説明

ハードウェア構成縮退時の高速立ち上げ方法、高速立ち上げ装置及び高速立ち上げプログラム

【課題】ハードウェア故障が生じた場合であっても高速でリブートする。
【解決手段】複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する。リブート処理の際に、複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻す。故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ再起動処理の高速化に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのリブート処理には、ハードウェア(HW:hardware)及びメモリの再初期化を行うコールドリブート(ハードリブートともいう)と、メモリ情報は保存し、ハードウェアのみを再初期化するウォームリブート(ソフトリブートともいう)がある。
【0003】
このようなリブート処理を高速に行うために種々の技術が提案されている。
【0004】
その一例として、特許文献1には、パーソナルコンピュータ装置等の待機モードを有する装置において、装置の非使用状態から使用状態に移行する際の初期化(POST)処理を省略することにより、非使用状態から使用状態への移行を迅速化し、待ち時間を短縮する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ウォームリセット要求をCPUのみ初期化するリセット要求に変換することで、プラットフォームに接続されたI/O装置のハードウェア初期化を最小限にし、高速でのリセット及びリスタートを実行する技術が記載されている。
【0006】
更に、OS(Operating System)の高速リブートを実現する機能として、BIOS(Basic Input Output System)立ち上げが完了した状態から再度OSブート処理のみを行う再立ち上げ方式がある。
【0007】
このOSの高速リブート方式では、ハードウェアの初期化処理を行わず、BIOS立ち上げが完了した位置からOSのみを再度リブートすることで、システム停止時間の短縮を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2002/095556号パンフレット
【特許文献2】特開2010−123125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したような種々の技術を組みあわせることにより、再起動処理の高速化を図ることが可能となる。
【0010】
しかしながらこれらの技術を組み合わせたとしても、ハードウェア故障発生時のリブートに際しては、以下のような問題が存在した。
【0011】
具体的に説明する。BIOS立ち上げ完了位置からの再立ち上げはハードウェア,メモリの再初期化を伴わないため、高速のリブートが可能であるが、BIOS立ち上げ完了位置という特定の箇所からのリブートのみ可能である。従って、ハードウェア故障が発生した場合、該当コンポーネントの切り離し処理が必要となることからBIOS立ち上げ完了位置からの再立ち上げ方式を動作させることは出来ず、コールドリブートを行わなくてはならない。コールドリブートはハードウェア及びメモリの初期化を行うため、該当コンポーネントを切り離すだけにも関わらず、システム復旧までに時間を要してしまう。
【0012】
そこで、本発明は、ハードウェア故障が生じた場合であっても高速でリブートすることが可能な、ハードウェア構成縮退時の高速立ち上げ方法、高速立ち上げ装置及び高速立ち上げプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点によれば、複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げ装置において、前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、を備え、前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ装置が提供される。
【0014】
本発明の第2の観点によれば、CPU、メモリ、及び複数のハードウェアコンポーネントを含むハードウェアと、前記ハードウェアのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)と、前記BIOSによる前記ハードウェアのブート処理又はリブート処理の後にブートされるOS(Operating System)と、を備える情報処理装置において、前記BIOSが上記本発明の第1の観点により提供される高速立ち上げ装置としての機能を有することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【0015】
本発明の第3の観点によれば、複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げプログラムにおいて、前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、を備え、前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わない高速立ち上げ装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする高速立ち上げプログラムが提供される。
【0016】
