と図19に示されるヒトスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)配列との間の融合体が挙げられる。多数のハンタウイルス血清型由来のG1タンパク質の多数のさらなる代表的な免疫反応性フラグメントを本明細書の図7〜図12に示す。G1タンパク質の別の代表的な免疫反応性フラグメントは、SNV NM H10に対して番号付けして、アミノ酸59と89との間のセグメントにマッピングされた31個のアミノ酸ペプチドであり、そしてアミノ酸配列LKIESSCNFDLHVPATTTQKYNQVDWTKKSS(配列番号40)を有する。G1タンパク質のこの部分は、種々のSNV単離株由来のSNV抗体によって認識される免疫反応性の直鎖状エピトープを構成する(Jenisonら、J.Virol.(1994)68:3000〜3006)。このフラグメントは、この配列を含むより大型のフラグメントと同様に、本明細書のアッセイにおいて用途を見出す。
【0053】
ハンタウイルス抗原の「免疫原性(immunogenic)」配列とは、少なくとも1つのハンタウイルスエピトープを有するアミノ酸配列を含む分子であって、その分子が検討中のハンタウイルスに対する抗体と反応し得、適切な宿主において抗体の産生を刺激し得るような分子を意味する。「エピトープ(epitope)」とは、抗原上のある部位であって、それに対して特異的なB細胞および/またはT細胞が応答して、検討中のハンタウイルスエピトープが、生物学的サンプル中に存在するハンタウイルス抗体と反応し得るようにさせ、そして抗体産生を刺激し得るようにさせる部位を意味する。この用語はまた、「抗原性決定基(antigenic determinant)」または「抗原性決定部位(antigenic determinant site)」と交換可能に用いられる。エピトープは、このエピトープに対して固有の空間的構成で3つ以上のアミノ酸を含んでもよい。一般には、エピトープは、少なくとも5つのこのようなアミノ酸からなり、そしてさらに一般的には少なくとも8〜10個またはそれ以上のこのようなアミノ酸からなる。
【0054】
エピトープを含む所定のポリペプチドの領域は、当該分野で周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、直鎖状のエピトープは、例えば、タンパク質分子の一部に対応する多数のペプチドを、固体支持体上で同時に合成すること、およびこのペプチドがこの支持体に結合したままでこのペプチドを抗体と反応させることによって決定され得る。このような技術は当該分野で公知であり、そして例えば、その全体が全て本明細書に参考として援用される、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178〜182;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715に記載される。同様に、立体配置的なエピトープは、例えば、x線結晶学および2次元核磁気共鳴などによりアミノ酸の空間的立体構成を決定することによって容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols、前出を参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手可能であるOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて算出されるような、標準的な抗原性プロットおよび疎水性親水性指標プロットを用いて同定され得る。このコンピュータープログラムは、抗原性プロフィールを決定するためにはHopp/Woods法、Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824〜3828を、そして疎水性親水性指標プロットのためにはKyte−Doolittle技術、Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132を使用する。
【0055】
「免疫原性組成物(immunogenic composition)」とは、少なくとも1つの免疫原性ポリペプチド(例えば、Nおよび/またはG1のハンタウイルス抗原)を含む組成物である。
【0056】
「実質的に精製された(substantially purified)」とは一般に、物質(化合物、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド組成物)の単離であって、この物質が存在するサンプルのほとんどの割合がこの物質からなるような、物質の単離をいう。代表的には、サンプル中で実質的に精製された成分は、そのサンプルのうち50%、好ましくは80〜85%、さらに好ましくは90〜95%を含む。目的のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを精製するための技術は、当該分野で周知であり、そしてこれには、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび密度による沈降が挙げられる。
【0057】
「単離された(isolated)」とは、ポリペプチドについて言及する場合、この示された分子が、その分子が天然に見出される生物体全体から分離されて別個であるか、または同じタイプの他の生物学的な高分子の実質的な非存在下で存在するポリペプチドを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された(isolated)」という用語は、それが天然に通常関連している配列を全体にまたは部分的に欠く核酸分子;または天然に存在するとおりの配列であるがそれに会合している異種配列を有する配列;または染色体から解離されている分子である。
【0058】
「等価な抗原性決定基(equivalent antigenic determinant)」とは、抗原性決定基が配列の変化に起因して必ずしも同一である必要はないが、検討中のハンタウイルス配列中の等価な位置に存在する、ハンタウイルスの異なる単離株または株に由来する抗原性決定基を意味する。一般には等価な抗原性決定基のアミノ酸配列は、2つの配列を整列させた場合、高い程度の配列相同性、例えば30%より大きい、通常は40%より大きい、例えば、60%より大きい、そしてさらに80〜90%より大きい相同性である、アミノ酸配列相同性を有する。
【0059】
「相同性(homology)」とは、2つのポリヌクレオチド部分の間、または2つのポリペプチド部分の間の同一性のパーセントをいう。2つの核酸配列、または2つのポリペプチド配列は、その配列がその分子のある規定の長さにわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示す場合、お互いに対して「実質的に相同性(substantially homologous)」である。本明細書において用いる場合、実質的に相同性とはまた、特定の配列に対して完全な同一性を示す配列をも意味する。
【0060】
一般には「同一性(identity)」とは、それぞれ2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の、ヌクレオチドとヌクレオチドとの、またはアミノ酸とアミノ酸との、正確な対応をいう。同一性パーセントは、配列を整列させること、この2つの整列された配列の間のマッチの正確な数をカウントすること、この参照配列の長さで割ること、そしてこの結果に100を掛けることにより、2つの分子(参照配列およびこの参照配列に対して同一性%が未知である配列)の間の配列情報の直接比較によって決定され得る。ペプチド分析のためのSmithおよびWaterman(Advances in Appl.Math.2:482〜489,1981)の局所相同性アルゴリズムに適合する、ALIGN(Dayhoff,M.O.Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、補遺5、3:353〜358、National biomedical Research Foundation,Washington,DC)のような容易に入手可能なコンピュータープログラムが分析を補助するのに用いられ得る。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラムは、例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手可能)において利用可能なプログラムである、BESTFIT、FASTAおよびGAPであり、これもSmithおよびWatermanのアルゴリズムに依拠する。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、そして上記のWisconsin Sequence Analysis Packageに記載される初期パラメーターを用いて容易に利用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性パーセントは、6つのヌクレオチド位置の初期スコアリングテーブルおよびギャップペナルティーにより、SmithおよびWatermanの相同性アルゴリズムを用いて決定され得る。
【0061】
本発明に関連して同一性パーセントを確立する別の方法は、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokによって開発され、そしてIntelliGenetics,Inc.(Mounain View,CA)によって頒布された、University of Edinburghが著作権を有するMPSRCHパッケージのプログラムを用いることである。この一連のパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムが使用されてもよく、ここでは初期パラメーターがスコアリングテーブルに用いられる(例えば、12のギャップオープンペナルティ、1のギャップエクステンションペナルティー、および6のギャップ)。作成されたデータからの「マッチ(Match)」値は、「配列同一性(sequence identity)」を反映する。配列の間の同一性パーセントまたは類似性パーセントを算出するための他の適切なプログラムは一般に当該分野で公知であり、例えば、別のアラインメントプログラムは、初期パラメーターとともに用いられるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下の初期パラメーターを用いて用いられ得る:遺伝暗号=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;検索(sort by)=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDSトランスレーション+Swissプロテイン+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、容易に入手可能である。
【0062】
あるいは、相同な領域の間に安定な二本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、およびその後の一本鎖特異的ヌクレアーゼ(単数または複数)による消化、および消化されたフラグメントのサイズ決定によって相同性は決定され得る。実質的に相同であるDNA配列は、その特定のシステムについて規定されるとおり、例えば、ストリンジェントな条件下で、サザンハイブリダイゼーション実験において同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件を決定することは、当業者の範囲内である。例えば、Sambrookら、前出;DNA Cloning、前出;Nucleic Acid Hybridization、前出を参照のこと。
【0063】
「組換え体(recombinant)」とは本明細書において用いる場合、ゲノム起源、cDNA起源、ウイルス起源、半合成起源または合成起源のポリヌクレオチドであって、その起源または操作のおかげで、天然において会合するポリヌクレオチドの全てまたは一部と会合しないポリヌクレオチドを意味する核酸分子をいう。「組換え体」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して用いられる場合、組換えポリヌクレオチドの発現によって生成されるポリペプチドを意味する。一般には、目的の遺伝子はクローニングされ、次いで下にさらに記載されるとおり、形質転換された生物体において発現される。宿主生物体は、発現条件下で、外来遺伝子を発現してタンパク質を生成する。
【0064】
「抗体(antibody)」とは、抗原に存在する目的のエピトープに特異的に結合する分子を意図する。「特異的に結合する(specifically binds)」とは、抗体と、例えば、この抗体が反応させられる試験基質との間で生じ得る非特異的な結合とは対照的に、抗体がエピトープを認識して、「鍵と鍵穴(lock and key)」のタイプの相互作用でこのエピトープと相互作用して、抗原と抗体との間の複合体を形成することを意味する。従って、抗ハンタウイルスG1抗体とは、ハンタウイルスG1タンパク質のエピトープに特異的に結合する分子である。「抗体(antibody)」という用語は、本明細書において用いる場合、ポリクローナル調製物およびモノクローナル調製物の両方から得られる抗体を包含し、そして、以下を包含する:ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature(1991)349:293〜299;および米国特許第4,816,567号);F(ab’)2フラグメントおよびF(ab)フラグメント;Fv分子(非共有結合的なヘテロ二量体、例えば、Inbarら、Proc Natl Acad Sci USA(1972)69:2659〜2662;およびEhrlichら、Biochem(1980)19:4091〜4096を参照のこと);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc Natl Acad Sci USA(1988)85:5879〜5883を参照のこと);二量体および三量体の抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minibodies)(例えば、Packら、Biochem(1992)31:1579〜1584;Cumberら、J.Immunology(1992)149B:120〜126を参照のこと);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature(1988)332:323〜327;Verhoeyanら、Science(1988)239:1534〜1536;および1994年9月21日公開、英国特許公開第GB2,276,169号を参照のこと);ならびにこのような分子から得られる任意の機能的フラグメントであって、親の抗体分子の免疫学的結合特性を保持するフラグメント。
【0065】
本明細書において用いる場合、「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」という用語は、相同な抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、抗体の種または供給源に関して限定されず、抗体が作製される方式によって限定されることもないものとする。この用語は、免疫グロブリン全体、ならびにFab、F(ab’)2、Fvおよび他のフラグメントのようなフラグメント、ならびに親のモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示すキメラのおよびヒト化した相同抗体集団を包含する。
【0066】
本明細書において用いる場合、「固体支持体(solid support)」とは、固体表面であって、そこに高分子、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチドが結合され得る固体表面をいい、例えば、磁気ビーズ、ラテックスビーズ、マイクロタイタープレートウェル、ガラスプレート、ナイロン、アガロース、ポリアクリルアミド、シリカ粒子、ニトロセルロース膜などをいう。
【0067】
「免疫学的に反応性(immunologically reactive)」とは、検討中の抗原が、ハンタウイルスに感染した個体由来の生物学的サンプル中に存在する抗ハンタウイルス抗体と特異的に反応することを意味する。
【0068】
「免疫複合体(immune complex)」とは、抗体が抗原上のエピトープに対して結合する場合に形成される組み合わせを意図する。
【0069】
本明細書において用いる場合、「生物学的サンプル(biological sample)」とは、限定はしないが、血液、血漿、血清、糞便、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ液、脳脊髄液、皮膚のサンプル、皮膚の分泌物、呼吸器の分泌物、腸の分泌物および尿生殖器の管の分泌物、涙液、唾液、乳汁、血球、器官、生検のような、被験体から単離される組織または体液のサンプルをいい、そしてまた、限定はしないが、培養培地中の細胞および組織の増殖から生じる順化培地を含むインビトロの細胞培養成分のサンプル、例えば組換え細胞、および細胞成分をいう。上記で詳述されるサンプルは必ずしも、この供給源から直接得られる形態である必要はない。例えば、このサンプルは、例えば、分析の前の加熱、遠心分離などによって、使用の前に処理され得る。
【0070】
本明細書において用いる場合、「標識(label)」および「検出可能な標識(detectable label)」という用語は、限定はしないが、放射性同位体、蛍光剤、半導体ナノ結晶、化学発光剤(chemiluminescer)、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素インヒビター、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン、ストレプトアビジンまたはハプテン)などを包含する、検出可能な分子をいう。「蛍光剤(fluorescer)」という用語は、蛍光を検出可能範囲で示し得る、物質またはその一部をいう。本発明のもとで用いられ得る標識の特定の例としては、限定はしないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセイン、FITC,ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)、テキサスレッド、ルミノール、NADPHおよびα−β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
(II.本発明を実施する様式)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の処方物またはプロセス・パラメーターに限定されず、当然ながら変化し得るものとして理解されるべきである。本明細書において用いられる専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載するだけの目的であって、限定は意図しないこともまた、理解される。
【0072】
本明細書に記載されるものと同様または等価な多数の方法および物質が、本発明の実施において用いられ得るが、好ましい物質および方法が本明細書に記載される。
【0073】
本発明は、ハンタウイルス感染を正確に検出するための新規な診断方法の発明に基づく。この方法は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVを含む少なくとも6つの異なるハンタウイルス血清型に由来する、イムノドミナントなエピトープを含むハンタウイルスの組換えN抗原およびG1抗原、ならびに/またはこれらの抗原に対する抗体を利用する。特定の実施形態では、このアッセイは、例えば、上記の血清型の各々に由来する6つの組換えG1抗原(および/または6つのG1抗原に対する抗体)、および/または上記の血清型の各々に由来する6つの組換えN抗原を包含する。代替の実施形態では、このアッセイは、例えば、他の5つの血清型のうちの1つ以上と交差反応する抗体を生成する、これらの6つの血清型のうちのいずれか1つに由来する少なくとも1つの組換えN抗原、および6つの血清型の各々に由来する6つの組換えG1抗原を含んでもよい。例えば、このアッセイは、SNV由来のN抗原(および/またはN抗原に対する抗体)を含んでもよい。このアッセイはまた、好ましくはHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の6つ全てに由来するG1抗原(および/またはG1抗原に対する抗体)を含む。あるいは、このアッセイは、これらの6つの血清型のいずれか1つに由来する1つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)およびこれらの6つの血清型の各々に由来する6つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)を含んでもよい。別の実施形態では、このアッセイは、例えば、これらの6つの血清型のうち3つに由来するG1抗原(および/またはそれに対する抗体)およびこれらの6つの血清型の他の3つに由来する3つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)を含んでもよい。あるいは、このアッセイは、2つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および4つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または4つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および2つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または1つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および5つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または5つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および1つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または4つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および4つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または5つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体および5つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)などを含んでもよい。6つの血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVが示される限り、組換えG1抗原およびN抗原(および/またはそれに対する抗体)の任意の組み合わせが用いられてもよいことが容易に理解される。
【0074】
本発明のアッセイはまた、表1に記載される種々のハンタウイルス株のいずれかまたはその後に同定されたその他のハンタウイルス株に由来する、さらなるハンタウイルス抗原を利用し得る。
【0075】
必要に応じて他のハンタウイルスのタンパク質および/または抗体と組み合わせた、6つの血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するハンタウイルスのN抗原および/またはG1抗原(および/またはそれに対する抗体)の使用によって、種々の公知のハンタウイルス血清型のいずれかによって生じる感染の診断が可能になる。さらに、このアッセイは、感染を生じる特定のハンタウイルス血清型が特定され得るように適合され得る。例えば、種々のHPS関連のハンタウイルスおよびHFRS関連のハンタウイルスに感染した患者由来の生物学的サンプルは、SNVのN抗原と反応するが、SNVのG1抗原とは必ずしも反応しない。従って、SNVのN抗原との反応性が存在し、かつSNVのG1抗原との反応性が存在しないことによって、SNV以外のハンタウイルスなどによる感染が示される。広範な種々の抗原および抗原の組み合わせ(またはこれらの抗原に対する抗体)は、本発明の診断アッセイにおいて用いられ得ることが容易に理解される。
【0076】
この方法は、ヒトにおけるハンタウイルス感染、そしてげっ歯類集団におけるハンタウイルス感染を検出するのに有用である。この方法は、限定はしないが、全血、血清および血漿を含む血液サンプルにおけるハンタウイルス感染を検出し得る。従って、この方法は、被験体(例えばヒト被験体またはげっ歯類被験体)におけるハンタウイルス感染を診断するために用いられ得、そして提供された血液サンプルにおけるハンタウイルス混入を検出するために用いられ得る。個々の提供されたサンプルまたはプールされたサンプル由来のアリコートは、ハンタウイルスの存在下でスクリーニングされ得、そしてハンタウイルスで汚染されたこれらのサンプルまたはプールされたサンプルは、それらが合わされる前に排除され得る。この方法では、実質的にハンタウイルス混入のない血液供給源が提供され得る。
【0077】
本発明をさらに理解するために、さらに詳細な考察が、ハンタウイルスに関して、そして本発明の組成物および方法における使用のための種々のハンタウイルスの抗原および抗体に関して下に示される。
【0078】
(ハンタウイルス抗原)
上記で説明されるとおり、ハンタウイルス科のウイルスは、Bunyavirus属に属し、そしてこのウイルスはエンベロープがある、マイナス−センスRNAウイルスである。このウイルスゲノムのRNAは三連であり、それぞれ小、中および大のゲノムフラグメントについてS、MおよびLと一般に命名される3つのフラグメントからなる。Mセグメントは、単一のオープンリーディングフレームにおいてG1およびG2と名付けられる2つのエンベロープ糖タンパク質をコードする。このSセグメントは、Nと名付けられるヌクレオカプシドタンパク質をコードし、そしてこのゲノムのLセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。
【0079】
いくつかの別個のハンタウイルスが世界中の特定のげっ歯類宿主に関連して見出される(表1を参照のこと)。上記で説明したとおり、少なくとも6つの主要なハンタウイルス血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するN抗原および/またはG1抗原が、本明細書において用途を見出す。これらの血清型に属すると同定された多数の単離株由来のN抗原およびG1抗原の配列、ならびにこれらの抗原をコードする核酸配列は公知である。G1抗原が由来し得る代表的な配列は、本明細書の図1〜図12に示される。この図に示されるG1抗原は、N末端メチオニンを含むが、本明細書における使用のためのG1ペプチドは、特に合成方法によって生成される場合、このメチオニンを含む必要はない。本明細書における使用のためのG1抗原は、全長G1タンパク質またはG1タンパク質の免疫原性フラグメントを含み得る。少なくとも、SNV NM H10に対して番号付けして、アミノ酸59〜89に示される31個のアミノ酸配列(LKIESSCNFDLHVPATTTQKYNQVDWTKKSS(配列番号40)に相当する領域を含むフラグメントが、特に有用である。G1タンパク質のこの領域は、免疫反応性の直鎖状エピトープを構成し、そして本明細書の図7〜図12に示されるG1免疫原性フラグメントの各々において見出される。この配列は、本明細書における目的の6つのハンタウイルス血清型で同じではない。従って、この配列に「対応する(corresponds)」非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸配列は、同じ領域におさまる非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸セグメントであり、この配列に対して相同性を示すが、この配列に対して100%の同一性を示す必要はないということが理解されるべきである。他の5つのハンタウイルス血清型における対応する領域は、本明細書の図7〜図12を参照して、容易に同定可能である。
【0080】
配列番号40に示されるアミノ酸の配列に相当するアミノ酸の配列を含む免疫原性G1抗原は、例えば、31アミノ酸から最大でG1分子の全長までを含み得、例えば、31〜500アミノ酸、好ましくは31〜250アミノ酸、そしてさらに好ましくは31〜150アミノ酸、例えば、31〜50...60...70...75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86...90...100...200...300...400...500、最大でG1分子の全長まで、またはこれらの範囲内の任意の整数のアミノ酸を含んでもよい。さらに、本明細書における使用のためのG1抗原は、エンベロープのC末端に見出される膜貫通結合ドメインおよび/または細胞質テールの全てまたは一部を欠いてもよい。従って、本発明は、膜貫通結合ドメインおよび細胞質テールを保持するエンベロープポリペプチド、ならびにこの膜貫通結合ドメインおよび/または細胞質テールの全てもしくは一部を欠く抗原、ならびにG1タンパク質の隣接部分の使用を意図する。このようなドメインの位置は、Kyte−Doolittle技術、Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132のような、当該分野で周知のコンピュータープログラムおよびアルゴリズムを用いて容易に決定され得る。
【0081】
G1抗原が由来し得るさらなる配列は周知である。例えば、G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のHTNV配列のいずれかに由来し得る:NC_005219、AF345636、D25532、D25529、D00377、D00376、AF288645、AF366569、AF035831、Y00386、U38177、U37729、M14627およびL08753。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSNV配列のいずれかに由来し得る:L37903、L25783、AF030552、AF030551およびU02471。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列などの種々のANDV配列のいずれかに由来し得る:NC_003467およびAF291703。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSEOV配列のいずれかに由来し得る:AF458104、AB027521、AF288654、AF288652、AF288650およびS47716。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のPUUV配列のいずれかに由来し得る:NC_005223、AY526218、U14136、U22418、L08754、L08755、X61034,X55129およびM29979。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のDOBV配列のいずれかに由来し得る:NC_005234、AJ410616、AY168578、AY168577およびL33685。
【0082】
N抗原が由来し得る代表的な配列は、本明細書の図13〜図18に示される。G1抗原について上述されたとおり、N抗原はN末端メチオニンを含んでも含まなくてもよい。本明細書における使用のためのN抗原は、全長Nタンパク質を含んでもよく、Nタンパク質の免疫原性フラグメントを含んでもよい。少なくとも、SNV NM H10に対して番号付けして、Nポリペプチドの17位〜59位に見出される43個のアミノ酸配列(QLVTARQKLKDAERAVELDPDDVNKSTLQSRRAAVSALETKLG(配列番号39)に相当する領域を含むフラグメントが、特に有用である。Nタンパク質のこの領域は、イムノドミナントなエピトープを含み、そしてこのエピトープに対する抗体は、PUUV、SEOVおよびHTNVに由来するNタンパク質と交差反応性である。
【0083】
この配列は、本明細書における目的の6つのハンタウイルス血清型で同じではない。従って、この配列に「対応する(corresponds)」非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸配列は、同じ領域におさまる非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸セグメントであり、この配列に対して相同性を示すが、この配列に対して100%の同一性を示す必要はないということが理解される。他の5つのハンタウイルス血清型における対応する領域は、本明細書の図13〜図18を参照して容易に同定可能である。
【0084】
配列番号39に示されるアミノ酸の配列に相当するアミノ酸の配列を含む免疫原性N抗原は、例えば、43アミノ酸から最大でN分子の全長までを含み得、例えば、43〜350アミノ酸、好ましくは43〜300アミノ酸、そしてさらに好ましくは43〜200アミノ酸、さらにそれより好ましくは43〜100アミノ酸、例えば、43〜60...70...80...90...100...200...300...400、最大でN分子の全長まで、またはこれらの範囲内の任意の整数のアミノ酸を含んでもよい。
