説明

ハンドヘルド装置で音楽を作曲する方法

音楽シーケンスはハンドヘルド電子装置のキーパッド上で形成される。ハンドヘルド装置のキーパッド上の番号付きキーは、1オクターブ中の対応する音符に直接的にマッピングされている。音符のシーケンスは、キーパッド上の少なくとも1個の番号付きキーを押し、ハンドヘルド装置のディスプレイスクリーンにシーケンスの数値表現を表示することによって入力される。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、音楽を作曲する方法に関する。より詳しくは、本発明は、音楽の作曲用のハンドヘルド装置上のキーパッドの使用に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
無線電話機市場は、過去10年間に急速に成長している。最近の傾向は、電話機機能の拡張と同時に、無線電話機の小型化に重点が置かれている。無線電話機は、典型的に、電話呼の送信及び受信だけでなく、無線ハンドヘルド機器に常駐する種々のソフトウェアアプリケーションの実行をも管理するプロセッサ及びメモリが装備されるようになっている。例えば、典型的なアプリケーションは、カレンダ、アドレス帳、及び、娯楽ゲームを組み込んでいる。時には、無線ユーザは、ハンドヘルドディスプレイの構造、及び、着信電話呼の受信と関連した区別可能な電話鳴動を始めとして、電話機をカスタマイズすることが可能である。
【0003】
無線電話装置の台数の増加に伴って、個別の電話機を他の電話機と区別する要望もまた高まってくる。例えば、混み合った部屋内では、多くの場合、特定のユーザの電話鳴動を他のユーザの電話鳴動と区別できることが望ましい。上記目的及びその他の目的を満たすため、無線電話機製造業者及び設備業者は、多くの場合に、着信音の選択肢を顧客に提供する。すなわち、電話機の鳴動、すなわち、着信音は特定のユーザのためカスタマイズされてもよい。
【0004】
一般に、着信音は幾つかある方法のうち一又は複数の方法で無線装置において実装される。特に、着信音シーケンスは、ホストコンピュータ上のソフトウェアアプリケーションによって作成され、適当なフォーマットで、例えば、赤外線ポートを介して、又は、ホストコンピュータ上のUSBポートを介するような直接的な電気的接続を介して、無線装置に転送されてもよい。残念ながら、この方法は、シーケンスを作曲するために別個のホストコンピュータを必要とし、完成したシーケンスを無線電話装置へ転送するためにハードウェアを必要とする点でさらに限定されるため、無線ユーザがホストコンピュータから離れているときに着信音又はその他の楽曲を自発的に作曲することを妨げる。
【0005】
着信音は、インターネット又は携帯電話プロバイダからのダウンロードによっても利用可能である。最初の例では、ホストコンピュータが、この場合も典型的に、ダウンロードの受信のため必要とされ、その後にホストコンピュータから無線装置への別個の転送ステップが続く。2番目の例では、入手可能な着信音の数は典型的に限定される。残念ながら、何れの例も元の音楽シーケンスを作成するため、すなわち、音楽を作曲するため、創造的な許容範囲を無線ユーザに提供しない。
【0006】
別の利用可能な方法は、着信音シーケンスを手動でキー入力するユーザによる着信音シーケンスの手動作成を含む。手動キー入力方法では、ユーザは典型的に、キーストロークのシーケンスを入力するため、無線電話機キーパッド(すなわち、受話器)を使用する。この方法は無線装置のキーパッドから直接的に音楽作曲を可能にするが、入力シーケンス及び表示の記譜は、ユーザの訓練をかなり必要とする。すなわち、受話器上で着信音シーケンスを生成する現在の方法は多少扱いにくい。例えば、音符毎に、文字、数字及び記号を含むコードのシーケンスが典型的に必要とされる。これは直観的なステップではなく、創造的なプロセスを妨げる。さらに、表示されたシーケンスを解読するために相当な努力が必要とされ、この場合もやはり創造的な音楽作曲の努力を妨げる。
【0007】
したがって、必要とされることは、容易に理解できる入力シーケンスの表示を生成することと等しく、キーパッド音楽作曲のための容易に学習できる方法である。
【発明の概要】
【0008】
上記を実現するため、本発明は、ハンドヘルド電子装置のキーパッドを使用して音楽シーケンスを入力する方法を提供する。音楽シーケンスはハンドヘルド装置のキーパッド上で形成される。ハンドヘルド装置のキーパッド上の番号付きキーは1オクターブ中の対応する音符にマッピングされる。音符のシーケンスは、キーパッド上の少なくとも1個の番号付きキーを押し、ハンドヘルド装置の表示スクリーン上にシーケンスの数値表現を表示することによって入力される。
【0009】
一実施形態によれば、ハンドヘルド装置上で音楽シーケンスを形成する方法は、ハンドヘルド装置のキーパッド上の少なくとも1個の番号付きキーを押下することにより音符のシーケンスを入力するステップを含む。キーパッドは、少なくとも1オクターブ中の対応する音符に対応する複数個のキーを含む。各音符のため選択された番号付きキーは、音楽シーケンス中の音符のマッピングに対応する。音楽シーケンスの数値表現はハンドヘルド装置の表示スクリーン上に表示される。
【0010】
別の実施形態によれば、キーパッド上の番号付きキーとオクターブ中の音符との間のマッピングは、1オクターブの全音階に対応するように1オクターブ中の番号付きキー1〜7によって表現される。1オクターブの全音階中の順次に高くなる各音符はキーパッド上の順次に大きくなる番号付きキーに対応する。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、音楽シーケンスが形成された後、音符のシーケンスは標準フォーマットのうちの1つに変換される。
【0012】
本発明のこれらの特長及び利点とその他の特長及び利点は図面を参照して後述される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0013】
ここで、本発明の好ましい実施形態について詳細に参照する。好ましい実施形態の例は添付図面に示されている。発明はこれらの好ましい実施形態と併せて説明されるが、発明はこれら好ましい実施形態を制限することを意図するものではないことは理解される。これに反して、請求の範囲の請求項によって規定された発明の精神及び範囲に含まれてもよい代替物、変更物、及び、同等物を網羅することが意図されている。以下の説明では、多数の具体的な詳細が本発明の完全な理解をもたらすために記載されている。本発明は、これらの具体的な詳細の一部又は全部を用いない場合にも実行できる。別の例では、周知のプロセス動作は本発明を不必要に曖昧にしないように詳細には説明されていない。
