説明

ハンドスキャナの固定器具、及び、情報処理装置

【課題】確実にハンドスキャナのON/OFFが可能となるハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置を提供すること。
【解決手段】 POSシステム100のハンドスキャナ24を有する縦型スキャナ2は、縦型スキャナ2の側面取り付けられる取付部35に連結して設けられ、開口部40により略コ字状に形成されるとともに、ハンドスキャナ24を引き掛ける保持部39と、保持部39をハンドスキャナ24の自重で移動させる移動機構32と、保持部39の移動を検知する検知手段33と、検知手段33により検知された保持部39の移動により、ハンドスキャナ24のON/OFFを行うスキャナコントローラ72と、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードをレーザ光により読み取るハンドスキャナの固定器具、及び、この固定器具を用いた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗のレジカウンタに設けられたPOSシステムの情報処理装置として、POSターミナル及び縦型スキャナ等が用いられている。これらの情報処理装置は、例えば、POSターミナルがレジ台に配置されるとともに、縦型スキャナはサッカー台(流し台)に配置される。
【0003】
縦型スキャナは、光学式マーク認識によりバーコード等を読み取り可能に形成されている。縦型スキャナは、サッカー台に固定されて配置されるため、重い商品等では、縦型スキャナを用いてバーコードを読み取ることが困難なこともある。このため、POSターミナルや縦型スキャナに光学式マーク認識によりバーコード等を読み取り可能な小型のハンドスキャナを有する縦型スキャナも知られている。
【0004】
このようなハンドスキャナを縦型スキャナに用いる場合には、ハンドスキャナの未使用時において、レジ台、サッカー台、縦型スキャナ又はレジカウンタ等に設けられた固定器具(専用の置き台)に置かれる。このようなハンドスキャナの固定器具として、例えば、穴部を有したシート状体を折り曲げることで作成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ハンドスキャナを横方向に載置することで、トリガスイッチによりハンドスキャナのON/OFFが可能な置き台を有する情報処理装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置では、次のような問題があった。即ち、ハンドスキャナの未使用時に、買い物籠等がハンドスキャナのケーブルに接触することで、固定器具からハンドスキャナが脱落する虞がある。
【0006】
また、上述した、ハンドスキャナのON/OFFが可能な情報処理装置では、縦型スキャナ等のハンドスキャナを載置する置き台(固定器具)を設けるスペースが制限される情報処理装置では、適用が困難である。さらに、この置き台は、情報処理装置の筐体の一部により形成されている。このため、情報処理装置の形状によっては、設けることができない場合もある。また、置き台へのハンドスキャナの載置によっては、ハンドスキャナとトリガスイッチとの接触不良により、ハンドスキャナのON/OFFが成されないこともある。
【0007】
そこで本発明は、ハンドスキャナの脱落を防止するとともに、ハンドスキャナを固定器具から脱離させたときに、ハンドスキャナにより商品の読み取りを行うことが可能なハンドスキャナの固定器具及び情報処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明のハンドスキャナの固定器具、及び、情報処理装置は次のように構成されている。
【0009】
本発明の一態様として、商品を読み取る読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナの固定器具であって、その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する保持部と、前記ハンドスキャナを保持した前記保持部を、前記ハンドスキャナの自重で所定の位置まで移動させる移動機構と、を備えることを特徴とするハンドスキャナの固定器具が提供される。
【0010】