【0085】
N抗原が由来し得るさらなる配列は周知である。例えば、N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のHTNV配列のいずれかに由来し得る:AB127998、AB027101、AB027523、AB027097、D25533、AF288646、AF288644、AF427324、AF427323、AF427322、AF427320、AF427319、AF427318、AF366568、AY017064、AF321095、AF321094、AF288296、U37768およびM14626。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSNV配列のいずれかに由来し得る:NC_005216、L37904、L25784、L33816、L33683およびU02474。N配列は、以下の登録番号NC_003466、AF325966、AF0044660、およびAF291702としてNCBIに寄託された配列などの任意の種々のANDV配列のいずれかに由来し得る:。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSEOV配列のいずれかに由来し得る:NC_005236、AF488708、AF488707、AY273791、AB027522、AF329390、AF288655、AF288653、AF288643、AF406965、AY006465。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のPUUV配列のいずれかに由来し得る:NC_005224、AY526219、AJ314601、AJ314600、AJ314599、AJ314598、AJ314597、AF442613、AF367071、AF367070、AF367068、AF367067、AF367066、AF367065、AF367064、AJ277030、AJ277076、AJ277075、AJ277034、AJ277033、AJ277032、AJ277031、AJ238791、AJ238790、AJ238789、AJ238788、X61035、AB010731、AB010730、U14137、AF294652、U22423、L08804、L11347およびM32750。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のDOBV配列のいずれかに由来し得る:NC_005233、AJ616854、AJ410619、AJ410615、AJ131673、AJ131672、AJ269550、AJ269549、AJ009775、AJ009773、AY168576およびL41916。
【0086】
組換えN抗原およびG1抗原は、別個の生成物として提供されてもよく、またはHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの6つの血清型に由来する抗原に加えて、これらの6つの血清型の1つ以上に由来する他のハンタウイルス抗原を含むかまたはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する他のハンタウイルス抗原を含まない、種々のN抗原およびG1抗原の融合体として提供されてもよい。一例として、融合体は、上記の6つの血清型由来のG1抗原を含んでもよい。この融合体は単独で用いられてもよく、またはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する1つ以上のN抗原を含む第二の融合体と組み合わせて用いられてもよい。同様に、融合体は、上記の6つの血清型由来のN抗原を含んでもよく、そしてこの融合体は単独で用いられてもよいし、またはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する1つ以上のG1抗原を含む第二の融合体とともに用いられてもよい。あるいは、全てのN抗原およびG1抗原は、単独の融合体中で提供されても、または複数の融合体中で提供されてもよい。本発明の融合タンパク質は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するNおよび/またはG1抗原が存在する限り、多数の形態をとり得ることが容易に理解される。融合体が生成される場合、ポリペプチドは、ネイティブウイルスで見出されるのと同じ順序で組織化される必要はない。従って、例えば、G1ポリペプチドは、NポリペプチドのN末端またはC末端などに融合されてもよい。他の可能性のある融合タンパク質としては、ヒトもしくは酵母のスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)タンパク質、またはSODタンパク質のフラグメントと、ハンタウイルスのG1および/もしくはNポリペプチドとの融合体が挙げられる。ヒトSOD融合抗原として発現される組換えタンパク質の例については、Barrら、Vaccine(1987)5:90〜101;Pichuantesら、Proteins Struct.Fuct.Genet.(1989)6:324〜327;Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)23:13890〜13898を参照のこと。
【0087】
本発明での使用のための抗原は、標準的な技術を用いて得られ得る。例えば、ハンタウイルス抗原は、当該分野で周知の組換え方法を用いて都合よく生成される。例えば、ハンタウイルス抗原の組換え体生成の説明については、1995年1月5日公開の国際出願第WO95/00648号;1995年3月2日公開の国際公開第WO95/06240号;およびHjelleら、J.Virol(1994)68:592〜596を参照のこと。
【0088】
オリゴヌクレオチドプローブは、ハンタウイルスゲノムの公知の配列に基づいて考案され得、そして本発明において有用な抗原をコードするハンタウイルス遺伝子のゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリーをプローブ検出するために用いられ得る。次いでこの遺伝子は、標準的な技術を用いてさらに単離されてもよく、そして所望の場合、全長配列の所望の部分で遺伝子を変異させるために制限酵素が使用されてもよい。
【0089】
同様に、ハンタウイルス遺伝子は、公知の技術を用いて、例えば、フェノール抽出によって(例えば、1995年1月5日公開の国際公開第WO95/00648号を参照のこと)、感染組織から直接単離されてもよく、そしてこの配列は、任意の所望の改変を生成するようにさらに操作されてもよい。DNAを獲得して単離するために用いられる技術の説明については、例えば、Sambrookら、前出を参照のこと。最終的に、ハンタウイルス抗原をコードする遺伝子は、公知の配列に基づいて、合成的に生成されてもよい。このヌクレオチド配列は、所望の特定のアミノ酸配列の適切なコドンで消化され得る。一般には、この配列が発現されるところの、意図される宿主にとって好ましいコドンが選択される。完全な配列は一般に、標準的な方法によって調製される重複するオリゴヌクレオチドから集合させられて、完全なコード配列に集合させられる。例えば、Edge,Nature(1981)292:756;Nambairら、Science(1984)223:1299;Jayら、J.Biol.Chem.(1984)259:6311を参照のこと。
【0090】
ポリヌクレオチドは、天然に存在する種々のポリペプチドのコード配列を含んでもよいし、または天然には存在しない人工的な配列を含んでもよい。これらのポリヌクレオチドは、所望の場合、標準的な分子生物学的技術を用いて連結され、融合タンパク質のコード配列を形成してもよい。
【0091】
一旦コード配列が、調製されるかまたは単離されれば、このような配列は、任意の適切なベクター内またはレプリコン内にクローニングされてもよい。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、そして適切なクローニングベクターの選択は、好みの問題である。適切なベクターとしては、限定はしないが、適切な制御エレメントと会合された場合複製可能である、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体またはウイルスが挙げられる。次いで、コード配列を、発現のために用いられる系に依存して、適切な制御エレメントの制御下に配置する。従って、このコード配列は、目的のDNA配列が適切な形質転換体によってRNAに転写されるように、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌による発現のため)および必要に応じてオペレーターの制御下におかれてもよい。コード配列は、翻訳後プロセシングにおいて宿主によって後に除去され得るシグナルペプチドまたはリーダー配列を含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、米国特許第4,431,739号;同第4,425,437号;同第4,338,397号を参照のこと。
【0092】
存在するならば、シグナル配列は、目的のハンタウイルスポリペプチドと会合して見出される天然のリーダーであってもよい。例えば、発現されているハンタウイルスポリペプチドがG1抗原である場合、天然のG1リーダー配列の全てまたは一部が含まれ得る。あるいは、分泌の効率を増大し得る異種シグナル配列が存在し得る。多数の代表的なリーダー配列が当該分野で公知であり、そしてこれには、限定はしないが、酵母α因子リーダー、TPAシグナルペプチド、Igシグナルペプチドなどが挙げられる。これらの配列および他のリーダー配列の配列は当該分野で周知である。
【0093】
制御配列に加えて、宿主細胞の増殖に対して配列の発現の調節を可能にする調節配列を付加することが所望され得る。調節配列は、当業者に公知であり、そして化学的または物理的な刺激(調節性化合物の存在を含む)に対する応答において遺伝子の発現をオンまたはオフにする配列が例として挙げられる。他のタイプの調節エレメントもまた、ベクター中に存在し得る。例えば、構築物の発現レベルを増大するために、本明細書においてエンハンサー要素が用いられ得る。例としては、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkemaら(1985)EMBO J.4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)由来のエンハンサー/プロモーター(Gormanら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)、およびCMVイントロンA配列に含まれる要素(米国特許第5,688,688号)ヒトのようなCMV由来の要素(Boshartら(1985)Cell 41:521)、が挙げられる。この発現カセットはさらに、適切な宿主細胞における自律性の複製のための複製起点、1つ以上の選択マーカー、1つ以上の制限部位、高コピー数のための能力、および強力なプロモーターを含んでもよい。
【0094】
特定のコード配列が適切な調節性配列を有するベクター内に配置されるように、発現ベクターが構築され、制御配列に対するコード配列の位置および方向は、このコード配列がこの制御配列の「制御(control)」下で転写されるようになっている(すなわち、この制御配列でDNA分子に結合するRNAポリメラーゼは、このコード配列を転写する)。目的の分子をコードする配列の改変が、この目的を達成するために所望され得る。例えば、ある場合には、適切な方向で制御配列に付加することができるように(すなわち、リーディングフレームを維持するために)配列を改変することが必要であるかもしれない。制御配列および他の調節性配列は、ベクターへの挿入の前にコード配列に連結されてもよい。あるいは、コード配列は、制御配列および適切な制限部位を既に含む、発現ベクターに直接クローニングされてもよい。
【0095】
上記で説明されるとおり、目的のポリペプチドの変異体またはアナログを生成することも所望され得る。本発明の組成物における使用のためのハンタウイルスポリペプチドの変異体またはアナログは、目的の分子をコードする配列の一部の欠失によって調製され得るか、配列の挿入によって調製され得るか、および/または配列内の1つ以上のヌクレオチドの置換によって調製され得る。ヌクレオチド配列を改変するための技術、例えば、部位特異的突然変異などは、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、前出;Kunkel、T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoderら(1987)BioTechniques 5:786;ZollerおよびSmith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarlandら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照のこと。
【0096】
組換え発現を容易にするために、目的の分子を、例えば50kDaのE.coliマルトース結合タンパク質との融合体、ヒトもしくは酵母のスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)またはそのフラグメントとの融合体のような、融合タンパク質として、あるいはユビキチン融合タンパク質として発現してもよい。
【0097】
この分子は、全てが当該分野で周知の昆虫発現系、哺乳動物発現系、細菌発現系、ウイルス発現系および酵母発現系を含む、広範な種々の系において発現され得る。例えば、バキュロウイルス系のような昆虫細胞の発現系は、当業者に公知であり、そして例えば、SummersおよびSmith、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料および方法は、とりわけ、Invitrogen,San Diego CA(「MaxBac」キット)のキット形態で市販される。同様に、細菌および哺乳動物細胞の発現系は、当該分野で周知であり、そして例えば、Sambrookら(前出)に記載される。酵母発現系もまた、当該分野で公知であって、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら、編,1989)Butterworths,Londonに記載される。
【0098】
上記の系での使用のための多数の適切な宿主細胞もまた、公知である。例えば、哺乳動物細胞株は当該分野で公知であり、そしてこれには、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株、例えば、限定はしないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト胚性腎細胞、ヒト肝臓癌細胞(例えば、Hep G2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞、などが挙げられる。同様に、細菌の宿主、例えば、E.coli、Bacillus subtilisおよびStreptococcus spp.は、本発明の発現構築物での用途を見出す。本発明において有用な酵母宿主としては、とりわけ、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha,Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Piciha pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターでの使用のための昆虫細胞としては、とりわけ、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia niが挙げられる。
【0099】
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子は、当該分野で周知の種々の遺伝子送達技術を用いて、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれてもよいし、または適切な宿主細胞において安定的なエピソームエレメント上に維持されてもよい。例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと。
【0100】
選択された発現系および宿主に依存して、この分子は、タンパク質が発現される条件下で上記の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を増殖させることによって生成される。次いで、この発現されたタンパク質を、宿主細胞から単離して、精製する。発現系がタンパク質を増殖培地中に分泌する場合、この産物は、培地から直接精製されてもよい。分泌されない場合、これは、細胞溶解液から単離されてもよい。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当該分野の範囲内である。
【0101】
このハンタウイルス抗原は、生物学的サンプル中のウイルスに対する反応性抗体の存在を検出する診断薬として本明細書において用いられる。さらに、この抗原は、どのハンタウイルスタイプが感染を担うかを決定するために用いられ得る。この抗原はまた、診断薬における使用のための抗体を産生するために用いられ得る。
【0102】
(ハンタウイルス抗体)
ハンタウイルス抗原を用いて、ハンタウイルス特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成し得る。ハンタウイルス特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、ハンタウイルス抗原に特異的に結合する。ポリクローナル抗体は、マウス、ウサギ、ヤギまたはウマのような哺乳動物に対してハンタウイルス抗原を投与することによって生成され得る。免疫化された動物由来の血清を収集して、その抗体を、例えば、硫酸アンモニウムでの沈殿、およびその後のクロマトグラフィー(好ましくはアフィニティークロマトグラフィー)によって血漿から精製する。ポリクローナル抗血清を産生および処理するための技術は当該分野で公知である。
【0103】
このタンパク質に存在するハンタウイルス特異的エピトープに対するモノクローナル抗体はまた、容易に生成され得る。ハンタウイルス抗原で免疫された哺乳動物、例えば、マウス(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature(1975)256:495〜497を参照のこと)またはウサギ(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第5675,063号を参照のこと)に由来する正常なB細胞を、例えば、HAT−感受性マウス骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマを生成し得る。ハンタウイルス特異的な抗体を生成するハイブリドーマは、RIAまたはELISAを用いて同定してもよく、そして半固体寒天中でのクローニングによって、または限界希釈によって単離してもよい。ハンタウイルス特異的な抗体を生成するクローンは、別の回のスクリーニングによって単離される。
【0104】
キメラ抗体を提供することが所望され得る。ヒトアミノ酸配列および非ヒトアミノ酸配列からなるキメラ抗体が、ヒトにおけるそれらの免疫原性を減じるためにマウスモノクローナル抗体分子から形成され得る(Winterら(1991)Nature 349:293;Lobuglioら(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220;Shawら(1987)J Immunol.138:4534;およびBrownら(1987)Cancer Res.47:3577;Riechmannら(1988)Nature 332:323;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534;およびJonesら(1986)Nature 321:522;1992年12月23日公開の欧州特許公開番号519,596号;および1994年9月21日公開の英国特許公開番号2,276,169号)。
【0105】
親のモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗体分子フラグメント、例えば、F(ab’)2分子、Fv分子およびsFv分子は、公知の技術を用いて生成され得る。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706;Ehrlichら(1980)Biochem 19:4091;Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879;ならびにHustonらの米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号;ならびにLadnerらの同第4,946,778号。
【0106】
代替として、ファージ−ディスプレイシステムを用いて、インビトロにおいてモノクローナル抗体分子集団を増殖させ得る。Saikiら(1986)Nature 324:163;Scharfら(1986)Science 233:1076;米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;Yangら(1995)J Mol Biol 254:392;Barbas,IIIら(1995)Methods:Comp.Meth Enzymol 8:94;Barbas,IIIら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:7978。
【0107】
一旦生成されれば、ファージディスプレイライブラリーを用いて、公知の技術を用いてFab分子の免疫学的結合親和性を改善し得る。例えば、Figiniら(1994)J.Mol.Biol.,239:68を参照のこと。ファージディスプレイライブラリーから選択されるFab分子の重鎖部分および軽鎖部分のコード配列は、単離されても合成されてもよく、そして発現のための適切なベクターまたはレプリコンにクローニングされ得る。上記に記載されたものを含む、任意の適切な発現系を用いてもよい。
【0108】
ハンタウイルス感染ヒト由来の血清サンプルのようなサンプル中の、ハンタウイルスまたはハンタウイルス抗原の存在を検出するために、ハンタウイルスエピトープに対する抗体は特に有用である。ハンタウイルス抗原についてのイムノアッセイは、1つの抗体またはいくつかの抗体を、単独で、またはハンタウイルス抗原と組み合わせて利用し得る。ハンタウイルス抗原についてのイムノアッセイは、例えば、ハンタウイルスエピトープに対するモノクローナル抗体、1つのハンタウイルスポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体の組み合わせ、異なるハンタウイルスポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体、同じハンタウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、異なるハンタウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の組み合わせを使用し得る。イムノアッセイプロトコールは、例えば、標識抗体を用いて、例えば競合アッセイ、直接反応アッセイまたはサンドイッチタイプのアッセイに基づき得、そして下にさらに記載される。この標識は、例えば、蛍光、化学発光または放射活性であってもよい。
【0109】
ハンタウイルス抗体はさらに、免疫親和性カラムによってハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原を単離するために用いられ得る。この抗体は、この抗体がその免疫選択性活性を保持するように、例えば、吸着によってまたは共有結合によって固体支持体に結合され得る。抗体の抗原結合部位が接近可能なままであるように、必要に応じて、スペーサー基が含まれてもよい。次いでこの固定された抗体を用いて、血液または血漿のような生物学的サンプル由来のハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原に結合させてもよい。この結合されたハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原を、例えばpHの変化によってカラムマトリックスから回収する。
【0110】
(ハンタウイルス診断アッセイ)
上記で説明されるとおり、免疫原性ハンタウイルス抗原およびこの抗原に対する抗体をアッセイにおいて用いて、ハンタウイルス感染を同定し得る。代表的には、生物学的サンプル中のハンタウイルスの存在は、サンプル中のハンタウイルスに対する抗体の存在によって決定されるが、適切な場合には、ウイルスタンパク質の存在は、サンプル中のハンタウイルスの指標として検出されて用いられ得る。この試薬は、限定はしないが、全血、血清および血漿を含む血液サンプル中でハンタウイルスを検出するために用いられ得る。この抗原および抗体は、被験体、例えば、ヒトまたはげっ歯類の被験体におけるハンタウイルス感染を検出するために、そして提供された血液サンプルにおけるハンタウイルス混入を検出するために用いられ得る。従って、個々の提供されたサンプルまたはプールされたサンプル由来のアリコートを、ハンタウイルスの存在についてスクリーニングして、ハンタウイルスが混入したそれらのサンプルまたはプールされたサンプルを、それらが合わされる前に排除し得る。この方法では、ハンタウイルス混入を実質的に含まない血液供給源を得ることができる。「実質的にハンタウイルスを含まない(substantially free of hantavirus)」とは、本明細書に記載のアッセイを用いて、好ましくは下にさらに詳細に記載されるストリップ・イムノブロットアッセイを用いて、ハンタウイルスの存在が検出されないことを意味する。
【0111】
本明細書における使用のためのアッセイとしては、ウエスタンブロット;凝集試験;酵素標識イムノアッセイおよび酵素媒介イムノアッセイ(例えば、ELISA);ビオチン/アビジンタイプのアッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動法;免疫沈降、ストリップ・イムノブロットアッセイなどが挙げられる。反応としては一般には、露呈標識(revealing labels)例えば、蛍光標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識もしくは色素分子、または抗原と抗原に反応する抗体(単数または複数)との間の複合体の形成を検出するための他の方法が挙げられる。
【0112】
前述のアッセイは一般に、抗原−抗体複合体が結合されている固相支持体からの、液相中の未結合の抗体または抗原の分離を包含する。本発明の実施において使用され得る固体支持体としては、ニトロセルロース(例えば、メンブレン形態またはマイクロタイターウェル形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート);フッ化ポリビニリデン;ジアゾ化ペーパー;ナイロンメンブレン;活性化ビーズ、磁気反応性ビーズなどのような基板が挙げられる。
【0113】
本発明の1局面では、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原を、サンプル中の抗ハンタウイルス抗体の捕捉もしくは検出またはその両方のために用いる。本発明の別の局面では、ハンタウイルス抗原に対する抗体をサンプル中の抗ハンタウイルス抗原の捕捉もしくは検出またはその両方のために用いてもよい。分析物(すなわち、サンプル中の抗ハンタウイルス抗体またはハンタウイルス抗原)の「捕捉(capture)」とは、この分析物が、捕捉分子の結合によってサンプルの他の成分から分離され得ることを意味する。代表的には、この捕捉分子は、固体支持体と直接または間接的に会合される。代表的には、この検出分子は、検出可能標識と直接または間接的に会合される。
【0114】
代表的には、固体支持体は最初に、適切な結合条件下で固相成分(例えば、少なくとも6つのハンタウイルス血清型、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するハンタウイルスのG1抗原および/もしくはN抗原、ならびに/または抗ハンタウイルス抗体)と反応され、その結果この成分はこの支持体に十分に固定される。時には、支持体に対する固定は、より良好な結合特性を有するタンパク質と最初にカップリングすることによって増強され得る。適切なカップリングタンパク質としては、限定はしないが、高分子、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)を含む血清アルブミン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミンおよび当業者に周知の他のタンパク質が挙げられる。支持体に対して抗原または抗体を結合するために用いられ得る他の分子としては、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマーなどが挙げられる。このような分子およびこれらの分子をカップリングする方法は、当業者に周知である。例えば、Brinkley、M.A.Bioconjugate Chem.(1992)3:2〜13;Hashidaら、J.Appl.Biochem.(1984)6:56〜63;ならびにAnjaneyuluおよびStaros,International J.of Peptide and Protein Res.(1987)30:117〜124を参照のこと。
【0115】
固体支持体と固相成分との反応後、固定化されていない固相成分を洗浄によってこの支持体から除去し、次いでこの支持体結合成分を、リガンド成分(すなわち、ハンタウイルスの抗原または抗体)を含むと疑われる生物学的サンプルと、適切な結合条件下で接触させる。非結合リガンドを除去するための洗浄後、二次結合因子部分を、適切な結合条件下で添加してもよく、ここで二次結合因子が、結合されたリガンドと選択的に会合し得る。次いで、二次結合因子の存在は当該分野で周知の技術を用いて検出され得る。
【0116】
さらに詳細には、ELISA法を用いてもよく、ここではマイクロタイタープレートのウェルが、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原、ならびに/または本発明の抗体でコーティングされる。次いで、抗ハンタウイルス免疫グロブリン分子またはハンタウイルス抗原のいずれかを含むかまたは含むと疑われる生物学的サンプルを、このコーティングされたウェルに添加する。抗原−抗体結合を可能にするのに十分なインキュベーション期間後、未結合の部分を除去するためにプレート(単数または複数)を洗浄し得、検出可能に標識された二次結合分子を添加し得る。この二次結合分子を、任意の捕捉サンプルと反応させて、プレートを洗浄し、二次結合分子の存在を当該分野で周知の方法を用いて検出する。
【0117】
1つの特定の形式では、ELISA抗原サンドイット形式を用いる。この場合、固体支持体は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原を用いてコーティングする。次いで、このサンプルを、抗ハンタウイルス抗体が存在するならば抗ハンタウイルス抗体が1つ以上のまたはハンタウイルス抗原に結合して抗原/抗体複合体を形成することを可能にする条件下で支持体と接触させる。未結合の試薬を除去して、結合された抗原/抗体複合体と反応する酵素的に標識された抗原(例えば標識されたハンタウイルスN抗原および/またはG1抗原)を添加する。酵素基質を用いてシグナルを生成する。
【0118】
別の形式で、固体支持体を種特異的な抗アイソタイプ抗体(例えば、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体など)でコーティングする。次いでこの支持体とサンプルとを、このサンプル中に存在する抗体のこの抗アイソタイプ抗体に対する結合を可能にする条件下で接触させる。未結合の抗体を除去し得、結合した抗ハンタウイルス抗体の存在を、本発明の標識されたハンタウイルス抗原を用いて検出し得る。この標識は、代表的には、酵素標識、例えば、HRP、APである。
【0119】
別の実施形態では、生物学的サンプル由来の結合したハンタウイルスリガンドの存在は、この抗体リガンドに対する抗体を含む二次結合因子を用いて容易に検出され得る。多数の抗ヒト免疫グロブリン(Ig)分子が当該分野で公知であり、これは、当業者に公知の方法を用いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたはウレアーゼのような検出可能酵素標識に対して容易に結合体化され得る。次いで、適切な酵素基質を用いて検出可能なシグナルを生成する。他の関連の実施形態では、当業者に公知の方法を用いて、競合タイプのELISA技術を行ってもよい。
【0120】
サンプル中の抗ハンタウイルス抗体の検出のための他の形式は、公知であり、そして本発明のハンタウイルス抗原の組み合わせは、ハンタウイルス抗原を使用する任意の公知の方式で用いられ得る。例えば、Leeら、J.Infect.Dis.(1978)137:298〜308;Leeら、J.Infect.Dis.(1982)146:638〜644;Leeら、J.Infect.Dis.(1982)146:645〜651;Lundkvistら、Clin.Diagnos.Lab.Immunol.(1995)2:82〜86;Chuら、Virology(1994)198:196〜204;Elghら、J.Med.Virol.(1995)45:146〜150;Hjelleら、J.Clin.Microbiol.(1997)35:600〜608;Bharadwajら、J.Infect.Dis.(2000)182:43〜48;Yeeら、J.Wildl.Dis.(2003)39:271〜277)を参照のこと。