【0014】
音楽シーケンスは、ハンドヘルド無線電話機のキーパッド上で形成される。ハンドヘルド無線装置のキーパッド上の番号付きキーは、1オクターブ中の全音階の対応する音符のシーケンスに直接マッピングされる。音符のシーケンスは、キーパッド上の少なくとも1個の番号付きキーを押下し、ハンドヘルド装置の表示スクリーン上にシーケンスの数値表現を表示することにより入力される。
【0015】
楽譜は、書かれた文字によって、音符とそれらの変更を表現する役割を担う。本発明は、西洋記譜体系又はその他の体系の代わりに、数値記譜体系の特長を利用する記譜体系を使用することにより、ハンドヘルド電子装置のキーパッド上で音楽を作曲する効率的な方法を提供する。シートミュージック譜とも称される西洋記譜法は、世界中で、特に、欧州及び米国において、広く受け入れられている。西洋記譜法は、印刷された譜面に頼り、典型的には、ト音記号又はヘ音記号と、種々の音符と、譜面上に印刷されたその他の記号とを用いて表される。残念ながら、西洋記譜体系はグラフィカル表示に依存しているため、西洋記譜体系は、ハンドヘルド装置上で着信音又はその他の音楽を作曲するために容易には役立たない。本発明は、西洋記譜体系によって表現されたパラメータの全部ではなくとも大半部分を表現する能力を備えた記譜体系を使用して、容易に理解され、伝送可能な数値音楽フォーマットで、ハンドヘルド装置上で音楽を作曲する方法を提供する。
【0016】
本発明で使用される音楽記譜体系において表現される最も重要なパラメータのうちの2つは、ピッチと長さである。西洋記譜法は、熟達した音楽家及び作曲家に広く使用され、周知であることから、本明細書では比較の目的のため記載される。西洋記譜体系では、ピッチは、音符の位置決めによって規定される。譜表は、一般的に、線の間に空白のある5本の平行する等距離の線として規定される。音部記号は、周波数空間内で譜表の位置を指定するために曲の先頭で使用される記号である。例えば、高音部記号、すなわち、ト音記号は、中央ハ(すなわち、約261Hzの周波数をもつ音符)より上に位置する譜表を指定する。その一方、低音部記号、すなわち、へ音記号は、中央ハより下の譜表を指定する。このようにして、西洋記譜法は、音楽シーケンスで必要とされる様々なピッチのグラフィカル表現を提供する。
【0017】
記譜体系とは無関係に、オクターブは、1オクターブの全音階と同じように、音楽において特別な重要性がある。音楽において、1オクターブは、ある音符と、その音符の周波数の2倍のピッチをもつ別の音符との間の間隔である。西洋五線譜体系において、1オクターブ離れた音符には同じ音部記号表示が与えられる。よって、すべてのハ音音符は、隣接するハから1オクターブ離れ、2個の音符は2:1の周波数比を有する。
【0018】
西洋記譜体系のグラフィカル表現とは対照的に、本発明の実施形態は、テキストベースの番号付き記譜体系を使用する。音符のピッチは、一般的に、1オクターブの全音階の音符をハンドヘルドのキーパッド上の番号付きキーに、好ましくは、1〜7のキーにマッピングすることによって定められる。1オクターブを、1オクターブの7度を表現する7個の番号付きキーにマッピングする基本を理解するため、1オクターブの半音階及び全音階のさらなる説明が行われる。
【0019】
半音階は、1オクターブを12個のピッチの細分に分割する音階である。換言すると、選択された音符は、最初の音符より1オクターブ高い音符に達するまで、オクターブ内の11個の音符が後に続く。各ピッチは、半音階中の隣接するピッチから、半ステップ、すなわち、半音ずつ分離される。1オクターブの間の連続した中間的な周波数の各々は、直前の中間的な周波数に対して約6%の増加を表す。
【0020】
半音階の一部である全音階は、1オクターブのピッチを7個の音符又は度によって表現する。これらの度は、特定の協和音を楽曲に与えるため選択される。1オクターブ中の7度は、選択された音符からその音符のオクターブまで、すなわち、選択された音符の周波数又はピッチの2倍である周波数又はピッチを有する音符まで順次徐々に高くなる周波数を表現する。
【0021】
西洋記譜体系の場合、これらの音階度は、(半音階における)12個のピッチのすべてを網羅するために選択された臨時記号(すなわち、シャープ又はフラット)が選択された文字に付加された文字AからGによって表される。シャープはピッチの半ステップの増加を表現し、フラットは半ステップの減少を示す。これに対して、本発明の実施形態において使用されるような番号付き又は数値記譜体系は、番号1〜7を全音階度に割り当て、キーパッド上の対応する番号付きキーをこれらの音階度に割り当てる。
【0022】
西洋記譜体系では、音部記号は、周波数空間内で譜表の位置を指定するため曲の先頭に使用される記号である。例えば、高音部記号、すなわち、ト音記号は、中央ハ(すなわち、約261Hzの周波数をもつ音符)より上に位置する譜表を指定する。その一方、低音部記号、すなわち、へ音記号は、中央ハより下の譜表を指定する。このようにして、西洋記譜法は、音楽シーケンスで必要とされる様々なピッチのグラフィカル表現を提供する。
【0023】
西洋体系は広範に使用されているが、音符に割り当てられた文字は、直観的には識別不可能であり、すなわち、音楽の初心者には容易に理解されない。例えば、ト音記号に関する線は、下から上の順に、次の音符:E、G、B、D、Fを指定する。空白は、下から上の順に、音符F、A、C、Eを指定する。これに対して、へ音記号は、線と空白に関して異なる音部記号表示を使用する。すなわち、線はG、B、D、F、Aと呼ばれ、空白はA、C、E、Gを指定する。残念ながら、音符識別情報と、五線譜上のそれらの対応する位置とを記憶し学習するために多大な訓練が必要とされる。“All Cows Eat Grass”(「へ」音記号の場合)や“Every Good Boy Does Fine”(「ト」音記号の場合)のようなニーモニックが、対応する五線譜上の音符位置の記憶を助けるために使用されている。
【0024】