本発明の一態様として、商品を読み取る読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナと、その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する保持部と、前記ハンドスキャナを保持した前記保持部を、前記ハンドスキャナの自重で第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動させるとともに、前記ハンドスキャナが脱離した前記保持部を、前記第2の所定の位置から前記第1の所定の位置まで移動させる移動機構と、少なくとも前記保持部が前記第1の所定の位置に移動することで、前記読み取り部により前記商品を読み取り可能とする制御手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドスキャナの脱落を防止するとともに、ハンドスキャナを固定器具から脱離させたときに、ハンドスキャナにより商品の読み取りを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係るPOSシステムの構成を示す斜視図。
【図2】同POSシステムに用いられる縦型スキャナ及びハンドスキャナの構成を示す斜視図。
【図3】同ハンドスキャナを保持する固定器具の構成を示す斜視図。
【図4】同固定器具の構成を模式的に示す断面図。
【図5】同縦型スキャナの構成を模式的に示すブロック図。
【図6】本発明の変形例に係る固定器具の構成を模式的に示す断面図。
【図7】本発明の変形例に係る固定器具の構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係るPOSシステム100を図1〜5を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るPOSシステム100の構成を示す斜視図、図2は同POSシステム100に用いられる縦型スキャナ2及びハンドスキャナ24の構成を示す斜視図、図3は同ハンドスキャナ24を保持する固定器具25の構成を示す斜視図、図4は同固定器具25の構成を示す分解斜視図、図5は同固定器具25の要部構成を示す分解斜視図、図6は同縦型スキャナ2の構成を模式的に示すブロック図である。なお、図1〜6中、Dはボルトを、Bはバスラインを、Kはケーブルを、Sは信号線をそれぞれ示している。
【0014】
図1に示すように、POSシステム100は、スーパ等のレジカウンタ200に設けられている。POSシステム100は、情報処理装置として、POSターミナル1と、ハンドスキャナ24を有する縦型スキャナ2と、を備えている。
【0015】
レジカウンタ200は、レジ台201と、サッカー台202とを備えている。例えば、レジカウンタ200は、レジ台201とサッカー台202とをL字状に並設させて構成されている。なお、レジカウンタ200は、L字状でなくとも良く、レジ台201及びサッカー台202の一方でも良いし、これら以外であってもよい。
【0016】
POSターミナル1は、レジ台201上に配置されている。POSターミナル1は、筐体10と、キーボード11と、オペレータ用ディスプレイ12と、カスタマ用ディスプレイ13と、プリンタ14と、ドロワ15と、を備えている。また、POSターミナル1は、サーバや縦型スキャナ2と接続する通信インターフェイスを備えている。
【0017】
図1,2に示すように、縦型スキャナ2は、サッカー台202に固定されている。縦型スキャナ2は、固定スキャナ20と、キーボード21と、オペレータ用ディスプレイ22と、カスタマ用ディスプレイ23と、ハンドスキャナ24と、を備えている。また、縦型スキャナ2は、その側面2aであって、例えばオペレータ用ディスプレイ22の下方に、ハンドスキャナ24用の固定器具25が設けられている。なお、縦型スキャナ2の側面2aには、例えば、固定器具25が設けられるとともに、固定器具25の移動を案内する案内レール(案内手段)2bが側面2aに沿って上下方向に延設されている。
【0018】
固定スキャナ20は、商品に付与されたバーコードを光学的に走査して読み取る、所謂、光学式マーク認識(OMR:Optical Mark Recognition)機能を有している。固定スキャナ20は、バーコードを光学的に走査して読み取るためのレーザ光を発生させるとともに、この発生させたレーザ光をバーコードに走査させることで、バーコードに記載された情報を読み取り可能に形成されている。オペレータ用ディスプレイ22は、例えば、タッチパネル式ディスプレイが用いられる。
【0019】
図2に示すように、ハンドスキャナ24は、光学式マーク認識機能を有している。即ち、ハンドスキャナ24は、固定スキャナ20と同様に、商品に付与されたバーコードを認識可能に形成されている。ハンドスキャナ24は、ハンドル26と、ヘッド部27と、認識部(読み取り部)28と、ケーブルKと、を備えている。
【0020】
