説明

ハードコートフィルム

【課題】高い硬度及び耐擦傷性を有し且つ傷に対する復元性を有するハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】光透過性基材10の一面側に、当該光透過性基材側10から順にハードコート層20及び復元性層30を設けたハードコートフィルム1であって、当該ハードコート層20は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、当該復元性層30は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、ハードコートフィルム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ等の表面を保護する目的等で使用される、光透過性基材上にハードコート層及び復元性層を設けてなるハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。これに対して、基材にハードコート(HC)層を設けたハードコートフィルムや、更に反射防止性や防眩性等光学機能を付与したハードコートフィルム(光学積層体)を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
【0003】
特許文献1では、光透過性樹脂基材上に、末端に3つ以上の反応性官能基を有する分子量が1000以上のポリアルキレンオキシド鎖含有ポリマー、2つ以上の反応性官能基を有する分子量が10000未満の化合物、及び少なくとも表面の一部に有機成分が被覆され、当該有機成分により導入された反応性官能基を表面に有する無機微粒子を含むハードコート層用塗工組成物を硬化させたハードコート層を設け、硬度の向上を図っている。
【0004】
ハードコートフィルムやハードコート層を有する光学積層体の製品検査において、硬度を評価する鉛筆硬度試験では、ハードコート層表面に傷が生じてしまうと品質の低下となってしまうため、傷の発生が最も好ましくない。
【0005】
特許文献1のハードコートフィルムでは傷はつきにくいが、一度傷が付いてしまうとその傷が消えず、そのようなハードコートフィルムを用いたディスプレイの視認性を低下させてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−165040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、高い硬度及び耐擦傷性を有しながらも傷に対する復元性も有するハードコートフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を重ねた結果、光透過性基材上に高い硬度を有するハードコート層を下地層として設け、当該下地層上に特定のウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む組成物の硬化物からなる復元性を有する層を設けることで、高い硬度及び耐擦傷性を有しながらも傷に対する復元性を有するハードコートフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記問題点を解決する本発明の特徴は、以下の点である。
【0009】
本発明に係るハードコートフィルムは、光透過性基材の一面側に当該光透過性基材側から順にハードコート層及び復元性層を設けたハードコートフィルムであって、
当該ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
当該復元性層は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
【0010】
ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、硬度に優れ、ハードコートフィルムにかかる衝撃が光透過性基材に伝わるのを防ぎ、ハードコートフィルムの硬度を高める効果を有する。
【0011】
復元性層は、上記特定のウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、ハードコート層よりも柔軟性に優れ、傷に対する復元性を有し、ハードコートフィルムの視認性が傷により低下することを防ぐ効果を有する。そして、光透過性基材の一面側に、ハードコート層及び復元性層がこの順序で設けられることにより、前記ハードコート層及び復元性層の効果が十分に発揮される。
【0012】
前記ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度は、下地層としての十分な硬度を発現するために2H以上であることが好ましい。
【0013】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記復元性層の膜厚は、5〜30μmであることが、ハードコートフィルムの硬度向上の点から好ましい。
【0014】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートが、ポリカプロラクトン変性アルキルアクリレート及び/又はポリカプロラクトン変性アルキルメタクリレートであることが好ましい。
【0015】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートが、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートの混合物であることが好ましい。
【0016】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なるヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート間における前記繰り返し数の最大差が9以下であることが好ましい。
【0017】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記復元性層用硬化性樹脂組成物はさらに、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有することが、ハードコートフィルムの耐擦傷性向上の点から好ましい。
【0018】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物が、光硬化性基を有することが、復元性層の密着性及び耐溶剤性向上の点から好ましい。
【0019】
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、前記長鎖アルキル基含有化合物の長鎖アルキル基の炭素数が13〜25であることが、ハードコートフィルムの耐擦傷性向上の点から好ましい。
【0020】
本発明に係るハードコートフィルムの好適な実施形態においては、前記復元性層のハードコート層とは反対側の面に、帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層及び前記ハードコート層と同じか又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選ばれる1種以上の層が設けられていることも可能である。
【0021】
本発明において、「ハードコート層」とは、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で、「H」以上の硬度を示すものをいう。
本発明において、「傷」とは、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の傷をいう。
本発明において、光硬化性基とは、光照射により重合反応又は架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、光二量化を経て進行する付加重合又は縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るハードコートフィルムは、光透過性基材の一面側に、光透過性基材側からハードコート層及び特定のウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む組成物の硬化物からなる復元性層をこの順序で有することにより、硬度及び耐擦傷性に優れ、傷に対する復元性も有し、良好な視認性が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の一例を模式的に示した図である。
【図2】図2は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した図である。
【図3】図3は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、まず本発明に係るハードコートフィルムについて説明し、次いで当該ハードコートフィルムの製造方法について説明する。
【0025】
なお、本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において、「ハードコート層」とは、一般にJIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験(4.9N荷重)で「H」以上の硬度を示すものである。