西洋記譜体系の使用によって現れる困難さと、西洋記譜体系をハンドヘルド装置に適合させようとする試みとをさらに正しく理解するため、従来の西洋体系における音楽シーケンスの例が図示され、以下に記載される。図1Aは、従来の西洋記譜法の例を示す。特に、9個の異なるピッチが(文字によって示された)音符のシーケンスによって表現されている。個々の音符のピッチは、譜表上のそれらの位置と、譜表の記号表示(ここでは、高音部すなわちト音記号)とによって決められる。図1Bは、高音部と低音部の記号(譜表)の両方の組み合わせであるピアノ譜表すなわち大譜表を示す。低音部譜表は、高音部譜表によって示された最低音符より低い音符のシーケンスを表現する。理解されるように、この記譜体系は広範に採用されているが、特に、西洋音楽のニュアンスが表現されているとき、個々の音符位置とそれらの対応するピッチとを認識するために、多大な訓練を必要とする。その上、この記譜体系がグラフィカル表示に依存していることは、無線電話機のようなハンドヘルド電子装置で通常見受けられる小型表示スクリーンに提示させることを難しくする。これに反して、本発明の種々の実施形態では、対応する全音階の各々の音階度に対応するように数字1〜7がキーパッドに入力される。
【0025】
西洋記譜体系は、音符とそのピッチとの間で一定の対応関係を使用するため、移調は難しい。換言すると、特定の音部記号によって指定された譜表上に置かれた特定の音符は常に所定のピッチを有する。調を変えるためには、音符又は譜表が変更されるか、又は、その他の記号(例えば、臨時記号)が追加されなければならない。このことは音楽シーケンスのグラフィカル表現を複雑化する。
【0026】
詳しく説明するため、全音階は各々、通常、根音符又は主音符、すなわち、1オクターブ中の7個の音符の昇順シーケンス内の最初の音符によって参照される。長調音階は、音符とその音符のオクターブとの間の音階に関する12個の半音の音程を移動するために2−2−1−2−2−2−1の半音ジャンプを常に有し、一方、短調音階は、2−1−2−2−1−2−2の半音ジャンプを有し、上記のシーケンス上の“2”の1つ1つは音程(全音)を示す。例えば、作曲のため一般的に使用される音階であるハ長調音階では、文字(臨時記号なし)は、音階の各段階を表現できる。しかし、図2Aに示されているように、多数の他の長調音階では、全音階中の7度は、臨時記号(すなわち、シャープ又はフラット)によって修飾された数個の文字を含む。特定の例では、ト長調音階の7度は、シーケンスG−A−B−C−D−E−F#−Gによって表現される。したがって、ト調で記述された楽曲は、たいていは、Fナチュラルの代わりにF#’を含む。
【0027】
西洋記譜体系は、調号を使用することにより調の変更を受け入れる。これは、図1Cにさらに示されるように、音部記号の後に置かれた臨時記号の集まりによって示される。特に、図1Cは、種々の調の記号表示を説明する。例えば、ト長調による作曲のプレイバックを記述するため、譜表の5番目の線に配置された臨時記号「シャープ」は、楽譜全体を通じて、その線に現れる音符が「シャープさせられる」こと、すなわち、半音高められることを指示する。この記譜法は音符のピッチを指示するため十分にうまく機能するが、ある調から別の調への音楽シーケンスの完全な移調を許すには非常に扱いにくい。上記のように、半音階による音楽シーケンスは、オクターブのための2−2−1−2−2−2−1の増分によって規定される。よって、ハ長調からニ長調へ変えるため、4個の音符からなる例示的なシーケンスは、C−D−E−FからD−E−F#−Gに変化することになる。これが起こる理由は、西洋記譜体系の音符とピッチとの間に固定した対応関係があるためである。
【0028】
本発明は、数値(すなわち、「番号付き」)音楽記譜体系に基づいて音楽を入力し表示することにより、従来の西洋音楽記譜体系に伴う上記の問題及びその他の問題を解決する。数値(すなわち「番号付き」)音楽記譜は、最初、18世紀にジャン・ジャック・ルソーによって開発され、中国においては周知である。ピッチを表現するため文字AからGを使用するのではなく、数字1〜7が使用される。さらに、例えば、261Hzのピッチを中央ハに割り当てることにより、固定ピッチを文字に割り当てるのではなく、本発明の実施形態において採用された数値体系は、各数字を、1オクターブ中の、すなわち、特定のオクターブに使用される全音階における特定の度に割り当て、又は、マッピングする。
【0029】
番号付き調を全音階中の度にマッピングするこの体系は、移調も容易化する。調は曲の「ムード」を左右するため重要である。調はその曲に望ましい音域にも依存する。例えば、特定の声楽家又は楽器の音域に合わせて作られた楽曲は、作曲がある一定の楽調で記述されるときに最もよく鳴動するであろう。例えば、ある人は、ヘ長調が、一般により快活であると考えられるハ長調よりメロウであると考える。要約すると、移調は、普通、異なる音楽、異なる楽器、異なる声域を受け入れ、そして、音楽をより面白くするために行われる。
【0030】
本発明の実施形態は、容易に移調が行われることを可能にする。特に、キーパッド番号付き体系によって作曲された音楽作品又は着信音が、ある調から別の調へ、例えば、ハ調からホ調へ変更されるとき、音符の番号は変化しない。調の変更は、着信音又はその他の音楽ファイルのヘッダ中の調記号表示を変更することによって実現されてもよい。編集は、ハンドヘルドキーパッドに入力された同じ数字によって音符を表す重要な表示によって容易化される。後述される典型的な実施形態によってさらに説明されるように、本発明の数値体系による着信音の入力はハンドヘルド電子装置上で容易に達成される。
【0031】
図2Aは、西洋フォーマットにおける様々な音調記号表示を示す表を与える。表を見ると、西洋体系における移調の際に感じられる困難さが明らかになる。表の最上行は、半音階を構成する半音階的半段階(すなわち、半音)の各々を示し、第2行は典型的な西洋記譜体系の半音に関する音符記号表示を示す。第2行より下の各行における数字は、ハ長調、二長調、ホ長調、ヘ長調、ト長調、イ長調及びロ長調における全音階の音符記号表示のシーケンスを示す。熟達した音楽家に既知であるように、各長調の最初の音符は調によって指定された音符で始まる。すなわち、ハ長音階における最初の音符(音階度)は西洋体系におけるハで始まる。これに反して、数値体系における同じ音符は、「1」によって指定される。本発明の実施形態によって使用される数値体系は、数字1〜7を音階度に割り当てるため、この表は、(特定の西洋体系文字によって指定された)特定の音符の、選択された調に依存した、対応する数値体系番号へのマッピングをさらに示す。このマッピングは図2B〜2Fにさらに詳細に表されている。
【0032】