ハンドル26は、オペレータが把持可能な棒状に形成されている。また、ハンドル26は、ハンドル26の少なくとも一端側の幅がハンドル26の胴部の幅より若干狭く形成されている。
【0021】
ヘッド部27は、ハンドル26の一端側から連続して設けられている。ヘッド部27は、ハンドル26の幅よりもその幅が広く形成されている。また、ヘッド部27は、ハンドル26から屈曲又は湾曲して一体に設けられる。即ち、ハンドスキャナ24は、ヘッド部27がハンドル26に屈曲して設けられることで、ハンドスキャナ24の側面形状はへ字状に形成されている。また、ハンドスキャナ24は、ハンドル26の幅が狭い一端側に、ハンドル26の幅よりも広い幅のヘッド部27が連続して設けられている。このため、ハンドスキャナ24は、ハンドル26とヘッド部27との連続部が括れている。
【0022】
認識部28は、例えば、レーザ光の発射と、光学的に走査してバーコードの読み取りが可能に形成されている。ケーブルKは、例えば、縦型スキャナ2に接続されている。
【0023】
固定器具25は、ハンドスキャナ24を保持(載置)可能に形成されている。図2に示すように、固定器具25は、縦型スキャナ2の側面2aに設けられた案内レール2bにボルトD等を挿通させることで、案内レール2bの延設方向に沿って移動可能に設けられている。
【0024】
具体的には、図2〜4に示すように、固定器具25は、ハンドスキャナ24を引き掛ける本体部31と、本体部31を案内レール2bに沿って移動可能に側面2aに取付ける移動機構32と、本体部31の移動を検知する検知手段33と、を備えている。
【0025】
本体部31は、縦型スキャナ2の側面にボルトD等で取り付けられる取付部35と、取付部35に設けられ、ハンドスキャナ24を引き掛けて保持する引掛部36と、引掛部36に設けられ、ハンドスキャナ24の一部と当接する当接部材37と、を備えている。
【0026】
取付部35は、例えば、方形であって、ボルトDが挿通するボルト穴を有している。引掛部36は、取付部35の下面側に設けられている。引掛部36は、取付部35に連続して接続された連結部材38と、この連結部材38に接続された保持部39と、を備えている。
【0027】
連結部材38は、取付部35の下面から突出して設けられている。具体的には、連結部材38は、固定器具25が縦型スキャナ2に固定された場合に、鉛直方向に突出するように、取付部35に延設されている。
【0028】
保持部39は、連結部材38の端側であって、連結部材38の延設方向に直交する方向に屈曲して設けられている。具体的には、保持部39は、取付部35が案内レール2bに設けられた場合に、縦型スキャナ2の側面2aから離間する方向に延出して設けられる。
【0029】
保持部39は、その中心側と中心側と連続する側面の一部とが開口する開口部40を有する板状に設けられている。例えば、図3に示すように、保持部39は、開口部40により略コ字状に形成されている。なお、開口部40は、ハンドスキャナ24のハンドル26、又は、ハンドル26とヘッド部27との連続部にある括れが挿通可能に形成されている。
【0030】
言い換えると、保持部39は、連結部材38の延設方向に直交する方向に設けられ、所定の幅を有する第1保持部41と、この第1保持部41の端側の側面に設けられ、第1保持部41と同一方向に突出し、互いに対向する2つの第2保持部42と、を有している。即ち、保持部39は、第1保持部41と第2保持部42とが一体に設けられることで構成され、第1保持部41の側面から、互いに対向する第2保持部42間の空間とにより開口部40が形成される。このため、第2保持部42間の幅は、少なくとも、ハンドスキャナ24のハンドル26が通過可能な幅に形成されている。
【0031】
また、保持部39は、その上面、即ち、第1保持部41及び第2保持部42の上面に設けられた保持面43を有している。この保持面43は、ハンドスキャナ24を開口部40に挿通させてフリー状態とし、重力により重力方向にハンドスキャナ24が移動した際に、ヘッド部27を保持する。なお、保持面43の形状は、ヘッド部27の形状により適宜設定可能である。
【0032】
当接部材37は、例えば、第2保持部42の、互いに対向する面(内面42a)に設けられている。当接部材37は、例えば、所定の摩擦係数を有する弾性部材により形成されている。また、当接部材37は、内面42aに設けることで、互いに対向する当接部材37間の間隔が、ハンドル26の幅と略同一、又は、ハンドル26の幅より若干狭い間隔となる厚さに形成されている。
【0033】
移動機構32は、案内レール2bと、取付部35及び案内レール2bを挿通する複数(本実施の形態では2本)のボルトDと、このボルトD及び本体部31を案内レール2bの延設方向(本実施の形態では、鉛直方向)に弾性的に支持する弾性部材44と、を備えている。