【0121】
HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスのG1抗原および/またはN抗原は、以下のとおりIgM捕捉ELISAで用いられ得る。抗ヒトIgM抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgM抗体)は、固体支持体に結合され、この支持体は、ハンタウイルスに対するヒトIgMの存在について試験されるべきサンプルと、抗ハンタウイルスIgMがもし存在するならば抗ハンタウイルスIgMが固体支持体に結合された1つ以上の抗ヒトIgM抗体に対して結合して抗体/抗体複合体を形成することを可能にする条件下で接触させられる。HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原は、抗体/抗体複合体中の抗ハンタウイルスIgMに対して結合し、抗体/抗体/抗原複合体の形成を可能にする条件下で添加される。未結合抗原が除去されて、検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体が、結合された抗原に対する結合を可能にする条件下で添加される。サンプル中のハンタウイルスに対するIgMの存在は、固体支持体に結合された、結合された抗ヒトIgM Ab/ヒト抗ハンタウイルスIgM/抗原複合体に対する検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体の存在によって決定される。あるいは、ハンタウイルス抗原自体が、検出可能に標識され得、これによって、検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体の必要性が省かれる。
【0122】
HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原はまた、以下のような間接的なIgG ELISAにおいて用いられ得る。抗原に特異的な抗体が、固体支持体に結合され、この支持体は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原と、この抗原がこの支持体に結合した抗ハンタウイルス抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で接触させられる。未結合の抗原を除去して、その支持体を、ハンタウイルスに対するヒトIgGの存在について検出されるべきサンプルと、ヒト抗ハンタウイルスIgGがもし存在するならばヒト抗ハンタウイルスIgGの抗体/抗原複合体中の抗原に対する結合を可能にする条件下で接触させる。結合した抗ハンタウイルスIgGの存在は、検出可能に標識された抗ヒトIgG抗体を用いて検出され得る。
【0123】
前述のアッセイ系式のいくつかは「ELISA」(酵素結合免疫吸着アッセイ(Enzyme Linked ImmunoSorbebant Assay))アッセイと呼ばれるが、「酵素結合した(enzyme linked)」結合部分以外の検出可能標識の使用が可能であり、そして多くの状況で望まれ得ることが当業者には明らかである。他の適切な検出可能標識が本明細書で記載されており、そして当該分野で周知である。
【0124】
アッセイはまた、ハンタウイルス抗原または抗原とこれらの分子に特異的なリガンドとが沈殿条件下で複合体を形成するように、溶液中で行われてもよい。1つの特定の実施形態では、この分子は、当該分野で公知のカップリング技術を用いて、例えば、直接化学的カップリングまたは間接カップリングによって、固相粒子(例えば、アガロースビーズなど)に結合されてもよい。次いで、このコーティングされた粒子を適切な結合条件下で、ハンタウイルスの抗体または抗原を含むことが疑われる生物学的サンプルと接触させる。結合された抗体間の架橋は、複合体凝集の形成を生じ、これが洗浄および/または遠心分離を用いて、サンプルから沈殿および分離され得る。この反応混合物は、上記の免疫診断方法のような多数の標準的な方法のいずれかを用いて複合体の有無を決定するために分析され得る。
【0125】
なおならなる実施形態では、免疫親和性マトリックスが提供され得、ここでは、例えば、ハンタウイルス抗体を含むことが疑われる生物学的サンプル由来の抗体のポリクローナル集団が基板に対して固定される。サンプルの最初の親和性精製は、固定された抗原を用いて行われてもよい。従って、得られたサンプル調製物は、抗ハンタウイルス部分のみを含み、親和性支持体における潜在的な非特異的結合特性を回避する。免疫グロブリン(インタクトまたは特定のフラグメントのいずれか)を高効率で固定する多数の方法および抗原結合活性の良好な保持が当該分野で公知である。一旦免疫グロブリン分子を固定して免疫親和性マトリックスを得れば、標識された分子を適切な結合条件下で、結合された抗体と接触させる。任意の非特異的に結合したハンタウイルス抗原が免疫親和性支持体から洗浄された後、結合された抗原の存在は、当該分野で公知の方法を用いて標識についてアッセイすることによって決定され得る。
【0126】
本発明の特に好ましい実施形態では、ストリップ・イムノブロット・アッセイ(SIA)を、試験ストリップ上に固定されたHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスのG1抗原および/またはN抗原を用いて、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出するために用いる。SIA技術は、当該分野で周知であり、そして従来的なウエスタンブロッティング技術およびドットブロッティング技術を組み合わせる(例えばRIBA(登録商標)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)SIA)。これらのアッセイでは、ハンタウイルス抗原を、メンブレン支持体上で、例えば、バンドまたはドットとして、個々の別個の部分として固定する。従って、メンブレン支持体上に「別個に固定された(discretely immobilized)」とは、この抗原が別個の成分として存在して、混合されず、その結果、存在する抗原の各々との反応性またはその欠失が評価され得ることを意味する。次いで、ハンタウイルスに対する抗体を含むことが疑われる生物学的サンプルを試験メンブレンと反応させる。生物学的サンプル中の抗ハンタウイルス反応性の可視化は、比色定量酵素基質と組み合わせて抗ヒト免疫グロブリン酵素結合体を用いて達成される。内部コントロール(例えば、抗ヒトIgM抗体および抗ヒトIgG抗体)もまた、試験メンブレン上に存在してもよい。このアッセイは、手動で行われてもいし、または自動形式で用いられてもよい。
【0127】
ストリップ・イムノブロットアッセイの実施で用いられ得る固体支持体としては、限定はしないが、セルロース、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンジフルオライド、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンおよび上記の組み合わせまたは誘導体からなる複合樹脂を含む多数の一次ポリマーに由来するメンブレン支持体が挙げられる。特に好ましいのは、セルロース由来の支持体、例えば、ニトロセルロースメンブレン、およびナイロンメンブレンである。この基板は一般に、支持体として不活性なプラスチック裏打ちを有する所望のメンブレンを含む。
【0128】
このメンブレンに対して加えられた抗原の量は、検討中の抗原に依存して変化する。一般には、抗原は、約20〜500ng/ストリップ、好ましくは50〜250ng/ストリップ、さらに好ましくは75〜150ng/ストリップの量でこのストリップに対して加えられる。当業者は、有効な結果を生じるのに必要な抗原の量を容易に決定し得る。あるいは、低濃度および高濃度のような2つの濃度のこの抗原が、存在してもよい。従って、例えば、SNVのN抗原は、上記で特定されたような濃度で、そして1つ以上のさらなるバンドで、例えば、約25〜200ngの濃度で、例えば、50〜150ng、例えば、100ng/ストリップで提供され得る。高レベルのコントロールは、十分に陽性の結果を得るのに十分高い量で、例えば200〜500ng/ストリップ、特に250〜350ng/ストリップ、例えば、300ng/ストリップの量で存在する。試験ストリップに対して加えられる抗原の濃度は、用いられる特定の抗原に依存して変化し、当業者によって容易に決定され得ることが明らかである。
【0129】
抗免疫グロブリン抗体、例えば、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および/または抗ヒトIgA抗体は、単独の濃度で、または2つの濃度(1つが低くかつ1つが高い濃度)で存在してもよい。例えば、抗IgG抗体は、約50〜250ng/ml、さらに好ましくは約75〜200ng/ml、そして最も好ましくは約100〜185ng/mlの濃度で存在し得る。約400〜1200ng/ml、より好ましくは約450〜1000ng/ml、そして最も好ましくは約500〜950ng/mlの濃度のように、別の内部コントロールを得るために、さらに高濃度の抗IgG抗体がまた、低濃度の抗IgGとともに存在してもよい。
【0130】
メンブレン支持体と所望の抗原およびIg分子との反応後、任意の非固定固相成分を、洗浄によってメンブレンから除去し、次いでメンブレン結合成分を、ハンタウイルスに対する抗体を含有することが疑われる生物学的サンプルと、適切な結合条件下で接触させる。任意の非結合抗体を除去するための洗浄後、二次結合因子部分を、二次結合因子が、結合抗体と選択的に会合し得る、適切な結合条件下で添加する。次いで、二次結合因子の存在は当該分野で周知の技術を用いて検出され得る。
【0131】
特に好ましい実施形態では、生物学的サンプル由来の結合した抗ハンタウイルス抗原リガンドの存在は、抗体リガンドに対する抗体を含む二次結合因子を用いて容易に検出され得る。市販のヤギ抗ヒトIgまたはウサギ抗ヒトIgのような多数の抗ヒト免疫グロブリン(Ig)分子が、当該分野で公知である。本明細書における使用のためのIg分子は、IgGタイプ、IgAタイプまたはIgMタイプの分子である。Ig分子は、当業者に公知の方法を用いて、とりわけ西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびウレアーゼのような検出可能酵素標識に対して容易に結合体化され得る。次いで適切な酵素基質を用いて、検出可能なシグナルを生成する。
【0132】
さらに、ヒト重鎖抗体およびヒト軽鎖抗体に対する結合体を用いて、SIAをIgG応答およびIgM応答の両方を検出可能にさせることができる。この設計は、感染の初期段階で抗体応答の検出の感度を増大するように機能し得る。
【0133】
ハンタウイルス抗原および/またはその抗体、結合した試薬を有する固体支持体、ならびに他の検出試薬を含む、上記のアッセイ試薬は、上記のアッセイを行うための適切な説明書および他の必要な試薬とともにキットで提供され得る。このキットはまた、コントロール処方物(陽性および/または陰性)、アッセイ方式が標識された試薬を要する場合標識試薬、そして標識がシグナルを直接生成しない場合シグナル生成試薬(例えば、酵素基質)を含み得る。アッセイを行うための説明書(例えば、書面、テープ、VCR、CD−ROMなど)が通常、キットに含まれる。このキットはまた、用いられる特定のアッセイに依存して、他のパッケージング試薬および物質(すなわち、洗浄緩衝液など)を含んでもよい。標準的なアッセイ、例えば、上記に記載されるアッセイは、これらのキットを用いて行われてもよい。
【0134】
(III.実験)
以下は、本発明を行うための特定の実施形態の実施例である。この実施例は、例示の目的のみのために提供され、そして本発明の範囲はいかなる方法でも限定しない。
【0135】
用いられる数(例えば、量、温度など)に関して正確性を保障するために労力を払っているが、ある程度の実験誤差および偏差は当然ながら許されるべきである。
【実施例】
【0136】
(実施例1)
(ハンタウイルス組換えG1タンパク質のクローニングおよび発現)
表2に示されるハンタウイルスG1抗原は以下のとおりに調製した。HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVのG1タンパク質の80〜83個のアミノ酸を含む組換えG1抗原をコードするヌクレオチドフラグメントを、各々の株について目的の領域に相当するオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて合成した。この組換え抗原におけるG1タンパク質配列の一部を表2に示す。これらのフラグメントを、サブクローニングベクターにアニーリングして、連結してクローニングして、正確なヌクレオチド配列をDNA配列決定によって確認した。目的の領域を、制限エンドヌクレアーゼ処理によって切り出して、ADH2/GAPDHプロモーターフラグメントとともにpBS24.1中にクローニングした。プラスミドpBS24.1は、高コピー数の発現ベクターであって、これは、多種多様の組換えタンパク質を発現するように広範に用いられている(Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)23:13890〜13898;Pichuantesら、「Expression of heterologous gene products in yeast」Cleland JL、Craik C編、Protein engineering:a guide to design and production(1996)New York,NY,Wiley−Liss,Inc.,pp126〜161)。これは、2μ配列および自律複製のための逆方向反復(IR)配列、転写終結を確実にするためのα因子ターミネーター、ならびに選択のためのleu2−dおよびURA3を含む。アンピシリン耐性のためのβラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製起点もまた、Escherichia coliにおける選択および自律複製のためにこのベクター中に存在する。
【0137】
SOD融合構築物については、目的の領域を、ヒトSOD遺伝子とともにADH2/GAPDHプロモーターを既に含んだ、遺伝子操作されたpBS24.1ベクター内にクローニングした。ハンタウイルス組換え抗原のクローニングに用いられるヒトSODのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、Hallewellら、Bio/Technology(1987)5:363〜366に記載される。得られたプラスミドを、S.cerevisiae株AD3に形質転換して、その組換えタンパク質の発現を、SDS−PAGEおよびイムノブロット分析によってモニターした。生成された種々のSOD/G1の融合体としては、図19に示されるSOD配列のC末端に融合された図7〜図12に示されるG1配列が挙げられる。SOD/G1の融合体は、配列番号42〜47によって示される。
【0138】
以下のプロトコールに従って、SOD融合体を生成した。この考察は、SNVのG1/SOD融合体の産生を詳細に説明するが、残りの融合体は同じ方法で生成された。全長G1の広範な部分の発現が、不安定性および可変性の発現によって阻害されたので、SNVのG1(単離株NM H10の開始メチオニンに対して残基35〜117)のより小さい部分(82アミノ酸)を、図19に示されるヒトスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)配列との融合体において用いた。5’末端上にNcoI部位を、そして3’末端上にSalI部位および2つの終止コドンを導入したプライマーを用いて、pFCV−M−1275(Yamadaら、J.Virol(1995)69:1939〜1943)から、PCRによって小さいG1フラグメントを合成した。268bpのNcoI/SalI−消化フラグメントを用いて、pSOD/HIV2PR113(Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)265:13890〜13898)の347bpのインサートを置き換えて、構築物pSOD/G1を作製した。pSOD/G1の603bpのStuI/SalIフラグメントを、ベクターpSI1/PR179(Pichuantesら、Proteins Struct.Funct.Genet.(1989)6:324〜327)に連結して、ADH2/GAPDHプロモーターを得た。次いで、得られた構築物の2093bpのBamHI/SalIカセットを酵母発現ベクターpBS24.1に導入して、最終発現構築物pSOD/SNV−G1を作製した。このタンパク質は、プロテアーゼ欠損(prbl 1122,pep4−3)Saccharomyces cerevisiae株AB122(Pichuantesら、Protein Engineering Principles and Practice(1996)第5章、129〜161頁、ClelandおよびCraik編、Wiley−Liss,Inc.,New York)中の23kD SOD−G1の融合体として発現された。この構築物中で発現されたG1の82アミノ酸部分は、イムノドミナントエピトープにまたがり、そしていくつかのさらなる隣接配列を含む。抗原のSNVのG1部分の配列は図11Bに示される。
【0139】
【表2】
*生成されたタンパク質のアミノ酸配列はまた、G1配列のN末端上にメチオニン(M)を含んだ。
【0140】
(実施例2)
(ハンタウイルス組換えNタンパク質のクローニングおよび発現)
表3に示されるハンタウイルスN抗原は、以下のとおり調製した。PUUV、SEOV、SNVおよびANDVのハンタウイルスヌクレオカプシドタンパク質の遺伝子を、テンプレートとしてハンタウイルス組換えプラスミド由来のDNAを用いてPCRによって増幅した。組換えタンパク質中のハンタウイルスNタンパク質配列の一部を表3に示す。HTNVおよびDOBVのヌクレオカプシド遺伝子は、化学的に合成した。クローニングおよび発現は、本質的に上記のとおり行なった。生成された種々のN抗原は図13〜図18に示しており、そしてN抗原/SOD融合体のN末端に直接隣接して存在するSOD配列を図19に示す。
【0141】
【表3】
(実施例3)
(ハンタウイルス組換えタンパク質の精製)
上記のように生成したハンタウイルスタンパク質組換え体を、Dino−Mill装置を用いて、溶解緩衝液(50mM Tris,0.15M NaCl、1mM EDTA、pH8)中で、形質転換されたS.cerevisiae細胞を溶解することによって精製した。この溶解物を、1〜3Mの尿素を含有する溶解緩衝液を用いて数回洗浄して、pHを11.5に増大することによってタンパク質を可溶化し、次いでゲル濾過クロマトグラフィーに供した。組換えのANDVのGタンパク質およびDOBVのGタンパク質の精製はまた、硫酸アンモニウム沈殿およびPBS、0.1% SDS、1mM EDTAでの可溶化を含んだ。
【0142】
(実施例4)
(ハンタウイルス組換えタンパク質を用いるポリクローナル抗体生成)
精製された、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの組換えSOD融合G1抗原、ならびにSEOV、DOBV、SNVおよびANDVの組換え非融合Nタンパク質(上記の表2および3を参照のこと)を用いて、ウサギのポリクローナル抗体を生成した。2匹のウサギを免疫して50mlの抗血清を生成した。次いで、4〜20%のTris Glycineゲル上でのウエスタンブロット分析を用いて組換えタンパク質に対してこのポリクローナル抗体を試験した。各々の6つのG1抗原に対して生成した抗体は、種々のサイブタイプのG1抗原と交差反応することが示された。同様に、4つのNタンパク質の各々に対して生成された抗体は、種々のサブタイプのN抗原と交差反応性であることが示された。
【0143】
(実施例5)
(ストリップ・イムノブロットアッセイ(SIA))
上記のような、6つの血清型由来の、SOD配列を伴うかまたは伴わない、組換えG1抗原および組換えN抗原を、RIBA(登録商標)試験(Chiron Corp.,Emeryville,CA)のようなSIA中で用いる。このメンブレンは、支持体として不活性なプラスチック裏打ちを有するニトロセルロースからなる。各々HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来する6つのG1抗原、およびHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの各々に由来する6つのN抗原を、ニトロセルロースストリップに対して別のバンドで、75〜150ng/ストリップの濃度で加える。内部コントロールとして、さらなるバンドは、精製されたヒトIgGを、低レベルであるレベルI(50〜150ng/ストリップ)で、および高レベルであるレベルII(250〜350ng/ストリップ)で含む。
【0144】
製造業者の指示に従ってアッセイ手順を行う。全ての工程は室温で行う。各々のストリップを番号付けし、次いで別のチューブに入れて、ここに標本希釈緩衝液(リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)とウシタンパク質安定化剤および界面活性剤、防腐剤として0.1%アジ化ナトリウムおよび0.05%硫酸ゲンタマイシンを含有する)に含まれる1:50希釈のヒト血清を添加する。このチューブを4〜4.5時間穏やかに振盪し、その溶液を吸引によって取り出し、1mlの新鮮な希釈液を各々のチューブに添加する。このチューブを30分間振盪し、この溶液を吸引によって取り出し、洗浄緩衝液濃縮物(50×)(防腐剤として0.01%チメロサールを含むリン酸緩衝化界面活性剤溶液)から作製した1mlの洗浄緩衝液を各々のチューブに添加する。各々のチューブの内容物を、単一の洗浄容器に空けて、ストリップを20秒間の回旋によって洗浄する。洗浄緩衝液を、デカントして、30mlの新鮮緩衝液を添加して、このプロセスを繰り返す。残りの溶液を吸引によって取り除き、20mlの結合体溶液(ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗ヒトIgG(重鎖および軽鎖)、とウシタンパク質安定化剤、防腐剤としての0.01%チメロサール含有)を添加する。この容器を、9〜11分間110rpmで回転して、結合体溶液をデカントして、洗浄工程を3回繰り返す。残りの溶液を吸引によって再度取り除き、そして20mlの基質/展開液(4−クロロ−1−ナフトール含有メタノール/リン酸緩衝化過酸化水素)を添加して、その後に110rpmで15〜20分回転させる。この溶液をデカントして、そのストリップを蒸留水中で2回洗浄する。展開されたストリップを吸収性の紙上に表を上に置いて、暗野で30分間乾燥させる。
【0145】
血清は、反応性が、レベルIのIgGコントロールのバンド以上である場合にのみ、所定の抗原に対して反応性であるとみなされる(1+の反応性を示すものとして規定される)。レベルIIのIgGコントロールのバンドに対して等価な反応性は、3+の反応性を示すものとみなす。レベルIのIgGコントロールのバンドとレベルIIのIgGコントロールのバンドとの中間の反応性強度は、2+であるとみなされ、そしてレベルIIのバンドよりも強力な反応性は、4+であるとみなす。
【0146】
従って、ハンタウイルス感染を検出するための新規な方法を開示する。本発明の好ましい実施形態は、ある程度詳細に記載されているが、本明細書に記載の本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく明白な改変が行われ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1A】図1Aおよび図1B(配列番号1および配列番号2)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、HTNV単離株76−118の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図1A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図1B)を示す。
【図1B】図1Aおよび図1B(配列番号1および配列番号2)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、HTNV単離株76−118の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図1A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図1B)を示す。
【図2A】図2Aおよび図2B(配列番号3および配列番号4)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、PUUV単離株CG1820の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図2A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図2B)を示す。
【図2B】図2Aおよび図2B(配列番号3および配列番号4)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、PUUV単離株CG1820の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図2A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図2B)を示す。
【図3A】図3Aおよび図3B(配列番号5および配列番号6)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SEOV単離株80−39の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図3A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図3B)を示す。
【図3B】図3Aおよび図3B(配列番号5および配列番号6)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SEOV単離株80−39の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図3A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図3B)を示す。
【図4A】図4Aおよび図4B(配列番号7および配列番号8)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、DOBVの全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図4A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図4B)を示す。
【図4B】図4Aおよび図4B(配列番号7および配列番号8)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、DOBVの全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図4A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図4B)を示す。
【図5A】図5Aおよび図5B(配列番号9および配列番号10)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SNV単離株NM H10の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図5A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図5B)を示す。
【図5B】図5Aおよび図5B(配列番号9および配列番号10)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SNV単離株NM H10の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図5A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図5B)を示す。
【図6A】図6Aおよび図6B(配列番号11および配列番号12)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、ANDV単離株Chile−9717869の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図6A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図6B)を示す。
【図6B】図6Aおよび図6B(配列番号11および配列番号12)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、ANDV単離株Chile−9717869の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図6A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図6B)を示す。
【図7】図7Aおよび図7B(配列番号13および配列番号14)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なHTNVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図7A)および対応するアミノ酸配列(図7B)を示す。
【図8】図8Aおよび図8B(配列番号15および配列番号16)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なPUUVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図8A)および対応するアミノ酸配列(図8B)を示す。
【図9】図9Aおよび図9B(配列番号17および配列番号18)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSEOVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図9A)および対応するアミノ酸配列(図9B)を示す。
【図10】図10Aおよび図10B(配列番号19および配列番号20)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なDOBVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図10A)および対応するアミノ酸配列(図10B)を示す。
【図11】図11Aおよび図11B(配列番号21および配列番号22)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSNVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図11A)および対応するアミノ酸配列(図11B)を示す。
【図12】図12Aおよび図12B(配列番号23および配列番号24)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なANDVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図12A)および対応するアミノ酸配列(図12B)を示す。
【図13】図13Aおよび図13B(配列番号25および配列番号26)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株76−118由来の全長のHTNVのNの代表的なヌクレオチド配列(図13A)および対応するアミノ酸配列(図13B)を示す。
【図14】図14Aおよび図14B(配列番号27および配列番号28)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株CG1820由来の全長のPUUVのNの代表的なヌクレオチド配列(図14A)および対応するアミノ酸配列(図14B)を示す。
【図15】図15Aおよび図15B(配列番号29および配列番号30)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株80−39由来の全長のSEOVのNの代表的なヌクレオチド配列(図15A)および対応するアミノ酸配列(図15B)を示す。
【図16】図16Aおよび図16B(配列番号31および配列番号32)は、被験体アッセイにおける使用のための全長のDOBVのNの代表的なヌクレオチド配列(図16A)および対応するアミノ酸配列(図16B)を示す。
【図17】図17Aおよび図17B(配列番号33および配列番号34)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株NM H10由来の全長SNVのNの代表的なヌクレオチド配列(図17A)および対応するアミノ酸配列(図17B)を示す。