本発明において、「傷」とは、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の傷をいう。
本発明の光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明において、光硬化性基とは、光照射により重合反応又は架橋反応等を進行させて塗膜を硬化させることができる官能基を意味し、例えば、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合のような重合反応、光二量化を経て進行する付加重合又は縮重合等の反応形式により反応が進行するものが挙げられる。
本発明において、膜厚とは乾燥時の膜厚(乾燥膜厚)を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
本発明において、微粒子の平均粒径とは、溶液中の当該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒径分布を累積分布で表したときの50%粒子径(d50 メジアン径)を意味する。当該平均粒径は、日機装(株)製のMicrotrac粒度分析計を用いて測定することができる。
上記微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの、および薄いものの両方の意味を含めて、「フィルム」と定義する。
【0026】
(ハードコートフィルム)
本発明に係るハードコートフィルムは、光透過性基材の一面側に当該光透過性基材側から順にハードコート層及び復元性層を設けたハードコートフィルムであって、
当該ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
当該復元性層は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
【0027】
ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、硬度に優れ、ハードコートフィルムにかかる衝撃が光透過性基材に伝わるのを防ぎ、ハードコートフィルムの硬度を高める効果を有する。
【0028】
復元性層は、上記特定のウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、ハードコート層よりも柔軟性に優れ、傷に対する復元性を有し、ハードコートフィルムの視認性が傷により低下することを防ぐ効果を有する。
【0029】
光透過性基材の一面側に、光透過性基材側からハードコート層及び復元性層がこの順序で設けられることにより、ハードコート層及び復元性層の効果が十分に発揮される。光透過性基材上に復元性層のみが設けられている場合では、硬度が不十分であり、一方、ハードコート層のみが設けられている場合では、傷は付きにくいが、傷に対する復元性がなく傷がついた場合に視認性が低下してしまう。
【0030】
本発明に係るハードコートフィルムの好適な実施形態においては、前記復元性層のハードコート層とは反対側の面に、帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層及び前記ハードコート層と同じか又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選ばれる1種以上の層が設けられていることも可能である。本発明に係るハードコートフィルムにおいては、光透過性基材の一面側にハードコート層が設けられ、さらに当該ハードコート層に隣接して復元性層が設けられていれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記その他の層を復元性層のハードコート層とは反対側の面に設けることができる。
【0031】
図1は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の一例を示した模式図である。
光透過性基材10の一面側に、光透過性基材10側からハードコート層20及び復元性層30が設けられている。
【0032】
図2は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を示した模式図である。
光透過性基材10の一面側に、光透過性基材10側からハードコート層20、復元性層30及び低屈折率層40がこの順で設けられている。
【0033】
図3は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成の他の一例を示した模式図である。
光透過性基材10の一面側に、光透過性基材10側からハードコート層20、復元性層30、帯電防止層50及び低屈折率層40がこの順で設けられている。
【0034】
以下、本発明に係るハードコートフィルムの必須要素である光透過性基材、ハードコート層及び復元性層並びに必要に応じて適宜設けることができるその他の層である帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層、及び前記ハードコート層と同じか又は異なる第2のハードコート層について、詳細に説明する。
【0035】
(光透過性基材)
本発明に用いられる光透過性基材は、光透過性(透明性)の高いプラスチックフィルム又はシートであり、光学積層体の光透過性基材として用い得る物性を満たすものであれば特に限定されることはなく、適宜選んで用いることができる。
通常、光学積層体に用いられる基材には、透明、半透明、無色又は有色を問わないが、光透過性が要求される。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
【0036】
本発明においては、光透過性基材の厚さは適宜選択して用いることができるが、ハードコートフィルムの表面を割れにくく、且つ、硬度を付与する点から、10〜200μmの光透過性基材を用いることが好ましく、30〜150μmであることがより好ましい。
【0037】
光透過性基材の材料として好ましいものとしては、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、又はポリエステルを主体とするものが挙げられる。ここで、「主体とする」とは、基材構成成分の中で最も含有割合が高い成分を示すものである。
【0038】
セルロースアシレートの具体例としては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート等が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーとしては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が挙げられ、より具体的には、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS−1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。
アクリレート系ポリマーの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
【0039】
本発明に用いられる光透過性基材として、最も透明性に優れた材料は、セルロースアシレートであり、中でもトリアセチルセルロースを用いることが好ましい。
トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)は、可視光域380〜780nmにおいて、平均光透過率を50%以上とすることが可能な光透過性基材である。基材の平均光透過率は70%以上、更に85%以上であることが好ましい。
TACフィルムは、光学的等方性を有するため、液晶ディスプレイ用途の場合においても好ましく用いることができる。
【0040】
尚、本発明におけるトリアセチルセルロースとしては、純粋なトリアセチルセルロース以外に、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートの如くセルロースとエステルを形成する脂肪酸として酢酸以外の成分も併用した物であっても良い。又、これらトリアセチルセルロースには、必要に応じて、ジアセチルセルロース等の他のセルロース低級脂肪酸エステル、或いは可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
【0041】
また、本発明においては、TACフィルムに表面処理(例、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよく、プライマー層(接着剤層)を形成してもよい。本発明の光透過性基材は、これらの表面処理及びプライマー層も含めたものをいう。
【0042】
(ハードコート層)
ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、硬度に優れ、ハードコートフィルムにかかる衝撃が光透過性基材に伝わるのを防ぎ、ハードコートフィルムの硬度を高める効果を有する。
【0043】
ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度は、H以上であればよく、2H以上であることが下地層としての十分な硬度を発現するために好ましい。
【0044】
ハードコート層の膜厚は、ハードコートフィルムが要求される性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、2〜50μmであることが好ましく、3〜25μmであることがより好ましく、5〜20μmであることが特に好ましい。2μm以上であれば2H以上の硬度を出すことが容易となり、50μmを超えるとクラックが生じやすくなったり、バインダー成分の硬化収縮によるハードコートフィルム全体の反り(いわゆるカール)が発生しやすくなる。
【0045】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物)
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明のハードコート層用硬化性樹脂組成物は、バインダー成分を含み、その他、硬度付与を目的として微粒子を、機能性付与を目的として防眩剤、防汚剤及び帯電防止剤を、コーティング適性の制御を目的としてレベリング剤を、並びにブロッキング防止を目的として易滑剤等を含有していても良い。
【0046】
(バインダー成分)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー成分は、反応性官能基を有し、硬化してハードコート層のマトリクスとなる成分である。バインダー成分は、反応性官能基により、当該反応性官能基同士及び後述する反応性無機微粒子と架橋結合し、網目構造を形成し、ハードコート層に硬度を付与する。
本発明において、バインダー成分は、モノマー、オリゴマー、ポリマー及び樹脂を含む概念である。
【0047】
反応性官能基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
【0048】
バインダー成分は、硬化性有機樹脂が好ましく、塗膜とした時に光が透過する透光性のものが好ましく、紫外線又は電子線で代表される電離放射線により硬化する樹脂である電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。
【0049】
バインダー成分として、1種又は2種以上のバインダー成分を用いることができる。
ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対するバインダー成分の含有量は、ハードコートフィルムの要求される性能に応じて適宜調節すればよいが、5〜90質量%含まれることが好ましく、20〜80質量%含まれることがより好ましい。
【0050】
バインダー成分は、ハードコート層において架橋密度を増し、硬度を高める点から、反応性官能基を2つ以上有することが好ましく、3つ以上有することがより好ましい。
【0051】
このようなバインダー成分としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの変性体が挙げられる。
尚、変性体としては、EO(エチレンオキサイド)変性体、PO(プロピレンオキサイド)変性体、CL(カプロラクトン)変性体、及びイソシアヌル酸変性体等が挙げられる。
【0052】
バインダー成分としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び/又はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく用いられ、ペンタエリスリトールトリアクリレートが特に好ましく用いられる。
【0053】
このほか、3官能以上のアクリレート樹脂としては、市販品を使用することができ、具体的には、日本化薬(株)製のKAYARAD、KAYAMERシリーズ(例えば、DPHA、PET30、GPO303、TMPTA、THE330、TPA330、D310、D330、PM2、PM21、DPCA20、DPCA30、DPCA60、DPCA120);東亞合成(株)製のアロニックスシリーズ(例えば、M305、M309、M310、M315、M320、M327、M350、M360、M402、M408、M450、M7100、M7300K、M8030、M8060、M8100、M8530、M8560、M9050);新中村化学工業(株)製のNKエステルシリーズ(例えば、TMPT、A−TMPT、A−TMM−3、A−TMM3L、A−TMMT、A−TMPT−6EO、A−TMPT−3CL、A−GLY−3E、A−GLY−6E、A−GLY−9E、A−GLY−11E、A−GLY−18E、A−GLY−20E、A−9300、AD−TMP−4CL、AD−TMP);新中村化学工業(株)製のNKエコノマーシリーズ(例えば、ADP51、ADP33、ADP42、ADP26、ADP15);第一工業製薬(株)製のニューフロンティアシリーズ(例えば、TMPT、TMP3、TMP15、TMP2P、TMP3P、PET3、TEICA);ダイセル・ユーシービー(株)製のEbecrylシリーズ、(例えば、TMPTA、TMPTAN、160、TMPEOTA、OTA480、53、PETIA、2047、40、140、1140、PETAK、DPHA);SARTOMER社製のCD501、CD9021、CD9052、SR351、SR351HP、SR351LV、SR368、SR368D、SR415、SR444、SR454、SR454HP、SR492、SR499、SR502、SR9008、SR9012、SR9020、SR9020HP、SR9035、CD9051、SR350、SR9009、SE9011、SR295、SR355、SR399、SR399LV、SR494、SR9041等が挙げられる。
【0054】
2官能以上のウレタンアクリレートとしては、共栄社化学(株)製 商品名AH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I等が挙げられる。好適に用いられるウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソホロンジイソシアネートの単量体又は多量体とペンタエリスリトール多官能アクリレートとジペンタエリスリトール多官能アクリレートとを反応して得られるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0055】
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は市販品を使用することができ、具体的には、日本合成化学工業(株)製の紫光シリーズ、例えば、UV1700B、UV6300B、UV765B、UV7640B、UV7600B等が挙げられ;根上工業(株)製のアートレジンシリーズ、例えば、アートレジンHDP、アートレジンUN9000H、アートレジンUN3320HA、アートレジンUN3320HB、アートレジンUN3320HC、アートレジンUN3320HS、アートレジンUN901M、アートレジンUN902MS、アートレジンUN903等が挙げられ;新中村化学工業(株)製のUA100H、U4H、U6H、U15HA、UA32P、U6LPA、U324A、U9HAMI等が挙げられ;ダイセル・ユーシービー(株)製のEbecrylシリーズ、例えば、1290、5129、254、264、265、1259、1264、 4866、9260、8210、204、205、6602、220、4450等が挙げられ;荒川化学工業(株)製のビームセットシリーズ、例えば、371、371MLV、371S、577、577BV、577AK等が挙げられ;三菱レイヨン(株)製のRQシリーズが挙げられ;DIC(株)製のユニディックシリーズ等が挙げられ;DPHA40H(日本化薬(株)製)、CN9006、CN968(SARTOMER社製)等が挙げられる。この中でも、好ましくは、UV1700B(日本合成化学工業(株)製)、DPHA40H(日本化薬(株)製)、アートレジンHDP(根上工業(株)製)、ビームセット371、ビームセット577(荒川化学工業(株)製)、U15HA(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0056】
2官能以上のエポキシアクリレートとしては、昭和高分子(株)製 商品名SPシリーズ(SP−4060、1450等)、VRシリーズ(VR−60、1950;VR−90、1100等)等;日本合成化学工業(株)製 商品名UV−9100B、UV−9170B等;新中村化学工業(株)製 商品名EA−6320/PGMAc、EA−6340/PGMAc等が挙げられる。
【0057】
また2官能以上の反応性オリゴマーとしては、東亞合成(株)製 商品名マクロモノマーシリーズ AA−6、AS−6、AB−6、AA−714SK等が挙げられる。
【0058】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物のその他の成分)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物には、バインダー成分のほかに、硬度やその他の機能性付与を目的として更に微粒子、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等を適宜添加することもできる。更に、反応性又は非反応性レベリング剤、各種増感剤等の各種添加剤が混合されていても良い。帯電防止剤及び/又は防眩剤を含む場合には、ハードコート層に、更に帯電防止性及び/又は防眩性を付与できる。