【0034】
ボルトDは、案内レール2bに挿通後、案内レール2bから脱離しないストッパ等が設けられている。なお、このストッパは、ボルトDが案内レール2bを移動可能であれば、例えば、ナットを螺合してもよいし、他の構成品を用いてもよい。
【0035】
弾性部材44は、例えば、縦型スキャナ2の内側面に設けられた座部2cに設けられる。弾性部材44は、本体部31がフリーの状態、即ち、ハンドスキャナ24を保持しない状態で、ボルトDを案内レール2bの最上部(第1の所定の位置)に保持可能に形成されている。
【0036】
また、弾性部材44は、ハンドスキャナ24の自重(重量)により弾性変形可能に形成されている。これにより、弾性部材44は、保持部39にハンドスキャナ24が保持された状態で、案内レール2bの最下部(第2の所定の位置)にボルトDを移動可能に形成されている。このような弾性部材44は、例えば、コイルばね等が用いられる。これらのように、移動機構32は、弾性部材44の弾性変形によって、本体部31を案内レール2bに沿って往復動可能に形成されている。
【0037】
検知手段33は、揺動部46を有し、揺動部46が回動又は揺動することで、ON/OFF(導通/非導通)が機械的に切り替わるスイッチ47と、スイッチ47に信号線Sにより接続されたスイッチコントローラ74と、を備えている。検知手段33は、揺動部46が操作された場合に、信号線Sを解してその情報を後述するスイッチコントローラ74に送信可能に接続されている。
【0038】
スイッチ47は、本体部31(ボルトD)が案内レール2bの最下部に位置することで、揺動部46がボルトDにより操作可能に縦型スキャナ2に設けられている。図4の二点鎖線46に示すように、検知手段33は、座部2cに設けられ、案内レール2bの最下部にボルトDが移動することで、ボルトDにより揺動部46が操作される。
【0039】
次に、図5の縦型スキャナ2のブロック図を用いて、縦型スキャナ2の構成を説明する。
図5に示すように、縦型スキャナ2は、制御の中枢としてCPUやチップセットで構成された制御部70を搭載している。この制御部70は、記憶部71、スキャナコントローラ72、通信インターフェイス(I/F)73、スイッチコントローラ74、操作手段コントローラ75、ディスプレイコントローラ76がアドレスバスやデータバス等のバスラインBを介して接続されている。
【0040】
チップセットは、データ受渡しの管理等の情報流通を制御し、CPUとバスラインBとを接続するために用いられるノースブリッジと、各種コントローラ等の機能を有するサウスブリッジとを備えている。
【0041】
記憶部71は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、BIOS−ROM(Basic Input/Output System-Read Only Memory)、ハードディスク(HDD)等により構成されている。例えば、ROMは、制御部70の制御動作を実行させるプログラム等を予め格納している。RAMは、制御部70が演算処理に使用する各種のメモリエリアを形成する。BIOS−ROMには、各ハードウェアを初期化する際に実行されるテストプログラムであるPOST(Power-On Self Test)、BIOSドライバ、VGA(Video Graphics Array)ドライバ等が記録されている。
【0042】
スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24に、信号線SやケーブルK等により接続されている。スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24のレーザ光の発生・停止が可能に形成されている。即ち、スキャナコントローラ72は、レーザ光の発生及び停止を行うことで、各スキャナ20,24のON及びOFFが可能に形成されている。スキャナコントローラ72は、固定スキャナ20及びハンドスキャナ24により読み取ったバーコードの情報を受信可能に形成されている。
【0043】
通信I/F73は、例えば、POSターミナル1の通信I/Fや、サーバシステムと接続可能に形成されている。
【0044】
スイッチコントローラ74は、スイッチ47の揺動部46の操作情報を受信可能に形成されている。また、スイッチコントローラ74は、受信した揺動部46の操作情報を、スキャナコントローラ72に送信可能に形成されている。例えば、スイッチコントローラ74は、揺動部46の操作情報を受信した場合には、スキャナコントローラ72にこの情報を送信する。スキャナコントローラ72は、この情報の受信毎に、ハンドスキャナ24をONからOFFへと切換可能に形成されている。