本発明の第4の観点によれば、複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)が行う高速立ち上げ方法において、前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルを用意するステップと、リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御ステップと、を備え、前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハードウェア故障が発生した場合、全てのハードウェアの再初期化を行うのではなく、該当コンポーネントを切り離すと共に、それによって再初期化が必要なコンポーネントのみを再初期化することから、ハードウェア故障が生じた場合であっても高速でリブートすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における情報処理装置の基本的構成を表す図である。
【図2】本発明の実施形態におけるブート処理時の動作について説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態におけるハードウェア故障発生時の動作について説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態におけるリブート処理時の動作について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。
【0020】
本発明の実施形態はBIOSがハードウェアの故障情報、各コンポーネントの初期化位置及びその位置からBIOSブートを行うための情報を記憶することで、リブートの際に故障コンポーネント切り離し処理、それに伴う初期化処理のみを行い、その他の健全なハードウェアコンポーネントの再初期化処理を実行せずに再立ち上げを行う。これにより、ハードウェア故障後のハードウェア縮退構成においても、従来技術より高速なリブートを可能とし、システム停止となる期間を短くすると共に、故障コンポーネント切り離し後の立ち上げを高速にする。
【0021】
以上が本願発明の実施形態の概略である。
【0022】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である情報処理装置1000の概略構成を示すブロック図である。なお、情報処理装置1000自体は具体的にどのような用途の装置であってもよい。例えば、情報処理装置1000が汎用のパーソナルコンピュータやサーバであってもよく、携帯電話機等の端末であってもよく、その他何らかの機能を有する装置であってもよい。任意の装置により本実施形態を実現することが可能である。
【0024】
また、情報処理装置1000は、OS(operating system)100、BIOS(basic input output system)200及びハードウェア(HW)300を含む。
【0025】
OS100は、情報処理装置1000のシステム全体を管理する。ここで、OS100は本実施形態特有のものに限定されない、例えば、Windows(登録商標)や、Linux(登録商標)といったOSを用いることが可能である。
【0026】
BIOS200は、情報処理装置1000に、組み込まれた又は接続された周辺機器を制御するための機能を提供する。
【0027】
ここで、BIOS200は、ブート・リブート制御部201、故障情報記憶部202及び複数の初期化情報管理テーブル203を含む。
【0028】
ブート・リブート制御部201は、情報処理装置1000におけるブート及びリブートを制御する機能を有する。
【0029】
また、故障情報記憶部202は、故障した又は故障の疑いがあるハードウェアコンポーネント303を記憶する機能を有する。
【0030】
初期化情報管理テーブル203は、複数のハードウェアコンポーネント303のそれぞれに対応するように複数設けられている。なお、下述するが本実施形態においてハードウェアコンポーネント303の数に制限はなく、任意の個数が存在していてよい。従って初期化情報管理テーブル203も任意の個数設けられることとなる。なお、図1においては、初期化情報管理テーブル203−1、初期化情報管理テーブル203−2及び初期化情報管理テーブル203−nを図示する。ここで、nは任意の自然数を意味する。
【0031】
そして、初期化情報管理テーブル203は、それぞれ対応するハードウェアコンポーネント303に関しての「初期化情報」を記憶する。
【0032】
具体的には初期化情報管理テーブル203が記憶する初期化情報は、下記の三種類の情報を含む。
【0033】
すなわち、
1)メモリに関する情報として、対応するハードウェアコンポーネント303を初期化するための初期化モジュールの先頭アドレス、当該初期化モジュールの先頭アドレスに対応するメモリ302上の内部テーブル
2)CPUに関する情報として、CPU301内部のコンテキスト/レジスタ/スタック、初期設定値
3)関連情報として、ハードウェアコンポーネント切り離し時に再初期化が必要となるハードウェアコンポーネント間の依存関係
の3つの情報を記憶する。
【0034】
なお、これらの情報はあくまで一例に過ぎず、これらの情報以外の情報が更に追加されていてもよく、また、これらの情報に代替する他の情報が含まれるようにしてもよい。
【0035】
また、情報処理装置1000は、ハードウェア300として、CPU301、メモリ302、及びその他のハードウェアコンポーネント303を含む。
【0036】
CPU301は演算処理装置であり、情報処理装置1000全体の動作を制御する機能を有する。
【0037】
メモリ302は、CPU301の動作に必要なプログラムを記憶する。更に、メモリ302は、CPU301の作業領域となる。具体的にはメモリ302は、主記憶装置となるRAM(Random Access Memory)と、OS100等を格納する補助記憶装置であるHDD(Hard disk drive)やFlash SSD(Solid State Drive)と、BIOS200を記憶するフラッシュメモリ等により実現される。すなわち、メモリ302は、単一の記憶装置により実現されてもよいが、複数の記憶装置の組合せにより実現されてもよい。
【0038】