【0059】
(微粒子)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、ハードコート層の硬度を向上させる点から微粒子を含有することが好ましい。微粒子はハードコート層に用いることができる公知のものを要求性能に応じて適宜採用すればよい。
【0060】
微粒子の平均粒径は、ハードコート層の透明性の点から1〜100nmであることが好ましい。当該範囲であることにより、ハードコート層の透明性を維持しながら硬度を付与しやすい。当該微粒子は、凝集粒子であっても良く、凝集粒子である場合は、二次粒径が上記範囲内であれば良い。
【0061】
また、微粒子は、透明性を損なうことなく、上記バインダー成分のみを用いた場合の復元率を維持しつつ、硬度を向上させる点から、粒径分布が狭く、単分散であることが好ましい。
【0062】
微粒子のハードコート層用硬化性樹脂組成物における含有量は特に制限が無く、硬度等を考慮して適宜設定すれば良い。微粒子の含有量は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対し、10〜80質量%であることがハードコート層の硬度向上の点から好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
【0063】
微粒子は単一の材質や単一の平均粒径のものだけでなく、材質や平均粒径の異なるものを2種類以上組み合わせて用いても良い。2種類以上組み合わせて用いる場合は、各粒子の平均粒径が1〜100nm以内となることが好ましい。
【0064】
本発明の反応性無機微粒子は、中空粒子のような粒子内部に空孔や多孔質組織を有する粒子よりも、粒子内部に空孔や多孔質組織を有しない中実粒子を用いることが硬度向上の点から好ましい。
【0065】
微粒子は、無機微粒子でも有機微粒子でも良いが、硬度付与の観点から無機微粒子であることが好ましい。
【0066】
無機微粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子などが挙げられる。金属微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等を用いても良い。
【0067】
硬度が高い点からは、シリカ、酸化アルミニウムが好ましい。また、ハードコート層上に設けるその他の層に対して相体的に高屈折率層とするためには、ジルコニア、チタニア、酸化アンチモン等の膜形成時に屈折率が高くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。同様に、相対的に低屈折率層とするためには、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等のフッ化物微粒子などの膜形成時に屈折率が低くなる微粒子を適宜選択して用いることができる。更に、帯電防止性、導電性を付与したい場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ等を適宜選択して用いることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0068】
シリカ微粒子の市販品としては、日産化学工業(株)製、IPA−ST、IPASTMS、IPAST(L)等が挙げられる。
【0069】
有機微粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、例えば、スチレンビーズを挙げることができる。
【0070】
無機微粒子は、当該微粒子表面に当該粒子同士又は上記バインダー成分との間で架橋反応し、共有結合が形成可能な反応性官能基を少なくとも粒子表面の一部に有する反応性無機微粒子であることが好ましい。反応性無機微粒子同士又は反応性無機微粒子と前記バインダー成分の間で架橋反応することにより、ハードコート層の硬度を更に向上させることができる。
【0071】
反応性官能基としては、重合性不飽和基が好適に用いられ、好ましくは光硬化性不飽和基であり、特に好ましくは電離放射線硬化性不飽和基である。その具体例としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合及びエポキシ基等が挙げられる。
【0072】
前記反応性無機微粒子には、1粒子あたりコアとなる無機微粒子の数が2つ以上のものも含まれる。また、反応性無機微粒子は、粒径を小さくすることにより含有量に対して、ハードコート層のマトリクス内での架橋点を高めることができる。
前記反応性無機微粒子は、ハードコート層に更に機能を付与するものであっても良く、目的に合わせて適宜選択して用いる。
【0073】
反応性無機微粒子は従来公知のものを用いればよく、例えば、市販品として、反応性シリカ微粒子(商品名HC−601、(株)ADEKA製)、(商品名KZ7537、JSR(株)製)を用いることができる。
【0074】
反応性無機微粒子としては、分散媒を含有しない粉末状の微粒子を用いてもよいが、分散工程を省略でき、生産性が高い点から微粒子を溶剤分散ゾルとしたものを用いることが好ましい。
【0075】
(重合開始剤)
上記ラジカル重合性官能基やカチオン重合性官能基の開始又は促進させるために、必要に応じてラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等を適宜選択して用いても良い。これらの重合開始剤は、光照射及び/又は加熱により分解されて、ラジカルもしくはカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
【0076】
ラジカル重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。例えば、光ラジカル重合開始剤としては、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられ、更に具体的には、1,3−ジ(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(tert−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・ジャパン(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・ジャパン(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)(商品名イルガキュア784、チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
上記以外にも、市販品が使用でき、具体的には、チバ・ジャパン(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
【0078】
また、カチオン重合開始剤は、光照射及び/又は加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であれば良い。カチオン重合開始剤としては、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示され、さらに具体的には、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
ラジカル重合開始剤としても、カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示され、更に具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5トリアジン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物の溶剤)
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール(IPA)、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、メチルグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ニトロメタン、N―メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等のその他の物;又はこれらの混合物が挙げられる。
ハードコートフィルムの硬度を向上できる点から、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、及びtert−ブタノールよりなる群から選ばれる1種以上の非浸透性溶剤であることが好ましい。非浸透性溶剤を用いることにより、上記バインダー成分が光透過性基材に浸透しなくなるため、ハードコート層の硬度を高めることができる。
なお、本発明において、浸透とは、光透過性基材を溶解又は膨潤させることをいう。
【0081】
(帯電防止剤)