【0045】
操作手段コントローラ75は、操作手段であるテンキー等のキーボード21と、オペレータ用ディスプレイ22と、に接続されている。操作手段コントローラ75は、キーボード21及びディスプレイ22から入力された情報を受信するとともに、ディスプレイコントローラ76に送信可能に形成されている。
【0046】
ディスプレイコントローラ76は、オペレータ用ディスプレイ22及びカスタマ用ディスプレイ23に接続されている。ディスプレイコントローラ76は、操作手段コントローラ75から受信した情報、及び、固定スキャナ20又はハンドスキャナ24で読み取ったバーコードの情報を各ディスプレイ22、23に表示可能に形成されている。即ち、ディスプレイコントローラ76は、各ディスプレイ22、23に対するメッセージ等の表示を行うとともに、操作手段コントローラ75に接続された各操作手段に応じた入力データの取り込み処理を行う。
【0047】
なお、制御部70は、主要な機能として、少なくともハンドスキャナ24が固定器具25の引掛部32保持された状態から離脱した状態で、ハンドスキャナ24の認識部28によってバーコードの読み取りを可能とする制御機能を有している。具体的には、制御部70は、スキャナコントローラ72によりハンドスキャナ24のON/OFFの切換をさせる制御機能を有している。
【0048】
この制御機能は、ハンドスキャナ24を固定器具25の引掛部36に保持させた場合にハンドスキャナ24をOFFとし、ハンドスキャナ24が引掛部36から脱離した場合にハンドスキャナ24をONとする機能である。
【0049】
即ち、揺動部46が操作された場合には、この操作情報をスイッチコントローラ74がスキャナコントローラ72に送信する。スキャナコントローラ72は、操作情報に基いてハンドスキャナ24をOFFにする。なお、揺動部46がフリーの場合には、スキャナコントローラ72はハンドスキャナ24を常時ONとする。
【0050】
このように構成されたPOSシステム100のハンドスキャナ24の使用について、以下説明する。
基本的動作として、バーコードの読み取り時においては、固定器具25からハンドスキャナ24を脱離させて、読み取りを行うバーコードに認識部28を近づけて、バーコードの読み取りを行う。また、バーコードの読み取り終了後、即ち、バーコードの読み取り時以外は、ハンドスキャナ24を固定器具25の引掛部36に引き掛けることで、ハンドスキャナ24を保持部39に保持させる。
【0051】
次に、ハンドスキャナ24を用いたバーコードの読み取りについて説明する。
先ず、バーコードの読み取りを行う際に、固定器具25の開口部40からハンドスキャナ24を脱離させる。このとき、ハンドスキャナ24は、第2保持部42間及び当接部材37間を通過(移動)する。互いに対向する当接部材37の間隔は、ハンドル26とヘッド部27との連続部の括れよりも狭く形成されている。
【0052】
このため、ハンドル26とヘッド部27との連続部又はハンドル26と、当接部材51とが接触(当接)する。ここで、当接部材37は、摩擦係数を有する弾性部材により形成されている。このため、当接部材37は、ハンドル26に抵抗を付与することとなる。オペレータは、ハンドル26を当接部材37に摺動させながら、ハンドスキャナ24を固定器具25から脱離させる。
【0053】
ハンドスキャナ24が固定器具25から脱離すると、固定器具25はフリーとなる。このため、弾性部材44の復元力により、本体部31は、案内レール2bの最上部に移動する。本体部31の移動により、ボルトDは、揺動部46から離間し、揺動部46は、フリーとなる。これにより、スキャナコントローラ72は、ハンドスキャナ24をON状態とする。
【0054】
ハンドスキャナ24は、ON状態となることで、認識部28からレーザ光を発射する。オペレータは、ハンドスキャナ24から発射されるレーザ光をバーコードに照らすことで、バーコードが光学的に操作され、バーコードの情報を読み込む。即ち、レーザ光を発射し、バーコードの情報(商品の情報)を読み込み可能となる。
【0055】
制御部70は、読み込まれた情報を、通信I/F73に接続されたサーバ等に記憶された商品情報とバーコードの情報とを比較し、同一情報を検索する。バーコードの情報と同一の商品情報を検索後、制御部70は、ディスプレイコントローラ76にこの情報を送信し、各ディスプレイ22、23に表示させる。
【0056】
次に、ハンドスキャナ24の保持について説明する。