【図18】図18Aおよび図18B(配列番号35および配列番号36)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株Chile−9717869由来の全長ANDVのNの代表的なヌクレオチド配列(図18A)および対応するアミノ酸配列(図18B)を示す。
【図19】図19Aおよび図19B(配列番号37および配列番号38)は、実施例に記載された、G1抗原およびN抗原とのSOD融合において用いられた、代表的なヒトSODヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、それぞれ示す。この融合されたSOD配列は、図19Bのアミノ酸1〜158(図19Aのヌクレオチド1〜489)を含み、このアミノ酸は、クローニングのための制限部位を提供するために、C末端において非SOD配列の5つのアミノ酸(TRQNK、配列番号41)を含む。
【図20】図20(配列番号42)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/HTNVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図21】図21(配列番号43)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/PUUVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図22】図22(配列番号44)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SEOVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図23】図23(配列番号45)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/DOBVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図24】図24(配列番号46)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SNVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図25】図25(配列番号47)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/ANDVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図26】図26(配列番号48)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/HTNVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図27】図27(配列番号49)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/PUUVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図28】図28(配列番号50)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SEOVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図29】図29(配列番号51)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/DOBVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図30】図30(配列番号52)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SNVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図31】図31(配列番号53)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/ANDVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、仮特許出願第60/581,027号(2004年6月18日出願)の利益を主張し、この仮特許出願は、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
本発明は、NIH助成金U01 AIO54779の下、National Institute of Allergy and Diseasesからの支援によって行われた。従って、米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
【0003】
(技術分野)
本発明は、一般に、ハンタウイルスに関する。詳細には、本発明は、ハンタウイルス感染の診断のための組成物における使用のための、免疫原性ヌクレオカプシドおよび糖タンパク質ポリペプチドを含む、多数のハンタウイルス血清型由来の免疫原性試薬に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
ハンタウイルス(ブンヤウイルス科:ハンタウイルス属(Bunyaviridae:Hantavirus))は、脂質エンベロープがある、マイナス−センスRNAウイルスである。ウイルスゲノムのRNAは三部からなり、これは、それぞれ小、中および大のゲノムフラグメントについてS、MおよびLと一般に命名された3つのフラグメントからなる。このMセグメントは、G1およびG2と名付けられる、2つのエンベロープ糖タンパク質を形成するようにプロセシングされる前駆体タンパク質をコードする。このSセグメントは、ウイルスの繊維状のらせんヌクレオカプシドを形成し、体液性の応答を誘発する、Nと名付けられたヌクレオカプシドタンパク質をコードする。ゲノムのLセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RDRP)をコードする。20を上回る別個のハンタウイルスが、世界中の特定のげっ歯類または食虫類の宿主に関連して見出される。ヒトへの伝播の方式、天然の保有宿主およびヒト感染の臨床的特徴は概説されている(例えば、非特許文献1)を参照のこと)。
【0005】
ハンタウイルス肺症候群(HPS)はまた、ハンタウイルス心肺症候群(HCPS)としても公知であり、死亡率50%におよぶ急性の熱性疾患である。患者は非特異的な症状を示し、劇症型の肺水腫および心血管虚脱に急激に進行する。北米におけるHPSの主な因子は、シンノンブルウイルス(SNV;フォーコーナーズウイルス(Four Corners virus)およびムエルトキャニオンウイルス(Muerto Canyon virus)としても知られる)である(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。ニューヨークウイルス(NYV)、ブラッククリークカナルウイルス(BCCV)およびバイユウウイルス(BAYV)を含む、少なくとも3つの他のハンタウイルスが、北米におけるHPSに関連している。
【0006】
世界中で、腎症状を伴う出血熱(HFRS)を生じるユーラシアのハンタウイルスによって、病気のより大きい犠牲が発生している。HFRS関連のウイルスとしては、ハンターンウイルス(HTNV)、プーマラウイルス(PUUV)、ソウルウイルス(SEOV)、およびドブラバ−ベルグレード(Dobrava−Belgrade)ウイルス(DOBV)が挙げられる。(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)が挙げられる。HFRSの臨床的な徴候は一般に、HTNV感染およびDOBV感染について最も重篤であるが、一方、PUUV感染は、スカンジナビア、フィンランド、西ロシアおよび中央ヨーロッパで発生する、HFRSの軽度の形態である流行性腎症(nephropathia epidemica)(NE)に関連する。HFRSの最も重篤な形態では20%におよぶ死亡率が報告されている。
【0007】
HFRS関連のハンタウイルスのなかでも、HTNV、SEOVおよびDOBVは抗原的に類似している。HPS関連ウイルスはまた、お互いに密接に関連しており、PUUVと交差反応する。抗原の交差反応性は、ウイルスのNタンパク質の中で最も顕著である。組換え抗原診断アッセイでは、ウイルスN抗原は、ウイルス糖タンパク質よりも優性である。N抗原に対する抗体は、感染の経過の早期に生じて、回復期には普遍的に検出可能である。急性のSNV感染を有する全ての人が、臨床症状の発現によってIgMクラスのSNVのN抗原に対して検出可能な抗体を有し、そしてほぼ全てがN抗原およびG1抗原に対するIgG抗体を有する(非特許文献12)。SNVのG1抗体は、他のハンタウイルスのG1抗原とは反応性ではない(非特許文献13、非特許文献14)。
【0008】
ハンタウイルスは、ウイルス汚染されたげっ歯類の唾液、尿および糞便のエアロゾルの吸入を介してヒトに伝播する。研究者は、感染したげっ歯類のいる部屋に入るだけでハンタウイルス感染に罹患し得、このことはハンタウイルスが空気を通じて伝播するという有力な見解を強力に支持する。この観察はまた、屋内の曝露が極めて一般的であることを示す近年の疫学的な検討によって支持される。ヒトからヒトへの伝播は、アルゼンチンのアンデスウイルス(ANDV)について実証されており、そしてチリにおける2つの家族集団に起因する可能性が高い。このウイルスはまた、げっ歯類の咬傷後に伝播され得、そしておそらく、汚染された食物または水の摂取を通じて伝播され得る。
【0009】
ハンタウイルスの全ての種は、主に特異的なげっ歯類宿主に関連していると思われる。ハンタウイルスの3つの広範な群があり、そしてそれらは、げっ歯類の亜科であるネズミ亜科(Murinae)、ハタネズミ亜科(Arvicolinae)およびアメリカネズミ亜科(Sigmondontinae)に関連している。これらの種々の亜科におけるげっ歯類の間の系統発生的な関係は、ほとんどの部分で、各々の特定の保有宿主に関連するウイルスの系統発生的関係および抗原的関係と類似している。ハンタウイルスのこれらの群の各々は、公知のヒト病原体である1つ以上の種またはタイプを含む。種々のハンタウイルスに関する情報を表1に示す。
【0010】
【表1−1】
【0011】
【表1−2】
ハンタウイルス感染の管理には大きな進歩があったが、首尾よい管理には、疾患の死直前の段階よりも前に患者が診断される必要がある。三次的な看護の管理における進歩が生じており、ハンタウイルス感染に起因する死亡率を減少し得る。しかし、感染の進行は極めて急速であるので、これらの進歩は、診断が適時的な様式で行われ得る患者の予後にしか影響しないようである。田舎の環境に適切であって、疾患の初期段階の間に適用され得るハンタウイルス抗体の迅速な検出のための方法は、初期介入についての見通しを改善し得る。
【0012】
ハンタウイルス感染の適時的な診断のためにはいくつかのアッセイが試みられている。例えば、ハンタウイルス感染の血清学的診断のための種々の形式が、使用されており、これには、ビーズ凝集形式、実験室培養ウイルスを用いる免疫蛍光アッセイ形式および免疫沈降アッセイ形式、赤血球凝集素阻害形式、プラーク減少中和アッセイ形式およびフォーカス減少中和アッセイ形式、ならびにELISA形式が挙げられる(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。
【0013】
ストリップ・イムノブロットアッセイも、ハンタウイルス感染の効率的な診断の試みに用いられている(例えば、非特許文献12、非特許文献18、非特許文献19を参照のこと)。しかし、ハンタウイルスの多数の株を同定するための普遍的なアッセイで現在利用可能なものはない。
【非特許文献1】Mertzら,Adv.Internal Med.,第42巻,1997年,p.369〜421
【非特許文献2】Songら,Lancet,第344巻,1994年,p.1637
【非特許文献3】Khanら,J.Med.Virol,第46巻,1995年,p.281〜286
【非特許文献4】Kahnら,Am.J.Med.,第100巻,1996年,p.46〜48
【非特許文献5】Morzunovら,J.Virol,第69巻,1995年,p.1980〜1983
【非特許文献6】Rollinら,J.Med.Virol,第46巻,1995年,p.35〜39
【非特許文献7】Centers for Disease Control and Prevention,Morbid.Mortal.Weekly Rep.,第43巻,1993年,p.45〜48
【非特許文献8】Leeら、J.Infect.Dis.第137巻,1978年,p.298〜308
【非特許文献9】Leeら、J.Infect.Dis.第146巻,1982年,p.638〜644
【非特許文献10】Leeら、J.Infect.Dis.第146巻,1982年,p.645〜651
【非特許文献11】Brummer−Korvenkontioら,J.Infect.Dis.,第141巻,1980年,p.131〜134
【非特許文献12】Bharadwajら、J.Infect.Dis.第182巻,2000年,p.43〜48
【非特許文献13】Jenisonら,J.Virol.,第68巻,1994年,p.3000〜3006
【非特許文献14】Hjelleら,J.Gen.Virol.,第75巻,1994年,p.2881〜2888
【非特許文献15】Lundkvistら,Clin.Diagnos.Lab.Immunol.,第2巻,1995年,p.82〜86
【非特許文献16】Chuら,Virology,第198巻,1994年,p.196〜204
【非特許文献17】Elghら,J.Med.Virol.第45巻,1995年,p.146〜510
【非特許文献18】Hjelleら,J.Clin.Microbiol.,第35巻,1997年,p.600〜608
【非特許文献19】Yeeら,J.Wildl.Dis.,第39巻,2003年,p.271〜277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ハンタウイルス感染の正確で、効率的で、かつ迅速なアッセイの広範な利用可能性が高度に所望されており、そしてこれは、かなりの数の命を救い得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、ハンタウイルス感染を診断するための、そして存在するハンタウイルスのタイプを決定するための、単純、正確かつ効率的な方法を提供する。この方法によって、1つより多いハンタウイルス血清型由来のハンタウイルスのような、いくつかのハンタウイルスによって生じるハンタウイルス感染の、例えば、1時間未満での迅速な検出が可能になる。感染が検出されれば、その個体は死亡を防ぐために適切な時間で適切な処置を与えられ得る。この方法は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVを含む、少なくとも6つの異なるハンタウイルス血清型由来の、N抗原および/もしくはG1抗原、ならびに/またはこれらの抗原に対する抗体を利用する。このアッセイは、迅速かつ信頼の置ける診断試験を提供し、そして比較的洗練されていない実験室能力しかない施設での使用に適している。さらに、このアッセイを用いて、ハンタウイルス感染について野生のげっ歯類をスクリーニングして特定のげっ歯類集団がウイルスに感染しているか否かを確認し、それによって実験室の研究者ら、野外のクルー、および野生のげっ歯類とともに作業してそれに遭遇する他の人々における感染を予防し得る。
【0016】
組換え技術を用いて本明細書に記載の生成物を作製し、他のウイルス混入物および有害なタンパク質のような通常存在する他の分子を含まないタンパク質調製物を提供し得る。
【0017】
従って、1実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出する方法に関する。この方法は:
(a)この生物学的サンプルと少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原とを接触させる工程であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの組換え抗原が存在し、この接触させる工程は、ハンタウイルス抗体が、この生物学的サンプル中に存在する場合、このG1抗原またはN抗原の少なくとも1つと結合して、抗体/抗原複合体を形成する条件下で行われる、工程と;
(b)この抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによってこのサンプル中のハンタウイルス抗体の有無を検出する工程と、を包含する。この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は、少なくとも6つのハンタウイルス血清型、すなわち、ハンターン(HTNV)、プーマラ(PUUV)、ソウル(SEOV)、ドブラバ(DOBV)、シンノンブル(SNV)およびアンデス(ANDV)に由来する少なくとも1つの抗原が存在する限り、G1抗原およびN抗原の任意の組み合わせであり得る。好ましい実施形態では、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は全てN抗原である。
【0018】
さらなる実施形態では、この方法は、ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットに関する。この試験キットは:
(a)少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する組換え抗原と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と、を備える。
【0019】
好ましい実施形態では、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原は、全てN抗原である。
【0020】
さらなる実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗原を検出するための方法に関する。この方法は:
(a)この生物学的サンプルと少なくとも6つの異なる抗体とを接触させる工程であって、この抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、この6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在し、この接触工程は、ハンタウイルス抗原が、この生物学的サンプル中に存在する場合、この抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる工程と;
(b)この抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによってこのサンプル中のハンタウイルス抗原の有無を検出する工程と、を包含する。
【0021】
上記の方法の特定の実施形態では、この抗体はモノクローナル抗体である。
【0022】
さらに追加の実施形態では、本発明は、ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットに関する。この試験キットは:
(a)少なくとも6つの異なる抗体であって、この抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、この6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在する抗体と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える。
【0023】
上記の免疫診断試験キットの特定の実施形態では、この抗体はモノクローナル抗体である。
【0024】
さらなる実施形態では、本発明は、少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原を含む固体支持体であって、この少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、この血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する、固体支持体に関する。この固体支持体は、ニトロセルロースのストリップであってもよい。
【0025】
特定の実施形態では、この固体支持体はさらに、少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体を含み、このような1つ以上の抗体が、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体からなる群より選択され、上記ハンタウイルス抗原および抗ヒト免疫グロブリン抗体は、この固体支持体上の別個の位置に固定されている。
【0026】
さらなる実施形態では、この固体支持体はさらに、少なくとも2つの内部コントロールを含み、このコントロールの1つは、この固体支持体を用いるイムノアッセイにおける陽性の結果について検出下限を規定し、そして他方のコントロールは、この固体支持体を用いるイムノアッセイにおける高度に陽性の結果を規定する。
【0027】
さらなる実施形態では、本発明は、ハンタウイルスを検出するための免疫診断試験キットに関している。この試験キットは:
(a)上記のような固体支持体と;
(b)この免疫診断試験を行うための説明書と、
を備える。
【0028】
さらなる実施形態では、本発明は、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する方法に関する。この方法は:
(a)生物学的サンプルを提供する工程と;
(b)上記のような固体支持体を提供する工程と;
(c)この生物学的サンプルとこの固体支持体とを、ハンタウイルス抗体がこの生物学的サンプル中に存在する場合にこのハンタウイルス抗体がハンタウイルス抗原の少なくとも1つと結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で、接触させる工程と;
(d)抗体/抗原複合体の存在を検出して、それによって生物学的サンプルにおけるハンタウイルス抗体の存在を検出する工程とを、包含する。
【0029】
特定の実施形態では、上記の方法は、さらに:
(e)未結合のハンタウイルス抗体を除去する工程と;
(f)上記の抗体/抗原複合体と会合し得る1つ以上の部分を提供する工程と;
(g)この1つ以上の部分の存在を検出して、それによってこの生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する。
【0030】
特定の実施形態では、上記1つ以上の部分は、検出可能に標識されたハンタウイルス抗原を含む。これらおよび他の実施形態では、上記検出可能な標識は酵素であり得る。
【0031】
さらに追加の実施形態では、本発明は、実質的にハンタウイルスを含まない、全血、血小板、血漿または血清を含む血液供給源を調製する方法に関する。この方法は:
(a)上記の方法のいずれか1つの方法によって、収集した血液サンプルから全血、血小板、血漿または血清のアリコートをスクリーニングする工程と;
(b)ハンタウイルス抗原またはハンタウイルス抗体が検出される、任意のサンプルを排除する工程と;
(c)ハンタウイルス抗原もハンタウイルス抗体も検出されないサンプルを合わせて、ハンタウイルスを実質的に含まない血液供給源を提供する工程と;
を包含する。
【0032】
任意の上記の方法では、生物学的サンプルは、ヒト血液サンプル由来であり得る。さらに、上記の任意の実施形態では、G1抗原(単数または複数)は、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み得る。G1抗原(単数または複数)は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であってもよい。
【0033】
さらに、N抗原(単数または複数)は、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでもよい。他の実施形態では、N抗原(単数または複数)は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であってもよい。
【0034】
上記G1抗原(単数または複数)は、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含んでもよく、そして上記N抗原(単数または複数)は、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、このG1抗原(単数または複数)は、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ上記N抗原(単数または複数)は、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34および配列番号36からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である。
【0035】
さらなる実施形態では、ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来するN抗原の少なくとも1つが存在する。
【0036】
さらなる実施形態では、ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が、存在する。
【0037】
本発明のこれらのそして他の実施形態は、本明細書の開示の観点から当業者に容易に想起される。
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に示さない限り、当該分野の範囲内の、ウイルス学、化学、生化学、組換えDNA技術および免疫学の従来の方法を使用する。このような技術は、文献において詳細に説明される。例えば、Fudamental Virology,第三版、第I巻および第II巻(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編);Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,現行版);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.)を参照のこと。
【0039】
前出または下記のいずれであろうと、本明細書に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【0040】
本明細書全体にわたって以下のアミノ酸略号を用いる:
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:Gly(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)
(I.定義)
本発明の記載では、以下の用語を使用し、以下に示すとおりに規定されるものとする。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形「ある、1つの(a)、(an)」および「この、その(the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含することに注意しなければならない。従って、例えば、「1つのG1ポリペプチド(a G1 polypeptide)」という言及は、2つ以上のこのようなポリペプチドの混合物などを包含する。
【0042】
「ポリペプチド(polypeptide)」および「タンパク質(protein)」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指しており、この生成物の最小の長さは限定しない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などは、この定義に包含される。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方が、この定義によって包含される。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらに、本発明の目的に関しては、「ポリペプチド(polypeptide)」とは、タンパク質が所望の活性を維持している限り、天然の配列に対して、(一般には本質的に保存的な)欠失、付加および置換のような改変を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発を介するような故意的な改変であってもよく、またはこのタンパク質を生成する宿主の変異もしくはPCR増幅に起因するエラーなどを介するような偶発的な改変であってもよい。
【0043】
「抗原(antigen)」という用語は、本発明での使用のための種々のハンタウイルスポリペプチドに関連して用いる場合に、天然抗原であるか、組換え抗原であるかまたは合成抗原であるかにかかわらず、ハンタウイルス抗体を認識する1つ以上のエピトープを含み、検討中のハンタウイルス株の種々の単離株のいずれかに由来する、N、G1などのポリペプチドを指す。従って、「ハンタウイルス抗原(hantavirus antigen)」は、任意のハンタウイルス血清型、株および単離株由来の抗原であって、マウス亜科、アメリカネズミ亜科およびハタネズミ亜科の任意の種々の単離株を包含するが、これらには限定されない。例えば、SNV抗原は、任意の種々のシンノンブルウイルス単離株、例えば、プロトタイプのNew Mexico SNV単離株、3H226、California単離株類、British Columbia単離株類などに由来する。同様に、SEOV抗原は、任意の種々のソウルウイルス単離株などに由来する。本発明における使用のためのさらなる抗原は、他のHPS関連ハンタウイルスおよびHFRS関連ハンタウイルスに由来し得、このウイルスとしては、限定はしないが、シンノンブルウイルス(SNV;フォーコーナーズウイルスおよびムエルトキャニオンウイルスウイルスとしても公知);アンデスウイルス(ANDV);ニューヨークウイルス(NYV);ブラッククリークカナルウイルス(BCCV);バイユウウイルス(BAYV);ハンターンウイルス(HTNV)、プーマラウイルス(PUUV)、ソウルウイルス(SEOV)およびドブラバ−ベルグレード(DOBV)ウイルスが挙げられる。これらのウイルスのゲノム配列は公知であり、そして本発明の使用のためのいくつかの抗原配列は、以下にさらに詳述される。
【0044】
検討中の抗原は、参照分子の全長アミノ酸配列を含む必要はなく、このポリペプチドが適切なハンタウイルス抗体と反応するために必要な程度に多くの分子を含むだけでよい。従って、参照分子の1つまたは少数のエピトープだけしか存在する必要はない。さらに、抗原は、全長参照分子または参照分子のフラグメントと、別のタンパク質、例えば、別のハンタウイルス抗原および/またはハンタウイルス抗原の反応性を破壊しないタンパク質との間の融合タンパク質を含んでもよい。従って、この抗原は全長配列、フラグメント、短縮された配列および部分的な配列、ならびにこの参照分子のアナログ形態、ムテイン形態および前駆形態を含んでもよいことが容易に理解される。この用語はまた、この抗原がハンタウイルス抗体と反応する能力を保持する限り、参照配列に対する欠失、付加および置換を意図する。
【0045】
これに関して、特定のハンタウイルス株内で、天然のバリエーションが、単離株の間で出現する。従って、この用語は、このようなバリエーションを包含することが意図され、そして特に、アミノ酸組成において、参照抗原から、約20パーセント以下まで、さらに好ましくは約10〜15パーセント以下まで、そして最も好ましくは、約5パーセント以下まで変化する抗原を、包含することが意図される。参照分子と実質的に同じアミノ酸配列を有するが、この抗原の抗体結合能力に実質的に影響しないわずかなアミノ酸置換を保有するタンパク質は、従って、参照ポリペプチドの定義の範囲内である。
【0046】
ハンタウイルス血清型、株または単離株「〜に由来する、由来の(derived from)」抗原とは、参照のハンタウイルスゲノムによってコードされる抗原の配列を含む抗原を意図する。代表的には、抗原は、1つ以上のエピトープを含み、そして一般には、下記に規定されるような参照ポリペプチドに対して実質的に相同なアミノ酸配列を有する。従って、「〜に由来する、由来の」という用語は、分子のもとの供給源を特定するために用いられるが、この分子が作製される方法を限定することは意味せず、例えば、この方法は、化学的合成または組換え手段によるものであってもよい。
【0047】
「アナログ(analog)」および「ムテイン(mutein)」という用語は、参照分子の生物学的に活性な誘導体であって、本明細書に記載されるアッセイにおける免疫反応性のような所望の活性を保持する誘導体を指す。一般には、「アナログ」という用語は、改変が免疫原性活性を破壊せず、以下で規定されるような参照分子に対して、「実質的に相同(substantially homologous)」である限り、天然の分子に対して、1つ以上のアミノ酸付加、(一般には本質的に保存的な)置換および/または欠失を有する、天然のポリペプチド配列および構造を有する化合物をいう。種々の単離株の間で多数の保存された領域および可変領域が公知であり、そして一般には、これらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、この2つの配列が整列される場合、高い程度の配列相同性、例えば、50%を超える、一般には60%〜70%を超えるアミノ酸配列相同性を有する。「ムテイン(mutein)」という用語は、1つ以上のペプチド模倣物(「ペプトイド(peptoids)」)を有するペプチドをいう。好ましくは、アナログまたはムテインは、天然の分子と少なくとも同じ免疫反応性を有する。ポリペプチドアナログおよびムテインを作製するための方法は、当該分野で公知であり、そして下にさらに記載される。