帯電防止剤の具体例としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、又は金属キレート部を有し、且つ、電離放射線により重合可能なモノマー又はオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有する且つ、カップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
【0082】
帯電防止剤としては、導電性ポリマーも挙げることができる。導電性ポリマーとしては特に限定されず、例えば、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、脂肪族共役系のポリアセチレン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフト又はブロック共重した高分子である導電性複合体等を挙げることができる。
【0083】
また、前記帯電防止剤の他の例としては、導電性微粒子が挙げられる。当該導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。前記導電性微粒子の平均粒径は、0.1nm〜0.1μmであることが好ましい。かかる範囲内であることにより、前記導電性微粒子をバインダーに分散した際、ヘイズがほとんどなく、全光線透過率が良好な高透明な膜を形成可能な組成物が得られる。
【0084】
(防眩剤)
防眩剤としては微粒子が挙げられ、微粒子の形状は、真球状、楕円状などのものであってよく、好ましくは真球状のものが挙げられる。また、微粒子は無機系、有機系のものが挙げられるが、好ましくは有機系材料により形成されてなるものが好ましい。微粒子は、防眩性を発揮するものであり、好ましくは透明性のものがよい。微粒子の具体例としては、プラスチックビーズが挙げられ、より好ましくは、透明性を有するものが挙げられる。プラスチックビーズの具体例としては、スチレンビーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。微粒子の添加量は、ハードコート層用硬化性樹脂組成物100質量部に対し、2〜30質量部、好ましくは10〜25質量部程度である。
【0085】
(復元性層)
復元性層は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタン(メタ)アクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、ハードコート層よりも柔軟性に優れ、傷に対する復元性を有し、傷によるハードコートフィルムの視認性低下を防ぐ効果を有する。
【0086】
復元性層の膜厚は、ハードコートフィルムが要求される性能に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、5〜30μmであることが好ましい。5μm以上であれば復元性を得ることが容易となり、30μmを超えるとクラック(いわゆるひび割れ)が生じやすくなったり、ウレタン(メタ)アクリレート等のバインダー成分の硬化収縮によるハードコートフィルム全体の反り(いわゆるカール)が発生しやすくなる。
【0087】
(復元性層用硬化性樹脂組成物)
以下、硬化して復元性層となる復元性層用硬化性樹脂組成物について説明する。
復元性層用硬化性樹脂組成物には、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタン(メタ)アクリレートを含む。
【0088】
(復元性層用硬化性樹脂組成物のウレタン(メタ)アクリレート)
復元性層用硬化性樹脂組成物に含まれるウレタン(メタ)アクリレートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート、及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたものである。当該ウレタン(メタ)アクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、耐擦傷性及び復元性に優れた復元性層が得られる。
【0089】
復元性層用硬化性樹脂組成物における上記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されず、ハードコートフィルムの要求される性能に応じて適宜調整すればよい。当該ウレタン(メタ)アクリレートは、ハードコートフィルムの優れた復元性、硬度及び耐擦傷性の点から、復元性層用硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、5〜95質量%含まれることが好ましく、30〜70質量%含まれることがより好ましい。
【0090】
前記ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、カプロラクトン変性ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、KRM7735)、ウレタンアクリレート(SARTOMER社製、CN9996,CN9893)(日本合成化学工業(株)製、UV3200B)が入手可能である。
【0091】
以下、上記ウレタン(メタ)アクリレートの原料となる有機イソシアネート、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート、及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールについて順に説明する。
【0092】
(有機イソシアネート)
有機イソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機化合物であるが、有機イソシアネート1分子中に含まれるイソシアネート基の数は3個以上であることが好ましい。
【0093】
1分子中にイソシアネート基を2個有する有機イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートモノマーが挙げられる。
【0094】
1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとしては、ジイソシアネートモノマーをイソシアヌレート変性させた下記化学式(1)で表されるような化合物、ジイソシアネートモノマーをアダクト変性させた下記化学式(2)で表されるような化合物、ジイソシアネートモノマーをビウレット変性させた下記化学式(3)で表されるような化合物、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリアミノノナントリイソシアネートなどのイソシアネートプレポリマーが挙げられる。
【0095】
【化1】

化学式(1)において、Rは、下記(1−1)〜(1−7)よりなる群から選ばれるいずれかである。
【0096】
【化2】

【0097】
【化3】

化学式(2)において、Rは、上記化学式(1)のRと同じである。
【0098】
【化4】

【0099】
(ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート)
ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素原子を、ヒドロキシル基を有する原子団で置き換えた構造を有するものである。具体的には、下記化学式(4)で表されるようなポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート、下記化学式(5)で表されるようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でもポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートは、カプロラクトン単位の繰り返し数が1〜25のいずれであってもよいが、カプロラクトン単位の繰り返し数が大きすぎると復元性層の強度が低下するため、繰り返し数が5以下であることが好ましい。
【0100】
【化5】

化学式(4)において、Rは水素原子又はメチル基、nは1〜10の整数、mは1〜25の整数である。
【0101】
【化6】

化学式(5)において、Rは水素原子又はメチル基、lは1〜10の整数である。
【0102】
ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートは、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のヒドロキシ変性(メタ)アクリレートの混合物であってもよい。すなわち、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートの混合物、あるいはヒドロキシ変性(メタ)アクリレートのポリカプロラクトン非変性物とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートの混合物であってもよい。この場合には、特に優れた耐擦傷性を発揮しうる復元性層を形成可能なウレタン(メタ)アクリレートを提供することができる。
【0103】
ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートが上記のような混合物である場合、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート間におけるカプロラクトン単位の繰り返し数の最大差は9以下であることが好ましく、同繰り返し数の平均は5以下であることが好ましい。カプロラクトン単位の繰り返し数の最大差を9以下とすれば、復元性層の耐擦傷性をさらに高めることができる。また、カプロラクトン単位の繰り返し数の平均を5以下とすれば、カプロラクトン単位の繰り返し数が大きすぎることに起因して復元性層の強度が低下するのを防ぐことができる。
【0104】
(ポリカプロラクトン含有多官能アルコール)
ポリカプロラクトン含有多官能アルコールの具体例としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオールのほか、5官能以上のポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。
ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、カプロラクトン単位の繰り返し数がいくつであってもよいが、カプロラクトン単位の繰り返し数が大きすぎると復元性層の強度が低下するため、繰り返し数は5以下であることが好ましい。なお、ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラクトン含有多官能アルコールの混合物であってもよい。
【0105】
また、ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、官能基(−O−[CO(CHO]−H)の数が多いほど好ましい。官能基(−O−[CO(CHO]−H)の数が多くなるほどウレタン(メタ)アクリレートにおける光硬化性基の数が増えるので、その架橋密度が増し、その結果、復元性層の耐擦傷性が向上するからである。
【0106】
なお、反応原料にポリカプロラクトン含有多官能アルコールが含まれているウレタン(メタ)アクリレートは、光硬化性基の数が増えて架橋密度が増しても、硬化したときにカールが生じたり加工性が低下したりするおそれが少ない。
【0107】
(復元性層用硬化性樹脂組成物のその他の成分)
本発明の復元性層用硬化性樹脂組成物には、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有していてもよい。当該化合物を含有することにより、復元性層の耐擦傷性及び密着性が向上できる。
【0108】
長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物は、光硬化性基を有していることが好ましい。当該化合物が光硬化性基を有することにより、復元性層用硬化性樹脂組成物を低粘度化及びハイソリッド化することができるとともに、復元性層の密着性及び耐溶剤性を向上させることができる。
【0109】
以下、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物について順に説明する。
【0110】
(長鎖アルキル基含有化合物)
長鎖アルキル基含有化合物は、復元性層の表面滑性を向上させ、当該復元性層の耐擦傷性を向上させる。
【0111】
長鎖アルキル基含有化合物の長鎖アルキル基の炭素数は13〜25であることが好ましい。長鎖アルキル基の炭素数が13〜25であると、復元性層の耐擦傷性をさらに向上させることができる。
【0112】
さらに、前記長鎖アルキル基含有化合物は、ポリエーテル変性物であることが好ましい。長鎖アルキル基含有化合物がポリエーテル変性物であると、復元性層に帯電防止性を付与することができる。
【0113】
長鎖アルキル基の炭素数が13〜25である長鎖アルキル基含有化合物の具体例としては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンセチルアルコール、ポリオキシエチレンステアリルアルコール、グリセロールモノステアレートなどの長鎖アルコール;トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの活性エネルギー線硬化性化合物が挙げられる。
【0114】
(シリコーン系化合物)
シリコーン系化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0115】
(フッ素系化合物)
フッ素系化合物の具体例としては、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキル第四級アンモニウム塩、フルオロアルキルエチレンオキシド付加物などのフルオロアルキル基を有する化合物;ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキル第四級アンモニウム塩、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物などのペルフルオロアルキル基を有する化合物;フルオロカーボン基を有する化合物;テトラフルオロエチレン重合体;フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体;フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステル;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと他モノマーの共重合体が挙げられる。
【0116】
また、その他の任意成分としては、重合開始剤やその他のバインダー成分、溶媒などが挙げられる。
【0117】
(重合開始剤)
重合開始剤の例としては、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメート等が挙げられる。
また、上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物で挙げた重合開始剤を用いても良い。
【0118】
(その他のバインダー成分)
復元性層硬化性樹脂組成物に含有されていてもよいその他のバインダー成分の例としては、(メタ)アクリロイル基を有する単官能性又は多官能性のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。具体的には、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレンなどの単官能性のモノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート等の2官能性のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性のモノマー;不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどのオリゴマーが挙げられる。
【0119】
(復元性層用硬化性樹脂組成物の溶剤)
溶剤としては、特に制限されず、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤等が挙げられる。
【0120】
(その他の層)
本発明に係るハードコートフィルムは、上述したように光透過性基材、ハードコート層及び復元性層により基本的には構成されてなる。しかしながら、ハードコートフィルムとしての機能又は用途を加味して、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、復元性層のハードコート層とは反対側に、更に帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層、前記ハードコート層と同じ又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選ばれる一又は二以上の層を設けてもよい。
【0121】
(帯電防止層)
帯電防止層は、帯電防止剤と硬化性樹脂を含む帯電防止層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。帯電防止層の厚さは、30nm〜3μm程度であることが好ましい。
【0122】
帯電防止剤としては、上記ハードコート層の帯電防止剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0123】
帯電防止層用硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。例えば、上記復元性層用硬化性樹脂組成物のその他のバインダー成分で挙げたものを用いることができる。
【0124】
(防眩層)
防眩層は、防眩剤と硬化性樹脂を含む防眩層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該硬化性樹脂は、公知のものを適宜選択して、1種又は2種以上用いることができる。
【0125】
(防眩剤)
防眩剤としては、上記ハードコート層の防眩剤で挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0126】