先ず、バーコードの読み取り終了後、ハンドスキャナ24のハンドル26を開口部40に挿入する。開口部40にハンドル26を挿入後、ハンドル26を放すと、ハンドスキャナ24は重力方向に落下する。本体部31は、ハンドスキャナ24を保持面43で保持するとともに、ハンドスキャナ24の重量で案内レール2b沿って案内レール2bの最下部へと移動する。
【0057】
ボルトDは、案内レール2bの最下部へ移動することで、スイッチ47の揺動部46を操作する。この揺動部46の操作情報に基いて、スキャナコントローラ72は、ハンドスキャナ24をOFF状態とする。ハンドスキャナ24がOFFとなることで、レーザ光の発射が停止され、バーコードの読み込みが規制される、即ち、バーコードの読み取りが不可能となる。
【0058】
このように構成されたPOSシステム100によれば、ハンドスキャナ24の重量により案内レール2bに沿った本体部31の移動により、固定器具25によるハンドスキャナ24の保持を検知し、ハンドスキャナ24をOFF状態とすることが可能となる。これにより、ハンドスキャナ24を固定器具25により保持させるだけで、レーザ光が認識部28から発射されない。このため、固定器具25にハンドスキャナ24を保持させた際に、ハンドスキャナ24がずれる等によりレーザ光がカスタマの目等に当たることもない。これにより、カスタマを不快にさせる虞がない。
【0059】
また、固定器具25からハンドスキャナ24を脱離させることで、レーザ光が発射され、バーコードを読み取ることが可能となる。即ち、バーコードの読み取り時のみレーザ光を発射することが可能となる。このため、これにより、ハンドスキャナ24を固定器具から脱離させたときに、ハンドスキャナ24の認識部28によりバーコードの読み取りを確実に行うことできるだけでなく、無駄なレーザ光の発射を防止し、省エネとすることが可能となる。
【0060】
さらに、第2保持部42の内面42aに、所定の摩擦係数を有する当接部材37を、互いに対向する間隔がハンドル26の幅と略同一、又は、ハンドル26の幅よりも狭く配置させることで、ハンドスキャナ24が固定器具25から脱離することを防止可能となる。例えば、商品登録時や、レジカウンタ200にカスタマが買い物籠を載置する際に、ハンドスキャナ24に設けられたケーブルKに触れることで、ハンドスキャナ24が移動してもハンドスキャナ24にはハンドル26と当接部材37との間に所定の摩擦力が発生する。即ち、ハンドスキャナ24と当接部材37との間には所定の抵抗が発生し、この抵抗によりハンドスキャナ24が固定器具25から脱離しない。
【0061】
上述したように本実施の形態に係るPOSシステム100によれば、ハンドスキャナ24自体の重量により本体部31を移動させて、ハンドスキャナ24の保持を検知手段33により検知することで、ハンドスキャナ24の保持時にハンドスキャナ24をOFFとすること可能となる。これにより、ハンドスキャナ24の使用状況によって、確実にハンドスキャナ24をON/OFFすることが可能となる。
【0062】
また、当接部材37により、ハンドスキャナ24と保持部39との間に抵抗を発生させることで、固定器具25からハンドスキャナ24が脱離することを防止できる。
【0063】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、固定器具25は、本体部31を案内レール2bに沿って移動可能することで、ハンドスキャナ24のON/OFFを行うとしたが、これに限られない。
【0064】
以下、本発明の変形例に係る固定器具25Aを用いたPOSシステム100について、図6を用いて説明する。なお、固定器具25と同一構成には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0065】
固定器具25Aは、ハンドスキャナ24を保持(載置)可能に形成されている。具体的には、図6に示すように、固定器具25Aは、ハンドスキャナ24を引き掛ける本体部31Aと、本体部31Aを移動させる移動機構32Aと、本体部31Aの移動を検知する検知手段33と、を備えている。
【0066】
本体部31Aは、縦型スキャナ2の側面2aにボルト等で取り付けられる取付部35Aと、取付部35Aに設けられ、ハンドスキャナ24を引き掛けて保持する引掛部36Aと、引掛部36Aに設けられた当接部材37と、を備えている。
【0067】
取付部35Aは、ボルト孔を有し、縦型スキャナ2の側面2aにボルトD等により固定される。また、取付部35Aは、下方に接続部(案内手段)52を有している。引掛部36Aは、接続部52に回動自在に設けられた連続部53及び保持部39と、を備えている。なお、接続部52は、取付部35Aに対して保持部39を含めて連続部53を回動(移動)可能に案内するヒンジ機構である。