とりわけ、図2B〜2Fは、特に、本発明の一実施形態で利用されるような西洋記譜体系からのピッチパラメータを参照して、音符のシーケンスの典型的なマッピングを列記する。例えば、ニ長調では、1オクターブの音階度は、図2Dに示されるように、シーケンスD−E−F#−G−A−B−C#に従って進む。ハ長調(すなわち、調基準=C)では、1オクターブの音階度は、図2Bに示されるように、シーケンスC−D−E−F−G−A−Bに従って進む。さらなる一例として、ホ長調では、1オクターブの音階度は、図2Cにさらに示されるように、シーケンスE−F#−G#−A−B−C#−D#に従って進む。何れの場合でも、1オクターブの全音階における度のマッピングは、シーケンス1−2−3−4−5−6−7に従って進む。すなわち、いずれの調でも、音符の西洋記譜法の記号表示は、番号付き記譜体系のシーケンス1〜7にマッピングされる。本発明の好ましい一実施形態によれば、ハンドヘルド装置のキーパッド上の音符の入力は、デフォルトの調であるハ調を用いて進む。これは、デフォルトで第1の音符が中央ハに割り当てられた、中国においては周知である数値体系とうまく対応する。
【0033】
さらなる例として、図2Dは、西洋記譜体系からのハ長調、ニ長調及びホ長調の、本発明による(全音階用の)キーパッド番号付き体系へのマッピングを示す。図2Eは、西洋記譜体系からのハ長調、ニ長調及びホ長調音階の、全音階の7度に関する、臨時記号を含むキーパッド番号付き体系へのマッピングを示す。たとえば、西洋記譜体系におけるハ長調音階中の「ホ」音符は、数値体系における「3」にマッピングされ、西洋ニ長調音階における嬰ハは、本発明の種々の実施形態の数値体系における「3」にマッピングされる。「2’」という記号表示は、図2Fを参照してさらに記載されているように、「2」より1オクターブ高い音符を意味する。
【0034】
音楽に熟達した人によって認められるように、より高い音符に対応するフラットを付加することは、シャープが付加された音符と等価なものを指定することもできる。例えば、音符「嬰ハ」は音符「変二」と等価である。したがって、本発明は、より低い数値音符記号表示にシャープを付加する代わりに、「フラット」が付加された数値音符への音符のマッピングへ拡張されることが意図されている。
【0035】
数値音楽記譜法は、特定のシンボルを特定のピッチに固定するのではなく、オクターブ全音階度記号表示に数字を割り当てることに依存する。したがって、数値音楽記譜体系に精通している人は、本発明の選択された実施形態に従って音楽を入力又は編集するときに実行される移調の容易さを認めるであろう。各文字を変更し、いくつかの場合には臨時記号を追加するのではなく、数値体系における数字は、音楽がある調から別の調へ移調されるときに変化しない。数値体系は、各々のピッチを表現するために使用される数字が音階の度に対応するため、調間の変換を容易化する。すなわち、数字1は、常に第1の音階度、すなわち、増分を参照する。よって、ハ長音階では、オクターブ中の最低位から3個の音符のシーケンスは、1−2−3として表示される。同様に、ニ長音階では、3個の音符のシーケンスは、再び、1−2−3として表示される。このため、ハ長調からニ長調又はその他の調への変換は、音楽シーケンス、すなわち、音楽作曲の最初に「調基準」を変更するだけで実現される。このことは、ハンドヘルド無線電話機のような携帯装置上での音楽の作曲の際に特に重要である。調を変更するため、現行のスキームによって要求されるような数字及び/又は文字のシーケンスを再入力する代わりに、本発明において提供される方法は、最低限の個数の調入力によって移調を可能にする。
【0036】
楽曲は、2オクターブ以上を含む場合がしばしばある。したがって、より上位又は下位のオクターブを表現するため、グラフィカルフォーマットにおける数値音楽記譜体系は、音符を表現する特定の数字の上に1個のドットを配置し、2オクターブ上を表現するため2個のドットを配置し、1オクターブ下には数字の下に1個のドットを配置し、2オクターブ下を表現するために数字の下に2個のドットを配置する。このため、数字の上のドット1個は、その下に単一のドットを伴う同じ数字より2オクターブ高くなる。ハンドヘルド装置のキーパッド上での入力のため、好ましくは、特定の音符に対するオクターブの変更は、図2B〜2Fに示されるように、好ましくは、1オクターブ上に対してアポストロフィ(’)を付加し、1オクターブ下に対してカンマ(,)を付加することによって実現される。
【0037】
西洋記譜(すなわち、楽譜)記譜によって表現される別の重要なパラメータは音符の長さである。西洋記譜体系は、長さを指定するため、符尾と、フラグと、タイと、付点と共に、白抜きと黒塗りの音符の体系を使用する。全音符は最も単純であり、符尾又はフラグ無しで表される。全音符の長さの半分持続する音符は半音符である。全音符の長さの4分の1持続する音符は4分音符であり、黒塗りの半音符シンボルによって表現される。パターンは、8分音符、16分音符、32分音符、64分音符等々と続き、音符の各々のタイプは前のタイプの長さの半分である。
【0038】
対照的に、本発明の様々の実施形態が基礎を置く既知の数値記譜体系は、その代わりに、(音符の値を有することを指定するため)アンダースコアの体系を使用し、西洋記譜の付点音符と同等物を指定するため付点(.)を使用する。すなわち、4分音符に付点を付加すると、その値が50%ずつ増加する。本発明の実施形態で利用されるキーパッド番号付き記譜体系は、アンダースコアの代わりに「スラッシュ」と、ピッチパラメータを表現する数字の隣りに配置された付点(.)を使用することにより、テキストベースの表示のため、これらの表現を修正する。ダッシュは、音符の長音化を指定するために使用される。このため、ダッシュが後に続く(例えば、4分音符に相当する)数字は、半音符と等価である。2個のダッシュが後に続く数字は、4分の3音符と等価である。本発明の好ましい実施形態によれば、スラッシュは、音符の短音化を指定するために使用される。現在特定されている実施形態は、数値体系によって採用された休符記譜をも使用している。すなわち、「0」は休符を指定する。延長された休符期間は、好ましくは、複数個のゼロによって表現される。例えば、「全」休符は4個の連続した「0」のシーケンスによって指定されてもよい。8分休符は、スラッシュ(/)が後に続く「0」によって指定されてもよい。
【0039】
これらのパラメータは、特に、本発明の一実施形態において利用されるような西洋音階からの長さパラメータを参照して、音符のシーケンスの典型的なマッピングである図2Fにさらに記載されている。参照の目的のため、図2Fに記載されているようなシンボル「X」は、ピッチに対応する数値キーの何れかを参照することが意図されている。換言すれば、デフォルトのハ長調音階では、「3−」を入力し表示することは、「ホ」に対応するピッチの半音符の長さを指定することになる。図2Fにおける「数値」欄は、ルソーによって開発され、周知の番号付き音楽記譜体系フォーマットに対応する。ハンドヘルド欄は、ハンドヘルドのキーパッド上の入力に適したフォーマット、すなわち、本発明の実施形態によってハンドヘルド上の入力と表示のために修正された番号付き体系を参照する。