【0048】
「アナログ」および「ムテイン」という用語はまた、参照分子に対して行われる、目的のある変異を包含する。特に好ましいアナログは、本質的に保存的である置換、すなわち、それらの側鎖に関するアミノ酸のファミリー内で生じるような置換を含む。詳細には、アミノ酸は一般に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性−アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは時には、芳香族アミノ酸として分類される。例えば、イソロイシンもしくはバリンでのロイシン、グルタミン酸でのアスパラギン酸、セリンでのトレオニンの単独の置換、または構造的に関連するアミノ酸でのアミノ酸の類似の保存的置換は、生物学的活性に大きな効果を有さないことが合理的に予測可能である。例えば、目的の抗原は、この分子の所望の機能が完全なままである限り、最大約5〜10個の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換、または最大約15〜25、50もしくは75の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換さえ、または5〜75の任意の整数の保存的もしくは非保存的なアミノ酸置換を含んでもよい。当業者は、当該分野で周知の、Hopp/WoodsプロットおよびKyte−Doolittleプロットを参照することによって、変化に耐容し得る目的の分子の領域を容易に決定し得る。
【0049】
「フラグメント(fragment)」とは、インタクトな全長ポリペプチド配列および構造の一部のみからなる抗原を意図する。フラグメントは、天然のポリペプチドのC末端欠失、N末端欠失および/または内部欠失を含んでもよい。本発明のアッセイにおける使用のための代表的なG1フラグメントは、本明細書の図7〜図12に示される。「免疫原性フラグメント(immunogenic fragment)」とは、1つ以上のエピトープを含み、それによって本明細書に記載の免疫学的応答のうちの1つ以上を誘発するハンタウイルスポリペプチドのフラグメントを意味する。特定のハンタウイルスタンパク質の「免疫原性フラグメント(immunogenic fragment)」は一般に、検討中のフラグメントが本明細書で規定されるような免疫学的応答を誘発する能力を保持する場合、エピトープを規定する全長分子の少なくとも約5〜10個の連続するアミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続するアミノ酸残基、そして最も好ましくは全長分子の少なくとも約20〜50個以上の連続するアミノ酸残基または5アミノ酸と全長配列との間の任意の整数の連続するアミノ酸残基を含む。
【0050】
「N抗原」とは、検討中のハンタウイルスのヌクレオカプシドタンパク質由来である、上で規定されたような抗原を意味する。種々のハンタウイルスNタンパク質についてのDNAおよび対応するアミノ酸配列が公知である。例えば、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来する代表的なN抗原のヌクレオチド配列および対応するアミノ酸配列は、それぞれ図13〜図18に示される。さらに、多数の単離株のNタンパク質をコードするSセグメントは、GenBankに寄託されており、そして下にさらに記載される。さらなる配列が、1995年1月5日公開の国際公開番号WO95/00648に記載される。Hjelleら、J.Virol(1994)68:592〜596は、SNV、プロスペクトヒルウイルス(PHV)およびPUUVに由来するN抗原のアミノ酸配列を記載する。
【0051】
上記に例示されるとおり、本発明のアッセイにおける使用のためのN抗原とは、検討中の特定のハンタウイルス感染を有する個体由来の生物学的サンプルに存在する抗体との反応性が維持されるように、全長タンパク質または実質的に全長のタンパク質、ならびに1つ以上のエピトープを含むこのタンパク質のフラグメント、融合体または変異体を包含する。例えば、本明細書に記載されるアッセイにおける使用のためのN抗原は、全長SNV N配列と別のハンタウイルス抗原のような別のタンパク質との間の組換え融合体であってもよく、そして/または全長SNV N配列と組換え発現において補助するタンパク質(例えば、50kDaのE.coliマルトース結合タンパク質、またはヒトもしくは酵母のスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)タンパク質)との融合体であってもよい。本発明のアッセイにおいて有用なNタンパク質の代表的な免疫反応性フラグメントは、SNV NM 10に対して番号付けして、Nポリペプチドの17位〜59位に見出されるアミノ酸の配列に対応している43個のアミノ酸のアミノ末端近位セグメントであり、かつアミノ酸配列QLVTARQKLKDAERAVELDPDDVNKSTLQSRRAAVSALETKLG(配列番号39)を有する。このフラグメントは、Nタンパク質のイムノドミナントのエピトープを含み、そしてこのエピトープに対する抗体は、PUUV、SEOVおよびHTNVに由来するNタンパク質と交差反応性である(例えば、Yamadaら、J.Virol.(1995)69:1939〜1943;および1995年3月2日公開の国際公開番号WO 95/06250を参照のこと)。従って、このフラグメント、およびこの配列を含むより大きいフラグメントは、本明細書におけるアッセイにおいて用途を見出す。Nタンパク質のエピトープの説明については、また、Lundkvistら、Clin.Diag.Lab.Immunol.(1995)2:82〜86;およびGottら、Virus Res.(1991)19:1〜16を参照のこと。
【0052】
「G1抗原」とは、上で規定されるような抗原であって、検討中のハンタウイルスの、G1として公知のエンベロープ糖タンパク質に由来する抗原を意味する。種々のハンタウイルスG1タンパク質についてのDNAおよび対応するアミノ酸配列が公知である。代表的なG1領域は本明細書の図1〜図6に示される。さらに、多数の単離株由来のG1タンパク質をコードするMセグメントが、GenBankに寄託されており、そして下にさらに記載される。上記の説明どおり、本発明のアッセイにおける使用のためのG1抗原としては、全長タンパク質または実質的に全長のタンパク質、およびこのタンパク質のフラグメント、融合体または変異体であって、検討中の特定のハンタウイルス感染を有する個体由来の生物学的サンプルに存在する抗体との反応性が保持されるような1つ以上のエピトープを含むものが挙げられる。本明細書に記載のアッセイで用いられるG1抗原としては、抗原の組換え体発現を容易にするための、検討中のG1抗原と図19に示されるヒトスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)配列との間の融合体が挙げられる。多数のハンタウイルス血清型由来のG1タンパク質の多数のさらなる代表的な免疫反応性フラグメントを本明細書の図7〜図12に示す。G1タンパク質の別の代表的な免疫反応性フラグメントは、SNV NM H10に対して番号付けして、アミノ酸59と89との間のセグメントにマッピングされた31個のアミノ酸ペプチドであり、そしてアミノ酸配列LKIESSCNFDLHVPATTTQKYNQVDWTKKSS(配列番号40)を有する。G1タンパク質のこの部分は、種々のSNV単離株由来のSNV抗体によって認識される免疫反応性の直鎖状エピトープを構成する(Jenisonら、J.Virol.(1994)68:3000〜3006)。このフラグメントは、この配列を含むより大型のフラグメントと同様に、本明細書のアッセイにおいて用途を見出す。
【0053】
ハンタウイルス抗原の「免疫原性(immunogenic)」配列とは、少なくとも1つのハンタウイルスエピトープを有するアミノ酸配列を含む分子であって、その分子が検討中のハンタウイルスに対する抗体と反応し得、適切な宿主において抗体の産生を刺激し得るような分子を意味する。「エピトープ(epitope)」とは、抗原上のある部位であって、それに対して特異的なB細胞および/またはT細胞が応答して、検討中のハンタウイルスエピトープが、生物学的サンプル中に存在するハンタウイルス抗体と反応し得るようにさせ、そして抗体産生を刺激し得るようにさせる部位を意味する。この用語はまた、「抗原性決定基(antigenic determinant)」または「抗原性決定部位(antigenic determinant site)」と交換可能に用いられる。エピトープは、このエピトープに対して固有の空間的構成で3つ以上のアミノ酸を含んでもよい。一般には、エピトープは、少なくとも5つのこのようなアミノ酸からなり、そしてさらに一般的には少なくとも8〜10個またはそれ以上のこのようなアミノ酸からなる。
【0054】
エピトープを含む所定のポリペプチドの領域は、当該分野で周知の多数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照のこと。例えば、直鎖状のエピトープは、例えば、タンパク質分子の一部に対応する多数のペプチドを、固体支持体上で同時に合成すること、およびこのペプチドがこの支持体に結合したままでこのペプチドを抗体と反応させることによって決定され得る。このような技術は当該分野で公知であり、そして例えば、その全体が全て本明細書に参考として援用される、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178〜182;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715に記載される。同様に、立体配置的なエピトープは、例えば、x線結晶学および2次元核磁気共鳴などによりアミノ酸の空間的立体構成を決定することによって容易に同定される。例えば、Epitope Mapping Protocols、前出を参照のこと。タンパク質の抗原性領域はまた、例えば、Oxford Molecular Groupから入手可能であるOmigaバージョン1.0ソフトウェアプログラムを用いて算出されるような、標準的な抗原性プロットおよび疎水性親水性指標プロットを用いて同定され得る。このコンピュータープログラムは、抗原性プロフィールを決定するためにはHopp/Woods法、Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824〜3828を、そして疎水性親水性指標プロットのためにはKyte−Doolittle技術、Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132を使用する。
【0055】
「免疫原性組成物(immunogenic composition)」とは、少なくとも1つの免疫原性ポリペプチド(例えば、Nおよび/またはG1のハンタウイルス抗原)を含む組成物である。
【0056】
「実質的に精製された(substantially purified)」とは一般に、物質(化合物、ポリヌクレオチド、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド組成物)の単離であって、この物質が存在するサンプルのほとんどの割合がこの物質からなるような、物質の単離をいう。代表的には、サンプル中で実質的に精製された成分は、そのサンプルのうち50%、好ましくは80〜85%、さらに好ましくは90〜95%を含む。目的のポリヌクレオチドおよびポリペプチドを精製するための技術は、当該分野で周知であり、そしてこれには、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよび密度による沈降が挙げられる。
【0057】
「単離された(isolated)」とは、ポリペプチドについて言及する場合、この示された分子が、その分子が天然に見出される生物体全体から分離されて別個であるか、または同じタイプの他の生物学的な高分子の実質的な非存在下で存在するポリペプチドを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された(isolated)」という用語は、それが天然に通常関連している配列を全体にまたは部分的に欠く核酸分子;または天然に存在するとおりの配列であるがそれに会合している異種配列を有する配列;または染色体から解離されている分子である。
【0058】
「等価な抗原性決定基(equivalent antigenic determinant)」とは、抗原性決定基が配列の変化に起因して必ずしも同一である必要はないが、検討中のハンタウイルス配列中の等価な位置に存在する、ハンタウイルスの異なる単離株または株に由来する抗原性決定基を意味する。一般には等価な抗原性決定基のアミノ酸配列は、2つの配列を整列させた場合、高い程度の配列相同性、例えば30%より大きい、通常は40%より大きい、例えば、60%より大きい、そしてさらに80〜90%より大きい相同性である、アミノ酸配列相同性を有する。
【0059】
「相同性(homology)」とは、2つのポリヌクレオチド部分の間、または2つのポリペプチド部分の間の同一性のパーセントをいう。2つの核酸配列、または2つのポリペプチド配列は、その配列がその分子のある規定の長さにわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示す場合、お互いに対して「実質的に相同性(substantially homologous)」である。本明細書において用いる場合、実質的に相同性とはまた、特定の配列に対して完全な同一性を示す配列をも意味する。
【0060】
一般には「同一性(identity)」とは、それぞれ2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の、ヌクレオチドとヌクレオチドとの、またはアミノ酸とアミノ酸との、正確な対応をいう。同一性パーセントは、配列を整列させること、この2つの整列された配列の間のマッチの正確な数をカウントすること、この参照配列の長さで割ること、そしてこの結果に100を掛けることにより、2つの分子(参照配列およびこの参照配列に対して同一性%が未知である配列)の間の配列情報の直接比較によって決定され得る。ペプチド分析のためのSmithおよびWaterman(Advances in Appl.Math.2:482〜489,1981)の局所相同性アルゴリズムに適合する、ALIGN(Dayhoff,M.O.Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、補遺5、3:353〜358、National biomedical Research Foundation,Washington,DC)のような容易に入手可能なコンピュータープログラムが分析を補助するのに用いられ得る。ヌクレオチド配列同一性を決定するためのプログラムは、例えば、Wisconsin Sequence Analysis Package,バージョン8(Genetics Computer Group,Madison,WIから入手可能)において利用可能なプログラムである、BESTFIT、FASTAおよびGAPであり、これもSmithおよびWatermanのアルゴリズムに依拠する。これらのプログラムは、製造業者によって推奨され、そして上記のWisconsin Sequence Analysis Packageに記載される初期パラメーターを用いて容易に利用される。例えば、参照配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性パーセントは、6つのヌクレオチド位置の初期スコアリングテーブルおよびギャップペナルティーにより、SmithおよびWatermanの相同性アルゴリズムを用いて決定され得る。
【0061】
本発明に関連して同一性パーセントを確立する別の方法は、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokによって開発され、そしてIntelliGenetics,Inc.(Mounain View,CA)によって頒布された、University of Edinburghが著作権を有するMPSRCHパッケージのプログラムを用いることである。この一連のパッケージから、Smith−Watermanアルゴリズムが使用されてもよく、ここでは初期パラメーターがスコアリングテーブルに用いられる(例えば、12のギャップオープンペナルティ、1のギャップエクステンションペナルティー、および6のギャップ)。作成されたデータからの「マッチ(Match)」値は、「配列同一性(sequence identity)」を反映する。配列の間の同一性パーセントまたは類似性パーセントを算出するための他の適切なプログラムは一般に当該分野で公知であり、例えば、別のアラインメントプログラムは、初期パラメーターとともに用いられるBLASTである。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下の初期パラメーターを用いて用いられ得る:遺伝暗号=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50配列;検索(sort by)=HIGH SCORE;データベース=非重複、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDSトランスレーション+Swissプロテイン+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、容易に入手可能である。
【0062】
あるいは、相同な領域の間に安定な二本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、およびその後の一本鎖特異的ヌクレアーゼ(単数または複数)による消化、および消化されたフラグメントのサイズ決定によって相同性は決定され得る。実質的に相同であるDNA配列は、その特定のシステムについて規定されるとおり、例えば、ストリンジェントな条件下で、サザンハイブリダイゼーション実験において同定され得る。適切なハイブリダイゼーション条件を決定することは、当業者の範囲内である。例えば、Sambrookら、前出;DNA Cloning、前出;Nucleic Acid Hybridization、前出を参照のこと。
【0063】
「組換え体(recombinant)」とは本明細書において用いる場合、ゲノム起源、cDNA起源、ウイルス起源、半合成起源または合成起源のポリヌクレオチドであって、その起源または操作のおかげで、天然において会合するポリヌクレオチドの全てまたは一部と会合しないポリヌクレオチドを意味する核酸分子をいう。「組換え体」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して用いられる場合、組換えポリヌクレオチドの発現によって生成されるポリペプチドを意味する。一般には、目的の遺伝子はクローニングされ、次いで下にさらに記載されるとおり、形質転換された生物体において発現される。宿主生物体は、発現条件下で、外来遺伝子を発現してタンパク質を生成する。
【0064】
「抗体(antibody)」とは、抗原に存在する目的のエピトープに特異的に結合する分子を意図する。「特異的に結合する(specifically binds)」とは、抗体と、例えば、この抗体が反応させられる試験基質との間で生じ得る非特異的な結合とは対照的に、抗体がエピトープを認識して、「鍵と鍵穴(lock and key)」のタイプの相互作用でこのエピトープと相互作用して、抗原と抗体との間の複合体を形成することを意味する。従って、抗ハンタウイルスG1抗体とは、ハンタウイルスG1タンパク質のエピトープに特異的に結合する分子である。「抗体(antibody)」という用語は、本明細書において用いる場合、ポリクローナル調製物およびモノクローナル調製物の両方から得られる抗体を包含し、そして、以下を包含する:ハイブリッド(キメラ)抗体分子(例えば、Winterら、Nature(1991)349:293〜299;および米国特許第4,816,567号);F(ab’)2フラグメントおよびF(ab)フラグメント;Fv分子(非共有結合的なヘテロ二量体、例えば、Inbarら、Proc Natl Acad Sci USA(1972)69:2659〜2662;およびEhrlichら、Biochem(1980)19:4091〜4096を参照のこと);単鎖Fv分子(sFv)(例えば、Hustonら、Proc Natl Acad Sci USA(1988)85:5879〜5883を参照のこと);二量体および三量体の抗体フラグメント構築物;ミニボディ(minibodies)(例えば、Packら、Biochem(1992)31:1579〜1584;Cumberら、J.Immunology(1992)149B:120〜126を参照のこと);ヒト化抗体分子(例えば、Riechmannら、Nature(1988)332:323〜327;Verhoeyanら、Science(1988)239:1534〜1536;および1994年9月21日公開、英国特許公開第GB2,276,169号を参照のこと);ならびにこのような分子から得られる任意の機能的フラグメントであって、親の抗体分子の免疫学的結合特性を保持するフラグメント。
【0065】
本明細書において用いる場合、「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」という用語は、相同な抗体集団を有する抗体組成物をいう。この用語は、抗体の種または供給源に関して限定されず、抗体が作製される方式によって限定されることもないものとする。この用語は、免疫グロブリン全体、ならびにFab、F(ab’)2、Fvおよび他のフラグメントのようなフラグメント、ならびに親のモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示すキメラのおよびヒト化した相同抗体集団を包含する。
【0066】
本明細書において用いる場合、「固体支持体(solid support)」とは、固体表面であって、そこに高分子、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチドが結合され得る固体表面をいい、例えば、磁気ビーズ、ラテックスビーズ、マイクロタイタープレートウェル、ガラスプレート、ナイロン、アガロース、ポリアクリルアミド、シリカ粒子、ニトロセルロース膜などをいう。
【0067】
「免疫学的に反応性(immunologically reactive)」とは、検討中の抗原が、ハンタウイルスに感染した個体由来の生物学的サンプル中に存在する抗ハンタウイルス抗体と特異的に反応することを意味する。
【0068】
「免疫複合体(immune complex)」とは、抗体が抗原上のエピトープに対して結合する場合に形成される組み合わせを意図する。
【0069】
本明細書において用いる場合、「生物学的サンプル(biological sample)」とは、限定はしないが、血液、血漿、血清、糞便、尿、骨髄、胆汁、脊髄液、リンパ液、脳脊髄液、皮膚のサンプル、皮膚の分泌物、呼吸器の分泌物、腸の分泌物および尿生殖器の管の分泌物、涙液、唾液、乳汁、血球、器官、生検のような、被験体から単離される組織または体液のサンプルをいい、そしてまた、限定はしないが、培養培地中の細胞および組織の増殖から生じる順化培地を含むインビトロの細胞培養成分のサンプル、例えば組換え細胞、および細胞成分をいう。上記で詳述されるサンプルは必ずしも、この供給源から直接得られる形態である必要はない。例えば、このサンプルは、例えば、分析の前の加熱、遠心分離などによって、使用の前に処理され得る。
【0070】
本明細書において用いる場合、「標識(label)」および「検出可能な標識(detectable label)」という用語は、限定はしないが、放射性同位体、蛍光剤、半導体ナノ結晶、化学発光剤(chemiluminescer)、発色団、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素インヒビター、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン、ストレプトアビジンまたはハプテン)などを包含する、検出可能な分子をいう。「蛍光剤(fluorescer)」という用語は、蛍光を検出可能範囲で示し得る、物質またはその一部をいう。本発明のもとで用いられ得る標識の特定の例としては、限定はしないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、フルオレセイン、FITC,ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、ジメチルアクリジニウムエステル(DMAE)、テキサスレッド、ルミノール、NADPHおよびα−β−ガラクトシダーゼが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
(II.本発明を実施する様式)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特定の処方物またはプロセス・パラメーターに限定されず、当然ながら変化し得るものとして理解されるべきである。本明細書において用いられる専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載するだけの目的であって、限定は意図しないこともまた、理解される。
【0072】
本明細書に記載されるものと同様または等価な多数の方法および物質が、本発明の実施において用いられ得るが、好ましい物質および方法が本明細書に記載される。
【0073】
本発明は、ハンタウイルス感染を正確に検出するための新規な診断方法の発明に基づく。この方法は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVを含む少なくとも6つの異なるハンタウイルス血清型に由来する、イムノドミナントなエピトープを含むハンタウイルスの組換えN抗原およびG1抗原、ならびに/またはこれらの抗原に対する抗体を利用する。特定の実施形態では、このアッセイは、例えば、上記の血清型の各々に由来する6つの組換えG1抗原(および/または6つのG1抗原に対する抗体)、および/または上記の血清型の各々に由来する6つの組換えN抗原を包含する。代替の実施形態では、このアッセイは、例えば、他の5つの血清型のうちの1つ以上と交差反応する抗体を生成する、これらの6つの血清型のうちのいずれか1つに由来する少なくとも1つの組換えN抗原、および6つの血清型の各々に由来する6つの組換えG1抗原を含んでもよい。例えば、このアッセイは、SNV由来のN抗原(および/またはN抗原に対する抗体)を含んでもよい。このアッセイはまた、好ましくはHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の6つ全てに由来するG1抗原(および/またはG1抗原に対する抗体)を含む。あるいは、このアッセイは、これらの6つの血清型のいずれか1つに由来する1つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)およびこれらの6つの血清型の各々に由来する6つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)を含んでもよい。別の実施形態では、このアッセイは、例えば、これらの6つの血清型のうち3つに由来するG1抗原(および/またはそれに対する抗体)およびこれらの6つの血清型の他の3つに由来する3つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)を含んでもよい。あるいは、このアッセイは、2つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および4つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または4つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および2つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または1つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および5つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または5つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および1つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または4つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体)および4つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)、または5つのG1抗原(および/またはそれに対する抗体および5つのN抗原(および/またはそれに対する抗体)などを含んでもよい。6つの血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVが示される限り、組換えG1抗原およびN抗原(および/またはそれに対する抗体)の任意の組み合わせが用いられてもよいことが容易に理解される。
【0074】
本発明のアッセイはまた、表1に記載される種々のハンタウイルス株のいずれかまたはその後に同定されたその他のハンタウイルス株に由来する、さらなるハンタウイルス抗原を利用し得る。
【0075】
必要に応じて他のハンタウイルスのタンパク質および/または抗体と組み合わせた、6つの血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するハンタウイルスのN抗原および/またはG1抗原(および/またはそれに対する抗体)の使用によって、種々の公知のハンタウイルス血清型のいずれかによって生じる感染の診断が可能になる。さらに、このアッセイは、感染を生じる特定のハンタウイルス血清型が特定され得るように適合され得る。例えば、種々のHPS関連のハンタウイルスおよびHFRS関連のハンタウイルスに感染した患者由来の生物学的サンプルは、SNVのN抗原と反応するが、SNVのG1抗原とは必ずしも反応しない。従って、SNVのN抗原との反応性が存在し、かつSNVのG1抗原との反応性が存在しないことによって、SNV以外のハンタウイルスなどによる感染が示される。広範な種々の抗原および抗原の組み合わせ(またはこれらの抗原に対する抗体)は、本発明の診断アッセイにおいて用いられ得ることが容易に理解される。
【0076】
この方法は、ヒトにおけるハンタウイルス感染、そしてげっ歯類集団におけるハンタウイルス感染を検出するのに有用である。この方法は、限定はしないが、全血、血清および血漿を含む血液サンプルにおけるハンタウイルス感染を検出し得る。従って、この方法は、被験体(例えばヒト被験体またはげっ歯類被験体)におけるハンタウイルス感染を診断するために用いられ得、そして提供された血液サンプルにおけるハンタウイルス混入を検出するために用いられ得る。個々の提供されたサンプルまたはプールされたサンプル由来のアリコートは、ハンタウイルスの存在下でスクリーニングされ得、そしてハンタウイルスで汚染されたこれらのサンプルまたはプールされたサンプルは、それらが合わされる前に排除され得る。この方法では、実質的にハンタウイルス混入のない血液供給源が提供され得る。
【0077】
本発明をさらに理解するために、さらに詳細な考察が、ハンタウイルスに関して、そして本発明の組成物および方法における使用のための種々のハンタウイルスの抗原および抗体に関して下に示される。
【0078】
(ハンタウイルス抗原)
上記で説明されるとおり、ハンタウイルス科のウイルスは、Bunyavirus属に属し、そしてこのウイルスはエンベロープがある、マイナス−センスRNAウイルスである。このウイルスゲノムのRNAは三連であり、それぞれ小、中および大のゲノムフラグメントについてS、MおよびLと一般に命名される3つのフラグメントからなる。Mセグメントは、単一のオープンリーディングフレームにおいてG1およびG2と名付けられる2つのエンベロープ糖タンパク質をコードする。このSセグメントは、Nと名付けられるヌクレオカプシドタンパク質をコードし、そしてこのゲノムのLセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。
【0079】