そして、CPU301及びメモリ302が協働することにより、各ハードウェアコンポーネント303の動作を制御する機能を有し、更に、BIOS200及びOS100を実現する。すなわち本実施形態はハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現される。
【0039】
ハードウェアコンポーネント303は、情報処理装置1000において用いられる種々のハードウェアを含み得る。また、上述したようにハードウェアコンポーネント303は任意の個数が存在していてよい。
【0040】
また、図1においては説明の便宜上CPU301及びメモリ302をそれぞれ別途図示している。もっとも、CPU301及びメモリ302もハードウェアコンポーネント303のうちの一つでもある。すなわち、CPU301及びメモリ302はハードウェアコンポーネント303を兼ねているものとする。
【0041】
続いて、図2、3及び図4のフローチャートを参照して本発明の実施形態の動作について詳細に説明する。
【0042】
まず、図2のフローチャートを参照して情報処理装置1000のブート(立ち上げ)動作について説明する。図2に示すように、情報処理装置1000のブートは、大きく分けるとBIOS200の初期化(ステップS11〜ステップS14)と、OS100の初期化(ステップS15)の2つの処理段階を含む。
【0043】
まず、BIOS200のブート・リブート制御部170は、ハードウェアコンポーネント303−1〜301−nそれぞれについて、各ハードウェアコンポーネントの初期化モジュールによる初期化処理を実行させる。この初期化処理においてブート・リブート制御部170は、各ハードウェアコンポーネント303に対応する初期化情報管理テーブル203に情報を格納する(ステップS11)。ステップS11において格納する初期化情報は上述したように、各ハードウェアコンポーネント303の初期化モジュールの先頭アドレス及び、その場所でのメモリ302上の内部テーブル、CPU301内部のコンテキスト/レジスタ/スタック、初期設定値、該当コンポーネント303の切り離した際に再初期化が必要になるハードウェアの依存関係である。
【0044】
続いて、ブート・リブート制御部170は、全てのハードウェアコンポーネント303に対応する初期化情報管理テーブル203に情報を記憶できたか確認する(ステップS12)。全ての初期化情報管理テーブル203に情報を記憶できていない場合は(ステップS12においてNo)、ステップS11の動作を継続する。一方、全ての初期化情報管理テーブル203に情報を記憶できている場合は(ステップS12においてYes)、BIOSブートが完了する(ステップS13)。
【0045】
続いて、ブート・リブート制御部170は、ステップS11及び12と同様にBIOSブート完了位置でのメモリ302、CPU301のデータを初期化情報管理テーブル160に記憶する(ステップS14)。
【0046】
その後、OSのブート処理が開始される(ステップS15)。
【0047】
次に、図3のフローチャートを参照してOS100運用中の動作について説明する。
【0048】
OS100の運用中に何れかのハードウェアコンポーネント303が故障した場合、BIOS200は当該ハードウェアコンポーネント303の故障を故障情報記憶部202に記憶する(ステップS21)。
【0049】
なお、図3の処理では、実際に故障が生じたハードウェアコンポーネントに限らず、故障の発生が疑われるハードウェアコンポーネントの情報が記憶されてもよい。
【0050】
続いて、図4のフローチャートを参照して情報処理装置1000のリブート動作について説明する。
【0051】
図4に示すように、このリブート動作は、OSのシャットダウン(リブート指示の結果行われる)、BIOSのシャットダウン(OSのシャットダウンに続いて行われ、ハードウェア故障の有無の判断処理を含む)、BIOSの初期化(ステップS32、ステップS34、ステップS35)、及びOSの初期化(ステップS37)の4つの処理段階を含む。
【0052】
OS100からのリブート(立ち下げ)指示が出た場合、BIOS200は運用中に故障情報記憶部202に記憶しておいたハードウェアコンポーネント303の故障情報を確認する(ステップS31)。
【0053】
ハードウェア故障が発生していない場合(ステップS31にてNo)、BIOS200の立ち上げ完了位置で記憶した(ステップS14にて)メモリ302上の内部テーブル、CPU301内部のコンテキスト/レジスタ/スタック及び、初期設定値を書き戻す(ステップS32)。これにより、不要なハードウェアの初期化処理をスキップし、OS100立ち上げが可能な状態し、再度OS100立ち上げを行う(ステップS36及びステップS37)。
【0054】
一方、OS100運用中にハードウェア故障が発生していた場合(ステップS31にてYes)、発生したハードウェア故障で切り離し対象となるハードウェアコンポーネント303と、ブート時に(ステップS11及びA12にて)記憶していた各ハードウェアコンポーネント303の初期化情報管理テーブル160に含まれる初期化情報と、を照らし合わせる。そして、故障したハードウェアコンポーネント303の切り離しを行うための初期化位置から再度BIOS200立ち上げを実施する(ステップS35−1〜35−n)。
【0055】
このとき、BIOS200はハードウェア故障したハードウェアコンポーネント303を切り離すと同時に、ステップS11及びA12にて記憶したメモリ302上の内部テーブル、CPU301内部のコンテキスト/レジスタ/スタック、初期設定値を書き戻し、再初期化が必要なハードウェアコンポーネント303を初期化する(ステップS34−1〜34−n)。これにより故障したハードウェアコンポーネント303を縮退させた構成でのOS100立ち上げを行う。
【0056】
以上説明した本発明の実施形態の効果は、システム復旧時間の短縮を可能とすることにある。