【0040】
好ましい実施形態によれば、ハンドヘルド装置のキーパッド上でのピッチと長さのパラメータの入力は、既知の数値体系のグラフィカル記号表示に密接に対応するように選択される。しかし、入力と表示のために使用される特定のシンボルは、例示的なものであり、非限定的であることが意図されている。すなわち、本発明の範囲は、ハンドヘルド装置とそのディスプレイの特有の限定を満たすように、記載された数値キー入力及び表示と共に、長音化、短音化、及び、オクターブ変化のためのその他のシンボルの使用にまで及ぶことが意図されている。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明は、数値音楽記譜体系に基づいて、音楽シーケンスを入力し編集する方法を提供する。本発明の様々の実施形態の入力、提示及び編集能力は、従来の西洋体系を凌ぐ明確な利点を提供する。西洋記譜法体系は非常に普及しているが、小型表示スクリーンを有するハンドヘルド電子装置上での音楽シーケンスの入力又は表示のいずれにも容易には適合しない。例えば、一部の無線(移動)電話機は、3行以下のテキスト行しか表示できない。したがって、音符及びその他のシンボルで覆われた完全な西洋記譜を含むグラフィカル図形の表示は、このようなディスプレイの能力を超えている。ハンドヘルド装置上の最新式ディスプレイが完全な譜表及び音符が表示可能であるとしても、このような音符を入力するには、作曲者(ユーザ)が希望の音符を対応するキーパッド英数字キーに頭の中で翻訳する必要があろう。これに対して、数値音楽記譜体系は、ピッチパラメータの重要な表現を提供する数字の直接入力と、その後に続く数字の表示を可能にすることにより、ハンドヘルド電子装置のキーパッド上の入力と表示の両方により適している。
【0042】
本明細書は無線ハンドヘルド電話機上での音楽シーケンスの入力を対象としているが、これらの例は単に例示的なものであり、非限定的であるとみなされるべきである。すなわち、本発明の範囲は、数字を入力するためのキーパッド、及び、記憶手段又は伝送手段を有する電子装置にまで及ぶことが意図されている。この範囲は、非限定的な例として、個人情報端末(PDA)又はハンドヘルドコンピュータを始めとして、ありとあらゆるハンドヘルド電子装置にまで及ぶことが意図されている。例えば、キーボード、又は、スタイラス/タッチスクリーンテクノロジーを有するハンドヘルドサイズ又はパームサイズのコンピュータが、ここに記載されている技術に従って音楽シーケンスを入力するようになっている。例えば、タッチスクリーンデータ入力方法は、多くの場合に、スクリーン上にキーパッドの像を含み、「ハード」キーが押下されたかのように、スタイラスによるスクリーンの接触に応答する。したがって、発明の範囲は、当該技術における通常の知識を有するものに既知であるように、タッチスクリーン、又は、その他のソフトキー形式のデータ入力のような代替的なキー入力形式を使用する音楽シーケンスの入力を含むことが意図されている。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態によって音楽を作曲するため構成されたハンドヘルド無線電話機の例を示す。電話機300は、従来から電話機上で見られるように、1桁の数字(すなわち、0〜9)に関連付けられた少なくとも10個のキーを有するキーパッド構造を含む。好ましくは、音符のピッチは、全音階上の1つずつ増加するピッチを表現する1〜7のグループ302中の番号付きキーの選択によって決定される。換言すると、「1」キーを押下すると、全音階の第1度の入力が入力され、同時にハンドヘルド300のディスプレイ304に数字「1」が表示される。好ましくは、番号付きキー「0」はリセットを入力するために使用され、ディスプレイ304に「0」を表示させる。残りの番号付きキー(及び隣接するキー)、例えば、「8」、「9」、「*」及び「#」は、好ましくは、ハンドヘルド電子装置のキーパッド上の数値体系を再現するために必要な様々の機能及び文字のために使用される。例えば、図2Fにさらに詳述されているように、スラッシュ、ピリオド、ダッシュ、及び、アポストロフィは、記入済の数値記譜からの同一又は類似のシンボルの代わりに使用される。これらの特殊シンボルは、ハンドヘルド上の未使用キーの1つによって直接的に表現されてもよく、又は、キーを繰り返し押下することによって、又は、キーを押下し続けることによってアクセスされるメニューから利用される。例えば、一実施形態では、「*」キーは、「*」キーの複数回の押下に応答して、「,」、「’」及び「.」の中を順次に循環するように構成されてもよい。参考の目的のため、括弧内に示された値は表示される値を示す。図2Fに示されているようにこれらの値は、1オクターブ下、1オクターブ上、及び、「付点」音符に対応する。同様の形式で、ハンドヘルド装置のキーパッド上の「9」キーは、好ましくは、音符の長さを長音化するダッシュ(−)を生成するように構成され、一方、「8」キーは、好ましくは、音符の長さを短音化するスラッシュ(/)を生成するように構成される。別の例では、「#」キーは、入力された音符に付加する少なくともシャープ(#)とフラット(b)のオプションを連続的に提供するメニューにアクセスするために使用されてもよい。ルソーの番号付き音楽記譜体系のアンダースコアとその他の体系を再現するため音符とシンボルのため数字キーを使用することにより、無線電話機上のキーパッド入力シーケンス及び表示は、番号付き(数値)音楽記譜体系に既に精通している多くの人に理解されるであろう。
【0044】
好ましくは、ハンドヘルド装置は、上方向又は下方向を指定する1個以上のジョイスティックタイプキー308を有する。この多機能キーは、好ましくは、1オクターブ上キー及び1オクターブ下キーを示すため一実施形態で使用されてもよい。別の実施形態によれば、このキーは、選択されたキーによって生成されたメニューをスクロールするためにも使用されてもよい。上記の例は、例示的なものであり、非限定的であることが理解されるべきである。特定キーの、特殊文字、又は、特殊文字のメニューへのマッピングは、当業者に既知の技術に従って実行されてもよく、発明の範囲は、明細書中の説明によって与えられる指針と矛盾しないすべてのマッピングを包含することが意図されている。すなわち、スラッシュの特定キーへのマッピングは、種々の設計上の検討事項に依存する。特に特殊文字キーに関して、どれほど特有のキーのマッピングであっても、キーパッド入力シーケンスは、好ましくは、上記の詳述された内容と一致した入力及び編集を簡易化する。上記シーケンスを使用することにより、特に、番号付きキーをオクターブ音階度の1つずつマッピングすることにより、容易に理解できる音楽シーケンスが入力され、表示され、編集されてもよい。