いくつかの別個のハンタウイルスが世界中の特定のげっ歯類宿主に関連して見出される(表1を参照のこと)。上記で説明したとおり、少なくとも6つの主要なハンタウイルス血清型HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するN抗原および/またはG1抗原が、本明細書において用途を見出す。これらの血清型に属すると同定された多数の単離株由来のN抗原およびG1抗原の配列、ならびにこれらの抗原をコードする核酸配列は公知である。G1抗原が由来し得る代表的な配列は、本明細書の図1〜図12に示される。この図に示されるG1抗原は、N末端メチオニンを含むが、本明細書における使用のためのG1ペプチドは、特に合成方法によって生成される場合、このメチオニンを含む必要はない。本明細書における使用のためのG1抗原は、全長G1タンパク質またはG1タンパク質の免疫原性フラグメントを含み得る。少なくとも、SNV NM H10に対して番号付けして、アミノ酸59〜89に示される31個のアミノ酸配列(LKIESSCNFDLHVPATTTQKYNQVDWTKKSS(配列番号40)に相当する領域を含むフラグメントが、特に有用である。G1タンパク質のこの領域は、免疫反応性の直鎖状エピトープを構成し、そして本明細書の図7〜図12に示されるG1免疫原性フラグメントの各々において見出される。この配列は、本明細書における目的の6つのハンタウイルス血清型で同じではない。従って、この配列に「対応する(corresponds)」非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸配列は、同じ領域におさまる非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸セグメントであり、この配列に対して相同性を示すが、この配列に対して100%の同一性を示す必要はないということが理解されるべきである。他の5つのハンタウイルス血清型における対応する領域は、本明細書の図7〜図12を参照して、容易に同定可能である。
【0080】
配列番号40に示されるアミノ酸の配列に相当するアミノ酸の配列を含む免疫原性G1抗原は、例えば、31アミノ酸から最大でG1分子の全長までを含み得、例えば、31〜500アミノ酸、好ましくは31〜250アミノ酸、そしてさらに好ましくは31〜150アミノ酸、例えば、31〜50...60...70...75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86...90...100...200...300...400...500、最大でG1分子の全長まで、またはこれらの範囲内の任意の整数のアミノ酸を含んでもよい。さらに、本明細書における使用のためのG1抗原は、エンベロープのC末端に見出される膜貫通結合ドメインおよび/または細胞質テールの全てまたは一部を欠いてもよい。従って、本発明は、膜貫通結合ドメインおよび細胞質テールを保持するエンベロープポリペプチド、ならびにこの膜貫通結合ドメインおよび/または細胞質テールの全てもしくは一部を欠く抗原、ならびにG1タンパク質の隣接部分の使用を意図する。このようなドメインの位置は、Kyte−Doolittle技術、Kyteら、J.Mol.Biol.(1982)157:105〜132のような、当該分野で周知のコンピュータープログラムおよびアルゴリズムを用いて容易に決定され得る。
【0081】
G1抗原が由来し得るさらなる配列は周知である。例えば、G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のHTNV配列のいずれかに由来し得る:NC_005219、AF345636、D25532、D25529、D00377、D00376、AF288645、AF366569、AF035831、Y00386、U38177、U37729、M14627およびL08753。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSNV配列のいずれかに由来し得る:L37903、L25783、AF030552、AF030551およびU02471。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列などの種々のANDV配列のいずれかに由来し得る:NC_003467およびAF291703。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSEOV配列のいずれかに由来し得る:AF458104、AB027521、AF288654、AF288652、AF288650およびS47716。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のPUUV配列のいずれかに由来し得る:NC_005223、AY526218、U14136、U22418、L08754、L08755、X61034,X55129およびM29979。G1配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のDOBV配列のいずれかに由来し得る:NC_005234、AJ410616、AY168578、AY168577およびL33685。
【0082】
N抗原が由来し得る代表的な配列は、本明細書の図13〜図18に示される。G1抗原について上述されたとおり、N抗原はN末端メチオニンを含んでも含まなくてもよい。本明細書における使用のためのN抗原は、全長Nタンパク質を含んでもよく、Nタンパク質の免疫原性フラグメントを含んでもよい。少なくとも、SNV NM H10に対して番号付けして、Nポリペプチドの17位〜59位に見出される43個のアミノ酸配列(QLVTARQKLKDAERAVELDPDDVNKSTLQSRRAAVSALETKLG(配列番号39)に相当する領域を含むフラグメントが、特に有用である。Nタンパク質のこの領域は、イムノドミナントなエピトープを含み、そしてこのエピトープに対する抗体は、PUUV、SEOVおよびHTNVに由来するNタンパク質と交差反応性である。
【0083】
この配列は、本明細書における目的の6つのハンタウイルス血清型で同じではない。従って、この配列に「対応する(corresponds)」非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸配列は、同じ領域におさまる非SNVハンタウイルス由来のアミノ酸セグメントであり、この配列に対して相同性を示すが、この配列に対して100%の同一性を示す必要はないということが理解される。他の5つのハンタウイルス血清型における対応する領域は、本明細書の図13〜図18を参照して容易に同定可能である。
【0084】
配列番号39に示されるアミノ酸の配列に相当するアミノ酸の配列を含む免疫原性N抗原は、例えば、43アミノ酸から最大でN分子の全長までを含み得、例えば、43〜350アミノ酸、好ましくは43〜300アミノ酸、そしてさらに好ましくは43〜200アミノ酸、さらにそれより好ましくは43〜100アミノ酸、例えば、43〜60...70...80...90...100...200...300...400、最大でN分子の全長まで、またはこれらの範囲内の任意の整数のアミノ酸を含んでもよい。
【0085】
N抗原が由来し得るさらなる配列は周知である。例えば、N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のHTNV配列のいずれかに由来し得る:AB127998、AB027101、AB027523、AB027097、D25533、AF288646、AF288644、AF427324、AF427323、AF427322、AF427320、AF427319、AF427318、AF366568、AY017064、AF321095、AF321094、AF288296、U37768およびM14626。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSNV配列のいずれかに由来し得る:NC_005216、L37904、L25784、L33816、L33683およびU02474。N配列は、以下の登録番号NC_003466、AF325966、AF0044660、およびAF291702としてNCBIに寄託された配列などの任意の種々のANDV配列のいずれかに由来し得る:。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のSEOV配列のいずれかに由来し得る:NC_005236、AF488708、AF488707、AY273791、AB027522、AF329390、AF288655、AF288653、AF288643、AF406965、AY006465。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のPUUV配列のいずれかに由来し得る:NC_005224、AY526219、AJ314601、AJ314600、AJ314599、AJ314598、AJ314597、AF442613、AF367071、AF367070、AF367068、AF367067、AF367066、AF367065、AF367064、AJ277030、AJ277076、AJ277075、AJ277034、AJ277033、AJ277032、AJ277031、AJ238791、AJ238790、AJ238789、AJ238788、X61035、AB010731、AB010730、U14137、AF294652、U22423、L08804、L11347およびM32750。N配列は、以下の登録番号でNCBIに寄託された配列のような種々のDOBV配列のいずれかに由来し得る:NC_005233、AJ616854、AJ410619、AJ410615、AJ131673、AJ131672、AJ269550、AJ269549、AJ009775、AJ009773、AY168576およびL41916。
【0086】
組換えN抗原およびG1抗原は、別個の生成物として提供されてもよく、またはHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの6つの血清型に由来する抗原に加えて、これらの6つの血清型の1つ以上に由来する他のハンタウイルス抗原を含むかまたはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する他のハンタウイルス抗原を含まない、種々のN抗原およびG1抗原の融合体として提供されてもよい。一例として、融合体は、上記の6つの血清型由来のG1抗原を含んでもよい。この融合体は単独で用いられてもよく、またはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する1つ以上のN抗原を含む第二の融合体と組み合わせて用いられてもよい。同様に、融合体は、上記の6つの血清型由来のN抗原を含んでもよく、そしてこの融合体は単独で用いられてもよいし、またはこれらの6つの血清型の1つ以上に由来する1つ以上のG1抗原を含む第二の融合体とともに用いられてもよい。あるいは、全てのN抗原およびG1抗原は、単独の融合体中で提供されても、または複数の融合体中で提供されてもよい。本発明の融合タンパク質は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するNおよび/またはG1抗原が存在する限り、多数の形態をとり得ることが容易に理解される。融合体が生成される場合、ポリペプチドは、ネイティブウイルスで見出されるのと同じ順序で組織化される必要はない。従って、例えば、G1ポリペプチドは、NポリペプチドのN末端またはC末端などに融合されてもよい。他の可能性のある融合タンパク質としては、ヒトもしくは酵母のスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)タンパク質、またはSODタンパク質のフラグメントと、ハンタウイルスのG1および/もしくはNポリペプチドとの融合体が挙げられる。ヒトSOD融合抗原として発現される組換えタンパク質の例については、Barrら、Vaccine(1987)5:90〜101;Pichuantesら、Proteins Struct.Fuct.Genet.(1989)6:324〜327;Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)23:13890〜13898を参照のこと。
【0087】
本発明での使用のための抗原は、標準的な技術を用いて得られ得る。例えば、ハンタウイルス抗原は、当該分野で周知の組換え方法を用いて都合よく生成される。例えば、ハンタウイルス抗原の組換え体生成の説明については、1995年1月5日公開の国際出願第WO95/00648号;1995年3月2日公開の国際公開第WO95/06240号;およびHjelleら、J.Virol(1994)68:592〜596を参照のこと。
【0088】
オリゴヌクレオチドプローブは、ハンタウイルスゲノムの公知の配列に基づいて考案され得、そして本発明において有用な抗原をコードするハンタウイルス遺伝子のゲノムライブラリーもしくはcDNAライブラリーをプローブ検出するために用いられ得る。次いでこの遺伝子は、標準的な技術を用いてさらに単離されてもよく、そして所望の場合、全長配列の所望の部分で遺伝子を変異させるために制限酵素が使用されてもよい。
【0089】
同様に、ハンタウイルス遺伝子は、公知の技術を用いて、例えば、フェノール抽出によって(例えば、1995年1月5日公開の国際公開第WO95/00648号を参照のこと)、感染組織から直接単離されてもよく、そしてこの配列は、任意の所望の改変を生成するようにさらに操作されてもよい。DNAを獲得して単離するために用いられる技術の説明については、例えば、Sambrookら、前出を参照のこと。最終的に、ハンタウイルス抗原をコードする遺伝子は、公知の配列に基づいて、合成的に生成されてもよい。このヌクレオチド配列は、所望の特定のアミノ酸配列の適切なコドンで消化され得る。一般には、この配列が発現されるところの、意図される宿主にとって好ましいコドンが選択される。完全な配列は一般に、標準的な方法によって調製される重複するオリゴヌクレオチドから集合させられて、完全なコード配列に集合させられる。例えば、Edge,Nature(1981)292:756;Nambairら、Science(1984)223:1299;Jayら、J.Biol.Chem.(1984)259:6311を参照のこと。
【0090】
ポリヌクレオチドは、天然に存在する種々のポリペプチドのコード配列を含んでもよいし、または天然には存在しない人工的な配列を含んでもよい。これらのポリヌクレオチドは、所望の場合、標準的な分子生物学的技術を用いて連結され、融合タンパク質のコード配列を形成してもよい。
【0091】
一旦コード配列が、調製されるかまたは単離されれば、このような配列は、任意の適切なベクター内またはレプリコン内にクローニングされてもよい。多数のクローニングベクターが当業者に公知であり、そして適切なクローニングベクターの選択は、好みの問題である。適切なベクターとしては、限定はしないが、適切な制御エレメントと会合された場合複製可能である、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体またはウイルスが挙げられる。次いで、コード配列を、発現のために用いられる系に依存して、適切な制御エレメントの制御下に配置する。従って、このコード配列は、目的のDNA配列が適切な形質転換体によってRNAに転写されるように、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌による発現のため)および必要に応じてオペレーターの制御下におかれてもよい。コード配列は、翻訳後プロセシングにおいて宿主によって後に除去され得るシグナルペプチドまたはリーダー配列を含んでもよいし、含まなくてもよい。例えば、米国特許第4,431,739号;同第4,425,437号;同第4,338,397号を参照のこと。
【0092】
存在するならば、シグナル配列は、目的のハンタウイルスポリペプチドと会合して見出される天然のリーダーであってもよい。例えば、発現されているハンタウイルスポリペプチドがG1抗原である場合、天然のG1リーダー配列の全てまたは一部が含まれ得る。あるいは、分泌の効率を増大し得る異種シグナル配列が存在し得る。多数の代表的なリーダー配列が当該分野で公知であり、そしてこれには、限定はしないが、酵母α因子リーダー、TPAシグナルペプチド、Igシグナルペプチドなどが挙げられる。これらの配列および他のリーダー配列の配列は当該分野で周知である。
【0093】
制御配列に加えて、宿主細胞の増殖に対して配列の発現の調節を可能にする調節配列を付加することが所望され得る。調節配列は、当業者に公知であり、そして化学的または物理的な刺激(調節性化合物の存在を含む)に対する応答において遺伝子の発現をオンまたはオフにする配列が例として挙げられる。他のタイプの調節エレメントもまた、ベクター中に存在し得る。例えば、構築物の発現レベルを増大するために、本明細書においてエンハンサー要素が用いられ得る。例としては、SV40初期遺伝子エンハンサー(Dijkemaら(1985)EMBO J.4:761)、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)由来のエンハンサー/プロモーター(Gormanら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6777)、およびCMVイントロンA配列に含まれる要素(米国特許第5,688,688号)ヒトのようなCMV由来の要素(Boshartら(1985)Cell 41:521)、が挙げられる。この発現カセットはさらに、適切な宿主細胞における自律性の複製のための複製起点、1つ以上の選択マーカー、1つ以上の制限部位、高コピー数のための能力、および強力なプロモーターを含んでもよい。
【0094】
特定のコード配列が適切な調節性配列を有するベクター内に配置されるように、発現ベクターが構築され、制御配列に対するコード配列の位置および方向は、このコード配列がこの制御配列の「制御(control)」下で転写されるようになっている(すなわち、この制御配列でDNA分子に結合するRNAポリメラーゼは、このコード配列を転写する)。目的の分子をコードする配列の改変が、この目的を達成するために所望され得る。例えば、ある場合には、適切な方向で制御配列に付加することができるように(すなわち、リーディングフレームを維持するために)配列を改変することが必要であるかもしれない。制御配列および他の調節性配列は、ベクターへの挿入の前にコード配列に連結されてもよい。あるいは、コード配列は、制御配列および適切な制限部位を既に含む、発現ベクターに直接クローニングされてもよい。
【0095】
上記で説明されるとおり、目的のポリペプチドの変異体またはアナログを生成することも所望され得る。本発明の組成物における使用のためのハンタウイルスポリペプチドの変異体またはアナログは、目的の分子をコードする配列の一部の欠失によって調製され得るか、配列の挿入によって調製され得るか、および/または配列内の1つ以上のヌクレオチドの置換によって調製され得る。ヌクレオチド配列を改変するための技術、例えば、部位特異的突然変異などは、当業者に周知である。例えば、Sambrookら、前出;Kunkel、T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1985)82:448;Geisselsoderら(1987)BioTechniques 5:786;ZollerおよびSmith(1983)Methods Enzymol.100:468;Dalbie−McFarlandら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci USA 79:6409を参照のこと。
【0096】
組換え発現を容易にするために、目的の分子を、例えば50kDaのE.coliマルトース結合タンパク質との融合体、ヒトもしくは酵母のスーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)またはそのフラグメントとの融合体のような、融合タンパク質として、あるいはユビキチン融合タンパク質として発現してもよい。
【0097】
この分子は、全てが当該分野で周知の昆虫発現系、哺乳動物発現系、細菌発現系、ウイルス発現系および酵母発現系を含む、広範な種々の系において発現され得る。例えば、バキュロウイルス系のような昆虫細胞の発現系は、当業者に公知であり、そして例えば、SummersおよびSmith、Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)に記載される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系の材料および方法は、とりわけ、Invitrogen,San Diego CA(「MaxBac」キット)のキット形態で市販される。同様に、細菌および哺乳動物細胞の発現系は、当該分野で周知であり、そして例えば、Sambrookら(前出)に記載される。酵母発現系もまた、当該分野で公知であって、例えば、Yeast Genetic Engineering(Barrら、編,1989)Butterworths,Londonに記載される。
【0098】
上記の系での使用のための多数の適切な宿主細胞もまた、公知である。例えば、哺乳動物細胞株は当該分野で公知であり、そしてこれには、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株、例えば、限定はしないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト胚性腎細胞、ヒト肝臓癌細胞(例えば、Hep G2)、Madin−Darbyウシ腎臓(「MDBK」)細胞、などが挙げられる。同様に、細菌の宿主、例えば、E.coli、Bacillus subtilisおよびStreptococcus spp.は、本発明の発現構築物での用途を見出す。本発明において有用な酵母宿主としては、とりわけ、Saccharomyces cerevisiae、Candida albicans、Candida maltosa、Hansenula polymorpha,Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis、Pichia guillerimondii、Piciha pastoris、Schizosaccharomyces pombeおよびYarrowia lipolyticaが挙げられる。バキュロウイルス発現ベクターでの使用のための昆虫細胞としては、とりわけ、Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mori、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia niが挙げられる。
【0099】
目的のヌクレオチド配列を含む核酸分子は、当該分野で周知の種々の遺伝子送達技術を用いて、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれてもよいし、または適切な宿主細胞において安定的なエピソームエレメント上に維持されてもよい。例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと。
【0100】
選択された発現系および宿主に依存して、この分子は、タンパク質が発現される条件下で上記の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を増殖させることによって生成される。次いで、この発現されたタンパク質を、宿主細胞から単離して、精製する。発現系がタンパク質を増殖培地中に分泌する場合、この産物は、培地から直接精製されてもよい。分泌されない場合、これは、細胞溶解液から単離されてもよい。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当該分野の範囲内である。
【0101】
このハンタウイルス抗原は、生物学的サンプル中のウイルスに対する反応性抗体の存在を検出する診断薬として本明細書において用いられる。さらに、この抗原は、どのハンタウイルスタイプが感染を担うかを決定するために用いられ得る。この抗原はまた、診断薬における使用のための抗体を産生するために用いられ得る。
【0102】
(ハンタウイルス抗体)
ハンタウイルス抗原を用いて、ハンタウイルス特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成し得る。ハンタウイルス特異的なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、ハンタウイルス抗原に特異的に結合する。ポリクローナル抗体は、マウス、ウサギ、ヤギまたはウマのような哺乳動物に対してハンタウイルス抗原を投与することによって生成され得る。免疫化された動物由来の血清を収集して、その抗体を、例えば、硫酸アンモニウムでの沈殿、およびその後のクロマトグラフィー(好ましくはアフィニティークロマトグラフィー)によって血漿から精製する。ポリクローナル抗血清を産生および処理するための技術は当該分野で公知である。
【0103】
このタンパク質に存在するハンタウイルス特異的エピトープに対するモノクローナル抗体はまた、容易に生成され得る。ハンタウイルス抗原で免疫された哺乳動物、例えば、マウス(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature(1975)256:495〜497を参照のこと)またはウサギ(例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第5675,063号を参照のこと)に由来する正常なB細胞を、例えば、HAT−感受性マウス骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマを生成し得る。ハンタウイルス特異的な抗体を生成するハイブリドーマは、RIAまたはELISAを用いて同定してもよく、そして半固体寒天中でのクローニングによって、または限界希釈によって単離してもよい。ハンタウイルス特異的な抗体を生成するクローンは、別の回のスクリーニングによって単離される。
【0104】
キメラ抗体を提供することが所望され得る。ヒトアミノ酸配列および非ヒトアミノ酸配列からなるキメラ抗体が、ヒトにおけるそれらの免疫原性を減じるためにマウスモノクローナル抗体分子から形成され得る(Winterら(1991)Nature 349:293;Lobuglioら(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:4220;Shawら(1987)J Immunol.138:4534;およびBrownら(1987)Cancer Res.47:3577;Riechmannら(1988)Nature 332:323;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534;およびJonesら(1986)Nature 321:522;1992年12月23日公開の欧州特許公開番号519,596号;および1994年9月21日公開の英国特許公開番号2,276,169号)。
【0105】
親のモノクローナル抗体分子の免疫学的結合特性を示し得る抗体分子フラグメント、例えば、F(ab’)2分子、Fv分子およびsFv分子は、公知の技術を用いて生成され得る。Inbarら(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659;Hochmanら(1976)Biochem 15:2706;Ehrlichら(1980)Biochem 19:4091;Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879;ならびにHustonらの米国特許第5,091,513号および同第5,132,405号;ならびにLadnerらの同第4,946,778号。
【0106】
代替として、ファージ−ディスプレイシステムを用いて、インビトロにおいてモノクローナル抗体分子集団を増殖させ得る。Saikiら(1986)Nature 324:163;Scharfら(1986)Science 233:1076;米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;Yangら(1995)J Mol Biol 254:392;Barbas,IIIら(1995)Methods:Comp.Meth Enzymol 8:94;Barbas,IIIら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:7978。
【0107】
一旦生成されれば、ファージディスプレイライブラリーを用いて、公知の技術を用いてFab分子の免疫学的結合親和性を改善し得る。例えば、Figiniら(1994)J.Mol.Biol.,239:68を参照のこと。ファージディスプレイライブラリーから選択されるFab分子の重鎖部分および軽鎖部分のコード配列は、単離されても合成されてもよく、そして発現のための適切なベクターまたはレプリコンにクローニングされ得る。上記に記載されたものを含む、任意の適切な発現系を用いてもよい。
【0108】
ハンタウイルス感染ヒト由来の血清サンプルのようなサンプル中の、ハンタウイルスまたはハンタウイルス抗原の存在を検出するために、ハンタウイルスエピトープに対する抗体は特に有用である。ハンタウイルス抗原についてのイムノアッセイは、1つの抗体またはいくつかの抗体を、単独で、またはハンタウイルス抗原と組み合わせて利用し得る。ハンタウイルス抗原についてのイムノアッセイは、例えば、ハンタウイルスエピトープに対するモノクローナル抗体、1つのハンタウイルスポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体の組み合わせ、異なるハンタウイルスポリペプチドのエピトープに対するモノクローナル抗体、同じハンタウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、異なるハンタウイルス抗原に対するポリクローナル抗体、またはモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の組み合わせを使用し得る。イムノアッセイプロトコールは、例えば、標識抗体を用いて、例えば競合アッセイ、直接反応アッセイまたはサンドイッチタイプのアッセイに基づき得、そして下にさらに記載される。この標識は、例えば、蛍光、化学発光または放射活性であってもよい。
【0109】
ハンタウイルス抗体はさらに、免疫親和性カラムによってハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原を単離するために用いられ得る。この抗体は、この抗体がその免疫選択性活性を保持するように、例えば、吸着によってまたは共有結合によって固体支持体に結合され得る。抗体の抗原結合部位が接近可能なままであるように、必要に応じて、スペーサー基が含まれてもよい。次いでこの固定された抗体を用いて、血液または血漿のような生物学的サンプル由来のハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原に結合させてもよい。この結合されたハンタウイルス粒子またはハンタウイルス抗原を、例えばpHの変化によってカラムマトリックスから回収する。
【0110】
(ハンタウイルス診断アッセイ)
上記で説明されるとおり、免疫原性ハンタウイルス抗原およびこの抗原に対する抗体をアッセイにおいて用いて、ハンタウイルス感染を同定し得る。代表的には、生物学的サンプル中のハンタウイルスの存在は、サンプル中のハンタウイルスに対する抗体の存在によって決定されるが、適切な場合には、ウイルスタンパク質の存在は、サンプル中のハンタウイルスの指標として検出されて用いられ得る。この試薬は、限定はしないが、全血、血清および血漿を含む血液サンプル中でハンタウイルスを検出するために用いられ得る。この抗原および抗体は、被験体、例えば、ヒトまたはげっ歯類の被験体におけるハンタウイルス感染を検出するために、そして提供された血液サンプルにおけるハンタウイルス混入を検出するために用いられ得る。従って、個々の提供されたサンプルまたはプールされたサンプル由来のアリコートを、ハンタウイルスの存在についてスクリーニングして、ハンタウイルスが混入したそれらのサンプルまたはプールされたサンプルを、それらが合わされる前に排除し得る。この方法では、ハンタウイルス混入を実質的に含まない血液供給源を得ることができる。「実質的にハンタウイルスを含まない(substantially free of hantavirus)」とは、本明細書に記載のアッセイを用いて、好ましくは下にさらに詳細に記載されるストリップ・イムノブロットアッセイを用いて、ハンタウイルスの存在が検出されないことを意味する。
【0111】
本明細書における使用のためのアッセイとしては、ウエスタンブロット;凝集試験;酵素標識イムノアッセイおよび酵素媒介イムノアッセイ(例えば、ELISA);ビオチン/アビジンタイプのアッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動法;免疫沈降、ストリップ・イムノブロットアッセイなどが挙げられる。反応としては一般には、露呈標識(revealing labels)例えば、蛍光標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識もしくは色素分子、または抗原と抗原に反応する抗体(単数または複数)との間の複合体の形成を検出するための他の方法が挙げられる。
【0112】
前述のアッセイは一般に、抗原−抗体複合体が結合されている固相支持体からの、液相中の未結合の抗体または抗原の分離を包含する。本発明の実施において使用され得る固体支持体としては、ニトロセルロース(例えば、メンブレン形態またはマイクロタイターウェル形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート);フッ化ポリビニリデン;ジアゾ化ペーパー;ナイロンメンブレン;活性化ビーズ、磁気反応性ビーズなどのような基板が挙げられる。
【0113】