【0068】
移動機構32Aは、例えば、縦型スキャナ2の側面2aに固定された弾性部材44と、取付部35Aの接続部52により構成されている。弾性部材44は、側面2aに設けられた座部2d及び本体部31Aの連続部53にそれぞれ接続されている。弾性部材44は、保持部39がフリーの状態で、保持部39が側面2aから離間するように、連続部53を押圧可能に形成されている。また、弾性部材44は、図6の二点鎖線36Aに示すように、保持部39にハンドスキャナ24が保持された場合には、ハンドスキャナ24の重量により、保持部39が側面2a側に回動可能に形成されている。即ち、弾性部材44は、ハンドスキャナ24の重量によって、側面2aに保持部39が当接する位置(第2の所定の位置)に保持部39を回動可能な弾性係数を有するコイルばね等が用いられる。また、弾性部材44は、ハンドスキャナ24が脱離した状態(フリーの状態)で、弾性部材44が復元力により復元し、保持部39を回動させることで、ハンドスキャナ24の重量により移動する前の位置(第1の所定の位置)に保持部39を移動可能に形成されている。
【0069】
検知手段33のスイッチ47は、保持部39が側面2a側に回動することで、揺動部46が連続部53により操作可能に縦型スキャナ2の側面2aから突出して配置されている。
【0070】
このように構成された固定器具25Aを用いたPOSシステム100によれば、保持部39にハンドスキャナ24を保持させると、ハンドスキャナ24の重力により、保持部39が接続部52を回転中心に回動(移動)する。回動した保持部39及び連続部53は側面2a(第2の所定の位置)に当接し、揺動部46を操作する。この操作に基いて、スキャナコントローラ72がハンドスキャナ24をOFFとする。
【0071】
このように構成された固定器具25Aを用いたPOSシステム100によれば、上述した固定器具25を用いた場合と同等の効果を得ることができる。
【0072】
また、図7に示すように、ヒンジ機構である接続部52を、保持部39のみ回動させる本体部31Bを有する固定器具25Bとしてもよい。即ち、引掛部36Bとして、取付部35Bと連続する連続部53の下方に接続部52を設け、ハンドスキャナ24の重量により、保持部39のみを回動させる。なお、このとき、移動機構32Bには、接続部52と、弾性部材としてねじりバネ56とを用いてもよい。また、揺動部46を操作する操作部57を、保持部39の下面に設ける。これにより、上述した固定器具25,25Aと同等の効果を得ることが可能となる。
【0073】
また、固定器具25A,25Bの構成とすることで、本体部31A,31Bは回動する。これにより、検知手段33を操作するために、鉛直方向に移動しなくて良い。これにより、固定器具25の移動距離を有さない、即ち、高さが低いPOSターミナルや縦型スキャナ等の情報処理装置に用いることが可能となる。
【0074】
また、上述した弾性部材44は、コイルばねを用いるとしたが、コイルばねに限定されない。弾性部材44は、他の種類のばねであってもよく、また、復元力を有する樹脂材料であってもよい。
【0075】
また、固定器具25〜25Bは、ハンドスキャナ24のハンドル26の寸法や形状によって、開口部40の広さ、及び、当接部材37の形状や寸法を適宜変更することで、様々なハンドスキャナ24に適用できる。
【0076】
さらに、検知手段33は、上述した構成でなくてもよく、マイクロSWやボタン式SWでもよく、また、近接センサを用いてもよい。即ち、ハンドスキャナ24の重量により可動する本体部31〜31Bの移動を検知可能であればよい。
【0077】
また、上述した例では、認識部28は、レーザ光を発射するとしたが、これに限定されない。認識部として、レーザ光でなく、例えばCCDカメラによって商品を読み取り可能としてもよく、また、バーコードでなく二次元コードを読み取り可能であってもよい。
【0078】
また、上述した例では、制御部70は、主要な機能として、ハンドスキャナ24のON/OFFを行う制御機能を有しているとしたが、これに限定されない。例えば、認識部にCCDカメラを用いた場合には、レーザ光がカスタマ等に照射される恐れがない。