【0045】
一実施形態によれば、ピッチ及び長さパラメータを始めとする複数個の音符を入力するため必要とされるキーの個数は最小化される。上述のように、ハンドヘルド装置、特に、無線電話機は、典型的には限られたキーの組を、典型的には数字0〜9に対応するキーのみをキーパッド上に用意し、これらのキーの大半は一連の英字が関連付けられている。全音階を構成する7個の相対ピッチを表現するためキーのグループと、長さパラメータを提供又は調節するキーパッド上の残りの未使用キーのうちの1個以上の専用キーを選択することにより、キーパッド入力ステップの個数は限定されるか、又は、最小限に抑えられる。一実施形態によれば、長さパラメータは非英数字キーを使用して調節される。
【0046】
図4Aに示されているように、本発明の種々の実施形態のキーパッド数値体系によって生成され、表示されたシーケンス402は、図4Bに示された、記述された数値音楽記譜体系のグラフィカルフォーマット404と密接に対応する。多くの場合に、テキストベースの楽曲は、例えば、電子メールメッセージ中で、他のユーザへ伝送すること、又は、テキストベース表示に限定された電子装置へ転送されることが望まれるということがさらに認められる。上記の実施形態によって生成された記譜体系は、ユーザによって理解可能なフォーマットによる有利な表示と共にこの能力を提供する。さらに、ディスプレイ402に表示される文字は、ハンドヘルド装置上で押下された実際の番号付きキーと密接に対応する。例えば、ディスプレイ402に表示された番号5、4、3、2、3、2などのシーケンスによって表現される音符を生成するため、番号5、4、3、2、3、2などを有するキーが個々に押下される。これに対して、現在使用されている従来のキー押下システムは、押下されたキーと、その結果として表示される文字との間に殆ど対応関係を示していない。
【0047】
ある従来の着信音フォーマットは、着信音ファイルの蓄積及び表示のためにリング・トーン・テキスト・トランスファ・ランゲージ(RTTTL)を使用する。図4C〜4Dは、従来の体系において見られるキー押下シーケンスと表示シーケンスと移調との間の差を例示する。特に、図4Cは、表示422中に、図4Aに表示された楽曲を、従来のハンドヘルド上に嬰ハ長調で示す。このファイル及び表示を生成するため必要なハンドヘルドシーケンスはブロック420に表現されている。(従来のハンドヘルド上で)ニ長調に変換された同じ作品は、図4Dに表されている。特に、ブロック430に表されたキー押下シーケンスは、表示432に示された表示シーケンスを生成するため従来の技法によって用いられる。表示422及び432の各々は、従来のRTTTLフォーマットのサンプルに対応する。表示された従来のRTTTLフォーマットでは、音符は、長さ、ピッチ名、臨時記号及びオクターブによって記述された音符又はイベントを伴うカンマによって分離される。図に示すように、従来の技術は、キーパッド上で入力される全く新しいシーケンスを必要とする。さらに、ディスプレイに生成されたシーケンスがキーパッド上で入力された曲と同じ曲であることは容易に理解できない。
【0048】
上記の説明は、最初の音楽シーケンスの作曲に適用されるような創作性のある方法を記載しているが、発明の範囲はそのように限定されない。その範囲は、あらゆるシーケンスの表示及び/又は修正にまで及ぶことが意図されている。例えば、方法は、上記の数値フォーマットで最初に作曲されたシーケンスを、後で編集するため、記憶装置から取り出すために適用されてもよい。代替的に、シーケンスは、RTTTL、iMelody、MIDI、又は、無線電話機ベンダーによって使用される種々のその他のフォーマットのような標準フォーマットに従って蓄積されたシーケンスでもよい。標準フォーマットに関して、好ましくは、ハンドヘルド装置は、標準フォーマットをその後の編集のための数値フォーマットに変換するためのモジュールを備えるように構成される。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態により作曲又は編集するステップを特定するフローチャートである。プロセスは動作500から始まる。最初に、プロセスがシーケンスの編集に関連するか、又は、新しい音楽シーケンスの作曲に関連するのかについて動作502において判定が行われる。新しいシーケンスの作曲の場合、フローは、動作510における音楽調の設定へ直接進む。編集の場合、シーケンスは、動作504において、好ましくは、記憶装置ロケーションから取得される。取り出されたシーケンスに関して、次に動作506において、取り出されたシーケンスが編集のため適したフォーマットであるか否かに関する判定が行われる。シーケンスが番号付き(数値)フォーマットである場合、プロセスは再度動作510へ進み、音楽調を設定する。そうでない場合、変換が、好ましくは、ハンドヘルド装置内のモジュールにおいて行われる。好ましくは、無線電話機は、標準フォーマットを数値フォーマットに変換する能力をもつ変換モジュールが備え付けられる。これらの標準フォーマットには、iMelody、RTTTL、MIDI、及び、その他のフォーマットのうちの何れか又は全部が含まれる。動作508における変換後、プロセスフローは、編集であるか、又は、最初の音楽シーケンスの作曲であるかとは無関係に動作のシーケンスが類似している動作510へ進む。
【0050】
最初に、基準音楽調、すなわち、調又は中心音が動作510において設定される。このステップは、周波数空間内でシーケンスを位置決めするため、すなわち、シーケンスのピッチを決定する際に重要である。好ましくは、このステップは、初期調を設定するメニューの中を循環するためにキー入力方法を使用して実行される。より好ましくは、デフォルト調がシーケンスの割り当てに使用され、例えば、一実施形態では、デフォルト調はハ長調である。好ましくは、これは、ヘッダに、すなわち、実際の音楽シーケンスより先行するデータのブロックに設定される。
【0051】
次に、動作512において、個別の音符が設定される。これは、好ましくは、キーパッド上のキー1〜7のうちの1つを選択することにより実行される。上記のように、オクターブの変更は、「X’」又は「X,」のいずれか、又は、図2Cにさらに示されるように他の類似の変形を入力し表示するために特殊キーを入力することによって行われる。