【0057】
その理由は、ハードウェア故障が発生した場合、全てのハードウェアの再初期化を行うのではなく、該当コンポーネントを切り離すと共に、それによって再初期化が必要なコンポーネントのみを再初期化することで、不要な初期化処理を行わないからである。
【0058】
上述した実施形態においては、故障情報記憶部202が、故障した又は故障の疑いがあるハードウェアコンポーネント303を一つだけ記憶している場合を想定していた。もっとも、ステップS32において複数のハードウェアコンポーネント303が故障しているような場合もあり得る。
【0059】
このような場合には、当該複数のハードウェアコンポーネント303を切り離すための再初期化と共に、これら複数のハードウェアコンポーネント303と依存関係にあるハードウェアコンポーネント303を初期化することにより高速立ち上げを実現することが可能となる。
【0060】
なお、上記実施形態では、本実施形態を実現するためのプログラムが、情報処理装置に予め記憶されているものとして説明した。しかし、コンピュータを情報処理装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0061】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0062】
なお、本発明の実施形態である情報処理装置は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータをその情報処理装置として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態による高速立ち上げ方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0064】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0065】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0066】
(付記1) 複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げ装置において、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【0067】
(付記2) 付記1に記載の高速立ち上げ装置において、
前記リブート処理の際に前記ハードウェアコンポーネントの何れも故障していない場合は、前記BIOSによるブート完了時の初期化情報を書き戻すことによりハードウェアコンポーネントの初期化処理を省略することを特徴とする高速立ち上げ装置。
【0068】
(付記3) 付記1又は2に記載の高速立ち上げ装置において、
前記装置がOS(Operating System)配下で運用されている間に前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じた場合に、当該故障の情報を記憶する故障情報記憶手段を更に備え、
前記リブート処理の際に前記故障情報記憶手段を参照することにより前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じているか否かを判断することを特徴とする高速立ち上げ装置。
【0069】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載の高速立ち上げ装置において、
前記装置立ち上げ時の初期化位置情報は、対応するハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時での、初期化モジュールの先頭アドレス、メモリ上で対応する内部テーブル、及びCPU内における初期設定値を含み、
前記BIOSブート完了時の初期化情報は、対応するハードウェアコンポーネントのBIOSブート完了時での、初期化モジュールの先頭アドレス、メモリ上で対応する内部テーブル、及びCPU内における初期設定値を含む、ことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【0070】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載の高速立ち上げ装置において、
前記リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントが複数存在する場合は、当該複数のハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻す、ことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【0071】
(付記6) CPU、メモリ、及び複数のハードウェアコンポーネントを含むハードウェアと、前記ハードウェアのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)と、前記BIOSによる前記ハードウェアのブート処理又はリブート処理の後にブートされるOS(Operating System)と、を備える情報処理装置において、
前記BIOSが付記1乃至5の何れか1に記載の高速立ち上げ装置としての機能を有することを特徴とする情報処理装置。
【0072】
(付記7) 複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げプログラムにおいて、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わない高速立ち上げ装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする高速立ち上げプログラム。
【0073】