このため、少なくともハンドスキャナ24が固定器具25の引掛部36に保持された状態から離脱した状態で、認識部28によって商品の読み取りが可能であれば適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…POSターミナル、2…縦型スキャナ、2a…側面、2b…案内レール(案内手段)、2c、2d…座部、10…筐体、11…キーボード、12…オペレータ用ディスプレイ、13…カスタマ用ディスプレイ、14…プリンタ、15…ドロワ、20…固定スキャナ、21…キーボード、22…オペレータ用ディスプレイ、23…カスタマ用ディスプレイ、24…ハンドスキャナ、25、25A、25B…固定器具、26…ハンドル、27…ヘッド部、28…認識部(読み取り部)、31、31A、31B…本体部、32,32A,32B…移動機構、33…検知手段、35、35A、35B…取付部、36、36A、36B…引掛部、37…当接部材、38…連結部材、39…保持部、40…開口部、41…第1保持部、42…第2保持部、42a…内面、43…保持面、44…弾性部材、46…揺動部、47…スイッチ、51…当接部材、52…接続部(案内手段)、53…連続部、56…ねじりバネ、57…操作部、70…制御部、71…記憶部、72…スキャナコントローラ、73…通信インターフェイス、74…スイッチコントローラ、75…操作手段コントローラ、76…ディスプレイコントローラ、100…POSシステム、200…レジカウンタ、201…レジ台、202…サッカー台、B…バスライン、D…ボルト、K…ケーブル、S…信号線。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2002−140661号公報
【特許文献2】特開平5−342474号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を読み取る読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナの固定器具であって、
その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する保持部と、
前記ハンドスキャナを保持した前記保持部を、前記ハンドスキャナの自重で所定の位置まで移動させる移動機構と、
を備えることを特徴とするハンドスキャナの固定器具。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記保持部の移動を案内する案内手段と、
前記保持部を弾性的に支持するとともに、前記ハンドスキャナの自重により弾性変形することで、前記保持部を移動させる弾性部材と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のハンドスキャナの固定器具。
【請求項3】
商品を読み取る読み取り部を有するヘッド部、及び、このヘッド部よりもその幅が狭く形成されたハンドルを具備するハンドスキャナと、
その中心側及び側面の一部に前記ハンドルの幅よりも広く形成された開口部を有し、この開口部に前記ハンドルを挿通し、前記中心側で前記ハンドスキャナを保持する保持部と、
前記ハンドスキャナを保持した前記保持部を、前記ハンドスキャナの自重で第1の所定の位置から第2の所定の位置まで移動させるとともに、前記ハンドスキャナが脱離した前記保持部を、前記第2の所定の位置から前記第1の所定の位置まで移動させる移動機構と、
少なくとも前記保持部が前記第1の所定の位置に移動することで、前記読み取り部により前記商品を読み取り可能とする制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記移動機構は、
前記保持部の移動を案内する案内手段と、
前記保持部を弾性的に支持するとともに、前記ハンドスキャナの自重により弾性変形することで、前記保持部を移動させる弾性部材と、を具備することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
縦型スキャナをさらに具備し、
前記保持部は前記縦型スキャナに設けられることを特徴とする請求項4に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記縦型スキャナの側面に沿って上下方向に延設され、
前記弾性部材は、前記案内手段の延設方向に前記保持部を弾性的に支持するコイルばねであり、
前記制御手段は、前記ハンドスキャナの自重により前記弾性部材が圧縮し、前記保持部が前記案内手段に沿って前記第1の所定の位置から前記第2の所定の位置に移動することで、前記ハンドスキャナによる前記商品の読み取りを規制することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−257120(P2010−257120A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105171(P2009−105171)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】