本発明の1局面では、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原を、サンプル中の抗ハンタウイルス抗体の捕捉もしくは検出またはその両方のために用いる。本発明の別の局面では、ハンタウイルス抗原に対する抗体をサンプル中の抗ハンタウイルス抗原の捕捉もしくは検出またはその両方のために用いてもよい。分析物(すなわち、サンプル中の抗ハンタウイルス抗体またはハンタウイルス抗原)の「捕捉(capture)」とは、この分析物が、捕捉分子の結合によってサンプルの他の成分から分離され得ることを意味する。代表的には、この捕捉分子は、固体支持体と直接または間接的に会合される。代表的には、この検出分子は、検出可能標識と直接または間接的に会合される。
【0114】
代表的には、固体支持体は最初に、適切な結合条件下で固相成分(例えば、少なくとも6つのハンタウイルス血清型、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来するハンタウイルスのG1抗原および/もしくはN抗原、ならびに/または抗ハンタウイルス抗体)と反応され、その結果この成分はこの支持体に十分に固定される。時には、支持体に対する固定は、より良好な結合特性を有するタンパク質と最初にカップリングすることによって増強され得る。適切なカップリングタンパク質としては、限定はしないが、高分子、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)を含む血清アルブミン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン、免疫グロブリン分子、サイログロブリン、オボアルブミンおよび当業者に周知の他のタンパク質が挙げられる。支持体に対して抗原または抗体を結合するために用いられ得る他の分子としては、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマーなどが挙げられる。このような分子およびこれらの分子をカップリングする方法は、当業者に周知である。例えば、Brinkley、M.A.Bioconjugate Chem.(1992)3:2〜13;Hashidaら、J.Appl.Biochem.(1984)6:56〜63;ならびにAnjaneyuluおよびStaros,International J.of Peptide and Protein Res.(1987)30:117〜124を参照のこと。
【0115】
固体支持体と固相成分との反応後、固定化されていない固相成分を洗浄によってこの支持体から除去し、次いでこの支持体結合成分を、リガンド成分(すなわち、ハンタウイルスの抗原または抗体)を含むと疑われる生物学的サンプルと、適切な結合条件下で接触させる。非結合リガンドを除去するための洗浄後、二次結合因子部分を、適切な結合条件下で添加してもよく、ここで二次結合因子が、結合されたリガンドと選択的に会合し得る。次いで、二次結合因子の存在は当該分野で周知の技術を用いて検出され得る。
【0116】
さらに詳細には、ELISA法を用いてもよく、ここではマイクロタイタープレートのウェルが、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原、ならびに/または本発明の抗体でコーティングされる。次いで、抗ハンタウイルス免疫グロブリン分子またはハンタウイルス抗原のいずれかを含むかまたは含むと疑われる生物学的サンプルを、このコーティングされたウェルに添加する。抗原−抗体結合を可能にするのに十分なインキュベーション期間後、未結合の部分を除去するためにプレート(単数または複数)を洗浄し得、検出可能に標識された二次結合分子を添加し得る。この二次結合分子を、任意の捕捉サンプルと反応させて、プレートを洗浄し、二次結合分子の存在を当該分野で周知の方法を用いて検出する。
【0117】
1つの特定の形式では、ELISA抗原サンドイット形式を用いる。この場合、固体支持体は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原を用いてコーティングする。次いで、このサンプルを、抗ハンタウイルス抗体が存在するならば抗ハンタウイルス抗体が1つ以上のまたはハンタウイルス抗原に結合して抗原/抗体複合体を形成することを可能にする条件下で支持体と接触させる。未結合の試薬を除去して、結合された抗原/抗体複合体と反応する酵素的に標識された抗原(例えば標識されたハンタウイルスN抗原および/またはG1抗原)を添加する。酵素基質を用いてシグナルを生成する。
【0118】
別の形式で、固体支持体を種特異的な抗アイソタイプ抗体(例えば、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体、抗ヒトIgA抗体など)でコーティングする。次いでこの支持体とサンプルとを、このサンプル中に存在する抗体のこの抗アイソタイプ抗体に対する結合を可能にする条件下で接触させる。未結合の抗体を除去し得、結合した抗ハンタウイルス抗体の存在を、本発明の標識されたハンタウイルス抗原を用いて検出し得る。この標識は、代表的には、酵素標識、例えば、HRP、APである。
【0119】
別の実施形態では、生物学的サンプル由来の結合したハンタウイルスリガンドの存在は、この抗体リガンドに対する抗体を含む二次結合因子を用いて容易に検出され得る。多数の抗ヒト免疫グロブリン(Ig)分子が当該分野で公知であり、これは、当業者に公知の方法を用いて、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼまたはウレアーゼのような検出可能酵素標識に対して容易に結合体化され得る。次いで、適切な酵素基質を用いて検出可能なシグナルを生成する。他の関連の実施形態では、当業者に公知の方法を用いて、競合タイプのELISA技術を行ってもよい。
【0120】
サンプル中の抗ハンタウイルス抗体の検出のための他の形式は、公知であり、そして本発明のハンタウイルス抗原の組み合わせは、ハンタウイルス抗原を使用する任意の公知の方式で用いられ得る。例えば、Leeら、J.Infect.Dis.(1978)137:298〜308;Leeら、J.Infect.Dis.(1982)146:638〜644;Leeら、J.Infect.Dis.(1982)146:645〜651;Lundkvistら、Clin.Diagnos.Lab.Immunol.(1995)2:82〜86;Chuら、Virology(1994)198:196〜204;Elghら、J.Med.Virol.(1995)45:146〜150;Hjelleら、J.Clin.Microbiol.(1997)35:600〜608;Bharadwajら、J.Infect.Dis.(2000)182:43〜48;Yeeら、J.Wildl.Dis.(2003)39:271〜277)を参照のこと。
【0121】
HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスのG1抗原および/またはN抗原は、以下のとおりIgM捕捉ELISAで用いられ得る。抗ヒトIgM抗体(例えば、ヤギ抗ヒトIgM抗体)は、固体支持体に結合され、この支持体は、ハンタウイルスに対するヒトIgMの存在について試験されるべきサンプルと、抗ハンタウイルスIgMがもし存在するならば抗ハンタウイルスIgMが固体支持体に結合された1つ以上の抗ヒトIgM抗体に対して結合して抗体/抗体複合体を形成することを可能にする条件下で接触させられる。HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原は、抗体/抗体複合体中の抗ハンタウイルスIgMに対して結合し、抗体/抗体/抗原複合体の形成を可能にする条件下で添加される。未結合抗原が除去されて、検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体が、結合された抗原に対する結合を可能にする条件下で添加される。サンプル中のハンタウイルスに対するIgMの存在は、固体支持体に結合された、結合された抗ヒトIgM Ab/ヒト抗ハンタウイルスIgM/抗原複合体に対する検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体の存在によって決定される。あるいは、ハンタウイルス抗原自体が、検出可能に標識され得、これによって、検出可能に標識された抗ハンタウイルス抗体の必要性が省かれる。
【0122】
HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原はまた、以下のような間接的なIgG ELISAにおいて用いられ得る。抗原に特異的な抗体が、固体支持体に結合され、この支持体は、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスG1抗原および/またはN抗原と、この抗原がこの支持体に結合した抗ハンタウイルス抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で接触させられる。未結合の抗原を除去して、その支持体を、ハンタウイルスに対するヒトIgGの存在について検出されるべきサンプルと、ヒト抗ハンタウイルスIgGがもし存在するならばヒト抗ハンタウイルスIgGの抗体/抗原複合体中の抗原に対する結合を可能にする条件下で接触させる。結合した抗ハンタウイルスIgGの存在は、検出可能に標識された抗ヒトIgG抗体を用いて検出され得る。
【0123】
前述のアッセイ系式のいくつかは「ELISA」(酵素結合免疫吸着アッセイ(Enzyme Linked ImmunoSorbebant Assay))アッセイと呼ばれるが、「酵素結合した(enzyme linked)」結合部分以外の検出可能標識の使用が可能であり、そして多くの状況で望まれ得ることが当業者には明らかである。他の適切な検出可能標識が本明細書で記載されており、そして当該分野で周知である。
【0124】
アッセイはまた、ハンタウイルス抗原または抗原とこれらの分子に特異的なリガンドとが沈殿条件下で複合体を形成するように、溶液中で行われてもよい。1つの特定の実施形態では、この分子は、当該分野で公知のカップリング技術を用いて、例えば、直接化学的カップリングまたは間接カップリングによって、固相粒子(例えば、アガロースビーズなど)に結合されてもよい。次いで、このコーティングされた粒子を適切な結合条件下で、ハンタウイルスの抗体または抗原を含むことが疑われる生物学的サンプルと接触させる。結合された抗体間の架橋は、複合体凝集の形成を生じ、これが洗浄および/または遠心分離を用いて、サンプルから沈殿および分離され得る。この反応混合物は、上記の免疫診断方法のような多数の標準的な方法のいずれかを用いて複合体の有無を決定するために分析され得る。
【0125】
なおならなる実施形態では、免疫親和性マトリックスが提供され得、ここでは、例えば、ハンタウイルス抗体を含むことが疑われる生物学的サンプル由来の抗体のポリクローナル集団が基板に対して固定される。サンプルの最初の親和性精製は、固定された抗原を用いて行われてもよい。従って、得られたサンプル調製物は、抗ハンタウイルス部分のみを含み、親和性支持体における潜在的な非特異的結合特性を回避する。免疫グロブリン(インタクトまたは特定のフラグメントのいずれか)を高効率で固定する多数の方法および抗原結合活性の良好な保持が当該分野で公知である。一旦免疫グロブリン分子を固定して免疫親和性マトリックスを得れば、標識された分子を適切な結合条件下で、結合された抗体と接触させる。任意の非特異的に結合したハンタウイルス抗原が免疫親和性支持体から洗浄された後、結合された抗原の存在は、当該分野で公知の方法を用いて標識についてアッセイすることによって決定され得る。
【0126】
本発明の特に好ましい実施形態では、ストリップ・イムノブロット・アッセイ(SIA)を、試験ストリップ上に固定されたHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの少なくとも6つのハンタウイルス血清型に由来するハンタウイルスのG1抗原および/またはN抗原を用いて、生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出するために用いる。SIA技術は、当該分野で周知であり、そして従来的なウエスタンブロッティング技術およびドットブロッティング技術を組み合わせる(例えばRIBA(登録商標)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)SIA)。これらのアッセイでは、ハンタウイルス抗原を、メンブレン支持体上で、例えば、バンドまたはドットとして、個々の別個の部分として固定する。従って、メンブレン支持体上に「別個に固定された(discretely immobilized)」とは、この抗原が別個の成分として存在して、混合されず、その結果、存在する抗原の各々との反応性またはその欠失が評価され得ることを意味する。次いで、ハンタウイルスに対する抗体を含むことが疑われる生物学的サンプルを試験メンブレンと反応させる。生物学的サンプル中の抗ハンタウイルス反応性の可視化は、比色定量酵素基質と組み合わせて抗ヒト免疫グロブリン酵素結合体を用いて達成される。内部コントロール(例えば、抗ヒトIgM抗体および抗ヒトIgG抗体)もまた、試験メンブレン上に存在してもよい。このアッセイは、手動で行われてもいし、または自動形式で用いられてもよい。
【0127】
ストリップ・イムノブロットアッセイの実施で用いられ得る固体支持体としては、限定はしないが、セルロース、ポリアミド(ナイロン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンジフルオライド、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンおよび上記の組み合わせまたは誘導体からなる複合樹脂を含む多数の一次ポリマーに由来するメンブレン支持体が挙げられる。特に好ましいのは、セルロース由来の支持体、例えば、ニトロセルロースメンブレン、およびナイロンメンブレンである。この基板は一般に、支持体として不活性なプラスチック裏打ちを有する所望のメンブレンを含む。
【0128】
このメンブレンに対して加えられた抗原の量は、検討中の抗原に依存して変化する。一般には、抗原は、約20〜500ng/ストリップ、好ましくは50〜250ng/ストリップ、さらに好ましくは75〜150ng/ストリップの量でこのストリップに対して加えられる。当業者は、有効な結果を生じるのに必要な抗原の量を容易に決定し得る。あるいは、低濃度および高濃度のような2つの濃度のこの抗原が、存在してもよい。従って、例えば、SNVのN抗原は、上記で特定されたような濃度で、そして1つ以上のさらなるバンドで、例えば、約25〜200ngの濃度で、例えば、50〜150ng、例えば、100ng/ストリップで提供され得る。高レベルのコントロールは、十分に陽性の結果を得るのに十分高い量で、例えば200〜500ng/ストリップ、特に250〜350ng/ストリップ、例えば、300ng/ストリップの量で存在する。試験ストリップに対して加えられる抗原の濃度は、用いられる特定の抗原に依存して変化し、当業者によって容易に決定され得ることが明らかである。
【0129】
抗免疫グロブリン抗体、例えば、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および/または抗ヒトIgA抗体は、単独の濃度で、または2つの濃度(1つが低くかつ1つが高い濃度)で存在してもよい。例えば、抗IgG抗体は、約50〜250ng/ml、さらに好ましくは約75〜200ng/ml、そして最も好ましくは約100〜185ng/mlの濃度で存在し得る。約400〜1200ng/ml、より好ましくは約450〜1000ng/ml、そして最も好ましくは約500〜950ng/mlの濃度のように、別の内部コントロールを得るために、さらに高濃度の抗IgG抗体がまた、低濃度の抗IgGとともに存在してもよい。
【0130】
メンブレン支持体と所望の抗原およびIg分子との反応後、任意の非固定固相成分を、洗浄によってメンブレンから除去し、次いでメンブレン結合成分を、ハンタウイルスに対する抗体を含有することが疑われる生物学的サンプルと、適切な結合条件下で接触させる。任意の非結合抗体を除去するための洗浄後、二次結合因子部分を、二次結合因子が、結合抗体と選択的に会合し得る、適切な結合条件下で添加する。次いで、二次結合因子の存在は当該分野で周知の技術を用いて検出され得る。
【0131】
特に好ましい実施形態では、生物学的サンプル由来の結合した抗ハンタウイルス抗原リガンドの存在は、抗体リガンドに対する抗体を含む二次結合因子を用いて容易に検出され得る。市販のヤギ抗ヒトIgまたはウサギ抗ヒトIgのような多数の抗ヒト免疫グロブリン(Ig)分子が、当該分野で公知である。本明細書における使用のためのIg分子は、IgGタイプ、IgAタイプまたはIgMタイプの分子である。Ig分子は、当業者に公知の方法を用いて、とりわけ西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびウレアーゼのような検出可能酵素標識に対して容易に結合体化され得る。次いで適切な酵素基質を用いて、検出可能なシグナルを生成する。
【0132】
さらに、ヒト重鎖抗体およびヒト軽鎖抗体に対する結合体を用いて、SIAをIgG応答およびIgM応答の両方を検出可能にさせることができる。この設計は、感染の初期段階で抗体応答の検出の感度を増大するように機能し得る。
【0133】
ハンタウイルス抗原および/またはその抗体、結合した試薬を有する固体支持体、ならびに他の検出試薬を含む、上記のアッセイ試薬は、上記のアッセイを行うための適切な説明書および他の必要な試薬とともにキットで提供され得る。このキットはまた、コントロール処方物(陽性および/または陰性)、アッセイ方式が標識された試薬を要する場合標識試薬、そして標識がシグナルを直接生成しない場合シグナル生成試薬(例えば、酵素基質)を含み得る。アッセイを行うための説明書(例えば、書面、テープ、VCR、CD−ROMなど)が通常、キットに含まれる。このキットはまた、用いられる特定のアッセイに依存して、他のパッケージング試薬および物質(すなわち、洗浄緩衝液など)を含んでもよい。標準的なアッセイ、例えば、上記に記載されるアッセイは、これらのキットを用いて行われてもよい。
【0134】
(III.実験)
以下は、本発明を行うための特定の実施形態の実施例である。この実施例は、例示の目的のみのために提供され、そして本発明の範囲はいかなる方法でも限定しない。
【0135】
用いられる数(例えば、量、温度など)に関して正確性を保障するために労力を払っているが、ある程度の実験誤差および偏差は当然ながら許されるべきである。
【実施例】
【0136】
(実施例1)
(ハンタウイルス組換えG1タンパク質のクローニングおよび発現)
表2に示されるハンタウイルスG1抗原は以下のとおりに調製した。HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVのG1タンパク質の80〜83個のアミノ酸を含む組換えG1抗原をコードするヌクレオチドフラグメントを、各々の株について目的の領域に相当するオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いて合成した。この組換え抗原におけるG1タンパク質配列の一部を表2に示す。これらのフラグメントを、サブクローニングベクターにアニーリングして、連結してクローニングして、正確なヌクレオチド配列をDNA配列決定によって確認した。目的の領域を、制限エンドヌクレアーゼ処理によって切り出して、ADH2/GAPDHプロモーターフラグメントとともにpBS24.1中にクローニングした。プラスミドpBS24.1は、高コピー数の発現ベクターであって、これは、多種多様の組換えタンパク質を発現するように広範に用いられている(Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)23:13890〜13898;Pichuantesら、「Expression of heterologous gene products in yeast」Cleland JL、Craik C編、Protein engineering:a guide to design and production(1996)New York,NY,Wiley−Liss,Inc.,pp126〜161)。これは、2μ配列および自律複製のための逆方向反復(IR)配列、転写終結を確実にするためのα因子ターミネーター、ならびに選択のためのleu2−dおよびURA3を含む。アンピシリン耐性のためのβラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製起点もまた、Escherichia coliにおける選択および自律複製のためにこのベクター中に存在する。
【0137】
SOD融合構築物については、目的の領域を、ヒトSOD遺伝子とともにADH2/GAPDHプロモーターを既に含んだ、遺伝子操作されたpBS24.1ベクター内にクローニングした。ハンタウイルス組換え抗原のクローニングに用いられるヒトSODのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、Hallewellら、Bio/Technology(1987)5:363〜366に記載される。得られたプラスミドを、S.cerevisiae株AD3に形質転換して、その組換えタンパク質の発現を、SDS−PAGEおよびイムノブロット分析によってモニターした。生成された種々のSOD/G1の融合体としては、図19に示されるSOD配列のC末端に融合された図7〜図12に示されるG1配列が挙げられる。SOD/G1の融合体は、配列番号42〜47によって示される。
【0138】
以下のプロトコールに従って、SOD融合体を生成した。この考察は、SNVのG1/SOD融合体の産生を詳細に説明するが、残りの融合体は同じ方法で生成された。全長G1の広範な部分の発現が、不安定性および可変性の発現によって阻害されたので、SNVのG1(単離株NM H10の開始メチオニンに対して残基35〜117)のより小さい部分(82アミノ酸)を、図19に示されるヒトスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)配列との融合体において用いた。5’末端上にNcoI部位を、そして3’末端上にSalI部位および2つの終止コドンを導入したプライマーを用いて、pFCV−M−1275(Yamadaら、J.Virol(1995)69:1939〜1943)から、PCRによって小さいG1フラグメントを合成した。268bpのNcoI/SalI−消化フラグメントを用いて、pSOD/HIV2PR113(Pichuantesら、J.Biol.Chem.(1990)265:13890〜13898)の347bpのインサートを置き換えて、構築物pSOD/G1を作製した。pSOD/G1の603bpのStuI/SalIフラグメントを、ベクターpSI1/PR179(Pichuantesら、Proteins Struct.Funct.Genet.(1989)6:324〜327)に連結して、ADH2/GAPDHプロモーターを得た。次いで、得られた構築物の2093bpのBamHI/SalIカセットを酵母発現ベクターpBS24.1に導入して、最終発現構築物pSOD/SNV−G1を作製した。このタンパク質は、プロテアーゼ欠損(prbl 1122,pep4−3)Saccharomyces cerevisiae株AB122(Pichuantesら、Protein Engineering Principles and Practice(1996)第5章、129〜161頁、ClelandおよびCraik編、Wiley−Liss,Inc.,New York)中の23kD SOD−G1の融合体として発現された。この構築物中で発現されたG1の82アミノ酸部分は、イムノドミナントエピトープにまたがり、そしていくつかのさらなる隣接配列を含む。抗原のSNVのG1部分の配列は図11Bに示される。
【0139】
【表2】
*生成されたタンパク質のアミノ酸配列はまた、G1配列のN末端上にメチオニン(M)を含んだ。
【0140】
(実施例2)
(ハンタウイルス組換えNタンパク質のクローニングおよび発現)
表3に示されるハンタウイルスN抗原は、以下のとおり調製した。PUUV、SEOV、SNVおよびANDVのハンタウイルスヌクレオカプシドタンパク質の遺伝子を、テンプレートとしてハンタウイルス組換えプラスミド由来のDNAを用いてPCRによって増幅した。組換えタンパク質中のハンタウイルスNタンパク質配列の一部を表3に示す。HTNVおよびDOBVのヌクレオカプシド遺伝子は、化学的に合成した。クローニングおよび発現は、本質的に上記のとおり行なった。生成された種々のN抗原は図13〜図18に示しており、そしてN抗原/SOD融合体のN末端に直接隣接して存在するSOD配列を図19に示す。
【0141】
【表3】
(実施例3)
(ハンタウイルス組換えタンパク質の精製)
上記のように生成したハンタウイルスタンパク質組換え体を、Dino−Mill装置を用いて、溶解緩衝液(50mM Tris,0.15M NaCl、1mM EDTA、pH8)中で、形質転換されたS.cerevisiae細胞を溶解することによって精製した。この溶解物を、1〜3Mの尿素を含有する溶解緩衝液を用いて数回洗浄して、pHを11.5に増大することによってタンパク質を可溶化し、次いでゲル濾過クロマトグラフィーに供した。組換えのANDVのGタンパク質およびDOBVのGタンパク質の精製はまた、硫酸アンモニウム沈殿およびPBS、0.1% SDS、1mM EDTAでの可溶化を含んだ。
【0142】
(実施例4)
(ハンタウイルス組換えタンパク質を用いるポリクローナル抗体生成)
精製された、HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの組換えSOD融合G1抗原、ならびにSEOV、DOBV、SNVおよびANDVの組換え非融合Nタンパク質(上記の表2および3を参照のこと)を用いて、ウサギのポリクローナル抗体を生成した。2匹のウサギを免疫して50mlの抗血清を生成した。次いで、4〜20%のTris Glycineゲル上でのウエスタンブロット分析を用いて組換えタンパク質に対してこのポリクローナル抗体を試験した。各々の6つのG1抗原に対して生成した抗体は、種々のサイブタイプのG1抗原と交差反応することが示された。同様に、4つのNタンパク質の各々に対して生成された抗体は、種々のサブタイプのN抗原と交差反応性であることが示された。
【0143】
(実施例5)
(ストリップ・イムノブロットアッセイ(SIA))
上記のような、6つの血清型由来の、SOD配列を伴うかまたは伴わない、組換えG1抗原および組換えN抗原を、RIBA(登録商標)試験(Chiron Corp.,Emeryville,CA)のようなSIA中で用いる。このメンブレンは、支持体として不活性なプラスチック裏打ちを有するニトロセルロースからなる。各々HTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVに由来する6つのG1抗原、およびHTNV、PUUV、SEOV、DOBV、SNVおよびANDVの各々に由来する6つのN抗原を、ニトロセルロースストリップに対して別のバンドで、75〜150ng/ストリップの濃度で加える。内部コントロールとして、さらなるバンドは、精製されたヒトIgGを、低レベルであるレベルI(50〜150ng/ストリップ)で、および高レベルであるレベルII(250〜350ng/ストリップ)で含む。
【0144】
製造業者の指示に従ってアッセイ手順を行う。全ての工程は室温で行う。各々のストリップを番号付けし、次いで別のチューブに入れて、ここに標本希釈緩衝液(リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)とウシタンパク質安定化剤および界面活性剤、防腐剤として0.1%アジ化ナトリウムおよび0.05%硫酸ゲンタマイシンを含有する)に含まれる1:50希釈のヒト血清を添加する。このチューブを4〜4.5時間穏やかに振盪し、その溶液を吸引によって取り出し、1mlの新鮮な希釈液を各々のチューブに添加する。このチューブを30分間振盪し、この溶液を吸引によって取り出し、洗浄緩衝液濃縮物(50×)(防腐剤として0.01%チメロサールを含むリン酸緩衝化界面活性剤溶液)から作製した1mlの洗浄緩衝液を各々のチューブに添加する。各々のチューブの内容物を、単一の洗浄容器に空けて、ストリップを20秒間の回旋によって洗浄する。洗浄緩衝液を、デカントして、30mlの新鮮緩衝液を添加して、このプロセスを繰り返す。残りの溶液を吸引によって取り除き、20mlの結合体溶液(ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗ヒトIgG(重鎖および軽鎖)、とウシタンパク質安定化剤、防腐剤としての0.01%チメロサール含有)を添加する。この容器を、9〜11分間110rpmで回転して、結合体溶液をデカントして、洗浄工程を3回繰り返す。残りの溶液を吸引によって再度取り除き、そして20mlの基質/展開液(4−クロロ−1−ナフトール含有メタノール/リン酸緩衝化過酸化水素)を添加して、その後に110rpmで15〜20分回転させる。この溶液をデカントして、そのストリップを蒸留水中で2回洗浄する。展開されたストリップを吸収性の紙上に表を上に置いて、暗野で30分間乾燥させる。
【0145】
血清は、反応性が、レベルIのIgGコントロールのバンド以上である場合にのみ、所定の抗原に対して反応性であるとみなされる(1+の反応性を示すものとして規定される)。レベルIIのIgGコントロールのバンドに対して等価な反応性は、3+の反応性を示すものとみなす。レベルIのIgGコントロールのバンドとレベルIIのIgGコントロールのバンドとの中間の反応性強度は、2+であるとみなされ、そしてレベルIIのバンドよりも強力な反応性は、4+であるとみなす。
【0146】
従って、ハンタウイルス感染を検出するための新規な方法を開示する。本発明の好ましい実施形態は、ある程度詳細に記載されているが、本明細書に記載の本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく明白な改変が行われ得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1A】図1Aおよび図1B(配列番号1および配列番号2)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、HTNV単離株76−118の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図1A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図1B)を示す。
【図1B】図1Aおよび図1B(配列番号1および配列番号2)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、HTNV単離株76−118の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図1A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図1B)を示す。
【図2A】図2Aおよび図2B(配列番号3および配列番号4)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、PUUV単離株CG1820の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図2A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図2B)を示す。
【図2B】図2Aおよび図2B(配列番号3および配列番号4)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、PUUV単離株CG1820の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図2A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図2B)を示す。
【図3A】図3Aおよび図3B(配列番号5および配列番号6)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SEOV単離株80−39の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図3A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図3B)を示す。
【図3B】図3Aおよび図3B(配列番号5および配列番号6)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SEOV単離株80−39の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図3A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図3B)を示す。
【図4A】図4Aおよび図4B(配列番号7および配列番号8)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、DOBVの全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図4A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図4B)を示す。
【図4B】図4Aおよび図4B(配列番号7および配列番号8)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、DOBVの全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図4A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図4B)を示す。