(付記8) 複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)が行う高速立ち上げ方法において、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルを用意するステップと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御ステップと、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ方法。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、ハードウェア故障発生時に該当コンポーネントの切り離し技術を搭載した装置全般に好適である。
【符号の説明】
【0075】
100 OS
200 BIOS
201 ブート・リブート制御部
202 故障情報記憶部
203 初期化情報管理テーブル
300 ハードウェア
301 CPU
302 メモリ
303 ハードウェアコンポーネント
1000 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げ装置において、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高速立ち上げ装置において、
前記リブート処理の際に前記ハードウェアコンポーネントの何れも故障していない場合は、前記BIOSによるブート完了時の初期化情報を書き戻すことによりハードウェアコンポーネントの初期化処理を省略することを特徴とする高速立ち上げ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高速立ち上げ装置において、
前記装置がOS(Operating System)配下で運用されている間に前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じた場合に、当該故障の情報を記憶する故障情報記憶手段を更に備え、
前記リブート処理の際に前記故障情報記憶手段を参照することにより前記ハードウェアコンポーネントに故障が生じているか否かを判断することを特徴とする高速立ち上げ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の高速立ち上げ装置において、
前記装置立ち上げ時の初期化位置情報は、対応するハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時での、初期化モジュールの先頭アドレス、メモリ上で対応する内部テーブル、及びCPU内における初期設定値を含み、
前記BIOSブート完了時の初期化情報は、対応するハードウェアコンポーネントのBIOSブート完了時での、初期化モジュールの先頭アドレス、メモリ上で対応する内部テーブル、及びCPU内における初期設定値を含む、ことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の高速立ち上げ装置において、
前記リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントが複数存在する場合は、当該複数のハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻す、ことを特徴とする高速立ち上げ装置。
【請求項6】
CPU、メモリ、及び複数のハードウェアコンポーネントを含むハードウェアと、前記ハードウェアのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)と、前記BIOSによる前記ハードウェアのブート処理又はリブート処理の後にブートされるOS(Operating System)と、を備える情報処理装置において、
前記BIOSが請求項1乃至5の何れか1項に記載の高速立ち上げ装置としての機能を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御する高速立ち上げプログラムにおいて、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御手段と、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わない高速立ち上げ装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする高速立ち上げプログラム。
【請求項8】
複数のハードウェアコンポーネントを有するコンピュータに組み込まれ、当該コンピュータのブート処理及びリブート処理を制御するBIOS(Basic Input Output System)が行う高速立ち上げ方法において、
前記複数のハードウェアコンポーネントにそれぞれ対応する複数の情報管理テーブルであって、対応するハードウェアコンポーネントの装置ブート時の初期化情報及び当該ハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要となるハードウェアコンポーネントを示す依存関係、並びにBIOSによるブート完了時の初期化情報を記憶する複数の情報管理テーブルを用意するステップと、
リブート処理の際に、前記複数のハードウェアコンポーネントのうち故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離すための再初期化と共に、ハードウェアコンポーネントの装置立ち上げ時の初期化情報を書き戻すブート・リブート制御ステップと、
を備え、
前記故障が生じているハードウェアコンポーネントを切り離す際に再初期化に必要とならないハードウェアコンポーネントについては再初期化を行わないことを特徴とする高速立ち上げ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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