【0052】
ステップ512においてピッチを設定した後、音符の長さは動作514において、必要に応じてデフォルト値から調節される。典型的に、デフォルト値は4分音符に設定されるため、音符長さがデフォルト値から外れるとき、第2の特殊キーの入力を必要とする(動作516)。音符の長さを調節するキー入力に関する詳細は、図2Fの一実施形態について説明され、実例が示されている。
【0053】
任意選択のプレビュー機能517は、好ましくは、この時点でシーケンスに組み込まれる。これは、音符又は音符のシーケンスがハンドヘルド装置のスピーカ又はイヤホンを通して再生されることを可能にする。作曲された通りのシーケンスをプレビューすることにより、リスナは音符の入力における誤りを検出し訂正することができる。この機能は、例えば、キーパッド上のキーを手動で押下することにより、又は、自動的に、といった種々の方式で実施されてもよい。
【0054】
次いで、動作518において、シーケンスが終了したか否かに関する判定が行われる。さらなる音符が入力されるべきである場合、プロセスフローは、さらなる音符(すなわち、数字)を音楽シーケンスに入力するためステップ512へ進む。さらなる音符が(入力又は修正されるべく)必要とされない場合、フローは動作520へ進み、シーケンスが記憶される。好ましくは、ハンドヘルドは、記憶された数値シーケンスを上記されたような種々の標準構造(すなわち、RTTTL、MIDIなど)のうちの1つへ変換するようにさらに構成される。記憶後、プロセスは終了する。好ましくは、入力されたシーケンスは、MIDIファイルとして記憶され、その後に、編集又は表示のため数値フォーマットへ逆変換される。より好ましくは、ハンドヘルド電子装置は、着信音若しくはその他の音楽シーケンスの蓄積用の何れかの既知のフォーマットから双方向的に変換を実行するように構成される。
【0055】
編集目的のため、好ましくは、電子装置は、取り出された(又は新しい)シーケンスの表示上にカーソルによって表現された位置で文字の追加と削除を可能にするカーソル機能を備えるように構成される。
【0056】
上記のキー押下シーケンス及び表示シーケンスを使用することにより、多種多様のハンドヘルド電子装置で使用できる、容易に理解可能な音楽記譜が提供される。さらに、この体系を使用して形成されたあらゆる音楽シーケンスは、いずれも最小限の回数のキーストロークによって異なる調に変換可能である。すなわち、従来の西洋音符の代わりに音階度を使用することにより、作品は、例えば、電子メールなどで、テキストフォーマットに容易に移されてもよいが、それでもなお、ハンドヘルドの表示スクリーン上で見たときに容易に識別可能な独自性を保持する。このことは、数値音楽記譜体系に既に精通した人の場合に特に当てはまる。
【0057】
これは、RTTTL及びiMelodyのような他の言語を凌ぐ改良を提供する。さらに、この音楽記譜体系は、作品がハンドヘルドの限定されたディスプレイスクリーン上に容易に表示されることを可能にする。その直観的な性質は、ハーモニーとメロディーのよりよい理解を可能にする。それは、容易に識別可能なシーケンスを提供することにより、編集プロセスを補強し、不必要な移調ステップを回避する。
【0058】
上記の発明は理解の明瞭化の目的のため幾分かは詳細に記載されているが、ある種の変更及び修正が請求項に記載された事項の範囲内で実施できることは明白であろう。したがって、本実施形態は、例示的なものであり、限定的ではないとみなされるべきであり、発明は本明細書に記載された詳細に限定されるべきではなく、請求項に記載された事項の範囲及び均等物の範囲内で修正されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1A】従来の西洋記譜法フォーマットを示す図である。
【図1B】従来の西洋記譜法フォーマットで使用される大譜表を示す図である。
【図1C】従来の西洋記譜法による調号を示す図である。
【図2A】西洋フォーマットのおける種々の基調表示を示す表である。
【図2B】本発明の一実施形態による従来の西洋記譜法から数値記譜への変換を示す表である。
【図2C】本発明の一実施形態による従来の西洋記譜法から数値記譜への変換を示す表である。
【図2D】本発明の一実施形態による従来の西洋記譜法から数値記譜への変換を示す表である。
【図2E】本発明の一実施形態による従来の西洋記譜法から数値記譜への変換を示す表である。
【図2F】従来の西洋記譜法フォーマットから番号付きキーパッドフォーマットへの長さ及びその他のパラメータの変換を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態により構成されたハンドヘルド電子装置のキーパッド及びディスプレイを示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態により構成されたハンドヘルド電子装置のキーパッド及びディスプレイ上の音楽シーケンスを示す図である。
【図4B】図4Aのディスプレイに表された音楽シーケンスのグラフィカル数値記譜表現を示す図である。
【図4C】図4Aにおいて入力された音楽シーケンスと同じ音楽シーケンスに対する従来のキーパッド入力フォーマット及び対応する表示を示す図である。
【図4D】図4Aにおいて入力された音楽シーケンスと同じ音楽シーケンスに対する従来のキーパッド入力フォーマット及び対応する表示を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による音楽シーケンスを入力する方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1オクターブ中の対応する音符にマッピングされた複数個の番号付きキーを有するキーパッドと、ディスプレイスクリーンとを有するハンドヘルド電子装置で音楽シーケンスを形成する方法であって、
前記ハンドヘルド電子装置における前記キーパッド上の2個以上の、前記音符の前記マッピングに基づいた、前記番号付きキーを押すことにより、音符のシーケンスを入力するステップと、