【図5A】図5Aおよび図5B(配列番号9および配列番号10)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SNV単離株NM H10の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図5A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図5B)を示す。
【図5B】図5Aおよび図5B(配列番号9および配列番号10)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、SNV単離株NM H10の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図5A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図5B)を示す。
【図6A】図6Aおよび図6B(配列番号11および配列番号12)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、ANDV単離株Chile−9717869の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図6A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図6B)を示す。
【図6B】図6Aおよび図6B(配列番号11および配列番号12)は、G1およびG2のエンベロープタンパク質をコードする、ANDV単離株Chile−9717869の全長Mセグメントの代表的なヌクレオチド配列(図6A)、ならびに対応するG1タンパク質のアミノ酸配列(図6B)を示す。
【図7】図7Aおよび図7B(配列番号13および配列番号14)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なHTNVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図7A)および対応するアミノ酸配列(図7B)を示す。
【図8】図8Aおよび図8B(配列番号15および配列番号16)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なPUUVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図8A)および対応するアミノ酸配列(図8B)を示す。
【図9】図9Aおよび図9B(配列番号17および配列番号18)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSEOVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図9A)および対応するアミノ酸配列(図9B)を示す。
【図10】図10Aおよび図10B(配列番号19および配列番号20)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なDOBVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図10A)および対応するアミノ酸配列(図10B)を示す。
【図11】図11Aおよび図11B(配列番号21および配列番号22)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSNVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図11A)および対応するアミノ酸配列(図11B)を示す。
【図12】図12Aおよび図12B(配列番号23および配列番号24)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なANDVのG1ペプチドのヌクレオチド配列(図12A)および対応するアミノ酸配列(図12B)を示す。
【図13】図13Aおよび図13B(配列番号25および配列番号26)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株76−118由来の全長のHTNVのNの代表的なヌクレオチド配列(図13A)および対応するアミノ酸配列(図13B)を示す。
【図14】図14Aおよび図14B(配列番号27および配列番号28)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株CG1820由来の全長のPUUVのNの代表的なヌクレオチド配列(図14A)および対応するアミノ酸配列(図14B)を示す。
【図15】図15Aおよび図15B(配列番号29および配列番号30)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株80−39由来の全長のSEOVのNの代表的なヌクレオチド配列(図15A)および対応するアミノ酸配列(図15B)を示す。
【図16】図16Aおよび図16B(配列番号31および配列番号32)は、被験体アッセイにおける使用のための全長のDOBVのNの代表的なヌクレオチド配列(図16A)および対応するアミノ酸配列(図16B)を示す。
【図17】図17Aおよび図17B(配列番号33および配列番号34)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株NM H10由来の全長SNVのNの代表的なヌクレオチド配列(図17A)および対応するアミノ酸配列(図17B)を示す。
【図18】図18Aおよび図18B(配列番号35および配列番号36)は、被験体アッセイにおける使用のための単離株Chile−9717869由来の全長ANDVのNの代表的なヌクレオチド配列(図18A)および対応するアミノ酸配列(図18B)を示す。
【図19】図19Aおよび図19B(配列番号37および配列番号38)は、実施例に記載された、G1抗原およびN抗原とのSOD融合において用いられた、代表的なヒトSODヌクレオチドおよびアミノ酸配列を、それぞれ示す。この融合されたSOD配列は、図19Bのアミノ酸1〜158(図19Aのヌクレオチド1〜489)を含み、このアミノ酸は、クローニングのための制限部位を提供するために、C末端において非SOD配列の5つのアミノ酸(TRQNK、配列番号41)を含む。
【図20】図20(配列番号42)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/HTNVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図21】図21(配列番号43)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/PUUVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図22】図22(配列番号44)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SEOVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図23】図23(配列番号45)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/DOBVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図24】図24(配列番号46)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SNVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図25】図25(配列番号47)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/ANDVのG1の融合体のアミノ酸配列を示す。
【図26】図26(配列番号48)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/HTNVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図27】図27(配列番号49)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/PUUVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図28】図28(配列番号50)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SEOVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図29】図29(配列番号51)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/DOBVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図30】図30(配列番号52)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/SNVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【図31】図31(配列番号53)は、被験体アッセイにおける使用のための代表的なSOD/ANDVのNの融合体のアミノ酸配列を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出する方法であって:
(a)該生物学的サンプルと少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原とを接触させる工程であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの組換え抗原が存在し、該接触させる工程は、ハンタウイルス抗体が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗体が該G1抗原またはN抗原の少なくとも1つと結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる、工程と;
(b)該抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによって該サンプル中のハンタウイルス抗体の有無を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項1、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットであって、該試験キットが:
(a)少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する組換え抗原と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える、キット。
【請求項11】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項12】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項11に記載の免疫診断試験キット。
【請求項13】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項14】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項13に記載の免疫診断試験キット。
【請求項15】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項16】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項15に記載の免疫診断試験キット。
【請求項17】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項10〜請求項16のいずれか1項に記載の免疫診断試験キット。
【請求項18】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項10、請求項13または請求項14のいずれか1項に記載の免疫診断試験キット。
【請求項19】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗原を検出するための方法であって:
(a)該生物学的サンプルと少なくとも6つの異なる抗体とを接触させる工程であって、該抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、該6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在し、該接触工程は、ハンタウイルス抗原が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗原が該抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる、工程と;
(b)該抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによって該サンプル中のハンタウイルス抗原の有無を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項20】
該抗体がモノクローナル抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットであって、該試験キットが:
(a)少なくとも6つの異なる抗体であって、該抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、該6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在する抗体と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える、キット。
【請求項22】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項21に記載の免疫診断試験キット。
【請求項23】
少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原を含む固体支持体であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する、固体支持体。
【請求項24】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項25】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項24に記載の固体支持体。
【請求項26】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項27】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項26に記載の固体支持体。
【請求項28】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項29】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項28に記載の固体支持体。
【請求項30】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項23〜請求項29のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項31】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項23、請求項26または請求項27のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項32】
請求項23〜請求項31のいずれか1項に記載の固体支持体であって、少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体をさらに含み、前記ハンタウイルス抗原および該抗ヒト免疫グロブリン抗体が該固体支持体上の別個の位置に固定される、固体支持体。
【請求項33】
前記少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体が、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体からなる群より選択される、請求項32に記載の固体支持体。
【請求項34】
前記固体支持体が、該固体支持体の上に別個の位置で固定された抗ヒトIgM抗体および抗ヒトIgG抗体を含む、請求項33に記載の固体支持体。
【請求項35】
前記固体支持体が、該固体支持体の上に別個の位置で固定された抗ヒトIgA抗体をさらに含む、請求項34に記載の固体支持体。
【請求項36】
請求項23〜請求項35のいずれか1項に記載の固体支持体であって、少なくとも2つの内部コントロールをさらに含み、該コントロールの1つが、該固体支持体を用いるイムノアッセイにおける陽性の結果について検出下限を規定し、そして他方のコントロールが該固体支持体を用いるイムノアッセイにおける高度に陽性の結果を規定する、固体支持体。
【請求項37】
前記固体支持体がニトロセルロースストリップである、請求項23〜請求項36のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項38】
ハンタウイルスを検出するための免疫診断試験キットであって:
(a)請求項23〜請求項37のいずれか1項に記載の固体支持体と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と、
を備える、キット。
【請求項39】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する方法であって:
(a)生物学的サンプルを提供する工程と;
(b)請求項23〜請求項37のいずれか1項に記載の固体支持体を提供する工程と;
(c)該生物学的サンプルと該固体支持体とを、ハンタウイルス抗体が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗体が前記ハンタウイルス抗原の少なくとも1つと結合して、抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で接触させる工程と;
(d)該抗体/抗原複合体の存在を検出して、それによって該生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、さらに:
(e)未結合のハンタウイルス抗体を除去する工程と;
(f)前記抗体/抗原複合体と会合し得る1つ以上の部分を提供する工程と;
(g)該1つ以上の部分の存在を検出して、それによって該生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項41】
前記1つ以上の部分が、検出可能に標識されたハンタウイルス抗原を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記検出可能な標識が酵素である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記生物学的サンプルがヒト血液サンプル由来である、請求項1〜請求項9、請求項19、請求項20および請求項39〜請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
実質的にハンタウイルスを含まない、全血、血小板、血漿または血清を含む血液供給源を調製する方法であって:
(a)請求項1〜請求項9、請求項19、請求項20および請求項39〜請求項42のいずれか1項に記載の方法によって、収集した血液サンプルから全血、血小板、血漿または血清のアリコートをスクリーニングする工程と;
(b)ハンタウイルス抗原またはハンタウイルス抗体が検出される、任意のサンプルを排除する工程と;
(c)ハンタウイルス抗原もハンタウイルス抗体も検出されないサンプルを合わせて、ハンタウイルスを実質的に含まない血液供給源を提供する工程と;
を包含する、方法。
【請求項1】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体を検出する方法であって:
(a)該生物学的サンプルと少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原とを接触させる工程であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの組換え抗原が存在し、該接触させる工程は、ハンタウイルス抗体が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗体が該G1抗原またはN抗原の少なくとも1つと結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる、工程と;
(b)該抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによって該サンプル中のハンタウイルス抗体の有無を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項2】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項1、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットであって、該試験キットが:
(a)少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する組換え抗原と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える、キット。
【請求項11】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項12】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項11に記載の免疫診断試験キット。
【請求項13】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項14】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項13に記載の免疫診断試験キット。
【請求項15】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の免疫診断試験キット。
【請求項16】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項15に記載の免疫診断試験キット。
【請求項17】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項10〜請求項16のいずれか1項に記載の免疫診断試験キット。
【請求項18】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項10、請求項13または請求項14のいずれか1項に記載の免疫診断試験キット。
【請求項19】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗原を検出するための方法であって:
(a)該生物学的サンプルと少なくとも6つの異なる抗体とを接触させる工程であって、該抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、該6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、ここで、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在し、該接触工程は、ハンタウイルス抗原が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗原が該抗体に結合して抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で行われる、工程と;
(b)該抗体/抗原複合体の有無を検出し、それによって該サンプル中のハンタウイルス抗原の有無を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項20】
該抗体がモノクローナル抗体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ハンタウイルス感染を検出するための免疫診断試験キットであって、該試験キットが:
(a)少なくとも6つの異なる抗体であって、該抗体の各々が、6つのハンタウイルス抗原のうちの少なくとも1つに特異的であり、該6つのハンタウイルス抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原に特異的な少なくとも1つの抗体が存在する抗体と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と;
を備える、キット。
【請求項22】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項21に記載の免疫診断試験キット。
【請求項23】
少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原を含む固体支持体であって、該少なくとも6つのハンタウイルス組換え抗原が、ハンタウイルスのハンターン(HTNV)血清型、プーマラ(PUUV)血清型、ソウル(SEOV)血清型、ドブラバ(DOBV)血清型、シンノンブル(SNV)血清型およびアンデス(ANDV)血清型に由来するG1抗原および/またはN抗原の組み合わせを含み、該血清型の各々に由来する少なくとも1つの抗原が存在する、固体支持体。
【請求項24】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項25】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項24に記載の固体支持体。
【請求項26】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項27】
前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項26に記載の固体支持体。
【請求項28】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号40のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含み、前記N抗原(単数または複数)が、配列番号39のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の固体支持体。
【請求項29】
前記G1抗原(単数または複数)が、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46および配列番号47からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の抗原であり、かつ前記N抗原(単数または複数)が、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52および配列番号53からなる群より選択される、アミノ酸配列を含む1つ以上の抗原である、請求項28に記載の固体支持体。
【請求項30】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのG1抗原が存在し、かつハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項23〜請求項29のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項31】
ハンタウイルスのHTNV血清型、PUUV血清型、SEOV血清型、DOBV血清型、SNV血清型およびANDV血清型の各々に由来する少なくとも1つのN抗原が存在する、請求項23、請求項26または請求項27のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項32】
請求項23〜請求項31のいずれか1項に記載の固体支持体であって、少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体をさらに含み、前記ハンタウイルス抗原および該抗ヒト免疫グロブリン抗体が該固体支持体上の別個の位置に固定される、固体支持体。
【請求項33】
前記少なくとも1つの抗ヒト免疫グロブリン抗体が、抗ヒトIgM抗体、抗ヒトIgG抗体および抗ヒトIgA抗体からなる群より選択される、請求項32に記載の固体支持体。
【請求項34】
前記固体支持体が、該固体支持体の上に別個の位置で固定された抗ヒトIgM抗体および抗ヒトIgG抗体を含む、請求項33に記載の固体支持体。
【請求項35】
前記固体支持体が、該固体支持体の上に別個の位置で固定された抗ヒトIgA抗体をさらに含む、請求項34に記載の固体支持体。
【請求項36】
請求項23〜請求項35のいずれか1項に記載の固体支持体であって、少なくとも2つの内部コントロールをさらに含み、該コントロールの1つが、該固体支持体を用いるイムノアッセイにおける陽性の結果について検出下限を規定し、そして他方のコントロールが該固体支持体を用いるイムノアッセイにおける高度に陽性の結果を規定する、固体支持体。
【請求項37】
前記固体支持体がニトロセルロースストリップである、請求項23〜請求項36のいずれか1項に記載の固体支持体。
【請求項38】
ハンタウイルスを検出するための免疫診断試験キットであって:
(a)請求項23〜請求項37のいずれか1項に記載の固体支持体と;
(b)該免疫診断試験を行うための説明書と、
を備える、キット。
【請求項39】
生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する方法であって:
(a)生物学的サンプルを提供する工程と;
(b)請求項23〜請求項37のいずれか1項に記載の固体支持体を提供する工程と;
(c)該生物学的サンプルと該固体支持体とを、ハンタウイルス抗体が該生物学的サンプル中に存在する場合に該ハンタウイルス抗体が前記ハンタウイルス抗原の少なくとも1つと結合して、抗体/抗原複合体を形成することを可能にする条件下で接触させる工程と;
(d)該抗体/抗原複合体の存在を検出して、それによって該生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、さらに:
(e)未結合のハンタウイルス抗体を除去する工程と;
(f)前記抗体/抗原複合体と会合し得る1つ以上の部分を提供する工程と;
(g)該1つ以上の部分の存在を検出して、それによって該生物学的サンプル中のハンタウイルス抗体の存在を検出する工程と;
を包含する、方法。
【請求項41】
前記1つ以上の部分が、検出可能に標識されたハンタウイルス抗原を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記検出可能な標識が酵素である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記生物学的サンプルがヒト血液サンプル由来である、請求項1〜請求項9、請求項19、請求項20および請求項39〜請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
実質的にハンタウイルスを含まない、全血、血小板、血漿または血清を含む血液供給源を調製する方法であって:
(a)請求項1〜請求項9、請求項19、請求項20および請求項39〜請求項42のいずれか1項に記載の方法によって、収集した血液サンプルから全血、血小板、血漿または血清のアリコートをスクリーニングする工程と;
(b)ハンタウイルス抗原またはハンタウイルス抗体が検出される、任意のサンプルを排除する工程と;
(c)ハンタウイルス抗原もハンタウイルス抗体も検出されないサンプルを合わせて、ハンタウイルスを実質的に含まない血液供給源を提供する工程と;
を包含する、方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2008−503720(P2008−503720A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516512(P2007−516512)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/018066
【国際公開番号】WO2006/088478
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507251918)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/018066
【国際公開番号】WO2006/088478
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(507251918)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】
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