(防汚層)
本発明の好ましい態様によれば、ハードコートフィルム最表面の汚れ防止を目的として防汚層を設けてもよい。防汚層は、ハードコートフィルムに対して防汚性と耐擦傷性のさらなる改善を図ることが可能となる。防汚層は、防汚剤と硬化性樹脂組成物を含む防汚層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。
【0127】
防汚層用硬化性樹脂組成物に含まれる防汚剤や硬化性樹脂は、公知の防汚剤及び硬化性樹脂から適宜選択して1種又は2種以上を用いることができる。
【0128】
(低屈折率層)
低屈折率層は、当該層の光透過性基材側に隣接する層よりも屈折率が低い層であり、低屈折率層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。当該低屈折率層用硬化性樹脂組成物には、前記隣接する層よりも屈折率が低くなるように、適宜公知の低屈折率硬化性樹脂や微粒子を用いることができる。
【0129】
(第2のハードコート層)
ハードコートフィルムの硬度を更に向上させる点から、第2のハードコート層を設けても良い。
第2のハードコート層は前記ハードコート層と同様のものを用いることができ、当該二つのハードコート層の組成は同一であっても良く、異なっていても良い。
【0130】
(ハードコートフィルムの製造方法)
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、光透過性基材の一面側に、光透過性基材側から上述したハードコート層用硬化性樹脂組成物及び復元性層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とする工程、
当該塗膜に光照射し、硬化させる工程を含む。
【0131】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物及び復元性層用硬化性樹脂組成物の調製)
ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、通常、溶剤に上記ハードコート層用硬化性樹脂組成物において挙げた各成分を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。
復元性層用硬化性樹脂組成物も、同様に、溶剤に上記復元性層用硬化性樹脂組成物において挙げた各成分を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。
【0132】
ハードコート層用硬化性樹脂組成物を光透過性基材上に塗布し、塗膜とし、必要に応じて乾燥を行い、光照射により塗膜を硬化させ、ハードコート層を形成する。
【0133】
塗布方法は、光透過性基材表面にハードコート層用硬化性樹脂組成物を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法を用いることができる。
また、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の光透過性基材上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が1g/m〜30g/mの範囲内、特に5g/m〜25g/mの範囲内であることが好ましい。
【0134】
乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。例えば、溶剤としてケトン系溶剤を用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜60℃の範囲内の温度で、20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の時間で乾燥工程が行われる。
【0135】
次に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて乾燥させた塗膜に対し、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物に含まれる反応性官能基に応じて、光照射を行い塗膜を硬化させることにより、当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物の構成成分中に含まれる、バインダー成分の反応性官能基や必要に応じて含まれる反応性無機微粒子の反応性官能基が架橋結合し、ハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成される。
【0136】
光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。
光照射に加えて加熱を行っても良く、加熱する場合は、通常40℃〜120℃の温度にて処理する。また、室温(25℃)で24時間以上放置することにより反応を行っても良い。
【0137】
(復元性層の形成)
ハードコート層を形成した後、当該ハードコート層上にハードコート層用硬化性樹脂組成物と同様に復元性層用硬化性樹脂組成物を塗布し、塗膜とし、必要に応じて乾燥を行い、光照射を行い塗膜を硬化させることにより復元性層を形成し、本発明に係るハードコートフィルムを得る。
【0138】
復元性層用硬化性樹脂組成物の塗布方法、乾燥方法、硬化方法は上記ハードコート層の形成と同様に行えばよく、適宜調節可能である。
【0139】
また、復元性層用硬化性樹脂組成物のハードコート層上への塗工量としては、得られるハードコートフィルムが要求される性能により異なるものであるが、乾燥後の塗工量が5g/m〜30g/mの範囲内、特に10g/m〜20g/mの範囲内であることが好ましい。
【0140】
また、ハードコート層用硬化性樹脂組成物を塗布し、ハードコート層を完全に形成する前に、すなわちハードコート層用硬化性樹脂組成物をハーフキュア(半硬化)して、当該ハーフキュア状態のハードコート層上に前記復元性層用硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥し、ハードコート層及び復元性層を同時に光照射及び/又は加熱してフルキュア(完全硬化)し、本発明に係るハードコートフィルムを得ても良い。
ハーフキュアする場合、紫外線波長365nmでの積算露光量は、例えば、5〜50mJ/cm程度である。
【0141】
(その他の層の形成)
光透過性基材上に、ハードコート層及び復元性層を形成した後、その他の層の硬化性樹脂組成物を復元性層上に塗布し、必要に応じて乾燥させ、光照射及び/又は加熱して硬化させその他の層を設ければよい。
【実施例】
【0142】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
シリカ微粒子(1)として、日産化学工業(株)製、IPAST(L)、平均粒径40nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
シリカ微粒子(2)として、日産化学工業(株)製、IPA−ST、平均粒径12nm、コロイダルシリカ、固形分30%液を用いた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとして、日本化薬(株)製、DPHAを用いた。
ペンタエリスリトールトリアクリレートとして、日本化薬(株)製、PET30を用いた。
1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート、及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたカプロラクトン変性ウレタンアクリレートとして、ダイセル・サイテック(株)製、KRM7735を用いた。
カプロラクトン変性ウレタンアクリレート以外のウレタンアクリレートとして、荒川化学工業(株)製、BS371を用いた。
ポリエステルアクリレートとして、東亞合成(株)製、M9050を用いた。
シランカップリング剤として、信越化学工業(株)製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−503を用いた。
重合開始剤として、チバ・ジャパン(株)製、イルガキュア184を用いた。
光透過性基材として、TACフィルム(厚み80μm、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、商品名:TF80UL、富士フィルム(株)製)を用いた。
各化合物の略語はそれぞれ、以下の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロパノール
【0143】
(反応性シリカ微粒子(1)の調製)
シリカ微粒子(1)をロータリーエバポレーターを用いてIPAからMIBKに溶剤置換を行い、シリカ粒子30質量%のMIBK分散液を得た。このMIBK分散液100質量部に3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5質量部添加し、50℃で1時間加熱処理することにより、表面処理された平均粒径40nmの反応性シリカ微粒子の固形分30質量%MIBK分散液を得た。
【0144】
(硬化性樹脂組成物の調製)