前記音楽シーケンスの番号付き表現を前記ハンドヘルド電子装置の前記ディスプレイスクリーンに表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記マッピングが1オクターブ中の全音階の音符に対する前記キーパッド上の7個の数字の指定に基づき、1オクターブ中の順次に高くなる音符が順次に大きくなる数字に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1オクターブ中の前記音符が、前記番号付きキー1〜7によって表現される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記キーパッドの前記番号付きキー1〜7以外のキーが、前記音楽シーケンスの少なくとも1個の音符の長さパラメータを提供するために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記キーパッドの非英数字キーが、前記音楽シーケンスの少なくとも1個の音符の長さパラメータを規定するために使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記キーパッド上の前記7個の数字とは独立した複数個のキーが、長さパラメータをデフォルト値から調節するために使用され、前記複数個のうちの第1のキーが、前記長さを増加させ、前記複数個のうちの第2のキーが、前記長さを減少させ、前記複数個のうちの第3のキーが、前記長さを50%ずつ増加させる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
表示された番号付き表現が、各音符に対する前記音符のピッチを表現する数字と、少なくとも1個の音符に対し音符の長さパラメータを表現するために前記数字に付加されたスラッシュ、ダッシュ、又は、ピリオドのうちの少なくとも1個と、を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記音符のシーケンスを標準フォーマットに変換するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記標準フォーマットがMIDIフォーマットと無線電話機着信音フォーマットのうちの一方である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記ハンドヘルド電子装置が電話機であり、前記音符のシーケンスが着信音である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ハンドヘルド電話機のテキストメッセージ機能を使用することにより、テキストメッセージによる前記音楽シーケンスを別の個人へ送信するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キーパッドキーのうちの所定の1つが選択されることにより音符のピッチを修正するため臨時記号の入力を受け付けるように前記装置が構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
複数個の音符を取得するステップと、
前記取得された複数個の音符を前記ハンドヘルド電子装置の前記ディスプレイスクリーンに表示するステップと、
前記複数個の音符のうち少なくとも1個に対し、前記キーパッドからの音符の置き換えを受け付けるステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記取り出された複数個の音符は、標準フォーマットであり、コンピュータからダウンロードされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記音楽シーケンスが、前記表示された番号付き表現を変更することなく、どのような音楽調にも移調可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記音符が前記装置の前記ディスプレイスクリーンに表示されたソフトキーを選択することにより入力される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1オクターブ中の対応する音符にマッピングされた複数個の番号付きキーを有するキーパッドを備えるハンドヘルド電子装置であって、
前記キーパッド上の少なくとも1個の、前記音符の前記マッピングに基づいて選択された、番号付きキーが押されることによって音符のシーケンスの入力を受け、
前記音楽シーケンスの番号付き表現をディスプレイスクリーンに表示するように構成されている、ハンドヘルド電子装置。
【請求項18】
前記マッピングが1オクターブ中の前記全音階の音符に対する前記キーパッド上の7個の数字の指定に基づき、1オクターブ中の順次に高くなる音符が順次に大きくなる数字に対応する、請求項17に記載のハンドヘルド電子装置。
【請求項19】
前記ハンドヘルド電子装置のメモリから複数個の音符を取得し、
前記取得されたシーケンスを前記ハンドヘルド電子装置の前記ディスプレイスクリーンに表示し、
前記複数個の音符のうちの少なくとも1個に対しキー入力された置換音符を受け、
前記置換音符が対応する音符に対する番号付き記号表示に対応する前記キーパッド上の前記番号付きキーを選択することによりキー入力され、
前記ディスプレイスクリーンが前記音符の前記番号付き表現を表示するようにさらに構成されている、請求項17に記載のハンドヘルド電子装置。
【請求項20】
少なくとも1オクターブ中の対応する音符にマッピングされ、1オクターブ中の順次に高くなる各音符が順次に大きくなる数字に対応する、複数個の番号付きキーを有するキーパッドと、ディスプレイスクリーンとを有するハンドヘルド無線電話機において音楽シーケンスを形成する方法であって、
前記音符の前記マッピングに基づいて前記シーケンス内の音符毎に選択された、前記キーパッド上の複数個の番号付きキーを押すことにより、前記音符のシーケンスを入力するステップと、
前記番号付き表現中の各番号が前記音符の前記マッピングに対応する、前記音楽シーケンスの番号付き表現を前記ディスプレイスクリーンに表示するステップと、
を備える方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−506988(P2008−506988A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521490(P2007−521490)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023289
【国際公開番号】WO2006/019535
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(500035487)クリエイティブ テクノロジー リミテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】CREATIVE TECHNOLOGY LTD
【Fターム(参考)】