下記に示す組成の成分を配合して復元性層用硬化性樹脂組成物R1、及びハードコート層用硬化性樹脂組成物H1〜H6をそれぞれ、調製した。
【0145】
(復元性層用硬化性樹脂組成物R1)
KRM7735(カプロラクトン変性ウレタンアクリレート):45質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0146】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H1)
シリカ微粒子(2):18質量部(固形分換算)
DPHA:27質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0147】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H2)
反応性シリカ微粒子(1):20質量部(固形分換算)
DPHA:25質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0148】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H3)
DPHA:45質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0149】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H4)
PET30:45質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0150】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H5)
M9050:45質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0151】
(ハードコート層用硬化性樹脂組成物H6)
BS371:45質量部
イルガキュア184:4質量部
MIBK:51質量部
【0152】
実施例1:ハードコートフィルムの作製
TACフィルムの片面に、ハードコート層用硬化性樹脂組成物として、前記ハードコート層用硬化性樹脂組成物H1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚9μm(13g/cm)のハードコート層(下層)を形成した。さらに、当該ハードコート層上に、復元性層用硬化性樹脂組成物として、前記復元性層用硬化性樹脂組成物R1を塗布し、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が200mJになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚10μmの復元性層(上層)を形成し、実施例1のハードコートフィルムを作製した。
【0153】
ハードコート層用硬化性樹脂組成物及び復元性層用硬化性樹脂組成物として、ハードコート層及び復元性層を形成する硬化性樹脂組成物をそれぞれ、表1に示すものとした以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6のハードコートフィルムを作製した。また、比較例1及び2では、ハードコート層を設けずに、TACフィルム上に復元性層用硬化性樹脂組成物R1を用いて、それぞれ膜厚10μm、20μmの復元性層のみを形成してハードコートフィルムとした。比較例3では、復元性層を設けずに、TACフィルム上にハードコート層用硬化性樹脂組成物を用いて、膜厚9μmのハードコート層のみを形成してハードコートフィルムとした。
【0154】
【表1】

【0155】
(ハードコートフィルムの評価)
作製した実施例1〜6及び比較例1〜3のハードコートフィルムについて、以下の様に鉛筆硬度及び傷の復元性を評価した。その結果を表1に示す。
【0156】
(評価:鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験;鉛筆引っ掻き試験の硬度は、作製したハードコートフィルム(上記光学積層体)を温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆(硬度2H〜4H)を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)を行い、鉛筆硬度を評価し、傷がつかなかった最も高い硬度を測定した。
なお、表1中、評価が3.5Hとは、4Hの硬度試験において5本線中、傷が2本の場合を意味し、評価が3Hとは4Hの硬度試験において5本線中、傷が3本以上の場合を意味する。
【0157】
(評価:復元性)
上記鉛筆硬度試験で傷がついた最も硬度の低い鉛筆の際に、傷がついてから室温で30分放置し、以下の評価基準で評価した。
評価○:復元性層が復元し、傷がなくなっているもの
評価×:復元性層が復元せず、傷があるもの
【0158】
表1より、実施例1〜6では鉛筆硬度及び復元性で良好な結果が得られた。
一方、復元性層のみの比較例1及び2ではハードコート層がないため下地層の機能が得られず、鉛筆硬度が2Hと低く、傷もなくならなかった。
ハードコート層のみの比較例3も復元性層がないため鉛筆硬度及び復元性ともに実施例より劣っていた。
【符号の説明】
【0159】
1 ハードコートフィルム
10 光透過性基材
20 ハードコート層
30 復元性層
40 低屈折率層
50 帯電防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材の一面側に当該光透過性基材側から順にハードコート層及び復元性層を設けたハードコートフィルムであって、
当該ハードコート層は、バインダー成分を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
当該復元性層は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られたウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを含む復元性層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする、ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層のJIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)の硬度が、2H以上であることを特徴とする、請求項1に記載のハードコートフィルム。
【請求項3】
前記復元性層の膜厚は、5〜30μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
【請求項4】
前記ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートが、ポリカプロラクトン変性アルキルアクリレート及び/又はポリカプロラクトン変性アルキルメタクリレートであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項5】
前記ヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートが、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレートの混合物であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項6】
カプロラクトン単位の繰り返し数が異なるヒドロキシ変性アクリレート及び/又はヒドロキシ変性メタクリレート間における前記繰り返し数の最大差が9以下であることを特徴とする、請求項5に記載のハードコートフィルム。
【請求項7】
前記復元性層用硬化性樹脂組成物がさらに、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。
【請求項8】
前記長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物よりなる群から選ばれる1種以上の化合物が、光硬化性基を有することを特徴とする請求項7に記載のハードコートフィルム。
【請求項9】
前記長鎖アルキル基含有化合物の長鎖アルキル基の炭素数が13〜25であることを特徴とする請求項7又は8に記載のハードコートフィルム。
【請求項10】
前記復元性層のハードコート層とは反対側の面に、帯電防止層、防眩層、防汚層、低屈折率層及び前記ハードコート層と同じか又は異なる第2のハードコート層よりなる群から選ばれる1種以上の層が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のハードコートフィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−31527(P2011−31527A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180895(P2009−180895)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】